以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図25を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の前面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の前面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために前面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が前面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために前面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が前面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の前面側に視認可能となっている。
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は前面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前面枠14の前面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の前面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、前面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車(可動部材310を図示し、その他は図示せず)の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その前面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の前面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の前面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の下方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の第1特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。また、第1入賞口64の下方左側には第2可変入賞装置650が配設されており、その略中央部分に他の入賞口63,64,640と同程度の大きさの円形形状からなる第2特定入賞口650aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65a,650aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65a,650aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65a,650aが所定時間開放される。この特定入賞口65a,650aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、第1特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第1特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が第1特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
第2可変入賞装置650は、具体的には、第2特定入賞口650aへ球を案内する案内路と、その案内路の第2特定入賞口650a側とは反対側となる開口部である開口651と、その開口651の開放および閉鎖を行うための駆動役物650bと、その駆動役物650bを開口651の下辺を軸に左右方向に開閉駆動するための小開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第2特定入賞口650aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には小開放口ソレノイドを駆動して駆動役物650bを右方に傾倒し、球が第2特定入賞口650aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65a,650aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65a,650aが所定時間開放され、その特定入賞口65a,650aの開放中に、球が特定入賞口65a,650a内へ入賞することを契機として特定入賞口65a,650aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65a,650aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71及び第2アウト口72が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640,650aにも入賞しなかった球は、第1アウト口71又は第2アウト口72を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される一方、第2アウト口72は、第2特定入賞口650aの左側に配設される。即ち、第2アウト口72は、第2特定入賞口650aを挟んで第1アウト口71の反対側に配設される。
よって、遊技領域を流下する球であって、第2特定入賞口650aよりも前面視右側(図2右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下され、第1アウト口71を通って球排出路へ案内される一方、第2特定入賞口650aよりも前面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下され、第2アウト口72を通って球排出路へ案内される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。本実施形態においては、風車の内の一つ(可動部材310と称す)が遊技盤13の前面視左側上方に配設され、図2において図示されている。
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、駆動モータ422,3514,3631が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5を参照して、遊技盤13における第2歯車322の伝達軸部322dと動作ユニット200における第1遮蔽部材441の挿通孔441bとの位置関係について説明する。
図5は、遊技盤13及び動作ユニット200の斜視図である。図5の紙面左側には、遊技盤13の後面斜視図が図示され、図5の紙面右側には、動作ユニット200の前面斜視図が図示される。遊技盤13は、組立状態において、動作ユニット200の前側に締結固定される。
図5に示すように、遊技盤13の後面視右側上部には、第1歯車321及びその第1歯車321に従動して回転される第2歯車322が配設される。第1歯車321は、上述した時計回り及び反時計回りの双方向に回転可能な風車である可動部材310(図2及び図9参照)に同期回転可能に軸連結される。
第2歯車322の伝達軸部322dは、遊技盤13と動作ユニット200との組立状態において、昇降動作ユニット400の挿通孔441bに挿通可能に形成される。
図6は、遊技盤13の後面図である。遊技盤13の後面図については概略として図5で説明したが、ここでは再度詳細に説明する。図6に示すように、遊技盤13は、第1歯車321及び第2歯車322を備え、それらは遊技盤13の後面視右側上部に配設される。ここで、第1歯車321は、前面視において戻り球防止部材68(図2参照)の右側上方に配設される可動部材310と同期回転可能に軸連結される(図9参照)。
そのため、球が遊技盤13の前面(図2参照)を流下し、可動部材310(図9参照)に衝突し、可動部材310が回転されると、その回転が第1歯車321及び第2歯車322に伝達され、その回転に伴い伝達軸部322dが回転されるので、その伝達軸部322dの一端に配設される第1演出部材442(図12参照)が回転され、第1被遮蔽装置440(図5参照)の外観を変化させることとなるが、詳細は後述する。
ここで、上述したように可動部材310が、遊技盤13の前面視左側上部に配設されるので(図2参照)、球が流下の過程で釘などに衝突して流下経路が分岐する前に、球を可動部材310(図9参照)に衝突させることができる。よって、球が可動部材310に衝突する確率を高めることができ、可動部材310と同期回転する第1歯車321の回転力が、第2歯車322に伝わる頻度を高めることができるので、後述する第1被遮蔽装置440(図16参照)の外観を変化させる頻度を高めることができる。
次いで、図7及び図8を参照して、後面ケース210への各ユニット400〜600の収容構造について説明する。
図7及び図8は、分解した動作ユニット200を前面視した動作ユニット200の分解前面斜視図である。なお、図8では、昇降動作ユニット400及び揺動動作ユニット600が後面ケース210に装着された状態が図示される。
動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図7紙面手前側)が開放された箱状に形成される後面ケース210を備える。後面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、前面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
動作ユニット200は、後面ケース210の内部空間に、昇降動作ユニット400、揺動動作ユニット600及び遮蔽動作ユニット500がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
具体的には、昇降動作ユニット400は開口211aの上方となる位置において、揺動動作ユニット600は開口211aの左右となる位置において、それぞれ後面ケース210の底壁部211に配設される(図8参照)。
この図8に示す状態に対し、遮蔽動作ユニット500は揺動動作ユニット600の前面側に、それぞれ重ね合わされた積層状態で配設され、後面ケース210に収容される(図5参照)。
これら各動作ユニット400〜600は、それぞれ独立して動作可能に形成されるので、同時に動作させることができる。よって、各動作ユニット400〜600をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。
次いで、図9を参照して、上述した第1歯車321及び第2歯車322の遊技盤13への配設構造について説明する。
図9は、遊技盤13に配設された状態における可動部材310、第1歯車321及び第2歯車322の部分拡大後面斜視図である。なお、遊技盤13は部分的に図示されると共に部分的に断面視される。図9において、紙面下方が遊技盤13の前方と一致する。
図9に示すように、遊技盤13には挿通孔が二箇所に穿設され、一方の挿通孔に可動部材310の軸支本体311が挿通され、その軸支本体311の一端に第1歯車321が配設される。また、他方の挿通孔には、第2歯車322の軸部322cが軸支され、第2歯車322が第1歯車321に歯合された状態で遊技盤13に配設される。
可動部材310は、遊技盤13の前面を流下する球に衝突され回転される部材であって、円柱状の軸支本体311と、その軸支本体311の一端に形成される係止部311aと、軸支本体311の係止部311aの反対側において径方向外方へ向けて放射状に等間隔で立設される三枚の羽部312a〜312cと、を主に備え、金属製の軸支本体311に樹脂材料から形成される羽部312a〜312cが固着される。ここで、係止部311aは、断面D字形状に形成される。
第1歯車321は、可動部材310と同期して回転され、樹脂材料から形成される部材であって、前面視円形状の第1本体321aと、その第1本体321aの外周面に刻設される歯321bと、その歯321bよりも第1歯車321の後面側(遊技盤13の反対側)となる位置で第1本体321aの外周面からフランジ状に張り出すフランジ部321cと、第1本体321aの中心に穿設される軸孔部321dと、を主に備える。軸孔部321dは、係止部311aに比較して若干大きな断面D字形状に形成されるので、係止部311aが軸孔部321dに挿通されることで、可動部材310が第1歯車321に対して周方向に係止される。可動部材310の係止部311eに抜け止めとしての留め輪Eが固定されることで、第1歯車321が遊技盤13の後方へ引き抜き不能に配設される。
第2歯車322は、第1歯車321に従動回転され、樹脂材料から形成される部材であって、前面視円形状の第2本体322aと、その第2本体322aの外周面に刻設される歯322bと、第2本体322aの中心から前方(遊技盤13側)に立設される円柱状の軸部322cと、その軸部322cと同軸に形成されると共に第2本体322aの後方(遊技盤13の反対側)に立設される円柱形状の伝達軸部322dと、その伝達軸部322dの一端から軸方向に立設される断面矩形状の係止部322eと、を主に備える。第2歯車322の軸部322cは、遊技盤13に穿設される挿通孔に回転可能に軸支される。
伝達軸部322dは、遊技盤13と動作ユニット200とが締結固定された状態において、挿通孔441bに挿通される(図20参照)。そのため、第2歯車322は、遊技盤13の挿通孔および挿通孔441bに両持ちで軸支される。
係止部322eは、遊技盤13と動作ユニット200とが締結固定された状態において、第1演出部材442と連結される部分であり、第1演出部材442は係止部322eに周方向に係止されることで第2歯車322と同期して回転される(図20参照)。
可動部材310から第2歯車322への回転の伝達について説明する。可動部材310及び第1歯車321の連結は、可動部材310の係止部311aが第1歯車321の軸孔部321dに挿通されることで行われる。係止部311a及び軸孔部321dは周方向に係止されるので、可動部材310が回転されることで、第1歯車321は可動部材310に同期して回転される。第1歯車321が回転されると、その第1歯車321に歯合される第2歯車322が回転される。よって、可動部材310から第2歯車322へ回転が伝達される。
フランジ部321cの作用について説明する。第2歯車322が遊技盤13に穿設される挿通孔に保持されると共に、第1歯車321の歯321bと第2歯車322の歯322bとが歯合されると、第2歯車322がフランジ部321c及び遊技盤13に挟まれる位置関係となり、第1歯車321のフランジ部321cが第2歯車322の抜け止めとして作用する。即ち、第1歯車321のフランジ部321cと、第2歯車322の歯322bとは、軸方向で重なる部分を有すると共に、第1歯車321は上述したように前後方向に引き抜き不能に配設されているので、第2歯車322を第1歯車321と同様に前後方向に引き抜き不能とすることができる。よって、第2歯車322を遊技盤13から引き抜き不能とするEリング等の別部材を配設不要とでき、部品コストを削減することができる。
また、第1歯車321にフランジ部321cが形成されるので、そのフランジ部321cによって、第2歯車322を利用して第1歯車321が回転により傾斜することを抑制することができる。即ち、第2歯車322は、遊技盤13が動作ユニット200に締結固定された状態においては、上述したように、遊技盤13の挿通孔と第1遮蔽部材441の挿通孔441bとに両持ち支持されるので、回転時の軸心が安定する(図20参照)。一方、第1歯車321は、遊技盤13に挿通された軸支本体311に片持ち支持されるので、回転時の軸心が傾斜しやすい構造である。これに対し、本実施形態では、第1歯車321にフランジ部321cが形成されるので、第1歯車321が第2歯車322側に傾斜する場合にフランジ部321cが第2歯車322の歯322bの側面に当接し、第1歯車321の傾斜が規制される。よって、第1歯車321の傾斜を抑制する補助部材を配設することなしに、第1歯車321と第2歯車322との歯合状態を適正として、伝達効率の向上を図ると共に、第1歯車321に連結される可動部材310の回転を滑らかなものにできる。
更に、第1歯車321は、第1本体321aの外周面からフランジ部321cが張り出して形成されるので、かかるフランジ部321cにより第1歯車321の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、フランジ部321cが歯321bの軸方向端面に連設されるので、歯321bの剛性を高めることができる。その結果、歯321bの耐久性の向上を図ることができる。
ここで、第1歯車321のフランジ部321cは、歯321bの谷よりも山頂側に張り出されていれば足りる。歯321bの谷よりも張り出されていれば、第2歯車322の歯322bの山頂側の端面に当接できるからである。また、フランジ部321cの形成に要する材料を抑制して、軽量化および材料コストの削減を図ることができる。但し、フランジ部321cは、歯321bの山頂側よりも更に径方向外方へ張り出されていることが好ましい。第1歯車321の傾斜をより確実に抑制できるからである。
なお、第1歯車321の歯数に比較して第2歯車322の歯数が多く配設される(本実施形態においては歯数比2)。これにより、第2歯車322の係止部322eに周方向に係止される第1演出部材442(図18参照)の回転可能な角度が制限される場合に、それに伴い第2歯車322の回転可能角度が制限されたとしても、第1歯車321の回転可能角度を第2歯車322の回転可能角度に比較して大きくでき、結果として、可動部材310の回転可能角度を大きくすることができる。よって、可動部材310の回転角度を十分確保することができる。
可動部材310と第1歯車321との遊技盤13に対する組み付け構造について説明する。まず、可動部材310の軸支本体311を遊技盤13に穿設される挿通孔に前面側から挿通させることで遊技盤13の後面側まで貫通させ、そして、軸支本体311の係止部311aに第1歯車321の軸孔部321dを挿通させると共に、係止部311aの係止溝に留め輪Eを嵌め込む。これにより、可動部材310と第1歯車321とが遊技盤13の前後方向に引き抜き不能となると共に、可動部材310と第1歯車321とが同期回転可能に遊技盤13に保持される。
上記した構造によれば、遊技盤13に可動部材310、第1歯車321及び第2歯車322を組み付ける際には、第2歯車322を遊技盤13に組み付けてから、可動部材310及び第1歯車321を遊技盤13に組み付けるようにすることで容易に組み付けできる。これは、遊技盤13に第1歯車321が配設されると第1歯車321のフランジ部321cによって第2歯車322の前後方向への移動が規制されるので、第2歯車322の保持部材として第1歯車321が作用するためである。その上、本実施形態によれば、可動部材310、第1歯車321及び第2歯車322の複数の部材全てを遊技盤13に配設するために、それらの部材の個数に対応する複数の保持部材を要さず留め輪Eを一箇所(係止部311aの係止溝)に嵌め込むだけで足りる。即ち、第1歯車321がフランジ部321cを備えることで、遊技盤13への可動部材310、第1歯車321及び第2歯車322の組み付け工数を抑えると共に、保持部材の配設個数を抑制することができる。
次いで、図10から図25を参照して、第2歯車322の伝達軸部322dが挿通される第1被遮蔽装置440及びその第1被遮蔽装置440を有する昇降動作ユニット400について説明する。
図10及び図11は、昇降動作ユニット400の前面図である。なお、図10では、昇降部材460が上昇位置に配置された状態が図示され、図11では、昇降部材460が下降位置に配置された状態が図示される。
図10及び図11に示すように、昇降動作ユニット400は、取り付けベース410の前面側を昇降部材460が上下方向(図10上下方向)にスライド移動する構造に形成されており、昇降部材460の後面側に被遮蔽領域P1を有する。その被遮蔽領域P1は、図10に示すように、昇降部材460が上昇位置に配置される場合には昇降部材460に隠され視認されないが、一方で、図11に示すように、取り付けベース410に対して昇降部材460が下降位置に配置される場合には前面視において視認される領域である。なお、昇降部材460が昇降動作する機構の詳細については後述する。
図12は、昇降動作ユニット400の分解前面斜視図であり、図13は昇降動作ユニット400の分解後面斜視図である。
図12及び図13に示すように、昇降動作ユニット400は、長尺板形状の取り付けベース410と、その取り付けベース410の後面側右方に締結固定される駆動部420と、その駆動部420の生ずる駆動力により上下方向(図12上下方向)にスライド移動されるスライドベース430と、取り付けベース410の前面側に前面視左方に締結固定される第1被遮蔽装置440と、取り付けベース410の前側中央に嵩上げされて締結固定される嵩上げ締結前板450と、その嵩上げ締結前板450を収納する態様で上下方向にスライド移動される昇降部材460と、取り付けベース410の後方にスライドベース430を挟んで左右に配設される一対の嵩上げ部材470と、を主に備える。
なお、一対の嵩上げ部材470は、前後方向に開放された形状に形成され、取り付けベース410の後面側に配設される駆動部420を嵩上げ部材470の内部空間に収容可能とされる。
取り付けベース410は、主に樹脂材料から形成され、長尺板形状の本体部410aと、その本体部410aに上下方向に延設される開口である複数の案内溝411と、その案内溝411に併設されるピニオン案内溝412と、そのピニオン案内溝412の側面に複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部413と、本体部410aの後面から嵩上げ部材470へ向けて突出されると共にその嵩上げ部材470の挿通孔に挿通された締結ねじが締結可能に形成される複数(本実施形態では4本)の締結部414と、本体部410aの前面視左方に穿設される複数(本実施形態では2箇所)の締結孔415と、その締結孔415に締結固定される第1被遮蔽装置440を位置合わせする規制部416と、を主に備える。
案内溝411は、スライドベース430のスライド移動を案内する溝である。複数(本実施形態では3本)の案内溝411が平行に併設され、それらの案内溝411にそれぞれスライドベース430の挿通部431が挿通されるので、スライドベース430のスライド移動中の姿勢を一定に保つことができる。
ピニオン案内溝412は、スライドベース430の挿通軸432aに軸支されたピニオンギア432bを案内する溝であり、組立状態において、ピニオンギア432bがラック部413及び昇降部材460の後面側に配設されるラック部464の両者に歯合され、これにより、ダブルラック・ピニオン構造が形成される。よって、取り付けベース410に対してスライドベース430がスライド移動(昇降)されると、ダブルラック・ピニオン機構を介して、昇降部材460がスライドベース430に対してスライド移動される。即ち、昇降部材460は、スライドベース430よりも増速された状態で、取り付けベース410に対してスライド移動(昇降)される。
締結部414は、嵩上げ部材470に締結固定される部分である。嵩上げ部材470が後面ケース210(図7参照)に締結固定されることで、昇降動作ユニット400の取り付けベース410が後面ケース210に固定される。
規制部416は、取り付けベース410の正面視左側下方において前側に断面矩形状に突設される部分であり、第1被遮蔽装置440を本体部410aに取り付ける際の作業不良防止部として機能する。即ち、後述するように、第1被遮蔽装置440の第1遮蔽部材441は台形板形状に形成されるので、正方形のように姿勢が一義的に決まらない形状と異なり、取り付けベース410への取り付け時の第1被遮蔽装置440の姿勢を作業者が確認しやすい。しかし、不注意で姿勢を誤って取り付ける(上下反対等)恐れがある。そこで、第1被遮蔽装置440を規制部416の上側壁部に沿わせて本体部410aに組み付けることで、第1被遮蔽装置440の取り付け時の姿勢を一義的に定めることができ、組み付け間違いを防止することができる。よって、昇降動作ユニット400の製造コストを低減することができる。
スライドベース430は、取り付けベース410の後方に配設され、樹脂材料から形成される部材であって、四角形板形状の本体部430aと、その本体部430aの前面に複数突出されると共に複数の案内溝411bのそれぞれに挿通される複数の挿通部431と、本体部430aの前面に突出される支持軸432aと、その支持軸432aに回転可能に軸支されるピニオンギア432bと、本体部430aの後面から突出される挿通軸433と、を主に備える。
挿通部431は、複数(本実施形態では3箇所)配設され、取り付けベース410の複数の案内溝411にそれぞれ挿通される部分であり、挿通部431が案内溝411に挿通された状態で、前側から抜け止めとしてのカラーCを介して締結ねじで締結されることで、取り付けベース410に対してスライドベース430が前後方向に位置決めされる。よって、スライドベース430は、案内溝411の延設方向である上下方向(図12上下方向)への移動のみが可能となる。また、上述したように、挿通部431が、平行に併設される案内溝411のそれぞれに挿通されることで、スライドベース部材の左右方向への移動が規制されるので、スライドベース430が上下方向に移動される際のスライドベース430の姿勢を一定に保持することができる。
挿通軸433は、回動部材428の摺動孔428aに挿通される。後述するように回動部材428が上下方向に回転移動されることで、スライドベース430が上下方向にスライド移動される。
ピニオンギア432bは支持軸432aに回転可能に軸支され、更にピニオンギア432bはピニオン案内溝412に挿通され、ピニオンギア432bと取り付けベース410のラック部413とが歯合される。そのため、スライドベース430が上下方向にスライド移動されると、ピニオンギア432bが回転され、その回転に伴い上述したようにピニオンギア432bに歯合される昇降部材460が上下方向にスライド移動される。
昇降部材460は、後面側中央部に上下方向に幅広の凹溝が延設されると共にLED等が配設される基盤を内部に有する長尺板形状の前側本体部461と、その前側本体部461の後面側に締結固定される長尺板形状の後側本体部462と、その後側本体部462の上側から下方に延設して開口される一対の逃げ溝463と、それら一対の逃げ溝463の内の一方(後面視右側)の逃げ溝463の延設方向に沿って併設されるラック部464と、を主に備える。
前側本体部461と後側本体部462とは、締結固定されることで上側に開口が形成されるように構成され、その開口は、昇降部材460が上昇位置に配置された場合に、昇降部材460が嵩上げ締結前板450を前後から抱え込むように収納する空間としての機能を有する。昇降部材460に嵩上げ締結前板450が収納される収納状態において、前側本体部461は嵩上げ締結前板450の前側に配設され、後側本体部462は嵩上げ締結前板450の後側に配設される。その結果、昇降部材460の板厚方向の姿勢を維持することができる。
即ち、昇降部材460は基盤等の配設される前側本体部461側に重心を有するので、昇降部材460には前面側に倒れようとする力が働く。そのため、例えば、昇降部材460が嵩上げ締結前板450の前面側のみに形成される場合、昇降部材460が前側に倒れることを防止するには、別個の保持部材(案内レール等)が必要となる。一方、本実施形態のように、嵩上げ締結前板450が取り付けベース410から嵩上げされて締結され、嵩上げ締結前板450及び取り付けベース410の間に形成される隙間に後側本体部462が形成される構成によれば、昇降部材460の前側本体部461が昇降動作ユニット400の最前面に配設されることで演出効果を向上させる効果を維持しながら、一方で昇降部材460が前倒れしそうになっても、嵩上げ締結前板450の後面に後側本体部462が当接されることで昇降部材460の前倒れを防ぐことができる。
一対の逃げ溝463は、昇降部材460が昇降動作する場合に、嵩上げ締結前板450の後面側から突設される複数(本実施形態では4箇所、図13参照)の嵩上げ締結部と昇降部材460の後側本体部462とが干渉するのを防止するために形成される開口である。
後側本体部462は、一対の逃げ溝463よりも中央寄りに、前面側へ向けて延設される一対の側壁462aを備える。昇降動作ユニット400の組立状態において、一対の側壁462aが、嵩上げ締結前板450の後面側左右(図13左右方向)の内側面と当接し、昇降部材460の上下移動時における左右方向への位置ずれを防止する。
ラック部464は、昇降動作ユニット400の組立状態においてスライドベース430のピニオンギア432bが歯合される部分である。即ち、組立状態において、スライドベース430のピニオンギア432bが取り付けベース410のラック部413及び昇降部材460のラック部464の両者に歯合される。この場合、スライドベース430の挿通軸432aに軸支されたピニオンギヤ432bが、取り付けベース410のラック部413と、昇降部材460の後面側に配設されたラック部464との両者に歯合され、これにより、ダブルラック・ピニオン構造が形成される。
よって、取り付けベース410に対してスライドベース430がスライド移動(昇降)されると、ダブルラック・ピニオン機構を介して、昇降部材460がスライドベース430に対してスライド移動される。即ち、昇降部材460は、スライドベース430よりも増速された状態で、取り付けベース410に対してスライド移動(昇降)される。ここで、図14を参照して、昇降動作ユニット400の昇降部材460が取り付けベース410に対して昇降動作される機構について説明する。
図14(a)及び図14(b)は、昇降動作ユニット400の後面図である。図14(a)では、昇降部材460が上昇位置に配置された状態が図示され、図14(b)では、昇降部材460が下降位置に配置された状態が図示される。なお、図14(a)及び図14(b)においては、理解を容易にするために、一対の嵩上げ部材470の図示が省略される。
図14(a)に示すように、昇降部材460が上昇位置に配置された状態において、スライドベース430の下端と昇降部材460の下端とが略同一位置に配置されるのに対し、図14(b)に示すように、昇降部材460が下降位置に配置された状態において、スライドベース430の下端と昇降部材460の下端とは、異なった位置に配置される。よって、昇降部材460が昇降動作される距離に比較し、スライドベース430がスライド変位される距離を抑制することができる。そのため、スライドベース430をスライド変位させる駆動部420の回動部材428が回転動作される範囲を抑制できるので、駆動部420全体の構造を小型化でき、省スペースに駆動部420を配設することができる。
なお、昇降部材460が下降位置に配置された状態において、スライドベース430の下端と昇降部材460の下端とが、異なった位置に配置されるのは、上述したダブルラック・ピニオン機構を介して、昇降部材460がスライドベース430に対してスライド移動(昇降)されるためである。即ち、昇降部材460は、スライドベース430よりも増速された状態で、取り付けベース410に対してスライド移動(昇降)されるので、下降位置におけるスライドベース430と昇降部材460との配置に差が生じる。
図15を参照し、駆動部420について説明する。駆動部420は、スライドベース430(図14参照)を上下方向(図14上下方向)にスライド移動(昇降)させるための駆動力が発生されるユニットであり、取り付けベース410の後面側であって、スライドベース430の側方に配設される。
図15は、駆動部420の部分後面図である。なお、図15では、ケース体421(図14参照)及び駆動モータ422(図14参照)の図示を省略する。
図15に示すように、駆動部420は、ケース体421(図14参照)と、そのケース体421の後面側に配設されると共に駆動軸をケース体421の前面側に突出させる駆動モータ422(図14参照)と、その駆動モータ422の駆動軸に固着されるピニオンギヤ423と、そのピニオンギヤ423に歯合されると共にケース体421の前面から突設される回転軸424aに回転可能に軸支されるクランク歯車424と、そのクランク歯車424に一端が回転軸425aを介して回転可能に軸支される連接棒425と、その連接棒425の他端から突設される連結軸426と、ケース体421の後面から突設される支持軸427と、その支持軸427及び連結軸426が挿通される挿通孔を有する長尺板形状の回動部材428と、を主に備える。なお、駆動モータ422の駆動軸、回転軸424a,425a、連結軸426及び支持軸427は、それぞれ平行に配設される。
連接棒425の一端をクランク歯車424に回転可能に軸支する回転軸425aは、クランク歯車424の回転軸424aに対して偏心する位置に配置され、連接棒425の他端から突設される連結軸426は、支持軸427に軸支される回動部材428が回転する方向に沿ってのみ移動可能とされる。そのため、クランク歯車424、回転軸425a及び連接棒425は、クランク歯車424の回転運動を、連接棒425を介して、連結軸426の往復運動に変換するクランク機構を構成する。
即ち、駆動モータ422(図14参照)の回転駆動によりピニオンギヤ423が回転され、その回転によりクランク歯車424が一方向(例えば、矢印A1方向)に回転されると、連結軸426が回動部材428の回転方向に沿って一方向(矢印B1方向)へ移動される一方、駆動モータ422が逆方向に回転駆動され、クランク歯車424が他方向(矢印A2方向)に回転されると、連結軸426の移動方向が逆転され、かかる連結軸426が回動部材428の回転方向に沿って他方向(矢印B2方向)へ移動される。これにより、回動部材428の一端が上下方向に移動され、スライドベース430(図14(a),(b)参照)を上下方向に移動させることができる。
図14に戻って説明する。回動部材428は、支持軸427(図15参照)が挿通される軸支孔が配設される一端の反対側の他端に長径方向に延設される長穴形状に開口される摺動孔428aを有し、その摺動孔428aにスライドベース430の後面から突出される挿通軸433が挿通されることで、回動部材428が上下方向に回動されると、スライドベース430が上下方向にスライド移動される。
図10及び図11に戻って説明する。上述したスライド機構によりスライドベース430がスライド移動され下降されるに伴い、昇降部材460が上昇位置から下降され下降位置に配置されると、前面視において被遮蔽領域P1に第1被遮蔽装置440の視認孔441cを視認可能となる。ここで図16から図18を参照して、第1被遮蔽装置440について説明する。
図16(a)は、第1被遮蔽装置440の前面斜視図であり、図16(b)は、第1被遮蔽装置440の後面斜視図である。
図16(a)及び図16(b)に示すように、第1被遮蔽装置440は、被遮蔽領域P1の外観を変化させる装置であり、昇降動作ユニット400の取り付けベース410(図11参照)の前面視左側に前方から締結固定される第1遮蔽部材441と、その第1遮蔽部材441の後面側に配設される第1演出部材442と、その第1演出部材442及び第1遮蔽部材441間に配設されると共に第1演出部材442を初期位置に付勢する付勢力を生じる付勢バネ443と、を主に備える。なお、第1演出部材442の初期位置とは、付勢バネ443の一端が係止される係止ピン441hと付勢バネ443の他端が係止される係止ピン442fとが引き寄せられ、それに伴い第1演出部材442が停止される位置を意味し、初期位置において、付勢バネ443は自然長よりも伸ばされた状態で配設される。
第1遮蔽部材441は、前面視において視認孔441cを通して第1演出部材442を部分的に視認可能とする部材である。視認孔441cは、上述したように、昇降動作ユニット400の昇降部材460が下降位置に配置されると前面視において視認可能となる(図11参照)。ここで、図17を参照して、第1遮蔽部材441について説明する。
図17(a)は、第1遮蔽部材441の前面斜視図であり、図17(b)は、第1遮蔽部材441の後面斜視図である。
図17(a)に示すように、第1遮蔽部材441は、台形板形状の本体部441aと、その本体部441aの前面視左側上部に開口される挿通孔441bと、本体部441aの中央付近に開口される視認孔441cと、を主に備える。ここで、挿通孔441b及び視認孔441cの軸間距離は軸間距離L1で形成される。
図17(b)に示すように、第1遮蔽部材441は、本体部441aの後面から取り付けベース410(図11参照)へ向けて突出されると共に取り付けベース410の締結孔415に挿通された締結ねじが締結可能に形成される複数(本実施形態では2本)の嵩上げ締結部441dと、本体部441aの後面から立設されるリング形状の嵌合壁部441eと、その嵌合壁部441eの外周外側において視認孔441cの反対側にあたる位置に、嵌合壁部441eから隙間を空けて本体部441aの後面から後方に立設される壁面である湾曲壁部441fと、その湾曲壁部441fの立設端から嵌合壁部441e側に突出される抜け止め部441gと、視認孔441cを介して嵌合壁部441eの反対側に本体部441aの後面から立設される円柱状の係止ピン441hと、を主に備える。ここで、嵌合壁部441e、視認孔441c及び係止ピン441hは一直線上に配設される。
第1遮蔽部材441は、樹脂材料から一体成形されると共に、本体部441aの前面には、視認孔441cの右側下方に絵柄(本実施形態では「打て!」の文字)が表示される。本体部441aに表示される絵柄と、後述する第1演出部材442の表示442R,442N,442L(図18(a)参照)とが組み合わさり、遊技者が複数のメッセージを受け取り可能にすることができる。どのようなメッセージを受け取り可能かについては後述する。
本体部441aは、台形板形状に形成されるので、組み付け作業の作業性を向上させることができる。即ち、台形板形状であれば、正方形などの方向性のない形状と異なり、形状から姿勢が一義的に把握できるためである。
嵌合壁部441eは、内周が挿通孔441bと同軸同径に形成されるので、遊技盤13及び動作ユニット200が締結固定され、第2歯車322(図20参照)の伝達軸部322dが挿通孔441bに挿通される際に、伝達軸部322dを支持する内周面の面積を十分に確保することができる。その結果、伝達軸部322dの軸心を安定させ、第2歯車322の回転を安定させることができる。
ここで、伝達軸部322d(図20参照)の内周面の面積を確保することは、本体部441aの板厚を一律に増加させることでも達成可能であるが、その場合には、使用される材料が不必要に多くなり材料コストが嵩む。更に、第1遮蔽部材441は、取り付けベース410及び昇降部材460の間という限られたスペースに配設されることに加え(図10参照)、第1遮蔽部材441の後面側には第1演出部材442が配設されるので(図16参照)、その第1演出部材442の配設スペースを確保するためにも、本体部441aの板厚を一律に増加させることは好ましくない。
そこで、本実施形態では、伝達軸部322d(図20参照)を内嵌する機能を発揮する部分としての嵌合壁部441eに限定して板厚を増加させる構造が採用される。これにより、第1演出部材442(図16参照)の配設スペースを十分確保することができ、第1演出部材442の設計自由度を向上させることができる。
湾曲壁部441fは、嵌合壁部441e側が凹んで湾曲しており、内周面が嵌合壁部441eと同軸に形成されると共に、内周面の外径が第1演出部材442(図16参照)の筒状軸部442bの外径に比較し若干大きく形成されるので、第1演出部材442の回転時のガイドとして作用する。よって、第1演出部材442を安定して回転させることができる。
抜け止め部441gは、湾曲壁部441fから嵌合壁部441e側へ突出される部分であって、組立状態(図16参照)において第1演出部材442(図16参照)の筒状軸部442bと部分的に重なることで第1遮蔽部材441から第1演出部材442が脱落することを防止する部分であるが、その脱落防止機能については後述する。
図16に戻って説明する。嵩上げ部材441dは、取り付けベース410に締結固定されることで、本体部441aと取り付けベース410との間に隙間を形成する(図20参照)。この隙間内で、第1演出部材442が回転動作される。
第1演出部材442は、第1遮蔽部材441の後面側に配設され、その第1演出部材442は、表示442R,442N,442L(図18参照)が前面側に形成される。ここで、図18及び図19を参照して、第1演出部材442について説明する。
図18(a)は、第1演出部材442の前面斜視図であり、図18(b)は、第1演出部材442の後面斜視図であり、図19は第1演出部材442の前面図である。なお、図19において、筒状軸部442b及び係止ピン442fを結ぶ仮想的な直線を中心線Oとして図示すると共に、組立状態(図16参照)において、第1演出部材442が初期位置に配置された状態における第1被遮蔽装置440の視認孔441cを仮想円として図示する。
図18(a)に示すように、第1演出部材442は、扇型の板形状からなる本体部442aと、その本体部442aの扇形の一端に外周を連結される筒形状の筒状軸部442bと、を主に備え、樹脂材料から一体成形される。
筒状軸部442bは、本体部442aの板厚方向に貫通される開口を有する筒形状に形成され、筒状軸部442bの前面側(図18(a)手前側)に形成される大径孔部442cと、その大径孔部442cから本体部442aの板厚方向中心側に大径孔部442cと同軸に連接されると共に、内周が大径孔部442cよりも小径に形成される小径孔部442dと(図20参照)、筒状軸部442bの後面側に矩形状に開口される連結孔部442eと、を主に備える。
筒状軸部442bの外径は、第1遮蔽部材441(図16参照)の湾曲壁部441fの内径よりも若干小さく形成される。そのため、組立状態(図16参照)において筒状軸部442bを湾曲壁部441fの内側に収めることができる。
筒状軸部442bの軸方向の厚みは、湾曲壁部441fの立設端(抜け止め部441gの前側端)と嵌合壁部441eの立設端との間隔より若干大きく形成され、湾曲壁部441fの立設端(抜け止め部441gの前側端)と本体部441aの後面との間隔より小さくされる。
大径孔部442cの内径は嵌合壁部441e(図17参照)の外径よりも若干大きく形成される。そのため、第1被遮蔽装置440の組立状態(図16参照)において、嵌合壁部441eに大径孔部442cを外嵌させることで、第1遮蔽部材441に第1演出部材442を仮留めすることができると共に、第1演出部材442を第1遮蔽部材441に回転可能に軸支することができる。
小径孔部442dには、遊技盤13と動作ユニット200と(図5参照)の組立状態において、伝達軸部322d(図5参照)が挿通される。また、連結孔部442eは、遊技盤13と動作ユニット200との組立状態において、第2歯車322の係止部322e(図9参照)に外嵌される。そのため、第1演出部材442が第2歯車322に周方向に係止されて回転されるので、上述したように、可動部材310の回転に伴い第1演出部材442が回転される(図20参照)。
また、図18(b)に示すように、第1演出部材442は、本体部442aの中心線として仮想的に図示される直線O上であって(図19参照)、筒状軸部442bの配設される一端の反対側の他端に、本体部442aの後面から立設される円柱状の係止ピン442fを備える。係止ピン442fは付勢バネ443の一端が係止される部分である。
図19に示すように、第1演出部材442の前面には、第1遮蔽部材441の視認孔441cの内径にそれぞれ収まる大きさの表示442R(本実施形態では「右」)、表示442N(本実施形態では無地)及び表示442L(本実施形態では「激」)が、筒状軸部442bの中心点から軸間距離L2で描いた円周上に配置されると共に、表示442Nは中心線O上に、表示442R,442Lは中心線Oから左右にそれぞれθ0(後述するθ1/2と等しい)だけ位相ずれした位置に配置される。本実施形態では中心線Oの右側に表示442Rが、中心線Oの左側に表示442Lが、それぞれ表示の上方を筒状軸部442bに向けた姿勢で図示される。ここで、本実施形態においては、軸間距離L2の長さは、上述した軸間距離L1(図17参照)と同一に設定される(L1=L2)。
そのため、第1被遮蔽装置440の組立状態(図16参照)において、第1演出部材442が筒状軸部442bを中心に第1遮蔽部材441(図16参照)に対して回転されることで、第1演出部材442の表示442R,442N,442Lのいずれかと第1遮蔽部材441の視認孔441cとの位置を一致させることができ、前面視において視認孔441cから表示442R,442N,442Lのいずれかを視認可能とできると共に、角度θ0毎に視認孔441cから視認される表示442R,442N,442Lを切り替えることができる。よって、第1被遮蔽装置440の外観を変化させることができると共に、その変化を明確に区別することができる。
ここで、本実施形態とは異なり、第1演出部材442の前面が第1遮蔽部材441(図16参照)に全く隠されないとすると、前面視で視認可能な第1演出部材442の模様や表示は、位相違いを区別しないとすれば1種類である。そのため、第1演出部材442の外観の変化を把握することが難しい。
一方、本実施形態のように、第1遮蔽部材441(図16参照)が第1演出部材442の前面側に配設され、第1遮蔽部材441の視認孔441cから第1演出部材442が視認される態様で形成されることで、第1演出部材442の視認可能な部分を第1演出部材442が回転されることによって変更可能とすることができる。また、そうすることで複数種類の模様や表示を第1演出部材442の前面で別々に視認可能とでき、第1演出部材442の演出効果を向上させることができる。本実施形態では、第1演出部材442の前面に複数種類の表示442R,442N,442Lを互いに離して形成しているので、第1演出部材442の回転毎に、別々の表示442R,442N,442Lを視認可能とすることができる。
図16に戻って説明する。図16(a)及び図16(b)に示す初期位置では、係止ピン441h及び係止ピン442fが付勢バネ443の付勢力で引き寄せられ、第1演出部材442が、係止ピン442fを係止ピン441hへ向けた姿勢で停止する。つまり、初期位置では、第1演出部材442の中心線O(図19参照)と、上述した嵌合壁部441e、視認孔441c及び係止ピン441hの配設位置を結ぶ直線とが一致する。よって、前面側(紙面手前側)から視認孔441cを通して、第1演出部材442の前面側を視認する場合に、第1演出部材442の中心線O上の表示442N(図18(a)及び図19参照)が視認される。
抜け止め部441gは、上述したように、湾曲壁部441fから嵌合壁部441e側へ突出され、第1遮蔽部材441及び第1演出部材442の組立状態において第1演出部材442の筒状軸部442bに部分的に重なる。即ち、第1演出部材442に、第1遮蔽部材441から遠ざけられる方向の外力が加えられても、第1演出部材442が抜け止め部441gに当接され、それ以上の変位が抑制される。そのため、第1演出部材442が第1遮蔽部材441から離間することを防止し、第1演出部材442が第1遮蔽部材441の嵌合壁部441eから脱落することを防止できる。
第1演出部材442を第1遮蔽部材441に組み付ける(大径孔部442bを嵌合壁部441eに外観させる)方法について説明する。まず、第1遮蔽部材441の後方から第1演出部材442を近づけ、筒状軸部442bの外周面を抜け止め部441gに下側(図16(b)左下側)から押し当てるように第1遮蔽部材441に対して第1演出部材442を上下方向(図16(b)上下方向)にスライド移動させると共に抜け止め部441gを弾性変形させ、次に、嵌合壁部441e(図17参照)に大径孔部442c(図18参照)を外嵌させるように第1遮蔽部材441に対して第1演出部材442を前後方向(板厚方向)にスライド移動させると、筒状軸部442bと抜け止め部441gとの当接が解除され、抜け止め部441gの形状が弾性的に復元される。
第1被遮蔽装置440の組立状態によれば、第1演出部材442は、本体部441aと抜け止め部441gとに前後方向から挟まれると共に、嵌合壁部441e(図17(b)参照)に大径孔部442cが外嵌されることで、嵌合壁部441eに対する大径孔部442cの外嵌が解除される位置まで第1演出部材442を第1遮蔽部材441から前後方向に離さない限りは(この場合、抜け止め部441gに第1演出部材442が当接し、さらに抜け止め部441gを弾性変形させることを要する)、第1演出部材442が第1遮蔽部材441から軸方向(図16前後方向)に脱落することが規制される。よって、第1遮蔽部材441に対して第1演出部材442を保持させることができる。また、第1遮蔽部材441に対する第1演出部材442の保持は、第1遮蔽部材441及び第1演出部材442の形状のみから達成され、別個の保持部品を不要とできる。
また、上述した保持機構によれば、遊技盤13と動作ユニット200(図5参照)との組立を容易に行うことができる。即ち、第1被遮蔽装置440は、付勢バネ443による付勢力が生じており、そのままでは第1演出部材442の位置が不安定となる。また、第1被遮蔽装置440と取り付けベース410との組立状態(図11参照)においては、第1演出部材442が第1遮蔽部材441及び取り付けベース410に挟まれることで、第1演出部材442に対して外部からアクセス不能な状態で第1被遮蔽装置440が形成される。そのため、第1演出部材442の位置を第1遮蔽部材441に対して安定させることが難しく、遊技盤13及び動作ユニット200の組立て(第2歯車322の伝達軸部322dを第1演出部材442の小径孔部442dに挿通させること)が困難となる。
そこで、本実施形態においては、第1遮蔽部材441の嵌合壁部441e(図17(b)参照)に第1演出部材442の大径孔部442cが外嵌可能に第1演出部材442が形成される。これにより、第1遮蔽部材441に対し第1演出部材442の位置を安定させることができる。よって、遊技盤13及び動作ユニット200(図5参照)の組立作業を容易に行うことができる。
図10及び図11に戻って説明する。図10及び図11に示すように、上述した第1被遮蔽装置440の視認孔441cは上述した被遮蔽領域P1に配置される。
ここで、パチンコ機10等の遊技機において、第1位置(上昇位置に相当)と第2位置(下降位置に相当)との間で移動可能に形成される移動部材(昇降部材460に相当)と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段(駆動モータ422に相当)と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域(被遮蔽領域P1に相当)を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
これに対し、本実施形態においては、被遮蔽領域P1に配置される第1被遮蔽装置440の視認孔441cの外観が変化され、結果として被遮蔽領域P1の外観が変化される。ここで、図20から図25を参照して、球の衝突により可動部材310が回転されることに起因する第1被遮蔽装置440の前面視における外観の変化について説明する。まず、図20を参照して、可動部材310と第1演出部材442とが、第1歯車321及び第2歯車322を介して連動されることを説明する。なお、図20の説明においては、図9を適宜参照する。
図20は、図2のXX−XX線における遊技盤13、第2歯車322及び昇降動作ユニット400の部分断面図である。
図20に示すように、遊技盤13の後面(図20右側)に回転可能に配設される第2歯車322の伝達軸部322dが、第1遮蔽部材441の挿通孔441b及び嵌合壁部441eに回転可能に挿通されると共に、第2歯車322の係止部322eが第1演出部材442の連結孔部442eに周方向に回転不能に係止されるので、第2歯車322が遊技盤13と第1遮蔽部材441とに両持ちで支持されると共に、第2歯車322の回転が、第1演出部材442に伝達される。第2歯車322は第1歯車321(図9参照)に従動して回転され、その第1歯車321は可動部材310に周方向に係止されるので、結果として、可動部材310が球に衝突され、回転されることで、第1演出部材442が回転される。
図9に戻って、可動部材310の回転方向と、第1演出部材442の回転方向との関係について説明する。上述したように、可動部材310と第1歯車321とは同期して回転されると共に第2歯車322と第1演出部材442とは同期して回転される(図20参照)。
即ち、第1歯車321の回転方向と第2歯車322の回転方向との関係が、そのまま可動部材310の回転方向と第1演出部材442の回転方向との関係に反映される。なお、本実施形態によれば、例えば第1歯車321が時計回りに回転されると、第2歯車322は反時計回りに回転される態様で形成されるので、前面視における可動部材310の回転方向と、前面視における第1演出部材442の回転方向とは逆方向となる(図9及び図20参照)。
なお、遊技盤13の前面を流下する球が、可動部材310に衝突することで可動部材310が回転されると、可動部材310と位相を同じくして第1歯車321が回転され、その第1歯車321の回転力が第2歯車322に伝達されることで第2歯車322が減速比の分だけ減速されて(本実施形態では減速比は2)回転されると共に、第1演出部材442が第2歯車322と位相を同じくして回転される。よって、第1演出部材442は遊技盤13の前面を流下する球がどのように可動部材310に衝突するかによって回転の仕方が変わるので、球の不規則性に依存して、不規則な方向、速度および頻度で第1演出部材442が回転される。
ここで、球の不規則性とは、球が遊技盤13に配設される釘に衝突しながら流下することで、不規則に方向や速度を変えながら流下するという特徴と、球が全て可動部材310に衝突するわけではないので、球と可動部材310とが衝突する頻度も不規則に変化するという特徴と、を意味する。
次いで、図21から図25を参照して、球により可動部材310が回転されることに起因する第1被遮蔽装置440の前面視における外観の変化について説明する。なお、図21から図25の説明においては、図9を適宜参照する。
図21(a)は、可動部材310の前面図であり、図21(b)は、第1被遮蔽装置440の後面図であり、図21(c)は、第1被遮蔽装置440の前面図である。図21(a)では、可動部材310が初期位置に配置された状態が図示され、図21(b)及び図21(c)では、第1演出部材442が初期位置に配置された状態が図示される。
なお、図21(a)における、矢印Aから矢印Cは、可動部材310に衝突する球の流下経路を例示として示すものであり、球の流下経路を限定する意図ではない。また、矢印Aと矢印Cとは可動部材310の左右の端にそれぞれ配置されると共に、矢印Bは矢印Aよりも可動部材310の中心側(軸支本体311側)に配置される。
また、図21(a)から図21(c)における初期位置は、上述した第1演出部材442の初期位置と同義であり、この場合、可動部材310は停止される。なお、図21(a)から図21(c)においては、それぞれ遊技盤13及び動作ユニット200が締結固定された状態(図20参照)が図示され、遊技盤13、第1歯車321及び第2歯車322等の図示が省略される。後述する図22から図25についても同様とする。
図21(a)に示すように、可動部材310は、初期位置において、3枚の羽部312a〜312cの内の1枚の羽部312cが軸支本体311の鉛直下方向に配置される。
図21(b)に示すように、第1演出部材442は、初期位置において、第1演出部材442の係止ピン442f及び第1遮蔽部材441の係止ピン441hが付勢バネ443の付勢力により引き寄せられることで第1演出部材442の姿勢が定まり、第1演出部材442の中心線Oが第1遮蔽部材441の係止ピン441hを通過する姿勢で配置される。
図21(c)に示すように、第1被遮蔽装置440は、初期位置において、視認孔441cを介して第1演出部材442の前面に表示される表示442Nを視認可能とされる。
可動部材310は、図21(a)に示す初期位置から、経路として例示される矢印Aから矢印Cに沿って流下する球に衝突されることで回転され、その回転に伴い第1演出部材442が回転され、視認孔441cから視認される表示が切り替わるように形成される。
図22(a)は、可動部材310の前面図であり、図22(b)は、第1被遮蔽装置440の後面図であり、図22(c)は、第1被遮蔽装置440の前面図である。なお、図22(a)では、図21(a)の矢印Aの経路で球が可動部材310に衝突したことで可動部材310が回転された状態が図示され、図22(b)及び図22(c)では、その可動部材310の回転に伴って第1演出部材442が回転された状態が図示される。
図22(a)に示すように、矢印Aの経路(羽部材312aの一端付近において、可動部材310を前面視反時計回りに回転させる方向)で球が可動部材310に衝突すると、球の運動エネルギーが可動部材310に伝達され、可動部材310が初期位置から前面視反時計回りにθ1回転される。その可動部材310の回転に伴い第1歯車321が回転され、その第1歯車321の回転に伴い第2歯車322が減速比(本実施形態では減速比は2)の分だけ減速されて可動部材310の回転方向の逆方向に回転される(図9参照)。即ち、本実施形態のように、減速比が2の場合は、第2歯車322に周方向に係止される第1演出部材442は初期位置から前面視時計回りにθ1/2回転される。なお、本実施形態においては、θ1/2は上述したθ0と等しく設定される(θ1/2=θ0)。
図22(b)に示すように、第1演出部材442が初期位置から前面視時計回り(後面視反時計回り)にθ1/2回転されると、第1演出部材442は湾曲壁部441fに当接され、それ以上の回転を規制される。また、付勢バネ443が第1演出部材442の回転に伴い引っ張られ、第1演出部材442を初期位置に引き戻す方向に付勢力が作用する。そのため、可動部材310に球が再度衝突しない場合は、第1演出部材442は、付勢バネ443の付勢力により初期位置(図21(b)参照)に復帰される。
図22(c)に示すように、第1演出部材442が前面視時計回りにθ1/2回転されると、第1遮蔽部材441の視認孔441cから視認可能な第1演出部材442の部分が変化される。即ち、第1演出部材442が筒状軸部442bを中心に時計回りにθ1/2回転された場合には、視認孔441cから表示442Rを視認することができる(図19参照)。そのため、第1被遮蔽装置440の前面視における外観には、表示442R(本実施形態では「右」)と、第1遮蔽部材441の前面であって、視認孔441cの右側下方に表示される「打て!」の文字とが同時に視認されるので、第1被遮蔽装置440を視認する遊技者は「右へ打て」というメッセージを受け取ることができる。
即ち、可動部材310の右方に球が衝突することで、球のその後の流下経路が分岐し、入賞確率が向上する場合に、現状は可動部材310の左方に球が衝突する態様で球を流下させているが、右へ打った方が遊技者にとって有利であるということを、第1演出部材442の表示442Rを用いて遊技者に伝えることができる。例えば、昇降部材460が下降位置に配置される時に限って(視認孔441cが視認可能な時、図11参照)可動部材310の右方に球が衝突することで入賞確率が向上する設定を採用することで、視認孔441cを視認する遊技者に対して、可動部材310の右方を狙うことを推奨することができる。これにより、視認孔441cが配置される被遮蔽領域P1に遊技者の注意を引きつけることができ、被遮蔽領域P1の注目力を向上させることができる。
なお、本実施形態では可動部材310が風車であるので、遊技盤13に配設される風車の内の一つを流用できる(図2参照)。よって、可動部材310として利用しても製品コストが増加することを防止することができると共に、可動部材310自体の回転と第1演出部材442の回転とを外観上関連させることができ、演出効果を増大させることができる。
図23(a)は、可動部材310の前面図であり、図23(b)は、第1被遮蔽装置440の後面図であり、図23(c)は、第1被遮蔽装置440の前面図である。なお、図23(a)では、図21(a)の矢印Cの経路で球が可動部材310に衝突したことで可動部材310が回転された状態が図示され、図23(b)及び図23(c)では、その可動部材310の回転に伴って第1演出部材442が回転された状態が図示される。
図23(a)に示すように、矢印Cの経路(羽部材312bの一端付近において、可動部材310を前面視時計回りに回転させる方向)で球が可動部材310に衝突すると、球の運動エネルギーが可動部材310に伝達され、可動部材310が初期位置から前面視時計回りにθ1回転される。その可動部材310の回転に伴い第1歯車321が回転され、その第1歯車321の回転に伴い第2歯車322がギア比の分だけ減速されて可動部材310の回転方向の逆方向に回転される(図9参照)。即ち、上述したように本実施形態においては減速比が2なので、第2歯車322に係止される第1演出部材442は初期位置から前面視反時計回り(後面視時計回り)にθ1/2回転される(θ1/2=θ0)。
図23(b)に示すように、第1演出部材442が初期位置から前面視反時計回り(後面視時計回り)にθ1/2回転されると、第1演出部材442は湾曲壁部441fに当接され、第1演出部材442はそれ以上の回転を規制される。また、付勢バネ443が第1演出部材442の回転に伴い引っ張られ、第1演出部材442を初期位置に引き戻す方向に付勢力が生じる。そのため、可動部材310に球が再度衝突しない場合は、第1演出部材442は、付勢バネ443の付勢力により初期位置(図21(b)参照)に復帰される。
図23(c)に示すように、第1演出部材442が前面視反時計回りにθ1/2回転されると、第1遮蔽部材441の視認孔441cから視認可能な第1演出部材442の部分が変化する。即ち、第1演出部材442が筒状軸部442bを中心に反時計回りにθ1/2回転された場合には、視認孔441cから表示442Lを視認することができる(図19参照、θ1/2=θ0)。そのため、第1被遮蔽装置440の前面視における外観には、表示442L(本実施形態では「激」)と、第1遮蔽部材441の前面であって、視認孔441cの右側下方に表示される「打て!」の文字とが同時に視認されるので、第1被遮蔽装置440を視認する遊技者は「激しく打て」というメッセージを受け取ることができる。
即ち、可動部材310の右方に衝突させることで、球のその後の流下経路が分岐し、入賞確率が向上する場合に、現状では可動部材310の右方に球を衝突させているので、そのままの強度で激しく打つことが遊技者にとって有利であるということを、第1演出部材442の表示442Lを用いて遊技者に伝えることができる。例えば、昇降部材460が下降位置に配置される時に限って(視認孔441cが視認可能な時、図11参照)可動部材310の右方に球が衝突することで入賞確率が向上する設定を採用することで、視認孔441cを視認する遊技者に対して、可動部材310の右方を狙うことを推奨することができる。これにより、視認孔441cが配置される被遮蔽領域P1に遊技者の注意を引きつけることができ、被遮蔽領域P1の注目力を向上させることができる。
ここまでは、第1演出部材442の回転角度がθ1/2である場合について説明したが(θ1/2=θ0)、以下においては、第1演出部材442がθ1/2よりも小さな角度であるθ2/2だけ回転される場合について説明する。
図24(a)は、可動部材310の前面図であり、図24(b)は、第1被遮蔽装置440の後面図であり、図24(c)は、第1被遮蔽装置440の前面図である。なお、図24(a)では、図21(a)の矢印Bの経路で球が可動部材310に衝突することで可動部材310が回転された状態が図示され、図24(b)及び図24(c)では、その可動部材310の回転に伴って第1演出部材442が回転された状態が図示される。
図24(a)に示すように、球が矢印Bの経路で可動部材310に衝突すると、球の運動エネルギーが可動部材310に伝達されるが、矢印Aの経路で球が同一速度で可動部材310に衝突する場合に比較して、軸支本体311から球の衝突位置までの距離が短いため、球の衝突により可動部材310に発生する回転トルクが小さい。そのため、可動部材310が初期位置から反時計回りにθ2(<θ1)回転される。その可動部材310の回転に伴い第1歯車321が回転され、その回転に伴い第2歯車322が減速比の分だけ減速されて可動部材310の回転方向の逆方向に回転される(図9参照)。即ち、上述したように、減速比が2の場合は、第1演出部材442が初期位置から前面視時計回りにθ2/2(<θ1/2=θ0)回転される。
図24(b)に示すように、第1演出部材442が初期位置から前面視時計回り(後面視反時計回り)にθ2/2回転されても、第1演出部材442と湾曲壁部441fとの間には隙間が生じており、第1演出部材442は同一方向に回転する余地を残している。また、付勢バネ443が第1演出部材442の回転に伴い引っ張られ、第1演出部材442を初期位置に引き戻す方向に付勢力が生じる。そのため、可動部材310に球が再度衝突しない場合は、第1演出部材442は、付勢バネ443の付勢力により初期位置(図21(b)参照)に復帰される。
図24(c)に示すように、第1演出部材442が前面視時計回りにθ2/2(<θ1/2)回転されると、第1遮蔽部材441の視認孔441cから視認可能な第1演出部材442の部分が変化される。即ち、第1演出部材442が筒状軸部442bを中心に時計回りにθ2/2(<θ1/2)回転された場合には、第1遮蔽部材441の視認孔441cから表示442Rの右側が一部欠けた表示を視認することができる(図19参照)。そのため、第1被遮蔽装置440の前面視における外観には、表示442Rの右側が一部欠けた表示が視認されるので、遊技者に対して、視認孔441cに対する興味を持たせ、第1被遮蔽装置440に遊技者の注意を引かせることができる。
ここで、可動部材310の回転角度の大小に対応して、第1演出部材442の回転角度の大小が変化されるのは、本実施形態において、可動部材310及び第1演出部材442の回転が、互いに歯合される第1歯車321及び第2歯車322の回転に同期されるためである。言い換えれば、可動部材310の回転速度と、第1演出部材442の回転速度との速度比が一定であるためである。その結果、不規則性を有する球の衝突により可動部材310が不規則に回転し、それに伴い第1演出部材442の回転が不規則となることを確実にすることができる。
即ち、可動部材310の回転速度と第1演出部材442の回転速度との速度比が不定で有る場合、例えば回転速度についていえば、可動部材310の回転速度の大小に対応して、第1演出部材442の回転速度の大小が変化することがある一方で、可動部材310の回転速度に第1演出部材442の回転速度が対応しないこともある。ここで、前者の場合には、球の有する不規則性が第1演出部材442に伝わるが、後者の場合には、球の速度が平均化されて、球の不規則性が第1演出部材442に表れにくくなる可能性がある。
一方、本実施形態によれば、可動部材310の回転速度と、第1演出部材442の回転速度との速度比が、介在する第1歯車321及び第2歯車322(図9参照)により一定に定まるので、可動部材310の回転速度が小の時には第1演出部材442の回転速度が小となると共に、可動部材310の回転速度が大の時には第1演出部材442の回転速度が大となる関係のみが形成される。よって、不規則性を有する球の衝突により可動部材310が不規則に回転し、それに伴い第1演出部材442の回転が不規則となることを確実にすることができる。
可動部材310は、遊技盤13に対して時計回りと反時計回りの双方向に回転可能に配設されており、球の可動部材310への衝突の仕方によって可動部材310の回転方向が不規則に変わるため、球の不規則性を第1演出部材442の回転動作に反映させることができる。ここで、図25を参照して、第1演出部材442の回転動作の不規則性について、追加して説明する。
図25(a)は、可動部材310の前面図であり、図25(b)は、第1被遮蔽装置440の後面図である。なお、図25(a)には、前面視において初期位置から反時計回りにθ1回転された後、わずかに復帰された位置における可動部材310が図示され、図25(b)には、第1演出部材442が後面視において初期位置から反時計回りにθ1/2回転された後、わずかに復帰した状態における第1被遮蔽装置440が図示される。
図25(a)及び図25(b)には、可動部材310に球が衝突する場合に生じる力の方向の例示として、矢印Fa1及び矢印Fa2が図示される(矢印Fa1と矢印Fa2とは同じ大きさに設定される)。また、図25(b)には、可動部材310に球が衝突し、可動部材310に矢印Fa1の力が作用されることで第1演出部材442が回転される角度がθa1として図示され、可動部材310に球が衝突し、可動部材310に矢印Fa2の力が作用されることで第1演出部材442が回転される角度がθa2として図示される。
ここで、可動部材310が回転されるに伴い、第1演出部材442が回転されると、付勢バネ443から付勢力が第1演出部材442を初期位置に戻す方向へ生じる。可動部材310に矢印Fa1の力が生じる場合には、その矢印Fa1の力は付勢バネ443の付勢力と対向するため相殺され、回転トルクが抑制されるので、第1演出部材442の回転角度であるθa1は抑制される。
一方、可動部材310に矢印Fa2の力が生じる場合には、その矢印Fa2の力は付勢バネ443の付勢力と同一の方向に向くため互いの力が合成され、大きな回転トルクが生じるので、θa2はθa1に比較して大きくなる(θa2>θa1)。
これによれば、回転した可動部材310を更に回転させる方向に力が働く場合には(例えば球が同じ方向から可動部材310の同じ位置に続けて衝突する場合には)、第1演出部材442は、より回転しづらくなり、回転した可動部材310を逆方向に回転させる場合には(例えば、球が可動部材310の左右の位置に交互に衝突する場合には)、付勢バネ443の付勢力が補助的に働くので、第1演出部材442が回転しやすくなる。また、第1演出部材442の回転角度が大きくなるほど付勢力が大きくなるので、第1演出部材442の回転方向における回転のしやすさの違いは、第1演出部材442が初期位置から遠ざけられるにつれて顕著になる。
即ち、第1被遮蔽装置440は、第1演出部材442を初期位置へ向けて付勢する付勢バネ443を備え、その付勢バネ443は第1演出部材442が初期位置から遠ざけられるにつれて増大する付勢力を生じるので、可動部材442の回転力と、付勢バネ443の付勢力との差によって、第1演出部材442の回転の仕方を異ならせることができる。よって、第1演出部材442の第1遮蔽部材441に対する回転の仕方の不規則性を確保することができる。
次いで、図26から図35を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、図11に示すように、昇降部材460が下降位置に配置されると、被遮蔽領域P1に第1被遮蔽装置440が視認される場合を説明したが、第2実施形態の昇降動作ユニット2400(図26参照)では、被遮蔽領域P1(図27参照)に第2被遮蔽装置2450が視認される場合を説明する。なお、第2被遮蔽装置2450は、第1実施形態において嵩上げ締結前板450が配設される位置に配設され、第1実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図26及び図27は、第2実施形態における昇降動作ユニット2400の前面図である。なお、図26では、昇降部材460が上昇位置に配置された状態が図示され、図27では、昇降部材460が下降位置に配置された状態が図示される。
図26及び図27に示すように、昇降動作ユニット2400は、取り付けベース410の前面側を昇降部材460が上下方向(図26上下方向)にスライド移動する構造に形成されており、昇降部材460の後面側に被遮蔽領域P1を有する。その被遮蔽領域P1は、図26に示すように、昇降部材460が上昇位置に配置される場合には、昇降部材460に隠され視認されないが、一方で、図27に示すように、取り付けベース410に対して昇降部材460が下降位置に配置される場合には、前面視において視認される領域である。
ここで、パチンコ機10等の遊技機において、第1位置(上昇位置に相当)と第2位置(下降位置に相当)との間で移動可能に形成される移動部材(昇降部材460に相当)と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段(駆動モータ422に相当、図12参照)と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域(被遮蔽領域P1に相当)を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
これに対し、本実施形態では、後述するように、被遮蔽領域P1(図27参照)に配置される第2被遮蔽装置2450の外観が変化されるように形成される。即ち、昇降部材460が下降位置に配置され被遮蔽領域P1が視認可能となった場合に、被遮蔽領域P1の外観を変化させることで、被遮蔽領域P1の演出部分としての能力を向上させ、被遮蔽領域P1を演出部分として効果的に使用することができる。ここで、第2被遮蔽装置2450の詳細について、図28から図30を参照して説明する。
図28(a)は、第2被遮蔽装置2450の前面斜視図であり、図28(b)は、第2被遮蔽装置2450の後面斜視図であり、図29は、図28(a)の矢印XXIX方向視における第2被遮蔽装置2450の側面図である。
図28(a)及び図28(b)に示すように、第2被遮蔽装置2450は、取り付けベース410(図26参照)の前側に締結固定されると共に昇降部材460が下方に移動されることで視認可能となるユニット(図27参照)であって、四角形板形状の第2遮蔽部材2451と、その第2遮蔽部材2451の前面視左側後面に嵩上げして締結固定される長尺板形状の中間板部材2452と、第2遮蔽部材2451及び中間板部材2452の形成する隙間に配設される振り子状の第2演出部材2453と、その第2演出部材2453を移動させる付勢力を生じるねじりバネ状の付勢バネ2454(図30(b)参照)と、を主に備える。
第2遮蔽部材2451は、樹脂材料から形成され、四角形板形状の本体部2451aと、その本体部2451aの前面視右側に後方へオフセットされて延設される右側板部2451bと、本体部2451aの前面視左側に延設される左側板部2451cと、本体部2451aの前面視左方に開口される視認孔2451dと、右側板部2451b及び左側板部2451cの後面から取り付けベース410(図26参照)へ向けて突出されると共に取り付けベース410の挿通孔に挿通された締結ねじが締結可能に形成される複数(本実施形態では4本)の嵩上げ締結部2451eと、左側板部2451cから突出される嵩上げ締結部2451eの基端側に拡径して形成される座部2451f(図29参照)と、左側板部2451cの後面から中間板部材2452へ向けて突出されると共に中間板部材2452の挿通孔2452c(図30(a)参照)を通して締結ねじが挿通されることで第2遮蔽部材2451及び中間板部材2452を締結可能に形成される複数(本実施形態では2本)の締結部2451g(図29参照)と、を主に備える。
本体部2451aは、昇降部材460(図27参照)が下降位置に配置されると視認可能となる部分であり、前面に表示や模様が形成される。本実施形態では、図28(a)に示すように、視認孔2451dの位置を目の位置と一致させる「片目のだるま」が表示される。
視認孔2451dは、第2演出部材2453の表示部2453cの外径と略同等の大きさの内径で形成される貫通穴であり、昇降部材460(図27参照)が下降する過程において、第2演出部材2453への規制が解除され、第2演出部材2453が移動された場合に、第2演出部材2453の表示部2453cと前面視において重なる箇所に開口される(図34参照)。そのため、昇降部材460による第2演出部材2453への規制が解除され、第2演出部材2453が移動されると、視認孔2451dを通して第2演出部材2453の表示部2453cを視認することができる。即ち、昇降部材460の配置位置に応じて、第2被遮蔽装置2450の外観を変化させることができ、その結果、被遮蔽領域P1(図27参照)の外観を変化させることができる。
図28(b)及び図29に示すように、中間板部材2452は、樹脂材料から形成され、長尺板形状の本体部2452aと、その本体部2452aに穿設される一対の挿通孔2452bと、それら一対の挿通孔2452bとは異なる箇所において本体部2452aに穿設される一対の締結孔2452c(図30(a)参照)と、本体部2452aの中心付近から後側に突出される支持軸2452dと、本体部2452aの後側に突出される固定爪2452e(図30参照)と、を主に備える。支持軸2452dは、円柱形状が径方向(図30(a)における上下方向)に半分ずつに分断された形状で形成される(図30(a)参照)。
挿通孔2452bの直径は、嵩上げ締結部2451eの直径より若干大きいと共に座部2451fよりも若干小さく形成され、締結孔2452c(図30(a)参照)は組立状態において第2遮蔽部材2451の締結部2451gに対応する位置に穿設される。そのため、組立状態において、中間板部材2452は、第2遮蔽部材2451の座部2451fに挿通孔2452b周辺が載置されると共に、中間板部材2452の締結孔2452cを通して第2遮蔽部材2451の締結部2451gに締結ねじで締結固定される。
第2被遮蔽装置2450の組立状態において、第2遮蔽部材2451及び中間板部材2452の間に座部2451fの高さの分形成される隙間(図29参照)に第2演出部材2453が回転可能に配設される。第2演出部材2453は、昇降部材460(図27参照)が上昇位置に配置されると、昇降部材460の側壁462aに規制されるが(図32参照)、昇降部材460が下降する過程において、側壁462aに規制が解除されると、付勢バネ2454の付勢力により回転され、視認孔2451dから第2演出部材2453の表示部2453cが視認可能とされる(図34参照)。よって、昇降部材460の移動の過程において、被遮蔽領域P1の外観を変化させることができる。ここで、図30を参照して、第2演出部材2453及び第2演出部材2453が中間板部材2452に対してとる配置について説明する。
図30(a)及び図30(b)は、中間板部材2452、第2演出部材2453及び付勢バネ2454の前面図であり、図30(c)は、図30(a)の矢印XXXc方向視における中間板部材2452、第2演出部材2453及び付勢バネ2454の側面図である。なお、図30(a)は、昇降部材460が上昇位置に配置され、第2演出部材2453が回転を規制される状態が図示され、図30(b)は、昇降部材460による規制が解除され、付勢バネ2454の付勢力で回転された後の位置に第2演出部材2453が配置された状態が図示される。
図30(a)に示すように、第2演出部材2453は、樹脂材料から形成され、長尺板形状の本体部2453aと、その本体部2453aの一端に穿設される軸支孔2453bと、その軸支孔2453bの穿設される一端の反対側の他端に配設される円板形状の表示部2453cと、本体部2453aの略中央に後方(紙面手前側)へ向けて突出される固定爪2453dと、を主に備える。
本体部2453aの厚み方向の寸法は中間板部材2452の支持軸2452dの突設高さより小さく形成され、第2演出部材2453の軸支孔2453bの内径は中間板部材2452の支持軸2452dの直径より若干大きく形成される。支持軸2452dに軸支孔2453bが挿通されることで、第2演出部材2453が中間板部材2452に回転可能に軸支される(図30(c)参照)。この場合、支持軸2452dが径方向に分断されて形成されているので、例えば第2演出部材2453の軸支孔2453bの内径が小さく成形されても(設計寸法との寸法誤差が生じても)、支持軸2452dが径方向内側に変形することで、軸支孔2453bの寸法誤差を吸収することができるので、中間板部材2452に対する第2演出部材2453の組み付け不良を低減することができる。
付勢バネ2454は支持軸2452dの一端に保持されると共に、一方の腕部を中間板部材2452の固定爪2452eに固着され、一方の腕部の反対側の他方の腕部を第2演出部材2453の固定爪2453dに固着される。
第2演出部材2453は、昇降部材460が上昇位置に配置されるとその昇降部材460の側壁462aに押し戻されて、図30(a)の位置に配置される(図32参照)。一方、第2演出部材2453は、昇降部材460の側壁462aによる規制が解除されると(図34参照)、付勢バネ2454の付勢力(弾性回復力)により固定爪2453dが押されることで、図30(b)に示す配置まで回転される。図30(b)に示す配置において、上述したように第2演出部材2453の表示部2453cを第2遮蔽部材2451の視認孔2451dから視認可能となる(図35参照)。なお、本実施形態においては、上述した昇降部材460の側壁460aによる規制が解除されると、第2演出部材2453が回転終点(第2演出部材2453の表示部2453cを第2遮蔽部材2451の視認孔2451dから視認可能となる状態)に至るまで、第2演出部材2453と昇降部材460とが当接された状態で図30(b)に示す配置まで回転される(付勢バネ2454のバネ定数が十分大きい)。
表示部2453cは、前面に表示や模様が形成される。本実施形態では、「だるまの目」となる黒色の円形状が形成される。中間板部材2452の支持軸2452dを軸として第2演出部材2453が回転され、表示部2453cが移動されることで、第2遮蔽部材2451(図28(a)参照)の視認孔2451dを通して表示部2453cに形成される「だるまの目」が、視認可能とされる(図31(a)参照)。この時、本実施形態では、第2遮蔽部材2451の前面に表示される「片目のだるま」と、視認孔2451dを通して視認される表示部2453cの前面に表示される「だるまの目」とが共に視認され、「両目のだるま」を視認することが可能となる。
次いで、図31から図35を参照して、昇降部材460の昇降動作に起因して被遮蔽領域P1に配置される第2被遮蔽装置2450の外観に生じる変化について説明する。
図31(a)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の前面斜視図であり、図31(b)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の後面斜視図である。なお、図31(a)及び図31(b)では、昇降部材460が下降位置に配置された状態が図示される。
図31(a)に示すように、昇降部材460が下降位置に配置されると、第2被遮蔽装置2450の本体部2451aの前面に表示される「片目のだるま」と、視認孔2451dを通して視認される第2演出部材2453の表示部2453cの前面に表示される「だるまの目」とが同時に視認されるので、第2被遮蔽装置2450の前面に「両目のだるま」が視認される。
図31(b)に示すように、昇降部材460の一対の側壁462aが、昇降部材460の移動中に第2被遮蔽装置2450の後面側左右の内側面に相当する右側板部2451bの側面および中間板部材2452の側面にそれぞれ当接される。よって、昇降部材460の昇降動作において、昇降部材460が第2被遮蔽装置2450に対して図31(b)左右方向に移動することを規制することができる。
図32(a)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の前面図であり、図32(b)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の後面図である。なお、図32(a)及び図32(b)には昇降部材460が上昇位置に配置された状態が図示され、図32(b)には、第2演出部材2453が破線で図示される。
図32(a)に示すように、昇降部材460が上昇位置に配置された状態においては、第2被遮蔽装置2450は昇降部材460に収納され視認不能とされる。図32(b)に示すように昇降部材460が上昇位置に配置された状態においては、第2演出部材2453は昇降部材460の側壁462aに当接され、回転を規制される。
図33(a)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の前面図であり、図33(b)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の後面図である。なお、図33(a)及び図33(b)には、昇降部材460が上昇位置および下降位置の途中の位置に配置された状態が図示され、図33(b)には、第2演出部材2453が破線で図示される。
図33(a)に示すように、昇降部材460が上昇位置および下降位置の途中の位置に配置された状態においては、前面視において第2被遮蔽装置2450の視認孔2451dが視認されるが、その視認孔2451dを通して第2演出部材2453の表示部2453cは視認されない。なぜなら、図33(b)に示すように、昇降部材460の側壁462aと第2演出部材2453の表示部2453cとの当接は解除され、第2演出部材2453は回転を開始するが、依然として本体部2453aが側壁462aに当接され、第2演出部材2453は回転を規制される。その結果、視認孔2451dの位置に表示部2453cが配置されるまでは第2演出部材2453が回転しきらず、図33(a)に示すように、前面視において第2被遮蔽装置2450の視認孔2451dから表示部2453cが視認されない。即ち、昇降部材460が上昇位置から、図33(a)に図示される中間位置まで下降される過程において、第2被遮蔽装置2450の外観は変化しない。
図34(a)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の前面図であり、図34(b)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の後面図である。なお、図34(a)及び図34(b)では、昇降部材460が下降位置に配置された状態が図示され、図32(b)には、第2演出部材2453の中間板部材2452に隠される部分が破線で図示される。
図34(a)に示すように、昇降部材460が下降位置に配置された状態では、第2被遮蔽装置2450の視認孔2451dを通して、第2演出部材2453の表示部2453cが視認される。図34(b)に示すように、昇降部材460が下降位置に配置された状態では、昇降部材460の側壁462aが第2演出部材2453に当接されず、第2演出部材2453は付勢バネ2454(図30参照)の付勢力により回転され、その回転後の位置において視認孔2451d及び第2演出部材2453の表示部2453cが前後方向で重なる。即ち、図34(a)に示すように、第2被遮蔽装置2450の視認孔2451dを通して、第2演出部材2453の表示部2453cが視認される。
よって、昇降部材460が、図33(a)に図示される中間位置から下降位置まで下降される過程において、第2被遮蔽装置2450の外観に変化が生じる。本実施形態においては、第2遮蔽部材2451の視認孔2451dから取り付けベース410(図27参照)の前面(例えば白色地の平面表示)が視認される「片目のだるま」が表示される外観と(図35(a)参照)、第2演出部材2453の回転に対する側壁462aによる規制が解除され、第2演出部材2453が回転され、第2遮蔽部材2451の視認孔2451dから第2演出部材2453の表示部2453cに表示される黒色円形状が視認される「両目のだるま」が表示される外観と(図35(b)参照)、で変化させることができる。
なお、「両目のだるま」は、昇降部材460が下降位置に配置されて初めて視認されるのではなく、昇降部材460の側壁462aによる第2演出部材2453に対する規制が解除されることを契機に視認される。そのため、昇降部材460が上昇位置から下降位置へ移動する途中において、遊技状態を変化させる設定を採用する際に、その遊技状態の変化を遊技者が確認する目印として使用することができる。
例えば、昇降部材460が上昇位置から下降位置に移動される途中の所定のタイミングで賞球個数が増加する設定を採用した場合、その賞球個数の増加のタイミングを確認するために昇降部材460を視認するとなると、その増加のタイミングでの昇降部材460の位置を記憶しておく必要がある。
一方、本実施形態において、その増加のタイミングを第2演出部材2453の表示部2453cを第2被遮蔽装置2450の視認孔2451dを通して視認可能になるタイミングと同じに設定しておけば、遊技者は第2被遮蔽装置2450の前面に「両目のだるま」が視認されることを契機に賞球個数が増加される状態に遊技状態が変化したことを確認することができる。よって、第2被遮蔽装置2450に遊技者を注目させることができ、結果として、被遮蔽領域P1(第2被遮蔽装置2450を含む)の演出効果を向上させることができる。
また、第2演出部材2453の回転は、付勢バネ2454(図30参照)の弾性的な復元作用に依存するものであって、昇降部材460の昇降動作に対応するものではない。そのため、例えば昇降部材460と第2演出部材2453とが機械的に連結されることで、昇降部材460の昇降動作に対応(速度変化や移動方向が対応)して第2演出部材2453が移動される場合には形成し難い動作態様で第2演出部材2453を移動させることができる。
次いで、図35を参照して、昇降部材460の移動過程における第2演出部材2453の回転の態様について説明する。
図35(a)及び図35(b)は、昇降部材460及び第2被遮蔽装置2450の前面模式図である。図35(a)では、昇降部材460が上昇位置から下降位置へ移動する途中の位置に配置された状態が模式的に図示され、図35(b)では、図35(a)の状態から、昇降部材460が所定距離L3だけ下降された状態が模式的に図示される。なお、第2演出部材2453が破線で図示され、図35(a)では、第2演出部材2453の表示部2453cが第2遮蔽部材2451の視認孔2451dから視認不能な状態が図示される一方で、図35(b)では、第2演出部材2453の表示部2453cが視認孔2451dから視認可能な状態が図示される。
上述したように、昇降部材460が上昇位置から移動され、図35(a)に図示される位置に到達するまでは、第2演出部材2453は昇降部材460の側壁462aに規制されるので回転されず(速度無し、図32(b)参照)、図35(a)に図示される位置から昇降部材460が所定距離L3だけ下降されることで第2演出部材2453への規制が解除され、第2演出部材2453は前面視で表示部2453cと第2遮蔽部材2451の視認孔2451dとが重なる位置まで付勢バネ2454(図30参照)の付勢力により回転され(速度有り)、その後停止され(速度無し)、一方でその後も昇降部材460は下降位置に到達するまで移動を継続される。
即ち、昇降部材460が上昇位置から下降位置まで移動する過程において、昇降部材460及び第2演出部材2453の同時点での速度比が変化される。よって、第2被遮蔽装置2450の演出効果を向上させることができる。
ここで、移動部材(昇降部材460に相当)の移動する速度と、被遮蔽領域(被遮蔽領域P1に相当)の外観を変化させる演出部材(第2演出部材2453に相当)の移動する速度との速度比が一定である場合、移動部材と演出部材との移動開始から移動終了までのそれぞれの速度変化が比例関係で対応し、演出効果が単調となりやすい。
これに対し、本実施形態によれば、第2演出部材2453の移動(回転)は付勢バネ2454の付勢力に依存するため、第2演出部材2453の移動(回転)速度の大小は、昇降部材460の移動速度の大小に依存しない。よって、昇降部材460と第2演出部材2453とを機械的に連結する場合には形成しづらい速度変化を第2演出部材2453に持たせることができ、結果として遊技者の予想外の動作を第2演出部材2453にさせることができる。
次いで、図36から図51を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、第1実施形態における揺動動作ユニット600とは異なり、前面側に「両目のだるま」が表示される揺動動作ユニット3600について説明すると共に、その揺動動作ユニット3600の前面側に締結固定される遮蔽動作ユニット3500について説明する。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図36は、第3実施形態における遮蔽動作ユニット3500及び揺動動作ユニット3600の前面斜視図である。図36に示すように、組立状態において、遮蔽動作ユニット3500は揺動動作ユニット3600の前面側に締結固定される。ここで、図36から図38を参照して、遮蔽動作ユニット3500について説明する。
なお、遮蔽動作ユニット3500は、一端を基点として回転される4本の部材(アーム部材3520)を備え、それらの各部材を動作(回転)させるための4つのユニットからなる。即ち、遮蔽動作ユニット3500は、背面ケース210(図7参照)の正面視において、開口211aの左側に上下方向に沿って列設される2つのユニットと、開口211aの右側に上下方向に沿って列設される2つのユニットからなる。この場合、各部材(アーム部材3520)を動作(回転)させるための構造(技術思想)は4つのユニットにおいてそれぞれ同一であるので、以下においては、これら4つのユニットのうちの1のユニット(開口211aの右側上方に配設されるユニット、図7参照)を遮蔽動作ユニット3500と称して説明する。
図36に示すように、遮蔽動作ユニット3500は、揺動動作ユニット3600に締結固定される取り付けベース3510と、その取り付けベース3510に一端を基点として回転可能に形成されると共に取り付けベース3510の前面側に配設されるアーム部材3520と、を主に備える。取り付けベース3510には、後述するように、開口部3511が形成され、アーム部材3520が退避位置から張出位置へ回転されるにつれて前面視において開口部3511を通して揺動動作ユニット3600を視認可能となるように形成される(図49(a)参照)。
図37は、遮蔽動作ユニット3500の後面斜視図である。図37に示すように、遮蔽動作ユニット3500の取り付けベース3510は、長尺の矩形状に形成され、その取り付けベース3510の下方に形成される矩形状の貫通穴である開口部3511と、その開口部3511の下端であって取り付けベース3510の後面側に配設される案内筒部3512と、その案内筒部3512の内部において上下に移動可能に配設される円板形状の演出補助部材3513と、取り付けベース3510の後面側に締結固定されると共にアーム部材3520を駆動させる駆動力を生じる駆動モータ3514と、を主に備える。
開口部3511は、後述する被遮蔽領域P2(図38(b)参照)の外形と略同等か若しくは若干小さな大きさで形成される。
案内筒部3512は、上下方向(図37上下方向)に延設され、短径方向が図37前後方向とされる断面形状が長方形である開口が上端から形成される。その開口は、短径方向の寸法が演出補助部材3513の厚み方向の寸法より若干大きく形成され、長径方向の寸法が演出補助部材3513の直径寸法より若干大きく形成される。
案内筒部3512の上端は開口部3511の内側へ張り出して形成されると共に無色透明の樹脂材料から形成される。そのため、遮蔽動作ユニット3500の後面側に配設される揺動動作ユニット3600(図36参照)を開口部3511から視認する際に、無色透明の案内筒部3512を通して揺動動作ユニット3600を視認することができる(図49(a)参照)。なお、案内筒部3512は無色透明なので、案内筒部3512により揺動動作ユニット3600が遮蔽され視認不能とされることはない。
演出補助部材3513は、磁性体材料から形成される白色の円板形状の部材であり、上述した案内筒部3512との寸法関係により、演出補助部材3513は案内筒部3512の内側を、厚み方向を前後方向と一致させた姿勢で移動可能に形成されると共に演出補助部材3513は前面視において円形状に視認される。また、演出補助部材3513の直径は、揺動動作ユニット3600(図39参照)の前面側に表示される「両目のだるま」の黒目の直径より大きく形成される。
演出補助部材3513が、案内筒部3512の上端側(開口部3511の内側へ張り出して形成される側)に移動されると、遮蔽動作ユニット3500の後面側に配設される揺動動作ユニット3600(図49参照)を開口部3511から視認する際に、揺動動作ユニット3600の一部が演出補助部材3513により遮蔽され、揺動動作ユニット3600の単体では形成不可能な外観を視認することができる。これにより、後述するように、演出補助部材3513が揺動動作ユニット3600との関係で移動された場合に、演出補助部材3513によって「両目のだるま」の片目が隠される状態が形成される。なお、演出補助部材3513が移動される仕組みについては後述する。
図38(a)及び図38(b)は、遮蔽動作ユニット3500の前面図である。図38(a)では、アーム部材3520が退避位置に配置された場合が図示され、図38(b)では、アーム部材3520が張出位置に配置された場合が図示される。
図38(a)及び図38(b)に示すように、アーム部材3520は図示しない内部機構により駆動モータ3514(図37参照)の駆動力を受けて、仮想的に図示する軸Qを回転軸として退避位置と張出位置との間を回転される。ここで、アーム部材3520の後面側に被遮蔽領域P2が形成される。
被遮蔽領域P2は、アーム部材3520が退避位置に配置される場合にはそのアーム部材3520に隠されて前面視において視認不能であるが、アーム部材3520が少なくとも張出位置に配置される場合には前面視において視認可能となる領域である。前面視において、被遮蔽領域P2には取り付けベース3510の開口部3511の少なくとも一部が内包される。これにより、被遮蔽領域P2が視認可能な場合には(アーム部材3520が張出位置に配置される場合には)、後述するように、開口部3511を通して揺動動作ユニット3600を視認可能となる(図49参照)。
図36に戻って説明する。揺動動作ユニット3600は、後面ケース210(図7及び図8参照)の前面視において、後面ケース210内の上方であって、開口211aを挟んで左右に配設される2つのユニットからなる。この場合、アーム部材3620を動作(回動)させるための構造(技術思想)は2つのユニットにおいてそれぞれ同一であるので、以下においては、これら2つのユニットのうちの1のユニット(開口211aの右側に配設されるユニット、図7及び図8参照)を揺動動作ユニット3600と称して説明する。
図39及び図40は、揺動動作ユニット3600の前面斜視図である。図39では、アーム部材3620が退避位置に退避された状態が図示され、図40では、アーム部材3620が張出位置に張り出された状態が図示される。
図39及び図40に示すように、揺動動作ユニット3600は、基端が回転可能に軸支されるアーム部材3620と、そのアーム部材3620に回転駆動力を付与する駆動モータ3631とを備え、図39に示す退避位置と、図40に示す張出位置との間でアーム部材3620を揺動動作(回転)させる。退避位置では、アーム部材3620は、垂直下方へ向けて垂下された姿勢となり、遮蔽動作ユニット3500(図36参照)の後面側に退避される一方、張出位置では、アーム部材3620は、その一端を上方へ持ち上げて斜め下方へ向けて傾斜する姿勢となり、その一端を第3図柄表示装置81(図2参照)の前面に張り出させる。
アーム部材3620の後面側には被遮蔽領域P3が形成される。その被遮蔽領域P3は、アーム部材3620が退避位置に配置されると前面視において視認不能であるが、アーム部材3620が少なくとも張出位置に配置されると前面視において視認可能とされる領域である。被遮蔽領域P3には、被遮蔽装置3650の表示部3654a(図43参照)を視認可能とする一対の視認孔3613が形成される。
ここで、パチンコ機10等の遊技機において、第1位置(退避位置に相当)と第2位置(張出位置に相当)との間で移動可能に形成される移動部材(アーム部材3620に相当)と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段(駆動モータ3631に相当)と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域(被遮蔽領域P3に相当)を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
これに対し、本実施形態では、後述するように、アーム部材3620の揺動動作(回動)に連動して被遮蔽領域P3の外観が変化されるように形成され、これにより、被遮蔽領域P3の演出部分としての能力を向上させ、被遮蔽領域P3を演出部分として効果的に使用することができる。ここで、図41を参照して、アーム部材3620を有する揺動動作ユニット3600の構造について説明する。
図41は、揺動動作ユニット3600の分解前面斜視図である。揺動動作ユニット3600は、後面ケース210(図7参照)に配設される取り付けベース3610と、その取り付けベース3610に基端が回転可能に軸支されるアーム部材3620と、そのアーム部材3620を回転駆動するための駆動力を発生する駆動装置3630と、その駆動装置3630が配設されると共に取り付けベース3610の前面に配設される表ケース体3640と、駆動装置3630の駆動力により回転される複数の歯車から構成される被遮蔽装置3650と、を主に備えて構成される。
取り付けベース3610は、表ケース体3640との間にアーム部材3620の基端および駆動装置3630を収容すると共に、表ケース体3640の配設される側の反対側に被遮蔽装置3650を配設するための部材であり、前面視縦長の矩形状に形成される。取り付けベース3610は、その前面から突設されると共にアーム部材3620を回転可能に軸支するための軸部3611と、駆動装置3630の駆動軸3632が挿通される貫通孔3612と、被遮蔽装置3650の表示部3654aを視認可能とする一対の視認孔3613と、を備える。
一対の視認孔3613は、取り付けベース3610の前面に表示される「目の変わるだるま」の両目に該当する位置であると共に後述する演出部材3654の各表示3654a1〜3654a4のいずれかと前面視において重なる位置に開口される。これにより、演出部材3654が回転されることで、視認孔3613から視認される各表示3654a1〜3654a4が変化され、だるまの目が変わり、被遮蔽領域P3の外観が変化される(図46から図48参照)。
アーム部材3620は、長尺形状に形成される本体部3621と、その本体部3621の基端側に溝状の開口として形成される溝部3622と、その溝部3622とは反対側となる本体部3621の一端側の前面に覆設されると共に装飾体として形成される装飾部3623と、その装飾部3623及び溝部3621の間となる位置において本体部3621に貫通形成される軸支孔3624と、を主に備えて構成される。
溝部3622は、軸支孔3624を通る直線上に延設され、組立状態(図45参照)において、駆動装置3630の突設ピン3635が挿通される開口である。組立状態において、突設ピン3635が軸支孔3624に最も近づけられる位置(図45参照)から、軸支孔3624の反対側へ向けて溝部3622が延設される。アーム部材3620の回転時には、駆動装置3630の突設ピン3635が溝部3622の内周を摺動する。
装飾部3623は、本実施形態においては、前面側に「両目のだるま」が表示され、その「両目のだるま」の片目の位置に磁石部3620Mgが埋設される。この「両目のだるま」は、後述するように、アーム部材3620が退避位置に配置されると、揺動動作ユニット3600の前面側に配設される遮蔽動作ユニット3500の演出補助部材3513を通して視認されることで、「片目のだるま」として視認されるが、詳しくは後述する。
アーム部材3620は、その軸支孔3624に取り付けベース3610の軸部3611が挿通されることで、アーム部材3620の基端が取り付けベース3610に対して回転可能に軸支される。この場合、アーム部材3620には、その本体部3621の前面であって、軸支孔3624の近傍となる領域に、表ケース体3640の当接面部3641が当接される。これにより、アーム部材3620は、その基端が取り付けベース3610及び表ケース体3640の対向間に回転可能な状態で保持される。
駆動装置3630は、駆動力を生じさせる駆動モータ3631と、その駆動モータ3631の駆動軸3632と、その駆動軸3632に固着される第1歯車3633と、その第1歯車3633の回転に従動すると共に、表ケース体3640の後面側から突出される挿通軸3640aに回転可能に軸支される第2歯車3634と、その第2歯車3634の外周端から後面側に突設される突設ピン3635と、を主に備え、その突設ピン3635をアーム部材3620の溝部3622に挿通させた状態で、駆動モータ3631が表ケース体3640の後面に締結固定される。この場合、第2歯車3634が、表ケース体3640の後面とアーム部材3620とに挟持される(図41参照)。なお、本実施形態においては、第1歯車3633及び第2歯車3634の歯車比が1で形成される。
突設ピン3635は、上述した通り、アーム部材3620の溝部3622に挿通される部位であり、アーム部材3620の溝部3622の溝幅と同等または若干小さな外径の円柱状に形成される。駆動装置3630の駆動軸3632が回転駆動される際には、突設ピン3635がアーム部材3620の溝部3622内をその溝部3622の延設方向に沿って移動され、その結果、アーム部材3620が軸部3611を中心として回転される。
駆動装置3630の駆動軸3632は、組立状態において、取り付けベース3610の貫通孔3612に挿通され、取り付けベース3610の後面側に配設される被遮蔽装置3650の切替歯車3652に固着される。
被遮蔽装置3650は、各部材が樹脂材料から形成され、複数の歯車を収容可能な凹部を有するケース状に形成されると共に取り付けベース3610の後面側に締結固定される後面ケース体3651と、駆動装置3630の駆動軸3632が中心に挿通される切替歯車3652と、その切替歯車3652の回転に従動して回転される一対の従動歯車3653と、それらの従動歯車3653の回転に従動して回転されると共に前面側に表示部3654aを有する演出部材3654と、を備え、従動歯車3653及び演出部材3654は、後面ケース体3651の前面から突出される複数の軸部3655に回転可能に軸支される。なお、従動歯車3653を介した切替歯車3652及び演出部材3654の歯車比が約3/2で形成される。即ち、切替歯車3652の回転が2/3倍に減速されて演出部材3654に伝達される。
切替歯車3652は、駆動装置3630の駆動軸3632が前面視反時計回りに回転されると、それに従動して回転されるが、その一方で、駆動軸3632が前面視時計回りに回転されると、従動しない(停止する)という特徴を有する。ここで、図42を参照して、切替歯車3652について説明する。
図42(a)及び図42(b)は、切替歯車3652の部分断面模式図である。図42(a)では切替歯車3652の伝達状態が模式的に図示され、図42(b)では、切替歯車3652の解除状態が模式的に図示される。
図42(a)に示すように、切替歯車3652は、駆動装置3630(図41参照)の駆動軸3632に固着される内輪部材3652aと、その内輪部材3652aを径方向に内包し同軸に形成されると共に、相対回転可能に形成される外輪部材3652bと、その外輪部材3652bの内周面に周方向に沿って長穴状に形成される複数の空間部3652cと、その空間部3652cの外枠として外輪部材3652bの内周面に形成される噛み込み面3652dと、空間部3652cに配設される噛み込み球体3652eと、その噛み込み球体3652eを一方向に付勢すると共に噛み込み面3652dの一端付近に配設される付勢バネ3652fと、を主に備える。
外輪部材3652bは、外周に歯が一体成形により刻設される。その歯が、従動歯車3653に歯合され(図41参照)、切替歯車3652が回転される場合には、その回転が従動歯車3653に伝達される。
噛み込み面3652dは、付勢バネ3652fの配設される一端の反対側の他端付近が、内輪部材3652aに漸近するように傾斜して形成される。即ち、その他端付近において、噛み込み面3652dと内輪部材3652aの外周とが漸近する態様で形成される。
噛み込み球体3652eは、球状に形成される部材であり、その噛み込み球体3652eの直径寸法は、噛み込み球体3652eが付勢バネ3652fの配設される一端の反対側の他端に押しつけられる場合(図42(a)参照)に噛み込み面3652dと内輪部材3652aとが形成する隙間に噛み込み可能な直径寸法に形成される。なお、噛み込み球体3652eが付勢バネ3652fの配設される一端の反対側の他端に押しつけられる状態から付勢バネ3652f側に移動された場合(図42(b)参照)には、噛み込み面3652d、内輪部材3652a及び噛み込み球体3652eで噛み込み状態が形成されず、内輪部材3652aと外輪部材3652bとが相対回転可能に形成される。このように形成される切替歯車3652の作用を説明する。
図42(a)に示す矢印の方向(反時計回り)に内輪部材3652aが回転されると、その内輪部材3652a及び噛み込み球体3652eの外周面間の摩擦力により噛み込み球体3652eが移動され、付勢バネ3652fの配設される一端の反対側の他端に噛み込み球体3652eが押しつけられる。この場合、噛み込み面3652d、内輪部材3652a及び噛み込み球体3652eの間で噛み込み状態が形成され、内輪部材3652aと外輪部材3652bとの接触面圧が増加し、内輪部材3652aの回転力が外輪部材3652bに伝達される(伝達状態が形成される)。即ち、内輪部材3652aを駆動させる駆動力で、外輪部材3652bを回転させることができる。
図42(b)に示す矢印の方向(時計回り)に内輪部材3652aが回転されると、その内輪部材3652a及び噛み込み球体3652eの外周面間の摩擦力により、付勢バネ3652fの付勢力に抗して噛み込み球体3652eが移動される。この場合、噛み込み面3652d、内輪部材3652a及び噛み込み球体3652eの間で噛み込み状態が形成されず(解除状態が形成され)、内輪部材3652aと外輪部材3652bとが相対回転可能に形成されるので、内輪部材3652aを駆動させる駆動力では、外輪部材3652bは駆動されない。
この切替歯車3652の特徴により、被遮蔽装置3650の動作に方向性を与えることが可能となる。即ち、後述するように、駆動装置3630の駆動方向によって、被遮蔽装置3650の回転と停止を切り替えることができ、被遮蔽領域P3の演出効果を向上させることができる。
図41に戻って説明する。被遮蔽装置3650の演出部材3654は、前面側に表示部3654aが形成される。組立状態において、その表示部3654aの各表示3654a1〜3654a4(図43参照)のいずれかが、取り付けベース3610の一対の視認孔3613から視認可能に形成される。ここで、図43を参照して、演出部材3654の表示部3654aについて説明する。
図43(a)から図43(d)は、演出部材3654の表示部3654aの前面図である。図43(a)には表示部3654aの一の停止状態が、図43(b)には、図43(a)の状態から表示部3654aが時計回りに90°回転された状態が、図43(c)には、図43(b)の状態から表示部3654aが時計回りに90°回転された状態が、図43(d)には、図43(c)の状態から表示部3654aが時計回りに90°回転された状態が、それぞれ図示される。なお、図43(d)の状態からさらに表示部3654aが時計回りに90°回転されると、図43(a)の状態に戻るように形成され、図43(a)から図43(d)には、組立状態における取り付けベース3610の視認孔3613(図40参照)の位置が破線で図示される。
図43(a)に示すように、表示部3654aは、周方向に間隔をあけて各表示3654a1〜3654a4を有する。本実施形態においては、一対の表示3654a1は「黒丸」の絵柄が、一対の表示3654a2は「星」の絵柄が、一対の表示3654a3は「ハート」の絵柄が、そして一対の表示3654a4は「¥」の絵柄がそれぞれ表示され、それぞれが一対の視認孔3613(図40参照)の大きさに収まる大きさで形成される。
図43(a)から図43(d)に示すように、組立状態(図40参照)において、各表示3654a1〜3654a4は演出部材3654の回転角度(本実施形態においては90°毎)によって、一対の視認孔3613からそれぞれ一対の表示(各表示3654a1〜3654a4のいずれか)が視認可能な配置に形成される。
演出部材3654は、後述するように、アーム部材3620(図39参照)が張出位置から退避位置に回転されると、その回転に伴い回転される。演出部材3654が回転されると、表示部3654aが回転され、取り付けベース3610の視認孔3613から視認可能な各表示3654a1〜3654a4が切り替えられる。即ち、取り付けベース3610の前面(被遮蔽領域P3、図40参照)に表示される「目の変わるだるま」の目が変化される。
その一方で、アーム部材3620(図39参照)が退避位置から張出位置に回転されると、回転は伝達されず演出部材3654は停止される。即ち、アーム部材3620の回転方向によって、演出部材3654の動作態様を変化させることができ、被遮蔽領域P3に意外性のある変化を生じさせることができる。ここで、アーム部材3620と演出部材3654との連動について、図44から図48を参照して説明する。
図44から図46は、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620を退避位置から張出位置へ揺動動作(回転)させる過程を時系列で説明する図であり、図44(a)、図45(a)及び図46(a)は、揺動動作ユニット3600の前面図であり、図44(b)、図45(b)及び図46(b)は、被遮蔽装置3650の前面図である。図44(a)、図45(a)及び図46(a)において、第2歯車3634の後面側に配設される突設ピン3635及びアーム部材3620の溝部3622が破線で図示されると共に、表ケース体3640及び駆動モータ3631の図示が省略される。後述する図47及び図48についても同様とする。
なお、図45(a)は、駆動モータ3631(図39参照)が回転駆動され、第1歯車3633が時計回りに回転され、アーム部材3620が退避位置から張出位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が図示される。また、図44(b)、図45(b)及び図46(b)は同一の状態が図示される。
図44(a)に示すように、アーム部材3620が退避位置に配置される状態では、アーム部材3620は下方へ向けて垂下された姿勢とされ、突設ピン3635は、溝部3622の外側端付近(軸支孔3624から遠い側の端部、図44(a)右側)に位置される。
図44(a)に示す状態(アーム部材3620が退避位置に配置された状態)から駆動モータ3631の駆動軸3632(図41参照)が時計回り(図44(a)時計回り)に回転駆動され、それと同方向に第1歯車3633が回転され、その第1歯車3633に歯合される第2歯車3634が反時計回りに回転されると、突設ピン3635が溝部3622の内側端(軸支孔3624から近い側の端部、図44(a)左側)へ向けて移動される。
これにより、図45(a)に示すように、アーム部材3620が軸支孔3624を中心として図45(a)時計回りに回転される。駆動モータ3631の駆動軸3632(図41参照)が更に回転駆動され、第2歯車3634が図45(a)反時計回りに更に回転された結果、突設ピン3635が溝部3622の外側端付近に再度到達されると、図46(a)に示すように、アーム部材3620が張出位置に配置される。
図44(a)に示すように、アーム部材3620が退避位置に配置された場合、突設ピン3635及び第2歯車3634を軸支する挿通軸3640a(図41参照)を結ぶ直線に直交する方向と、案内溝3622の延設方向とが一致して配設される。
これにより、退避位置に配置された状態からアーム部材3620を回転させる回転開始時点において、突設ピン3635の回転方向と案内溝3622の延設方向とが一致するので、移動開始時に突設ピン3635が案内溝3622から受ける抵抗を抑えることができる。よって、最も大きな力を必要とする動作開始時に必要な駆動力を低減することができる。
図46(a)に示すように、アーム部材3620が張出位置に配置された場合、アーム部材3620の回転軸としての軸支孔3624と突設ピン3635とを結ぶ方向Xが、第2歯車3634を回転可能に軸支する挿通軸3640a(図41参照)と突設ピン3635とを結ぶ方向Yと直交される。
この場合、突設ピン3635をアーム部材3620と第2歯車3634との関係において死点に位置させることができる。これにより、駆動モータ3631(図39参照)からの駆動力を不要としても、アーム部材3620を張出位置に機械的に保持できるので、駆動手段の消費エネルギーを抑制することができる。
なお、アーム部材3620が退避位置から張出位置へ回転する過程において、第1歯車3633は時計回りに回転される。即ち、駆動モータ3631の駆動軸3632(図39参照)も時計回りに回転されるので、上述したように切替歯車3652には駆動モータ3631の駆動力が伝達されず、図44(b)、図45(b)及び図46(b)に示すように、演出部材3654が回転されないので、表示部3654aは停止され、被遮蔽領域P3の外観は変化されない。ここで、図47及び図48を参照して、アーム部材3620が張出位置から退避位置へ回転する場合におけるアーム部材3620及び演出部材3654の連動について説明する。
図47及び図48は、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620を張出位置(図46参照)から退避位置へ動作させる過程を時系列で説明する図であり、図47(a)及び図48(a)は、揺動動作ユニット3600の前面図であり、図47(b)及び図48(b)は、被遮蔽装置3650の前面図である。
なお、図47(a)は、アーム部材3620が張出位置に配置された状態から(図46参照)、駆動モータ3631(図39参照)が回転駆動され、第1歯車3633が反時計回り(図47(a)反時計回り)に回転され、アーム部材3620が張出位置から退避位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が図示される。
第1歯車3633が反時計回り(図47(a)反時計回り)に回転されることは駆動モータ3631の駆動軸3632(図39参照)が反時計回りに回転されることと同義であり、上述したように、被遮蔽装置3650の切替歯車3652も反時計回りに回転される(伝達状態が形成される)。
図47(b)及び図48(b)に示すように、切替歯車3652が回転されると、被遮蔽装置3650の歯車比の分だけ減速されて演出部材3654が回転される。本実施形態においては、アーム部材3620が張出位置から退避位置まで移動されるのに要する駆動装置3630の第1歯車3633の回転角度は、本実施形態では約135°であり(図44(a)から図46(a)参照)、上述したように、被遮蔽装置3650の従動歯車3653を介した切替歯車3652及び演出部材3654の歯車比が本実施形態では約3/2であるので、切替歯車3652の回転角度の2/3の回転角度で演出部材3654が回転される。
即ち、アーム部材3620が張出位置から退避位置へ回転されると(回転角度約135°)、演出部材3654はアーム部材3620の回転角度の2/3の角度だけ回転される(回転角度約90°)。そのため、演出部材3654はアーム部材3620が張出位置から退避位置へ1回回転されると一対の視認孔3613を通して視認される一対の各表示3654a1〜3654a4が切替られる。即ち、例えば、アーム部材3620が張出位置から退避位置へ1回回転されると、「黒丸」の絵柄が形成される表示3654a1(図46参照)が、「星」の絵柄が形成される表示3654a2(図48参照)に切替られる。
また、演出部材3654はアーム部材3620が張出位置から退避位置へ4回回転される(4往復される)ことで、元の姿勢に復帰される。なお、一対の従動歯車3653が介在するため、駆動モータ3631の駆動軸3632(図39参照)の回転方向(反時計回り)と、演出部材3654の回転方向(時計回り)とは逆方向となる。
ここで、上述したように、演出部材3654は、アーム部材3620が第1方向(退避位置から張出位置へ向かう方向)に回転される場合には、アーム部材3620の回転に対応して回転され、アーム部材3620が第1方向の反対方向である第2方向(張出位置から退避位置へ向かう方向)に回転される場合には停止されることを特徴とする。よって、アーム部材3620の回転方向によって、演出部材3654の動作態様を回転するか停止するかの2態様で異ならせることができる。
即ち、アーム部材3620が第1方向(退避位置から張出位置へ向かう方向)に回転される場合にも第2方向(張出位置から退避位置へ向かう方向)に回転される場合にも演出部材3654がアーム部材3620の回転に対応して回転されると、例えば、アーム部材3620が第1方向(退避位置から張出位置へ向かう方向)に回転される場合にだけ演出部材3654を回転させずに被遮蔽領域P3の外観を一定に維持することは難しい。
これに対し、本実施形態によれば、アーム部材3620が第2方向(張出位置から退避位置へ向かう方向)に回転される場合にはアーム部材3620の回転に対応して演出部材3654が回転され、アーム部材3620が第1方向(退避位置から張出位置へ向かう方向)に回転される場合には演出部材3654が停止されるので、アーム部材3620が第1方向(退避位置から張出位置へ向かう方向)に回転される場合にだけ被遮蔽領域P3の外観を一定に維持することができる。例えば、演出部材3654の表示部3654aに文字など静止状態において把握しやすい表示がされる場合に、アーム部材3620が一の回転方向に揺動動作(回転)を行う最中にだけ演出部材3654を停止させることで、表示部3654aの静止状態をより長く維持することができ、被遮蔽領域P3の演出効果を向上させることができる。
また、アーム部材3620が被遮蔽領域P3を隠す第2方向(張出位置から退避位置)に回転される場合には演出部材3654の表示部3654aがルーレットのように回転されることで、次に視認される表示が何になるかの期待感を増加させることができる。その一方で、アーム部材3620が被遮蔽領域P3を視認可能にする方向(退避位置から張出位置)に回転される場合には演出部材3654が停止されるので、各表示3654a1〜3654a4(図43参照)の停止状態における被遮蔽領域P3の外観をより長く(より早いタイミングで)遊技者に視認させることができる。
例えば、本実施形態のパチンコ機10において、各表示3654a1〜3654a4(図43参照)の内の一の表示(例えば表示3654a1)が視認孔3613から視認される状況において賞球個数が増加する設定が採用されている場合、取り付けベース3610の視認孔3613から視認される表示が各表示3654a1〜3654a4の内のどれなのかをなるべく早いタイミングで確認することができれば、早期に入賞口(第1入賞口64等、図2参照)に狙いを定めることができ、結果としてより多くの賞球を得ることができる。
本実施形態によれば、アーム部材3620が退避位置に配置され、視認孔3613が視認不能な状態から、アーム部材3620が張出位置へ回転される場合、演出部材3654は停止されるので、アーム部材3620が張出位置へ回転され停止される前に(アーム部材3620と視認孔3613とが前後方向で重ならない位置までアーム部材3620が回転すれば)、視認孔3613から視認される表示が表示3654a1(図43参照)であるか否かを確認することができる。即ち、アーム部材3620の回転動作内の早いタイミングで視認孔3613から視認される表示(各表示3654a1〜3654a4のいずれか)を確認することができる。
ここで、図48に示すように、取り付けベース3610は演出部材3650の移動軌跡上に前後方向で重ねられて配設され、一対の視認孔3613を通して、被遮蔽装置3650の各表示3654a1〜3654a4(図43参照)のいずれかを視認可能とし、その他を隠す(遮蔽する)ことで視認不能とするので、一種の遮蔽部材としての役割を有する。
取り付けベース3610と演出部材3654とが相対移動すると、演出部材3654の取り付けベース3610と重なる部分(視認孔3613と重ならない部分)は視認不能となり、演出部材3654の取り付けベース3610と重ならない部分(視認孔3613と重なる部分)は視認可能となる。よって、演出部材3654と取り付けベース3610とを相対移動させるにつれて、演出部材3654の表示部3654aの内で前面視において視認可能な表示3654a1〜3654a4(図43参照)を変化させることができるので、被遮蔽領域P3における外観の変化が、演出部材3654の視認可能な表示3654a1〜3654a4の変化として明確に把握可能となり、演出部材3654が姿勢や位置を変える変化態様に比較して、被遮蔽領域P3の外観の変化を容易に区別することができる。
図44から図48に示すように、アーム部材3620が退避位置と張出位置との間を往復すると、演出部材3654が時計回りに90°回転する。即ち、アーム部材3620が退避位置と張出位置との間を四往復すると、演出部材3654は一回転する。
即ち、演出部材3654は、図44(b)に示す姿勢に配置された後に、アーム部材3620が退避位置と張出位置との間を所定回数(本実施形態においては4回)往復すると、再び図44(b)に示す姿勢へ復帰可能に形成されると共に、アーム部材3620が退避位置と張出位置との間を1往復すると、演出部材3654は、図44(b)に示す姿勢から回転され、再び元の姿勢へ復帰されるまでの経路(一回転)を所定回数(4回)で分割した角度だけ回転される態様で形成される。よって、演出部材3654の位置や姿勢をアーム部材3620の往復毎に異ならせることができ、結果として被遮蔽領域P3の外観をアーム部材3620の往復毎に変化させることができる。
また、本実施形態では、演出部材3654を回転させる場合の駆動モータ3631の駆動軸3632(図41参照)の回転方向は、アーム部材3620を重力方向に沿った方向(アーム部材が張出位置から退避位置へ向かう方向)に回転させる場合の駆動軸3632の回転方向と同方向であることを特徴とする。これにより、アーム部材3620の回転と演出部材3654の回転とに兼用される駆動モータ3631(図39参照)の駆動力を抑制することができる。
即ち、2部材を単一の駆動手段(駆動モータ3631に相当)で駆動させる場合、それぞれの部材にかけられる抵抗を上回る駆動力を発生させる必要があり、駆動手段を小型化することは難しい。
これに対し、本実施形態によれば、アーム部材3620を重力方向に沿った第2方向(張出位置から退避位置へ向かう方向)に回転させる場合には、重力がアーム部材3620の回転を補助することとなり、アーム部材3620と演出部材3654とを同時に動作させるようにしても、駆動力は小さくて済むので、駆動モータ3631(図39参照)を小型化することができる。
一方で、アーム部材3620を重力方向に対向する方向に沿った第1方向(退避位置から張出位置へ向かう方向)に回転させる場合には、重力の分だけ駆動力を大きくする必要があるが、演出部材3654を停止させることで、演出部材3654を回転させる駆動力が不要となり、駆動モータ3631(図39参照)に必要とされる駆動力を結果的に低減させることができる。
図36に戻って説明する。図36に示すように、組立状態において、揺動動作ユニット3600は遮蔽動作ユニット3500の後方に配設され、遮蔽動作ユニット3500のアーム部材3520が張出位置(図38(b)参照)に配置された場合に被遮蔽領域P2及び開口部3511が視認可能となる(図38(b)参照)。
ここで、パチンコ機10等の遊技機において、第1位置(退避位置に相当)と第2位置(張出位置に相当)との間で移動可能に形成される移動部材(アーム部材3520に相当)と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段(駆動モータ3514に相当、図37参照)と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域(被遮蔽領域P2に相当、図38(b)参照)を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
これに対し、本実施形態によれば、遮蔽動作ユニット3500のアーム部材3520が少なくとも張出位置に配置されると、前面視において被遮蔽領域P2(図38(b)参照)が視認可能となる。そして、後述するように、アーム部材3520の後面側に配設される揺動動作ユニット3600のアーム部材3620の少なくとも一部が、前面視において被遮蔽領域P2を通過するようにアーム部材3620が揺動動作(回転)されるので、被遮蔽領域P2に配置される開口部3511を通して、回転中のアーム部材3620の少なくとも一部を視認することができる。よって、被遮蔽領域P2の外観を変化させることができる。結果として、被遮蔽領域P2の演出部分としての能力を向上させ、被遮蔽領域P2を演出部分として効果的に使用することができる。
ここで、図49から図51を参照して、それぞれ個別の駆動モータ3631(図39参照),3514(図37参照)の駆動力で独立に動作される揺動動作ユニット3600及び遮蔽動作ユニット3500のそれぞれの配置に応じて視認される被遮蔽領域P2の外観について説明する。
図49(a)は、遮蔽動作ユニット3500及び揺動動作ユニット3600の前面図であり、図49(b)は、揺動動作ユニット3600の前面図であり、図49(c)は、図49(a)の部分XXXXIXcにおける遮蔽動作ユニット3500及び揺動動作ユニット3600の部分拡大前面図である。なお、図49(a)及び図49(c)では、遮蔽動作ユニット3500及び揺動動作ユニット3600の組立状態(図36参照)が図示され、図49(a)から図49(c)では、遮蔽動作ユニット3500のアーム部材3520は張出位置に配置され、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620は退避位置に配置される。
遮蔽動作ユニット3500のアーム部材3520が退避位置に配置される場合、前面視において開口部3511はアーム部材3520に遮蔽されるので、開口部3511を通して遮蔽動作ユニット3500の後面側に配設される揺動動作ユニット3600を視認することはできない(図38(a)参照)。
図49(a)に示すように、遮蔽動作ユニット3500のアーム部材3520が張出位置に配置されると、被遮蔽領域P2が視認可能となり、その被遮蔽領域P2に少なくとも一部が内包される開口部3511を通して遮蔽動作ユニット3500の後方を視認可能になる。即ち、開口部3511を通して揺動動作ユニット3600のアーム部材3620(装飾部3623)を視認可能になる。
ここで、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620は、遮蔽動作ユニット3500の開口部3511を通して装飾部3623に表示される「両目のだるま」を視認可能となる位置に配置される(図49(a)参照)。しかし、上述した白色の円板形状の演出補助部材3513がアーム部材3620の装飾部3623に表示される「両目のだるま」の片目の位置と一致する位置に埋設される磁石部3620Mgとの間で生じる磁力により移動される。すると、演出補助部材3513が装飾部3623の前側であって「両目のだるま」の片目の位置に一致する位置に配置され、「両目のだるま」の片目が前面視において遮蔽されることで、結果として開口部3511からは「片目のだるま」が視認される(図49(c)参照)。
即ち、揺動動作ユニット3600の装飾部3623は、アーム部材3620が張出位置に配置される場合には「両目のだるま」を視認させ(図51(a)参照)、アーム部材3620が退避位置に配置される場合には、開口部3511を通して「片目のだるま」を視認させる。
よって、例えば、アーム部材3620が張出位置に配置される(「両目のだるま」が視認される)と大当たりの当選確率が増加し、アーム部材3620が退避位置に配置される(「片目のだるま」が視認される)と大当たりの当選確率が減少する設定を採用する場合、遊技者は装飾部3623の「だるま」が「両目」なのか「片目」なのかを確認することで、直観的に現状の大当たりの当選確率の大小を把握することができる。
これにより、開口部3511を通して視認される外観(被遮蔽領域P2の外観)の演出効果を向上させることができる。ここで、図50を参照して、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620の回転動作と演出補助部材3513の移動との関連について説明する。
図50(a)から図50(c)は、組立状態における遮蔽動作ユニット3500の取り付けベース3510と揺動動作ユニット3600のアーム部材3620とを、アーム部材3620が張出位置から退避位置へ移動する際の時系列に沿って模式的に示した取り付けベース3510及びアーム部材3620の部分前面模式図である。
なお、図50(a)には、アーム部材3620の磁石部3620Mgと遮蔽動作ユニット3500の演出補助部材3513とが離れており、両者間に磁力が生じず、演出補助部材3513が重力の作用で案内筒部3512の下端に配置された状態が図示される。図50(b)には、図50(a)の位置からアーム部材3620が退避位置へ向けて回転され、磁石部3620Mgと演出補助部材3513との間に磁力が生じ、演出補助部材3513が移動を開始された状態が図示される。また図50(c)には、アーム部材3620が退避位置に配置され、磁石部3620Mgと演出補助部材3513との間に磁力が生じ、演出補助部材3513が磁石部3620Mgの前面側(だるまの片目の位置に相当)に配置された状態が図示される。
図50(a)から図50(c)に示すように、演出補助部材3513は揺動動作ユニット3600の前面側に配設され、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620の回転に伴って上下移動されると共に、その移動の過程において、アーム部材3620と重なって視認される態様で形成される。
ここで、アーム部材3620の外観は、そのアーム部材3620が張出位置に配置されれば視認可能であるので(図51(a)参照)、被遮蔽領域P2(図49(a)参照)を通してアーム部材3620を視認する場合の外観は予測できる場合があり、意外性に欠け、演出効果が十分であるとは言えない。
一方、本実施形態によれば、アーム部材3620が退避位置に配置されると、アーム部材3620と演出補助部材3513とが重なって視認されるので、被遮蔽領域P2(図49(a)参照)を通してアーム部材3620が視認される場合の外観を、アーム部材3620のみから予想できる外観とは異なったものとできる。
また、本実施形態のように、アーム部材3620と演出補助部材3513とが磁力により相対移動される場合には、演出補助部材3513がアーム部材3620に重なる位置はアーム部材3620が回転されるにつれて徐々に変化する(図50(a)から図50(c)参照)ので、被遮蔽領域P2(図49(a)参照)を通してアーム部材3620が視認される場合の外観を、アーム部材3620が回転されるにつれて徐々に変化させることができ、被遮蔽領域P2の外観を、アーム部材3620のみから予想できる外観とは異なったものにする効果を向上させることができる。
また、アーム部材3620と演出補助部材3513との間に生じる磁力により演出補助部材3513が移動されるので、アーム部材3620から演出補助部材3513に対して直接的に力を伝達させる機械的機構を不要とできる。
さらに、磁力の特性により、演出補助部材3513とアーム部材3620との間隔が所定距離より小さくなると、演出補助部材3513とアーム部材3620との間に急激に大きな力を生じさせることができる。
即ち、図50(a)に図示される状態(演出補助部材3513が案内筒部3512の下端に配置される状態)から、アーム部材3620がわずかに回転されることで、アーム部材3620の磁石部3620Mgと演出補助部材3513との間隔が上記所定距離より小さくなり、演出補助部材3513が大きく移動される(図50(b)参照)。
この場合、演出補助部材3513にアーム部材3620の移動速度とは対応しない加速度をもたせることができるので、演出補助部材3513に予想外の動きをさせることができ、演出効果を向上させることができる。ここで、図51を参照して、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620を張出位置に配置させた場合について説明する。
図51(a)は、遮蔽動作ユニット3500及び揺動動作ユニット3600の前面図であり、図51(b)は、揺動動作ユニット3600の前面図である。なお、図51(a)及び図51(b)では、遮蔽動作ユニット3500及び揺動動作ユニット3600の組立状態(図36参照)が図示され、遮蔽動作ユニット3500のアーム部材3520及び揺動動作ユニット3600のアーム部材3620は張出位置に配置される。
図51(a)に示すように、遮蔽動作ユニット3500のアーム部材3520が張出位置に配置されると、被遮蔽領域P2が視認可能となり、その被遮蔽領域P2に少なくとも一部が内包される開口部3511を通して遮蔽動作ユニット3500の後方を視認可能になり、開口部3511を通して揺動動作ユニット3600の取り付けベース3610の被遮蔽領域P3に表示される「目の変わるだるま」を視認可能となる。
即ち、遮蔽動作ユニット3500に形成される被遮蔽領域P2の外観が、その後面側に配設される揺動動作ユニット3600のアーム部材3620が回転されることによって、変化される。本実施形態においては、前面視において、遮蔽動作ユニット3500の被遮蔽領域P2及び揺動動作ユニット3600の被遮蔽領域P3が重なる。そのため、被遮蔽領域P2の外観を、その被遮蔽領域P2(に少なくとも一部が内包される開口3511、図38(b)参照)を通してアーム部材3620を視認可能であると共に被遮蔽領域P3を視認不能な場合と、アーム部材3620が少なくとも張出位置に配置されることで被遮蔽領域P2(に内包される開口3511)を通して被遮蔽領域P3を視認可能な場合と、で変化させることができる。
ここで、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620は遮蔽動作ユニット3500のアーム部材3520の配置に関わらず前面視において少なくとも一部が視認可能であり、アーム部材3620は被遮蔽領域P2においてのみ視認される部材ではない。そのため、アーム部材3620はアーム部材3520に関わらず固有の演出意図を持って移動されるので、アーム部材3620に固有の駆動手段(駆動モータ3631に相当)が配設されることは当然である。そして、アーム部材3620に駆動手段を要することは、前面視において被遮蔽領域P2をアーム部材3620が通過するか否かに関わるものではない。
本実施形態の特徴は、揺動動作中の揺動動作ユニット3600のアーム部材3620が前面視において被遮蔽領域P2を通過するようにアーム部材3620を配設したことにある。即ち、アーム部材3620の移動により被遮蔽領域P2の変化を達成し、それと同時に、必要な駆動力は駆動手段(駆動モータ3631に相当)の駆動力を流用している。よって、被遮蔽領域P2の外観を変化させるための個別の駆動手段を不要とすることができる。
次いで、図52から図58を参照して、第4実施形態について説明する。第3実施形態では、図41に示すように、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620を揺動動作(回転)させるために駆動装置3630の駆動軸3632の回転方向を切り替える場合を説明したが、第4実施形態の揺動動作ユニット4600(図52参照)では、アーム部材4620を揺動動作(回転)させる場合は駆動軸3632が一の回転方向に回転され、一方で、その一の回転方向の反対方向である他の回転方向に駆動軸3632が回転されると、アーム部材4620は回転されず演出部材3654のみが回転される。
後述する本実施形態の構成によれば、表示3654a1〜3654a4(図43参照)がアーム部材3620(図41参照)の揺動動作(回転)により順番に切り替わる第3実施形態と異なり、駆動モータ3631(図52参照)の制御により表示3654a1〜3654a4をランダムに(順番に依存せずに)切り替えることができる。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図52は、第4実施形態における揺動動作ユニット4600の分解前面斜視図である。揺動動作ユニット4600は、後面ケース210(図7参照)に配設される取り付けベース4610と、その取り付けベース4610に基端が回転可能に軸支されるアーム部材4620と、そのアーム部材4620を回転駆動するための駆動力を発生する駆動装置4630と、その駆動装置4630が配設されると共に取り付けベース4610の前面に配設される表ケース体3640と、駆動装置4630の駆動力により回転される複数の歯車から構成される被遮蔽装置3650と、を主に備えて構成される。
取り付けベース4610は、長尺矩形板状に形成されると共に前面側(図52手前側)に「目の変わるだるま」及び「ミニだるま」が表示され、その「目の変わるだるま」の下方に上下方向に延設されるレール形状の案内レール4614と、その案内レール4614に案内され上下に移動される昇降部材4615と、その昇降部材4615を上向き(図52上向き)に付勢する付勢力を生じさせる付勢バネ4616(図55参照)と、を主に備える。昇降部材4615は、アーム部材4620が回転されるに伴って、上下に移動される部材であるが、その上下移動の詳細については後述する。ここで、図53及び図54を参照して、案内レール4614及び昇降部材4615について説明する。
図53(a)は、取り付けベース4610の下側部分を前面視した取り付けベース4610の部分前面図であり、図53(b)は、図53(a)のLIIIb−LIIIb線における取り付けベース4610の断面図である。なお、図53(a)及び図53(b)において昇降部材4615(図54参照)の図示が省略される。
図53(a)及び図53(b)に示すように、案内レール4614は、一対が取り付けベース4610の前面側から突設されると共に上下方向に延設され、断面視において突設端がそれぞれ外側に張り出す鉤状(L字形状)に形成されるレール部4614aと、それら一対のレール部4614aの間であって、レール部4614aの上端付近(図53(a)上方)の位置に取り付けベース4610の前面側に突設される円柱形状の係止ピン4614bと、を主に備える。
一対のレール部4614aは、組立状態において(図55参照)、一対の突設部分(外側に張り出す直前まで)の外側間の距離が後述する昇降部材4615(図54参照)の一対のレール受け部4615cの鉤状に張り出す端部間の距離よりも若干小さく形成される。また、一対のレール部4614aの鉤状に張り出す(外側の)端部間の距離が後述する一対のレール受け部4615cの一対の突設部分(内側に張り出す直前まで)の内側間の距離より若干小さく形成される。
図54(a)は、昇降部材4615の前面図であり、図54(b)は、昇降部材4615の後面図であり、図54(c)は、図54(b)のLIVc−LIVc線における昇降部材4615の断面図である。
図54に示すように、昇降部材4615は、樹脂材料から形成され、円板形状の本体部4615aと、その本体部4615aの中央下方(図54(b)下方)において後面側から突出される円柱形状の係止ピン4615bと、その係止ピン4615bの左右両側に配設され、本体部4615aの後面側に上下方向(図54(b)上下方向)に延設される一対のレール受け部4615cと、本体部4615aの前面側左方に配設される磁石部4615Mgと、を主に備える。係止ピン4615bは、付勢バネ4616(図55参照)の一端が係止される部分である。
一対のレール受け部4615cは、案内レール4614のレール部4614a(図53参照)の張り出す部分の厚みより大きな突設高さで突設され、それぞれの端部から内側に張り出す鉤状(L字形状)の断面に形成される。また、組立状態(図55参照)において、レール受け部4615cの張り出す部分が、取り付けベース4610(図53参照)の前面と案内レール4614のレール部4614aの張り出す部分とで形成される隙間に、前後方向に若干の隙間を空けて配設可能に形成されると共に、レール受け部4615cの張り出す部分と案内レール4614のレール部4614aの張り出す部分とが前後方向(図55上下方向)で部分的に重なる態様で形成される。これにより、組立状態において取り付けベース4610の案内レール4614に昇降部材4615がスライド移動可能に嵌め合わせられる。
磁石部4615Mgが本体部4615aに配設されることで、後述するアーム部材4620(図52参照)の磁石部4620Mgと本体部4615aの磁石部4615Mgとの間で磁力が生じた場合に、その磁力の作用で昇降部材4615が上下移動されるように形成されるが、詳細については後述する。ここで、図55を参照して、案内レール4614及び昇降部材4615の組立状態について説明する。
図55(a)は、取り付けベース4610の部分前面図であり、図55(b)は、図55(a)のLVb−LVb線における取り付けベース4610の断面図である。なお、図55(a)では、案内レール4614に昇降部材4615を嵌め合わせた組立状態が図示されると共に昇降部材4615の本体部4615aに隠される部分が破線で図示される。
図55(a)に示すように、案内レール4614の係止ピン4614bと昇降部材4615の係止ピン4615bとの間に付勢バネ4616が配設される。組立状態において、その付勢バネ4616の付勢力が、昇降部材4615に負荷される重力(図55(a)下方へ向けて重力が作用)と吊り合う位置まで付勢バネ4616が伸ばされ(自然長より若干伸ばされ)、昇降部材4615が停止される。
図55(b)に示すように、案内レール4614のレール部4614aと、昇降部材4615のレール受け部4615cとが、上述した構成により、昇降部材4615の厚み方向および左右方向(図55(b)左右方向)に若干の隙間を空けて嵌め合わされるので、昇降部材4615が案内レール4614に上下移動可能に配設される。また、付勢バネ4616は、案内レール4614の一対のレール部4614aの間の隙間に配設される。
上述したように、案内レール4614のレール部4614aは、昇降部材4615のレール受け部4615cの内側を上下移動可能な形状(レール受け部4615cとレール部4614aとの間に隙間が若干生じる形状)に形成される。
また、上述したように、レール部4614aの突設端の張り出す部分と、レール受け部4615cの突設端の張り出す部分とが前後方向(図55上下方向)において部分的に重なる態様で形成され、組立状態において、昇降部材4615の案内レール4614に対する前後移動が規制される(抜け止めされる)。
なお、案内レール4614に昇降部材4615を組み付ける際には、係止ピン4614b,4615bに付勢バネ4616の両端をそれぞれ係止させた状態で、昇降部材4615を案内レール4614の下方に配置し(付勢バネ4616を伸ばした状態)、案内レール4614のレール部4614aと昇降部材4615のレール受け部4615cとを嵌め合わせ、昇降部材4615の固定を解くと、昇降部材4615が案内レール4614に案内され付勢バネ4616の付勢力で図55(a)に図示される位置まで上昇される。これにより、昇降部材4615が案内レール4614に組み付けられる。
図52に戻って駆動装置4630について説明する。第3実施形態では、駆動装置3630(図41参照)の駆動軸3632に第1歯車3633が固着されたが、本実施形態では、第1歯車3633の代わりに、切替歯車4633が固着される。その切替歯車4633は、第3実施形態において上述した被遮蔽装置3650の切替歯車3652(図42参照)と技術的には実質同一とされ、駆動軸3632の回転方向によって駆動力の伝達される伝達状態と駆動力の伝達が解除される解除状態とを切替可能に形成される。しかし、その切替において、駆動装置4630の切替歯車4633の回転方向と被遮蔽装置3650の切替歯車3652の回転方向とが逆に形成される。
即ち、駆動装置4630の駆動軸3632が前面視において反時計回りに回転されると、被遮蔽装置3650の切替歯車3652には回転が伝達されるが、駆動装置4630の切替歯車4633には回転が伝達されない。その一方で、駆動装置4630の駆動軸3632が前面視において時計回りに回転されると、被遮蔽装置3650の切替歯車3652には回転が伝達されないが、駆動装置4630の切替歯車4633には回転が伝達される。
即ち、駆動装置4630の駆動軸3632の回転方向によって、アーム部材4620に駆動力を伝達させるための切替歯車4633を回転させるか、演出部材3654に駆動力を伝達させるための切替歯車3652を回転させるかを切り替えることができる。これにより、アーム部材4620と演出部材3654とを独立で(非連動で)回転させることができる。よって、独立で動作(揺動動作、回転動作)させる部材の個数(本実施形態ではアーム部材4620及び演出部材3654の2個)に対して駆動手段の配設個数を抑制(本実施形態では1個)できる。
さらに、部材の動作(揺動動作、回転動作)を独立で制御することで部材間での動作の関連(動作速度や動作タイミングの関連)が断たれ、アーム部材4620の動作に依存せず演出部材3654を独立で回転させることができる。これにより、演出部材3654の回転動作を遊技者にとって予想外のものにすることができるので、演出部材3654の回転によって外観が変化する被遮蔽領域P3(図56参照)の演出効果を向上させることができる。
なお、上記の駆動力伝達の切替は機械的機構により達成され(図42参照)、電磁石等の電気的機構は不要である。そのため、電気的機構を採用する場合に比較し、制御コストを削減することができる。
アーム部材4620は、駆動装置4630の駆動軸3632の回転方向を切り替えることなく、揺動動作(回転動作、往復動作)可能に形成される。ここで、アーム部材4620について説明する。
アーム部材4620は、本体部3621の基端側に溝状の開口として形成される溝部4622と、本体部3621の後面側に配設される長尺板形状の磁石部4620Mgと、を主に備えて構成される。
溝部4622は、第3実施形態における溝部3622(図41参照)と延設方向の長さのみを変化された開口である。即ち、溝部4622は、軸支孔3624を通る直線上に延設され、組立状態において、駆動装置4630の突設ピン3635が挿通される開口である。溝部4622の形状は、幅方向が突設ピン3635の直径より若干大きく形成され、駆動装置4630の第2歯車3634が一回転され、それに伴い第2歯車3634から突設される突設ピン3635が一回転される際に突設ピン3635が継続して摺動可能な長さに形成される。
即ち、溝部4622は、組立状態(図56から図58参照)において、突設ピン3635が軸支孔3624に最も近づけられる位置(図58(b)参照)から、突設ピン3635が軸支孔3624から最も遠ざけられる位置(図57(a)参照)まで少なくとも延設される。これにより、後述するように、組立状態において第2歯車3634が一回転されることでアーム部材4620が一往復される(図56から図58参照)。
ここで、例えば本実施形態のように、駆動手段(駆動モータ3631に相当)の駆動力が一の方向に生じる場合にのみ移動部材(アーム部材4620に相当)が回転される場合、駆動手段から移動部材に生じる駆動力は一方向に限定される。そのため、移動部材を往復動させる場合に、往路と復路とで駆動力の方向を反転させることができない。この場合、移動部材を初期位置に復元させることを考慮すると、移動部材は、周期的な回転移動を行うものに限定され易く、結果的に移動部材の設計自由度が低くなる。
これに対し、本実施形態の構成によれば、後述するように、駆動モータ3631の駆動軸3632が前面視時計回りに1回転されることで、アーム部材4620が第1位置(退避位置に相当、図58(a)参照)と第2位置(張出位置に相当、図56参照)との間を1往復する態様で形成される。
即ち、移動部材(アーム部材4620に相当)を採用する場合に、周期的な回転移動を行うものだけでなく、往復移動するものも採用可能である。よって、移動部材の設計自由度を向上させることができる。
磁石部4620Mgは、昇降部材4615を上下移動させる駆動力を生じさせる部分であり、アーム部材4620の装飾部3623の下方後面側に前面視において左斜め下方向へ向けて延設される細径板状に形成される。磁石部4620Mgは、組立状態において(図56参照)、昇降部材4615が上昇位置に配置されている場合に、軸支孔3624から昇降部材4615の磁石部4515Mgまでの距離を半径として軸支孔3624を中心に描かれる円周上の位置であると共にアーム部材4620の右側端部(図56右側)である位置から前面視左側下方へ延設される。そして、磁石部4620Mgは、アーム部材4620が退避位置に配置された場合(図58(a)参照)に、昇降部材4515の磁石部4515Mgと上下方向(図56上下方向)で少なくとも重ならない位置まで延設される。
これにより、アーム部材4620が張出位置から退避位置へ回転されることで、アーム部材4620と昇降部材4615とが近接されると、昇降部材4615の磁石部4615Mg(図54参照)とアーム部材4620の磁石部4620Mgとの間で磁力が生じ、昇降部材4615が上下移動されるが、詳細については後述する。
ここで、アーム部材4620の揺動動作(回転)について、図56から図58を参照して説明する。
図56から図58(a)は、揺動動作ユニット4600のアーム部材4620を張出位置(図56参照)から退避位置(図58(a)参照)へ動作させる過程を時系列で説明する揺動動作ユニット4600の前面図である。図56から図58(a)では、第2歯車3634の後面側に配設される突設ピン3635及びアーム部材4620の溝部4622が破線で図示されると共に、表ケース体3640及び駆動モータ3631の図示が省略される。後述する図58(b)においても同様である。
なお、図57(a)は、駆動モータ3631(図52参照)が回転駆動され、切替歯車4633が伝達状態となり図57(a)時計回りに回転され、アーム部材4620が張出位置から退避位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が図示され、図57(b)は、図57(a)の状態から駆動モータ3631が更に回転駆動され、切替歯車4633が時計回りに回転され、アーム部材4620が退避位置へ向けて所定量だけ更に揺動動作された状態が図示される。
図58(b)は、揺動動作ユニット4600の前面図である。図58(b)では、図58(a)の状態から駆動モータ3631が回転駆動され、切替歯車4633が伝達状態となり図58(a)時計回りに回転され、アーム部材4620が退避位置から張出位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が図示される。図58(b)の状態から切替歯車4633が更に時計回りに回転されることで、アーム部材4620が張出位置へ再び配置される(図56参照)。
図56から図58に示すように、揺動動作ユニット4600のアーム部材4620は、駆動モータ3631の駆動軸3632(図52参照)が一の回転方向(本実施形態においては、図56時計回り)に回転され、切替歯車4633が回転されることで、第2歯車3634が回転され、その第2歯車3634から突設される突設ピン3635がアーム部材4620の溝部4622を摺動され、アーム部材4620が回転(往復動作)される。
図56に示すように、アーム部材4620が張出位置に配置された場合、アーム部材4620の回転軸としての軸支孔3624と突設ピン3635とを結ぶ方向Xが、第2歯車3634を回転可能に軸支する挿通軸3640a(図52参照)と突設ピン3635とを結ぶ方向Yと直交される。
この場合、突設ピン3635をアーム部材4620と第2歯車3634との関係において死点に位置させることができる。これにより、駆動モータ3631(図52参照)からの駆動力を不要としても、アーム部材4620を張出位置(図56参照)に機械的に保持できるので、駆動手段の消費エネルギーを抑制することができると共に、駆動装置4630の駆動軸3632(図52参照)からアーム部材4620への駆動力の伝達を解除してもアーム部材4620を張出位置に維持できる。
ここで、アーム部材4620が張出位置に配置された状態(機械的に保持された状態)で駆動装置4630の駆動軸3632(図52参照)が反時計回り(図56反時計回り)に回転されると、アーム部材4620は張出位置に配置された状態で維持され(切替歯車4633は解除状態を形成され)、被遮蔽装置3650(図52参照)の切替歯車3652が伝達状態を形成し回転される。結果として、演出部材3654(図52参照)が回転され、取り付けベース4610の視認孔3613から視認される表示部3654aの表示3654a1〜3654a4(図43参照)が切り替えられ、被遮蔽領域P3の外観を変化させることができる。
視認孔3613から視認される表示部3654a(図43参照)の切り替えの態様は、駆動モータ3631(図52参照)の制御次第で任意に選択することができる。即ち、例えば、駆動モータ3631を高速(又は低速)で回転させることで、視認孔3613から視認される表示部3654aの表示3654a1〜3654a4(図43参照)を高速(又は低速)で切り替えることができるし、駆動モータ3631を回転(又は停止)させるタイミングも任意に選択できる。これにより、表示3654a1〜3654a4の切り替えの態様を様々に形成できるので、被遮蔽領域P3の演出効果を向上させることができる。
ここで、本実施形態において、演出部材3654が視認孔3613からのみ視認可能であり、それ以外の部分は取り付けベース4610に隠されるため、取り付けベース4610は演出部材3654を部分的に遮蔽する一種の遮蔽部材としての特徴を有する。
即ち、取り付けベース4610は演出部材3654(図43参照)の移動軌跡上に少なくとも一部が重なって配設されると共に、演出部材3654の前面側に配設される。そのため、取り付けベース4610に対して演出部材3654が相対移動(回転)すると、視認孔3613に重ならない演出部材3654の部分は視認不能となり、演出部材3654の視認孔3613と重なる部分は視認可能となる。
よって、被遮蔽領域P3における外観の変化が、演出部材3654(図43参照)の視認できる部分の変化として明確に把握可能となり、演出部材3654が姿勢や位置を変える変化態様に比較して、被遮蔽領域P3の外観の変化を容易に区別することができる。
例えば、本実施形態と同じく、演出部材(演出部材3654に相当)が回転軸を前後方向に有する回転体である場合のように、演出部材の移動が前面視において平面的であると、前面視で視認可能な演出部材の模様や表示は、位相違いを区別しないとすれば1種類である。一方、遮蔽部材(取り付けベース4610に相当)を演出部材の前面側に配設及び固定することで、演出部材の視認可能な部分を、演出部材が移動することによって変更可能とし、そうすることで複数種類の模様や表示を演出部材で視認可能とできる。この場合、演出部材に複数種類の模様や表示を互いに離して形成しておき、演出部材の移動毎に、別々の模様や表示を視認可能とすることが考えられる。
同様に、例えば、本実施形態とは異なり、演出部材(演出部材3654に相当)が回転軸を前後方向に直交する平面に有する回転体であって、回転体の外周に模様や表示が形成される場合には、演出部材は前面視において常に半周分が視認されるので、半周単位で模様や表示に統一感を持たせることを考慮すると、演出部材に複数種類の表示を形成する際の自由度が低い。一方、遮蔽部材(取り付けベース4610に相当)を演出部材の前面側に配設及び固定することで、演出部材の視認可能な部分を制限でき、模様や表示に統一感を持たせる単位が制限されるので(半周単位よりも小さな部分でよいので)、演出部材に複数種類の表示を形成する際の自由度を向上させることができる。なお、遮蔽部材としては、移動軌跡と断続的に重なる櫛状または梯子状のものや、開口を有する板状のもの等が、例示される。
第3実施形態では、アーム部材3620(図41参照)の揺動動作(回転)に連動して被遮蔽装置3650の演出部材3654(図41参照)が回転されたが、本実施形態では、アーム部材4620の揺動動作(回転)とは無関係(非連動)な速度および角度で演出部材3654(図52参照)が回転され、被遮蔽領域P3の外観に変化が生じる。
これによれば、例えば、被遮蔽領域P3が視認不能な状態となるようにアーム部材4620を退避位置に配置させ(図58(a)参照)、その退避位置でアーム部材4620を停止させたままで、予め演出部材3654を回転させ、被遮蔽領域P3の外観を変化させておき、再びアーム部材4620を回転させ、被遮蔽領域P3を視認可能とする。これにより、アーム部材4620に隠される直前(図57(a)参照)の被遮蔽領域P3の外観と、アーム部材4620による遮蔽が解除された直後(図58(b)参照)の被遮蔽領域P3の外観とを異ならせることができる。
ここで、被遮蔽領域P3が視認不能な状態となるようにアーム部材4620を停止させたままで、予め演出部材3654を回転させ、被遮蔽領域P3の外観を変化させておくことは別の構成でも達成できる。例えば、アーム部材4620が張出位置と退避位置との間を往復するごとに、アーム部材4620が被遮蔽領域P3を視認不能とするタイミングで図示しないラチェット機構等により演出部材3654を所定角度回転させることによっても達成することができる。しかし、この場合、演出部材3654の回転角度はアーム部材4620の往復回数に依存するので、演出部材3654の回転角度をアーム部材4620の揺動動作と独立して変化させることができない。
よって、アーム部材4620の往復回数とは独立して演出部材3654の回転角度を変化させたい場合に、演出部材3654を駆動モータ3631(図52参照)で回転させる上述した構成が有効となる。なお、切替手段としては、例えば、ワンウェイクラッチギア又はラチェット機構等が例示される。
上述した演出部材3654を駆動モータ3631(図52参照)で回転させる構成によれば、駆動モータ3631の駆動軸3632の回転方向によって、アーム部材4620と演出部材4615とが独立して(非連動で)回転されるので、アーム部材4620と演出部材4615とを同時に回転させることはできない。そのため、アーム部材4620の回転中に被遮蔽領域P3の外観を変化させることができず、演出効果が不十分となる可能性がある。一方、本実施形態によれば、上述した昇降部材4615をアーム部材4620の回転に伴い移動させることで、アーム部材4620の回転中に被遮蔽領域P3の外観を変化させることができる。ここで、昇降部材4615の上下移動について、図56から図58(a)を参照して説明する。
昇降部材4615の磁石部4615Mgがアーム部材4620の磁石部4620Mgとの間で生じる磁力により吸着されることで昇降部材4615は移動される。ここで、上述したように、磁石部4620Mgはアーム部材4620の後面に前面視左斜め下方向に延設される。そのため、アーム部材4620が張出位置から退避位置へ回転されるに従い、昇降部材4615の磁石部4615Mgがアーム部材4620の磁石部4620Mgの延設方向に沿って移動され、昇降部材4615が案内レール4614の延設方向である下方向に移動される。
図56に示すように、アーム部材4620が張出位置に配置されると、昇降部材4615は付勢バネ4616(図55参照)により上昇位置に配置される。この状態においては、昇降部材4615の磁石部4615Mgとアーム部材4620の磁石部4620Mgとの間に昇降部材4615を移動させるだけの十分な磁力は生じていない。
図57(a)に示すように、アーム部材4620が張出位置から退避位置へ向けて所定量だけ揺動動作(回転)されると、昇降部材4615の磁石部4615Mgとアーム部材4620の磁石部4620Mgとの間に磁力が生じ、磁石部4615Mgがアーム部材4620の磁石部4620Mgに吸着する態様で昇降部材4615が下方へ移動される。
図57(b)に示すように、アーム部材4620が図57(a)の状態から退避位置へ向けて更に揺動動作(回転)されると、昇降部材4615が更に下方に移動される。これは、昇降部材4615は上下方向(図57上下方向)に移動可能に形成されるが、昇降部材4615の磁石部4615Mgとアーム部材4620の磁石部4620Mgとが上下方向で重なる位置が、図57(a)の状態から下方に移動されるためである。
図58(a)に示すように、アーム部材4620が図57(b)の状態から更に揺動動作(回転)され、アーム部材4620が退避位置へ配置されると、昇降部材4615の磁石部4615Mgとアーム部材4620の磁石部4620Mgとが上下方向(図58上下方向)で重ならなくなり、昇降部材4615を下方へ移動させる磁力が減少し、付勢バネ4616(図55(a)参照)の付勢力で昇降部材4615が上昇位置へ復帰される。このように、アーム部材4620の回転中に昇降部材4615が移動されることで被遮蔽領域P3の外観を変化させることができ、被遮蔽領域P3の演出効果を向上させることができる。なお、本実施例では、昇降部材4615が移動されることで、取り付けベース4610の前面側に表示される「ミニだるま」(図57(b)参照)を視認することができるようになる。
また、昇降部材4615の移動速度は、アーム部材4620の揺動動作の速度に加え、磁石部4620Mgの傾斜の度合いによっても変化させることができる。即ち、例えば磁石部4620Mgの傾斜の度合いをきつく(アーム部材4620の短手方向に対する角度を大きく)すれば、昇降部材4615の移動速度は大きくなる。一方で、例えば磁石部4620Mgの傾斜の度合いを緩く(アーム部材4620の短手方向に対する角度を小さく)すれば、昇降部材4615の移動速度は小さくなる。これにより、昇降部材4615の移動速度にバリエーションを持たせることができ、昇降部材4615を有する被遮蔽領域P3の演出効果を向上させることができる。
次いで、図59及び図60を参照して、第5実施形態について説明する。第3実施形態では、遮蔽動作ユニット3500の演出補助部材3513(図37及び図50参照)が磁力で移動される場合を説明したが、第5実施形態の遮蔽動作ユニット5500では、演出補助部材5530が、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620に当接され移動される。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図59は、第5実施形態における遮蔽動作ユニット5500の後面斜視図である。図59に示すように、遮蔽動作ユニット5500は、揺動動作ユニット3600(図36参照)の前面側に締結固定される取り付けベース5510と、その取り付けベース5510の前面側に回転可能に配設される上述したアーム部材3520と、取り付けベース5510の後面視左側下方に配設される演出補助部材5530と、を主に備える。
取り付けベース5510は、長尺の矩形状に形成され、その取り付けベース5510の下方に形成される開口部3511と、その開口部3511の後面視左側下方(図59左側下方)に間隔を空けて取り付けベース5510の後面側から後方へ向けて突出される円柱状の軸部5510aと、開口部3511の後面視左方(図59左方)であって、取り付けベース5510の後面側から突出される板状の壁部5510bと、を主に備える。
軸部5510aは後述する演出補助部材5530を回転可能に軸支する部分であり、壁部5510bは、回転する演出補助部材5530に当接可能に形成される。本実施形態においては、軸部5510aと壁部5510bとが略同等の突設高さで形成される。
演出補助部材5530は、樹脂材料から形成され、棒状体がL字状に屈曲されると共に屈曲部分に屈曲方向と直交する方向に開口される挿通孔を有する本体部5531と、その本体部5531の一端に配設される円板形状の遮蔽部5532と、その一端の反対側の他端に突設される当接部5533と、本体部5531を挟んで遮蔽部5532の反対側に本体部5531から延設される重り部5534と、を主に備える。
本体部5531の挿通孔の直径は、取り付けベース5510の軸部5510aの直径よりも若干大きく形成され、組立状態において、本体部5531の挿通孔に軸部5510aが挿通される。
遮蔽部5532は、円板の直径が揺動動作ユニット3600(図39参照)の「両目のだるま」の黒目の直径よりも大きく形成され、後述するように揺動動作ユニット3600のアーム部材3620が退避位置に配置されることで演出補助部材5530が回転された際には、揺動動作ユニット3600(図39参照)の「両目のだるま」の片目の位置と一致する態様で形成される。
当接部5533は、組立状態(図59参照)において、本体部5531の後面側から後方に突設され、組立状態における揺動動作ユニット3600(図39参照)との関係において、揺動動作(回転)するアーム部材3620と当接可能な突設高さで形成される。本実施形態においては、当接部5533と揺動動作ユニット3600のアーム部材3620の側面(図44におけるアーム部材3620の右側面)とが当接する態様で形成される。そのため、アーム部材3620が退避位置へ揺動動作されると、当接部5533が押され、演出補助部材5530が挿通軸5510aを中心に回転される。
重り部5534は、他の部分より重量を増して形成される(例えば高密度)。そのため、演出補助部材5530に外力が生じない状態では、重力の作用により、重り部5534が鉛直下方(図59下方)に配置されるので、遮蔽部5532が挿通軸5510aの鉛直上方に配置される。これにより、遮蔽部5532を遮蔽動作ユニット5500の開口部3511から視認不能な位置に隠すことができる。
ここで、図60を参照して、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620の回転動作と演出補助部材5530の移動との関連について説明する。
図60(a)から図60(c)は、組立状態における遮蔽動作ユニット5500の取り付けベース5510、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620及び演出補助部材5530を、アーム部材3620が張出位置から退避位置へ移動する際の時系列に沿って模式的に示した取り付けベース5510、アーム部材3620及び演出補助部材5530の部分前面模式図である。
なお、図60(a)には、アーム部材3620の側面と演出補助部材5530の当接部5533とが当接し始める直前の状態が図示される。図60(b)には、図60(a)の位置からアーム部材3620が退避位置へ向けて回転され、アーム部材3620の側面に当接される演出補助部材5530が更に所定量だけ回転された状態が図示される。また図60(c)には、アーム部材3620が退避位置に配置されるまで回転され、演出補助部材5530が回転され、遮蔽部5532がアーム部材3620の前面に表示される「両目のだるま」の片目の位置に配置された状態が図示される。
図60(a)から図60(c)に示すように、演出補助部材5530は揺動動作ユニット3600の前面側に配設され、揺動動作ユニット3600のアーム部材3620の回転に伴って上下移動されると共に、その移動の過程において、アーム部材3620と重なって視認される態様で形成される。
ここで、アーム部材3620の外観は、そのアーム部材3620が張出位置に配置されれば視認可能であるので(図51(a)参照)、被遮蔽領域P2(図38参照)を通してアーム部材3620を視認する場合の外観は予測できる場合があり、意外性に欠け、演出効果が十分であるとは言えない。
一方、本実施形態によれば、アーム部材3620が退避位置に配置されると、アーム部材3620と演出補助部材5530の遮蔽部5532とが重なって視認されるので、被遮蔽領域P2(図38参照)を通してアーム部材3620が視認される場合の外観を、アーム部材3620のみから予想できる外観とは異なったものとできる。
また、本実施形態によれば、演出補助部材5530が揺動動作ユニット3600のアーム部材3620の側面に当接され、そのアーム部材3620に押されることで回転されるので、演出補助部材5530の設計自由度を高くすることができる。
即ち、例えば、演出補助部材5530を磁力で移動させる場合、演出補助部材5530の質量や形状が大きいと、必要な磁力は大きくなる。ここで、磁力を大きくするには、磁石の特性を向上させる必要があるが、磁石の特性を向上させると、磁石は高価になり、部品コストが増大する。よって、演出補助部材5530を大型化するには部品コストがかかるので、演出部材を大型化し難く、演出補助部材5530とアーム部材3620の前面視において重なる部分を大きくすることでアーム部材3620の外観を大きく変化させることは難しい。
一方、本実施形態によれば、演出補助部材5530は、アーム部材3620に直接的に当接されて生じる力により回転されるので、演出補助部材5530の回転にアーム部材3620の駆動力を利用でき、より大きな演出補助部材5530を採用することができる。よって、アーム部材3620の外観と、演出補助部材5530及びアーム部材3620が重なった場合の外観とを大きく変化させることができる。
また、本実施形態では、アーム部材3620が重力方向に回転する(張出位置から退避位置へ回転する場合)という大きな駆動力を必要としない場合において、アーム部材3620の側面が演出補助部材5530に当接されるので、アーム部材3620を駆動させる駆動モータ3631(図39参照)に必要とされる駆動力を抑制できる。即ち、駆動モータ3631の容量を小さく維持することができる。
次いで、図61を参照して、第6実施形態について説明する。第1実施形態では、遊技盤13に配設される風車である可動部材310(図9参照)を利用して被遮蔽領域P1(図11参照)の外観を変化させる場合を説明したが、第6実施形態では遊技盤13の前面に没出可能な没出部材6330が配設される。なお、上記各実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図61(a)は、第6実施形態における遊技盤13に配設された状態における没出部材6330、ラック部材6340及び第2歯車322の部分拡大斜視図であり、図61(b)及び図61(c)は、遊技盤13、没出部材6330及びラック部材6340を遊技盤13の側面と平行な平面で断面視する断面模式図である。図61(b)には、没出部材6330が第1位置に配置された状態が模式的に示され、図61(c)には没出部材6330が第2位置に配置された状態が模式的に示される。なお、図61(a)において、紙面下方が遊技盤13の前面側とされ、遊技盤13は部分的に図示されると共に部分的に断面視される。また、図61(b)及び図61(c)は、没出部材6330を通過する平面で断面視されると共に、図61(b)及び図61(c)において、紙面左方が遊技盤13の前面側とされる。
没出部材6330は、遊技盤13に前後方向に開口される開口部に前後方向に回転可能に軸支され、遊技盤13の前面に張り出す第1位置(図61(b)参照)と、遊技盤13の前面から後方に没する第2位置(図61(c)参照)とに配置可能な部材であり、普段は第1位置に配置されるが、球が没出部材6330の前面を通過すると、球に押され、第2位置に移動されるように形成される。なお、没出部材6330が第1位置に配置された状態において、演出部材442(図16(b)参照)が上述した初期位置に配置され停止されるので、演出部材442に周方向に回転不能に係止される第2歯車322が停止され、その第2歯車322に歯合されるラック部材6340が停止され、そのラック部材6340に歯合される没出部材6330が第1位置に維持される。
図61(a)に示すように、没出部材6330は、遊技盤13に前後方向に開口される開口部に遊技盤13の前側に没出可能に配設される部材であって、扇形の板形状からなる本体部6331と、その本体部6331の湾曲面に刻設される歯6332と、本体部6331の一端から厚み方向に同軸で突設され組立状態において遊技盤13の図示しない軸支部に軸支される一対の回転軸部6333と、を主に備え、樹脂材料から一体成形される。没出部材6330は、図示しない軸支部に支えられることで、遊技盤13の前後方向に回転可能に軸支される。
ラック部材6340は、没出部材6330に従動される部材であって、断面矩形の長尺棒形状の本体部6341と、その本体部6341の没出部材6330に面する側面に没出部材6330の歯6332に対して歯合可能に刻設される歯6342aと、本体部6341の第2歯車322に面する側面に第2歯車322の歯322bに歯合可能に刻設される歯6342bと、を主に備え、図示しない案内部に案内されることで遊技盤13に対してスライド移動可能に形成される。
上述した構成により、第2歯車322がラック部材6340に歯合され、ラック部材6340が没出部材6330に歯合されるので、没出部材6330の回転に起因して、第2歯車322が回転される。
図61(b)及び図61(c)に示すように、球が没出部材6330の前方を流下され、球が没出部材6330に衝突され、没出部材6330が遊技盤13の前後方向に回転されると、没出部材6330に歯合されるラック部材6340が上方(図61(b)上方)にスライド移動される。それと同時にラック部材6340に歯合される第2歯車322が回転されるので、没出部材6330の回転力を、第2歯車322に伝達することができる。そして、第2歯車322には第1演出部材442が回転不能に係止されるので(図20参照)、結果的に、没出部材6330が回転されることで、第1演出部材442が回転され(図22(b)及び図22(c)参照)、被遮蔽領域P1の外観が変化される(図11参照)。
ここで、遊技盤13に対して没出可能な没出部材6330は、風車と異なり遊技者に視認可能な箇所にも視認不能な箇所にも配設可能である。特に、第1演出部材442(図18(a)参照)の回転を遊技者にとって予想外のものとしたい場合には、没出部材6330を視認不能な箇所に配設することが好ましい。この場合、球が没出部材6330に衝突することを遊技者が視認できないので、第1演出部材442が突然動き出し、被遮蔽領域P1(図11参照)の外観が突然変化するという演出をすることができる。
また、没出部材6330は遊技盤13の前後方向に回転する構造であるため、没出部材6330の前側を球が流下することができる。そのため、遊技盤13の前面において球の流下経路と没出部材6330の配置位置を切り分ける必要がない。よって、没出部材6330の配設箇所の自由度を向上させることができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態のうちの一の実施形態における一部または全部の構成を、他の実施形態における一部または全部の構成と組み合わせて、或いは、置き換えて、パチンコ機10を構成しても良い。
上記第1実施形態では、表示442R,442N,442Lが第1遮蔽部材の視認孔441cの内径に収まる大きさであると説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、表示442R,442N,442Lが第1遮蔽部材の視認孔441cの内径にはみ出して大きく形成されていても良い。この場合は、表示442R,442N,442Lが部分的に視認されることで、遊技者の興味を引くので、被遮蔽領域P1の演出部分としての効果を向上させることができる。
上記第1実施形態では、第1演出部材442が扇形形状からなり付勢バネ443の付勢力により初期位置に付勢される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1演出部材442を筒状軸部442bを中心とした円形状に形成すると共に付勢バネ443を無くしても良い。この場合、球の衝突により可動部材310が一の回転方向に継続して回転され続けると、それに起因して第1演出部材442も回転され続ける。この時、表示442R,442N,442Lに形成される絵柄を、それぞれ順番に連続で視認することでその絵柄が動いているように見える形態とすると、第1演出部材442が高速で回転されることで、視認孔441cから視認される表示442R,442N,442Lがアニメーションのように動きのある形態で視認される。これにより、被遮蔽領域P1の演出効果を向上させることができる。
上記第2実施形態では、昇降部材460の側壁460aによる規制が解除されると、第2演出部材2453が回転終点(第2演出部材2453の表示部2453cを第2遮蔽部材2451の視認孔2451dから視認可能となる状態)に至るまで、第2演出部材2453と昇降部材460とが当接された状態で図30(b)に示す配置まで回転される(付勢バネ2454のバネ定数が十分大きい)場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2演出部材2453の回転の過程で昇降部材460との当接が解除されても良い(付勢バネ2454のバネ定数が小さい)。この場合は、昇降部材460による規制が解除された後に、第2演出部材2453が第2遮蔽部材2451の視認孔2451dから視認されるまでに時間の遅れが生じ、あたかも昇降部材460の動作に連動せずに第2演出部材2453が回転されたと認識させることができる。よって、被遮蔽領域P1の外観の変化を、より意外性の高いものにすることができる。
上記第3実施形態では、遮蔽動作ユニット3500に開口部3511が形成され、その開口部3511を通して揺動動作ユニット3600を視認可能な場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、取り付けベース3510が透明な樹脂材料から形成され、取り付けベース3510を通して揺動動作ユニット3600が視認されるようにしても良い。この場合、取り付けベース3510を有色に形成すると、その色を通して揺動動作ユニット3600が視認されることになる。そのため、取り付けベース3510を通して視認される場合の揺動動作ユニット3600の色と、取り付けベース3510を通さずに直接視認される場合の揺動動作ユニット3600の色とを異ならせることができ、遊技者にとって意外性のある演出を行うことができる。
上記第3実施形態では、揺動動作ユニット3600の視認孔3613を通して視認可能な演出部材3654の各表示3654a1〜3654a4を、それぞれ別々の絵柄にしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、各表示3654a1〜3654a4のいずれかの内の複数が、同じ絵柄であってもいい。例えば、表示3654a1,3654a2,3654a3にはそれぞれ「黒丸」の絵柄が形成され、表示3654a4のみに「¥」の絵柄が形成されても良い。この場合、視認孔3613から「黒丸」の絵柄が視認される確率は、視認孔3613から「¥」の絵柄が視認される確率の3倍となり、「¥」の絵柄の希少価値を増加させることができる。また、第3実施形態のように各表示3654a1〜3654a4の絵柄が順番に変化する態様においても、現状において各表示3654a1〜3654a4のいずれが視認可能な状態なのかを分かり難くし、いつ「¥」の絵柄が視認可能になるのか判断しづらくすることができる。これにより、被遮蔽領域P3に含まれる視認孔3613への注目力を向上させることができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、を備え、前記移動部材が前記第1位置に配置される場合には、前記移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、前記移動部材が少なくとも前記第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域を有する遊技機において、前記被遮蔽領域の少なくとも一部の外観が変化可能に形成されることを特徴とする遊技機A0。
遊技機A0によれば、被遮蔽領域の少なくとも一部の外観が変化可能に形成されるので、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用することができる。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
これに対し、遊技機A0によれば、被遮蔽領域の少なくとも一部の外観が変化可能に形成されるので、例えば移動部材が第2位置に配置され被遮蔽領域が視認可能となった場合に、被遮蔽領域の外観を変化させることで、被遮蔽領域の演出部分としての能力を向上させ、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用することができる。
遊技機A0において、前記被遮蔽領域に配設されると共に、前記移動部材の移動に対応して移動可能である演出部材を備え、その演出部材が移動されることで前記被遮蔽領域の外観が変化されることを特徴とする遊技機A1。
遊技機A1によれば、遊技機A0の奏する効果に加え、被遮蔽領域に配設されると共に、移動部材の移動に対応して移動可能である演出部材を備え、その演出部材が移動されることで被遮蔽領域の外観が変化されるように形成されるので、演出部材を駆動させる別個の駆動手段を不要とすることができる。よって、駆動手段の配設個数を抑制し、その分部品コストを抑制できる。また、駆動手段の配設個数を抑制することで、限られたスペースにおいて演出部材や移動部材の配設自由度を向上させることができる。
ここで、移動部材の移動に対応して演出部材が移動するとは、演出部材が、移動部材から直接的に、またはギアやリンク機構等を介して間接的に力を受けて移動する場合や、演出部材が一方向に付勢されていて、移動部材が所定の位置に配置されると演出部材は移動部材に移動を規制されるが、移動部材が所定の位置から移動されると演出部材に対する規制が解除され、演出部材が一方向へ移動を開始する場合を意味する。
また、移動部材または演出部材の移動の態様は、特に限定されるものではなく、例えば、移動部材または演出部材が回転可能に軸支され移動部材または演出部材が回転または揺動される態様でもよく、例えば、移動部材または演出部材が平行移動される態様でもよい。
遊技機A1において、前記移動部材が前記第1位置と前記第2位置との間を移動する速度と、前記演出部材が移動する速度との同時点での速度比が、前記移動部材が前記第1位置と前記第2位置との間を移動する過程で変化可能に形成されることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、移動部材が第1位置と第2位置との間を移動する速度と、演出部材が移動する速度との同時点での速度比が、移動部材が第1位置と第2位置との間を移動する過程で変化可能に形成されるので、演出部材の演出効果を向上させることができる。
即ち、移動部材の移動する速度と、演出部材の移動する速度との速度比が一定である場合、移動部材と演出部材との移動開始から移動終了までのそれぞれの速度変化が比例関係で対応し、演出効果が単調となりやすい。
これに対し、遊技機A2によれば、移動部材と演出部材とが、それぞれの移動速度の速度比を変化させながら移動するように形成されるので、移動部材の速度変化と演出部材の速度変化とが比例関係で対応することが防止できる。そのため、移動部材と演出部材との移動が単調となることを抑制し、演出効果を向上させることができる。
例えば、移動部材が等速で回動する一方で、演出部材は移動部材と同一方向に回動するが、初速が移動部材の速度より小さく、最高速が移動部材の速度より大きい場合、移動部材の移動中に、移動部材の位相を演出部材の位相が追い抜かすという演出をすることができるので、あたかも移動部材と演出部材とが独立して移動するかのような演出をすることができる。
遊技機A2において、前記移動部材が、前記第1位置と前記第2位置との間を移動する過程において、前記演出部材が移動する移動状態と、前記演出部材が移動を停止する停止状態とを形成可能であることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、移動部材が、第1位置と第2位置との間を移動する過程において、演出部材が移動する移動状態と、演出部材が移動を停止する停止状態とを形成可能であるので、移動部材が移動を継続する間において、演出部材は動いている状態(速度を有する)と停止している状態(速度を有さない)という異なった2態様をとることができる。そのため、移動部材と演出部材との速度比の変化をより顕著にし、演出部材の演出効果を向上させることができる。
遊技機A3において、前記演出部材に対して一方向の付勢力を作用させる付勢手段を備え、前記演出部材は前記付勢手段の付勢力により移動され、前記移動部材が所定位置に到達するまでは、前記演出部材は前記移動部材により移動を規制されることで前記停止状態を継続し、前記移動部材が所定位置を通過すると、前記移動部材による規制が解除されることで前記演出部材は前記移動状態へ移行可能に形成され、移動部材が一方向に移動されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、演出部材に対して一方向の付勢力を作用させる付勢手段を備え、演出部材は付勢手段の付勢力により移動され、移動部材が所定位置に到達するまでは、演出部材は移動部材により移動を規制されることで停止状態を継続し、移動部材が所定位置を通過すると、移動部材による規制が解除されることで演出部材は移動状態へ移行可能に形成され、移動部材が一方向に移動されるので、移動部材の移動態様をもとに演出部材の移動態様を予想する遊技者にとって、演出部材の移動態様を予想外のものとすることができる。
即ち、例えば移動部材と演出部材とが機械的に連結される場合、演出部材の移動速度の大小は、移動部材の移動速度の大小に依存するので、移動部材が一定速度で移動する場合に、演出部材の速度を大きく変化させることは難しい。
これに対し、遊技機A4によれば、演出部材の移動は付勢手段の付勢力に依存するため、演出部材の移動速度の大小は、移動部材の移動速度の大小に依存しない。よって、移動部材と演出部材とを機械的に連結する場合には形成しづらい速度変化を演出部材に持たせることができ、結果として遊技者の予想外の動作を演出部材にさせることができる。
ここで、演出部材へ向けて付勢力を付与する付勢手段としては、例えば、コイルバネやねじりバネ等のバネ、ゴムやウレタン等の弾性材料または磁石などが例示される。
遊技機A1又はA2において、前記演出部材は、前記移動部材が第1方向に移動する場合には、前記移動部材の移動に対応して移動し、前記移動部材が第1方向の反対方向である第2方向に移動する場合には停止することを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A1又はA2の奏する効果に加え、演出部材は、移動部材が第1方向に移動する場合には移動部材の移動に対応して移動し、移動部材が第1方向の反対方向である第2方向に移動する場合には停止するので、移動部材の移動する方向によって、演出部材の動作態様を移動するか停止するかの2態様で異ならせることができる。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。しかしながら、上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
そこで、本願出願人は、上述の遊技機に加えて、被遮蔽領域に配設されると共に、移動部材の移動に対応して移動可能である演出部材を備え、その演出部材が移動されることで被遮蔽領域の外観が変化される遊技機を開発した(本願出願時未公知)。しかし、この場合、移動部材が第1方向に移動する場合もその第1方向の反対方向である第2方向に移動する場合も演出部材が移動部材の移動に対応して移動するように形成されており、移動部材の移動方向に関わらず演出部材は移動部材の移動に対応して移動するので、例えば、移動部材が第2方向に移動する場合にだけ演出部材を移動させずに被遮蔽領域の外観を一定に維持することは難しい。
これに対し、遊技機A5によれば、移動部材が第1方向に移動する場合には移動部材の移動に対応して演出部材が移動し、移動部材が第2方向に移動する場合には演出部材が停止するので、移動部材が第2方向に移動する場合にだけ被遮蔽領域の外観を一定に維持することができる。例えば、演出部材に文字など静止状態において把握しやすい表示がされる場合に演出部材を停止させる構成が有効となる。
なお、移動部材または演出部材の移動の態様は、特に限定されるものではなく、例えば、移動部材または演出部材が回転可能に軸支され移動部材または演出部材が回転または揺動される態様でもよく、例えば、移動部材または演出部材が平行移動される態様でもよい。
遊技機A5において、前記演出部材は、初期位置に配置された後に前記移動部材が前記第1位置と前記第2位置との間を所定回数往復すると、初期位置へ復帰可能に形成されると共に、前記移動部材が前記第1位置と前記第2位置との間を1往復すると、前記演出部材は、前記初期位置から移動し前記初期位置へ復帰するまでの経路を前記所定回数で分割した距離だけ移動することを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A5の奏する効果に加え、演出部材は、初期位置に配置された後に移動部材が第1位置と第2位置との間を所定回数往復すると、初期位置へ復帰可能に形成されると共に、移動部材が第1位置と第2位置との間を1往復すると、演出部材は、初期位置から移動し初期位置へ復帰するまでの経路を分割した距離だけ移動するので、演出部材の位置や姿勢を移動部材の往復毎に異ならせることができ、結果として被遮蔽領域の外観を移動部材の往復毎に変化させることができる。
遊技機A5又はA6において、前記第1方向は、前記移動部材を重力方向に沿った方向に移動させる方向であり、前記第2方向は、前記移動部材を重力方向に対向する方向に沿った方向に移動させる方向であることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A5又はA6の奏する効果に加え、第1方向は、移動部材を重力方向に沿った方向に移動させる方向であり、第2方向は、移動部材を重力方向に対向する方向に沿った方向に移動させる方向であるので、移動部材の移動と演出部材の移動とに兼用される駆動手段の駆動力を抑制することができる。
即ち、2部材を単一の駆動手段で駆動させる場合、それぞれの部材にかけられる抵抗を上回る駆動力を発生させる必要があり、駆動手段を小型化することは難しい。
これに対し、遊技機A7によれば、移動部材を重力方向に沿った第1方向に移動させる場合には、重力が移動部材の移動を補助することとなり、移動部材と演出部材とを同時に動作させるようにしても、駆動力は小さくて済むので、駆動手段を小型化することができる。
一方で、移動部材を重力方向に対向する方向に沿った第2方向に移動させる場合には、重力の分だけ駆動力を大きくする必要があるが、演出部材を停止させることで、演出部材を移動させる駆動力が不要となり、駆動手段に必要とされる駆動力を結果的に低減させることができる。
遊技機A5からA7のいずれかにおいて、前記駆動手段は第1軸を中心に回転される回転体と、その回転体から突出されると共に前記第1軸に偏心して位置するピン部材とを備え、前記移動部材は前記ピン部材を案内する案内部を備えると共に、第2軸を中心に前記第1位置および前記第2位置の間で回転され、前記第1位置または前記第2位置の少なくとも一方において、前記ピン部材と前記第1軸とを結ぶ直線に直交する方向と、前記案内部の延設方向とが一致して配設されることを特徴とする遊技機A8。
遊技機A8によれば、遊技機A5からA7のいずれかの奏する効果に加え、移動部材が第1位置または第2位置に配設された状態から回転体を回転させ始める際に、ピン部材の移動方向と案内部の延設方向とが一致するので、移動開始時にピン部材が案内部から受ける抵抗を抑えることができる。よって、最も大きな力を必要とする動作開始時に必要な駆動力を低減することができる。
遊技機A8において、前記移動部材が前記第1位置または前記第2位置の少なくとも一方に配設される場合に、前記第1軸と前記ピン部材とを結ぶ方向が、前記第2軸と前記ピン部材とを結ぶ方向と直交されることを特徴とする遊技機A9。
遊技機A9によれば、遊技機A8の奏する効果に加え、移動部材が第1位置または第2位置の少なくとも一方に配設される場合に、第1軸とピン部材とを結ぶ方向が、第2軸とピン部材とを結ぶ方向と直交されるので、ピン部材を回転体と移動部材との関係において死点に位置させることができる。これにより、駆動手段からの駆動力を不要としても、移動部材を第1位置または第2位置の少なくとも一方に機械的に保持できるので、駆動手段の消費エネルギーを抑制する効果を顕著にできる。
遊技機A1からA9のいずれかにおいて、前記演出部材を前面視した場合に、前記演出部材の移動軌跡と少なくとも一部が重なって配設されると共に、前記演出部材の前面側に配設され、前記演出部材に対して相対移動することで前記演出部材の少なくとも一部であって視認可能となる部分を変化させる遮蔽部材を備えることを特徴とする遊技機A10。
遊技機A10によれば、遊技機A1からA9のいずれかの奏する効果に加え、演出部材の移動軌跡上に少なくとも一部が重なって配設されると共に、演出部材の前面側に配設される遮蔽部材を備えるので、遮蔽部材と演出部材とが相対移動すると、演出部材の遮蔽部材と重なる部分は視認不能となり、演出部材の遮蔽部材と重ならない部分は視認可能となる。よって、演出部材と遮蔽部材とを相対移動させるにつれて、演出部材の少なくとも一部であって前面視において視認可能となる部分を変化させることができるので、被遮蔽領域における外観の変化が、演出部材の視認できる部分の変化として明確に把握可能となり、演出部材が姿勢や位置を変える変化態様に比較して、被遮蔽領域の外観の変化を容易に区別することができる。
例えば、演出部材が回転軸を前後方向に有する回転体である場合のように、演出部材の移動が前面視において平面的であると、前面視で視認可能な演出部材の模様や表示は、位相違いを区別しないとすれば1種類である。一方、遮蔽部材を演出部材の前面側に配設及び固定することで、演出部材の視認可能な部分を、演出部材が移動することによって変更可能とし、そうすることで複数種類の模様や表示を演出部材で視認可能とできる。この場合、演出部材に複数種類の模様や表示を互いに離して形成しておき、演出部材の移動毎に、別々の模様や表示を視認可能とすることが考えられる。
同様に、例えば、演出部材が回転軸を前後方向に直交する平面に有する回転体であって、回転体の外周に模様や表示が形成される場合には、演出部材は前面視において常に半周分が視認されることから、半周単位で模様や表示に統一感を持たせることを考慮すると、演出部材に複数種類の表示を形成する際の自由度が低い。一方、遮蔽部材を演出部材の前面側に配設及び固定することで、演出部材の視認可能な部分を制限でき、模様や表示に統一感を持たせる単位が制限されるので、演出部材に複数種類の表示を形成する際の自由度を向上させることができる。
なお、遮蔽部材としては、移動軌跡と断続的に重なる櫛状または梯子状のものや、開口を有する板状のもの等が、例示される。
遊技機A0において、遊技球が流下する遊技盤と、その遊技盤に配設されると共に遊技球が衝突することで移動可能である可動部材と、前記被遮蔽領域に配設されると共に、前記可動部材の移動に対応して移動可能である演出部材と、を備え、その演出部材が移動されることで前記被遮蔽領域の外観が変化されることを特徴とする遊技機B1。
遊技機B1によれば、遊技機A0の奏する効果に加え、遊技球が流下する遊技盤と、その遊技盤に配設されると共に遊技球が衝突することで移動可能である可動部材と、被遮蔽領域に配設されると共に、可動部材の移動に対応して移動可能である演出部材と、を備え、その演出部材が移動されることで被遮蔽領域の外観が変化されるので、被遮蔽領域の外観の変化を不規則なものとできる。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
そこで、本願出願人は、上述の遊技機に加えて、被遮蔽領域に配設されると共に、移動部材の移動に対応して移動可能である演出部材を備え、その演出部材が移動されることで被遮蔽領域の外観が変化される遊技機を開発した(本願出願時未公知)。しかし、この場合、移動部材の移動に対応して演出部材が移動するため、移動部材の移動に対して演出部材の移動が規則的であり、結果として、被遮蔽領域の外観の変化は規則的であった。
これに対し、遊技機B1によれば、遊技球が衝突することで可動部材が移動し、その可動部材の移動に対応して演出部材が移動するので、その演出部材の移動の仕方は遊技球の流下の仕方に依存する。よって、遊技球の不規則性により、演出部材を不規則に移動させることができるので、結果的に被遮蔽領域の外観を不規則に変化させることができる。
ここで、遊技球の不規則性とは、遊技球が遊技盤に配設される釘に衝突しながら流下することで、不規則に方向や速度を変えながら流下するという特徴と、遊技球が全て可動部材に衝突するわけではないので、遊技球と可動部材とが衝突する頻度も不規則に変化するという特徴と、を意味する。
なお、例えば、可動部材としては、遊技盤に対して回転可能に配設される風車や、遊技盤に対して没出可能に配設される没出部材等が例示される。風車の場合、遊技盤に通常配設される部品であるので、可動部材として利用しても製品コストが増加することを防止することができると共に、風車自体の回転と演出部材の移動とを外観上関連させることができ、演出効果を増大させることができる。
可動部材が遊技盤に対して没出可能な没出部材である場合、その没出部材は遊技者に視認可能な箇所にも、視認不能な箇所にも配設可能である。特に、演出部材の移動を遊技者にとって予想外のものとしたい場合には、没出部材を視認不能な箇所に配設することが好ましい。この場合、遊技球が没出部材に衝突することを遊技者が視認できないので、演出部材が突然動き出すという演出をすることができる。
ここで、移動部材、演出部材または可動部材の移動の態様は、特に限定されるものではなく、例えば、移動部材、演出部材または可動部材が回転可能に軸支され移動部材、演出部材または可動部材が回転または揺動される態様でもよく、例えば、移動部材、演出部材または可動部材が平行移動される態様でもよい。
遊技機B1において、前記可動部材の移動速度と、前記演出部材の移動速度との速度比が一定であることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、可動部材の移動速度と、演出部材の移動速度との速度比が一定であるので、不規則性を有する遊技球の衝突により可動部材が不規則に移動し、それに伴い演出部材の移動が不規則となることを確実にすることができる。
即ち、可動部材の移動速度と演出部材の移動速度との速度比が不定で有る場合、例えば移動速度についていえば、可動部材の移動速度の大小に対応して、演出部材の移動速度の大小が変化することがある一方で、可動部材の移動速度に演出部材の移動速度が対応しないこともある。ここで、前者の場合には、遊技球の有する不規則性が演出部材に伝わるが、後者の場合には、遊技球の速度が平均化されて、遊技球の不規則性が演出部材に表れにくくなる可能性がある。
一方、遊技機B2によれば、可動部材の移動速度と、演出部材の移動速度との速度比が一定であるので、可動部材の移動速度が小の時には演出部材の移動速度が小となると共に、可動部材の移動速度が大の時には演出部材の移動速度が大となる関係のみが形成される。よって、不規則性を有する遊技球の衝突により可動部材が不規則に移動し、それに伴い演出部材の移動が不規則となることを確実にすることができる。
遊技機B1又はB2において、前記可動部材は、前記遊技盤に対して、一の回転方向と、前記一の回転方向と反対方向である他の回転方向とに回転可能に配設される回転体であり、前記可動部材の回転方向に応じた方向に前記演出部材が移動することを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B1又はB2の奏する効果に加え、可動部材は左右方向に回転可能な回転体であり、可動部材の回転方向に応じた方向に演出部材が移動するので、可動部材に衝突する遊技球の不規則性を、演出部材を不規則な向きに移動させるという演出効果に使用することができる。
遊技機B3において、前記演出部材を初期位置へ向けて付勢すると共に、前記演出部材が前記初期位置から遠ざけられるにつれて増大する付勢力を生じる付勢手段を備えることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、演出部材を初期位置へ向けて付勢すると共に、演出部材が初期位置から遠ざけられるにつれて増大する付勢力を生じる付勢手段を備えるので、可動部材の回転力と、付勢手段の付勢力との差によって、演出部材の移動の仕方を異ならせることができる。
詳述すると、演出部材が初期位置から遠ざけられるにつれて、付勢手段が演出部材を初期位置へ向けて付勢する付勢力が増大するので、遊技球が可動部材に同じ条件(速度、方向)で衝突し、可動部材が同じ態様(速度、方向)で回転する場合にも、演出部材の移動の仕方を異ならせることができる。
例えば、演出部材が初期位置に配置された場合には、付勢手段が演出部材を初期位置へ向けて付勢する付勢力は小さいので、可動部材の回転力が付勢手段の付勢力を上回りやすく、演出部材は移動しやすい。一方で、例えば、演出部材が初期位置から遠ざけられて配置された場合には、付勢手段が演出部材を初期位置へ向けて付勢する付勢力は大きくなるので、可動部材が演出部材を初期位置から遠ざける方向に回転する場合の回転力は付勢力によって打ち消され、演出部材は移動しにくくなる。よって、遊技球が可動部材に同じ条件(速度、方向)で衝突し、可動部材が同じ態様(速度、方向)で回転する場合にも、演出部材の配置によって、演出部材の移動の仕方を異ならせることができ、演出部材の移動の仕方の不規則性を確保することができる。
また、演出部材が初期位置から遠ざけられて配置された場合に、可動部材が演出部材を初期位置から更に遠ざける方向に回転すると、付勢手段の付勢力と演出部材の回転力とが相殺され、演出部材の移動量は小さいが、可動部材が演出部材を初期位置へ近づける方向に回転すると、演出部材の移動方向と付勢手段の付勢力の向く方向とが一致するので、可動部材の回転力と付勢手段の付勢力とが合わさり、演出部材の移動量は大きくなる。ここで付勢力は演出部材が初期位置から遠ざけられるほど大きくなるので、可動部材の回転方向の違いにより生じる演出部材の移動量の違いは、演出部材が初期位置から遠ざけられるほど顕著になる。よって、演出部材の移動の仕方の不規則性を確保することができる。
遊技機B1からB4のいずれかにおいて、前記演出部材を前面視した場合に、前記演出部材の移動軌跡と少なくとも一部が重なって配設されると共に、前記演出部材の前面側に配設され、前記演出部材に対して相対移動することで前記演出部材の少なくとも一部であって視認可能となる部分を変化させる遮蔽部材を備えることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B1からB4のいずれかの奏する効果に加え、演出部材の移動軌跡上に少なくとも一部が重なって配設されると共に、演出部材の前面側に配設される遮蔽部材を備えるので、遮蔽部材と演出部材とが相対移動すると、演出部材の遮蔽部材と重なる部分は視認不能となり、演出部材の遮蔽部材と重ならない部分は視認可能となる。よって、演出部材と遮蔽部材とを相対移動させるにつれて、演出部材の少なくとも一部であって前面視において視認可能となる部分を変化させることができるので、被遮蔽領域における外観の変化が、演出部材の視認できる部分の変化として明確に把握可能となり、演出部材が姿勢や位置を変える変化態様に比較して、被遮蔽領域の外観の変化を容易に区別することができる。
例えば、演出部材が回転軸を前後方向に有する回転体である場合のように、演出部材の移動が前面視において平面的であると、前面視で視認可能な演出部材の模様や表示は、位相違いを区別しないとすれば1種類である。一方、遮蔽部材を演出部材の前面側に配設及び固定することで、演出部材の視認可能な部分を、演出部材が移動することによって変更可能とし、そうすることで複数種類の模様や表示を演出部材で視認可能とできる。この場合、演出部材に複数種類の模様や表示を互いに離して形成しておき、演出部材の移動毎に、別々の模様や表示を視認可能とすることが考えられる。
同様に、例えば、演出部材が回転軸を前後方向に直交する平面に有する回転体であって、回転体の外周に模様や表示が形成される場合には、演出部材は前面視において常に半周分が視認されるので、半周単位で模様や表示に統一感を持たせることを考慮すると、演出部材に複数種類の表示を形成する際の自由度が低い。一方、遮蔽部材を演出部材の前面側に配設及び固定することで、演出部材の視認可能な部分を制限でき、模様や表示に統一感を持たせる単位が制限されるので、演出部材に複数種類の表示を形成する際の自由度を向上させることができる。
なお、遮蔽部材としては、移動軌跡と断続的に重なる櫛状または梯子状のものや、開口を有する板状のもの等が、例示される。
遊技機A0において、前記被遮蔽領域に配設されると共に、前記移動部材の移動に非連動で移動可能である演出部材を備え、前記演出部材が移動されることで前記被遮蔽領域の外観が変化されることを特徴とする遊技機C1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
そこで、本願出願人は、上述の遊技機に加えて、被遮蔽領域に配設されると共に、移動部材の移動に対応して移動可能である演出部材を備え、その演出部材が移動されることで被遮蔽領域の外観が変化される遊技機を開発した(本願出願時未公知)。しかし、この場合、移動部材が移動することに対応して演出部材を移動させることはできるが、移動部材が停止した状態で演出部材を移動させることは難しかった。
これに対し、遊技機C1によれば、遊技機A0の奏する効果に加え、移動部材と演出部材とを非連動で移動させることができる。よって、例えば、被遮蔽領域が視認不能な状態となるように移動部材を移動させ、その位置で移動部材を停止させたままで、予め演出部材を移動させ、被遮蔽領域の外観を変化させておき、再び移動部材を移動させることで、移動部材が被遮蔽領域を視認不能にする前とは異なった外観を被遮蔽領域において視認可能とすることや、被遮蔽領域が視認可能な状態となるように移動部材を停止させたままで、演出部材のみを独立して移動させることができる。
ここで、移動部材または演出部材の移動の態様は、特に限定されるものではなく、例えば、移動部材または演出部材が回転可能に軸支され移動部材または演出部材が回転または揺動される態様でもよく、例えば、移動部材または演出部材が平行移動される態様でもよい。
遊技機C1において、前記駆動手段の駆動力を、前記移動部材に伝達するか、前記演出部材に伝達するかを切り替え可能な切替手段を備え、前記演出部材は、前記駆動手段の駆動力により移動されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、駆動手段の駆動力の伝達を切替手段により切り替えることで、演出部材を移動させる駆動力と移動部材を移動させる駆動力とを同一の駆動手段により発生させることができるので、駆動手段の配設個数を抑制し、部品コストを削減することができる。
なお、切替手段としては、例えば、ワンウェイクラッチギア又はラチェット機構等が例示される。
遊技機C2において、前記被遮蔽領域に配設されるとともに、前記移動部材と接近することで移動する演出補助部材を備え、前記移動部材の移動中に、前記演出補助部材が移動することで前記被遮蔽領域の外観が変化されることを特徴とする遊技機C3。
ここで、駆動手段の駆動力を移動部材に伝達するか、演出部材に伝達するかを切り替える遊技機C2の構成では、移動部材を移動させながら演出部材を移動させることはできないので、移動部材が移動する間に被遮蔽領域の外観を変化させることは難しい。
これに対し、遊技機C3では、遊技機C2の奏する効果に加え、移動部材と接近することで移動する演出補助部材を備えるので、移動部材を移動させながら演出補助部材に接近させることで、演出補助部材を移動させ、結果として被遮蔽領域の外観を変化させることができる。
なお、移動部材が演出補助部材に接近することで移動する場合としては、移動部材と演出補助部材との間に磁力が働く場合や、移動部材が演出補助部材に当接することで押進力が働く場合等が例示される。
遊技機C2又はC3において、前記切替手段は、前記駆動手段の駆動力が一の方向に生じるか、前記一の方向と反対方向である他の方向に生じるかによって、前記駆動手段の駆動力を、前記移動部材に伝達するか、前記演出部材に伝達するかを切り替える特性を有する機械的機構であることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C2又はC3の奏する効果に加え、切替手段は、駆動手段の駆動力が一の方向に生じるか、一の方向と反対方向である他の方向に生じるかによって切り替わる特性を有する機械的機構であるので、切替手段に電気的制御を要する電磁石などの電気的機構を採用する場合に比較し、制御コストを削減することができる。
遊技機C4において、前記駆動手段は第1軸を中心に回転される回転体と、その回転体から突出されると共に前記第1軸に偏心して位置するピン部材とを備え、前記移動部材は前記ピン部材を案内する案内部を備えると共に、第2軸を中心に回転され、前記回転体が1回転することで前記移動部材が前記第1位置と前記第2位置との間を1往復することを特徴とする遊技機C5。
ここで、駆動手段の駆動力が一の方向に生じるか、一の方向と反対方向である他の方向に生じるかによって切り替わる遊技機C4の構成では、駆動手段から移動部材に生じる駆動力は一方向に限定される。そのため、移動部材を往復動させる場合に、往路と復路で駆動力の方向を反転させることができない。そのため、移動部材を初期位置に復元させることを考慮すると、移動部材は、周期的な回転移動を行うものに限定され易く、結果的に移動部材の設計自由度が低くなる。
これに対し、遊技機C5によれば、遊技機C4の奏する効果に加え、移動部材は、駆動手段の駆動力が一の方向にのみ生じることで回転体が一の方向に1回転すると、移動部材が第1位置と第2位置との間を1往復することで初期位置に復元するので、移動部材が周期的な回転移動を行うものだけでなく、往復移動するものも採用可能である。よって、移動部材の設計自由度を向上させることができる。
遊技機C1からC5のいずれかにおいて、前記演出部材を前面視した場合に、前記演出部材の移動軌跡と少なくとも一部が重なって配設されると共に、前記演出部材の前面側に配設され、前記演出部材に対して相対移動することで前記演出部材の少なくとも一部であって視認可能となる部分を変化させる遮蔽部材を備えることを特徴とする遊技機C6。
遊技機C6によれば、遊技機C1からC5のいずれかの奏する効果に加え、演出部材の移動軌跡上に少なくとも一部が重なって配設されると共に、演出部材の前面側に配設される遮蔽部材を備えるので、遮蔽部材と演出部材とが相対移動すると、演出部材の遮蔽部材と重なる部分は視認不能となり、演出部材の遮蔽部材と重ならない部分は視認可能となる。よって、演出部材と遮蔽部材とを相対移動させるにつれて、演出部材の少なくとも一部であって前面視において視認可能となる部分を変化させることができるので、被遮蔽領域における外観の変化が、演出部材の視認できる部分の変化として明確に把握可能となり、演出部材が姿勢や位置を変える変化態様に比較して、被遮蔽領域の外観の変化を容易に区別することができる。
例えば、演出部材が回転軸を前後方向に有する回転体である場合のように、演出部材の移動が前面視において平面的であると、前面視で視認可能な演出部材の模様や表示は、位相違いを区別しないとすれば1種類である。一方、遮蔽部材を演出部材の前面側に配設及び固定することで、演出部材の視認可能な部分を、演出部材が移動することによって変更可能とし、そうすることで複数種類の模様や表示を演出部材で視認可能とできる。この場合、演出部材に複数種類の模様や表示を互いに離して形成しておき、演出部材の移動毎に、別々の模様や表示を視認可能とすることが考えられる。
同様に、例えば、演出部材が回転軸を前後方向に直交する平面に有する回転体であって、回転体の外周に模様や表示が形成される場合には、演出部材は前面視において常に半周分が視認されるので、半周単位で模様や表示に統一感を持たせることを考慮すると、演出部材に複数種類の表示を形成する際の自由度が低い。一方、遮蔽部材を演出部材の前面側に配設及び固定することで、演出部材の視認可能な部分を制限でき、模様や表示に統一感を持たせる単位が制限されるので、演出部材に複数種類の表示を形成する際の自由度を向上させることができる。
なお、遮蔽部材としては、移動軌跡と断続的に重なる櫛状または梯子状のものや、開口を有する板状のもの等が、例示される。
第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される第1移動部材と、その第1移動部材を移動させるための駆動力を発生する第1駆動手段と、前記第1移動部材の後面側に移動可能に配設されると共に、前記第1移動部材の配置位置に関わらず、少なくとも一部が前面視において視認可能な第2移動部材と、その第2移動部材を移動させるための駆動力を発生する第2駆動手段と、を備え、前記第1移動部材が前記第1位置に配置される場合には前記第1移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であり、前記第1移動部材が少なくとも前記第2位置に配置される場合には前面視において視認可能となる領域であると共に、前記第1移動部材が少なくとも前記第2位置に配置される場合には移動する過程における前記第2移動部材の少なくとも一部を前面視において視認可能となる領域である第1被遮蔽領域を有し、その第1被遮蔽領域の少なくとも一部の外観が前記第2移動部材の移動により変化されることを特徴とする遊技機D1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、を備え、移動部材が第1位置に配置される場合には、移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域を有する遊技機がある(例えば特開2011−182984号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、被遮蔽領域には模様や表示が配設されるのみで、遊技者に注目させる演出部分としての能力が低く、被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用しているとは言い難かった。
そこで、本願出願人は、上述の遊技機に加えて、被遮蔽領域に配設されると共に、移動部材の移動に対応して移動可能である演出部材を備え、その演出部材が移動されることで被遮蔽領域の外観が変化される遊技機を開発した(本願出願時未公知)。しかし、この場合、演出部材は被遮蔽領域の外観を変化させる目的のみで配設され、それゆえに移動部材が第1位置に配置される間においては演出部材は視認されることはできないので、演出部材が注目される形態が移動部材の配置により制限されることとなる。
これに対し、遊技機D1によれば、第1移動部材の後面側に移動可能に配設される第2移動部材は、第1移動部材の配置位置に関わらず、少なくとも一部が前面視において視認可能なので、第1移動部材が第1位置に配置される場合には第2移動部材は独立して移動される部材として視認されることができ、第1移動部材が少なくとも第2位置に配置される場合には第2移動部材は独立して移動され、かつ第1被遮蔽領域の外観を変化させる部材として視認されることができる。よって、第2移動部材は第1移動部材の配置によらず着目力を有することができる。
第1移動部材が少なくとも第2位置に配置されると、前面視において第1被遮蔽領域が視認可能となり、第1移動部材の後面側に配設される第2移動部材の少なくとも一部が、前面視において第1被遮蔽領域を通過するように第2移動部材が移動するので、第1被遮蔽領域に、移動中の第2移動部材の少なくとも一部を視認することができる。よって、第1被遮蔽領域の外観を変化させることができる。結果として、第1被遮蔽領域の演出部分としての能力を向上させ、第1被遮蔽領域を演出部分として効果的に使用することができる。
ここで、第2移動部材は第1移動部材の配置に関わらず前面視において少なくとも一部が視認可能であり、第2移動部材は第1被遮蔽領域においてのみ視認される部材ではない。そのため、第2移動部材は第1移動部材に関わらず固有の演出意図を持って移動されるので、第2移動部材に固有の第2駆動手段が配設されることは当然である。そして、第2移動部材に第2駆動手段を要することは、前面視において第1被遮蔽領域を第2移動部材が通過するか否かに関わるものではない。
ここで、本発明の特徴は、移動中の第2移動部材が前面視において第1被遮蔽領域を通過するように第2移動部材を配設したことにある。即ち、第2移動部材の移動により第1被遮蔽領域の変化を達成し、それと同時に、必要な駆動力は第2駆動手段の駆動力を流用している。よって、第1被遮蔽領域の外観を変化させるための追加の駆動手段を不要とすることができる。
なお、第1移動部材または第2移動部材の移動の態様は、特に限定されるものではなく、例えば、第1移動部材または第2移動部材が回転可能に軸支され第1移動部材または第2移動部材が回転または揺動される態様でもよく、例えば、第1移動部材または第2移動部材が平行移動される態様でもよい。
遊技機D1において、前記第2移動部材は、前記第1被遮蔽領域の少なくとも一部および前記第2移動部材の少なくとも一部が前面視において重なる第3位置と、第3位置とは異なる第4位置との間を移動可能に配設され、前記第2移動部材が前記第3位置に配置される場合には、前記第2移動部材により遮蔽されることで前面視において視認不能となる領域であり、前記第2移動部材が少なくとも前記第4位置に配置されると共に、前記第1移動部材が少なくとも前記第2位置に配置される場合には前面視において視認可能となる領域である第2被遮蔽領域を備え、前記第1被遮蔽領域と前記第2被遮蔽領域とが、前面視で少なくとも一部において重なることを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、第1被遮蔽領域と第2被遮蔽領域とが少なくとも一部が重なって視認可能なので、第1被遮蔽領域の外観を、第2移動部材が第3位置に配置されることで第1被遮蔽領域を介して第2移動部材を視認可能であると共に第2被遮蔽領域は視認不能な場合と、第2移動部材が少なくとも第4位置に配置されることで第1被遮蔽領域を介して第2被遮蔽領域を視認可能な場合とで変化させることができる。
遊技機D2において、前記第1被遮蔽領域の前記第2移動部材よりも前面側に配設され、前記第2移動部材に対応して移動すると共に、前記第2移動部材が前記第3位置に配置されると、前面視において、前記第2移動部材と少なくとも一部が重なるように形成される演出補助部材を備えることを特徴とする遊技機D3。
ここで、第2移動部材の外観は、第2移動部材が第4位置に配置されれば視認可能であるので、第1被遮蔽領域を通して第2移動部材を視認する場合の外観は予測できる場合があり、意外性に欠け、演出効果が十分であるとは言えない。
一方、遊技機D3によれば、遊技機D2の奏する効果に加え、第2移動部材が第3位置に配置されると、第2移動部材と演出補助部材とが重なって視認されるので、第1被遮蔽領域を通して第2移動部材を視認する場合の外観を、第2移動部材のみから予想できる外観とは異なったものとできる。
また、第2移動部材と演出補助部材とが対応して相対移動する場合には、第2移動部材のどの部分に演出補助部材が重なるのかが、第2移動部材が移動するにつれて変化するので、第1被遮蔽領域を通して第2移動部材を視認する場合の外観を、第2移動部材が移動するにつれて変化させることができ、第1被遮蔽領域の外観を、第2移動部材のみから予想できる外観とは異なったものにする効果を向上させることができる。
ここで、第2移動部材と演出補助部材とが対応して移動するとは、第2移動部材と演出補助部材とが、それぞれ少なくとも一部が磁性体で構成されることで、第2移動部材と演出補助部材との間に磁力が生じ、第2移動部材と演出補助部材との移動が関連付けられる場合や、第2移動部材に演出補助部材が当接することで、第2移動部材が移動するに伴い演出補助部材を押したり引いたりする場合を、意味する。
遊技機D3において、前記第2移動部材と前記演出補助部材とは、少なくとも一部が磁性体で構成され、前記第2移動部材と前記演出補助部材とが近接する際に、磁力が生じることで前記演出部材が移動することを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D3の奏する効果に加えて、第2移動部材と演出補助部材との間に生じる磁力により演出補助部材が移動されるので、第2移動部材から演出補助部材に対して直接的に力を伝達させる機械的機構を不要とできる。さらに、磁力の特性により、演出補助部材と移動部材との間隔が所定距離より小さくなると、演出補助部材と移動部材との間に急激に大きな力を生じさせることができる。この場合、演出補助部材に第2移動部材の移動速度とは対応しない加速度をもたせることができるので、演出補助部材に予想外の動きをさせることができ、演出効果を向上させることができる。
遊技機D3において、前記第2移動部材と前記演出補助部材とは、第2移動部材の移動経過中に互いに当接可能に配設され、前記第2移動部材と前記演出補助部材とが当接することで前記演出補助部材が移動されることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D3の奏する効果に加え、演出補助部材が第2移動部材に当接し、第2移動部材に押されることで移動するので、演出補助部材の設計自由度を高くすることができる。
即ち、例えば、演出補助部材を磁力で移動させる場合、演出補助部材の質量や形状が大きいと、必要な磁力は大きくなる。ここで、磁力を大きくするには、磁石の特性を向上させる必要があるが、磁石の特性を向上させると、磁石は高価になり、部品コストが増大する。よって、演出補助部材を大型化するには部品コストがかかるので、演出部材を大型化し難く、演出補助部材と第2移動部材の重なる部分を大きくすることで第2移動部材の外観を大きく変化させることは難しい。
一方、遊技機D5によれば、演出補助部材は、第2移動部材に直接的または間接的に当接されて生じる押進力により移動するので、演出補助部材の移動に第2駆動手段の駆動力を利用でき、より大きな演出補助部材を採用することができる。よって、第2移動部材の外観と、演出補助部材と第2移動部材とが重なった場合の外観とを大きく変化させることができる。
特に、例えば、第2移動部材が重力方向に移動する場合には、第2移動部材を移動させるのに第2駆動手段の駆動力はほとんど必要ないので、第2移動部材が重力方向に移動する場合に、第2駆動手段の駆動力を演出補助部材に利用することとしても、駆動手段の容量を維持することができる。
遊技機A1からA10,B1からB5,C1からC6,D1からD5のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機E1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA10,B1からB5,C1からC6,D1からD5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機E2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA10,B1からB5,C1からC6,D1からD5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機E3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
<手段>
技術的思想1記載の遊技機は、第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、を備え、前記移動部材が前記第1位置に配置される場合には、前記移動部材に遮蔽されることにより前面視において視認不能となる領域であると共に、前記移動部材が少なくとも前記第2位置に配置される場合には、前面視において視認可能となる領域である被遮蔽領域を有する遊技機において、前記被遮蔽領域に配設されると共に、前記移動部材の移動に非連動で移動可能である演出部材を備え、前記演出部材が移動されることで前記被遮蔽領域の外観が変化される。
技術的思想2記載の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記駆動手段の駆動力を、前記移動部材に伝達するか、前記演出部材に伝達するかを切り替え可能な切替手段を備え、前記演出部材は、前記駆動手段の駆動力により移動される。
技術的思想3記載の遊技機は、技術的思想2記載の遊技機において、前記被遮蔽領域に配設されるとともに、前記移動部材と接近することで移動する演出補助部材を備え、前記移動部材の移動中に、前記演出補助部材が移動することで前記被遮蔽領域の外観が変化される
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、移動部材と演出部材とを非連動で移動させることができる。よって、例えば、被遮蔽領域が視認不能な状態となるように移動部材を移動させ、その位置で移動部材を停止させたままで、予め演出部材を移動させ、被遮蔽領域の外観を変化させておき、再び移動部材を移動させることで、移動部材が被遮蔽領域を視認不能にする前とは異なった外観を被遮蔽領域において視認可能とすることや、被遮蔽領域が視認可能な状態となるように移動部材を停止させたままで、演出部材のみを独立して移動させることができる。
ここで、移動部材または演出部材の移動の態様は、特に限定されるものではなく、例えば、移動部材または演出部材が回転可能に軸支され移動部材または演出部材が回転または揺動される態様でもよく、例えば、移動部材または演出部材が平行移動される態様でもよい。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、駆動手段の駆動力の伝達を切替手段により切り替えることで、演出部材を移動させる駆動力と移動部材を移動させる駆動力とを同一の駆動手段により発生させることができるので、駆動手段の配設個数を抑制し、部品コストを削減することができる。
なお、切替手段としては、例えば、ワンウェイクラッチギア又はラチェット機構等が例示される。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想2記載の遊技機の奏する効果に加え、移動部材と接近することで移動する演出補助部材を備えるので、移動部材を移動させながら演出補助部材に接近させることで、演出補助部材を移動させ、結果として被遮蔽領域の外観を変化させることができる。
なお、移動部材が演出補助部材に接近することで移動する場合としては、移動部材と演出補助部材との間に磁力が働く場合や、移動部材が演出補助部材に当接することで押進力が働く場合等が例示される。