以下、図面を参照して、一実施形態に係る対象者特定装置について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、対象者特定装置は実施形態の構成には限定されない。
以下、図1から図11の図面に基づいて、対象者特定装置を説明する。
<実施例1>
本願の発明者は、食事に伴う心拍の特徴が、食事の量や食事で取得する食物の消化のし
易さ等に拘らず、一定の範囲に収まる傾向にあり、且つ、食事に伴う心拍の特徴に個人差がみられることを見出した。そして、本願の発明者は、複数の対象者から取得した、食事に伴う心拍の特徴を比較することで、対象者の体格(身長・体重)、年齢、性別、人種等の情報、月・年単位の24時間のサーカディアンリズムデータ等の情報を用いることなく、個人の特定に役立つことを見出した。
以下、図1A−1Dに例示の図面を参照し、本実施形態の生体特徴としての食事に伴う心拍の特徴について説明する。図1Aに、食事開始後に出現する心拍数変化の説明図を例示する。図1Aは、食事開始後の心拍数の変化をグラフ化したものであり、縦軸は単位時間当たりの心拍数を表し、横軸は食事開始直前からの経過時刻(時間)を表す。
図1Aに例示のように、対象者の食事行為に伴い、食事開始後の心拍数の変化には、時間経過に伴って心拍数が上昇(増加)して下降(減少)に転ずる2つのピークが存在する。なお、食事開始時(Ts)から、時間経過に伴って先行する心拍数のピークを“第1ピーク”、後行する心拍数のピークを“第2ピーク”とする。また、“第1ピーク”を含む所定の領域を“第1ピーク領域A1”とし、“第2ピーク”を含む所定の領域を“第2ピーク領域A2”とする。なお、所定の領域については、図2Aで後述する。
図1Aに例示の、食事開始後に出現する心拍数の2つのピークについて、第1ピークは、食事行為に伴う心拍上昇であり、例えば、食道の蠕動運動に起因する心拍数上昇と推定される。また、第2ピークは、例えば、食事行為により取得した取得物(食物等)に対する消化器官(胃腸等)内の消化活動に起因する心拍数上昇と推定される。このため、食事行為や蠕動運動、及び、消化活動には、以下の(a)−(c)について個人差が生ずる傾向にある。
以下では、心拍数の変化とその個人差を説明する上で、この推定に基づいて例示する。
(a)消化の速度
図1Bに、消化活動等に伴う心拍数変化の説明図を例示する。図1Bの説明図は、図1Aに例示の説明図と同様に、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を食事開始直前からの経過時刻(時間)として、食事開始後の心拍数の変化をグラフ化したものである。なお、図1C、1Dの説明図についても同様である。
図1Bに例示の説明図において、曲線C1は消化の速度が速い対象者の心拍数の変化を表し、曲線C2は消化の速度が遅い対象者の心拍数の変化を表している。また、横軸と平行する破線BL1は、心拍数のベースラインを表す。ここで、ベースラインとなる心拍数値は、例えば、対象者の食事開始前の10分間、1時間等の所定期間の心拍数の平均値を例示できる。また、例えば、ベースラインとなる心拍数値は、対象者の食事開始時の心拍数、第1ピークと第2ピークとの間で最小となる心拍数が例示できる。心拍数のベースラインの設定については、複数の対象者について共通する設定方法であればよい。
曲線C1と曲線C2との心拍数の変化を比較すると、曲線C1では、相対的に第2ピークに至るまでの期間が短く、第2ピーク後のベースラインBL1として設定された心拍数値に至るまでの期間が短い傾向にある。言い換えれば、曲線C1では、心拍数の第2ピークに到達するまでの上昇する速度(上昇速度)が速く(急な傾斜)であり、第2ピークからベースラインBL1に到達する速度(回復速度)が速い(急な傾斜)傾向にある。
また、曲線C1では、第2ピークの心拍数に至るまでの変化幅が相対的に大きい傾向にある。さらに、食事開始時刻(Ts)から第2ピークとなる心拍数に到達するまでの期間T1が短く、食事開始時刻(Ts)から第2ピーク後のベースラインBL1に到達する期間T2が短い傾向にある。
上記傾向が生じるのは、消化の速度が速い対象者では、例えば、胃腸内における消化液等が大量に分泌されると共に、胃腸等への血流量が急上昇し、後に急下降するためと推定される。このため、消化の速度が速い対象者では、消化の速度が遅い対象者と比較して、消化活動中の間に短期間で消化に係る多大なエネルギーが消費されることとなる。消化の速度が速い対象者の場合では、エネルギー消費に追従して、短期的な心拍数の変化が起こりやすい傾向となる。
(b)消化に係るエネルギー
図1Cに、消化活動等に伴う、心拍数変化の説明図を例示する。図1Cに例示の説明図において、曲線C3は消化に係るエネルギー(消化エネルギー)が高い対象者の心拍数の変化を表し、曲線C4は消化に係るエネルギーが低い対象者の心拍数の変化を表している。
曲線C3と曲線C4との心拍数の変化を比較すると、曲線C3では相対的に第2ピークの心拍数が高く、心拍数の変化として上昇しやすい傾向にある。また、曲線C3では、第2ピーク領域A2の心拍数の総面積が相対的に大きく、第2ピークに至るまでの最大変化幅が相対的に大きくなる傾向にある。
上記傾向が生じるのは、消化に係るエネルギーが高い対象者では、例えば、消化時に分泌される消化液の総量が大きく、胃腸等への血流量が消化活動の期間全体を通して高いためと推定される。このため、消化に係るエネルギーが高い対象者では、消化に係るエネルギーが低い対象者と比較して、消化活動の期間全体を通して消費される総エネルギー量が大きくなる。消化に係るエネルギーが高い対象者の場合では、消化活動期間中に変化した心拍数の総和が高くなる傾向となる。
(c)蠕動運動と消化活動の活動負荷比
図1Dに、消化活動等に伴う、心拍数変化の説明図を例示する。図1Dに例示の説明図において、曲線C5は消化活動の活動負荷比が高い対象者の心拍数の変化を表し、曲線C6は消化活動の活動負荷比が低い対象者の心拍数の変化を表している。ここで、活動負荷比とは、対象者の蠕動運動に係る総エネルギーと消化活動に係る総エネルギーとの比を表す。
曲線C5と曲線C6との心拍数の変化を比較すると、曲線C5では、消化時の総エネルギー(第2ピーク領域A2の面積)が高く、蠕動運動時の総エネルギー(第1ピーク領域A1の面積)が低い傾向にある。また、曲線C5では、第1ピーク領域A1の面積に対す
る、第2ピーク領域A2の面積の面積比が相対的に高い傾向にある。消化活動の活動負荷比が高い対象者の場合では、消化のための総エネルギーが高く、蠕動運動のための総エネルギーが低くなる傾向となる。なお、第1ピーク領域A1、第2ピーク領域A2の面積については、図2Aで説明する。
(a)−(c)で説明したように、食事開始後に出現する2つの心拍数変化のピークには、対象者の蠕動運動、及び、消化活動等に起因する特徴的な傾向が表れる。このため、例えば、食事開始後に出現する2つの心拍数変化のピークに対する特徴量を用いることにより、複数の候補者の中から個人を特定するための候補者の絞り込みが可能となる。以下、複数の候補者から絞り込まれる個人(正解)を対象者と呼ぶ。
(a)−(c)で説明した、食事開始後に出現する2つの心拍数変化のピークについて、例えば、次の(1)−(4)の特徴量が定義できる。図1E、1Fに、本実施形態で定義する、食事開始後に出現する2つの心拍数変化のピークについての特徴量(1)−(4
)の説明図を例示する。なお、図1E、1Fは、昼食時の食事開始後の心拍数の変化をグラフ化したものであり、縦軸は単位時間当たりの心拍数を表し、横軸は食事開始直前からの経過時刻(時間)を表す。
図1Eに例示の説明図は、昼食時の食事開始後に出現する2つの心拍数変化のピークについての特徴量(1)、(2)についての説明図である。(a)−(c)で説明したように、対象者毎に蠕動運動と消化活動の活動負荷比が異なるため、例えば、図1Eに例示のように、食事開始後の第1ピーク領域A1と第2ピーク領域A2の面積比を特徴量(特徴量(1))とすることができる。なお、第1ピーク領域A1、第2ピーク領域A2の面積については、図2Aで説明する。
また、対象者毎に蠕動運動、消化活動の特徴が異なるため、例えば、図1Eに例示のように、第1ピークと第2ピークについて、それぞれのピーク時の最大心拍数値P1、P2を特徴量(特徴量(2))とすることができる。なお、第1ピークと第2ピークについて、それぞれのピーク時の最大心拍数値を“振幅”とも称す。
図1Fに例示の説明図は、昼食時の食事開始後に出現する2つの心拍数変化のピークについての特徴量(3)、(4)についての説明図である。(a)−(c)で説明したように、対象者毎に蠕動運動、消化活動の特徴が異なるため、例えば、図1Fに例示のように、第1ピークと第2ピークのそれぞれについて、最大心拍数値P1、P2に至る心拍数の上昇速度を特徴量(特徴量(3))とすることができる。
また、同様にして、例えば、図1Fに例示のように、第1ピークと第2ピークのそれぞれについて、最大心拍数値P1、P2からの心拍数が回復する回復速度を特徴量(特徴量(3))とすることができる。なお、第1ピークと第2ピークについて、それぞれの上昇速度、回復速度を包括した特徴量として“応答速度”とも称す。また、第1ピークと第2ピークについて、それぞれの上昇速度を“上昇応答速度”、回復速度を“回復応答速度”とも称す。なお、第1ピークと第2ピークのそれぞれについての各種応答速度の詳細については、図2C−2Fで説明する。
また、図1Fに例示のように、第1ピークと第2ピークのそれぞれについて、対象者毎に蠕動運動、消化活動の特徴が異なるため、例えば、食事開始時(Ts)からの各種応答時間を特徴量(特徴量(4))とすることができる。第1ピークの各種応答時間として、例えば、食事開始時(Ts)から最大心拍数値P1に到達するまでの経過時間(t1)、食事開始時(Ts)から、最大心拍数値P1に到達した心拍数が回復するまでの経過時間(t2)とすることができる。また、第2ピークの各種応答時間として、例えば、食事開始時(Ts)から最大心拍数値P2に到達するまでの経過時間(t3)、食事開始時(Ts)から、最大心拍数値P2に到達した心拍数が回復するまでの経過時間(t4)とすることができる。
なお、各種応答時間についての食事開始時(Ts)からの大小関係は、t1<t2<t3<t4の関係となる。ここで、各ピークについて、食事開始時(Ts)から最大心拍数値に到達するまでの経過時間を“上昇応答時間”、食事開始時(Ts)から最大心拍数値P1に到達した心拍数が回復するまでの経過時間を“回復応答時間”とも称す。なお、第1ピークと第2ピークのそれぞれについての各種応答速度の詳細については、図2G−2Hで説明する。
本実施形態では、例えば、食事開始後の第1ピーク領域A1、第2ピーク領域A2について定義される特徴量(1)を検出することで、複数の候補者の心拍に係る生体特徴を絞り込むことが可能となる。また、同様に、食事開始後の第1ピーク、第2ピークのそれぞ
れについて定義される特徴量(2)−(4)の少なくとも一つの特徴量を検出することで、複数の候補者の心拍に係る生体特徴を絞り込むことが可能となる。例えば、特徴量(1)−(4)の中の少なくとも1つの特徴量を複数の候補者の中から対象者を絞り込むためのパラメータとして用いることができる。次に、特徴量(1)−(4)の検出等について説明する。
[特徴量(1)の検出]
図2Aに、食事開始後の第1ピーク領域A1と第2ピーク領域A2の面積比である特徴量(1)の検出についての説明図を例示する。図2Aに例示の説明図は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を食事開始直前からの経過時刻(時間)として、食事開始後の心拍数の変化をグラフ化したものである。
図2Aに例示の説明図において、第1ピーク領域A1の面積(S1)は、例えば、食事期間(Ta1)における心拍数の上昇幅の合計とすることができる。ここで、食事期間(Ta1)とは、例えば、破線で示すように、食事開始時(Ts)から、上昇した心拍数が第1ピークを過ぎ、ベースライン心拍数(BL1)まで回復する期間を例示できる。なお、ベースライン心拍数(BL1)については、例えば、対象者の食事開始時の心拍数、または、食事開始前の10分間、1時間等の所定期間の心拍数の平均値とすることができる。ベースライン心拍数の設定については、第1ピーク領域A1の面積(S1)を算出するための、複数の対象者について共通する設定方法であればよい。
なお、第1ピーク領域A1は、対象者の蠕動運動に影響されるため、食事開始後から上昇した心拍数が第1ピークを過ぎてベースライン心拍数(BL1)まで回復しないケースが想定される。このため、食事期間(Ta1)として、例えば、食事開始時(Ts)から変化した心拍数が、第1ピークと第2ピークとの間で最小となる心拍数となるまでの期間としてもよい。また、食事期間(Ta1)は、対象者の蠕動運動に影響されるため、食事開始時(Ts)からの経過時間として、食事終了時刻に蠕動運動に費やされる一定期間(例えば、10−20分)を加えた期間としてもよい。食事期間(Ta1)の設定についても、ベースライン心拍数の設定と同様に、第1ピーク領域A1の面積(S1)を算出するための、複数の対象者について共通する設定方法であればよい。
第2ピーク領域A2の面積(S2)は、例えば、食後期間(Ta2)における心拍数の上昇幅の合計とすることができる。ここで、食後期間(Ta2)とは、例えば、第1ピーク領域A1の食事期間(Ta1)の終了時刻から、上昇した心拍数が第2ピークを過ぎ、ベースライン心拍数(BL1)まで回復する期間を例示できる。
なお、第2ピーク領域A2は、対象者の消化活動に影響されるため、食事開始後から上昇した心拍数が第2ピークを過ぎてベースライン心拍数(BL1)まで回復しないケースが想定される。このため、食後期間(Ta2)として、例えば、消化活動に費やされる一定期間(例えば、4時間前後)を区切りとしてもよい。例えば、第1ピーク領域A1の食事期間(Ta1)の終了時刻から、消化活動に費やされる一定期間を食後期間(Ta2)とすることができる。食後期間(Ta2)の設定についても、食事期間(Ta1)の設定と同様に、第2ピーク領域A2の面積(S2)を算出するための、複数の対象者について共通する設定方法であればよい。
特徴量(1)は、第1ピーク領域A1で算出された面積(S1)と第2ピーク領域A2で算出された面積(S2)から、“S1/S2”により検出することができる。
[特徴量(2)の検出]
図2Bに、第1ピークと第2ピークについての各振幅である特徴量(2)の検出につい
ての説明図を例示する。図2Bに例示の説明図は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を食事開始直前からの経過時刻(時間)として、食事開始後の心拍数の変化をグラフ化したものである。
図2Bに例示の説明図において、第1ピークの振幅は、例えば、食事期間(Ta1)における最大心拍数値(P1)として検出することができる。また、同様に、第2ピークの振幅は、例えば、食後期間(Ta2)における最大心拍数値(P2)として検出することができる。
なお、第1ピークの振幅は、例えば、食事期間(Ta1)における、図2Aに例示の、ベースライン心拍数(BL1)からの心拍数上昇幅の最大値を検出するとしてもよい。また、同様にして、第2ピークの振幅は、例えば、食後期間(Ta2)における、図2Aに例示の、ベースライン心拍数(BL1)からの心拍数上昇幅の最大値を検出するとしてもよい。
なお、第2ピークは対象者の消化活動に影響されるため、例えば、食後期間(Ta2)における最大心拍数値(P2)を検出する時間帯を、消化活動が最も活発となると想定される時間帯に限定するとしてもよい。消化活動が最も活発になるであろう時間帯は、例えば、食事開始時(Ts)から30−80分後の期間が例示できる。
[特徴量(3)の検出]
図2C−2Fに、第1ピークと第2ピークについての各種応答速度である特徴量(3)の検出についての説明図を例示する。図2C−2Fに例示の説明図は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を食事開始直前からの経過時刻(時間)として、食事開始後の心拍数の変化をグラフ化したものである。
図2Cは第1ピークの上昇応答速度の検出の説明図であり、図2Dは第1ピークの回復応答速度の検出の説明図である。図2C、2Dの破線丸囲み内には、第1ピークの振幅である最大心拍数P1が存在する。また、図2C、2Dの破線で示される矩形領域は、食事期間(Ta1)を表す。同様に、図2Eは第2ピークの上昇応答速度の検出の説明図であり、図2Fは第2ピークの回復応答速度の検出の説明図である。図2E、2Fの破線丸囲み内には、第2ピークの振幅である最大心拍数P2が存在する。また、図2E、2Fの破線で示される矩形領域は、食後期間(Ta2)を表す。
図2Cに例示の説明図において、第1ピークの上昇応答速度は、例えば、食事期間(Ta1)における最大心拍数(P1)に到達した時刻を基準として、食事開始時(Ts)からの心拍数の上昇変化の速度として検出できる。例えば、食事開始時刻(Ts)から最大心拍数(P1)に到達した時刻までの期間を“近似対象期間(Ts_P1)”とする(図
2Cの一点鎖線で囲まれる領域)。そして、近似対象期間(Ts_P1)における心拍数
の推移を抽出し、抽出した心拍数の推移に対して、例えば、一次関数等による関数近似を行う。そして、例えば、近似対象期間(Ts_P1)の心拍数の推移に近似された関数の
傾きを求め、該傾きを第1ピークの上昇応答速度として検出することができる。
同様にして、第1ピークの回復応答速度を検出することができる。図2Dに例示の説明図において、例えば、第1ピークの回復応答速度は、食事期間(Ta1)の最大心拍数(P1)に到達した時刻から、食事終了後の一定期間を経過するまでの心拍数の回復変化の速度として検出できる。例えば、最大心拍数(P1)の到達した時刻から、食事終了後の一定期間を経過するまでの期間を“近似対象期間(Ta1_P1)”とする(図2Dの一
点鎖線で囲まれる領域)。ここで、食事終了後の一定期間とは、例えば、5分間といった分単位の期間が例示できる。
そして、近似対象期間(Ta1_P1)における心拍数の推移を抽出し、抽出した心拍
数の推移に対して、例えば、一次関数等による関数近似を行う。そして、例えば、近似対象期間(Ts_P1)の心拍数の推移に近似された関数の傾きを求め、該傾きを第1ピー
クの回復応答速度として検出することができる。
次に、図2E、2Fの説明図を参照し、第2ピークについての上昇応答速度、回復応答速度の検出を説明する。第2ピークの上昇応答速度、及び、回復応答速度は、例えば、食後期間における最大心拍数(P2)に到達した時刻を基準として検出することができる。
図2Eに例示の説明図において、第2ピークの上昇応答速度は、例えば、食後期間(Ta2)における最大心拍数(P2)に到達した時刻を基準として、食後期間(Ta2)の開始時刻(食事期間の終了時刻)からの心拍数の上昇変化の速度として検出できる。例えば、食後期間(Ta2)の開始時刻から最大心拍数(P1)に到達した時刻までの期間を“近似対象期間(Ta2_P2)”とする(図2Eの一点鎖線で囲まれる領域)。そして
、近似対象期間(Ta2_P2)における心拍数の推移を抽出し、抽出した心拍数の推移
に対して、例えば、一次関数等による関数近似を行う。そして、例えば、近似対象期間(Ta2_P2)の心拍数の推移に近似された関数の傾きを求め、該傾きを第2ピークの上
昇応答速度として検出することができる。
また、図2Fに例示の説明図において、例えば、第2ピークの回復応答速度は、食後期間(Ta2)で最大心拍数(P2)に到達した時刻から、消化終了時刻までの心拍数の回復変化の速度として検出できる。消化終了時刻は、例えば、食後期間(Ta2)の終了時刻とすることができる。例えば、食後期間(Ta2)で最大心拍数(P2)の到達した時刻から、食後期間の終了時刻までの期間を“近似対象期間(TP2_a2)”とする(図
2Fの一点鎖線で囲まれる領域)。そして、近似対象期間(TP2_a2)における心拍
数の推移を抽出し、抽出した心拍数の推移に対して、例えば、一次関数等による関数近似を行う。そして、例えば、近似対象期間(TP2_a2)の心拍数の推移に近似された関
数の傾きを求め、該傾きを第2ピークの回復応答速度として検出することができる。
[特徴量(4)の検出]
図2G−2Hに、第1ピークと第2ピークについての各種応答時間である特徴量(4)の検出についての説明図を例示する。図2G−2Fに例示の説明図は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を食事開始直前からの経過時刻(時間)として、食事開始後の心拍数の変化をグラフ化したものである。図2Gは第1ピークの上昇応答時間、回復応答時間の検出の説明図であり、図2Hは第2ピークの上昇応答時間、回復応答時間の検出の説明図である。
図2Gの説明図において、短破線で囲まれた領域は食事期間(Ta1)を表し、短破線で囲まれた領域での破線丸囲みには、第1ピークの振幅である最大心拍数P1が存在する。第1ピークの上昇応答時間は、例えば、食事期間(Ta1)の開始時刻(食事開始時刻(Ts))から、食事期間(Ta1)における最大心拍数(P1)に到達した時刻までの時間として検出できる。
また、第1ピークの回復応答時間は、例えば、食事期間(Ta1)における最大心拍数P1に到達した時刻から、心拍数がベースライン心拍数(BL1)に回復するまでの時間として検出できる。なお、第1ピークは、対象者の蠕動運動に影響されるため、第2ピークに到達するまでの間にベースライン心拍数(BL1)まで回復しないケースが想定される。このため、例えば、図2Dで説明した特徴量(3)の、第1ピークの回復応答速度を使用し、第1ピークの回復応答時間を求めるとしてもよい。
図2Dで説明した第1ピークの回復応答速度は、例えば、第1ピーク後の回復する心拍数の推移から近似された近似関数の傾きとして検出される。つまり、図2Gに例示するように、第1ピークの心拍数(最大心拍数P1)から近似関数の傾きで推移する心拍数の時間変化が、ベースライン心拍数(BL1)に到達するまでの経過時間を第1ピークの回復応答時間として検出すればよい。
図2Gの説明図では、最大心拍数P1と交差した心拍数の回復変化を表す近似関数の、ベースライン心拍数(BL1)に到達するまでの経過時間が、“回復応答時間”として例示されている。なお、一点鎖線の丸囲みは、最大心拍数P1と交差した回復変化を表す近似関数とベースライン心拍数(BL1)との交差点を表す。第1ピークの回復応答時間は、例えば、食事期間(Ta1)での最大心拍数P1とベースライン心拍数(BL1)との差分心拍数を求め、該差分心拍数を第1ピークの回復応答速度である近似関数の傾きで除算することで検出できる。
同様にして、第2ピークの上昇応答時間、回復応答時間を検出することができる。図2Hの説明図において、短破線で囲まれた領域は食事期間(Ta1)、食後期間(Ta2)を表し、食後期間(Ta2)の破線丸囲みには、第2ピークの振幅である最大心拍数P2が含まれる。第2ピークの上昇応答時間は、例えば、食事期間(Ta1)の開始時刻(食事開始時刻(Ts))から、食後期間(Ta2)における最大心拍数(P2)に到達した時刻までの時間として検出できる。
また、第2ピークの回復応答時間は、例えば、食後期間(Ta2)における最大心拍数P2に到達した時刻から、心拍数がベースライン心拍数(BL1)に回復するまでの時間として検出できる。ここで、第2ピークは、対象者の消化活動に影響されるため、第2ピーク以降にベースライン心拍数(BL1)まで回復しないケースが想定される。このため、例えば、図2Fで説明した特徴量(3)の、第2ピークの回復応答速度を使用し、第2ピークの回復応答時間を求めるとしてもよい。
図2Fで説明した第2ピークの回復応答速度は、例えば、第2ピーク後の回復する心拍数の推移から近似された近似関数の傾きとして検出される。つまり、図2Hに例示するように、第2ピークの心拍数(最大心拍数P2)から近似関数の傾きで推移する心拍数の時間変化が、ベースライン心拍数(BL1)に到達するまでの経過時間を第2ピークの回復応答時間として検出すればよい。
図2Hの説明図では、最大心拍数P2に交差した心拍数の回復変化を表す近似関数の、ベースライン心拍数(BL1)に到達するまでの経過時間が、“回復応答時間”として例示されている。なお、一点鎖線の丸囲みは、最大心拍数P2と交差した回復変化を表す近似関数とベースライン心拍数(BL1)との交差点を表す。第2ピークの回復応答時間は、例えば、食後期間(Ta2)での最大心拍数P2とベースライン心拍数(BL1)との差分心拍数を求め、該差分心拍数を第2ピークの回復応答速度である近似関数の傾きで除算することで検出できる。
以上で説明した、対象者の食事開始後の第1ピーク、第2ピークに対し検出される特徴量(1)−(4)について、対象者を絞り込むためのパラメータとして纏めたテーブル例を図2Jに例示する。
図2Jに例示のテーブル例では、「心拍特徴量」カラムには、対象者の食事開始後の第1ピーク、第2ピークに対し検出される特徴量(1)−(4)が格納されている。「心拍特徴量」カラムに格納された“面積比”は、特徴量(1)の第1ピーク領域A1の面積(
S1)と第2ピーク領域A2の面積(S2)の面積比に対応する。同様に、“振幅”は、特徴量(2)の、第1ピークの最大心拍数P1、及び、第2ピークの最大心拍数P2に対応する。
また、図2Jのテーブル例では、「心拍特徴量」カラムに格納された“応答速度”は、特徴量(3)の、第1ピーク、第2ピークのそれぞれについての各種応答速度に対応する。すなわち、第1ピークについては、第1ピークの上昇応答速度、回復応答速度が対応し、第2ピークについては、第1ピークの上昇応答速度、回復応答速度が対応する。「心拍特徴量」カラムに格納された“応答時間”は、特徴量(4)の、第1ピーク、第2ピークのそれぞれについての各種応答時間に対応する。すなわち、第1ピークについては、第1ピークの上昇応答時間、回復応答時間が対応し、第2ピークについては、第1ピークの上昇応答時間、回復応答時間が対応する。
図2Jに例示の4種11個の特徴量を、例えば、候補者毎の心拍の特徴を表すパラメータとして取得し、取得した候補者に対応付けてデータベース(DB:data base)として管
理する。そして、対象者の絞り込み等が生じた場合には、データベースに格納された、対象者が含まれる各候補者から取得した4種11個の特徴量のパラメータと、対象者から取得した4種11個の中の何れか一つのパラメータとの照合を行う。対象者から取得した心拍の特徴を表す特徴量とデータベースに格納された該特徴量との照合を行うことにより、複数の候補者の中から、対象者として見做し得る候補者を絞り込むことが可能となる。
なお、食事に伴う心拍数の変化は、例えば、食事の時間帯や人体の24時間のサーカディアンリズムの影響を受けると推定される。このため、例えば、図2Jに例示の特徴量を、複数の時間帯に対応付けて管理するとしてもよい。そして、対象者の絞り込みを行う場合には、時間帯毎の特徴量との照合を行うとしてもよい。時間帯毎の特徴量を用いることで、対象者の生活習慣に対応した絞り込みを行うことが可能となる。
特徴量を取得する時間帯の区切りとして、例えば、朝食、昼食、夕食、夜食の4種の時間帯に切り分けることが例示できる。4種の時間帯に区切る場合、例えば、5:00−11:00の時間帯を朝食、11:00−17:00の時間帯を昼食、17:00−24:00の時間帯を夕食、24:00−5:00の時間帯を夜食のそれぞれに対応する時間帯とすることができる。
[対象の絞り込み]
次に、図2Kの図面を参照し、対象者の食事開始後の第1ピーク、第2ピークについて検出された心拍の特徴量(1)−(4)を表す、4種11個のパラメータを用いた、対象者の絞り込みについて説明する。図2Kは、4種11個のパラメータの中で、第2ピークの回復速度と第1ピークの振幅を用いて各特徴量を対応付けたプロット例である。図2Kの縦軸は第2ピークの回復速度を表し、横軸は第1ピークの振幅を表す。特徴量の取得対象者数は4名であり、特徴量を取得したサンプル数は8サンプルであり、特徴量の取得対象となった時間帯は昼食時間帯(11:00−17:00)である。
図2Kに例示の説明図において、矩形領域Z1は候補者Aについて検出された各特徴量(第2ピークの回復速度、第1ピークの振幅範囲)のサンプルの検出範囲を表す。同様にして、矩形領域Z2は候補者B、矩形領域Z3は候補者C,矩形領域Z4は候補者Dについて検出された各特徴量のサンプルの検出範囲を表す。
図2Kに例示のように、各候補者から検出された特徴量のサンプルは、所定の検出範囲にバラつくため、例えば、検出された各サンプルの最大値、最小値で対応付けられる範囲領域(矩形領域Z1−Z4)を有することとなる。そして、サンプルがバラつく範囲領域
から特定される矩形領域は、候補者毎に固有の領域となることが判る。
例えば、図2Kの例では、候補者Aの特徴量の検出範囲である矩形領域Z1は相対的に広い範囲領域であり、候補者Cの特徴量の検出範囲である矩形領域Z3は相対的に狭い範囲領域である。候補者Aの、第2ピークの回復速度と第1ピークの振幅範囲との関係では、検出値が広範囲にわたりグルーピングされる傾向があり、一方、候補者Cの、同関係では、検出値が狭い範囲に纏まってグルーピングされる傾向にあることが判る。
また、例えば、図2Kの例では、候補者Aの矩形領域Z1、候補者Cの矩形領域Z3、候補者Dの矩形領域Z4は、重複する領域範囲を有するが、候補者Bの矩形領域Z3は、他者の矩形領域Z1,Z2、Z4の何れとも重複することはない。候補者Bの矩形領域Z3は、他者の特徴量の検出範囲から相対的に外れていることが判る。このため、候補者A、C、Dは、第2ピークの回復速度と第1ピークの振幅範囲との関係において、検出された特徴量によっては他者との絞り込みが困難となる場合があることが判る。一方、候補者Bは、少なくとも第2ピークの回復速度と第1ピークの振幅範囲との関係において、検出された特徴量に対し、相対的に高い合致度で候補者Bとの絞り込みを行うことが可能となる。
例えば、図2Kの“×”印で示される特徴量が検出された場合では、複数の候補者A−Dの中で、検出された特徴量の対象者は、相対的に高い合致度で候補者Bに対応付けることが可能となる。
このように、複数の候補者の中から絞り込みを行う場合、例えば、予め取得した心拍の特徴量(1)−(4)を表す、4種11個の各パラメータについて検出された特徴量の最大値、最小値で対応付けられる範囲領域を候補者毎に特定する。そして、特定された4種11個の各パラメータの領域範囲と、対象者から検出した特徴量との照合を行う。対象者から検出した特徴量が、例えば、候補者毎に特定された固有の領域範囲内に検出された場合には、該当する候補者を対象者と見做し得る候補者として抽出できる。
以上、図2Kの説明図では、可視化される表現の都合により、4種11個の中の2つの特徴量(パラメータ)を使用して、候補者毎に検出される特徴量の範囲が固有であることを説明した。候補者毎に検出された、4種11個の各特徴量の範囲領域をさらに複数に組合せることで(最大11パラメータの組合せ)、候補者毎の特有な範囲領域を明確化することが可能となる。例えば、図2Kの説明例で、重複する範囲領域を有する候補者A、C、Dの各特徴量をさらに明確化することが可能となり、検出された特徴量について候補者A、C、D間の絞り込みを行うことが可能となる。
図2Lに、パラメータ数を増やした場合の特徴量の領域範囲の説明図を例示する。図2L(1)は、図2Kに例示の候補者C、Dについて、面積比及び第2ピークの回復速度の特徴量を用いた場合の範囲領域の説明図である。図2L(1)の縦軸は面積比、横軸は第2ピークの回復速度を表し、特徴量のサンプル数は、昼食時間帯を対象とした8サンプルである。図2L(2)は、候補者C、Dについて、さらに第1ピーク振幅の特徴量を追加した場合の範囲領域の説明図である。図2L(2)の説明図では、第1ピーク振幅を表す基準軸が追加され、面積比、第2ピークの回復速度、第1ピーク振幅による3軸の特徴量空間が形成されている。
図2L(1)に例示のように、検出された各特徴量(面積、第2ピークの回復速度)のサンプルの最大値、最小値から、候補者Cでは矩形領域Z5の範囲領域が形成され、候補者Dでは矩形領域Z6の範囲領域が形成される。候補者Cの矩形領域Z5と候補者Dの矩形領域Z6とは、例えば、面積比が“0.04”となる近傍で重複する領域を有すること
が判る。そして、候補者Cの矩形領域Z5の大半は、面積比が粗“0.04”以下の範囲であるのに対し、候補者Dの矩形領域Z6の大半は、面積比が粗“0.04”以上の範囲であることが判る。
例えば、矩形領域Z5、Z6の重複する領域について、以下の数式(A)、(B)により重複率(%)、検出された特徴量についての判定不能率(%)を求めるとする。
重複率(%):(2×(重複している領域))/((矩形領域Z5)+(矩形領域Z6))・・・数式(A)
判定不能率(%):(重複している領域で検出されたサンプル数)/(候補者Cのサンプル数+候補者Dのサンプル数)・・・数式(B)
ここで、各矩形領域は、候補者毎の、サンプルデータの存在範囲を含む最小の矩形(左上点、左下点)として例示できる。なお、数式(A)における“領域”とは、例えば、使用する特徴量が1つであれば、該特徴量のバラつき(分布)の範囲幅(最大値−最小値)となる。また、使用する特徴量が2つであれば、例えば、各特徴量のバラつきの範囲幅を掛合せた(組合せた)2次元の面積量として表現され、使用する特徴量が3つであれば、各特徴量のバラつきの範囲幅を掛合せた3次元の体積量として表現される。
図2L(1)の候補者C,Dについて検出された特徴量に、数式(A)、(B)による重複率(%)、判定不能率(%)を適用すると、例えば、重複率:17.0(%)となり、判定不能率:17.6(%)となる。
次に、図2L(1)について、第1ピーク振幅を特徴量として追加した場合では、候補者に特有な特徴量の領域は、図2L(2)に例示のように、面積比、第2ピークの回復速度、第1ピーク振幅による3軸の特徴量空間で表現されることとなる。図2L(2)に例示のように、検出された各特徴量(面積、第2ピークの回復速度、第1ピーク振幅)のサンプルの最大値、最小値から、候補者Cでは領域Z7が形成され、候補者Dでは領域Z8が形成される。
図2L(2)の候補者C,Dについて検出された特徴量に、数式(A)、(B)による重複率(%)、判定不能率(%)を適用した場合、重複率:10.0(%)、判定不能率:11.8(%)となる。候補者毎に検出された4種11個の特徴量について、各人に固有の特徴量範囲を特定するために使用する特徴量の数を“2”→“3”に増加した場合、重複率、判定不能率が改善(数値の低下)されることが判る。
このように、候補者毎に検出された、4種11個の各特徴量の範囲領域をさらに複数に組合せることで(最大11パラメータの組合せ)、候補者間で重複する領域をさらに減少させることが可能となり、重複率、判定不能率の改善が可能となる。つまり、複数の候補者の中から対象者として見做し得る候補者の抽出精度を向上させることが可能となる。
なお、絞り込みを行う際に使用する各パラメータの範囲領域は、例えば、目的に応じて照合範囲を設定することが可能である。例えば、図2Kに例示の説明図では、候補者Aについての矩形領域Z1では、候補者C,Dと重複しない領域が存在し、候補者Dについての矩形領域Z4では、候補者Cと重複しない領域が存在する。例えば、図2Kに例示の、第2ピークの回復速度について照合する領域範囲を“−4”−“−7”の範囲、第1ピークの振幅を“80”−“100”の範囲に設定することにより、対象者の絞り込みに用いる照合データの切り分けを行うことが可能となる。
<実施例2>
図3に、本実施形態の情報処理システムの一例を例示する。図3に例示の情報処理シス
テム1は、例えば、複数の患者(候補者)から食事に伴う心拍の特徴を検出する。そして、情報処理システム1は、検出された心拍の特徴から、例えば、予め取得した患者毎の食事に伴う心拍の特徴を参照し、検出された心拍の特徴の対象者として見做し得る候補者の絞り込みを行う機能を有する。情報処理システム1では、検出された心拍の特徴から、候補者の絞り込みを行うことで、例えば、各患者の健康状態を継続的に把握するために患者毎に装着されたセンサ端末11の真の装着者を確認することが可能となる。
図3に例示の情報処理システム1は、例えば、ネットワークNに接続された情報処理装置10、複数のセンサ端末11を有する。ネットワークNには、例えば、インターネット(Internet)等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、LAN(Local Area Network)等のネットワークが含まれる。
図3の情報処理システム1において、情報処理装置10は、例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC、Personal Computer)等のコンピュータである。情報処理装置1
0は、ネットワークNを介して接続されたセンサ端末11で検出した、食事に伴う心拍の特徴を受け付ける。情報処理装置10は、例えば、図2J等に例示の、4種11個の食事に伴う心拍の特徴量を受け付ける。情報処理装置10は、例えば、予めデータベース等に格納された患者毎の食事に伴う特徴量を参照し、受け付けた心拍の特徴量との照合を行う。
情報処理装置10は、例えば、センサ端末11から受け付けた食事に伴う心拍の特徴量が、データベース等に格納された特徴量の最大値、最小値で特定される所定の領域に含まれることを判定し、センサ端末11の装着者と見做し得る候補者の絞り込みを行う。情報処理装置10は、例えば、センサ端末11に付与された識別番号と心拍の特徴量から絞り込まれた候補者とが相違する場合には、アラーム等の警告を行うと共にセンサ端末11の装着者と見做し得る候補者のリストを出力する。この結果、情報処理装置10では、例えば、患者毎に装着されるセンサ端末11の取り違え等による誤装着が生じても真の装着者を確認することが可能となる。
センサ端末11は、例えば、装着者の食事に伴う心拍の特徴を検出するセンサを入力部に備える情報処理装置である。センサ端末11には、予め装着者を一意に識別するための識別番号等が付与される。図3の例では、例えば、患者Aに装着されるセンサ端末11には識別番号“A”が付与されている。患者B、C、Dについても同様に、識別番号“B”、“C”、“D”が付与されている。以下の説明では、患者Aに装着されたセンサ端末11を“センサ端末11A”とも称する。患者B−Dについても同様に、それぞれ“センサ端末11B”、“センサ端末11C”、“センサ端末11D”とも称する。
なお、図3の例では、患者Aに装着されるセンサ端末11Aが患者Bに装着され、患者Bに装着されるセンサ端末11Bが患者Aに装着されるといった取り違えが生じた状態を例示している。
センサ端末11は、例えば、装着者の単位時間当たりの心拍数を検出する心拍センサ、食事行為に伴う装着者の上下左右前後の振動(加速度変化)を検出する加速度センサ等を備える。センサ端末11は、例えば、心拍センサにより検出した単位時間当たりの心拍数の、時系列の変化を検出する。また、センサ端末11では、例えば、加速センサにより検出した上下左右前後の振動等から、食事開始時間等を特定する。また、センサ端末11では、加速度センサで検出した上下左右前後の振動等から、例えば、患者の歩行、階段の昇降等の運動活動を特定する。
センサ端末11は、例えば、検出された心拍数、上下左右前後の加速度の変化等のセン
サ情報から、図2J等に例示の4種11個の特徴量を検出する。センサ端末11は、検出した4種11個の特徴量を、例えば、センサ端末11に付与された識別番号と対応付けてネットワークNに出力する。ネットワークNに出力された4種11個の特徴量は、例えば、情報処理装置10に受け付けられる。
なお、センサ端末11が装着される装着者の心拍数の検出は、装着者に接触して心拍数を検出する接触型のセンサに限定されない。例えば、心拍数の検出は、1/20秒といった時間間隔で取得されたセンサ端末11の装着者の撮像画像の時系列の変化から特定するとしてもよい。また、心拍数の検出は、例えば、RF(Radio Frequency)等を使用した
拍動に伴うドップラー周波数の検出により特定するとしてもよい。対象者の食事開始後の心拍数の変化を特定できればよい。但し、センサ端末11は、心拍数、加速度の変化等の検出値を情報処理装置10に通知し、情報処理装置10が、各検出値に基づく物理量を算出するようにしてもよい。
〔装置構成〕
図4に、情報処理装置90のハードウェア構成を例示する。図4に例示する情報処理装置90は、いわゆる一般的なコンピュータの構成を有している。図3に例示する、情報処理装置10、センサ端末11は、例えば、図4に例示する情報処理装置90によって実現される。
図4に例示の、情報処理装置90は、接続バスB1によって相互に接続されたCPU(Central Processing Unit)91、主記憶部92、補助記憶部93、入力部94、出力部
95、通信部96を有する。主記憶部92及び補助記憶部93は、情報処理装置90が読み取り可能な記録媒体である。
情報処理装置90は、CPU91が補助記憶部93に記憶されたプログラムを主記憶部92の作業領域に実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行う。これにより、情報処理装置90は、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
図4に例示の情報処理装置90では、CPU91は、情報処理装置90全体の制御を行う中央処理演算装置である。CPU91は、補助記憶部93に格納されたプログラムに従って処理を行う。主記憶部92は、CPU91がプログラムやデータをキャッシュしたり、作業領域を展開したりする記憶媒体である。主記憶部92は、例えば、RAM(Random
Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。
補助記憶部93は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納する。補助記憶部93は、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶部93には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、通信部96を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、接続されたネットワークN上の、他のサーバ等の情報処理装置、外部記憶装置、通信機能を有する装置等が含まれる。
補助記憶部93は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ソリッドス
テートドライブ装置、ハードディスクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)装置等であ
る。また、補助記憶部93としては、例えば、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)ドライブ装置等が提示できる。記録媒体としては、例えば、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ)を含むシリコンディスク、ハードディスク、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード等がある。
入力部94は、ユーザ等からの操作指示等を受け付ける。入力部94は、入力ボタン、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、マイクロフォン、カメラ等の入力デバイスである。また、入力部94には、装着者の心拍数を検出する心拍センサ、上下左右前後方向の加速度を検出する加速度センサの各種センサが含まれる。入力部94から入力された情報は、接続バスB1を介してCPU91に通知される。
出力部95は、CPU91で処理されるデータや主記憶部92に記憶されるデータを出力する。出力部95は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)パネ
ル、有機ELパネル、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスである。通信部96は、例えば、ネットワークN等とのインターフェースである。
情報処理装置10は、例えば、CPU91が補助記憶部93に記憶されているOS、各種プログラムや各種データを主記憶部92に読み出して実行することにより、対象プログラムの実行と共に、図5に例示の各処理手段を実現する。情報処理装置10は、対象プログラムの実行と共に、図5に例示のデータ受信部101、DB情報取得部102、候補者固有範囲作成部103、対象者絞り込み部104、結果表示部105を実現する。但し、図5に例示の各処理手段のいずれか、あるいは、これらの一部がハードウェア回路によって動作するものであってもよい。
なお、各処理手段のうち、いずれかが、他の情報処理装置等に含まれてもよい。例えば、データ受信部101を含む情報処理装置と、DB情報取得部102を含む情報処理装置と、候補者固有範囲作成部103を含む情報処理装置と、結果表示部105を含む情報処理装置とがネットワークN等を介して接続する。そして、ネットワークNに対象者絞り込み部104を含む情報処理装置と、外部記憶装置に格納された食事特徴量DB201とが接続し、情報処理装置10として機能するとしてもよい。情報処理装置10は、例えば、ネットワークN上のコンピュータ群であるクラウドとして実現できるため、各処理手段の処理負荷を軽減できる。
センサ端末11は、例えば、CPU91が補助記憶部93に記憶されているOS、各種プログラムや各種データを主記憶部92に読み出して実行することにより、対象プログラムの実行と共に、図5に例示の各処理手段を実現する。センサ端末11は、対象プログラムの実行と共に、図5に例示のセンサ装着判定部111、心拍数データ取得部112、加速度データ取得部113、運動期間判定部114、食事期間判定部115、ノイズ心拍数除去部116を実現する。また、センサ端末11は、対象プログラムの実行と共に、図5に例示の面積特徴量算出部117、振幅特徴量算出部118、速度特徴量算出部119、時間特徴量算出部120、データ送信部121を実現する。但し、センサ端末11は、OSを搭載しないで、制御シーケンスや処理演算を実行する制御プログラム、ファームウェア等で、図5の各処理手段を提供してもよい。
なお、センサ端末11の各処理手段のうち、センサ装着判定部111、心拍数データ取得部112、加速度データ取得部113、データ送信部121以外の他の処理手段は、例えば、情報処理装置10に含まれるとしてもよい。
また、情報処理装置10のDB情報取得部102、候補者固有範囲作成部103、対象者絞り込み部104、結果表示部105の各処理手段がセンサ端末手段に含まれるとしてもよい。そして、上述の情報処理装置10の各処理手段を含むセンサ端末11が、ネットワークN等に接続された食事特徴量DB201に接続し、センサ端末11の装着者に誤装着による通報を行うとしてもよい。
〔処理ブロック構成〕
図5に、本実施形態の情報処理システム1における、処理ブロックの説明図を例示する。図5に例示の説明図において、情報処理装置10は、データ受信部101、DB情報取得部102、候補者固有範囲作成部103、対象者絞り込み部104、結果表示部105の各処理手段を有する。また、情報処理装置10は、以上の各処理手段が参照し、或いは、管理するデータの格納先として、例えば、食事特徴量DB201を補助記憶部13に備える。食事特徴量DB201には、例えば、候補者毎の食事特徴量の履歴値が格納される。
図5に例示の説明図において、センサ端末11は、センサ装着判定部111、心拍数データ取得部112、加速度データ取得部113、運動期間判定部114、食事期間判定部115、ノイズ心拍数除去部116の各処理手段を有する。また、センサ端末11は、面積特徴量算出部117、振幅特徴量算出部118、速度特徴量算出部119、時間特徴量算出部120、データ送信部121の各処理手段を有する。センサ端末11には、センサ端末11の装着者を一意に識別する識別番号等が付与される。
[センサ端末]
図5に例示の、センサ装着判定部111は、例えば、単位時間(例えば、10秒)で検出した心電波形のピーク間隔に基づいて、センサ端末11の装着状態を判定する。例えば、センサ端末11は、センサ端末11の装着者に付与された識別番号等に該当する安静時の心拍数を予め取得し、補助記憶部13に格納する。そして、センサ端末11は、補助記憶部13に格納された安静時の心拍数を参照し、単位時間で検出した心電波形のピーク間隔に基づいてセンサ端末11の装着状態が正常であることを判定すればよい。
また、センサ装着判定部111は、加速度センサについても、例えば、10秒間、1分間といった所定期間のセンサ出力が得られることでセンサ端末11の装着状態を判定すればよい。センサ装着判定部111は、例えば、加速度センサの出力値として“0”近傍の値を出力する期間が所定期間にわたって継続しなければ、加速度センサの装着状態が正常であることを判定すればよい。センサ装着判定部111は、例えば、センサ端末11の装着状態が正常でない場合には、例えば、出力部95を介して、アラーム音の鳴動、LED等の明滅等により装着者に通報するとしてもよい。
心拍数データ取得部112は、例えば、単位時間で検出された心拍数を取得し、取得した心拍数に時刻情報を対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。時刻情報には、例えば、年月日時分等の暦が含まれる。なお、単位時間で検出された心拍数は、例えば、bpm(beats per minute)等で表すことができる。加速度データ取得部113は、例えば、単位時間で検出された上下左右前後方向の加速度を取得し、取得した加速度値に時刻情報を対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。時刻情報には、例えば、年月日時分秒等の暦が含まれる。
運動期間判定部114は、例えば、加速度データ取得部113で取得した上下左右前後方向の加速度の時系列から、歩行、ランニング、階段昇降等の運動期間を特定する。運動期間判定部114は、例えば、特定した運動期間に係る開始時刻、終了時刻情報を主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図6Aに、運動時に検出される上下方向(重力方向)の加速度の変化の説明図を例示する。図6Aに例示の説明図は、縦軸を重力方向の加速度、横軸を運動時の経過時刻(時間)として、重力方向の加速度の変化をグラフ化したものである。なお、上下方向の加速度を検出するセンサを含む、センサ端末11の装着位置は対象者の胸部である。
図6Aの説明図において、破線で囲まれた矩形領域に示すように、歩行、ランニング、階段昇降等では、脚部の蹴り出し時、着地時に地面等から反力を受けるため、上下方向の加速度値に急速な上昇・下降変化が検出される。そして、図6Aに例示のように、運動期間における、加速度値の急速な上昇・下降変化を伴う上下方向の加速度変化は、周期的に検出される。
運動期間判定部114は、例えば、検出した上下方向の加速度値について、加速度値の急速な上昇・下降変化のパターンを検出し、該パターンが加速度の時系列として所定期間の間隔で検出された場合に、装着者の運動活動を特定する。ここで、所定期間は、例えば、予めセンサ端末11を装着した状態で装着者が運動活動を行い、運動活動に伴う加速度値の急速な上昇・下降変化を伴う上下方向の加速度変化の周期を実験的に取得するとすればよい。そして、実験的に取得した運動活動に伴う加速度値の急速な上昇・下降変化を伴う上下方向の加速度変化の周期から、所定期間を設定すればよい。設定された所定期間は、例えば、装着者の識別情報と対応付けて補助記憶部93に格納するとすればよい。運動期間判定部114は、例えば、補助記憶部93に格納された所定期間の設定値を参照し、装着者の運動活動を特定するとすればよい。
運動期間判定部114は、装着者の運動活動が特定された場合には、例えば、加速度値に対応付けられた時刻情報から、運動開始時刻、運動終了時刻を特定するとすればよい。運動期間判定部114は、運動開始時刻、運動終了時刻に基づいて運動期間を特定することができる。
図5に例示の説明図に戻り、食事期間判定部115は、例えば、加速度データ取得部113で取得した上下左右前後方向の加速度の時系列から、装着者の食事に伴う食事行為期間を特定する。食事時間判定部115は、例えば、特定した食事行為期間に、図2Aで説明した蠕動活動に費やされる一定期間を追加し、食事期間を求める。食事期間判定部115は、例えば、求めた食事期間から食事期間に係る開始時刻、終了時刻情報を主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図6Bに、食事行為時に検出される前後方向の加速度の変化の説明図を例示する。図6Bに例示の説明図は、縦軸を前後方向の加速度、横軸を食事行為時の経過時刻(時間)として、前後方向の加速度の変化をグラフ化したものである。なお、前後方向の加速度を検出するセンサを含む、センサ端末11の装着位置は対象者の胸部である。
図6Bの説明図において、破線で囲まれた矩形領域に示すように、食事行為では、取得物を口唇部に運ぶための動作を繰り返すため、前後方向の加速度値に下降後に上昇し、上昇後の加速度値を一定期間継続し、再び下降するといったパターンが繰り返し検出される。
食事期間判定部114は、例えば、検出した前後方向の加速度値について、加速度値の下降・上昇変化のパターンを検出し、該パターンが加速度の時系列として一定時間内に所定回数以上に検出された場合に、装着者の食事行為を特定する。ここで、一定時間とは食事に費やされる期間であり、例えば、10−30分といった期間が例示できる。また、所定回数とは、例えば、予めセンサ端末11を装着した状態で装着者が食事行為を行い、食事行為に伴う下降・上昇変化のパターンが繰り返される検出回数を実験的に取得するとすればよい。そして、実験的に取得した検出回数から所定回数を設定すればよい。設定された所定回数は、例えば、装着者の識別情報と対応付けて補助記憶部93に格納するとすればよい。食事期間判定部114は、例えば、補助記憶部93に格納された所定回数の設定値を参照し、装着者の食事行為を特定するとすればよい。
食事期間判定部114は、装着者の食事行為が特定された場合には、例えば、加速度値に対応付けられた時刻情報から、食事行為開始時刻、食事行為終了時刻を特定するとすればよい。食事期間判定部114は、食事行為開始時刻、食事行為終了時刻、蠕動活動に費やされる一定期間に基づいて食事期間を特定することができる。
図5に例示の説明図に戻り、ノイズ心拍数除去部116は、例えば、検出された心拍数の時系列の変化に影響を与える、運動活動による心拍数の上昇変化、食事期間や食後期間中に不特定に発生する心拍数のノイズ変化等を特定する。ノイズ心拍数除去部116は、心拍数データ取得部112で取得した心拍数の時系列から、特定した運動活動による心拍数の上昇変化、食事期間や食後期間中に不特定に発生する心拍数のノイズ変化等で検出された心拍数データを取り除く。
図6C(1)−(3)に、運動による心拍数の上昇変化の説明図を例示する。図6C(1)−(3)に例示の説明図は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を食事期間、食後期間を含む経過時刻(時間)として、心拍数の変化をグラフ化したものである。
図6C(1)の右上がり斜線の矩形領域に示すように、時系列に取得する心拍数の推移では、運動期間中は心拍数の上昇変化、及び、上昇した心拍数の時間経過による回復変化が検出される。このため、例えば、食後期間等の消化活動に伴う長期的な心拍数の推移に対しては、該心拍数の推移に重畳して運動による心拍数の上昇・回復変化が検出されることとなる。食事に伴う心拍の特徴量は、長期間にわたって取得された心拍数の推移変化を検出するため、例えば、運動に伴う心拍数変化が重畳された場合には、食事に伴う心拍数変化の特徴を捉えられないことが想定される。
図6C(2)に例示の説明図において、矢印付き破線で示す心拍数の推移変化は、運動による心拍数の上昇・回復変化を伴わない場合の推移を表す。例えば、運動による心拍数の上昇・回復変化を伴う場合では、矢印付き破線で示す心拍数の推移変化に対して運動による上昇・回復分の心拍数を重畳した心拍数が検出されることとなる。このため、例えば、第2ピークについての振幅、応答速度(上昇応答速度、回復応答速度)、応答時間(上昇応答時間、回復応答時間)といった特徴量が誤検出されてしまう虞が生ずる。
例えば、図6C(2)では、Pxの心拍数値を第2ピークについての振幅(最大心拍数)として検出することが想定される。また、矢印付き実線で示されるように、運動による心拍数の上昇・回復変化を重畳させた心拍数の推移変化に基付き、第2ピークについての応答速度(上昇応答速度、回復応答速度)、応答時間(上昇応答時間、回復応答時間)が検出されることが想定される。
運動による心拍数の上昇・回復変化の重畳を防止するため、ノイズ心拍数除去部116は、例えば、運動期間を特定し、該運動期間の時刻情報に対応する心拍数データの除去を行う。ノイズ心拍数除去部116は、例えば、運動期間判定部114で特定された、運動開始時刻、運動終了時刻に基づいて運動期間を特定する。そして、ノイズ心拍数除去部116は、例えば、運動終了時刻から運動により上昇した心拍数が回復するまでの一定期間を運動終了時刻に加え、運動に伴う除去期間を算出する。ここで、運動終了時刻から運動により上昇した心拍数が回復するまでの一定期間は、例えば、実験的に取得した時間が例示できる。また、例えば、食事に伴う心拍数を取得する全ての対象者に共通の、5分、10分といった分単位の時間を設定するとしてもよい。
ノイズ心拍数除去部116は、例えば、心拍数データ取得部112で取得された、食事に伴う心拍数のデータから、除去期間に該当する時刻情報に基づいて、心拍数データの除
去を行う。図6C(3)は、図6C(1)に例示の心拍数のデータから、除去期間に該当する心拍数を除去したグラフ例である。図6C(3)の破線で囲まれた矩形領域は、除去期間を表す。図6C(3)のグラフ例では、除去期間で取得された、食事に伴う心拍数の推移に重畳して検出される運動による心拍数の上昇・回復変化は含まれない。このため、例えば、運動による心拍数の上昇・回復変化の影響を受けずに食事に伴う心拍数変化の特徴量を検出することが可能となる。ノイズ心拍数除去部116は、例えば、除去期間に該当する心拍数データが除去された心拍数のデータを、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
なお、図6C(2)の、矢印付き破線で例示するように、食事に伴う心拍数の時系列上の変化は、検出された心拍数の相対的な下限に沿って推移する傾向にある。このため、例えば、時系列上に前後する心拍数値の比較を行い、前後間の心拍数値の差分値が所定の閾値以上、または、所定の閾値以下となる変化点を捉え、該変化点により特定される区間を除去期間とするとしてもよい。
図6D(1)−(2)に、変化点による除去期間の説明図を例示する。図6D(1)−(2)に例示の説明図は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を心拍数の推移時間として、心拍数の変化をグラフ化したものである。図6D(1)の説明図において、実線で丸囲みされた領域内には、時系列上で推移する心拍数が急速に上昇・下降する変化点が例示されている。
ノイズ心拍数除去部116は、例えば、時系列上に前後する心拍数値の比較を行い、前後間の心拍数値の差分値が所定の閾値以上、または、所定の閾値以下となる変化点を特定する。ノイズ心拍数除去部116は、例えば、特定した変化点に対して、変化点を一意に識別する識別番号を付与する。ノイズ心拍数除去部116は、例えば、時系列上の前後間の心拍数値が所定値以上となる場合では、時系列上で先行する心拍数値と心拍数値を検出した時刻情報とを、変化点に付与された識別番号に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。また、ノイズ心拍数除去部116は、例えば、時系列上の前後間の心拍数値が所定値以下となる場合では、時系列上で後行する心拍数値と心拍数値を検出した時刻情報とを、変化点に付与された識別番号に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
ノイズ心拍数除去部116は、例えば、前後間の心拍数値の差分値が所定の閾値以上となった変化点に対応付けられた時刻情報と、前後間の心拍数値の差分値が所定の閾値以化となった変化点に対応付けられた時刻情報から除去期間を特定する。なお、心拍数値の差分値が所定の閾値以上となる変化点が、時系列上に連続して検出されるケースが想定される。時系列上で、心拍数値の差分値が所定の閾値以上となる変化点が連続するケースでは、例えば、時系列上で先行する、或いは、変化点に対応付けた心拍数値が低い(小さい)変化点を除去期間の開始時刻とすればよい。同様にして、心拍数値の差分値が所定の閾値以下となる変化点が、時系列上に連続して検出されるケースでは、例えば、時系列上で後行する、或いは、変化点に対応付けた心拍数値が低い(小さい)変化点を除去期間の終了時刻とすればよい。
図6D(2)は、図6D(1)に例示の心拍数のデータから、除去期間に該当する心拍数を除去したグラフ例である。図6D(2)の破線で囲まれた矩形領域は、除去期間を表す。図6D(2)のグラフ例では、除去期間で取得された心拍数値は含まれない。このため、例えば、除去期間の心拍数の上昇・回復変化の影響を受けずに食事に伴う心拍数変化の特徴量を検出することが可能となる。例えば、食事期間や食後期間中に不特定に発生する心拍数の上昇・回復変化といったノイズのような心拍数データを取り除くことが可能となる。
図5に例示の説明図に戻り、面積特徴量算出部117は、例えば、食事に伴う心拍の特徴量(1)である、第1ピーク領域と第2ピーク領域との面積比を算出する。面積特徴量算出部117は、例えば、ノイズ心拍数除去部116により、心拍数データ取得部112で取得した心拍数データから、運動期間等に対する心拍数の変動分が除去された心拍数データを対象として特徴量(1)の算出を行う。なお、食事に伴う心拍の特徴量(1)である、第1ピーク領域と第2ピーク領域との面積比の算出については、図2Aで説明した。
面積特徴量算出部117は、例えば、算出した第1ピーク領域と第2ピーク領域との面積比を、食事の時間帯に対応付けて、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。食事の時間帯は、例えば、朝食(5:00−11:00)、昼食(11:00−17:00)、夕食(17:00−24:00)、夜食(24:00−5:00)の4種の各時間帯を例示できる。
振幅特徴量算出部118は、例えば、食事に伴う心拍の特徴量(2)である、第1ピーク振幅(最大心拍数P1)、第2ピーク振幅(最大心拍数P2)を算出する。振幅特徴量算出部118は、例えば、ノイズ心拍数除去部116により、心拍数データ取得部112で取得した心拍数データから、運動期間等に対する心拍数の変動分が除去された心拍数データを対象として特徴量(2)の算出を行う。なお、食事に伴う心拍の特徴量(2)である、第1ピーク振幅、第2ピーク振幅の算出については、図2Bで説明した。振幅特徴量算出部118は、例えば、算出した第1ピーク振幅、第2ピーク振幅を、食事の時間帯に対応付けて、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
速度特徴量算出部119は、例えば、食事に伴う心拍の特徴量(3)である、第1ピークの応答速度(上昇応答速度、回復応答速度)、第2ピークの応答速度(上昇応答速度、回復応答速度)を算出する。速度特徴量算出部119は、例えば、ノイズ心拍数除去部116により、心拍数データ取得部112で取得した心拍数データから、運動期間等に対する心拍数の変動分が除去された心拍数データを対象として特徴量(3)の算出を行う。なお、食事に伴う心拍の特徴量(3)である、第1ピークの応答速度、第2ピークの応答速度の算出については、図2C−2Fで説明した。速度特徴量算出部119は、例えば、算出した第1ピークの応答速度、第2ピークの応答速度を、食事の時間帯に対応付けて、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
時間特徴量算出部120は、例えば、食事に伴う心拍の特徴量(4)である、第1ピークの応答時間(上昇応答時間、回復応答時間)、第2ピークの応答時間(上昇応答時間、回復応答時間)を算出する。時間特徴量算出部120は、例えば、ノイズ心拍数除去部116により、心拍数データ取得部112で取得した心拍数データから、運動期間等に対する心拍数の変動分が除去された心拍数データを対象として特徴量(4)の算出を行う。なお、食事に伴う心拍の特徴量(4)である、第1ピークの応答時間、第2ピークの応答時間の算出については、図2G−2Hで説明した。時間特徴量算出部120は、例えば、算出した第1ピークの応答時間、第2ピークの応答時間を、食事の時間帯に対応付けて、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
データ送信部121は、例えば、面積特徴量算出部117、振幅特徴量算出部118、速度特徴量算出部119、時間特徴量算出部120で算出された各特徴量(1)−(4)を、ネットワークNに出力する。算出された各特徴量(1)−(4)は、例えば、センサ端末11の装着者に付与された識別番号、食事の時間帯に対応付けて、ネットワークNに出力される。
なお、データ送信部121は、算出された各特徴量(1)−(4)である4種11個の
特徴量を、例えば、図2Jに例示のテーブルの各特徴量に対応するレコードに格納し、ネットワークNに出力するとしてもよい。
図6Eに、食事に伴う4種11個の特徴量が格納された食事特徴量テーブル例を例示する。データ送信部121は、例えば、算出された4種11個の特徴量を、それぞれの特徴量に対応するレコードの「算出結果」カラムに格納し、食事特徴量テーブルを生成する。なお、図6Eに例示の食事特徴量テーブルは、予めセンサ端末11の装着者と対応付けられた識別番号を含むとしてもよい。また、図6Eに例示の食事特徴量テーブルは、食事の時間帯に応じたカラムを有するとしてもよい。データ送信部121は、例えば、生成した食事特徴量テーブルにセンサ端末11の識別番号、食事の時間帯を格納しネットワークに出力する。
[情報処理装置]
図5に例示の、データ受信部101は、例えば、センサ端末11からネットワークNに出力された、図6Eに例示の食事特徴量テーブルを受け付ける。受け付けた食事特徴量テーブルには、例えば、センサ端末11の装着者に対応付けられた識別番号、各特徴量を取得した食事の時間帯等が含まれる。データ受信部101は、受け付けた食事特徴量テーブルを、例えば、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
DB情報取得部102は、例えば、食事特徴量DB201を参照し、予め登録された候補者毎の食事に伴う特徴量の取得を行う。食事特徴量DB201には、例えば、候補者毎に取得された、実績としての食事の時間帯毎の特徴量テーブル(図2J等)が格納されている。DB情報取得部102は、例えば、データ受信部101で受け付けた食事特徴量テーブルに対応付けられた食事の時間帯に基づいて、食事特徴量DB201を検索し、該食事の時間帯に合致する候補者毎の特徴量を取得する。DB情報取得部102は、例えば、食事特徴量DB201から取得した食事の時間帯に合致する候補者毎の特徴量を主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
また、DB情報取得部102は、例えば、データ受信部101で受け付けた食事特徴量テーブルが、センサ端末11の真の装着者である場合には、該食事特徴量テーブルを真の装着者に対応付けて食事特徴量DB201に格納する。DB情報取得部102は、例えば、センサ端末の識別番号、食事の時間帯に基づいて、食事特徴量DB201を更新する。
候補者固有範囲作成部103は、例えば、食事特徴量DB201から取得した、候補者毎の食事に伴う各特徴量のデータに基づいて、それぞれの候補者についての各特徴量の固有範囲を生成する。特徴量の固有範囲は、例えば、特徴量の最大値、及び、最小値を求めることにより生成される。但し、最大値、最小値に代えて、分布確率が標準偏差の期間、例えば、標準偏差(σ)に対して3σの範囲等を用いてもよい。候補者毎に検出された各特徴量の固有範囲の算出の際に、例えば、不規則な異常値(例えば、センサ端末11の装着ずれ等に起因する検出値)を除くことができる。
候補者固有範囲作成部103は、例えば、候補者毎の4種11個の各特徴量について、特徴量毎に、取得されたデータの大小比較を行い、対象となる特徴量の最大値、及び、最小値を特定する。候補者固有範囲作成部103は、特定した特徴量毎の最大値、及び、最小値を、データを取得した候補者に対応付けて、例えば、主記憶部93の所定の領域に一時的に記憶する。
対象者絞り込み部104は、例えば、候補者固有範囲作成部103で生成された候補者毎の、4種11個の各特徴量の固有範囲に基づいて、センサ端末11の装着者の絞り込みを行う。対象者絞り込み部104は、例えば、センサ端末から受け付けた4種11個の各
特徴量について、特徴量毎に、各候補者の固有範囲に含まれるか否かを判断する。センサ端末11から受け付けた特徴量の、各候補者の固有範囲に含まれるか否かの判断は、候補者毎に行われる。また、候補者の固有範囲に含まれるか否かの判断は、例えば、固有範囲の最大値、及び、最小値と、センサ端末11から受け付けた特徴量データの大小関係により判断される。
対象者絞り込み部104は、例えば、各候補者についての特徴量の固有範囲内に、センサ端末11から受け付けた特徴量が含まれる場合には、該当する候補者をセンサ端末11の装着者(対象者)と見做し得る候補者として全て抽出する。対象者絞り込み部104は、抽出した全ての候補者を、例えば、センサ端末11の識別番号に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に格納する。
結果表示部105は、例えば、対象者絞り込み部104で抽出された候補者をセンサ端末11の識別番号等に対応付けて、情報処理装置10の出力部95に出力する。例えば、結果表示部105は、CRT等の表示画面に、対象者絞り込み部104で抽出された候補者をセンサ端末11の識別番号等に対応付けて表示する。
なお、抽出された候補者の表示形態は任意である。例えば、処理対象の候補者の候補者名とセンサ端末11の識別番号を対応付けたテーブル形式による表示形態が例示できる。また、予めテンプレートとして用意されたメッセージに、抽出された候補者名とセンサ端末11の識別番号を格納し、該メッセージをCRT等の表示画面に表示させ、センサ端末11の誤装着を通報するとしてもよい。
例えば、情報処理システム1の管理者等は、情報処理装置10のCRT等の表示画面に表示された情報に基づいて、取り違えが生じた患者間のセンサ端末11の装着状態の確認を行うことができる。また、例えば、管理者等は、情報処理装置10のCRT等の表示画面に表示された情報に基づいて、センサ端末11が装着された対象者が真の装着者であったと判断した場合には、取得した特徴量テーブルを更新情報として蓄積することができる。例えば、情報処理装置10は、キーボード等の入力部94を介して受け付けた操作入力に沿って、取得した特徴量テーブルを真の装着者の更新情報として、食事特徴量DB201に格納することができる。特徴量テーブルの食事特徴量DB201への格納は、例えば、DB情報取得部102を介して行われる。
〔処理フロー〕
(全体処理)
以下、図7A−7H、8A−8H、8J、8K、9A、9Bに例示の図面を参照し、本実施形態における情報処理システム1の対象者特定処理を説明する。図7Aは、対象者特定処理の処理全体に係るフローチャートの例示である。図7Aに例示のフローチャートにおいて、例えば、S1−S7の処理は、図3に例示のセンサ端末11で実行され、S8−S10の処理は、情報処理装置10で実行される。
なお、図7Aに例示の対象者特定処理は、実施の形態に限定されない。例えば、各センサ端末11と食事特徴量DB201とがネットワークNを介して接続し、それぞれのセンサ端末11で、S1−S10の対象者特定処理を実行するとしてもよい。センサ端末11と食事特徴量DB201とがネットワークNを介して接続し、対象者特定処理を実行する場合には、例えば、図7Aに例示のS7の処理がスキップできる。また、センサ端末11が食事特徴量DB201を含むよう一体的に構成されるとしてもよい。センサ端末11が食事特徴量DB201を含む場合には、例えば、S7の処理をスキップすることに加え、接続された食事特徴量DB201の状態によらず、センサ端末11内で対象者特定処理の開始・終了を行うことができる。
図7Aに例示のフローチャートにおいて、対象者特定処理の開始は、例えば、センサ端末11の装着後の食事の時間帯に応じた心拍数の検出のときが例示できる。センサ端末11は、例えば、装着者の単位時間(例えば、10秒)で検出した心電波形のピーク間隔に基づいて、センサ端末11の装着状態を判定する。また、センサ端末11は、例えば、10秒間、1分間といった所定期間内での加速度値が、“0”近傍の値を継続しないことでセンサ端末11の装着状態を判定する(S1)。なお、センサ装着の判定については、図5で説明した。
センサ端末11は、例えば、単位時間で検出された心拍数、及び、単位時間で検出された上下左右前後方向の加速度を取得する(S2)。そして、センサ端末11は、取得した心拍数、上下左右前後方向の加速度を、例えば、時刻情報に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。時刻情報には、例えば、年月日時分秒等の暦が含まれる。主記憶部92には、取得した心拍数、上下左右前後方向の加速度が時系列に蓄積される。なお、心拍数の取得、上下左右前後方向の加速度の取得については、図5で説明した。
センサ端末11は、例えば、S2の処理で取得した前後方向の加速度、上下方向の加速度等から装着者の食事期間、運動期間を特定する(S3)。そして、センサ端末11は、例えば、特定した食事期間に係る開始時刻、終了時刻情報を主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。また、同様に、センサ端末11は、特定した運動期間に係る開始時刻、終了時刻情報を主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。なお、食事期間、運動期間の特定については、図6A、6Bで説明した。
S4の処理では、センサ端末11は、例えば、S2の処理で取得した心拍数データの時系列に、S3の処理で特定した食事期間が含まれるか否かを判定する。例えば、朝食を取得する時間帯(5:00−11:00)であっても、装着者の習慣、或いは、食欲が無い等の理由により、食事を取得しないケースが想定される。食事を取得しない場合では、蠕動運動、消化活動に起因する心拍数のピークが出現しないため、食事に伴う4種11個の心拍数の特徴量の検出が困難となるためである。
センサ端末11は、例えば、S2の処理で取得した心拍数データの時系列に、S3の処理で特定した食事期間が含まれない場合には(S4,no)、処理中の対象者特定処理を終了する。一方、センサ端末11は、例えば、S2の処理で取得した心拍数データの時系列に、S3の処理で特定した食事期間が含まれる場合には(S4,yes)、S5に移行し、処理中の対象者特定処理を継続する。
S5の処理では、センサ端末11は、例えば、S2の処理で取得した心拍数データの時系列から、食事に伴う心拍数の推移に重畳する、急速な心拍数の上昇・回復変化の除去を行う。センサ端末11は、例えば、S2の処理で取得した心拍数データの時系列から、食事に伴う心拍数の推移に重畳する、急速な心拍数の上昇・回復変化を除去した心拍数データを、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。なお、ノイズ心拍数の除去については、図6C(1)−(3)、6D(1)−(2)で説明した。
S6の処理では、センサ端末11は、例えば、食事に伴う心拍数についての4種11個の特徴量(食事特徴量)の算出を行う。センサ端末11は、例えば、S5の処理により、食事に伴う心拍数の推移に重畳する、急速な心拍数の上昇・回復変化が除去された心拍数データに基づき、4種11個の食事特徴量を算出する。センサ端末11は、例えば、算出された4種11個の食事特徴量を、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報と対応付けて、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。なお、S6の食事特徴量の算出処理は、図7B−7Fで説明する。
センサ端末11は、例えば、S6の処理で算出された、食事に伴う心拍数についての4種11個の食事特徴量をネットワークNに出力する(S7)。ネットワークNに出力された4種11個の食事特徴量は、情報処理装置10により受け付けられる。なお、S7の処理は、図6Eで説明した。
S8の処理では、例えば、情報処理装置10は、ネットワークNに出力されたセンサ端末11からの、装着者の食事に伴う4種11個の食事特徴量を受け付ける。食事特徴量には、例えば、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報が含まれる。情報処理装置10は、受け付けた装着者の食事に伴う4種11個の食事特徴量を、例えば、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報と対応付けて、主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
また、情報処理装置10は、例えば、センサ端末11から出力された4種11個の食事特徴量の受け付けを契機として、食事特徴量DB201を参照し、予め登録された候補者毎の食事に伴う食事特徴量を取得する。情報処理装置10は、例えば、受け付けた食事特徴量の、食事の時間帯に基づいて食事特徴量DB201を検索し、該食事の時間帯に合致する候補者毎の食事特徴量を取得する。情報処理装置10は、例えば、食事特徴量DB201から取得した、食事の時間帯に合致する候補者毎の特徴量を主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
S9の処理では、例えば、情報処理装置10は、S8の処理で取得した候補者毎の4種11個の各特徴量について、特徴量毎に、取得したデータの大小比較を行い対象となる特徴量の最大値、及び、最小値を固有範囲として特定する。情報処理装置10は、特定した特徴量毎の固有範囲(最大値、及び、最小値)を、例えば、食事特徴量を取得した候補者に対応付けて、例えば、主記憶部93の所定の領域に一時的に記憶する。
S10の処理では、例えば、情報処理装置10は、S9の処理で特定した候補者毎の食事特徴量の固有範囲に基づいて、S8の処理で受け付けたセンサ端末11の装着者(対象者)の絞り込みを行う。なお、S10対象者絞り込み処理は、図7Gで説明する。
情報処理装置10は、例えば、各候補者についての食事特徴量の固有範囲内に、センサ端末11から受け付けた食事特徴量が含まれる場合には、該当する候補者をセンサ端末11の装着者(対象者)と見做し得る候補者として全て抽出する。情報処理装置10は、抽出した全ての候補者を、例えば、センサ端末11の識別番号に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に格納する。
情報処理装置10は、例えば、S10の処理で抽出された全ての候補者をセンサ端末11の識別番号等に対応付けて、情報処理装置10の出力部95のCRT等の表示画面等に表示する。
ここで、情報処理装置10、或いは、センサ端末11で実行されるS1−S6の処理は、個人を特定する処理の対象である対象者の心拍数データから、対象者の食事に伴う心拍数変化の特徴量を取得するステップの一例である。また、情報処理装置10、或いは、センサ端末11のCPU11等は、個人を特定する処理の対象である対象者の心拍数データから、対象者の食事に伴う心拍数変化の特徴量を取得する手段の一例としてS1−S6の処理を実行する。
情報処理装置10、或いは、センサ端末11で実行されるS8−S9の処理は、複数の候補者のそれぞれに対応付けられた特徴量の履歴値の分布範囲を算出するステップの一例である。また、情報処理装置10、或いは、センサ端末11のCPU11等は、複数の候
補者のそれぞれに対応付けられた特徴量の履歴値の分布範囲を算出する手段の一例としてS8−S9の処理を実行する。
情報処理装置10、或いは、センサ端末11で実行されるS10の処理は、対象者から取得した特徴量と、特徴量の履歴値の分布範囲との関係に基づいて複数の候補者の中から対象者に該当する候補者を抽出するステップの一例である。また、情報処理装置10、或いは、センサ端末11のCPU11等は、対象者から取得した特徴量と、特徴量の履歴値の分布範囲との関係に基づいて複数の候補者の中から対象者に該当する候補者を抽出する手段の一例としてS10の処理を実行する。
(食事特徴量の算出処理)
図7B−7Fに例示のフローチャートを参照し、図7Aに例示のS3の食事特徴量の算出処理を説明する。図7B−7Fに例示の食事特徴量の算出処理では、センサ端末11の装着者の食事に伴う心拍数についての4種11個の食事特徴量が算出される。
図7Bに例示のフローチャートにおいて、S11の処理では、センサ端末11は、例えば、4種11個の食事特徴量の内、処理される食事特徴量の種別を決定する。例えば、センサ端末11は、補助記憶部93等に予め設定された食事特徴量の種別に従って、処理対象の食事特徴量を決定する。予め設定される食事特徴量は、例えば、4種11個の食事特徴量の中の何れか一つの食事特徴量を設定するとしてもよく、4種11個の食事特徴量の中の複数の食事特徴量(最大11個)を組合せて設定するとしてもよい。
センサ端末11は、例えば、S11の処理で決定された食事特徴量の種別に従って、S12−S14の処理を選択し実行する。なお、S12の処理では、例えば、食事に伴う心拍の特徴量(1)である、第1ピーク領域と第2ピーク領域との面積比が算出される。S13の処理では、例えば、食事に伴う心拍の特徴量(2)である、第1ピーク振幅(最大心拍数P1)、第2ピーク振幅(最大心拍数P2)が算出される。S14の処理では、例えば、食事に伴う心拍の特徴量(3)である、第1ピークの応答速度(上昇応答速度、回復応答速度)、第2ピークの応答速度(上昇応答速度、回復応答速度)が算出される。S15の処理では、例えば、食事に伴う心拍の特徴量(4)である、第1ピークの応答時間(上昇応答時間、回復応答時間)、第2ピークの応答時間(上昇応答時間、回復応答時間)が算出される。
例えば、処理される食事特徴量の種別として、第1ピーク領域と第2ピーク領域との面積比、及び、第2ピークの回復応答速度、第2ピークの回復応答時間が設定されている場合では、S12、S14、S15の処理が選択される。例えば、センサ端末11は、設定された食事特徴量の種別に従って、S12、S14、S15の各処理を実行し、3個の食事特徴量を算出すればよい。なお、S12の処理は図7C、S13の処理は図7D、S14の処理は図7E、S15の処理は図7Fに例示の各フローチャートを参照し、説明する。
(面積特徴量の算出)
図7Cに例示のフローチャートにおいて、S21の処理では、センサ端末11は、例えば、図7AのS2処理で特定された食事期間を取得する。センサ端末11は、例えば、S2の処理で取得した食事期間に基づいて、ベースライン心拍数を算出する(S22)。センサ端末11は、S22の処理で算出されたベースライン心拍数を、例えば、食事の時間帯、センサ端末の識別番号に対応付けて、主記憶部92に所定の領域に一時的に記憶する。
図8A(1)−(3)に、ベースライン心拍数の説明図を例示する。図8A(1)に例
示の説明図は、図7AのS5の処理により、食事に伴う心拍数の推移に重畳する、急速な心拍数の上昇・回復変化が除去された心拍数データ例を表す。図8A(1)の心拍数データ例では、検出された単位時間当たりの心拍数が該心拍数を検出した時刻情報に対応付けられて格納されている。なお、図8A(1)の時刻情報は、“月歴−日歴 時暦:分歴:秒歴”との形式で表されている。また、単位時間当たりの心拍数は、それぞれに“0”、“1”の2値の状態で表される食事期間に対応付けられている。図8A(1)では、“1”は食事期間を表し、“0”は食事期間以外の期間を表す。
センサ端末11は、例えば、食事期間の食事開始時刻前の所定期間(例えば、0−30分)を食事前期間と特定する。センサ端末11は、心拍数データから、例えば、図8A(1)の太線で囲まれた矩形領域に例示のように食事前期間の心拍数データを抽出する。そして、センサ端末11は、例えば、抽出された心拍数データの相互比較を行い、最低心拍数をベースライン心拍数に設定する。図8A(1)の太線で囲まれた矩形領域における最低心拍数をベースライン心拍数に設定した場合の例を、図8A(2)に例示する。図8A(2)に例示のように、図8A(1)の太線で囲まれた矩形領域の最低心拍数は“59.0”となり、該最低心拍数がベースライン心拍数として設定されている。
図8A(3)に、食事前期間、食事期間、ベースライン心拍数の相対関係を例示する。図8A(3)は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を経過時刻(時間)として、心拍数の推移をグラフ化したものである。図8A(3)の太線で囲まれた矩形領域は食事前期間を表し、太破線で囲まれた矩形領域は食事期間を表し、横軸に平行な長破線はベースライン心拍数を表す。なお、細線で囲まれた矩形領域は、S5のノイズ除去処理の対象となった除去期間である。
図8A(1)−(3)では、ベースライン心拍数を食事前期間における最低心拍数に設定した例である。ベースライン心拍数は、例えば、図1Bで説明したように、食事開始時刻の心拍数でもよく、食事前期間で取得された心拍数の平均値としてもよい。ベースライン心拍数の設定については、複数の対象者について共通する設定方法であればよい。
図7Cのフローチャートに戻り、センサ端末11は、例えば、S22の処理で算出されたベースライン心拍数に基づいて、第1ピーク領域の面積を算出する(S23)。第1ピーク領域の面積は、例えば、食事期間における心拍数の、ベースライン心拍数からの上昇幅の合計値として表すことができる。センサ端末11は、例えば、図7AのS2の処理で取得した食事期間における心拍数を、心拍数データから抽出する。そして、例えば、センサ端末11は、抽出した食事期間における心拍数とベースライン心拍数との差分を求め、該心拍数の差分を食事期間で合計する。センサ端末11は、例えば、食事期間における心拍数と心拍数とベースライン心拍数との差分の合計を、第1ピーク領域の面積として主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
なお、食事に伴う心拍数の特徴量(1)は、第1ピーク領域の面積と第2ピーク領域の面積との面積比である。ここで、第1ピーク領域の面積、第2ピーク領域の面積は、それぞれに、ベースライン心拍数からの上昇幅の期間合計として求めることができる。このため、それぞれの面積に代えて、例えば、ベースライン心拍数からの上昇幅の期間合計を各期間で平均した期間平均を求めるとしてもよい。
例えば、センサ端末11は、食事期間における心拍数と心拍数とベースライン心拍数との差分の合計を該食事期間で除算し、上昇幅の期間平均を算出する。センサ端末11は、算出された上昇幅の期間平均を、食事に伴う心拍数の特徴量(1)を検出するための、第1ピーク領域の面積に代えることができる。
センサ端末11は、例えば、第2ピーク領域についても、S21の処理と同様にして、S22の処理で算出されたベースライン心拍数に基づいて面積を算出する(S24)。第2ピーク領域の面積は、例えば、食後期間における心拍数の、ベースライン心拍数からの上昇幅の合計値として表すことができる。食後期間は、例えば、食事期間の終了時刻から一定期間(例えば、4時間前後)として説明する。なお、食後期間については、図2Aで説明した。
センサ端末11は、例えば、図7AのS2の処理で取得した食後期間における心拍数を、心拍数データから抽出する。そして、例えば、センサ端末11は、抽出した食後期間における心拍数とベースライン心拍数との差分を求め、該心拍数の差分を食後期間で合計する。センサ端末11は、例えば、食後期間における心拍数と心拍数とベースライン心拍数との差分の合計を、第2ピーク領域の面積として主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
なお、第2ピーク領域の面積についても第1ピーク領域の面積と同様に、食後期間における心拍数のベースライン心拍数からの上昇幅の期間平均とすることができる。センサ端末11は、例えば、予め設定された条件に従って、第1ピーク領域の面積、第2ピーク領域の面積について、上昇幅の期間合計、上昇幅の期間平均を算出すればよい。
センサ端末11は、例えば、S22−S23の処理で算出された、第1ピーク領域の面積、及び、第2ピーク領域の面積から、第1ピーク領域と第2ピーク領域との面積比を算出する(S25)。センサ端末11は、S25の処理で算出された面積比を、例えば、例えば、食事の時間帯、センサ端末の識別番号に対応付けて、主記憶部92に所定の領域に一時的に記憶する。
図8B(1)、(2)に、第1ピーク領域と第2ピーク領域との面積比についての説明図を例示する。図8B(1)は、図7AのS5の処理により、食事に伴う心拍数の推移に重畳する、急速な心拍数の上昇・回復変化が除去された心拍数データ例を表す。図8B(1)の心拍数データ例では、検出された単位時間当たりの心拍数が該心拍数を検出した時刻情報に対応付けられて格納されている。また、単位時間当たりの心拍数は、それぞれに食時期間に対応付けられている。
図8B(1)の例では、取得された心拍数について、ベースライン心拍数からの差分が、“上昇幅”として各心拍数に対応付けられている。また、細破線で囲まれた矩形領域は食事期間を表し、太破線で囲まれた矩形領域は食後期間を表す。第1ピーク領域の面積は、例えば、細破線で囲まれた矩形領域の上昇幅の合計として算出される。また、第2ピーク領域の面積は、例えば、太破線で囲まれた矩形領域の上昇幅の合計として算出される。
図8B(1)の例では、第1ピーク領域の面積を“S1”、第2ピーク領域の面積を“S2”とすると、食事に伴う心拍数の特徴量(1)である、第1ピーク領域の面積と第2ピーク領域の面積との面積比“S1/S2=0.82”と算出される。
図8B(2)に、食事期間、食後期間、ベースライン心拍数の相対関係を例示する。図8B(2)は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を経過時刻(時間)として、心拍数の推移をグラフ化したものである。図8B(2)の細破線で囲まれた矩形領域は食事期間を表し、太破線で囲まれた矩形領域は食後期間を表し、横軸に平行な長破線はベースライン心拍数を表す。なお、細線で囲まれた矩形領域は、S5のノイズ除去処理の対象となった除去期間である。
図8B(2)の食後期間に例示のように、第2ピーク領域の面積の算出にあたり、心拍
数データに運動期間等を起因とする除去期間が含まれるケースが想定される。第2ピーク領域の面積の算出において、食後期間に除去期間が含まれる場合には、心拍数の上昇幅は、除去期間の開始時刻の心拍数から終了時刻の心拍数まで、一定の傾斜で回復すると近似できる。
センサ端末11は、例えば、除去期間の開始時刻の心拍数データ、終了時刻の心拍数データを抽出し、両心拍数データの差分を算出する。そして、センサ端末11は、例えば、算出した差分を除去期間で除算し、近似する回復傾斜を算出する。そして、センサ端末11は、例えば、近似した回復傾斜を用いて除去期間の心拍数データの上昇幅を求めればよい。例えば、図8B(2)の例では、(((((除去期間の開始時刻時の上昇幅)−(除去期間の終了時刻時の上昇幅))×(除去期間))/2)+((除去期間の終了時刻時の上昇幅)×(除去期間)))で算出される値が、除去期間の心拍数の上昇幅の合計値となる。
(振幅特徴量の算出)
以下、図7Dに例示のフローチャート、図8C、8Dの図面を参照し、振幅特徴量の算出を説明する。図8C(1)、図8D(1)は、図7AのS5の処理により、食事に伴う心拍数の推移に重畳する、急速な心拍数の上昇・回復変化が除去された心拍数データ例を表す。図8C(1)、図8D(1)の心拍数データ例では、検出された単位時間当たりの心拍数が該心拍数を検出した時刻情報に対応付けられて格納されている。また、単位時間当たりの心拍数は、それぞれに食時期間に対応付けられている。
図8C(1)の太破線で囲まれた矩形領域は食事期間を表し、太線で囲まれた領域の心拍数は食事期間における最大心拍数(P1)を表す。同様に、図8D(1)の太破線で囲まれた矩形領域は食後期間を表し、太線で囲まれた領域の心拍数は食後期間における最大心拍数(P2)を表す。また、図8C(2)、図8D(2)は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を経過時刻(時間)として、心拍数の推移をグラフ化したものである。
図7Dに例示のフローチャートにおいて、S31の処理では、センサ端末11は、例えば、図7AのS2処理で特定された食事期間を取得する。センサ端末11は、例えば、S31の処理で取得した食事期間の時刻情報に基づいて、該時刻情報に対応する心拍数データを抽出する。そして、例えば、センサ端末11は、抽出した心拍数データ間の大小比較を行うことで食事期間における最大心拍数(P1)を算出し、算出された最大心拍数(P1)を第1ピークの振幅として特定する(S32)。
センサ端末11は、例えば、S32の処理で特定された第1ピークの振幅を、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図8C(1)の例では、食事期間における最大心拍数(P1)は、“85.2”として算出される。図8C(2)に、食事期間、第1ピークの最大心拍数(P1)の相対関係を例示する。図8C(2)の太破線で囲まれた矩形領域は食事期間を表し、太線で丸囲みされた領域には最大心拍数(P1)の心拍数データが存在する。なお、細線で囲まれた矩形領域は、S5のノイズ除去処理の対象となった除去期間である。
図7Dに例示のフローチャートに戻り、S33の処理では、センサ端末11は、例えば、S31の処理と同様にして、食後期間における第2ピークの振幅を特定する。例えば、センサ端末11は、S31の処理で取得した食事期間の時刻情報に基づいて、食後期間を特定し、該食後期間に対応する心拍数データを抽出する。そして、例えば、センサ端末11は、抽出した心拍数データ間の大小比較を行うことで食後期間における最大心拍数(P
2)を算出し、算出された最大心拍数(P2)を第2ピークの振幅として特定する。
図8D(1)の例では、食後期間における最大心拍数(P2)は、“83.7”として算出される。図8D(2)に、食後期間、第2ピークの最大心拍数(P2)の相対関係を例示する。図8D(2)の太破線で囲まれた矩形領域は食後期間を表し、太線で丸囲みされた領域には最大心拍数(P2)の心拍数データが存在する。なお、細線で囲まれた矩形領域は、S5のノイズ除去処理の対象となった除去期間である。
センサ端末11は、例えば、S33の処理で特定された第2ピークの振幅を、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
(速度特徴量の算出)
以下、図7E、9Bに例示のフローチャート、図8E−H、9Aの図面を参照し、速度特徴量の算出を説明する。図8E−Hの(1)は、図7AのS5の処理により、食事に伴う心拍数の推移に重畳する、急速な心拍数の上昇・回復変化が除去された心拍数データ例を表す。図8E−Hの(1)の心拍数データ例では、検出された単位時間当たりの心拍数が該心拍数を検出した時刻情報に対応付けられて格納されている。また、単位時間当たりの心拍数は、それぞれに食時期間に対応付けられている。また、図8E−Hの(2)は、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を経過時刻(時間)として、心拍数の推移をグラフ化したものである。
図7Eに例示のフローチャートにおいて、S41の処理では、センサ端末11は、例えば、図7AのS2処理で特定された食事期間を取得する。センサ端末11は、例えば、S41の処理で取得した食事期間の時刻情報に基づいて、該時刻情報に対応する心拍数データを抽出する。そして、例えば、センサ端末11は、抽出した心拍数データ間の大小比較を行うことで食事期間における最大心拍数(P1)を算出し、算出された最大心拍数(P1)の時刻(到達時刻)を取得する(S42)。
センサ端末11は、例えば、S42の処理で取得した最大心拍数(P1)の到達時刻より、第1ピークの上昇応答速度を算出するための心拍数データを特定する。センサ端末11は、例えば、特定された、食事期間の開始時刻−最大心拍数の到達時刻間の心拍数データについて、関数近似を行うことにより、第1ピークの上昇応答速度を算出する(S43)。
S43の処理で行われる関数近似として、例えば、“f(t)=αt+β”等の一次線形関数を用いた関数近似が例示できる。一次線形関数を用いた関数近似では、近似対象となるデータの各時刻における近似誤差(2乗誤差)が最小となるようなパラメータ(α、β)の組合せを求めることにより、近似対象となるデータに適した関数近似を行うことができる。
図9Aに、近似誤差についての説明図を例示する。図9Aに例示の説明図において、縦軸は単位時間当たりの心拍数、横軸は経過時刻(時間)を表す。近似対象のデータを、食事開始時刻から最大心拍数(P1)の到達時刻までの心拍数データと想定する。各心拍数データは、黒塗りの“●”により表される。図9Aの時刻:t1は、例えば、食事開始時刻を表し、時刻:tNは、最大心拍数(P1)の到達時刻を表す。時刻毎の各心拍数データは、“yi(i=1−N)”として表すことができる。
また、図9Aに例示の説明図において、太線は、食事開始時刻から最大心拍数(P1)の到達時刻までの心拍数データの推移に近似する、一次線形関数:f(t)=αt+βを
表す。時刻:tiにおける心拍数データ:yiと、一次線形関数:f(t)=αt+βとの間の近似誤差は、{yi−(αti+β)}の2乗として表すことができる。
近似対象となる、食事開始時刻から最大心拍数(P1)の到達時刻までの心拍数データの推移に適した近似関数を求めるためには、心拍数毎の近似誤差:{yi−(αti+β)}の2乗の和を最小とするとなるような(α、β)の組合せを求めればよい。数1に、近似関数:f(t)=αt+βについての誤差関数:E(α、β)を例示する。
数1において、“α”は近似関数の傾きパラメータを表し、“β”は近似関数の切片パラメータを表す。また、“yi”はi番目データ(心拍数)を表し、“ti”はi番目データの時刻を表す。なお、数1における“N”は、近似対象となるデータ数を表す。
数1を最小とする(α、β)の組合せを求めるには、数1をα、βのそれぞれで偏微分した場合の値が、両者共に“0”となるような、α、βの組合せを求めればよい。数1について、右辺をαで偏微分した時の関数形を数2、βで偏微分した時の関数形を数3に例示する。
数2、3における、“ti
2”、“ti”、“yiti”、“yi”についての総和を、数4に示すように、それぞれC1−C4で置き換えると、数2は数5、数3は数6に示すように変形される。
変形した数7を、数5に代入し、“α”を求めることができる。さらに、求めた“α”を数7に代入し“β”を求めることができる。この結果、数8に例示の、数1を最小とする(α、β)の組合せを求めることができる。
図9Bに、近似関数:f(t)=αt+βについて、パラメータα、βの最適解、つまり、数8を満たすパラメータα、βの導出処理のフローチャートを例示する。なお、数4に例示の係数C1−C4に係る総和式、数8に例示のパラメータα、βを導出する数式は、例えば、予め補助記憶部93の所定の領域に記憶すればよい。センサ端末11は、例えば、図7Eに例示のS43の処理時に、補助記憶部93に格納された数4、数8の関係を参照し、S61−S63の導出処理を行うとすればよい。
図9Bに例示のフローチャートにおいて、S61の処理では、センサ端末11は、例え
ば、近似対象となる期間の心拍数データを対応付けられた時刻情報と共に全て取得する。そして、センサ端末11は、例えば、S61の処理で取得した心拍数データに基づいて、数4に例示の、係数C1−C4を算出する(S62)。センサ端末11は、例えば、算出された係数C1−C4を、近似対象となる期間と対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
S63の処理では、センサ端末11は、例えば、S62の処理で算出された係数C1−C4に基づいて、近似関数のパラメータα、βの最適値を算出する。センサ端末11は、例えば、補助記憶部93に格納された、α、βについての数8の関係を参照し、数8を満たすα、βの最適値を算出する。センサ端末11は、例えば、算出されたα、βを、近似対象となる期間と対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図8E(1)の説明例では、S43の処理対象である、食事期間の開始時刻−最大心拍数の到達時刻間の心拍数データについての近似関数のパラメータα(傾きパラメータ)は、“75.3(bpm/hour)”と算出される。また、同様に、近似関数のパラメータ(切片パラメータ)βは、“63.2(bpm)”と算出される。
図8E(2)に、食事期間、近似対象期間、近似関数の関係を例示する。図8E(2)の細破線で囲まれた矩形領域は食事期間を表し、太破線で囲まれた矩形領域は近似対象期間を表し、太線は近似対象期間の心拍数の推移についての近似関数を表す。なお、細線で囲まれた矩形領域は、S5のノイズ除去処理の対象となった除去期間である。
図7Eに例示のフローチャートに戻り、S44の処理では、例えば、センサ端末11は、第1ピークの回復応答速度を関数近似により算出する。センサ端末11は、例えば、S41の処理で取得した食事期間の時刻情報に基づいて、第1ピークの回復応答速度を算出するための近似対象期間を特定する。
第1ピークの回復応答速度を算出するための近似対象期間は、例えば、図8F(1)の太破線で囲まれた領域に例示するように、最大心拍数に到達した時刻から、食事終了時刻に一定期間を加えた期間を設定することができる。図8F(1)は、食事終了時刻に“5分間”の期間を加え、「最大心拍数に到達した時刻」−「食事終了時刻+5分間」を近似対象期間として設定した例である。
センサ端末11は、例えば、予め設定された“一定期間”を補助記憶部93の所定の領域に格納すればよい。そして、センサ端末11は、例えば、S44の処理の実行を契機として補助記憶部93に格納された“一定期間”を参照し、S41の処理で取得した食事期間の食事終了時刻に基づいて近似対象期間を特定すればよい。
センサ端末11は、例えば、特定した近似対象期間である、「最大心拍数に到達した時刻」−「食事終了時刻+5分間」の心拍数データを抽出する。そして、センサ端末11は、例えば、抽出した近似対象期間の心拍数データを処理対象として、一次線形関数:f(t)=αt+βによる関数近似を行う。なお、S44の処理における、一次線形関数:f(t)=αt+βによる関数近似は、S43の処理と同様の処理が行われる。
一次線形関数:f(t)=αt+βによる関数近似では、センサ端末11は、例えば、抽出した近似対象期間の心拍数データを処理対象として、図9Bに例示の、S61−63の処理を行う。センサ端末11は、例えば、抽出した近似対象期間の心拍数データに対して、S61−S63のα、βの導出処理を行うことにより、関数近似による近似誤差を最小とするα、βの最適値を算出する。この結果、センサ端末11では、例えば、近似対象期間で抽出した心拍数データの推移に基づく、第1ピークの回復応答速度が算出できる。
センサ端末11は、例えば、第1ピークの回復応答速度について算出された近似関数のパラメータα、βを、近似対象となる期間と対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図8F(1)の説明例では、S44の処理対象である、「最大心拍数に到達した時刻」−「食事終了時刻+5分間」の心拍数データについての近似関数のパラメータα(傾きパラメータ)は、“−34.4(bpm/hour)”と算出される。また、同様に、近似関数のパラメータ(切片パラメータ)βは、“85.2(bpm)”と算出される。
また、図8F(2)に、食事開始時刻−食事終了時刻までの期間、近似対象期間、近似関数の関係を例示する。図8F(2)の細破線で囲まれた矩形領域は食事開始時刻−食事終了時刻までの期間を表し、太破線で囲まれた矩形領域は近似対象期間を表し、太線は近似対象期間の心拍数の推移についての近似関数を表す。なお、細線で囲まれた矩形領域は、S5のノイズ除去処理の対象となった除去期間である。
図7Eに例示のフローチャートに戻り、S45−47の処理では、センサ端末11は、例えば、S43−S44と同様に、心拍数データの推移変化について関数近似を行い、第2ピークの応答速度(上昇応答速度、回復応答速度)を算出する。
S45の処理では、センサ端末11は、例えば、第2ピークの応答速度を算出するための、対象となる心拍数データを特定するために、第2ピークの最大心拍数(P2)の到達時刻を算出する。
センサ端末11は、例えば、図7AのS2処理で特定された食事期間を取得する。センサ端末11は、例えば、取得した食事期間の終了時刻を食後期間の開始時刻とし、食後期間における心拍数データを抽出する。食後期間は、例えば、食事期間の終了時刻から一定期間(例えば、4時間前後)である。なお、食後期間については、図2Aで説明した。
センサ端末11は、例えば、抽出した食後期間の心拍数データ間の大小比較を行うことで食後期間における最大心拍数(P2)を算出し、算出された最大心拍数(P2)の時刻(到達時刻)を取得する。
なお、センサ端末11は、最大心拍数(P2)の到達時刻の算出にあたり、例えば、消化活動が活発となる期間(例えば、食事開始時刻から30−80分経過するまでの期間)を特定し、心拍数データの抽出を行うとしてもよい。
S46の処理では、センサ端末11は、例えば、S45の処理で算出した第2ピークの最大心拍数(P2)の到達時刻に基づいて、第2ピークの上昇応答速度を関数近似により算出する。センサ端末11は、例えば、S45の処理で取得した食後期間の最大心拍数(P2)の到達時刻より、第2ピークの上昇応答速度を算出するための心拍数データの抽出期間(近似対象期間)を特定する。センサ端末11は、例えば、食後期間の開始時刻(食事期間の終了時刻)、及び、食後期間の最大心拍数(P2)の到達時刻に基づいて、第2ピークの上昇応答速度を算出するための近似対象期間を特定する。そして、センサ端末11は、例えば、特定された近似期間(食後期間の開始時刻−最大心拍数(P2)の到達時刻までの期間)の心拍数データを抽出する。
図8G(1)の例では、細破線で囲まれた領域は食事終了時刻を開始時刻とする食後期間を表し、太破線で囲まれた領域は、食後期間の開始時刻(食事終了時刻)から食後期間の最大心拍数(P2)の到達時刻までの近似対象期間を表す。センサ端末11は、例えば
、太破線で囲まれた領域の心拍数データを抽出する。
センサ端末11は、例えば、抽出した近似対象期間(食後期間の開始時刻−最大心拍数(P2)の到達時刻)の心拍数データを処理対象として関数近似を行い、第2ピークの上昇応答速度を算出する。なお、S46の処理における関数近似は、例えば、S43の処理と同様に、一次線形関数:f(t)=αt+βにより行われる。
一次線形関数:f(t)=αt+βによる関数近似では、センサ端末11は、例えば、抽出した近似対象期間の心拍数データを処理対象として、図9Bに例示の、S61−63のα、βの導出処理を行う。図9Bに例示の、S61−63の導出処理により、センサ端末11では、一次線形関数:f(t)=αt+βによる近似誤差を最小とするα、βの最適値が算出される。この結果、センサ端末11では、例えば、近似対象期間(食後期間の開始時刻−最大心拍数(P2)の到達時刻)で抽出した心拍数データの推移に基づく、第2ピークの上昇応答速度が算出できる。
センサ端末11は、例えば、第2ピークの上昇応答速度について算出された一次線形関数:f(t)=αt+βのパラメータα、βを、近似対象期間と対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図8G(1)の説明例では、S46の処理対象である、「食後期間の開始時刻」−「最大心拍数(P2)の到達時刻」の心拍数データについての一次線形関数のパラメータα(傾きパラメータ)は、“17.1(bpm/hour)”と算出される。また、同様に、一次線形関数のパラメータ(切片パラメータ)βは、“66.9(bpm)”と算出される。
また、図8G(2)に、食後期間、近似対象期間、近似関数の関係を例示する。図8G(2)の細破線で囲まれた矩形領域は食後期間を表し、太破線で囲まれた矩形領域は近似対象期間を表し、太線は近似対象期間の心拍数の推移についての近似関数を表す。なお、細線で囲まれた矩形領域は、S5のノイズ除去処理の対象となった除去期間である。
図7Eに例示のフローチャートに戻り、S47の処理では、センサ端末11は、例えば、S45の処理で算出した第2ピークの最大心拍数(P2)の到達時刻に基づいて、第2ピークの回復応答速度を関数近似により算出する。センサ端末11は、例えば、S45の処理で取得した食後期間の最大心拍数(P2)の到達時刻より、第2ピークの回復応答速度を算出するための心拍数データの抽出期間(近似対象期間)を特定する。センサ端末11は、例えば、食後期間の最大心拍数(P2)の到達時刻、及び、食後期間の終了時刻に基づいて、第2ピークの回復応答速度を算出するための近似対象期間を特定する。そして、センサ端末11は、例えば、特定された近似期間(食後期間の最大心拍数(P2)の到達時刻−食後期間の終了時刻までの期間)の心拍数データを抽出する。
図8H(1)の例では、細破線で囲まれた領域は食後期間を表し、太破線で囲まれた領域は、最大心拍数(P2)の到達時刻から食後期間の終了時刻までの近似対象期間を表す。センサ端末11は、例えば、太破線で囲まれた領域の心拍数データを抽出する。
センサ端末11は、例えば、抽出した近似対象期間(最大心拍数(P2)の到達時刻−食後期間の終了時刻)の心拍数データを処理対象として関数近似を行い、第2ピークの回復応答速度を算出する。なお、S47の処理における関数近似は、例えば、S43の処理と同様に、一次線形関数:f(t)=αt+βにより行われる。
一次線形関数:f(t)=αt+βによる関数近似では、センサ端末11は、例えば、抽出した近似対象期間の心拍数データを処理対象として、図9Bに例示の、S61−63
のα、βの導出処理を行う。図9Bに例示の、S61−63の導出処理により、センサ端末11では、一次線形関数:f(t)=αt+βによる近似誤差を最小とするα、βの最適値が算出される。この結果、センサ端末11では、例えば、近似対象期間(最大心拍数(P2)の到達時刻−食後期間の終了時刻)で抽出した心拍数データの推移に基づく、第2ピークの回復応答速度が算出できる。
センサ端末11は、例えば、第2ピークの回復応答速度について算出された一次線形関数:f(t)=αt+βのパラメータα、βを、近似対象期間と対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図8H(1)の説明例では、S47の処理対象である、「最大心拍数(P2)の到達時刻」−「食後期間の終了時刻」の心拍数データについての一次線形関数のパラメータα(傾きパラメータ)は、“−6.4(bpm/hour)”と算出される。また、同様に、一次線形関数のパラメータ(切片パラメータ)βは、“83.9(bpm)”と算出される。
また、図8H(2)に、食後期間、近似対象期間、近似関数の関係を例示する。図8H(2)の細破線で囲まれた矩形領域は食後期間を表し、太破線で囲まれた矩形領域は近似対象期間を表し、太線は近似対象期間の心拍数の推移についての近似関数を表す。なお、細線で囲まれた矩形領域は、S5のノイズ除去処理の対象となった除去期間である。
(時間特徴量の算出)
以下、図7F、9Bに例示のフローチャート、図8C−D、J−Kの図面を参照し、時間特徴量の算出を説明する。図8J−Kに例示のグラフは、縦軸を単位時間当たりの心拍数、横軸を経過時刻(時間)として、心拍数の推移をグラフ化したものである。
図7Fに例示のフローチャートでは、センサ端末11は、第1ピークの上昇応答時間、回復応答時間を算出するために、食事期間における第1ピークの最大心拍数(P1)に到達する時刻を特定する。そして、センサ端末11は、特定した第1ピークの最大心拍数(P1)の到達時刻に基づいて、第1ピークの上昇応答時間、回復応答時間を算出する。なお、第1ピークの回復応答時間は、例えば、図7Eに例示のS44の処理で説明した近似関数の傾きパラメータα、第1ピークの最大心拍数(P1)、ベースライン心拍数により算出される。
また、第2ピークについても同様に、センサ端末11は、第2ピークの上昇応答時間、回復応答時間を算出するために、食後期間における第2ピークの最大心拍数(P2)に到達する時刻を特定する。そして、センサ端末11は、特定した第2ピークの最大心拍数(P2)の到達時刻に基づいて、第2ピークの上昇応答時間、回復応答時間を算出する。なお、第2ピークの回復応答時間は、例えば、図7Eに例示のS47の処理で説明した近似関数の傾きパラメータα、第2ピークの最大心拍数(P1)、ベースライン心拍数により算出される。
図7Fに例示のフローチャートにおいて、S51の処理では、センサ端末11は、例えば、図7AのS2処理で特定された食事期間を取得する。センサ端末11は、例えば、S51の処理で取得した食事期間の時刻情報に基づいて、該時刻情報に対応する心拍数データを抽出する。そして、例えば、センサ端末11は、抽出した心拍数データ間の大小比較を行い、食事期間における最大心拍数(P1)を算出し、最大心拍数(P1)の心拍数データの時刻(到達時刻)を取得する(S52)。
センサ端末11は、例えば、S51の処理で取得した食事期間の開始時刻、S52の処理で取得した最大心拍数(P1)の到達時刻から、第1ピークの上昇応答時間を算出する
(S53)。センサ端末11は、S53の処理で算出した、第1ピークの上昇応答時間を、例えば、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図8C(1)に例示の説明図では、食事期間の開始時刻から最大心拍数(P1)の到達時刻までの、第1ピークの上昇応答時間は、“7(分)”として算出される。
図7Fに例示のフローチャートに戻り、S54の処理では、センサ端末11は、第1ピークの回復応答時間を算出するため、例えば、第1ピークの回復応答速度を関数近似により算出する。なお、S54の処理は、図7Eに例示のS44の処理と同様であるため、説明を省略する。センサ端末11は、例えば、図7Eに例示のS44の処理を行うことにより、近似関数(一次線形関数:f(t)=αt+β)についての傾きパラメータαを算出する。
S55の処理では、センサ端末11は、例えば、S54の処理で算出された近似関数の傾きパラメータαに基づいて、第1ピークの回復応答時間を算出する。第1ピークの回復応答時間は、例えば、図2Gで説明したように、第1ピークの最大心拍数(P1)から時間の経過に伴い回復する心拍数が、ベースライン心拍数(BL1)に到達するまでの期間として検出できる。
ベースライン心拍数(BL1)は、図8A等で説明したように、食事開始時刻前の所定期間(例えば、0−30分)の最低心拍数に設定されている。なお、ベースライン心拍数(BL1)は、例えば、図1Bで説明したように、食事開始時刻の心拍数でもよく、食事前期間で取得された心拍数の平均値としてもよい。ベースライン心拍数(BL1)の設定については、複数の対象者について共通する設定方法であればよい。
図8Jに、第1ピークの最大心拍数(P1)、ベースライン心拍数(BL1)、一次線形関数により関数近似された第1ピークの回復応答速度の関係を例示する。図8Jの縦軸に平行する破線L1は、第1ピークの最大心拍数(P1)の到達時刻を表し、破線L2は、第1ピークの回復応答速度の一次線形関数がベースライン心拍数(BL1)と交差する時刻を表す。また、縦軸に平行する両端矢印付きの実線は、ベースライン心拍数(BL1)と第1ピークの最大心拍数(P1)との心拍数差を表し、横軸に平行する両端矢印付きの実線は、第1ピークの回復応答時間を表す。
図8Jに例示するように、第1ピークの回復応答時間は、ベースライン心拍数(BL1)と第1ピークの最大心拍数(P1)との心拍数差を近似関数(一次線形関数)の傾きパラメータαで除算して得られた値(時間)として算出される。
センサ端末11は、例えば、図7CのS22の処理で説明したように、ベースライン心拍数(BL1)を算出する。そして、センサ端末11は、例えば、S52の処理で算出された第1ピークの最大心拍数(P1)とベースライン心拍数(BL1)との心拍数差を算出する。センサ端末11は、例えば、算出された心拍数差を、S54の処理で算出された傾きパラメータαで除算し、第1ピークの回復応答時間を算出する。
図8Jの例では、第1ピークの最大心拍数(P1)は“85.2(bpm)”、ベースラ
イン心拍数(BL1)は“59.0(bpm)”であり、心拍数差は“26.2(bpm)”となる。また、第1ピークの回復応答速度を近似する一次線形関数の傾きパラメータαは“−34.4(bpm/hour)”であり、第1ピークの回復応答時間は、(心拍数差)/(傾きパラメータα)より、“45.7(分)”と算出される。
センサ端末11は、S55の処理で算出した、第1ピークの回復応答時間を、例えば、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図7Fに例示のフローチャートに戻り、S56−S59の処理では、センサ端末11は、第2ピークについて、S52−S55と同様の処理を行い、第2ピークの上昇応答時間、回復応答時間を算出する。S56の処理では、センサ端末11は、例えば、第2ピークの上昇応答時間、回復応答時間を算出するために、第2ピークの最大心拍数(P2)の到達時刻を算出する。
センサ端末11は、例えば、図7AのS2処理で特定された食事期間を取得する。センサ端末11は、例えば、取得した食事期間の終了時刻を食後期間の開始時刻とし、食後期間における心拍数データを抽出する。食後期間は、例えば、食事期間の終了時刻から一定期間(例えば、4時間前後)である。なお、食後期間については、図2Aで説明した。
センサ端末11は、例えば、抽出した食後期間の心拍数データ間の大小比較を行うことで食後期間における最大心拍数(P2)を算出し、算出された最大心拍数(P2)の時刻(到達時刻)を取得する。
なお、センサ端末11は、最大心拍数(P2)の到達時刻の算出にあたり、例えば、消化活動が活発となる期間(例えば、食事開始時刻から30−80分経過するまでの期間)を特定し、心拍数データの抽出を行うとしてもよい。
センサ端末11は、例えば、S51の処理で取得した食事期間の終了時刻、S56の処理で取得した最大心拍数(P2)の到達時刻から、第2ピークの上昇応答時間を算出する(S57)。センサ端末11は、S57の処理で算出した、第2ピークの上昇応答時間を、例えば、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図8D(1)に例示の説明図では、食後期間の開始時刻から最大心拍数(P2)の到達時刻までの、第2ピークの上昇応答時間は、“27(分)”として算出される。
図7Fに例示のフローチャートに戻り、S58の処理では、センサ端末11は、第2ピークの回復応答時間を算出するため、例えば、第2ピークの回復応答速度を関数近似により算出する。なお、S58の処理は、図7Eに例示のS46の処理と同様であるため、説明を省略する。センサ端末11は、例えば、図7Eに例示のS46の処理を行うことにより、近似関数(一次線形関数:f(t)=αt+β)についての傾きパラメータαを算出する。
S59の処理では、センサ端末11は、例えば、S58の処理で算出された近似関数の傾きパラメータαに基づいて、第2ピークの回復応答時間を算出する。第2ピークの回復応答時間は、例えば、図2Hで説明したように、第2ピークの最大心拍数(P2)から時間の経過に伴い回復する心拍数が、ベースライン心拍数(BL1)に到達するまでの期間として検出できる。ベースライン心拍数(BL1)については、S55の処理で説明した。
図8Kに、第2ピークの最大心拍数(P2)、ベースライン心拍数(BL1)、一次線形関数により関数近似された第2ピークの回復応答速度の関係を例示する。図8Kの縦軸に平行する破線L3は、第1ピークの最大心拍数(P2)の到達時刻を表し、破線L4は、第2ピークの回復応答速度の一次線形関数がベースライン心拍数(BL1)と交差する
時刻を表す。また、縦軸に平行する両端矢印付きの実線は、ベースライン心拍数(BL1)と第2ピークの最大心拍数(P2)との心拍数差を表し、横軸に平行する両端矢印付きの実線は、第2ピークの回復応答時間を表す。
図8Kに例示するように、第2ピークの回復応答時間は、ベースライン心拍数(BL1)と第2ピークの最大心拍数(P2)との心拍数差を近似関数(一次線形関数)の傾きパラメータαで除算して得られた値(時間)として算出される。
センサ端末11は、例えば、図7CのS22の処理で説明したように、ベースライン心拍数(BL1)を算出する。そして、センサ端末11は、例えば、S56の処理で算出された第2ピークの最大心拍数(P2)とベースライン心拍数(BL1)との心拍数差を算出する。センサ端末11は、例えば、算出された心拍数差を、S58の処理で算出された傾きパラメータαで除算し、第2ピークの回復応答時間を算出する。
図8Kの例では、第2ピークの最大心拍数(P2)は“83.7(bpm)”、ベースラ
イン心拍数(BL1)は“59.0(bpm)”であり、心拍数差は“24.7(bpm)”となる。また、第2ピークの回復応答速度を近似する一次線形関数の傾きパラメータαは“−6.4(bpm/hour)”であり、第2ピークの回復応答時間は、(心拍数差)/(傾きパラメータα)より、“231.5(分)”と算出される。
センサ端末11は、S59の処理で算出した、第2ピークの回復応答時間を、例えば、食事の時間帯、センサ端末11の識別情報に対応付けて主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
図7B−7Fの処理で算出された、4種11個の食事特徴量は、例えば、図6Eに例示の食事特徴量テーブルとしてネットワークNに出力される。図6Eに例示の食事特徴量テーブルでは、算出された4種11個の食事特徴量が各食事特徴量の種別に対応付けられて格納されている。
図6Eの食事特徴量テーブルでは、例えば、図7CのS21−S25の処理で算出された“0.82”が「面積比」のレコードに格納されている。同様に、図7DのS32の処理で算出された“85.2”が「第1ピーク振幅」、S33の処理で算出された“83.7”が「第2ピーク振幅」のレコードに格納されている。
同様に、図7EのS43の処理で算出された“75.3”が「第1ピーク上昇応答速度」、S44の処理で算出された“−34.4”が「第1ピーク回復応答速度」のレコードに格納されている。また、同図のS46の処理で算出された“17.1”が「第2ピーク上昇応答速度」、S47の処理で算出された“−6.4”が「第2ピーク回復応答速度」のレコードに格納されている。
同様に、図7FのS53の処理で算出された“7”が「第1ピーク上昇応答時間」、S55の処理で算出された“45.7”が「第1ピーク回復応答時間」のレコードに格納されている。また、同図のS57の処理で算出された“27”が「第2ピーク上昇応答時間」、S59の処理で算出された“231.5”が「第2ピーク回復応答時間」のレコードに格納されている。
なお、図7Bで説明したように、センサ端末11で算出される食事特徴量の種別は、予めセンサ端末11毎に設定される。このため、センサ端末11で処理が行われなかった食事特徴量については、例えば、該当する食事特徴量のレコードの格納領域が空欄状態でネットワークNに出力される。
(対象者絞り込み処理)
以下、図7Gに例示のフローチャートを参照し、図7Aに例示のS10の対象者絞り込み処理を説明する。図7Gに例示の対象者絞り込み処理では、例えば、情報処理装置10は、センサ端末11から出力された食事特徴量と、予め食事特徴量DB201に登録された複数の候補者の食事特徴量との照合を行う。例えば、情報処理装置10は、センサ端末11から出力された食事特徴量の値が、食事特徴量DB201に登録された各候補者の食事特徴量の固有範囲内であるかを判定する。センサ端末11から出力された食事特徴量の値が、食事特徴量DB201に登録された各候補者の食事特徴量の固有範囲内であるかの判定は、特徴量毎に行われる。情報処理装置10は、予め食事特徴量DB201に登録された全ての候補者について、各食事特徴量の固有範囲との照合の結果により、複数の候補者の中から、センサ端末11で検出した食事特徴量の対象者として見做し得る候補者の絞り込みを行う。なお、以下の説明では、センサ端末11から出力された食事特徴量を“観測特徴量”とも称する。
図7Gに例示のフローチャートにおいて、S71の処理では、情報処理装置10は、例えば、図7AのS7の処理でセンサ端末11から出力された食事特徴量(観測特徴量)を取得する。観測特徴量には、食事の時間帯、センサ端末11の識別番号が含まれる。なお、S71の処理で取得する観測特徴量の種別の数は最大11種別(次元)であり、観測特徴量の種別の数は、センサ端末11により設定される。S71の処理で取得した観測特徴量の数量を“M(1−11)”とする。情報処理装置10は、例えば、取得した観測特徴量を主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
S72の処理では、情報処理装置10は、例えば、図7Aに例示のS9の処理で食事特徴量の固有範囲が特定された各候補者について、絞り込み処理を行うための識別番号の設定(j=1・・・N、Nは候補者数)を行う。S73の処理では、情報処理装置10は、例えば、食事特徴量の各種別について、絞り込みを行うための識別番号の設定(i=1−M≦11)を行う。情報処理装置10は、例えば、S74−S79の処理を、候補者毎、特徴量毎に繰り返し、複数の候補者の中から観測特徴量の対象者と見做し得る候補者の絞り込みを行う。
S74の処理では、情報処理装置10は、例えば、S71の処理で取得したM次元の中の次元iの観測特徴量:X(i)について、図7AのS9の処理で食事特徴量の固有範囲が決定された候補者jの固有範囲を取得する。例えば、次元iに対応する、食事特徴量の固有範囲の最大値を“F_max(i)”とし、最小値を“F_min(i)”とする。情報処理装置10は、候補者jの次元iの食事特徴量について、最大値F_max(i)、
最小値F_min(i)を取得する。
S75の処理では、情報処理装置10は、候補者jの次元iの食事特徴量のF_max
(i)、F_min(i)と、次元iの観測特徴量:X(i)との大小比較を行い、“F_min(i)<X(i)<F_max(i)”の関係を満たすかを判定する。
情報処理装置10は、例えば、観測特徴量X(i)と候補者jの次元iの食事特徴量との大小関係が、“F_min(i)<X(i)<F_max(i)”の関係を満たす場合には(S75,yes)、S76の処理に移行する。一方、例えば、情報処理装置10は、観測特徴量X(i)と候補者jの次元iの食事特徴量との大小関係が、“F_min(i
)<X(i)<F_max(i)”の関係を満たさない場合には(S75,no)、S7
8の処理に移行する。S78の処理では、情報処理装置10は、例えば、候補者jは「対象者ではない」と判定し、S76−S77の処理をスキップし、S79の処理に移行する。
S76の処理では、情報処理装置10は、例えば、処理対象の食事特徴量の次元iが最後であるかを判定する。情報処理装置10は、例えば、処理対象の食事特徴量の次元iが最後でない場合には(S76、no)、処理対象の食事特徴量の次元iを“1”インクリメントし、S74の処理に移行する。一方、情報処理装置10は、例えば、処理対象の食事特徴量の次元iが最後の場合には(S76、yes)、S77の処理に移行し、候補者jは「対象者である」と判定し、S79の処理に移行する。
S79の処理では、情報処理装置10は、例えば、処理対象の候補者jが最後であるかを判定する。情報処理装置10は、例えば、処理対象の候補者jが最後でない場合には(S79、no)、処理対象の候補者の識別子jを“1”インクリメントし、S74の処理に移行する。一方、情報処理装置10は、例えば、処理対象の候補者jが最後の場合には(S79、yes)、例えば、「対象者である」と判定された候補者jを主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶し、当対象者絞り込み処理を終了する。
情報処理装置10は、例えば、図7Gに例示の対象者絞り込み処理の終了を契機として、「対象者である」と判定された全ての候補者を、例えば、センサ端末11の識別番号等に対応付けて、情報処理装置10の出力部95に出力する。
以上、説明したように、本実施形態のセンサ端末11は、食事に伴う心拍数の特徴を4種11個の食事特徴量として算出することにより、食事に伴う心拍数の変化の推移を特定することができる。
本実施形態のセンサ端末11は、第1ピーク領域の面積と第2ピーク領域の面積比を求
めることにより、候補者に固有の食事に伴う蠕動運動と消化活動の活動負荷比を数値化することができる。また、本実施形態のセンサ端末11は、第1ピークの最大心拍数、第2
ピークの最大心拍数を求めることにより、候補者に固有の食事に伴う心拍数の変化幅を特定し数値化することができる。
本実施形態のセンサ端末11は、第1ピークの上昇応答速度を求めることにより、候補
者に固有の食事に伴う蠕動活動による心拍数の上昇変化を特定し数値化することができる。また、本実施形態のセンサ端末11は、第1ピークの回復応答速度を求めることにより
、候補者に固有の食事に伴う蠕動活動による心拍数の回復変化を特定し数値化することができる。
本実施形態のセンサ端末11は、第2ピークの上昇応答速度を求めることにより、候補者に固有の食事に伴う消化活動による心拍数の上昇変化を特定し数値化することができる。また、本実施形態のセンサ端末11は、第2ピークの回復応答速度を求めることにより、候補者に固有の食事に伴う消化活動による心拍数の回復変化を特定し数値化することができる。
本実施形態のセンサ端末11は、第1ピークの上昇応答時間を求めることにより、候補
者に固有の食事に伴う蠕動活動による心拍数の上昇変化の推移時間を特定し数値化することができる。また、本実施形態のセンサ端末11は、第1ピークの回復応答速度を求める
ことにより、候補者に固有の食事に伴う蠕動活動による心拍数の回復変化推移時間を特定し数値化することができる。
本実施形態のセンサ端末11は、第2ピークの上昇応答時間を求めることにより、候補者に固有の食事に伴う消化活動による心拍数の上昇変化の推移時間を特定し数値化することができる。また、本実施形態のセンサ端末11は、第2ピークの回復応答時間を求める
ことにより、候補者に固有の食事に伴う消化活動による心拍数の回復変化の推移時間を特定し数値化することができる。
本実施形態のセンサ端末11は、4種11個の食事特徴量を数値化することにより、候補者に固有の食事に伴う心拍数の変化の推移を定量的に処理することができる。例えば、本実施形態の情報処理装置10は、数値化された4種11個の食事特徴量の継時的な変化幅を、各食事特徴量の最大値、及び、最小値と対応付けて候補者毎の固有範囲として特定することができる。本実施形態の情報処理装置10は、候補者毎に特定された各食事特徴量の固有範囲と、センサ端末11で検出された観測特徴量との照合を行うことにより、複数の候補者の中から観測特徴量の対象者と見做し得る候補者の絞り込みを行うことができる。この結果、本実施形態では、複数の候補者の中から対象者として見做し得る候補者の抽出精度を向上する技術が提供できる。
<変形例1>
本実施形態の、食事に伴う心拍の特徴を用いた対象者の絞り込みは、他の生体特徴を使用した対象者の特定方法と組合せることが可能である。例えば、安静時の心拍数を用いて対象者を特定する方法、心電波形を用いて対象者を特定する方法、歩行特徴や位置履歴といった動作特徴を用いて対象者を特定する方法との組合せが可能である。
図7Hに変形例1における対象者特定処理のフローチャートを例示する。図7Hは、他の生体特徴を使用した対象者の特定方法として、安静時の心拍数を用いて対象者を特定する方法、心電波形を用いて対象者を特定する方法、歩行特徴や位置履歴といった動作特徴を用いて対象者を特定する方法を組合せた例である。図7HのS84の処理では、例えば、図7A−図7Gに例示の対象者特定処理が、対象者の食事に伴う心拍の特徴量に応じて適宜実行される。
変形例1の対象者絞り込みでは、例えば、情報処理装置10は、複数の候補者について、安静時の心拍数を用いて候補者の絞り込みを行う(S81)。そして、情報処理装置10は、例えば、本実施形態の、食事に伴う心拍の特徴を用いた対象者の絞り込みを行う(S84)。同様に、例えば、情報処理装置10は、心電波形を用いて候補者の絞りこみを行い(S82)、或いは、動作特徴を用いた候補者の絞り込みを行う(S83)。そして、情報処理装置10は、例えば、本実施形態の、食事に伴う心拍の特徴を用いた対象者の絞り込みを行う。
変形例1の対象者絞り込み処理では、他の生体特徴を用いることにより、性質の異なる特徴量が増えることで、候補者の絞り込みの精度を向上することが期待できる。また、他の生体特徴を用いることにより、複数の生体特徴が組合せられるため、例えば、候補者の意図的な成り済ましを抑制することが期待できる。
<変形例2>
図5に例示の、情報処理装置10の、候補者固有範囲作成部103および対象者絞り込み部104の処理機能を、例えば、センサ端末11の処理機能として含ませることにより、センサ端末11での対象者特定処理が可能となる。
図11A,Bに、センサ端末側に、候補者固有範囲作成部103および対象者絞り込み部104の処理機能を含む変形例2の実施形態を例示する。図11Aに例示の変形例2の情報処理システム1aでは、例えば、複数の患者等に装着されるセンサ端末21(21A,21B,…,21X)とサーバ等の情報処理装置10aとがネットワークNを介して接続される。情報処理装置10aには、例えば、図5に例示のDB情報取得部102、食事特徴量DB210が含まれる。なお、センサ端末21には、センサ端末21の装着者を一意に識別する
識別番号(番号A,B,…,X)等が付与される。
図11Bに、情報処理システム1aの情報処理装置10a、センサ端末21の処理ブロックの説明図を例示する。図11Bの例では、情報処理装置10aは、例えば、データ送受信部101a、DB情報取得部102の各処理手段を有し、食事特徴量DB201を補助記憶部13に備える。食事特徴量DB201には、例えば、患者毎の食事特徴量の履歴値が格納される。
図11Bに例示のデータ送受信部101aは、例えば、センサ端末21側で絞り込みが行われた患者等の各種特徴量を確定したデータとして受信すると共に、DB情報取得部102で取得された患者毎の各種特徴量の履歴を定期的にセンサ端末12に送信する。なお、患者毎の各種特徴量の履歴の送信は、例えば、食事の時間帯毎に行われる。
また、図11Bの例では、センサ端末21は、例えば、心拍数取得部211、特徴量算出部212、対象者絞り込み部213、候補者固有範囲作成部214、データ送受信部121aの各処理手段を有する。
図11Bの心拍数取得部211は、例えば、図5に例示のセンサ端末11の、センサ装着判定部111、心拍数データ取得部112、加速度データ取得部113、運動期間判定部114、食事期間判定部115、ノイズ心拍数除去部116等に相当する。また、特徴量算出部212は、例えば、図5に例示のセンサ端末11の、面積特徴量算出部117、振幅特徴量算出部118、速度特徴量算出部119、時間特徴量算出部120に相当する。
また、図11Bの対象者絞り込み部213は、例えば、図5に例示の情報処理装置10の備える対象者絞り込み部104に相当し、候補者固有範囲作成部214は、同様に、図5に例示の情報処理装置10の備える候補者固有範囲作成部103に相当する。なお、データ送受信部121aは、例えば、絞り込みが行われた患者等の各種特徴量を確定したデータとして情報処理装置10aに送信すると共に、情報処理装置10aから送信された患者毎の各種特徴量の履歴を定期的に受信する。受信された患者毎の各種特徴量の履歴は、例えば主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶される。
センサ端末21の候補者固有範囲作成部214では、例えば、情報処理装置10aから定期的に送信された患者毎の各種特徴量の履歴に基づいて、特徴量毎の固有範囲が作成される。また、センサ端末21では、例えば、心拍数取得部211、特徴量算出部212の処理により、食事に伴う心拍数の4種11個のセンサ端末21を装着する患者に固有の特徴量が特定される。
センサ端末21は、例えば、装着者に固有の特徴量と、患者毎の各種特徴量の履歴に基づいて作成された特徴量毎の固有範囲と照合を行い、センサ端末21の装着者が真の装着者であるかを判定する。なお、センサ端末21は、例えば、センサ端末21の装着者が真の装着者である場合には、例えば、食事に時間帯に対応付けて特定された食事に伴う心拍数の4種11個の特徴量を情報処理装置10aに送信する。情報処理装置10aでは、センサ端末21から送信された4種11個の特徴量に基づいて、例えば、食事特徴量DB201のデータが更新される。
以上、図11A,Bに例示の変形例2のセンサ端末21では、センサ端末21側で対象者特定処理が可能となり、センサ端末21の装着者が真の装着者であるかを判定することができる。
<変形例3>
食事に伴う心拍数の4種11個の特徴量に基づいて対象者特定処理が行われる情報処理システムの形態として、例えば、図11C、11Dに例示の、スマートフォン等の情報処理端末41を含む形態が可能である。ここで、情報処理端末41として、例えば、スマートフォン以外に、タブレットPC(PC:Personal Computer)、PDA(Personal Data
Assistance)、ノートPC等が例示できる。
例えば、患者等に装着したセンサ端末で取得した食事に伴う心拍数の特徴量を、患者等が使用するベッド等に設けられた情報処理端末で管理するといった形態が想定される。図11C,D等に例示の情報処理システム1bは、上述のように、患者に装着されるセンサ端末,ベッド等に設けられた情報処理端末(スマート端末)、患者毎の食事に伴う特徴量を履歴として管理する情報処理装置10bを含む変形例3の実施形態の例示である。
図11Cに例示の変形例3の情報処理システム1bでは、例えば、センサ端末31と情報処理端末41とが通信機能を介して1対1で接続する。センサ端末31、情報処理端末41には、センサ端末31の装着者を一意に識別する識別番号(番号A,B,…,X)等が付与される。複数の情報処理端末41(41A,…,41X)とサーバ等の情報処理装置10bとはネットワークNを介して接続される。情報処理端末41は、例えば、図5に例示の情報処理
装置10の、候補者固有範囲作成部103および対象者絞り込み部104の処理機能を含むことにより、センサ端末31を装着する患者等の対象者特定処理を行うことができる。
図11Dに、情報処理システム1bの情報処理装置10b、センサ端末31、情報処理端末41の処理ブロックの説明図を例示する。図11Dの例では、情報処理装置10aは、例えば、データ送受信部101a、DB情報取得部102の各処理手段を有し、食事特徴量DB201を補助記憶部13に備える。食事特徴量DB201には、例えば、患者毎の食事特徴量の履歴値が格納される。
図11Dに例示のデータ送受信部101aは、例えば、情報処理端末41側で絞り込みが行われた患者等の各種特徴量を確定したデータとして受信すると共に、DB情報取得部102で取得された患者毎の各種特徴量の履歴を定期的に情報処理端末41に送信する。患者毎の各種特徴量の履歴の送信は、例えば、食事の時間帯毎に行われる。
また、図11Dの説明図において、センサ端末31は、例えば、図11Bに例示の心拍数取得部211、特徴量算出部212、図5に例示のデータ送信部121を備える。センサ端末31は、例えば、心拍数取得部211、特徴量算出部212の処理により、食事に伴う心拍数の4種11個のセンサ端末21を装着する患者に固有の特徴量を特定し、特定した特徴量を情報処理端末41に送信する。
情報処理端末41は、例えば、候補者固有範囲作成部411、対象者絞り込み部412、図11Bに例示のデータ送受信部121aの各処理手段を備える。データ送受信部121aは、例えば、絞り込みが行われた患者等の各種特徴量を確定したデータとして情報処理装置10bに送信すると共に、情報処理装置10bから送信された患者毎の各種特徴量の履歴を定期的に受信する。受信された患者毎の各種特徴量の履歴は、例えば主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶される。なお、データ送受信部121aは、例えば、通信機能を介し接続されたセンサ端末31から送信された患者に固有の特徴量を受信し、受信した特徴量を主記憶部92の所定の領域に一時的に記憶する。
また、候補者固有範囲作成部411は、例えば、図5に例示の情報処理装置10の備える候補者固有範囲作成部103に相当し、同様に、対象者絞り込み部412は、図5に例示の情報処理装置10の備える対象者絞り込み部104に相当する。情報処理端末41の
候補者固有範囲作成部411では、例えば、情報処理装置10bから定期的に送信された患者毎の各種特徴量の履歴に基づいて、特徴量毎の固有範囲が作成される。
情報処理端末41は、例えば、センサ端末31から受信した患者に固有の特徴量と、情報処理装置10bから受信した患者毎の各種特徴量の履歴に基づいて作成された特徴量毎の固有範囲と照合を行う。そして、情報処理端末41は、センサ端末31の装着者が真の装着者であるかを判定する。なお、情報処理端末41は、センサ端末31の装着者が真の装着者である場合には、例えば、食事に時間帯に対応付けて特定された食事に伴う心拍数の4種11個の特徴量を情報処理装置10bに送信する。情報処理装置10bでは、情報処理端末41から送信された4種11個の特徴量に基づいて、例えば、食事特徴量DB201のデータが更新される。
以上、図11C,Dに例示の変形例3の情報処理端末41では、センサ端末31から送信された4種11個の特徴量に基づいて対象者特定処理が可能となり、センサ端末31の装着者が真の装着者であるかを判定することが可能となる。
<実験例>
以下、図10A−10Gを参照し、4人の候補者について取得された、食事に伴う心拍数の4種11個の食事特徴量を使用しての、対象者絞り込みの実験例を説明する。候補者の性別は全て男性であり、各候補者の年齢はそれぞれ、候補者A(30代前半)、候補者B(50代)、候補者C(40代)、候補者D(30代後半)である。食事の時間帯は昼食の時間帯(11:00−17:00)とし、摂食の速度、食事内容(消化負担の軽重)、食事量といった摂食の条件を変更し、候補者毎の約12日分の食事に伴う心拍数データを取得した。
図10Aに、候補者A−Dについて取得された心拍数データ例を例示する。図10Aに例示のグラフは、縦軸を単位時間当たりの心拍数(bpm)、横軸を経過時刻(時間)とし
て、昼食の時間帯における心拍数の推移をグラフ化したものである。図10Aに例示の心拍数データは、一例である。なお、縦軸に平行する破線で挟まれた期間は、食事期間を表す。
図10Aに例示のように、破線で挟まれた食事期間には、候補者毎に心拍数のピーク(第1ピーク)が表れている。また、図10Aに例示の、各候補者の心拍数の推移を俯瞰した場合、該心拍数の推移に固有差があることが判る。例えば、候補者C、Dでは、心拍数の推移は、相対的に高め(例えば、70(bpm)以上)で推移するのに対し、候補者Bの
心拍数の推移では、相対的に低め(例えば、70(bpm)以下)で推移することが判る。
また、候補者Aの心拍数の推移では、他者の心拍数の推移に対しメリハリがあることが判る。
なお、候補者Bのグラフ例では、破線で示される食事期間の前後に心拍数のピークPb1、Pb2が表れている。候補者Bのグラフ例における心拍数のピークPb1、Pb2の発生は、食事前後に行われた歩行運動のためである。また、候補者Bのグラフ例において、食後期間の13:00−14:00の期間では、ピーク値が90(bpm)近傍の心拍数
のピークPb3が表れている。心拍数のピークPb3の発生は、候補者Bが会議出席のため、他の階の会議室へ移動する際に階段昇降を行ったためである。
図10Aの候補者Bの心拍数データに表れる、運動活動を起因とした心拍数の上昇・回復の影響を除くため、本実施形態のセンサ端末11は、例えば、図7Aに例示の対象者特定処理では、S5のノイズ心拍数の除去処理を実行する。そして、本実施形態のセンサ端末11は、例えば、運動活動を起因とした心拍数の上昇・回復の影響が除去された心拍数
データを対象として、4種11個の食事特徴量を算出するため、食事に伴う心拍の特徴量を抽出することができる。
本実施形態の対象者特定処理では、候補者毎に取得された4種11個の食事特徴量について、食事特徴量毎に最大値、及び、最小値に基づく固有範囲を特定する。図10Bに、図10Aの候補者について取得した4種11個の食事特徴量から算出された固有範囲(特徴量範囲)リストを例示する。本実施形態の情報処理装置10では、例えば、図7Aに例示のS9の処理を行うことにより、図10Bに例示の、食事特徴量の固有範囲リストが生成される。
図10Bに例示の固有範囲リストでは、実験例の候補者(人物)A、Bについて算出された固有範囲が、4種11個の食事特徴量毎に格納されている。なお、図10Bの例において、各食事特徴量の固有範囲は、該当する食事特徴量の最大値を“a”、最小値を“b”として“[a,b]”で表されている。なお、固有範囲算出の対象期間は、食事特徴量を取得した期間(12日)である。
図10Bに例示の固有範囲リストに示すように、候補者Aの食事特徴量の面積比は[0.62,1.00]、第1ピーク振幅(bpm)は[71.3,92.1]、第1ピーク上昇応答時間(分)は
[4,9.5]、第1ピーク上昇応答速度(bpm/hour)は[58.9,86.3]、第1ピーク回復応答時間(分)は[31,50]と算出される。また、第1ピーク回復応答速度(bpm/hour)は[-43.7,-34.0]、第2ピーク振幅(bpm)は[83.7,91.1]、第2ピーク上昇応答時間(分)は[27,40]、第2ピーク上昇応答速度(bpm/hour)は[11.2,17.1]と算出される。また、第2ピーク回復応答時間(分)は[156.5,231.5]、第2ピーク回復応答速度(bpm/hour)は[-10.7,-3.4]と算出される。
候補者Bでは、食事特徴量の面積比は[1.32,1.60]、第1ピーク振幅(bpm)は[62.1,70.0]、第1ピーク上昇応答時間(分)は[3,9.5]、第1ピーク上昇応答速度(bpm/hour)は[50.3,90.3]、第1ピーク回復応答時間(分)は[32,38]と算出される。また、第1ピーク回復応答速度(bpm/hour)は[-43.2,-29.5]、第2ピーク振幅(bpm)は[57.1,65.8]、第2ピーク上昇応答時間(分)は[36,50]、第2ピーク上昇応答速度(bpm/hour)は[2.3,5.6]と算出される。また、第2ピーク回復応答時間(分)は[128.5,421]、第2ピーク回復応答速度(bpm/hour)は[-3.7,-0.7]と算出される。
図10Cに、第1ピーク振幅と第2ピーク振幅を用いた候補者A−Dについての食事特徴量のプロット例を例示する。図10Cのプロット例では、縦軸を第1ピーク振幅(bpm
)、横軸を第2ピーク振幅(bpm)として、各候補者の最大値、及び、最小値を含むサン
プルをプロットした例である。図10Cの、候補者Aのサンプルは“△”、候補者Bのサンプルは“◎”、候補者Cのサンプルは“□”、候補者Dのサンプルは“●”で表される。
図10Cの例では、候補者Bで検出されたサンプルは、第1ピーク振幅が“70(bpm
)”近傍以下、第2ピーク振幅が“80(bpm)”近傍以下にグルーピングされているこ
とが判る。また、候補者Bで検出された第1ピーク振幅の固有範囲(最大値−最小値)、第2ピーク振幅の固有範囲(最大値−最小値)を組合せた領域Z5には、他の候補者の食事特徴量が含まれないことが判る。
第1ピーク振幅と第2ピーク振幅の食事特徴量の組合せでは、候補者Bで検出された食事特徴量の固有範囲を組合せた領域Z5は、候補者Bについての固有領域となる。言い換えれば、検出された第1ピーク振幅、第2ピーク振幅の食事特徴量について、各候補者の第1ピーク振幅の固有範囲と第2ピーク振幅の固有範囲を使用することで、各候補者の中
から候補者Bを絞り込むことが可能となる。
図10Dに、第2ピーク上昇応答速度と面積比を用いた候補者A−Dについての食事特徴量のプロット例を例示する。図10Dのプロット例では、縦軸を第2ピーク上昇応答速度(bpm/hour)、横軸を面積比として、各候補者の最大値、及び、最小値を含むサンプルをプロットした例である。図10Dの、各候補者のサンプルを表す記号は、図10Cと同様である。
図10Dの例では、候補者Aで検出されたサンプルは、第2ピーク上昇応答速度が“5(bpm/hour)”近傍以上、面積比が“0.02近傍−0.06未満”の範囲にグルーピングされていることが判る。候補者Aで検出された第2ピーク上昇応答速度の固有範囲(最大値−最小値)、面積比(最大値−最小値)を組合せた領域Z6では、第2ピーク上昇応答速度が“5(bpm/hour)”近傍で他の候補者の食事特徴量と重複する領域が含まれる。領域Z6に重複する他の候補者は、候補者B、Dである。候補者B、Dとの重複する領域は領域Z6の端部であるため、第2ピーク上昇応答速度と面積比の食事特徴量の組合せでは、候補者Bで検出された食事特徴量の固有範囲を組合せた領域Z6は、候補者Bについての固有領域といえる。検出された第2ピーク上昇応答速度、面積比の食事特徴量について、各候補者の第2ピーク上昇応答速度の固有範囲と面積比の固有範囲を使用することで、各候補者の中から候補者Aを絞り込むことが可能となる。
図10Eに、第2ピーク回復応答速度と第1ピーク振幅を用いた候補者A−Dについての食事特徴量のプロット例を例示する。図10Eのプロット例では、縦軸を第2ピーク回復応答速度(bpm/hour)、横軸を第1ピーク振幅(bpm)として、各候補者の最大値、及
び、最小値を含むサンプルをプロットした例である。図10Eの、各候補者のサンプルを表す記号は、図10Cと同様である。
図10Eの例では、候補者Cで検出されたサンプルは、第2ピーク回復応答速度が“−3(bpm/hour)”近傍以上、第1ピーク振幅が“80(bpm)近傍−90(bpm)近傍”の範囲にグルーピングされていることが判る。候補者Cで検出された第2ピーク回復応答速度の固有範囲(最大値−最小値)、第1ピーク振幅(最大値−最小値)を組合せた領域Z7では、第2ピーク回復応答速度が“−2(bpm/hour)”近傍以上で候補者Dと重複する領域が含まれる。第2ピーク回復応答速度と第1ピーク振幅の食事特徴量の組合せでは、領域Z7の領域範囲は相対的に小さいため、候補者Cで検出された食事特徴量の固有範囲を組合せた領域Z7は、候補者Cについての固有領域といえる。検出された第2ピーク回復応答速度、第1ピーク振幅の食事特徴量について、各候補者の第2ピーク回復応答速度の固有範囲と第1ピーク振幅の固有範囲を使用することで、各候補者の中から候補者Cを絞り込むことが可能となる。
図10Fに、面積比と第1ピーク振幅を用いた候補者A−Dについての食事特徴量のプロット例を例示する。図10Fのプロット例では、縦軸を面積比、横軸を第1ピーク振幅(bpm)として、各候補者の最大値、及び、最小値を含むサンプルをプロットした例であ
る。図10Fの、各候補者のサンプルを表す記号は、図10Cと同様である。
図10Fの例では、候補者Dで検出されたサンプルは、面積比が“0.03近傍−0.10近傍”の範囲、第1ピーク振幅が“80(bpm)近傍−90(bpm)近傍”の範囲にグルーピングされていることが判る。候補者Dで検出された面積比の固有範囲(最大値−最小値)、第1ピーク振幅(最大値−最小値)を組合せた領域Z8では、面積比が“0.03近傍−0.06未満”の範囲で候補者A、Cと重複する領域が含まれる。
候補者Dの領域Z8では、サンプルZd1を除く他のサンプルは面積比“0・05近傍
”以上にグルーピングされている。このため、面積比と第1ピーク振幅の食事特徴量の組合せでは、候補者Dで検出された食事特徴量の固有範囲を組合せた領域Z8は、候補者Dについての固有領域といえる。検出された面積比、第1ピーク振幅の食事特徴量について、各候補者の面積比の固有範囲と第1ピーク振幅の固有範囲を使用することで、各候補者の中から候補者Dを絞り込むことが可能となる。
図10Fの面積比と第1ピーク振幅に、例えば、図10Dに例示の第2ピーク上昇応答速度の食事特徴量の固有範囲を加えることにより、候補者Cと候補者Dの絞り込み精度を向上させることが可能となる。また、図10Fの面積比と第1ピーク振幅に、例えば、図10Cに例示の第2振幅の食事特徴量の固有範囲を加えることにより、候補者Aと候補者Dの絞り込み精度を向上させることが可能となる。図10Fの面積比と第1ピーク振幅に、第2ピーク上昇応答速度、第2振幅の食事特徴量の固有範囲を加えることにより、候補者A、Cと候補者Dの絞り込み精度を向上させることが期待できる。図10C−10Fのプロット例で説明したように、候補者毎に特定された食事特徴量の固有範囲を複数に組合せる(最大11個)ことにより、複数の候補者の中から対象者として見做し得る候補者の抽出精度を向上させることが可能となる。
例えば、図3に例示の、患者Aに装着されるセンサ端末11Aが患者Bに装着され、患者Bに装着されるセンサ端末11Bが患者Aに装着されるといった取り違えが生じたケースを想定する。センサ端末11Bからは、図6Eに例示の食事特徴量(観測特徴量)がネットワークNに出力されたと想定する。情報処理装置10は、図6Eに例示の観測特徴量と候補者A−Dのそれぞれから取得した各食事特徴量の固有範囲との大小関係を判定することで観測特徴量の対象者を絞り込む。
図10Gに、図10Bに例示の各候補者の特徴量範囲リストに図6Eの観測特徴量を加えたテーブルを例示する。図10Gのテーブル例において、図6に例示の観測特徴量は、「観測特徴量」カラムに格納されている。また、図10Bに例示の候補者Aの特徴量範囲は「候補者A固有の特徴量範囲」カラムに格納され、候補者Bの特徴量範囲は「候補者B固有の特徴量範囲」カラムに格納されている。また、候補者Aの食事特徴量範囲と観測特徴量との大小関係の判定結果は「候補者Aの判定結果」カラムに格納され、候補者Bの食事特徴量範囲と観測特徴量との大小関係の判定結果は「候補者Bの判定結果」カラムに格納されている。
図10Gのテーブル例において、例えば、観測特徴量の面積比は“0.82”であり、候補者A固有の特徴量範囲は“[0.62,1.00]”である。観測特徴量の面積比は、例えば、図7GのS75の処理の判定条件である“0.62<0.82<1.00”の関係を満たす。このため、情報処理装置10では、例えば、観測特徴量の面積比は、「候補者Aである」と判定され、図10Gの「候補者Aの判定結果」カラムに“○”が格納される。
一方、候補者B固有の特徴量範囲は“[1.32,1.60]”であり、観測特徴量の面積比は、“0.82<1.32”となり、図7GのS75の処理の判定条件の関係を満たさない。このため、例えば、情報処理装置10では、観測特徴量の面積比は、「候補者Bでない」と判定され、図10Gの「候補者Bの判定結果」カラムに“×”が格納される。
例えば、情報処理装置10は上述の処理を食事特徴量毎に実行し、判定結果をそれぞれの「候補者Aの判定結果」カラム、「候補者Bの判定結果」カラムに格納する。この結果、図10Gに例示のように、各食事特徴量に対応する「候補者Aの判定結果」カラムには“○”が格納される。また、各食事特徴量に対応する「候補者Aの判定結果」カラムでは
、面積比、第1ピーク振幅、第1ピーク回復応答時間、第2ピーク振幅、第2ピーク上昇応答速度、第2ピーク回復応答速度について“×”が格納される。
例えば、情報処理装置10で実行される絞り込み処理では、センサ端末11で観測された全ての特徴量(最大11個)について、処理中の候補者の特徴量範囲に含まれる場合に、センサ端末11の装着者(対象者)と判定することができる。図10Gの例では、例えば、情報処理装置10は、図6Eに例示の観測特徴量の、センサ端末11の装着者は“候補者A”と判定することができる。
《コンピュータが読み取り可能な記録媒体》
コンピュータその他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記いずれかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
《その他》
以上の実施形態は、さらに以下の付記と呼ぶ態様を含む。以下の各付記に含まれる構成要素は、他の付記に含まれる構成と組み合わせることができる。
(付記1)
個人を特定する処理の対象である対象者の心拍数データから、前記対象者の食事に伴う心拍数変化の特徴量を取得する手段と、
複数の候補者のそれぞれに対応付けられた前記特徴量の履歴値の分布範囲を算出する手段と、
前記対象者から取得した前記特徴量と、前記特徴量の履歴値の分布範囲との関係に基づいて前記複数の候補者の中から前記対象者に該当する候補者を抽出する手段と、
を備える対象者特定装置。
(付記2)
前記特徴量は、食事の時間帯を含む第1期間に得られる心拍数データから算出される、付記1に記載の対象者特定装置。
(付記3)
前記第1期間は、食事の開始時刻から、前記開始時刻の後に心拍数が上昇後に下降し終わる時刻までの所定期間を含む、付記2に記載の対象者特定装置。
(付記4)
前記特徴量は、食事の時間帯の直後の期間を含む第2期間に得られる心拍数データから算出される、付記1から3の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記5)
前記第2期間は、前記第1期間の終了時刻から、前記終了時刻の後に心拍数が上昇後に下降し終わる時刻までの所定期間を含む、付記4に記載の対象者特定装置。
(付記6)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の心拍数の合計と前記対象者の前記第2期間の心拍数の合計との合計比を含む、付記4または5に記載の対象者特定装置。
(付記7)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数を含む、付記2から6の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記8)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数を含む、付記4から7の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記9)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の開始の時から、前記第1期間の第1最大心拍数に到達するまでの速度を含む、付記2から8の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記10)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数に到達の時から前記第1期間の終了の時に到達するまでの速度を含む、付記2から9の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記11)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の開始の時から、前記第2期間の第2最大心拍数に到達するまでの速度を含む、付記4から10の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記12)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数に到達の時から前記第2期間の終了の時に到達するまでの速度を含む、付記4から11の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記13)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の開始の時から、前記第1期間の第1最大心拍数に到達するまでの期間を含む、付記2から12の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記14)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数に到達の時から、前記第1最大心拍数が前記第1期間の終了の時に到達するまでの速度で所定心拍数に回復するまでの期間を含む、付記2から13の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記15)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の開始の時から、前記第2期間の第2最大心拍数に到達するまでの期間を含む、付記4から14の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記16)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数に到達の時から、前記第2最大心拍数が前記第2期間の終了の時に到達するまでの速度で所定心拍数に回復するまでの期間を含む、付記4から15の何れか一の付記に記載の対象者特定装置。
(付記17)
コンピュータに、
個人を特定する処理の対象である対象者の心拍数データから、前記対象者の食事に伴う心拍数変化の特徴量を取得するステップと、
複数の候補者のそれぞれに対応付けられた前記特徴量の履歴値の分布範囲を算出するステップと、
前記対象者から取得した前記特徴量と、前記特徴量の履歴値の分布範囲との関係に基づいて前記複数の候補者の中から前記対象者に該当する候補者を抽出するステップと、
を実行させるための対象者特定プログラム。
(付記18)
前記特徴量は、食事の時間帯を含む第1期間に得られる心拍数データから算出される、付記17に記載の対象者特定プログラム。
(付記19)
前記第1期間は、食事の開始時刻から、前記開始時刻の後に心拍数が上昇後に下降し終わる時刻までの所定期間を含む、付記18に記載の対象者特定プログラム。
(付記20)
前記特徴量は、食事の時間帯の直後の期間を含む第2期間に得られる心拍数データから算出される、付記17から19の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記21)
前記第2期間は、前記第1期間の終了時刻から、前記終了時刻の後に心拍数が上昇後に下降し終わる時刻までの所定期間を含む、付記20に記載の対象者特定プログラム。
(付記22)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の心拍数の合計と前記対象者の前記第2期間の心拍数の合計との合計比を含む、付記20または21に記載の対象者特定プログラム。(付記23)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数を含む、付記18から22の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記24)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数を含む、付記20から23の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記25)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の開始の時から、前記第1期間の第1最大心拍数に到達するまでの速度を含む、付記18から24の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記26)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数に到達の時から前記第1期間の終了の時に到達するまでの速度を含む、付記18から25の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記27)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の開始の時から、前記第2期間の第2最大心拍数に到達するまでの速度を含む、付記20から26の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記28)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数に到達の時から前記第2期間の終了の時に到達するまでの速度を含む、付記20から27の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記29)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の開始の時から、前記第1期間の第1最大心拍数に到達するまでの期間を含む、付記18から28の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記30)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数に到達の時から、前記第1最大心拍数が前記第1期間の終了の時に到達するまでの速度で所定心拍数に回復するまでの期間を含む、付記18から29の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記31)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の開始の時から、前記第2期間の第2最大心拍数に到達するまでの期間を含む、付記20から30の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記32)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数に到達の時から、前記第2最大心拍数が前記第2期間の終了の時に到達するまでの速度で所定心拍数に回復するまでの期間を含む、付記20から31の何れか一の付記に記載の対象者特定プログラム。
(付記33)
コンピュータが、
個人を特定する処理の対象である対象者の心拍数データから、前記対象者の食事に伴う心拍数変化の特徴量を取得するステップと、
複数の候補者のそれぞれに対応付けられた前記特徴量の履歴値の分布範囲を算出するステップと、
前記対象者から取得した前記特徴量と、前記特徴量の履歴値の分布範囲との関係に基づいて前記複数の候補者の中から前記対象者に該当する候補者を抽出するステップと、
を実行する作業対象確定方法。
(付記34)
前記特徴量は、食事の時間帯を含む第1期間に得られる心拍数データから算出される、付記33に記載の対象者特定方法。
(付記35)
前記第1期間は、食事の開始時刻から、前記開始時刻の後に心拍数が上昇後に下降し終わる時刻までの所定期間を含む、付記34に記載の対象者特定方法。
(付記36)
前記特徴量は、食事の時間帯の直後の期間を含む第2期間に得られる心拍数データから算出される、付記33から35の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記37)
前記第2期間は、前記第1期間の終了時刻から、前記終了時刻の後に心拍数が上昇後に下降し終わる時刻までの所定期間を含む、付記36に記載の対象者特定方法。
(付記38)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の心拍数の合計と前記対象者の前記第2期間の心拍数の合計との合計比を含む、付記36または37に記載の対象者特定方法。
(付記39)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数を含む、付記34から38の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記40)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数を含む、付記36から39の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記41)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の開始の時から、前記第1期間の第1最大心拍数に到達するまでの速度を含む、付記34から40の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記42)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数に到達の時から前記第1期間の終了の時に到達するまでの速度を含む、付記34から41の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記43)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の開始の時から、前記第2期間の第2最大心拍数に到達するまでの速度を含む、付記36から42の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記44)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数に到達の時から前記第2期間の終了の時に到達するまでの速度を含む、付記36から43の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記45)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の開始の時から、前記第1期間の第1最大心拍数に到達するまでの期間を含む、付記34から44の何れか一の付記に記載の対象者特
定方法。
(付記46)
前記特徴量は、前記対象者の前記第1期間の第1最大心拍数に到達の時から、前記第1最大心拍数が前記第1期間の終了の時に到達するまでの速度で所定心拍数に回復するまでの期間を含む、付記34から45の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記47)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の開始の時から、前記第2期間の第2最大心拍数に到達するまでの期間を含む、付記36から46の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。
(付記48)
前記特徴量は、前記対象者の前記第2期間の第2最大心拍数に到達の時から、前記第2最大心拍数が前記第2期間の終了の時に到達するまでの速度で所定心拍数に回復するまでの期間を含む、付記36から47の何れか一の付記に記載の対象者特定方法。