JP6562122B2 - 超音波診断装置、及び、超音波画像生成方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の一態様に係る超音波診断装置は、複数の振動子を有する超音波プローブと、前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせる送信部と、前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成する受信部と、前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成する遅延量生成部と、前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理する遅延処理部と、を備え、前記遅延量生成部は、1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成する送信時間生成部と、前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成する受信時間生成部と、を有し、前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の振動子ごとの遅延量を生成し、前記送信時間生成部は、前記観測点がフォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して遠い場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、前記観測点がフォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して近い場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する。
発明者は、合成開口法を用いる超音波診断装置において、フレームレートを向上させるために各種の検討を行った。
超音波診断装置においては、一般に、複数の振動子によって行われる被検体への超音波送信が行われる際、被検体のある深さで超音波ビームがフォーカスを結ぶよう、波面を集束させる送信ビームフォーミングがなされる(以下、フォーカスが結ばれる深さを「フォーカス深さ」とする)。そのため、1度の超音波の送信(送信イベント)によって、超音波送信に用いられる複数の振動子(以下、「送信振動子列」とする)から、超音波主照射領域に主として超音波が照射される。ここで、「超音波主照射領域」とは、領域内のすべての点において、送信振動子列を構成する各振動子から送波される超音波の位相が揃っている領域のことである。送信フォーカス点が1点である場合には、超音波主照射領域は、送信振動子列を底辺とし、底辺の両端のそれぞれから送信フォーカス点を通る2つの直線で囲まれる砂時計形状の領域となり、波面は、送信フォーカス点を中心とした円弧状となる。なお、必ずしも超音波ビームが1点でフォーカスを結ぶとは限らず、例えば、1.5素子分から数素子分程度にフォーカスした領域(以下、「フォーカス領域」とする)に集束するだけの場合もあるが、この場合、超音波主照射領域はフォーカス深さまでは列方向の幅が狭まり、フォーカス深さでフォーカス領域の列方向の幅となり、フォーカス深さより深い領域では再び列方向が広がる形状となる。すなわち、超音波主照射領域は、フォーカス深さで列方向の幅が最も狭くなり、それ以外の深さでは、フォーカス深さまでの距離に応じて列方向の幅が広がる形状となる。
以下、実施の形態に係る超音波画像処理方法及びそれを用いた超音波診断装置について図面を用いて詳細に説明する。
<全体構成>
以下、実施の形態1に係る超音波診断装置100について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係る超音波診断システム1000の機能ブロック図である。図1に示すように、超音波診断システム1000は、被検体に向けて超音波を送信しその反射波の受信する複数の振動子101aを有するプローブ101、プローブ101に超音波の送受信を行わせプローブ101からの出力信号に基づき超音波画像を生成する超音波診断装置100、超音波画像を画面上に表示する表示部106を有する。プローブ101、表示部106は、それぞれ、超音波診断装置100に各々接続可能に構成されている。図1は超音波診断装置100に、プローブ101、表示部106が接続された状態を示している。なお、プローブ101と、表示部106とは、超音波診断装置100の内部にあってもよい。
超音波診断装置100は、プローブ101の複数ある振動子101aのうち、送信又は受信の際に用いる振動子を各々に選択し、選択された振動子に対する入出力を確保するマルチプレクサ部102、超音波の送信を行うためにプローブ101の各振動子101aに対する高電圧印加のタイミングを制御する送信ビームフォーマ部103と、プローブ101で受信した超音波の反射波に基づき、複数の振動子101aで得られた電気信号を増幅し、A/D変換し、受信ビームフォーミングして音響線信号を生成する受信ビームフォーマ部104を有する。また、受信ビームフォーマ部104からの出力信号に基づいて超音波画像(Bモード画像)を生成する超音波画像生成部105、受信ビームフォーマ部104が出力する音響線信号及び超音波画像生成部105が出力する超音波画像を保存するデータ格納部107と、各構成要素を制御する制御部108を備える。
超音波診断装置100を構成する各要素、例えば、マルチプレクサ部102、送信ビームフォーマ部103、受信ビームフォーマ部104、超音波画像生成部105、制御部108は、それぞれ、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Aplication Specific Ingegrated Circuit)などのハードウェア回路により実現される。あるいは、CPU(Central Processing Unit)やGPGPU(General−Purpose computing on Graphics Processing Unit)やプロセッサなどのプログラマブルデバイスとソフトウェアにより実現される構成であってもよい。これらの構成要素は一個の回路部品とすることができるし、複数の回路部品の集合体にすることもできる。また、複数の構成要素を組合せて一個の回路部品とすることができるし、複数の回路部品の集合体にすることもできる。
なお、本実施の形態に係る超音波診断装置100は、図1で示した構成の超音波診断装置に限定されない。例えば、マルチプレクサ部102がなく、送信ビームフォーマ部103と受信ビームフォーマ部104とが直接、プローブ101の各振動子101aに接続されていてもよい。また、プローブ101に送信ビームフォーマ部103や受信ビームフォーマ部104、またその一部などが内蔵される構成であってもよい。これは、本実施の形態に係る超音波診断装置100に限られず、後に説明する他の実施の形態や変形例に係る超音波診断装置でも同様である。
実施の形態1に係る超音波診断装置100は、プローブ101の各振動子101aから超音波送信を行わせる送信ビームフォーマ部103と、プローブ101での超音波反射波の受信から得た電気信号を演算して超音波画像を生成するための音響線信号を生成する受信ビームフォーマ部104に特徴を有する。そのため、本明細書では、主に、送信ビームフォーマ部103及び受信ビームフォーマ部104について、その構成及び機能を説明する。なお、送信ビームフォーマ部103及び受信ビームフォーマ部104以外の構成については、公知の超音波診断装置に使われるものと同じ構成を適用可能であり、公知の超音波診断装置のビームフォーマ部に本実施の形態に係るビームフォーマ部を置き換えて使用することが可能である。
1.送信ビームフォーマ部103
送信ビームフォーマ部103は、マルチプレクサ部102を介してプローブ101と接続され、プローブ101から超音波の送信を行うためにプローブ101に存する複数の振動子101aの全てもしくは一部に当たる送信振動子列からなる送信開口Txに含まれる複数の振動子の各々に対する高電圧印加のタイミングを制御する。送信ビームフォーマ部103は送信部1031から構成される。
送信ビームフォーマ部103において、送信開口Txの中心に位置する振動子ほど送信タイミングを遅らせるように各振動子の送信タイミングを制御する。これにより、送信開口Tx内の振動子列から送信された超音波送信波は、被検体のある深度(Focal depth)において、波面がある一点、すなわち送信フォーカス点F(Focal point)で、フォーカスがあう(集束する)状態となる。送信フォーカス点Fの深さ(Focal depth)(以下、「フォーカス深さ」とする)は、任意に設定することができる。送信フォーカス点Fで合焦した波面は、再び拡散し、送信開口Txを底とし送信フォーカス点Fを節とする交差する2つの直線で区切られた砂時計型の空間内を超音波送信波が伝播する。すなわち、送信開口Txで放射された超音波は、次第にその空間上での幅(図中の横軸方向)を小さくし、送信フォーカス点Fでその幅を最小化し、それよりも深部(図中では上部)に進行するにしたがって、再び、その幅を大きくしながら拡散し、伝播することとなる。この砂時計型の領域が超音波主照射領域Axである。なお、上述したように、超音波主照射領域Axは、1点の送信フォーカス点Fに集束せず、フォーカス領域に集束してもよい。
受信ビームフォーマ部104は、プローブ101で受信した超音波の反射波に基づき、複数の振動子101aで得られた電気信号から音響線信号を生成する。なお、「音響線信号」とは、ある観測点に対する、整相加算処理がされた後の信号である。整相加算処理については後述する。図3は、受信ビームフォーマ部104の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、受信ビームフォーマ部104は、受信部1040、整相加算部1041、合成部1140を備える。
(1)受信部1040
受信部1040は、マルチプレクサ部102を介してプローブ101と接続され、送信イベントに同期してプローブ101での超音波反射波の受信から得た電気信号を増幅した後AD変換した受信信号(RF信号)を生成する回路である。送信イベントの順に時系列に受信信号を生成しデータ格納部107に出力し、データ格納部107に受信信号を保存する。
送信イベントでは、上述のとおり、送信部1031は、プローブ101に存する複数の振動子101a中、送信開口Txに含まれる複数の振動子の各々に超音波ビームを送信させる。これに対し、受信部1040は、送信イベントに同期してプローブ101に存する複数の振動子101aの一部又は全部にあたる振動子の各々が得た反射超音波に基づいて、各振動子に対する受信信号の列を生成する。ここで、反射超音波を受信する振動子を「受波振動子」と称呼する。受波振動子の数は、送信開口Txに含まれる振動子の数よりも多いことが好ましい。また、受波振動子の数はプローブ101に存する振動子101aの全数としてもよい。
整相加算部1041は、送信イベントに同期して、被検体内においてサブフレーム音響線信号の生成を行う対象領域Bxを設定する。次に、対象領域Bx内に存する複数の観測点Pij各々について、観測点から各受信振動子Riが受信した受信信号列を整相加算する。そして、各観測点における音響線信号の列を算出することによりサブフレーム音響線信号を生成する回路である。図4は、整相加算部1041の構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、整相加算部1041は、対象領域設定部1042、受信開口設定部1043、送信時間算出部1044、受信時間算出部1045、遅延量算出部1046、遅延処理部1047、重み算出部1048、及び加算部1049を備える。
i)対象領域設定部1042
対象領域設定部1042は、被検体内においてサブフレーム音響線信号の生成を行う対象領域Bxを設定する。「対象領域」とは、送信イベントに同期して被検体内においてサブフレーム音響線信号の生成が行われるべき信号上の領域であり、対象領域Bx内の観測点Pijについて音響線信号が生成される。対象領域Bxは、音響線信号の生成が行われる観測対象点の集合として、1回の送信イベントに同期して計算の便宜上設定される。
図5は、対象領域Bxを示す模式図である。図5に示すように、対象領域Bxの範囲は、超音波主照射領域Axより大きく、超音波主照射領域Axの外部を含むように設定される。より具体的には、列方向の幅の最小値Wfが送信ピッチMp以上となるように設定される。本実施の形態では、超音波主照射領域Axの砂時計形状に対して、所定の幅だけ広げた形状である。この形状においては、フォーカス深さにおいて列方向の幅が最も小さくなるため、フォーカス深さにおける列方向の幅Wfが送信ピッチMp以上となるように設定される。例えば、送信ピッチMpが4素子分である場合には、列方向の幅Wfは4素子分以上であればよく、所定の幅は送信ピッチMpの半分以上、例えば、3素子分となる。このようにすることで、超音波主照射領域Axのほぼ全域とその近傍を含む領域に観測点を設定することができ、照射された超音波の利用効率を向上することができる。
ii)受信開口設定部1043
受信開口設定部1043は、制御部108からの制御信号と、送信ビームフォーマ部103からの送信開口Txの位置を示す情報とに基づき、プローブ101に存する複数の振動子の一部に当たり、列中心が送信開口Txに含まれる振動子列の列中心と合致する振動子列(受信振動子列)を受信振動子として選択して受信開口Rxを設定する回路である。
受信開口Rxの設定は、送信イベントに対応して、送信イベントと同じ回数だけ行われる。また、受信開口Rxの設定は、送信イベントに同期して漸次行われる構成であってもよく、あるいは、全ての送信イベントが終了した後に、各送信イベントに対応した受信開口Rxの設定が送信イベントの回数分まとめて行われる構成であってもよい。
データ格納部107は、受信開口Rxの位置を示す情報と受信振動子に対応する受信信号とを、送信時間算出部1044、受信時間算出部1045、遅延処理部1047、重み算出部1048に出力する。
送信時間算出部1044は、送信された超音波が被検体中の観測点Pに到達する送信時間を算出する回路である。送信イベントに対応して、データ格納部107から取得した、送信開口Txに含まれる振動子の位置を示す情報と、対象領域設定部1042から取得した超音波主照射領域Axを含む対象領域Bxの位置を示す情報とに基づき対象領域Bx内に存在する任意の観測点Pijについて、送信された超音波が被検体中の観測点Pijに到達する送信時間を算出する。
送信開口Txから放射された送信波は、経路401を通って送信フォーカス点Fにて波面が集束し、再び、拡散する。送信波が集束または拡散する途中で観測点Pijに到達し、観測点Pijで音響インピーダンスに変化があれば反射波を生成し、その反射波がプローブ101における受信開口Rx内の受信振動子Riに戻っていく。送信フォーカス点Fは送信ビームフォーマ部103の設計値として規定されているので、送信フォーカス点Fと任意の観測点Pijとの間の経路402の長さは幾何学的に算出することができる。
まず、観測点Pijの深さがフォーカス深さ以上の場合について、図7(a)を用いて説明する。観測点Pijの深さがフォーカス深さ以上の場合は、送信開口Txから放射された送信波が、経路401を通って送信フォーカス点Fに到達し、送信フォーカス点Fから経路402を通って観測点Pijに到達したものとして算出する。したがって、送信波が経路401を通過する時間と、経路402を通過する時間を合算した値が、送信時間となる。具体的な算出方法としては、例えば、経路401の長さと経路402の長さとを加算した全経路長を、被検体内における超音波の伝搬速度で除算することで求められる。
iv)受信時間算出部1045
受信時間算出部1045は、観測点Pからの反射波が、受信開口Rxに含まれる受信振動子Riの各々に到達する受信時間を算出する回路である。送信イベントに対応して、データ格納部107から取得した受信振動子Riの位置を示す情報と、対象領域設定部1042から取得した対象領域Bxの位置を示す情報とに基づき対象領域Bx内に存在する任意の観測点Pijについて、送信された超音波が被検体中の観測点Pijで反射され受信開口Rxの各受信振動子Riに到達する受信時間を算出する。
v)遅延量算出部1046
遅延量算出部1046は、送信時間と受信時間とから受信開口Rx内の各受信振動子Riへの総伝播時間を算出し、当該総伝播時間に基づいて、各受信振動子Riに対する受信信号の列に適用する遅延量を算出する回路である。遅延量算出部1046は、送信時間算出部1044から送信された超音波が観測点Pijに到達する送信時間と、観測点Pijで反射して各受信振動子Riに到達する受信時間を取得する。そして、送信された超音波が各受信振動子Riへ到達するまでの総伝播時間を算出し、各受信振動子Riに対する総伝播時間の差異により、各受信振動子Riに対する遅延量を算出する。遅延量算出部1046は、対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijについて、各受信振動子Riに対する受信信号の列に適用する遅延量を算出して遅延処理部1047に出力する。
遅延処理部1047は、受信開口Rx内の受信振動子Riに対する受信信号の列から、各受信振動子Riに対する遅延量に相当する受信信号を、観測点Pijからの反射超音波に基づく各受信振動子Riに対応する受信信号として同定する回路である。
遅延処理部1047は、送信イベントに対応して、受信開口設定部1043から受信振動子Riの位置を示す情報、データ格納部107から受信振動子Riに対応する受信信号、対象領域設定部1042から取得した対象領域Bxの位置を示す情報、遅延量算出部1046から各受信振動子Riに対する受信信号の列に適用する遅延量を入力として取得する。そして、各受信振動子Riに対応する受信信号の列から、各受信振動子Riに対する遅延量を差引いた時間に対応する受信信号を観測点Pijからの反射波に基づく受信信号として同定し、加算部1049に出力する。
重み算出部1048は、受信開口Rxの列方向の中心に位置する振動子に対する重みが最大となるよう各受信振動子Riに対する重み数列(受信アボダイゼーション)を算出する回路である。
図6に示すように、重み数列は受信開口Rx内の各振動子に対応する受信信号に適用される重み係数の数列である。重み数列は、送信フォーカス点Fを中心として対称な分布をなす。重み数列の分布の形状は、ハミング窓、ハニング窓、矩形窓などを用いることができ、分布の形状は特に限定されない。重み数列は、受信開口Rxの列方向の中心に位置する振動子に対する重みが最大となるように設定され、重みの分布の中心軸は、受信開口中心軸Rxoと一致する。重み算出部1048は、受信開口設定部1043から出力される受信振動子Riの位置を示す情報を入力として、各受信振動子Riに対する重み数列を算出し加算部1049に出力する。
加算部1049は、遅延処理部1047から出力される各受信振動子Riに対応して同定された受信信号を入力として、それらを加算して、観測点Pijに対する整相加算された音響線信号を生成する回路である。あるいは、さらに、重み算出部1048から出力される各受信振動子Riに対する重み数列を入力として、各受信振動子Riに対応して同定された受信信号に、各受信振動子Riに対する重みを乗じて加算して、観測点Pijに対する音響線信号を生成する構成としてもよい。遅延処理部1047において受信開口Rx内に位置する各受信振動子Riが検出した受信信号の位相を整えて加算部1049にて加算処理をすることにより、観測点Pijからの反射波に基づいて各受信振動子Riで受信した受信信号を重ね合わせてその信号S/N比を増加し、観測点Pijからの受信信号を抽出することができる。
加算部1049により、送信イベントに同期して対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijに対するサブフレームの音響線信号が生成される。生成されたサブフレームの音響線信号は、データ格納部107に出力され保存される。
合成部1140は、送信イベントに同期して生成されるサブフレーム音響線信号からフレーム音響線信号を合成する回路である。図8は、合成部1140の構成を示す機能ブロック図である。図8に示すように、合成部1140は、加算処理部11401、増幅処理部11402を備える。
i)加算処理部11401
加算処理部11401は、フレーム音響線信号を合成するための一連のサブフレーム音響線信号の生成が終了したのち、データ格納部107に保持されている複数のサブフレーム音響線信号を読み出す。そして、各サブフレーム音響線信号に含まれる音響線信号が取得された観測点Pijの位置を指標として複数のサブフレーム音響線信号を加算することにより、各観測点に対する合成音響線信号を生成してフレーム音響線信号を合成する。そのため、複数のサブフレーム音響線信号に含まれる同一位置の観測点に対する音響線信号は加算されて合成音響線信号が生成される。
なお、各サブフレーム音響線信号に含まれる音響線信号が取得された観測点Pijの位置を指標として加算する際に、観測点Pijの位置を指標として重みづけしながら加算してもよい。
ii)増幅処理部11402
上述のとおり、合成音響線信号の値は動き量に応じて変化する。また、被検体の深さ方向においても変化する。これを補うために、増幅処理部11402は、フレーム音響線信号に含まれる合成音響線信号の合成において、加算が行われた回数に応じて決定した増幅率を各合成音響線信号に乗じる増幅処理を行う。
なお、生成した各観測点に対する合成音響線信号に増幅処理を施した信号をフレーム音響線信号としてもよい。
以上の構成からなる超音波診断装置100の動作について説明する。
図11は、受信ビームフォーマ部104のビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。
先ず、ステップS101において、送信部1031は、プローブ101に存する複数の振動子101a中送信開口Txに含まれる各振動子に超音波ビームを送信させるための送信信号を供給する送信処理(送信イベント)を行う。
次に、観測点同期型ビームフォーミング処理(ステップS220(S221〜S228))に進む。ステップS220では、まず、観測点Pijの位置を示す座標ijを対象領域Bx内の最小値に初期化し(ステップS221、S222)、受信開口設定部1043は、列中心が観測点Pijに最も空間的に近接する振動子Xiと合致するよう受信開口Rx振動子列を選択する(ステップS223)。
ここで、ステップS204における、観測点Pijについて音響線信号を生成する動作について説明する。図12は、受信ビームフォーマ部104における観測点Pijについての音響線信号生成動作を示すフローチャートである。図13は、受信ビームフォーマ部104における観測点Pijについての音響線信号生成動作を説明するための模式図である。
次に、重み算出部1048は、受信開口Rxの列方向の中心に位置する振動子に対する重みが最大となるよう各受信振動子Riに対する重み数列を算出する(ステップS2249)。加算部1049は、各受信振動子Riに対応して同定された受信信号に、各受信振動子Riに対する重みを乗じて加算して、観測点Pijに対する音響線信号を生成し(ステップS2250)、生成された観測点Pijについて音響線信号はデータ格納部107に出力され保存される(ステップS2251)。
以上、説明したように本実施の形態に係る超音波診断装置100によれば、合成開口法により、異なる送信イベントにより生成された同一位置にある観測点Pについての音響線信号に重ね合わせて合成する。これにより、複数の送信イベントに対して送信フォーカス点F以外の深度にある観測点Pにおいても、仮想的に送信フォーカスを行った効果が得られ空間分解能と信号S/N比を向上することができる。
実施の形態1に係る超音波診断装置100では、受信開口設定部1043は、列中心が観測点Pに最も空間的に近接する振動子と合致するよう受信開口Rxを選択する構成とした。しかしながら、受信開口Rxの構成は、送信開口Txから送信された超音波が送信フォーカス点Fを経由して超音波照領域Ax内の観測点Pijで反射され受信開口Rxの受信振動子Riに到達するまでの総伝播時間を算出して総伝播経路に基づく遅延制御を行なうことで、超音波照領域Ax内に位置する対象領域Bx内の全ての観測点Pijについての音響線信号を生成するものであればよく、受信開口Rxの構成は適宜変更することができる。
図14は、Tx受信開口設定部により設定された受信開口Rxと送信開口Txとの関係を示す模式図である。変形例1では、受信開口Rx振動子列の列中心が送信開口Tx振動子列の列中心と合致するように受信開口Rx振動子列が選択される。受信開口Rxの中心軸Rxoの位置は、送信開口Txの中心軸Txoの位置と同一であり、受信開口Rxは、送信フォーカス点Fを中心として対称な開口である。したがって、送信イベントにごとに列方向に移動する送信開口Txの位置変化に同期して、受信開口Rxの位置も移動する。
図15は、変形例1に係る超音波診断装置の受信ビームフォーマ部のビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。本フローチャートでは、図11における観測点同期型ビームフォーミング処理(ステップS220(S221〜S228))に替えて送信同期型ビームフォーミング処理(ステップS420(S421〜S428))を行う点にて相違する。ステップS420以外の処理については、図11と同じであり、同じ部分については説明を省略する。
次に、ステップS210で算出した対象領域Bx内の観測点Pijの位置を示す座標ijを対象領域Bx内の最小値に初期化し(ステップS422、S423)、観測点Pijについて音響線信号を生成する(ステップS424)。図16は、変形例1に係る受信ビームフォーマ部における観測点Pijについての音響線信号生成動作を説明するための模式図である。実施の形態1に関する図13とは、送信開口Txと受信開口Rxとの位置関係が異なる。ステップS424における処理方法については、図11におけるステップS224(図12におけるステップS2241〜ステップS2251)と同じである。
以上説明した、変形例1に係る超音波診断装置では、実施の形態1において示した効果のうち観測点同期型の受信開口に関する部分を除いた効果に変えて、以下の効果を奏する。すなわち、変形例1では、Tx受信開口設定部は送信イベントに対応して列中心が送信開口Txに含まれる振動子列の列中心と合致する振動子列を受信振動子として選択して受信開口Rxを設定する。そのため、受信開口Rxの中心軸Rxoの位置は、送信開口Txの中心軸Txoの位置と同一であり、送信イベントにごとに列方向に移動する送信開口Txの位置変化に同期して、受信開口Rxの位置も変化(移動)する。よって、送信イベントに同期してそれぞれ異なる受信開口にて整相加算を行うことができ、複数の送信イベントにわたって受信時刻は異なるものの、結果としてより一層広い受信開口を用いた受信処理の効果が得られ、広い観測領域で空間分解能を均一にすることができる。
実施の形態1に係る超音波診断装置100では、超音波主照射領域Axの内外を区別することなく、整相加算部1041がサブフレーム音響線信号を生成して合成部1140がフレーム音響線信号を合成する構成とした。しかしながら、上述したように、超音波主照射領域Axの外部では、超音波主照射領域Axの内部と比較して、超音波送信波の振幅の低下、位相の乱れがあるため空間分解能や信号S/N比が低い。したがって、観測点Pijが、第1送信イベントでは超音波主照射領域Axの内部である対象領域Bxの内部にあり、第2送信イベントでは超音波主照射領域Axの外部である対象領域Bxの内部にある場合、第1送信イベントで取得された空間分解能や信号S/N比が高いサブフレーム音響線信号と、第2送信イベントで取得された空間分解能や信号S/N比が低いサブフレーム音響線信号とを合成することになる。そのため、観測点Pijに対応する超音波画像の画質は、第1送信イベントで取得されたサブフレーム音響線信号のみを用いたほうが向上することになる。
<構成>
以下、実施の形態2に係る超音波診断装置について、図面を参照しながら説明する。図17は、実施の形態2に係る超音波診断装置の受信ビームフォーマ部104Aの構成を示す機能ブロック図である。実施の形態2に係る超音波診断装置は、送信イベントに同期して、2種類の対象領域を設定し、それぞれの対象領域についてのサブフレーム音響線信号を生成する整相加算部1041Aを備える。また、それぞれの対象領域についてのサブフレーム音響線信号をそれぞれ合成して部分音響線信号を生成し、これらを結合してフレーム音響線信号を合成する合成部1140Aを備え、これらの構成を備えた点に特徴を有する。対象領域設定部1042A、合成部1140A以外の構成については、実施の形態1に示した各要素と同じであり、同じ部分については説明を省略する。
整相加算部1041Aの対象領域設定部は、送信イベントに同期して、送信ビームフォーマ部103から取得する送信開口Txの位置を示す情報に基づき対象領域内Bxを設定する。
図18は、対象領域Bxを示す模式図である。図18に示すように、対象領域Bxの範囲は、超音波主照射領域Axの内部を含む主領域Bx1と、主領域Bx1に対して列方向に隣接する、超音波主照射領域Ax外部の副領域Bx2とからなる。このとき、実施の形態1と同様に、対象領域Bx全体の列方向の幅の最小値Wfが送信ピッチMp以上となるように設定される。本実施の形態では、主領域Bx1の列方向の幅がWfより狭い深さにおいて、対象領域Bxの列方向の幅がWfとなるように、フォーカス点Fを頂点とする2つの三角形を結合した形状の副領域Bx2が設定される。Wfは、例えば、8素子分の送信ピッチMpに対して10素子分、または、それ以上である。なお、副領域Bx2は、送信ピッチMpだけ移動後の副領域Bx2と、面積の50%以上が重なることが好ましい。これは、連続する2つの送信イベントに係る副領域Bx2の重複面積が大きいと重畳数が2以上となる領域が広くなり、副領域Bx2の画質が向上するからである。このようにすることで、超音波主照射領域Axのほぼ全域とその近傍を含む領域に観測点を設定することができ、照射された超音波の利用効率を向上することができる。
実施の形態2では、整相加算部1041Aは、主領域Bx1内の観測点Pijについて主領域音響線信号を生成し、さらに、副領域Bx2内の観測点Pijについて副領域音響線信号を生成する。生成された2つのサブフレームの音響線信号、すなわち、主領域音響線信号と副領域音響線信号とは、それぞれ、データ格納部107に出力され保存される。
合成部1140Aは、送信イベントに同期して生成されるサブフレーム音響線信号から部分音響線信号を合成する回路である。合成部1140Aは、2つの加算処理部11401A−1、11401A−2と、2つの増幅処理部11402A−1、11402A−21、そして、結合部11403Aを備える。
図19(c)は、部分音響線信号からフレーム音響線信号を生成する生成する処理を示す模式図である。まず、観測点Pを、領域501、領域502、領域503、のいずれの内部にあるのかを判定する。ここで、各領域の特徴は以下のとおりである。領域501とは、いずれか1つ以上の送信イベントにおいて主領域Bx1の内部であり、かつ、どの送信イベントにおいても、副領域Bx2の内部でなかった領域である。領域502とは、いずれか1つ以上の送信イベントにおいて副領域Bx2の内部であり、かつ、どの送信イベントにおいても、主領域Bx1の内部でなかった領域である。領域503は、いずれか1つ以上の主領域Bx1の内部であり、かつ、いずれか1つ以上の送信イベントにおいて副領域Bx2の内部である領域である。次に、領域501内の観測点Pについて、観測点Pにおける主部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値とする。一方、領域502内の観測点Pについて、観測点Pにおける副部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値とする。さらに、領域503内の観測点Pについて、観測点Pにおける主部分音響線信号および副部分音響線信号のいずれか一方、または両方を用いて観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値を算出する。本実施の形態においては、領域503内の観測点Pについて、観測点Pにおける主部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値とする。このようにすることで、観測点Pが超音波主照射領域Ax内であったときに取得された主領域音響線信号のみに基づいてフレーム音響線信号の値を算出することができる。そのため、領域503について、領域501と同様に空間分解能や信号S/N比を向上させることができる。
<動作>
図20は、受信ビームフォーマ部104Aのビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。本フローチャートでは、図11における対象領域設定処理(S201)、音響線信号生成処理(S224)を含む受信ビームフォーカシング処理(S220)、フレーム音響線信号の合成処理(S301)、フレーム音響線信号の増幅処理(S302)のそれぞれに替えて、ステップS210A、ステップS224Aを含むステップS220A、ステップS501、ステップS502の処理を行い、さらにステップS503の処理を行う点で相違する。これ以外の処理については、図11と同じであり、同じ部分については説明を省略する。
次に、ステップS220Aにおいて、観測点同期型ビームフォーミング処理(S221〜S228)を行う。ここで、ステップS224A以外の動作はステップS220Aと同一であるから、ステップS224Aについてのみ説明する。
以上、説明したように実施の形態2に係る超音波診断装置によれば、実施の形態1に係る超音波診断装置100と同様に、移動ピッチを大きくしても欠損領域が生じず、これによる画質劣化を防ぎつつフレームレートを向上させることが可能となる。図26(a)に、超音波画像の例を示す。データの欠けた欠損領域がないため、フォーカス深さにおける縦縞が図26(d)の超音波画像と比べて目立たない。
≪変形例2≫
実施の形態2に係る超音波診断装置の整相加算部1041Aでは、主領域Bx1と副領域Bx2とで、同一の送信時間の算出方法を用いている構成としている。
<送信時間の算出方法>
以下、送信時間の算出方法について図21を用いて説明する。図21(a)、(b)は本変形例に係る超音波の伝播経路を説明するための模式図である。本変形例において、観測点Pijが主領域Bx1に含まれる場合は、図7(a)、(b)を用いて説明したように、(1)観測点Pijの深さがフォーカス深さ以上の場合は、送信波が経路401を通過する時間と、経路402を通過する時間を合算した値を、(2)観測点Pijがフォーカス深さより浅い場合は、送信波が経路401を通過する時間から、経路402を通過する時間を差し引いた値を、送信時間とする。
また、図21(b)に示すように、送信開口Txから放射された送信波が、観測点Pijと、観測点Pijと同じ深さにある参照点Rとに同時に到達するものとし、送信開口Txから参照点Rまでの最短経路602を用いて算出してもよい。すなわち、送信波が送信振動子列の中心から観測点Pijと同じ深さにある参照点Rに至る経路602を通過する時間が、送信時間TSとなる。なお、経路602は、送信振動子列上で観測点Pijに最も近接する振動子から観測点Pijに至る最短経路603と同じ長さであり、言い換えれば、観測点Pijの深さが経路602の長さと一致する。図21(d)に列方向と直交する直線612上の複数の観測点Pijにおける、Pijの深さと送信時間の関係を示す。同図に示すように、列方向と直交する直線612上の複数の観測点Pijのそれぞれに対応する送信時間は、観測点Pijの深さに応じて単調増加し、不連続とならない。
変形例2に係る整相加算部では、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合に、送信開口Tx上のいずれかの位置から、観測点Pijと同じ深さのいずれかの位置までの経路に基づいて、送信時間を算出する構成としている。
しかしながら、観測点Pijが主領域Bx1に含まれる場合と副領域Bx2に含まれる場合とで、全く異なる送信時間の算出方法を用いると、主領域Bx1と副領域Bx2との境界で、送信時間が不連続に変化することとなる。そのため、領域501と領域502の境界に沿ってノイズが現れるなど、領域501と領域502の境界で画質の向上が十分でない場合がある。図23(d)は、主領域音響線信号に基づく領域5012と副領域音響線信号に基づく領域5022との境界にノイズが現れた超音波画像を示した模式図である。
<送信時間の算出方法>
以下、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合の送信時間の算出方法について図23を用いて説明する。図23(a)は、本変形例に係る超音波の伝播経路を説明するための模式図である。図23(a)において、直線610は列方向と直交する直線である。本変形例では、直線610上において、副領域Bx2と主領域Bx1との境界にある境界点R1、R3においては、主領域Bx1内と同じ計算方法で、送信時間を算出する。すなわち、フォーカス深さより深い境界点R1については、送信波が経路401を通過する時間と、経路4021を通過する時間を合算した値を、送信時間とする。また、フォーカス深さより浅い境界点R3については、送信波が経路401を通過する時間から、経路4022を通過する時間を差し引いた値を、送信時間とする。
そして、境界点R1と中間点R2の間にある観測点Pijにおいては、主領域Bx1内と同じ計算方法で算出した送信時間TRと、変形例2と同様に算出した送信時間TDとを用いて算出する。なお、送信時間TDの代わりに送信時間TSを用いてもよい。ここでは、送信時間TDを例にとって説明するが、送信時間TSに置き換えた場合も同様である。具体的には、次の条件を満たすように、送信時間TRと送信時間TDと合成する。すなわち、(1)観測点Pijの深さDが増加するのに対し、送信時間が連続的に単調増加する、(2)境界点R1に対して、送信時間が送信時間TRと一致する、(3)中間点R2に対して、送信時間が送信時間TDと一致する、の3つである。図23(b)は、Pijの深さDと送信時間との関係を示したグラフであり、線701は送信時間TRを示し、線702は送信時間TDを示す。本変形例では、Pijの深さDと送信時間との関係が、図23(b)の線703で示されるように、送信時間を算出する。なお、線703は深さD2における線701の切片と深さD1における線701の切片とを直線で結んでいる。しかしながら、送信時間を算出方法は線703で示される場合に限らず、以下の3条件、i)深さD2と深さD1とで線701と重なる、ii)D2〜D1において連続である、iii)D2〜D1において単純増加(右肩上がり)である、を満たしていればよい。
TM=αTR+(1−α)TD
ここで、αの値は、(4)D=Dfであるとき、α=0、(5)D=D1のとき、α=1、の2条件を満たす。具体的には、αは|D−Df|に比例するものとして、例えば、以下の式に示す値としてもよい。
α=|D−Df|/(D1−Df)
すなわち、図23(c)に示す、Pijの深さとαの関係を示すグラフにおいて、折れ線711で示される関係であってもよい。なお、αの具体例は上述の例に限られず、上述の(1)〜(5)の条件を満たしていればよく、曲線712や曲線713で示されるような値であってもよい。
TM=TR α×TD (1-α)
この場合においても、TDに替えてTSを用いてもよいのは勿論である。また、この数式を含め、当変形例で述べた各数式において、TDに替えて、TS以外にも、送信開口Tx上のいずれかの位置から観測点Pijと同じ深さのいずれかの位置までの経路に基づいて算出した送信時間など、変形例2で述べた条件(列方向と直交する直線上の複数の観測点Pijの深さに対して送信時間が連続的に単調増加)を満たすような任意の送信時間を用いてよい。
実施の形態2に係る整相加算部1041Aの対象領域設定部は、1の送信イベントに係る対象領域Bxについて、主領域Bx1と副領域Bx2とで重複する領域が生じないように各領域の設定を行うこととしている。
これに対し、本変形例では、主領域Bx1と副領域Bx2とが重なるように対象領域Bxを設定することを特徴とする。
以下、対象領域Bxの設定、および、主部分音響線信号と副部分音響線信号との結合について説明する。
図24(a)は、本変形例に係る対象領域Bxを示す模式図である。本変形例において、主領域Bx1は、実施の形態2と同じく超音波主照射領域Axの内部に設定される。これに対し、副領域Bx2は、対象領域Bx全体の列方向の幅の最小値Wfが送信ピッチMp以上となるように設定されるが、主領域Bx1の一部にオーバーラップするように、長方形の形状に設定される。すなわち、実施の形態2に係る副領域Bx2を内包し、主領域Bx1を含むように、本変形例に係る副領域Bx2が設定される。
合成部は、実施の形態2と同様、各サブフレーム音響線信号に含まれる音響線信号が取得された観測点Pijの位置を指標として複数のサブフレーム音響線信号を加算する。さらに、主領域Bx1から取得された主合成音響線信号と、副領域Bx2から取得された副合成音響線信号とに対し、合成において加算が行われた回数に応じて決定した増幅率を、各合成音響線信号に乗じる増幅処理を行う。そして、フレーム音響線信号を合成するための主部分音響線信号と副部分音響線信号とを結合してフレーム音響線信号を生成する。
≪実施の形態に係るその他の変形例≫
(1)各実施の形態および各変形例では、移動ピッチMpが2素子分以上であるとしたが、本発明は必ずしもこの場合に限定されない。例えば、移動ピッチMpが1素子分である場合においても、対象領域Bxの列方向の幅が少なくとも移動ピッチMpより大きい、すなわち、対象領域Bxの列方向の幅が少なくとも1素子分より大きいようにするとしてもよい。このようにすることで、1の送信イベントの対象領域と次の送信イベントの対象領域とが隙間なく必ず重なるようになる。そのため、重なった領域の重畳数を、対象領域Bxを超音波主照射領域Ax内に限るより大きくすることができる。そのため、重なった領域について、超音波画像の画質を向上させることができる。
また、実施の形態2および変形例2〜4において、整相加算部が、対象領域設定部以外の構成を2つずつ備え、主領域音響線信号の生成と副領域音響線信号の生成とを並列に実行してもよい。
例えば、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。例えば、本発明の超音波診断装置の診断方法のコンピュータプログラムを有しており、このプログラムに従って動作する(又は接続された各部位に動作を指示する)コンピュータシステムであってもよい。
また、各実施の形態に係る、超音波診断装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。上記超音波診断装置の診断方法や、ビームフォーミング方法を実施させるプログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。プログラムや信号を記録媒体に記録して移送することにより、プログラムを独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい、また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、超音波診断装置には、プローブ及び表示部が外部から接続される構成としたが、これらは、超音波診断装置内に一体的に具備されている構成としてもよい。
さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
(1)実施の形態に係る超音波信号処理装置は、超音波プローブに列設された複数の振動子を選択的に駆動して被検体に超音波送信する送信イベントを複数回繰り返すとともに、各送信イベントに同期して被検体から反射超音波を受波し、受波した反射超音波に基づいて生成される複数のサブフレーム音響線信号からフレーム音響線信号を合成する超音波信号処理装置であって、1回の送信イベントにおいて前記複数の振動子から送信振動子列を選択し、前記送信振動子列から超音波が被検体中で集束するように送信し、各送信イベントに同期して、超音波を送信する送信振動子列が列方向に、振動子複数個分のピッチで移動するよう選択する送信部と、各送信イベントに同期して前記複数の振動子から受信振動子列を選択し、前記受信振動子列が被検体内から受波した反射超音波に基づいて、前記受信振動子列の振動子各々に対する受信信号列を生成する受信部と、前記送信イベントごとに、前記被検体内で超音波が集束するエリアに対応する領域を含み、かつ、前記被検体内で超音波が集束するフォーカス深さに対応する列方向の幅が少なくとも前記ピッチ以上である対象領域を設定し、前記対象領域内の複数の観測点について、各観測点から得られた反射超音波に基づく前記受信信号列を整相加算して前記サブフレーム音響線信号を生成する整相加算部と、前記整相加算部が生成した前記複数のサブフレーム音響線信号に基づき、前記フレーム音響線信号を合成する合成部とを備えることを特徴とする。
(2)また、実施の形態に係る上記(1)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記送信振動子列を底辺とし、前記フォーカス深さに対応する前記列方向の幅が最も小さく、かつ、当該幅が前記移動ピッチより小さい砂時計形状の第1対象領域と、少なくとも前記フォーカス深さ近傍において前記第1対象領域と前記列方向に隣接する第2対象領域とを、前記対象領域として設定する、としてもよい。
(3)また、実施の形態に係る上記(2)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、送信された超音波が被検体内の観測点に到達する送信時間を算出し、前記観測点からの超音波が前記受信素子列に含まれる振動子の各々に到達する受信時間と、前記送信時間との和を、送信された超音波が前記観測点で反射され前記受信素子列に含まれる振動子の各々へ到達するまでの総伝播時間として算出し、前記受信素子列に含まれる振動子の各々に対する遅延量を当該総伝播時間から算出して整相加算を行う、としてもよい。
(4)また、実施の形態に係る上記(3)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第1対象領域内の観測点について、前記観測点の深さが前記フォーカス深さより深い位置の場合は、送信された超音波が前記第1対象領域内であって前記フォーカス深さにある基準点に到達するまでの第1時間に、超音波が前記基準点から前記観測点に到達するまでの第2時間を加算して算出した到達時間を、前記観測点の深さが前記フォーカス深さ未満の場合は、前記第1時間から前記第2時間を減算して算出した到達時間を、前記観測点についての前記送信時間とする、としてもよい。
(5)また、実施の形態に係る上記(4)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第2対象領域内の観測点について、前記観測点の深さが前記フォーカス深さより深い位置の場合は、前記第1時間に、超音波が前記基準点から前記観測点に到達するまでの第3時間を加算して算出した第2到達時間を、前記観測点の深さが前記フォーカス深さ未満の場合は、前記第1時間から前記第3時間を減算して算出した第2到達時間を、前記観測点についての前記送信時間とする、としてもよい。
(6)また、実施の形態に係る上記(4)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第2対象領域内における、少なくとも前記フォーカス深さにある観測点について、送信された超音波が、前記送信振動子列上のいずれかの位置から前記観測点と同じ深さにあるいずれかの位置に到達するまでの時間を前記送信時間とする、としてもよい。
(7)また、実施の形態に係る上記(6)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第2対象領域内の各観測点について、送信された超音波が前記送信振動子列の列中心から前記観測点に到達するまでの時間を、当該観測点についての前記送信時間とする、としてもよい。
(8)また、実施の形態に係る上記(6)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第2対象領域内の観測点について、(1)前記観測点が前記第1対象領域との境界に近接している場合には、前記到達時間を前記観測点についての前記送信時間とし、(2)前記観測点の深さが前記フォーカス深さである場合には、送信された超音波が前記送信振動子列上のいずれかの位置から前記観測点と同じ深さにあるいずれかの位置に到達するまでの第2到達時間を、前記観測点についての前記送信時間とし、(3)前記送信振動子列の列方向と直交する直線上の複数の観測点について、観測点の深さの増加に対し前記送信時間が連続的に単調増加する、ように前記送信時間を算出する、としてもよい。
(9)また、実施の形態に係る上記(8)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記到達時間をT1とし、前記第2到達時間をT2としたとき、当該観測点に係る前記送信時間TMを数式TM=αT2+(1−α)T2を用いて算出し、αの値は、当該観測点が前記フォーカス深さであるときに0、当該観測点が前記第1領域と接しているときに1であり、当該観測点の深さと前記フォーカス深さとの差異に応じて連続的に増加する、としてもよい。
(10)また、実施の形態に係る上記(2)〜(9)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、連続する2つの送信イベントにおいて、前記第2対象領域が列方向において重なるように前記対象領域を設定する、としてもよい。
(11)また、実施の形態に係る上記(10)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、連続する2つの送信イベントにおいて前記第2対象領域が列方向において重なる面積が、前記第2対象領域の面積の50%以上となるように前記対象領域を設定する、としてもよい。
(12)また、実施の形態に係る上記(2)〜(11)の超音波信号処理装置は、前記合成部は、前記複数のサブフレーム音響線信号のうち前記第1領域に含まれる部分を合成して第1領域の合成音響線信号を生成し、さらに、前記複数のサブフレーム音響線信号のうち前記第2領域に含まれる部分を合成して第2領域の合成音響線信号を生成し、第1領域の合成音響線信号と第2領域の合成音響線信号とを結合して合成音響線信号を生成する、としてもよい。
(13)また、実施の形態に係る上記(1)〜(12)の超音波信号処理装置は、前記合成部において加算が行われる数に応じて決定した増幅率を用いて、前記複数のサブフレーム音響線信号のそれぞれを増幅する増幅処理部をさらに備える、としてもよい。
(14)また、実施の形態に係る超音波信号処理装置は、超音波プローブに列設された複数の振動子を選択的に駆動して被検体に超音波送信する送信イベントを複数回繰り返すとともに、各送信イベントに同期して被検体から反射超音波を受波し、受波した反射超音波に基づいて生成される複数のサブフレーム音響線信号に基づいてフレーム音響線信号を合成する超音波信号処理装置であって、1回の送信イベントにおいて前記複数の振動子から送信振動子列を選択し、前記送信振動子列から超音波が被検体中で集束するように送信し、各送信イベントに同期して、超音波を送信する送信振動子列が列方向に順次移動するよう選択する送信部と、各送信イベントに同期して前記複数の振動子から受信振動子列を選択し、前記受信振動子列が被検体内から受波した反射超音波に基づいて、前記受信振動子列の振動子各々に対する受信信号列を生成する受信部と、前記送信イベントごとに、前記被検体内で超音波が集束するエリアに対応する領域を含み、かつ、前記被検体内で超音波が集束するフォーカス深さに対応する列方向の幅が少なくとも前記振動子1個の幅より大きい対象領域を設定し、前記対象領域内の複数の観測点について、各観測点から得られた反射超音波に基づく前記受信信号列を整相加算して前記サブフレーム音響線信号を生成する整相加算部と、前記整相加算部が生成した前記複数のサブフレーム音響線信号に基づき、前記フレーム音響線信号を合成する合成部とを備えることを特徴とする。
(15)また、実施の形態に係る超音波診断装置は、前記超音波プローブが接続可能に構成された、上記(1)〜(14)の超音波信号処理装置を備える、としてもよい。
このようにすることで、上記の特徴を備えた超音波診断装置を実現できる。
100 超音波診断装置
101 プローブ
101a 振動子
102 マルチプレクサ部
103 送信ビームフォーマ部
1031 送信部
104、104A 受信ビームフォーマ部
1040 受信部
1041、1041A 整相加算部
1042、1042A 対象領域設定部
1043、1043A 受信開口設定部
1044 送信時間算出部
1045 受信時間算出部
1046 遅延量算出部
1047 遅延処理部
1048 重み算出部
1049 加算部
1140、1140A 合成部
11401、11401A 加算処理部
11402、11402A 増幅処理部
11403A 結合部
105 超音波画像生成部
106 表示部
107 データ格納部
108 制御部
150 超音波信号処理装置
Claims (14)
- 複数の振動子を有する超音波プローブと、
前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせる送信部と、
前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成する受信部と、
前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成する遅延量生成部と、
前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理する遅延処理部と、
を備え、
前記遅延量生成部は、
1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成する送信時間生成部と、
前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成する受信時間生成部と、
を有し、
前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の振動子ごとの遅延量を生成し、
前記送信時間生成部は、
送信基準点からフォーカス点までの距離よりも送信基準点から前記観測点までの距離が大きい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、
前記送信基準点から前記フォーカス点までの距離よりも前記送信基準点から前記観測点までの距離が小さい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
超音波診断装置。 - 複数の振動子を有する超音波プローブと、
前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせる送信部と、
前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成する受信部と、
前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成する遅延量生成部と、
前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理する遅延処理部と、
を備え、
前記遅延量生成部は、
1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成する送信時間生成部と、
前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成する受信時間生成部と、
を有し、
前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の振動子ごとの遅延量を生成し、
前記送信時間生成部は、
前記観測点がフォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して遠い場合には、送信された超音波が送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、
前記観測点が前記フォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して近い場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
超音波診断装置。 - 前記遅延処理部は、前記第2の振動子列の各振動子に対する前記受信信号列から、前記遅延量に相当する受信信号値を同定し、同定された受信信号値に基づき前記観測点に対する音響線信号を生成する、
請求項1または2に記載の超音波診断装置。 - 前記送信時間生成部は、前記観測点について、前記送信イベントごとに前記送信時間を1回のみ生成し、
前記遅延処理部は、複数の送信イベントにおける前記第2の振動子列の各振動子に対する前記受信信号に基づき、前記観測点に対する音響線信号を生成する、
請求項3に記載の超音波診断装置。 - 前記受信時間生成部は、前記観測点と前記第2の振動子列の振動子との距離に基づき、前記受信時間を生成する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 前記遅延量生成部は、前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とを加算することにより、前記第2の振動子列の振動子ごとの遅延量を生成する
請求項1から5のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 前記受信部は、前記第2の振動子列が得た被検体中からの反射超音波に基づく信号に応じて、前記受信信号列を生成し、
前記観測点は、前記被検体中に設定される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の超音波診断装置。 - 超音波プローブの複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせ、
前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成し、
前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成し、
前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理し、
前記遅延処理後の信号に基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、
前記遅延量の生成では、
1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成し、
前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成し、
前記生成された送信時間と、前記第2の振動子列の振動子ごとに生成された前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の振動子ごとの遅延量を生成し、
前記送信時間の生成では、
送信基準点からフォーカス点までの距離よりも送信基準点から前記観測点までの距離が大きい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、
前記送信基準点から前記フォーカス点までの距離よりも前記送信基準点から前記観測点までの距離が小さい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
超音波画像生成方法。 - 超音波プローブの複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせ、
前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成し、
前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成し、
前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理し、
前記遅延処理後の信号に基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、
前記遅延量の生成では、
1つの送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成し、
前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成し、
前記送信時間と、前記第2の振動子列の振動子ごとに生成された前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の振動子ごとの遅延量を生成し、
前記送信時間の生成では、
前記観測点がフォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して遠い場合には、送信された超音波が送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、
前記観測点が前記フォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して近い場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
超音波画像生成方法。 - 前記遅延処理において、前記第2の振動子列の各振動子に対する前記受信信号列から、前記遅延量に相当する受信信号値を同定し、同定された受信信号値に基づき前記各観測点に対する音響線信号を生成する、
請求項8または9に記載の超音波画像生成方法。 - 前記送信時間の生成において、前記観測点について、前記送信イベントごとに前記送信時間を1回のみ生成し、
前記遅延処理において、複数の送信イベントにおける前記第2の振動子列の各振動子に対する前記受信信号に基づき、前記観測点に対する音響線信号を生成する
請求項10に記載の超音波診断装置。 - 前記受信時間は、前記観測点と前記第2の振動子列の振動子との距離に基づき生成される、
請求項8から11のいずれか1項に記載の超音波画像生成方法。 - 前記遅延量は、前記生成された送信時間に、前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間を加算することにより、前記第2の振動子列の振動子ごとに生成される、
請求項8から12のいずれか1項に記載の超音波画像生成方法。 - 前記受信信号列は、前記第2の振動子列が得た被検体中からの反射超音波に基づく信号に応じて生成され、
前記観測点は、前記被検体中に設定される、
請求項8から13のいずれか1項に記載の超音波画像生成方法。
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