JP6562122B2 - 超音波診断装置、及び、超音波画像生成方法 - Google Patents

超音波診断装置、及び、超音波画像生成方法 Download PDF

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Description

本開示は、超音波信号処理装置、及び、それを備えた超音波診断装置に関し、特に、超音波信号処理装置における受信ビームフォーミング処理方法に関する。
超音波診断装置は、超音波プローブ(以後、「プローブ」とする)により被検体内部に超音波を送信し、被検体組織の音響インピーダンスの差異により生じる超音波反射波(エコー)を受信する。さらに、この受信から得た電気信号に基づいて、被検体の内部組織の構造を示す超音波断層画像を生成し、モニタ(以後、「表示部」とする)上に表示するものである。超音波診断装置は、被検体への侵襲が少なく、リアルタイムに体内組織の状態を断層画像などで観察できるため、生体の形態診断に広く用いられている。
従来の超音波診断装置では、受信した反射超音波に基づく信号の受信ビームフォーミング方法として、一般的に整相加算法と呼ばれる方法が使用されている(例えば、非特許文献1)。この方法では、一般に、複数の振動子によって行われる被検体への超音波送信が行われる際、被検体のある深さで超音波ビームがフォーカスを結ぶよう送信ビームフォーミングがなされる。また、図27に示すように、送信超音波ビームの中心軸上に観測点を設定する。そのため、1回の超音波送信イベントでは送信超音波ビームの中心軸上にある1本若しくは少数本の音響線信号しか生成することができず、超音波の利用効率が悪い。また、観測点がフォーカス点近傍から離れた位置にある場合には、得られる音響線信号の分解能及び信号S/N比が低くなる課題も有している。
これに対して、合成開口法(Synthetic Aperture Method)により、送信フォーカス点近傍以外の領域においても分解能の高い、高画質な画像を得る受信ビームフォーミング方法が考案されている(例えば、非特許文献2)。この方法によれば、超音波送信波の伝播経路と、その伝播経路による反射波の振動子への到達時間の両方を加味した遅延制御を行うことで、送信フォーカス点近傍以外に位置する超音波主照射領域からの反射超音波も反映した受信ビームフォーミングを行うことができる。その結果、1回の超音波送信イベントから超音波主照射領域全体に対して音響線信号を生成することができる。また、合成開口法では、複数の送信イベントから得た同一観測点に対する複数の受信信号をもとに仮想的に送信フォーカスを合わせることで、非特許文献1記載の受信ビームフォーミング方法と比較して、分解能及び信号S/N比の高い超音波画像を得ることが可能となる。
伊東正安、望月剛共著「超音波診断装置」コロナ社出版、2002年8月26日(P42−P45) "Virtual ultrasound sources in high resolution ultrasound imaging", S.I.Nikolov and J.A.Jensen, in Proc, SPIE ? Progress in biomedical optics and imaging, vol. 3, 2002, P. 395-405
合成開口法において、超音波画像の時間に対する解像度、すなわち、超音波画像のフレームレートを向上させることが検討されている。超音波診断装置の性能上、フレームレートを向上させるためには、超音波送信イベントの回数を減らす必要がある。しかしながら、上述したような一般的な送信ビームフォーミングでは、フォーカス深さに近づくほど超音波の波面が集束している。そのため、送信イベント回数を減らすと、超音波が集束している箇所では、超音波が照射される領域が間欠的(素子の並び方向に疎になる)となり、フォーカス深さ近傍では、振動子列方向に沿って、超音波画像において描画されない欠損領域が生じる。この結果、超音波画像の画質劣化が顕著となる場合がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、一般的な送信ビームフォーミングを用いた合成開口法において、超音波画像の欠損領域が生じることによる画質劣化を抑制しながらフレームレートを向上できる超音波信号処理装置、及び、それを用いた超音波診断装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る超音波診断装置は、複数の振動子を有する超音波プローブと、前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせる送信部と、前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成する受信部と、前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成する遅延量生成部と、前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理する遅延処理部と、を備え、前記遅延量生成部は、1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成する送信時間生成部と、前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成する受信時間生成部と、を有し、前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の動子ごとの遅延量を生成し、前記送信時間生成部は、送信基準点からフォーカス点までの距離よりも送信基準点から前記観測点までの距離が大きい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、前記送信基準点から前記フォーカス点までの距離よりも前記送信基準点から前記観測点までの距離が小さい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
また、本発明の一態様に係る超音波診断装置は、複数の振動子を有する超音波プローブと、前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせる送信部と、前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成する受信部と、前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成する遅延量生成部と、前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理する遅延処理部と、を備え、前記遅延量生成部は、1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成する送信時間生成部と、前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成する受信時間生成部と、を有し、前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の動子ごとの遅延量を生成し、前記送信時間生成部は、前記観測点がフォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して遠い場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、前記観測点がフォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して近い場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
本発明の一態様に係る超音波信号処理装置、及び、それを用いた超音波診断装置によれば、一般的な送信ビームフォーミングを用いた合成開口法において、超音波画像の欠損領域が生じないため、これによる画質劣化を伴わずにフレームレートを向上できる。
実施の形態1に係る超音波診断装置100の構成を示す機能ブロック図である。 実施の形態1に係る送信ビームフォーマ部103による超音波送信波の伝播経路を示す模式図である。 実施の形態1に係る受信ビームフォーマ部104の構成を示す機能ブロック図である。 実施の形態1に係る整相加算部1041の構成を示す機能ブロック図である。 実施の形態1に係る対象領域Bxを示す模式図である 実施の形態1に係る受信開口設定部1043により設定された受信開口Rxと送信開口Txとの関係を示す模式図である。 実施の形態1に係る、送信開口Txから観測点Pijを経由して受信振動子Riに到達する超音波の伝播経路を示す模式図である。 実施の形態1に係る合成部1140の構成を示す機能ブロック図である。 実施の形態1に係る加算処理部11401における合成音響線信号を合成する処理を示す模式図である。 実施の形態1に係る、合成音響線信号における最大重畳数と、増幅処理部11402における増幅処理の概要を示す模式図である。 実施の形態1に係る受信ビームフォーマ部104のビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る受信ビームフォーマ部104における観測点Pijについての音響線信号生成動作を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る受信ビームフォーマ部104における観測点Pijについての音響線信号生成動作を説明するための模式図である。 変形例1に係るTx受信開口設定部により設定された受信開口Rxと送信開口Txとの関係を示す模式図である。 変形例1に係る超音波診断装置の受信ビームフォーマ部のビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。 変形例1に係る受信ビームフォーマ部における観測点Pijについての音響線信号生成動作を説明するための模式図である。 実施の形態2に係る超音波診断装置の受信ビームフォーマ部104Aの構成を示す機能ブロック図である。 実施の形態2に係る対象領域Bxを示す模式図である。 実施の形態2に係るサブフレーム音響線信号からフレーム音響線信号を生成する生成する処理を示す模式図である。 実施の形態2に係る受信ビームフォーマ部104Aのビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。 変形例2に係る超音波の伝播経路を説明するための模式図である。 変形例2に係る超音波の伝播経路を説明するための模式図である。 変形例3に係る超音波の伝播経路を説明するための模式図である。 変形例4に係る対象領域Bxを示す模式図である。 その他の対象領域Bxの例を示した模式図である。 超音波画像の一例である。 従来の超音波診断装置における整相加算の模式図である。 従来の、波面を集束させる送信ビームフォーミングと合成開口法の組み合わせにおける課題を説明する模式図である。
≪発明を実施するための形態に至った経緯≫
発明者は、合成開口法を用いる超音波診断装置において、フレームレートを向上させるために各種の検討を行った。
超音波診断装置においては、一般に、複数の振動子によって行われる被検体への超音波送信が行われる際、被検体のある深さで超音波ビームがフォーカスを結ぶよう、波面を集束させる送信ビームフォーミングがなされる(以下、フォーカスが結ばれる深さを「フォーカス深さ」とする)。そのため、1度の超音波の送信(送信イベント)によって、超音波送信に用いられる複数の振動子(以下、「送信振動子列」とする)から、超音波主照射領域に主として超音波が照射される。ここで、「超音波主照射領域」とは、領域内のすべての点において、送信振動子列を構成する各振動子から送波される超音波の位相が揃っている領域のことである。送信フォーカス点が1点である場合には、超音波主照射領域は、送信振動子列を底辺とし、底辺の両端のそれぞれから送信フォーカス点を通る2つの直線で囲まれる砂時計形状の領域となり、波面は、送信フォーカス点を中心とした円弧状となる。なお、必ずしも超音波ビームが1点でフォーカスを結ぶとは限らず、例えば、1.5素子分から数素子分程度にフォーカスした領域(以下、「フォーカス領域」とする)に集束するだけの場合もあるが、この場合、超音波主照射領域はフォーカス深さまでは列方向の幅が狭まり、フォーカス深さでフォーカス領域の列方向の幅となり、フォーカス深さより深い領域では再び列方向が広がる形状となる。すなわち、超音波主照射領域は、フォーカス深さで列方向の幅が最も狭くなり、それ以外の深さでは、フォーカス深さまでの距離に応じて列方向の幅が広がる形状となる。
合成開口法では、1回の送信イベントにおいて、超音波主照射領域の全域に対して観測点を設定できるため、超音波主照射領域全域を、音響線信号が生成される領域(以下、「対象領域」とする)とするのが好ましい。1つの送信イベントでは超音波画像を生成する領域全体を対象領域とすることができないために、1フレームの超音波画像を生成するためには、対象領域の異なる複数の送信イベントを行う。そのため、超音波の利用効率の観点から、1つの送信イベントにおける対象領域は超音波主照射領域内における面積を大きくすることが好ましい。また、一般的には連続する2つの送信イベントの対象領域の重複面積が大きいほうが、空間解像度や信号S/N比の向上のために好ましい。
したがって、図28(a)に示すように、砂時計形状の超音波主照射領域の全域を対象領域として送信イベントを行い、送信イベントに同期して、順次超音波主照射領域と対象領域とを1素子分ずつ移動させて音響線信号を生成し(以下、1回の送信イベントで生成される音響線信号を「サブフレーム音響線信号」とする)、複数のサブフレーム音響線信号を合成して1フレームの超音波画像を生成することが従来行われている。この方法によれば、1フレームの超音波画像を生成するための所要時間は、1回の送信イベントの所要時間に、1フレームあたりの送信イベントの回数を乗じた時間となる。
上述したように、合成開口法を用いることで音響線信号の分解能及び信号S/N比が向上する。しかしながら、例えば、被検体や検査者の負担を軽減するため短時間で画像を取得したい、または、血流など動きのある超音波画像における時間解像度を向上させたい、などの場合、フレームレートの向上が求められる。フレームレートを向上させるためには、1フレームの超音波画像を生成するための所要時間を短縮する必要がある。1回の送信イベントの所要時間は、超音波の伝搬速度によりほぼ一義的に定まり、短縮することが難しい。そのため、1フレームあたりの送信イベントの回数を小さくすることによる、フレームレートの向上が検討されている。
1フレームあたりの送信イベントの回数を小さくするには、超音波主照射領域と対象領域とを送信イベントに同期して移動させる際に、その移動ピッチを大きくすればよい。すなわち、移動ピッチが1素子分であったところを、2素子分にすれば、サブフレーム音響線信号の1/2を間引いたのと同じことになり、フレームレートを2倍化できる。同様に、移動ピッチを4素子分にすれば、フレームレートを4倍化できる。
しかしながら、砂時計形状の超音波主照射領域の全域を対象領域としている場合に、移動ピッチを2素子分以上に大きくすると、図28(b)に示すように、欠損領域が生じることとなる。ここで、「欠損領域」とは、超音波画像において、いずれの送信イベントでも対象領域に含まれない領域のことを言う。図28(b)では、移動ピッチが4素子分であるため、フォーカス深さおよびその近傍の、超音波主照射領域の列方向の幅が移動ピッチを下回っている深さにおいて、欠損領域が生じている。なお、この場合に限らず、送信超音波がフォーカス領域に集束する場合であっても、フォーカス領域の列方向の幅が移動ピッチを下回っていれば、同様に欠損領域が生じる。また、対象領域が超音波主照射領域より狭い場合、フォーカス深さにおける対象領域の列方向の幅が移動ピッチを下回っていれば、同様の課題が生じることになる。図26(d)は欠損領域が生じた超音波画像の一例であり、矢印で示す深さが、フォーカス深さである。フォーカス深さでは送信超音波が集束しているためこの領域からの反射超音波は強く、欠損領域の周辺領域は音響線信号の値が大きくなりやすいので、欠損領域が超音波画像上に縦縞として顕著に表れる傾向がある。そのため、フォーカス点の近傍において、画質が顕著に劣化することになる。
そこで、発明者は、上記課題に鑑み、波面を集束させる送信ビームフォーミングと合成開口法の組み合わせにおいて、上述した画質の劣化を抑制しつつフレームレートを向上させる技術について検討を行い、実施の形態に係る超音波信号処理方法及びそれを用いた超音波診断装置に想到するに至ったものである。
以下、実施の形態に係る超音波画像処理方法及びそれを用いた超音波診断装置について図面を用いて詳細に説明する。
≪実施の形態1≫
<全体構成>
以下、実施の形態1に係る超音波診断装置100について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態1に係る超音波診断システム1000の機能ブロック図である。図1に示すように、超音波診断システム1000は、被検体に向けて超音波を送信しその反射波の受信する複数の振動子101aを有するプローブ101、プローブ101に超音波の送受信を行わせプローブ101からの出力信号に基づき超音波画像を生成する超音波診断装置100、超音波画像を画面上に表示する表示部106を有する。プローブ101、表示部106は、それぞれ、超音波診断装置100に各々接続可能に構成されている。図1は超音波診断装置100に、プローブ101、表示部106が接続された状態を示している。なお、プローブ101と、表示部106とは、超音波診断装置100の内部にあってもよい。
<超音波診断装置100の構成>
超音波診断装置100は、プローブ101の複数ある振動子101aのうち、送信又は受信の際に用いる振動子を各々に選択し、選択された振動子に対する入出力を確保するマルチプレクサ部102、超音波の送信を行うためにプローブ101の各振動子101aに対する高電圧印加のタイミングを制御する送信ビームフォーマ部103と、プローブ101で受信した超音波の反射波に基づき、複数の振動子101aで得られた電気信号を増幅し、A/D変換し、受信ビームフォーミングして音響線信号を生成する受信ビームフォーマ部104を有する。また、受信ビームフォーマ部104からの出力信号に基づいて超音波画像(Bモード画像)を生成する超音波画像生成部105、受信ビームフォーマ部104が出力する音響線信号及び超音波画像生成部105が出力する超音波画像を保存するデータ格納部107と、各構成要素を制御する制御部108を備える。
このうち、マルチプレクサ部102、送信ビームフォーマ部103、受信ビームフォーマ部104、超音波画像生成部105は、超音波信号処理装置150を構成する。
超音波診断装置100を構成する各要素、例えば、マルチプレクサ部102、送信ビームフォーマ部103、受信ビームフォーマ部104、超音波画像生成部105、制御部108は、それぞれ、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Aplication Specific Ingegrated Circuit)などのハードウェア回路により実現される。あるいは、CPU(Central Processing Unit)やGPGPU(General−Purpose computing on Graphics Processing Unit)やプロセッサなどのプログラマブルデバイスとソフトウェアにより実現される構成であってもよい。これらの構成要素は一個の回路部品とすることができるし、複数の回路部品の集合体にすることもできる。また、複数の構成要素を組合せて一個の回路部品とすることができるし、複数の回路部品の集合体にすることもできる。
データ格納部107は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、MO、DVD、DVD−RAM、BD、半導体メモリ等を用いることができる。また、データ格納部107は、超音波診断装置100に外部から接続された記憶装置であってもよい。
なお、本実施の形態に係る超音波診断装置100は、図1で示した構成の超音波診断装置に限定されない。例えば、マルチプレクサ部102がなく、送信ビームフォーマ部103と受信ビームフォーマ部104とが直接、プローブ101の各振動子101aに接続されていてもよい。また、プローブ101に送信ビームフォーマ部103や受信ビームフォーマ部104、またその一部などが内蔵される構成であってもよい。これは、本実施の形態に係る超音波診断装置100に限られず、後に説明する他の実施の形態や変形例に係る超音波診断装置でも同様である。
<超音波診断装置100の主要部の構成>
実施の形態1に係る超音波診断装置100は、プローブ101の各振動子101aから超音波送信を行わせる送信ビームフォーマ部103と、プローブ101での超音波反射波の受信から得た電気信号を演算して超音波画像を生成するための音響線信号を生成する受信ビームフォーマ部104に特徴を有する。そのため、本明細書では、主に、送信ビームフォーマ部103及び受信ビームフォーマ部104について、その構成及び機能を説明する。なお、送信ビームフォーマ部103及び受信ビームフォーマ部104以外の構成については、公知の超音波診断装置に使われるものと同じ構成を適用可能であり、公知の超音波診断装置のビームフォーマ部に本実施の形態に係るビームフォーマ部を置き換えて使用することが可能である。
以下、送信ビームフォーマ部103と、受信ビームフォーマ部104の構成について説明する。
1.送信ビームフォーマ部103
送信ビームフォーマ部103は、マルチプレクサ部102を介してプローブ101と接続され、プローブ101から超音波の送信を行うためにプローブ101に存する複数の振動子101aの全てもしくは一部に当たる送信振動子列からなる送信開口Txに含まれる複数の振動子の各々に対する高電圧印加のタイミングを制御する。送信ビームフォーマ部103は送信部1031から構成される。
送信部1031は、制御部108からの送信制御信号に基づき、プローブ101に存する複数の振動子101a中、送信開口Txに含まれる各振動子に超音波ビームを送信させるためのパルス状の送信信号を供給する送信処理を行う。具体的には、送信部1031は、例えば、クロック発生回路、パルス発生回路、遅延回路を備えている。クロック発生回路は、超音波ビームの送信タイミングを決定するクロック信号を発生させる回路である。パルス発生回路は、各振動子を駆動するパルス信号を発生させるための回路である。遅延回路は、超音波ビームの送信タイミングを振動子毎に遅延時間を設定し、遅延時間だけ超音波ビームの送信を遅延させて超音波ビームのフォーカシングを行うための回路である。
送信部1031は、超音波送信ごとに送信開口Txを列方向に、所定の移動ピッチMpだけ移動させながら超音波送信を繰り返し、プローブ101に存する全ての振動子101aから超音波送信を行う。ここで、移動ピッチMpは、振動子の列方向の幅に2以上の整数を乗算したものであり、本実施の形態では、一例として、振動子の列方向の幅の4倍である。すなわち、本実施の形態では、超音波送信ごとに、送信開口Txが4素子分ずつ移動していく。送信開口Txに含まれる振動子の位置を示す情報は制御部108を介してデータ格納部107に出力される。例えば、プローブ101に存する振動子101a全数を192としたとき、送信開口Txを構成する振動子列の数として、例えば20〜100を選択してもよく、超音波送信毎に移動ピッチMpだけ移動させる構成としてもよい。以後、送信部1031により同一の送信開口Txから行われる超音波送信を「送信イベント」と称呼する。
図2は、送信ビームフォーマ部103による超音波送信波の伝播経路を示す模式図である。ある送信イベントにおいて、超音波送信に寄与するアレイ状に配列された振動子101aの列(送信振動子列)を送信開口Txとして図示している。また、送信開口Txの列長を送信開口長と呼ぶ。
送信ビームフォーマ部103において、送信開口Txの中心に位置する振動子ほど送信タイミングを遅らせるように各振動子の送信タイミングを制御する。これにより、送信開口Tx内の振動子列から送信された超音波送信波は、被検体のある深度(Focal depth)において、波面がある一点、すなわち送信フォーカス点F(Focal point)で、フォーカスがあう(集束する)状態となる。送信フォーカス点Fの深さ(Focal depth)(以下、「フォーカス深さ」とする)は、任意に設定することができる。送信フォーカス点Fで合焦した波面は、再び拡散し、送信開口Txを底とし送信フォーカス点Fを節とする交差する2つの直線で区切られた砂時計型の空間内を超音波送信波が伝播する。すなわち、送信開口Txで放射された超音波は、次第にその空間上での幅(図中の横軸方向)を小さくし、送信フォーカス点Fでその幅を最小化し、それよりも深部(図中では上部)に進行するにしたがって、再び、その幅を大きくしながら拡散し、伝播することとなる。この砂時計型の領域が超音波主照射領域Axである。なお、上述したように、超音波主照射領域Axは、1点の送信フォーカス点Fに集束せず、フォーカス領域に集束してもよい。
なお、上述したように、超音波主照射領域Axは、送信振動子列の各振動子から送波された超音波の位相が揃っている領域であり、超音波主照射領域Axの外部にも超音波送信波は伝播している。もっとも、超音波主照射領域Axの外部においては、送信振動子列の各振動子から送波された超音波の位相が揃っていないため、超音波主照射領域Ax内部と比べて超音波送信波が劣化しており、特に、超音波主照射領域Axから遠ざかるほど劣化が顕著となる。逆に言えば、超音波主照射領域Axから振動子数個分離れた程度の近傍であれば、有意な音響線が生成できる程度には超音波送信波が到達している。
2.受信ビームフォーマ部104の構成
受信ビームフォーマ部104は、プローブ101で受信した超音波の反射波に基づき、複数の振動子101aで得られた電気信号から音響線信号を生成する。なお、「音響線信号」とは、ある観測点に対する、整相加算処理がされた後の信号である。整相加算処理については後述する。図3は、受信ビームフォーマ部104の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、受信ビームフォーマ部104は、受信部1040、整相加算部1041、合成部1140を備える。
以下、受信ビームフォーマ部104を構成する各部の構成について説明する。
(1)受信部1040
受信部1040は、マルチプレクサ部102を介してプローブ101と接続され、送信イベントに同期してプローブ101での超音波反射波の受信から得た電気信号を増幅した後AD変換した受信信号(RF信号)を生成する回路である。送信イベントの順に時系列に受信信号を生成しデータ格納部107に出力し、データ格納部107に受信信号を保存する。
ここで、受信信号(RF信号)とは、各振動子にて受信された反射超音波から変換された電気信号をA/D変換したデジタル信号であり、各振動子にて受信された超音波の送信方向(被検体の深さ方向)に連なった信号の列を形成している。
送信イベントでは、上述のとおり、送信部1031は、プローブ101に存する複数の振動子101a中、送信開口Txに含まれる複数の振動子の各々に超音波ビームを送信させる。これに対し、受信部1040は、送信イベントに同期してプローブ101に存する複数の振動子101aの一部又は全部にあたる振動子の各々が得た反射超音波に基づいて、各振動子に対する受信信号の列を生成する。ここで、反射超音波を受信する振動子を「受波振動子」と称呼する。受波振動子の数は、送信開口Txに含まれる振動子の数よりも多いことが好ましい。また、受波振動子の数はプローブ101に存する振動子101aの全数としてもよい。
送信部1031は、送信イベントに同期して送信開口Txを列方向に移動ステップMpずつ移動させながら超音波送信を繰り返し、プローブ101に存する複数の振動子101a全体から超音波送信を行う。受信部1040は、送信イベントに同期して各受波振動子に対する受信信号の列を生成し、生成された受信信号はデータ格納部107に保存される。
(2)整相加算部1041
整相加算部1041は、送信イベントに同期して、被検体内においてサブフレーム音響線信号の生成を行う対象領域Bxを設定する。次に、対象領域Bx内に存する複数の観測点Pij各々について、観測点から各受信振動子Riが受信した受信信号列を整相加算する。そして、各観測点における音響線信号の列を算出することによりサブフレーム音響線信号を生成する回路である。図4は、整相加算部1041の構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、整相加算部1041は、対象領域設定部1042、受信開口設定部1043、送信時間算出部1044、受信時間算出部1045、遅延量算出部1046、遅延処理部1047、重み算出部1048、及び加算部1049を備える。
以下、整相加算部1041を構成する各部の構成について説明する。
i)対象領域設定部1042
対象領域設定部1042は、被検体内においてサブフレーム音響線信号の生成を行う対象領域Bxを設定する。「対象領域」とは、送信イベントに同期して被検体内においてサブフレーム音響線信号の生成が行われるべき信号上の領域であり、対象領域Bx内の観測点Pijについて音響線信号が生成される。対象領域Bxは、音響線信号の生成が行われる観測対象点の集合として、1回の送信イベントに同期して計算の便宜上設定される。
ここで、「サブフレーム音響線信号」とは、1回の送信イベントから生成される対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijに対する音響線信号の集合である。なお、「サブフレーム」とは、1回の送信イベントで得られ、対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijに対応するまとまった信号を形成する単位をさす。取得時間の異なる複数のサブフレームを合成したものがフレームとなる。
対象領域設定部1042は、送信イベントに同期して、送信ビームフォーマ部103から取得する送信開口Txの位置を示す情報に基づき対象領域内Bxを設定する。
図5は、対象領域Bxを示す模式図である。図5に示すように、対象領域Bxの範囲は、超音波主照射領域Axより大きく、超音波主照射領域Axの外部を含むように設定される。より具体的には、列方向の幅の最小値Wfが送信ピッチMp以上となるように設定される。本実施の形態では、超音波主照射領域Axの砂時計形状に対して、所定の幅だけ広げた形状である。この形状においては、フォーカス深さにおいて列方向の幅が最も小さくなるため、フォーカス深さにおける列方向の幅Wfが送信ピッチMp以上となるように設定される。例えば、送信ピッチMpが4素子分である場合には、列方向の幅Wfは4素子分以上であればよく、所定の幅は送信ピッチMpの半分以上、例えば、3素子分となる。このようにすることで、超音波主照射領域Axのほぼ全域とその近傍を含む領域に観測点を設定することができ、照射された超音波の利用効率を向上することができる。
しかしながら、対象領域Bxの形状は、砂時計形状の幅を広げた形状に限定されず他の形状としてもよい。例えば、対象領域Bxの形状は、送信振動子列が接触する被検体表面を底辺とする矩形形状としてもよい。この場合も、超音波主照射領域Axのほぼ全域を含む領域に観測点を設定することができ、照射された超音波の利用効率を向上することができる。もっとも、上述したように、超音波主照射領域Axの外部では超音波主照射領域Axからの距離に応じて超音波送信波が劣化しているため、対象領域Bxは、超音波主照射領域Axとその近傍で構成されることが好ましい。
設定された対象領域Bxは送信時間算出部1044、受信時間算出部1045、遅延処理部1047に出力される。
ii)受信開口設定部1043
受信開口設定部1043は、制御部108からの制御信号と、送信ビームフォーマ部103からの送信開口Txの位置を示す情報とに基づき、プローブ101に存する複数の振動子の一部に当たり、列中心が送信開口Txに含まれる振動子列の列中心と合致する振動子列(受信振動子列)を受信振動子として選択して受信開口Rxを設定する回路である。
受信開口設定部1043は、列中心が観測点Pに最も空間的に近接する振動子と合致するよう受信開口Rx振動子列を選択する。図6は、受信開口設定部1043により設定された受信開口Rxと送信開口Txとの関係を示す模式図である。図6に示すように、受信開口Rx振動子列の列中心が、観測点Pijに最も空間的に近接する振動子Xiと合致するように受信開口Rx振動子列が選択される。そのため、受信開口Rxの位置は、観測点Pijの位置によって定まり、送信イベントに同期して送信イベントに同期して変動する送信開口Txの位置に基づいては変化しない。すなわち、異なる送信イベントであっても、同一位置にある観測点Pijについての音響線信号を生成する処理においては、同一の受信開口Rx内の受信振動子Riによって取得された受信信号に基づき整相加算が行われる。
また、超音波主照射領域全体からの反射波を受信するために、受信開口Rxに含まれる振動子の数は、対応する送信イベントにおける送信開口Txに含まれる振動子の数以上に設定することが好ましい。受信開口Rxを構成する振動子列の数は、例えば32、64、96、128、192等としてもよい。
受信開口Rxの設定は、送信イベントに対応して、送信イベントと同じ回数だけ行われる。また、受信開口Rxの設定は、送信イベントに同期して漸次行われる構成であってもよく、あるいは、全ての送信イベントが終了した後に、各送信イベントに対応した受信開口Rxの設定が送信イベントの回数分まとめて行われる構成であってもよい。
選択された受信開口Rxの位置を示す情報は制御部108を介してデータ格納部107に出力される。
データ格納部107は、受信開口Rxの位置を示す情報と受信振動子に対応する受信信号とを、送信時間算出部1044、受信時間算出部1045、遅延処理部1047、重み算出部1048に出力する。
iii)送信時間算出部1044
送信時間算出部1044は、送信された超音波が被検体中の観測点Pに到達する送信時間を算出する回路である。送信イベントに対応して、データ格納部107から取得した、送信開口Txに含まれる振動子の位置を示す情報と、対象領域設定部1042から取得した超音波主照射領域Axを含む対象領域Bxの位置を示す情報とに基づき対象領域Bx内に存在する任意の観測点Pijについて、送信された超音波が被検体中の観測点Pijに到達する送信時間を算出する。
図7は、送信開口Txから放射され対象領域Bx内の任意の位置にある観測点Pijにおいて反射され受信開口Rx内に位置する受信振動子Riに到達する超音波の伝播経路を説明するための模式図である。なお、図7(a)は観測点Pijの深さがフォーカス深さ以上の場合、図7(b)は観測点Pijがフォーカス深さより浅い場合を示している。
送信開口Txから放射された送信波は、経路401を通って送信フォーカス点Fにて波面が集束し、再び、拡散する。送信波が集束または拡散する途中で観測点Pijに到達し、観測点Pijで音響インピーダンスに変化があれば反射波を生成し、その反射波がプローブ101における受信開口Rx内の受信振動子Riに戻っていく。送信フォーカス点Fは送信ビームフォーマ部103の設計値として規定されているので、送信フォーカス点Fと任意の観測点Pijとの間の経路402の長さは幾何学的に算出することができる。
送信時間の算出方法を、以下、さらに詳細に説明する。なお、観測点Pijが超音波主照射領域Axの外部である場合であっても、観測点Pijが超音波主照射領域Axの内部である場合と同様に送信時間を算出する。
まず、観測点Pijの深さがフォーカス深さ以上の場合について、図7(a)を用いて説明する。観測点Pijの深さがフォーカス深さ以上の場合は、送信開口Txから放射された送信波が、経路401を通って送信フォーカス点Fに到達し、送信フォーカス点Fから経路402を通って観測点Pijに到達したものとして算出する。したがって、送信波が経路401を通過する時間と、経路402を通過する時間を合算した値が、送信時間となる。具体的な算出方法としては、例えば、経路401の長さと経路402の長さとを加算した全経路長を、被検体内における超音波の伝搬速度で除算することで求められる。
一方、観測点Pijがフォーカス深さより浅い場合について、図7(b)を用いて説明する。観測点Pijがフォーカス深さより浅い場合は、送信開口Txから放射された送信波が、経路401を通って送信フォーカス点Fに到達する時刻と、経路404を通って観測点Pijに到達した後、観測点Pijから経路402を通って送信フォーカス点Fに到達する時刻とが同一であるものとして算出する。つまり、送信波が経路401を通過する時間から、経路402を通過する時間を差し引いた値が、送信時間となる。具体的な算出方法としては、例えば、経路401の長さから経路402の長さを減算した経路長差を、被検体内における超音波の伝搬速度で除算することで求められる。
なお、観測点Pijがフォーカス深さである場合の送信時間は、観測点Pijがフォーカス深さより深い場合と同じ算出方法、すなわち、送信波が経路401を通過する時間と、経路402を通過する時間を合算する計算方法を用いるとした。しかしながら、観測点Pijがフォーカス深さより浅い場合と同じ算出方法、すなわち、送信波が経路401を通過する時間から、経路402を通過する時間を差し引く計算方法を用いるとしてもよい。但し、1回の送信イベントにおいて、フォーカス深さの複数の観測点Pijは同じ算出方法で送信時間を算出することが好ましい。観測点Pijがフォーカス深さより深い場合の算出方法とフォーカス深さより浅い場合と同じ算出方法が、1回の送信イベントにおけるフォーカス深さの複数の観測点Pijで混在していると、列方向に隣接する2つの観測点Pijで送信時間が不連続に変化するため、画質の向上が不十分となる場合があるからである。
送信時間算出部1044は、1回の送信イベントに対し、超音波主照射領域Ax内に存在する対象領域Bx内の全ての観測点Pijについて、送信された超音波が被検体中の観測点Pijに到達する送信時間を算出して遅延量算出部1046に出力する。
iv)受信時間算出部1045
受信時間算出部1045は、観測点Pからの反射波が、受信開口Rxに含まれる受信振動子Riの各々に到達する受信時間を算出する回路である。送信イベントに対応して、データ格納部107から取得した受信振動子Riの位置を示す情報と、対象領域設定部1042から取得した対象領域Bxの位置を示す情報とに基づき対象領域Bx内に存在する任意の観測点Pijについて、送信された超音波が被検体中の観測点Pijで反射され受信開口Rxの各受信振動子Riに到達する受信時間を算出する。
上述のとおり、観測点Pijに到達した送信波は、観測点Pijで音響インピーダンスに変化があれば反射波を生成し、その反射波がプローブ101における受信開口Rx内の各受信振動子Riに戻っていく。受信開口Rx内の各受信振動子Riの位置情報はデータ格納部107から取得されるので、任意の観測点Pijから各受信振動子Riまでの経路403の長さは幾何学的に算出することができる。
受信時間算出部1045は、1回の送信イベントに対し、対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijについて、送信された超音波が観測点Pijで反射して各受信振動子Riに到達する受信時間を算出して遅延量算出部1046に出力する。
v)遅延量算出部1046
遅延量算出部1046は、送信時間と受信時間とから受信開口Rx内の各受信振動子Riへの総伝播時間を算出し、当該総伝播時間に基づいて、各受信振動子Riに対する受信信号の列に適用する遅延量を算出する回路である。遅延量算出部1046は、送信時間算出部1044から送信された超音波が観測点Pijに到達する送信時間と、観測点Pijで反射して各受信振動子Riに到達する受信時間を取得する。そして、送信された超音波が各受信振動子Riへ到達するまでの総伝播時間を算出し、各受信振動子Riに対する総伝播時間の差異により、各受信振動子Riに対する遅延量を算出する。遅延量算出部1046は、対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijについて、各受信振動子Riに対する受信信号の列に適用する遅延量を算出して遅延処理部1047に出力する。
vi)遅延処理部1047
遅延処理部1047は、受信開口Rx内の受信振動子Riに対する受信信号の列から、各受信振動子Riに対する遅延量に相当する受信信号を、観測点Pijからの反射超音波に基づく各受信振動子Riに対応する受信信号として同定する回路である。
遅延処理部1047は、送信イベントに対応して、受信開口設定部1043から受信振動子Riの位置を示す情報、データ格納部107から受信振動子Riに対応する受信信号、対象領域設定部1042から取得した対象領域Bxの位置を示す情報、遅延量算出部1046から各受信振動子Riに対する受信信号の列に適用する遅延量を入力として取得する。そして、各受信振動子Riに対応する受信信号の列から、各受信振動子Riに対する遅延量を差引いた時間に対応する受信信号を観測点Pijからの反射波に基づく受信信号として同定し、加算部1049に出力する。
vii)重み算出部1048
重み算出部1048は、受信開口Rxの列方向の中心に位置する振動子に対する重みが最大となるよう各受信振動子Riに対する重み数列(受信アボダイゼーション)を算出する回路である。
図6に示すように、重み数列は受信開口Rx内の各振動子に対応する受信信号に適用される重み係数の数列である。重み数列は、送信フォーカス点Fを中心として対称な分布をなす。重み数列の分布の形状は、ハミング窓、ハニング窓、矩形窓などを用いることができ、分布の形状は特に限定されない。重み数列は、受信開口Rxの列方向の中心に位置する振動子に対する重みが最大となるように設定され、重みの分布の中心軸は、受信開口中心軸Rxoと一致する。重み算出部1048は、受信開口設定部1043から出力される受信振動子Riの位置を示す情報を入力として、各受信振動子Riに対する重み数列を算出し加算部1049に出力する。
viii)加算部1049
加算部1049は、遅延処理部1047から出力される各受信振動子Riに対応して同定された受信信号を入力として、それらを加算して、観測点Pijに対する整相加算された音響線信号を生成する回路である。あるいは、さらに、重み算出部1048から出力される各受信振動子Riに対する重み数列を入力として、各受信振動子Riに対応して同定された受信信号に、各受信振動子Riに対する重みを乗じて加算して、観測点Pijに対する音響線信号を生成する構成としてもよい。遅延処理部1047において受信開口Rx内に位置する各受信振動子Riが検出した受信信号の位相を整えて加算部1049にて加算処理をすることにより、観測点Pijからの反射波に基づいて各受信振動子Riで受信した受信信号を重ね合わせてその信号S/N比を増加し、観測点Pijからの受信信号を抽出することができる。
1回の送信イベントとそれに伴う処理から、超音波主照射領域Axを含む対象領域Bx内の全ての観測点Pijについて音響線信号を生成することができる。そして、送信イベントに同期して送信開口Txを列方向に移動ピッチMpだけ移動させながら超音波送信を繰り返し、プローブ101に存する全ての振動子101aから超音波送信を行うことにより1フレームの合成された音響線信号であるフレーム音響線信号を生成する。
また、フレーム音響線信号を構成する観測点ごとの合成された音響線信号を、以後、「合成音響線信号」と称呼する。
加算部1049により、送信イベントに同期して対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijに対するサブフレームの音響線信号が生成される。生成されたサブフレームの音響線信号は、データ格納部107に出力され保存される。
(5)合成部1140
合成部1140は、送信イベントに同期して生成されるサブフレーム音響線信号からフレーム音響線信号を合成する回路である。図8は、合成部1140の構成を示す機能ブロック図である。図8に示すように、合成部1140は、加算処理部11401、増幅処理部11402を備える。
以下、合成部1140を構成する各部の構成について説明する。
i)加算処理部11401
加算処理部11401は、フレーム音響線信号を合成するための一連のサブフレーム音響線信号の生成が終了したのち、データ格納部107に保持されている複数のサブフレーム音響線信号を読み出す。そして、各サブフレーム音響線信号に含まれる音響線信号が取得された観測点Pijの位置を指標として複数のサブフレーム音響線信号を加算することにより、各観測点に対する合成音響線信号を生成してフレーム音響線信号を合成する。そのため、複数のサブフレーム音響線信号に含まれる同一位置の観測点に対する音響線信号は加算されて合成音響線信号が生成される。
図9は、加算処理部11401における合成音響線信号を合成する処理を示す模式図である。上述のとおり、送信イベントに同期して送信振動子列(送信開口Tx)に用いる振動子を振動子列方向に移動ピッチMpだけ異ならせて超音波送信が順次行われる。そのため、異なる送信イベントに基づく超音波主照射領域Ax内を含む対象領域Bxも送信イベントごとに同一方向に移動ピッチMpだけ位置が異なる。複数のサブフレーム音響線信号を、各サブフレーム音響線信号に含まれる音響線信号が取得された観測点Pijの位置を指標として加算することにより、全ての対象領域Bxを網羅したフレーム音響線信号が合成される。
また、位置の異なる複数の対象領域Bxにまたがって存在する観測点Pijについては、各サブフレーム音響線信号における音響線信号の値が加算されるので、合成音響線信号は、跨りの程度に応じて大きな値を示す。以後、観測点Pijが異なる対象領域Bxに含まれる回数を「重畳数」、振動子列方向における重畳数の最大値を「最大重畳数」と称する。ここで、対象領域Bxはフォーカス深さにおける列方向の幅Wfは送信ピッチMpより大きくなるように設定されているので、フォーカス深さにおいて、重畳数は少なくとも1となり、重畳数が0、すなわちいずれの対象領域Bxにも含まれない観測点Pijは存在しない。
また、本実施の形態では、対象領域Bxは砂時計形状の領域としている。そのため、図10(a)に示すように、重畳数及び最大重畳数は被検体の深さ方向において変化するので、合成音響線信号の値も同様に深さ方向において変化する。
なお、各サブフレーム音響線信号に含まれる音響線信号が取得された観測点Pijの位置を指標として加算する際に、観測点Pijの位置を指標として重みづけしながら加算してもよい。
合成されたフレーム音響線信号は増幅処理部11402に出力される。
ii)増幅処理部11402
上述のとおり、合成音響線信号の値は動き量に応じて変化する。また、被検体の深さ方向においても変化する。これを補うために、増幅処理部11402は、フレーム音響線信号に含まれる合成音響線信号の合成において、加算が行われた回数に応じて決定した増幅率を各合成音響線信号に乗じる増幅処理を行う。
図10(b)は、増幅処理部11402における増幅処理の概要を示す模式図である。図10(b)に示すように、最大重畳数は被検体の深さ方向において変化するので、この変化を補うように、最大重畳数に応じて決定された被検体深さ方向において変化する増幅率が合成音響線信号に乗じられる。このとき、増幅処理部11402は、対象領域Bxの振動子列方向の幅が大きいほど被検体深さ方向において大きく変化する増幅率を用いる。これにより、深さ方向における重畳数の変化に伴う合成音響線信号の変動要因は解消され、増幅処理後の合成音響線信号の値は深さ方向において均一化が図られる。
また、重畳数に応じて決定された振動子列方向において変化する増幅率を合成音響線信号に乗じる処理を行ってもよい。振動子列方向において重畳数が変化する場合に、その変動要因を解消し、振動子列方向において増幅処理後の合成音響線信号の値の均一化が図られる。
なお、生成した各観測点に対する合成音響線信号に増幅処理を施した信号をフレーム音響線信号としてもよい。
<動作>
以上の構成からなる超音波診断装置100の動作について説明する。
図11は、受信ビームフォーマ部104のビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。
先ず、ステップS101において、送信部1031は、プローブ101に存する複数の振動子101a中送信開口Txに含まれる各振動子に超音波ビームを送信させるための送信信号を供給する送信処理(送信イベント)を行う。
次に、ステップS102において、受信部1040は、プローブ101での超音波反射波の受信から得た電気信号に基づき受信信号を生成しデータ格納部107に出力し、データ格納部107に受信信号を保存する。プローブ101に存する全ての振動子101aから超音波送信が完了したか否かを判定する(ステップS103)。そして、完了していない場合にはステップS101に戻り、送信開口Txを列方向に移動ステップMpだけ移動させながら送信イベントを行い、完了している場合にはステップS201に進む。
次に、ステップS210において、対象領域設定部1042は、送信イベントに同期して、送信開口Txの位置を示す情報と動き量とに基づき対象領域内Bxを設定する。1回目のループでは初回の送信イベントにおける送信開口Txから求められる超音波照領域Axを含む対象領域Bxが設定される。
次に、観測点同期型ビームフォーミング処理(ステップS220(S221〜S228))に進む。ステップS220では、まず、観測点Pijの位置を示す座標ijを対象領域Bx内の最小値に初期化し(ステップS221、S222)、受信開口設定部1043は、列中心が観測点Pijに最も空間的に近接する振動子Xiと合致するよう受信開口Rx振動子列を選択する(ステップS223)。
次に、観測点Pijについて音響線信号を生成する(ステップS204)。
ここで、ステップS204における、観測点Pijについて音響線信号を生成する動作について説明する。図12は、受信ビームフォーマ部104における観測点Pijについての音響線信号生成動作を示すフローチャートである。図13は、受信ビームフォーマ部104における観測点Pijについての音響線信号生成動作を説明するための模式図である。
まず、ステップS2241において、送信時間算出部1044は、対象領域Bx内に存在する任意の観測点Pijについて、送信された超音波が被検体中の観測点Pijに到達する送信時間を算出する。送信時間は、(1)観測点Pijの深さがフォーカス深さ以上の場合には、幾何学的に定まる受信開口Rx内の受信振動子Riから送信フォーカス点Fを経由して観測点Pijに至る経路(401+402)の長さを超音波の音速csで除することにより、(2)観測点Pijがフォーカス深さより浅い場合には、幾何学的に定まる、受信開口Rx内の受信振動子Riから送信フォーカス点Fに至る経路と観測点Pijからフォーカス点に至る経路との差分(401−402)の長さを、超音波の音速csで除することにより、算出できる。
次に受信開口Rxから求められる受信開口Rx内の受信振動子Riの位置を示す座標iを受信開口Rx内の最小値に初期化し(ステップS2242)、送信された超音波が被検体中の観測点Pijで反射され受信開口Rxの受信振動子Riに到達する受信時間を算出する(ステップS2243)。受信時間は、幾何学的に定まる観測点Pijから受信振動子Riまでの経路403の長さを超音波の音速csで除することにより算出できる。さらに、送信時間と受信時間の合計から、送信開口Txから送信された超音波が観測点Pijで反射して受信振動子Riに到達するまでの総伝播時間を算出し(ステップS2244)、受信開口Rx内の各受信振動子Riに対する総伝播時間の差異により、各受信振動子Riに対する遅延量を算出する(ステップS2245)。
受信開口Rx内に存在する全ての受信振動子Riについて遅延量の算出を完了したか否かを判定し(ステップS2246)、完了していない場合には座標iをインクリメント(ステップS2247)して、更に受信振動子Riについて遅延量の算出を行い(ステップS2243)、完了している場合にはステップS2248に進む。この段階では、受信開口Rx内に存在する全ての受信振動子Riについて観測点Pijからの反射波到達の遅延量が算出されている。
ステップS2248において、遅延処理部1047は、受信開口Rx内の受信振動子Riに対応する受信信号の列から、各受信振動子Riに対する遅延量を差引いた時間に対応する受信信号を観測点Pijからの反射波に基づく受信信号として同定する。
次に、重み算出部1048は、受信開口Rxの列方向の中心に位置する振動子に対する重みが最大となるよう各受信振動子Riに対する重み数列を算出する(ステップS2249)。加算部1049は、各受信振動子Riに対応して同定された受信信号に、各受信振動子Riに対する重みを乗じて加算して、観測点Pijに対する音響線信号を生成し(ステップS2250)、生成された観測点Pijについて音響線信号はデータ格納部107に出力され保存される(ステップS2251)。
次に、図11に戻り、座標ijをインクリメントしてステップS207を繰り返すことにより、対象領域Bx内の座標ijに位置する全ての観測点Pij(図13中の「・」)について音響線信号が生成される。対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijについて音響線信号の生成を完了したか否かを判定し(ステップS225、S227)、完了していない場合には座標ijをインクリメント(ステップS226、S228)して、観測点Pijについて音響線信号を生成し(ステップS224)、完了した場合にはステップS230に進む。この段階では、1回の送信イベントに伴う対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijについてのサブフレームの音響線信号が生成され、データ格納部107に出力され保存されている。
次に、全ての送信イベントについて、サブフレームの音響線信号の生成が終了したか否かを判定し(ステップS230)、終了していない場合には、ステップS210に戻り、観測点Pijの位置を示す座標ijを、次の送信イベントでの送信開口Txから求められる対象領域Bx内の最小値に初期化し(ステップS221、S222)、受信開口Rxを設定する(ステップS223)し、終了している場合にはステップS301に進む。
次に、ステップS301において、加算処理部11401は、データ格納部107に保持されている複数のサブフレーム音響線信号を読み出し、観測点Pijの位置を指標として複数のサブフレーム音響線信号を加算して各観測点Pijに対する合成音響線信号を生成してフレーム音響線信号を合成する。次に、増幅処理部11402は、フレーム音響線信号に含まれる各合成音響線信号の加算回数に応じて決定された増幅率を各合成音響線信号に乗じ(ステップS302)、増幅されたフレーム音響線信号を、超音波画像生成部105及びデータ格納部107に出力し(ステップS303)処理を終了する。
<まとめ>
以上、説明したように本実施の形態に係る超音波診断装置100によれば、合成開口法により、異なる送信イベントにより生成された同一位置にある観測点Pについての音響線信号に重ね合わせて合成する。これにより、複数の送信イベントに対して送信フォーカス点F以外の深度にある観測点Pにおいても、仮想的に送信フォーカスを行った効果が得られ空間分解能と信号S/N比を向上することができる。
また、超音波診断装置100では、サブフレーム音響線信号の生成されるべき対象領域を、列方向の幅が少なくとも移動ピッチ以上であるように設定される。これにより、移動ピッチに関わらず、ある送信イベントに係る対象領域と、次の送信イベントに係る対象領域との間に、重畳数が0となる欠損領域が生じない。そのため、欠損領域に起因する画質劣化を防ぎつつ、移動ピッチを大きくとることでフレームレートを向上させることが可能となる。
また、超音波診断装置100では、受信開口設定部1043は、列中心が観測点Pに最も空間的に近接する振動子と合致するよう受信開口Rx振動子列を選択し、送信イベントに依存せず観測点Pの位置に基づいて、観測点Pを中心として対称な受信開口を用いて受信ビームフォーミングを行う。そのため、送信フォーカス点Fを横軸方向に変化(移動)させる送信イベントに同期せず、受信開口の位置が一定となり、異なる送信イベントにおいても同一の観測点Pに対して同一の受信開口にて整相加算を行うことができる。併せて、観測点Pからの反射波を、観測点Pから距離が小さい振動子ほど大きな重み数列が適用されることができるので、超音波が伝播距離に依存して減衰することを鑑みても、観測点Pに対して最も感度よく反射波を受信することができる。その結果、局所的に高い空間分解能と信号S/N比を実現できる。
≪変形例1≫
実施の形態1に係る超音波診断装置100では、受信開口設定部1043は、列中心が観測点Pに最も空間的に近接する振動子と合致するよう受信開口Rxを選択する構成とした。しかしながら、受信開口Rxの構成は、送信開口Txから送信された超音波が送信フォーカス点Fを経由して超音波照領域Ax内の観測点Pijで反射され受信開口Rxの受信振動子Riに到達するまでの総伝播時間を算出して総伝播経路に基づく遅延制御を行なうことで、超音波照領域Ax内に位置する対象領域Bx内の全ての観測点Pijについての音響線信号を生成するものであればよく、受信開口Rxの構成は適宜変更することができる。
変形例1では、列中心が送信開口Tx振動子列の列中心と合致する受信開口Rx振動子列を選択する送信同期型受信開口設定部(以後、「Tx受信開口設定部」)を備えた点で実施の形態1と相違する。Tx受信開口設定部以外の構成については、実施の形態1に示した各要素と同じであり、同じ部分については説明を省略する。
図14は、Tx受信開口設定部により設定された受信開口Rxと送信開口Txとの関係を示す模式図である。変形例1では、受信開口Rx振動子列の列中心が送信開口Tx振動子列の列中心と合致するように受信開口Rx振動子列が選択される。受信開口Rxの中心軸Rxoの位置は、送信開口Txの中心軸Txoの位置と同一であり、受信開口Rxは、送信フォーカス点Fを中心として対称な開口である。したがって、送信イベントにごとに列方向に移動する送信開口Txの位置変化に同期して、受信開口Rxの位置も移動する。
また、受信開口Rxの中心軸Rxo及び送信開口Txの中心軸Txo上に位置する振動子に対する重みが最大となるよう受信開口Rxの各受信振動子Riに対する重み数列(受信アボダイゼーション)は算出される。重み数列は、振動子Xiを中心として対称な分布をなす。重み数列の分布の形状は、ハミング窓、ハニング窓、矩形窓などを用いることができ、分布の形状は特に限定されない。
<動作>
図15は、変形例1に係る超音波診断装置の受信ビームフォーマ部のビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。本フローチャートでは、図11における観測点同期型ビームフォーミング処理(ステップS220(S221〜S228))に替えて送信同期型ビームフォーミング処理(ステップS420(S421〜S428))を行う点にて相違する。ステップS420以外の処理については、図11と同じであり、同じ部分については説明を省略する。
ステップS420の処理において、先ず、ステップS421では、Tx受信開口設定部は、送信イベントに対応して列中心が送信開口Txに含まれる振動子列の列中心と合致する振動子列を受信振動子Riとして選択して受信開口Rxを設定する。
次に、ステップS210で算出した対象領域Bx内の観測点Pijの位置を示す座標ijを対象領域Bx内の最小値に初期化し(ステップS422、S423)、観測点Pijについて音響線信号を生成する(ステップS424)。図16は、変形例1に係る受信ビームフォーマ部における観測点Pijについての音響線信号生成動作を説明するための模式図である。実施の形態1に関する図13とは、送信開口Txと受信開口Rxとの位置関係が異なる。ステップS424における処理方法については、図11におけるステップS224(図12におけるステップS2241〜ステップS2251)と同じである。
座標ijをインクリメントしてステップS424を繰り返すことにより、対象領域Bx内の座標ijに位置する全ての観測点Pij(図16中の「・」)について音響線信号が生成される。対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijについて音響線信号の生成を完了したか否かを判定し(ステップS425、S427)、完了していない場合には座標ijをインクリメント(ステップS426、S428)して、観測点Pijについて音響線信号を生成し(ステップS424)、完了している場合にはステップS230に進む。この段階で、1回の送信イベントに伴う対象領域Bx内に存在する全ての観測点Pijのサブフレームの音響線信号が生成されデータ格納部107に出力され保存されている。
<効果>
以上説明した、変形例1に係る超音波診断装置では、実施の形態1において示した効果のうち観測点同期型の受信開口に関する部分を除いた効果に変えて、以下の効果を奏する。すなわち、変形例1では、Tx受信開口設定部は送信イベントに対応して列中心が送信開口Txに含まれる振動子列の列中心と合致する振動子列を受信振動子として選択して受信開口Rxを設定する。そのため、受信開口Rxの中心軸Rxoの位置は、送信開口Txの中心軸Txoの位置と同一であり、送信イベントにごとに列方向に移動する送信開口Txの位置変化に同期して、受信開口Rxの位置も変化(移動)する。よって、送信イベントに同期してそれぞれ異なる受信開口にて整相加算を行うことができ、複数の送信イベントにわたって受信時刻は異なるものの、結果としてより一層広い受信開口を用いた受信処理の効果が得られ、広い観測領域で空間分解能を均一にすることができる。
≪実施の形態2≫
実施の形態1に係る超音波診断装置100では、超音波主照射領域Axの内外を区別することなく、整相加算部1041がサブフレーム音響線信号を生成して合成部1140がフレーム音響線信号を合成する構成とした。しかしながら、上述したように、超音波主照射領域Axの外部では、超音波主照射領域Axの内部と比較して、超音波送信波の振幅の低下、位相の乱れがあるため空間分解能や信号S/N比が低い。したがって、観測点Pijが、第1送信イベントでは超音波主照射領域Axの内部である対象領域Bxの内部にあり、第2送信イベントでは超音波主照射領域Axの外部である対象領域Bxの内部にある場合、第1送信イベントで取得された空間分解能や信号S/N比が高いサブフレーム音響線信号と、第2送信イベントで取得された空間分解能や信号S/N比が低いサブフレーム音響線信号とを合成することになる。そのため、観測点Pijに対応する超音波画像の画質は、第1送信イベントで取得されたサブフレーム音響線信号のみを用いたほうが向上することになる。
実施の形態2に係る超音波診断装置では、サブフレーム音響線信号を超音波主照射領域Axの内外それぞれについて生成し、サブフレーム音響線信号を超音波主照射領域Axの内外それぞれについて合成し、これらを結合してフレーム音響線信号を生成する点で、実施の形態1と相違する。
<構成>
以下、実施の形態2に係る超音波診断装置について、図面を参照しながら説明する。図17は、実施の形態2に係る超音波診断装置の受信ビームフォーマ部104Aの構成を示す機能ブロック図である。実施の形態2に係る超音波診断装置は、送信イベントに同期して、2種類の対象領域を設定し、それぞれの対象領域についてのサブフレーム音響線信号を生成する整相加算部1041Aを備える。また、それぞれの対象領域についてのサブフレーム音響線信号をそれぞれ合成して部分音響線信号を生成し、これらを結合してフレーム音響線信号を合成する合成部1140Aを備え、これらの構成を備えた点に特徴を有する。対象領域設定部1042A、合成部1140A以外の構成については、実施の形態1に示した各要素と同じであり、同じ部分については説明を省略する。
(1)整相加算部1041A
整相加算部1041Aの対象領域設定部は、送信イベントに同期して、送信ビームフォーマ部103から取得する送信開口Txの位置を示す情報に基づき対象領域内Bxを設定する。
図18は、対象領域Bxを示す模式図である。図18に示すように、対象領域Bxの範囲は、超音波主照射領域Axの内部を含む主領域Bx1と、主領域Bx1に対して列方向に隣接する、超音波主照射領域Ax外部の副領域Bx2とからなる。このとき、実施の形態1と同様に、対象領域Bx全体の列方向の幅の最小値Wfが送信ピッチMp以上となるように設定される。本実施の形態では、主領域Bx1の列方向の幅がWfより狭い深さにおいて、対象領域Bxの列方向の幅がWfとなるように、フォーカス点Fを頂点とする2つの三角形を結合した形状の副領域Bx2が設定される。Wfは、例えば、8素子分の送信ピッチMpに対して10素子分、または、それ以上である。なお、副領域Bx2は、送信ピッチMpだけ移動後の副領域Bx2と、面積の50%以上が重なることが好ましい。これは、連続する2つの送信イベントに係る副領域Bx2の重複面積が大きいと重畳数が2以上となる領域が広くなり、副領域Bx2の画質が向上するからである。このようにすることで、超音波主照射領域Axのほぼ全域とその近傍を含む領域に観測点を設定することができ、照射された超音波の利用効率を向上することができる。
整相加算部1041Aは、設定した対象領域Bx内に存する複数の観測点Pij各々について、観測点から各受信振動子Riが受信した受信信号列を整相加算する。そして、各観測点における音響線信号の列を算出することによりサブフレーム音響線信号を生成する。
実施の形態2では、整相加算部1041Aは、主領域Bx1内の観測点Pijについて主領域音響線信号を生成し、さらに、副領域Bx2内の観測点Pijについて副領域音響線信号を生成する。生成された2つのサブフレームの音響線信号、すなわち、主領域音響線信号と副領域音響線信号とは、それぞれ、データ格納部107に出力され保存される。
(2)合成部1140A
合成部1140Aは、送信イベントに同期して生成されるサブフレーム音響線信号から部分音響線信号を合成する回路である。合成部1140Aは、2つの加算処理部11401A−1、11401A−2と、2つの増幅処理部11402A−1、11402A−21、そして、結合部11403Aを備える。
加算処理部11401A−1、11401A−2は、それぞれ、フレーム音響線信号を合成するための一連のサブフレーム音響線信号の生成が終了したのち、データ格納部107に保持されている複数のサブフレーム音響線信号を読み出す。そして、各サブフレーム音響線信号に含まれる音響線信号が取得された観測点Pijの位置を指標として複数のサブフレーム音響線信号を加算する。本実施の形態では、加算処理部11401A−1は複数の主領域音響線信号を加算対象として主合成音響線信号を合成し、また、加算処理部11401A−2は複数の副領域音響線信号を加算対象として副合成音響線信号を合成する。つまり、合成音響線信号は、主合成音響線信号と副合成音響線信号とで構成される。なお、観測点Pijに対して主領域音響線信号と副領域音響線信号とが存在した場合においても、主領域音響線信号と副領域音響線信号との間の加算は行わない。
図19は、サブフレーム音響線信号からフレーム音響線信号を生成する生成する処理を示す模式図である。図19(a)は、複数の主領域音響線信号を観測点Pの位置を指標として加算し、すべての主領域Bx1を網羅した主合成音響線信号が合成される処理を示す。また、図19(b)は、複数の副領域音響線信号を観測点Pの位置を指標として加算し、すべての副領域Bx2を網羅した副合成音響線信号が合成される処理を示す。
増幅処理部11402A−1、11402A−2はそれぞれ、生成した、主合成音響線信号と副合成音響線信号とに対し、合成において加算が行われた回数に応じて決定した増幅率を、各合成音響線信号に乗じる増幅処理を行う。また、重畳数に応じて決定された振動子列方向において変化する増幅率を合成音響線信号に乗じる処理を行ってもよい。振動子列方向において重畳数が変化する場合に、その変動要因を解消し、振動子列方向において増幅処理後の合成音響線信号の値の均一化が図られる。これにより、主合成音響線信号と副合成音響線信号とが、それぞれ、主部分音響線信号、副部分音響線信号となる。生成された2つの部分音響線信号、すなわち、主部分音響線信号と副部分音響線信号とは、それぞれ、データ格納部107に出力され保存される。
結合部11403Aは、フレーム音響線信号を合成するための主部分音響線信号と副部分音響線信号とを結合してフレーム音響線信号を生成する。
図19(c)は、部分音響線信号からフレーム音響線信号を生成する生成する処理を示す模式図である。まず、観測点Pを、領域501、領域502、領域503、のいずれの内部にあるのかを判定する。ここで、各領域の特徴は以下のとおりである。領域501とは、いずれか1つ以上の送信イベントにおいて主領域Bx1の内部であり、かつ、どの送信イベントにおいても、副領域Bx2の内部でなかった領域である。領域502とは、いずれか1つ以上の送信イベントにおいて副領域Bx2の内部であり、かつ、どの送信イベントにおいても、主領域Bx1の内部でなかった領域である。領域503は、いずれか1つ以上の主領域Bx1の内部であり、かつ、いずれか1つ以上の送信イベントにおいて副領域Bx2の内部である領域である。次に、領域501内の観測点Pについて、観測点Pにおける主部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値とする。一方、領域502内の観測点Pについて、観測点Pにおける副部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値とする。さらに、領域503内の観測点Pについて、観測点Pにおける主部分音響線信号および副部分音響線信号のいずれか一方、または両方を用いて観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値を算出する。本実施の形態においては、領域503内の観測点Pについて、観測点Pにおける主部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値とする。このようにすることで、観測点Pが超音波主照射領域Ax内であったときに取得された主領域音響線信号のみに基づいてフレーム音響線信号の値を算出することができる。そのため、領域503について、領域501と同様に空間分解能や信号S/N比を向上させることができる。
なお、領域503内の観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値の算出方法は、観測点Pにおける主部分音響線信号と副部分音響線信号とに基づく値、例えば、相加平均、相乗平均や一次結合であってもよい。このようにすることで、領域501と領域503との境界において、フレーム音響線信号の値が急激に変化し、領域の界面において画質の向上が十分とならないことを避けることができる。
生成されたフレーム音響線信号は、データ格納部107に出力され保存される。
<動作>
図20は、受信ビームフォーマ部104Aのビームフォーミング処理動作を示すフローチャートである。本フローチャートでは、図11における対象領域設定処理(S201)、音響線信号生成処理(S224)を含む受信ビームフォーカシング処理(S220)、フレーム音響線信号の合成処理(S301)、フレーム音響線信号の増幅処理(S302)のそれぞれに替えて、ステップS210A、ステップS224Aを含むステップS220A、ステップS501、ステップS502の処理を行い、さらにステップS503の処理を行う点で相違する。これ以外の処理については、図11と同じであり、同じ部分については説明を省略する。
ステップS210Aの処理において、整相加算部1041Aの対象領域設定部は、送信イベントに同期して、送信ビームフォーマ部103から取得する送信開口Txの位置を示す情報に基づき、超音波主照射領域Axの内部を含む主領域Bx1と超音波主照射領域Axの外部である副領域Bx2とからなる、対象領域Bxを設定する。
次に、ステップS220Aにおいて、観測点同期型ビームフォーミング処理(S221〜S228)を行う。ここで、ステップS224A以外の動作はステップS220Aと同一であるから、ステップS224Aについてのみ説明する。
ステップS224Aにおいて、整相加算部1041Aは、観測点Pijに対する音響線信号を生成し、音響線信号をデータ格納部107に出力する。このとき、整相加算部1041Aは、観測点Pijが主領域Bx1に含まれている場合は主領域音響線信号として、観測点Pijが副領域Bx2含まれている場合は副領域音響線信号として、データ格納部107に出力する。これにより、主領域Bx1に係る主領域音響線信号と、副領域Bx2に係る副領域音響線信号とがそれぞれ生成される。
全ての送信イベントについて、サブフレームの音響線信号の生成が終了したか否かを判定し(ステップS230)、終了していない場合には、ステップS210Aに戻り、次の送信イベントにおいて、対象領域設定部は、送信ビームフォーマ部103から取得する送信開口Txの位置を示す情報に基づき、主領域Bx1と副領域Bx2とからなる、対象領域Bxを設定する(ステップS210A)。全ての送信イベントについて、処理を終了している場合には、ステップS501に進む。
次に、観測点Pijの位置を指標として複数のサブフレーム音響線信号の主領域音響線信号、副領域音響線信号をそれぞれ加算して各観測点に対する合成音響線信号を生成して部分音響線信号を合成する(ステップS501)。そして、主部分音響線信号、副部分音響線信号のそれぞれに対し、合成における加算回数に応じて決定された増幅率を各合成音響線信号に乗じる(ステップS502)。さらに、主部分音響線信号と副部分音響線信号とを結合し、フレーム音響線信号を生成する(ステップS503)。その後、生成したフレーム音響線信号を超音波画像生成部105及びデータ格納部107に出力して(ステップS303)処理を終了する。
<効果>
以上、説明したように実施の形態2に係る超音波診断装置によれば、実施の形態1に係る超音波診断装置100と同様に、移動ピッチを大きくしても欠損領域が生じず、これによる画質劣化を防ぎつつフレームレートを向上させることが可能となる。図26(a)に、超音波画像の例を示す。データの欠けた欠損領域がないため、フォーカス深さにおける縦縞が図26(d)の超音波画像と比べて目立たない。
さらに、実施の形態2に係る超音波診断装置では、主領域Bx1と副領域Bx2を個別に合成した後にこれらを結合する。そのため、主領域音響線信号のみを合成することでフレーム音響線信号が生成できる観測点Pijについては、副領域音響線信号を合成に用いる場合と比べて空間解像度や信号S/N比を向上させることができる。
≪変形例2≫
実施の形態2に係る超音波診断装置の整相加算部1041Aでは、主領域Bx1と副領域Bx2とで、同一の送信時間の算出方法を用いている構成としている。
これに対し、変形例2に係る整相加算部では、観測点Pijが主領域Bx1と副領域Bx2とのいずれに含まれるかで、送信時間算出部が異なる送信時間の算出方法を用いる点に特徴がある。
<送信時間の算出方法>
以下、送信時間の算出方法について図21を用いて説明する。図21(a)、(b)は本変形例に係る超音波の伝播経路を説明するための模式図である。本変形例において、観測点Pijが主領域Bx1に含まれる場合は、図7(a)、(b)を用いて説明したように、(1)観測点Pijの深さがフォーカス深さ以上の場合は、送信波が経路401を通過する時間と、経路402を通過する時間を合算した値を、(2)観測点Pijがフォーカス深さより浅い場合は、送信波が経路401を通過する時間から、経路402を通過する時間を差し引いた値を、送信時間とする。
一方、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合は、異なる算出方法を用いる。まず、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合に、観測点Pijが主領域Bx1に含まれる場合と同じ算出方法を用いない理由について説明する。図22(a)は、上述したような、観測点Pijが主領域Bx1に含まれる場合と同じ算出方法を説明した図である。図22(a)において、直線613は、素子列101aの列方向と直交する直線であり、点Bは、直線613上において深さがフォーカス深さDfとなる点である。上述したように、(1)フォーカス深さより深い観測点P1に対しては、送信波が経路401を通過する時間と、経路4021を通過する時間を合算した値を送信時間とし、(2)フォーカス深さDfより浅い観測点P2に対しては、送信波が経路401を通過する時間から、経路4022を通過する時間を差し引いた値を送信時間とする。なお、上述したように、フォーカス深さにある観測点Bについては、フォーカス深さより深い観測点と同様に算出してもよいし、フォーカス深さより浅い観測点と同様に算出してもよい。ここで、点P1、B、P2がそれぞれ隣接していたとすると、経路4021と経路4022との長さはそれぞれ、FB間の距離にほぼ一致する。結果、FB間の距離の大きさに応じて、点P1と点P2は近接しているにもかかわらず、送信時間は、2×(FB間の距離)÷被検体中の音速、だけ、差があることになる。特に、FB間の距離が大きくなるほど、この差は大きくなる。そのため、送信時間はフォーカス深さを界面として不連続に変化する。図22(b)に、直線613上の複数の観測点Pijにおける、Pijの深さDと送信時間の関係を示す。フォーカス深さDfを境に送信時間が不連続となるため、整相加算におけるPijに対する遅延量も、フォーカス深さにおいて不連続に変化する。なお、図22(b)では、フォーカス深さにある観測点Bについては、フォーカス深さより深い観測点と同様に算出しているが、フォーカス深さより浅い観測点と同様に算出した場合においても、フォーカス深さにある観測点の送信時間の値が異なる(白丸と黒丸が入れ替わる)だけで、同様にフォーカス深さを境に送信時間が不連続に変化する。結果として、フォーカス深さを界面として、副領域音響線信号の値が不連続的に変化する。これにより、フレーム音響線信号において、フォーカス深さに沿ったノイズが現れるなど、領域502について画質向上の余地が残されている場合がある。例えば、図22(c)に示す超音波画像のように、副領域音響線信号に起因する領域が、フォーカス深さを境に、領域5021と領域5022とで輝度が変化することがあり、これを解決できればより画質が向上する。
本変形例では、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合、以下のように送信時間を送信する。具体的には、図21(a)に示すように、送信開口Txから放射された送信波が、経路601を通って観測点Pijに直接到達したものとして算出する。したがって、送信波が送信素子列の中心から観測点Pijに至る経路601を通過する時間が、送信時間TDとなる。図21(c)に、列方向と直交する直線611上の複数の観測点Pijにおける、Pijの深さと送信時間の関係を示す。
同図に示すように、列方向と直交する直線611上の複数の観測点Pijのそれぞれに対応する送信時間は、観測点Pijの深さに応じて単調増加し、不連続とならない。
また、図21(b)に示すように、送信開口Txから放射された送信波が、観測点Pijと、観測点Pijと同じ深さにある参照点Rとに同時に到達するものとし、送信開口Txから参照点Rまでの最短経路602を用いて算出してもよい。すなわち、送信波が送信振動子列の中心から観測点Pijと同じ深さにある参照点Rに至る経路602を通過する時間が、送信時間TSとなる。なお、経路602は、送信振動子列上で観測点Pijに最も近接する振動子から観測点Pijに至る最短経路603と同じ長さであり、言い換えれば、観測点Pijの深さが経路602の長さと一致する。図21(d)に列方向と直交する直線612上の複数の観測点Pijにおける、Pijの深さと送信時間の関係を示す。同図に示すように、列方向と直交する直線612上の複数の観測点Pijのそれぞれに対応する送信時間は、観測点Pijの深さに応じて単調増加し、不連続とならない。
なお、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合の送信時間の算出方法は、上述の場合に限られず、列方向と直交する直線上の複数の観測点Pijの深さに対して送信時間が連続的に単調増加するものであればよい。例えば、送信開口Tx上のいずれかの位置から、観測点Pijと同じ深さのいずれかの位置までの経路に基づいて、送信時間を算出してもよい。
上述したように送信時間を算出することにより、実施の形態1に示した、移動ピッチを大きくしても欠損領域が生じず、これによる画質劣化を防ぎつつフレームレートを向上させる効果、および、実施の形態2に示した、主領域音響線信号のみを合成することでフレーム音響線信号が生成できる観測点Pijについては、副領域音響線信号を合成に用いることによる空間解像度や信号S/N比の低下を防ぐ効果に加えて、さらに、図26(b)の超音波画像の例を示すように、フォーカス深さにおいて送信時間が不連続になることを抑止し、超音波画像の画質を向上することができる。
≪変形例3≫
変形例2に係る整相加算部では、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合に、送信開口Tx上のいずれかの位置から、観測点Pijと同じ深さのいずれかの位置までの経路に基づいて、送信時間を算出する構成としている。
しかしながら、観測点Pijが主領域Bx1に含まれる場合と副領域Bx2に含まれる場合とで、全く異なる送信時間の算出方法を用いると、主領域Bx1と副領域Bx2との境界で、送信時間が不連続に変化することとなる。そのため、領域501と領域502の境界に沿ってノイズが現れるなど、領域501と領域502の境界で画質の向上が十分でない場合がある。図23(d)は、主領域音響線信号に基づく領域5012と副領域音響線信号に基づく領域5022との境界にノイズが現れた超音波画像を示した模式図である。
これに対し、変形例3に係る整相加算部では、観測点Pijの深さに対して送信時間が連続的に単調増加するように、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合の送信時間を算出することに特徴がある。
<送信時間の算出方法>
以下、観測点Pijが副領域Bx2に含まれる場合の送信時間の算出方法について図23を用いて説明する。図23(a)は、本変形例に係る超音波の伝播経路を説明するための模式図である。図23(a)において、直線610は列方向と直交する直線である。本変形例では、直線610上において、副領域Bx2と主領域Bx1との境界にある境界点R1、R3においては、主領域Bx1内と同じ計算方法で、送信時間を算出する。すなわち、フォーカス深さより深い境界点R1については、送信波が経路401を通過する時間と、経路4021を通過する時間を合算した値を、送信時間とする。また、フォーカス深さより浅い境界点R3については、送信波が経路401を通過する時間から、経路4022を通過する時間を差し引いた値を、送信時間とする。
一方、直線610上において、フォーカス深さDfとなる中間点R2においては、変形例2と同様に、送信時間を算出する。すなわち、経路601を通過する時間を、送信時間とする。
そして、境界点R1と中間点R2の間にある観測点Pijにおいては、主領域Bx1内と同じ計算方法で算出した送信時間TRと、変形例2と同様に算出した送信時間TDとを用いて算出する。なお、送信時間TDの代わりに送信時間TSを用いてもよい。ここでは、送信時間TDを例にとって説明するが、送信時間TSに置き換えた場合も同様である。具体的には、次の条件を満たすように、送信時間TRと送信時間TDと合成する。すなわち、(1)観測点Pijの深さDが増加するのに対し、送信時間が連続的に単調増加する、(2)境界点R1に対して、送信時間が送信時間TRと一致する、(3)中間点R2に対して、送信時間が送信時間TDと一致する、の3つである。図23(b)は、Pijの深さDと送信時間との関係を示したグラフであり、線701は送信時間TRを示し、線702は送信時間TDを示す。本変形例では、Pijの深さDと送信時間との関係が、図23(b)の線703で示されるように、送信時間を算出する。なお、線703は深さD2における線701の切片と深さD1における線701の切片とを直線で結んでいる。しかしながら、送信時間を算出方法は線703で示される場合に限らず、以下の3条件、i)深さD2と深さD1とで線701と重なる、ii)D2〜D1において連続である、iii)D2〜D1において単純増加(右肩上がり)である、を満たしていればよい。
算出方法の例としては、例えば、一時結合を用いることができる。このとき、送信時間TMは以下の式で与えられる。
M=αTR+(1−α)TD
ここで、αの値は、(4)D=Dfであるとき、α=0、(5)D=D1のとき、α=1、の2条件を満たす。具体的には、αは|D−Df|に比例するものとして、例えば、以下の式に示す値としてもよい。
α=|D−Df|/(D1−Df)
すなわち、図23(c)に示す、Pijの深さとαの関係を示すグラフにおいて、折れ線711で示される関係であってもよい。なお、αの具体例は上述の例に限られず、上述の(1)〜(5)の条件を満たしていればよく、曲線712や曲線713で示されるような値であってもよい。
なお、送信時間TMの算出方法は、上述の一時結合に限られず、上述の(1)〜(3)の条件を満たせばよい。例えば、以下の関係であってもよい。
M=TR α×TD (1-α)
この場合においても、TDに替えてTSを用いてもよいのは勿論である。また、この数式を含め、当変形例で述べた各数式において、TDに替えて、TS以外にも、送信開口Tx上のいずれかの位置から観測点Pijと同じ深さのいずれかの位置までの経路に基づいて算出した送信時間など、変形例2で述べた条件(列方向と直交する直線上の複数の観測点Pijの深さに対して送信時間が連続的に単調増加)を満たすような任意の送信時間を用いてよい。
以上のように送信時間を算出することで、観測点Pijに関する送信時間が、Pijの深さDに対して連続的に単調増加するので、観測点Pijに関する音響線信号の値が、深さDに対して不連続にならず滑らかに変動する。図26(b)に超音波画像の一例を示す。本変形例によれば、変形例2に示した効果に加えて、送信時間が深さに対して連続するようにすることで、フォーカス深さや主領域Bx1と副領域Bx2との境界の画質をさらに向上させることができる。
≪変形例4≫
実施の形態2に係る整相加算部1041Aの対象領域設定部は、1の送信イベントに係る対象領域Bxについて、主領域Bx1と副領域Bx2とで重複する領域が生じないように各領域の設定を行うこととしている。
これに対し、本変形例では、主領域Bx1と副領域Bx2とが重なるように対象領域Bxを設定することを特徴とする。
<対象領域Bxの設定>
以下、対象領域Bxの設定、および、主部分音響線信号と副部分音響線信号との結合について説明する。
図24(a)は、本変形例に係る対象領域Bxを示す模式図である。本変形例において、主領域Bx1は、実施の形態2と同じく超音波主照射領域Axの内部に設定される。これに対し、副領域Bx2は、対象領域Bx全体の列方向の幅の最小値Wfが送信ピッチMp以上となるように設定されるが、主領域Bx1の一部にオーバーラップするように、長方形の形状に設定される。すなわち、実施の形態2に係る副領域Bx2を内包し、主領域Bx1を含むように、本変形例に係る副領域Bx2が設定される。
整相加算部は、実施の形態2と同様、設定した対象領域Bx内に存する複数の観測点Pij各々について、観測点から各受信振動子Riが受信した受信信号列を整相加算する。そして、各観測点における音響線信号の列を算出することによりサブフレーム音響線信号を生成する。
合成部は、実施の形態2と同様、各サブフレーム音響線信号に含まれる音響線信号が取得された観測点Pijの位置を指標として複数のサブフレーム音響線信号を加算する。さらに、主領域Bx1から取得された主合成音響線信号と、副領域Bx2から取得された副合成音響線信号とに対し、合成において加算が行われた回数に応じて決定した増幅率を、各合成音響線信号に乗じる増幅処理を行う。そして、フレーム音響線信号を合成するための主部分音響線信号と副部分音響線信号とを結合してフレーム音響線信号を生成する。
本変形例に係る、部分音響線信号からフレーム音響線信号を生成する生成する処理を示す模式図を図24(b)に示す。実施の形態2と同様、観測点Pを、領域501の内部、領域502の内部、領域503の内部、のいずれであるかを判定する。次に、領域501および領域503内の観測点Pについて、観測点Pにおける主部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値とする。一方、領域502内の観測点Pについて、観測点Pにおける副部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値とする。ここで、領域503内の観測点Pについて、観測点Pにおける主部分音響線信号を、観測点Pにおけるフレーム音響線信号の値としているのは、副領域Bx2が主領域Bx1の一部にオーバーラップしている領域について、主領域Bx1から取得した主部分音響線信号を用いたほうが空間解像度および信号S/N比が向上するためである。
このようにすることで、実施の形態2の効果に加え、さらに、副領域Bx2が複雑な形状になることを避けることができる。そのため、副領域音響線信号、および、副部分音響線信号を生成するための演算処理を単純化させることができる。
≪実施の形態に係るその他の変形例≫
(1)各実施の形態および各変形例では、移動ピッチMpが2素子分以上であるとしたが、本発明は必ずしもこの場合に限定されない。例えば、移動ピッチMpが1素子分である場合においても、対象領域Bxの列方向の幅が少なくとも移動ピッチMpより大きい、すなわち、対象領域Bxの列方向の幅が少なくとも1素子分より大きいようにするとしてもよい。このようにすることで、1の送信イベントの対象領域と次の送信イベントの対象領域とが隙間なく必ず重なるようになる。そのため、重なった領域の重畳数を、対象領域Bxを超音波主照射領域Ax内に限るより大きくすることができる。そのため、重なった領域について、超音波画像の画質を向上させることができる。
(2)実施の形態1では、対象領域Bxの範囲は、超音波主照射領域Axの砂時計形状のほぼ全域を含むとしたが、本発明は必ずしもこの場合に限定されない。例えば、対象領域Bxは、超音波主照射領域Axの内部の一部と、超音波主照射領域Axの外部の一部とを含むとしてもよい。具体的には、列方向の幅Wfが移動ピッチMp以上の矩形形状、例えば、図25(a)の模式図に示すように、4素子分の移動ピッチMpに対して幅が10素子分である矩形形状、としてもよい。このとき、対象領域Bxの列方向の幅を送信振動子列の幅に対して小さくすることにより、特にフォーカス深さにおいて、超音波主照射領域Axから遠く離れた観測点を対象領域Bxに含めることを回避し、フレーム音響線信号の空間解像度や信号S/N比が低下することを避けることができる。このようにすることで、図25(b)の模式図に示すように、単純な演算でフレーム音響線信号を合成することができる。
また、超音波主照射領域Axが、1つのフォーカス点Fに集束せずにフォーカス領域に集束する場合も、対象領域Bxの範囲は、超音波主照射領域Axの内部と、超音波主照射領域Axの外部とを含む領域であってよい。また、この場合において、超音波主照射領域Axの内部を主領域Bx1、超音波主照射領域Axの外部を副領域Bx2として、変形例2〜4を適用してもよい。
(3)実施の形態2および変形例2〜4では、合成部が2つの加算処理部と増幅処理部とを備えるとしたが、本発明は必ずしもこの場合に限定されない。例えば、各々1の加算処理部と増幅処理部とが、主領域音響線信号から主部分音響線信号を生成した後、副領域音響線信号から副部分音響線信号を生成する(あるいは、その逆順)、としてもよい。
また、実施の形態2および変形例2〜4において、整相加算部が、対象領域設定部以外の構成を2つずつ備え、主領域音響線信号の生成と副領域音響線信号の生成とを並列に実行してもよい。
また、各実施の形態および各変形例において、 整相加算部と合成部とを1つの構成要素として備え、送信イベントごとに対象領域全体のサブフレーム音響線信号を生成するのではなく、フレーム単位で、観測点ごとに、整相加算によるサブフレーム音響線信号の生成と送信イベントごとのサブフレーム音響線信号の合成とをまとめて行い、1つのフレームに係る複数の送信イベントの受信信号からフレーム音響線信号を直接生成してもよい。なお、この場合においても、1つの送信イベントにおける対象領域内のすべての観測点について整相加算処理を行ってから合成処理を行うことになる。そのため、対象領域全体のサブフレーム音響線信号を形式的に生成するか否かに関わらず、本質的には、対象領域全体のサブフレーム音響線信号を基にフレーム音響線信号の生成を行うことになる。
(4)なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、以下のような場合も本発明に含まれる。
例えば、本発明は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、上記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、上記マイクロプロセッサは、上記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。例えば、本発明の超音波診断装置の診断方法のコンピュータプログラムを有しており、このプログラムに従って動作する(又は接続された各部位に動作を指示する)コンピュータシステムであってもよい。
また、上記超音波診断装置の全部、もしくは一部、またビームフォーミング部の全部又は一部を、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等の記録媒体、ハードディスクユニットなどから構成されるコンピュータシステムで構成した場合も本発明に含まれる。上記RAM又はハードディスクユニットには、上記各装置と同様の動作を達成するコンピュータプログラムが記憶されている。上記マイクロプロセッサが、上記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置はその機能を達成する。
また、上記の各装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1つのシステムLSI(Large Scale Integration(大規模集積回路))から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。なお、LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。上記RAMには、上記各装置と同様の動作を達成するコンピュータプログラムが記憶されている。上記マイクロプロセッサが、上記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。例えば、本発明のビームフォーミング方法がLSIのプログラムとして格納されており、このLSIがコンピュータ内に挿入され、所定のプログラム(ビームフォーミング方法)を実施する場合も本発明に含まれる。
なお、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサー(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。
また、各実施の形態に係る、超音波診断装置の機能の一部又は全てを、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。上記超音波診断装置の診断方法や、ビームフォーミング方法を実施させるプログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。プログラムや信号を記録媒体に記録して移送することにより、プログラムを独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい、また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
上記実施形態に係る超音波診断装置では、記憶装置であるデータ格納部を超音波診断装置内に含む構成としたが、記憶装置はこれに限定されず、半導体メモリ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、磁気記憶装置、等が、超音波診断装置に外部から接続される構成であってもよい。
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
また、上記のステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
また、超音波診断装置には、プローブ及び表示部が外部から接続される構成としたが、これらは、超音波診断装置内に一体的に具備されている構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、プローブは、複数の圧電素子が一次元方向に配列されたプローブ構成を示した。しかしながら、プローブの構成は、これに限定されるものではなく、例えば、複数の圧電変換素子を二次元方向に配列した二次元配列振動子や、一次元方向に配列された複数の振動子を機械的に揺動させて三次元の断層画像を取得する揺動型プローブを用いてもよく、測定に応じて適宜使い分けることができる。例えば、2次元に配列されたプローブを用いた場合、圧電変換素子に電圧を与えるタイミングや電圧の値を個々に変化させることによって、送信する超音波ビームの照射位置や方向を制御することができる。
また、プローブは、送受信部の一部の機能をプローブに含んでいてもよい。例えば、送受信部から出力された送信電気信号を生成するための制御信号に基づき、プローブ内で送信電気信号を生成し、この送信電気信号を超音波に変換する。併せて、受信した反射超音波を受信電気信号に変換し、プローブ内で受信電気信号に基づき受信信号を生成する構成を採ることができる。
また、各実施の形態に係る超音波診断装置、及びその変形例の機能のうち少なくとも一部を組み合わせてもよい。更に上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
さらに、本実施の形態に対して当業者が思いつく範囲内の変更を施した各種変形例も本発明に含まれる。
≪まとめ≫
(1)実施の形態に係る超音波信号処理装置は、超音波プローブに列設された複数の振動子を選択的に駆動して被検体に超音波送信する送信イベントを複数回繰り返すとともに、各送信イベントに同期して被検体から反射超音波を受波し、受波した反射超音波に基づいて生成される複数のサブフレーム音響線信号からフレーム音響線信号を合成する超音波信号処理装置であって、1回の送信イベントにおいて前記複数の振動子から送信振動子列を選択し、前記送信振動子列から超音波が被検体中で集束するように送信し、各送信イベントに同期して、超音波を送信する送信振動子列が列方向に、振動子複数個分のピッチで移動するよう選択する送信部と、各送信イベントに同期して前記複数の振動子から受信振動子列を選択し、前記受信振動子列が被検体内から受波した反射超音波に基づいて、前記受信振動子列の振動子各々に対する受信信号列を生成する受信部と、前記送信イベントごとに、前記被検体内で超音波が集束するエリアに対応する領域を含み、かつ、前記被検体内で超音波が集束するフォーカス深さに対応する列方向の幅が少なくとも前記ピッチ以上である対象領域を設定し、前記対象領域内の複数の観測点について、各観測点から得られた反射超音波に基づく前記受信信号列を整相加算して前記サブフレーム音響線信号を生成する整相加算部と、前記整相加算部が生成した前記複数のサブフレーム音響線信号に基づき、前記フレーム音響線信号を合成する合成部とを備えることを特徴とする。
本開示によれば、一般的な送信ビームフォーミングを用いた合成開口法において、超音波画像の欠損領域が生じないため、これによる画質劣化を伴わずにフレームレートを向上できる。
(2)また、実施の形態に係る上記(1)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記送信振動子列を底辺とし、前記フォーカス深さに対応する前記列方向の幅が最も小さく、かつ、当該幅が前記移動ピッチより小さい砂時計形状の第1対象領域と、少なくとも前記フォーカス深さ近傍において前記第1対象領域と前記列方向に隣接する第2対象領域とを、前記対象領域として設定する、としてもよい。
このようにすることで、位相の揃った超音波が照射される領域を第1対象領域に含めながら、列方向の幅が少なくとも移動ピッチ以上になるように、位相の揃った超音波が照射される領域外に第2対象領域を設けることで、対象領域を拡大することができる。
(3)また、実施の形態に係る上記(2)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、送信された超音波が被検体内の観測点に到達する送信時間を算出し、前記観測点からの超音波が前記受信素子列に含まれる振動子の各々に到達する受信時間と、前記送信時間との和を、送信された超音波が前記観測点で反射され前記受信素子列に含まれる振動子の各々へ到達するまでの総伝播時間として算出し、前記受信素子列に含まれる振動子の各々に対する遅延量を当該総伝播時間から算出して整相加算を行う、としてもよい。
このようにすることで、対象領域内の各観測点について、整相加算でサブフレーム音響線信号を生成することができる。
(4)また、実施の形態に係る上記(3)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第1対象領域内の観測点について、前記観測点の深さが前記フォーカス深さより深い位置の場合は、送信された超音波が前記第1対象領域内であって前記フォーカス深さにある基準点に到達するまでの第1時間に、超音波が前記基準点から前記観測点に到達するまでの第2時間を加算して算出した到達時間を、前記観測点の深さが前記フォーカス深さ未満の場合は、前記第1時間から前記第2時間を減算して算出した到達時間を、前記観測点についての前記送信時間とする、としてもよい。
このようにすることで、第1対象領域内の各観測点について、フォーカス点からの距離に基づいて送信時間を算出して整相加算を行い、サブフレーム音響線信号を生成することができる。
(5)また、実施の形態に係る上記(4)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第2対象領域内の観測点について、前記観測点の深さが前記フォーカス深さより深い位置の場合は、前記第1時間に、超音波が前記基準点から前記観測点に到達するまでの第3時間を加算して算出した第2到達時間を、前記観測点の深さが前記フォーカス深さ未満の場合は、前記第1時間から前記第3時間を減算して算出した第2到達時間を、前記観測点についての前記送信時間とする、としてもよい。
このようにすることで、第2対象領域内の各観測点について、送信フォーカス点からの距離に基づいて送信時間を算出して整相加算を行い、サブフレーム音響線信号を生成することができる。
(6)また、実施の形態に係る上記(4)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第2対象領域内における、少なくとも前記フォーカス深さにある観測点について、送信された超音波が、前記送信振動子列上のいずれかの位置から前記観測点と同じ深さにあるいずれかの位置に到達するまでの時間を前記送信時間とする、としてもよい。
このようにすることで、第2対象領域内の各観測点について、フォーカス深さの観測点と送信フォーカス点との距離が原因でフォーカス深さを境界に送信時間が不連続に変化することを回避することができ、超音波画像の画質をより向上させることができる。
(7)また、実施の形態に係る上記(6)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第2対象領域内の各観測点について、送信された超音波が前記送信振動子列の列中心から前記観測点に到達するまでの時間を、当該観測点についての前記送信時間とする、としてもよい。
このようにすることで、第2対象領域内の各観測点について、送信フォーカス点に依存しない方法で送信時間を算出することができる。
(8)また、実施の形態に係る上記(6)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記第2対象領域内の観測点について、(1)前記観測点が前記第1対象領域との境界に近接している場合には、前記到達時間を前記観測点についての前記送信時間とし、(2)前記観測点の深さが前記フォーカス深さである場合には、送信された超音波が前記送信振動子列上のいずれかの位置から前記観測点と同じ深さにあるいずれかの位置に到達するまでの第2到達時間を、前記観測点についての前記送信時間とし、(3)前記送信振動子列の列方向と直交する直線上の複数の観測点について、観測点の深さの増加に対し前記送信時間が連続的に単調増加する、ように前記送信時間を算出する、としてもよい。
このようにすることで、対象領域内における列方向と直線上の複数の観測点について、送信時間が深さに対して連続的に単調増加するため、第2対象領域内、および、第1対象領域と第2対象領域との境界において超音波画像の画質をより向上させることができる。
(9)また、実施の形態に係る上記(8)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、前記到達時間をT1とし、前記第2到達時間をT2としたとき、当該観測点に係る前記送信時間TMを数式TM=αT2+(1−α)T2を用いて算出し、αの値は、当該観測点が前記フォーカス深さであるときに0、当該観測点が前記第1領域と接しているときに1であり、当該観測点の深さと前記フォーカス深さとの差異に応じて連続的に増加する、としてもよい。
このようにすることで、対象領域内における列方向と直線上の複数の観測点について、単純な方法で、送信時間が深さに対して連続的に単調増加させることができる。
(10)また、実施の形態に係る上記(2)〜(9)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、連続する2つの送信イベントにおいて、前記第2対象領域が列方向において重なるように前記対象領域を設定する、としてもよい。
このようにすることで、第2対象領域における最大重畳数を2以上とすることができ、第2対象領域に係る超音波画像の画質を向上させることができる。
(11)また、実施の形態に係る上記(10)の超音波信号処理装置は、前記整相加算部は、連続する2つの送信イベントにおいて前記第2対象領域が列方向において重なる面積が、前記第2対象領域の面積の50%以上となるように前記対象領域を設定する、としてもよい。
このようにすることで、第2対象領域の50%以上の領域で重畳数を2以上とすることができ、第2対象領域に係る超音波画像の画質を向上させることができる。
(12)また、実施の形態に係る上記(2)〜(11)の超音波信号処理装置は、前記合成部は、前記複数のサブフレーム音響線信号のうち前記第1領域に含まれる部分を合成して第1領域の合成音響線信号を生成し、さらに、前記複数のサブフレーム音響線信号のうち前記第2領域に含まれる部分を合成して第2領域の合成音響線信号を生成し、第1領域の合成音響線信号と第2領域の合成音響線信号とを結合して合成音響線信号を生成する、としてもよい。
このようにすることで、第1領域と第2領域とで、相互に画質に影響を及ぼすことを避け、超音波画像の画質を向上させることができる。
(13)また、実施の形態に係る上記(1)〜(12)の超音波信号処理装置は、前記合成部において加算が行われる数に応じて決定した増幅率を用いて、前記複数のサブフレーム音響線信号のそれぞれを増幅する増幅処理部をさらに備える、としてもよい。
このようにすることで、各観測点の重畳数の違いが画質に影響を及ぼすことを避け、超音波画像の画質を向上させることができる。
(14)また、実施の形態に係る超音波信号処理装置は、超音波プローブに列設された複数の振動子を選択的に駆動して被検体に超音波送信する送信イベントを複数回繰り返すとともに、各送信イベントに同期して被検体から反射超音波を受波し、受波した反射超音波に基づいて生成される複数のサブフレーム音響線信号に基づいてフレーム音響線信号を合成する超音波信号処理装置であって、1回の送信イベントにおいて前記複数の振動子から送信振動子列を選択し、前記送信振動子列から超音波が被検体中で集束するように送信し、各送信イベントに同期して、超音波を送信する送信振動子列が列方向に順次移動するよう選択する送信部と、各送信イベントに同期して前記複数の振動子から受信振動子列を選択し、前記受信振動子列が被検体内から受波した反射超音波に基づいて、前記受信振動子列の振動子各々に対する受信信号列を生成する受信部と、前記送信イベントごとに、前記被検体内で超音波が集束するエリアに対応する領域を含み、かつ、前記被検体内で超音波が集束するフォーカス深さに対応する列方向の幅が少なくとも前記振動子1個の幅より大きい対象領域を設定し、前記対象領域内の複数の観測点について、各観測点から得られた反射超音波に基づく前記受信信号列を整相加算して前記サブフレーム音響線信号を生成する整相加算部と、前記整相加算部が生成した前記複数のサブフレーム音響線信号に基づき、前記フレーム音響線信号を合成する合成部とを備えることを特徴とする。
このようにすることで、移動ピッチが1素子分である場合においても、連続する2つの送信イベントで重複する領域における超音波画像の画質を向上させることができる。
(15)また、実施の形態に係る超音波診断装置は、前記超音波プローブが接続可能に構成された、上記(1)〜(14)の超音波信号処理装置を備える、としてもよい。
このようにすることで、上記の特徴を備えた超音波診断装置を実現できる。
本開示にかかる超音波信号処理装置、超音波診断装置、超音波信号処理方法、プログラム、及びコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体は、従来の超音波診断装置の性能向上、特にフレームレート向上として有用である。また本開示は超音波への適用のみならず、複数のアレイ素子を用いたセンサ等の用途にも応用できる。
1000 超音波診断システム
100 超音波診断装置
101 プローブ
101a 振動子
102 マルチプレクサ部
103 送信ビームフォーマ部
1031 送信部
104、104A 受信ビームフォーマ部
1040 受信部
1041、1041A 整相加算部
1042、1042A 対象領域設定部
1043、1043A 受信開口設定部
1044 送信時間算出部
1045 受信時間算出部
1046 遅延量算出部
1047 遅延処理部
1048 重み算出部
1049 加算部
1140、1140A 合成部
11401、11401A 加算処理部
11402、11402A 増幅処理部
11403A 結合部
105 超音波画像生成部
106 表示部
107 データ格納部
108 制御部
150 超音波信号処理装置

Claims (14)

  1. 複数の振動子を有する超音波プローブと、
    前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせる送信部と、
    前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成する受信部と、
    前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成する遅延量生成部と、
    前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理する遅延処理部と、
    を備え、
    前記遅延量生成部は、
    1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成する送信時間生成部と、
    前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成する受信時間生成部と、
    を有し、
    前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の動子ごとの遅延量を生成し、
    前記送信時間生成部は、
    送信基準点からフォーカス点までの距離よりも送信基準点から前記観測点までの距離が大きい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、
    前記送信基準点から前記フォーカス点までの距離よりも前記送信基準点から前記観測点までの距離が小さい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
    超音波診断装置。
  2. 複数の振動子を有する超音波プローブと、
    前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせる送信部と、
    前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成する受信部と、
    前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成する遅延量生成部と、
    前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理する遅延処理部と、
    を備え、
    前記遅延量生成部は、
    1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成する送信時間生成部と、
    前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成する受信時間生成部と、
    を有し、
    前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の動子ごとの遅延量を生成し、
    前記送信時間生成部は、
    前記観測点がフォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して遠い場合には、送信された超音波が送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、
    前記観測点が前記フォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して近い場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
    超音波診断装置。
  3. 前記遅延処理部は、前記第2の振動子列の各振動子に対する前記受信信号列から、前記遅延量に相当する受信信号値を同定し、同定された受信信号値に基づき前記測点に対する音響線信号を生成する、
    請求項1または2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記送信時間生成部は、前記観測点について、前記送信イベントごとに前記送信時間を1回のみ生成し、
    前記遅延処理部は、複数の送信イベントにおける前記第2の振動子列の各振動子に対する前記受信信号に基づき、前記観測点に対する音響線信号を生成する、
    請求項3に記載の超音波診断装置。
  5. 前記受信時間生成部は、前記観測点と前記第2の振動子列の振動子との距離に基づき、前記受信時間を生成する、
    請求項1からのいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  6. 前記遅延量生成部は、前記送信時間生成部により生成された前記送信時間と、前記受信時間生成部により生成された前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間とを加算することにより、前記第2の振動子列の振動子ごとの遅延量を生成する
    請求項1からのいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  7. 前記受信部は、前記第2の振動子列が得た被検体中からの反射超音波に基づく信号に応じて、前記受信信号列を生成し、
    前記観測点は、前記被検体中に設定される、
    請求項1からのいずれか1項に記載の超音波診断装置。
  8. 超音波プローブの複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせ、
    前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成し、
    前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成し、
    前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理し、
    前記遅延処理後の信号に基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、
    前記遅延量の生成では、
    1回の送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成し、
    前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成し、
    前記生成された送信時間と、前記第2の振動子列の振動子ごとに生成された前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の動子ごとの遅延量を生成し、
    前記送信時間の生成では、
    送信基準点からフォーカス点までの距離よりも送信基準点から前記観測点までの距離が大きい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、
    前記送信基準点から前記フォーカス点までの距離よりも前記送信基準点から前記観測点までの距離が小さい場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
    超音波画像生成方法。
  9. 超音波プローブの複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第1の振動子列から超音波送信を行わせ、
    前記複数の振動子の全てもしくは一部に当たる第2の振動子列が得た反射超音波に基づく信号に応じて、前記第2の振動子列の各振動子に対する受信信号列を生成し、
    前記複数の振動子に対応する複数の遅延量を生成し、
    前記複数の遅延量に基づき、前記各振動子に対する受信信号列を遅延処理し、
    前記遅延処理後の信号に基づき、超音波画像を生成する超音波画像生成方法であって、
    前記遅延量の生成では、
    1つの送信イベントにおいて、送信された超音波が到達する範囲内に位置する1つの観測点について、送信された超音波が前記1つの観測点に到達するまでの送信時間を1回のみ生成し、
    前記1つの観測点からの反射超音波が前記第2の振動子列の振動子の各々に到達する受信時間を生成し、
    前記送信時間と、前記第2の振動子列の振動子ごとに生成された前記受信時間とに基づき、前記第2の振動子列の動子ごとの遅延量を生成し、
    前記送信時間の生成では、
    前記観測点がフォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して遠い場合には、送信された超音波が送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間と前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間とを加算した時間に基づき、前記送信時間を生成し、
    前記観測点が前記フォーカス点よりも前記第1の振動子列に対して近い場合には、送信された超音波が前記送信基準点から前記フォーカス点へ到達する時間から、前記フォーカス点から前記観測点へ到達する時間を減算した時間に基づき、前記送信時間を生成する
    超音波画像生成方法。
  10. 前記遅延処理において、前記第2の振動子列の各振動子に対する前記受信信号列から、前記遅延量に相当する受信信号値を同定し、同定された受信信号値に基づき前記各観測点に対する音響線信号を生成する、
    請求項またはに記載の超音波画像生成方法。
  11. 前記送信時間の生成において、前記観測点について、前記送信イベントごとに前記送信時間を1回のみ生成し、
    前記遅延処理において、複数の送信イベントにおける前記第2の振動子列の各振動子に対する前記受信信号に基づき、前記観測点に対する音響線信号を生成する
    請求項10に記載の超音波診断装置。
  12. 前記受信時間は、前記観測点と前記第2の振動子列の振動子との距離に基づき生成される、
    請求項から11のいずれか1項に記載の超音波画像生成方法。
  13. 前記遅延量は、前記生成された送信時間に、前記第2の振動子列の振動子ごとの前記受信時間加算することにより、前記第2の振動子列の振動子ごとに生成される、
    請求項から12のいずれか1項に記載の超音波画像生成方法。
  14. 前記受信信号列は、前記第2の振動子列が得た被検体中からの反射超音波に基づく信号に応じて生成され、
    前記観測点は、前記被検体中に設定される、
    請求項から13のいずれか1項に記載の超音波画像生成方法。
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