JP6562915B2 - 心血管疾患または心血管イベントを有するリスクを予測するための方法およびキット - Google Patents

心血管疾患または心血管イベントを有するリスクを予測するための方法およびキット Download PDF

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Description

本発明は、試料中の可溶性TREM−1レベルを測定することにより対象が心血管イベントを有するリスクを予測するための方法およびキットに関する。
アテローム性動脈硬化症は、ゆっくりと進行する病変部形成や動脈の血管狭窄を経て脳血管疾患や冠動脈疾患を引き起こす。プラークの破裂や血栓症が生じるとすぐに、これらの最も一般的な形態の心血管疾患が、急性冠不全症候群(ACS)、心筋梗塞または脳卒中として現れる。ヒトおよび動物の研究により、アテローム性動脈硬化症は、主に内因的に修飾された構造体、特に自然免疫応答および適応免疫応答の両方を刺激する酸化リポタンパク質に応答して開始される動脈壁内での慢性炎症過程によって促進されるということが確立されている。血管細胞および単球/マクロファージの両方の活性化により自然免疫応答が引き起こされ、その後、抗原提示細胞によりエフェクターTリンパ球に提示される一連の潜在的抗原に対して適応免疫応答が生じる(Ait‐Oufella, H. et al. 2011. Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 31: 969‐979)。遺伝子改変されたマウスモデルにより、血中単球は、ケモカインにより血管壁の中に動員され、次いでマクロファージおよび脂質が負荷された泡沫細胞になることが教示された。内膜マクロファージは、サイトカイン放出を介してプラークの発生を促進し、プロテアーゼの産生およびアポトーシスの蓄積を介して炎症の増幅およびプラークの不安定化を促進する(Libby, P. et al. 2011. Nature 473: 317‐325)。単球/マクロファージは、病原体認識受容体(PRR:Pathogen Recognition Receptor)と相互作用する病原体関連分子パターン(PAMP:Pathogen Associated Molecular Pattern)と命名されたいくつかのメディエーターによって刺激される。いくつかのPRRはアテローム性動脈硬化症の病態生理に関与している。例えば、Toll様受容体がヒトおよび動物のアテローム性動脈硬化病変部で発現される。
心筋梗塞または脳梗塞は、有害かつ損傷を与える持続性または一過性の虚血に起因する複雑な臨床症候群の典型である。これは通常、酸素の供給と需要とのバランスを崩す冠動脈/大脳動脈の閉塞によって引き起こされる。心筋梗塞は多相炎症反応に関連している。初期の虚血は、壊死、フリーラジカル酸素種の形成、補体活性化、およびTNF−αの放出により開始されるサイトカインカスケードを誘発する。梗塞領域の再潅流相は、虚血部位における白血球動員に寄与する炎症反応の増加および加速に関連している。動員された白血球は、炎症性メディエーターのその場および全身性放出にも関与し、最後に、梗塞の病態生理学的帰結の原因となる超活性化された炎症状態を引き起こす。
要約すると、自然免疫、特に単球/マクロファージおよび好中球が、アテローム性動脈硬化症および虚血後心臓組織リモデリングの病態生理において重要な役割を担っていることを示す多くの証拠がある。心筋梗塞(MI)は高レベルの血中単球を数週間誘発する。血中単球レベルの上昇は、潜在的にプラークの破裂を促進させる増大する動脈病変部への動員に利用可能な拡大した炎症性細胞プールを提供する。実際に、MI後の白血球増多症は、再梗塞および死亡のリスクの上昇を予測するものである(Swirski FK. And Nahrendorf M. 2013. Science. 339: 161‐166., Sabatine, M. Set al. 2002. J. Am. Coll. Cardiol. 40: 1761‐1768)。事実、MIは、遠く離れたアテローム性動脈硬化プラークにおける炎症を増加させ、このようにして慢性アテローム性動脈硬化症を加速させ、自然免疫細胞はこの現象の推進力となる。
TREM−1(骨髄細胞に発現する誘発性受容体−1)は、自然免疫細胞(単球/マクロファージおよび好中球)によって発現される免疫受容体である。TREM−1の活性化は、急速な好中球の脱顆粒および酸化的破壊と共に、サイトカインおよびケモカイン(TNF−α、IL−6、IL−8、MCP−1、MCP−3、MIP−1αなど)の産生を引き起こす(Derive, M. et al. 2010. Self Nonself 1: 225‐230, Derive, M. et al. 2012. J. Immunol. Baltim. Md 1950)。TREM−1の機能は、過剰な免疫応答を引き起こすためにPRR(TLRを含む)と協力して、炎症を活性化/開始するというよりも調節/増幅させることにある。
C反応性タンパク質(CRP)は心血管イベント診断検査で幅広く使用されている。但し、このタンパク質は、当該技術分野では非常に特異的な予後指標として認められていない。
現在の診断法は、例えば特定の転帰のリスクがある個体を特定する上で完全に満足が得られるものではない。例えば、特に冠動脈疾患(CAD)のリスクおよびその予後にある人々について有害な心血管転帰を評価および予測するための非侵襲的で高感度かつ信頼性の高い、冠動脈疾患を診断および予測するための方法およびシステムが必要とされている。
従って、本発明は、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクのある対象を特定するための新規な方法を提供することを目的とする。
本発明の目的の1つは、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定する工程を含む、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクのある対象を特定する方法である。
本発明の別の目的は、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定する工程を含む、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクのある対象を階層化する方法である。
本発明の別の目的は、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定する工程を含む、対象における心血管イベントまたは心血管疾患の重症度を評価する方法である。
一実施形態では、sTREM−1レベルを基準値と比較する。
一実施形態では、当該基準値よりも高いsTREM−1レベルは、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクを示している。
一実施形態では、当該試料は血液試料である。
一実施形態では、前記心血管イベントは心筋梗塞である。別の実施形態では、前記心血管イベントはアテローム性動脈硬化症である。
本発明の別の目的は、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定する工程を含む、それを必要としている対象における心血管イベントまたは心血管疾患を監視する方法である。
本発明の別の目的は、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定する工程を含む、心血管イベントまたは心血管疾患に罹患しているか罹患したことのある対象に施される治療法の有効性を監視する方法である。一実施形態では、sTREM−1レベルを対象の個別化された基準値と比較する。好ましくは、対象の個別化された基準値は、治療法の前または開始時に当該対象から得られた試料において測定したsTREM−1レベルである。
定義
本発明では、以下の用語は以下の意味を有する。
「心血管イベント」は、本明細書では、「心イベント」、「急性動脈血管イベント」または「動脈血管イベント」という用語と同義で使用され、突然心臓死、急性冠不全症候群、例えば限定されるものではないが、プラークの破裂、心筋梗塞、不安定狭心症、ならびに非心臓性の急性動脈血管イベント、例えば脚の血栓、動脈瘤または動脈瘤進行、脳卒中および、動脈血管の血液の流れおよび酸素化が一時的または持続的に妨げられる他の動脈血管虚血性イベントを指す。
「心血管疾患」または「動脈血管疾患」は、本明細書に定義されているように、心臓、心臓弁、血液および体の脈管構造を冒す数多くの病気を分類するために使用される一般的な用語であり、心臓または血管を冒すあらゆる疾患、例えば限定されるものではないがメタボリックシンドローム、X症候群、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、冠動脈疾患、安定および不安定狭心症、脳卒中、大動脈およびその分岐部の疾患(大動脈弁狭窄症、血栓症または大動脈瘤など)、末梢動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患、ならびに限定されるものではないが、あらゆる一時的または持続的な虚血性動脈血管イベントを包含する。本明細書で使用される動脈血管疾患とは、最も一般的には虚血性または虚血誘発性疾患を指し、一般的に非虚血性疾患を指すものではない。本明細書で使用される「アテローム性動脈硬化症」および「アテローム血栓症」とは、内皮の炎症活性化、血管形成刺激源としての炎症性白血球、血栓症中の凝血原および炎症反応の増幅因子としての平滑筋細胞ならびに炎症および血栓症のメディエーターとしての血小板が関与する、多面的血管病変に対する複雑な炎症反応を伴う全身炎症性疾患状態を指す。動脈は、それらの内壁への「プラーク」と呼ばれる物質の蓄積により、硬くなり狭くなる。プラークが発達してサイズが大きくなるにつれて動脈内部はさらに狭くなり(「狭窄」)、そこを流れることができる血液が少なくなる。狭窄またはプラークの破裂は、冒された脈管構造の部分的または完全な閉塞を引き起こすことがある。従って、脈管構造によって酸素供給される組織はそれらの酸素化源を奪われ(虚血)、細胞死(壊死)が生じ得る。「CAD」すなわち「冠動脈疾患」は、心筋に血液を供給する動脈(冠状動脈)がアテローム性動脈硬化状態となり、硬化し、かつ/または狭くなった場合に生じる動脈血管疾患である。最終的に心筋への血流が減少し、また、血液は必要不可欠な酸素を運ぶものであるため、心筋はそれが必要とする酸素量を受け取ることができず、多くの場合、壊死を引き起こす。CADは、急性冠不全症候群(ACS)、心筋梗塞(心臓発作)、狭心症(安定および不安定狭心症)ならびに酸素を多く含む血液を心臓に供給する血管において生じるアテローム性動脈硬化症およびアテローム血栓症などの病状を包含する。「CVD」すなわは「脳血管疾患」は、酸素を多く含む血液を顔や脳に供給する血管における動脈血管疾患、例えばアテローム性動脈硬化症およびアテローム血栓症である。この用語は、多くの場合、脳に血液を供給する頸動脈の「硬化」を記述する際に使用される。これは、CADおよび/またはPAD(末梢動脈疾患)との一般的な併存疾患である。これを、虚血性疾患すなわち血流不足を引き起こす疾患ともいう。CVDは、脳血管性虚血、急性脳梗塞、脳卒中、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、動脈瘤、軽度認知機能障害(MCI)および一過性脳虚血発作(TIA)などの病状を包含する。虚血性CVDは、CADおよびPADと密接に関連していると考えられており、非虚血性CVDは複数の病態生理を有することがある。推定500万人の米国人は、過去に急性CVDイベントと診断された生存者であり、毎年推定70万件の急性CVDイベントが起きている。本明細書に開示されているように、従来の動脈血管疾患危険因子の臨床的評価に基づきCVDのリスクが低いかリスクがないとみなされている対象あるいはTIA、MCIまたは深刻な頭痛などの症状のない対象にも、急性CVDイベントのリスクがあるかもしれない。「PAD」すなわち「末梢動脈疾患」は、心臓や脳以外で生じるアテローム性動脈硬化症およびアテローム血栓症などの病状を包含する。これはCADとの一般的な併存疾患である。従来のPAD(すなわち動脈血管疾患)危険因子の評価に基づきPADのリスクが低いまたはリスクがないとみなされている対象あるいはPADまたは動脈血管疾患の症状がない対象にも、跛行がない場合であっても動脈血管イベントのリスクがあるかもしれない。跛行は、末梢動脈の狭窄により筋肉への血流量が減少し、虚血および多くの場合、動脈閉塞を引き起こし、骨格筋および手足の壊死を引き起こすことにより生じる、脚の筋肉における疼痛または不快感として定めることができる。この疼痛または不快感は歩行時に生じることが多く、静止状態では消散する(間欠性跛行)。疼痛、緊張、痙攣、疲労または脱力感は、跛行により生じることが多い。PADは、CADにおける一般的な血液動態の変化を引き起こすだけでなく、骨格筋における代謝性変化も引き起こす。PADが深刻な慢性および急性の末梢動脈閉塞まで進行した場合、外科手術および手足の切断が唯一の治療選択肢となることが多い。PADは過小診断される疾患として広くみなされており、大多数の確定診断は、症状が現れた後にのみ行われたものであるか、他の動脈血管疾患がある場合、およびそのような虚血性イベントが原因の不可逆的動脈血管損傷が既に生じている場合にのみ行われる。
「測定する」または「測定」あるいは「検出する」または「検出」とは、臨床試料すなわち対象由来の試料中のいずれかの所与の物質の存在、不存在、数量または量(有効量であってもよい)を評価すること(そのような物質の定性的または定量的濃度レベルの導出を含む)、あるいは対象の分析物以外の臨床的パラメータの値または分類をそれ以外の方法で評価することを意味する。
本発明の文脈における「リスク」とは、動脈血管イベントへの転換のような、あるイベントが特定の期間にわたって生じる確率に関し、対象の「絶対」リスクまたは「相対」リスクを意味することができる。関連する時間コホートの実際の観察後測定値を参照するか、あるいは関連する期間にわたって追跡調査した統計的に有効な歴史的コホートから作成した指標値を参照して、絶対リスクを測定することができる。相対リスクは、対象の絶対リスクを低リスクコホートまたは平均的な集団リスクの絶対リスクのいずれかと比較した比を指し、これは臨床的危険因子の評価方法によって異なってもよい。オッズ比すなわち所与の試験結果に関する陽性の事象の陰性の事象に対する割合も一般に使用される(オッズは、式p/(1−p)(式中、pは事象が起こる確率であり、(1−p)は事象が起こらない確率である)に基づく)。
本発明の文脈における「試料」は対象から単離された生体試料であり、単に一例であって限定されるものではないが、対象から得られた体液および/またはホモジネートもしくは可溶化組織などの組織抽出物が挙げられる。組織抽出物は、組織生検および剖検材料から日常的に得られる。本発明において有用な体液としては、血液、尿、唾液またはあらゆる他の体分泌液またはそれらの派生物が挙げられる。本明細書で使用される「血液」は、全血、血漿、血清、血中上皮細胞、血液成分、または血液のあらゆる派生物が挙げられる。
「臨床的パラメータすなわち臨床的特徴」は、対象の健康状態または他の特性の全ての非試料すなわち分析物以外のバイオマーカー、例えば限定されるものではないが、年齢(Age)、人種(Race)、性別(Sex)、拡張期血圧(DBP)および収縮期血圧(SBP)、家族歴(FamHX)、身長(HT)、体重(WT)、胴囲(Waist)、腰囲(Hip)、肥満度指数(BMI)ならびにI型もしくはII型糖尿病または妊娠糖尿病(DMまたはGDM、ここではまとめて糖尿病という)および安静時心拍数を包含する。
本発明の文脈における「対象」は、好ましくは哺乳類である。哺乳類は、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマまたはウシであってもよいが、これらの例に限定されない。ヒト以外の哺乳類は有利なことに、動脈血管疾患または動脈血管イベントの動物モデルを代表する対象として使用することができる。対象は雄であっても雌であってもよい。対象は、動脈血管疾患または動脈血管イベントを有するものとして過去に診断または同定されたものであってもよく、また任意に動脈血管疾患または動脈血管イベントに対して治療的介入を既に受けたか現在受けているものであってもよい。あるいは、対象は、動脈血管疾患を有すると過去に診断されたことがないものであってもよい。例えば、対象は動脈血管疾患の1つ以上の危険因子を示すもの、または動脈血管危険因子を示さないもの、あるいは動脈血管疾患または動脈血管イベントの症状がないものであってもよい。また、対象は動脈血管疾患または動脈血管イベントに罹患しているかそれらを発症するリスクがあるものであってもよい。
本明細書で使用される「可溶性TREM−1」(sTREM−1)は、TREM−1(受入番号Q9NP99、配列番号1)の可溶性細胞外領域に関する。sTREM−1は、TREM−1の細胞外領域の切断によって遊離する。sTREM−1は、膜結合型TREM−1のタンパク質分解的切断によって生じる可溶性TREM−1であってもよい。Gingrasによる研究(Gingras et al, Mol Immunol 2002, Mar;38(11):817-24)は、可溶性受容体に翻訳され得る他のmRNAすなわちTREM−1スプライスバリアント(TREM−1sv)の発現の同定を試みた。しかし、この可溶性TREM−1(これは仮説的ヌクレオチド配列から予測されるタンパク質配列である)はヒトに存在することが一度も実証されなかった。後になって、2007年および2012年に、Gomez−Pina(Gomez‐Pina et al, J Immunol. 2007 Sep 15;179(6):4065-73およびGomez‐Pina et al, J Leukoc Biol. 2012 Jun;91(6):933-45)は、メタロプロテイナーゼによる膜結合型TREM−1のタンパク質分解的切断によって可溶性TREM−1が産生されることを実証した。実際には、MMPによって容易に切断されてsTREM−1を産生するIg様外部ドメインを有するTREM−1は膜貫通糖タンパク質である。TREM−1の選択的スプライシング型はヒトの白血球では検出されなかった。
数字の前の「約」は前記数字の値の±10%を意味する。
TREM−1(骨髄細胞に発現する誘発性受容体−1)は、自然免疫細胞によって発現される免疫受容体である。理論に縛られたくはないが、本発明者らは、Nod様受容体(NLR)の関与(Toll様受容体TLRを含む)がTREM−1の発現およびその細胞膜表出の上方制御を誘導することについて述べる。前記NLRおよびTLRの活性化は、危険関連分子パターン(DAMP:Danger Associated Molecular Pattern)に結合することによる無菌性炎症条件下、または病原体関連分子パターン(PAMP)に結合することによる感染条件下のいずれかにおいて生じ得る。このNLRおよびTLRの活性化はメタロプロテイナーゼの上方制御を誘導し、次いで多くの標的のうち、その細胞外基質領域の切断により可溶性TREM−1の遊離を誘導する[Gomez‐Pina et al. J Immunol. 2007, 179(6):4065‐73]。
一実施形態では、sTREM−1は、配列番号1のアミノ酸21〜205に対応する配列番号2のアミノ酸配列を有する。
別の実施形態では、sTREM−1は、配列番号1のアミノ酸31〜205に対応する配列番号3のアミノ酸配列を有する。
一実施形態では、sTREM−1は、配列番号2の変異体または配列番号3の変異体である。
一実施形態では、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の変異体は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の少なくとも25個の隣接するアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、180または185個の隣接するアミノ酸をそれぞれ含むアミノ酸配列である。
別の実施形態では、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の変異体は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列をそれぞれ含み、かつ配列番号2または配列番号3のN末端またはC末端にさらなるアミノ酸を含むアミノ酸配列であり、ここでは、さらなるアミノ酸の数は、1〜50個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜10個のアミノ酸であり、例えばC末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸および/またはN末端に1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸である。
別の実施形態では、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の変異体は、典型的には1つ以上の置換、欠失、付加および/または挿入の点で配列番号2または配列番号3とは異なるアミノ酸配列である。一実施形態では、前記置換、欠失、付加および/または挿入は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸に影響を与え得る。
別の実施形態では、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の変異体は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列のそれぞれと少なくとも75%、80%、90%、95%または少なくとも96%、97%、98%、99%またはそれ以上の同一性を有する、少なくとも25個のアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、180または185個のアミノ酸からなるアミノ酸配列である。
「同一性」または「同一の」という用語は、2つ以上のポリペプチド配列間の関係において使用される場合、2つ以上のアミノ酸残基からなる配列間の一致数によって決定されるポリペプチド間の配列関連性(sequence relatedness)の程度を指す。「同一性」とは、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって扱われるギャップアラインメント(存在すれば)を有する2つ以上の配列のより短い配列間の完全な一致率の尺度である。関連するポリペプチドの同一性は、公知の方法によって容易に計算することができる。そのような方法としては、Computational Molecular Biology, Lesk, A. M., ed., Oxford University Press, New York, 1988、Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D. W., ed., Academic Press, New York, 1993、Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994、Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987、Sequence Analysis primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M. Stockton Press, New York, 1991およびCarillo et al., SIAM J. Applied Math. 48, 1073 (1988)に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間の最大の一致を与えるように設計されている。同一性の決定方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムに記述されている。好ましいコンピュータプログラムによる2つの配列間の同一性の決定方法としては、GAP(Devereux et al., Nucl.Acid.Res.12: 387 (1984)、Genetics Computer Group、ウィスコンシン大学、ウィスコンシン州マディソン)、BLASTP、BLASTNおよびFASTA(Altschul et al., J.MoI. Biol. 215, 403‐410 (1990))などのGCGプログラムパッケージが挙げられる。BLASTXプログラムは、国立生物工学情報センター(NCBI)および他の提供源(BLAST Manual, Altschul et al., NCB/NLM/NIH, メリーランド州ベセズダ, 20894、Altschul et al.、上記)から公的に入手可能である。また、周知のSmith Watermanアルゴリズムを使用して同一性を決定してもよい。
一実施形態では、配列番号2または配列番号3の変異体は配列番号1ではない。
一実施形態では、sTREM−1は配列番号2の断片または配列番号3の断片である。
一実施形態では、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の断片は、配列番号2または配列番号3のアミノ酸配列の少なくとも25個の隣接するアミノ酸、好ましくは少なくとも50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、165、170、175、180または185個の隣接するアミノ酸をそれぞれ含むアミノ酸配列である。
一実施形態では、sTREM−1は、マトリックスメタロペプチダーゼ、好ましくはマトリックスメタロペプチダーゼ9(MMP9)による配列番号1のTREM−1配列の切断によって生成された細胞外基質断片に対応する。
本発明の目的の1つは、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定し、それにより、対象が心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクがあるか否かを決定する工程を含む、心血管イベントもしくは心血管疾患を有するか発症するリスクまたは原因を問わない死亡のリスクのある対象を特定する方法に関する。
本発明の別の目的は、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定し、それにより、対象が心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクがあるか否かを決定する工程を含む、対象が心血管イベントもしくは心血管疾患を有するか発症するリスクまたは原因を問わない死亡のリスクがあるか否かを評価する方法である。
本発明の別の目的は、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定し、それにより、対象が心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクがあるか否かを決定する工程を含む、対象が心血管イベントもしくは心血管疾患を有するか発症するリスクまたは原因を問わない死亡のリスクがあるか否かを予測する方法である。
本発明の別の目的は、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定し、それにより、対象が心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクがあるか否かを決定する工程を含む、心血管イベントもしくは心血管疾患を有するか発症するリスクまたは原因を問わない死亡のリスクのある対象を階層化する方法である。
本発明の別の目的は、対象からの試料中のsTREM−1レベルを測定し、それにより、対象が心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクがあるか否かを決定する工程を含む、対象における心血管イベントまたは心血管疾患の重症度を評価する方法である。
本発明によれば、原因を問わない死亡とは、心血管イベントまたは心血管疾患後、例えば最初の心血管イベントまたは心血管疾患後に生じる死亡を指す。
一実施形態では、本発明の方法は、心血管イベントまたは心血管疾患に関連するかそれらによって引き起こされる死亡のリスクのある対象を特定するためのものである。
一実施形態では、本発明の方法は、対象が心血管イベントまたは心血管疾患に関連するかそれらによって引き起こされる死亡のリスクがあるか否かを評価するためのものである。
一実施形態では、本発明の方法は、対象が心血管イベントまたは心血管疾患に関連するかそれらによって引き起こされる死亡のリスクがあるか否かを予測するためのものである。
一実施形態では、本発明の方法は、心血管イベントまたは心血管疾患に関連するかそれらによって引き起こされる死亡のリスクのある対象を階層化するためのものである。
本発明の一実施形態では、対象は、実質的に健康な対象であってもよく、これは、当該対象が心血管疾患を有するか罹患していると過去に診断または同定されていないこと、あるいは心血管イベントを発症していないことを意味する。
別の実施形態では、対象は心血管疾患の症状がないものであってもよい。本明細書で使用される「症状がない」対象とは、限定されるものではないが、CADでは胸痛および息切れ、PADでは跛行、CVDではTIAS、MCIおよび深刻な頭痛などの、心血管疾患または心血管イベントの従来の症状を示していない対象を指す。
本発明の別の実施形態では、対象は、例えば、年齢、性別、LDL濃度、HDL濃度、トリグリセリド濃度、血圧、肥満度指数、CRP濃度、冠動脈カルシウムスコア、胴囲、喫煙状況、過去の心血管疾患歴、心血管疾患の家族歴、心拍数、空腹時インスリン濃度、空腹時グルコース濃度、糖尿病状態、および高血圧薬の使用などの臨床的特徴によって定められるような心血管疾患または心血管イベントを有するか発症するリスクのあるものであってもよい。
本発明の別の実施形態では、対象は、例えば、心筋壊死を伴わない慢性虚血性疾患(例えば、安定狭心症または労作性狭心症)、心筋壊死を伴わない急性虚血性疾患(例えば、不安定狭心症)、心筋壊死を伴う虚血性疾患(例えば、ST上昇型心筋梗塞または非ST上昇型心筋梗塞)などの心血管疾患または心血管イベントであると過去に診断または同定されたことのあるものであってもよい。
組織虚血は相対値で定められることが多く、酸素必要量が組織への酸素送達量を超える場合に生じる。組織(例えば心筋)において酸素の需要と供給とのバランスが崩れている。この酸素欠乏状態は、潅流の減少の結果として代謝産物が不適切に除去されることによって達成され得る。心筋虚血は臨床的に(例えば胸痛)、生物学的に(例えばミエロペルオキシダーゼ活性の上昇)、代謝的に、シンチグラフィーを用いて、局所壁運動障害を分析して、あるいは心電図を使用して(ST部分の典型的な変化、ST部分の上方もしくは下方偏位、T波逆転または急峻な左右対称的性もしくは高振幅陽性T波などのT波の典型的な変化)、診断することができる。無症候性虚血は典型的に、シンチグラフィーまたは24時間心電図記録を用いて診断される。
安定狭心症および労作性狭心症は典型的に運動中の胸痛によって現れ、静止時にゆっくりと回復する。これは通常、運動中の組織虚血を反映している。
不安定狭心症は、狭心症の最初の発症である安定狭心症または安静時狭心症の頻度および/または重症度が最近増加している状態である。
心筋壊死は典型的に、循環血液中の心筋酵素(例えばトロポニンI、トロポニンT、CPK)の増加によって診断される。
本発明の別の実施形態では、対象は、心血管疾患のための治療薬および/または治療法の結果としての心血管系リスク因子の改善を示すものであってもよい。そのような改善としては、肥満度指数の低下、総コレステロールの減少、LDLレベルの減少、HDLCレベルの上昇、収縮期および/または拡張期血圧の低下、あるいは他の上記危険因子の減少またはそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の一実施形態では、対象において虚血性症状の発症がないことを診断した。心筋虚血は、臨床的に(例えば胸痛)、生物学的に(例えばミエロペルオキシダーゼ活性の上昇)、シンチグラフィーを用いて代謝的に、局所壁運動障害を分析して、あるいは心電図を使用して(ST部分の典型的な変化、ST部分の上方もしくは下方偏位、T波逆転または急峻な左右対称的性もしくは高振幅陽性T波の典型的な変化)、診断することができる。
別の実施形態では、対象において虚血性症状の発症を診断した。
本発明の一実施形態では、sTREM−1レベルを測定するために使用される試料は、血液試料、全血試料、血漿試料、血清試料または尿試料である。
本明細書で使用される「レベル」という用語は、sTREM−1の発現レベルを指す。この用語は、代わりにsTREM−1の転写レベルまたはsTREM−1の翻訳レベルを指してもよい。発現レベルは、細胞内または細胞外で検出してもよい。sTREM−1レベルを測定する方法は当業者には周知であり、RT−PCR、RT−qPCR、ノーザンブロット、ハイブリダイゼーション法(例えばマイクロアレイの使用)、および、例えば限定されるものではないがRT−PCRによって得られた単位複製配列のハイブリダイゼーションなどのそれらの組み合わせ、例えば次世代DNAシーケンシング(NGS)またはRNA−seq(「全トランスクリプトームショットガンシーケンシング」としても知られている)などのシーケンシング、免疫組織化学、マルチプレックス法(Luminex社)、ウェスタンブロット法、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、サンドイッチELISA、固相蛍光免疫測定法(FLISA)、酵素免疫測定法(EIA)、放射免疫測定法(RIA)、フローサイトメトリー(FACS)などが挙げられるがこれらに限定されない。
本発明の一実施形態では、sTREM−1レベルを基準値と比較する。
一実施形態では、基準値は指標値であってもよく、心血管疾患および/または心血管イベントのための1つ以上のリスク予測アルゴリズムまたは算出された指標から導出したものであってもよい。基準値は、限定されるものではないが、同様の肥満度指数、総コレステロールレベル、LDL/HDLレベル、収縮期もしくは拡張期血圧を有する対象、同じまたは同様の年齢層の対象、同じまたは同様の人種に含まれる対象、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、CAD、PADまたはCVDの家族歴を有する対象を含む集団調査から得られた数または値に相対的なものであってもよく、あるいは動脈血管疾患、例えばアテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、CAD、PADまたはCVDの治療を受けている対象の開始試料に相対的なものであってもよい。
そのような基準値は、限定されるものではないが、特にフラミンガム研究、NCEP/ATP IIIに報告されているアルゴリズムなどの動脈血管疾患の数学的アルゴリズムおよび算出された指標から得られる集団の統計学的分析および/またはリスク予測データから導出することができる。心血管系リスク因子の基準値は、アルゴリズムおよび他の統計学的および構造的分類法を用いて構築および使用することもできる。
一実施形態では、基準値は個別化された基準であり、すなわち基準値を当該対象から得られた試料を用いて決定した。
本発明の一実施形態では、基準値は、本明細書の上に定めたように実質的に健康な1人以上の対象から得られた対照試料中のsTREM−1から導出する。実質的に健康なそのような対象は心血管疾患の従来の危険因子を有さない。すなわち、それらの対象は、特に上記危険因子のうち、例えば200mg/dl未満の血清コレステロールレベル、120mmHg以下の収縮期血圧、80mmHg以下の拡張期血圧を有し、現時点では非喫煙者であり、過去に糖尿病歴がなく、過去に急性冠不全症候群または高血圧症と診断されたことがなく、当該技術分野で知られている心血管疾患の別の侵襲的または非侵襲的診断検査、例えば限定されるものではないが、心電図(ECG)、頸動脈Bモード超音波検査(内膜中膜肥厚の測定)、電子ビームCT(EBCT)、冠動脈カルシウムスコア、高分解能マルチスライスCT、核磁気共鳴、運動負荷試験、血管造影法、血管内超音波検査(IVUS)、他の造影剤および/または放射性同位体による画像診断法、または他の誘発試験法によって確認することができる。
別の実施形態では、そのような試験後に、そのような対象を診断上関連する期間にわたって監視および/または定期的に再試験(「縦断調査」)して、心血管疾患または急性心血管イベントが引き続き存在しない(疾患またはイベントのない生存)を確認する。そのような期間は、基準値の決定のための最初の試験日から1年、2年、2〜5年、5年、5〜10年、10年または10年以上であってもよい。さらに、これらの基準値を確立する際に、適切に保存された歴史的対象試料中のsTREM−1レベルの遡及的測定を使用し、このようにして所要調査時間を短縮し、製品クレームの意図される範囲により対象が介入期間に適当に追跡調査されたことを推定してもよい。
別の実施形態では、上記侵襲的または非侵襲的技術のうちの1つによって心血管疾患または心血管イベントであると過去に診断または同定された1人以上の対象、心血管イベントを発症するリスクの高い1人以上の対象、またはアテローム性動脈硬化性またはアテローム血栓性プラークの破裂を発症するリスクの高い1人以上の対象、あるいは心血管イベントまたはプラークの破裂に罹患している1人以上の対象から得られた試料中のsTREM−1レベルから基準値を導出することもできる。
本発明の別の実施形態では、心血管疾患の治療薬および/または治療法の結果としての心血管系リスク因子における改善を示す1人以上の対象から得られた試料中のsTREM−1レベルから基準値を導出することもできる。そのような改善としては、肥満度指数の低下、総コレステロールの減少、LDLレベルの減少、HDLCレベルの上昇、収縮期および/または拡張期血圧の低下、あるいは他の上記危険因子の減少またはそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の別の実施形態では、心血管疾患の治療薬および/または治療法の結果としての心血管系リスク因子における改善を示さない1人以上の対象から得られた試料中のsTREM−1レベルから基準値を導出することもできる。そのような改善としては、肥満度指数の低下、総コレステロールの減少、LDLレベルの減少、HDLCレベルの上昇、収縮期および/または拡張期血圧の低下、あるいは他の上記危険因子の減少またはそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の一実施形態では、基準値は指標値またはベースライン値である。指標値またはベースライン値は、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、CAD、PADまたはCVDなどの心血管疾患を有しない1人以上の対象、または心血管疾患の症状がない対象から得られる。心血管系リスク因子における改善(心臓血管疾患の治療薬または治療法の結果)を示した対象からベースライン値を得ることもできる。そのような改善としては、肥満度指数の低下、総コレステロールの減少、LDLレベルの減少、HDLCレベルの上昇、収縮期および/または拡張期血圧の低下またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の一実施形態では、前記心血管イベントまたは心血管疾患は、メタボリックシンドローム、X症候群、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、冠動脈疾患、安定狭心症、不安定狭心症、脳卒中、大動脈およびその分岐部の疾患(大動脈血栓症または大動脈瘤など)、末梢動脈疾患、末梢血管疾患、脳血管疾患、およびあらゆる一時的または持続的虚血性心血管イベントである。
本発明の一実施形態では、前記心血管イベントまたは心血管疾患は心筋梗塞である。
本発明の別の実施形態では、前記心血管イベントまたは心血管疾患はアテローム性動脈硬化症である。
一実施形態では、血液試料中で測定したsTREM−1レベルが265pg/ml以上、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、360、370、380、390または400pg/mlである場合、当該対象は、心血管イベントまたは心血管疾患に関連するかそれらによって引き起こされる死亡のリスクのあるものとして同定される。
一実施形態では、心血管疾患の進行を遅らせるため、あるいは心血管疾患または心血管イベントを発症するリスクを減少または予防するための治療計画を与えるために、心血管疾患または心血管イベントを発症する高いリスクを有するもの、またはそのような状態であるものとして同定された対象を選択する。
本発明によれば、本明細書の上に記載した方法は、それを必要としている対象における心血管疾患または心血管イベントを監視するためのものである。
本発明の一実施形態では、本明細書の上に記載した方法は、それを必要としている対象における心血管疾患の進行を評価するためのものである。
本発明の別の実施形態では、本明細書の上に記載した方法は、心血管疾患の治療の有効性を監視するためのものである。当該治療の有効性は、sTREM−1レベルの変化に反映される。治療が所望の効果を有していれば、sTREM−1レベルは、治療の前に得られたものと比較して低くなる。他方、治療が所望の効果を有していなければ、sTREM−1レベルは高いままである。一実施形態では、治療の前または開始時に得られたsTREM−1レベルが基準値である。
従って、開業医は、当該治療(用量、治療計画)を採用して、sTREM−1レベルをその基礎レベルまたは健康な対象から得られたレベルまで減少させることができる。
心血管疾患のための治療薬の例としては、アスピリン、クロピドグレル、プラスグレル、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤、低分子量ヘパリン、未分画ヘパリン、フォンダパリヌクス、ビバリルジン、スタチン、β遮断薬、ACE−IまたはARBなどが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、心血管疾患の治療は、TREM−1の機能、活性または発現の調節に基づく。TREM−1の機能、活性または発現の調節剤の例としては、TREM−1および/またはsTREM−1あるいはTREM−1リガンドおよび/またはsTREM−1リガンドに対する抗体、TREM−1の機能、活性または発現を阻害する小分子、TREM−1の機能、活性または発現を阻害するペプチド、TREM−1に対するsiRNAs、TREM−1に対するshRNAs、TREM−1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド、TREM−1に対するリボザイム、またはTREM−1のアプタマーが挙げられるが、これらに限定されない。
一実施形態では、心血管疾患の治療は、例えばLR12(配列番号4)などの、sTREM−1リガンドを標的にするペプチドを用いた治療である。
本発明の別の実施形態では、本明細書の上に記載した方法は、心血管疾患または心血管イベントを有するかそのリスクがあると診断された対象のために治療計画を選択するためのものである。
従って、sTREM−1レベルを、治療法の前に得られた試料中で測定し(基準値を構成する前記レベル)、かつ治療法の間に得られた少なくとも1種の別の試料中で測定する。その際のsTREM−1レベルの減少は、対象に対する治療法のプラスの効果を示す。逆に、同様のレベルまたはsTREM−1レベルの上昇は、治療法の非有効性を示す。本発明の一実施形態では、治療法の前および、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月またはそれ以上あるいは少なくとも1年、2年、3年またはそれ以上の治療法の間に毎月、患者から試料を得る。
別の実施形態では、sTREM−1レベルを、治療法の開始時に得られた試料中(基準値を構成する前記レベル)、および治療法の間に得られた少なくとも1種の別の試料中で測定することができる。本発明の一実施形態では、治療法の開始時および、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月またはそれ以上あるいは少なくとも1年、2年、3年またはそれ以上の治療法の間に毎月、患者から試料を得る。一実施形態では、治療法の開始は、治療の最初の投与日に対応する。
本発明の別の目的は、sTREM−1レベルを測定するための手段を含む、対象が心血管疾患および/または心血管イベントを有するか発症するリスクを有するかリスクがあるか否かを特定するためのキットである。
一実施形態では、sTREM−1レベルを測定するための前記手段は、ポリクローナルのまたはモノクローナル抗体などの抗体である。
sTREM−1の検出を可能にする抗体の例としては、ヒトのTREM−1のMet1〜Arg200のアミノ酸に対して産生されたポリクローナル抗体(R&D Systems社の整理番号AF1278)およびヒトのTREM−1のAla21〜Asn205に対して産生されたモノクローナル抗体(R&D Systems社の整理番号MAB1278)が挙げられるがこれらに限定されない。sTREM−1の検出を可能にする抗体の他の非限定的な例としては、以下の特許または特許出願:米国特許出願公開第2013/150559号、米国特許出願公開第2013/211050号、米国特許出願公開第2013/309239号、国際公開第2013/120553号および米国出願第8,106,165号に記載されているsTREM−1および/またはTREM−1抗体が挙げられる。
一実施形態では、sTREM−1レベルを測定するための前記手段は、酵素結合免疫吸着法(ELISA)である。
ELISA測定法の例としては、R&D Systems社製のTREM‐1 Quantikine ELISAキット、ヒトTREM‐1 DuoSet(R&D Systems社製の整理番号DY1278BおよびDY1278BE)、sTREM‐1 ELISA(iQProducts社製の整理番号sTREM‐1 ELISA)が挙げられるが、これらに限定されない。
従って、本発明は、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクのある対象を生体外で特定する方法または、対象が心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクがあるか否かを評価する方法に関し、前記方法は、
i)前記対象から得られた試料中のsTREM−1レベルを測定する工程と、
ii)工程i)で測定したレベルを基準値と比較する工程(差は心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクを示している)と、
を含む。
従って、本発明は、対象における心血管イベントまたは心血管疾患のリスクを生体外で予測する方法に関し、前記方法は、
i)前記対象から得られた試料中のsTREM−1レベルを測定する工程と、
ii)工程i)で測定したレベルを基準値と比較する工程(差は心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクを示している)と、
を含む。
従って、本発明は、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクのある対象を生体外で階層化する方法あるいは対象における心血管イベントまたは心血管疾患の重症度を評価する方法に関し、前記方法は、
i)前記対象から得られた試料中のsTREM−1レベルを測定する工程と、
ii)工程i)で測定したレベルを基準値と比較する工程(差は心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスク、好ましくは深刻なリスクを示している)と、
を含む。
本発明の一実施形態では、基準値と比較した場合に試験試料中のより高レベルのsTREM−1は、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクを示している。一実施形態では、基準値と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%と同等またはそれ以上の高い試験試料中のsTREM−1レベルは、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症するリスクを示している。
本発明の一実施形態では、基準値と比較した場合に試験試料中のより高レベルのsTREM−1は、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症する深刻なリスクを示している。一実施形態では、基準値と比較して約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%と同等またはそれ以上の高い試験試料中のsTREM−1レベルは、心血管イベントまたは心血管疾患を有するか発症する深刻なリスクを示している。
従って、本発明は、対象における心血管疾患の治療の有効性を生体外で監視する方法に関し、前記方法は、
i)前記対象から得られた試料中のsTREM−1レベルを測定する工程と、
ii)工程i)で測定したレベルを基準値と比較する工程(差は当該治療の所望の効果を示している)と、
を含む。
一実施形態では、本発明の監視方法は、
i)治療法の前に前記対象から得られた試料中のsTREM−1レベルを測定する工程と、
ii)治療法の間に、好ましくは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月またはそれ以上あるいは少なくとも1年、2年、3年またはそれ以上の治療法の間に毎月、前記対象から得られた試料中のsTREM−1レベルを測定する工程と、
iii)工程ii)で測定したレベルを、工程i)で測定したsTREM−1レベルと比較する工程(sTREM−1レベルの減少は当該治療法の当該対象に対するプラスの効果を示している)と、
を含む。
別の実施形態では、本発明の監視方法は、
i)治療法の開始時に、好ましくは治療の最初の投与日に、前記対象から得られた試料中のsTREM−1レベルを測定する工程と、
ii)治療法の間、好ましくは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月またはそれ以上あるいは少なくとも1年、2年、3年またはそれ以上の治療法の間に毎月、前記対象から得られた試料中のsTREM−1レベルを測定する工程と、
iii)工程ii)で測定したレベルを、工程i)で測定したsTREM−1レベルと比較する工程(sTREM−1レベルの減少は当該治療法の当該対象に対するプラスの効果を示している)と、
を含む。
一実施形態では、治療法の前または開始時に測定したsTREM−1レベルと比較して約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%と同等またはそれ以上の低い試験試料中のsTREM−1レベルは、当該治療法の当該対象に対するプラスの効果を示している。
一実施形態では、当該基準値は、約または少なくとも80pg/mL、100pg/mL、あるいは約または少なくとも約150、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、520、540、560、580、600、620、640、660、680、700pg/mL以上である。
一実施形態では、当該基準値を得るために使用される当該基準集団で測定したsTREM−1レベルを百分位数で分類し、ここでは、当該基準集団の全対象によって得られたsTREM−1レベル値をそれらの数値に従って昇順で並べる。本発明の一実施形態では、百分位数は対象の百分位数であり、すなわち各百分位数は同数の対象を含む。従って、第1百分位数は最も低いsTREM−1レベルを有する対象に対応し、最後の百分位数は最も高いsTREM−1レベルを有する対象に対応する。
一実施形態では、当該基準値は、当該基準集団の第1百分位数の最も高いsTREM−1レベルに対応する。
別の実施形態では、当該基準値は、当該基準集団の第2、第3…または最後から2番目の百分位数の最も高いsTREM−1レベルに対応する。
一実施形態では、3つの百分位数に等しく分けた場合、各百分位数を三分位数と呼ぶ。本実施形態によれば、当該基準値は、第1または第2三分位数の最も高いsTREM−1レベルに対応する。
別の実施形態では、4つの百分位数に等しく分けた場合、各百分位数を四分位数と呼ぶ。本実施形態によれば、当該基準値は、第1、第2または第3四分位数の最も高いsTREM−1レベルに対応する。
本発明によれば、当該技術分野で知られている任意の方法によってsTREM−1レベルを測定してもよい。
典型的には、本方法は、当該試料を当該試料中のsTREM−1と選択的に相互作用することができる結合パートナーと接触させる工程を含んでもよい。いくつかの態様では、結合パートナーは、例えばモノクローナル抗体またはアプタマーなどの抗体である。
上記測定法では一般に、パートナー(すなわち抗体またはアプタマー)を固体担体に結合させる。本発明の実施において使用することができる固体担体としては、ニトロセルロース(例えば、膜またはマイクロタイターウェルの形態)、ポリ塩化ビニル(例えば、シートまたはマイクロタイターウェル)、ポリスチレンラテックス(例えば、ビーズまたはマイクロタイタープレート)、ポリフッ化ビニリデン、ジアゾ化紙、ナイロン膜、活性化ビーズ、磁気応答性ビーズなどの基材が挙げられるが、これらに限定されない。
競合法、直接吸着法またはサンドイッチ法などの免疫測定法を含む標準的な免疫診断技術を用いて、sTREM−1レベルを測定してもよい。そのような測定法としては、凝集試験、酵素標識/媒介免疫測定法(ELISAなど)、ビオチン/アビジン型測定法、放射免疫測定法、免疫電気泳動法、免疫沈降法が挙げられるが、これらに限定されない。
特異的なタンパク質を同定するための例示的な生化学的試験は、ELISA試験などの標準試験法を用いるが、本明細書において提供されている情報は他の生化学的試験または診断試験の開発に適用してもよく、ELISA試験の開発に限定されない(ELISA試験の説明については、例えばMolecular Immunology: A Textbook, edited by Atassi et al. Marcel Dekker Inc., New York and Basel 1984を参照)。当然ながら、各種血漿成分のための市販の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)キットが入手可能である。従って、マイクロタイタープレートのウェルをsTREM−1を認識する抗体セットで被覆するELISA法を使用することができる。次いで、sTREM−1を含むか含むと推測される試料を被覆したウェルに添加する。抗体/抗原複合体の形成を可能にするのに十分なインキュベーション期間後に、これらのプレートを洗浄して未結合部分を除去し、検出可能に標識された二次結合分子を添加することができる。二次結合分子をあらゆる捕捉された試料マーカータンパク質と反応させ、これらのプレートを洗浄し、当該技術分野でよく知られている方法を用いて、二次結合分子の存在を検出する。
また、sTREM−1レベルを測定する工程(免疫測定法をベースとする方法を用いても用いなくてもよい)は、化合物の分離、すなわち化合物の分子量に基づく遠心分離、質量および電荷に基づく電気泳動、疎水性に基づくHPLC、サイズに基づくサイズ排除クロマトグラフィー、および使用される特定の固相に対する化合物の親和性に基づく固相親和性手法を含んでもよい。分離すると、公知の「分離プロファイル」、例えば標準的な技術を用いて測定したその化合物の保持時間に基づいて、前記化合物を同定することができる。
あるいは、例えば質量分析計により、分離した化合物を検出および測定してもよい。
典型的には、sTREM−1に特異的なモノクローナル抗体を用いる二抗体「サンドイッチ」法に基づくイムノメトリックアッセイによって、試料中のsTREM−1レベルを測定してもよい。
本発明の別の目的は、心血管イベントまたは心血管疾患を診断するためのバイオマーカーとしてのsTREM−1の使用である。
本発明の別の目的は、sTREM−1の心血管疾患を監視するためのバイオマーカーとしての使用である。
FAST−MI−2005コホートにおける心筋梗塞後の可溶性TREM−1の血漿中濃度および心血管転帰を表すグラフである。 FAST−MI−2005コホートにおける調整モデルにおけるsTREM−1レベルのROC曲線(AUC)下面積を表すグラフである。 FAST−MI−2010コホートにおける心筋梗塞後の可溶性TREM−1の血漿中濃度および死亡を表すグラフである。 アテローム性動脈硬化症マウスにおける心臓の虚血性イベント後の血漿中sTREM−1レベルを表すヒストグラムの組み合わせである。(A)成体の雄Balb/cマウス(20〜23g)を心筋虚血状態にし、無作為にグループ化して(1群当たりn=10)、LR12(0.2mLの0.9%NaCl中に100μgを5日間にわたり1日1回)またはスクランブルLR12(0.2mLの0.9%NaCl中に100μgを5日間にわたり1日1回)を腹腔内注射により繰り返し投与した。心臓の虚血性イベントから24、72および168時間後に血液試料を得て、血漿中sTREM−1レベルを測定した。健康な動物における投与量から生理的ベースラインを計算する。1群および1時点当たりN=10。(B)アテローム性動脈硬化症マウスを無作為化して、LR12(0.2mLの0.9%NaCl中に100μgを4週間にわたり1日1回)またはスクランブルLR12(0.2mLの0.9%NaCl中に100μgを4週間にわたり1日1回)を腹腔内注射により投与した。治療(4週間)の終了時に血液試料を得て、sTREM−1血漿中濃度を評価した。健康な動物における投与量から生理的ベースラインを計算する。1群当たりN=10。
以下の実施例により本発明をさらに例示する。
方法
調査対象母集団1
過去の刊行物(Cambou, J.‐P et al. 2007. Arch. Mal. Coeur Vaiss. 100: 524‐534, Simon, T., et al. 2009. N. Engl. J. Med. 360: 363‐375)には、「フランスの急性ST上昇型/非ST上昇型心筋梗塞患者登録」(FAST−MI:the French registry of Acute ST‐elevation and non‐ST‐elevation Myocardial Infarction)の母集団および方法について詳細に記載されている。簡潔に言うと、クレアチンキナーゼ、クレアチンキナーゼMBまたはトロポニン上昇について正常上限の2倍よりも高い心筋壊死の血清マーカーの上昇と、急性MIおよび/または異常Q波(>0.04秒)を伴う少なくとも2つの隣接する誘導に対する心電図変化および/または0.1mVを超える持続的なST上昇または低下に対応するいずれかの症状を有する全ての19歳以上の年齢の対象をこの登録に含めた。症状発症から集中治療室入院までの時間は48時間未満でなければならなかった。通常のやり方に従って対象を管理した。すなわち、治療はこの登録への参加による影響を受けなかった。当時急性MIを有する対象を治療したフランス内の374のセンターのうち223(60%)がこの登録に参加し、3670人の患者を採用した。これらのうち100のセンターが、血清銀行に寄付した1061人の患者を採用した。
患者らのベースライン特性はこの登録の母集団全体と比較可能であった。99%超の対象が白人であった。患者の医師、患者自身または患者の家族ならびに患者の出生地の登記所との連絡を通して経過観察報告書を回収した。1年の経過観察は99%を超えて完了した。この研究は、サンタントワーヌ(Saint Antoine)大学病院の生物医学研究の被験者保護委員会(the Committee for the Protection of Human Subjects)によって見直され、そのデータファイルは、情報処理及び自由に関する全国委員会(Commission Nationale Informatique et Libertes)に申告された。
調査対象母集団2
ここではFAST−MI−2010と命名された第2の確認研究を使用する。過去の刊行物(Hanssen M et al. Heart. 2012 May;98(9):699-705)に、このコホートの詳細が記載されている。簡潔に言うと、心筋虚血に対応する症状、新しい異常Q波の発症、心筋虚血に対応するST−T変化(ST部分の上昇または低下、T波逆転)のうちの少なくとも1つと共に、心筋壊死の血清マーカー(トロポニンまたはクレアチンキナーゼMB)の上昇を有していた19歳以上の年齢の全ての対象をこの登録に含めた。症状発症から集中治療室入院までの時間は48時間未満でなければならなかった。通常のやり方に従って対象を管理した。すなわち、治療はこの登録への参加による影響を受けなかった。213のセンター(当時AMI患者を治療していたセンターの76%)がこの登録に参加し、4169人の患者を採用し、2010年10月1日に治験への組み入れを開始した。FAST−MI−2010を編成して、2005年の登録と同様の目的で新しい調査を行った。1年の経過観察を99%を超えた完了した。
血液試料採取および測定
集中治療室への入院時(症状発症から48時間未満)に、本研究で使用される血液試料を採取した。血液試料を−80℃で貯蔵した。全ての試料を番号のみで識別し、順不同に分析した。46.9pg/mLの検出限界を用いてsTREM−1の血清中濃度をELISA(TREM‐1 Duo‐Set、R&D Systems社)で測定した。第1のコホート(FAST−MI−2005)では、血清銀行に寄付した1061人の対象のうち1015人の対象(欠測値あり)についてsTREM−1レベルの結果を得た。第2のコホートFAST−MI−2010では、1293人の対象についてsTREM−1レベルの結果を得た。
sTREM−1のマウス血清中レベルを、31.3pg/mLの検出限界を用いるELISA(Mouse TREM‐1 Quantikine ELISA Kit、R&D Systems社)で測定した。
統計分析
2年の経過観察期間中の転帰イベントを、原因を問わない死亡または非致死性MIとして定めた。治験への組み入れ時の発症指標として定められた原因を問わない死亡および非致死性MIからなる主要評価項目を、患者の薬物療法や血液測定値を知らないメンバーからなる委員会で審査した。連続型変数を平均±SDで記載し、カテゴリー変数を頻度および割合で記載する。連続型変数として使用する前に、sTREM−1およびC反応性タンパク質の血漿中濃度を対数変換して正の歪度を除去した。離散変数のためにカイ二乗(χ)検定またはフィッシャーの正確確率検定を用い、かつ連続型変数のためにウイルコクソンの符号付き検定またはクラスカル・ワリス検定を用いて、ベースラインの人口統計学的および臨床的特徴、治療因子および入院中の治療管理をsTREM−1レベルの三分位数の中から予め指定されたものと比較した。全試料のデータに基づき、sTREM−1レベルの三分位数を構築した。
カプラン・マイヤー推定量を用いて、sTREM−1の三分位数ごとの生存曲線を推定する。
本発明者らは、多変数コックス比例ハザードモデルを使用して、2年の経過観察期間中の主要評価項目に対する変数の独立した予後値を評価した。多変数モデルは、性別、年齢、過去または現在の喫煙、肥満度指数、冠状動脈疾患の家族歴、高血圧症歴、過去の急性MI、心不全、腎不全、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病、入院時の心拍数、Killip分類クラス、左室駆出率、病院管理(再潅流療法、スタチン、β遮断薬、クロピドグレル、利尿薬、ジギタリス、ヘパリンを含む)、およびC反応性タンパク質レベル(対数)を含んでいた。それらの結果を、95%信頼区間(CI)を用いるコックスモデルのハザード比として表す。sTREM−1レベルに関連する経過観察中の心血管転帰の偽陽性率(1−特異度)に対する感度を、受信者動作特性(ROC)曲線によって分析した。式:感度+特異度−1を用いて、sTREM−1レベルについてYouden指数を算出した(ここでは、Youden指数の最大値は最適なカットオフ値に対応している)(Youden WJ. Cancer. 1950;3:32‐35)。
全ての統計学的検定は両側検定であり、SASソフトウェアのバージョン9.3を用いて行った。
ペプチド
LR12は、TREM−1リガンドを特異的に標的にすることが知られている12個のアミノ酸からなるペプチド(LQEEDTGEYGCV、配列番号4)である。これは生体内アッセイのためにCterアミド化ペプチドとして化学合成したものである(Pepscan Presto BV、オランダのレリスタット)。質量分析および分析用逆相高速液体クロマトグラフィーによって確認すると、正しいペプチドが95%超の収率で得られ、分取精製後に均質であった。これらのペプチドはエンドトキシンを含んでいなかった。対応するスクランブルペプチドを同様に合成し、対照ペプチド(スクランブルLR12、LR12と同じアミノ酸からなるがTREM−1阻害特性を示さないことで知られている無作為化配列)として使用した。
動物
全ての手順は、実験動物の管理と使用に関する地方委員会によって認可され、動物実験に関する国際ガイドラインに従って行った。マウスおよびラットをCharles River社(フランスのストラスブール)から入手した。
心筋梗塞マウスモデル
6〜8週齢の範囲の雄のC57BL/Cマウスに全ての手順を行った。キシラジン(60mg/kg)の腹膜内注射によりマウスに麻酔をかけ、仰臥位に固定した。気管挿管し、換気した(1回換気量は200μl/25gであり、呼吸速度は120回の呼吸/分であった)。左開胸後に、左冠状動脈を特定し、左耳介の先端から1.0mm遠位において8−0プロリーン縫合糸で結紮した。虚血領域(左心室)における赤色から白色への心筋の色の変化によりLAD閉塞を確認した。胸を閉じ、6−0絹で皮膚を縫合した。これらの動物をケージに戻し、そこで動物が完全に回復するまで監視した。
マウスをペプチド(毎日の腹腔内注射を5日間、5mg/kg)を与えるものと与えないものに無作為化し、血液試料採取のために24時間、72時間、168時間(1群当たりn=6)後に麻酔をかけ、次いでペントバルビタールナトリウムを過量投与して屠殺した。
マウスにおけるアテローム性動脈硬化症
12週齢および24週齢の雄のApoE−/−マウスに脂肪(脂質15%、コレステロール1.25%、コール酸塩なし)または固形飼料を与え、ペプチドの毎日の腹膜内注射(100μg/日)で治療した。治療から4週間後に、血液試料採取のためにマウスを屠殺した。
結果1
本発明者らの目的は、急性心筋梗塞後48時間以内に、フランスの急性ST上昇型/非ST上昇型心筋梗塞患者登録(FAST−MI、NCT00673036)に参加した患者における可溶性TREM−1レベルと心血管転帰との関係を評価することであった。sTREM−1の血清中レベルは、1年および2年目での原因を問わない死亡および再発性MIのリスクと関連しており、高レベルのsTREM−1は転帰の悪化を示す。参加した1015人の患者のうち183人の患者(18%)が、2年の経過観察期間中に死亡したかMIを有した。
経過観察中に死亡したかMIを有した患者は、転帰イベントを有しない患者よりも年齢が高く(64±13歳に対して75±12歳)、女性の割合がより高かった(27%に対して42%)。これらの患者は、より高い割合で高血圧症、糖尿病、過去の心不全、過去のMI、過去の脳卒中または一過性の虚血性イベント、慢性腎不全および慢性閉塞性肺疾患も有していた。
これらの患者は、経過観察中に転帰イベントを有しなかった患者と比較して、スタチン治療法(81%に対して68%)、β遮断薬(76%に対して50%)、クロピドグレル、ヘパリンにはあまり適していなかったが、利尿薬またはジゴキシンにはより適していた。イベントを有した患者は、急性冠状動脈イベントのグローバルレジストリ(GRACE:Global Registry of Acute Coronary Events)リスクスコアによると、病院で死亡するリスクがより高く、入院中に冠動脈形成術(PCI)(73%に対して43%)または血栓崩壊術(17%に対して9%)を受けた患者はより少なかった。
患者の転帰に基づく患者の特性を表1に列挙する。
Figure 0006562915
Figure 0006562915
sTREM−1の三分位数ごとの患者の特性を表2に列挙する。
Figure 0006562915
Figure 0006562915
sTREM−1レベル(pg/ml)を測定した(表3)。
母集団全体のsTREM−1の中央レベルは273pg/mLであった(範囲:50〜7069;第1三分位数<212.4pg/mL、n=339;第3三分位数>354pg/mL、n=339)。
Figure 0006562915
ベースラインsTREM−1レベルの関数としての転帰イベントの確率は、図1に示されている。
1年目の死亡およびMIのイベント発生率は、第1三分位数で6%、第2三分位数で9%、第3三分位数で24%であった。
2年目の死亡およびMIのイベント発生率は、第1三分位数で9%、第2三分位数で14%、第3三分位数で31%であった。
1単位(pg/mL)の対数変換したsTREM−1の増加に伴う2年の経過観察中の死亡および再発性MIの調整HRは、1.70(95%CI:1.33〜2.17、p<0.0001)であった。
本発明者らは、sTREM−1の三分位数にわたる傾向を試験して、より広範囲のsTREM−1レベルにわたる関連も調べた。基準として選択された第1三分位数と比較して、第2三分位数および第3三分位数の調整HRはそれぞれ、1.38(95%CI:0.83〜2.28)および2.08(95%CI:1.28〜3.39)であった(全体のp=0.006)。コクラン・アーミテージの傾向検定は有意であった(p<0.0001)。
2年の経過観察後に心血管転帰を正確に予測した調整モデルにおけるsTREM−1レベルのROC曲線下面積(AUC)は、0.847であった(図2)。
より低い値の(1−特異度)と組み合わせたより高い値の感度を考慮した、Youden指数を用いたsTREM−1レベルの最良のカットオフ値は、343pg/mLであった(感度=0.61および特異度=0.70)。
結果2
第1のコホートFAST−MI−2005における結果を第2のコホートFAST−MI−2010と共に確認した。FAST−MI−2010を確立して、2005年登録と同様の診断基準および目的を用いて新しい調査を行った。このコホートでは、急性心筋梗塞後1年目のsTREM−1レベルを、原因を問わない死亡のリスクと関連づけた。
sTREM−1の三分位数にごとの患者の特性を表4および表5に列挙する。sTREM−1の範囲は112〜7038であり、第1の三分位数では<264.552pg/mL(n=430)、第3の三分位数では>444.287pg/mL(n=432)であった。
ベースラインsTREM−1レベルの関数としての原因を問わない死亡の確率は、図3に示されている。1単位(pg/mL)の対数変換したsTREM−1の増加に伴う1年の経過観察中の死亡の調整HRは、3.784(95%CI:2.440〜5.869、p<0.0001)であった。
基準として選択した第1三分位数と比較すると、調整HRはそれぞれ、第2三分位数では2.996(95%CI:0.631〜14.220)、第3三分位数では、9.375(95%CI:2.147〜40.936)であった(全体のp=0.0005)。コクラン・アーミテージの傾向検定は有意であった(p<0.0001)。
Figure 0006562915

Figure 0006562915
Figure 0006562915
結果3
本発明者らの第2の目的は、治療がsTREM−1の血漿中濃度に影響を与え得るか否かを評価することであった。アテローム性動脈硬化症マウス(脂肪食を与えた24週齢のApoE−/−マウス)を、TREM−1リガンドを標的とするLR12ペプチドまたは対照ペプチド(スクランブルLR12)で治療した。本発明者らは治療から4週間後にsTREM−1レベルが上昇し(311.8pg/mL)、LR12治療がsTREM−1血漿中濃度の減少(189.8pg/mL)と関連していることを示す(図4B)。
本発明者らは、梗塞マウスにおいて、虚血性イベントから24時間および72時間後のLR12治療により、sTREM−1レベルが減少したことも示す(図4A)。
LR12投与は、心臓の虚血性イベント後ならびにアテローム性動脈硬化症中のより良好な転帰と関連しているため(データは示さず)、これらの結果は、sTREM−1の投与量を治療と組み合わせて使用して、当該疾患の進行を評価することができることを示唆している。

Claims (11)

  1. 対象からの試料中の可溶性の骨髄細胞に発現する誘発性受容体−1(sTREM−1)レベルを測定する工程および前記sTREM−1レベルを基準値と比較する工程を含む、対象における心血管イベントまたは心血管疾患のリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクを予測する方法。
  2. 前記基準値よりも高いsTREM−1レベルは、心血管イベントまたは心血管疾患のリスクあるいは原因を問わない死亡のリスクを示している、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法は対象の治療計画を選択するための方法である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記試料は血液試料である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記心血管イベントは、突然心臓死、急性冠不全症候群、プラークの破裂、心筋梗塞、不安定狭心症、非心臓性の急性動脈血管イベント、動脈瘤または動脈瘤進行、および脳卒中から選択され、前記心血管疾患は、メタボリックシンドローム、X症候群、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、冠動脈疾患、安定および不安定狭心症、脳卒中、大動脈およびその分岐部の疾患、および脳血管疾患から選択される、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記心血管イベントまたは心血管疾患は心筋梗塞である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記心血管イベントまたは心血管疾患はアテローム性動脈硬化症である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 対象からの試料中の可溶性の骨髄細胞に発現する誘発性受容体−1(sTREM−1)レベルを測定する工程および前記sTREM−1レベルを基準値と比較する工程を含む、対象における心血管イベントまたは心血管疾患を監視手段により監視する方法であって、前記心血管イベントは、突然心臓死、急性冠不全症候群、プラークの破裂、心筋梗塞、不安定狭心症、非心臓性の急性動脈血管イベント、動脈瘤または動脈瘤進行、および脳卒中から選択され、前記心血管疾患は、メタボリックシンドローム、X症候群、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、冠動脈疾患、安定および不安定狭心症、脳卒中、大動脈およびその分岐部の疾患、および脳血管疾患から選択される、方法。
  9. 対象からの試料中の可溶性の骨髄細胞に発現する誘発性受容体−1(sTREM−1)レベルを測定する工程および前記sTREM−1レベルを基準値と比較する工程を含む、心血管イベントまたは心血管疾患に罹患しているか罹患したことのある対象に施される治療法の有効性を監視手段により監視する方法であって、前記心血管イベントは、突然心臓死、急性冠不全症候群、プラークの破裂、心筋梗塞、不安定狭心症、非心臓性の急性動脈血管イベント、動脈瘤または動脈瘤進行、および脳卒中から選択され、前記心血管疾患は、メタボリックシンドローム、X症候群、アテローム性動脈硬化症、アテローム血栓症、冠動脈疾患、安定および不安定狭心症、脳卒中、大動脈およびその分岐部の疾患、および脳血管疾患から選択される、方法。
  10. 前記sTREM−1レベルは、前記治療法の前または開始時に対象から得られた試料において測定したsTREM−1レベルとして確定した対象の個別化された基準値と比較される、請求項に記載の方法。
  11. 前記治療法の前または開始時に前記対象から得られた試料において測定したsTREM−1レベルと比較したときの前記sTREM−1レベルの減少は、前記対象に対する前記治療法のプラスの効果を示す、請求項10に記載の方法。
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