JP6559455B2 - クランプ装置 - Google Patents
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Description
具体的には、第一の発明は、ボデー内に軸受を介して回転可能に軸支された回転体の外周面をクランプする工作機械用のクランプ装置において、回転体の外方に間隔を開けて同軸に設けられたクランプ部材と、流体圧若しくは弾性力との組み合せによって、駆動力を発生させるシリンダと、シリンダの駆動力によって、軸方向に往復駆動可能なピストンと、が、夫々前記回転体を覆った状態で設けられ、且つ、夫々前記回転体の軸線と同一線上に設けられた略円環状部材からなっており、クランプ部材が、一端に外周面において径方向外方に突出し、対応するシリンダに固定されるフランジ部と、それに連なる他端に外周方向に等分の複数のスリット状の切欠き部を有し、この切欠き部の切欠き残部が径方向内方に屈曲可能な弾性爪壁をなしている円筒部とよりなり、弾性爪壁の先端の外周が、接触部よりなり、弾性爪壁の内周面が、クランプ部よりなり、ピストンが、径方向内方に接触部を押圧する押圧部よりなり、接触部若しくは押圧部のどちらか一方若しくは両方がテーパ形状であることを特徴とする。
上記構成によれば、複数の切欠き部により切欠き残部である弾性爪壁が、径方向内方に弾性変形を容易にすることが可能である。
また、クランプ時にクランプ部材のフランジ部が弾性変形した際に、弾性爪壁の先端の接触部を力点、クランプ部を作用点、フランジ部の弾性変形の起点を支点とした、テコの原理を作用させている。
すなわち、流体圧若しくは弾性体によって軸方向にピストンを駆動すると、ピストンの押圧部でクランプ部材の接触部を押圧し、クランプ部材が径収縮方向に弾性変形することでクランプ部材の内周面に備えられたクランプ部で回転体を径方向からより強固にクランプし回転不能に固定することができる。
第二の発明は、切欠き部が、円筒部からフランジ部の径方向外方に跨って形成されていることを特徴とする。
上記構成によれば、切欠き部が円筒部からフランジ部の径方向外方まで跨ることで、より弾性変形しやすくなる。また、より弾性変形しやすくなるため、円筒部の軸方向の長さを短くすることができ、クランプ装置のコンパクト化が可能となる。
第三の発明は、フランジ部が、円周方向に沿って形成された複数の長穴を有していることを特徴とする。
上記構成によれば、弾性爪壁の径収縮方向、及びフランジ部の軸方向への弾性変形を容易にすることができる。
第四の発明は、接触部と前記押圧部との間に転動体を備えることを特徴とする。
上記構成によれば、ピストンの推力を、転動体を介することで点接触や線接触によって伝達し、クランプ部材のクランプ部を押圧するため、摩擦による損失を小さくすることができる。
第五の発明は、フランジ部は、弾性変形可能な変形部をさらに備え、クランプ状態において、接触部に力が発生する部位と変形部との軸方向における距離L 11 と、クランプ部に力が発生する部位と変形部との軸方向における距離L 12 とが、L 11 >L 12 であることを特徴とする。
図1は、本発明の実施形態1の回転テーブル100を示した断面図であり、回転テーブル100は、主にマシニングセンターに搭載され、取り付けられたワークを所定の角度に回転割出するものである。本実施形態1では、本発明のクランプ装置の実施の一例として回転テーブル100を例に説明していく。
フランジ部10aは、クランプ部材10の一端に外周面において径方向外方に突出し、対応する第2のシリンダ13に固定されている。
また、フランジ部10aは、端面に円周方向に沿って複数の長穴10gが形成されており、長穴10gの近傍には、弾性変形可能な変形部10hを有している。
一方、円筒部10bは、フランジ部10aに連なった円筒形状であり、その他端に外周方向に等分の複数の切欠き部10cを有し、この切欠き部10cの切欠き残部が夫々径方向内方に屈曲可能な弾性爪壁10dをなしている。
切欠き部10cは、円筒部からフランジ部の径方向外方に跨って形成されている。
また、このフランジ部まで跨って形成されている切欠き部10cの終端にも、上述の長穴10gが連設されている。
弾性爪壁10dの先端の外周は、全周に亘って接触部10eが形成されており、また、弾性爪壁10dの内周面は、全周に亘って夫々凸設されたクランプ部10fが形成されている。
また、接触部10eと押圧部11aは夫々テーパ形状となっている。
また、第1のシリンダ12と第2のシリンダ13との間には、ピストン11が回転軸Jの軸方向に水平移動可能にスピンドル102と同軸となるように配置されている。
また、ピストン11を介して第1のシリンダ12側は、第1の流体圧室12aを区画しており、一方、第2のシリンダ13側は、第2の流体圧室13aを区画しており、夫々のシリンダから夫々の流体圧室にエアが供給されることでピストン11が往復駆動可能となっている。
図3は、図1のクランプ装置1の動作状態を説明する部分断面図で、(a)がアンクランプ状態、(b)が動作途中状態、(c)がクランプ状態の断面図を夫々示している。
なお、ここでは、クランプが行われておらず、スピンドル102が回転可能な状態を「アンクランプ状態」、ピストン11がクランプ部材10に当接し、クランプ部材10が弾性変形をしていない状態を「動作途中状態」、そして、クランプが行われ、スピンドル102が回転不能に固定されている状態を「クランプ状態」と定義する。
また、図3に矢視で示しているように、左方向矢視をクランプ方向、一方、右方向矢視をアンクランプ方向と定義する。
図4は、図3の(b)動作途中状態と、(c)クランプ状態の拡大詳細断面図である。
回転テーブル100のクランプ動作は、例えば、図3(a)から、図3(b)、さらに図3(c)といった流れで行われる。
エア圧の供給が継続されると、ピストン11はクランプ方向に移動していき、図3(b)の動作途中状態で示すように、ピストン11の押圧部11aがクランプ部材10の接触部10eと当接する。
すなわち、この力F10によって、クランプ部材10の接触部10eが径方向内方に押圧される。
さらに、クランプ部材10は、切欠き10cと長穴10gも有しているため、容易に弾性変形することが可能となる。
この弾性変形は、クランプ部材10の内周面に備えられたクランプ部10fが、スピンドル102の外周と当接した状態である、図3(c)に示すクランプ状態となるまで継続する。
ここで、力F11とクランプ部材10の変形部10hとの距離はL11であり、力F12とクランプ部材10の変形部10hとの距離はL12となっている。
つまり、力と距離の関係は、F11×L11=F12×L12であり、F12に着目すると、F12=F11×L11/L12となる。
すなわち、L11はL12よりも距離が大きいため、力F12は力F11に対して、所謂テコの原理によって増力されている。
したがって、この増力された力F12によって、クランプ部10fはスピンドル102の外周を押圧し、スピンドル102を固定している。
まず、図3(c)のクランプ状態において、第2の流体圧室13aにエア圧が供給されると、ピストン11がアンクランプ方向(図面右方)に移動する。
このとき、ピストン11がアンクランプ方向に移動すると、径収縮方向に弾性変形していたクランプ部材10は、径方向外方に復元力が働き径拡大していく。
クランプ部材10の弾性変形が完全に復元されると、図3(b)の動作途中状態となる。
さらに、エア圧の供給が継続されると、ピストン11の押圧部11aがクランプ部材10のテーパ形状の接触部10eから離れ、ピストン11は図3(a)のアンクランプ状態となるまで移動する。
また、切欠き10cが円筒部10bからフランジ部10aまで有していることで、円筒部10bの軸方向の長さが短くても弾性変形しやすい形状となっている。それによって、コンパクトなクランプ装置1を提供することができる。
次に、実施形態2の回転テーブル100について、図5と図6を用いて説明する。図5は実施形態2の回転テーブル100における図1相当図である。また、図6は実施形態2のクランプ装置の動作状態を説明する部分断面図で、(a)がアンクランプ状態、(b)がクランプ状態の断面図である。
尚、実施形態1と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
また、実施形態1との主な変更点は、スプリングなどによる戻り機構を設けた、単動シリンダにしている点、転動体を有した点、クランプ部材10をシリンダと一体とした点である。以下に詳細な説明をしていく
クランプ部材10は、スピンドル102の外方に間隔を開けて同軸に設けられており、フランジ部10aと円筒部10bとで構成されている。
また、フランジ部10aは、後述のフランジ部10aに跨って形成される切欠き部10cの近傍に弾性変形可能な変形部10hを有している。
一方、円筒部10bは、フランジ部10aに連なった円筒形状であり、その他端に外周方向に等分の複数の切欠き部10cを有し、この切欠き部10cの切欠き残部が夫々径方向内方に屈曲可能な弾性爪壁10dをなしている。
切欠き部10cは、円筒部からフランジ部の径方向外方に跨って形成されている。
弾性爪壁10dの外周は、全周に亘って転動体30と接触する接触部10eを備えており、また、弾性爪壁10dの内周面は、クランプ部10fが形成されている。
また、ピストン21の端面には、後述のスプリング31が内設可能な凹部21aが設けられている。
転動体30は、球体であって、ピストン21の押圧部11aと、第1のシリンダ22の接触部10eと、第2のシリンダ23との間に備えられている。
図6は、実施形態2のクランプ装置の動作状態を説明する部分断面図で、(a)がアンクランプ状態、(b)がクランプ状態の断面図を夫々示している。
回転テーブル100のクランプ動作は、例えば、図6(a)から図6(b)といった流れで行われる。
押圧された転動体30は、第2のシリンダ23の端面と当接し、第1のシリンダ22の接触部10eを押圧する。このとき、ピストン21の押圧部11aはテーパ形状になされているために、矢印で示す向きのピストン推力P20は、くさび効果によって矢印で示す力F20に増力される。
また、このとき球体である転動体30を介することによって、摩擦による損失が少なくなっており、力F20の損失が少なくなっている。
この弾性変形は、クランプ部材10の内周面に備えられたクランプ部10fが、スピンドル102の外周と当接した状態である、図6(b)に示すクランプ状態となるまで継続する。
ここで、力F21とクランプ部材10の変形部10hとの距離はL21であり、力F22とクランプ部材10の変形部10hとの距離はL22となっている。
つまり、力と距離の関係は、F21×L21=F22×L22であり、F22に着目すると、F22=F21×L21/L22となる。
すなわち、L21はL22よりも距離が大きいため、力F22は力F21に対して、所謂テコの原理により増力されている。
したがって、この増力された力F22によって、クランプ部10fはスピンドル102の外周を押圧し、スピンドル102を固定する。
まず、図6(b)のクランプ状態において、第1の流体圧室22aへのエア圧が供給されなくなると、スプリング31の復元力によって、ピストン21がアンクランプ方向(図面左方)に移動を開始する。
このとき、ピストン21がアンクランプ方向に移動すると、径収縮方向に弾性変形していたクランプ部材10は、力F21が働かなくなることによって、転動体30から押圧されなくなり、径方向外方に復元力が働き径拡大していく。
ピストン21は、クランプ部材10の弾性変形が完全に復元されるまで、アンクランプ方向に移動し、図6(a)のアンクランプ状態となるまで移動する。
以上のように、2つの実施形態を説明したが、本発明は、その目的の範囲を逸脱しない限りにおいて、適宜変更してもよく、この実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態1〜2は、回転テーブルでの例を示しているが、本発明は回転テーブルのような割出しを行う装置に限らず、回転体を備え、また固定する必要のある工作機械に利用することができる。
また、流体圧は、エア圧で実施しているが、油圧であっても構わない。
また、クランプ部10fは全周に亘って凸設されているが、これに限らず、弾性爪壁10dの一部が凸設されていても構わないし、半球状であっても構わないし、これに限定するものではない。
また、本実施形態1では接触部10eと押圧部11aとを夫々テーパ形状とし、本実施形態2では押圧部11aをテーパ形状としているが、接触部10e若しくは押圧部11aのどちらか一方若しくは両方がテーパ形状であっても構わない。
また、本実施形態1では、第1のシリンダ12を第2のシリンダ13にボルトで固定し、第2のシリンダ13をボデー101にボルトで固定する構造としているが、これに限らず、第1のシリンダ12をボデー101に固定しても良いし、第1のシリンダ12や第2のシリンダ13がボデー1と一体となっていても良く、固定手段を限定するものではない。
さらに、本実施形態2では、転動体30を球体としているが、ころ等の、点接触や線接触するものであれば構わない。
また、クランプ部材10が弾性変形部分を径方向箇所であるフランジ部10aにおいて弾性変形するようになされていることによって、装置を軸方向に短くすることができる。
また、クランプ部材10が軸方向に短いことによって、クランプ時に回転体に回転トルクが加わった際の、クランプ部材10のねじれを少なくできる。
また、クランプ時にクランプ部材10が径方向に収縮する際に、クランプ部材10のフランジ部10aが軸方向へ弾性変形しながらクランプ部10fが径方向へ収縮することによって、ピストン推力による径方向の力だけでなく、軸方向の力も利用してクランプ部材10を弾性変形させることとなり、ピストン推力を最大限利用することができる。
また、クランプ部材10の弾性変形が容易にできることによって、クランプ時に弾性変形しているクランプ部材10の径拡大方向への反力が小さくなり、径収縮方向への力を大きくできることによって、大きなクランプを得ることができる。
また、ピストンを駆動する流体がエア圧等の低圧の流体であっても、クランプ部材10を弾性変形させ、大きなクランプ力を得ることができる。
また、クランプ時にテコの原理が作用し、増力することによって、ピストンを駆動する流体が低圧の流体であっても、大きなクランプ力を得ることができる。
また、ピストンの推力を転動体の点接触や線接触によって伝達し、面接触よりも摩擦による損失を小さくしていることによって、大きなクランプ力を得ることができる。
また、クランプ装置はシンプルな構造となっているため、部品点数も少なく安価に製造することができる。
10 クランプ部材
10a フランジ部
10b 円筒部
10c 切欠き部
10d 弾性爪壁
10e 接触部
10f クランプ部
10g 長穴
10h 変形部
11、21 ピストン
11a 押圧部
12、22 第1のシリンダ
13、23 第2のシリンダ
30 転動体
31 スプリング
100 回転テーブル
101 ボデー
102 スピンドル
J 回転軸
Claims (5)
- ボデー内に軸受けを介して回転可能に軸支された回転体の外周面をクランプする工作機械用のクランプ装置において、
前記回転体の外方に間隔を開けて同軸に設けられたクランプ部材と、
流体圧若しくは弾性力との組み合せによって、駆動力を発生させるシリンダと、
前記シリンダの駆動力によって、軸方向に往復駆動可能なピストンと、
が、夫々前記回転体を覆った状態で設けられ、且つ、夫々前記回転体の軸線と同一線上に設けられた略円環状部材からなっており、
前記クランプ部材が、一端に外周面において径方向外方に突出し、対応する前記シリンダに固定されるフランジ部と、それに連なる他端に外周方向に等分の複数のスリット状の切欠き部を有し、該切欠き部の切欠き残部が夫々径方向内方に屈曲可能な弾性爪壁をなしている円筒部とよりなり、
前記弾性爪壁の先端の外周が、接触部よりなり、
前記弾性爪壁の内周面が、クランプよりなり、
前記ピストンが、径方向内方に前記接触部を押圧する押圧部よりなり、
前記接触部若しくは押圧部のどちらか一方若しくは両方がテーパ形状であることを特徴とする、クランプ装置。 - 前記切欠き部が、円筒部からフランジ部の径方向外方に跨って形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のクランプ装置。
- 前記フランジ部が、円周方向に沿って形成された複数の長穴を有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のクランプ装置。
- 前記接触部と前記押圧部との間に転動体を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のクランプ装置。
- 前記フランジ部は、弾性変形可能な変形部をさらに備え、
クランプ状態において、
前記接触部に力が発生する部位と変形部との軸方向における距離L 11 と、
前記クランプ部に力が発生する部位と変形部との軸方向における距離L 12 とが、
L 11 >L 12
であることを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。
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