JP6562248B2 - 超伝導トンネル接合素子の形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超伝導トンネル接合素子の形成方法に関する。
現在、超伝導トンネル接合素子(ジョセフソン接合素子)として幅広く用いられている素子は、2つのニオブ(Nb)層間に絶縁体層としてアルミニウムの熱酸化層(AlO)を用いて形成した積層素子(Nb/AlOx/Nb)である。Nbを用いた超伝導トンネル接合素子は、臨界電流密度、常抵抗等の素子パラメータを高い精度で制御することができる。しかし、ニオブの超伝導転移温度は、約9Kであり、本超伝導トンネル接合素子を動作させるためには4K以下の極低温環境が必要となる。また、超伝導トンネル接合素子は、超伝導転移温度が高いほど高周波損失が急激に増大する周波数(動作許容周波数)が高くなることが知られている。ニオブを用いた超伝導トンネル接合素子の動作許容周波数は750GHz未満である。
一方、超伝導トンネル接合素子の適用分野の1つである電波望遠鏡等の高周波受信機においては、テラヘルツ帯の高周波を受信可能とすることが求められており、動作許容周波数をより高くすることが求められている。そこで、より高い周波数での動作を許容する超伝導トンネル接合素子として、窒化ニオブ(NbN)を用いた超伝導トンネル接合素子が提案されている(非特許文献1,2参照)。
窒化ニオブは、超伝導転移温度が約16Kと高く、より高い動作許容周波数(約1.5THz未満)で動作する。また、窒化物であるため、表面が酸化し難いなど化学的安定性に優れる等の利点もある。しかしながら、シリコンと窒化ニオブとの格子整合性がよくないため、シリコン基板上に形成された窒化ニオブ層は、多結晶となる。多結晶の窒化ニオブ層は、表面の凹凸が大きく、超伝導トンネル接合における漏れ電流の増加、臨界電流の制御性低下の原因となる。
これに対し、基板を(100)配向の酸化マグネシウムとし、当該酸化マグネシウム基板上に窒化ニオブを形成することも提案されている(例えば非特許文献3、特許文献1参照)。酸化マグネシウムと窒化マグネシウムとは、格子整合性が比較的良く、(100)配向の酸化マグネシウム基板上に(100)配向の窒化ニオブ層をエピタキシャル成長させることができる。
特開2004−79882号公報
Z. Wang, H. Terai, W. Qiu, K. Makise, Y. Uzawa, K. Kimoto, and Y. Nakamura, "High-quality epitaxial NbN/AlN/NbN tunnel junctions with a wide range of current density" Applied Physics Letters, Vol. 102, No. 14, p.142604 (2013) Z. Wang, A. Kawakami, Y. Uzawa, and B. Komiyama, "Superconducting properties and crystal structures of single-crystal niobium nitride thin films deposited at ambient substrate temperature" Journal of Applied Physics, Vol.79 No.10 pp.7837-7842 (1996) A. Shoji, M. Aoyagi, S. Kosaka, F. Shinoki, and H. Hayakawa, "Niobium nitride Josephson tunnel junctions with magnesium oxide barriers" Applied Physics Letters Vol.46 pp.1098-1100 (1985)
しかしながら、酸化マグネシウムは、潮解性があり、基板表面が劣化し易く、基板全面にわたって平坦性を確保することが難しい。このため、酸化マグネシウム基板と窒化ニオブ層との接合面の均一性を高くすることが困難であった。特に、例えば4インチ角等のサイズの大きい(100)配向(単結晶)の酸化マグネシウム基板を得ることが困難であった。また、酸化マグネシウム基板は、シリコン基板に比べて非常に高価であるという問題もある。
本発明は、以上のような課題を解決すべくなされたものであり、窒化ニオブを用いた超伝導トンネル接合素子を、安価に形成しかつ基板との接合面の均一性をより高くすることができる超伝導トンネル接合素子の形成方法を提供することを目的とする。
本発明のある形態に係る超伝導トンネル接合素子の形成方法は、主面に平行な面に配向したシリコン基板に水素終端化処理を行い、前記水素終端化処理を行った前記シリコン基板に対して第1の加熱を行うことにより水素を離脱させ、水素離脱後の前記シリコン基板に対して第2の加熱を行いながら当該シリコン基板上に窒化チタン層をスパッタリング法により形成し、前記窒化チタン層上に、当該窒化チタン層と接続される窒化ニオブ層を含む複数の層からなる超伝導トンネル接合層を形成するものである。
上記方法によれば、主面に平行な面に配向したシリコン基板に水素終端化処理を行った上で当該シリコン基板を加熱して水素を離脱させる。さらに、水素離脱後のシリコン基板を加熱しながら窒化チタン層がスパッタリング法により形成される。これにより水素が離脱したシリコンのダングリングボンドが窒化チタンと結合し、シリコン基板上に平坦な窒化チタン層が形成される。この際、窒化チタンの配向面がシリコンの配向面にほぼ平行となる。窒化チタンと窒化ニオブとは、格子整合性がよいので、平坦な窒化チタン層上に窒化ニオブ層が形成されることにより、結果として、主面に平行な面に配向したシリコン基板上に当該面に平行な面に配向した窒化ニオブが形成される。したがって、窒化ニオブを用いた超伝導トンネル接合素子を、安価に形成しかつ基板との接合面の均一性をより高くすることができる。
前記第2の加熱は、前記シリコン基板の温度を600℃以上に加熱することであってもよい。このように、シリコン基板上に窒化チタン層をスパッタリング法により形成する際のシリコン基板の温度を上記範囲内とすることにより、シリコン基板上の窒化チタン層の平坦性をより高めることができる。
前記窒化チタン層の厚みは、40nm以上であってもよい。窒化チタン層の厚みをある程度厚くすることにより、窒化チタン層の上面における平坦度をより高くすることができる。
前記超伝導トンネル接合層は、前記窒化チタン層に接続される第1の窒化ニオブ層と、前記第1の窒化ニオブ層上に形成される窒化アルミニウム層と、前記窒化アルミニウム層上に形成される第2の窒化ニオブ層とを有してもよい。2つの窒化ニオブ層の間に形成される絶縁層として窒化アルミニウムを用いることにより、超伝導トンネル接合層をすべて窒化物で構成することができる。したがって、より安定的な超伝導トンネル接合素子を形成することができる。
本発明は以上に説明したように構成され、窒化ニオブを用いた超伝導トンネル接合素子を、安価に形成しかつ基板との接合面の均一性をより高くすることができるという効果を奏する。
図1は本発明の一実施形態に係る超伝導トンネル接合素子の形成方法で形成された超伝導トンネル接合素子の構造を示す概略断面図である。 図2は本実施の形態における水素終端化処理後のシリコン基板表面のRHEED像を示す図である。 図3は本実施の形態における水素終端化処理後のシリコン基板に対して第1の加熱を行った場合の水素分圧の時間変化を示すグラフである。 図4は本実施の形態における超伝導トンネル接合層表面のRHEED像を示す図である。 図5は本実施の形態における窒化チタン層表面および窒化ニオブ層表面のX線回折による構造分析の結果を比較例とともに示すグラフである。 図6は水素終端化処理後のシリコン基板上に基板温度を変えて形成した窒化チタン層の表面のX線回折による構造分析の結果を示すグラフである。 図7はシリコン基板を800℃に加熱しながらシリコン基板上に窒化チタン層を形成した場合の高角散乱環状暗視野操作透過顕微鏡法(HAADF−STEM)による断面画像を室温で窒化チタン層を形成した場合と比較して示す図である。 図8は水素終端化処理後のシリコン基板上に膜厚を変えて形成した窒化チタン層の表面のX線回折による構造分析の結果を示すグラフである。 図9はシリコン基板を700℃に加熱しながら窒化ニオブ層を形成した場合の超伝導トンネル接合層表面のRHEED像と、シリコン基板を加熱せずに(室温で)窒化ニオブ層を形成した場合の超伝導トンネル接合層表面のRHEED像とを対比して示す図である。 図10は本実施の形態における超伝導トンネル接合層の電流電圧特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
図1は本発明の一実施形態に係る超伝導トンネル接合素子の形成方法で形成された超伝導トンネル接合素子の構造を示す概略断面図である。図1に示すように、本実施の形態の超伝導トンネル接合素子1は、シリコン(Si)基板2上に形成された窒化チタン(TiN)層3と、窒化チタン層3上に形成された超伝導トンネル接合層4とを備えている。超伝導トンネル接合層4は、窒化チタン層3上に形成される第1の窒化ニオブ(NbN)層5と、第1の窒化ニオブ層5上に形成される窒化アルミニウム(AlN)層6と、窒化アルミニウム層6上に形成される第2の窒化ニオブ層7とを備えている。
ここで、シリコンの格子定数は、0.543nmである一方、窒化ニオブの格子定数は、0.439nmである。酸化マグネシウムの格子定数が0.421nmであることから、従来の基板として用いられた酸化マグネシウムと窒化ニオブとの格子整合性は比較的よいが、シリコンと窒化ニオブとの格子整合性はよくないことが分かる。一方、窒化チタンの格子定数は、0.424nmであり、窒化ニオブとの格子整合性は比較的よいことが分かる。したがって、シリコン基板2上に平坦に窒化チタン層3を形成することが求められる。
以下、シリコン基板2上に窒化チタン層3を形成する方法について説明する。まず、主面に平行な面に配向したシリコン基板2を用意する。例えば、(100)配向のシリコン基板2を用いる。次に、このシリコン基板2に水素終端化処理を施す。水素終端化処理のいては、例えば、シリコン基板2をアセトンおよびエタノールを用いた超音波洗浄を行い、硫酸および過酸化水素水(硫酸過水)を用いて洗浄する。この際、例えば85℃の硫酸過水を用いて10分程度洗浄する。その後、フッ酸を用いて1分ほど洗浄し、シリコン基板2の表面の酸化膜を除去する。
図2は本実施の形態における水素終端化処理後のシリコン基板表面のRHEED像を示す図である。一般に、RHEED(反射高速電子回折)像においては、電子の試料における反射表面が平坦であるほど縞状(ストリーク状)のパターンが現れる。図2のRHEED像には、鮮明なストリーク状パターンが現れている。したがって、図2から、水素終端化処理後のシリコン基板2の表面が平坦であることが分かる。
次に、このようにして水素終端化処理が行われたシリコン基板2に対して第1の加熱を行うことにより水素を離脱させる。第1の加熱はシリコン基板2を室温から500℃以上(例えば550℃程度)まで上げる(例えば2000秒間で上げる)ことにより行われる。
図3は本実施の形態における水素終端化処理後のシリコン基板に対して第1の加熱を行った場合の水素分圧の時間変化を示すグラフである。図3はシリコン基板2を室温から2000秒間で550℃まで上げながら第1の加熱を行った場合の水素分圧の時間的変化を示している。第1の加熱により、シリコン基板2の表面から熱によって水素ガスが脱離する。図3のグラフは、この脱離した水素ガスを質量分析計によって測定したものである。図3のグラフによれば、2つのピークを超えて以降、水素の脱離量が減少する。すなわち、シリコン基板2の表面からの水素の脱離が完了する。水素終端化処理が行われたシリコン基板2の水素を離脱させることにより、シリコン基板2の表面(主面)のシリコンにおいてダングリングボンドを生じさせる。
さらに、水素を離脱させたシリコン基板2に対して第2の加熱を行いながら当該シリコン基板上に窒化チタン層3をスパッタリング法により形成する。スパッタリング法は、真空中(例えば10−7Pa以下の超高真空中)で行われる。スパッタリングガスとして不活性ガス(例えばアルゴン)と窒素との混合ガスが用いられ、ターゲットとしてチタンが用いられる。シリコン基板2は、第2の加熱により600℃以上(例えば800℃)に加熱される。これにより、水素が離脱したシリコンのダングリングボンドが窒化チタンと結合し、シリコン基板2上に平坦な窒化チタン層3が形成される。
この際、窒化チタン層3の配向面がシリコン基板2の配向面(100)にほぼ平行(200)となる。窒化チタン層3の厚みは、例えば40nm以上とする。窒化チタン層3の厚みをある程度厚くすることにより、窒化チタン層3の上面における平坦度をより高くすることができる。
その後、形成された窒化チタン層3上に、当該窒化チタン層3と接続される窒化ニオブ層(第1の窒化ニオブ層)5を含む複数の層5〜7からなる超伝導トンネル接合層4を形成する。まず、スパッタリング法を用いて窒化チタン層3上に第1の窒化ニオブ層5を形成する。第1の窒化ニオブ層5の形成時においても、シリコン基板2および窒化チタン層3に第2の加熱(600℃以上)を行うことが好ましい。第1の窒化ニオブ層5を形成するためのスパッタリング法も、真空中で行われ、スパッタリングガスとして不活性ガスと窒素との混合ガスが用いられ、ターゲットとしてニオブが用いられる。
第1の窒化ニオブ層5の形成後、当該第1の窒化ニオブ層5の上に絶縁体層として窒化アルミニウム層6を形成する。窒化アルミニウム層6もスパッタリング法により形成される。ただし、窒化アルミニウム層6の形成時には加熱を行わなくてもよい。後述するように、窒化アルミニウム層6の厚みは非常に薄いため、加熱を行わない状態で形成させることにより、厚みの制御性を高くすることができる。
窒化アルミニウム層6の形成後、当該窒化アルミニウム層6上に第2の窒化ニオブ層7を形成する。第2の窒化ニオブ層7の形成は、第1の窒化ニオブ層5の形成と同様に行われる。第1の窒化ニオブ層5および第2の窒化ニオブ層7の厚みは、例えば200nm以上であり、窒化アルミニウム層6の厚みは、例えば1〜2nm程度であるが、これに限られない。第2の窒化ニオブ層7の形成後、第1の窒化ニオブ層5、窒化アルミニウム層6および第2の窒化ニオブ層7に対してパターニングおよびエッチングを行い、所定の形状の超伝導トンネル接合層4を形成する。
上述したように、窒化チタンと窒化ニオブとは、格子整合性がよいので、平坦な窒化チタン層3上に第1の窒化ニオブ層5を含む超伝導トンネル接合層4が形成されることにより、結果として、主面に平行な面に配向したシリコン基板2上に当該面に平行な面に配向した窒化ニオブ層5,7が形成される。図4は本実施の形態における超伝導トンネル接合層表面のRHEED像を示す図である。図4の例においてはシリコン基板2の温度を700℃に加熱して窒化ニオブ層5,7を形成し、窒化アルミニウム層6を室温(加熱しない)で形成した場合を示す。
図4のRHEED像にも、鮮明なストリーク状パターンが現れており、しかも、このパターンは、図2におけるシリコン基板2のパターンと同様のパターンを有している。したがって、図2および図4から、超伝導トンネル接合層4がシリコン基板2の配向面にほぼ平行かつその表面が平坦であることが分かる。
したがって、シリコン基板2上に窒化ニオブ層5を形成する際に、シリコン基板2と窒化ニオブ層5との間にバッファ層として窒化チタン層3を形成することで、窒化ニオブを用いた超伝導トンネル接合素子1を、安価に形成しかつ基板との接合面の均一性をより高くすることができる。これにより、大面積かつ高品質なシリコン基板2上に窒化ニオブを用いた超伝導トンネル接合層4を形成することができ、素子作製歩留まりの大幅な改善および超伝導回路の大規模集積化を図ることができる。
さらに、2準位系としてふるまう結晶欠陥を多数含む酸化マグネシウム基板に代えて、結晶品質に優れたシリコン基板2を用いることができるため、2準位系によるエネルギー緩和を低減し、コヒーレンス時間を改善することができる。
以下、本実施の形態における超伝導トンネル接合層4の平坦性(配向性)をさらに様々な評価手段により検証した結果を順に示す。
[窒化チタン層形成による窒化ニオブ層の配向性]
図5は本実施の形態における窒化チタン層表面および窒化ニオブ層表面のX線回折による構造分析の結果を比較例とともに示すグラフである。図5においては、上から順に、(a)酸化マグネシウム基板上に窒化ニオブ層を形成した場合(比較例1)、(b)シリコン基板上に窒化ニオブ層を形成した場合(比較例2)、(c)水素終端化処理後のシリコン基板2に窒化チタン層3を形成した状態、および(d)(c)の上に窒化ニオブ層5を形成した状態(実施例)を示している。
図5(c)から、水素終端化処理後のシリコン基板2上に形成された窒化チタン層3においてはシリコン基板2の配向面(100)に平行な面(200)のピーク強度が強いことが分かる。同様に、図5(d)に示す窒化チタン層3を介して水素終端化処理後のシリコン基板2上に窒化ニオブ層5を形成した場合も、シリコン基板2の配向面(100)に平行な面(200)のピーク強度が強くなっていることが分かる。この窒化ニオブ層5のピーク強度は、図5(a)に示される酸化マグネシウム基板上の窒化ニオブ層におけるピーク強度に比べても大きく、より平坦な窒化ニオブ層5の形成を安価に行えることが理解できる。また、図5(b)には、シリコン基板上に直接窒化ニオブ層を形成しても配向性が定まらず平坦な窒化ニオブ層を形成することはできないことが示されている。
[窒化チタン層の基板温度依存性]
図6は水素終端化処理後のシリコン基板上に基板温度を変えて形成した窒化チタン層の表面のX線回折による構造分析の結果を示すグラフである。図6においては、上から順に、基板温度が(a)室温(加熱せず、比較例)、(b)200℃(比較例)、(c)500℃、(d)600℃、および(e)700℃であるときに窒化チタン層3を形成した場合のX線回折のグラフが示されている。
図6(a)に示す第2の加熱を行わない場合、および、図6(b)に示す第2の加熱としてシリコン基板2を200℃まで加熱した場合には、窒化チタンの(111)面および(200)面においてそれぞれ100CPS程度のピーク強度が観測された。複数の配向面でのピークが得られたことから形成された窒化チタン層は多結晶であることが理解できる。また、図6(c)に示すように第2の加熱としてシリコン基板2を500℃まで加熱して窒化チタン層を形成した場合には、シリコン基板2の(100)面に平行な(200)面のピーク強度が強くなるが、依然として(111)面にもピークが見られる。
一方、図6(d)〜(e)に示すように、第2の加熱としてシリコン基板2を600℃以上に加熱した場合には、窒化チタンの(111)面のピークは消失し、(200)面のピークのみが観測された。しかもこのときの窒化チタンの(200)面のピーク強度は、図6(d)〜(e)に示すように、500℃における窒化チタンの(200)面のピーク強度(約3000CPS)に比べて1桁以上のピーク強度(約50000CPS以上)を有している。このような結果から、窒化チタン層3の形成時においてシリコン基板2を600℃以上に加熱することが超伝導トンネル接合層4の平坦性に有効であることが理解できる。
図7はシリコン基板を800℃に加熱しながらシリコン基板上に窒化チタン層を形成した場合の高角散乱環状暗視野操作透過顕微鏡法(HAADF−STEM)による断面画像を室温で窒化チタン層を形成した場合と比較して示す図である。図7(a)が室温で窒化チタン層を形成した場合(比較例)を示し、図7(b)がシリコン基板を800℃で加熱しながら窒化チタン層を形成した場合(実施例)を示す。
図7(a)に示すように、基板を加熱せずに窒化チタン層を形成する場合は形成された窒化チタン層に結晶粒界が観測されている。すなわち、複数の結晶が形成されている。一方、図7(b)に示すように、シリコン基板2を800℃で加熱しながら窒化チタン層3を形成した場合にはシリコン基板2と窒化チタン層3との界面にアモルファス様の構造がみられるが、窒化チタン層3自体に結晶粒界はみられなかった。この結果は図6の結果を支持するものであり、600℃以上の温度でシリコン基板2を加熱しながら窒化チタン層3を形成することにより、形成される窒化チタン層3が単結晶的に配向することが理解できる。
[窒化ニオブ層の窒化チタン層膜厚依存性]
図8は水素終端化処理後のシリコン基板上に膜厚を変えて形成した窒化チタン層の表面のX線回折による構造分析の結果を示すグラフである。図9は、何れの場合もシリコン基板2の温度を800℃に加熱しながらシリコン基板2上に膜厚を変えて窒化チタン層3を形成した場合の結果を示している。
図8からは窒化チタン層の膜厚を40nm以上とすることにより窒化ニオブの(200)面におけるピーク強度が大きくなることが理解できる。したがって、窒化チタン層3の形成時において当該窒化チタン層3の膜厚を40nm以上にすることが超伝導トンネル接合層4の平坦性に有効であることが理解できる。
[窒化ニオブ層の基板温度依存性]
図9はシリコン基板を700℃に加熱しながら窒化ニオブ層を形成した場合の超伝導トンネル接合層表面のRHEED像と、シリコン基板を加熱せずに(室温で)窒化ニオブ層を形成した場合の超伝導トンネル接合層表面のRHEED像とを対比して示す図である。図9(a)は室温で窒化ニオブ層を形成した場合の超伝導トンネル接合層表面のRHEED像を示し、図9(b)はシリコン基板2を700℃に加熱しながら窒化ニオブ層5,7を形成した場合の超伝導トンネル接合層4表面のRHEED像を示す。図9(b)は図4と同じRHEED像である。図9(b)に示すRHEED像は、図9(a)に比べ、鮮明なストリーク状パターンが現れている。したがって、窒化ニオブ層5,7の形成時においてシリコン基板2の温度を600℃以上にすることが超伝導トンネル接合層4の平坦性に有効であることが理解できる。
[超伝導トンネル接合素子のI−V特性]
図10は本実施の形態における超伝導トンネル接合層の電流電圧特性を示すグラフである。図10(a)は素子サイズが2×2μmの場合であり、図10(b)は素子サイズが3×3μmの場合を示している。何れの場合であっても、リーク電流(エネルギーギャップ(−4.8mV〜4.8mV)間における電流成分)は小さく(ほぼ0であり)、準粒子電流の立ち上がり(±4.8mV付近における電流の立ち上がり)が急峻となっており、良好な準粒子トンネリング特性を示していることが理解できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
本発明の超伝導トンネル接合素子の形成方法は、窒化ニオブを用いた超伝導トンネル接合素子を、安価に形成しかつ基板との接合面の均一性をより高くするために有用である。これにより、超伝導デジタル集積回路において10K動作を可能とし、超伝導テラヘルツ帯ヘテロダイン受信機において1.5THz以下における動作を可能とすることができる。また、超伝導量子ビットにおいてはコヒーレンス時間の改善が望める。また、超伝導共振器(カイネティックインダクタンス検出器)においてはテラヘルツ検出器アレイの実現を可能とすることができる。
1 超伝導トンネル接合素子
2 シリコン基板
3 窒化チタン層
4 超伝導トンネル接合層
5 第1の窒化ニオブ層
6 窒化アルミニウム層
7 第2の窒化ニオブ層

Claims (4)

  1. 主面に平行な面に配向したシリコン基板に水素終端化処理を行い、
    前記水素終端化処理を行った前記シリコン基板に対して第1の加熱を行うことにより水素を離脱させ、
    水素離脱後の前記シリコン基板に対して第2の加熱を行いながら当該シリコン基板上に前記シリコン基板の配向面に平行な配向面に最も強いピーク強度を有する窒化チタン層をスパッタリング法により形成し、
    前記窒化チタン層上に、当該窒化チタン層と接続され、前記シリコン基板の配向面に平行な配向面に最も強いピーク強度を有する窒化ニオブ層を含む複数の層からなる超伝導トンネル接合層を形成する、超伝導トンネル接合素子の形成方法。
  2. 前記第2の加熱は、前記シリコン基板の温度を600℃以上に加熱することである、請求項1に記載の超伝導トンネル接合素子の形成方法。
  3. 前記窒化チタン層の厚みは、40nm以上である、請求項1または2に記載の超伝導トンネル接合素子の形成方法。
  4. 前記超伝導トンネル接合層は、前記窒化チタン層に接続される第1の窒化ニオブ層と、前記第1の窒化ニオブ層上に形成される窒化アルミニウム層と、前記窒化アルミニウム層上に形成される第2の窒化ニオブ層とを有し、
    前記窒化アルミニウム層の形成時には加熱を行わない、請求項1から3の何れかに記載の超伝導トンネル接合素子の形成方法。
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