以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図42を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)1に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機1の正面図であり、図2はパチンコ機1の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機1の背面図である。
図1に示すように、パチンコ機1は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠2と、その外枠2と略同一の外形形状に形成され外枠2に対して開閉可能に支持された内枠4とを備えている。外枠2には、内枠4を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠4が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠4には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠4には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠4の前面側には、その前面上側を覆う前扉5と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前扉5および下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前扉5および下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠4の施錠と前扉5の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前扉5は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部5cが設けられている。前扉5の裏面側には2枚の板ガラス8を有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機1の正面側に視認可能となっている。
前扉5には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
前扉5には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部5cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機1においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前扉5の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、前扉5の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機1の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機1においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部5cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機1の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール76,77、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口140、可変入賞装置65、第1スルーゲート66、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠4(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は薄い板材を張り合わせた木材からなり、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に目視できないように形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口140、可変入賞装置65、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の前面中央部分は、前扉5の窓部5c(図1参照)を通じて内枠4の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール77が植立され、その外レール77の内側位置には外レール77と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール76が植立される。この内レール76と外レール77とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール76,77とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール76,77は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール76の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール77の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLEDおよび7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機1の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口140へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口140へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機1が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機1の各種遊技状態を示唆することができる。
なお、本パチンコ機1では、第1入賞口64,第2入賞口140のいずれかに入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機1は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口140へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口140へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機1が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口140に付随する第1電動役物140aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。第1電動役物140aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その第1電動役物140aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口140へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口140に付随する第1電動役物140aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで第1電動役物140aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口140に付随する第1電動役物140aが開放される時間および1回の当たりで第1電動役物140aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口140に付随する第1電動役物140aが開放される時間や、1回の当たりで第1電動役物140aおよび第2電動役物82を開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64、第2入賞口140のいずれかの入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、第1スルーゲート66の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。
また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。このセンターフレーム86の中央に開口される開口部から第3図柄表示装置81が視認可能とされる。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中および下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球が第1スルーゲート66を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機1では、球が第1スルーゲート66を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機1は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口140に付随された第1電動役物140aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口140の第1電動役物140aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する第1電動役物140aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口140および第3入賞口へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する第1電動役物140aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
第1スルーゲート66は、可変表示装置ユニット80の右側の領域において遊技盤に組み付けられる。第1スルーゲート66は、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤を流下する球の一部が通過可能に構成されている。第1スルーゲート66を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球の第1スルーゲート66の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37Bおよび第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、第1スルーゲート66の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲートの組み付け数は2つに限定されるものではなく、3つ以上の複数であっても良い。また、スルーゲートの組み付け位置は可変表示装置ユニット80の左右両側に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の下方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視下方には、球が入賞し得る第2入賞口140が配設されている。第2入賞口140へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64,第2入賞口140は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口140へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口140には第1電動役物140aが付随されている。この第1電動役物140aは開閉可能に構成されており、通常は第1電動役物140aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口140へ入賞しにくい状態となっている。一方、第1スルーゲート66への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、第1電動役物140aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口140へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、第1電動役物140aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中または時短中は、第1電動役物140aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中または時短中は、通常時と比して、第2入賞口140へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口140へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口140へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口140にあるような第1電動役物140aは有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口140に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口140に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、第1スルーゲート66に球を通過させることで、第2入賞口140に付随する第1電動役物140aが開放状態となりやすく、第2入賞口140に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口140へ向けて、可変表示装置ユニット80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、第1スルーゲート66を通過させて第1電動役物140aを開放状態にすると共に、第2入賞口140への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機1は、パチンコ機1の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の右側には可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。パチンコ機1においては、第1入賞口64,第2入賞口140のいずれかの入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の右側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前扉5の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,140,82,にも入賞しなかった球は、第1アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
図3に示すように、パチンコ機1の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113および表示制御装置114、払出制御装置111および発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)および基板ボックス102(払出制御装置111および発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機1を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機1の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機1の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37Bおよび第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機1の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機1の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機1の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバスおよびデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機1の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバスおよびデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバスおよびデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、駆動モータ441,475,476が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113および第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機1の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧およびバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201および払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110および払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110および払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110および払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機1の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5から図98を参照して、動作ユニット200の概略構成について説明する。図5は、動作ユニット200の正面斜視図であり、図6は、動作ユニット200の分解正面斜視図である。また、図7から図9は、動作ユニット200の正面図である。
なお、図7では、左スライド部材430及び右スライド部材450が互いに離間する方向へ最大に後退されると共に、上変位部材530、下変位部材640、回転部材730及び昇降部材820がそれぞれ退避位置に変位された状態が、図8では、図7に示す状態から、左スライド部材430が右スライド部材450側へスライド変位されると共に、上変位部材530及び下変位部材640が張出位置に変位された状態が、図9では、図7に示す状態から、回転部材730及び昇降部材820が張出位置に変位された状態が、それぞれ図示される。
図5及び図6に示すように、動作ユニット200は、箱状に形成される背面ケース300を備え、その背面ケース300の内部空間に、スライドユニット400、上合体ユニット500、下合体ユニット600、突出ユニット700及び昇降ユニット800が回転可能に収容される。
背面ケース300は、正面視略矩形の底壁部301と、その底壁部301の4辺の外縁から正面へ向けて立設される外壁部302とを備え、それら各壁部301,302により一面側(正面側)が開放された箱状に形成される。底壁部301には、その中央に正面視矩形の開口301aが開口形成され、その開口301aを通じて、底壁部301の背面に配設される第3図柄表示装置81(図2参照)が視認可能とされる。
スライドユニット400は、背面ケース300の底壁部301のうちの開口301aの上側部分に配設される正面視矩形横長のベース部材410と、そのベース部材410に上端部分がスライド変位可能に配設される左スライド部材430及び右スライド部材450とを備え、背面ケース300の開口301a(即ち、第3図柄表示装置81)の正面側で、各スライド部材430をそれぞれ独立して左右方向(ベース部材410の長手方向)にスライド変位させる演出を実行可能に形成される。
この場合、左スライド部材430と右スライド部材450とが当接可能に形成されるところ、本実施形態では、左スライド部材430及び右スライド部材450の当接の際に、それらが破損することを抑制する構造が採用される。かかる構造の詳細については後述する。
背面ケース300の底壁部301のうちの開口301aの下側部分には、正面視矩形横長の案内部材419がベース部材410と平行な姿勢で配設され、左スライド部材430及び右スライド部材450が左右方向にスライド変位される際には、それら各スライド部材430,450の下端が、案内部材419と底壁部301との対向間を摺動され案内される。これにより、各スライド部材430,450の下端側が前後方向へがたつくことを抑制できる。
上合体ユニット500は、スライドユニット400におけるベース部材410の正面に配設される正面視矩形横長のベース部材510と、そのベース部材510に変位可能に配設される上変位部材530とを備える。一方、下合体ユニット600は、背面ケース300の底壁部301のうちの開口301aの左側部分および下側部分に配設される正面視略L字形状のベース部材610と、その下ベース部材610に変位可能に配設される下変位部材640とを備える。
上変位部材530は、ベース部材510の背面側に退避される退避位置と背面ケース300の開口301aの正面側へ張り出す張出位置との間で変位可能に形成されると共に、下変位部材640は、ベース部材610の正面側に退避される退避位置と背面ケース300の開口301aの正面側へ張り出す張出位置との間で変位可能に形成され、上変位部材530及び下変位部材640が張出位置に張り出されると、これら両変位部材530,640の側面どうし(上当接部533及び下当接部643)が互いに当接(合体)される。
この場合、互いに近接する方向へ変位した上変位部材530及び下変位部材640が当接される際に、衝撃が発生して、互いが跳ね返されるなど、姿勢が不安定になるおそれがあるところ、本実施形態では、かかる当接時の衝撃を抑制する構造が採用される。かかる構造の詳細については後述する。
突出ユニット700は、背面ケース300の底壁部301のうちの開口301aの下側部分に配設される正面視横長矩形のベース部材710と、そのベース部材710に昇降可能に配設される昇降ベース720と、その昇降ベース720に回転可能に配設される回転部材730とを備え、昇降ベース720は、回転部材730と共に、ベース部材710の正面側に退避される退避位置と背面ケース300の開口301aの正面側へ張り出す張出位置との間で変位(昇降)可能に形成される。
また、突出ユニット700は、回転部材730に出没可能(スライド変位)に配設される突出部材735と、回転部材730に揺動可能に配設される揺動部材732と、これら突出部材735及び揺動部材732を駆動する駆動モータ763(図37参照)とを備える。
突出ユニット700は、突出部材735及び揺動部材732の駆動を1の駆動モータ763により行う。そのため、突出部材735の駆動に必要な駆動力と揺動部材732に必要な駆動力とが重複するため、負荷が大きくなり、駆動モータ763の耐久性の低下を招くおそれがあるところ、本実施形態では、駆動モータ763の負荷を抑制する構造が採用される。かかる構造については後述する。
昇降ユニット800は、上合体ユニット500におけるベース部材510の正面に配設される正面視矩形横長のベース部材810と、そのベース部材810に昇降可能に配設される昇降部材820とを備える。昇降部材820は、ベース部材810の正面側に退避される退避位置と背面ケース300の開口301aの正面側へ張り出す張出位置との間で変位(昇降)可能に形成される。
次いで、図10から図18を参照して、スライドユニット400の詳細構成を説明する。まず、図10から図12を参照して、左スライド部材430及び右スライド部材450をベース部材410に対してスライド変位させる構造について説明する。
図10は、スライドユニット400の正面図である。また、図11は、スライドユニット400の分解正面斜視図であり、図12は、スライドユニット400の分解背面斜視図である。なお、図10から図12では、左スライド部材430が退避位置(右スライド部材450から最も離間された位置)に配置された状態が図示される。
図10から図12に示すように、スライドユニット400は、背面ケース300の底壁部301(図6参照)に配設されるベース部材410と、そのベース部材410に配設される摺動棒部材420と、その摺動棒部材420に摺動可能に連結される左スライド部材430及び右スライド部材450と、それら左スライド部材430及び右スライド部材450を摺動棒部材420に沿ってスライド変位させるための駆動機構とを主に備える。
ベース部材410は、正面視横長矩形に形成され、その長手方向に沿って摺動棒部材420が正面側に配設される。また、ベース部材410には、摺動棒部材420の下方部分から板状の突出板部411が正面側へ向けて水平に突出され、その突出板部411の上面(摺動棒部材420に対面する側)にベース側ラックギヤ412が刻設されると共に、突出板部411の下面に左回転伝達ラックギヤ413及び右回転伝達ラックギヤ414が刻設される。
摺動棒部材420は、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド変位を案内するための断面円形の金属製の棒状体であり、左スライド部材430及び右スライド部材450の摺動孔に挿通されることで、これら両スライド部材430,450を摺動可能に保持する。なお、摺動棒部材420は、その両端が一対の保持部材415によってベース部材410に固定される。
ベース側ラックギヤ412、左回転伝達ラックギヤ413及び右回転伝達ラックギヤ414は、摺動棒部材420の長手方向(即ち、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド方向)に沿って延設されるラックギヤであり、ベース側ラックギヤ412には、左スライド部材430の第1側ピニオンギヤ432が歯合されると共に、左回転伝達ラックギヤ413及び右回転伝達ラックギヤ414は、左スライド部材430及び右スライド部材450の伝達ギヤ437a,457a(図13から図16参照)がそれぞれ歯合される。
左スライド部材430は、正面視矩形横長の第1部材431と、その第1部材431に回転可能に配設される第1側ピニオンギヤ432と、その第1側ピニオンギヤ432が歯合される第2側ラックギヤ433aを有する正面視矩形横長の第2部材433と、その第2部材433の先端側から下方に垂下される正面視矩形縦長の基部材434と、その基部材434の正面側に回転可能に配設される回転部材435と、その回転部材435の背面側に可能に配設される変位部材436と、基部材434のベース部材410に対する運動(スライド変位)を回転部材435に伝達する伝達ギヤ437a〜437fと、を主に備える。
第1部材431は、その第1部材431の長手方向に沿って延設され断面円形の内周面を有する摺動孔を備え、その摺動孔に摺動棒部材420が挿通されることで、摺動棒部材420の軸方向(長手方向)に沿って摺動(スライド変位)可能とされる。即ち、第1部材431は、摺動棒部材420を介して、ベース部材410にスライド変位可能に配設される。
第1部材431には、その上面に第1側ラックギヤ431aが刻設される。第1側ラックギヤ431aは、後述する左駆動ギヤ471が歯合されるラックギヤであり、第1部材431の長手方向に沿って延設される。よって、後述するように、左駆動ギヤ471が回転駆動されると、その回転運動が第1側ラックギヤ431aによって直線運動に変換され、第1部材431が摺動棒部材420に沿ってスライド変位される。
なお、第1部材431には、上述したように、第1側ピニオンギヤ432が回転可能に配設(軸支)され、この第1側ピニオンギヤ432の配設部分(第1部材431の正面側)には、正面視矩形板状のカバー431bが配設される。即ち、カバー431bの背面側に覆設された状態で、第1側ピニオンギヤ432が配設される。
第1側ピニオンギヤ432は、ベース部材410のベース側ラックギヤ412に歯合される。よって、第1部材431が、摺動棒部材420に沿ってスライド変位される、即ち、ベース部材410に対してスライド変位されると、そのスライド変位に伴って、ベース側ラックギヤ412から作用を受けて、第1側ピニオンギヤ432が回転される。
第2部材433は、第1部材431に変位可能に配設(連結)されると共に、先端側の摺動孔に摺動棒部材420が挿通されることで、第1部材431に対して相対変位しつつ、摺動棒部材420に沿って摺動(スライド変位)可能とされる。なお、摺動孔は、断面円形の内周面を備え、第2部材433の長手方向に沿って延設される。
この場合、第2部材433には、その下面に第2側ラックギヤ433aが刻設され、かかる第2側ラックギヤ433aは、第1側ピニオンギヤ432に歯合されている。よって、上述したように、第1部材431のスライド変位に伴って、第1側ピニオンギヤ432が回転されると、その第1側ピニオンギヤ432から作用を受ける(即ち、第1側ピニオンギヤ432の回転が第2側ラックギヤ433aによって直線運動に変換された上で、第2部材433に伝達される)ことで、かかる第2部材433が第1部材431に対して相対変位される。
即ち、ベース部材410のベース側ラックギヤ412と第2部材433の第2側ラックギヤ433aとの両者に、第1部材431の第1側ピニオンギヤ432を歯合させるので、第2部材433に対して、第1部材431の直線運動に伴う駆動力と、第1側ピニオンギヤ432の回転運動に伴う駆動力とを付与することができる。その結果、ベース部材410に対して第1部材431をスライド変位させた場合に、第2部材433を、第1部材431よりも増速された状態で、ベース部材410に対してスライド変位させることができる。
なお、摺動棒部材420には、左スライド部材430と右スライド部材450とが摺動可能に配設され、これら両スライド部材430,450の可動範囲が重複して設定される。よって、左スライド部材430と右スライド部材450とが当接可能とされる。この場合、本実施形態では、左スライド部材430と右スライド部材450とは、第1部材431とラック部材451とが当接され、第2部材433はラック部材451に当接されないように形成される。
右スライド部材450は、正面視矩形横長のラック部材451と、そのラック部材451の基端側から下方に垂下される正面視矩形縦長の基部材454と、その基部材454の正面側に回転可能に配設される回転部材455と、その回転部材455の背面側に可能に配設される変位部材456と、基部材454のベース部材410に対する運動(スライド変位)を回転部材455に伝達するための伝達ギヤ457a〜457fと、を主に備える。
ラック部材451は、そのラック部材451の長手方向に沿って延設され断面円形の内周面を有する摺動孔を基端側に備え、その摺動孔に摺動棒部材420が挿通されることで、摺動棒部材420の軸方向(長手方向)に沿って摺動(スライド変位)可能とされる。即ち、ラック部材451は、摺動棒部材420を介して、ベース部材410にスライド変位可能に配設される。
ラック部材451には、その上面にラックギヤ451aがラック部材451の長手方向に沿って刻設される。ラックギヤ451aには、後述する右駆動ギヤ472が歯合される。よって、後述するように、右駆動ギヤ472が回転駆動されると、その回転運動がラックギヤ451aによって直線運動に変換され、ラック部材451が摺動棒部材420に沿ってスライド変位される。
駆動機構は、ベース部材410の正面に回転可能に軸支される左駆動ギヤ471及び右駆動ギヤ472と、それら各駆動ギヤ471,472にそれぞれ歯合される左ピニオンギヤ473及び右ピニオンギヤ474と、それら各ピニオンギヤ473,474に駆動軸が接続される左駆動モータ475及び右駆動モータ476と、を主に備える。
左駆動ギヤ471及び右駆動ギヤ472は、それぞれ左スライド部材430(第1部材431)の第1側ラックギヤ431a及び右スライド部材450(ラック部材451)のラックギヤ451aにそれぞれ歯合される。よって、左駆動モータ475及び右駆動モータ476によって、左ピニオンギヤ473及び右ピニオンギヤ474を介して、左駆動ギヤ471及び右駆動ギヤ472を回転駆動することで、第1側ラックギヤ431a及びラックギヤ451aを介して、左スライド部材430(第1部材431)及び右スライド部材450(ラック部材451)をそれぞれ独立してスライド変位させることができる。
なお、ベース部材410の正面には、カバー部材416が配設され、それらベース部材410及びカバー部材416の対向面間に各駆動ギヤ471,472及び各ピニオンギヤ473,474が回転可能に保持される。また、各駆動モータ475,476は、カバー部材416の正面側に締結固定される。この場合、カバー部材416には、挿通孔が穿設されており、その挿通孔を介して、各駆動モータ475,476の駆動軸が各ピニオンギヤ473,474に接続される。
次いで、図13から図16を参照して、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド変位に伴って回転部材435,455を回転させる構造について説明する。
図13は、左スライド部材430の分解正面斜視図であり、図14は、左スライド部材430の分解背面斜視図である。
図13及び図14に示すように、基部材434は、第2部材433に連結される背面側基部材434aと、その背面側基部材434aの正面側に配設(覆設)される正面側基部材434bとを備え、それら背面側基部材434a及び正面側基部材434bの対向面間(内部空間)に伝達ギヤ437a〜437fが回転可能に保持(軸支)される。正面側基部材434bには、正面視円形の軸支孔434b1が穿設される。
伝達ギヤ437a〜437fは、上述したように、基部材434のベース部材410に対する運動(スライド変位)を回転部材435に伝達するための歯車群であり、直列に連結(歯合)し合うことで、伝達ギヤ437aを先頭とし伝達ギヤ437fを後尾とする1のギヤトレーン(歯車列)を形成する。
上述したように、先頭の伝達ギヤ437aは、ベース部材410の左回転伝達ラックギヤ413に歯合され、後尾の伝達ギヤ437fには、回転部材435の回転軸435aが同軸に固着される。
よって、ベース部材410に対して左スライド部材430(基部材434)をスライド変位させることで、ベース部材410の左回転伝達ラックギヤ413からの作用によって先頭の伝達ギヤ437aを回転させ、その回転を、伝達ギヤ437b〜437eを介して、後尾の伝達ギヤ437fに伝達し、かかる後尾の伝達ギヤ437fの回転により、回転部材435を回転させることができる。
回転部材435は、背面から同軸に突設される回転軸435a及び支持軸435bを備える。回転軸435aは、回転部材435が基部材434に対して回転する際の回転軸となる部位であり、正面側基部材434bの軸支孔434b1に回転可能に軸支される。この場合、回転軸435aには、伝達ギヤ437fが相対回転不能に同軸に連結される。よって、後述するように、伝達ギヤ437fが回転されることで、回転部材435が基部材434に対して回転される。
支持軸435bは、変位部材436を回転部材435の背面側に回転可能に軸支する部位であり、変位部材436の軸支孔436aに回転可能に挿通される。なお、支持軸435bの先端に凹設された嵌合溝にEリングが嵌合されることで、支持軸435bからの変位部材436の抜け止めが形成される。
変位部材436は、回転部材435の背面側に変位可能に配設される部材であり、軸支孔436aと、逃げ孔436bと、湾曲ラックギヤ436cとを備える。軸支孔436aには、上述したように、回転部材435の支持軸435bが挿通され、これにより、変位部材436が回転部材435に回転可能に軸支される。
逃げ孔436bは、軸支孔436aの軸心を中心とする円環形状を所定の中心角で分断することで円弧状に湾曲した溝状の開口として形成され、その溝幅が回転部材435の回転軸435aの直径よりも若干大きな寸法に設定される。よって、回転部材435に対して変位部材436が変位(軸支孔436aを中心として回転)される際には、回転軸435aを逃げ孔436bに沿って変位させることができ、回転部材435と変位部材436との間の干渉を回避できる。
湾曲ラックギヤ436cは、軸支孔436aの軸心を中心とする周面に沿って刻設されたラックギヤとして形成される。ここで、回転部材435の背面には、駆動モータ441が配設されると共に、その駆動モータ441の駆動軸にはピニオンギヤ442が固着され、かかるピニオンギヤ442が湾曲ラックギヤ436cに歯合される。よって、駆動モータ441によってピニオンギヤ442を正方向または逆方向に回転させることで、変位部材436を回転部材435に対して軸支孔436a(支持軸435b)を回転中心として一方向または他方向へ回転させることができる。
この場合、回転部材435は、その正面視形状が、幅方向の寸法に対して長さ方向の寸法が大きな略長尺状の形状に形成され、長さ方向および幅方向の略中心となる位置に回転軸435aが配置される。変位部材436の正面視形状は、回転部材435をその長さ方向の中心で略二分割した形状に形成される。よって、変位部材436を軸支孔436a(支持軸435b)を回転中心として一方向へ回転させることで、かかる変位部材436を回転部材435の背面側に隠して、遊技者から視認し難くすることができる。
また、回転部材435には、支持軸435bを挟んで変位部材436と反対側に駆動モータ441が配設されるので、回転部材435に変位部材436及び駆動モータ441が配設された構造体の重心位置を、回転部材435の回転軸435aに近接させることができる。よって、かかる構造体の基部材434に対する回転を安定化させることができる。
なお、本実施形態では、軸支孔436a(支持軸435b)を回転中心として変位部材436が一方向へ回転された状態(変位部材436が回転部材435の背面側に隠れる状態)では、回転部材435に変位部材436及び駆動モータ441が配設された構造体の重心位置が、回転部材435の回転軸435aに略一致される。よって、構造体の基部材434に対する回転を安定化させることができる。
一方、軸支孔436a(支持軸435b)を回転中心として変位部材436が他方向へ回転された状態(変位部材436が回転部材435の側方に視認可能に張り出された状態)では、その変位部材436の張り出しの分、上述した構造体の重心位置を、回転部材435の回転軸435aから離間させることができる。これにより、回転部材435の回転方向に応じて、重心位置を調整して、初期動作をスムーズに行わせることができる。
即ち、左スライド部材430のスライド変位を停止状態から開始させる際には、慣性力の影響により、駆動力が大きくなる。この場合、変位部材436を回転部材435の側方に張り出した状態における上述した構造体の重心が、左スライド部材430のスライド変位(即ち、回転部材435の回転)の開始時に、重力方向下方へ変位する側に位置する場合には、変位部材436を回転部材435の側方に張り出させておく(一方向へ回転させておく)ことで、上述した構造体の自重による回転作用により、その回転を補助することができる。これにより、左駆動モータ475(図11参照)の負担を軽減して、左スライド部材430の停止状態からのスライド変位をスムーズに開始させることができる。
一方、変位部材436を回転部材435の側方に張り出した状態における上述した構造体の重心が、左スライド部材430のスライド変位(即ち、回転部材435の回転)の開始時に、重力方向上方へ変位する側に位置する場合には、変位部材436を回転部材435の背面に隠しておく(他方向へ回転させておく)ことで、上述した構造体の重心を回転軸435aに近接(一致)させて、左駆動モータ475の負荷(図11参照)が嵩むことを抑制できる。これにより、左スライド部材430の停止状態からのスライド変位をスムーズに開始させることができる。
また、変位部材436を回転部材435の側方に張り出した状態における上述した構造体の重心が、左スライド部材430のスライド変位(即ち、回転部材435の回転)の停止時に、重力方向上方へ変位する側に位置する場合には、上述した構造体の自重により、その回転を停止させやすくすることができる。これにより、左駆動モータ475(図11参照)の駆動を停止した際に、左スライド部材430を速やかに停止させることができる。
図15は、右スライド部材450の分解正面斜視図であり、図16は、右スライド部材450の分解背面斜視図である。基部材454は、ラック部材451に連結される背面側基部材454aと、その背面側基部材454aの正面側に配設(覆設)される正面側基部材454bとを備え、それら背面側基部材454a及び正面側基部材454bの対向面間(内部空間)に伝達ギヤ457a〜457fが回転可能に保持(軸支)される。正面側基部材454bには、正面視円形の軸支孔454b1が穿設される。
伝達ギヤ457a〜457fは、上述したように、基部材454のベース部材410に対する運動(スライド変位)を回転部材455に伝達するための歯車群であり、直列に連結(歯合)し合うことで、伝達ギヤ457aを先頭とし伝達ギヤ457fを後尾とする1のギヤトレーン(歯車列)を形成する。
上述したように、先頭の伝達ギヤ457aは、ベース部材410の右回転伝達ラックギヤ414に歯合され、後尾の伝達ギヤ457fには、回転部材455の回転軸455aが同軸に固着される。
よって、ベース部材410に対して右スライド部材450(基部材454)をスライド変位させることで、ベース部材410の右回転伝達ラックギヤ414からの作用によって先頭の伝達ギヤ457aを回転させ、その回転を、伝達ギヤ457b〜457eを介して、後尾の伝達ギヤ457fに伝達し、かかる後尾の伝達ギヤ457fの回転により、回転部材455を回転させることができる。
回転部材455は、背面から同軸に突設される回転軸455a及び支持軸455bを備える。回転軸455aは、回転部材455が基部材454に対して回転する際の回転軸となる部位であり、正面側基部材454bの軸支孔454b1に回転可能に軸支される。この場合、回転軸435aには、伝達ギヤ457fが相対回転不能に同軸に連結される。よって、後述するように、伝達ギヤ457fが回転されることで、回転部材455が基部材454に対して回転される。
支持軸455bは、変位部材456を回転部材455の背面側に回転可能に軸支する部位であり、変位部材456の軸支孔456aに回転可能に挿通される。なお、支持軸455bの先端に凹設された嵌合溝にEリングが嵌合されることで、支持軸455bからの変位部材456の抜け止めが形成される。
変位部材456は、回転部材455の背面側に変位可能に配設される部材であり、軸支孔456aと、逃げ孔456bと、湾曲ラックギヤ456cとを備える。軸支孔456aには、上述したように、回転部材455の支持軸455bが挿通され、これにより、変位部材456が回転部材455に回転可能に軸支される。
逃げ孔456bは、軸支孔456aの軸心を中心とする円環形状を所定の中心角で分断することで円弧状に湾曲した溝状の開口として形成され、その溝幅が回転部材455の回転軸455aの直径よりも若干大きな寸法に設定される。よって、回転部材455に対して変位部材456が変位(軸支孔456aを中心として回転)される際には、回転軸455aを逃げ孔456bに沿って変位させることができ、回転部材455と変位部材456との間の干渉を回避できる。
湾曲ラックギヤ456cは、軸支孔456aの軸心を中心とする周面に沿って刻設されたラックギヤとして形成される。ここで、回転部材455の背面には、駆動モータ461が配設されると共に、その駆動モータ461の駆動軸にはピニオンギヤ452が固着され、かかるピニオンギヤ452が湾曲ラックギヤ456cに歯合される。よって、駆動モータ461によってピニオンギヤ452を正方向または逆方向に回転させることで、変位部材456を回転部材455に対して軸支孔456a(支持軸455b)を回転中心として一方向または他方向へ回転させることができる。
この場合、回転部材455は、その正面視形状が、幅方向の寸法に対して長さ方向の寸法が大きな略長尺状の形状に形成され、その長さ方向の一端側に回転軸455aが配設されると共に他端側に駆動モータ461が配設される。また、回転部材455には、支持軸455bを挟んで駆動モータ461と反対側に変位部材456が配設されるので、回転部材455に変位部材456及び駆動モータ461が配設された構造体の重心位置を、回転部材455の一端側に偏心した位置(回転軸455aから離間した位置)に配置することができる。
よって、右スライド部材450のスライド変位(即ち、回転部材455の回転)の開始時には、回転部材455に変位部材456及び駆動モータ461が配設された構造体の重心を、重力方向下方へ変位する側に位置させることで、その構造体の自重を、構造体自身を回転させる方向に作用させることができる。これにより、右駆動モータ476(図11参照)の負担を軽減して、右スライド部材450の停止状態からのスライド変位をスムーズに開始させることができる。
一方、右スライド部材450のスライド変位(即ち、回転部材455の回転)の停止時には、上述した構造体の重心を、重力方向上方へ変位する側に位置させることで、構造体の自重を抵抗として作用させ、構造値の回転を停止させやすくすることができる。これにより、右駆動モータ476(図11参照)の駆動を停止した際に、右スライド部材450を速やかに停止させることができる。
また、後述するように、左スライド部材430(第1部材431)が右スライド部材450(ラック部材451)に当接(衝突)されることで、右スライド部材450が後退される(図10右側へ変位される)際には、上述した構造体の重心を、重力方向上方へ変位する側に位置させることで、構造体の自重を抵抗として作用させ、その構造値の回転による緩衝作用を発揮させることができる。
次いで、図17及び図18を参照して、スライドユニット400の動作について説明する。図17及び図18は、スライドユニット400の正面図であり、左スライド部材430がスライド変位される際の遷移状態が図示される。なお、図17及び図18では、カバー部材416、案内部材419、左駆動モータ475及び右駆動モータ476が取り外された状態が図示される。
図17(a)に示すように、左スライド部材430が退避位置に配置された状態では、第1部材431に対して第2部材433が伸長方向へ最大に相対変位され、基部材434が可動範囲の左端(図17(a)左側、右スライド部材450から最も離間される位置)に配置される。かかる状態から左駆動モータ475(図11参照)が正方向へ駆動されると、左駆動ギヤ471及び第1側ラックギヤ431aの作用により、第1部材431がベース部材410に対して右方向(図17(a)右側、右スライド部材450へ近接する方向)へスライド変位される。
この場合、上述したように、第2部材433の第2側ラックギヤ433aとベース部材410のベース側ラックギヤ412とが互いに平行な姿勢で向い合せに配設され、それら第2側ラックギヤ433a及びベース側ラックギヤ412の両者に歯合された状態で、第1部材431に軸支された第1側ピニオンギヤ432が介設されるので、ベース部材410に対して第1部材431がスライド変位されると、ベース側ラックギヤ412の作用により第1側ピニオンギヤ432が第1部材431と共にスライド変位されつつ回転され、その第1側ピニオンギヤ432の回転が第2側ラックギヤ433aへ作用されることで、第2部材433が第1部材431と同じ方向へスライド変位される。即ち、第2部材433が、第1部材431よりも増速された状態で、ベース部材410に対してスライド変位される。
その結果、図17(b)に示すように、スライド変位の速度が第1部材431よりも相対的に速い第2部材433が、第1部材431に追いつき、第1部材431に対して第2部材433が部分的に重ねられる(第1部材431及び第2部材433の長手方向の全長が短縮される)。
この状態から左駆動モータ475(図11参照)が正方向へ更に駆動され、第1部材431がベース部材410に対して更に右方向(図17(a)右側、右スライド部材450へ近接する方向)へスライド変位されると、図18(a)に示すように、第1部材431に対して第2部材433が短縮方向へ最大に相対変位され、基部材434が可動範囲の右端(図18(a)右側、右スライド部材450に最も近接される位置)、即ち、張出位置に配置される。
一方、図18(a)に示すように、左スライド部材430が張出位置に配置された状態から左駆動モータ475(図11参照)が上述の場合とは逆の逆方向へ駆動されると、左駆動ギヤ471及び第1側ラックギヤ431aの作用により、第1部材431がベース部材410に対して左方向(図18(a)左側、右スライド部材450から離間する方向)へスライド変位される。
この場合にも、上述した場合と同様に、第2部材433の第2側ラックギヤ433a及びベース部材410のベース側ラックギヤ412と、第1部材431に軸支された第1側ピニオンギヤ432との作用により、第2部材433が、第1部材431よりも増速された状態で、ベース部材410に対してスライド変位される。
その結果、図17(b)に示すように、スライド変位の速度が第1部材431よりも相対的に速い第2部材433が、第1部材431よりも先行し、第1部材431に対して第2部材433が伸長方向へ相対変位される(第1部材431及び第2部材433の長手方向の全長が張出位置における全長よりも伸長される)。
この状態から左駆動モータ475(図11参照)が逆方向へ更に駆動され、第1部材431がベース部材410に対して更に左方向(図17(b)左側、右スライド部材450から離間する方向)へスライド変位されると、図17(a)に示すように、第1部材431に対して第2部材433が伸長方向へ最大に相対変位され、基部材434が可動範囲の左端(図17(a)左側、右スライド部材450に最も離間される位置)、即ち、張出位置に配置される。
なお、本実施形態では、第2部材431の先端に被検出部が形成されると共にその被検出を検出する検出センサがベース部材410に配設される(いずれも図示せず)。この場合、検出センサは、第2部材431(左スライド部材430)が退避位置に配置され際にその第2部材431の被検出部を検出可能な位置に配設され、検出センサによって被検出部が検出された場合に、左スライド部材430が退避位置に配置されたとして、左駆動モータ475の駆動が停止される。
一方、張出位置における左駆動モータ475の駆動の停止は、退避位置から張出位置へ向けての左スライド部材430のスライド変位を開始してからの左駆動モータ475の駆動ステップ数を累積加算することにより行われる。即ち、累積加算値が所定値に達した場合に、左スライド部材430が張出位置に配置されたとして、左駆動モータ475の駆動が停止される。
ここで、本実施例では、左スライド部材430のスライド変位の可動範囲(退避位置から張出位置までの範囲)が、右スライド部材450のスライド変位の可動範囲と重複する部分を有する。そのため、両者の可動範囲を大きくして、演出効果を高めることができる。
しかしながら、このように、可動範囲が重複されていると、部品寸法・組立のばらつきや公差に基づくがたつき(隙間)の分の変位量のばらつきに起因して、或いは、制御不良(例えば、駆動ステップ数の累積加算のエラー)の発生に起因して、張出位置までスライド変位された左スライド部材430が右スライド部材450に当接して、破損を招くおそれがある。一方で、破損を抑制するために、左スライド部材430のスライド変位の速度を遅くしたのでは、そのスライド変位に伴う演出効果が損なわれる。
これに対し、本実施形態によれば、左スライド部材430のスライド変位に伴う演出効果を確保しつつ、左スライド部材430及び右スライド部材450の破損を抑制することができるように形成される。
即ち、上述したように、第2部材433の第2側ラックギヤ433a及びベース部材410のベース側ラックギヤ412と、第1部材431に軸支された第1側ピニオンギヤ432との作用により、第2部材433を、第1部材431よりも増速された状態で、ベース部材410に対してスライド変位させることができ、かかる第2部材433に、遊技者から視認される基部材434(回転部材435及び変位部材436)を連結するので、かかる基部材434のスライド変位の速度を速くして、そのスライド変位に伴う演出効果を確保することができる。
一方で、左スライド部材430は、上述したように、第2部材433よりもスライド変位の速度が相対的に遅くされる第1部材431を右スライド部材450(ラック部材451)に当接させるので、その当接の際の衝撃を弱めて、両者の破損を抑制することができる。
なお、本実施形態では、右スライド部材450を、左スライド部材430の張出位置よりも退避位置に近い側に待機(停止)させておき、左スライド部材430を張出位置へ向けてスライド変位させる際に、かかる左スライド部材430を右スライド部材450に当接させると共に左スライド部材430によって右スライド部材450をスライド変位の方向へ押させて、両者を一体の状態でスライド変位させる演出を行うことができる。この場合にも、第2部材433よりもスライド変位の速度が相対的に遅くされる第1部材431を右スライド部材450(ラック部材451)に当接させることができるので、その当接の際の衝撃を弱めて、両者の破損を抑制することができる。
右スライド部材450は、ベース部材410にスライド変位可能に配設されるところ、その右スライド部材450のスライド変位の方向は、左スライド部材430のスライド変位の方向と平行な方向とされる。即ち、右スライド部材450は、張出位置に配置された左スライド部材430と当接可能な位置に配置された状態では(図18(a)参照)、その左スライド部材430から離間する方向(図18(a)右側)へスライド変位するための可動範囲を有しており、その右スライド部材450がスライド変位可能な方向は、左スライド部材430が当接された際にその左スライド部材430のスライド変位を許容する方向とされる。
よって、左スライド部材430が右スライド部材450に当接された際に(図18(a)参照)、左スライド部材430のスライド変位を受け止めつつ右スライド部材450を後退させる(後方へ逃がす)ことで、緩衝作用を発揮させることができる(図18(b)参照)。その結果、左スライド部材430及び右スライド部材450の破損を抑制しやすくできる。
特に、本実施形態では、左スライド部材430と右スライド部材450とのスライド変位の方向が平行とされるので、左スライド部材430が右スライド部材450に当接された際に、右スライド部材450の逃げる動作をスムーズに行わせることができる。よって、緩衝作用を確実に発揮して、両者の破損を抑制しやすくできる。
また、この場合、左スライド部材430と右スライド部材450とで摺動棒部材420を共用することにより、両者のスライド変位の方向を平行とする構成なので、全体としての小型化を図ることができる。即ち、左スライド部材430を案内するための摺動棒部材と、右スライド部材450を案内するための摺動棒部材とを、スライド変位の方向に直交する方向に位置を違えて並設する場合には、その分、スペースが嵩み、大型化を招く。これに対し、本実施形態によれば、1の摺動棒部材420を両スライド部材430,450が兼用することで、スペース効率を向上して、小型化を図ることができる。
右スライド部材450は、上述したように、張出位置に配置された左スライド部材430から離間する方向(図18(a)右側)への可動範囲を有しており、左スライド部材430と非当接となる位置に配置可能とされる。即ち、左スライド部材430を右スライド部材450に当接させない状態を形成することができる。
よって、左スライド部材430を比較的高速でスライド変位させる場合には、上述したばらつきや制御不良に起因して、左スライド部材430の停止位置が目標位置よりも延びることが想定されやすいので、左スライド部材430に右スライド部材450を積極的に当接させる(ストッパとして機能させる)一方で、左スライド部材430を比較的低速でスライド変位させる場合には、その停止位置を目標位置に一致させやすいことから、右スライド部材450を左スライド部材430と非当接となる位置に配置しておくことで、当接回数を減らし、当接に伴う疲労を低減させることができる。その結果、両スライド部材430,450の寿命の向上を図ることができる。
ここで、左スライド部材430は、第1部材431に対して、第2部材433を増速させたるために、これら両部材431,433を別々に設けると共に、ベース側ラックギヤ412及び第2側ラックギヤ433aの間に第1側ピニオンギヤ432を介在させるなどが必要となり、部品点数および摺動部分が嵩むため、重量や駆動抵抗が大きくなる。そのため、その左スライド部材430の駆動に必要な力が比較的大きくなる。
特に、左スライド部材430の初期動作時(停止状態からスライド変位を開始する際)には、慣性力の影響により、駆動に必要な力が最大となる。よって、初期動作(停止状態からスライド変位が開始される際の初速度)が遅くなるため、そのスライド変位に伴う演出効果が阻害されるおそれがある。
この場合、本実施形態では、右スライド部材450が、左スライド部材430に当接可能に形成されると共に、その当接された状態から左スライド部材430を退避位置へ押し返す方向(図18(a)左方向)へスライド変位可能に形成される。よって、左スライド部材430の初期動作(停止状態からスライド変位を開始する動作)を右スライド部材450のスライド変位によって補助することができる。これにより、左スライド部材430を停止状態から速やかにスライド変位させることができる。その結果、初期動作(初速度)を速くして、そのスライド変位に伴う演出効果の向上を図ることができる。
また、右スライド部材450は、左スライド部材430を退避位置へ押し返す方向(図18(a)左方向)へスライド変位される際には、左スライド部材430のうちの第1部材431に当接される(第1部材431を押し返す)ので、左スライド部材430の初期動作を補助する効率を高めることができる。
即ち、右スライド部材450は、左スライド部材430のうちの第2部材433よりもスライド変位の速度が遅い第1部材431に当接されて、その第1部材431を押し返すので、右スライド部材450から左スライド部材430(第1部材431)へ補助力が作用している時間(即ち、停止状態の左スライド部材430を押し返し始めてから、左スライド部材430の速度が右スライド部材450の速度を超えて、左スライド部材430の変位が右スライド部材450変位に先行するまでの時間)をより長くすることができ、その結果、左スライド部材430の初期動作を補助する効率を高めることができる。
ここで、左駆動モータ475の回転駆動力を直線運動に変換して、左スライド部材430(第1部材431)をスライド変位させる機構(左ピニオンギヤ473、左駆動ギヤ471及び第1側ラックギヤ431a)のギヤ比と、右駆動モータ476の回転駆動力を直線運動に変換して、右スライド部材450(ラック部材451)をスライド変位させる機構(右ピニオンギヤ474、右駆動ギヤ472及びラックギヤ451a)のギヤ比とは、異なるギヤ比に設定され、本実施形態では、前者(左スライド部材430)におけるギヤ比が後者(右スライド部材450)におけるギヤ比よりも大きなギヤ比に設定される。
なお、本実施形態では、左ピニオンギヤ473は右ピニオンギヤ474と、第1側ラックギヤ431aはラックギヤ451aと、それぞれ同一の形状に形成されるので、左駆動ギヤ471の歯数が右駆動ギヤ472の歯数よりも多い歯数に設定される。即ち、ギヤ比が大きいとは、駆動モータ(左駆動モータ475又は右駆動モータ476)の駆動軸が1回転する際のラックギヤ(第1側ラックギヤ431a又はラックギヤ451a)のスライド変位の方向への変位量が大きいことを意味する。
これにより、左スライド部材430を停止状態から速やかにスライド変位させやすくできると共に、そのスライド変位の開始後は、左スライド部材450(第2部材433)のスライド変位の速度を高めることができ、その結果、そのスライド変位に伴う演出効果の向上を図ることができる。
即ち、右スライド部材450におけるギヤ比が相対的に小さなギヤ比に設定されることで、より大きな駆動力が発揮可能となるので、右スライド部材450が左スライド部材430を押し返す力を強くして、かかる左スライド部材430の初期動作(停止状態からのスライド変位の開始)を確実に補助することができる。よって、左スライド部材430を停止状態から速やかに直線変位させることができる。
一方、左スライド部材430におけるギヤ比が相対的に大きなギヤ比に設定されていることで、左スライド部材430(第1部材431)のスライド変位の速度を速くすることができるので、その分、第2部材433のスライド変位の速度を高めることができる。よって、そのスライド変位に伴う演出効果の向上を図ることができる。
なお、左スライド部材430の初期動作(停止状態からのスライド変位の開始)をスムーズに行うために、左スライド部材430におけるギヤ比を小さくすると、初期動作はスムーズとなるが、その初期動作の終了後の定常状態において、左スライド部材430(第2部材433)のスライド変位の速度(最大速度)が低くなる。一方、初期動作後の定常状態における左スライド部材430(第2部材433)のスライド変位の速度(最大速度)を高めるために、左スライド部材430におけるギヤ比を大きくすると、最大速度は速くできるが、初期動作(停止状態からのスライド変位の開始)が阻害される(遅くなる)。即ち、左スライド部材430の初期動作をスムーズに行うことと、その初期動作後の定常状態における左スライド部材430(第2部材433)のスライド変位の速度(最大速度)を高めることとの両立は、従来は不可能であったところ、右スライド部材450が左スライド部材430を押し返す構造を採用したことで、かかる両立が初めて可能となったものである。
次いで、図19から図30を参照して、上合体ユニット500及び下合体ユニット600の詳細構成を説明する。まず、図19から図23を参照して、上合体ユニット500について説明する。
図19(a)は、上合体ユニット500の正面図であり、図19(b)は、上合体ユニット500の背面図である。また、図20は、上合体ユニット500の分解正面斜視図であり、図21は、上合体ユニット500の分解背面斜視図である。なお、図19では、上変位部材530が退避位置に配置された状態が図示される。
図19から図21に示すように、上合体ユニット500は、ベース部材510と、そのベース部材510の内部空間にスライド変位可能に配設されるラック部材520と、そのラック部材520に連結される上変位部材530と、ラック部材520をスライド変位させるための駆動機構と、を備える。
ベース部材510は、正面視矩形横長の背面ベース511と、その背面ベース511の正面側に配設(覆設)される正面視矩形横長の正面ベース512とを備え、それら背面ベース511及び正面ベース512の対向面間(内部空間)にラック部材520がスライド変位可能に収容される。
背面ベース511は、直線状に延設される溝状の開口として形成される連結孔511aと、円弧状に湾曲する溝状の開口として形成される案内孔511bと、正面側へ突出されラック部材520の案内溝522に挿通される支持軸511cと、を備える。
連結孔511aは、ラック部材520と上変位部材530とを連結するための開口であり、背面ベース511の長手方向(即ち、ラック部材520のスライド方向)に沿って(平行に)形成される。なお、連結孔511aには、上変位部材530の連結軸531が摺動可能に挿通される。
案内孔511bは、上変位部材530の案内ピン532が摺動可能に挿通される部位であり、ラック部材520のスライド変位に伴って上変位部材530が変位される際に、上変位部材530の案内ピン532が案内孔511bに沿って摺動されることで、上変位部材530の姿勢(向き)が変化される。
ラック部材520は、上変位部材530の連結軸531を回転可能に軸支するための正面視円形の孔である軸支孔521と、直線状に延設される溝状の開口として形成される案内溝522と、その案内溝522の延設方向と平行な方向に沿って刻設されるラックギヤ523とを備え、矩形横長の板状体として形成される。
案内溝522には、背面ベース511の支持軸511cが摺動可能に挿通される。案内溝522に背面ベース511の支持軸511cが挿通されると共に、軸支孔521に上変位部材530の案内ピン532が軸支されると、案内溝522の延設方向が、背面ベース511の連結孔511aの延設方向と平行とされる。よって、ラック部材520のスライド変位の方向が背面ベース511の連結孔511aの延設方向に規定される。
上変位部材530は、正面側から突設される連結軸531及び案内ピン532とを備える。連結軸531は、背面ベース511の連結孔511aを介して、ラック部材520の軸支孔521に回転可能に軸支される断面円形の円柱状体であり、案内ピン532は、背面ベース511の案内孔511bに沿って摺動される断面円形の円柱状体である。
なお、これら連結軸531及び案内ピン532の先端には、軸支孔521よりも大径のカラーC1及び案内孔511bの溝幅よりも大径のカラーC2がそれぞれ固着され、抜け止めとされる。また、上変位部材530には、その側面に上当接部533が形成される。上当接部533は、下変位部材640の下当接部643(図25及び図26参照)に当接される部位であり、連結軸531及び案内ピン532と反対側(先端側)の側面に形成される。
駆動機構は、背面ベース511の正面に回転可能に軸支される駆動ギヤ541と、その駆動ギヤ541に歯合されるピニオンギヤ542と、そのピニオンギヤ542に駆動軸が接続される駆動モータ543と、備える。駆動ギヤ541は、ラック部材520のラックギヤ523に歯合される。よって、駆動モータ543によって、ピニオンギヤ542を介して、駆動ギヤ541を回転駆動することで、ラックギヤ523を介して、ラック部材520を連結孔511aの延設方向に沿ってスライド変位させることができる。
次いで、図22及び図23を参照して、上合体ユニット500の動作について説明する。図22及び図23は、上合体ユニット500の正面図および背面図であり、上変位部材530が退避位置と張出位置との間で変位される際の遷移状態が図示される。
図22(a)及び図23(a)に示すように、上変位部材530が退避位置に配置された状態では、連結軸531及び案内ピン532が、連結孔511a及び案内孔511bの一端側(図23右側)に位置し、上変位部材530が水平姿勢を形成しベース部材510の背面側に隠れた状態で配置される。
かかる状態から駆動モータ543が正方向へ駆動されると、ラック部材520のスライド変位に伴って、連結軸531が連結孔511aに沿って水平方向に変位されると共に、案内ピン532が案内孔511bに沿って案内されることで、図22(b)及び図23(b)に示すように、上変位部材530は、斜めに傾斜されつつ(連結軸531を中心に回転されつつ)、水平方向へ変位される。即ち、上変位部材530の先端側(上当接部533)が曲線状の軌跡を描きつつ下降される。
駆動モータ543が正方向へ更に駆動されると、上変位部材530は、更に斜めに傾斜されつつ(連結軸531を中心に回転されつつ)、水平方向へ変位され、図22(c)及び図23(c)に示すように、その先端側(上当接部533)を下方へ向けた縦姿勢を形成する。即ち、張出位置(第1位置)に配置される。
次いで、図24から図29を参照して、下合体ユニット600について説明する。
図24は、下合体ユニット600の正面図である。また、図25は、下合体ユニット600の分解正面斜視図であり、図26は、下合体ユニット600の分解背面斜視図である。なお、図23では、下変位部材640が退避位置に配置された状態が図示される。
図24から図26に示すように、下合体ユニット600は、ベース部材610と、そのベース部材610の正面側下方に配設される駆動アーム保持部材620と、その駆動アーム保持部材620に基端側が回転可能に保持される駆動アーム630と、その駆動アーム630の先端側が連結される下変位部材640と、その下変位部材640をベース部材610に連結する連結アーム650と、駆動アーム630に付勢力を付与するための付勢ばね660と、駆動アーム630に駆動力を付与する駆動機構と、を備える。
ベース部材610は、正面視略L字の板状体として形成され、その略L字形状の下端における正面から突設される突設基部611と、略L字形状の上端部分における正面から突設される連結軸612とを備える。突設基部611は、駆動アーム保持部材620をベース部材610の正面から突出させた(正面側へ嵩上げした)位置に配設するための部位であり、ベース部材610の下端における縁部に沿って突設される。
駆動アーム保持部材620は、ベース部材610の突設基部611に配設される背面側保持部材621と、その背面側保持部材621の正面側に配設(覆設)される正面側保持部材622とを備え、それら背面側保持部材621及び正面側保持部材622の対向面間(内部空間)に駆動アーム630及び伝達ギヤ671a〜671cが回転可能に保持(軸支)される。
なお、駆動アーム保持部材620は、その背面側保持部材621の背面側が、ベース部材610の突設基部611の突設先端に配設されるので、突設基部611の突設高さの分、駆動アーム保持部材620(背面側保持部材621)の背面とベース部材610の正面との間に所定の空間を形成することができる。本実施形態では、かかる空間に、退避位置に配置された下変位部材640が収容可能に形成されるので、その分、下合体ユニット600の外形を小さくできる。
駆動アーム630は、駆動アーム保持部材620に回転可能に軸支される軸支孔631と、その軸支孔631と同心となる円柱状部分の外周面に沿って複数の歯が刻設される歯車部632と、その歯車部632と反対側の端部に形成される連結孔633とを備え、軸支孔631と連結孔633との間が所定距離だけ離間された長尺状の部材として形成される。
下変位部材640は、正面側から突設される駆動アーム連結軸641及び連結アーム連結軸642を備える。駆動アーム連結軸641は、駆動アーム630の連結孔633に回転可能に連結される断面円形の円柱状体であり、連結アーム連結軸642は、連結アーム650の連結孔651に回転可能に連結される断面円形の円柱状体である。下変位部材640は、駆動アーム630と連結アーム650との間に介設され、駆動アーム630が回転されることで、ベース部材610に対して変位される。
なお、下変位部材640には、その側面に下当接部643が形成される。下当接部643は、上変位部材530の上当接部533(図20及び図21参照)に当接される部位であり、駆動アーム連結軸641及び連結アーム連結軸642を結んだ仮想線から張出方向側(図24右側)へ離間した側の側面に形成される。本実施形態では、下当接部643は、駆動アーム連結軸641及び連結アーム連結軸642を結んだ仮想線と略直交する向きの面として形成される。
連結アーム650は、一端側および他端側に形成される連結孔651,652を備え、これら連結孔651,652には、下変位部材640の連結アーム連結軸642及びベース部材610の連結軸612がそれぞれ回転可能に連結される。よって、駆動アーム630が回転され下変位部材640がベース部材610に対して変位される際には、下変位部材640の連結アーム連結軸642部分における変位軌跡を、ベース部材610の連結軸612を中心とする円弧形状に規定することができる。
付勢ばね660は、金属製のねじりばねであり、巻回部から延びる一方の脚部を駆動アーム保持部材620に係合させると共に他方の脚部を駆動アーム630に係合させ、駆動アーム630を退避位置から張出位置へ向かう回転方向へ付勢する。即ち、下変位部材640が退避位置に配置されると(図27(a)参照)、付勢ばね660の弾性変形(ねじり変形)が最大となり、その弾性回復力により駆動アーム630を、変位部材640を退避位置から張出位置へ変位させる回転方向(図27(a)右回転)へ付勢する。これにより、駆動モータ672の駆動力が補助され、下変位部材640の張り出し方向への初期動作をスムーズに行わせることができる。
駆動機構は、駆動アーム保持部材620の内部に配設される伝達ギヤ671a〜671cと、伝達ギヤ671aに駆動軸が接続されると共に駆動アーム保持部材620(正面側保持部材622)の正面に配設される駆動モータ672と、備える。伝達ギヤ671a〜671cは、駆動モータ672の駆動力を駆動アーム630へ伝達するための歯車群であり、直列に連結(歯合)し合うことで、伝達ギヤ671aを先頭とし伝達ギヤ671cを後尾とする1のギヤトレーン(歯車列)を形成する。
後部の伝達ギヤ671cは、駆動アーム630の歯車部632に歯合される。駆動モータ672が回転駆動されると、その回転駆動力が先頭の伝達ギヤ671aから後尾の伝達ギヤ671cに伝達され、かかる後尾の伝達ギヤ671cが回転される。これにより、伝達ギヤ671cの回転が歯車部632に作用されることで、駆動アーム630が回転される。
次いで、図27を参照して、下合体ユニット600の動作について説明する。図27は、下合体ユニット600の正面図であり、下変位部材640が退避位置と張出位置との間で変位される際の遷移状態が図示される。
図27(a)に示すように、下変位部材640が退避位置に配置された状態では、駆動アーム630が、正面視反時計まわり(図27(a)左回転方向)に最大に回転された回転位置(以下「退避回転位置」と称す)に位置し、基端側(回転中心、即ち、軸支孔631)から先端側(連結孔633)へ向けて下降傾斜する傾倒姿勢とされる。また、連結アーム650は、連結孔651,652を結ぶ方向が鉛直方向に略平行となる縦姿勢とされる。よって、下変位部材640は、水平方向位置が最左方(張出位置から水平方向に最も離間する位置、図27(a)左側)となる位置に配置されると共に、上下方向位置が最下方(張出位置から上下方向に最も離間する位置、図27(a)下側)となる位置に配置される。
かかる状態から駆動モータ672が正方向へ駆動されると、駆動アーム630の正面視時計まわりの回転に伴って、図27(b)に示すように、下変位部材640の駆動アーム連結軸641近傍が上方(図27(b)上側)へ変位されると共に、下変位部材640の連結アーム連結軸642近傍が右方(図27(a)右側)へ変位される。
図27(b)に示す状態から、駆動モータ672が正方向へ更に駆動されると、駆動アーム630の正面視時計まわりの回転に伴って、下変位部材640の駆動アーム連結軸641近傍が更に上方へ変位されると共に、下変位部材640の連結アーム連結軸642近傍が右方へ更に変位される。その結果、図27(c)に示すように、下変位部材640が張出位置に配置される。
なお、張出位置では、駆動アーム630が、正面視時計まわり(図27(c)右回転方向)に最大に回転された回転位置(以下「張出回転位置」と称す)に位置し、この回転位置では、駆動アーム630は、その先端側(連結孔633)が、基端側(回転中心、即ち、軸支孔631)を通る鉛直線を越えた位置に配置される。また、連結アーム650は、連結孔651を最も上方に持ち上げた傾倒姿勢とされる。よって、下変位部材640は、水平方向位置が最右方(退避位置から水平方向に最も離間する位置、図27(c)右側)となる位置に配置されると共に、上下方向位置が最上方(退避位置から上下方向に最も離間する位置、図27(a)上側)から若干下方に下がった位置に配置される。
ここで、図28及び図29を参照して、下合体ユニット600の変位速度について説明する。図28は、退避回転位置、水平回転位置、垂直回転位置および張出回転位置における駆動アーム630の正面模式図である。また、図29(a)から図29(d)は、退避回転位置から張出回転位置まで回転される際の駆動アーム630の部分拡大正面模式図である。
ここで、駆動アーム630は、上述したように、退避回転位置と張出回転位置との間を回転されるところ、以下においては、退避回転位置から角度θ1だけ回転されて駆動アーム630が水平姿勢(軸支孔631及び連結孔633の軸心どうしを結ぶ仮想線が水平方向に対して平行な姿勢)となる回転位置を「水平回転位置」と称すると共に、その水平回転位置から角度θ2だけ回転されて駆動アーム630が起立姿勢(軸支孔631及び連結孔633の軸心どうしを結ぶ仮想線が鉛直方向に対して平行な姿勢)となる回転位置を「鉛直回転位置」と称す。なお、張出回転位置は、鉛直回転位置から角度θ3だけ回転された位置とされる。
この場合、図29(a)は、退避回転位置と水平回転位置との間の区間(角度θ1の範囲)における駆動アーム630に対応し、図29(b)は、水平回転位置における駆動アーム630に対応し、図29(c)は、水平回転位置と垂直回転位置との間の区間(角度θ2の範囲)における駆動アーム630に対応し、図29(d)は、垂直回転位置における駆動アーム630に対応し、図29(e)は、垂直回転位置と退避回転位置との間の区間(角度θ3の範囲)における駆動アーム630に対応する。
なお、駆動モータ672の駆動状態(供給電力)は一定に維持され、よって、駆動アーム630の回転速度は一定とされる。この場合、駆動アーム630が停止状態から回転を介して一定の回転速度に達するまでの過渡期間は十分に小さく、過渡応答はないものと仮定できるものとする。
図28、図29(a)及び図29(b)に示すように、退避回転位置と水平回転位置との間の区間(角度θ1の範囲)では、駆動アーム630は、連結孔633を軸支孔631よりも下方に位置させる傾斜姿勢とされ、退避位置から水平回転位置へ向けて回転されるに従って、連結孔633を上方へ変位させるので、連結孔633の速度V(連結孔633の円弧状の変位軌跡における接線方向の速度)は、上方へ向かう速度成分(速度Vv)が徐々に増加され、水平回転位置で最大とされる。即ち、かかる区間(角度θ1の範囲)では、下変位部材640は、上方へ向けて変位されると共に、その上方へ向かう速度が徐々に増加される。
図28、図29(b)から図29(d)に示すように、水平回転位置と鉛直回転位置との間の区間(角度θ2の範囲)では、駆動アーム630は、連結孔633を軸支孔631よりも上方に位置させる傾斜姿勢とされ、水平回転位置から鉛直回転位置へ向けて回転されるに従って、連結孔633を更に上方へ変位させるので、連結孔633の速度Vは、上方へ向かう速度成分(速度Vv)が徐々に減少され、鉛直回転位置において0とされる。即ち、かかる区間(角度θ2の範囲)では、下変位部材640は、上方へ向けて変位されると共に、その上方へ向かう速度が徐々に減少される。
図28、図29(d)及び図29(e)に示すように、鉛直回転位置と張出回転位置との間の区間(角度θ3の範囲)では、駆動アーム630は連結孔633を軸支孔631よりも上方に位置させる傾斜姿勢とされ、駆動アーム630が水平回転位置から鉛直回転位置へ向けて回転されるに従って、連結孔633を下方へ変位させるので、連結孔633の速度Vは、下方へ向かう速度成分(速度Vv)を有する。即ち、かかる区間(角度θ1の範囲)では、下変位部材640は、下方へ向けて変位される。
このように、下変位部材640の上方へ向かう速度成分Vvが退避位置の近傍において減少されるの、後述するように、退避位置において、下変位部材640が上変位部材530と当接(合体)される際に、その衝撃の発生を抑制できる。よって、下変位部材640が上変位部材530とが互いに跳ね返されることを抑制でき、これら両変位部材530、640の姿勢を安定化できる。
ここで、図28、図29(a)から図29(d)に示すように、退避回転位置と水平回転位置との間の区間(角度θ1の範囲)では、連結孔633の速度Vは、左方へ向かう速度成分Vhが徐々に増加される一方、水平回転位置と鉛直回転位置の間の区間(角度θ2の範囲)では、連結孔633の速度Vは、右方へ向かう速度成分Vhが徐々に増加される。
これにより、下変位部材640は、連結孔633近傍が、退避回転位置と水平回転位置との間の区間(角度θ1の範囲)では、左方へ向けて変位される一方、その変位方向を水平回転位置において反転させ、水平回転位置と鉛直回転位置の間の区間(角度θ2の範囲)では、右方(退避位置へ向かう方向)へ向けて変位される。
即ち、下変位部材640を左方へ向けて水平変位させると共に、最左方で一端停止させた後(水平方向の速度成分Vhを0とした後)、その水平変位の方向を反転させ、右方へ向けて徐々に加速状態で水平変位させることができる。その結果、下変位部材640を水平方向に屈伸させる動作を現出させ、その下変位部材640の動作に躍動感を付与した演出を行うことができる。
特に、本実施形態によれば、水平方向の速度成分Vhを減少させる区間(角度θ1の範囲)では、鉛直方向の速度成分Vvを増加させる一方、水平方向の速度成分Vhを増加させる区間(角度θ2の範囲)では、鉛直方向の速度成分Vvを減少させるので、上述した水平方向に屈伸させる動作を際立たせることができ、その結果、下変位部材640の躍動感をより強いものとして遊技者に印象付けることができる。
一方で、上述したように、下変位部材640が上変位部材530と当接(合体)される際の衝撃を抑制するために、水平回転位置から鉛直回転位置の間の区間(角度θ2の範囲)において、下変位部材640の上方へ向かう速度成分Vvを0まで減少させる構成では、下変位部材640の変位に伴う演出効果が阻害されるおそれがある。これに対し、かかる区間(角度θ2の範囲)では、水平方向の速度成分Vhを増加させることができるので、上方への変位に代えて、水平方向(右方)への変位により、下変位部材640の演出を行うことができ、その結果、演出効果を確保することができる。
この場合、本実施形態によれば、下変位部材640は、駆動アーム630の連結される部分(駆動アーム連結軸641)から上方に離間された部分(連結アーム連結軸642)に連結アーム650が連結されるので、下変位部材640の上方部分(連結アーム連結軸642近傍)を、連結アーム650の連結孔652を回転中心とする回転に伴って、右方へ向けて水平変位させることができる。よって、上述したように、下変位部材640を水平方向に屈伸させる動作を現出させる際には、連結アーム650の回転に伴う右方への水平変位の分、屈伸させる動作を大きくして、下変位部材640の躍動感をより大きなものとすることができる。また、上方への変位に代えて、水平方向(右方)への変位により、下変位部材640の演出を行う際には、その水平方向(右方)への変位を大きくして、演出効果を確保しやすくできる。
次いで、図30を参照して、上合体ユニット500及び下合体ユニット600における上変位部材530及び下変位部材640の張出位置における当接(合体)動作について説明する。
図30は、上合体ユニット500及び下合体ユニット600の正面図であり、上変位部材530及び下変位部材640が退避位置と張出位置との間で変位される際の遷移状態が図示される。
図30(a)から図30(c)に示すように、上変位部材530は、ベース部材510の背面側に隠れた状態とされる退避位置から、駆動モータ543の駆動に伴って、先端側(上当接部533)が曲線状の軌跡を描きつつ下降され、その先端側(上当接部533)を下方へ向けた縦姿勢を形成した状態で、張出位置に配置される。一方、下変位部材640は、水平方向位置が最左方であって、かつ、上下方向位置が最下方となる退避位置から、駆動モータ672の駆動に伴って、駆動アーム630によって押し上げられ、張出位置に配置される。
その結果、張出位置に配置された上変位部材530と下変位部材640とが、それらの上当接部533と下当接部643とを当接させた状態で合体される。これにより、両者が一体化して、所定のキャラクターを形成することができる。なお、本実施形態では、上変位部材530が馬の頭の形状に形成されると共に、下変位部材640が馬の胴体の形状に形成とされ、連結アーム650が馬の脚の形状に形成される。これにより、退避位置において、跳躍する馬のキャラクターが形成される。
ここで、退避位置において、下降する上変位部材530と上昇する下変位部材640とが当接されると、その当接の際に発生する衝撃により、互いが離間する方向へ跳ね返され、それらの姿勢(即ち、キャラクターの形状)が不安定になる。一方で、当接の際の衝撃を弱めるために、上変位部材530及び変位部材640の変位速度を遅くすると、これら両変位部材530,640を一体化させて一つのキャラクターを形成するまでの時間が嵩み、間延びするため、演出の効果が阻害される。
これに対し、本実施形態によれば、下変位部材640が張出位置へ変位される際には、その下変位部材640の速度成分のうちの上方(即ち、上変位部材530)へ向かう速度成分Vvを、張出位置に近接する際に減少させるので、下変位部材640が上変位部材530に当接される際の衝撃の発生を抑制できる。よって、下変位部材640及び上変位部材530が互いに離間する方向へ跳ね返されることを抑制でき、これら両変位部材530,640の姿勢を安定化できる。
また、下変位部材640の上方へ向かう速度成分Vvの減少は、水平回転位置から鉛直回転位置までの間の区間(角度θ2の範囲)において、徐々に行われるので、全体として、下変位部材640の上方へ向かう速度成分Vvを確保することができる。よって、上変位部材530及び下変位部材640を一体化させて一つのキャラクターを形成するまでの時間を短縮して、間延びすることを抑制できる。その結果、演出の効果を高めることができる。
更に、本実施形態によれば、駆動アーム630の先端(連結孔633)を下変位部材640に連結し、その駆動アーム630の回転により下変位部材640を持ち上げる際に、連結部分(連結孔633)に円弧状の軌跡を描かせることで、上方へ向かう速度成分Vvを徐々に減少させる構成なので、かかる下変位部材640の上方へ向かう速度成分Vvの減少を、駆動モータ672の駆動状態を一定として行うことができる。即ち、下変位部材640の位置に応じて駆動モータ672の駆動状態を増減させるなどの複雑な制御を行う必要がない。よって、駆動モータ672の制御を簡素化して、制御コストの削減と信頼性の向上とを図ることができる。
ここで、本実施形態では、駆動アーム630の張出回転位置(即ち、下変位部材640が上変位部材530に当接される張出位置)は、垂直回転位置から更に回転された位置に設定される(図28参照)。よって、下変位部材640の速度成分のうちの上方(即ち、上変位部材530)へ向かう速度成分Vvを、張出位置において、マイナス値とすることができる。即ち、鉛直回転位置から張出回転位置の間の区間(角度θ3の範囲)では、下変位部材640の上下方向の速度成分Vvを、下方(上変位部材530から離間する方向)へ向かう方向の成分とすることができる。
これにより、上変位部材530及び下変位部材640が、退避位置において当接される際には、下変位部材640を上変位部材530から下方へ逃がす(後退させる)ことができるので、衝撃の発生をより確実に抑制できる。よって、両変位部材530,640が互いに離間される方向へ跳ね返されることを抑制でき、それらの姿勢を安定化することができる。
また、このように、下変位部材640の速度成分のうちの上方(即ち、上変位部材530)へ向かう速度成分Vvがマイナス値となる状態で、下変位部材640が張出位置に配置される構成とすることで、下変位部材640或いは上変位部材530の駆動機構における寸法公差・組立公差や制御のばらつきなどに起因して、当接(合体)する位置に位置ずれが生じる場合でも、下変位部材640の上方へ向かう速度成分Vvが減少されている範囲を広くできるので、衝撃が抑制できる範囲で、上変位部材530と当接させやすくすることができる。
次いで、図31から図42を参照して、突出ユニット700について説明する。図31は、突出ユニット700の分解正面斜視図であり、図32は、突出ユニット700の分解背面斜視図である。また、図33は、ベース部材710及び昇降ベース720の正面図であり、ベース部材710に対して昇降ベース720が昇降される際の遷移状態が図示される。
突出ユニット700は、ベース部材710と、そのベース部材710に昇降可能に配設される昇降ベース720と、その昇降ベース720に回転可能に配設される回転部材730と、ベース部材710に対して昇降ベース720を昇降させるための駆動機構と、昇降ベース720に対して回転部材730を回転させるための駆動機構と、を主に備える。
まず、図31から図33を参照して、ベース部材710に対して昇降ベース720を昇降させる構造について説明する。
図31から図33に示すように、ベース部材710は、横幅方向略中央に正面視円形の孔として開口される挿通孔711と、正面から突設される支持軸712と、背面から突設される2本の支持軸713、714と、を備える。挿通孔711には、駆動アーム771の回転軸771aが回転可能に挿通される。また、正面の支持軸712には、連結アーム719の軸支孔719aが回転可能に軸支され、背面の支持軸713,714には、伝達ギヤ772b,772cがそれぞれ回転可能に軸支される。
昇降ベース720は、背面ベース721と、その背面ベース721の正面に位置する正面ベース722と、それら背面ベース721及び正面ベースの下端側に介設される中間ベース723とを備える(図34及び図35参照)。昇降ベース720には、中間ベース723の厚み寸法の分、背面ベース721と正面ベース722とが所定の間隔を隔てて対向され、それら背面ベース721と正面ベース722との対向面間に回転部材730が回転可能に収容(配設)される。
背面ベース721は、幅方向一側がスライドレールSLを介してベース部材710に連結される。スライドレールSLは、伸縮式の直線案内機構であり、その伸縮方向を鉛直方向に沿わせた縦姿勢で配設される。スライドレールSLは、ベース部材710の正面に配設される基端レールと、昇降ベース720(背面ベース721)の背面に配設される先端レールと、それら基端レール及び先端レールの間に介設され基端レール及び先端レールを互いに長手方向へ相対変位可能とする中間レールとを備える。よって、スライドレールSLが伸縮されることで、ベース部材710に対して昇降ベース720を鉛直方向に沿って昇降させることができる。
昇降ベース720の背面ベース721には、幅方向に沿って直線状に延設される摺動溝721aと、回転部材730の回転軸731aを回転可能に軸支するための軸支孔721bとが開口形成される。摺動溝721aには、連結アーム719の摺動ピン719bがカラーCを介して摺動可能に挿通される。後述するように、連結アーム719が駆動アーム771によって駆動され、連結アーム719の摺動ピン719bが摺動溝721aに沿って摺動されることで、昇降ベース720(背面ベース721)が昇降される。
連結アーム719は、ベース部材710の支持軸712に回転可能に軸支される軸支孔719aと、その軸支孔719aと反対側の端部における正面から突設され昇降ベース720(背面ベース721)の摺動溝721aに摺動可能に挿通される摺動ピン719bと、それら軸支孔719a及び摺動ピン719bを結ぶ方向に沿って直線状に延設される被駆動溝719cとを備える。被駆動溝719cには、駆動アーム771の駆動ピン771bがカラーCを介して摺動可能に挿通される。後述するように、駆動アーム771が回転駆動されることで、連結アーム719が軸支孔719aを回転中心として回転される。
ベース部材710に対して昇降ベース720を昇降させるための駆動機構は、ベース部材710の挿通孔711に回転軸771aが回転可能に軸支される駆動アーム771と、その駆動アーム771の回転軸771aに後尾の伝達ギヤ772dが接続される伝達ギヤ772a〜772dと、それら伝達ギヤ772a〜772dのうちの先頭の伝達ギヤ772aに駆動軸が接続されると共にベース部材710の正面に配設される駆動モータ773と、備える。
なお、伝達ギヤ772a〜772dは、駆動モータ773の駆動力を駆動アーム771へ伝達するための歯車群であり、直列に連結(歯合)し合うことで、伝達ギヤ772aを先頭とし伝達ギヤ772dを後尾とする1のギヤトレーン(歯車列)を形成する。
よって、例えば、昇降ベース720が最下方(退避位置)に配置された状態から(図21(a)参照)、駆動モータ773が正方向へ回転駆動されると、その回転駆動力が先頭の伝達ギヤ772aから後尾の伝達ギヤ772dに伝達され、かかる後尾の伝達ギヤ772dが一方向へ回転される。これにより、後尾の伝達ギヤ772dに接続された駆動アーム771が回転軸771aを回転中心として正方向(図33(a)時計まわり)に回転される。その結果、連結アーム719が軸支孔719aを回転中心として起立方向(図33(a)時計まわり)に回転され、昇降ベース720が最上方(張出位置)へ上昇される(図21(c)参照)。
一方、昇降ベース720が最上方(張出位置)に配置された状態(図21(c)参照)から、駆動モータ773が逆方向へ回転駆動されると、その回転駆動力が先頭の伝達ギヤ772aから後尾の伝達ギヤ772dに伝達され、かかる後尾の伝達ギヤ772dが他方向へ回転される。これにより、後尾の伝達ギヤ772dに接続された駆動アーム771が回転軸771aを回転中心として逆方向(図33(c)反時計まわり)に回転される。その結果、連結アーム719が軸支孔719aを回転中心として傾倒方向(図33(c)反時計まわり)に回転され、昇降ベース720が最下方(退避位置)へ下降される(図21(a)参照)。
次いで、図34から図36を参照して、昇降ベース720に対して回転部材730を回転させる構造について説明する。
図34は、昇降ベース720及び回転部材730の分解正面斜視図であり、図35は、昇降ベース720及び回転部材730の分解背面斜視図である。また、図36は、昇降ベース720及び回転部材730の正面図であり、昇降ベース720に対して回転部材730が回転される際の遷移状態が図示される。
図34から図36に示すように、昇降ベース720は、背面ベース721及び正面ベース722と、それら背面ベース721及び正面ベース722の下端側に介設される中間ベース723とを備え、上述したように、背面ベース721の軸支孔721bに回転軸731aが軸支されることで、回転部材730が背面ベース721及び正面ベース722の対向面間に回転可能に収容(配設)される。
回転部材730は、その背面に配設される湾曲ラックギヤ731bを備える。湾曲ラックギヤ731bは、回転軸731aの軸心を中心とする中心角略90度の周面に沿って刻設されたラックギヤとして形成され、伝達ギヤ781aが歯合される。よって、後述するように、伝達ギヤ781aが回転されることで、回転部材730が昇降ベース720に対して回転される。
昇降ベース720に対して回転部材730を回転させるための駆動機構は、昇降ベース720における背面ベース721と中間ベース723の対向間に回転可能に保持される伝達ギヤ781a,781bと、伝達ギヤ781bに駆動軸が接続されると中間ベース723の正面に配設される駆動モータ782と、備える。
ここで、伝達ギヤ781aが湾曲ラックギヤ731bの周方向中央に歯合された状態では、回転部材730は、突出部材735のスライド変位の方向(出没する際の突出または没入の方向)を鉛直方向とする回転位置(以下「中央回転位置)と称す)に配置される(図36(b)参照)。
よって、中央回転位置から、駆動モータ782が正方向へ回転駆動され、伝達ギヤ781a,781bが回転されると、その回転が湾曲ラックギヤ731bに伝達され、回転部材730が回転軸731aを回転中心として正方向(図36(b)時計まわり)に回転される。その結果、回転部材730は、突出部材735のスライド変位の方向を一方(図36(c)右側)へ傾倒させた姿勢に配置される(図36(c)参照)。
この状態(図36(c)参照)から、駆動モータ782が逆方向へ回転駆動され、伝達ギヤ781a,782bが回転されると、その回転が湾曲ラックギヤ731bに伝達され、回転部材730が回転軸731aを回転中心として逆方向(図36(c)反時計まわり)に回転される。その結果、回転部材730は、中央回転位置を経た後、突出部材735のスライド変位の方向を他方(図36(a)左側)へ傾倒させた姿勢に配置される(図36(a)参照)。
次いで、図37から図42を参照して、回転部材730における突出部材735及び揺動部材732を変位させるための構造について説明する。
まず、図37から図39を参照して、回転部材730の全体構成について説明する。図37は、回転部材730の分解正面斜視図であり、図38は、回転部材730の分解背面斜視図である。また、図39は、回転部材730の正面図であり、突出部材735が回転部材730から出没されると共に揺動部材732が揺動される際の遷移状態が図示される。
図37から図39に示すように、回転部材730は、背面ベース731と、その背面ベース731の正面に揺動可能に配設される揺動部材732と、それら揺動部材732及び背面ベース731の間に介設される介設部材733と、背面ベース731の正面に配設される正面ベース734と、その正面ベース734の背面にスライド変位可能に配設される突出部材735と、正面ベース734及び背面ベース731に対して突出部材735及び揺動部材732を変位(スライド変位および揺動)させるための駆動機構と、を備える。
背面ベース731は、正面が開放された正面視略円形の容器状に形成され、外周壁の一部(上方に位置する外周壁)が欠落されると共に、その外周壁が欠落された部分から底壁の一部が上方へ突出される。背面ベース731の背面には、上述したように、昇降ベース720の軸支孔721b(図35参照)に軸支される回転軸731aと、伝達ギヤ781a(図35参照)に歯合される湾曲ラックギヤ731bとが配設される。
また、背面ベース731には、揺動部材732の回転軸732aを回転可能に軸支する一対の軸支孔731cと、揺動部材732の被作用軸732bの先端が摺動可能に挿通される一対の案内孔731dと、介設部材733のスライドピン733bが摺動可能に挿通されるスライド孔731eとが形成される。
軸支孔731cは、断面円形の開口として形成され、案内孔731dは、軸支孔731cの軸心を中心として円弧状に湾曲した溝状の開口として形成され、一端側と他端側との上下方向位置が異なる位置に設定される。よって、案内孔731dに沿って揺動部材732の被作用軸732dの先端が摺動されることで、揺動部材732をその先端側が上下動するように揺動(回転)させることができる。
スライド孔731eは、直線状に延設される溝状の開口として形成され、その延設方向の延長線上に回転軸731aの軸心が位置されると共に、後述する正面ベース734のスライド孔734aと平行に形成される。なお、軸支孔731c及び案内孔731dは、それぞれ一対が、スライド孔731eの延設方向に沿う仮想線に対して対称に配置される。
揺動部材732は、円柱状の軸体として形成される回転軸732a及び被作用軸732bを備え、それら回転軸732a及び被作用軸732bが配設される基端側どうしを対向させた姿勢で一対が配設される。回転軸732aは、背面ベース731の軸支孔731cに回転可能に軸支され、被作用軸732bは、介設部材733の作用孔733aと背面ベース731の案内孔731dとに摺動可能に挿通される。
なお、回転軸732aの先端には、カラーCが締結固定され、カラーCのフランジ部が回転軸732aの抜け止めとされると共に、カラーCの胴部が回転軸732aと軸支孔731cとの間に摺動可能に介在される。同様に、被作用軸732dの先端には、カラーCが締結固定され、カラーCのフランジ部が被作用軸732dの抜け止めとされると共に、カラーCの胴部が被作用軸732dと案内孔731d及び作用孔733aとの間に摺動可能に介在される。
介設部材733は、背面ベース731と揺動部材732との間に介設される板状の部位であり、作用孔733aと、スライドピン733bと、摺動壁733cとを備える。作用孔733aは、介設部材733の昇降(上下方向へのスライド変位)を揺動部材732の被作用軸732bへ伝達するための孔であり、一対が正面視ハの字状となる向きで線対称に配設される。
後述するように、介設部材733が上昇(上方へスライド変位)されると、作用孔733aの内周面が被作用軸732bを上方へ押し上げて、揺動部材732がその先端側を持ち上げる方向へ揺動(回転)される一方、介設部材733が下降(下方へスライド変位)されると、作用孔733aの内周面が被作用軸732bを下方へ押し下げて、揺動部材732がその先端側を振り下ろす方向へ揺動(回転)される。
スライドピン733bは、背面ベース731のスライド孔731eに摺動可能に挿通される円柱状の部位であり、複数本(本実施形態では2本)が、介設部材733の背面から突設されると共に、所定間隔を隔てつつ上述した一対の作用孔733aの対称線上に配置される。よって、介設部材733は、スライドピン733bを介して、背面ベース731のスライド孔731eの延設方向に沿って昇降される。
摺動壁733cは、水平方向(介設部材733のスライド変位の方向に直交する方向)に沿って延設される底面を有する板状の部位として介設部材733の正面から張り出して形成され、その摺動壁733cの底面には、後述する駆動機構における駆動体761のカム部761bが当接される。
よって、駆動体761が回転され、摺動壁733cの底面をカム部761bが摺動されると、カム部761bのカム径(駆動体761の回転中心から摺動壁733cの底面までの距離)の変化(増減)に応じて、介設部材733が昇降(上方または下方へスライド変位)される。即ち、駆動体761の回転に伴って、カム径が増加される際には、介設部材733は、カム部761bによって上方へ押し上げられる一方、カム径が減少される際には、介設部材733は、自重で下降される。
なお、背面ベース731と介設部材733との間には、金属製のコイルスプリングからなる付勢ばね791が弾性的に伸長された状態で介設され、その付勢ばね791の弾性回復力は、介設部材733を下降(下方へスライド変位)させる方向への付勢力として作用される。即ち、介設部材733の下降(下方へのスライド変位)は、重力の作用(介設部材733の自重)に加え、付勢ばね791の付勢力によっても補助される。これにより、後述するように、揺動部材732の傾倒方向(先端を下降させる方向)への揺動(回転)を素早く行わせることができる。
正面ベース734は、正面視円形の板状体であり、背面ベース731の正面(外周壁の端面)に配設される。正面ベース734には、突出部材735のスライドピン735aが摺動可能に挿通されるスライド孔734aが形成される。スライド孔734aは、直線状に延設される溝状の開口として形成され、背面ベース731のスライド孔731eと平行に形成される。
突出部材735は、正面ベース734の背面側にスライド変位可能に配設される長尺板状体であり、スライドピン735aと、摺動孔735bとを備える。スライドピン735aは、正面ベース734のスライド孔734aに摺動可能に挿通される円柱状の部位であり、複数本(本実施形態では2本)が、突出部材735の正面から突設されると共に、所定間隔を隔てつつ突出部材735の長手方向に沿って配置される。よって、突出部材735は、スライドピン735aを介して、正面ベース734のスライド孔734aの延設方向に沿って昇降される。なお、スライドピン735aの先端には、保持板736が締結固定され、スライドピン735aの抜け止めとされる。
摺動孔735bは、突出部材735の長手方向一端側(基端側)に形成される溝状の開口であり、後述する駆動機構における駆動体761の摺動ピン761cが摺動可能に挿通される。よって、駆動体761が回転され、摺動ピン761cが摺動孔735bに沿って摺動されると、その摺動ピン761cによって摺動孔735bの内周面が上方へ押し上げられる又は下方へ押し下げられることで、突出部材735がスライド孔734aに沿って昇降(上方または下方へのスライド変位)される。
なお、正面ベース734と突出部材735との間には、金属製のねじりばねからなる付勢ばね792が弾性的にねじり変形された状態で介設され、その付勢ばね792の弾性回復力は、突出部材735を下降(下方へスライド変位)させる方向への付勢力として作用される。
突出部材735及び揺動部材732を変位(スライド変位および揺動)させるための駆動機構は、背面ベース731の正面に回転可能に配設される駆動体761と、その駆動体761の被駆動ギヤ761aに後尾の伝達ギヤ762dが接続される伝達ギヤ762a〜762eと、それら伝達ギヤ762a〜762eのうちの先頭の伝達ギヤ762aに駆動軸が接続されると共に背面ベース731の背面に配設される駆動モータ763と、備える。
駆動体761のカム部761bは、駆動体761の回転位置に対応した曲面が外周面に形成される円板カムとして形成される部位であり、上述したように、その外周面(カム面)を介設部材733の摺動壁733cの底面に摺動させることで、介設部材733を駆動する(スライド変位させる)。また、駆動体761の摺動ピン761cは、駆動体761の回転中心から偏心する位置に形成され、上述したように、突出部材735の摺動孔735bの内周面に作用することで、突出部材735を駆動する(スライド変位させる)。
なお、伝達ギヤ762a〜762eは、駆動モータ763の駆動力を駆動体761へ伝達するための歯車群であり、直列に連結(歯合)し合うことで、伝達ギヤ762aを先頭とし伝達ギヤ762eを後尾とする1のギヤトレーン(歯車列)を形成する。
よって、例えば、図39(a)に示す状態から、駆動モータ763が正方向へ回転駆動されると、その回転駆動力が先頭の伝達ギヤ762aから後尾の伝達ギヤ762eに伝達され、かかる後尾の伝達ギヤ762eに被駆動ギヤ761aが歯合される駆動体761が一方向へ回転される。
駆動体761が一方向へ回転されると、カム部761bのカム径が減少され、介設部材733が自重によって下降される。これに伴って、介設部材733の作用孔733aに支持されている揺動部材732の被作用軸732bも下降が可能となることで、揺動部材732が、自重によって、その先端側を下方へ変位させる方向へ揺動(回転)される(図39(b)及び図39(c)参照)。
また、上述した駆動体761が一方向へ回転される際には、摺動ピン761cが上下方向位置が上昇される。これにより、摺動ピン761cによって突出部材735の摺動孔735bが押し上げられ、突出部材735が上昇(上方へスライド変位)される(図39(b)及び図39(c)参照)。
一方、図39(c)に示す状態から、駆動モータ763が逆方向へ回転駆動されると、駆動体761が他方向へ回転される。この場合には、カム部761bのカム径が増加され、介設部材733が上昇されることで、その介設部材733の作用孔733aによって揺動部材732の被作用軸732bが押し上げられ、揺動部材732がその先端側を上方へ変位させる方向へ揺動(回転)される。
また、上述した駆動体761が他方向へ回転される際には、摺動ピン761cの上下方向位置が下降される。これにより、摺動ピン761cによって突出部材735の摺動孔735bが押し下げられ、突出部材735が下降(下方へスライド変位)される。
次いで、図40から図42を参照して、回転部材730における突出部材735及び揺動部材732を変位させる構造の詳細について説明する。
図40(a)は、第1回転位置に配置された状態における駆動体761の正面図であり、図40(b)は、第2回転位置に配置された状態における駆動体761の正面図である。なお、図40(a)及び図40(b)では、駆動体761が第1回転位置または第2回転位置に配置された状態における介設部材733の摺動壁733c及び突出部材735の摺動孔735bが二点鎖線により模式的に図示される。
図40(a)及び図40(b)に示すように、駆動体761のカム部761bは、駆動体761が第1回転位置に配置された状態において摺動壁733cに当接されるカム面(位置P1)におけるカム径(半径R1)が最大径に設定されると共に、駆動体761が第2回転位置に配置された状態において摺動壁733cに当接されるカム面(位置P2)におけるカム径(半径R2)が最小径に設定され、位置P1から位置P2へ向かうに従ってカム径が連続的に減少するように形成される。
摺動壁733cは、上述したように、その底面(図40(a)及び図40(b)下側の面)が水平方向(介設部材733のスライド変位の方向に直交する方向、図40(a)及び図40(b)左右方向)に沿う直線状に形成される。よって、摺動壁733c(即ち、介設部材733)の上下方向位置は、カム部761bの作用により、駆動体761が第1回転位置から第2回転位置へ回転されると、最上方から最下方まで連続的に下降され、駆動体761が第2回転位置から第1回転位置へ回転されると、最下方から最上方まで連続的に上昇される。
摺動孔735bは、その摺動孔735bの一端側(図40(a)右側)から所定の範囲に延設される湾曲部735b1と、その湾曲部735b1の終端から摺動孔735bの他端側(図40(a)左側)までの範囲に延設される直線部735b2とから形成される。
湾曲部735b1は、駆動体761が第1回転位置に配置された状態において、駆動体761の回転中心と同心の円弧状に湾曲して形成される。また、第1回転位置では、摺動ピン761cが摺動孔735bの一端側に位置される。よって、駆動体761が第1回転位置から第2回転位置へ向けて所定の回転角度だけ回転される間(即ち、摺動ピン761cが湾曲部735b1を通過する間)は、駆動体761から摺動孔735b(即ち、突出部材735)へ駆動力が伝達されない。即ち、摺動孔735bの上下方向位置は変化されず、よって、突出部材735は、最下方に停止された状態に維持される。
なお、駆動体761が第1回転位置から所定の回転角度だけ回転された回転位置(即ち、摺動ピン761cが湾曲部735b1を通過して直線部735b2に到達した回転位置)を「所定回転位置」と称す。
直線部735b2は、水平方向(突出部材735のスライド変位の方向に直交する方向、図40(a)及び図40(b)左右方向)に沿う直線状に形成される。よって、摺動孔735b(即ち、突出部材735)の上下方向位置は、摺動ピン761cが直線部735b2を通過する間は、その摺動ピン761cの作用により、駆動体761が第2回転位置へ向けて回転されると、最下方から最上方まで連続的に上昇され、駆動体761が第1回転位置へ向けて回転されると、最上方から最下方まで連続的に下降される。
ここで、本実施形態では、駆動体761が第2回転位置に配置された状態では(図40(b)参照)、摺動ピン761cは湾曲部735b1に進入せず、直線部735b2上の所定位置(湾曲部735b1との接続側の端部)に位置される。
即ち、駆動体761が第1回転位置から第2回転位置まで回転される場合、摺動ピン761cは、湾曲部735b1を通過した後、直線部735b2に進入し、その直線部735b2の終端(摺動孔735bの他端側(図40(a)左側))へ向かって摺動した後、終端で方向転換し、直線部735b2を湾曲部735b1へ向かって摺動されるが、湾曲部735b1に進入する直前(即ち、直線部735b2上)で停止される。これにより、後述するように、駆動モータ763に必要とされる駆動力を抑制できる。
図41及び図42は、回転部材730の正面模式図であり、突出部材735がスライド変位されると共に揺動部材732が揺動される際の遷移状態が図示される。なお、図41及び図42では、回転部材730の一部の構成のみが模式的に図示される。また、図41(a)では、駆動体761が第1回転位置に配置された状態が、図41(b)では、駆動体761が所定回転位置に配置された状態が、図42(a)では、駆動体761が所定回転位置および第2回転位置の間の回転位置に配置された状態が、図42(b)では、駆動体761が第2回転位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
図41(a)に示す状態(即ち、駆動体761が第1回転位置に配置された状態)では、揺動部材732の先端が最上方に位置されると共に、突出部材735が最下方に位置される。この状態から駆動体761が所定回転位置まで回転されると、図41(b)に示すように、カム部761bにおけるカム径が最大径である半径R1から徐々に減少されることで(図40(a)参照)、介設部材733が自重により下降され、これに伴って、揺動部材732がその先端を下降させる方向へ自重により回転される。
一方、突出部材735は、図41(b)に示すように、駆動体761が第1回転位置から所定回転位置まで回転される間、摺動ピン761cが摺動孔735bの湾曲部735b1を通過することから、駆動体761からの駆動力が伝達されず、最下方となる位置(即ち、図41(a)と同じ位置)において停止状態に維持される。
所定回転位置に到達した駆動体761が(図41(b)参照)、第2回転位置へ向けて更に回転されると、図42(a)に示すように、カム部761bにおけるカム径が更に減少されることで(図40(a)参照)、介設部材733が自重により下降され、これに伴って、揺動部材732がその先端を下降させる方向へ自重により更に回転される。一方、突出部材735は、摺動孔735bの直線部735b2を通過する摺動ピン761cが、駆動体761の回転に伴って、直線部735b2の内周面を押し上げることで、上方へスライド変位される。
図41(b)に示す状態から駆動体761が第2回転位置まで回転されると、図42(b)に示すように、カム部761bにおけるカム径が最少径である半径R2まで減少されることで(図40(b)参照)、介設部材733が自重により最下方まで下降され、これに伴って、揺動部材732が自重により更に回転されその先端が最下方に位置される。一方、突出部材735は、直線部735b2が摺動ピン761cによって最上方まで押し上げられることで、最上方に位置される。
上述した場合とは逆に、図42(b)に示す状態(即ち、駆動体761が第2回転位置に配置された状態)から駆動体761が逆方向に回転されると、図42(a)に示すように、カム部761bにおけるカム径が最小径である半径R2から徐々に増加されることで(図40(b)参照)、介設部材733(摺動壁733c)が上方へ持ち上げられ、これに伴って、揺動部材732がその先端を上昇させる方向へ回転される。一方、突出部材735は、摺動孔735bの直線部735b2を通過する摺動ピン761cが、駆動体761の回転に伴って、直線部735b2の内周面を押し下げることで、下方へスライド変位される。
図42(a)に示す状態から駆動体761が所定回転位置まで回転されると、図41(b)に示すように、カム部761bにおけるカム径は最大径r1に未だ達していないので、介設部材733(摺動壁733c)の上方への持ち上げ動作が継続され、これに伴って、揺動部材732がその先端を上昇させる方向へ回転される動作も継続される。一方、突出部材735は、直線部735b2が摺動ピン761cによって最下方まで押し下げられることで、最下方に位置される。
図41(b)に示す状態から駆動体761が第1回転位置まで回転されると、図41(a)に示すように、カム部761bにおけるカム径が最大径である半径R1まで増加されることで(図40(a)参照)、介設部材733が最上方まで押し上げられ、これに伴って、揺動部材732の先端が最上方に位置される。一方、突出部材735は、摺動ピン761cが摺動孔735bの湾曲部735b1を通過することから、駆動体761からの駆動力が伝達されず、最下方となる位置(即ち、図41(b)と同じ位置)において停止状態に維持される。
以上のように、回転部材730によれば、1の駆動モータ763により2の部材(揺動部材732及び突出部材735)を変位させることができる。
ここで、従来品では、1の駆動モータにより2の部材を変位させる場合、2の部材をそれぞれ駆動するための駆動力が重複されるため、駆動モータの負荷が大きくなり、その耐久性の低下を招くという問題点があった。一方で、2の部材を交互に(片方ずつ)変位させる構成では、駆動モータの負荷は低減できるが、2の部材が共に変位する状態を形成できず、変位による演出効果が阻害される。
これに対し、回転部材730によれば、駆動モータ763の駆動力を揺動部材732へ伝達する第1伝達手段(カム部761b及び介設部材733)は、揺動部材732の先端を下降させる区間(駆動体761を第1回転位置から第2回転位置へ回転させる区間)における駆動モータ763の負荷を、揺動部材732の先端を上昇させる区間(駆動体761を第2回転位置から第1回転位置へ回転させる区間)における駆動モータ763の負荷よりも小さくすることができる。
一方、駆動モータ763の駆動力を突出部材735へ伝達する第2伝達手段(摺動ピン761c及び摺動孔735b)は、突出部材735を下方へスライド変位させる区間(駆動体761を第2回転位置から第1回転位置へ回転させる区間)における駆動モータ763の負荷を、突出部材735を上方へスライド変位させる区間(駆動体761を第1回転位置から第2回転位置へ回転させる区間)における駆動モータ763の負荷よりも小さくすることができる。
即ち、回転部材730によれば、第1伝達手段が比較的高負荷とされる場合には、第2伝達手段を比較的低負荷とし、第1伝達手段が比較的高負荷とされる場合には、第2伝達手段を比較的低負荷とすることができる。よって、駆動モータ763の負荷を分散することができるので、駆動モータ763の負荷を低減して、その耐久性の向上を図ることができる。
更に、揺動部材732及び突出部材735を交互に(片方ずつ)変位させる必要がなく、これら揺動部材732及び突出部材735が共に変位する状態を形成できるので、駆動モータ763の負荷の低減を図りつつ、両部材732,735の変位による演出効果の向上を図ることができる。
また、第1伝達手段は、カム部761b及び摺動壁733cの連動により揺動部材732を変位させると共に、第2伝達手段は、摺動ピン761c及び摺動孔735bの連動により突出部材735を変位させるものであり、カム部761bのカム径や摺動孔735bの形状に応じて、カム部761b及び摺動ピン761cの単位変位量あたり(即ち、駆動体761の単位回転あたり)の揺動部材732及び突出部材735の変位量を変化させられる。言い換えると、駆動モータ763の負荷を変化させられる。よって、駆動モータ763の駆動状態(供給電力)を一定に維持した場合でも、揺動部材732及び突出部材735の変位の速度に変化を付与することができる。その結果、駆動モータ763の負荷の抑制を図りつつ、演出効果を高めることができる。
また、駆動モータ763の負荷を小さくする区間(第1伝達手段では、揺動部材732の先端を下降させる区間(駆動体761を第1回転位置から第2回転位置へ回転させる区間)であり、第2伝達手段では、突出部材735を下方へスライド変位させる区間(駆動体761を第2回転位置から第1回転位置へ回転させる区間))は、揺動部材732又は突出部材735の変位に重力方向下方への変位成分を持たせる、即ち、揺動部材732又は突出部材735の自重による変位を利用することで形成される。よって、カム部761bのカム径や摺動孔735bの形状が複雑化されることを抑制できる。これにより、部品コストの削減を図ることができる。また、カム部761bのカム径や摺動孔735bの形状の複雑化が抑制されることで、揺動部材732又は突出部材735の変位の速度を一定としやすくでき、その分、駆動モータ763の負担を抑制できる。
この場合、本実施形態では、第1伝達手段におけるカム部761bと第2伝達手段における摺動ピン761cとが一体に形成されるので、それらカム部761bと摺動ピン761cとを別々に配置するためのスペースを不要とでき、その分、回転部材730の小型化を図ることができる。また、カム部761bと摺動ピン761cとが別々に形成される場合と比較して、揺動部材732及び突出部材735の変位のずれを抑制して、両部材732,735の同期の精度を高めることができる。
ここで、駆動体761を第1位回転位置から回転させる際、即ち、停止状態にある突出部材735の上方へのスライド変位を開始する際には、慣性力の影響を受けて、駆動モータ763の負荷が大きくなるため、初速が遅くなり、演出効果が阻害されるおそれがある。これに対し、本実施形態では、突出部材735の摺動孔735bに湾曲部735b1が形成され、かかる湾曲部735b1においては、駆動体761(摺動ピン761c)から突出部材735(摺動孔735b)への駆動力の伝達が非伝達とできる。よって、摺動ピン761cが湾曲部735b1を通過する間、駆動モータ763の負荷を軽減して、その分、駆動体761の回転に勢いを付けることができるので、停止状態にある突出部材735の上方へのスライド変位をスムーズに開始させることができる。
一方、摺動ピン761cが湾曲部735b1を通過している間(即ち、駆動体761が第1回転位置から所定回転位置へ回転されている間)は、突出部材735が停止状態に維持されるところ、揺動部材732は、先端を下方へ下降させる方向へ自重により回転される(図41(a)及び図41(b)参照)。よって、突出部材735を停止状態に維持しつつ、揺動部材732を揺動させる場合に、その揺動に必要な駆動モータ763の駆動力(負荷)を抑制できる。その結果、駆動体761の回転に勢いをより強くすることができるので、停止状態にある突出部材735の上方へのスライド変位をスムーズに開始させることができる。
また、このように、突出部材735を停止状態に維持している間も、揺動部材732を揺動させることができることで、これら突出部材735及び揺動部材732の両者が停止状態とされることを回避して、変位による演出効果の向上を図ることができる。
上述の通り、本実施形態では、摺動孔735bに湾曲部735b1を設け、突出部材735の上方へのスライド変位を開始する際には、かかる湾曲部735b1を利用して、駆動体761の回転に勢いを付与することで、突出部材735を停止状態からスムーズに変位させる。
この場合、本実施形態では、突出部材735のスライド変位が開始された後は、摺動ピン761cが湾曲部735b1に進入する前に、駆動体761の回転駆動が停止される。即ち、駆動体761が第2回転位置に配置された状態では、摺動ピン761cは湾曲部735b1に進入せず、直線部735b2上の所定位置(湾曲部735b1との接続側の端部)に位置される(図40(b)及び図42(b)参照)。これにより、駆動モータ763の負荷が過大となることを回避できる。
即ち、クランク擦接部材の案内溝をクランク部材の回転中心と同心の円弧状に形成することで、駆動手段の駆動力を非伝達とできる(非伝達区間を形成できる)ところ、クランク部材のピン部が案内溝を往復する構造では、ピン部が、非伝達区間を通過して、所定位置で方向転換した状態からは、非伝達区間の形状が、クランク部材の回転中心に向かって凸の円弧となる。そのため、方向転換した後のピン部が非伝達区間を通過する際には、摺動抵抗が大きくなるだけでなく、駆動体761の単位回転あたりの突出部材735の上方へのスライド変位量が急激に大きくなり、駆動モータ763の負荷が過大となる。よって、摺動ピン761cが湾曲部735b1に到達する前に、駆動体761の回転を停止することで、駆動モータ763の負荷が過大となることを回避できる。
次いで、図43から図52を参照して、昇降ユニット800について詳しい説明をする。
まず、図43から図45を参照して、昇降ユニット800の全体構成について説明する。図43(a)は、昇降ユニット800の正面図であり、図43(b)は、昇降ユニット800の背面図であり、図43(c)は、昇降ユニット800の側面図である。図44は、昇降ユニット800の分解正面斜視図であり、図45は、昇降ユニット800の分解背面斜視図である。
図43から図45に示すように、昇降ユニット800は、上合体ユニット500におけるベース部材510の正面に配設される正面視横長矩形のベース部材810と、そのベース部材810に昇降可能に配設される昇降部材820と、その昇降部材820に駆動力を付与する駆動モータ891と、その駆動モータ891の回転の駆動力を伝達する伝達ギヤ840と、ベース部材810に一端が軸支されると共に伝達ギヤ840の回転により軸支部を中心に回転可能に配設されるリンク部材850と、そのリンク部材850に連結されリンク部材850の変位によりスライド変位可能に配設されるスライド部材860と、そのスライド部材860のスライド変位を昇降部材820に伝達する伝達部材870とを主に備えて形成される。
ベース部材810は、左右方向(図43(b)左右方向)中央部に前後方向に貫通形成される摺動孔811,812,813と、背面側に円柱状に突出する軸支ピン814〜817とを主に備えて形成される。
各摺動孔811,812,813は、内部に後述するスライド部材860の各摺動ピン861,862,863を挿通して、スライド部材860のスライド方向を規制する孔であり、重力方向(図43(b)上下方向)に長く開口する長孔状に形成される。従って、スライド部材860を、各摺動孔811,812,813の長手方向に沿って摺動可能に配設できる。
各摺動孔811,812,813は、左右に並んで形成されており、中央部に摺動孔811が、その摺動孔811の両隣に摺動孔812及び摺動孔813が形成される。言い変えると、摺動孔812及び摺動孔813の間に摺動孔811が形成される。
軸支ピン814〜816は、後述する伝達ギヤ840の各ギヤ842〜844の軸に挿通されて各ギヤ842〜844を回転可能に軸支する突起であり、各ギヤの842〜844の軸に貫通形成される孔の内径よりも、小さい外径の円柱状に形成される。
軸支ピン817は、後述するリンク部材850の一端に貫通形成される貫通孔851に挿通されて、リンク部材850を回転可能に軸支する突起であり、貫通孔851の内径よりも小さい外径の円柱状に形成される。
駆動モータ891は、上述したように、昇降部材820に駆動力を付与する駆動源である。駆動モータ891は、ベース部材810の背面側に板状体から形成される背面カバー892を介してベース部材810に配設される。駆動モータ891の軸は、背面カバー892に貫通形成される貫通孔892aに挿通され、貫通孔892aを介して伝達ギヤ840のギヤ841の軸に内嵌される。よって、駆動モータ891に回転の駆動力が作用されると、駆動モータ891の軸に連結されるギヤ841が回転される。
伝達ギヤ840は、ギヤ841〜844を連結して構成されるギヤ列であり、上述したように、ギヤ842〜844は、ベース部材810の背面側に突出する軸支ピン814〜816に回転可能に軸支される。よって、ギヤ841が回転されると、その駆動力が、ギヤ842及びギヤ843を介して、終端のギヤ844に伝達される。従って、駆動モータ891を駆動させることで終端のギヤ844を回転させることができる。
ギヤ844には、背面側に円柱形状に突出する突起844aが形成される。突起844aは、後述するリンク部材850にその駆動力を伝達するための突起であり、先端がリンク部材850と前後方向(図43左右方向)に重なる距離に突出形成される。
リンク部材850は、横長矩形の板状体から形成される。リンク部材850は、一端に円形に貫通する貫通孔851と、他端にリンク部材850の長手方向と略同一方向の長孔状に貫通される伝達側摺動溝854と、貫通孔851及び伝達側摺動溝854の間に形成される連結側摺動溝853と、を主に備えて形成される。
貫通孔851は、上述したように、内側にベース部材810の軸支ピン817を挿通して、リンク部材850をベース部材810に対して回転可能に軸支するための貫通孔であり、軸支ピン817の外径よりも大きい内径に形成される。よって、リンク部材850は、貫通孔851にベース部材810の軸支ピン817が挿通されると共に背面側からカラーC3が挿通されてねじ等で締結されることで、ベース部材810に脱落不能に連結される。
リンク部材850における貫通孔851の縁部には、正面側(図43(b)紙面奥側)に円環形状に突出する円環部852が形成される。円環部852は、ベース部材810とリンク部材850との間に所定の隙間を形成して、その隙間に伝達ギヤ840を回転可能に収容するための隙間形成部材であり、伝達ギヤ840の各ギヤ841〜844の厚み幅よりも大きい突出寸法に設定される。
また、円環部852には、外周側にねじりばねSP1が配設される。ねじりばねSP1は、金属材料からなる針金を円柱状の螺旋に重ね巻いて形成されており、周方向に付勢力を作用させることができる。円環部852の外径は、ねじりばねSP1の螺旋に重ね巻いた内縁部の内径よりも少し小さく設定される。これにより、ねじりばねSP1がねじれる際に、ねじりばねSP1の螺旋に重ね巻いた状態が崩れて、ねじりばねSP1の付勢力が、ねじりばねSP1の螺旋部分の軸方向(円環部852の軸方向)に作用することを抑制できる。従って、円柱状の螺旋部分が比較的に大きいねじりばねSP1であっても、円環部852により、その螺旋状態が崩れることを抑制して、付勢方向を安定させることができる。
即ち、円環部852は、ベース部材810とリンク部材850との間に伝達ギヤ840を配設するスペースを形成するだけでなく、ねじりばねSP1の付勢方向を安定させる役割とを兼用させることができる。
ねじりばねSP1は、一端がリンク部材850の正面側から鉤状に突出する係止部855に係合されると共に、他端がベース部材810の背面側から鉤状に突出する係止部818に係合される。よって、ねじりばねSP1は、リンク部材850の回転変位により、その形状を弾性変形して、リンク部材850に回転軸の軸周りの方向に付勢力を作用させることができる。
連結側摺動溝853は、ギヤ844の突起844aが内部に挿通される長孔であり、内周面の短手方向の幅寸法が、突起844aの外径よりも小さく形成される。よって、突起844aは、ギヤ844の回転により変位した際に、連結側摺動溝853の内側を摺動して変位することができる。これにより、リンク部材850は、突起844aの変位に伴って、貫通孔851を中心に回転変位することができる。なお、リンク部材850の詳しい変位様態については後述する。
伝達側摺動溝854は、内部にスライド部材860の摺動ピン861を挿通して、リンク部材850の回転変位に伴って、スライド部材860を変位させる孔であり、その短手方向の幅寸法が、摺動ピン861の外径よりも小さく形成される。よって、伝達側摺動溝854の内部にベース部材810の摺動孔811を挿通されたスライド部材860の摺動ピン861を挿通できる。
また、軸支ピン816の先端にリンク部材850の背面側からカラーC3をねじ等で締結することで、リンク部材850とスライド部材860とを間にベース部材810を介した状態で連結できる。従って、ベース部材810の背面側に配設されるリンク部材850の回転変位により、ベース部材810の正面側に配設されるスライド部材860をスライド変位させることができる。
スライド部材860は、正面視縦長矩形の板状体に形成され、重力方向の長さ寸法が、ベース部材810の重力方向の長さ寸法よりも小さく設定される。よって、スライド部材860とベース部材810とを前後方向に重ね合わせた際に、スライド部材860がベース部材810の外縁部から外側に張り出すことを抑制できる。これにより、正面視における昇降ユニット800の全体の外形を小さくすることができる。
スライド部材860は、背面側から円柱状に突出形成される複数の摺動ピン861〜863と、前後方向に貫通形成された複数のスライド側摺動孔864〜866と、正面側に突出する円柱状の2つの突起867とを主に備えて形成される。
摺動ピン861は、上述したように、リンク部材850の伝達側摺動溝854に挿通されており、伝達側摺動溝854の変位に伴って変位できる。摺動ピン862及び摺動ピン863は、スライド部材860の変位方向を規制する突起であり、ベース部材810の摺動孔812及び摺動孔813に挿通されると共に、その摺動ピン862及び摺動ピン863の先端に、ベース部材810の背面側からカラーC3がねじ等によりそれぞれ締結される。
よって、スライド部材860の摺動ピン862及び摺動ピン863は、ベース部材810に直線の長孔状に貫通形成された摺動孔812及び摺動孔813に挿通されるので、スライド部材860がベース部材810に対して回転不能にされると共に、摺動孔812及び摺動孔813の長孔方向にスライド可能に連結される。その結果、リンク部材850が貫通孔851を軸に回転変位されることで、スライド部材860を重力方向(摺動孔812及び摺動孔813の長孔方向)に変位させることができる。
複数のスライド側摺動孔864〜866は、後述する第2スライド部材871の突起871a〜871cが挿入される孔であり、重力方向に長い長穴状に形成され、短手方向の幅寸法が突起871a〜871cの外径よりも小さく形成される。
伝達部材870は、スライド部材860の正面側に配設される部材であり、重力方向に延設されると共に対象に一対配設されるラック872と、その各ラック872にのラックギヤに歯合する各ピニオンギヤ873と、その各ピニオンギヤ873の間に配設される第2スライド部材871とを主に備えて形成される。
ラック872は、正面視縦長矩形に形成され、ベース部材810の正面側に締結固定される。また、ラック872は、ベース部材810の中央部を中心に左右対称に一対配設される。各ラック872の対向側の側面には、ラックギヤ872aが刻設されており、後述するピニオンギヤ873と歯合される。
ピニオンギヤ873は、スライド部材860の突起867に回転可能に軸支されると共に、ラック872のラックギヤ872aに歯合される。よって、スライド部材860が重力方向にスライド変位されると、ピニオンギヤ873も同様に重力方向に変位される。この際、ピニオンギヤ873は、スライド部材860に回転可能に軸支されると共に、ラックギヤ872aに歯合されるので、スライド部材860の変位に伴って回転される。
第2スライド部材871は、正面視縦長矩形に形成され、下方側の端部に正面側に屈曲して立設する立設部871eと、左右方向両側の側面に刻設されるラックギヤ871dと、背面側に円柱状に突出する複数の突起871a〜871cとを主に備えて形成される。
立設部871eは、その立設先端面に後述する昇降部材820が締結される壁部であり、その先端部に内部にねじを挿通して昇降部材820と締結するための連結孔871e1が貫通形成される。よって、第2スライド部材871と昇降部材820とを締結することができる。
また、立設部871eは、昇降部材820とベース部材810の間に隙間を形成して、その隙間に後述する装飾部材830を配設するための隙間形成部であり、装飾部材830の前後方向の厚みよりも、大きい立設寸法に設定される。これにより、昇降部材820とベース部材810との間に装飾部材830を配設することができる。
ラックギヤ871dは、上述したピニオンギヤ873と歯合する歯合面であり、第2スライド部材871の左右両側面に刻設される。即ち、第2スライド部材871の左右方向の長さ寸法は、2つのピニオンギヤ873の間の距離寸法と略同一に設定される。
複数の突起871a〜871cは、上述したように、スライド部材860の各スライド側摺動孔864〜866に挿通されると共に、その突起871a〜871cの先端側にスライド部材860の背面側から各スライド側摺動孔864〜866の内側にカラーC4が挿通されてねじ等で締結される。これにより、第2スライド部材871は、スライド部材860に対して回転可能とされると共に、各スライド側摺動孔864〜866の長手方向に沿ってスライド可能に保持される。
よって、スライド部材860が変位されると、上述したように、ピニオンギヤ873が回転されるので、その回転に伴って、ピニオンギヤ873と歯合する第2スライド部材871をスライド変位させることができる。従って、第2スライド部材871は、スライド部材860に対して重力方向にスライド変位するので、ベース部材810に対して、スライド部材860の変位速度よりも速い変位速度で変位させることができると共に、スライド部材860よりも変位する距離を大きくすることができる。従って、昇降ユニット800のユニットとしての大きさを小型化できると共に、第2スライド部材871に締結される昇降部材820の変位速度および変位距離が小さくなることを抑制することができる。
昇降部材820は、上述したように第2スライド部材871の変位伴って、上下に変位する部材であり、正面視略台形に形成される。昇降部材820は、背面側に突出する突起821を備える。
突起821は、第2スライド部材871の立設部871eと連結される突起であり、立設部の連結孔871e1と対向する位置に突出形成される。また、突出先端面には、ねじ止め用の締結孔821aが形成されており、連結孔871e1の内部に挿通したねじを締結孔821aで締結することができる。これにより、第2スライド部材871と昇降部材820とを締結固定することができる。
伝達部材870の正面側には、カバー部材880及び装飾部材830が配設される。カバー部材880は、伝達部材870が正面側に変位することを規制する板部材であり、これにより、伝達部材870が、正面側に変位して装飾部材830に衝突することを抑制できる。
装飾部材830は、遊技機のタイトルやロゴを模した形状に形成されており、背面側に光を発光するLEDが配設される。これにより、遊技者側にタイトルやロゴ等から光を出射して遊技者に興趣を与えることができる。
次いで、図46から図52を参照して、昇降ユニット800の可動様態について説明する。
図46は、第1状態における昇降ユニット800の正面図であり、図47は、第2状態における昇降ユニット800の正面図であり、図48は、第3状態における昇降ユニット800の正面図である。図49は、第1状態における昇降ユニット800の背面図であり、図50は、第2状態における昇降ユニット800の背面図であり、図51は、第3状態における昇降ユニット800の背面図である。図52(a)は、第1状態における伝達部材870とスライド部材860とリンク部材850との正面図であり、図52(b)は、第2状態における伝達部材870とスライド部材860とリンク部材850との正面図であり、図52(c)は、第3状態における伝達部材870とスライド部材860とリンク部材850との正面図である。
なお、昇降ユニット800の第1状態とは、昇降部材820が最上方に位置し装飾部材830及びベース部材810の正面側に配設される状態であり、第3状態とは、昇降部材820が最下方に位置し装飾部材830及びベース部材810の下方に配設される状態であり、第2状態とは、昇降部材820が第1状態と第3状態の中間位置に配設された状態である。
また、図51には、回転部材435,455の回転軸から最も離間した端部に置ける回転部材435,455の変位軌跡が2点鎖線で図示されると共に、仮想線KS3の符号が付与される。
図46、図49及び図52(a)に示すように、昇降ユニット800が第1状態に位置する際には、リンク部材850の他端側(伝達側摺動溝854が形成される側)が、一端側(貫通孔851が形成される側)よりも重力方向上方に位置される。この場合、伝達部材870は、ラック872の上端部にピニオンギヤ873が歯合されると共に、第2スライド部材の下端部にピニオンギヤ873が歯合される。即ち、第2スライド部材871は、上方に位置された状態とされる。従って、第2スライド部材871に連結される昇降部材820も同様に上方に位置した状態とされる。
また、第1状態では、リンク部材850に駆動モータ891からの駆動力を伝達する伝達ギヤ840の終端のギヤ844の軸および突起844aを結ぶ仮想線KS1と、リンク部材850の貫通孔851の軸および連結側摺動溝853の短手方向の中間位置とを結んだ仮想線KS2とが直交する位置とされる(図49参照)。
即ち、第1状態では、リンク部材850と伝達ギヤ840の終端のギヤ844が、死点の関係とされる。よって、昇降部材820をリンク部材850の連結側摺動溝853とギヤ844の突起844aで保持することができる。従って、駆動モータ891の駆動力をオフにしても、昇降部材820の荷重でリンク部材850が変位することを抑制できる。その結果、第1状態における昇降ユニット800に電力を付与することなく、第1状態を保持することができるので、消費エネルギーを少なくできる。
図46、図49及び図52(a)に示す状態から駆動モータ891に電力が付与され回転の駆動力が作用すると、上述したように、伝達ギヤ840の各ギヤ841〜844が回転してその駆動力が伝達される。終端のギヤ844の突起844aは、回転の駆動に伴って、その位置が変位させられる。突起844aは、リンク部材850の連結側摺動溝853の内部に挿入して連結される。よって、リンク部材850は、突起844aの変位に伴って貫通孔851の軸を中心に回転変位させられる。
リンク部材850が回転変位されると、リンク部材850の伝達側摺動溝854に摺動ピン861が挿入されて連結されるスライド部材860が、スライド変位される。これにより、スライド部材860の突起867に軸支される伝達部材870のピニオンギヤ873を変位させることができる。よって、ピニオンギヤ873は、その変位に従って、ラック872に形成されるラックギヤ872aにより回転できる。従って、2つのピニオンギヤ873の間に配設される第2スライド部材871をスライド変位させることができる。その結果、昇降部材820を変位させることができる。
図47、図50及び図52(b)に示すように、第2状態における昇降ユニット800は、駆動モータ891が回転されることで、リンク部材850が貫通孔851の軸を中心に回転変位された状態とされる。よって、昇降部材820をベース部材810に対して、第1状態よりも下方に変位させることができる。
次に、図48、図51及び図52(c)に示すように。第3状態における昇降ユニット800は、第2状態からさらに駆動モータ891が回転され、リンク部材850が貫通孔851の軸を中心に回転変位された状態とされる。よって、第1状態から第2状態への変位と同様に、昇降部材820をベース部材810に対して、第2状態よりも下方に変位させることができる。
この場合、昇降部材820は、装飾部材830の下方に隣接した位置に配置される。よって、装飾部材830に形成される遊技機のタイトルやロゴを遊技者に視認させることができる。また、昇降部材820は、装飾部材830の下方に隣接されることで、昇降部材820と装飾部材830とを組み合わせて1つの模様(キャラクター)を形成することができる。即ち、昇降ユニット800を初期位置の第1状態から第3状態に変位させることで、遊技領域の前方に昇降ユニット800の昇降部材820と装飾部材830を組み合わせた模様(キャラクター)を表示することができる。
さらに、第3状態では、スライド部材860の各摺動ピン861〜863が、ベース部材810の各摺動孔811〜813の下降端に位置される。従って、昇降部材820の荷重を3つの各摺動ピン861〜863で保持することができるので、伝達ギヤ840におけるギヤ844の突起844aに昇降部材820の荷重が作用することを抑制できる。その結果、ギヤ844が破損することを抑制することができる。
次いで、図53から図61を参照して、各可動ユニット(スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800)の合体状態について説明する。
初めに、図53及び図54を参照して、各可動ユニットが変位して各可動ユニットが遊技盤13の中央部に変位された状態について説明をする。図53は、合体状態における動作ユニット200の正面図である。図54は、図53のLIV−LIV線における動作ユニット200の模式断面図である。
なお、図53に示す合体状態とは、突出ユニット700の昇降ベース720がベース部材710に対して昇降し、スライドユニット400の回転部材435,455が中央部に変位し、昇降ユニット800の昇降部材820がベース部材810に対して下方に変位した状態である。このように、各可動ユニット(突出ユニット700、スライドユニット400及び昇降ユニット800)の各部材(昇降ベース720、回転部材435,455及び昇降部材820)を互いに、近接させることで、1つの模様(遊技機10のタイトル、ロゴ又はキャラクターなど)として遊技者に視認させることができる。
また、各可動ユニットは、それぞれ各部材が模様を模した形状に形成される。例えば、スライドユニット400の回転部材435,455は、動物の羽根を模した形状に形成され、突出ユニット700の昇降ベース720及び回転部材730は、弓の形をした形状に形成され、昇降ユニット800の昇降部材820には、遊技機のタイトルを模した形状に形成される。
さらに、上述したように、昇降ユニット800は、昇降部材820と装飾部材830とを組み合わせて1つの模様(キャラクター)を形成できるので、合体(張出状態)において、昇降ベース720、回転部材435,455、昇降部材820及び装飾部材830を組み合わせて1の模様(キャラクター)を形成できる。
即ち、昇降ユニット800は、昇降ベース820と装飾部材830とを組み合わせて1つの表示面を形成するだけでなく、動作ユニット200に配設される他の可動ユニット(突出ユニット700及びスライドユニット400)と組み合わせて1つの表示面とすることができる。その結果、動作ユニット200に配設される各可動ユニット(昇降ユニット800、突出ユニット700及びスライドユニット400)の変位状態の異ならせることで複数の表示形態を形成することができ、遊技者に興趣を与えることができる。
図53及び図54に示すように、合体状態における動作ユニット200は、昇降ユニット800の昇降部材820にスライドユニット400の各回転部材435,455の一部が、前後方向(図54左右方向)に重なる位置に配置される。即ち、昇降部材820と各回転部材435,455とが前後方向に異なる位置に配設される。なお、昇降部材820は、各回転部材435,455の前方側(図54左側)に配設される(図54参照)。
言い変えると、動作ユニット200は、退避位置および合体(張出)位置で変位可能に形成される突出ユニット700、スライドユニット400及び昇降ユニット800を備えて形成されており、昇降部材820は、突出ユニット700及びスライドユニット400と前後方向に位置を異ならせて配設される。よって、3つの可動ユニットの突出ユニット700、スライドユニット400及び昇降ユニット800をそれぞれ変位させて1つの模様を形成できるので、より大型の模様(キャラクター)を形成でき、その分演出効果を高めることができる。
この場合、昇降ユニット800の昇降部材820は、突出位置において、突出ユニット700の回転部材730及びスライドユニット400の回転部材435,455と前後方向位置を異ならせて配置されるので、張出位置において回転部材730及び回転部材435,455と当接しない。即ち、張出位置において、部材同士を当接する場合、或いは、当接する可能性がある場合、当接時の衝撃による破損を考慮して設定する必要があるところ、昇降部材820は、回転部材730及び回転部材435,455と当接されないので、その変位速度を比較的早くすることができる。その結果、例えば、後発の昇降部材820を先発の回転部材730及び回転部材435,455に張出位置で追いつくように変位させるなどの様態を形成でき、模様(キャラクター)を形成する際に演出効果を高めることができる。
また、突出ユニット700の突出部材735は、スライドユニット400における各スライド部材430,450の各回転部材435,455よりも背面側に配設される。よって、各スライド部材430,450が変位された際に、故障や誤作動により本来の停止位置で停止することなく変位動作が継続された場合に、各回転部材435,455が、突出部材735に当接することを抑制できる。その結果、突出部材735及び各回転部材435,455が破損することを抑制できる。
ここで、複数の可動ユニット(昇降ユニット800、スライドユニット400及び突出ユニット700)が、可動して遊技機の中央部(第3図柄表示装置81の前方)のスペースで合体する際に、その側面同士を衝突させて合体する遊技機がある。しかしながら、側面を衝突させて合体する場合、その衝突により衝突面に傷が形成され易い。そのため、可動ユニットの意匠性が損なわれやすいという問題点がある。
また、衝突面に傷が形成されることを抑制するために、衝突の速度を遅くすることが考えられるが、可動ユニットの変位速度を落とす必要があるために、役物の合体動作の速度が下がってしまい。遊技者の興趣が損なわれるという問題点がある。
これに対し、本実施形態では、上述したように複数の可動ユニット(昇降ユニット800、スライドユニット400及び突出ユニット700)が、それぞれ、前後方向に位置が異なって配設されるので、可動ユニットを遊技機の中央のスペースに変位させて合体させた際に互いの側面が衝突しない。よって、可動ユニットに傷が形成されることを抑制して、可動ユニットの意匠性が損なわれることを抑制できる。
さらに、可動ユニットを遊技機の中央のスペースに変位させて合体させた際に互いの側面が衝突しないので、合体の変位時に変位の速度を一定にすることができる。その結果、役物の合体動作の速度が下がることを抑制して、遊技者の興趣が損なわれることを抑制できる。
また、本実施形態では、上述したように、昇降ユニット800及びスライドユニット400の左スライド部材430が、2段式のラック(昇降ユニット800は、ラック872と第2スライド部材871との間にピニオンギヤ873を介した形態、スライドユニット400は、第1部材431と第2部材433との間に第1側ピニオンギア432を介した形態(図13参照)により構成される。よって、従来の1段式のラック(ラックとピニオンのみで構成される形態)よりも変位動作の速度を向上できる。従って、変位速度を向上することで、各動作ユニット(昇降ユニット800、スライドユニット400及び突出ユニット700)の合体動作を早くできる。その結果、遊技者が合体の動作を視認できる時間を短くすることができるので、遊技者の興趣が損なわれることを抑制できる。
ここで、各可動ユニット(昇降ユニット800、スライドユニット400及び突出ユニット700)を前後方向に異なる位置に配設すると前後方向寸法が嵩み大型化する。かかる前後方向寸法を抑制するために、回転部材730及び回転部材435,455との前後方向寸法をそれぞれ小さく(薄く)すると、構成の確保が困難となる。
これに対し、昇降部材820は、回転部材730及び回転部材435,455と前後方向位置を同じとする側に張りだして形成される第2スライド部材871を備えるので、全体(昇降部材820、回転部材730及び回転部材435,455との合計)としての前後方向寸法を抑制して、遊技機10の前後方向における小型化を図りつつ、昇降部材820の前後方向寸法を大きくして、その剛性を確保することができる。
また、昇降ユニット800の昇降部材820は、第2スライド部材871により、正面側に突出した位置に配設され、第2スライド部材871とスライドユニット400の各回転部材435,455とが前後方向に重なる位置に配設される。これにより、昇降ユニット800の昇降部材820の背面側のスペースを大きくできると共に、前後方向(図54左右方向)に嵩む幅を小さくすることができる。即ち、スライドユニット400の回転部材435,455を、左右方向(図53左右方向)の幅寸法が小さい第2スライド部材871と前後方向同一の位置に配置することで、昇降ユニット800とスライドユニット400とが干渉することを抑制しつつ、前後方向に嵩む幅を小さくすることができる(図54参照)。なお、第2スライド部材871は、左右方向の幅が小さく形成されるので、回転部材435,455が変位する変位軌跡と交差しないようにできるので、第2スライド部材871と回転部材871とが、変位の際に衝突することを抑制できる(図51の仮想線KS3参照)。
次に、図55から図58を参照して各可動ユニット(スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800)が合体状態に変位する際の変位様態について説明する。図55から図58は、動作ユニット200の正面図である。なお、図55から図58は、図55を初期位置として各可動ユニットが合体状態に変位する際の変位様態が順に図示される。
なお、動作ユニット200に配設する各可動ユニットの動作は、3つの所定のタイミングで切替られる。本実施形態では、図55に示す初期位置から順に第1動作、第2動作、第3動作として説明する。
第1動作では、突出ユニット700の昇降ベース720がベース部材710に対して、上方にスライド変位される。第2動作では、突出ユニット700が第1動作から引き続きその動作が継続され、スライドユニット400の基部材434,435が遊技機10の中央部へスライド変位して回転部材435,455が45度程度回転変位され、昇降ユニット800の昇降部材820が下方にスライド変位される。第3動作では、突出ユニット800の突出部材835が上方にスライド変位されると共に、揺動部材832の先端が下方に回転変位される。
初めに、図55及び図56に示すように、第1動作は、突出ユニット700が、昇降ベース720をベース部材710に対してスライド変位させることで行われる。これにより、突出ユニット700の昇降ベース720及び回転部材730が上方に変位される。なお、昇降ベース720の変位の詳しい説明は上述した通りであるのでその詳しい説明は省略する。
図56及び図57に示すように、第2動作は、スライドユニット400及び昇降ユニット800を変位させることで行われる。この際、左右のスライド部材450(基部材434,454)のスライド変位距離は同一に設定される。
なお、第2動作は、突出ユニット700の昇降ベース720がベース部材710に対して変位の途中で行われる。よって、突出ユニット700の昇降ベース720がベース部材710対して変位する変位動作の終了タイミングと、回転部材435,455及び昇降部材720の変位動作の終了タイミングとを略同一にすることができる。
各スライド部材430,450は、上述したように、スライド変位されるに伴って、各回転部材435,455が回転変位されるので、各回転部材435及び455の回転角度を遊技盤13の中心位置(図57左右方向中央位置)を挟んで対称の角度に回転変位される。
ここで、退避位置および合体(張出)位置の間で、それぞれ直線変位可能に形成される第1部材および第2部材を備え、第1部材および第2部材を、それぞれ合体位置へ変位させて近接または当接させることで、第1部材および第2部材を関連付けて(一体化して)、1つのキャラクターとして遊技者に視認させる演出をする遊技機がある。
この場合、演出効果を高めるためには、第1部材および第2部材が張出位置へ変位された際に、より大型のキャラクターが形成可能であることが有効である。そのためには、第1部材および第2部材を大型に形成する必要がある。
しかしながら、第1部材および第2部材がそれぞれ直線変位により合体(張出)位置へ変位される構造であると、第1部材および第2部材を大型化させると、合体位置へ変位させる途中で互いが干渉するおそれがある。よって、第1部材の変位と第2部材との変位とを同時に行うことができず、それぞれの変位をずらして行う必要があるため、キャラクターが形成されるまでに時間が嵩み、間延びするため、演出効果が阻害される。
これに対し、本実施形態では、突出ユニット700の昇降ベース720がベース部材710に対して昇降する直線変位とされることで、合体位置に配設されると共に、スライドユニット400の回転部材435,455が、退避位置から回転変位されることで合体位置に配置されるので、合体位置への変位の途中で、昇降ベース720に配設される回転部材730及び回転部材435,455が互いに干渉することを抑制できる。よって、突出ユニット700の昇降ベース720の変位とスライドユニット400の回転部材435,455の変位とを同時に行うことができるので、キャラクターが、形成されるまでの時間を短縮して、演出効果を高めることができる。
また、回転部材435,455の変位軌跡は、直線変位される昇降ベース720の変位軌跡と交わらない回転軌跡とされると共に、その回転部材435,455の回転軌跡の終端位置が昇降ベース720の変位軌跡の終端位置と隣り合う位置に設定される。即ち、昇降ベース720の直線上の変位軌跡に対して、回転部材435,455の回転軌跡は、少なくとも昇降ベース720の変位方向の変位成分を有する回転軌跡とされ、その回転軌跡は合体(張出)位置に変位されるに従って、昇降ベース720の変位方向の変位成分が減少されるように設定される。
これにより、回転部材435,455の変位軌跡を、昇降ベース720の変位軌跡に対して外側から回り込む変位軌跡とすることができる。よって、スライドユニット400の回転部材435,455を回転変位させることで、回転部材435,455の変位軌跡を昇降の直線変位をする突出ユニット700の昇降ベース720の変位軌跡を避けた変位軌跡とすることができる。従って、回転部材435,455及び昇降ベース720の変位タイミングがずれたとしても、互いの軌跡が交わらないので、互いの部材が干渉することを抑制できる。その結果、突出ユニット700の昇降ベース720の変位とスライドユニット400の回転部材435,455の変位とを同時に行うことができるので、模様(キャラクター)が、形成されるまでの時間を短縮して、演出効果を高めることができる。
さらに、回転部材435,455の変位軌跡を、昇降ベース720の変位軌跡に対して外側から回り込む変位軌跡となることで、直線変位するスライドユニット700の昇降ベース720の変位方向と直交する方向の外形を大きくしても、回転部材435,455と干渉することを抑制しやすくできる。よって、昇降ベース720を大型化することができる。
上述したように、スライドユニット400の回転部材435,455は、スライド変位可能な基部材434,454に配設される。即ち、スライドユニット400の回転部材435,455は、回転変位と直線変位とが組み合わされた様態で変位されて、合体(張出)位置に変位される。よって、回転部材435,455に曲線状の軌跡を形成させやすくできる。その結果、回転部材435,455が合体位置への変位の途中で、回転部材730と干渉することを抑制しやすくできる。
即ち、回転部材435,455は、基部材434,454の直線変位により合体(張出)位置へ移動しつつ、突出ユニット700との関係で回転を行うことができるので、回転を合体位置への移動ではなく突出ユニット700との干渉を回避するための変位として使用でき、その結果、互いの干渉を抑制しやすくできる。
ここで、回転部材435,455を回転変位させるのみの場合には、回転軸の位置が固定されるので、回転部材435,455の回転軸を回転部材435,455の端部に設定される場合には、回転部材435,455が回転された際に、回転軸と反対側の端部が回転変位するのみであるために、昇降ベース720の変位距離を大きく設定し難い。また、回転部材435,455の回転軸を回転部材435,455の中央に設定する場合には、退避位置から張出位置に変位する際に、回転部材の先端が背面ケース300と衝突するために、回転部材を退避位置に配設し難い。
これに対して、本実施形態では、回転部材435,455の回転軸は、回転部材435,455の中央位置に形成されると共に、その回転軸がスライド変位可能とされる基部材434,454に連結されるので、回転部材435,455を直線変位と回転変位とを組み合わせた動作とさせることができる。よって、回転部材435,455を回転させる際に、直線変位を加えることで、退避位置に配設される回転部材435,455が回転変位した際に背面ケース300と衝突することを抑制しつつ、変位距離を大きく設定することができる。
また、スライドユニット400の回転部材435,455は、回転変位と直線変位とが組み合わされた様態で変位されるので、回転部材435,455の退避位置での姿勢を、合体位置での姿勢とは独立して規定できる。即ち、回転部材435,455が回転のみで、退避位置と合体位置とで変位する場合では、回転部材435,455の退避位置での姿勢が、張出位置からの回転角度により規定されるところ、回転部材435,455は、回転変位と直線変位とが組み合わされるので、直線変位できる分、退避位置での姿勢を合体位置での姿勢とは独立して規定できる。よって、退避位置での回転部材435,455の姿勢の自由度を高めることができる。
言い変えると、回転部材435,455は、退避位置(基部材434,454が外側に配置された位置)ではその長手方向を、退避位置における退避スペースの長手方向と平行な方向にされる。一方、合体位置(基部材434,454が中央に変位した位置)では、回転することで、第3図柄表示装置81の長手方向と略同一の方向にされる。これにより、退避位置での回転部材435,455の姿勢の自由度を高めることができると共に、合体位置では、遊技盤13の中央部により張りだすことができる。
さらに、ここで、遊技機10(動作ユニット200)の中央部には、横長矩形に形成される第3図柄表示装置81が配設されるため、第3図柄表示装置81が大型化されるに従って、左右両側のスペースが小さくなる。そのため、回転部材435,455を横長の形状に形成し、合体(張出)位置において、横長の姿勢で配置して、突出ユニット700ともにキャラクターを形成する構成では、大型のキャラクターを形成できず、演出効果を十分に発揮できない。即ち、遊技領域は、縦長に形成される一方、第3図柄表示装置81は、横長に形成されるため、遊技領域の幅方向における第3図柄表示装置の一側および他側は比較的狭くされ、部材の配設スペースの確保が困難である。よって退避位置で回転部材435,455が第3図柄表示装置81の表示領域にはみ出さないためには、かかる第2部材を小型に形成する必要があった。
これに対し、本実施形態では、回転部材435,455は、合体(張出)位置では、横長となる姿勢で配設される一方、退避位置では、縦長となる姿勢で配設されるので、第3図柄表示装置81の一側または他側における部材の配設スペースを有効に活用して、その分、回転部材435,455を大型化でき、その結果、合体位置において突出ユニット700と共に形成する模様(キャラクター)をより大型化できる。
即ち、回転部材435,455が退避する退避スペースを小さくして、遊技機10の中央部(第3図柄表示装置81)のスペースを確保すると共に、合体位置では、その遊技機10の中央部への張出量を確保できる。よって、回転部材435,455と突出ユニット700とで形成される模様(キャラクター)を大型化できる。
また、上述したように、回転部材435,455は、基部材434,454に回転変位可能に連結されており、回転部材435,455の回転変位と基部材434,454の直線変位とを同期させられるので、突出ユニット700に対する回転部材の相対的な位置精度を高められる。その結果、回転部材435,455が張出位置への変位の途中で、突出ユニット700と干渉することを抑制しやすくできる。
さらに、回転部材435,455を回転させるための駆動手段を別途設けることを不要とできるので、その分、回転部材435,455を大型に形成でき、合体(張出)位置において、突出ユニット700と共に形成するキャラクターをより大型化できる。例えば、遊技領域の幅方向における第3図柄表示装置81の一側および他側のように、比較的狭く部材の配設スペースの確保が困難である領域であっても、かかる領域に回転部材435,455の退避位置を設定しつつ、回転部材435,455を大型に形成できる。
また、突出ユニット700は、回転部材730に揺動部材732を備える。第2動作において、揺動部材732は、回転部材730に対して上方に変位された状態とされるので、スライドユニット400の回転部材435,455に近づけて当接させることができる。よって、回転部材435,455の変位を揺動部材732への当接により停止させることができる。この場合、揺動部材732は、その先端が上方に変位された状態とされるので、回転部材435,455を確実に揺動部材732へ当接させることができる。なお、揺動部材732への回転部材435,455への当接の詳しい説明は後述する。
次に、図57及び図58に示すように、第3動作は、突出ユニット700の突出部材735を変位させることで行われる。即ち、突出ユニット700の突出部材735の変位のみ、各可動ユニット(スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800)の動作の最後に行われる。上述したように、突出ユニット700の突出部材735は、その変位に伴って、揺動部材732を変位させることができる。
よって、突出ユニット700の突出部材735を変位させることで、突出部材735の先端が、昇降ユニット800の昇降部材820の背面側に変位される。従って、突出ユニット700と昇降ユニット800とが連結されるので、遊技者に、各可動ユニットが一体(合体状態)にされた状態を視認させて役物の変位による興趣を与えることができる。
さらに、突出部材735の変位に伴って、揺動部材732を下方に変位させることができるので、スライドユニット400における各スライド部材430,450の回転部材435,455と揺動部材732との間の隙間(スペース)を第2動作時よりも大きくすることができる。
これにより、回転部材435,455(スライド部材430,450)が合体状態の際に、変位可能なスペースを確保できる。その結果、合体状態における動作ユニット200において、回転部材435,455(スライド部材430,450)を更に回転させる変位をすることができ、動作ユニット200の合体状態における変位様態のバリエーションを増やすことができる。
即ち、突出ユニット700の昇降ベース720が張出位置へ変位される際は、揺動部材732を回転部材730から離間した状態とし、回転部材435,455の変位を受け止める役割を発揮させつつ、その後は、回転部材730へ近接する方向へ揺動部材732を変位させ、その変位に伴い形成されたスペースを回転部材435,455の変位スペースとして活用でき、回転部材435,455の変位により、演出効果を高めることができる。
ここで、各動作ユニット(スライドユニット400,突出ユニット700及び昇降ユニット800)の合体により形成される模様(キャラクター)の一例を示す。例えば、各動作ユニットの各部材(回転部材435,455、昇降ベース720(回転部材730)、昇降部材820)が合体されると弓および矢を模した形状が形成される。この場合、回転部材435,455を弓を模した形状とすることで、上述した揺動部材732と回転部材435,455との隙間を利用して、回転部材435,455を動作させ、弓が矢に引かれてしなった状態や、弓から矢が放たれてしなりが解除された状態を形成できる。なお、回転部材435,455は、弓部分の両端部の一部とされ、昇降ベース720(回転部材730)は、矢の後端側(矢じりと反対側)の一部とされ、昇降部材820は、弓の中央分とされ、昇降ユニット800の装飾部材820が、矢の先端側(矢じり側)の一部とされる。
次いで、図59を参照して、スライドユニット400の左スライド部材430の停止位置が超過方向にずれた場合の説明をする。図59(a)及び(b)は、スライドユニット400の各回転部材435,455と突出ユニット700の昇降ベース720及び回転部材730との正面図である。なお、図59(a)及び(b)は、左スライド部材430の停止位置が超過方向にずれて左回転部材435と揺動部材732とが衝突した際の遷移状態が図示される。
また、図59(a)及び(b)では、左回転部材435が、揺動部材732に衝突する場合のみを説明し、右回転部材455が揺動部材732に衝突する場合は、左回転部材435が動作ユニット200の左右方向(図6左右方向)中央位置を中心に対称に配設された場合と同一として考え、その詳しい説明は省略する。
ここで、合体状態におけるスライドユニット400の各スライド部材430,450は、制御不良、各部材のがたつき又はセンサの取り付け位置の誤差の不具合により、図59(a)に示すように、本来の合体状態の停止位置では停止されず、突出ユニット700の揺動部材732に各回転部材435,455の側面が衝突する可能性があった。そのため、揺動部材732と各回転部材435,455とが衝突して部品が破損する恐れがあった。
これに対し、本実施形態では、上述したように、揺動部材732が配設される回転部材730は、昇降ベース720に対して回転可能に配設されるので、図59(b)に示すように、回転部材730を昇降ベース720に対して回転させることで、回転部材435が揺動部材732に衝突した際の衝撃を緩和することができる。よって、揺動部材732及び各回転部材435,455が破損することを抑制できる。
即ち、突出ユニット700の回転部材730は、昇降ベース720に対して回転することで、突出ユニット700の変位様態のバリエーションを増加させられるだけでなく、左回転部材435及び揺動部材732が衝突して破損することを抑制することができる。
また、図59(b)に示すように、左回転部材435の側面が突出ユニット700の揺動部材732に衝突して、回転部材730が昇降ベース720に対して回転変位された際には、回転部材435と衝突する揺動部材732と一対に配設される揺動部材732が回転して右スライド部材450の回転部材455と当接する。
よって、回転部材730を回転させて回転部材435と揺動部材732との衝突の衝撃を緩和した後に、回転部材435が更に回転しようとする駆動力を右スライド部材450の回転部材455に作用させることができる。従って、回転部材730が更に回転させられることを規制することができる。
即ち、揺動部材732及び回転部材435(回転部材455)は、左右に2組形成され、一方の組において揺動部材732に回転部材435(回転部材455)が当接されると、その当接に伴い、他方の組において揺動部材732が、回転部材455(回転部材435)に変位されるように形成されるので、例えば、一方の組において、回転部材435(回転部材455)が、基準の位置を超えて、変位されて揺動部材732に当接された際に、その当接に伴って、他方の組において、揺動部材732を回転部材455(回転部材435)へ向けて変位させることができる。よって、他方の組において、揺動部材732が回転部材455(回転部材435)に当接されることで、一方の組における揺動部材732への回転部材435(回転部材455)の当接による衝撃を、揺動部材732(回転部材730)のみで受け止めるのではなく、他方の組における回転部材455(回転部材435)にも受け止めさせることができる。これにより、運動エネルギーを分散させることができ、一方の組における回転部材435(回転部材455)の変位を停止させやすくできると共に、各部材の破損を抑制できる。
また、この場合、揺動部材732は、回転部材455(回転部材435)の回転軸よりも重力方向上側(図07(b)上側)の部分の側面と衝突されるので、回転部材455(回転部材435)に当接した際に、回転部材455(回転部材435)の回転軸の軸周りに作用する回転モーメントと反対方向に駆動力を作用させることができるので、回転部材455(回転部材435)の回転モーメントを利用して回転部材730の回転を規制することができる。よって、その分、回転部材730の回転を規制するために電力を供給する必要がないので、駆動エネルギーを抑制できる。
次いで、図60を参照して、スライドユニット400の各スライド部材430,450の停止位置が超過方向にずれた場合を説明する。図60(a)及び(b)は、スライドユニット400の各回転部材435,455と突出ユニット700の昇降ベース720及び回転部材730との正面図である。なお、図60(a)及び(b)は、各スライド部材430,450の停止位置がずれて各回転部材435,455と揺動部材732とが衝突した際の遷移状態が図示される。
ここで、各スライド部材430,450の停止位置が超過方向にずれた際には、揺動部材732と各回転部材435,455とが衝突して、揺動部材732又は各回転部材435,455が破損する恐れがあった。
これに対し、本実施形態では、上述した第3動作を第2動作の終了タイミング(回転部材435,455の変位動作の終了タイミング)で行うことで、揺動部材732が下方へ変位される。よって、各回転部材435,455と揺動部材732が衝突した際に、揺動部材732を下方へ変位させてその衝突の衝撃を緩和することができる。その結果、揺動部材732又は各回転部材435,455が破損することを抑制できる。
また、この場合、揺動部材732と各回転部材435,455とが衝突した際の衝撃を、突出部材735を突出させる駆動力にすることができるので、突出部材735を駆動させる駆動モータ763の負荷を軽減させることができる。即ち、揺動部材732と各回転部材435,455とが衝突した際の衝撃を、摺動壁733cを介して駆動体761のカム部761bに伝達させることで、駆動体761(図40参照)が回転する方向に作用させることができる。その結果、突出部材735を駆動させる駆動モータ763の負荷を軽減することができる。
なお、第3動作を第2動作が終了した後に所定の時間をおいてさせても良い。この場合、各スライド部材430,450の停止位置が超過方向にずれて、揺動部材732と各回転部材435,455とが衝突した際には、揺動部材732及び突出部材735を変位させる駆動モータ763の回転抵抗により、揺動部材732を変位させつつ回転部材435,455の変位を停止させ易くできる。
さらに、回転部材435,455の負荷を駆動モータ763の回転方向に作用させることができるので、駆動モータ763を駆動させる際の駆動エネルギーを小さくできる。
次いで、図61を参照して、第3動作における各回転部材435,455の変位について説明する。図61(a)及び(b)は、第3動作におけるスライドユニット400の各回転部材435,455と突出ユニット700の昇降ベース720及び回転部材730との正面図である。なお、図61(b)では、第3動作における各回転部材435,455を変位させた状態が図示される。
図61(a)に示すように、第3動作における各回転部材435,455及びスライドユニット400の回転部材730との間の隙間は、第3動作の変位がされる際に、回転部材730の揺動部材732が突出部材735の変位に伴って下方(図61(a)下方向)に変位することで大きくされる。よって、第3動作における回転部材435,455は、第2動作よりもさらに変位可能とされる。
よって、図61(b)示すように、左右のスライド部材430,450の基部材434,454を更に遊技機10の中央部にスライド変位させることで、回転部材435,455を回転させられると共に、遊技機10の中央部へ変位させることができる。これにより、遊技者から視認される昇降部材820及び各回転部材435,455の合体(張出)状態にさらに一体感を出すことができる。
次いで、図62から図68を参照して、動作ユニット200の第2合体状態について説明する。
初めに、図62から図64を参照して、動作ユニット200の第2合体状態へ変位について説明する。図62から図64は、動作ユニット200の正面図である。なお、図62から図64は、動作ユニット200の各可動ユニットが第2合体状態の位置へ張り出される遷移状態がそれぞれ図示される。また、図62には退避(初期)位置における動作ユニット200が、図64には第2合体位置における動作ユニット200が、図63には退避位置と第2合体位置との中間位置における動作ユニット200が、それぞれ図示される。
さらに、図53〜図61を参照して説明した動作ユニット200の各可動ユニット(スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800)の各部材(回転部材435,455、昇降ベース720(回転部材730)及び昇降部材820)の合体(張出)位置における状態を以下では、第1合体状態と称して説明する。また、第1合体状態では、第1の可動ユニット群(スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800)の各可動ユニットを関連付けて(一体化して)、1つの模様を第1の演出態様として遊技者に認識させることができる。
図62に示すように、動作ユニット200が退避位置に配置された状態では、スライドユニット400が退避位置(図17(a)に示す位置)に、上合体ユニット500が退避位置(図22(a)に示す位置)に、下合体ユニット600が退避位置に(図27(a)に示す位置)にそれぞれ配置された状態となる。動作ユニット200による第2合体状態の形成は、図62に示す状態から、まず、スライドユニット400の基部材434が遊技盤13の中央部にスライド変位され、上合体ユニット500の上変位部材530が下方に変位され、下合体ユニット600の下変位部材640が上方に変位されることで、図63に示す状態が形成される。次いで、スライドユニット400が張出位置(図18(a)に示す位置)に、上合体ユニット500が張出位置(図22(a)に示す位置)に、下合体ユニット600が張出位置(図27(c)に示す位置)にそれぞれ変位されることで、図64に示す第2合体状態とされる。
第2合体状態では、第2の可動ユニット群(スライドユニット400、上合体ユニット500及び下合体ユニット600)の各可動ユニットを関連づけて(一体化して)、1つの模様を第2の演出態様として遊技者に認識させることができる。なお、第2の演出態様で形成される模様(キャラクター)は、例えば、ペガサス(馬の胴体に羽が生えた空想上の生物)等を模した模様(キャラクター)とされる。この場合、ペガサスの胴体部分を形成する部品が下合体ユニット600とされ、ペガサスの頭を形成する部品が上合体ユニット500とされ、ペガサスの羽を形成する部品がスライドユニット400とされる。
第2合体状態におけるスライドユニット400の左スライド部材430は、スライド変位可能に配設される基部材434が、スライド終端位置の張出位置(図18(a)に示す位置)に変位される。即ち、第1合体状態における基部材434と、第2合体状態における基部材434とは、退避位置からスライド変位される距離が異なって配置される。また、回転部材435は、基部材434に連結されるので、第1合体状態と第2合体状態とで回転部材435の配置する位置を異ならせることができる。
さらに、上述したように、回転部材435の回転変位は、基部材434のスライド変位に連動(同期)されているので、第1合体状態と第2合体状態とで、基部材434が退避位置からスライド変位する距離が異なる分、回転部材435の回転角度(姿勢)が異なって配置される。なお、本実施形態では、回転部材435の回転角度(姿勢)は、第1合体状態と第2合体状態とで、回転軸を中心に略180度異なった姿勢で配設される。
動作ユニット200は、上述したように各動作ユニット(スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800)の各部材(回転部材435,455、昇降ベース720(回転部材730)及び昇降部材820)の張出位置への変位により、各部材が合体して1つの模様(キャラクター)を形成できる。
即ち、動作ユニット200は、第1の演出態様として、動作ユニット200の中央のスペース(第3図柄表示装置81の前方のスペース)に各部材を合体させて1つの模様(キャラクター)を形成するだけでなく、第2の演出態様として、動作ユニット200の中央のスペースに各部材を合体させて、第1の演出態様と異なる模様を形成することができる。
よって、第1の演出態様と第2の演出態様とで、異なる模様を形成することができるので、演出や時間等により第1の演出態様と第2の演出態様とのそれぞれを遊技者に視認させることができる。従って、演出のバリエーションを増やすことができるので、遊技者に様々な演出を見せて興趣を与えることができる。
ここで、退避位置および合体(張出)位置の間で変位可能に形成される複数の可動ユニットからなる第1の可動ユニット群と、退避位置および張出位置の間で変位可能に形成される複数の可動ユニットからなる第2の可動ユニット群とを備えた遊技機が知られている。
この遊技機によれば、第1の可動ユニット群の可動ユニットが張出位置に配置されると、それら第1の可動ユニット群の各可動ユニットを関連付けて(一体化して)、1つの模様(キャラクター)を第1の演出態様として遊技者に認識させる一方、第2の可動ユニット群の各可動ユニットが張出位置に配置されると、それら第2の可動ユニット群の各可動ユニットを関連付けて(一体化して)、別の模様(キャラクター)を第2の演出態様として遊技者に認識させるという演出が行われる。即ち、第1の演出態様では、第2の可動ユニット群の各可動ユニットを退避位置へ退避させる一方、第1の可動ユニット群の各可動ユニットを張出位置へ配置することで、それら第1の可動ユニット群の各可動ユニット群により第1の模様(キャラクター)を遊技領域に形成し、第2の遊技状態では、第1の各可動ユニットを退避位置へ退避させる一方、第2の可動ユニット群の各可動ユニットを張出位置へ配置することで、それら第2の可動ユニット群の各可動ユニットにより第2のキャラクターを遊技領域に形成するという演出が行われる。
この場合、演出効果を高めるためには、より大きな模様(キャラクター)が形成可能であることが有効となる。そのためには、第1の可動ユニット群の各可動ユニットおよび第2の可動ユニット郡の各可動ユニットをそれぞれ大型に形成する必要がある。
しかしながら、上述した従来の技術のように、複数のキャラクター(演出態様)を形成すると、その分、複数のキャラクターを形成するために必要となる可動ユニットの総数も多くなるところ、各可動ユニットを退避させておくための領域(スペース)は限られているため、各可動ユニットを大型化することが困難であるという問題点があった。そのため、各キャラクター(演出態様)をそれぞれ大きくすることが困難である。
これに対し、本実施形態によれば、第1の可動ユニット群(スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800)うちの1つの可動ユニットと第2の可動ユニット群(スライドユニット400、上合体ユニット500、下合体ユニット600)のうちの可動ユニットの1つの可動ユニットとが兼用されるので、その分、複数(第1及び第2)の演出態様を形成するために必要となる可動ユニットの総数を減らすことができ、各可動ユニットを大型化することができる。その結果、各模様(キャラクター)をそれぞれ大きくすることができる。
即ち、本実施形態では、スライドユニット400の回転部材435が、第1の演出態様として遊技者に視認させる模様(キャラクター)の一部と第2の演出態様として遊技者に視認させる模様(キャラクター)の一部として兼用されるので、その分、第1の演出態様または第2の演出態様を形成するための可動ユニットを減らすことができる。よって、背面ケース300の内側縁部の退避スペース(図62に示す退避状態の中央のスペース(第3図柄表示装置81の前方のスペース)以外のスペース)にスペースができるので、各可動ユニット(スライドユニット400、上合体ユニット500、下合体ユニット600、突出ユニット700及び昇降ユニット800)を大型化することができる。
また、各可動ユニットの各部材(回転部材435,455、上変位部材530、下変位部材640、昇降ベース720(回転部材730)及び昇降部材820)を大型化することができるので、第1の演出態様と第2の演出態様とで形成される模様(キャラクター)を大型化することができる。
ここで、上述したように、スライドユニット400の回転部材435が、第1の演出態様として遊技者に視認させる模様(キャラクター)の一部と第2の演出態様として遊技者に視認させる模様(キャラクター)の一部として兼用される場合に、第1の演出態様と第2の演出態様とで、同じ位置に配置されていると、第1の演出態様と第2の演出態様とで共通の可動ユニットの部材(回転部材435)が使用されていることを遊技者が視認しやすくなり、興趣を阻害する。
また、同じ位置に配置された部材(回転部材435)を使用して、第1の演出態様と第2の演出態様とをそれぞれ形成する必要があると、その分、自由度が低下して、第1の演出態様と第2の演出態様との相違(形状や配設位置)を形成し難くなる。
これに対し、本実施形態では、回転部材435は、第1の演出態様を形成する際に配置される合体(張出)位置と第2の演出態様を形成する際に配置される合体(張出位置)とが異なる位置とされるので、かかる回転部材435が、第1の演出態様と第2の演出態様とで兼用されていることを遊技者に視認させ難くでき、興趣が阻害されることを抑制できる。
言い変えると、第1の演出態様と第2の演出態様とでは、回転部材435の配置される位置が異なるので、第1の演出態様と第2の演出態様とで形成される模様(キャラクター)に、回転部材435が兼用されていることを遊技者に視認させ難くできる。よって、遊技者の興趣が阻害されることを抑制できる。
また、第1の演出態様と第2の演出態様とで回転部材435を異なる位置(張出位置)に配置できる分、自由度を高めることができ、第1の演出態様と第2の演出態様との相違(形状や配設位置)を形成しやすくできる。
ここで、第1合体状態と第2合体状態とで、回転部材435が同じ姿勢で配設されると、第1の演出態様と第2の演出態様とで、回転部材435が兼用されていることを遊技者が視認しやすくなり、興趣を阻害する。また、同じ姿勢の回転部材435を使用して、第1の演出態様と第2の演出態様とをそれぞれ形成する必要があると、その分、自由度が低下して、第1の演出態様と第2の演出態様との相違(形状や配設位置)を形成し難くなる。
これに対し、本実施形態では、回転部材435が、第1の演出態様を形成する際の姿勢と、第2の演出態様を形成する際の姿勢とが、異なる姿勢とされるので、かかる回転部材435が、第1の演出態様と第2の演出態様とで兼用されていることを遊技者に認識されにくくでき、興趣が阻害されることを抑制できる。また、第1の演出態様と第2の演出態様との相違(形状や配設位置)を形成しやすくできる。
よって、上述したように、回転部材435は、第1の演出態様と第2の演出態様とで、配置される位置が異なると共に、配置される姿勢(回転角度)が異なる姿勢とされるので、第1の演出態様と第2の演出態様とで兼用されていることを遊技者に視認されにくくでき、興趣が阻害されることを抑制できる。
即ち、第1の演出態様と第2の演出態様とで兼用される回転部材435は、第1の演出態様と第2の演出態様とで配置される位置又は姿勢のどちらか一方が異なる状態とされるのみでは、第1の演出態様と第2の演出態様とで、回転部材435を兼用していることを遊技者に認識させる可能性があるところ、かかる回転部材435は、第1の演出態様と第2の演出態様とで、配置される位置および姿勢のどちらも異なる態様とされるので、第1合体状態と第2合体状態とで回転部材435が兼用されていることを遊技者に視認されにくくできる。
また、回転部材435は、直線変位する基部材434に回転可能に配設されることで、回転変位と直線変位とが組み合わされた態様で変位される。よって、第1の演出態様又は第2の演出態様を形成する際の張出位置および姿勢(回転角度)の自由度を高めることができる。
さらに、回転部材435は、上述したように基部材434のスライド変位と連動(同期)されるので、基部材434に対する回転部材435の相対的な位置精度(姿勢)を高められる。よって、上変位部材530及び下変位部材640とを関連付けて(一体化して)、全体を所定の模様(キャラクター)として遊技者に認識させることができる。
また、回転部材435を回転させるための駆動手段を別途設けることを不要とできるので、その分、回転部材345を大型に形成でき、第2の演出態様において形成される模様(キャラクター)をより大型化できる。例えば、遊技領域の幅方向における第3図柄表示装置81の一側および他側のように、比較的狭く、部材の配設スペースの確保が困難である領域があっても、かかる領域に回転部材435の退避状態の位置を設定しつつ、回転部材435を大型に形成できる。
この場合、伝達ギヤ437a〜437fは、基部材434の打ちの回転部材435が退避位置において正面視で重なるよう領域に配置されるので、その分、基部材434のうちの他の領域(変換機構が配置されない領域)の前後方向を寸法を小さくできる。よって、下変位部材640及び基部材434が直線変位される際に、下変位部材640が基部材434の側面に当接することを抑制できる。
次に、図65から図68を参照して、第2合体状態を形成する動作ユニット200の変位態様について詳しく説明する。図65(a)から図66(b)は、スライドユニット400、上合体ユニット500及び下合体ユニット600の正面図である。図67(a)は、図65(a)の矢印LXVIIa方向視におけるスライドユニット400、上合体ユニット500及び下合体ユニット600の模式図であり、図67(b)は、図65(b)の矢印LXVIIb方向視におけるスライドユニット400、上合体ユニット500及び下合体ユニット600の模式図である。図68(a)は、図66(a)の矢印LXVIIIa方向視におけるスライドユニット400、上合体ユニット500及び下合体ユニット600の模式図であり、図68(b)は、図66(b)の矢印LXVIIIb方向視におけるスライドユニット400、上合体ユニット500及び下合体ユニット600の模式図である。
なお、図65(a)から図66(b)は順に、退避状態から第2合体状態への変位態様が図示されている。図65(a)は、退避状態におけるスライドユニット400が、図65(b)は第1状態におけるスライドユニット400が、図66(a)は第2状態におけるスライドユニット400が、図66(b)は退避状態におけるスライドユニット400がそれぞれ図示される。
また、図65(a)から図65(b)に示す第1状態までの変位は、スライドユニット400の基部材434がスライド変位されることで行われる。即ち、退避位置から第2合体状態への初期の変位動作は、上合体ユニット500及び下合体ユニット600は停止状態とされ、スライドユニット400が第1状態に変位される。
図66(a)は、図65(b)に示す第1状態から図66(b)に示す第2合体状態への変位の中間位置におけるスライドユニット400、上合体ユニット500及び下合体ユニット600の正面図である。また、図66(a)に示す第2状態への遷移は、第1状態からスライドユニット400の左スライド部材430のスライド変位が継続されつつ、上合体ユニット500及び下合体ユニット600が変位されることで行われる。即ち、第1状態から第2状態への遷移は、第2の演出態様の模様(キャラクター)を形成するスライドユニット400、上合体ユニット500及び下合体ユニット600が変位されることで行われる。また、第2状態から第2合体状態への遷移は、第1状態から第2状態への変位動作が継続されることで行われる。
さらに、図65から図68では、理解を容易とするために上合体ユニット500のベース部材510、下合体ユニット600のベース部材610及びスライドユニット400の回転部材536が鎖線で図示される。
図65(a)及び図67(a)に示すように、退避状態(退避位置に配置された状態)において、上合体ユニット500は、上変位部材530がベース部材510の内部に収容された状態とされ、下合体ユニット600は、下変位部材640が下ベース部材610と前後方向に重なる位置に配設される。また、スライドユニット400の左スライド部材430は、基部材434の一部が下変位部材640の背面側に配置され、回転部材435が下変位部材640の前方に配置される。即ち、下変位部材640は、左スライド部材430の回転部材435と基部材434との間に配置される。
左スライド部材430の基部材434は、上述したように正面側に配設される正面側基部材434bと背面側に配設される背面側基部材434a(図13参照)とから形成されており、正面側基部材434bの軸支孔434b1の下側(図67(b)下側)に背面側に窪む段部434b2が形成される。
段部434b2は、基部材434と下合体ユニット600の下変位部材640とが干渉することを抑制するための窪みを形成する部位であり、基部材434の段部434b2よりも下側が全体に背面側に窪むことで、回転部材435と基部材434との間の隙間を大きくできる。
即ち、基部材434の段部434b2よりも下方側は、背面側に窪んで形成されるので、基部材434と回転部材435との間の隙間を大きくでき、その隙間に下合体ユニット600の下変位部材640を配設することができる。
また、基部材434の下方側の前後方向の厚みが小さくされるので、下変位部材640との対向間の隙間を大きくできる。よって、後述する第1状態(図65(b)に示す状態)に基部材434がスライド変位される際に、下変位部材640と基部材434とが当接することを抑制できる。
一方、基部材434の段部434b2よりも上側は、前後方向の厚みを厚くすることで、回転部材435へ駆動を伝達する伝達手段となる伝達ギヤ437a〜437f(図13参照)が配設可能とされる。
基部材434は、上述したようにベース部材410に対してスライド変位可能に上端側(図65上側)が連結されて垂下された状態とされ、下端側(図65下側)が背面ケース300と案内部材419との対向間に摺動可能に挿入される(図6参照)ので、基部材434の上側ほど左右方向(図65(a)左右方向)にスライド変位させた際に力が作用されやすいところ、基部材434の上方における前後方向の厚みを厚くすることができるので、基部材434が変形することを抑制できる。
また、退避位置(図65(a)の位置)では、段部434b2と軸支孔434b1との間の平面に、下合体ユニット600の連結アーム650の背面側が当接される。よって、退避状態における下合体ユニット600が前後方向に倒れることを抑制することができる。
即ち、下合体ユニット600は、下変位部材640が上下方向に長く形成されるので、上端部が前後方向に倒れやすいところ、下変位部材640の上方に連結される連結アーム650と基部材434とを当接した状態とすることで、下変位部材640の上端部が前後方向に倒れることを抑制して、退避位置における下合体ユニット600の前後方向の位置を安定させることができる。よって、基部材434が第1状態にスライド変位する際に下変位部材640と当接することを抑制できる。
図65(b)及び図67(b)に示すように、左スライド部材430が第1状態の位置に変位されると、基部材434の変位に伴って回転部材435が回転変位される。これにより、基部材434が所定量変位されることで回転部材435が回転して、回転部材435と下合体ユニット600とが前後方向に重ならない位置とすることができると共に、基部材434と下合体ユニット600とが前後方向に重ならない位置とすることができる。
即ち、正面視において基部材434と回転部材435と下合体ユニット600の下ベース部材610とに囲まれる領域K2(図65(b)参照)の内側に、下ベース部材610と前後方向に重ならない部分の下変位部材640が配置される。
上述したように下合体ユニット600の下変位部材640は、上下方向に長く形成されるので、上端部が前後方向に傾倒しやすいところ、領域K2の内部に下変位部材640を配置することができるので、下変位部材640と基部材434及び回転部材435とが衝突することを抑制できる。
第1状態では、基部材434が、上合体ユニット500の上変位部材530を変位させる(回転駆動力を)伝達するための連結軸531から離間した側(上当接部533側)の上変位部材530と前後方向に重なる位置に配置される。これにより、第2状態に変位する際に、上合体ユニット500の上変位部材530が基部材434と回転部材435とを連結する回転軸435aと衝突することを抑制できる。
即ち、退避位置からスライドユニット400及び上合体ユニット500が同じ開始時間(タイミング)で変位される場合では、上変位部材530と回転部材435の回転軸435bとが衝突するところ、上変位部材530が下降変位を開始する開始時間を左スライド部材430が変位を開始する開始時間よりも遅らせることで、上合体ユニット500の上変位部材530が回転軸435aと衝突することを抑制できる。
また、上変位部材530の張出位置への下降変位は、上変位部材630の背面側に基部材434が位置する際に始動される。これにより、上変位部材630が変位する際に基部材434の側面に衝突することを抑制できる。
即ち、上変位部材530は、ベース部材510に一端側のみ連結されるので、他端側(上当接部533側)が前後方向に変位しやすい。また、上述したように上変位部材530は、動作ユニット200の左右方向(図66(b)左右方向中央部)にスライド変位するに従って下方に回転して張り出し変位される。よって、基部材434が上変位部材530よりも中央側にスライド変位された状態で上変位部材530が変位されると、上変位部材530の他端側が基部材434の正面よりも背面側に変位して、基部材434の側面に衝突するところ、上変位部材530の背面側に基部材434が位置する際に上変位部材530の変位が行われるので、上変位部材530が変位する際に基部材434の側面に衝突することを抑制できる。
図66(a)及び図68(a)に示すように、第1状態と第2合体状態との間の第2状態では、左スライド部材430の基部材434が第1状態よりもさらに左右方向右側(図66(a)右側)にスライド変位される。よって、基部材434のスライド変位に従って(連動して)回転変位される回転部材435も回転変位される。これにより、回転軸435aよりも下合体ユニット600側(図65(b)左側)に位置する回転部材435の一端を回転させて回転軸435aの上方に位置させることできる。従って、基部材434をスライド変位させることで領域K2の左右方向(図66(a)左右方向)の幅を大きくすると共に、回転部材435を回転させることで、領域K2の上下方向(図66(a)上下方向)の幅を大きくすることができる。
これにより、下合体ユニット600の下変位部材640が変位する際に、下変位部材640の上端部が前後方向に傾倒した際に基部材434及び回転部材435に衝突することを抑制できる。
また、上合体ユニット500の上変位部材530は、基部材434と前後方向に重なる状態を維持しつつ変位される。即ち、第1状態から第2状態への変位の際には、上変位部材530の背面側に基部材434を配置した状態とできるので、上述したように、上変位部材530の他端部(上当接部533側)が前後方向に変位して基部材434の側面に衝突することを抑制できる。
言い変えると、上変位部材530は、第1状態から第2合体状態に変位される間において、基部材434と正面視において重なる位置に配置されるので、第2合体状態を形成する位置に変位されるまでの間に、上変位部材530が基部材434の側面に当接されることを抑制できる。
さらに、上変位部材530の張り出し位置は、基部材434と回転部材435との対向間に設置されるので、回転部材435をより前面側に位置させて、遊技者に視認させやすくしつつ、上変位部材530と回転部材435とを関連付けて(一体化して)、全体を所定の模様(キャラクター)として遊技者に視認させやすくできる。
図66(b)及び図68(b)に示すように、第2合体状態では、上合体ユニット500の上変位部材530と下合体ユニット600の下当接部643とが当接した状態とされると共に、回転部材435の一部が上変位部材530と下合体ユニット600の前方側(図68(b)左側)に配置された状態とされる。
これにより、回転部材435、上変位部材530及び下変位部材640を近接した位置に配設して遊技者に1つの模様(キャラクター)として視認させることができる。
ここで、回転部材435は、第1の演出態様と第2の演出態様とで異なる張出位置および異なる姿勢(回転角度)とされ、複数の停止状態を形成する必要があるため、制御または、構造が複雑となり、その分、停止状態(配設位置および姿勢)にばらつきが生じ易い。そのため、第2の演出態様を形成する際に、上合体ユニット500の上変位部材530及び下合体ユニット600の下変位部材640に、スライドユニット400の回転部材435が当接する場合、回転部材435の配置位置や姿勢が目標位置に達していないと、上合体ユニット500及び下合体ユニット600との間に隙間が形成される一方、回転部材435の配置位置や姿勢が目標位置を超えると、上合体ユニット500及び下合体ユニット600を押し出して位置ずれを生じさせる。従って、合体状態における上合体ユニット500及び下合体ユニット600との関係性を維持することが困難となる。
これに対して、本実施形態では、回転部材435が、第1の演出態様と第2の演出態様とにおいて、各可動ユニット(スライドユニット400、上合体ユニット500、下合体ユニット600、突出ユニット700、昇降ユニット800)の可動部材(上変位部材530、下変位部材640、昇降ベース720(回転部材730)、昇降部材820)と前後方向に異なる位置に配設されると共に正面視において各可動ユニットの可動部材の一部と重なるので、第1の演出態様および第2の演出態様での停止状態(張出置または姿勢)にばらつきが生じた場合でも、各可動ユニットの各可動部材との関連性を維持しやすくできる。即ち、正面視で一部が重なることで、回転部材435の変位が不足した場合でも、各可動ユニットの各可動部材との間に隙間が形成されることを抑制できると共に、前後方向に位置が異なることで、回転部材435の変位が過大となった場合でも、各可動ユニットの各可動部材が押し出されて位置ずれが生じることを抑制できる。その結果、合体状態において各可動ユニットの各可動部材との関連性を維持しやすくできる。
また、第2の演出態様では、上変位部材530の上当接部533と下変位部材640の下当接部643とが当接されて配置され、その前方に回転部材435が配置されるので、上変位部材530と下変位部材640と回転部材435とを関連付けて(一体化して)、第2合体状態において形成される模様(キャラクター)を遊技者に認識させやすくできる。
即ち、第2の演出態様では、上変位部材530と下変位部材640とを前後方向に同じ位置とすることができるので、合体(張出)状態における上変位部材530と下変位部材640とを一体化して遊技者に視認させやすくできる分、第2の演出態様で形成される模様(キャラクター)を遊技者に視認しやすくできる。
この場合、回転部材435は、上述したように、停止状態(配置位置および姿勢)にばらつきが生じ易いところ、かかる回転部材435が第2の演出態様を形成する際の停止位置において、上変位部材530及び下変位部材640に当接する構造では、回転部材435の配置位置や姿勢が目標位置に達しないと、上変位部材530及び下変位部材640の間に隙間が形成されて、関連づけ(一体化)が阻害される。
同様に、回転部材435の配置位置や姿勢が目標位置を超えても、上変位部材530及び下変位部材640を押し出して位置ずれを生じさせることから、関連付け(一体化)が阻害される。即ち、第2の演出態様では、上変位部材530及び下変位部材640が当接されるので、回転部材435が上変位部材530及び下変位部材640と当接されるものであると、回転部材435の配置位置や姿勢が目標位置を超えた場合に、上変位部材530又は下変位部材640を押し出す。この場合、互いが当接された状態の上変位部材530と下変位部材640とが位置ずれするので、回転部材435に対して上変位部材530及び下変位部材640が位置ずれするだけでなく、各部材が位置ずれされる。従って、上変位部材530と下変位部材640とが合体(張出)位置において互いに当接される場合には、回転部材435を上変位部材530と下変位部材640との前方に配置する構成が特に有効となる。
また、この場合、回転部材435の一部は、上変位部材530の当接部533及び下変位部材640の当接部643が当接した部分の少なくとも一部の前方側に配設されるので、上変位部材530と下変位部材との当接部分を回転部材435により遊技者から視認し難くできる。よって、上変位部材530と下変位部材640と回転部材435とを1つの模様として遊技者に認識させやすくできる。その結果、遊技者が第2の演出態様の模様(キャラクター)として認識できず興趣が損なわれることを抑制できる。
次いで、図69から図73を参照して、第2実施形態におけるスライドユニット2400について説明する。
まず、第2実施形態におけるスライドユニット2400の全体構成について、図69から図71を参照して説明する。図69は、第2実施形態におけるスライドユニット2400の分解正面斜視図である。図70は、スライドユニット2400の分解背面斜視図ある。
第1実施形態では、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる場合を説明したが、第2実施形態における左スライド部材2430及び右スライド部材2450は、そのスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる状態と非回転の状態とに切り換えられる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図69及び図70に示すように、第2実施形態におけるベース部材2410は、本体ベース部材2480と、その本体ベース部材2480に対して回転可能に配置される回転伝達部材2485とを主に備えて構成される。
本体ベース部材2480は、正面視矩形横長の板状体から形成されると共に、下側縁部に突出板部411が遊技盤正面側に立設される。また、本体ベース部材2480には、長手方向両端部の下面側に突出部2481が突出形成される。
突出板部411は、上面側に第1部材431のスライド変位に伴って第1部材431に配置した第1側ピニオンギヤ432に回転を付与するためのベース側ラックギヤ412が刻設される。
突出部2481は、上述したように、本体ベース部材2480の長手方向両端に形成される。突出部2481は、後述する回転伝達部材2485の軸部2486が挿入される円形状の軸受穴2481aが凹設される。また、本体ベース部材2480の長手方向一端側(遊技機機右側)に形成された突出部2481には、貫通孔2481bが左右方向に貫通形成される。
軸受穴2481aは、本体ベース部材2480の長手方向中央から外方に向かって本体ベース部材2480の両側に凹設され、両端部に形成される互いの軸心が同心に形成される。
回転伝達部材2485は、断面略矩形に形成され、本体ベース部材2480の長手方向の距離寸法よりもやや小さい寸法に設定された角柱形状に形成される。回転伝達部材2485の両端部には、側面視略円形に形成されると共に所定の厚みを有する回転部2487が形成され、かかる回転部2487の軸心から長手方向外側に軸状体の軸部2486が突出形成される。
また、回転伝達部材2485の下面側には、その長手方向他端側(遊技盤左側)に左回転伝達ラックギヤ413と、その長手方向一側(遊技盤右側)に右回転伝達ラックギヤ414とが刻設される。
回転伝達部材2485の両端に形成された軸部2486は、互いの軸心が同心に形成される。また、上述したように、軸部2486は、突出部2481に形成された軸受穴2481aの内側に挿入されるので、軸部2486の径寸法が軸受穴2481aよりも小さく形成される。
これにより、回転伝達部材2485は、軸部2486が突出部2481の軸受穴2481aに挿入されて、本体ベース部材2480に配置されると、軸部2486の軸を中心に回転することができる。
回転伝達部材2485の一側(遊技盤右側)に形成された回転部2487の側面には、円形ラック2487aが刻設される。回転伝達部材2485は、円形ラック2487aが、本体ベース部材2480の長手方向一側(正面視右側)に配置されたピニオンギヤ2488と歯合した状態で本体ベース部材2480に配置される。
ピニオンギヤ2488は、回転駆動モータ2489の駆動力を回転伝達部材2485に伝達するためのギヤであり、軸心が回転駆動モータ2489に締結される。回転駆動モータ2489は、その回転軸が突出部2481の貫通孔2481bに挿通されると共に、突出部2481の反対面からピニオンギヤ2488が締結される。
よって、回転駆動モータ2489に回転の駆動力を付与することで、ピニオンギヤ2488が回転され、回転伝達部材2485の回転部2487に形成された円形ラック2487aに駆動力が付与される。これにより、回転伝達部材2485が、軸部2486を中心に回転することができる。
左回転伝達ラックギヤ413は、左スライド部材2430に配置される伝達ギヤ2437aと歯合する。伝達ギヤ2437aは、伝達ギヤ437bと歯合しており、伝達ギヤ2437aが回転することにより、複数の伝達ギヤ437b〜437fに駆動力が伝達される。これにより、左スライド部材2430のスライド変位に伴って回転部材435に回転の駆動を付与することができる。
右回転伝達ラックギヤ414は、右スライド部材2450に配置される伝達ギヤ2457aと歯合する。伝達ギヤ2457aは、伝達ギヤ437bと歯合しており、伝達ギヤ2457aが回転することにより、複数の伝達ギヤ457b〜457fに駆動が伝達される。これにより、右スライド部材2450のスライド変位に伴って回転部材455に回転の駆動力を付与することができる。
次に、図71を参照して、伝達ギヤ2437a及び伝達ギヤ2457aについて説明をする。なお、伝達ギヤ2437a及び伝達ギヤ2457aは、その形状は同一であるので、伝達ギヤ2457aの詳しい説明を省略する。
図71(a)は、伝達ギヤ2437aの背面図であり、図71(b)は、伝達ギヤ2437aの側面図である。
図3に示すように、伝達ギヤ2437aは、一定の歯厚を有する歯部2437a1と歯厚が背面側に向かうに従って漸次小さくなる膨出部2437a2とを備えて形成される。
歯部2437a1は、左回転伝達ラックギヤ413及び伝達ギヤ437bと歯合する部分であり、左回転伝達ラックギヤ413及び伝達ギヤ437bの歯部の厚み寸法(前後方向の寸法)と略同一の厚み寸法に形成される。
膨出部2437a2は、歯厚が背面側に向かうほど歯厚中央部に向かって漸次小さくなる形状に膨出した部位である。膨出部2437a2が歯部2437a1から背面側に膨出する距離寸法は、歯部2437a1の前後方向の距離寸法と略同一、又は、歯部2437a1の前後方向の距離寸法よりも小さく設定される。これにより、膨出部2437a2の剛性が低下することを抑制でき、膨出部2437a2が破損することを抑制できる。
次に、図72及び図73を参照して、回転伝達部材2485の動作について説明する。なお、以下については、左スライド部材2430を代表例として説明し、右スライド部材2450についての説明は省略する。
図72(a)は、回転伝達部材2485と伝達ギヤ2437aとが歯合した状態におけるスライドユニット2400を正面視した模式図であり、図72(b)は、回転伝達部材2485と伝達ギヤ2437aとの歯合が解除された状態におけるスライドユニット2400正面視した模式図である。図73(a)は、図72(a)のLXXIIIa−LXXIIIa線におけるスライドユニット2400の断面模式図であり、図73(b)は、図72(b)のLXXIIIb−LXXIIIb線におけるスライドユニット2400の断面模式図である。
なお、図72では、理解を容易とするために、回転伝達部材2485の一部が破線で図示される。また、伝達ギヤ2437a及び伝達ギヤ437b〜437fが透視状態で図示される。
図72(a)及び図73(a)に示すように、回転伝達部材2485の左回転伝達ラックギヤ413が下方(図72及び図73の下方)に位置する状態では、左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ2437aとが歯合した状態が形成される。
よって、左スライド部材2430がベース部材2410に対してスライド変位することで、左回転伝達ラックギヤ413と歯合した伝達ギヤ2437aが回転する。これにより、伝達ギヤ2437aの回転の駆動力が伝達ギヤ437b〜437fに伝達されることで、回転部材435が回転する。
一方、上述したように、回転駆動モータ2489に回転の駆動力を付与して、回転伝達部材2485を背面側上方に回転させると、左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ2437aとの歯合が解除される。
即ち、図72(b)及び図73(b)に示すように、回転伝達部材2485が軸部2486を中心に回転すると、回転伝達部材2485に形成された左回転伝達ラックギヤ413が回転伝達部材2485の回転に伴って上方に変位する。これにより、左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ2437aとの歯合が解除される。
よって、左スライド部材2430がベース部材2410に対してスライド変位しても、左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ2437aとの歯合が解除されているので、伝達ギヤ2437aは回転しない。その結果、回転部材435には、伝達ギヤ437b〜437fから駆動力が伝達されないので、左スライド部材2430が変位したとしても、回転しない形態とすることができる。
即ち、左スライド部材2430のスライド変位が回転部材435の回転運動に変換されて、左スライド部材2430のスライド変位に伴って回転部材435が回転される第1駆動状態と、左スライド部材2430のスライド変位が回転部材435の回転運動に変換されず、回転部材435が非回転のままで左スライド部材2430がスライド変位される第2駆動状態と、左スライド部材2430のスライド変位を停止させて、回転部材435の回転をその慣性力により継続させる第3駆動状態とを形成することができる。
これにより、左スライド部材2430及び回転部材435の運動(直線運動および回転運動)の組み合わせの数を増やすことができるので、その分、演出効果を高めることができる。
ここで、左スライド部材2430に回転部材435を回転運動させるための駆動力を付与する駆動モータを配置することも考えられる。しかしながら、左スライド部材2430に駆動モータが配置されると、左スライド部材2430の重量が嵩んで、左スライド部材2430を駆動する(スライド変位させる)ための左駆動モータ475の付加が大きくなるという問題点があった。
これに対し、第2実施形態によれば、左スライド部材2430のスライド変位が回転部材435の回転運動に変換されない第2駆動状態を、ベース部材2410に配置した回転駆動モータ2489によって形成することができる。即ち、回転部材435を回転駆動させるための駆動手段を左スライド部材2430に配設する必要がないので、その分、左スライド部材2430を駆動するための左駆動モータ475の負荷を抑制することができる。
また、伝達ギヤ2437aに駆動力を伝達する左回転伝達ラックギヤ413を備えた回転伝達部材2485が、左回転伝達ラックギヤ413の歯面に平行な回転軸に沿って回転されることで、左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ2437aとの歯合を解除するものであると、歯合を解除した第2駆動状態から歯合した第1駆動状態へと切り替わる際に、ギヤが歯合できず側面同士が衝突して左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ2437aとの歯合ができないという問題があった。
これに対し、第2実施形態によれば、伝達ギヤ2437aに膨出部2437a2が形成されるので、伝達ギヤ2437aの側面の面積を小さくできる。よって、歯合を解除した第2駆動状態から歯合した第1駆動状態へと切り替わる際に、左回転伝達ラックギヤ413の歯部を伝達ギヤ2437aの歯部と歯部との間に挿入しやすくできる。
また、膨出部2437a2は、伝達ギヤ2437aの背面側に向かうに従って、歯厚が漸次小さく形成されるので、漸次小さくなる傾斜面に沿って左回転伝達ラックギヤ413の歯部を歯部2437a1へ案内することができる。
即ち、伝達ギヤ2437aに膨出部2437a2が形成されることで、歯合を解除した第2駆動状態から歯合した第1駆動状態へと切り替わる際の歯合をスムーズに行うことができる。
なお、第2実施形態における軸部2486は、その軸心が第1駆動状態の左回転伝達ラックギヤ413及び右回転伝達ラックギヤ414の前面の平面上に形成されることが好ましい。よって、回転伝達部材2485が回転して、第1駆動状態から第2駆動状態に切り替わる際に、左回転伝達ラックギヤ413及び右回転伝達ラックギヤ414が、伝達ギヤ2437a、2457a側に変位することを抑制できる。従って、回転伝達部材2485の第1駆動状態から第2駆動状態への切り替わりをスムーズに行うことができる。
次に、図74から図76を参照して、第3実施形態におけるスライドユニット3400について説明する。図74は、第3実施形態におけるスライドユニット3400の分解正面斜視図である。
第1実施形態では、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる場合を説明したが、第3実施形態における左スライド部材430及び右スライド部材450は、そのスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる状態と非回転の状態とに切り換えられる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図74に示すように、第3実施形態におけるベース部材3410は、本体ベース部材3480と、その本体ベース部材3480の前方に配置される収容部材3490とを主に備える。
本体ベース部材3480は、正面視略矩形の板状体に形成されると共に、縁部に突出板部3411が立設される。
突出板部3411の下側には、下面側に長手方向他端側(遊技盤左側)に左回転伝達ラックギヤ413と、その長手方向一側(遊技盤右側)に右回転伝達ラックギヤ414とが刻設される。一方、上面側の突出板部3411には、挿通孔3481cが上下方向に貫通形成される。
収容部材3490は、左スライド部材430の第1部材431及び第2部材433と、右スライド部材450のラック部材451とが配置される部材であり、正面視矩形状の板状体に形成されると共に、縁部から遊技機正面側に突出した突出壁3491が形成され、その突出壁3491の内周面に第1部材431、第2部材433及びラック部材451が配置される。
また、収容部材3490は、正面視における外形形状が、本体ベース部材3480の突出板部3411の内周面の形状よりも小さく形成される。これにより、収容部材3490を本体ベース部材3480の突出板部3411の内側に配置することができる。
収容部材3490の下側の突出壁3491には、その内面にベース側ラックギヤ412が刻設される。一方、収容部材3490の上側の突出壁3491には、上下方向に貫通する貫通孔3491aが形成される。
貫通孔3491aは、後述する伸縮式のシリンダー3495の軸部と収容部材3490とを締結するために、収容部材3490の内側からボルト(図示しない)を挿通するため穴であり、シリンダー3495の軸部の直径よりも直径が小さく形成される。
シリンダー3495は、その駆動により収容部材3490を上下にスライド変位をさせる部材であり、電力を付与することで、シリンダー3495の内部から突出した軸部がシリンダー3495の内部に挿入されて、その軸部の突出する距離を変位させる部材(ソレノイド)である。
シリンダー3495は、その軸部が本体ベース部材3480の突出板部3411に形成された挿通孔3481cの内側に挿通された状態で収容部材3490と締結される。また、シリンダー3495の本体側は、本体ベース部材3480の突出板部3411aに締結固定される。
よって、シリンダー3495に電力を付与すると、シリンダー3495の軸部が上下に変位して、シリンダー3495の軸部に締結された収容部材3490が上下に変位できる。即ち、収容部材3490を、本体ベース部材3480に対して、上下方向に変位させることができる。
次に、図75及び図76を参照して、収容部材3490の動作について説明する。また、以下については、左スライド部材430を代表例として説明し、右スライド部材450についての説明は省略する。
図75(a)は、本体ベース部材3480の左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ437aとが歯合した状態におけるスライドユニット3400を正面視した模式図であり、図75(b)は、収容部材3490が変位して本体ベース部材3480の左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ437aとの歯合が解除された状態におけるスライドユニット3400を正面視した模式図である。図76(a)は、図75(a)のLXXVIa−LXXVIa線におけるスライドユニット3400の断面模式図であり、図76(b)は、図75(b)のLXXVIb−LXXVIb線におけるスライドユニット3400の断面模式図である。なお、図75では、理解を容易とするために、収容部材3490の一部および本体ベース部材3480の一部が破線で図示される。また、伝達ギヤ437a〜437fが透視状態で図示される。
図75(a)及び図76(a)に示すように、収容部材3490が上方に位置する状態では、収容部材3490の底面と本体ベース部材3480の突出板部3411の内面との距離寸法L1が十分に確保された状態で配置されると共に、本体ベース部材3480の左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ437aとが歯合した状態を形成する。
よって、左スライド部材430がベース部材3410に対してスライド変位することで、左回転伝達ラックギヤ413と歯合する伝達ギヤ437aが回転する。これにより、伝達ギヤ437aの回転の駆動力が伝達ギヤ437b〜437fに伝達されるので、回転部材435が回転する。
一方、上述したように、シリンダー3495の軸部を、シリンダー3495の内部から突出した状態に変位させると、左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ437aとの歯合が解除される。
即ち、収容部材3490が下方に位置する状態では、収容部材3490の底面と本体ベース部材3480の突出板部3411の内面との距離寸法L2が距離寸法L1よりも小さくされた状態で配置され、本体ベース部材3480の左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ437aとの歯合が解除した状態を形成する(距離寸法L1>L2)。
よって、左スライド部材430がベース部材3410に対して、スライド変位しても、左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ437aとの歯合が解除されているので、伝達ギヤ437aが回転しない。その結果、回転部材435には、伝達ギヤ437b〜437fからの駆動力が伝達されないので、左スライド部材430が変位したとしても、回転しない形態を形成することができる。
即ち、左スライド部材430のスライド変位が回転部材435の回転運動に変換されて、左スライド部材430のスライド変位に伴って回転部材435が回転する第1駆動状態と、左スライド部材430のスライド変位が回転部材435の回転運動に変換されず、回転部材435が非回転のままで左スライド部材430がスライド変位される第2駆動状態と、左スライド部材430のスライド変位を停止させて、回転部材435の回転をその慣性力により継続させる第3駆動状態とを形成することができる。これにより、左スライド部材430の運動(直線運動及び回転運動)の組み合わせの数を増やすことができるので、その分、演出効果を高めることができる。
また、第3実施形態では、左スライド部材430に配置される伝達ギヤ437aを、本体ベース部材3480に形成される左回転伝達ラックギヤ413の歯面に対して垂直な方向に変位させることで、第1駆動状態と第2駆動状態とを切り替えることができる。
よって、第2駆動状態から第1駆動状態へと切り替わる際に、左回転伝達ラックギヤ413と伝達ギヤ437aとの歯合をスムーズに行うことができる。
即ち、伝達ギヤ437aの歯部と左回転伝達ラックギヤ413の歯部との位相がずれた状態では、その位相を合わせる必要がある。しかしながら、伝達ギヤ437aが、左回転伝達ラックギヤ413の歯面に対して垂直な方向に変位する場合は、位相がずれた状態で伝達ギヤ437aを左回転伝達ラックギヤ413に近づけると、左回転伝達ラックギヤ413の歯面と伝達ギヤ437aの歯面とが当接しつつ、左回転伝達ラックギヤ413の歯面に沿って伝達ギヤ437aが回転しながら歯合するので、左回転伝達ラックギヤ413及び伝達ギヤ437aの位相を合わせる必要がなく、歯合をスムーズに行うことができる。
次いで、図77及び図78を参照して、第4実施形態におけるスライドユニット4400について説明する。図77は、第4実施形態におけるベース部材4410の正面図である。
第1実施形態では、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる場合を説明したが、第4実施形態における左スライド部材430及び右スライド部材450は、そのスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる状態と非回転の状態とに切り換えられる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図77に示すように、第4実施形態におけるベース部材4410は、正面視矩形横長の板状体から形成されると共に、下側縁部に突出板部411が遊技盤正面側に立設される。突出板部411の底面側には、回転部材435に回転の駆動力を付与する左回転伝達ラックギヤ4413と、回転部材455に回転の駆動力を付与する右回転伝達ラックギヤ4414とが形成される。
左回転伝達ラックギヤ4413は、ベース部材4410の長手方向左側に位置して形成される。また、左回転伝達ラックギヤ4413の両端部および中央部には、その歯面を切り欠いた切欠き部4413aが形成される。さらに、切欠き部4413aに隣接する左回転伝達ラックギヤ4413の歯は、切欠き部4413aに隣接しない歯に比べて外形が小さい小型歯部4413bを備える。
一方、右回転伝達ラックギヤ4414は、ベース部材4410の長手方向右側に位置して形成される。また、右回転伝達ラックギヤ4414の両端部には、その歯面を切り欠いた切欠き部4414aが形成される。さらに、切欠き部4414aに隣接する右回転伝達ラックギヤ4414の歯は、隣接していない歯に比べて外形が小さい小型歯部4414bを備える。
次に、図78を参照して、スライドユニット4400の動作について説明する。また、以下については、左スライド部材430を代表例として説明し、右スライド部材450についての説明は省略する。
図78(a)は、ベース部材4410の左回転伝達ラックギヤ4413と伝達ギヤ437aとが歯合した状態におけるスライドユニット4400を正面視した模式図であり、図78(b)は、ベース部材4410の左回転伝達ラックギヤ4413と伝達ギヤ437aとの歯合が解除された状態におけるスライドユニット4400を正面視した模式図である。なお、図78では、理解を容易とするために、ベース部材4410の一部が破線で図示される。また、伝達ギヤ437a〜437fが透視状態で図示される。
図78(a)に示すように左スライド部材430が変位して、伝達ギヤ437aが、切欠き部4413a以外の左回転伝達ラックギヤ4413の下側に位置する際には、伝達ギヤ437aが左回転伝達ラックギヤ4413と歯合した状態を形成する。
一方、図78(b)に示すように、左スライド部材430が変位して、伝達ギヤ437aが、左回転伝達ラックギヤ4413の切欠き部4413aの下側に位置する際には、伝達ギヤ437aが左回転伝達ラックギヤ4413と歯合を解除した状態を形成する。
即ち、左回転伝達ラックギヤ4413のうちの歯が欠落した切欠き部4413aに伝達ギヤ437aが到達するまでの間は、左スライド部材430のスライド変位に伴って、回転部材435を回転させることができる。一方、左回転伝達ラックギヤ4413のうちの歯が欠落した切欠き部4413aに伝達ギヤ437aが到達した際に、左スライド部材430のスライド変位を停止させることで、回転部材435の回転をその慣性力により継続させることができる。
よって、左スライド部材430のスライド変位が回転部材435の回転運動に変換されて、左スライド部材430のスライド変位に伴って回転部材435が回転する第1駆動状態と、左スライド部材430のスライド変位が回転部材435の回転運動に変換されず、回転部材435が非回転のままで左スライド部材430がスライド変位される第2駆動状態と、左スライド部材430のスライド変位を停止させて、回転部材435の回転をその慣性力により継続させる第3駆動状態とを形成することができる。これにより、左スライド部材430の運動(直線運動及び回転運動)の組み合わせの数を増やすことができるので、その分、演出効果を高めることができる。
また、第1駆動状態と第3駆動状態との切り換えを、左回転伝達ラックギヤ4413の一部の歯を欠落することで、左回転伝達ラックギヤ4413と伝達ギヤ437aとの歯合を解除する構成であるので、左回転伝達ラックギヤ4413と伝達ギヤ437aとの歯合を解除するための駆動モータ等を左スライド部材430に配置する必要がないので、その分、左スライド部材430の重量を軽くできる。その結果、左スライド部材430をスライド変位させるための左駆動モータ475の負荷を抑制することができる。
さらに、左回転伝達ラックギヤ4413には、小型歯部4413bが形成されるので、第3駆動状態から第1駆動状態へ切り替わる際に、切欠き部4413aに隣接した左回転伝達ラックギヤ4413の歯が破損することを防止でき、左回転伝達ラックギヤ4413の耐久性を向上することができる。
即ち、切欠き部4413aに隣接した左回転伝達ラックギヤ4413の歯は、切欠き部4413aを通過した伝達ギヤ437aの歯が衝突するため損傷しやすい。
この場合、左回転伝達ラックギヤ4413に小型歯部4413bが形成されるので、第3駆動状態から第1駆動状態へ切り替わる際に、左回転伝達ラックギヤ4413と伝達ギヤ437aとの歯合をスムーズに行うことができる。
即ち、小型歯部4413bを備えない左回転伝達ラックギヤ4413では、第3駆動状態から第1駆動状態へ切り替わる際に、伝達ギヤ437aとの回転の位相がずれていると、伝達ギヤ437aの歯と左回転伝達ラックギヤ4413との歯とが噛み合ってしまい歯合できないおそれがある。
この場合、切欠き部4413aに隣接した左回転伝達ラックギヤ4413の歯を他の歯よりも小さい外形に形成することで、左回転伝達ラックギヤ4413と伝達ギヤ437aとの回転の位相がずれている場合でも、小型歯部4413bと伝達ギヤ437aとが当接した際に互いの歯が噛み合うことを抑制して、伝達ギヤ437aを回転させてその位相を調整することができる。その結果、左回転伝達ラックギヤ4413と伝達ギヤ437aとの歯合をスムーズに行うことができる。
次いで、図79から図81を参照して、第5実施形態における左スライド部材5430について説明する。図79は、第5実施形態における左スライド部材5430の分解斜視正面図である。図80は、左スライド部材5430の分解背面斜視図である。なお、以下については、左スライド部材5430を代表例として説明し、左スライド部材5430についての説明は省略する。
第1実施形態では、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる場合を説明したが、第5実施形態における左スライド部材5430及び右スライド部材5450は、そのスライド変位に伴って回転部材5435及び回転部材5455を回転させる状態と非回転の状態とに切り換えられる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図79及び図80に示すように、第5実施形態における左スライド部材5430は、回転部材5435の回転軸5435aにワンウェイクラッチ5439が配置される。
ワンウェイクラッチ5439は、伝達ギヤ5437fの軸心に円形に貫通形成された軸孔5437f1に連結される外輪5439bと、回転部材5435の回転軸5435aに連結される内輪5439cと、内輪5439cの各カム面に配設される複数のローラ5439dと、それら各ローラ5439dを保持する保持器5439eと、保持器5439eに連結されカム面に対するローラ5439dの位相を切り替えるスイッチングプレート5439aとを主に備えて構成される。
スイッチングプレート5439aには、長穴形状に貫通した摺動溝5439a1が形成されており、その摺動溝5439a1の内周面に後述する変位部材5436の正面側に突出した突出部5436dが挿入される。
次に、図81を参照して、ワンウェイクラッチ5439の動作について説明する。図81(a)は、スイッチングプレート5439aが操作される前の状態における左スライド部材5430を正面視した模式図であり、図81(b)は、スイッチングプレート5439aが操作された後の状態における左スライド部材5430を正面視した模式図である。なお、図81では、理解を容易とするために、図面を簡略化すると共に、ワンウェイクラッチ5439及び変位部材5436の一部が破線で図示される。
図81(a)に示すように、回転部材5435の背面側に変位部材5436が配置されている状態では、ワンウェイクラッチ5439のローラ5439dが、カム面の端部に配置され、内輪5439c及び外輪5439bの間に形成されるくさびにかみ込まれる。これにより、ワンウェイクラッチ5439が駆動状態とされる。その結果、伝達ギヤ437aの回転が回転部材5435に伝達される。
一方、図81(b)に示すように、変位部材5436が、回転部材5435に対して変位した場合は、その変位に伴って、変位部材5436に形成された突出部5436dの位置が回転部材5435に対して変位する。これにより、スイッチングプレート5439aが切り替えられる。
スイッチングプレート5439aが切り換えられると、ローラ5439dがカム面の中立位置に配置され、内輪5439c及び外輪5439bの噛み合い空間から離れる。これにより、ワンウェイクラッチ5439が中立空転状態とされる。その結果、伝達ギヤ437aの回転が回転部材5435に伝達されない。
よって、回転部材5435に連結された変位部材5436を変位させることで、ワンウェイクラッチ5439が回転の伝達を許容する状態と、回転の伝達を遮断する状態とを形成することができる。
即ち、左スライド部材5430のスライド変位が、回転部材5435の回転運動に変換されて、左スライド部材5430の変位に伴って回転部材5435が回転する第1駆動状態と、左スライド部材5430のスライド変位が回転部材5435の回転運動に変換されず、回転部材5435が非回転のままで左スライド部材5430がスライド変位される第2駆動状態と、左スライド部材5430のスライド変位を停止させる際にワンウェイクラッチ5439が回転の伝達を許容する状態から遮断する状態に変更されることで、左スライド部材5430が停止された状態で回転部材5435の回転がその慣性力により継続される第3駆動状態を形成することができる。
よって、第1駆動状態、第2駆動状態および第3駆動状態を形成することができ、左スライド部材5430および回転部材5435の運動(直線運動および回転運動)の組み合わせの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
また、左スライド部材5430及び回転部材5435の運動(直線運動および回転運動)に加え、変位部材5436の変位を組み合わせることができるので、その組み合わせの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
この場合、ワンウェイクラッチ5439のスイッチングプレート5439aが、変位された変位部材5436によって操作されるので、変位により演出を行う役割とスイッチングプレート5439aを操作する役割とを変位部材5436に兼用させることができる。即ち、ワンウェイクラッチ5439のスイッチングプレート5439aを操作するための駆動モータ等を左スライド部材5430に別途設ける必要がないので、その分、スライド部材全体としての重量を軽くできる。その結果、左スライド部材5430を駆動するための左駆動モータ475の負荷を抑制することができる。
次いで、図82から図85を参照して、第6実施形態における左スライド部材6430について説明する。
まず、図82及び図83を参照して、左スライド部材6430の全体構成について説明する。図82は、第6実施形態における左スライド部材6430の分解正面斜視図である。図83は、左スライド部材6430の分解背面斜視図である。なお、以下については、左スライド部材6430を代表例として説明し、右スライド部材6450についての説明は省略する。
第1実施形態では、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる場合を説明したが、第6実施形態における左スライド部材6430及び右スライド部材6450は、ワンウェイクラッチ5439切替により、左スライド部材6430及び右スライド部材6450のスライド変位に伴って回転部材5435及び回転部材5455を回転させる状態と非回転の状態とに切り換えられる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図82及び図83に示すように、第6実施形態における左スライド部材6430は、ワンウェイクラッチ5439が背面側基部材434aの貫通孔6434a1に挿通された状態で回転部材5435の回転軸5435aに配置される。
背面側基部材434aに形成された貫通孔6434a1は、ワンウェイクラッチ5439を背面側から前方側に挿通させるための孔であり、その穴径が、ワンウェイクラッチ5439の外径よりも大きく形成される。
ワンウェイクラッチ5439は、外輪5439bが伝達ギヤ5437fの軸孔5437f1に連結され、内輪5439cが回転部材5437の回転軸5435aに連結され、スイッチングプレート5439aの摺動溝5439a1が後述する操作子6438に連結される。
操作子6438は、正面視矩形縦長の棒状体に形成される。操作子6438は、下方側の端部に前方に突出した連結ピン6438aが形成されると共に、上下方向中央部よりもやや上方に、前後方向に貫通した貫通孔6438bが形成される。
貫通孔6438bは、背面側基部材434aの背面側から後方に円柱状に突出した挿通ピン6434a2に挿通される孔であり、挿通ピン6434a2の外径よりも大きい孔径に形成される。
よって、操作子6438の貫通孔6438bが、背面側基部材434aの挿通ピン6434a2に挿通されてボルトT(図示しない)が挿通ピン6434a2の先端に締結されると、操作子6438は、貫通孔6438bを軸心として回転可能な状態で背面側基部材434aの背面に配置される。
連結ピン6438aは、ワンウェイクラッチ5439の摺動溝5439a1に挿通される円柱体であり、その外径寸法が摺動溝5439a1の溝幅の寸法よりも小さく形成される。
よって、操作子6438の連結ピン6438aが、ワンウェイクラッチ5439の摺動溝5439a1に挿通された状態で、操作子6438が貫通孔6438bを軸心に回転すると、連結ピン6438aの位置が変わることでワンウェイクラッチ5439のスイッチングプレート5439aを変位させることができる。
また、貫通孔6438bと挿通ピン6434a2との間には、ねじりバネ(図示しない)が配置される。ねじりバネは、一端が背面側基部材434aに係止され、他端が操作子6438に係止される。これにより、操作子6438は、正面視において貫通孔6438bを軸心に常に右回転方向に付勢される。その結果、操作子6438に外部の力が作用していない状態では、ワンウェイクラッチ5439を常に駆動状態(左スライド部材6430のスライド変位を回転部材5435の回転に伝達する状態)にすることができる。
次に、図84及び図85を参照して、ワンウェイクラッチ5439の動作について説明する。
図84(a)は、スイッチングプレート5439aが操作される前の状態におけるスライドユニット6400を正面視した模式図であり、図84(b)は、スイッチングプレート5439aが操作された後の状態におけるスライドユニット6400を正面視した模式図である。図85(a)は、図84(a)のLXXXVa−LXXXVa線におけるスライドユニット6400の断面模式図であり、図85(b)は、図84(a)のLXXXVb−LXXXVb線におけるスライドユニット6400の断面模式図である。なお、図84では、理解を容易とするために、ワンウェイクラッチ5439及び操作子6438が破線で図示される。
図84(a)及び(b)に示すように、ベース部材6410には、左スライド部材6430のスライド終端部に、ベース部材6410の突出板部411の底面側から突出した突起6411aが形成される。
図84(a)及び図85(a)に示すように、操作子6438に外部の力が作用していない状態では、操作子6438は、その長手方向が基部材434の長手方向と一致する状態で配置される。
この場合、ワンウェイクラッチ5439のローラ5439dが、カム面の端部に配置され、内輪5439c及び外輪5439bの間に形成されるくさびにかみ込まれる。これにより、ワンウェイクラッチ5439が駆動状態とされる。その結果、伝達ギヤ437aの回転が回転部材5435に伝達される。
一方、図84(b)及び図85(b)に示すように、左スライド部材6430がスライド変位して、スライド変位の終端部直前に、左スライド部材6430に配置された操作子6438の他端側(上方側)の正面視右側の側面がベース部材6410の突起6411aと当接する。
操作子6438の側面とベース部材6410とが当接したあと、左スライド部材6430がさらに終端部まで移動すると、操作子6438が貫通孔6438bを中心に正面視左回転方向に変位される。
よって、操作子6438の連結ピン6438aに連結したワンウェイクラッチ5439のスイッチングプレート5439aが回転させられて、ワンウェイクラッチ5439の駆動状態が切り換えられる。
スイッチングプレート5439aが切り換えられると、ローラ5439dがカム面の中立位置に配置され、内輪5439c及び外輪5439bの噛み合い空間から離れる。これにより、ワンウェイクラッチ5439が中立空転状態とされる。その結果、伝達ギヤ437aの回転が回転部材5435に伝達されない状態を形成できる。
よって、左スライド部材6430の変位量に伴って、操作子6438に外力を作用させることで、ワンウェイクラッチ5439の回転の伝達を許容する状態と、回転の伝達を遮断する状態とを形成することができる。
即ち、左スライド部材6430のスライド変位が、回転部材5435の回転運動に変換されて、左スライド部材6430の変位に伴って回転部材5435が回転する第1駆動状態と、左スライド部材6430のスライド変位を停止させる際にワンウェイクラッチ5439が回転の伝達を許容する状態から遮断する状態に変更されることで、左スライド部材6430が停止された状態で回転部材5435の回転がその慣性力により継続される第3駆動状態を形成することができる。
よって、第1駆動状態および第3駆動状態を形成することができ、左スライド部材6430および、回転部材5435の運動(直線運動および回転運動)の組み合わせの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
また、ワンウェイクラッチ5439のスイッチングプレート5439aの操作が、左スライド部材6430のスライド変位によって行われるので、ワンウェイクラッチ5439の状態を切り替えるためのモータ等を左スライド部材6430に配置する必要がないので、その分、左スライド部材6430の重量を軽くできる。その結果、左スライド部材6430を駆動するための駆動手段の負荷を軽くすることができる。
次に、図86から図89を参照して、第7実施形態について説明する。まず、図86を参照して、第7実施形態におけるスライドユニット7400について説明する。図86は、第7実施形態におけるスライドユニット7400の分解背面斜視図である。なお、以下については、左スライド部材7430を代表例として説明し、右スライド部材7450についての説明は省略する。
第1実施形態では、左スライド部材430及び右スライド部材450のスライド変位に伴って回転部材435及び回転部材455を回転させる場合を説明したが、第7実施形態における左スライド部材7430及び右スライド部材7450は、ワンウェイクラッチ5439切替により、左スライド部材7430及び右スライド部材7450のスライド変位に伴って回転部材5435及び回転部材5455を回転させる状態と非回転の状態とに切り換えられる。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図86に示すように、ベース部材7410の背面には、後述する第2スライド部材7460が配置される凹溝7417が形成される。
第2スライド部材7460は、上面にギヤ歯面が形成されたラックギヤ7461と、ラックギヤ7461の前後の側面に対向して配置される2つの板部材7462と、2つの板部材7462に挟持されて保持される軸部7463と、軸部7463を挿通した状態で配置されるローラ7465と、ラックギヤ7461の上方に配置されてラックギヤ7461の歯面と歯合する駆動ギヤ7464とを主に備えて形成される。
ラックギヤ7461は、正面視横長矩形に形成されると共に、上面側にギヤの歯面7461aが形成される。また、正面視における長手方向の略中央位置には、前後方向に貫通した止め穴7461bが形成される。
板部材7462は、後述するローラ7465を保持するための部材であり、正面視縦長矩形の板状体に形成される。板部材7462は、ラックギヤ7461側に位置する摺動溝7462aが側面に上下方向に長く凹設され、その摺動溝7462aの上方に前後方向に貫通孔7462bが貫通形成される。
貫通孔7462bは、ラックギヤ7461と締結するための貫通孔である。貫通孔7462bにねじ(図示せず)を挿通して、そのねじをラックギヤ7461の止め穴7461bと締結することで、板部材7462が固定される。
軸部7463は、板部材7462の摺動溝7462aの内部に挿入される円柱状の部材であり、摺動溝7462aの幅寸法よりも、小さい外径に形成される。また、軸方向寸法は、ラックギヤ7461の厚み(前後方向)寸法よりも大きく形成される。
これにより、軸部7463が、2つの板部材7462に挟持されて保持されると、摺動溝7462aが上下方向に長く凹設される分、軸部7463を上下方向にスライド変位させることができる。
ローラ7465は、外形が円柱状に形成されると共に、その軸心に前後方向に貫通した軸孔が形成される。ローラ7465は、軸孔に軸部7463が挿通され、2つの板部材7462の間に配置される。
駆動ギヤ7464は、ラックギヤ7461の歯面7461aと歯合してラックギヤ7461を左右方向にスライド変位する駆動力を作用させるための部材であり、後述するモータ7466と連結される。
モータ7466は、ラックギヤ7461に駆動力を付与する部材であり、モータ取付板7467の貫通孔7467aにモータ7466の軸を挿通した状態で、モータ取付板7467に取着される。
よって、モータ7466に回転力を付与すると、モータ7466に連結された駆動ギヤ7464が回転して、ラックギヤ7461を左右方向にスライド変位させることができる。
また、2枚の板部材7462のうち、前方に配設される板部材7462には、その前方側に配置される平面に装飾(図柄などの表示)が施される。これにより、第2スライド部材7460は、左スライド部材7430と前後方向に重なる位置から重ならない位置までスライド変位することで、遊技者からその装飾面を視認可能にすることができる。
次に、図87から図89を参照して、左スライド部材7430の状態遷移を説明する。図87から図89は、スライドユニット7400を正面視した模式図である。
まず、図87を参照して左スライド部材7430について説明する。図87に示すように、左スライド部材7430は、第6実施形態における左スライド部材6430と、ワンウェイクラッチ5439のスイッチングプレート5439aの可動域、操作子6438の変位前の位置および貫通孔6438bと挿通ピン6434a2との間に付勢ばねを配置しないという点で異なるのみであるので、その詳しい説明は省略する。
次に、図87から図89を参照して、ワンウェイクラッチ5439の動作について説明する。
初めに、図87(a)に示すように、左スライド部材7430がスライド変位する前の状態では、操作子6438の連結ピン6438aは、貫通孔6438bよりも左右方向左側に配置される。即ち、操作子6438の他端側(上端側)が右側に傾倒した状態で配置される。
この場合、ワンウェイクラッチ5439のローラ5439dが、カム面の端部に配置され、内輪5439c及び外輪5439bの間に形成されるくさびにかみ込まれる。これにより、ワンウェイクラッチ5439が駆動状態とされる。その結果、伝達ギヤ437aの回転が回転部材5435に伝達される。
よって、左スライド部材7430をスライド変位させて、操作子6438の他端側(上端側)がローラ7465と当接する位置(図87(b)に図示する位置)まで変位する間、左スライド部材7430の変位に伴って、回転部材5435を回転運動させることができる。
また、図87(b)に示すように、操作子6438は、ローラ7465と当接した際に、操作子6438の他端側(上端側)が、ローラ7465の軸心よりも上方の側面と当接する。よって、操作子6438の他端側(上端側)が右側に傾倒した状態であるため、左スライド部材7430をさらにスライド変位させると、そのスライド変位によりローラ7465を下方に付勢しつつ、操作子6438を貫通孔6438bを軸心として回転させることができる。
図88(a)に示すように、操作子6438の長手方向が、第2部材の長手方向と略一致する位置まで回転させられると、操作子6438の他端側(上端側)は、ローラ7465の軸心と略同一の高さに位置するローラ7465の側面と当接する。
よって、左スライド部材7430をさらにスライド変位させると、そのスライド変位により、ローラ7465を右方向に付勢しつつ、操作子6438を貫通孔6438bを軸心として回転させることができる。
図88(b)に示すように、操作子6438の他端側(上端側)が右側に傾倒した状態に配置されると、操作子6438の連結ピン6438aが、貫通孔6438bよりも左側に配置される。
よって、操作子6438の連結ピン6438aに連結したワンウェイクラッチ5439のスイッチングプレート5439aが回転させられて、ワンウェイクラッチ5439の駆動状態が切り換えられる。
これにより、ワンウェイクラッチ5439のローラ5439dがカム面の中立位置に配置され、内輪5439c及び外輪5439bの噛み合い空間から離れる。これにより、ワンウェイクラッチ5439が中立空転状態とされる。その結果、伝達ギヤ437aの回転が回転部材5435に伝達されない状態を形成できる。
また、操作子6438の他端側(上端側)が左側に傾倒した状態まで回転させられると、操作子6438の他端側(上端側)は、ローラ7465の軸心よりも下方の側面と当接する。よって、操作子6438の他端側(上端側)が左側に傾倒した状態であるため、左スライド部材7430をさらにスライド変位させると、そのスライド変位によりローラ7465を上方に付勢させることができる。
よって、図89(a)に示すように、ローラ7465を挿通した軸部7463が上方にスライド変位される。その結果、ローラ7465が、操作子6438よりも上方に位置するので、操作子6438をローラ7465よりも右側に変位させることができる。よって、左スライド部材7430を図89(b)に示す位置まで変位させることができる。
また、左スライド部材7430がローラ7465よりも右側に位置する際の回転部材5435の回転は、上述したように、ワンウェイクラッチ5439が回転伝達を遮断している状態であるので、ローラ7465よりも左側をスライド変位した際の回転部材5435の回転の慣性力によりその回転を継続する状態にできる。
よって、左スライド部材7430の変位量に伴って、操作子6438に外力を作用させることで、ワンウェイクラッチ5439の回転の伝達を許容する状態と、回転の伝達を遮断する状態とを形成することができる。
即ち、左スライド部材7430のスライド変位が、回転部材5435の回転運動に変換されて、左スライド部材7430の変位に伴って回転部材5435が回転する第1駆動状態と、左スライド部材7430の変位が停止された状態で、回転部材5435の回転がその慣性力により、継続される第3駆動状態を形成することができる。
よって、第1駆動状態および第3駆動状態を形成することができ、左スライド部材7430および、回転部材5435の運動(直線運動および回転運動)の組み合わせの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
また、この場合、第3駆動状態の慣性力を停止させる(例えば、慣性力が作用しなくなる時間まで待つ)ことで、左スライド部材7430のスライド変位が回転部材5435の回転運動に作用されず、回転部材5435が非回転のままで左スライド部材7430がスライド変位される第2駆動状態を形成することができる。
よって、第1駆動状態、第2駆動状態および第3駆動状態を形成することができ、左スライド部材7430および、回転部材5435の運動(直線運動および回転運動)の組み合わせの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
また、ワンウェイクラッチ5439のスイッチングプレート5439aの操作が、左スライド部材7430のスライド変位によって行われるので、ワンウェイクラッチ5439の状態を切り替えるためのモータ等を左スライド部材7430に配置する必要がないので、その分、左スライド部材7430の重量を軽くできる。その結果、左スライド部材7430を駆動するための駆動手段の負荷を軽くすることができる。
また、第7実施形態では、第2スライド部材7460が左スライド部材7430のスライド方向に沿って変位可能に配置されるので、ワンウェイクラッチ5439の状態が切替られる位置、即ち、回転部材5435の回転が許容される許容状態から規制状態に又は許容状態から規制状態に変更される位置を変更することができる。これにより、左スライド部材7430が、スライド変位される際に回転部材5435の回転状態が変更される位置や、左スライド部材7430のスライド変位が停止された状態で回転部材5435が回転される位置を遊技状態などに応じて変更することができ、その結果、演出効果を高めることができる。
また、左スライド部材7430のスライド変位に加え、第2スライド部材7460もスライド変位が可能とされることで、その分、演出効果を高めることができるところ、かかる第2スライド部材7460が、変位により演出を行う役割とワンウェイクラッチ5439の状態を切り替える役割とを兼用するので、ワンウェイクラッチ5439の状態を切り替える位置を変更するための手段を別途設ける必要がない。よって、部品点数を削減して、その分、製品コストの削減を図ることができる。
また、第7実施形態では、第2スライド部材7460が左スライド部材7430のスライド方向に沿って変位可能に配置されるので、第2スライド部材7460を変位させることで、ワンウェイクラッチ5439の状態を切り替えることができる。
即ち、左スライド部材7430の左右方向のどちらか一方に第2スライド部材7460が配置された状態から、左スライド部材7430を停止させた状態で、第2スライド部材7460を左右方向のどちらか他方へ変位させることで、ワンウェイクラッチ5439の状態を切り替えることができる。
よって、左スライド部材7430をスライド変位させることなく、ワンウェイクラッチ5439の状態を切り替えて、左スライド部材7430のスライド変位が回転部材5435の回転運動に変換されて、左スライド部材7430の変位に伴って回転部材5435が回転する第1駆動状態と、左スライド部材7430のスライド変位が回転部材5435の回転運動に作用されず、回転部材5435が非回転のままで左スライド部材7430がスライド変位される第2駆動状態を形成することができる。
次いで、図90から図95を参照して、第8実施形態におけるスライドユニット8400について説明する。
まず、第8実施形態におけるスライドユニット8400の全体構成について、図90から図92を参照して説明する。図90は、第8実施形態におけるスライドユニット8400の正面図である。図91は、スライドユニット8400の分解正面斜視図である。図92は、スライドユニット8400の分解背面斜視図である。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図90から図92に示すように、第8実施形態におけるスライドユニット8400は、背面ケース300の底壁部301に配設されるベース部材8410と、そのベース部材8410に配設される摺動棒部材420と、その摺動棒部材420に摺動可能に連結される左スライド部材8430と、その左スライド部材8430を摺動棒部材420に沿ってスライド変位させるための駆動機構とを主に備える。
ベース部材8410は、正面視横長矩形に形成され、その長手方向に沿って摺動棒部材420が正面側に配設される。また、ベース部材8410には、突出板部411が形成され、その突出板部411の上面側に、ベース側ラックギヤ8412が形成される。
ベース側ラックギヤ8412は、摺動棒部材420の長手方向に沿って延設されるラックギヤであり、左スライド部材8430の第1側ピニオンギヤ432及び第2側ピニオンギヤ8433dが歯合される。
左スライド部材8430は、正面視矩形横長の第1部材8431と、その第1部材8431に垂下される正面視矩形縦長の基部材8431bと、第1部材8431に回転可能に配設される第1側ピニオンギヤ432と、その第1側ピニオンギヤ432が歯合される第2側ラックギヤ433aを有する正面視矩形縦長の第2部材8433と、その第2部材8433に垂下される正面視矩形縦長の基部材8434と、第2部材8433に回転可能に配設される第2側ピニオンギヤ8433dと、その第2側ピニオンギヤ8433dが歯合される第3側ラックギヤ8445aを有する正面視矩形横長の第3部材8445と、その第3部材8445に垂下される正面視矩形横長の基部材8446と、を主に備えて構成される。
第1部材8431は、その第1部材8431の長手方向に沿って延設された断面円形の内周面を有する摺動孔を備え、その摺動孔に摺動棒部材420が挿通されることで、摺動棒部材420の軸方向に沿って摺動可能とされる。即ち、第1部材8431は、摺動棒部材420を介して、ベース部材8410にスライド可能に配設される。
第1側ピニオンギヤ432は、ベース部材8410のベース側ラックギヤ8412に歯合される。よって、第1部材8431が、ベース部材8410に対してスライド変位されると、そのスライド変位に伴って、ベース側ラックギヤ8412から作用を受けて、第1側ピニオンギヤ432が回転される。
第2部材8433は、第1部材8431に変位可能に配設されると共に、上端部の摺動孔に摺動棒部材420が挿通されることで、第1部材8431に対して相対変位しつつ、摺動棒部材420に沿って摺動可能とされる。
この場合、第2部材8433には、その下面に第2側ラックギヤ433aが刻設される。よって、第2部材8433が、第1部材8431に対して相対変位される。
また、第2側ピニオンギヤ8433dは、ベース部材8410のベース側ラックギヤ8412に歯合される。よって、第2部材8433が、ベース部材8410に対してスライド変位されると、そのスライド変位に伴って、ベース側ラックギヤ8412から作用を受けて、第2側ピニオンギヤ8433dが回転される。
第3部材8445は、第2部材8433に変位可能に配設されると共に、上端部の摺動孔に摺動棒部材420が挿通されることで、第2部材8433に対して相対変位しつつ、摺動棒部材420に沿って摺動可能とされる。
この場合、第3部材8445には、その下面に第3側ラックギヤ8445aが刻設される。また、第3側ラックギヤ8445aは、第2側ピニオンギヤ8433dに歯合されている。よって、上述したように、第2部材8433の変位に伴って、第2側ピニオンギヤ8433dが回転されると、その第2側ピニオンギヤ8433dから作用を受けることで、かかる第3部材8445が第2部材8433に対して相対変位される。
即ち、ベース部材8410のベース側ラックギヤ8412と第2部材8433の第2側ラックギヤ433aとの両者に、第1部材8431の第1側ピニオンギヤ432を歯合させるので、第2部材8433に対して、第1部材8431の直線運動に伴う駆動力と、第1側ピニオンギヤ432の回転運動に伴う駆動力とを付与することができる。その結果、ベース部材8410に対して、第1部材8431をスライド変位させた場合に、第2部材8433を第1部材8431よりも増速された状態で、ベース部材8410に対してスライド変位させることができる。
また、ベース部材8410のベース側ラックギヤ8412と第3部材8445の第3側ラックギヤ8445aとの両者に、第2部材8433の第2側ピニオンギヤ8433dを歯合させるので、第3部材8445に対して、第2部材8433の直線運動に伴う駆動力と、第2側ピニオンギヤ8433dの回転運動に伴う駆動力とを付与することができる。その結果、ベース部材8410に対して、第2部材8433をスライド変位させた場合に、第3部材8445を第2部材8433よりも増速された状態で、ベース部材8410に対してスライド変位させることができる。
次いで、図93及び図94を参照して、スライドユニット8400の動作について説明する。図93(a)から図93(c)は、スライドユニット8400を正面視した模式図であり、左スライド部材8430がスライド変位される際の遷移状態が図示される。図94(a)は、図93(a)のXCIVa−XCIVa線におけるスライドユニット8400の模式断面図であり、図94(b)は、図93(b)のXCIVb−XCIVb線におけるスライドユニット8400の模式断面図であり、図94(c)は、図93(c)のXCIVc−XCIVc線におけるスライドユニット8400の模式断面図である。なお、図93では、カバー部材416、案内部材419、駆動モータ475が取り外された状態が図示される。
図93(a)及び図94(a)に示すように、左スライド部材8430が退避位置に配置された状態では、第1部材8431の内側に第2部材8433が配設され、第2部材8433の内側に第3部材8445が配設される。
この場合、第1部材8431に垂下された基部材8431bの前方に、第2部材8433に垂下された基部材8434が位置し、その基部材8434の前方に第3部材8445の基部材8446が配置される。
即ち、基部材8431b、基部材8434及び基部材8446は、前後方向に異なる位置に(前後方向に重なった状態で)配置される(図5(a)参照)。よって、第1部材8431と第2部材8433と第3部材8445とが、それぞれスライド変位した際に、基部材8431b、基部材8434及び基部材8446が、それぞれ干渉することなくスライド変位することができる。また、第1部材8431、第2部材8433及び第3部材8445を配設するためのスペースを抑制して小型化を図ることができる。
さらに、第1部材8431、第2部材8433及び第3部材8445を配設するためのスペースを抑制できる分、遊技盤中央部に形成される演出領域K(図93(a)では、ベース部材8410の下側と基部材8446の左側との重なった領域)を確保することができる。
左スライド部材8430が退避位置に配置された状態から、左駆動モータ475(図91参照)が正方向に駆動されると、左駆動モータ475に連結された左ピニオンギヤ473が、回転させられ、左ピニオンギヤ473と歯合した左駆動ギヤ471が回転させられる。
左駆動ギヤ471が回転させられると、その回転が左駆動ギヤ471と歯合する第1部材8431の第1側ラックギヤ431aに伝達され、第1部材8431がスライド変位される。
この場合、上述したように、第2部材8433の第2側ラックギヤ433aとベース部材8410のベース側ラックギヤ412とが互いに平行な姿勢で向い合せに配設され、それら第2側ラックギヤ433a及びベース側ラックギヤ412の両者に歯合された状態で第1部材8431に軸支された第1側ピニオンギヤ432が介設されるので、ベース部材8410のベース側ラックギヤ8412と第2部材8433の第2側ラックギヤ433aとの両者に、第1部材8431の第1側ピニオンギヤ432を歯合させるので、第2部材8433に対して、第1部材8431の直線運動に伴う駆動力と、第1側ピニオンギヤ432の回転運動に伴う駆動力とを付与することができる。その結果、ベース部材8410に対して、第1部材8431をスライド変位させた場合に、第2部材8433を第1部材8431よりも増速された状態で、ベース部材8410に対してスライド変位させることができる。
これにより、スライドユニット8400の第1部材8431および第2部材8433を演出領域Kにスライド変位させる(遮蔽状態)又は、演出領域Kから退避させる(開放状態)際に要する時間を短縮して、遮蔽状態および開放状態の切替を迅速に行うことができる。
また、第3部材8445の第3側ラックギヤ8445aとベース部材8410のベース側ラックギヤ412とが互いに平行な姿勢で向い合せに配設され、それら第3側ラックギヤ8445a及びベース側ラックギヤ412の両者に歯合された状態で第2部材8433に軸支された第2側ピニオンギヤ8433dが介設されるので、ベース部材8410のベース側ラックギヤ8412と第3部材8445の第3側ラックギヤ8445aとの両者に、第2部材8433の第2側ピニオンギヤ8433dを歯合させるので第3部材8445に対して、第2部材8433の直線運動に伴う駆動力と、第2側ピニオンギヤ8433dの回転運動に伴う駆動力とを付与することができる。その結果、ベース部材8410に対して、第2部材8433をスライド変位させた場合に、第3部材8445を第2部材8433よりも増速された状態で、ベース部材8410に対してスライド変位させることができる。
その結果、図93(b)に示すように、第2部材8433は、第1部材8431に対して相対的にスライド変位することができる。また、第3部材8445は、第2部材8433に対して相対的にスライド変位することができる。
これにより、スライドユニット8400の第2部材8433および第3部材8445を演出領域Kにスライド変位させる(遮蔽状態)又は、演出領域Kから退避させる(開放状態)際に要する時間を短縮して、遮蔽状態および開放状態の切替を迅速に行うことができる。
図93(c)及び図94(c)に示すように、左スライド部材8430が、張出位置に配置された状態では、第2部材8433が第1部材8431の内側から一部の重なりを残して突出し、第3部材8445が第2部材8433の内側から一部の重なりを残して突出した状態に配置される。
この場合、本実施形態では、第1部材8431に垂下された基部材8431bの正面視左側の側面と第2部材8433に垂下された基部材8434の正面視右側の側面とが、前後方向に略同一の位置に配置される。また、第2部材8433に垂下された基部材8434の正面視左側の側面と第3部材8445に垂下された基部材8446の正面視右側の側面とが、前後方向に略同一の位置に配置される。
即ち、基部材との間に隙間が形成されない。よって、演出領域Kの全域に、基部材8431b、基部材8434及び基部材8446を配置させることができる。
次いで、図95から図98を参照して、第9実施形態におけるスライドユニット9400について説明する。
まず、第9実施形態におけるスライドユニット9400の全体構成について、図95及び図96を参照して説明する。図95は、第9実施形態におけるスライドユニット9400の分解正面斜視図である。図96は、左スライド部材9430の分解正面斜視図である。
第1実施形態では、基部材434が第2部材433に垂下される場合を説明したが、第9実施形態におけるスライドユニット9400は、第1部材431に基部材9431bが垂下され、第2部材8433に垂下された基部材9434が配設される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図95及び図96に示すように、第9実施形態におけるスライドユニット9400は、背面ケース300の底壁部301に配設されるベース部材8410と、そのベース部材8410に配設される摺動棒部材420と、その摺動棒部材420に摺動可能に連結される左スライド部材9430と、その左スライド部材9430を摺動案内溝に沿ってスライド変位させるための駆動機構とを主に備える。
左スライド部材9430は、正面視矩形横長の第1部材8431と、その第1部材8431に垂下される正面視矩形縦長の基部材9431bと、第1部材8431に回転可能に配設される第1側ピニオンギヤ432と、その第1側ピニオンギヤ432が歯合される第2側ラックギヤ433aを有する正面視矩形縦長の第2部材9433と、その第2部材9433に垂下される正面視矩形縦長の基部材9434と、その基部材9434に配設されるスライドレール9443と、そのスライドレール9443に連結される正面視矩形縦長の基部材9446と、自在に変形可能な糸状のワイヤ9444と、を主に備えて構成される。
第1部材8431は、その第1部材8431の長手方向に沿って延設された断面円形の内周面を有する摺動孔を備え、その摺動孔に摺動棒部材420が挿通されることで、摺動棒部材420の軸方向に沿って摺動可能とされる。即ち、第1部材8431は、摺動棒部材420を介して、ベース部材9410にスライド可能に配設される。
基部材9431bには、その上端側の正面視左側の側面に背面側から凹設された凹溝が形成され、その凹溝の内側に上下方方向に延設された円柱状の連結軸9431b1が形成される(図98参照)。
第2部材9433は、第1部材8431に変位可能に配設されると共に、上端部の摺動孔に摺動棒部材420が挿通されることで、第1部材8431に対して相対変位しつつ、摺動棒部材420に沿って摺動可能とされる。
この場合、ベース部材9410のベース側ラックギヤ9412と第2部材9433の第2側ラックギヤ433aとの両者に、第1部材8431の第1側ピニオンギヤ432を歯合させるので、第2部材9433に対して、第1部材8431の直線運動に伴う駆動力と、第1側ピニオンギヤ432の回転運動に伴う駆動力とを付与することができる。その結果、ベース部材8410に対して、第1部材8431をスライド変位させた場合に、第2部材9433を第1部材8431よりも増速された状態で、ベース部材8410に対してスライド変位させることができる。
基部材9434には、その上端側の正面視右側面が前後方向に切り欠かれた切欠き9434cが形成され、その切欠き9434cの内側に回転可能に円盤状のローラ9434dが配置される。また、基部材9434には、その上端側正面に、後述するスライドレール9443が、その伸縮方向を左右方向にした状態で配設される。
ローラ9434dは、後述するワイヤ9444の変位を補助するための部材であり、その上下方向の位置が、第1部材8431の連結軸9431b1と略同一の位置に配置される。
スライドレール9443は、第3部材をスライド可能に保持するための部材であり、2枚の板から形成されると共に、互いの板がスライド変位可能に形成される。また、スライドレール9443は、内部にコイルばね(図示せず)が配設されており、互いの板が離れる方向に付勢される。
基部材9437は、の背面側がスライドレール9443に締結されることで、第2部材9433に対してスライド可能に配設される。
基部材9437には、その上端部の正面視右側の側面に背面側から凹設された凹溝が形成され、その凹溝の内側に上下方向に延設された円柱状の連結軸9446aが形成される。また、連結軸9446aは、その上下方向の位置が、第1部材8431の連結軸9431b1と略同一の位置に配置される。
ワイヤ9444は、基部材9437を第1部材8431及び第2部材9433の変位に伴って変位させるための部材であり、ピアノ線や釣り糸等から形成される。ワイヤ9444は、一端が第1部材の連結軸9431b1に連結されると共に、他端が第3部材9533の連結軸9446aに連結される。また、ワイヤ9444は、その一端と他端を連結する連結経路が、第1部材8431の基部材9431bと第2部材9433の基部材9434との間に位置すると共に、第2部材9433のローラ9434dの側面と一部が当接した状態で配置される(図9参照)。
次に、図97及び図98を参照して、スライドユニット9400の動作について説明する。図97(a)から図97(c)は、スライドユニット9400の正面図であり、左スライド部材9430がスライド変位される際の遷移状態が図示される。図98(a)は、図97(a)のXCVIIIa−XCVIIIa線におけるスライドユニット9400の模式断面図であり、図98(b)は、図97(b)のXCVIIIb−XCVIIIb線におけるスライドユニット9400の模式断面図であり、図98(c)は、図97(c)のXCVIIIc−XCVIIIc線におけるスライドユニット9400の模式断面図である。なお、図93では、カバー部材416、案内部材419、駆動モータ475が取り外された状態が図示される。
図97(a)及び図98(a)に示すように、左スライド部材9430が、退避位置に配置された状態では、基部材9431bと基部材9434と基部材9446とが、前後方向に異なる位置に配置される。よって、基部材9431bと基部材9446と基部材9446とが、それぞれ干渉することなくスライド変位することができる。基部材9431bと基部材9434と基部材9446とを配設するためのスペースを抑制して小型化を図ることができる。
さらに、基部材9431bと基部材9434と基部材9446とを配設するためのスペースを抑制できる分、遊技盤中央に形成される演出領域Kを確保することができる。
また、左スライド部材9430が、退避位置に配置した状態では、基部材9434と基部材9446との間に配設したスライドレールの付勢力により、基部材9446に基部材9434に対して左方向にスライドする力が作用するが、ワイヤ9444を連結軸9431b1と連結軸9438とを連結すると共に、その連結経路を基部材9431bと基部材9434との間とすることで、基部材9434により、基部材9446が基部材9434に対して左方向にスライド変位することを抑制できる。
即ち、ワイヤ9444の長さ寸法を、基部材9434の左右方向の長さ寸法と、基部材9431b、基部材9434及び基部材9446の厚み方向の寸法とを合わせた寸法とすることで、基部材9431b、基部材9434及び基部材9446とが前後方向に重なった状態を維持できる。
左スライド部材9430が退避位置に配置された状態から、左駆動モータ475(図95参照)が正方向に駆動されると、左駆動モータ475に連結された左ピニオンギヤ473が回転させられ、左ピニオンギヤ473と連結した左駆動ギヤ471が回転させられる。
左駆動ギヤ471が回転させられると、その回転が左駆動ギヤ471と歯合する第1部材8431の第1側ラックギヤ431aに伝達され、第1部材8431がスライド変位される。
この場合、上述したように、第2部材9433の第2側ラックギヤ433aとベース部材8410のベース側ラックギヤ412の両者に歯合された状態で第1部材8431に軸支された第1側ピニオンギヤ432が介設されるので、第2部材9433に対して、第1部材8431の直線運動に伴う駆動力と、第1側ピニオンギヤ432の回転運動に伴う駆動力とを付与することができる。その結果、ベース部材8410に対して、第1部材8431をスライド変位させた場合に、第2部材9433を第1部材8431よりも増速された状態で、ベース部材8410に対してスライド変位させることができる。
これにより、スライドユニット9400の第1部材8431及び第2部材9433を演出領域Kにスライド変位させる(遮蔽状態)又は、演出領域Kから退避させる(開放状態)際に要する時間を短縮して、遮蔽状態および開放状態の切替を迅速に行うことができる。
また、この場合、基部材9431bと基部材9434との前後方向の位置がずれた位置に配置される。即ち、基部材9431bと基部材9434との前後方向の重なり寸法が、図9(a)に示す重なり寸法L3から、図9(b)に示す重なり寸法L4に変位される。
よって、基部材9431bと基部材9434との前後方向の重なり寸法がL3からL4に変位された分、ワイヤ9444を緩ませることができる(L3>L4)。よって、ワイヤ9444が緩んだ分、基部材9446を基部材9434に対してスライドレール9443の付勢力によりスライド変位させることができる。その結果、ベース部材8410に対して、基部材9431bをスライド変位させた場合に、基部材9446を基部材9434よりも増速された状態で、基部材9434に対してスライド変位させることができる。
これにより、スライドユニット9400の基部材9434及び基部材9446を演出領域Kにスライド変位させる(遮蔽状態)又は、演出領域Kから退避させる(開放状態)際に要する時間を短縮して、遮蔽状態および開放状態の切替を迅速に行うことができる。
図93(c)及び図94(c)に示すように、左スライド部材9430が、張出位置に配置された状態では、基部材9431bの正面視左側の側面と基部材9434の正面視右側の側面とが、前後方向に略同一の位置に配置される。また、基部材9434の正面視左側の側面と基部材9446の正面視右側の側面とは、前後方向に略同一の位置に配置される。
即ち、基部材との間に隙間が形成されない。よって、演出領域Kの全域に、基部材8431b、基部材8434及び基部材8446を配置させることができる。
また、第9実施形態では、基部材9446のスライド変位を、スライドレール9443とワイヤ9444で行うことができるので、第8実施形態のように、基部材8446の上部に第3部材8445を配設する必要がない。よって、第3部材8445を配置しない分、ベース部材8410及び摺動棒部材420の長手方向の距離寸法を小さくすることができ、ベース部材8410を配設するためのスペースを抑制して小型化を図ることができる。
次いで、図99から図102を参照して、第10実施形態における昇降ユニット800について説明する。
まず、第10実施形態における昇降ユニット10800の全体構成について、図99及び図100を参照して説明する。図99(a)は、第10実施形態における昇降ユニット10800の正面図であり、図99(b)は、昇降ユニット10800の背面図であり、図99(c)は、昇降ユニット10800の側面図である。図100は、昇降ユニット10800の分解正面斜視図である。
第1実施形態では、動作ユニット200に配設される各可動ユニット(スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800)が、合体(張出)位置において互いに非連結とされる場合を説明したが、第10実施形態では、動作ユニット10200に配設される各可動ユニット((スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット10800)が、合体状態において互いに連結される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図99及び図100に示すように、第10実施形態における昇降ユニット10800は、ベース部材810に昇降可能に配設される昇降部材10820を備えて形成される。昇降部材10820は、正面視略台形に形成され、背面側に突出する突起821と、背面側から突出して形成される係合部10822とを主に備えて形成される。
係合部10822は、動作ユニット200が合体状態に変位された際に、スライドユニット400の各回転部材435,455及び突出ユニット700の突出部材735が係合させる長方形状の突起であり、昇降部材10820の背面側から突出して形成される。係合部10822は、その左右方向寸法が、合体状態における各回転部材435,455の対向間の距離寸法と略同一又はやや大きく設定されると共に、スライドユニット400の各回転部材435,455よりも背面側に突出した状態に形成される。よって、動作ユニット200が合体状態に変位された際に各回転部材435,455と係合部10822とを当接させることができる(図102(a)参照)。
また、係合部10822は、昇降部材10820の背面側から、長方形状に突出して形成され、重力方向に貫通する貫通孔10822aを備える。貫通孔10822aは、内部に突出ユニット700の突出部材735を挿通させる部材であり、上面視における突出部材735の先端部よりも大きい開口に形成される。これにより、動作ユニット200を合体状態に変位させた際に突出部材735の先端部を貫通孔10822aの内部に挿通させることができる(図102(b)参照)。
次いで、図101及び図102を参照して、合体状態における動作ユニット10200について説明する。図101は、合体状態における動作ユニット10200であり、図102(a)は、図101のCIIa−CIIa線における動作ユニット10200の模式断面図であり、図102(b)は、図101のCIIb−CIIb線における動作ユニット10200の模式断面図である。
図101及び図102に示すように、合体状態における動作ユニット10200の昇降ユニット10800(昇降部材10820)には、係合部10822の側面にスライドユニット400の各回転部材435,455が当接される(図102(a)参照)。
なお、係合部10822は、背面視においてその外形が下方に向かうに従って幅寸法が小さくされる略台形に形成される。即ち、係合部10822の左右(図99(b)左右)の側面は、下方に向かうに従って左右方向中央部に傾斜して形成される。
また、上述したように、係合部10822の貫通孔10822aには、突出部材735が挿入される。この場合、突出部材735の背面側には、下方に向かうに従って突出距離が大きく形成される傾斜部10735aが形成されており、貫通孔10822aの内壁と傾斜部10735aとが当接可能に形成される。
よって、係合部10822により、昇降ユニット10800と、スライドユニット400及び突出ユニット700とが、当接(連結)された状態とすることができるので、合体状態における各可動ユニット(昇降ユニット10800、スライドユニット400及び突出ユニット700)の配置にずれが発生することを抑制できる。その結果、合体状態における各可動ユニットの一体感を遊技者に与えることができるので、遊技者の興趣を向上することができる。
また、各可動ユニットどうしが連結されるので、昇降部材10820の周期的な変位を、スライドユニット400の各回転部材435,455及び突出ユニット700の突出部材735に伝達することができる。
詳しく説明すると、昇降部材10820を駆動させる駆動モータ891に比較的小さい回転駆動を往復で繰り返し作用させることで、昇降部材10820は、比較的小さい距離で上下に変位される(振動する)。
この場合、スライドユニット400の各回転部材435,455は、係合部10822の左右(図99(b)左右)の側面と当接された状態とされるので、左右の側面の傾斜形状により係合部10822と当接した側を動作ユニット10200の左右方向(図101左右方向)外側に向かって変位させることができる。
なお、回転部材435,455は、合体(張出)位置において、その重心により係合部10822と当接した側を動作ユニット10200の左右方向内側に向かって変位させる方向に回転モーメントが付与される。よって、昇降部材10820の変位により回転変位された回転部材435,455は、回転モーメントにより再び係合部10822と当接することができる。その結果、昇降部材10820が周期的な繰り返しの変位をされることで、回転部材435,455に周期的な繰り返しの変位をさせることができる。
一方、突出ユニット700の突出部材735は、傾斜部10735aが係合部10822の貫通孔10822aに当接されるので、昇降部材10820に周期的な繰り返しの変位が付与されることで、傾斜部10735の傾斜面を係合部10822の貫通孔10822aの内面が摺動する。よって、傾斜面10735aの傾斜により、突出部材735が前方(図102(b)左方向)に押し出される距離が周期的に変位される。その結果、昇降部材10820が周期的な繰り返しの変位をされることで、突出部材735に周期的な繰り返しの変位をさせることができる。従って、他の駆動モータ763,475,476に駆動力を作用する必要がない分、駆動エネルギーを抑制することができる。
即ち、合体(張出)位置において、回転部材730及び回転部材435,455に当接可能に形成される昇降部材10820を備え、昇降部材10820は、周期的な変位が可能に形成されるので、昇降部材10820の周期的な変位を利用して回転部材730及び回転部材435,455を周期的に変位させることができる。言い変えると、回転部材730(昇降ベース720)と回転部材435,455と昇降部材10820とにより形成される模様(キャラクター)を振動させることができ、これにより、演出的な効果を高めることができる。また、この場合、互いを当接させることで、昇降部材10820の周期的な変位を強制的に変位させる構成であり、回転部材730及び回転部材435,455を周期的に変位させる機構をそれぞれ設ける必要がない。よって、その分、製品コストの削減を図ることができる。
また、回転部材730及び回転部材435,455は、互いに離間した(非当接の)状態とされるので、互いの影響を受けることなく昇降部材10820から、周期的な変位を作用されることができる。即ち、昇降部材10820の周期的な変位を回転部材730及び回転部材435,455のそれぞれへ伝達し易くできる。
さらに、回転部材730及び回転部材435,455を関連させず、これらを互いに異なる様態で周期的に変位(振動)させることができる。即ち、回転部材730及び回転部材435,455は、互いに異なる構成(部品点数や各部品の形状)であるため、同じ振動が昇降部材10820から伝達されても、互いに異なる様態で振動される。よって、1のキャラクターのうち回転部材730が形成する部分と回転部材435,455が形成する部分とを異なる様態で振動させることができる。よって、その分、演出効果を高めることができる。
例えば、第10実施形態の場合、回転部材435,455は、基部材434,454に対して回転可能に配設されるので、昇降部材10820の周期的な変位により、回転軸を中心に周方向に回転変位する動作を周期的に繰り返す様態とでき、回転部材730は、と突出部材735の傾斜部10735の傾斜により、前後方向に押しだされる動作を周期的に繰り返す様態とできる。
また、各回転部材435,455及び突出部材735は、変位(振動)する駆動源に直接連結されるので、駆動力の伝達を効率よく行うことができる。
即ち、突出部材735が各回転部材435,455に連結される場合では、突出部材735を変位(振動)させる駆動力が各回転部材435,455を介して伝達されるので、突出部材735に伝達される駆動力が小さくされるところ、第10実施形態では、各回転部材435,455及び突出部材735は、変位(振動)する駆動源に直接連結されるので、駆動力の伝達を効率よく行うことができる。
さらに、昇降部材10820は、合体(張出)位置における前後方向位置が、回転部材730及び回転部材435,455よりも、前方となる位置に配置されるので、遊技者に近い側に配設される昇降部材10820を周期的に変位(振動)させることができる。即ち、遊技者が視認しやすい手前側の昇降部材10820が振動源として模様(キャラクター)が振動されるので、振動による迫力を遊技者に伝えやすい演出を行うことができる。
次いで、図103から図107を参照して、第11実施形態における動作ユニット200について説明する。
まず、第11実施形態における駆動体11761について図103を参照して説明する。図103(a)は、第11実施形態における駆動体11761が第1回転位置に配設された状態の駆動体11761の正面図であり、図103(b)は、駆動体11761が第2回転位置に配置された状態の駆動体761の正面図である。
第1実施形態では、突出部材735を張出位置(回転部材730から突出した状態)へ変位させる駆動体761の回転に伴って、介設部材733が下降するように、駆動体761のカム部761bが形成される場合を説明したが、第11実施形態では、突出部材735を張出位置(回転部材730から突出した状態)へ変位させる駆動体11761の回転に伴って、介設部材733が上昇するように、駆動体11761のカム部11761bが形成される。なお、上記各実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
図103(a)及び図103(b)に示すように、第11実施形態の駆動体11761のカム部11761bは、駆動体11761が第1回転位置に配置された状態において、摺動壁733cに当接されるカム面(位置P1)におけるカム径(半径R3)が最小径に設定されると共に、駆動体11761が第2回転位置に配置された状態において摺動壁733cに当接されるカム面(位置P2)におけるカム径(半径R4)が最大径に設定され、位置P1から位置P2へ向かうに従ってカム径が連続的に増加するように形成される。
よって、摺動壁733c(即ち、介設部材733)の上下方向位置は、カム部761bの作用により、駆動体761が第1回転位置から第2回転位置へ回転されると、最下方から最上方まで連続的に上昇され、駆動体761が第2回転位置から第1回転位置へ回転されると、最下方から最上方まで連続的に下降される。
従って、駆動体761が第1回転位置から第2回転位置まで回転されると、カム部11761bにおけるカム径が最大径である位置P2まで増加されることで、介設部材733が最上方に押し上げられ、これに伴って、揺動部材732の先端が最上方に位置される。
次に、図104から図107を参照して各可動ユニット(スライドユニット400、突出ユニット11700及び昇降ユニット800)が合体状態に変位する際に変位様態について説明する。図104から図107は、動作ユニット200の正面図である。なお、図104から図107は、図104を初期位置として各可動ユニットが合体(張出)状態に変位する際の変位様態が順に図示される。
なお、動作ユニット200に配設する各可動ユニットの動作は、3つの所定のタイミングで切替られる。第10実施形態では、図104に示す初期位置から順に第1動作、第2動作、第3動作として説明する。
第1動作では、突出ユニット700の昇降ベース720がベース部材710に対して、上方にスライド変位される。第2動作では、突出ユニット11700が第1動作から引き続きその動作が継続され、スライドユニット400の基部材434,435が遊技機10の中央部へスライド変位して回転部材435,455が45度程度回転変位され、昇降ユニット800の昇降部材820が下方にスライド変位される。第3動作では、突出ユニット800の突出部材835が上方にスライド変位されると共に、揺動部材832の先端が上方に回転変位される。
初めに、図104に示すように初期位置における動作ユニット200の突出ユニット11700は、揺動部材732の先端が、回転部材11730に近接した状態で配設される。よって、退避状態における動作ユニット200の中央部に形成されるスペースを大きくできる。即ち、退避状態での、各可動ユニットの配置スペースを小さくして、張出動作時の張出量を大きくできる。
次に、図104及び図105に示すように、第1動作は、突出ユニット11700の変位が行われる。図105に示すように、第1動作における突出ユニット11700の変位は、昇降ベース720をベース部材710に対してスライド変位させることで行われる。これにより、突出ユニット700の昇降ベース720及び回転部材730が合体位置に変位される。なお、昇降ベース720の変位の詳しい説明は第1実施形態と同様であるため、その詳しい説明は省略する。
図105及び図106に示すように、第2動作は、スライドユニット400及び昇降ユニット800を変位させることで行われる。この際、左右のスライド部材430,450(基部材434,454)のスライド変位距離は同一距離に設定される。
第2動作の変位により、突出ユニット11700の昇降ベース720がベース部材710に対して昇降し、スライドユニット400の回転部材435,455が中央部に変位し、昇降ユニット800の昇降部材820が、ベース部材810に対して下方に変位した状態とされる。なお、第3状態では、突出ユニット1170の突出部材735は、回転部材11730の内部に収容された状態とされる。
また、この場合、回転部材11730の揺動部材732の先端は、回転部材11730に対して近接した下降位置とされる。よって、回転部材11730は、合体(張出位置)へ配置されるまでの間は、揺動部材732が回転部材11730に近接された状態に維持されるので、合体位置への変位の途中で回転部材435,455が揺動部材732に干渉することを抑制できる。よって、各可動ユニット(昇降部材820、回転部材435,455及び回転部材11730により形成される模様(キャラクター)が形成されるまでの時間を短縮して演出効果を高めることができる。
さらに、揺動部材732の先端は、回転部材11730に対して近接した下降位置とされるので、回転部材435,455と揺動部材732との隙間を大きくすることができるので、回転部材435,455を大きく形成できる。よって、各可動ユニット(スライドユニット400、突出ユニット11700及び昇降ユニット800)の各部材(回転部材435,455、昇降ベース11720(回転部材11730)及び昇降部材820)が合体して形成する模様(キャラクター)を大きくすることができる。
次に、図106及び図107に示すように、第3動作は、突出ユニット11700の突出部材735を変位させる(駆動体11761を回転させる)ことで行われる。即ち、突出ユニット11700の突出部材735の変位のみ、各動作ユニット(スライドユニット400及び昇降ユニット800)の動作の最後に行われる。上述したように、突出ユニット11700の突出部材735は、その変位に伴って、揺動部材732を変位させることができる。
よって、突出ユニット11700の突出部材735の変位に伴って、揺動部材732の先端を回転部材11730から離間させる方向に上昇させることができる。従って、動作ユニット200が合体(張出)位置とされる際には、揺動部材732の先端を回転部材11730から離間させることで、昇降部材820、回転部材435,455及び回転部材11730(昇降ベース720)により形成される模様(キャラクター)をより大型化することができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、1の実施形態の一部または全部を他の1又は複数の実施形態の一部または全部と入れ替えて又は組み合わせて、遊技機を構成しても良い。
上記第1実施形態では、スライドユニット400において、左スライド部材430(第1部材431)を右スライド部材450(ラック部材451)に当接(衝突)させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左スライド部材430(第1部材431)をベース部材410に当接させるように形成しても良い。
この場合には、ベース部材410に被当接部を設けると共に、かかる被当接部を、左スライド部材430(第1部材431)のスライド変位範囲の一端(終点)に配設し、各部品の寸法のばらつきや左駆動モータ475の制御のばらつきなどに起因して、左スライド部材430(第1部材431)の停止位置が目標位置よりも延びた場合に、第1部材431を被当接部材に当接させる(即ち、被当接部材を左スライド部材430の変位を規制するストッパとして機能させる)。第2部材433よりもスライド変位の速度が相対的に遅くされる第1部材431を被当接部材に当接させることで、その当接の際の衝撃を弱めて、両者の破損を抑制することができる。
上記第1実施形態では、スライドユニット400において、左スライド部材430(第1部材431)の当接対象(第1部材431が当接される部材)である右スライド部材450(ラック部材451)の変位が、スライド変位(直線運動)であり、かつ、その変位の方向が、左スライド部材430(第1部材431)のスライド変位の方向と平行とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左スライド部材430(第1部材431)の当接対象は、少なくとも左スライド部材430(第1部材431)のスライド変位の方向と平行な方向への変位成分を有していれば、その変位の形態は任意である。よって、当接対象の変位は、回転運動や曲線に沿った運動であっても良い。
このように、当接対象が、少なくとも左スライド部材430(第1部材431)のスライド変位の方向と平行な方向への変位成分を有していれば、左スライド部材430(第1部材431)が当接された際に、上述した平行な変位成分により、当接対象を後退させる(逃がす)ことができ、その分、緩衝作用を発揮させることができる。また、当接の場合とは逆方向に当接対象を変位させることで、上述した平行な変位成分により、左スライド部材430(第1部材431)を押し返して、左スライド部材430の初期動作(停止状態からスライド変位を開始する動作)を補助することができる。
なお、当接対象は、駆動手段により駆動されるものである必要はない。駆動手段による駆動に代えて、或いは、駆動手段による駆動に加えて、付勢手段(ゴムやウレタンなどの弾性素材、コイルスプリングやねじりばねなどのばね等)により付勢されるように形成しても良い。この場合には、左スライド部材430(第1部材431)が当接された際に、付勢手段を弾性変形させることで、上述した緩衝作用を発揮させることができると共に、その弾性回復力に左スライド部材430(第1部材431)を押し返すことで、左スライド部材430の初期動作を補助することができる。
上記第1実施形態では、上合体ユニット500及び下合体ユニット600において、上変位部材530と下変位部材640とが、張出位置へ略同時に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上変位部材530が先に張出位置に配置され、その後、下変位部材640が張出位置に配置される(即ち、停止状態の上当接部533に対して下当接部643が当接される)ものであっても良い。この場合であっても、上記実施形態の場合と同様に、下変位部材640の当接対象へ向かう方向の速度成分の変化(減少)によって、当接(衝突)時の衝撃を弱めて、跳ね返りを抑制することができる。
上記第1実施形態では、上合体ユニット500及び下合体ユニット600において、下変位部材640の当接対象(下変位部材640が張出位置において当接(合体)される対象)である上変位部材530が変位可能に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、当接対象は停止されているもの(変位不能なもの)であっても良い。この場合であっても、上記実施形態の場合と同様に、下変位部材640の当接対象へ向かう方向の速度成分の変化(減少)によって、当接(衝突)時の衝撃を弱めて、跳ね返りを抑制することができる。
上記第1実施形態では、下合体ユニット600において、下変位部材640が張出位置に配置される際の駆動アーム630の回転位置が張出回転位置とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、下変位部材640が張出位置に配置される際の駆動アーム630の回転位置を、垂直回転位置としても良い。即ち、駆動アーム630が垂直回転位置まで回転された状態を、下変位部材640の張出位置とし、その張出位置において、下変位部材640が上変位部材530に当接されるように形成しても良い。
或いは、下変位部材640が張出位置に配置される際の駆動アーム630の回転位置を、水平回転位置と垂直回転位置との間の回転位置(例えば、水平回転位置から駆動アーム630が80度回転された回転位置)としても良い。即ち、駆動アーム630が水平回転位置と垂直回転位置との間の回転位置まで回転された状態を、下変位部材640の張出位置とし、その張出位置において、下変位部材640が上変位部材530に当接されるように形成しても良い。
これらいずれの構成であっても、下変位部材640の当接対象へ向かう方向の速度成分の変化(減少)によって、当接(衝突)時の衝撃を弱めて、跳ね返りを抑制することができる。
上記第1実施形態では、下合体ユニット600において、駆動アーム630の回転によって下変位部材640が変位される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の構造を採用しても良い。他の構造としては、例えば、下変位部材640の背面(駆動アーム連結軸641に対応する位置の背面)から円柱状の案内ピンを突設すると共に、その案内ピンが摺動可能な案内溝をベース部材610に延設し、案内ピンを案内溝に沿って摺動させることで、下変位部材640を退避位置および張出位置の間で変位させる構造が例示される。
かかる構造の場合には、下変位部材640の変位(速度)成分のうちの少なくとも当接対象(下変位部材640が張出位置において当接(合体)される対象)へ向かう方向の成分が、少なくとも張出位置の近傍において減少するように、案内溝の形状を設定する。これによって、上記第1実施形態の場合と同様に、下変位部材640の当接対象へ向かう方向の速度成分の変化(減少)によって、当接(衝突)時の衝撃を弱めて、跳ね返りを抑制することができる。
上記第1実施形態では、上合体ユニット500及び下合体ユニット600において、下合体ユニット600(下変位部材640)のみが、当接対象へ向かう方向の速度成分が減少可能に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これに代えて、或いは、これに加えて、上合体ユニット500(上変位部材530)が、当接対象へ向かう方向の速度成分が減少可能に形成されても良い。この場合、下合体ユニット600を上下反転したものを上合体ユニット500として配設しても良い。
上記第1実施形態では、上合体ユニット500及び下合体ユニット600において、駆動モータ543,672の駆動状態(供給電力)が一定(即ち、ラック部材520の変位速度および駆動アーム630の回転速度が一定)に維持される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、かかる駆動モータ543,672の駆動状態(供給電力)を増減(即ち、ラック部材520の変位速度および駆動アーム630の回転速度を増減)させても良い。例えば、張出位置の近傍において上変位部材530又は下変位部材640の速度成分のうちの少なくとも相手へ向かう方向の成分が減少するように、駆動モータ543,672への供給電力を減少させて、ラック部材520の変位速度および駆動アーム630の回転速度を減少させる形態が例示される。なお、供給電力を減少させる対象は、駆動モータ543,672の一方のみでも良く、両方で良い。
上記第1実施形態では、突出ユニット700において、介設部材733における摺動壁733cの底面と駆動体761におけるカム部761bのカム面とが当接する位置が、正面視において、駆動体761の回転中心を通過する鉛直線上に位置する場合を説明したが(図40参照)、必ずしもこれに限られるものではなく、上述した底面とカム面とが当接する位置を、駆動体761の回転中心を通過する鉛直線から水平方向一側へ離間した位置に設定しても良い。この場合には、揺動部材732及び介設部材733が自重により下降される際には、突出部材735を上昇させる回転方向へ駆動体761が回転されるように、揺動部材732及び介設部材733の重量が駆動体761に作用され、突出部材735が自重により下降される際には、揺動部材732及び介設部材733を上昇させる回転方向へ駆動体761が回転されるように、揺動部材732及び介設部材733の重量が駆動体761に作用されるように形成することが好ましい。これら揺動部材732及び介設部材733と突出部材735の自重を利用して、駆動モータ763の負荷を抑制できるからである。
上記第1実施形態では、突出ユニット700において、駆動体761のカム部761bのカム径が半径R1の最大径から半径R2の最少径まで連続的に減少される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、駆動体761が第1回転位置に配置された状態における位置P1から所定の範囲におけるカム径が、半径R1と同一の半径に設定されていても良い。この所定の範囲の中心角は、駆動体761の摺動ピン761cが、突出部材735の摺動孔735bにおける湾曲部735b1を通過するのに要する角度に対応して設定されることが好ましい。揺動部材732の変位が開始されるタイミングを、突出部材735の変位が開始されるタイミングと一致させることができ、演出効果を高めることができる。
上記第1実施形態では、突出ユニット700において、揺動部材732又は突出部材735の一方が鉛直(重力)方向上方への変位(速度)成分を有している間は、他方が鉛直(重力)方向下方への変位(速度)成分を有し、揺動部材732又は突出部材735の一方が鉛直(重力)方向下方への変位(速度)成分を有している間は、他方が鉛直(重力)方向上方への変位(速度)成分を有するように形成することで、駆動モータ763の負担を均一化する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、駆動体761のカム部761bにおけるカム形状(カム径)と突出部材735の摺動孔735bにおける形状(駆動体761の回転中心からの距離)とを組み合わせて、駆動モータ763の負荷を均一化しても良い。
即ち、摺動壁733cに対してカム部761bから作用を及ぼすために必要な負荷が相対的に大きい領域では、摺動孔735bに対して摺動ピン761cから作用を及ぼすために必要な負荷が相対的に小さくなるように、摺動孔735bの形状を設定し、逆に、摺動孔735bに対して摺動ピン761cから作用を及ぼすために必要な負荷が相対的に大きい領域では、摺動壁733cに対してカム部761bから作用を及ぼすために必要な負荷が相対的に小さくなるように、カム部761bの形状を設定する。
上記第1実施形態では、突出ユニット700において、付勢ばね792の弾性回復力が突出部材735を下降(下方へスライド変位)させる方向への付勢力として作用される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、付勢ばね792の弾性回復力が突出部材735を上昇(上方へスライド変位)させる方向への付勢力として作用されるようにしても良い。この場合には、上述した摺動孔735bにおける湾曲部735b1との相乗効果により、突出部材735が停止状態から上方へスライド変位される際の初速を速くすることができる。
上記第2実施形態では、スライドユニット2400において、伝達ギヤ2437aが歯部2437a1と膨出部2437a2とを備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、回転伝達部材2485の左回転伝達ラックギヤ413及び右回転伝達ラックギヤ414に歯厚が漸次小さくなる膨出部が形成されていても良い。この場合も第2実施形態と同様に、歯合を解除した第2駆動状態から歯合した第1駆動状態へと切り替わる際の歯合をスムーズに行うことができる。
さらに、伝達ギヤ2437aと左回転伝達ラックギヤ413及び右回転伝達ラックギヤ414との上下方向に配置されたギヤの両側に膨出部を形成しても良い。この場合、第2駆動状態から第1駆動状態へと切り替わる際に歯合する互いのギヤに、膨出部が形成されるので、歯合を解除した第2駆動状態から歯合した第1駆動状態への切り替わりをよりスムーズに行うことができる。
また、この場合、歯合するギヤの両側に歯厚が漸次小さくなる膨出部を形成することで、膨出部の厚み寸法(ギヤの歯幅方向の寸法)を小さく形成することができる。
上記第2及び第3実施形態では、スライドユニット2400及びスライドユニット3400において、左スライド部材430、2430が退避位置(遊技機左側の位置)から張出位置(遊技機中央の位置)に変位した際に、第1駆動状態から第2駆動状態へ変位する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左スライド部材430、430が退避位置(遊技機左側の位置)から張出位置(遊技機中央の位置)に変位した際に、第2駆動状態から第1駆動状態へと変位をさせるものであってもよい。
上記第4実施形態では、スライドユニット4400において、左回転伝達ラックギヤ4413及び右回転伝達ラックギヤ4414の切欠き部4413a,4414aに隣接する歯を、小型に形成した小型歯部とすることでその剛性を高くする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、切欠き部4413a,4414aに隣接する歯の歯幅の寸法を大きく形成して、その剛性を高くしても良い。
この場合も、第4実施形態と同様に、第3駆動状態から第1駆動状態に切り替わる際に、切欠き部4413a,4414aに隣接した左回転伝達ラックギヤ4413及び右回転伝達ラックギヤ4414の歯が破損することを防止でき、左回転伝達ラックギヤ4413及び右回転伝達ラックギヤ4414の耐久性を向上することができる。
上記第6実施形態では、スライドユニット6400において、操作子6438に変位を与える突起6411aをベース部材6411に形成する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、突起6411aを、背面ケース300に形成して操作子6438と当接するように配設してもよい。即ち、突起6411aを形成する位置は、ベース部材6411に限られるものではなく、操作子6438の変位軌跡上の部材に形成されていれば良い。
上記第6及び第7実施形態では、スライドユニット6400及びスライドユニット7400において、左スライド部材6430、7430が退避位置(遊技機左側の位置)から張出位置(遊技機中央の位置)に変位した際に、第1駆動状態から第2駆動状態もしくは第3駆動状態へ変位する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左スライド部材6430、7430が退避位置(遊技機左側の位置)から張出位置(遊技機中央の位置)に変位した際に、第2駆動状態から第1駆動状態へと変位をさせるものであってもよい。
上記第7実施形態では、スライドユニット7400において、操作子6438に変位を与えるローラ7465が第2スライド部材7640に配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、操作子6438に変位を与えるローラ7645をベース部材7410に配設して、ベース部材7410に配設した第2スライド部材7640のスライド変位に伴って、ローラ7645を左スライド部材6430の変位方向に変位させるものであっても良い。
上記第8実施形態では、スライドユニット8400において、第2側ピニオンギア8533dの外形を、第1側ピニオンギヤ432の外形と略同一に形成することで、第1部材8431に対して第2部材8433が相対変位する距離と、第2部材8433に対して第3部材8445が相対変位する距離とを略同一に形成しているが、必ずしもこれに限ったものではなく、第2側ピニオンギヤ8583dの外形を第1側ピニオンギヤ432の外形より小さく、もしくは、大きく形成して、第1部材8431に対して第2部材8433が相対変位する距離と、第2部材8433に対して第3部材8445が相対変位する距離とが異なって形成されていても良い。
上記第8及び第9実施形態では、スライドユニット8400,9400において、第1部材8431,9431、第2部材8432,9432及び第3部材8445,9445が演出領域Kにスライド変位されると、演出領域Kが視認不能とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第1部材8431,9431、第2部材8432,9432及び第3部材8445,9445の一部または全部を、光透過性材料から形成し、演出領域Kの一部または全部を透視可能としても良い。
上記第8及び第9実施形態では、スライドユニット8400及びスライドユニット9400において、基部材8431b,9431bの正面視左側の側面と基部材8434,9434の正面視右側の側面とが、前後方向に略同一の位置に配置され、基部材8434,9434の正面視左側の側面と基部材8446,9446の正面視右側の側面とが、前後方向に略同一の位置に配置される場合を説明したが、基部材8431b,9431bの正面視左側の側面と基部材8434,9434の正面視右側の側面とが、前後方向に重なって配置されていても良く、基部材8434,9434の正面視左側の側面と基部材8446,9446の正面視右側の側面とが、前後方向に重なって配置されていても良い。
上記第1実施形態では、スライドユニット400及び突出ユニット700が合体(張出)位置に変位する際に、回転部材435,455と揺動部材732とが当接される様態を、制御や寸法のばらつきに起因して両者が基準位置よりも近づいた場合に回転部材435,455が揺動部材732に衝突する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転部材435,455と揺動部材732とが合体位置に変位された際には、定常的に両者が衝突する位置としてもよい。
この場合、回転部材435,455の変位を揺動部材に衝突させて停止できる分、回転部材435,455の変位動作を素早く停止させることができる。即ち、回転部材435,455は、基部材434,454の変位に伴って変位されるので、駆動モータ475,476からの駆動の伝達経路が長くされる。よって、駆動モータ475,476の停止動作の伝達に時間がかかるところ、回転部材435,455を揺動部材732に当接させて変位動作を停止させることで、合体(張出)位置で素早く停止することができる。
上記第1実施形態では、スライドユニット400及び突出ユニット700が合体(張出)位置に変位した際に、回転部材435,455と揺動部材732との間に形成されるスペースを利用して、回転部材435,455を更に変位させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、回転部材435,455と揺動部材732との間に形成されるスペースに、回転部材435,455に配設される第2部材436,456を第1実施形態とは反対側に回転させて張出してもよい。
この場合、回転部材435,455と揺動部材732との間に形成されるスペースに第2部材436,456を配設して、回転部材435,455と回転部材730(昇降ベース720)と昇降部材820とを合体位置に変位させて形成される模様(キャラクター)の大きさを大型化しやすくできる。
上記第11実施形態では、昇降ユニット800、スライドユニット400及び突出ユニット11700が合体(張出)位置に変位した際に、回転部材435,455及び回転部材11730(昇降ベース720)が、離間された状態に配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、回転部材435,455及び回転部材11730(昇降ベース720)が、当接された状態に配設されていても良い。この場合、回転部材435,455及び回転部材11730を当接して配設するので、回転部材435,455と回転部材11730(昇降ベース720)と昇降部材820とを合体位置に変位させて形成される模様(キャラクター)の大きさを大型化しやすくできる。
上記第1実施形態では、スライドユニット400及び突出ユニット700が合体(張出)位置に変位し、回転部材435,455と揺動部材732とが当接した際に、回転部材730が回転して、回転部材435,455が揺動部材732に衝突した際の衝撃を吸収する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、昇降ベース720をベース部材710に対して回転変位させるものであっても良い。
この場合、回転部材730は、昇降ベース720に対して回転させるための駆動を伝達する伝達経路が連結されるので、昇降ベース720に対して回転し難いところ、昇降ベース720をベース部材710に対して回転させることで、回転部材435,455が揺動部材732に当接した際に回転させ易くできるので、回転部材435,455が揺動部材732に衝突した際の衝撃を吸収しやすくできる。
上記第1実施形態では、第2演出様態を形成した際に、回転部材435が上変位部材530の当接部533及び下変位部材640の当接部643の当接した部分の少なくとも一部の前方側に配設される場合したが、必ずしもこれに限られるものではなく、回転部材435が上変位部材530の当接部533及び下変位部材640の当接部643の当接した部分の全体の前方側を覆う態様で配設されていてもよい。また、これを超える領域の前方側に配設されていてもよい。
この場合、回転部材435により、上変位部材530と下変位部材640との当接部分を遊技者から視認できなくできるので、上変位部材530と下変位部材640と回転部材435とを1つの模様として遊技者に認識させやすくできる。その結果、遊技者が第2の演出態様の模様(キャラクター)として認識できず興趣が損なわれることを抑制できる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<スライドユニット400を一例とする発明の概念について>
ベース部材と、そのベース部材に直線変位可能に配設される変位部材と、その変位部材と当接可能に形成される当接部材と、を備えた遊技機において、前記変位部材は、前記ベース部材に直線変位可能に配設される第1部材と、その第1部材に回転可能に配設されるピニオンギヤと、そのピニオンギヤが歯合されるラックギヤを有すると共に前記第1部材に直線変位可能に配設される第2部材と、を備え、前記ベース部材は、前記ピニオンギヤが歯合されるラックギヤを備え、前記変位部材の第1部材が前記当接部材に当接されることを特徴とする遊技機A1。
ここで、ベース部材と、そのベース部材に直線変位可能に配設される変位部材を備えた遊技機が知られている(例えば、特開2015−57166号)。この場合、例えば、変位中の変位部材を当接部材に当接させて、かかる当接部材を変位部材と共に変位させるものや、変位部材の変位範囲の終端に当接部材を配設しておき、寸法や制御のばらつきなどに起因して、変位部材の停止位置が目標位置よりも延びた場合に、変位部材を当接部材に当接させる(当接部材をストッパとして機能させる)ものなどが知られている。
しかしながら、上述した従来の構成では、変位部材が当接部材に当接される際に、変位部材および当接部材が破損するおそれがあるという問題点があった。一方で、破損を抑制するために、変位部材の変位速度を遅くしたのでは、変位部材の変位に伴う演出効果が損なわれる。
これに対し、遊技機A1によれば、変位部材の変位に伴う演出効果を確保しつつ、変位部材および当接部材の破損を抑制することができる。
即ち、変位部材は、ベース部材に直線変位可能に配設される第1部材と、その第1部材に直線変位可能に配設される第2部材とを備え、第2部材のラックギヤを、第1部材に回転可能に配設されるピニオンギヤを介して、ベース部材のラックギヤに歯合させるので、第1部材をベース部材に対して直線変位させると、第2部材を、第1部材よりも増速された状態で、ベース部材に対して直線変位させることができる。これにより、第2部材の変位速度を速くして、その変位に伴う演出効果を確保することができる。一方で、変位部材は、第2部材よりも変位速度が遅い第1部材を当接部材に当接させるので、その当接の際の衝撃を弱めて、変位部材および当接部材の破損を抑制することができる。
なお、ベース部材に対する第1部材の駆動の形態としては、例えば、第1部材に形成したラックギヤにベース部材に配設されるピニオンギヤを歯合させ、ピニオンギヤを回転駆動することで第1部材をベース部材に対して直線変位させるものや、ベース部材に基端が回転可能に軸支されたアーム体の先端を第1部材に連結し、アーム体を回転駆動することで、第1部材をベース部材に対して直線変位させるものなどが例示される。
また、変位部材と当接部材との当接は、第2部材が第1部材に対して突出方向に相対変位される方向への変位部材の直線変位時に行われるものであっても良く、或いは、第2部材が第1部材に対して収納方向に相対変位される方向への変位部材の直線変位時に行われるものであっても良い。いずれの場合であっても、第2部材よりも変位速度が遅い第1部材が当接部材に当接されることで、その当接の際の衝撃を弱めて、変位部材および当接部材の破損を抑制することができる。
遊技機A1において、前記当接部材は、前記ベース部材に変位可能に配設されると共に、その当接部材の変位可能な方向は、前記変位部材が当接された際にその変位部材の直線変位を許容する方向であることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、当接部材がベース部材に変位可能に配設されると共に、その当接部材の変位可能な方向が、変位部材が当接された際にその変位部材の変位を許容する方向であるので、変位部材の変位を当接部材が受け止めつつ逃げることで、緩衝作用を発揮することができ、その結果、変位部材および当接部材の破損を抑制しやすくできる。
なお、変位部材の直線変位を許容する方向とは、当接部材の変位の方向が、変位部材の直線変位の方向の成分を少なくとも含むことを意味する。即ち、当接部材の変位は、直線変位である必要はなく、回転や湾曲(曲線状)変位であっても良い。また、当接部材の変位が直線変位である場合には、その直線変位の方向は、変位部材の直線変位の方向と平行である必要はなく、傾斜していても良い。
遊技機A2において、前記当接部材の変位可能な方向は、前記変位部材の直線変位の方向と平行な方向に設定されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、当接部材の変位可能な方向が、変位部材の直線変位の方向と平行な方向に設定されるので、変位部材が当接された際に、当接部材の逃げる動作をスムーズに行わせることができる。よって、緩衝作用を確実に発揮して、変位部材および当接部材の破損を抑制しやすくできる。
遊技機A3において、前記変位部材の直線変位を案内する案内部材を備え、その案内部材によって前記当接部材の直線変位が案内されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、変位部材の直線変位を案内する案内部材を備え、その案内部材によって当接部材の直線変位が案内されるので、装置全体としての小型化を図ることができる。即ち、変位部材を案内するための第1の案内部材と、当接部材を案内するための第2の案内部材とを、直線変位の方向に直交する方向に位置を違えて並設する場合には、その分、直線変位の方向に直交する方向のスペースが嵩み、大型化を招く。これに対し、遊技機A4によれば、一方の案内部材を兼用することで、スペース効率を向上して、小型化を図ることができる。
遊技機A2からA4のいずれかにおいて、前記当接部材が前記変位部材と非当接となる位置に配置可能とされることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A2からA4のいずれかの奏する効果に加え、当接部材が変位部材と非当接となる位置に配置可能とされるので、変位部材を当接部材に当接させない状態を形成することができる。即ち、変位部材を比較的高速で直線変位させる場合には、寸法や制御のばらつきなどに起因して、変位部材の停止位置が目標位置よりも延びることが想定されやすいので、変位部材を当接部材に当接させる(当接部材をストッパとして機能させる)一方、変位部材を比較的低速で直線変位させる場合には、変位部材の停止位置を目標位置に一致させやすいことから、当接部材を変位部材と非当接となる位置に配置しておき、両者を当接させないことで、当接回数を減らし、当接に伴う変位部材および当接部材の疲労を低減させ、それらの寿命の向上を図ることができる。
遊技機A2からA5のいずれかにおいて、前記当接部材に駆動力を付与する当接部材駆動手段を備え、前記当接部材は、前記当接部材駆動手段の駆動力により、前記変位部材を押し返す方向へ向けて変位可能に形成されることを特徴とする遊技機A6。
ここで、変位部材は、ベース部材に直線変位可能に配設される第1部材と、その第1部材に直線変位可能に配設される第2部材とを備え、第2部材のラックギヤを、第1部材に回転可能に配設されるピニオンギヤを介して、ベース部材のラックギヤに歯合させることで、第1部材のベース部材に対する直線変位を利用して、第2部材を、第1部材よりも増速された状態で、ベース部材に対して直線変位させる構造であるため、駆動に必要な力が比較的大きくなる。特に、変位部材の初期動作時(停止状態からの直線変位の開始時)には、慣性力の影響により、駆動に必要な力が最大となる。よって、初期動作(停止状態からの直線変位の速度)が遅くなるため、その変位に伴う演出効果が阻害されるおそれがある。
この場合に、遊技機A6によれば、遊技機A2からA5の奏する効果に加え、当接部材は、当接部材駆動手段の駆動力により、変位部材を押し返す方向へ向けて変位可能に形成されるので、変位部材の初期動作(停止状態からの直線変位の開始)を補助することができる。よって、変位部材を停止状態から速やかに直線変位させることができる。その結果、初期動作を速くして、その変位に伴う演出効果の向上を図ることができる。
なお、変位部材を押し返す方向とは、当接部材の変位の方向が、変位部材の直線変位の方向の成分を少なくとも含むことを意味する。即ち、当接部材の変位は、直線変位である必要はなく、回転や湾曲(曲線状)変位であっても良い。また、当接部材の変位が直線変位である場合には、その直線変位の方向は、変位部材の直線変位の方向と平行である必要はなく、傾斜していても良い。
遊技機A6において、前記当接部材は、前記当接部材駆動手段の駆動力により、前記変位部材を押し返す方向へ向けて変位される際には、前記変位部材のうちの第1部材に当接されることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A6の奏する効果に加え、当接部材は、当接部材駆動手段の駆動力により、変位部材を押し返す方向へ向けて変位される際には、変位部材のうちの第1部材に当接されるので、変位部材の初期動作を補助する効率を高めることができる。即ち、当接部材は、第2部材よりも変位速度が遅い第1部材に当接されて、その第1部材を押し返すので、当接部材から変位部材(第1部材)へ補助力が作用している時間(即ち、停止状態の変位部材を押し返し始めてから、変位部材の速度が当接部材の速度を超えて、変位部材の変位が当接部材の変位に先行するまでの時間)をより長くすることができ、その結果、変位部材の初期動作を補助する効率を高めることができる。
遊技機A6又はA7において、前記第1部材および当接部材は、前記ベース部材に対してラックピニオン機構により直線変位され、前記第1部材におけるラックピニオン機構のギヤ比が、前記当接部材におけるラックピニオン機構のギヤ比よりも大きなギヤ比に設定されることを特徴とする遊技機A8。
遊技機A8によれば、遊技機A6又はA7の奏する効果に加え、第1部材および当接部材がベース部材に対してラックピニオン機構により直線変位される場合に、第1部材におけるラックピニオン機構のギヤ比が、当接部材におけるラックピニオン機構のギヤ比よりも大きなギヤ比に設定されるので、変位部材を停止状態から速やかに直線変位させやすくできると共に、直線変位の開始後は、変位部材(第2部材)の直線変位の速度を高めることができ、その結果、変位に伴う演出効果の向上を図ることができる。
即ち、当接部材におけるラックピニオン機構のギヤ比が小さなギヤ比に設定されていることで、より大きな駆動力が発揮可能となるので、当接部材により変位部材を押し返す力を強くして、変位部材の初期動作(停止状態からの直線変位の開始)を確実に補助することができる。よって、変位部材を停止状態から速やかに直線変位させることができる。一方、第1部材におけるラックピニオン機構のギヤ比が大きなギヤ比に設定されていることで、第1部材の直線変位の速度を速くすることができるので、その分、第2部材の直線変位の速度を高めることができる。
なお、ギヤ比が大きい(小さい)とは、ピニオンギヤが1回転する際のラックギヤの直線変位の距離が大きい(小さい)ことを意味する。
ここで、変位部材の初期動作を早めるために、第1部材におけるラックピニオン機構のギヤ比を小さくすると、初期動作後の変位部材(第2部材)の直線変位の速度が低くなる。一方、初期動作後の変位部材(第2部材)の直線変位の速度を高めるために、第1部材におけるラックピニオン機構のギヤ比を大きくすると、変位部材の初期動作が遅くなる。即ち、変位部材の初期動作を早めることと、その初期動作後の変位部材(第2部材)の直線変位の速度を高めることとの両立は、従来は不可能であったところ、当接部材が変位部材を押し返す構造を採用したことで、かかる両立が初めて可能となったものである。
<下合体ユニット600を一例とする発明の概念について>
駆動手段と、その駆動手段により駆動され第1位置へ向けて変位可能に形成される変位部材と、前記第1位置に変位された前記変位部材が当接される被当接部材と、を備えた遊技機において、前記変位部材の速度成分のうちの少なくとも前記被当接部材へ向かう方向の成分が、前記第1位置の近傍において減少するように形成されることを特徴とする遊技機B1。
ここで、一対の変位部材を備え、これら一対の変位部材が、所定間隔を隔てて配置される退避位置と、互いが当接される当接位置(第1位置)との間で変位可能に形成される遊技機が知られている(例えば、特開2015−51160号)。この種の遊技機では、例えば、退避位置に退避されている一対の変位部材を、互いに近接する方向へ変位させ、当接位置において当接(合体)させることで、これら一対の変位部材を一体化して、一つのキャラクターを形成するという演出が行われる。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、一対の変位部材どうしが第1位置において当接された際に、衝撃が発生して、例えば、互いが跳ね返されるなど、姿勢が不安定になるという問題点があった。一方で、当接の際の衝撃を弱めるために、一対の変位部材の変位速度を遅くすると、一対の変位部材を一体化して一つのキャラクターを形成するまでの時間が嵩み、間延びするため、演出の効果が阻害される。
これに対し、遊技機B1によれば、変位部材の速度成分のうちの少なくとも被当接部材へ向かう方向の成分が、第1位置の近傍において減少するように形成されるので、第1位置に変位された変位部材が被当接部材に当接される際の衝撃の発生を抑制できる。よって、例えば、変位部材が被当接部材から跳ね返されることを抑制でき、かかる変位部材の姿勢を安定化することができる。
また、変位部材の速度成分のうちの少なくとも被当接部材へ向かう方向の成分の減少は、第1位置の近傍において減少するように形成されるので、第1位置の近傍に達するまでは、変位部材の変位の速度を速くすることができるので、変位部材を被当接部材と一体化して一つのキャラクターを形成するまでの時間を低減して、間延びすることを抑制できる。その結果、演出の効果を高めることができる。
また、被当接部材は、第1位置に停止している部材であっても良く、第1位置へ向けて変位可能に形成される部材であっても良い。後者の場合には、被当接部材は、変位部材より先に第1位置に配置される(即ち、先に第1位置に到達して停止状態にある被当接部材に対して変位部材が当接される)ものであっても良く、変位部材と略同時に第1位置に配置される(即ち、互いに変位状態にある変位部材および被当接部材が第1位置において当接される)ものであっても良い。
また、被当接部材へ向かう方向の成分が第1位置の近傍において減少する形態としては、第1位置へ向かうに従って連続的に減少する形態や、第1位置へ向かうに従って段階的に減少する形態、これらを組み合わせた形態などが例示される。
また、被当接部材へ向かう方向への成分の減少とは、被当接部材へ向かう速度が減少されるだけでなく、被当接部材へ向かう方向への速度が0になる場合、及び、被当接部材から離間する方向の速度が増加する(即ち、被当接部材へ向かう方向の速度がマイナスになる)場合を含む趣旨である。
遊技機B1において、前記駆動手段の駆動力を前記変位部材に伝達する伝達手段を備え、前記伝達手段は、前記駆動手段の駆動状態が一定とされる状態で、前記変位部材の速度成分のうちの少なくとも前記被当接部材へ向かう方向の成分が、前記第1位置の近傍において減少するように形成されることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、伝達手段は、変位部材の速度成分のうちの少なくとも被当接部材へ向かう方向の成分の第1位置の近傍における減少を、駆動手段の駆動状態が一定とされる状態で行うことができるので、変位部材の変位位置に応じて駆動手段の駆動状態を増減させるなどの複雑な制御を行う必要がない。よって、駆動手段の制御を簡素化して、制御コストの削減と信頼性の向上とを図ることができる。
なお、駆動状態が一定とされる状態としては、例えば、駆動手段が電動アクチュエータ(例えば、電動モータ、電動リニアアクチュエータなど)であれば、その供給電流または供給電圧が一定とされる状態が例示される。但し、始動時および停止時の過渡応答における状態の変化は無視するものとする。
遊技機B2において、前記変位部材が変位可能に配設されるベース部材を備え、前記伝達手段は、前記ベース部材に回転可能に連結される回転基部とその回転基部から所定距離だけ離間する位置に形成され前記変位部材に回転可能に連結される連結先端部とを有する連結部材を備え、前記連結先端部を前記第1位置へ近接させる方向へ前記連結部材が前記回転基部を回転中心として回転されることで、前記変位部材が前記第1位置へ向けて変位されることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、変位部材とベース部材との間に連結部材が介設され、連結部材の連結先端部の移動軌跡は、回転基部を中心とする円弧となる。即ち、その円弧の接線方向の変位が変位部材に付与される。この場合、連結部材は、回転基部を回転中心として、連結先端部を第1位置へ近接させる方向へ回転されるので、変位部材の速度成分のうちの第1位置(即ち、被当接部材)へ向かう方向の成分を、少なくとも第1位置の近傍において減少させることができる。このように、伝達手段は、ベース部材と変位部材との間に連結部材を介設し、その連結部材を介して変位部材を変位させるものであるから、遊技機B2の奏する効果に加え、伝達手段の構造を簡素化できる。
遊技機B2において、前記変位部材が変位可能に配設されるベース部材を備え、前記伝達手段は、前記ベース部材に延設され前記変位部材を案内する案内溝を備えると共に、前記変位部材は、前記案内溝に沿って案内される被案内部を備え、前記案内溝は、その案内溝に沿って案内される前記被案内部の速度成分のうちの少なくとも前記被当接部材へ向かう方向の成分が、前記第1位置の近傍において減少するように形成されることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、伝達手段が、ベース部材に延設され変位部材を案内する案内溝を備えると共に、その案内溝に沿って案内される被案内部を変位部材が備え、案内溝は、その案内溝に沿って案内される被案内部の速度成分のうちの少なくとも被当接部材へ向かう方向の成分が、第1位置の近傍において減少するように形成される。このように、伝達手段は、変位部材(被案内部)を案内する案内溝を設け、その案内溝に沿って変位部材を変位させるものであるから、遊技機B2の奏する効果に加え、伝達手段の構造を簡素化できる。
遊技機B2からB3のいずれかにおいて、前記ベース部材に一側が変位可能に連結されると共に前記変位部材に他側が変位可能に連結される介設部材を備えることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B2からB3のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材に一側が変位可能に連結されると共に変位部材に他側が変位可能に連結される介設部材を備えるので、駆動手段の駆動力が伝達手段を介して変位部材に伝達され、変位部材が変位される際に、その変位部材に対して介設部材の変位を作用させることができる。即ち、変位部材の変位を、伝達手段の作用による変位と、介設部材の作用による変位とが組み合わされた形態とすることができる。これにより、変位部材の変位の形態を複雑化して、その変位による演出の効果を高めることができる。
遊技機B5において、前記介設部材は、前記一側および他側が前記ベース部材および変位部材に軸支により回転可能に連結されることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、介設部材は、一側および他側がベース部材および変位部材に軸支により回転可能に連結されるので、変位部材が変位される際に、介設部材は、一側を回転中心として他側が円弧状の軌跡で変位される。よって、かかる円弧状の変位(即ち、円弧の接線方向に沿って変位方向を常に変化させる変位)を介設部材部材から変位部材に作用させることができる。その結果、遊技機B5の奏する効果に加え、変位部材の変位の形態を複雑化して、その変位による演出の効果を高めることができる。
遊技機B2からB6のいずれかにおいて、前記伝達手段は、前記変位部材の速度成分のうちの前記被当接部材へ向かう方向の成分が、前記第1位置において少なくとも略0となるように形成されることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B2からB6のいずれかにおいて、伝達手段は、変位部材の速度成分のうちの被当接部材へ向かう方向の成分が、第1位置において少なくとも略0となるように形成されるので、第1位置に変位された変位部材が被当接部材に当接される際の衝撃の発生をより確実に抑制できる。よって、例えば、変位部材が被当接部材から跳ね返されることを抑制でき、かかる変位部材の姿勢を安定化することができる。
遊技機B7において、前記伝達手段は、前記変位部材の速度成分のうちの前記被当接部材へ向かう方向の成分が、前記第1位置においてマイナス値となるように形成されることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、遊技機B7の奏する効果に加え、伝達手段は、変位部材の速度成分のうちの被当接部材へ向かう方向の成分が、第1位置においてマイナス値となるように形成される、即ち、第1位置において変位部材が被当接部材から離間する方向の成分を有するので、第1位置に変位された変位部材が被当接部材に当接される際に、変位部材を被当接部材から逃がすことができ、これにより、衝撃の発生をより確実に抑制できる。よって、例えば、変位部材が被当接部材から跳ね返されることを抑制でき、かかる変位部材の姿勢を安定化することができる。
また、第1位置においてマイナス値であれば、寸法や制御のばらつきなどに起因して、変位部材が第1位置に到達する前に、変位部材が被当接部材に当接されたとしても、変位部材の速度が遅い(又はマイナス値)である確率を高くしておけるので、衝撃の発生を抑制しやすくできる。
遊技機B2からB8のいずれかにおいて、前記被当接部材を駆動する第2駆動手段と、その第2駆動手段の駆動力を前記当接部材に伝達する第2伝達手段とを備えると共に、前記被当接部材が前記第1位置へ向けて変位可能に形成され、前記第2伝達手段は、前記第2駆動手段の駆動状態が一定とされる状態で、前記被当接部材の速度成分のうちの少なくとも前記変位部材へ向かう方向の成分が、前記第1位置の近傍において減少するように形成されることを特徴とする遊技機B9。
遊技機B9によれば、遊技機B2からB8のいずれかの奏する効果に加え、被当接部材が第1位置へ向けて変位可能に形成されるので、一対の部材を当接させることによる演出の効果を高めることができる。例えば、被当接部材および変位部材を互いに近接する方向へ変位させ、第1位置において当接(合体)させることで、これら一対の部材を一体化して、一つのキャラクターを形成することができる。
この場合、遊技機B9によれば、第2駆動手段の駆動力を被当接部材に伝達する第2伝達手段を備え、その第2伝達手段は、被当接部材の速度成分のうちの少なくとも変位部材へ向かう方向の成分が、第1位置の近傍において減少するように形成されるので、第1位置に変位された被当接部材が変位部材に当接される際の衝撃の発生を抑制できる。よって、例えば、被当接部材および変位部材が互いに跳ね返されることを抑制でき、これら被当接部材および変位部材の姿勢を安定化することができる。
また、被当接部材の速度成分のうちの少なくとも変位部材へ向かう方向の成分の減少は、第1位置の近傍において減少するように形成されるので、第1位置の近傍に達するまでは、被当接部材の変位の速度を速くすることができるので、被当接部材を変位部材と一体化して一つのキャラクターを形成するまでの時間を、被当接部材および変位部材の両者でそれぞれ低減して、間延びすることを抑制できる。その結果、演出の効果を高めることができる。
更に、第2伝達手段は、被当接部材の速度成分のうちの少なくとも変位部材へ向かう方向の成分の第1位置の近傍における減少を、第2駆動手段の駆動状態が一定とされる状態で行うことができるので、被当接部材の変位位置に応じて第2駆動手段の駆動状態を増減させるなどの複雑な制御を行う必要がない。よって、第2駆動手段の制御を簡素化して、制御コストの削減と信頼性の向上とを図ることができる。
なお、遊技機B9における被当接部材、第2駆動手段および第2伝達手段は、遊技機B2からB8における変位部材、駆動手段および伝達手段と読み替えて、これらを適用することができる。よって、遊技機B5又はB6における介設部材をベース部材および被当接部材の間に介設しても良い。
<突出ユニット700を一例とする発明の概念について>
駆動手段と、その駆動手段の駆動力により変位される第1部材および第2部材と、それら第1部材および第2部材へ前記駆動手段の駆動力をそれぞれ伝達する第1伝達手段および第2伝達手段と、を備えた遊技機において、前記第1伝達手段は、前記駆動手段に第1の駆動力が負荷される第1所定区間と、その第1所定区間で負荷される前記第1の駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動手段に負荷される第1抑制区間と、を形成可能とされ、前記第2伝達手段は、前記駆動手段に第2の駆動力が負荷される第2所定区間と、その第2所定区間で負荷される前記第2の駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動手段に負荷される第2抑制区間と、を形成可能とされ、前記第1伝達手段が前記第1所定区間を形成する状態では、その第1所定区間の少なくとも一部で前記第2伝達手段が前記第2抑制区間を形成すると共に、前記第2伝達手段が前記第2所定区間を形成する状態では、その第2所定区間の少なくとも一部で前記第1伝達手段が前記第1抑制区間を形成することを特徴とする遊技機C1。
ここで、駆動手段と、その駆動手段の駆動力により変位される第1部材および第2部材と、それら第1部材および第2部材へ前記駆動手段の駆動力をそれぞれ伝達する第1伝達手段および第2伝達手段と、を備えた遊技機が知られている(例えば、特開2015−53958号)。かかる遊技機によれば、1の駆動手段により2の部材(第1部材および第2部材)を変位させることができるので、部品点数を削減して、製品コストの削減を図ることができる。しかしながら、1の駆動手段により2の部材を変位させる構成では、両者を駆動するための駆動力が重複されるため、駆動手段の負荷が大きくなり、その耐久性の低下を招くという問題点があった。一方で、2の部材(第1部材および第2部材)を交互に(片方ずつ)変位させる構成では、駆動手段の負荷は低減されるが、2の部材が共に変位する状態を形成できず、演出効果が阻害される。
これに対し、遊技機C1によれば、第1伝達手段が、第1所定区間とその第1所定区間よりも駆動手段の負荷を小さくできる第1抑制区間とを形成可能とされると共に、第2伝達手段が、第2所定区間とその第2所定区間よりも駆動手段の負荷を小さくできる第2抑制区間とを形成可能とされ、第1伝達手段が第1所定区間を形成する状態では、その第1所定区間の少なくとも一部で第2伝達手段が第2抑制区間を形成すると共に、第2伝達手段が第2所定区間を形成する状態では、その第2所定区間の少なくとも一部で第1伝達手段が第1抑制区間を形成する、即ち、一方が比較的高負荷とされる場合には、他方を比較的低負荷とし、他方が比較的高負荷とされる場合には、他方を比較的低負荷とすることができる。よって、駆動手段の負荷を分散することができるので、駆動手段の負荷を低減して、その耐久性の向上を図ることができる。
更に、第1部材および第2部材を交互に(片方ずつ)変位させる必要がなく、これら第1部材および第2部材が共に変位する状態を形成できるので、駆動手段の負荷の低減を図りつつ、演出効果の向上を図ることができる。
遊技機C1において、前記第1伝達手段または第2伝達手段の少なくとも一方は、前記駆動手段の駆動力により回転されるカム部材と、そのカム部材の周面に擦接されて前記第1部材または第2部材に変位を付与するカム擦接部材とを備え、前記第1抑制区間または第2抑制区間では、前記カム部材の単位回転あたりの前記カム擦接部材の変位量を、前記第1所定区間または第2所定区間における前記カム部材の単位回転あたりの前記カム擦接部材の変位量を小さくすることで、前記駆動手段の負荷を小さくすることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C1において、前記第1伝達手段または第2伝達手段の少なくとも一方は、前記駆動手段の駆動力により回転される本体部およびその本体部の回転中心から偏心して位置するピン部を有するクランク部材と、そのクランク部材のピン部が摺動する案内溝を有し前記ピン部が前記案内溝に沿って摺動することで前記第1部材または第2部材に変位を付与するクランク擦接部材とを備え、前記第1抑制区間または第2抑制区間では、前記クランク部材の単位回転あたりの前記クランク擦接部材の変位量を、前記第1所定区間または第2所定区間における前記クランク部材の単位回転あたりの前記クランク擦接部材の変位量を小さくすることで、前記駆動手段の負荷を小さくすることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C2又はC3によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、カム部材およびカム擦接部材の連動またはクランク部材およびクランク擦接部材の連動により第1部材または第2部材を変位させるので、カム部材の外形(回転中心から外周面(擦面)までの距離)及びクランク擦接部材の案内溝の外形(クランク部材の回転中心までの距離)に応じて、カム部材およびクランク部材の単位回転あたりの第1部材または第2部材の変位量を変化させられる。言い換えると、駆動手段の負荷を変化させられる。よって、例えば、駆動手段の駆動状態(例えば、電動モータへの供給電力)を一定に維持した場合でも、第1部材および第2部材の変位の速度に変化を付与することができる。その結果、第1又は第1所定区間と第1又は第2抑制区間とにおいて、第1部材および第2部材の変位速度に変化を形成して、演出効果を高めつつ、第1又は第2抑制区間において、駆動手段の負荷の抑制を図ることができる。
遊技機C1からC3のいずれかにおいて、前記第1所定区間または第2所定区間では、前記第1部材または第2部材の変位が重力方向上方への変位成分を備え、前記第1抑制区間または第2抑制区間では、前記第1部材または第2部材の変位が重力方向下方への変位成分を備えることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C1からC3のいずれかの奏する効果に加え、第1所定区間または第2所定区間では、第1部材または第2部材の変位が重力方向上方への変位成分を備え、第1抑制区間または第2抑制区間では、第1部材または第2部材の変位が重力方向下方への変位成分を備えるので、第1部材または第2部材の自重を利用して、第1抑制区間または第2抑制区間における駆動手段の負荷を、第1所定区間または第2所定区間における駆動手段の負荷よりも小さくすることができる。
また、このように、第1部材または第2部材の自重を利用して、駆動手段の負荷を変化させることで、例えば、カム部材およびカム擦接部材の連動またはクランク部材およびクランク擦接部材の連動を利用する場合のように、駆動手段の負荷を変化させる際に、第1部材または第2部材の変位の速度も変化させる必要がなく、第1部材または第2部材の変位の速度を一定に維持しつつ、駆動手段の負荷を変化させることができる。
遊技機C1からC4のいずれかにおいて、前記第1伝達手段は、前記駆動手段の駆動力により回転されるカム部材と、そのカム部材の周面に擦接されて前記第1部材に変位を付与するカム擦接部材とを備え、前記第2伝達手段は、前記駆動手段の駆動力により回転される本体部およびその本体部の回転中心から偏心して位置するピン部を有するクランク部材と、そのクランク部材のピン部が摺動する案内溝を有し前記ピン部が前記案内溝に沿って摺動することで前記第2部材に変位を付与するクランク擦接部材とを備え、前記カム部材と前記クランク部材とが一体に形成されることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C1からC4のいずれかの奏する効果に加え、カム部材とクランク部材とが一体に形成されるので、それらカム部材とクランク部材とを別々に配置するためのスペースを不要とでき、その分、小型化を図ることができる。また、別々に形成される場合と比較して、第1部材および第2部材の変位のずれを抑制して、両部材の同期の精度を高めることができる。
遊技機C1からC5のいずれかにおいて、前記第1伝達手段または第2伝達手段の少なくとも一方は、前記駆動手段の駆動力を前記第1部材または第2部材へ非伝達として前記第1部材または第2部材を停止状態に維持する非伝達区間を形成可能とされ、その非伝達区間を経た後に前記第1部材または第2部材の変位が開始されることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C1からC5のいずれかの奏する効果に加え、第1伝達手段または第2伝達手段の少なくとも一方は、駆動手段の駆動力を第1部材または第2部材へ非伝達として第1部材または第2部材を停止状態に維持する非伝達区間を形成可能とされ、その非伝達区間を経た後に第1部材または第2部材の変位が開始されるので、停止状態にある第1部材または第2部材をスムーズに変位させることができる。
即ち、停止状態にある第1部材または第2部材の変位を開始する際は、慣性力の影響を受けて、駆動手段の負荷が大きくなるため、第1部材または第2部材の初速が遅くなり、スムーズに変位させることが困難なところ、駆動手段の駆動力を第1部材または第2部材へ非伝達として第1部材または第2部材を停止状態に維持する非伝達区間を備えるので、かかる非伝達手段において駆動手段を空転させて勢いを付けることができ、勢いを付けた(即ち、非伝達区間を経た)後に、第1部材または第2部材の変位を開始できる。よって、停止状態にある第1部材または第2部材をスムーズに変位させることができる。
遊技機C6において、前記第1伝達手段または第2伝達手段の両者が同時に前記非伝達区間を形成可能とされ、それら各非伝達区間を経た後に前記第1部材および第2部材の変位が開始されることを特徴とする遊技機C7。
遊技機C7によれば、遊技機C6の奏する効果に加え、第1伝達手段または第2伝達手段の両者が同時に非伝達区間を形成可能とされ、それら各非伝達区間を経た後に第1部材および第2部材の変位が開始されるので、第1部材および第2部材のいずれも変位させる必要がなく、その間、駆動手段を、負荷が小さい状態で空転させることができる。その結果、駆動手段の勢いをより強くすることができ、停止状態にある第1部材または第2部材をスムーズに変位させることができる。
遊技機C6において、前記第1部材または第2部材の一方が前記非伝達区間により停止状態に維持された状態では、前記第1部材または第2部材の他方の変位が重力方向下方への変位成分を備えることを特徴とする遊技機C8。
遊技機C7によれば、遊技機C6の奏する効果に加え、第1部材または第2部材の一方が非伝達区間により停止状態に維持された状態では、第1部材または第2部材の他方の変位が重力方向下方への変位成分を備えるので、第1部材または第2部材の一方を停止状態に維持しつつ他方を変位させる際に、その変位に必要な駆動力を抑制できる。その結果、駆動手段の勢いをより強くすることができ、停止状態にある第1部材または第2部材をスムーズに変位させることができる。また、第1部材または第2部材の一方を停止状態に維持している間も、第1部材または第2部材の他方を変位させることができるので、第1部材および第2部材の両者が停止状態とされることを回避して、演出効果の向上を図ることができる。
遊技機C6からC8のいずれかにおいて、前記第1伝達手段または第2伝達手段の少なくとも一方は、前記駆動手段の駆動力により回転される本体部およびその本体部の回転中心から偏心して位置するピン部を有するクランク部材と、そのクランク部材のピン部が摺動する案内溝を有し前記ピン部が前記案内溝に沿って摺動することで前記第1部材または第2部材に変位を付与するクランク擦接部材とを備え、前記クランク擦接部材の案内溝が前記クランク部材の回転中心と同心の円弧状に形成される区間が前記非伝達区間とされ、前記クランク部材のピン部が前記非伝達区間を通過し、前記第1部材または第2部材の変位が開始され、前記案内溝の所定位置まで達した前記ピン部が摺動方向を転換して、前記非伝達区間へ向けて摺動される場合、前記ピン部が前記非伝達区間に到達する前に、前記クランク部材の回転が停止されることを特徴とする遊技機C9。
遊技機C9によれば、遊技機C6からC8のいずれかの奏する効果に加え、クランク擦接部材の案内溝がクランク部材の回転中心と同心の円弧状に形成される区間が非伝達区間とされ、クランク部材のピン部が非伝達区間を通過し、第1部材または第2部材の変位が開始され、案内溝の所定位置まで達したピン部が摺動方向を転換して、非伝達区間へ向けて摺動される場合、ピン部が非伝達区間に到達する前に、クランク部材の回転が停止されるので、駆動手段の負荷が過大となることを回避できる。
即ち、クランク擦接部材の案内溝をクランク部材の回転中心と同心の円弧状に形成することで、駆動手段の駆動力を非伝達とできる(非伝達区間を形成できる)ところ、クランク部材のピン部が案内溝を往復する構造では、ピン部が、非伝達区間を通過して、所定位置で方向転換した状態からは、非伝達区間の形状が、クランク部材の回転中心に向かって凸の円弧となる。そのため、方向転換した後のピン部が非伝達区間を通過する際には、摺動抵抗が大きくなるだけでなく、クランク部材の単位回転あたりのクランク擦接部材の変位量が大きくなり、駆動手段の負荷が過大となる。よって、ピン部が非伝達区間に到達する前に、クランク部材の回転が停止されることで、駆動手段の負荷が過大となることを回避できる。
<スライドユニット2400を一例とする発明の概念について>
ベース部材と、そのベース部材にスライド変位可能に配設されるスライド部材と、そのスライド部材に駆動力を付与してスライド変位させる駆動手段と、を備えた遊技機において、前記スライド部材に回転可能に配設される回転部材と、前記ベース部材に対する前記スライド部材のスライド変位を前記回転部材の回転運動に変換する変換手段と、を備え、前記変換手段は、前記スライド変位が前記回転部材の回転運動に変換されない状態を形成可能とされることを特徴とする遊技機D1。
ここで、ベース部材と、そのベース部材にスライド変位可能に配設されるスライド部材と、そのスライド部材に駆動力を付与してスライド変位させる駆動手段と、を備えた遊技機が知られている(例えば、特開2013−236802号)。また、スライド部材に回転部材と、その回転部材を駆動する(回転させる)ための駆動手段とを配設した遊技機も知られる。この遊技機によれば、スライド部材をスライド変位(直線運動)させつつ、そのスライド部材に配設された回転部材を回転運動させることができ、直線運動と回転運動とを組み合わせた演出を行うことができる。
しかしながら、上述した従来の遊技機では、回転部材およびその回転部材を回転駆動するための駆動手段がスライド部材に配設されるため、スライド部材全体としての重量が嵩み、かかるスライド部材を駆動する(スライド変位させる)ための駆動手段の負荷が大きくなるという問題点があった。
これに対し、遊技機D1によれば、スライド部材に回転可能に配設される回転部材と、ベース部材に対するスライド部材のスライド変位を回転部材の回転運動に変換する変換手段と、を備えので、スライド部材のスライド変位に伴って、回転部材を回転させることができる。即ち、回転部材を駆動する(回転させる)ための駆動手段をスライド部材に配設する必要がないので、その分、スライド部材全体としての重量を軽くして、かかるスライド部材を駆動する(スライド変位させる)ための駆動手段の負荷を抑制することができる。
この場合、遊技機D1によれば、変換手段は、スライド変位が回転部材の回転運動に変換されない状態を形成可能とされるので、スライド部材のスライド変位に伴って回転部材が回転される形態だけでなく、例えば、回転部材が非回転のままでスライド部材がスライド変位される形態を形成することができる。これにより、スライド部材および回転部材の運動(直線運動および回転運動)の組み合せの数を増やすことができるので、その分、演出効果を高めることができる。
遊技機D1において、前記変換手段は、前記スライド部材のスライド変位の方向に沿って前記ベース部材に形成されるラックギヤと、そのラックギヤに歯合可能に形成され前記スライド部材に回転可能に配設されるピニオンギヤと、それらラックギヤとピニオンギヤとの歯合を解除可能に形成されると共に前記ベース部材に配設される解除手段と、を備えることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、変換手段は、スライド部材のスライド変位の方向に沿ってベース部材に形成されるラックギヤと、そのラックギヤに歯合可能に形成されスライド部材に回転可能に配設されるピニオンギヤとを備えるので、ラックギヤにピニオンギヤが歯合された状態で、ベース部材に対してスライド部材がスライド変位されることで、スライド変位を回転部材の回転運動に変換することができる。また、変換手段は、ラックギヤとピニオンギヤとの歯合を解除する解除手段を備えるので、スライド変位が回転部材の回転運動に変換されない状態を形成できる。即ち、スライド部材のスライド変位に伴って回転部材が回転される形態だけでなく、例えば、回転部材が非回転のままでスライド部材がスライド変位される形態を形成することができ、スライド部材および回転部材の運動(直線運動および回転運動)の組み合せの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
この場合、解除手段は、ベース部材に配設され、ラックギヤ及びピニオンギヤの歯合を解除するための手段をスライド部材に配設する必要がないので、その分、スライド部材全体としての重量を軽くできる。その結果、スライド部材を駆動する(スライド変位させる)ための駆動手段の負荷を抑制することができる。
遊技機D2において、前記解除手段は、前記ベース部材の少なくとも前記ラックギヤが形成される部分を前記ラックギヤの歯面に平行な回転軸に沿って回転させることで、前記ラックギヤとピニオンギヤとの歯合を解除することを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D2の奏する効果に加え、解除手段は、ベース部材の少なくともラックギヤが形成される部分をラックギヤの歯面に平行な回転軸に沿って回転させることで、ラックギヤとピニオンギヤとの歯合を解除するので、かかる回転(即ち、ラックギヤとピニオンギヤとの歯合の解除)に必要なスペースを抑制して、小型化を図ることができる。
遊技機D3において、前記ラックギヤまたはピニオンギヤの少なくとも一方の歯は、歯幅方向一側に向かうに従って歯厚が漸次小さくされる形状に形成されることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D3の奏する効果に加え、ラックギヤまたはピニオンギヤの少なくとも一方の歯は、歯幅方向一側に向かうに従って歯厚が漸次小さくされる形状に形成されるので、ベース部材の少なくともラックギヤが形成される部分が、ラックギヤの歯面に平行な回転軸に沿って回転され、ラックギヤとピニオンギヤとの歯合が解除された後、ベース部材の上述した部分が逆方向に回転され、ラックギヤとピニオンギヤとが歯合される際に、かかる歯合をスムーズに行うことができる。
遊技機D2において、前記解除手段は、前記ベース部材の少なくとも前記ラックギヤが形成される部分を前記ラックギヤの歯面に垂直な方向に変位させることで、前記ラックギヤとピニオンギヤとの歯合を解除することを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D2の奏する効果に加え、解除手段は、ベース部材の少なくともラックギヤが形成される部分をラックギヤの歯面に垂直な方向に変位させることで、ラックギヤとピニオンギヤとの歯合を解除するので、かかる解除の後に、ベース部材の上述した部分が逆方向に変位され、ラックギヤとピニオンギヤとが歯合される際に、かかる歯合をスムーズに行うことができる。
遊技機D1において、前記変換手段は、前記スライド部材のスライド変位の方向に沿って前記ベース部材に形成されるラックギヤと、そのラックギヤに歯合可能に形成され前記スライド部材に回転可能に配設されるピニオンギヤと、を備え、前記ラックギヤの一部で歯が欠落されることを特徴とする遊技機D6。
遊技機D6によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、変換手段は、スライド部材のスライド変位の方向に沿ってベース部材に形成されるラックギヤと、そのラックギヤに歯合可能に形成されスライド部材に回転可能に配設されるピニオンギヤとを備えるので、ラックギヤにピニオンギヤが歯合された状態で、ベース部材に対してスライド部材がスライド変位されることで、スライド変位を回転部材の回転運動に変換することができる。
この場合、ラックギヤは、その一部で歯が欠落されるので、そのラックギヤのうちの歯が欠落した部分をピニオンギヤが通過する際に、スライド変位が回転部材の回転運動に変換されない状態を形成できる。即ち、本構成によれば、ラックギヤのうちの歯が欠落した部分にピニオンギヤが到達するまでの間は、スライド部材のスライド変位に伴って回転部材を回転させることができる一方、ラックギヤのうちの歯が欠落した部分にピニオンギヤが到達した際に、スライド部材のスライド変位を停止させることで、回転部材の回転をその慣性力により継続させることができる。
このように、遊技機D6によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、スライド部材のスライド変位に伴って回転部材が回転される形態だけでなく、スライド部材のスライド変位が停止された状態で回転部材が回転される形態を形成することができ、スライド部材および回転部材の運動(直線運動および回転運動)の組み合せの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
また、遊技機D6によれば、ラックギヤの一部の歯を欠落することで、ラックギヤ及びピニオンギヤの歯合を解除する構成であり、かかるラックギヤ及びピニオンギヤの歯合を解除するための手段をスライド部材に配設する必要がないので、その分、スライド部材全体としての重量を軽くできる。その結果、スライド部材を駆動する(スライド変位させる)ための駆動手段の負荷を抑制することができる。
遊技機D6において、前記ラックギヤの歯のうちの前記欠落された部分に隣接する歯は、他の歯に比べて剛性が高くされることを特徴とする遊技機D7。
遊技機D7によれば、遊技機D6の奏する効果に加え、ラックギヤの歯のうちの欠落された部分に隣接する歯は、他の歯に比べて剛性が高くされるので、その耐久性の向上を図ることができる。即ち、欠落された部分に隣接する歯は、ラックギヤの歯が欠落された部分を通過したピニオンギヤの歯が衝突するため、損傷しやすいところ、その剛性が高くされることで、耐久性の向上を図ることができる。
なお、剛性を高くする手段としては、例えば、歯の歯幅を大きくする形態が例示される。この例によれば、ピニオンギヤとの歯合性の悪化を招くことなく、剛性を高めることができる。
遊技機D1において、前記変換手段は、前記スライド部材のスライド変位の方向に沿って前記ベース部材に形成されるラックギヤと、そのラックギヤに歯合可能に形成され前記スライド部材に回転可能に配設されるピニオンギヤと、そのピニオンギヤまたは前記ピニオンギヤから前記回転部材までの回転伝達経路中に配設されるワンウェイクラッチと、を備え、前記ワンウェイクラッチは、回転の伝達を許容する状態と遮断する状態とを変更可能に形成されることを特徴とする遊技機D8。
遊技機D8によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、変換手段は、スライド部材のスライド変位の方向に沿ってベース部材に形成されるラックギヤと、そのラックギヤに歯合可能に形成されスライド部材に回転可能に配設されるピニオンギヤとを備えるので、ラックギヤにピニオンギヤが歯合された状態で、ベース部材に対してスライド部材がスライド変位されることで、スライド変位を回転部材の回転運動に変換することができる。
この場合、ワンウェイクラッチは、回転の伝達を許容する状態と遮断する状態とを変更可能に形成されるので、かかるワンウェイクラッチを、回転の伝達を遮断する状態に変更することで、スライド変位が回転部材の回転運動に変換されない状態を形成できる。即ち、ワンウェイクラッチが回転の伝達を許容する状態とされ、スライド部材のスライド変位に伴って回転部材が回転される形態だけでなく、例えば、ワンウェイクラッチが回転の伝達を遮断する状態とされ回転部材が非回転のままでスライド部材がスライド変位される形態や、或いは、スライド部材の変位を停止させる際にワンウェイクラッチが回転の伝達を許容する状態から遮断する状態に変更されることで、スライド部材が停止された状態で、回転部材の回転がその慣性力により継続される形態を形成することができる。
このように、遊技機D6によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、スライド部材のスライド変位に伴って回転部材が回転される形態だけでなく、回転部材を非回転としつつスライド部材をスライド変位させる形態、或いは、スライド部材のスライド変位が停止された状態で回転部材が回転される形態を形成することができ、スライド部材および回転部材の運動(直線運動および回転運動)の組み合せの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
遊技機D8において、前記スライド部材に変位可能に配設される変位部材と、その変位部材を駆動すると共に前記スライド部材に配設される駆動手段とを備えると共に、前記ワンウェイクラッチは、回転の伝達を許容する状態と遮断する状態とを変更するために操作される操作子を備え、その操作子が、変位された前記変位部材によって操作されることを特徴とする遊技機D9。
遊技機D9によれば、遊技機D8の奏する効果に加え、スライド部材に変位可能に配設される変位部材と、その変位部材を駆動すると共にスライド部材に配設される駆動手段とを備えるので、スライド部材および回転部材の運動(直線運動および回転運動)に加え、変位部材の変位を組み合わせることができ、その組み合せの数を増やすことができる。その結果、演出効果を高めることができる。
この場合、ワンウェイクラッチの操作子が、変位された変位部材によって操作されるので、変位により演出を行う役割と操作子を操作する役割とを変位部材に兼用させることができる。即ち、ワンウェイクラッチの操作子を操作するための手段をスライド部材に別途設ける必要がないので、その分、スライド部材全体としての重量を軽くできる。その結果、スライド部材を駆動する(スライド変位させる)ための駆動手段の負荷を抑制することができる。
遊技機D8において、前記ワンウェイクラッチは、回転の伝達を許容する状態と遮断する状態とを変更するために操作される操作子を備え、前記ベース部材は、前記スライド部材がスライド変位される際の前記操作子の変位軌跡上に位置する係合部を備え、前記スライド部材がスライド変位される際に前記操作子が前記係合部によって操作されることを特徴とする遊技機D10。
遊技機D10によれば、遊技機D8の奏する効果に加え、スライド部材がスライド変位される際の変位軌跡上に位置する係合部をベース部材が備え、スライド部材がスライド変位される際に係合部によって操作子が操作されるので、ワンウェイクラッチの状態を切り替える(即ち、操作子を操作する)ための手段をスライド部材に配設する必要がないので、その分、スライド部材全体としての重量を軽くできる。その結果、スライド部材を駆動する(スライド変位させる)ための駆動手段の負荷を抑制することができる。
なお、係合部の配設位置は、上述した操作子の変位軌跡上であれば、いずれの位置であっても良い。例えば、変位軌跡上の一端または他端であっても良く、或いは、変位軌跡上の途中であっても良い。
遊技機D10において、前記ベース部材にスライド変位可能に配設される第2スライド部材と、その第2スライド部材に駆動力を付与してスライド変位させる第2駆動手段とを備え、前記第2スライド部材のスライド変位に伴い前記係合部の位置が前記スライド部材のスライド変位の方向に沿って変更可能に形成されることを特徴とする遊技機D11。
遊技機D11によれば、遊技機D10の奏する効果に加え、第2スライド部材のスライド変位に伴い係合部の位置がスライド部材のスライド変位の方向に沿って変更可能に形成されるので、ワンウェイクラッチの状態が切り替えられる位置、即ち、回転部材の回転が許容状態から規制状態に又は規制状態から許容状態に変更される位置を変更することができる。これにより、スライド部材がスライド変位される際に回転部材の回転状態が変更される位置や、スライド部材のスライド変位が停止された状態で回転部材が回転される位置を例えば遊技状態などに応じて変更することができ、その結果、演出効果を高めることができる。
また、スライド部材のスライド変位に加え、第2スライド部材もスライド変位が可能とされることで、その分、演出効果を高めることができるところ、かかる第2スライド部材が、変位により演出を行う役割と係合部の位置を変更する役割とを兼用するので、係合部の位置を変更するための手段を別途設ける必要がない。よって、部品点数を削減して、その分、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機D10において、前記ベース部材にスライド変位可能に配設される第2スライド部材と、その第2スライド部材に駆動力を付与してスライド変位させる第2駆動手段とを備え、前記第2スライド部材のスライド変位に伴い前記係合部の位置が前記操作子を操作可能な位置と操作不能な位置との間で変更可能に形成されることを特徴とする遊技機D12。
遊技機D12によれば、遊技機D10の奏する効果に加え、第2スライド部材のスライド変位に伴い係合部の位置が操作子を操作可能な位置と操作不能な位置との間で変更可能に形成されるので、スライド部材がスライド変位される際に、ワンウェイクラッチの状態が切り替えられる形態と、ワンウェイクラッチの状態が切り替えられない形態とを形成することができる。即ち、スライド部材が始端から終端まで変位される途中で、回転部材の回転状態が変更される形態と、スライド部材が始端から終端まで変位される間、回転部材の回転状態が変更されない状態とを形成することができ、その演出効果を高めることができる。
また、スライド部材のスライド変位に加え、第2スライド部材もスライド変位が可能とされることで、その分、演出効果を高めることができるところ、かかる第2スライド部材が、変位により演出を行う役割と係合部の位置を変更する役割とを兼用するので、係合部の位置を変更するための手段を別途設ける必要がない。よって、部品点数を削減して、その分、製品コストの削減を図ることができる。
なお、遊技機D11又はD12において、係合部は、第2スライド部材に配設されていても良く、或いは、ベース部材に配設されていても良い。後者の場合、係合部がベース部材に変位可能に配設され、第2スライド部材が係合部を直接的または間接的に変位させるものであっても良い。
<スライドユニット8400を一例とする発明の概念について>
ベース部材と、そのベース部材の所定の領域を遮蔽する遮蔽状態および前記所定の領域を開放する開放状態が形成可能とされる遮蔽開放手段と、を備えた遊技機において、前記遮蔽開放手段は、前記ベース部材に直線変位可能に配設される第1部材と、その第1部材に回転可能に配設される第1側ピニオンギヤと、その第1側ピニオンギヤが歯合される第2側ラックギヤを有すると共に前記第1部材に直線変位可能に配設される第2部材と、前記ベース部材に形成され前記第1側ピニオンギヤが歯合されるベース側ラックギヤと、を備え、前記第1部材および第2部材が一側へ直線変位されることで、前記遮蔽状態が形成される共に、前記第1部材および第2部材が前記一側と反対側となる他側へ直線変位されることで、前記開放状態が形成されることを特徴とする遊技機E1。
ここで、ベース部材と、そのベース部材の所定の領域を遮蔽する遮蔽状態および所定の領域を開放する開放状態が形成可能とされる遮蔽開放手段とを備えた遊技機が知られている。例えば、特開2011−156058号には、所定の領域に複数の板状の回転板を回転可能に配設し、それら複数の回転板の板面を正面へ向けることで所定の領域を遮蔽する(遮蔽状態を形成する)一方、各回転板を90度回転させて板厚部分(側面)を正面へ向けることで、各回転板の間に隙間を設け、所定の領域を開放する(開放状態を形成する)ものが開示される。
しかしながら、上述した従来の遊技機によれば、開放状態を形成しても、所定の領域には、90度回転されて板厚部分(側面)を正面へ向けた状態の各回転板が残るため、その分、開放される領域が減少されるという問題点があった。各回転板の板厚を薄くするにしても、回転の際の強度を確保するためには薄肉化にも限界がある。
一方、所定の領域と同じ面積を有する1枚の板状体を変位可能に配設し、かかる板状体を所定の領域へ変位させる(配置する)ことで、所定の領域を遮蔽する(遮蔽状態を形成する)一方、板状体を所定の領域から退避させる(所定の領域外へ変位させる)ことで、所定の領域を開放する(開放状態を形成する)構成の遊技機も知られている。かかる構成の遊技機によれば、板状体を所定の領域から退避させれば、所定の領域を完全に開放することができる。
しかしながら、かかる構成の遊技機では、板状体が所定の領域と同面積を有するため、所定の領域から退避された板状体を配設するためのスペースとして所定の領域と同じ面積のスペースが必要となり、大型化を招くという問題点があった。また、所定の領域と同面積を有する板状体であるので、かかる板状体を所定の領域から退避させる又はその退避された位置から所定の領域へ配置するために比較的長時間を要し、遮蔽状態および開放状態の切り替えを迅速に行うことが困難であるという問題点があった。
この場合、遊技機E1によれば、遮蔽開放手段は、ベース部材に直線変位可能に配設される第1部材と、その第1部材に回転可能に配設される第1側ピニオンギヤと、その第1側ピニオンギヤが歯合される第2側ラックギヤを有すると共に第1部材に直線変位可能に配設される第2部材と、ベース部材に形成され第1側ピニオンギヤが歯合されるベース側ラックギヤとを備え、第1部材および第2部材が一側へ直線変位されることで、遮蔽状態が形成される共に、第1部材および第2部材が一側と反対側となる他側へ直線変位されることで、開放状態が形成される。
即ち、第1部材および第2部材は、他側への直線変位により、所定の領域から退避されるので、かかる所定の領域をより広く開放させることができる。また、第1部材および第2部材が退避された状態では、第1部材および第2部材が重ね合わされるので、その分、これら所定の領域から退避された第1部材および第2部材を配設するためのスペースを抑制して、小型化を図ることができる。
更に、第1部材がベース部材に対して直線変位されると、第2部材が、第1部材よりも増速された状態で、ベース部材に対して直線変位されるので、これら第1部材および第2部材を所定の領域から退避させる又はその退避された位置から所定の領域へ配置するために要する時間を短縮して、遮蔽状態および開放状態の切り替えを迅速に行うことができる。
なお、所定の領域が遮蔽される遮蔽状態は、所定の領域の全面が第1部材および第2部材に完全に遮蔽された状態である必要はなく、所定の領域の一部に開放された領域が存在していても良い。同様に、所定の領域が開放される開放状態は、所定の領域の全面が完全に開放された状態である必要はなく、所定の領域の一部に第1部材または第2部材の一部によって遮蔽された領域が存在していても良い。即ち、遮蔽状態は、開放状態に対して、遮蔽された領域が相対的に大きければ良く、言い換えれば、開放状態は、遮蔽状態に対して、開放された領域が相対的に大きければ良い。
遊技機E1において、前記第1部材は、前記ベース部材に直線変位可能に支持される第1本体部と、その本体部に連結される第1変位部とを備え、前記第2部材は、前記第1側ピニオンギヤが歯合される前記第2側ラックギヤを有すると共に前記第1部材に直線変位可能に支持される第2本体部と、その第2本体部に連結される第2変位部とを備え、前記第1部材の第1本体部が前記所定の領域の外において前記ベース部材に支持されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、第1部材が、ベース部材に直線変位可能に支持される第1本体部と、その本体部に連結される第1変位部とを備えると共に、第2部材が、第1側ピニオンギヤが歯合される第2側ラックギヤを有すると共に第1部材に直線変位可能に支持される第2本体部と、その第2本体部に連結される第2変位部とを備え、第1部材の第1本体部が所定の領域の外においてベース部材に支持されるので、第1部材および第2部材が一側または他側へ直線変位される際には、第1変位部および第2変位部の軌跡のみを所定の領域に重ねることができる。即ち、第1本体部および第2本体部は所定の領域の外を通過させ、その軌跡が所定の領域に重なることを回避できる。これにより、開放状態を形成した場合には、第1変位部および第2変位部を所定の領域から完全に退避させ、所定の領域に第1部材および第2部材の一部が残らないので、所定の領域の全面を完全に開放することができる。
遊技機E2において、前記遮蔽開放手段は、前記ベース部材に配設される駆動ギヤを備えると共に、前記第1部材の第1本体部は、前記駆動ギヤに歯合される第1側ラックギヤを備え、前記駆動ギヤにより前記第1側ラックギヤが駆動されることで、前記第1部材が前記ベース部材に対して直線変位されることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、遮蔽開放手段が、ベース部材に配設される駆動ギヤを備えると共に、その駆動ギヤに歯合される第1側ラックギヤを第1部材の第1本体部が備え、駆動ギヤにより第1側ラックギヤが駆動されることで、第1部材がベース部材に対して直線変位される構造なので、第1部材を直線変位させるための構造を小型化できる。即ち、ベース部材の所定領域の外に必要なスペースのうち、第1部材および第2部材の第1変位部および第2変位部の退避に必要なスペース以外のスペースを小さくすることができる。
遊技機E1からE3のいずれかにおいて、前記遮蔽開放手段は、前記第2部材に回転可能に配設されると共に前記ベース側ラックギヤに歯合される第2側ピニオンギヤと、その第2側ピニオンギヤが歯合される第3側ラックギヤを有すると共に前記第2部材に直線変位可能に配設される第3部材と、を備えることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E1からE3のいずれかの奏する効果に加え、遮蔽開放手段が、第2部材に回転可能に配設されると共にベース側ラックギヤに歯合される第2側ピニオンギヤと、その第2側ピニオンギヤが歯合される第3側ラックギヤを有すると共に第2部材に直線変位可能に配設される第3部材とを備えるので、第1部材の直線変位に伴って第2部材が一側へ直線変位されると、その第2部材の変位に伴って第3部材を一側へ直線変位させることができると共に、第1部材の直線変位に伴って第2部材が他側へ直線変位されると、その第2部材の変位に伴って第3部材を他側へ直線変位させることができる。
よって、第1部材、第2部材および第3部材の一側への直線変位により、これら第1部材、第2部材および第3部材を所定の領域に配置して、遮蔽状態を形成できると共に、第1部材、第2部材および第3部材の他側への直線変位により、これら第1部材、第2部材および第3部材を所定の領域から退避させて(所定の領域の外へ変位させて)、開放状態を形成することができる。
この場合、第1部材、第2部材および第3部材は、他側への直線変位により、所定の領域から退避されるので、かかる所定の領域をより広く開放させることができる。また、第1部材、第2部材および第3部材が退避された状態では、第1部材、第2部材および第3部材が重ね合わされるので、その分、これら所定の領域から退避された第1部材、第2部材および第3部材を配設するためのスペースを抑制して、小型化を図ることができる。
特に、このように、3の部材(第1部材、第2部材および第3部材)により所定の領域を遮蔽する構造によれば、同じ面積の所定の領域を2の部材により遮蔽する場合と比較して、所定の領域から退避された3の部材を配設するためのスペースをより小さくすることができる。所定の面積を2分割したものを重ね合わせる場合よりも3分割したものを重ね合わせた方が面積を小さくできるからである。
更に、第1部材がベース部材に対して直線変位されると、第2部材が、第1部材よりも増速された状態で、ベース部材に対して直線変位されると共に、この第2部材よりも更に増速された状態で、第3部材がベース部材に対して直線変位されるので、これら第1部材、第2部材および第3部材を所定の領域から退避させる又はその退避された位置から所定の領域へ配置するために要する時間を短縮して、遮蔽状態および開放状態の切り替えをより迅速に行うことができる。
遊技機E4において、前記第3部材は、前記第2側ピニオンギヤが歯合される前記第3側ラックギヤを有すると共に前記第2部材に直線変位可能に支持される第3本体部と、その第3本体部に連結される第3変位部とを備えることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E4の奏する効果に加え、第3部材が、第2側ピニオンギヤが歯合される第3側ラックギヤを有すると共に第2部材に直線変位可能に支持される第3本体部と、その第3本体部に連結される第3変位部とを備えるので、第1部材、第2部材および第3部材が一側または他側へ直線変位される際には、第1変位部、第2変位部および第3変位部の軌跡のみを所定の領域に重ねることができる。即ち、第1本体部、第2本体部および第3本体部は所定の領域の外を通過させ、その軌跡が所定の領域に重なることを回避できる。これにより、開放状態を形成した場合には、第1変位部、第2変位部および第3変位部を所定の領域から完全に退避させ、所定の領域に第1部材、第2部材および第3部材の一部が残らないので、所定の領域の全面を完全に開放することができる。
なお、遊技機E4又はE5における技術思想(第2部材に対する第3部材の関係)を拡張して、第4部材、第5部材、・・・、第n部材を更に備える遊技機としても良い。
即ち、遮蔽開放手段が、第2部材に回転可能に配設されると共にベース側ラックギヤに歯合される第2側ピニオンギヤと、その第2側ピニオンギヤが歯合される第3側ラックギヤを有すると共に第2部材に直線変位可能に配設される第3部材と、を備えるという構成を拡張して、遮蔽開放手段が、第n部材に回転可能に配設されると共に前記ベース側ラックギヤに歯合される第n側ピニオンギヤと、その第n側ピニオンギヤが歯合される第n+1側ラックギヤを有すると共に前記第n部材に直線変位可能に配設される第n+1部材と、を更に備えるとしても良い(但し、nは3以上の整数)。
同様に、第3部材は、第2側ピニオンギヤが歯合される第3側ラックギヤを有すると共に第2部材に直線変位可能に支持される第3本体部と、その第3本体部に連結される第3変位部とを備えるという構成を拡張して、第n+1部材は、第n側ピニオンギヤが歯合される第n+1側ラックギヤを有すると共に第n部材に直線変位可能に支持される第n+1本体部と、その第n+1本体部に連結される第n+1変位部とを備えるとしても良い(但し、nは3以上の整数)。
遊技機E1からE3のいずれかにおいて、前記遮蔽開放手段は、前記第2部材に直線変位可能に配設される第3部材と、前記第1部材および第2部材が一側または他側へ向けて直線変位される場合にそれら第1部材および第2部材の間の相対変位に伴って前記第3部材を一側または他側へ直線変位させる第3相対変位利用手段と、を備えることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遮蔽開放手段は、第2部材に直線変位可能に配設される第3部材と、第1部材および第2部材が一側または他側へ向けて直線変位される場合にそれら第1部材および第2部材の間の相対変位に伴って第3部材を一側または他側へ直線変位させる第3相対変位利用手段と、を備える。よって、遊技機E1からE3のいずれかの奏する効果に加え、次の効果を奏する。
即ち、第1部材、第2部材および第3部材の一側への直線変位により、これら第1部材、第2部材および第3部材を所定の領域に配置して、遮蔽状態を形成できると共に、第1部材、第2部材および第3部材の他側への直線変位により、これら第1部材、第2部材および第3部材を所定の領域から退避させて(所定の領域の外へ変位させて)、開放状態を形成することができる。
この場合、第1部材、第2部材および第3部材は、他側への直線変位により、所定の領域から退避されるので、かかる所定の領域をより広く開放させることができる。また、第1部材、第2部材および第3部材が退避された状態では、第1部材、第2部材および第3部材が重ね合わされるので、その分、これら所定の領域から退避された第1部材、第2部材および第3部材を配設するためのスペースを抑制して、小型化を図ることができる。
なお、このように、3の部材(第1部材、第2部材および第3部材)により所定の領域を遮蔽する構造によれば、同じ面積の所定の領域を2の部材により遮蔽する場合と比較して、所定の領域から退避された3の部材を配設するためのスペースをより小さくすることができる。所定の面積を2分割したものを重ね合わせる場合よりも3分割したものを重ね合わせた方が面積が小さくなるからである。
更に、第1部材がベース部材に対して直線変位されると、第2部材が、第1部材よりも増速された状態で、ベース部材に対して直線変位される。よって、第1部材と第2部材との間の相対変位に伴って第3相対変位利用手段が第3部材を直線変位させる場合には、第2部材が増速されている分、第3部材の直線変位を少なくとも第1部材よりも増速させることができる。これら第1部材、第2部材および第3部材を所定の領域から退避させる又はその退避された位置から所定の領域へ配置するために要する時間を短縮して、遮蔽状態および開放状態の切り替えをより迅速に行うことができる。
<スライドユニット400、突出ユニット700及び昇降ユニット800を一例とする発明の概念について>
退避位置および張出位置の間で変位可能に形成される第1部材および第2部材を備えた遊技機において、前記第1部材は、前記退避位置から直線変位されることで前記張出位置に配置され、前記第2部材は、前記退避位置から少なくとも回転変位を含む態様で変位されることで前記張出位置に配置されることを特徴とする遊技機F1。
ここで、退避位置および張出位置の間でそれぞれ直線変位可能に形成される第1部材および第2部材を備えた遊技機が知られている(例えば、特開2007−252533号)。この種の遊技機では、例えば、退避位置に退避されている第1部材および第2部材を、それぞれ張出位置へ変位させて近接または当接させることで、両者を関連付けて(一体化して)、一つのキャラクターとして遊技者に視認させるという演出が行われる。
この場合、演出効果を高めるためには、第1部材および第2部材が張出位置へ変位された際に、より大型のキャラクターが形成可能であることが有効となる。そのためには、第1部材および第2部材を大型に形成する必要がある。
しかしながら、上述した従来の技術では、第1部材および第2部材がそれぞれ直線変位により張出位置へ変位される構造であるため、第1部材および第2部材を大型化させると、張出位置へ変位させる途中で互いが干渉するおそれがある。よって、第1部材の変位と第2部材の変位とを同時に行うことができず、それぞれの変位をずらして行う必要があるため、キャラクターが形成されるまでに時間が嵩み、間延びするため、演出効果が阻害されるという問題点があった。
これに対し、遊技機F1によれば、第1部材が、退避位置から直線変位されることで張出位置に配置されると共に、第2部材が、退避位置から少なくとも回転変位を含む態様で変位されることで張出位置に配置されるので、張出位置への変位の途中で第1部材および第2部材が互いに干渉することを抑制できる。よって、第1部材の変位と第2部材の変位とを同時に行うことができるので、キャラクターが形成されるまでの時間を短縮して、演出効果を高めることができる。
遊技機F1において、前記第2部材は、回転変位と直線変位とが組み合わされた態様で変位されることで、前記張出位置に配置されることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、第2部材は、回転変位と直線変位とが組み合わされた態様で変位されることで、張出位置に配置されるので、曲線状の軌跡を形成できる。よって、第2部材が張出位置への変位の途中で第1部材と干渉することを抑制しやすくできる。
遊技機F2において、直線変位される直線基部材を備え、前記第2部材は、前記直線基部材に回転可能に配設されることで、回転変位と直線変位とが組み合わされた態様で変位されることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F2の奏する効果に加え、直線変位される直線基部材を備え、第2部材は、直線基部材に回転可能に配設されることで、回転変位と直線変位とが組み合わされた態様で変位されるので、第2部材が張出位置への変位の途中で第1部材と干渉することを抑制しやすくできると共に、退避位置での第2部材の姿勢の自由度を高めることができる。即ち、第2部材は、直線基部材の直線変位により張出位置へ移動しつつ、第1部材との関係で回転を行うことができるので、回転を、張出位置への移動ではなく、第1部材との干渉を回避するための変位として使用でき、その結果、互いの干渉を抑制しやすくできる。また、これにより、第2部材の退避位置での姿勢を、その張出位置での姿勢とは独立して規定できるので、退避位置での第2部材の姿勢の自由度を高めることができる。
遊技機F2又はF3において、遊技領域に配設される液晶表示装置を備え、前記遊技領域の幅方向における前記液晶表示装置の一側または他側に前記第2部材の退避位置が設定され、前記第2部材は、張出位置では横長となる姿勢で配置されると共に退避位置では縦長となる姿勢で配置されることを特徴とする遊技機F4。
ここで、第2部材を横長の形状に形成し、張出位置において横長の姿勢で配置して、第1部材と共にキャラクターを形成する構成では、大型のキャラクターを形成できず、演出効果を十分に発揮できない。即ち、遊技領域は縦長に形成される一方、液晶表示装置は、横長に形成されるため、遊技領域の幅方向における液晶表示装置の一側および他側は比較的狭くされ、部材の配設スペースの確保が困難である。よって、退避位置で第2部材が液晶表示装置の表示領域にはみ出さないためには、かかる第2部材を小型に形成する必要があった。
この場合、遊技機F4によれば、遊技機F2又はF3の奏する効果に加え、第2部材は、張出位置では横長となる姿勢で配置される一方、退避位置では縦長となる姿勢で配置されるので、液晶表示装置の一側または他側における部材の配設スペースを有効に活用して、その分、第2部材を大型化でき、その結果、張出位置において第1部材と共に形成するキャラクターをより大型化できる。
遊技機F3において、前記直線基部材に駆動力を付与して直線変位させる駆動手段と、前記直線基部材の直線変位を前記第2部材の回転に変換する変換機構とを備えることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F3の奏する効果に加え、直線基部材に駆動力を付与して直線変位させる駆動手段と、直線基部材の直線変位を第2部材の回転に変換する変換機構とを備えるので、直線基部材の直線変位と第2部材の回転とを同期させられるので、第1部材に対する第2部材の相対的な位置精度を高められる。その結果、第2部材が張出位置への変位の途中で第1部材と干渉することを抑制しやすくできる。
また、第2部材を回転させるための駆動手段を別途設けることを不要とできるので、その分、第2部材を大型に形成でき、張出位置において第1部材と共に形成するキャラクターをより大型化できる。例えば、遊技領域の幅方向における液晶表示装置の一側および他側のように、比較的狭く、部材の配設スペースの確保が困難である領域であっても、かかる領域に第2部材の退避位置を設定しつつ、第2部材を大型に形成できる。
遊技機F1からF5のいずれかにおいて、退避位置および張出位置の間で変位可能に形成される第3部材を備え、その第3部材は、張出位置において前記第1部材および第2部材と前後方向位置を異ならせて配置されることを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、遊技機F1からF5のいずれかの奏する効果に加え、退避位置および張出位置の間で変位可能に形成される第3部材を備えるので、第1部材および第2部材と共に、より大型のキャラクターを形成でき、その分、演出効果を高めることができる。この場合、第3部材は、張出位置において第1部材および第2部材と前後方向位置を異ならせて配置されるので、張出位置において第1部材および第2部材と当接しない。即ち、張出位置において部材どうしを当接させる場合、或いは、当接する可能性がある場合、当接時の衝撃による破損を考慮して、変位速度を設定する必要があるところ、第3部材は、第1部材および第2部材と当接されないので、その変位速度を比較的速くすることができる。その結果、例えば、後発の第3部材を先発の第1部材および第2部材に張出位置で追いつくように変位させるなどの態様を形成でき、キャラクターを形成する際の演出効果を高めることができる。
遊技機F6において、前記第3部材は、前記第1部材および第2部材と前後方向位置を同じとする側に張り出して形成される張出部を備えることを特徴とする遊技機F7。
ここで、第1部材および第2部材と第3部材との前後方向位置を異ならせると、その分、遊技機の前後方向寸法が嵩み大型化する。かかる前後方向寸法を抑制するために、第1部材および第2部材と第3部材との前後方向寸法をそれぞれ小さく(薄く)すると、剛性の確保が困難となる。
これに対し、遊技機F7によれば、第3部材は、第1部材および第2部材と前後方向位置を同じとする側に張り出して形成される張出部を備えるので、全体(第1部材および第2部材と第3部材との合計)としての前後方向寸法を抑制して、遊技機の前後方向における小型化を図りつつ、第3部材の前後方向寸法を大きくして、その剛性を確保することができる。
遊技機F1からF7のいずれかにおいて、前記第1部材に配設され、張出位置において前記第2部材の一部が当接される被当接部材を備えることを特徴とする遊技機F8。
遊技機F8によれば、遊技機F1からF7のいずれかの奏する効果に加え、第1部材は、張出位置において第2部材の一部が当接される被当接部材を備えるので、被当接部材への当接により、第2部材の変位を停止させることができる。
なお、被当接部材は、第1部材および第2部材が張出位置に配置されると定常的に第2部材が当接される位置に形成されていても良く、或いは、第1部材および第2部材が張出位置に配置された際に制御ばらつきや寸法ばらつきに起因して両者が基準位置よりも近づいた場合に第2部材が当接される位置に形成されていても良い。
遊技機F8において、前記被当接部材は、前記第1部材に近接および離間する方向に変位可能に形成され、前記第1部材は、前記被当接部材が前記第1部材から離間された状態で張出位置に配置されることを特徴とする遊技機F9。
遊技機F9によれば、遊技機F8の奏する効果に加え、被当接部材は、第1部材に近接および離間する方向に変位可能に形成され、第1部材は、被当接部材が第1部材から離間された状態で張出位置に配置されるので、張出位置における第2部材との確実な当接を可能とできる。また、張出位置では被当接部材が第1部材から離間される方向へ変位されている分、第1部材および第2部材により形成されるキャラクターをより大型化することができる。
遊技機F9において、前記第1部材が張出位置へ配置された後、前記被当接部材が前記第1部材へ近接する方向へ変位されることを特徴とする遊技機F10。
遊技機F10によれば、遊技機F9の奏する効果に加え、第1部材が張出位置へ配置された後、被当接部材が前記第1部材へ近接する方向へ変位されるので、第2部材が変位するためのスペースを形成できる。即ち、第1部材が張出位置へ配置される際は、被当接部材を第1部材から離間した状態とし、第2部材の変位を受け止める役割を発揮させつつ、その後は、第1部材へ近接する方向へ被当接部材を変位させ、その変位に伴い形成されたスペースを第2部材の変位スペースとして活用でき、第2部材の変位により、演出効果を高めることができる。
遊技機F8において、前記被当接部材は、前記第1部材に近接および離間する方向に変位可能に形成され、前記第1部材は、少なくとも退避位置では、前記被当接部材が前記第1部材に近接された状態とされることを特徴とする遊技機F11。
遊技機F11によれば、遊技機F8の奏する効果に加え、被当接部材は、第1部材に近接および離間する方向に変位可能に形成され、第1部材は、少なくとも退避位置では、被当接部材が第1部材に近接された状態とされるので、退避位置における第1部材の配設スペースの抑制を図ることができる。また、張出位置において被当接部材を第1部材から離間する方向へ変位させた場合には、その分、第1部材および第2部材により形成されるキャラクターをより大型化することができる。
遊技機F11において、前記第1部材は、張出位置に配置されるまでの間は、前記被当接部材が前記第1部材に近接された状態に維持されることを特徴とする遊技機F12。
遊技機F12によれば、遊技機F11の奏する効果に加え、第1部材は、張出位置に配置されるまでの間は、被当接部材が第1部材に近接された状態に維持されるので、張出位置への変位の途中で被当接部材が第2部材に干渉することを抑制できる。よって、キャラクターが形成されるまでの時間を短縮して、演出効果を高めることができる。
遊技機F9からF12のいずれかにおいて、前記第2部材および被当接部材の組を二組備え、一方の組において前記被当接部材に前記第2部材が当接されると、その当接に伴い、他方の組において前記被当接部材が前記第2部材へ向けて変位されるように形成されることを特徴とする遊技機F13。
遊技機F13によれば、遊技機F9からF12のいずれかの奏する効果に加え、第2部材および被当接部材の組を二組備え、一方の組において被当接部材に第2部材が当接されると、その当接に伴い、他方の組において被当接部材が第2部材へ向けて変位されるように形成されるので、例えば、一方の組において、第2部材が基準の位置を越えて変位されて被当接部材に当接された際に、その当接に伴って、他方の組において、被当接部材を第2部材へ向けて変位させることができる。よって、他方の組において被当接部材が第2部材に当接されることで、一方の組における被当接部材への第2部材の当接による衝撃を、第1部材のみで受け止めるのではなく、他方の組における第2部材にも受け止めさせることができる。これにより、運動エネルギーを分散させることができ、一方の組における第2部材の変位を停止させやすくできると共に、各部材の破損を抑制できる。
なお、一方の組における当接に伴い他方の組における被当接部材が第2部材へ向けて変位される構造としては、例えば、一方の組における被当接部材の変位が他方の組における被当接部材に伝達され、その伝達に伴い他方の組における被当接部材が第2部材へ向けて変位される構造、一方の組における被当接部材の変位が第1部材へ伝達され、その伝達に伴い、第1部材が変位されることで、第1部材と一体となって他方の組における被当接部材が第2部材へ向けて変位される構造、或いは、これらを組み合わせた構造などが例示される。
遊技機F1からF13のいずれかおいて、張出位置において前記第1部材および第2部材に当接されると共に周期的な変位が可能に形成される周期変位部材を備えることを特徴とする遊技機F14。
遊技機F14によれば、遊技機F1からF13のいずれかの奏する効果に加え、張出位置において第1部材および第2部材に当接可能に形成される周期変位部材を備え、周期変位部材は、周期的な変位が可能に形成されるので、かかる周期変位部材の周期的な変位を利用して第1部材および第2部材を周期的に変位させることができる。即ち、第1部材および第2部材と周期変位部材とにより形成されたキャラクターを振動させることができ、これにより、演出効果を高めることができる。また、この場合、互いを当接させることで、周期変位部材の周期的な変位を共用する構造であり、第1部材および第2部材を周期的に変位させる機構をそれぞれ設ける必要がない。よって、その分、製品コストの削減を図ることができる。
なお、第1部材および第2部材は、張出位置において、互いに当接していても良く、或いは、離間した状態(非当接)とされていても良い。
遊技機F14において、前記周期変位部材は、張出位置における前後方向位置が、前記第1部材および第2部材よりも前方となる位置に配置されることを特徴とする遊技機F15。
遊技機F15によれば、遊技機F14の奏する効果に加え、周期変位部材は、張出位置における前後方向位置が、第1部材および第2部材よりも前方となる位置に配置されるので、遊技者に近い側に配設される部材(周期変位部材)を周期的に変位(振動)させることができる。即ち、遊技者が視認しやすい手前側の部材が振動源としてキャラクターが振動されるので、振動による迫力を遊技者に伝えやすい演出を行うことができる。
遊技機F14又はF15において、張出位置において、前記第1部材および第2部材どうしが非当接とされることを特徴とする遊技機F16。
遊技機F16によれば、遊技機F14又はF15の奏する効果に加え、張出位置において、第1部材および第2部材どうしが非当接とされるので、周期変位部材の周期的な変位を第1部材および第2部材へ伝達しやすくすることができる。また、第1部材および第2部材を関連させず、これらを互いに異なる態様で周期的に変位(振動)させることができる。即ち、第1部材および第2部材は互いに異なる構成(部品点数や各部品の形状)であるため、同じ振動が周期変位部材から伝達されても、互いに異なる態様で振動される。よって、一のキャラクターのうちの第1部材が形成する部分と第2部材が形成する部分とを異なる態様で振動させることができる。よって、その分、演出効果を高めることができる。また、異なる振動源を複数設けなくても良いので、その分、製品コストの削減を図ることができる。
<スライドユニット400、上合体ユニット700及び下合体ユニット800を一例とする発明の概念について>
退避位置および張出位置の間で変位可能に形成される複数の変位手段からなる第1の群と、退避位置および張出位置の間で変位可能に形成される複数の変位手段からなる第2の群とを備え、前記第1の群の各変位手段が張出位置に配置されると、それら第1の群の各変位手段により第1の演出態様が形成され、前記第2の群の各変位手段が張出位置に配置されると、それら第2の群の各変位手段により第2の演出態様が形成される遊技機において、前記第1の群のうちの一の変位手段と前記第2の群のうちの一の変位手段とを兼用する兼用手段を備えることを特徴とする遊技機G1。
ここで、退避位置および張出位置の間で変位可能に形成される複数の変位手段からなる第1の群と、退避位置および張出位置の間で変位可能に形成される複数の変位手段からなる第2の群とを備えた遊技機が知られている(例えば、特開2014−176578号)。
この遊技機によれば、第1の群の各変位手段が張出位置に配置されると、それら第1の群の各変位手段を関連付けて(一体化して)、一のキャラクター(第1の演出態様)として遊技者に認識させる一方、第2の群の各変位手段が張出位置に配置されると、それら第2の群の各変位手段を関連付けて(一体化して)、別のキャラクター(第2の演出態様)として遊技者に認識させるという演出が行われる。即ち、第1の遊技状態では、第2の群の各変位手段を退避位置へ退避させる一方、第1の群の各変位手段を張出位置へ配置することで、それら第1の群の各変位手段により第1のキャラクターを遊技領域に形成し、第2の遊技状態では、第1の群の各変位手段を退避位置へ退避させる一方、第2の群の各変位手段を張出位置へ配置することで、それら第2の群の各変位手段により第2のキャラクターを遊技領域に形成するという演出が行われる。
この場合、演出効果を高めるためには、より大きなキャラクターが形成可能であることが有効となる。そのためには、第1の群の各変位手段および第2の群の各変位手段をそれぞれ大型に形成する必要がある。
しかしながら、上述した従来の技術のように、複数のキャラクター(演出態様)を形成すると、その分、複数のキャラクターを形成するために必要となる変位手段の総数も多くなるところ、各変位手段を退避させておくための領域(スペース)は限られているため、各変位手段を大型化することが困難であるという問題点があった。そのため、各キャラクター(演出態様)をそれぞれ大きくすることが困難である。
これに対し、遊技機G1によれば、第1の群のうちの一の変位手段と第2の群のうちの一の変位手段とを兼用する兼用手段を備えるので、その分、複数(第1及び第2)の演出態様を形成するために必要となる変位手段の総数を減らすことができ、各変位手段を大型化することができる。その結果、各演出態様(キャラクター)をそれぞれ大きくすることができる。
遊技機G1において、前記兼用手段は、前記第1の演出態様を形成する際に配置される張出位置と、前記第2の演出態様を形成する際に配置される張出位置とが異なる位置とされることを特徴とする遊技機G2。
ここで、第1の演出態様が形成される場合と第2の演出態様が形成される場合とで、兼用手段が同じ張出位置に配置されていると、第1の演出態様と第2の演出態様とで共通の変位手段(兼用手段)が使用されていることを遊技者が認識しやすくなり、興趣を阻害する。また、同じ位置(張出位置)に配置された兼用手段を使用して第1の演出態様と第2の演出態様とをそれぞれ形成する必要があると、その分、自由度が低下して、第1の演出態様と第2の演出態様との相違(形状や配設位置)を形成し難くなる。
これに対し、遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、兼用手段は、第1の演出態様を形成する際に配置される張出位置と、第2の演出態様を形成する際に配置される張出位置とが異なる位置とされるので、かかる兼用手段が、第1の演出態様と第2の演出態様とで兼用されていることを遊技者に認識させ難くでき、興趣が阻害されることを抑制できる。また、第1の演出態様と第2の演出態様とで兼用手段を異なる位置(張出位置)に配置できる分、自由度を高めることができ、第1の演出態様と第2の演出態様との相違(形状や配設位置)を形成しやすくできる。
遊技機G1又はG2において、前記兼用手段は、前記第1の演出態様を形成する際の姿勢と、前記第2の演出態様を形成する際の姿勢とが異なる姿勢とされることを特徴とする遊技機G3。
ここで、第1の演出態様が形成される場合と第2の演出態様が形成される場合とで、兼用手段が同じ姿勢であると、第1の演出態様と第2の演出態様とで共通の変位手段(兼用手段)が使用されていることを遊技者が認識しやすくなり、興趣を阻害する。また、同じ姿勢の兼用手段を使用して第1の演出態様と第2の演出態様とをそれぞれ形成する必要があると、その分、自由度が低下して、第1の演出態様と第2の演出態様との相違(形状や配設位置)を形成し難くなる。
これに対し、遊技機G3によれば、遊技機G1又はG2の奏する効果に加え、兼用手段は、第1の演出態様を形成する際の姿勢と、第2の演出態様を形成する際の姿勢とが異なる姿勢とされるので、かかる兼用手段が、第1の演出態様と第2の演出態様とで兼用されていることを遊技者に認識させ難くでき、興趣が阻害されることを抑制できる。また、第1の演出態様と第2の演出態様とで兼用手段を異なる姿勢とできる分、自由度を高めることができ、第1の演出態様と第2の演出態様との相違(形状や配設位置)を形成しやすくできる。
遊技機G2又はG3において、前記兼用手段は、前記第1の演出態様を形成する際の張出位置に配置されると、前記第1の群のうちの少なくとも一の変位手段に対して、前後方向位置が異なり且つ正面視で少なくとも一部が重なることを特徴とする遊技機G4。
ここで、兼用手段は、第1の演出態様が形成される場合と第2の演出が形成される場合とで、異なる張出位置または(及び)異なる姿勢とされ、複数の停止状態を形成する必要があるため、制御または構造が複雑となり、その分、停止状態(配設位置または(及び)姿勢)にばらつきが生じやすい。この場合、兼用手段が張出位置において一の変位手段に当接する(少なくとも一部で前後方向位置が一致する)構造では、兼用手段の配設位置や姿勢が目標位置に達しないと、一の変位手段との間に隙間が形成される一方、兼用手段の配設位置や姿勢が目標位置を越えると、一の変位手段を押し出して位置ずれを生じさせる。そのため、一の変位手段との関係性を維持することが困難となる。
これに対し、遊技機G4によれば、遊技機G2又はG3の奏する効果に加え、兼用手段は、第1の演出態様を形成する際の張出位置に配置されると、第1の群のうちの少なくとも一の変位手段に対して、前後方向位置が異なり且つ正面視で少なくとも一部が重なるので、その停止状態(張出位置または(及び)姿勢)にばらつきが生じた場合でも、一の変位手段と兼用手段との関連性を維持しやすくできる。即ち、正面視で一部が重なることで、兼用手段の変位が不足した場合でも、一の変位手段との間に隙間が形成されることを抑制できると共に、前後方向位置が異なることで、兼用手段の変位が過大となった場合でも、一の変位手段が押し出されて位置ずれが生じることを抑制できる。その結果、一の変位手段と兼用手段との関連性を維持しやすくできる。
遊技機G4において、前記一の変位手段と前記第1の群のうちの他の変位手段とは、前記第1の演出態様を形成する際の張出位置に配置されると、互いに当接されることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、遊技機G4において、一の変位手段と第1の群のうちの他の変位手段とは、第1の演出態様を形成する際の張出位置に配置されると、互いに当接されるので、それら一の変位手段および他の変位手段を関連付けて(一体化して)、全体を所定のキャラクターとして遊技者に認識させやすくできる。
この場合、兼用手段は、上述したように、停止状態(張出位置または(及び)姿勢)にばらつきが生じやすいところ、かかる兼用手段が、第1の演出態様を形成する際の張出位置において、一の変位手段に当接される(少なくとも一部で前後方向位置が一致する)構造では、兼用手段の配設位置や姿勢が目標位置に達しないと、一の変位手段との間に隙間が形成されて、関連付け(一体化)が阻害される。同様に、兼用手段の配設位置や姿勢が目標位置を越えても、一の変位手段を押し出して位置ずれを生じさせることから、関連付け(一体化)が阻害される。即ち、一の変位手段と第1の群のうちの他の変位手段とが張出位置において互いに当接される場合には、上記遊技機G4の構成(前後方向位置が異なり、且つ、正面視において一部が重なる)が特に有効となる。
遊技機G5において、前記兼用手段は、前記第1の演出態様を形成する際の張出位置に配置されると、前記一の変位手段および他の変位手段よりも前後方向前側に位置されると共に、それら一の変位手段と他の変位手段とが互いに当接される部分に対して正面視で重なることを特徴とする遊技機G6。
遊技機G6によれば、遊技機G5の奏する効果に加え、兼用手段は、第1の演出態様を形成する際の張出位置に配置されると、一の変位手段および他の変位手段よりも前後方向前側に位置されると共に、それら一の変位手段と他の変位手段とが互いに当接される部分に対して正面視で重なるので、例えば、一の変位手段または(及び)他の変位手段の目標位置にずれが発生して、それら両変位手段の間に隙間が形成された場合に、かかる隙間を兼用手段により遮蔽して、遊技者に視認し難くできる。その結果、一の変位手段と他の変位手段との関連性が阻害されることを抑制できると共に、両変位手段と兼用手段との関連性を維持しやすくできる。
遊技機G2からG6のいずれかにおいて、直線変位される直線基部材を備え、前記兼用手段は、前記直線基部材に回転可能に配設されることで、回転変位と直線変位とが組み合わされた態様で変位され、前記第1の演出態様を形成する際に配置される前記兼用手段の張出位置と、前記第2の演出態様を形成する際に配置される前記兼用手段の張出位置とが異なる位置とされ、かつ、前記第1の演出態様を形成する際の前記兼用手段の姿勢と、前記第2の演出態様を形成する際の前記兼用手段の姿勢とが異なる姿勢とされることを特徴とする遊技機G7。
遊技機G7によれば、遊技機G2からG6の奏する効果に加え、直線変位される直線基部材を備え、兼用手段は、直線基部材に回転可能に配設されることで、回転変位と直線変位とが組み合わされた態様で変位されるので、第1の演出態様または第2の演出態様を形成する際のその張出位置および姿勢の自由度を高めることができる。
遊技機G7において、前記第1の群のうちの一の変位手段の前後方向位置が、前記直線基部材と前記兼用手段との間に設定されることを特徴とする遊技機G8。
遊技機G8によれば、遊技機G7の奏する効果に加え、第1の群のうちの一の変位手段の前後方向位置が、直線基部材と記兼用手段との間に設定されるので、兼用手段をより前面側に位置させて、遊技者に視認させやすくしつつ、一の変位手段と兼用手段との前後方向位置をより近接させることができる。よって、一の変位手段と兼用手段とを関連付けて(一体化して)、全体を所定のキャラクターとして遊技者に認識させやすくできる。
遊技機G8において、前記第1の群のうちの一の変位手段および前記兼用手段が退避位置に配置された状態において、前記一の変位手段が前記直線基部材と正面視において重なる位置に配置されることを特徴とする遊技機G9。
遊技機G9によれば、遊技機G8の奏する効果に加え、第1の群のうちの一の変位手段および兼用手段が退避位置に配置された状態において、一の変位手段と直線基部材とが正面視において重なる位置に配置されるので、第1の演出態様を形成するべく、一の変位手段および直線基部材(兼用手段)が張出位置へ変位される際に、一の変位手段が直線基部材の側面に当接されることを抑制できる。
遊技機G9において、前記第1の群のうちの他の変位手段および前記兼用手段が退避位置に配置された状態において、前記他の変位手段が前記直線基部材に正面視において重ならない位置に配置され、前記他の変位手段および前記兼用手段が張出位置へ向けて変位される途中において、前記他の変位手段が前記直線基部材に正面視において重なる位置に配置され、前記直線基部材は、少なくとも前記他の変位手段が正面視において重なる領域が、前記一の変位手段が正面視において重なる領域よりも前後方向寸法が小さくされることを特徴とする遊技機G10。
遊技機G10によれば、遊技機G9の奏する効果に加え、第1の群のうちの他の変位手段および兼用手段が退避位置に配置された状態において、他の変位手段が直線基部材に正面視において重ならない位置に配置され、他の変位手段および兼用手段が張出位置へ向けて変位される途中において、他の変位手段が直線基部材に正面視において重なる位置に配置され、直線基部材は、少なくとも他の変位手段が正面視において重なる領域が、一の変位手段が正面視において重なる領域よりも前後方向寸法が小さくされるので、第1の演出態様を形成するべく、他の変位手段および直線基部材(兼用手段)が張出位置へ変位される際に、他の変位手段が直線基部材の側面に当接されることを抑制できる。
遊技機G10において、前記直線基部材に駆動力を付与して直線変位させる駆動手段と、前記直線基部材の直線変位を前記兼用手段の回転に変換する変換機構とを備え、その変換機構が、前記直線基部材のうちの前記一の変位手段が退避位置において正面視で重なる領域に配置されることを特徴とする遊技機G11。
遊技機G11によれば、遊技機G10の奏する効果に加え、直線基部材に駆動力を付与して直線変位させる駆動手段と、直線基部材の直線変位を兼用手段の回転に変換する変換機構とを備えるので、直線基部材の直線変位と兼用手段の回転とを同期させられるので、直線基部材に対する兼用手段の相対的な位置精度(姿勢)を高められる。よって、変位手段と兼用手段とを関連付けて(一体化して)、全体を所定のキャラクターとして遊技者に認識させやすくできる。
また、兼用手段を回転させるための駆動手段を別途設けることを不要とできるので、その分、兼用手段を大型に形成でき、張出位置において形成されるキャラクターをより大型化できる。例えば、遊技領域の幅方向における液晶表示装置の一側および他側のように、比較的狭く、部材の配設スペースの確保が困難である領域であっても、かかる領域に兼用手段材の退避位置を設定しつつ、兼用手段を大型に形成できる。
この場合、変換機構は、直線基部材のうちの一の変位手段が退避位置において正面視で重なる領域に配置されるので、その分、直線基部材のうちの他の領域(変換機構が配置されない領域)の前後方向寸法を小さくできる。よって、他の変位手段および直線基部材(兼用手段)が張出位置へ変位される際に、他の変位手段が直線基部材の側面に当接されることを抑制できる。
遊技機A1からA8,B1からB9,C1からC9,D1からD12,E1からE6,F1からF16及びG1からG11のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機K1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA8,B1からB9,C1からC9,D1からD12,E1からE6,F1からF16及びG1からG11のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機K2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA8,B1からB9,C1からC9,D1からD12,E1からE6,F1からF16及びG1からG11のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機K3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
パチンコ機等の遊技機において、駆動手段と、その駆動手段の駆動力により変位される第1部材および第2部材と、それら第1部材および第2部材へ駆動手段の駆動力をそれぞれ伝達する第1伝達手段および第2伝達手段と、を備え、1の駆動手段により2の部材(第1部材および第2部材)を変位させる遊技機が知られている(特開2015−53958号公報)。しかしながら、上述した遊技機では、駆動手段の負荷が大きくなるという問題点があった。本技術的思想は、上記例示した問題点を解決するためになされたものであり、駆動手段の負荷を抑制できる遊技機を提供することを目的とする。
<手段>
この目的を達成するために技術的思想1記載の遊技機は、駆動手段と、その駆動手段の駆動力により変位される第1部材および第2部材と、それら第1部材および第2部材へ前記駆動手段の駆動力をそれぞれ伝達する第1伝達手段および第2伝達手段と、を備えるものであり、前記第1伝達手段は、前記駆動手段に第1の駆動力が負荷される第1所定区間と、その第1所定区間で負荷される前記第1の駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動手段に負荷される第1抑制区間と、を形成可能とされ、前記第2伝達手段は、前記駆動手段に第2の駆動力が負荷される第2所定区間と、その第2所定区間で負荷される前記第2の駆動力よりも小さい駆動力が前記駆動手段に負荷される第2抑制区間と、を形成可能とされ、前記第1伝達手段が前記第1所定区間を形成する状態では、その第1所定区間の少なくとも一部で前記第2伝達手段が前記第2抑制区間を形成すると共に、前記第2伝達手段が前記第2所定区間を形成する状態では、その第2所定区間の少なくとも一部で前記第1伝達手段が前記第1抑制区間を形成する。
技術的思想2記載の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記第1所定区間または第2所定区間では、前記第1部材または第2部材の変位が重力方向上方への変位成分を備え、前記第1抑制区間または第2抑制区間では、前記第1部材または第2部材の変位が重力方向下方への変位成分を備える。
技術的思想3記載の遊技機は、技術的思想1又は2に記載の遊技機において、前記第1伝達手段は、前記駆動手段の駆動力により回転されるカム部材と、そのカム部材の周面に擦接されて前記第1部材に変位を付与するカム擦接部材とを備え、前記第2伝達手段は、前記駆動手段の駆動力により回転される本体部およびその本体部の回転中心から偏心して位置するピン部を有するクランク部材と、そのクランク部材のピン部が摺動する案内溝を有し前記ピン部が前記案内溝に沿って摺動することで前記第2部材に変位を付与するクランク擦接部材とを備え、前記カム部材と前記クランク部材とが一体に形成される。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、駆動手段の負荷を抑制できる。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、駆動手段の負荷を抑制できる。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想1又は2に記載の遊技機の奏する効果に加え、小型化を図ることができる。