以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の本実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部281によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
一方、カメラ本体2は、被写体からの光束を撮像素子22、光学ファインダ235、測光センサ237および焦点検出モジュール261へ導くためのミラー系250を備える。このミラー系250は、回転軸253を中心にして被写体の観察位置と撮像位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー251と、このクイックリターンミラー251に軸支されてクイックリターンミラー251の回動に合わせて回転するサブミラー252とを備える。図1においては、ミラー系250が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮像位置にある状態を二点鎖線で示す。
ミラー系250は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮像位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
クイックリターンミラー251はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー251で反射して光学ファインダ235および測光センサ237に導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー252へ導く。これに対して、サブミラー252は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー251を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール261へ導く。
したがって、ミラー系250が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)は光学ファインダ235、測光センサ237および焦点検出モジュール261へ導かれ、撮影者により被写体が観察されるとともに、露出演算やフォーカスレンズ32の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタンを全押しするとミラー系250が撮影位置に回動し、被写体からの光束(光軸L1)は全て撮像素子22へ導かれ、撮影した画像データをカメラメモリ24に保存する。
クイックリターンミラー251で反射された被写体からの光束(光軸L2)は、撮像素子22と光学的に等価な面に配置された焦点板231に結像し、ペンタプリズム233と接眼レンズ234とを介して観察可能になっている。このとき、透過型液晶表示器232は、焦点板231上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、光学ファインダ235を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。なお、光学ファインダ235における焦点検出エリアマークなどの表示態様の詳細については後述する。
測光センサ237は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。測光センサ237で検出された信号はカメラ制御部21へ出力され、自動露出制御や被写体認識(顔認識を含む)などに用いられる。
焦点検出モジュール261は、位相差検出方式による自動合焦制御を実行する専用の焦点検出素子であり、サブミラー252で反射した光束(光軸L4)の、撮像素子22の撮像面と光学的に等価な位置に固定されている。
図2は、図1に示す焦点検出モジュール261の構成例を示す図である。本実施形態の焦点検出モジュール261は、コンデンサレンズ261a、一対の開口が形成された絞りマスク261b、一対の再結像レンズ261cおよび一対のラインセンサ261dを有する。また、図示していないが、本実施形態のラインセンサ261dは、撮像光学系の予定焦点面近傍に配置されたマイクロレンズと、このマイクロレンズに対して配置された光電変換素子とを有する画素が複数配列された画素列を備えている。フォーカスレンズ32の射出瞳の異なる一対の領域を通る一対の光束を、一対のラインセンサ261dに配列された各画素で受光することで、一対の像信号を取得することができる。そして、一対のラインセンサ261dで取得した一対の像信号の位相ずれを、後述する相関演算によって求めることにより焦点調節状態を検出することができる。
たとえば、図2に示すように、被写体Pが撮像素子22の等価面(予定結像面)261eで結像すると合焦状態となるが、フォーカスレンズ32が光軸L1方向に移動することで、結像点が等価面261eより被写体側にずれたり(前ピンと称される)、カメラボディ側にずれたりすると(後ピンと称される)、ピントずれの状態となる。
なお、被写体Pの結像点が等価面261eより被写体側にずれると、一対のラインセンサ261dで検出される一対の像信号の間隔Wが、合焦状態の間隔Wと比べて短くなり、逆に被写体Pの結像点がカメラ本体2側にずれると、一対のラインセンサ261dで検出される一対の像信号の間隔Wが、合焦状態の間隔Wに比べて長くなる。
すなわち、合焦状態では一対のラインセンサ261dで検出される像信号が、それぞれのラインセンサの中心に対して重なるが、非合焦状態ではラインセンサの中心に対して像信号がずれ、すなわち位相差が生じるので、この位相差(ずれ量)に応じた量だけフォーカスレンズ32を移動させることでピントを合わせることができる。
また、図3に示すように、光学系の撮影画面50内には、焦点検出モジュール261により焦点検出可能なエリアが焦点検出エリアAFP(第1焦点検出位置)として複数設定されている。本実施形態では、図3においてAFP1〜AFP51で示すように、51点の焦点検出エリアAFPが設けられており、それぞれの焦点検出エリアAFPが撮像素子22の撮像範囲の所定位置に対応している。焦点検出モジュール261は、各焦点検出エリアAFP1〜AFP51に対応する位置に、一対のラインセンサ261dをそれぞれ備えており、各焦点検出エリアAFPにおいて一対の像信号を取得できるようになっている。なお、焦点検出エリアAFPの個数および配置は、図3に示す態様に限定されるものではない。
また、本実施形態では、図3に示すように、焦点検出エリアAFP1〜AFP51が設定される範囲を、第1焦点検出範囲として説明する。すなわち、焦点検出モジュール261により光学系の焦点状態を検出することができる範囲を、第1焦点検出範囲として説明する。また、後述するように、本実施形態では、撮像素子22に配置された各撮像画素221から出力される一対の像信号に基づいて、位相差検出方式による焦点検出(以下、像面位相差検出ともいう。)を行うことができる。この像面位相差検出では、構成上、焦点検出モジュール261により焦点検出可能な第1焦点検出範囲よりも広い範囲において、光学系の焦点状態を検出することができる。以下においては、図3に示すように、像面位相差検出により焦点検出可能な範囲のうち、第1焦点検出範囲を除く範囲を、第2焦点検出範囲として説明する。なお、図3は、第1焦点検出範囲および第2焦点検出範囲を説明するための図である。
すなわち、本実施形態では、焦点検出モジュール261のラインセンサ261dの各画素のサイズが、撮像画素221と比べて大きく設計されているために、図3に示すように、像面位相差検出により焦点検出が可能な範囲よりも小さい第1焦点検出範囲のみにおいて焦点検出が可能となっている。一方で、焦点検出モジュール261のラインセンサ261dは、各画素のサイズが大きいため、像面位相差検出と比べて、光束の光の強さが比較的弱い場合でも、比較的高い精度で焦点検出を行うことができる。また、本実施形態では、一対のラインセンサ261dが、撮影画面50の縦方向および横方向に対応して配列されており、これにより、縦方向または横方向のいずれか一方のみにコントラストを有する被写体を検出することもできる。このように、焦点検出モジュール261は、撮像画素221の出力に基づく像面位相差検出と比べて、焦点検出が可能な範囲は狭いが、焦点状態の検出精度は高い傾向にある。なお、焦点検出モジュール261では、各画素のサイズが大きいため、撮像素子22と比べて、画素数は少なくなっている。
撮像素子22は、カメラ本体2の、被写体からの光束の光軸L1上であって、レンズ31,32,33を含む撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。本実施形態に係るシャッター23は、物理的な後幕を有しており、後幕の開閉動作を機械的に行う電子先幕シャッターとして動作することができる。また、シャッター23は、撮像素子22の露光を電気的に制御する電子シャッターとして動作することもできる。たとえば、本実施形態において、シャッター23は、カメラ制御部21の制御により、各撮像画素221から出力された一対の像信号に基づいて像面位相差検出を行う場合には電子シャッターとして動作し、一方、画像の本撮影を行う場合には電子先幕シャッターとして動作することができる。
撮像素子22は、複数の光電変換素子(撮像画素221)が二次元に配置されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどのデバイスから構成することができる。撮像素子22で光電変換された画像信号は、カメラ制御部21で画像処理されたのち、記録媒体であるカメラメモリ24に記録される。また、本実施形態では、撮像素子22で撮像された画像データを、カメラ制御部21を介して、表示部282のディスプレイに表示することもできる。なお、カメラメモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。
続いて、本実施形態に係る撮像素子22の詳細について説明する。
図4は、撮像素子22の撮像面を示す正面図である。本実施形態の撮像素子22は、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
図5(A)は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図5(B)は断面図である。一つの撮像画素221は、図5(A)に示すように、マイクロレンズ2211と、一対の光電変換部2212,2213と、図示しないカラーフィルタから構成され、図5(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2214の表面に光電変換部2212,2213が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。一対の光電変換部2212,2213は、同じ大きさで、かつマイクロレンズ2211の光軸に対して左右対称に配置されている。また、一対の光電変換部2212,2213はそれぞれ、マイクロレンズ2211により撮影光学系31の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされている。図5(B)に示すように、撮像画素221の一方の光電変換部2213は一方の光束AB1を受光する一方で、撮像画素221の他方の光電変換部2212は、マイクロレンズ2211の光軸に対して光束AB1と対称となる光束AB2を受光する。
そして、各撮像画素221の一対の光電変換部2212,2213は、一対の光束AB1,AB2を受光することで、受光する光束AB1,AB2の強度に応じた像信号を出力する。言い換えれば、光電変換部2212,2213は、光束AB1,AB2によりマイクロレンズ2211上に形成される像の強度に応じた像信号を出力する。そして、本実施形態では、撮像画素221の一対の光電変換部2212,2213から出力された像信号を加算することで、撮像画素221の画素信号が生成され、複数の撮像画素221の画素信号に基づいて画像データが生成されることとなる。
なお、図5(A)に示す撮像画素221の一対の光電変換部2212,2213は矩形状としたが、光電変換部2212,2213の形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、半円形状、多角形状にすることもできる。
次に、撮像画素221の一対の光電変換部2212,2213から出力された一対の像信号を用いた位相差方式の焦点検出について説明する。なお、以下においては、撮像画素221から出力された一対の像信号を用いた位相差検出方式の焦点検出を、像面位相差検出方式による焦点検出ともいう。
図6は、図4のVI-VI線に沿う断面図であり、撮影光軸L上に配置された撮像画素221−1と、これに隣接する撮像画素221−2が、射出瞳340の測距瞳341,342から照射される光束AB1−1,AB1−2,AB2−1,AB2−2を受光することを示す。ただし、図示していないが、その他の撮像画素についても、一対の光電変換部が一対の測距瞳341,342から照射される一対の光束を受光している。
ここで、射出瞳340とは、レンズ鏡筒3の予定焦点面に配置された撮像画素221のマイクロレンズ2211の前方Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳341,342とは、撮像画素221のマイクロレンズ2211により投影された光電変換部2212,2213の像をいう。
なお、同図において撮像画素221−1,221−2の光電変換部2212−1,2213−1,2212−2,2213−2の配列方向は一対の測距瞳341,342の並び方向と一致している。
撮像画素221のマイクロレンズ2211−1,2211−2は、レンズ鏡筒3の予定焦点面近傍に配置されており、光軸L上に配置されたマイクロレンズ2211−1により、その背後に配置された一対の光電変換部2212−1,2213−1の形状が測距瞳距離Dだけ離れた射出瞳340上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
同様に、光軸L上から離間して配置されたマイクロレンズ2211−2により、その背後に配置された一対の光電変換部2212−2,2213−2の形状が測距瞳距離Dだけ離れた射出瞳340上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
すなわち、測距瞳距離Dにある射出瞳340上で、各撮像画素221の光電変換部2212,2213の投影形状(測距瞳341,342)が一致するように各撮像画素221における光電変換部2212,2213の投影方向が決定されている。
なお、撮像画素221−1の光電変換部2212−1は、一方の測距瞳341を通過しマイクロレンズ2211−1に向かう一方のAB1−1により、マイクロレンズ2211−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。これに対して、光電変換部2213−1は、他方の測距瞳342を通過しマイクロレンズ2211−1に向かう他方の光束AB2−1により、マイクロレンズ2211−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
同様に、撮像画素221−2の光電変換部2212−2は、一方の測距瞳341を通過しマイクロレンズ2211−2に向かう一方の光束AB1−2により、マイクロレンズ2211−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。これに対して、光電変換部2213−2は、他方の測距瞳342を通過しマイクロレンズ2211−2に向かう他方の光束AB2−2により、マイクロレンズ2211−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
そして、撮像画素221の一対の光電変換部2212,2213を、図4に示すように直線状に配列し、各撮像画素221の一対の光電変換部2212,2213の出力を、測距瞳341と測距瞳342のそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳341と測距瞳342のそれぞれを通過する光束AB1,AB2が画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。この強度分布データに対し、相関演算処理又は位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる瞳分割位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
なお、上述したように、各撮像画素221から出力された一対の像信号に基づく位相差検出方式の焦点検出(像面位相差検出)では、焦点検出モジュール261による位相差検出方式の焦点検出が可能な範囲よりも広い範囲で焦点検出が行われる。具体的には、図3に示すように、焦点検出モジュール261による焦点検出では、第1焦点検出範囲において焦点検出が可能であり、像面位相差検出では、第1焦点検出範囲および当該第1焦点検出範囲よりも外側の第2焦点検出範囲において焦点検出が可能となっている。なお、第2焦点検出範囲は、絞り34によって大きさが変わる範囲である。
図1に戻り、表示部282は、画面背面に設けられた液晶ディスプレイなどであり、撮像素子22から出力された画像データを、カメラ制御部21を介して取得し、取得した画像データに基づく画像を、表示部282に備えられたディスプレイの画面に表示する。
操作部281は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチなどであり、連写撮影モード/単写撮影モードの切換や、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。操作部281により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
また、本実施形態において、操作部281は、AFエリアモードの切換え、具体的には、シングルAFモード/オートエリアAFモードの切換えが行えるようになっている。シングルAFモードとは、撮影者により選択された焦点検出エリアで焦点検出を行うモードであるのに対し、オートエリアAFモードとは、カメラ1により焦点検出エリアを選択してピントを合わせるモードである。
たとえば、カメラ制御部21は、オートエリアAFモードが設定された場合には、測光センサ237や撮像素子22の出力に基づいて、特定被写体(たとえば撮影対象である人物の顔や目)の検出を行い、特定被写体に対応する撮影画面50上のエリアを、焦点検出を行うための対象検出エリアとして設定する。たとえば、図3に示す例において、特定被写体が焦点検出エリアAFP1〜AFP51のいずれかのエリアに存在する場合には、カメラ制御部21は、特定被写体に対応する焦点検出エリアAFPを対象検出エリアとして設定する。この場合、カメラ制御部21は、焦点検出モジュール261に、対象検出エリアとして設定された焦点検出エリアAFPにおける光学系の焦点状態を検出させることができる。
また、カメラ制御部21は、図3に示す例において、焦点検出エリアAFP1〜AFP51が設定された第1焦点検出範囲内に特定被写体が存在せず、第2焦点検出範囲内に特定被写体が存在する場合には、特定被写体に対応する第2焦点検出範囲内のエリアを対象検出エリアとして設定する。ここで、図7は、対象検出エリアの設定方法を説明するための図である。たとえば図7に示す例では、特定被写体である人物の目が、焦点検出エリアAFP1〜AFP51が設定された第1焦点検出範囲内ではなく、第2焦点検出範囲内に存在する。この場合、カメラ制御部21は、図7に示すように、人物の目を特定被写体として検出し、特定被写体に対応する第2焦点検出範囲内のエリアを対象検出エリアとして設定することができる。
そして、カメラ制御部21は、第2焦点検出範囲内のエリアが対象検出エリアとして設定された場合には、対象検出エリアに対応する各撮像画素221から一対の像信号を読み出すことで、対象検出エリアに対応する光学系の焦点状態を検出する。たとえば、図7に示す例において、カメラ制御部21は、特定被写体(人物の目)に対応する複数の撮像画素221から一対の像信号を読み出し、これら一対の像信号の列データに基づいて、像面位相差検出方式による焦点検出を行う。そして、この焦点検出得結果に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させることで、特定被写体(人物の目)にピントを合わせることができる。
一方、シングルAFモードが設定されている場合には、ユーザは、操作部281を操作して、焦点検出を行うための焦点検出エリアを対象検出エリアとして設定することができる。たとえば、図3に示す例において、画面中央に設定された焦点検出エリアAFP1が対象検出エリアとして予め設定されている場合に、ユーザが操作部281に含まれるマルチセレクターを1回押下することで、焦点検出エリアAFP1の隣の焦点検出エリアAFPを、対象検出エリアとして設定することができる。このように、ユーザにより、第1焦点検出範囲内に含まれる焦点検出エリアAFPが対象検出エリアとして設定された場合には、カメラ制御部21は、焦点検出モジュール261に、ユーザが選択した対象検出エリア(焦点検出エリアAFP)における光学系の焦点状態を検出させる。
また、カメラ制御部21は、シングルAFモードが設定されている場合において、ユーザが操作部281に含まれるマルチセレクターを操作して、第2焦点検出範囲内の任意の位置を対象検出エリアとして選択した場合に、この選択された第2焦点検出範囲内の位置を対象検出エリアとして設定する。この場合、カメラ制御部21は、第2焦点検出範囲内の対象検出エリアに対応する各撮像画素221から一対の像信号を読み出すことで、対象検出エリアに対応する光学系の焦点状態を検出する。
たとえば、図7に示す例において、ユーザが人物の目にピントを合わせるために、操作部281に含まれるマルチセレクターを操作して、人物の目の位置まで対象検出エリアを移動させることで、人物の目に対応する第2焦点検出範囲内のエリアを対象検出エリアとして設定することができる。この場合、カメラ制御部21は、人物の目に対応する対象検出エリア内の各撮像画素221から一対の像信号を読み出し、読み出した一対の像信号に基づいて位相差検出方式による焦点検出を行い、この焦点検出得結果に基づいてフォーカスレンズ32を駆動させる。これにより、人物の目にピントを合わせることができる。
次に、本実施形態に係る光学ファインダ235内の対象検出エリアの表示方法について説明する。図8は、光学ファインダ235内に表示される対象検出エリアの一例を示す図である。また、図8に示す例では、シングルAFモードが設定されている場合において、ユーザが操作部281を用いて対象検出エリアを上方向に移動させている場面を例示している。なお、図8(A)〜(F)において括弧で表した線は、第1焦点検出範囲を示す枠線であり、光学ファインダ235の画面内に表示されるものである。
図8(A)は、第1焦点検出範囲内の焦点検出エリアAFP1が対象検出エリアとして設定されている場面を例示している。たとえば、本実施形態では、焦点板231上に、対象検出エリアを示す枠線を重畳することで、図8(A)に示すように、光学ファインダ235を介して対象検出エリアがユーザに視認可能となっている。
そして、図8(A)に示す場面において、ユーザが操作部281のマルチセレクターのうち上方向ボタンを一回押下することで、図8(B)に示すように、焦点検出エリアAFP1の1つ上の焦点検出エリアAFP2が対象検出エリアとして設定される。さらに、ユーザが操作部281の上方向ボタンをもう一回押下することで、図8(C)に示すように、焦点検出エリアAFP2の1つ上の焦点検出エリアAFP4が対象検出エリアとして設定される。
また、図8(C)に示すように、第1焦点検出範囲内で最も上側に位置する焦点検出エリアAFP4が対象検出エリアに設定されている場合において、ユーザが操作部281の上方向ボタンをもう一回押下すると、図8(D)に示すように、焦点検出エリアAFP4よりも上の第2焦点検出範囲内のエリアが対象検出エリアとして設定される。
そして、カメラ制御部21は、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定されている場合には、図8(D)〜(F)に示すように、マルチセレクターの方向ボタンが押される度に、対象検出エリアを一定の距離ずつ移動させることができる。また、カメラ制御部21は、第2焦点検出範囲における対象検出エリアの移動距離を小さくすることで、マルチセレクターの方向ボタンが押されている間、対象検出エリアを滑らかに移動させる構成とすることもできる。なお、図8(D)〜(F)における焦点検出エリアAFP4は、説明の便宜のために記載したものであり、光学ファインダ235に実際に表示されるものではない。
また、本実施形態では、ユーザが、焦点検出モジュール261により焦点検出が行われる第1焦点検出範囲内に対象検出エリアが設定されたか、あるいは、像面位相差検出により焦点検出が行われる第2焦点検出範囲内に対象検出エリアが設定されたかを把握できるように、対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定された場合と、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定された場合とで、対象検出エリアの表示態様を異ならせる。
たとえば、本実施形態では、対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定された場合には、図8(A)〜(C)に示すように、対象検出エリアを赤色などの第1の色で表示し、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定された場合には、図8(D)〜(F)に示すように、対象検出エリアを青色などの第1の色とは異なる第2の色で表示する態様とすることができる。
また、上記態様に限定されず、たとえば、対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定された場合には、対象検出エリアを示す枠線を点滅させずに表示し、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定された場合には、対象検出エリアを示す枠線を点滅させて表示する態様としてもよい。さらに、対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定された場合には、対象検出エリアを示す枠線を実線で表示し、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定された場合には、対象検出エリアを示す枠線を破線で表示する態様としてもよい。このように、対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定された場合と、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定された場合とで、対象検出エリアを示す枠線を、色、輝度、形状、大きさ、太さ、点滅周期のうち少なくとも1つが異なるように表示する構成とすることができる。
さらに、対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定された場合には、焦点板231の被写体像外のエリアに、対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定されたことを示す撮影情報を表示し、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定された場合には、焦点板231の被写体像外のエリアに、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定されたことを示す撮影情報を表示する態様とすることもできる。また、焦点検出モジュール261による焦点検出結果に基づいて焦点調節を行うか、像面位相差検出による焦点検出結果に基づいて焦点調節を行うかを示す撮影情報を、焦点板231の被写体像外のエリアに表示する構成としてもよい。
加えて、カメラ制御部21は、画像を本撮影する際に、第1焦点検出範囲あるいは第2焦点検出範囲内に設定された対象検出エリアの位置を示す撮影情報を画像データとともに記憶する構成としてもよい。これにより、対象検出エリアを第1焦点検出範囲内に設定し、第1焦点検出範囲における焦点検出結果に基づいてフォーカスレンズ32を駆動させて画像を撮影した場合には、撮影した画像を再生する際に、第1焦点検出範囲内に設定された対象検出エリアを赤色で表示し、一方、対象検出エリアを第2焦点検出範囲内に設定し、第2焦点検出範囲における焦点検出結果に基づいてフォーカスレンズ32を駆動させて画像を撮影した場合には、撮影した画像を再生する際に、第2焦点検出範囲内に設定された対象検出エリアを青色で表示する態様とすることができる。
さらに、画像を本撮影する際に、対象検出エリアが第1焦点検出範囲あるいは第2焦点検出範囲内に設定されたことを示す撮影情報を画像データとともに記憶する構成としてもよい。あるいは、画像を本撮影する際に、焦点検出モジュール261による焦点検出結果に基づいて焦点調節が行われたか、像面位相差検出による焦点検出結果に基づいて焦点調節が行われたかを示す撮影情報を画像データとともに記憶する構成としてもよい。これにより、画像を再生する際に、画像データとともに記憶した撮影情報を表示する態様とすることができる。
次いで、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図9は、カメラ1の動作を示すフローチャートである。
まず、ステップS101では、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの半押し操作(第1スイッチSW1のオン)が行われたか否かの判断が行なわれる。第1スイッチSW1がオンされた場合は、ステップS102に進む。一方、第1スイッチSW1がオンされていない場合は、第1スイッチSW1がオンされるまで、ステップS101で待機する。
ステップS102では、カメラ制御部21により、対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定されているか否かの判断がおこなわれる。対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定されている場合には、ステップS103に進み、一方、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定されている場合には、ステップS104に進む。
たとえば、オートエリアAFモードが設定されている場合において、特定被写体が第1焦点検出範囲で検出された場合には、ステップS103に進み、一方、図7に示すように、特定被写体が第2焦点検出範囲内で検出された場合には、ステップS104に進む。また、シングルAFモードが設定されている場合において、ユーザが操作部281を操作して、図3に示す焦点検出エリアAFP1〜AFP51の中から対象検出エリアを選択した場合には、ステップS103に進み、一方、ユーザが操作部281を操作して、図7に示すように、対象検出エリアを第1焦点検出範囲よりも外側の第2焦点検出範囲内に設定した場合には、ステップS104に進む。
ステップS103では、焦点検出モジュール261が焦点検出可能な第1焦点検出範囲内に対象検出エリアが存在すると判断されているため、焦点検出モジュール261により、第1焦点検出範囲内の対象検出エリアにおいて焦点検出が行われる。具体的には、焦点検出モジュール261は、対象検出エリアとして設定された焦点検出エリアAFPにおける光学系の焦点状態を検出する。対象検出エリアである焦点検出エリアAFPにおいて行われた焦点検出結果は、カメラ制御部21に送信され、デフォーカス量の算出が行われ、算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32が駆動される。
一方、ステップS104では、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に存在すると判断されている。上述したように、焦点検出モジュール261は第2焦点検出範囲において焦点検出を行うことができないため、ステップS104において、焦点検出モジュール261は、対象検出エリアに最も近い焦点検出エリアAFPにおいて、光学系の焦点状態を検出する。たとえば、図7に示す例において、焦点検出モジュール261は、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFP44において焦点検出を行う。対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPにおいて行われた焦点検出結果は、カメラ制御部21に送信され、デフォーカス量の算出が行われ、算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32が駆動される。
ステップS105では、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの全押し操作(第2スイッチSW2のオン)が行われたか否かの判断が行なわれる。第2スイッチSW2がオンされた場合は、ステップS106に進む。一方、第2スイッチSW2がオンされていない場合は、ステップS101に戻る。すなわち、シャッターレリーズボタンが半押しされている間は、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われるまで、焦点検出モジュール261による焦点検出と、この焦点検出結果に基づくフォーカスレンズ32の駆動が繰り返し行われる。
そして、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われると、ステップS106に進み、カメラ制御部21により、ミラー系250のミラーアップ動作と、シャッター23の開幕動作の指示が行われる。ここで、ミラーアップ動作とシャッター23の開幕動作の指示が行われると、ミラー系250およびシャッター23を動作させるためのモータが駆動を開始し、その後、モータの駆動トルクが一定値以上となることで、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作が開始される。このように、ミラーアップ動作とシャッター23の開幕動作の指示が行われてから、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作が実際に開始されるまでの間にはタイムラグが生じてしまう。
そこで、本実施形態では、ユーザによりシャッターレリーズボタンの全押し操作が行われた後も、ミラーアップ動作およびシャッター23の動作が開始されるまでは、ステップS103またはステップS104と同様に、焦点検出モジュール261による焦点検出およびこの焦点検出結果に基づくフォーカスレンズ32の駆動が行われる。そして、ミラーアップ動作およびシャッター23の動作が開始されると、ステップS107に進み、焦点検出モジュール261による焦点検出が停止される。
ステップS108では、カメラ制御部21により、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定されているか否かの判断が行われる。対象検出エリアが第1焦点検出範囲内に設定されている場合には、ステップS110に進み、ステップS103で行われた焦点検出モジュール261による焦点検出結果に応じたフォーカスレンズ位置において、画像の本撮影が行われる。
一方、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定されていると判断された場合には、ステップS109に進む。ステップS109では、カメラ制御部21により、対象検出エリアに対応する各撮像画素221から出力された一対の像信号に基づく位相差検出方式の焦点検出(像面位相差検出)が行われる。
すなわち、カメラ制御部21は、まず、対象検出エリアに対応する各撮像画素221から一対の像信号を読み出す(クロップ読み出し)。具体的には、カメラ制御部21は、光電変換部2212,2213の配列方向に並ぶ撮像画素221の列から一対の像信号の列データを取得する。そして、カメラ制御部21は、一対の像信号の列データを相関演算することで、デフォーカス量を算出し、算出したデフォーカス量に応じたレンズ駆動量を、レンズ制御部37に送信する。これにより、レンズ制御部37により、受信したレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32が駆動される。
なお、ステップS109において、像面位相差検出により光学系の焦点状態を検出できない場合には、フォーカスレンズ32を駆動させない構成とすることができる。たとえば、カメラ制御部21は、像面位相差検出によりデフォーカス量を算出できない場合、または、デフォーカス量を算出できた場合でも、デフォーカス量の信頼性が所定値未満である場合には、像面位相差検出により光学系の焦点状態を検出できないと判断し、フォーカスレンズ32を駆動させないように制御を行う。たとえば、撮像画素221が横方向に配列された一対の光電変換部2212,2213を有している場合において、被写体の横方向におけるコントラストが小さい場合に、デフォーカス量の信頼性が所定値未満となる場合がある。このような場合、ステップS104において行われた、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPでの焦点検出結果に基づいて、フォーカスレンズ32が駆動されることとなる。図7に示す例のように、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPには、対象検出エリアに対応する被写体と同じ被写体(たとえば図7に示す例では同じ人物)が存在する可能性が高く、像面位相差検出により焦点検出ができない場合でも、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPの焦点検出結果に基づいて焦点調節を行うことで、対象検出エリアに対応する被写体にピントを合わせることができる可能性を高くすることができる。
また、ステップS109において、像面位相差検出により信頼性が所定値以上のデフォーカス量を算出することができ、像面位相差検出により光学系の焦点状態が検出された場合であっても、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPにおいて算出されたデフォーカス量に応じてフォーカスレンズ32を駆動させた後に、対象検出エリアにおいて像面位相差検出により算出されたデフォーカス量が所定値以上となる場合には、フォーカスレンズ32を駆動させない構成とすることができる。
すなわち、図7に示す例のように、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFP44に対応する被写体(人物の首部)と、対象検出エリアに対応する被写体(人物の目部)とが同一の人物である場合には、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFP44に対応する被写体(人物の首部)の像面位置と、対象検出エリアに対応する被写体(人物の目部)の像面位置とは比較的近い位置関係となる。そのため、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPにおいて算出したデフォーカス量に応じてフォーカスレンズ32を駆動させた後に、対象検出エリアにおいてデフォーカス量を算出した場合、算出したデフォーカス量は比較的小さくなる。
一方、たとえば、図7に示す例において、対象検出エリアに対応する被写体が人物の背景(たとえば、人物の手よりも上の位置)であり、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPがAFP4である場合、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFP4に対応する被写体(人物の手部)の像面位置と、対象検出エリアに対応する被写体(人物の背景)の像面位置とは比較的遠い位置関係となる。そのため、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFP4において算出したデフォーカス量に応じてフォーカスレンズ32を駆動させた状態で、対象検出エリアにおいてデフォーカス量を算出した場合、算出したデフォーカス量は比較的大きくなる。
そこで、本実施形態では、像面位相差検出により算出されたデフォーカス量が所定値以上である場合には、対象検出エリアに対応する被写体と、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPに対応する被写体とは全く異なる被写体(たとえば別の人物や、人物と背景など)であると判断し、像面位相差検出より算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させない構成とすることができる。これにより、シャッターレリーズボタンの全押し操作後に、シャッターレリーズボタンの全押し前にピントを合わせた被写体にピントが合わなくなってしまうことを有効に防止することができる。また、シャッターレリーズボタンの全押し操作後に、フォーカスレンズ32が大きく駆動してしまうことで、レリーズタイムラグが大きくなってしまうことを有効に防止することができる。
そして、フォーカスレンズ32の駆動が完了し、対象検出エリアにおける光学系の焦点状態が合焦状態になると、ステップS110に進み、画像の本撮影が行われる。そして、ステップS111では、カメラ制御部21により、ミラーダウン動作およびシャッター閉幕動作の指示が行われる。
ステップS112では、カメラ制御部21により、連写撮影モードが設定されているか否かの判断が行われる。連写撮影モードが設定されている場合には、ステップS102に戻り、再度、ステップS102からステップS111までの処理が繰り返される。一方、連写撮影モードが設定されていない場合には、図9に示すカメラ1の動作を終了する。
続いて、カメラ1の動作を時系列に沿って説明する。ここで、図10および図11は、カメラ1の動作の一例を説明するための図である。なお、図10および図11においては、図7に示すように、対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定されている場面におけるカメラ1の動作を例示している。また、図10および図11においては、連写撮影モードが設定されている場面におけるカメラ1の動作を例示している。
まず、図10に示すように、時刻t1において、ユーザによりシャッターレリーズボタンの半押し操作が行われると(ステップS101)、焦点検出モジュール261は、一対のラインセンサ261dにおいて一対の光束を受光し、受光した光束に応じた電荷の蓄積を開始する。また、焦点検出モジュール261は、時刻t2において、蓄積した電荷に応じた一対の像信号を出力し、カメラ制御部21に転送する。これにより、カメラ制御部21は、時刻t3において、転送された信号に基づいてデフォーカス量を算出し、算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動を開始する(ステップS104)。
なお、図10に示す場面例では、図7に示すように対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定されているため(ステップS102=No)、時刻t2においては、図7に示す焦点検出エリアAPF1〜AFP51のうち、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFP44に対応する一対の像信号が出力され、時刻t3においては、焦点検出エリアAFP44に対応する一対の像信号に基づいて、デフォーカス量が算出される(ステップS104)。
また、本実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し操作が行われた後(ステップS101=Yes)、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われるまで(ステップS105=No)、焦点検出モジュール261による焦点検出が繰り返し行われる。たとえば、図10に示す例では、時刻t1で焦点検出モジュール261による焦点検出が行われた後、時刻t4および時刻t5においても、焦点検出モジュール261による焦点検出が繰り返し行われる。
そして、図11に進み、時刻t6において、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われると(ステップS105=Yes)、カメラ制御部21により、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作が指示される(ステップS106)。これにより、ミラー系250およびシャッター23を動作させるためのモータに駆動信号が送信される。その結果、モータの駆動が開始され、モータのトルクが一定値以上となることで、時刻t7において、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作が開始される。
一方、本実施形態では、時刻t6において、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われた後も、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作が開始されるまでの間に、焦点検出モジュール261による焦点検出が行われる。そして、時刻t7において、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作が開始されると、焦点検出モジュール261による焦点検出の停止処理が行われる(ステップS107)。
さらに、時刻t8において、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作が完了すると、撮像素子22の各撮像画素221から出力された一対の像信号に基づいて、像面位相差検出が行われる(ステップS109)。すなわち、時刻t8において、撮像素子22において受光した光束に応じた電荷の蓄積が行われ、時刻t9において、蓄積した電荷に応じた一対の像信号がカメラ制御部21に転送され、カメラ制御部21により、デフォーカス量が算出される。なお、上述したように、本実施形態では、像面位相差検出を行う際に、対象検出エリアに対応する撮像画素221のみから一対の像信号を読み出すことで、像信号の転送およびデフォーカス量の算出に要する時間を短縮することができる。また、撮像素子22に対応する全ての撮像画素221のうち、対象検出エリアと同じ高さ位置(縦位置)にある撮像画素221の列(横一列全体)から一対の像信号を読み出して、位相差検出方式による焦点検出を行う構成としてもよい。
そして、時刻t10では、時刻t9で算出したデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われる。なお、時刻t7において、焦点検出モジュール261の焦点検出結果に基づいてフォーカスレンズ32を駆動させたことにより、時刻t10において、対象検出エリアにおける光学系の焦点状態が既に合焦状態となっている場合には、像面位相差検出に基づくフォーカスレンズ32の駆動は行われない。たとえば、カメラ制御部21は、時刻t9で算出したデフォーカス量が所定値以下である場合には、合焦状態であると判断することができる。これにより、像面位相差検出の結果に基づくレンズ駆動に要する時間を省略することができるため、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われてから本撮影が行われるまでのレリーズタイムラグを短縮することができる。
そして、像面位相差検出による焦点検出結果に基づくレンズ駆動が完了すると、時刻t11において、本撮影のための撮像素子22の露光が行われる(ステップS110)。なお、本撮影では撮像素子22内の各撮像画素221で露光が行われ、各撮像画素221において光電変換部2212,2213の出力が合算されることで、それぞれの撮像画素221の出力として読み出される。
また、本実施形態では、本撮影を行う際に、シャッター23が、電子先幕シャッターとして動作する。すなわち、シャッター23は、像面位相差検出を行う際には、電子シャッターとして動作し、本撮影を行う際には、電子先幕シャッターとして動作する。ここで、仮に、像面位相差検出時および本撮影時において、シャッター23を、後幕の機械的な駆動を伴う電子先幕シャッターとして動作させた場合、ユーザがレリーズボタンを全押ししてから本撮影が行われるまでにシャッター音が二度発生することとなり、ユーザに違和感を与えてしまう場合がある。これに対して、本実施形態においては、像面位相差検出を行う際には、シャッター23を電子シャッターとして動作し、本撮影を行う際には、シャッター23を電子先幕シャッターとして動作させることで、ユーザがレリーズボタンを全押ししてから本撮影が行われるまでにシャッター音が一度のみ発生することとなるため、ユーザに違和感を与えてしまうことを防止することができる。さらに、本実施形態では、本撮影時に、シャッター23を電子先幕シャッターとして動作させることで、撮像画像のローリング歪みを軽減することができる。
そして、撮像素子22の露光の開始後、カメラ制御部21は、ミラーダウン動作およびシャッター閉幕動作を指示することで(ステップS111)、シャッタースピートに応じたタイミングで、シャッター23の後幕の閉幕動作を行い、蓄積した電荷に応じた像信号をカメラ制御部21に転送する。これにより、撮像画像が生成され、生成された撮像画像がカメラメモリ24に保存される。
さらに、図11に示す例では、連写撮影モードが選択されているため(ステップS112=Yes)、ミラーダウン動作が完了した時刻t12において、再度、焦点検出モジュール261による焦点検出が行われ、この焦点検出結果に基づく焦点調節が行われる(ステップS104)。そして、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作の指示が行われ(ステップS106)、ミラーアップ動作およびシャッター23の開幕動作が完了した時刻t13において、像面位相差検出による焦点検出が行われ、この焦点検出結果に基づく焦点調節が行われる(ステップS109)。また、その後、図11に示していないが、画像の本撮影が行われる(ステップS110)。
このように、本実施形態では、連写撮影モードが設定されている場合には、焦点検出モジュール261による焦点検出結果に基づく焦点調節、ミラーアップ動作およびシャッター開幕動作、像面位相差検出による焦点検出結果に基づく焦点調節、画像の本撮影、ミラーダウン動作およびシャッター閉幕動作が繰り返し行われる。
以上のように、本実施形態に係るカメラ1は動作する。
このように、本実施形態に係るカメラ1は、焦点検出モジュール261により第1焦点検出範囲において位相差検出方式による焦点検出が可能であり、像面位相差検出により第1焦点検出範囲および第2焦点検出範囲において位相差検出方式による焦点検出が可能となっている。そして、焦点検出を行うための対象検出エリアが第2焦点検出範囲内に設定されている場合には、シャッターレリーズボタンの半押し操作が行われると、対象検出エリアに最も近い焦点検出エリアAFPにおいて、焦点検出モジュール261による焦点検出が行われ、その後、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われると、対象検出エリアにおいて撮像面位相差検出が行われる。これにより、本実施形態では、レリーズボタンの全押し操作が行われる前に、対象検出エリアの近傍の焦点検出エリアに対応する被写体に高い精度でピントを合わせることができ、レリーズボタンの全押し操作が行われた場合には、第2焦点検出範囲内の対象検出エリアに対応する被写体にある程度ピントが合っている状態で、第2焦点検出範囲内の対象検出エリアにおける焦点検出を行うことができるため、第2焦点検出範囲内の対象検出エリアにおける光学系の焦点検出をより適切に検出することができる。その結果、第2焦点検出範囲内の対象検出エリアに対応する被写体に適切にピントを合わせることができる。
また、図7に示す例のように、対象検出エリアから最も近い焦点検出エリアAFPは、対象検出エリアに対応する被写体と同じ被写体(たとえば図7に示す例では同じ人物)に対応している可能性が高いため、シャッターレリーズボタンの全押し操作前に、対象検出エリアに対応する被写体と同じ被写体にピントを合わせられる可能性が高くなる。そして、シャッターレリーズボタンの全押し操作前に、対象検出エリアに対応する被写体と同じ被写体にピントを合わせることができた場合には、像面位相差検出による焦点検出結果に基づくフォーカスレンズ32の駆動量を小さくすることができ、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われてから本撮影が行われるまでのレリーズタイムラグを短くすることができる。たとえば、図7に示す例では、シャッターレリーズボタンの半押し操作により、特定被写体である人物の目と同じ被写体の人物の首にピントを合わせることができる。これにより、シャッターレリーズボタンの全押し操作が行われた場合には、被写体の首に対応するレンズ位置から被写体の目に対応するレンズ位置へとフォーカスレンズ32を駆動させることとなるため、シャッターレリーズボタンの半押し操作後のフォーカスレンズ32の駆動量を小さくすることができ、レリーズタイムラグを短くすることができる。
さらに、本実施形態では、シャッターレリーズボタンの全押し操作後に、焦点検出モジュール261による焦点検出結果に基づく焦点調節が行われる。これにより、本実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し操作とシャッターレリーズボタンの全押し操作をほぼ同時に行う一気押し操作が行われた場合や、シャッターレリーズボタンの全押し操作後に被写体が移動した場合などでも、被写体にピントを適切に合わせることができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態では、図3に示すように、焦点検出エリアAFP1〜AFP51を含む連続した範囲を第1焦点検出範囲として設定する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、焦点検出エリアAFP1〜AFP51からなる離散的な範囲を第1焦点検出範囲として設定し、焦点検出エリアAFP1〜AFP51以外の範囲を第2焦点検出範囲として設定する構成とすることができる。すなわち、隣接する焦点検出エリアAFP1〜AFP51の間の範囲においては、第2焦点検出範囲として、像面位相差検出による焦点検出が行われることとなる。また言い換えると、カメラ制御部21は、焦点検出エリアAFP1〜AFP51を含む連続した範囲を第1焦点検出範囲とした場合に、この第1焦点検出範囲のうち、焦点検出エリアAFP1〜AFP51に該当しない位置(第3焦点検出位置)において、像面位相差検出による焦点検出を行うこととなる。この場合、たとえば、人物の目などの特定被写体が、焦点検出エリアAFP1と焦点検出エリアAFP2との間に位置する場合には、対応する撮像画素221から出力された一対の像信号に基づいて像面位相差検出を行うことで、特定被写体にピントを適切に合わせることができる。
また、この場合、シングルAFモードにおいては、ユーザが操作部281のマルチセレクターを操作することで、隣接する焦点検出エリアAFP間のエリアを対象検出エリアとして設定する構成とすることができ、またオートエリアAFモードにおいては、隣接する焦点検出エリアAFP間に特定被写体が存在する場合に、その特定被写体に対応するエリアを対象検出エリアとして設定する構成とすることができる。また、焦点検出エリアAFP間のエリアを対象検出エリアとして設定し、当該対象検出エリアにおいて、像面位相差検出による焦点検出を行った場合には、当該焦点検出エリアの位置を示す撮影情報を、画像データとともに記憶する構成とすることができる。そして、当該撮像画像を再生する際に、焦点検出エリアAFP間の対象検出エリアを示す撮影情報を、焦点検出エリアAFPにおいて焦点検出を行った場合の撮影情報とは異なる表示態様で表示する構成とすることができる。たとえば、焦点検出エリアAFP間の対象検出エリアにおいて焦点検出を行った場合と、焦点検出エリアAFPにおいて焦点検出を行った場合とで、対象検出エリアの位置を示す枠線の色、輝度、形状、大きさ、太さ、点滅周期のうち少なくとも1つが異なって表示されるように、撮影情報を記憶することができる。
さらに、上述した実施形態では、連写撮影モードが設定されている場合には、レリーズボタンの全押し操作後に、焦点検出モジュール261による焦点検出結果に基づく焦点調節と、像面位相差検出による焦点検出結果に基づく焦点調節とを繰り返す構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、像面位相差検出による焦点検出結果に基づく焦点調節のみを繰り返し行う構成としてもよい。ここで、フォーカスレンズ32の駆動開始時およびフォーカスレンズ32の駆動停止時においては、フォーカスレンズ32の駆動速度が一時的に遅くなる。そのため、焦点検出モジュール261による焦点検出結果に基づく焦点調節と、像面位相差検出による焦点検出結果に基づく焦点調節とを繰り返す場合、1回の撮影において、フォーカスレンズ32の駆動開始と駆動停止とが2回となり、その分、フォーカスレンズ32の駆動時間が長くなってしまう。これに対して、像面位相差検出の焦点検出結果に基づく焦点調節のみを繰り返す場合には、1回の撮影において、フォーカスレンズ32の駆動開始および駆動停止が1回のみとなるため、その分、焦点調節に要する時間を短くすることができる。
また、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンの全押し操作後に、焦点検出モジュール261による焦点検出結果に基づく焦点調節と、像面位相差検出による焦点検出結果に基づく焦点調節とを行う構成を例示したが、この構成に限定されず、シャッターレリーズボタンの全押し操作後に、像面位相差検出による焦点検出結果に基づく焦点調節のみを行う構成としてもよい。この場合も、シャッターレリーズボタンの全押し操作後において、フォーカスレンズ32の駆動開始および駆動停止を1回のみとすることができるため、その分、シャッターレリーズボタンの全押し操作後の焦点調節にかかる時間を短くすることができる。
さらに、本実施形態では、本撮影を行う際に、シャッター23を電子先幕シャッターとして動作させる構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、本撮影を行う際に、シャッター23を電子シャッターとして動作させる構成としてもよい。
加えて、上述した実施形態では、図11に示すように、ミラーアップ動作が完了して(図11の時刻t8)から、像面位相差検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、焦点検出モジュール261による焦点検出結果に基づくレンズ駆動が完了した後であれば、ミラーアップ動作によりミラー系250がバウンドしているタイミングから、像面位相差検出を行う構成とすることができる。