JP6552451B2 - モータ - Google Patents

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この発明は、ブラシタイプのモータに関する技術である。
従来より用いられているブラシタイプのモータでは、整流子に当接するブラシが摩耗して発生するブラシの摩耗粉が、ロータの回転を阻害するという問題があった。ブラシが摩耗することにより発生した摩耗粉は、モータのロータコアとマグネットとの間のクリアランス領域に侵入して堆積し、ロータの回転を阻害する。
この問題を解決するため、特許文献1に記載されたモータでは、発生したブラシの摩耗粉を、モータ内部空間から外部に排出するための羽根車を設け、さらに摩耗粉の排出効率を高めるために複数の切除部を設けて構成している。羽根車の回転により風下側の空気が切除部に向かって円滑な流れとすることにより、ブラシの摩耗粉の排出効率を高め、モータ内部でブラシ摩耗粉が飛散して堆積するのを抑制している。
特開2002−95223号公報
上記特許文献1に記載されたモータは、羽根車の回転によって発生した空気の流れを用いて、ブラシの摩耗粉を切除部から排出させる構造であり、羽根車の設置位置および切除部の形成位置により、モータを機器に搭載する際にモータの搭載姿勢が限定されるという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、モータを機器に搭載する際にモータの搭載姿勢を制限することなく、ブラシの摩耗粉がロータの回転を阻害するのを防止することを目的とする。
この発明に係るモータは、マグネットが設けられた円筒形状のステータと、ステータのマグネットの内側に回転可能に配置された円筒形状のロータコアと、ロータコアに巻き回されたコイルと、当該コイルに接続された整流子とを有するロータと、整流子と摺接してロータに電力を供給するブラシとを備え、ロータは、ロータコアとブラシとの間に、ステータ側に突出する円環状の第1の突起部を有し、ステータは、第1の突起部と、マグネットのブラシ側の面との間の領域に突出する第2の突起部を周方向に複数有し、且つ周方向に隣り合う2つの第2の突起部の間に穴部を有し、第1の突起部の面と、第2の突起部の面との間の領域が、ラビリンス構造を有するものである。
この発明によれば、モータの搭載姿勢が制限されることなく、ブラシの摩耗粉がロータの回転を阻害するのを防止することができる。
実施の形態1に係るモータの構成を示す図である。 実施の形態1に係るモータの上面図である。 図2のA−A線断面図の一部を示した図である。 図2のB−B線断面図であり、ステータを示した図である。 実施の形態1に係るモータのロータの突起部のその他の構成例を示す図である。 実施の形態1に係るモータのロータの突起部のその他の構成例を示す図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るモータの構造を示す図である。
図1では、ステータを断面で示し、このステータ内に配置されるロータおよび回転軸等を側面視で示している。
モータ1は、固定子であるステータ2およびステータ2の内周側に回転可能に配置された回転子である円筒形状のロータ3を備える。ステータ2は、内周側に複数貼り付けられたマグネット4と、マグネット4の外周面に配設された円筒状の磁性体で形成されたヨーク5とを備える。ステータ2は、モータ1のケースとしての機能も備える。
回転子であるロータ3は、円環状のロータコア31と、ロータコア31に巻き回されるコイル(図示しない)、当該コイルに接続された整流子6等を備える。ロータ3の中央部に設けた中央穴にはネジ部が形成され、このネジ部に螺合させて回転軸7が挿通される。回転軸7は、ステータ2に対して設けられた軸受8に軸受けされる。ロータ3がマグネット4の内周側で回転することにより、ロータ3に形成されたネジ部に螺合する回転軸7が直動方向Xに移動する。
また、モータ1には、整流子6を介してロータ3に電源を供給するブラシ9、ブラシ9に電源を供給する電源供給端子部(図示しない)等が配置されている。ロータ3に電源を供給する際に、回転軸7の端部に設けられた整流子6にブラシ9が摺接する。ブラシ9は、回転する整流子6に摺接するため、摩耗が起こり、摩耗粉が発生する。図1に示すように、ロータコア31の外周面と、マグネット4の内周面との間には、クリアランス領域10として所定のクリアランスが形成されている。発生したブラシ9の摩耗粉が、このクリアランス領域10内に侵入すると、ロータ3の回転が阻害される。
次に、ブラシ9の摩耗粉がクリアランス領域10に侵入するのを防止する構造について、図1、図2および図3を参照しながら説明する。
図2は、実施の形態1に係るモータの上面図である。
図3は、図2のA−A線断面図の一部を示した図である。
まず、図1および図3を参照しながら、ロータ3とステータ2により構成されたラビリンス構造について説明する。なお、図3の矢印Yは摩耗粉の侵入経路を示している。
ロータ3は、ロータコア31の上部に、外周方向、即ちステータ2側に突出する円環状の第1の突起部3aを有している。ロータ3をステータ2内に配設した際に、第1の突起部3aは、クリアランス領域10の開口領域10aを周方向に覆う。また、第1の突起部3aは、マグネット4の上面の少なくとも一部を周方向に覆う。
第1の突起部3aのロータコア31側の面に、第1の突起部3aよりも円周が小さい円環状の部材3bを配置し、第1の突起部3aの外周形状と、円環状の部材3bの外周形状とにより、円環状の第1の段差部3cが形成される。ステータ2側には、マグネット4の上方、且つ第1の突起部の下方の領域に向けて突出する第2の突起部2aが形成される。この第2の突起部2aと、マグネット4の上面4aの形状とにより、第2の段差部2bが形成される。ロータ3側の第1の段差部3cの面と、ステータ2側の第2の段差部2bの面との間の領域に、ラビリンス構造が形成される。形成されたラビリンス構造により、開口領域10aおよびクリアランス領域10への摩耗粉の進入を防止することができる。
また、第1の突起部3aの整流子6側の面には、円環状の第1の突起部3aの中心から外周方向に向けて、第1の突起部3aの厚みが減少するテーパ部3dが形成される。テーパ部3dは、ブラシ9の摩耗粉を後述する穴部に誘導する。
次に、図2を参照しながら、ステータ2に形成した摩耗粉を堆積させる穴部の構造について説明する。
図2は、ロータ3をステータ2内に配設したモータ1の上面図である。
図2に示すように、上述した第2の突起部2aは、ステータ2の内周側且つ周方向に所定の間隔で均等に複数形成されている。2つの第2の突起部2aの間には、凹部2cが形成される。ロータ3をステータ2内に配設した場合に、ロータ3の第1の突起部3aと、複数の凹部2cとにより、第1の突起部3aの外周部に複数の開口部が、所定の間隔で均等に形成される。この複数の開口部の下方に、複数の穴部2d,2e,2fが形成されている。穴部2dは、マグネット4の外周面側に形成される。穴部2eはヨーク5の外周面側に形成され、穴部2fはヨーク5の内周面側に形成される。
穴部2d,2e,2fの深さ方向の形状を図4に示す。
図4は、図2のB−B線断面図であり、ステータ2のみを示した図である。また、図4は、穴部2e,2fの形状を示している。
穴部2e,2fは、回転軸7(図4では図示を省略)の直動方向Xの方向に深さを有する穴部である。図4に示すように、穴部2eはヨーク5の外周側に形成され、穴部2fはヨーク5の内周側に形成されている。穴部2e,2fの深さは、ブラシ9の大きさに応じて発生すると推定される摩耗粉の量に応じて適宜設計される。
図示は省略するが、穴部2dも同様に、回転軸7の直動方向Xの方向に深さを有し、その深さはブラシ9の大きさに応じて適宜設計される。
ロータ3の第1の突起部3aの上面に落下したブラシ9の摩耗粉は、テーパ部3dを経由して、穴部2d,2e,2fに落ちて堆積する。
第1の突起部3aがクリアランス領域10の開口領域10aを覆い、さらにロータ3側の第1の段差部3cの面と、ステータ2側の第2の段差部2bの面との間の領域にラビリンス構造が形成され、ロータ3の第1の突起部3aの上面に落下した摩耗粉がクリアランス領域10に侵入するのを防止することができる。さらに、ステータ2の内周側に所定の間隔で形成された穴部2d,2e,2fに摩耗粉を集めることができる。
図5および図6は、実施の形態1に係るモータ1の第1の突起部のその他の形状を示す図である。
上述した説明では、第1の突起部3aの整流子6側の面に、テーパ部3dを形成する構成を示したが、第1の突起部3aの整流子6側の面形状は適宜設計可能である。例えば、図5に示すように、第1の突起部3aの整流子6側の面は平面であってもよい。なお、ロータ3側の第1の段差部3cの面と、ステータ2側の第2の段差部2bの面との間の領域にはラビリンス構造が形成されている。
また、図6に示すように、第1の突起部3aの外周端部に、整流子6側に突出する円環状部材3eを設け、第1の突起部3aおよび円環状部材3eの断面形状をL字形状としてもよい。図6では、第1の突起部3aおよび円環状部材3eを断面で示している。断面形状がL字形状となるよう第1の突起部3aおよび円環状部材3eを形成することにより、L字形状の領域で摩耗粉を受け止め、さらにロータ3側の第1の段差部3cの面と、ステータ2側の第2の段差部2bの面との間の領域に形成されたラビリンス構造により、ブラシ9の摩耗粉がクリアランス領域10に侵入するのを防止することができる。
以上のように、この実施の形態1によれば、マグネット4が設けられた円筒形状のステータ2と、マグネット4の内側に回転可能に配置された円筒形状のロータコア31と、ロータコア31に巻き回されたコイルと、当該コイルに接続された整流子6とを有するロータ3と、整流子6と摺接してロータ3に電力を供給するブラシ9とを備え、ロータ3は、ロータコア31とブラシ9との間に、ステータ2側に突出する円環状の第1の突起部3aを有し、ステータ2は、第1の突起部3aと、マグネット4のブラシ9側の面との間の領域に突出する第2の突起部2aを周方向に複数有し、且つ周方向に隣り合う2つの第2の突起部2aの間に穴部2d,2e,2fを有し、第1の突起部3aの面と、第2の突起部2aの面との間の領域が、ラビリンス構造を有するように構成したので、ブラシの摩耗粉がロータコアの外周面とマグネットの内周面との間のクリアランス領域に侵入してロータの回転を阻害するのを防止することができる。
また、この実施の形態1によれば、第1の突起部3aは、ロータコア側の面に円環状の第1の段差部3cを有し、第1の段差部3cの面と、第2の突起部2aおよびマグネット4のブラシ9側の面とによって形成される第2の段差部2bの面との間の領域が、ラビリンス構造を形成するように構成したので、ブラシの摩耗粉がクリアランス領域に侵入するのを防止することができる。
また、この実施の形態1によれば、第1の突起部3aは、ブラシ9側の面に、中心から外周方向に向けて厚みが減少するテーパ部3dを有するように構成したので、ブラシの摩耗粉を穴部に効率よく集めることができる。
また、この実施の形態1によれば、ブラシ9の摩耗粉を堆積させる複数の穴部2d,2e,2fをステータ2の周方向に均等に配置したので、モータの搭載姿勢が制限されることがない。
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
1 モータ、2 ステータ、2a 第2の突起部、2b 第2の段差部、2c 開口部、2d,2e,2f 穴部、3 ロータ、3a 第1の突起部、3b 円環状の突起部、3c 第1の段差部、3d テーパ部、3e 円環状部材、4 マグネット、5 ヨーク、6 整流子、7 回転軸、8 軸受、9 ブラシ、10 クリアランス領域、10a 開口領域、31 ロータコア。

Claims (4)

  1. マグネットが設けられた円筒形状のステータと、
    前記ステータの前記マグネットの内側に回転可能に配置された円筒形状のロータコアと、前記ロータコアに巻き回されたコイルと、当該コイルに接続された整流子とを有するロータと、
    前記整流子と摺接して前記ロータに電力を供給するブラシとを備え、
    前記ロータは、前記ロータコアと前記ブラシとの間に、前記ステータ側に突出する円環状の第1の突起部を有し、
    前記ステータは、前記第1の突起部と、前記マグネットの前記ブラシ側の面との間の領域に突出する第2の突起部を周方向に複数有し、且つ前記周方向に隣り合う2つの前記第2の突起部の間に穴部を有し、
    前記第1の突起部の面と、前記第2の突起部の面との間の領域が、ラビリンス構造を有するモータ。
  2. 前記第1の突起部は、前記ロータコア側の面に円環状の第1の段差部を有し、
    前記第1の段差部の面と、前記第2の突起部および前記マグネットの前記ブラシ側の面とによって形成される第2の段差部の面との間の領域が、前記ラビリンス構造を形成する請求項1記載のモータ。
  3. 前記第1の突起部は、前記ブラシ側の面に、中心から外周方向に向けて厚みが減少するテーパ形状を有することを特徴とする請求項1または請求項2記載のモータ。
  4. 前記穴部は、前記ステータの前記周方向に均等に配置したことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のモータ。
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