JP6551998B2 - ウコギ科薬用植物の栽培方法 - Google Patents

ウコギ科薬用植物の栽培方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウコギ科薬用植物の栽培方法に関する。
ウコギ科(Araliaceae)は双子葉植物の科の一つで、木本、大型草本、およびつる性植物からなり、約60属900種を含む。
ウコギ科植物は、民間薬、漢方薬として利用されるものが多く、例えば、トチバニンジン属(栃葉人参属、学名Panax)の植物は、塊根を持ちゆっくりと成長するのが特徴で、薬用成分ギンセノシドを含み、薬用植物として利用される。
トチバニンジン属の学名Panaxはギリシャ語で「全てを癒す」という意味で、漢方での用途を知っていたリンネが命名したためである。
トチバニンジン属の種の多くは北半球の冷涼な地域(主に中華人民共和国、シベリア、朝鮮半島)に自生する。
主に根が東洋医学の生薬として重用され、栽培されたものよりも野生のものの方が薬効が強いとされるため、野生の個体群はしばしば乱獲されて数を減らしてきた。
この様に、ウコギ科植物のトチバニンジン属は、主に根が東洋医学の生薬として重用されるが、その中でも最も有名な種は、オタネニンジンである。
オタネニンジン(学名:Panax ginseng C.A. Meyer)は、前述のように、その根(生薬「人参」及び「紅参」)が漢方薬、健康食品等として使用される薬用植物である。
なお、野菜のニンジンはセリ科であり、本種の近類種ではなく全く別の種である。
オタネニンジンは、古代から主に東アジア地域を中心に野生品が産出されていたが、近年の資源の枯渇化に伴い、圃場(ほじょう:作物を栽培する田畑、農園)での栽培化が進められている。現在、全体の70%以上が韓国と中国で圃場栽培されており日本もこれらの国々からの輸入に大きく依存している。
オタネニンジンは、歴史的には、奈良時代に日本に伝来したといわれているが、圃場栽培に何とか成功したのは江戸時代になってからで、現在は、主に長野県でわずかに圃場栽培が行われているにすぎない。
オタネニンジンは、良好に栽培できたものは、根は肥大して、茎は直立し、葉は掌状複葉で、数枚輪生し、花は小さく散形状で初夏に咲き、果実は夏に紅熟する。
生薬「人参」としては、抗疲労、抗糖尿、抗癌、抗ストレス、老化防止及び抗酸化作用など、その確かな薬理効果により非常に人気が高いことから、需要は伸びており、現代人が抱える様々な心身的問題に対して、特効薬となる可能性を秘めている。
しかし、生産となると、通常、農家におけるオタネニンジンの圃場栽培には、播種から収穫までに少なくとも4〜6年程度の栽培期間を要し、さらに、以下に示す困難性のため、多くの難しい(秘伝の)ノウハウと共に、土壌作りから取り組まなければならない。また、収穫後は土地の栄養が失われ、10〜15年程度は何も育てることが出来なくなるため、10〜20年という長いサイクルで栽培計画を立てていく必要がある。
オタネニンジンは、直射日光と過湿を嫌い、病害虫に弱く、また、根腐れ病菌等に弱いため連作障害が発生しやすい等のマイナス要因が重なり、非常に栽培が困難で、収穫率の低い植物である。
根腐れ病は、カビ、線虫、病原菌等の繁殖によるもので、オタネニンジンはこれらに弱いため、一度この病気になってしまった場合、その後連作することは出来ず、土壌を消毒するか別の作物を植える等して対応せざるを得ないのが現状である。
オタネニンジンには、多くの薬用成分が含まれるが、その成分組成及び含量は、生育環境により大きく左右され、収穫時期や乾燥・保管及び加工条件も収穫物の薬用成分含量に影響を与えるため、安定した収穫を確保することも難しい。
また、外国で圃場栽培された輸入品については、残留農薬や重金属成分が検出されるものもあり、その安全性の問題も存在する。
この様に、オタネニンジンは、その確かな薬理効果から社会的な需要が伸びているにもかかわらず、栽培年数が長い上、栽培が難しく費やす労力が大きいため、農業労働者の高齢化が進む中では栽培が敬遠される傾向が強くなり、実際、栽培農家が著しく減少している。
さらに、2011年3月の東日本大震災によって、一大産地であった福島県会津地方が壊滅的打撃を受けて生産停止となっているのが現状である。
この様な状況を踏まえて、最近、オタネニンジンの圃場栽培の改良法として、例えば、川の上流の山間部の斜面を利用して、種子から1〜3年生育させた苗を流水中に斜めに設置して礫で固定し、非循環水を供給することにより、オタネニンジンの病害虫被害、連作障害を防止する方法が提示されている(特許文献1)。
国際公開第2012/046601号
しかしながら、上記方法は、1〜3年生育させたオタネニンジンの苗を用いて、13ヶ月以上圃場栽培をする栽培方法であるため、手間も年数も掛かる。また、上記方法は、基本的には、苗の生育状態や、厳しい自然現象等の影響を受けるため、圃場栽培に関する土壌の質や種々の栽培条件の管理の困難性、収穫量の不安定性、収穫物の安全性担保の必要性などの問題が依然として存在する。
従って、圃場栽培に纏わる種々の困難性から解放され、栽培条件等を容易にコントロール可能で、短期間に収穫が出来、生薬として使用することのできるウコギ科薬用植物を得るのに好適な新たな栽培方法が求められている。
この発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、栽培が困難なウコギ科薬用植物に関して、圃場栽培に頼らず、栽培し易く、かつ、安全で品質の安定した収穫物を、より多く安定的に供給することのできる栽培方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る栽培方法は、播種から収穫までの栽培条件を制御するためのウコギ科薬用植物の栽培方法であって、播種した芽切り種子を、閉鎖型栽培施設で育成させて、実生苗とする第1の工程と、前記実生苗を、気温10℃〜25℃、相対湿度30%〜90%、明期12時間〜20時間の閉鎖型栽培施設で所定の期間、水耕栽培して薬用栽培物とする第2の工程と、を含む。
上記の目的を達成するため、本発明の他の観点に係る栽培方法は、
播種から収穫までを人工的に栽培する、ウコギ科薬用植物の栽培方法であって、以下の(a)〜(c)の種子から育苗する工程と、(d)〜(e)の水耕栽培する工程とを、含む。
(a)芽切り種子を実生栽培容器に播種する工程、
(b)前記種子を、気温20℃、相対湿度60%、最大5000ルクス以下、明期14時間の閉鎖型栽培施設で、自動潅水装置によって給水しながら育成する工程、
(c)播種後1ヶ月目に前記自動潅水装置で養液または水を供給しつつ、播種後2ヶ月目〜3ヶ月目まで育成を継続する工程、
(d)前記種子から育成した実生苗を、水耕栽培装置に移植する工程、
(e)前記実生苗を、気温20℃、相対湿度60%、CO濃度800ppm〜1000ppm、1000ルクス〜1400ルクス、明期16時間の閉鎖型栽培施設で、養液を供給しながら栽培する工程。
本発明によれば、栽培が困難なウコギ科薬用植物に関して、従来の圃場栽培よりも非常に短期間の栽培、例えば、1/6〜1/4の短期間の栽培で、気象条件や自然災害の影響を受けることなく、病害虫、農薬、重金属等の汚染の少ない、安心・安全な薬用植物(生薬)を安定して生産できる。
そして、地下部組織(以下、「地下部」という)が十分に生育して、薬用成分を蓄積した薬用植物を効率的に供給することができる。
なお、本明細書では、地下部とは、根、根茎、塊茎等、地上部とは、葉、葉柄、茎、果茎、花等をいう。
実施例4に係るオタネニンジン実生苗(播種後70日目)の地下部の生育状況を示す写真である。図1の(a)は、播種後31日目から養液供給を開始した実生苗の地下部、図1の(b)は、養液供給は行わず、水供給のみで生育した実生苗の地下部である。 実施例4に係るオタネニンジン実生苗(播種後70日目)の地下部サンプルのHPLCによる、ギンセノシドRb1、Rc、Rdの各分析結果例を示す図である。 実施例4に係るオタネニンジン実生苗(播種後70日目)サンプルのHPLCによる、ギンセノシドRb1、Rc、Rd含量の定量結果を示すグラフである。 実施例4に係るオタネニンジン実生苗(播種後70日目)の地下部サンプルのHPLCによる、ギンセノシドRg1、Reの分析結果例を示す図である。 実施例5に係るオタネニンジン実生苗(播種後351日目)の地下部サンプルのHPLCによる、ギンセノシドRg1、Rb1、Rc、Rd、Re等の分析結果例を示す図である。 実施例5に係るオタネニンジン実生苗(播種後351日目)の地下部サンプルのRg1含量(%乾燥重量)およびRb1含量(%乾燥重量)を示すグラフである。図6の(a)は、Rg1含量(%乾燥重量)、図6の(b)は、Rb1含量(%乾燥重量)を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。本明細書の全体にわたり、単数系の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語及び科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、定義を含めて本明細書が優先する。
本実施形態に係るウコギ科植物の栽培方法は、従来のウコギ科薬用植物においては実現されていない、閉鎖型栽培施設を利用した、水耕栽培による栽培方法であり、環境を人為的に制御できるものである。
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。これ以外は、本明細書の必要な箇所で定義されている。
本発明において、「薬用植物」とは、原則として「医薬として用い、また、医薬の原料とする植物。例えば、日本薬局方(第16改正日本薬局方)に収載されているものを含む」をいう。
本発明において、「ウコギ科薬用植物」とは、ウコギ科(Araliaceae)に属する上記「薬用植物」を指す。ウコギ科薬用植物は特に限定されないが、具体的には、例えば、オタネニンジン、トチバニンジン(Panax japonicus)、アメリカニンジン(Panax quinquefolius)等のトチバニンジン属(Panax属)に属する薬用植物;エゾウコギ(Eleutherococcus senticosus)等のウコギ属(Eleutherococcus属)に属する薬用植物;等があげられ、中でもトチバニンジン属に属する薬用植物が好ましい。
本発明において、「支持体」とは、植物を栽培するために、種子または実生苗を植付け、植物の地下部組織を保持するために使用されるものをいう。「支持体」の種類は特に限定されないが、土壌代替物であることが好ましく、土壌代替物としては、例えばバーミキュライト等の人工土;例えばロックウール等の天然または人工繊維からなる支持体;が挙げられる。
「養液」とは、植物の成長に必要な窒素、りん、カリ、金属などの栄養となる成分を含む液体をいう。栄養となる成分とは、より具体的には植物の必須元素(多量必須元素及び微量必須元素)の中から適宜選択されるものであるが、必須元素以外の元素を含んでいてもよい。なお、特に限定されないが、トチバニンジン属の植物を含めウコギ科薬用植物では養液の濃度が低いことが成長に好ましい場合があり、例えば、養液の標準処方の濃度以下であることが好ましい場合があり、より具体的には、例えば、標準処方の濃度の0.8倍以下、0.6倍以下、0.5倍以下、0.4倍以下、0.3倍以下、0.2倍以下、または0.15倍以下の濃度であることが好ましい場合がある。養液の濃度の下限は、特に限定されないが、例えば、標準処方の濃度の0.05倍以上、または0.1倍以上の濃度であることが好ましい場合もある。なお、トチバニンジン属に関すれば、必須元素の中では、窒素、リン、カリの他には、カルシウム及びマグネシウムの要求性が比較的高い。なお「養液」は、栄養となる成分としていわゆる化学肥料(無機肥料)を含むものが好ましいが、有機養液栽培を行う場合には有機肥料を含むものであり得る。
「栽培容器」とは、前記支持体を入れるための容器をいう。
(発明の概要)
本発明に係るウコギ科薬用植物の栽培方法は、播種した芽切り種子を、閉鎖型栽培施設で育成させて、実生苗とする第1の工程と、前記実生苗を、気温10℃〜25℃、相対湿度30%〜90%、明期12時間〜20時間の閉鎖型栽培施設で所定の期間、水耕栽培して薬用栽培物とする第2の工程とを含む、栽培方法である。この方法によれば、優れた品質の薬用植物を、外界の影響を実質的に遮断しつつ、従来の圃場栽培と比較して非常に短期間の栽培で得ることが出来る。
上記第1の工程における栽培条件は、実生苗を育成可能な条件であれば特に限定されないが、気温は10℃〜25℃の範囲内であることが好ましく、例えば、10℃〜23℃の範囲内であってもよく、12℃〜23℃の範囲内であってもよく、15℃〜20℃の範囲内であってもよい。第1の工程における相対湿度は、30%〜90%の範囲内であることが好ましく、例えば、45%〜75%の範囲内であってもよく、50%〜70%の範囲内であってもよく、52%〜65%の範囲内であってもよく、55%〜60%の範囲内であってもよい。第1の工程における明期は、10時間〜18時間(1日あたり)の範囲内であることが好ましく、例えば、12時間〜16時間の範囲内であってもよい。第1の工程における栽培期間は、実生苗が、水耕栽培へ適用可能な程度の大きさに成育する期間であれば特に限定されないが、例えば、少なくとも3週間以上であればよく、好ましくは少なくとも1ヶ月間〜2ヶ月間(日数換算で約28日〜62日)であればよい。なお、栽培期間は2カ月を超えるものであってもよい。第1の工程における照度は、実生苗の育成が可能な範囲であれば特に限定されないが、好ましくは最大でも5000ルクスであり、例えば、1000ルクス〜5000ルクスの範囲内である。
なお、第1の工程は、芽切り種子および実生苗に対する給水に水または養液を用いる。また、給水は、自動ポンプで行うことが好ましく、この場合は、例えば、一日1回10分〜30分間給水すればよい。芽切り種子は、例えば上記「支持体」に播種される。
上記第2の工程における栽培条件は、第1の工程で得られた実生苗を引き続き育成して植物体が薬効成分を蓄積可能な条件であれば特に限定されないが、気温は10℃〜25℃の範囲内であることが好ましく、例えば、10℃〜23℃の範囲内であってもよく、12℃〜23℃の範囲内であってもよく、15℃〜20℃の範囲内であってもよい。また、第2の工程において、萌芽誘導を目的として栽培する場合は、気温は10℃〜17℃の範囲内であることが好ましく、10℃〜16℃の範囲内であることがより好ましく、10℃〜15℃の範囲内であることがさらに好ましい。第2の工程における相対湿度は、30%〜90%の範囲内であることが好ましく、例えば、45%〜75%の範囲内であってもよく、50%〜70%の範囲内であってもよく、52%〜65%の範囲内であってもよく、55%〜60%の範囲内であってもよい。第2の工程における明期は、12時間〜20時間(1日あたり)の範囲内であることが好ましく、例えば、12時間〜18時間の範囲内であってもよく、13時間〜17時間の範囲内であってもよく、14時間〜16時間の範囲内であってもよい。第2の工程における栽培期間は、所望する程度に充分な薬効成分を蓄えた薬用栽培物が得られる期間であれば特に限定されないが、4ヶ月間〜12ヶ月間(約120日〜365日)以上であることが好ましい。また、萌芽誘導を目的として栽培する場合は、例えば、約2ヶ月間〜6カ月間(約60日〜約180日)、あるいは約3ヶ月間〜6カ月間程度(約90日〜約180日)であってもよい。なお、特に限定されないが、第2の工程は、照度が500ルクス〜10000ルクスの範囲内でかつ、CO濃度が350ppm〜1500ppmの範囲内で行うことが好ましい。なお、第2の工程において、照度は、500ルクス〜5000ルクスの範囲内、500ルクス〜3000ルクスの範囲内、500ルクス〜2500ルクスの範囲内、900ルクス〜2500ルクスの範囲内、あるいは900ルクス〜1500ルクスの範囲内であってもよい。CO濃度はより好ましくは600ppm〜1500ppmの範囲内である。
なお、第2の工程は、実生苗に対する給水に水または養液を用いてよいが、好ましくは養液を用いる。また、特に限定されないが、給水は、自動ポンプで行うことが好ましい。なお、第2の工程における水耕栽培の方式(給水の方式)は特に限定されないが、具体的には例えば、底面灌水方式、バブリング方式、または、ミスト方式の何れかであることが好ましい。なお、底面灌水方式は、栽培容器の底面に水または養液を満たすことで植物へ水または養液を供給して栽培する方法である。バブリング方式は、植物の地下部へ空気バブル含有の水または養液を供給して栽培する方法である。ミスト方式は、水または養液を植物の地下部へ噴霧して栽培する方法である。なお、第2の工程は、第1の工程で得られた実生苗を別の栽培容器や水耕栽培装置に移植して行ってもよく、特に水耕栽培装置を用いることは好ましい一例である。水耕栽培装置の一例では、植物に対する、水または養液の供給を、自動化または半自動化してなる。
以下に、本発明に係るウコギ科植物の栽培方法の実施の形態を、実施例にも基づき、より詳細に説明する。
(実施例1)オタネニンジン芽切り種子の播種(植付け)
キムタオルに包まれたオタネニンジン芽切り種子(長野県産)より、雑菌に汚染された、あるいは損傷したものを除き、発根・発芽したもの、発根のみのものを選別した。
実生栽培容器(例えば、アラシステム(モデル植物のシロイヌナズナ用の屋内育成・種子回収キット:株式会社バイオメディカルサイエンス)のバスケット)に支持体(例えばバーミキュライト)を半分程度詰め、水で湿らせた後、発芽(発根)種子を植付け、支持体を被せた。
以下、この様な芽切り種子の植付けを、「播種」という。
(実施例2)閉鎖温室に播種したオタネニンジン実生苗の観察(播種後約1ヶ月目)(表1、参照)
上記のように実生栽培容器に播種(植付け)した種子を、閉鎖温室(20℃、相対湿度60%、14時間明期(太陽光+補光照明で6:00〜20:00、最大5000lux以下になるように遮光))にて、自動潅水装置EY4100(National)を用いて一日1回10分間給水しながら育成した。上記給水は、一日1回10分〜30分でもよい。
なお、すでに発芽した実生は、そのまま植付けると地上部が枯死する株が多かったため、ラップをかぶせて加湿しながら約1週間馴化した。
播種後約1ヶ月目(28日目又は31日目)の実生を観察したところ、以下の結果が得られた。
(1)播種時に発根のみの株、発芽もしている株、いずれも良好に生育した。
(2)平均活着率は、67%(37%〜88%)である。(本葉展開後も、一部株は、根腐れをおこして枯死した。)
(3)本葉が枯れても、地下部が生存していれば、1ヶ月前後で新たな葉が展開してきた。
(4)頻度は少ないが、2芽出てくる株も認められた。ただし、そのいずれも形態は、初出葉と同様であった。
上記「活着率」は、活着率=[観察時の活着(生存)株数/植出し実生(種子)数]×100の式から算出する。なお、ここで、植出し実生(種子)数とは、播種した芽切り種子の全数と同義である。
ここで、地上部は枯れても、新芽ができてくる部分(根と葉柄の境目付近)が生きていれば、再生可能であるので、葉の生死にかかわらず、根を含む新芽ができる部分より下が生きている株すべてを「活着株」としてカウントした。つまり、表1の「本葉展開+本葉枯れ+本葉未伸長」の合計を「活着株数」としている。
表1は、播種後約1ヶ月(40日目/31日目/28日目)の実験1〜10の活着率を示している。
実験1〜10のうち、実験1は、播種後40日目、実験2〜5は、播種後31日目、実験6〜10は、播種後28日目で観察したものである。
表1から、播種後28日目、31日目でも活着率が充分高いことが分かった。
なお、上記栽培条件に関しては、上記に限定するものではなく、例えば、気温は10℃〜25℃、相対湿度は30%〜90%、明期は10時間〜18時間、照度は500ルクス〜5000ルクスであってもよい。
(実施例3)オタネニンジン実生苗の生育比較1(播種後1ヶ月目に移植して養液供給を開始し、開始時又は約2週間経過後における地上部の生育比較)(表2、参照)
表1の播種後約1ヶ月(31日目/28日目)の実験2〜10においてそれぞれ生育の良好な51株ずつの生育状況をコントロールとして記録したのち移植して、その後、例えば、自動水やりタイマーEY4200P−H(Panasonic)を用いて、実生栽培容器(例えば、前記アラシステム)へ、容器あたり、約500mLの養液(大塚A処方1/8濃度)を一日一回供給して2週間栽培したものの生育と、自動潅水装置で一日1回10分間水のみを供給して2週間栽培したものの生育と、養液供給開始前の生育とを、比較した。なお、養液供給を開始したか否かという点を除いて、移植の前後において栽培条件の変更はしていない。
上記で用いた養液「大塚A処方1/8濃度」(大塚アグリテクノ株式会社)とは、1.5g(大塚ハウス1号)+1.0g(大塚ハウス2号)/8Lとしたものをいう。この濃度は、商品カタログに記載されている標準処方(大塚A処方の標準培養液)の濃度の1/8の濃度である。
養液の組成及び濃度は、上記に限定するものではなく、目的とするウコギ科植物に応じて、あるいは植物の成長過程に伴って、適宜変更することができる。また、上記養液の処方でなくとも、他の市販の水耕用養液を用いることもできる。例えば、市販養液の通常の使用濃度を100%とした場合に、ウコギ科植物の播種直後から1〜2ヶ月程度では、養液の濃度を10%〜25%程度とし、その後、植物の高さや葉の枚数が、2〜3倍程度になる等の植物の成長に合わせて、養液の濃度を50%以上と段階的に変更してもよい。
表2において、数値の単位は、mmであり、表中の、養液(31)、養液(28)、水(31)、水(28)は、播種後31日または28日目に、養液を供給して、又は水の供給のみのまま、栽培したことを示し、また、栽培日数(0、15/16)は、播種後約1ヶ月後に移植し、その後上記条件で養液又は水を供給した日数が、0日か、15又は16日(約2週間)であるかを示す。
この結果、播種後31日目に、移植した株では、養液供給の場合(養液育苗)、水供給の場合(水育苗)、ともに約2週間後(「15/16」)における地上部の大きさに顕著な変化は認めらなかった。これは、播種した芽切り種子が、移植時に既に十分育っていたためと思われる。
一方、播種後28日目に移植した株(上記播種後31日目のよりやや小さい株)では、その後の約2週間の栽培で成長が認められ、その度合いは養液を供給した方が大きかった。この様に、小さめの株では生育初期に養液供給した方がその後の生育が速くなる傾向が見られた。
(実施例4)オタネニンジン実生苗の生育比較2(播種後31日目に移植して養液又は水供給を行い、その後の39日目(播種後70日目)における生育)(表3〜表6、図1〜図4、参照)
養液又は水の供給方法は、実施例3と同様である。また、養液又は水の供給方法以外の点においても、栽培条件は、実施例3と同様である。
上記水供給のみで生育した水育苗、および、養液供給で生育した養液育苗について、それぞれ5株ずつをサンプリングし、葉及び根の大きさ、新鮮重量などを指標に生育を比較した(1)。
さらに、地上部と地下部に分け、凍結乾燥後、HPLCによりギンセノシド類を分析した(2)。
(1)生育分析
(新鮮重量):水育苗に比して養液育苗で有意に増加した(表3、t検定:p=0.00044〜0.03250)。特に地下部でその傾向は顕著であった(表3、t検定:p=0.00023)。
(根の生育):養液育苗では、根の先端が褐変化し、主根の伸長が止まり、根の基部が水育苗に比べ有意に肥大化(表3、t検定:p=0.0000002)して、側根が伸長していた(図1の(a))のに対し、水育苗では、主根の伸長が続き、養液育苗と比べて基部はあまり肥大しなかった(図1の(b))。
つまり、最大根長は水育苗で、最大根径は養液育苗で大型化していた。
なお、圃場栽培で生薬として良好に栽培できたものは、基部が肥大化して薬効成分が蓄積されている。
(地上部の生育):葉の大きさ、草丈に顕著な違いは認められなかった。
(葉色):養液育苗では、緑色であるのに対し、水育苗では、栽培1ヶ月程度より葉の緑が抜けはじめ、黄緑から黄色に変化した。特に葉脈間の色が抜け、ところどころ、赤の斑紋が認められた。
なお、例えば、地上部を料理のツマなどで利用する場合には、約1ヶ月目までは、水育苗だけでも見た目は良く、葉色が綺麗である。
(2)HPLC分析
収穫したオタネニンジンを、地上部と地下部に分け、ミルロック凍結真空乾燥機TEMPO85(ミルロック社)を用いて2日間凍結乾燥した。得られた凍結乾燥物の全量をビーズ破砕装置(MS−100、株式会社トミー精工)を用いて破砕し、60%メタノール2mLを加えて、15分間振り混ぜ、遠心し、上清を分取した。さらに残留物に60%メタノール2mLを加えて同様の操作を行い、上清を合わせたのち、5mLにメスアップした。この液2.5mLをとり、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液750μLを加えて30分間放置した後、0.1mol/L塩酸を750μL加え、さらに60%メタノールで5mLとした。このうち500μLを、Ultrafree(登録商標)−MC Centrifugal Filter Devices(ミリポア社)にアプライし、12,000×gで1〜2分間遠心分離した。得られた溶出液のうち、25μL(地下部)あるいは50μL(地上部)をHPLC分析に供した。
今回は、凍結乾燥物でHPLC分析を行ったが、これに限定されず、通常の乾燥物でHPLC分析を行っても良い。
(乾燥重量)
養液育苗の方が、水育苗に比べ、有意に乾燥重量が増加した(地上部:P<0.05、地下部:P<0.01(t検定))。
(HPLC:ギンセノシドRb1、Rc、Rdの分析)図2
Waters Alliance HPLC system(2795 separation module、2996 photodiode array detector)(Waters社)にて、以下の条件で分析した。
測定波長:203nm、カラム:TSKgel ODS−100V(4.6mm×15cm、5μm;東ソー株式会社)、ガードカラム:TSKgel guardgel ODS−100V 5μm(3.2mm×1.5cm;東ソー株式会社)、流速1.0ml/min、カラム温度:40℃、移動相:(A)水/アセトニトリル混液(4:1)、(B)アセトニトリル、グラジエント条件:0→20min:(A)100→0%、20→22min:(A)0%、22→23min:(A)0→100%、23→25min:(A)100%
(ギンセノシドRb1、Rc、Rd定量結果)表5、図3
グラジエントをかける方法により、HPLC分析を行い、ギンセノシドRb1、Rc、Rd、それぞれの標品を用いて作成した検量線をもとに、オタネニンジン凍結乾燥物の上記ギンセノシド含量を定量した(n=5、HPLC反復回数=3)。
なお、図3の棒グラフは、左からRb1、Rc、Rdの順で、縦軸は、これらギンセノシドの含量(%乾燥重量)を示す。
表5の数値の単位は、%乾燥重量である。
表5、図3からも分かるように、播種後70日目で、Rb1、Rc、Rdの各ギンセノシド含量は、全般的に、地上部よりも地下部で高く、特に、Rd含量は、地下部で顕著に高まる傾向が見られた。
一方、地上部におけるギンセノシド含量は、水育苗よりも養液育苗の方が、高い傾向が認められた。
Rb1含量は、地下部では、養液育苗、水育苗、いずれも、0.08%程度と、両者に差は見られなかった。なお、この値は、日本薬局方の規格値、0.2%の半分程度である。
(HPLC:ギンセノシドRg1の分析)図4
上記のWaters Alliance HPLC systemにて、以下の条件で分析した。
測定波長:203nm、カラム:TSKgel ODS−100V(4.6mm×15cm、5μm)、ガードカラム:TSKgel guardgel ODS−100V 5μm(3.2mm×1.5cm)、カラム温度:30℃、移動相:水/アセトニトリル混液(4:1)。
流速1.2ml/minにて、日本薬局方に従った条件で、Rg1が28分付近に溶出し、Reと分離可能であった(図4)。
(ギンセノシドRg1定量結果)表6
日本薬局方に準拠した方法により、HPLC分析を行い、ギンセノシドRg1の標品を用いて作成した検量線をもとに、ギンセノシドRg1含量を定量した(n=5、HPLC反復回数=1)。
表6の数値の単位は、%乾燥重量である。
水育苗、養液育苗、いずれも、地下部のギンセノシドRg1含量は日本薬局方の規格値0.1%程度であった。
地下部の含量は、養液育苗と水育苗で違いはなかったが、地上部の含量は、養液育苗の方が、水育苗よりも高い傾向にあった。
(実施例5)オタネニンジン実生苗の水耕栽培(播種〜144日目までの育苗(播種〜28日目までは水供給、28日目〜102日目までは養液又は水を供給、102日目〜144日目までは養液を供給)後の、207日間(144日目〜351日目)の水耕栽培装置による水耕栽培での生育)(表7〜表12、図5、図6、参照)
生育条件について、播種〜144日目までは、実施例2、3と同様であり、144日目からの水耕栽培においては、気温20℃、相対湿度60%、CO濃度800ppm〜1000ppm、1000ルクス〜1400ルクスで明期16時間の閉鎖型栽培施設で栽培した。
なお、上記水耕栽培の条件は、上記に限定するものではなく、例えば、気温10℃〜25℃、相対湿度30%〜90%、明期12時間〜20時間、500ルクス〜10000ルクス、CO濃度350ppm〜1500ppmとしてもよい。
(A)養液育苗区は、芽切り種子の播種(0日目)→養液供給開始(28日目)→水耕栽培装置へ移植(144日目)→収穫成分分析(351日目)の手順で行った。
なお、播種後、養液供給開始までは、水のみが供給され(実施例2参照)、播種後28日目に養液を供給(実施例3参照)後は、収穫時まで養液の供給を継続した。
(B)水育苗区は、芽切り種子の播種(0日目)→養液供給開始(102日目)→水耕栽培装置へ移植(144日目)→収穫成分分析(351日目)の手順で行った。
なお、播種後102日目の養液供給開始までは、水のみが供給され、102日目以降は、収穫時まで養液の供給を継続した。
(A)養液育苗区、(B)水育苗区、共に、播種後144日目に水耕栽培装置へ移植した後、351日目に収穫するまでの207日間、以下の3方式のいずれかで養液を供給しつつ水耕栽培を行った。
(a)底面潅水方式:天然ヤシ繊維から作ったポット(コイヤー(登録商標)ポット:トミタテクノロジー株式会社)に充填した支持体(バーミキュライト)上に移植し、ポットの底面約1cmが養液に浸かるように調整して栽培した。この方法は、以下の(b)、(c)の方式の基本型ともいえる。この際、根全体が養液を吸収したバーミキュライトに接している。
(b)バブリング方式:実生苗の地下部を、約3cm×9cmに切った底面給水マット(アクアサプライヤfマットSR180:ふじもと農材企画)で包み込み、スポンジで挟んで、発泡スチロール板に固定し、on:15min、off:30minの条件でポンプを運転して養液に空気を送り込んだ。養液育苗の苗は根が短かったので養液には先端のみが浸かっている状態である。
(c)ミスト方式:実生苗をスポンジで挟んで、発泡スチロール板に固定し、on:2min、off:5minの条件でポンプを運転して、養液を実生苗の地下部に対して噴霧した。養液循環ポンプ条件は、on:15min、off:15minとした。
(1)生育分析:オタネニンジン実生苗地下部(根)の水耕栽培方式(a)〜(c)の違いによる生育の比較(表7、8、参照)
上記(A)養液育苗区、(B)水育苗区のそれぞれについて、144日目に水耕栽培装置へ移植し、水耕栽培装置栽培期間(144日目〜351日目(207日間))中に(a)〜(c)方式にて養液を供給しながら栽培した場合の生育状況を、比較した。
表8で、育苗「養液」は養液育苗区、育苗「水」は、水育苗区によるものを意味する。また、「新鮮」は、植物が新鮮な状態で各項目を測定したことを、「乾燥」は、植物を乾燥させた状態で各項目を測定したことを意味する。肥大根長は、5mm以上肥大した根の長さを意味する。
(新鮮:最大根長、最大根幅、肥大根長について)
最大根長については、播種後102日目まで水供給で育成した水育苗の場合、その後収穫まで養液供給する際に、基本型の(a)方式(底面灌水)(表8の栽培法4.に該当)をはじめ、(b)方式(バブリング)(表8の栽培法5.に該当)、(c)方式(ミスト)(表8の栽培法6.に該当)のどの方式で水耕栽培しても、総じて最大根長が長い傾向であった(平均73.0mm、97.0mm、84.9mm)が、播種後28日目から養液供給で育成した養液育苗の場合は、(a)方式(表8の栽培法1.に該当)又は(b)方式(表8の栽培法2.に該当)で水耕栽培を行った場合は、最大根長は、上記水育苗の場合に比べてあまり長くならず(平均41.3mm、49.3mm)、(c)方式(ミスト)の場合は、96.2mmと充分長く成長していた。
一方、最大根幅については、水育苗の場合は、(a)方式だけでなく、(b)、(c)の方式でも、5.2mm〜6.3mm程度であったが、養液育苗の場合は、(a)方式では7.6mm、(b)方式では、9.4mm、(c)方式では10.6mmと、総じて最大根幅が大きくなっていた。なお、根幅は、根径ともいう。
また、肥大(根幅5mm以上)根長については、水育苗の場合は、(a)方式では3.1mm、(b)方式では、8.6mm、(c)方式では9.3mmと、(a)方式に比べて、(b)、(c)方式による方が、顕著に長いとの結果を得た。一方、養液育苗の場合は、(a)方式では11.6mm、(b)方式では、17.9mm、(c)方式では12.5mmと、(b)方式が(a)、(c)方式に比べて、顕著に長いとの結果であった。
(全体新鮮重量、根乾燥重量について)
表8の、全体新鮮重量については、水育苗は、基本型(a)方式の297mgに比較して、(b)、(c)方式では、423mg、413mgと増加し、養液育苗は、(a)方式460mgに比較して、(b)、(c)方式では、839mg、729mgと、2倍近く増量した。
一方、根乾燥重量については、水育苗は、(a)方式の67mgに比較して、(b)、(c)方式では、97mg、108mgと増加し、他方、養液育苗は、(a)方式の98mgに比較して、(b)、(c)方式では、188mg、184mgと、約2倍も増加するという優れた結果を得た。
まとめると、播種後28日目より養液で育苗した苗(養液育苗)では、方式(a)の底面潅水栽培での根の成長に比して、方式(c)のミスト栽培では細根の伸長が促進し、方式(b)のバブリング(不織布)栽培では根肥大部の伸長が促進され、根の乾燥重量が増加していた。
一方、播種から102日目までは水のみ供給して育成した水育苗で、播種後102日目から養液を供給する、底面潅水方式(a)による栽培では顕著な根の成長は認められず、ミスト方式(c)やバブリング(不織布)方式(b)による栽培では根肥大部の伸長が促進され、根の乾燥重量がやや増加した。
以上のことから、全体としては、(a)底面灌水方式(表8の栽培法1.、4.)と比較した場合、(b)バブリング方式(表8の栽培法2.、5.)や(c)ミスト方式(表8の栽培法3.、6.)により栽培を行った場合は、最大根幅、最大根長、肥大根長、新鮮重量、根乾燥重量の全ての指標で増加していた。
また、養液育苗(表8の栽培法1.〜3.)は、水育苗(表8の栽培法4.〜6.)より、総じて最大根幅、肥大根長、新鮮重量、根乾燥重量が増大した。
ここで、日本薬局方(第16改正)には、生薬「人参」として、「人参」性状(径0.5cm以上)と薬用成分規格値(ギンセノシドRg1:0.10%以上、ギンセノシドRb1:0.20%以上)とを満たすことが規定されている。
なお、上記径(根径)とは、乾燥状態での根径(根幅)を意味する。
薬用成分規格値については後述することとし、ここでは、日本薬局方に規定されている生薬「人参」としての性状である、「根径5mm以上」を満たすか否かについて検討すると、乾燥根の径(最大根幅)が、水育苗の場合は、平均で、(a)底面潅水方式(表8の栽培法4.)では3.7mm、(b)バブリング方式(表8の栽培法5.)では4.3mm、(c)ミスト方式(表8の栽培法6.)では4.3mmと、日本薬局方の基準に満たないレベルであるが、養液育苗の場合は、平均で、(a)方式(表8の栽培法1.に該当)では4.9mm、(b)方式(表8の栽培法2.)では6.1mm、(c)方式(表8の栽培法3.)では6.7mmと、(b)方式、あるいは、(c)方式にて水耕栽培することで日本薬局方の規定を満たしていた。
以上の結果から、圃場栽培での2〜6年という長期の栽培期間に対して、本実施例では、「2.養液−バブリング」栽培法(養液育苗した後、バブリング方式で水耕栽培する方法)、および、「3.養液−ミスト」栽培法(養液育苗した後、ミスト方式で水耕栽培する方法)により、播種から351日という短い栽培期間で、日本薬局方規定の径5mm以上の肥大根を有する収穫物を得ることが出来、これら方法が、水育苗を水耕栽培した場合(「4.〜6.」の栽培法)よりも、最大根幅および肥大根長がさらに顕著に増大する、より優れた栽培法であることが判明した。
(2)HPLC分析:播種後351日(栽培装置移植後207日後)のオタネニンジンのギンセノシド類の分析
(ギンセノシド類の抽出)
オタネニンジンサンプルを50℃の乾燥機で2日間乾燥(重量変化がなくなるまで)→乾燥物全量を2500rpm、30sec×3の条件でビーズ破砕(トミー精工MS−100)→破砕物のうち、100mg(満たない場合は全量使用)に60%メタノール3mLを数回に分けて加えて、15分間振り混ぜる→遠心分離し、上清を新しいプラスチックチューブへ、残留物には60%メタノール2mLを加えて同様の操作を繰り返す→遠心分離した上清を合わせ、60%メタノールを加えて正確に5mLにメスアップ→そのうち2.5mLを正確にとり、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液750μLを加えて30分間放置→0.1mol/Lの塩酸750μLを加えて、中和→中和後、60%メタノールを加えて正確に5mLにメスアップ→このうち500μLをUltrafree(登録商標)−MC Centrifugal Filter Devices(ミリポア社)にアプライ→12,000×gで1〜2分間遠心分離し、溶出液を別容器にとる→溶出液のうち200μLをポリプロピレンバイアルに移し、20μLを分析。
(使用標品)
ギンセノシドRb1、Rb2、Rb3、Rc、Rd、Re、Rf、Rg1、Rg2、Rh1、F1、F2(合計12種)
(HPLC分析条件)
使用機器:Waters Alliance HT HPLC system(2795 separation module、2996 photodiode array detector)
カラム:TSKgel ODS−100V(4.6mm×25cm、5μm;東ソー株式会社)
ガードカラム:TSKgel guardgel ODS−100V 5μm(3.2mm×1.5cm;東ソー株式会社)
カラム温度:40℃、流速:0.6mL/min、測定波長:203nm、移動相:(A)アセトニトリルと(B)MilliQ水のグラジエント
図5は、解析例として、標品12種のスタンダードミックス(図5下)および水耕栽培オタネニンジン(養液育苗−底面潅水)(図5上)の、203nmのHPLCクロマトグラムを示している。
(HPLC解析による、ギンセノシドRe、Rg1、Rf、Rb1、Rc、Rb3、Rdの含量および収量の結果)
(a)水育苗での各ギンセノシドの含量(%乾燥重量)および収量(mg/根)
(b)養液育苗での各ギンセノシドの含量(%乾燥重量)および収量(mg/根)
上記表9、表10の各ギンセノシドRe、Rg1、Rb1、Rc、Rdの含量結果をまとめると、表11、図6の様になる。
(c)市場品生薬試料及び圃場栽培品での各ギンセノシドの含量(%乾燥重量)
従来の圃場栽培から得られた、長野県産6年生根(6年間圃場で栽培した圃場栽培品)、長野県産5年生根、長野県産3年生根、長野県産2年生根、茨城県産2年生根の、各圃場栽培品、及び、市場品生薬試料(市販のニンジン生薬)の、各ギンセノシドの含量結果を、表12に示した。
(各ギンセノシドの含量(%乾燥重量)に関する、水育苗または養液育苗による水耕栽培品と、市場品生薬試料及び圃場栽培品の比較と検討)表11、図6、表12、参照。
ここで、前述したように、日本薬局方(第16改正)には、生薬「人参」として、「人参」性状(径0.5cm以上)を有することの他に、薬用成分規格値(ギンセノシドRg1:0.10%以上、ギンセノシドRb1:0.20%以上)を満たすことが規定されている。
表11、図6を検討すると、水育苗、養液育苗のいずれの場合でも、また、水耕栽培法が底面灌水方式、バブリング方式、ミスト方式のいずれの場合でも、本実施例の水耕栽培法により得られた水耕栽培品(根)は、上記日本薬局方規格値を確実にクリアしていることが判明した。
本実施例による水耕栽培品の各ギンセノシド成分含量(表11、図6)は、実際の圃場栽培品である2〜6年生根のそれら(表12)と比較しても遜色のない、ほぼ同等の値を有していた。
以上の結果から、本発明に係る水耕栽培法を用いれば、栽培条件を人工的にコントロールすることで、圃場栽培による感染、労力、収穫の不安定性などに関する種々様々な困難性を解消することができ、有効成分である複数のギンセノシド成分に関して、第16改正日本薬局方記載の「人参」の薬用成分規格値(ギンセノシドRg1:0.10%以上、ギンセノシドRb1:0.20%以上)を満たす生薬「人参」を、短期間に、安定的に提供出来ることが示された。
以下、まとめると、
(1)本実施例の水耕栽培品は、わずか、播種後351日という栽培期間で、上記日本薬局方記載の「人参」性状(径0.5cm以上)と薬用成分規格値(ギンセノシドRg1:0.10%以上、ギンセノシドRb1:0.20%以上)を達成することができただけでなく、上記日本薬局方の規格値に対して、Rg1は、2.5倍〜3.8倍、Rb1は2.1倍〜3.4倍というかなり高い含量が得られた(表11、図6参照)。
なお、本実施例の水耕栽培のうち、Rg1含量は、水育苗法で上記日本薬局方規格値の2.5倍〜3.8倍、養液育苗法で上記規格値の3.4倍〜3.7倍、また、Rb1含量は、水育苗法で上記日本薬局方規格値の1.9倍〜3.2倍、養液育苗法で上記規格値の2.1倍〜3.4倍となり、水育苗法、養液育苗法の違いに関わらず、上記規格値より一層高い含量を得ることが出来た(表11、図6)。
(2)本実施例の水耕栽培品において、底面灌水方式、バブリング方式、ミスト方式の各栽培法による顕著な含量の違いはないが、バブリング方式では全体的に含量が高く、底面潅水方式では含量が低い傾向にあった(表11、図6)。
(3)本実施例の水耕栽培品は、従来の2年〜6年生の圃場栽培品や市場品生薬試料に匹敵する値の各ギンセノシド含量を有する(表11、図6、表12、参照)。
(4)水耕栽培品は、全体としてRe含量が高く、その意味においては2年生根(圃場栽培)のギンセノシド組成に近い傾向にあった(表11、12、参照)。
(5)各ギンセノシド含量に関して全体的に成績が良かったのは、養液育苗でバブリング方式により栽培した場合であった。
(6)収量に関して、特にRg1、Rb1については、水育苗法(表9)と養液育苗法(表10)の平均値を検討すると、水育苗法あるいは養液育苗法の中では、底面灌水式栽培より、バブリング方式、ミスト方式の方がより多い収量を示しており、また、水育苗法と養液育苗法とを比較すると、養液育苗法が全体的に多い収量を示し、特に、バブリング方式、次にミスト方式での収量の増大が顕著であった(表9、表10)。
(7)圃場栽培品に関しては、2〜6年生の圃場栽培品の成分比較を行うと、Rg1は栽培年数が増えると増加し、Re、Rc、Rdは逆に減少し、Rb1は年生に依存しない傾向にあった(表12)。
(8)本実施例の、わずか、播種後351日という栽培期間で、日本薬局方記載の生薬「人参」性状(径0.5cm以上)と薬用成分規格値(ギンセノシドRg1:0.10%以上、ギンセノシドRb1:0.20%以上)を全て達成することができたのは、養液育苗を、バブリング方式、あるいは、ミスト方式により水耕栽培した場合であった。
水育苗を用いる方法を含めて、上記以外の方法は、上記薬用成分規格値は351日目で既にクリアしているため、さらに栽培を続けて、最大根幅(根径)が5mm以上となるのを待って収穫することもできる。
(各ギンセノシドの効能例)
ギンセノシドとは、サポニンの一種で、高麗人参(オタネニンジン)などの有効成分として知られている。ギンセノシドの効能の仕組みはあまり明らかになっていないが、様々な効果があるとされ、歴史的にも臨床試験的にもその効能はかなり高いと考えられている。実際、ギンセノシドの効果・効能としては、免疫力強化、脳機能の活性化、記憶力向上などがあるとされている。
生薬人参に含まれる有効成分の各種ギンセノシドの効能について、その一例を示す(第十六改正日本薬局方解説書 第1分冊(通則/生薬総則/製剤総則/一般試験法)(廣川書店、2011)等、参照)。
(1)Rg1:記憶学習機能改善作用、中枢神経興奮作用、抗疲労・疲労回復作用、抗血栓効果、性機能改善効果(血管拡張効果)等。
(2)Rb1:中枢神経抑制作用、催眠作用、鎮痛作用、精神安定作用等。
(3)Re:抗高血糖効果、肝臓の損傷を保護する効果、骨髄細胞分裂促進作用等。
(4)Rc:鎮痛作用、高脂血または糖尿病の改善効果、中枢神経抑制作用、蛋白質および脂質の合成促進等。
(5)Rd:副腎皮質ホルモン分泌促進作用等。
このように、オタネニンジンのような薬用人参は、独自のギンセノシドを数種類以上含有し、各ギンセノシドはそれぞれ個別に有用な効能を有している。
(実施例6)オタネニンジン実生苗の水耕栽培での萌芽誘導(1)
播種後351日目までは、実施例5に示すものと同じ条件で、オタネニンジン実生苗を育成し、水耕栽培をした。播種後351日目以降は、引き続き同じ水耕栽培装置と閉鎖型栽培施設とを用いて、相対湿度60%、CO濃度800ppm〜1000ppm、1000ルクス〜1400ルクスで明期16時間の条件下で、オタネニンジン実生苗の水耕栽培を行った。但し、温度条件については、播種後353日目に20℃から10℃へ変更し、さらに、播種後465日目に10℃から15℃へ変更をして栽培をした。そして、温度条件を10℃に変更後、112日目(播種後465日目)、123日目(播種後476日目)、145日目(播種後498日目)、167日目(播種後520日目)に、オタネニンジンの成育調査を行った。栽培条件等は、以下の表13に示す通りであり、表13中の用語のうち表7と同じ用語は、表7と同じ意味である。また、栽培した個体数は、後述の表14中にnとして示している。
オタネニンジンの成育調査は、萌芽率(%)、葉数(枚)、小葉数(枚)、葉身長(mm)、葉身幅(mm)、頂小葉の小葉身長(mm)、頂小葉の小葉身幅(mm)、葉柄長(mm)、及び、茎長(mm)の各項目を観察するという観点で行った。なお、萌芽率(%)以外の項目は、平均値(mean)と標準偏差(SD)とを求めて評価した。また、萌芽率(%)は、一度地上部が枯死した状態となった個体数(n)のうちの何%に、新芽の萌芽が見られたかを表す。なお、播種後353日目に20℃から10℃へ温度を変更した時点で、すべての個体の地上部は枯死状態にあった。成育調査の結果を、以下の表14に示す。なお、表14において、頂小葉の小葉身長、および、頂小葉の小葉身幅はそれぞれ、小葉身長、および、小葉身幅として示す。
表14に示すように、温度条件を10℃に変更する低温処理を開始後3カ月程度から萌芽が見られるようになり、低温処理を開始後4カ月から5カ月目にかけて特に旺盛に萌芽し、最終的に、平均で6割以上の個体が萌芽した。そして、さらに栽培期間を延ばすことにより萌芽率がさらに高まることが期待される。
(実施例7)オタネニンジン実生苗の水耕栽培での萌芽誘導(2)
オタネニンジン芽切り種子を、バーミキュライト(有限会社タカムラ)を充填したツリーポット(株式会社山利製作所)に播種し、適宜、水を供給しながら、肥料分を加えずに育成した。播種後約2カ月を経過した後に、芽切り種子が順次発芽し、播種から約7カ月後に、成育の比較的揃った12株(播種から約5カ月後に発芽した株:すなわち、約2カ月育成した実生苗)を、バーミキュライトを充填した別のツリーポットに移植し、「大塚A処方1/8濃度」を養液として、底面潅水方式に準じて水耕栽培を行った。なお、水耕栽培の途中において、カビ、虫等が発生することを防止するため、充填したバーミキュライトの上面に、より排水性の高いビーナスライト(芙蓉パーライト株式会社)を約1cmの厚さで充填した。
なお、播種の工程を含め、全て同一の閉鎖型栽培施設の中で共通の栽培条件で栽培をした。栽培条件は、温度15℃、相対湿度55%、CO濃度は制御せず(約350ppm〜約500ppm)、2000ルクスで明期14時間の条件である。水耕栽培の結果、播種から10〜13カ月後(上記12株の発芽から5〜8カ月後)に、オタネニンジンの地上部は全て枯死したが、播種から約13カ月後に1株(萌芽率8.3%)で新芽が萌芽し、播種から約14カ月後に5株(萌芽率41.7%)で新芽が萌芽し、播種から約16カ月後に9株(萌芽率75.0%)で新芽が萌芽し、播種から約22カ月後に10株(萌芽率83.3%)で新芽が萌芽した。
オタネニンジンは自然環境下では、秋に地上部が枯死して、翌春に新芽が萌芽して成育するが、この際、冬の低温に晒されることが萌芽誘導の引き金となっていることが知られていた。また、3〜5℃で90日〜120日程度の低温処理を施すことで、高い確率で萌芽が誘導されることも知られていた。しかしながら、実施例6及び7では、オタネニンジンの地上部の成育が可能な10℃〜15℃という温度条件において、高い確率で新芽の萌芽も誘導できることが示された。なお、萌芽の誘導が可能になれば、新葉の展開および成長によって、オタネニンジンの地下部のさらなる肥大や伸長を誘導し得る。
以上説明したように、本発明に係る水耕栽培法を用いれば、環境を人為的に制御できる閉鎖系栽培施設を利用して、薬用として用いるウコギ科植物を栽培することができ、従来の1/6〜1/4の短期間の栽培で、気象条件や自然災害の影響を受けることなく、病害虫、農薬、重金属等の汚染の少ない、安心・安全な薬用植物(生薬)を生産できる。
つまり、栽培条件を人工的にコントロールすることで、従来の圃場栽培に関する種々様々な問題を解消することができ、複数のギンセノシド成分含量と根径に関して、日本薬局方で規定された基準値を満たす栽培品を、安全性の高い高品質の状態で、短期間に、安定して供給することが出来る。
さらに、本発明によれば、適切な栽培管理を行うことにより、無農薬栽培や多角栽培が可能となり、薬用のウコギ科植物の国内生産の活性化を推進することが可能であり、また、労働人口の確保にも繋がり得る。
本発明に係る栽培方法は、以下のような方法であってもよい。
1)播種から収穫までの栽培条件を制御するためのウコギ科薬用植物の栽培方法であって、播種した芽切り種子を、気温10℃〜25℃、相対湿度30%〜90%、明期10時間〜18時間の閉鎖型栽培施設で、1ヶ月間〜2ヶ月間育成させて実生苗とする第1の工程、前記実生苗を、水耕栽培装置へ移植して、気温10℃〜25℃、相対湿度30%〜90%、明期12時間〜20時間の閉鎖型栽培施設でさらに4ヶ月間〜12ヶ月間以上栽培して薬用栽培物とする第2の工程、を含む、栽培方法。
2)上記1)の栽培方法において、前記第1の工程は、気温20℃、相対湿度60%、明期14時間であり、前記第2の工程は、気温20℃、相対湿度60%、明期16時間である、栽培方法。
なお、この発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
例えば、気温、照度などの栽培条件、水や養液の供給方法、養液の組成や濃度、苗や水耕栽培開始後の栽培日数などは、栽培技術・養液の組成・分析技術の進展等により、適宜、修正や追加することが可能である。

Claims (12)

  1. 播種から収穫までの栽培条件を制御するためのウコギ科薬用植物の栽培方法であって、
    播種した芽切り種子を、閉鎖型栽培施設で育成させて、実生苗とする第1の工程と、
    前記実生苗を、気温10℃〜25℃、相対湿度30%〜90%、明期12時間〜20時間の閉鎖型栽培施設で所定の期間、水耕栽培して薬用栽培物とする第2の工程と、
    を含む、栽培方法。
  2. 前記第1の工程が、播種した芽切り種子を、気温10℃〜25℃、相対湿度30%〜90%、明期10時間〜18時間の閉鎖型栽培施設で、1ヶ月間〜2ヶ月間育成させて実生苗とする工程であり、
    前記第2の工程が、前記実生苗を、水耕栽培装置へ移植して、気温10℃〜25℃、相対湿度30%〜90%、明期12時間〜20時間の閉鎖型栽培施設でさらに4ヶ月間〜12ヶ月間以上栽培して薬用栽培物とする工程である、
    請求項1に記載の栽培方法。
  3. 前記第1の工程は、照度が最大でも5000ルクスであり、前記第2の工程は、照度が500ルクス〜10000ルクス、CO濃度が350ppm〜1500ppmである、請求項1または2に記載の栽培方法。
  4. 前記第1の工程は、気温10℃〜25℃、相対湿度45%〜75%、明期12時間〜16時間であり、前記第2の工程は、気温10℃〜25℃、相対湿度45%〜75%、明期12時間〜18時間である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の栽培方法。
  5. 前記第1の工程は、給水に水または養液を用い、前記第2の工程は、給水に養液を用いる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の栽培方法。
  6. 前記第1の工程は、自動ポンプで一日1回10分〜30分間給水する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の栽培方法。
  7. 前記第2の工程は、底面灌水方式、バブリング方式、または、ミスト方式で水耕栽培する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の栽培方法。
  8. 前記底面灌水方式は、栽培容器の底面に養液を満たすことで前記植物へ養液を供給して栽培する方法であり、前記バブリング方式は、前記植物の地下部へ空気バブル含有の養液を供給して栽培する方法であり、前記ミスト方式は、養液を植物の地下部へ噴霧して栽培する方法である、請求項7に記載の栽培方法。
  9. 前記ウコギ科薬用植物は、トチバニンジン属植物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の栽培方法。
  10. 前記第2の工程は、前記閉鎖型栽培施設内の気温を10℃〜17℃として栽培する期間を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の栽培方法。
  11. 播種から収穫までを人工的に栽培する、ウコギ科薬用植物の栽培方法であって、以下の(a)〜(c)の種子から育苗する工程と、(d)〜(e)の水耕栽培する工程とを、含むことを特徴とする栽培方法。
    (a)芽切り種子を実生栽培容器に播種する工程、
    (b)前記種子を、気温20℃、相対湿度60%、最大5000ルクス以下、明期14時間の閉鎖型栽培施設で、自動潅水装置によって給水しながら育成する工程、
    (c)播種後1ヶ月目に前記自動潅水装置で養液または水を供給しつつ、播種後2ヶ月目〜3ヶ月目まで育成を継続する工程、
    (d)前記種子から育成した実生苗を、水耕栽培装置に移植する工程、
    (e)前記実生苗を、気温20℃、相対湿度60%、CO濃度800ppm〜1000ppm、1000ルクス〜1400ルクス、明期16時間の閉鎖型栽培施設で、養液を供給しながら栽培する工程。
  12. 前記工程(d)で移植した後、前記工程(e)は、その後少なくとも4ヶ月間〜12ヶ月間栽培する、請求項11に記載の栽培方法。
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