本発明の実施例は、添付の図面を参照して開示されるが、これらに限定されるものではない。図面は、寸法を正確に示すことを意図したものではない。図面において同一の要素または略同一の要素は、それぞれ通常1つの参照符号にて示される。明瞭に示すために全図面中全ての要素に参照符号が付されているわけではなく、当業者に本発明を理解させるべく本発明の各実施例の全ての要素が示されるわけではない。
本発明は、血液透析をより効率よく、容易に、且つ/またはより低コストにて実施可能な様々なシステムおよび方法を含む血液透析システムおよび類似の透析システムに関する。本発明の態様において流体流のための新規な流体回路を示す。実施例において血液透析システムは、血流路および透析液流路を備え、透析液流路は、1つ以上の平衡回路、混合回路、および/または配向回路を含む。実施例において混合回路による透析液の前処理は、患者の透析とは分離される。実施例において回路は、少なくとも部分的に1つ以上のカセット内にて設けられ、任意によって導管、ポンプ等と相互に連結される。実施例において流体回路および様々な流体流路のうち少なくともいずれか一方は、血液透析システムの電気的要素から少なくとも部分的に、空間的に、且つ/または熱的に隔離される。実施例において透析液流路および透析装置のうち少なくともいずれか一方と連通する気体供給体が設けられる。気体供給体は、駆動されると、透析液が透析装置を通過し、血流路の血液が患者の体内に戻るように促すことができる。上記システムは、たとえばできるだけ多くの血液を患者に戻すことが望ましい緊急の状況(例、停電)において有用である。本発明の別の態様において血液透析システムは、空気等の制御流体を使用して駆動可能なポンプ、弁、ミキサー等の1つ以上の流体処理装置を更に含む。実施例において制御流体は、取り外し可能な外部のポンプやその他の装置を使用して流体処理装置に搬送される。実施例において1つ以上の流体処理装置は、通常堅固(例、球形を有する)であり、任意によって装置内に隔壁を備え装置を第1区画および第2区画に分離する。
本発明の様々な態様において血液濾過システム、血液透析濾過システム、血漿交換システム等の新規な血液透析システムを示す。血液透析に関する様々なシステムおよび方法が開示されるが、この様々なシステムおよび方法は、その他の透析液システム、および/ま
たは血液や血漿等のその他の体液を処置することのできる体外のシステムに応用可能であるといえる。
上述したように血液透析システムは、通常血流路および透析液流路を備える。上記流路内において流体の流れは、必ずしも直線状ではなく、流体が流路の入口から流路の出口に流れるような流路内に任意の数の「枝」があることに留意する必要がある。上記分岐の例を詳細に後述する。血流路において血液は、患者から汲出され、患者に戻るに先立って透析装置を通過する。血液は、透析装置によって処理され、排泄分子(例、尿素、クレアチニン等)および水は、血液から透析装置を通じて透析液内に至る。透析液は、透析液流路によって透析装置を通過する。様々な実施例において血液は、2本のライン(例、動脈ラインおよび静脈ライン、すなわち「2本の針による」流れ)によって患者から汲出されるか、場合によって血液は、同一の針(例、2本のラインの両者が同一の針内に設けられる、すなわち「1本の針による」流れ)を通じて患者から汲出され、患者に戻される。更なる別例において、「Y」字状分岐や「T」字状分岐が使用される。ここで2つの分岐(1つは血液を汲出すための流路であり、他方は血液を戻すための流路である)を有する、患者との接続部を通じて血液が患者から汲出され、患者に戻される。患者は、血液透析や類似の処置を要するいかなる対象であってもよいが、患者は、通常ヒトである。しかしながら血液透析は、犬、猫、猿等の非ヒトの対象に行われてもよい。
透析液流路において未使用の透析液が準備され、血流路からの血液を処置すべく透析装置を通過する。透析液は、更に透析装置内にて血液の処置のために一様にされ(すなわち、透析液および血液の間の圧力が一様にされる)、すなわち、透析装置を通過する透析液の圧力は、透析装置を通過する血圧と厳密に、通常正確に適合する。あるいは実施例において血圧の少なくとも約1%や約2%内である。透析装置を通過後、使用された透析液は、排泄分子(後述する)を含む。実施例において透析液は、透析装置内の血液の処置に先立って電気的抵抗ヒータ等の好適なヒータを使用して加熱される。透析液は、更に汚染物質、感染性微生物、屑を取り除くべくたとえば限外濾過装置を使用して濾過される。限外濾過装置は、上記タイプが通過することを防止すべく選択されるメッシュの寸法を有する。たとえばメッシュの寸法は、約0.3マイクロメートル以下、約0.2マイクロメートル以下、約0.1マイクロメートル以下、或いは、約0.05マイクロメートル以下等である。透析液は、血液から排泄分子(例、尿素、クレアチニン、カリウム等のイオン、リン酸塩等)および水を浸透作用を通じて透析液内に引き込むことに使用される。透析液は、当業者に周知である。
透析液は、通常健康な血液中の自然な濃度と同様のカリウムおよびカルシウム等の様々なイオンを含む。実施例において透析液は、正常な血液中に見られるものより通常高い濃度の重炭酸ナトリウムを含む。通常透析液は、1つ以上の材料、すなわち(酢酸、ブドウ糖、NaCl、CaCl、KCl、MgCl等の様々なタイプを含む)「酸」、重炭酸ナトリウム(NaHCO3)および/または塩化ナトリウム(NaCl)と、給水からの水とを混合することによって準備される。塩、オスモル濃度、pH等の好適な濃度を使用することを含む透析液の準備は、当業者に周知である。詳細に後述するように透析液は、透析液が血液を処置することに使用される濃度と同じ濃度に準備する必要はない。たとえば透析液は、透析と同時に、あるいは透析に先立って形成可能であり、透析液保存容器等内に収容される。
透析装置内において透析液および血液は、通常相互に物理的に接触するものではなく、半透性の膜によって分離される。通常半透性の膜は、セルロース、ポリアリールエーテルスルホン、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル等のポリマーでから形成される。これらはイオンや小さな分子(例、尿素、水等)は、膜透過させるが、血液の処置中に嵩のあるものを透過させたり対流させたりしない。実施
例においてベータ2ミクログロブリン等の更に大きな粒子も膜を通過する。
透析液および血液は、透析装置内において相互に物理的に接触するものではなく、通常半透性の膜によって分離される。通常透析装置は、半透性膜から形成される複数の別体の管やファイバ(血液が通過して流れる)、および透析液が通過して流れ、管やファイバを包囲する大型の「シェル」(あるいは実施例においてその逆の構成)からなる「シェルと管(shell-and-tube)」設計によって構成される。実施例において透析装置を通過する透析液および血液の流れは、逆流であっても並流であってもよい。透析装置は、当業者に周知のものであり、多数の様々な商業的供給源から入手可能である。
一態様において透析液流路は、1つ以上の回路、すなわち平衡回路、混合回路、および/または配向回路に分離される。流体の流れに関して、回路は、流体と隔離する必要はなく、流体は、流体回路の内外に流れることに留意する必要がある。同様に流体は、流体回路が連通しているか、あるいは相互に連通して連結している場合に流体回路から別の流体回路へと次々に流れる。ここで使用されるように「流体」は、流体の特徴を有するものであり、空気等の気体、水等の液体、水溶液、血液、透析液等を含むがこれらに限定されるものではない。
流体回路は、通常任意の数の流体入力を受承する明確なモジュールであり、実施例において流体を好適に出力させるに先だって流体入力に応じて1つ以上のタスクを実行する。本発明の実施例において後述するように、流体回路は、カセットとして形成される。具体例として、透析液流路は、平衡回路、配向回路、および混合回路を含む。別例として血流路は、血流回路を含む。平衡回路内において透析液は、平衡回路内に案内され、ポンプは、上述したように透析装置を通過する透析液の圧力が透析液を通過する血液の圧力の平衡を保つように透析液に作用する。同様に配向回路内において、未使用の透析液は、混合回路から平衡回路に移動し、使用済みの透析液は、平衡回路から排液管に移動する。混合回路内において、材料と水は、混合され未使用の透析液を形成する。血流回路は、患者から血液を汲出すこと、血液に透析装置を通過させること、および患者に血液を戻すことに使用される。これらの回路は、詳細に後述する。
図2Aは、上記流体回路を有する血液透析システムの例を示す高水準な概略図である。図2Aは、血液が患者から透析装置14に移動し、処置済みの血液が患者に通過して戻される血流回路10を備える透析システム5を示す。この例における血液透析システムは、更に平衡回路または内側透析液回路143を備え、これは透析液が限外濾過装置73を通過し、透析装置14を通過した後に透析液を汲出す。使用済みの透析液は、透析装置14から平衡回路143に戻る。配向回路または外側透析液回路142は、透析液が限外濾過装置73を通過するに先だって未使用の透析液を処理する。混合回路25は、たとえば要求に応じて、透析中に、および/または透析に先立って様々な原料49および水を使用して透析液を準備する。配向回路142は、更に給水30から水を受承し、透析液の準備のために水を混合回路25に移動させる。配向回路142は、更に平衡回路143から使用済みの透析液を受承し、排液管31を通じてシステム5の外方に移動させる。更に血液透析システムの殺菌のために血流回路10および配向回路142の間を連結する導管67を破線にて示す。実施例において、1つ以上のこれらの回路(例、血流回路、平衡回路、配向回路、および/または混合回路)は、部分を通過する流れを制御するために要する弁およびポンプを内包するカセットを備える。上記システムの例を詳細に後述する。
図2Bは、本発明の実施例における血液透析システムを示す概略図である。この図において血流カセット22は、血流回路10を通過する流れを制御することに使用され、透析液カセット21は、透析液回路を通過する流れを制御することに使用される。血流カセットは、少なくとも1つの入口弁24(別例に1つ以上の入口弁が含まれる)を含み、カセ
ット22を通過する血液の流れを制御する。更に抗凝血剤弁またはポンプ12は、血中への抗凝血剤の流れを制御し、実施例において血流ポンプ13は、一対のポッドポンプを備える。これらのポッドポンプは、2006年8月14日に出願され、発明の名称が「体外の熱的治療システムおよび方法」である米国特許出願番号第60/792073号明細書に開示されたタイプや、2007年8月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置、および方法」である米国特許出願第11/787212号明細書に開示されたタイプ(あるいはこれらのタイプの変形)のものである。これらの明細書は、その全体がここで開示されたものとする。この例によるシステムにおける全てのポンプおよび弁は、たとえば電子デジタル制御システム等の制御システムによって制御可能であるが、別例においてその他の制御システムも可能である。
2つのポッドポンプを設けることによって血液を血流回路10によって連続して流すことができるが、別例において1つのポッドポンプも使用可能である。ポッドポンプは、動的入口弁および動的出口弁を含み(入口および出口における静的逆止め弁に代えて)、これらによって所定の状況下において血流回路10における流れが逆になってもよい。たとえば血流回路の流れを逆流させることによって、血液透析システムは、血流回路の出口が患者に適切に連結され、処置済みの血液が患者に正しく戻っているか確認することができる。たとえば患者の連結点の連結が落下するなどして外れた場合に、血流ポンプを逆転させると血液よりむしろ空気を引き込む。この空気は、システムに組み込まれた標準的な空気検出器によって検出される。
別例において透析装置の下流に位置される血液出口弁26およびエアトラップまたはフィルタ19は、血流カセット22内に組み込まれる。血流カセット22内のポッドポンプおよび全ての弁(ポッドポンプの入口および出口に関する弁を含む)は、空気圧によって駆動される。実施例において正負の気体の圧力の源は、カセットを保持するベースユニットかカセットを保持するその他の装置によって設けられる。しかしながら別例において正負の気体の源は、カセットに連通して連結される外部装置や、システム内に組み込まれた装置によって設けられてもよい。ポンプチャンバは、上述した2006年8月14日に出願され、発明の名称が「体外の熱的治療システムおよび方法」である米国特許出願番号第60/792073号明細書や、2007年8月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置、および方法」である米国特許出願第11/787212号明細書に開示されるように駆動される。たとえばポンプは、後述するように制御され、ストロークの終わりが検出される。血流カセット22は、更に抗凝血剤の小瓶を受承するために一体的に形成されたスパイクを含む。
実施例において抗凝血剤ポンプは、(制御流体によって制御される)3つの流体弁、および1つのポンプ区画(別例において1つ以上のポンプ区画が設けられる)を備える。弁は、区画をフィルタ付き換気口に、抗凝血剤の小瓶に(あるいは袋や瓶等のその他の抗凝血剤供給体)、あるいは血流路に連結する。抗凝血剤ポンプは流体弁の開閉を順に行い、たとえば制御流体によってポンプ区画にて圧力を制御することによって駆動させることができる。抗凝血剤が小瓶から取り除かれると同じ体積の空気によって代えられ、たとえば小瓶内の圧力を比較的一定に保持する。上記のように抗凝血剤を空気に代えることは、たとえば(i)フィルタ付き換気口からポンプ区画に弁を開放する工程と、(ii)負の圧力源をチャンバに連結することによって空気を区画内に送り込む工程と、(iii)換気口弁を閉じる工程と、(iv)区画を小瓶に連結する弁を開放する工程と、(v)正の圧力源を区画に連結することによって空気を小瓶内に送り込む工程によって実施される。抗凝血剤は、換気口および小瓶への弁よりむしろ小瓶および血流路への弁を使用して同様の順によって小瓶から血流路に汲出される。
図3Aは、図2Aに示す態様の実施例を示す概略図である。図3Aは、本発明の実施例
において、血流回路141、平衡回路143、配向回路142、および混合回路25がどのようにカセットに設けられ、相互に関係し、透析装置14、限外濾過装置73、および/またはヒータ72に関連するかを詳細に示す。図3Aは、図2Aの実施例における唯一の可能な血液透析システムを示すが、別例において、その他の流体回路、モジュール、流路、レイアウト等も可能であるといえる。上記システムの例は、詳細に後述する。更に、これらは、2007年2月27日に出願され発明の名称が「血液透析システムおよび方法」である米国特許出願第60/903582号明細書、2007年2月27日に出願され発明の名称が「血液透析システムおよび方法」である米国特許出願第60/904024号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871680号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871712号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871787号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871793号明細書、あるいは2007年10月12日に出願され発明の名称が「カセットシステム一体型装置」である米国特許出願第11/871803号明細書に開示され、その全体がここで開示されたものとする。
図3Aに示す要素は、後述する。簡明に、血流回路141は、抗凝血剤供給体11、および患者から血液を透析装置14に汲出す血流ポンプ13を備える。図示の抗凝血剤供給体11は、透析装置への血流路内に位置されるが、別例において患者への血流路内に設けられるか、別の好適な位置に設けられてもよい。抗凝血剤供給体11は、血流ポンプ13の下流側の位置に設けられる。平衡回路143は、2つの同様に透析液を透析装置14に汲出す透析液ポンプ15と、バイパスポンプ35を含む。配向回路142は、透析液を透析液タンク169からヒータ72および/または限外濾過装置73を通じて平衡回路に汲出す透析液ポンプ159を含む。配向回路142は、平衡回路143から廃液を排液管31に汲出す。
実施例において血流回路141は、後述するようにたとえば殺菌のために導管67を通じて配向回路142に連結される。透析液は、透析液供給体から透析液タンク169に流れる。図3Aに示すように実施例において透析液は、混合回路25にて形成される。給水30からの水は、配向回路142を通じて混合回路25内に流れる。透析液原料49(例、重炭酸塩および酸)は、更に混合回路25内に付加され、一連の混合ポンプ180,183,184は、透析液を形成することに使用される。透析液は、続いて配向回路142に搬送される。
この例のシステムにおいて流体回路の1つは、血流回路、すなわち図3Aに示す血流回路141である。血流回路において患者からの血液は、透析装置を通過して汲出され患者に戻される。後述するように実施例において血流回路は、カセットに設けられるが、そうである必要はない。実施例において血流回路を通過する血液の流れは、透析液流路を通過して流れる透析液の流れと、特に透析装置および平衡回路を通じて平衡を保たれる。
図4に血流回路の一例を示す。通常血液は、患者から動脈ライン203を通じて血流ポンプ13を介して透析装置14に流れる(通常の透析における流れの方向が矢印205によって示される。しかしながら操作の別のモードにおいて流れは、別の方向である)。任意によって、抗凝血剤は、抗凝血剤供給体から抗凝血剤ポンプ80を介して血中に案内される。図4に示すように抗凝血剤は、血液が血流ポンプ13を通過した後に血流路に進入する。しかしながら抗凝血剤は、別例において血流路に沿った好適な位置に付加される。別例において抗凝血剤供給体11は、血流ポンプの下流側の位置に設けられる。透析装置14を通過して透析を受けた後に血液は、静脈ライン204を通じて患者に戻る。任意によってエアトラップまたは、血液標本ポート19を通過して患者に戻る。
図4に示すように血流カセット141は、血液を血流カセットを通じて移動させるために更に1つ以上の血流ポンプ13を含む。ポンプは、たとえば後述する制御流体によって駆動されるポンプである。実施例においてたとえばポンプ13は、2つ(以上)のポッドポンプ、すなわち図4に示すポッドポンプ23からなる。本実施例において各ポッドポンプは、各チャンバを流体区画と制御区画に分離する可撓性を備えた隔壁または膜を備える堅固なチャンバを含む。これらの区画には、4つの入口または出口弁が設けられ、2つは流体区画に設けられ、他の2つは、制御区画に設けられる。チャンバの制御区画の弁は、双方向比例弁であり、1つは第1制御流体源(例、高圧空気源)に連結され、他方は第2制御流体源(例、低圧空気源)か真空シンクに連結される。区画における流体弁は、ポッドポンプが駆動している場合に流体を流すべく開閉自在である。これらのポッドポンプの例は、2006年8月14日に出願され、発明の名称が「体外の熱的治療システムおよび方法」である米国特許出願番号第60/792073号明細書や、2007年8月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置、および方法」である米国特許出願第11/787212号明細書に開示されるがこれらに限定されるものではない。これらは、その全体がここで開示されたものとする。ポッドポンプの更なる詳細は後述する。1つ以上のポッドポンプが設けられた場合に、ポッドポンプは、好適な態様にて、たとえば同期的または非同期的に、同相または異相にて操作可能である。
本実施例においてたとえば2つのポンプがポンプの周期に影響を付与すべく異相に回転されてもよい、すなわち1つのポンプチャンバは、充填され、第2ポンプチャンバは空とされる。0°(ポッドポンプが同じ方向に駆動する)および180°(ポッドポンプが反対方向に駆動する)の間の位相の関係は、所望のポンプの周期を得るべく選択可能である。
180°の位相関係によって、ポッドポンプの内外に連続的な流れが生じる。たとえばこれは連続した流れが要求される場合に、すなわち二重針における流れや「Y」字状または「T」字状の連結部とともに使用する場合に好適である。しかしながら0°の位相関係を設定することは、実施例における1本の針の流れにおいて、あるいは別例において有用である。0°の関係において、ポッドポンプは、針から最初に充填され、同じ針を使用して血液を血流路を通じて患者に戻す。付加的に実施例において透析装置を横断するプッシュ−プル関係(血液透析濾過法か連続した逆流)を得るべく0°乃至180°の間の駆動が使用可能である。図8A乃至8Cは、そのような位相関係の例を示す図である。これらの図において、各ポッドポンプの容量や流れ、各ポッドポンプの容量、ポッドポンプの両者の総容量が時間を軸として示される。これらの時間および流体速度は、任意に選択され、異なった位相におけるポッドポンプ間の関係を示すべく示される。図8Bに示すようにたとえば180°の位相関係において総容量は、略一定である。
実施例において図4に示すように抗凝血剤(たとえばヘパリンや当業者に周知のその他の抗凝血剤)は、血流カセット141内の血液と混合される。たとえば抗凝血剤は、小瓶11(あるいは管や袋等のその他の抗凝血剤供給体)に含まれ、血流カセット141は、抗凝血剤の小瓶を、小瓶のシールに穴を開けることができる一体的に形成されたスパイク201(一実施例において針である)とともに受承可能である。スパイクは、プラスチック、ステンレス鋼、またはその他の好適な材料から形成され、実施例において殺菌可能な材料である。たとえば材料は、材料を殺菌するために高温や放射に十分に耐久可能である。一例として図4に示すように、スパイク201は、血流カセット141と一体的に形成され、小瓶11はスパイクに位置され、スパイクは小瓶のシールに穴を開ける。これによって抗凝血剤は、血流路中の血液と混合され、場合によって後述するように透析液と混合されるべく血流カセットに流れ込む。
実施例において血流カセット141の、計測チャンバとして機能する第3ポンプ80がカセット内の血液への抗凝血剤の流れを制御することに使用可能である。第3ポンプ80は、ポンプ13と同じ設計か、あるいは別の設計である。たとえば第3ポンプ80は、ポッドポンプであり、且つ/または第3ポンプ80は、空気のような制御流体によって駆動される。たとえば図4に示すように、第3ポンプ80は、チャンバを流体区画および制御区画に分離する可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバを含む。チャンバの制御区画の弁は、第1制御流体源(たとえば高圧空気源)に連結され、他方の区画は、第2制御流体源(たとえば低圧の空気源)または真空シンクに連結される。チャンバの流体区画の弁は、制御区画に応じて開閉され、これによって血液への抗凝血剤の流れを制御する。上記ポッドポンプの更なる詳細は後述する。実施例において後述するように空気は、フィルタ81を通じて血流路内に案内される。
流体管理システム(FMS)測定を使用して、膜のストローク中にポンプチャンバを通して汲出される流体の容量を測定し、またはポンプチャンバ内の空気を検出する。流体管理システム法は、米国特許第4,808,161号、第4,826,482号、第4,976,162号、第5,088,515号および第5,350,357号の各明細書に記述されており、参照によってその全体をこれに組み込む。幾らかの例では、抗凝血剤ポンプ、透析液ポンプ、または他の膜ベースのポンプによって搬送される液体の容量は、充填ストロークの終わりと搬送ストロークの終わりに容量測定を計算するためにチャンバの圧力変化を使用する流体管理システムアルゴリズムを使って判断する。充填ストロークの終わりと搬送ストロークの終わりに計算した容量の差が実際のストローク容量である。この実際のストローク容量は、所定の寸法のチャンバに対して予期されたストローク容量と比較することができる。実際の容量と予期される容量が大きく異なる場合には、ストロークは適切に完了しておらず、エラーメッセージが生成される。
ストローク容量が尺度により収集された場合に、計算がバックグラウンドにて行われ、基準チャンバに対する較正値が決定される。流体管理システムは、流体管理システムの測定のための大気にベントする。これに代えてシステムは流体管理システムの測定のための高圧な正の源そして低圧な負の源にベントしてもよい。これにより後述する効果が得られる。(1)高圧源が制御された圧力による圧力タンクである場合に、チャンバがタンクに開放されている場合に同様であるか確認すべくタンクおよびチャンバの圧力センサのクロスチェックをする機会がある。これらは圧力センサの故障や弁の故障を検出することに使用可能である。(2)通気のために高いまたは低い圧力を使用することにより、流体管理システムの測定のために大きな圧力の差異が生じるため、よりよい解答を得ることができる。
血流回路141は実施例において血流回路141に組み込まれるエアトラップ19を含む。エアトラップ19は血流路内の気泡を取り除くことに使用される。実施例においてエアトラップ19は重力により血液から生じた空気を分離することができる。実施例において、エアトラップ19は更に血液の標本抽出のためのポートを含む。エアトラップは当業者に周知である。
本発明の別の態様によると、エアトラップ19は、血液が透析装置から排出された後且つ患者に戻る前の血流路に設けられる。図4Cおよび図4Dに示すように、エアトラップ19は、球状または回転楕円体形の容器6を有し、その入口ポート7を容器の頂部付近にその垂直軸からずらして設け、出口9を容器の底部に設ける。こうしてトラップの内壁4の湾曲形状により、血液が重力の作用で容器の底部に下降するとき内壁に沿って血液が循環するように案内でき、血液から気泡を取り除きやすくなる。透析装置14の出口9から排出される血液に存在する空気は、エアトラップ19の頂部に入り、血液が底部の出口から出て静脈血液ライン204に入るとき容器の頂部に留まる。入口ポート7をトラップ1
9の頂部付近に設けることで、容器内に空気が少ししか存在しない、または全く存在しないトラップ(「ラン−フル」エアトラップとして)を通して血液を循環させることも可能である。トラップ内での普通の血液循環のために空気と血液の界面をなくせることが有利である。入口ポート7を容器の頂部またはその付近に設けると、血液管を通る流体の流れを逆にすることによって(つまり、トラップ19の底部から頂部に、トラップ19の入口ポートから排出する)、トラップ内に存在する空気のほとんどまたは全部をトラップから取り除くこともできる。実施例において、分割隔壁または膜を備える自封ストッパ、または別の構成などの自封ポート3をトラップの頂部に設けているので、容器から空気を排出させることができる(例、注射器により)。自封膜の血液側の表面は、消毒中に自封ポートを清掃しやすくするために、トラップ内部の頂部とほぼ同じ高さに配置できる。自封ポート3は血液標本抽出部位としても機能でき、および/または液体、薬剤または他の化合物を血液回路に導入させるためにも機能できる。針によるアクセスが想定される場合には、封止ゴムタイプのストッパを使用できる。分割隔壁を備える自封ストッパを使用すると、針のないシステムを使用して標本抽出および流体搬送ができる。
付加的な流体連結部82によって血流回路10も患者に連結され、且つ/または血流回路10を含むシステムをプライミングまたは殺菌するために流体源に連結される。通常殺菌時に動脈ライン203および静脈ライン204が配向回路142に導管67を通じて直接連結され、これによって殺菌のための流体(実施例においてたとえば湯や、湯と1つ以上の化学薬品の組み合わせ)が透析装置14および血流回路141を通じて再循環のために配向回路142に戻される。この殺菌は、Kenley等による米国特許第5651898号明細書に開示されたものと同様であり、その全体がここで開示されたものとする。これらは更に後述する。
動脈ライン203内の圧力は、実施例において患者から血液を汲出すために気圧より低い圧力に保持される。ポッドポンプが使用される場合に、血流ポンプ13内の圧力は、ポンプを駆動させることに使用される正負の圧力タンクから利用可能な圧力に本来限られる。圧力タンクや弁が故障した場合に、ポンプチャンバの圧力は、タンク圧力に近接する。これによって流体圧力がポッドポンプ「底」内の隔壁までタンク圧力に一致するように上昇する(すなわち、表面に接触するため移動不能である)。流体圧力は、安全な限界を超過せず、自然な体液圧力と平衡する。この故障によって特別な介入なく自然にポッドポンプの作動が停止する。
血流カセットの例が図30乃至33に示されるがこれらに限定されるものではない。図30Aおよび図30Bは、実施例におけるカセットの頂部プレート900の外側を示す。頂部プレート900は、ポッドポンプ820,828の2分の1を含む。この半分は、源の流体が流れる流体の半分である。2本の流路818,812が示される。これらの流路は、それぞれのポッドポンプ820,828に案内される。
ポッドポンプ820,828は、揚げられた流路908,910を含む。揚げられた流路908,910によって、隔壁(図示しない)がストロークの終わりに至った後に流体は、ポッドポンプ820,828を連続して貫流することができる。従って揚げられた流路908,910は、ポッドポンプ820,828に空気または流体を捉えさせる隔壁、あるいは連続した流れを防止するポッドポンプ820,828の入口または出口を閉塞する隔壁を最小にする。揚げられた流路908,910は、一実施例において所定の寸法を有するが、実施例において寸法は、流体路818,812と同等である。しかしながら別例において揚げられた流路908,910は、より狭小であり、更なる別例において、目的が流体の望ましい流速か行動流量を得るべく流体を制御することにあるため揚げられた流路908,910は、いかなる寸法であってもよい。実施例において、揚げられた流路908,910および流体路818,812は、異なった寸法であってもよい。従って、
揚げられた流路、ポッドポンプ、弁や他の態様に関してここに示した寸法は、例示および別例に過ぎない。他の実施例も明らかである。
このカセットの一実施例において、頂部プレートは、容器の高台904の他、スパイク902を含む。スパイク902は、この例において空であり、流路に流体に連結される。実施例において、針は、スパイクに取り付けられる。別例において、針は、容器の付属品に連結される。
図30Cおよび30Dは、頂部プレート900の内部を示す。揚げられた流路908,910は、ポッドポンプ820,828の入口の流路912,916および出口の流路914,918に連結する。揚げられた流路は、詳細に上述される。
定量ポンプ(図示しない)は、スパイクの空路902への連結部の他、換気口906への連結部も含む。一実施例において、換気口906は、エアフィルタ(図示しない)を含む。エアフィルタは、実施例において粒子のエアフィルタである。実施例においてフィルタは、マイクロ寸法(somicron)の疎水性エアフィルタである。様々な実施例においてフィルタの寸法は、変化し、要求される結果に左右される。定量ポンプは、空気を換気口906を通して取り入れることによって駆動し、スパイクの空道902を通して第2流体(図示しない)の容器にポンプで空気を送り、次に容器(図示しない)からスパイクの空道902を通してポイント826にてポンプで第2流体の容量を流体ライン内に送る。図30Cの矢印によって定量ポンプのためのこの流体路は、示されている。
図31Aおよび図31Bは、ミッドプレート1000の流体側を示す。内部の頂部プレートの流路の補足領域を示す。これらの領域は、本実施例における製造の一モードのレーザ溶接によって導電性を備える表面の仕上げを示す僅かに揚げられた軌跡である。カセットの製造の他のモードを上述した。流体入口810および流体出口824もこの図に示す。
図31Cおよび図31Dに一実施例におけるミッドプレート1000の空気側を示す。図31Aに示すように弁の穴808,814,816,822の空気側は、ミッドプレートの流体側の穴に対応する。図33Cおよび33Dに示すように、隔壁1220は、弁808,814,816,822を完成させ、隔壁1226は、ポッドポンプ820,828を完成させる。定量ポンプ830は、隔壁1224によって完成する。弁808,814,816,822,832,834,836は、空気によって駆動する。隔壁は、穴から張引され取り払われ液体が引き込まれる。隔壁が穴の方に押圧されると、液体が押圧され通過する。流体流は、弁808,814,816,822,832,834,836を開閉することによって配向される。
図31Aおよび図31Cに定量ポンプが3つの穴1002,1004,1006を含むことを示す。穴1002は、定量ポンプに空気を引き込む。第2穴1004は、空気をスパイクまたは源容器に押圧して移動させ、更に源容器から液体を引き込む。第3穴1006は、定量ポンプ830から第2流体を流体ラインのポイント826に押圧して移動させる。
弁832,834,836は、第2流体定量ポンプを駆動させる。弁832は、第2流体またはスパイク弁である。弁834は、空気弁であり、弁836は、流体ラインの領域826への流体の流れを制御する弁である。
図32Aおよび図32Bは、底部プレート1100の内部を示す図である。ポッドポンプ820,828の内部、定量ポンプ830、および弁808,814,816,822
,832,834,836の駆動または空気チャンバが示されている。ポッドポンプ820,828、定量ポンプ830、および弁808,814,816,822,832,834,836は、空気源によって駆動する。図32Cおよび32Dは、底部プレート1100の外側を示す。空気の源は、カセットのこの側に取り付けられる。一実施例において管は、弁およびポンプ1102の表面に連結される。実施例において弁は、連動し、1つ以上の弁が同じエアラインによって駆動する。
図33Aおよび図33Bは、第2流体の容器(あるいは他の源)1202を備えた組み立てられたカセット1200を示す。容器1202は、第2流体の源を含み、スパイク(図示しない)に容器の付属品1206によって取り付けられる。スパイクは、容器の付属品1206内にとりつけられ、容器1202の頂部を貫通するように上部を向いている。容器1202は、容器の付属品1206とは反対側に保持される。スパイクは、図30Cと図30Dに示すくぼんだ空路と同様に液体チャネルに液体連通する。図示においてエアフィルタ1204は、換気口(図示しない、906として図30Aに示す)に取り付けられている。図33Aには図示しないが、容器の高台(904として図30Aに示す)は、容器の付属品1206の下方に位置される。
幾つかの例において、定量ポンプは、流体管理システムポンプであり、基準チャンバと連動して、搬送する流体の容量を判断するために圧力変換器で監視できる。流体管理システムアルゴリズムは、充填ストロークの終わりと搬送ストロークの終わりに容量測定を計算するために圧力の変化を使用する。充填ストロークの終わりと搬送ストロークの終わりに計算された容量の差が実際のストローク容量である。この実際のストローク容量は、所定の寸法のチャンバに対して予期されたストローク量と比較できる。実際の容量と予期される容量が大きく異なる場合には、ストロークは適切に完了しておらず、エラーメッセージが生成される。流体管理システムは、流体管理システムの測定のために大気に通じる。これに代えて、システムは、流体管理システムの測定のために高圧な正の源そして低圧な負の源に通じてもよい。或る実施例において、定量ポンプ(例、抗凝血剤ポンプ)は、プライミング(primed)される。ポンプをプライミングすると定量ポンプおよび流路から空気が除去され、流体容器(例、抗凝血剤の小瓶)内の圧力が許容可能であることが保証される。
定量ポンプは、ポンプチャンバ内の空気が小瓶に流入するように設計できる。試験は、定量ポンプの流体弁をすべて閉じて外側の容積を測定し、ポンプの流体管理システムチャンバを真空にして、弁を開放して流体を小瓶からポンプチャンバに導入してから(再び)外側の容積を測定し、流体管理システムチャンバに圧力を作用させ、弁を開放して流体を小瓶に押し戻してからさらに(再び)外側の容積を測定する。流体の流れにより生ずる外側の容量の変化は、ポンプチャンバの既知の容量に対応するはずである。ポンプチャンバを小瓶から充填できない場合、小瓶の圧力が低すぎるので、ポンプで空気を送り込まなければならない。逆にポンプチャンバの内容物を全部小瓶に移せない場合、小瓶の圧力が高すぎるので抗凝血剤のいくらかをポンプで小瓶から汲出しなければならない。試験中に小瓶から汲出される抗凝血剤は、例えば排液管から廃棄できる。
ヘパリンまたは他の薬剤を血液路に通常搬送している間に、小瓶内の圧力を定期的に測定できる。小瓶の圧力が例えば大気圧力より低い所定の閾値に近づくと、定量ポンプは、まず定量ポンプ換気口を介して小瓶に空気を導入でき、小瓶の圧力を正常に戻し、小瓶から合理的に正確な量の薬剤を確実に退出させる助けとなる。小瓶の圧力が大気圧より高い所定の閾値に近づくと、定量ポンプは、小瓶から次に薬剤を退出させる前に、小瓶にそれ以上空気を吹き込むのを控えることができる。
図33Cおよび図33Dは、それぞれ図33Aおよび図33Bに示す組み立てられたカ
セット1200の分解図である。これらの図において、実施例におけるポッドポンプ隔壁1226が示されている。隔壁のガスケットは液体チャンバ(頂部プレート900の)および空気または駆動チャンバ(底部プレート1100の)間をシールする。隔壁1226のドームの窪みを設けたテクスチャはとりわけストロークの終わりに空気および流体がチャンバを脱出する付加的なスペースを提供する。
本発明のシステムは、更に平衡回路を含み、たとえば図3Aに示す平衡回路143を含む。実施例において不要であっても血流回路は、カセットに設けられる。平衡回路内において、透析装置を出入りする透析液の流れは、同量の透析液が透析装置に出入りするように(しかしながら、この平衡は、所定の場合において後述するようにバイパスポンプの使用によって変更されてもよい)。付加的に、実施例において、透析液の流れは、透析装置内の透析液の圧力が血流回路を通過する血液の圧力と等しくなるように透析装置によって平衡を保持される。
加えて、幾つかの例において、透析液の流れは、透析装置内の透析液の圧力が血液回路を通過する血液の圧力と略等しくなるように透析装置によって平衡を保持される。幾つかの例において血流回路141および透析装置を通る血液の流れは、透析装置を通る透析液流路の透析液の流れと同期される。流体が透析装置の半透性の膜を通り抜ける可能性があるため、また平衡回路のポンプは、正圧で運転するため、平衡回路のポンプは、血流ポンプからの圧力および制御データを使用して、透析装置への搬送ストロークを血液ポンプの搬送ストロークに同期するようタイミングを取ることができる。
図5に平衡回路の例を示すがこれに限定されるものではない。平衡回路143において、透析液は、任意の限外濾過膜73から1つ以上の透析液ポンプ15(図5に示すように2つ)に流れる。この図の透析液ポンプ15は、2つのポッドポンプ161,162、2つの平衡チャンバ341,342、平衡チャンバをバイパスするためのポンプ35を含む。平衡チャンバは、2つの個別の流体区画にチャンバを分ける可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバから形成され、1つの区画への流体の進入によって他の区画から流体が排出されるように、またその逆にも構成される。ポッドポンプや平衡チャンバとして使用することができるポンプの例は、2006年4月14日に出願され、発明の名称が「体外熱療法システムおよび方法」である米国特許出願第60/792,073号明細書、あるいは2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置、および方法」である米国特許出願第11/787,212号明細書に開示されるがこれらに限定されるものではない。これらの全体は、ここで開示されたものとする。ポッドポンプの付加的な例は、詳細に後述する。図5に示すように弁の多数は「連動」するか、あるいは組として同期され、これによって組の全ての弁が同時に開閉する。
より詳細に一実施例において流れの平衡は、次の通り作用する。図5は、第1に同期され、制御される弁211,212,213,241,242において、弁211,212,213が連動し、弁241および242が連動すること、同様に第2に同期され、制御される弁221,222,223,231,232において、弁221,222,223が連動し、弁231および232が連動することを示す。時間の第1ポイントにおいて、第1連動する組の弁211,212,213,241,242は開かれ、第2連動する組の弁221,222,223,231,232は、閉じられる。未使用の透析液は、平衡チャンバ341に流れ、使用済みの透析液は、透析装置14からポッドポンプ161に流れ込む。未使用の透析液は、弁221が閉鎖しているので平衡チャンバ342に流れない。未使用の透析液が平衡チャンバ341に流れると、平衡チャンバ341内の使用済みの透析液は、強制的に押し出され、平衡回路143から排出される(使用済みの透析液は、弁223が閉じられているためポッドポンプ161に入ることができない)。同時に、ポッドポンプ162によってポッドポンプ内の透析液は、平衡チャンバ342内に強制的に
入れられる(開いている弁213を通じ。弁242および222は、閉鎖され、確実に使用済みの透析液は、平衡チャンバ342内に流れ込む)。これによって平衡チャンバ342内に含まれる未使用の透析液は、平衡回路143から排出され透析装置14内に進入する。更に、ポッドポンプ161は、透析装置14から使用済みの透析液をポッドポンプ161に引き込む。これは、図18Aにおいて更に示される。
ポッドポンプ161および平衡チャンバ341が透析液にて充填されると、第1組の弁211,212,213,241,242は閉鎖して、第2組の弁221,222,223,231,232は開く。未使用の透析液は、弁212が閉鎖し弁221が開いているため、平衡チャンバ341に代えて平衡チャンバ342に流れる。未使用の透析液が平衡チャンバ342に流れると、チャンバ内の使用済みの透析液は、弁213が閉まるため強制的に平衡回路を排出される。弁232が閉まり弁222が開くため、使用済みの透析液は、ポッドポンプ161に流れることを防止される。これによって平衡チャンバ341内に含まれている未使用の透析液は、透析装置内に配向される(弁241が開き弁212が閉じているため)。この工程の終わりにポッドポンプ162および平衡チャンバ342は、透析液にて充填される。これによってシステムの状態は、本明細書の始めの状態に戻り、周期が繰り返され、確実に透析装置を往復する透析液を一定の流れに保持する。これは図18Bに更に示される。
特定の例が、真空(たとえば4psi(約27.586kPa)の真空)が第1連動する組の弁に作用され、正の圧力(例20psi(約137.931kPa)(1psiは6.89475kPa)の気圧)が第2連動する組の弁に作用され、これによってこれらの弁は、閉じる(あるいはその逆である)。各ポッドポンプは、平衡チャンバ341,342の一方の容量の1つに透析液を汲出す。平衡チャンバの容量へ透析液を強制的に送ることによって、同量の透析液が平衡チャンバにて他の容量から隔壁によって圧搾される。各平衡チャンバにおいて、一方の容量は、透析装置の方への未使用の透析液によって占められ、他方の容量は、透析装置からの使用済みの透析液によって占められる。従って、透析装置に出入りする透析液の容量は、略等しく保持される。
平衡チャンバに連動するいずれの弁も適切な任意の圧力で開閉できることに留意する。ただし、最初に弁を閉じ始めてからきちんと閉まるまでは、最終的に弁を閉鎖した状態に維持する圧力(「保持圧力」)よりも低いまたはより制御した圧力を加えるのが有利であろう。弁の閉鎖を生じさせるために保持圧力に等しい圧力を加えると、すでに閉じた下流の弁に漏出を生じさせるほど流体ラインに過渡的な圧力上昇を引き起こすことがあり、透析装置に出入りする透析液の流れの平衡に悪影響を及ぼす。透析液ポンプと平衡チャンバの入口弁および/または出口弁をより低いまたはより制御した圧力で閉じると、透析装置に出入りする透析液の流れの平衡を改善できる。実施例において、たとえば弁の流体制御ラインに圧力を加えるためにパルス幅変調(「PWM」)を採用するとこれを達成できる。以下の理論に限定されるものではないが、たとえば次のような理由のために「緩閉鎖」弁に適度な圧力または制御した圧力を使用すると効果的であろう。(1)幾つかの例において、平衡チャンバ内の圧力は、閉じた平衡チャンバの出口弁の保持圧力を過渡的に超える可能性がある(たとえば弁隔壁背後の流体の質量に抗して平衡チャンバの入口弁を閉じるために過度な圧力を加えると生じる)。流体ライン内の過渡的な圧力上昇は、閉じた出口弁の保持圧力に打ち勝てるため、平衡チャンバの両側の間で流体が漏出し、流体搬送の不均衡が生じる。(2)更に、平衡チャンバと平衡チャンバの弁の間の空気または気体の存在が急速な弁の閉鎖と相まって、平衡チャンバの反対側からの流体によって平衡を保たれずに、過剰な流体が平衡チャンバに押し流されるおそれがある。
隔壁が平衡チャンバの壁に接近すると(これによって平衡チャンバの一方の容量が最小に近づき、他方の容量が最大に近づく)、正の圧力は、第1連動の組の弁に作用され、こ
れによってこれらの弁は、閉まる。真空が第2連動の組の弁に作用され、これによってこれらの弁は、開く。ポッドポンプは、平衡チャンバ341,342の他方の容量の1つに透析液を送る。再び透析液を平衡チャンバの容量へ強制的に送ることによって同量の透析液が平衡チャンバの他方の容量から隔壁によって圧搾される。各平衡チャンバにおいて一方の容量が透析装置の方への未使用の透析液によって占められ、他方の容量が透析装置からの使用済みの透析液によって占められる。従って透析装置に出入りする透析液の容量は、等しく保持される。
更に図5は、ポッドポンプ161または162の両者を通過することなく平衡回路143を通じて透析装置14からの透析液の流れを配向可能なバイパスポンプ35を示す。この図において、バイパスポンプ35は、上述したものと類似したポッドポンプであり、堅固なチャンバ、並びに流体区画および制御区画に各チャンバを分ける可撓性を備えた隔壁を備える。このポンプは、上述した他のポッドポンプや平衡チャンバと同じであるか異なるものである。たとえばこのポンプは、2006年4月14日に出願され発明の名称が「体外熱療法システムおよび方法」である米国特許出願第60/792,073号明細書、または2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置および方法」である米国の特許出願番号第11/787,212号明細書に記述されるようなポンプである。それぞれその全体がここで開示されたものとする。ポッドポンプは、更に詳細に後述する。
このポンプを駆動させることに制御流体が使用されると、透析液は、透析装置を通る血流に対して平衡を保たずに透析装置を通じて汲出される。これによって患者からの流体の流れを透析装置を通って排液管の方に生じさせる。上記バイパスは、たとえば患者が有する流体の量を減少させることに有用である。患者が腎臓を通して流体(主に水)を減少させることができないことによって通常増加する。図5に示すように、バイパスポンプ35は、制御流体(たとえば空気)によってポッドポンプ161および162の駆動に関係なく制御される。この構成によって患者から流体が排出されるように平衡ポンプを駆動させることなく患者から流体を取り除くことを容易に制御可能である。
透析装置を横断する平衡を保持した流れを得るために、透析装置への流れが通常透析装置からの流れと確実に等しくなるように、血流ポンプ、平衡回路のポンプ、および配向回路(後述する)のポンプは、協動するように駆動される。限外濾過が要求される場合に、望ましい限外濾過速度を得るために、限外濾過ポンプ(1つある場合)は、他の血液ポンプや透析液ポンプのいくつか、あるいは全てから独立して駆動する。
透析液の気体放出を防止するために平衡回路のポンプは、常に気圧より大きな圧力に保持される。しかしながらそれに対して、血流ポンプおよび配向回路ポンプは、気圧より低い圧力を使用し、充填のストロークのためにチャンバの壁の方に隔壁を張引する。潜在的に流体が透析装置を横断して移動するために、且つ平衡回路のポンプが正の圧力にて駆動するために、平衡回路のポンプは、平衡を保持された流れのモードで駆動するために血流ポンプからの情報を使用できる。
実施例において、上記平衡を保持したモードにて駆動するとき、血流ポンプからの搬送圧力がない場合に、平衡回路ポンプの隔壁は、透析装置を横断して血液に流体を押圧して移動させるため、平衡回路のこれに代わるポッドは、完全に充填されない。従って、血流ポンプは、いつ動的にストロークがあるか報告する。血流ポンプがストロークしているとき平衡ポンプは、駆動する。血流ポンプが血液を搬送していないとき、透析装置から平衡ポンプへの流れを制御する弁(および上述したようなこれらの弁と連動する他の平衡弁)は閉じられ、血液の側から透析液の側へ流体の移動が生じることを防止する。血流ポンプが搬送していない時に、平衡ポンプは、効果的に凍結し、血流ポンプが再度搬送を開始す
るとストロークは、継続する。平衡ポンプの充填圧力は、ポンプが最低限のインピーダンスにて気圧を超えて確実に駆動するように最小限の正の値に設定される。更に、平衡ポンプの搬送圧力は、透析装置の両側の圧力を通常一致させるべく血流ポンプの圧力に設定され、内部のポンプのストロークにおいて透析装置を横断する流れを最小限にする。
幾つかの例において、透析液ポンプに血液ポンプの搬送圧力よりも高い圧力で透析液を透析装置に搬送させると有利であろう。このことは、たとえばチャンバ全体の清浄な透析液を確実に透析装置に搬送させるのに役立つ。実施例において、透析液ポンプにかかる搬送圧力は、内部ポンプにそのストロークを終了させるのに十分高いが、透析装置内の血液の流れを停止するほどには、高くないように設定される。幾つかの例において、逆に透析液ポンプが透析装置から使用済みの透析液を受承しているときには、透析液ポンプ内の圧力を透析装置の血液側にかかる出口圧力よりも低く設定すると有利であろう。このことは、受承する透析液チャンバを常に満たすことができ、つまりは平衡チャンバでフルストロークを完了するのに十分な透析液が確実に利用できるのに役立つ。このような差圧によって生じる半透性の膜を通過する流れは、互いに打ち消しあう傾向がある。またそうでなければ、ポンプアルゴリズムが透析装置の透析液側と血液側にかかる平均圧力を一致させようとする。
透析装置の膜を横断して発生する対流は、透析装置に少しずつ出入りする流体の一定した繰り返しのシフトが、正味の限外濾過にはならないが、それでも血液管および透析装置内の凝血塊の形成を防止するのに役立つため有益であろう。ひいてはヘパリンの投与量を少なくでき、透析装置の耐用年数を延ばし、透析装置の清掃および再利用を促進することに繋がる。バックフラッシュは、対流による溶質除去を一層促すという追加の利点もある。別の実施例において、血液の搬送ストロークと透析装置を通る透析液の搬送ストロークの同期を少し調整すると、透析装置の膜を横断する一種の連続的なバックフラッシュも達成できる。
治療において、停滞した血の流れは、凝血を引き起こすため血流をできるだけ一定に保持することが好適である。付加的に血流ポンプの搬送流体の速度が不連続である場合に平衡ポンプは、ストロークを頻繁に休止する必要があり、これによって透析液の流体の速度は、不連続且つ/または低くなる。
しかしながら、様々な理由によって血流ポンプを通る流れは、不連続となる。たとえば圧力は、患者に安全なポンプ圧力を提供すべく血流ポンプ内において+600mmHg(約79.993kPa)乃至−350mmHg(約−46.662kPa)に制限される。たとえば二重の針の流れにおいて、血流ポンプの2つのポッドポンプは、相互に位相から180°にて駆動すべくプログラムすることができる。圧力に限界がない場合に、この位相は、常に得られる。但し患者に安全な血液の流れを提供するためにこれらの圧力は、制限されている。インピーダンスが充填のストロークにて高い場合(小さな針、非常に粘性を有する血液、患者へのアクセスが困難等による)に、負の圧力限界に至り、充填の流体速度は、望ましい充填の流体速度より遅くなる。従って搬送ストロークは、血流ポンプの搬送流体速度を休止して完了させるために前の充填のストロークを待たなければならない。同様に1本の針の流れにおいて血流ポンプは、0°の位相にて駆動し、2つの血流ポンプのポッドポンプが同時に空にされ充填される。ポッドポンプの両者が充填される場合に、2つのポッドポンプの容量が搬送される。従って1本の針の流れは、不連続である。
圧力の飽和の限界を制御する1つの方法は、望ましい流体速度を充填および搬送のストロークの最も遅いものに制限することである。これによって血液を搬送する流れの速度は、より遅くなるが、流れの速度がわかるようになり、常に連続的となり、より正確、且つより連続的な透析液の流れの速度を得られる。血液の流れの速度を1本の針の駆動におい
てより連続的にさせる別の方法は、充填の時間が最小になるようにポッドを充填するために最大の圧力を使用することである。望ましい搬送時間は、所望のストロークの全時間から充填ストロークにかかった時間を引いたものに設定可能である。但し血流の速度を一定にできない場合に、透析液の流れの速度は、調整され、透析液の流れを搬送する血流速度が高い場合に、血流ポンプが充填されるときに透析液ポンプが停止する時間を設定された値によって補填する。これが正しいタイミングにて実施された場合に、複数のストロークにわたる透析液の流れの速度の平均は、所望の透析液の流れの速度に一致可能である。
図34乃至図36は、平衡カセットの例を示すがこれらに限定されるものではない。図34Aに示すカセットの1つの構造において弁は、同時に駆動するように連動する。一実施例において、4つの連動する弁832,834,836,838が設けられる。実施例において、連動する弁は、同一のエアラインによって駆動する。しかしながら別例において、各弁は、対応するエアラインを有する。実施例に示すように連動する弁によって上述したように流体の流れが生じる。実施例において、更に連動する弁によって確実に適切な弁が開閉され、要求される流体路を形成する。
本実施例において、流体弁は、ここで詳細に開示するように火山弁である。特定の流路に関して様々な実施例における流体路の概要が開示されるが、流路は、弁およびポンプの駆動に基づき変化する。付加的に、入口および出口の他第1流体および第2流体なる用語は、記述の目的に限っては使用される(このカセットおよび後述する他のカセットにおいて)。別例において、入口は、出口であってもよく、更に第1流体および第2流体は、異なった流体のタイプ、あるいは同じ流体のタイプや構成であってもよい。
図35A乃至図35Eに、実施例におけるカセットの頂部プレート1000を示す。図35Aおよび図35Bは、頂部プレート1000の平面図である。本実施例において、頂部プレートのポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822は、同じように形成される。本実施例において、ポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822は、底部プレートと組み立てられた場合に、38mlの総容量を有する。しかしながら、様々な実施例において、総容量は、本実施例のものより大きくても小さくてもよい。第1流体入口810および第2流体出口816を図示する。
図35Cおよび図35Dは、頂部プレート1000の下面図である。流路をこの図に示す。これらの流路は、図34Bに示すミッドプレート900の流路に対応する。頂部プレート1000およびミッドプレートの頂部は、ポッドポンプ820,828のための、および平衡ポッド812,822の一方の側のカセットの液体側または、流体側を形成する。従って、流体の流路のほとんどは、頂部プレートおよびミッドプレートに設けられる。平衡ポッド812,822の反対側は、底部プレートの内側に設けられる、図36A,図36Bに示すが、ここに図示しない。
図35Cおよび図35Dに更にポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822が溝1002を含むことを示す。図示の溝1002は、所定の形状を有する。しかしながら別例において溝1002の形状は、好ましいどの形状であってもよい。図35Cおよび図35Dに実施例における形状を示す。実施例において溝1002は、ポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822の流体入口の側と流体出口側の間の通路を形成する。
溝1002は、流路をなし、隔壁がストロークの終わりにあるとき入口と出口間に流路があるため、流体または空気のポケットは、ポッドポンプや平衡ポッドに捉えられない。溝1002は、ポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822の液体側および空気側の両者に含まれる(図36A,36Bを参照のこと。これらは、ポッドポンプ
820,828の空気側および平衡ポッド812,822の反対側に関する)。
一実施例においてポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822の液体側は、入口および出口の流路が連続し外リング1004も連続するという特徴を含む。この特徴によって、保持されるべき隔壁にシール(図示しない)が形成可能となる。
図35Eは、実施例における頂部プレート1000の側面図である。ポッドポンプ820,828の連続した外リング1004、および平衡ポッド812,822を示す。
図36A乃至図36Eに、底部プレート1100を示す。図36Aおよび図36Bに、底部プレート1100の内側表面を示す。内側表面は、図34Eに示すミッドプレート(ここには図示しない)の底面に接触する側である。底部プレート1100は、エアライン(図示しない)に取り付けられる。図34Eに示すポッドポンプ820,828および弁(ここには図示しない)を駆動させる空気のための対応する入口の穴1106は、ミッドプレートに設けられる。穴1108,1110は、図34Cに示す、第2流体入口824、および第2流体出口826にそれぞれ対応する。流路のための溝1112のように、ポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822の対応する半分を更に示す。頂部プレートとは異なり、ポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822に対応する底部プレートの半分は、ポッドポンプ820,828および平衡ポッド812、822間の違いを明瞭にする。ポッドポンプ820,828は、底部プレートに第2半分に空気の通路を備え、平衡ポッド812,822は、頂部プレートで半分と同一の構造を備える。更に、平衡ポッド812,822は、流体の平衡を保持し、これによって図示しない隔壁の両側は、液体の流路を含み、ポッドポンプ820,828は、液体を汲出す圧力ポンプであり、これによって一方の側は、液体流路を含み、底部プレート1100に示す他方の側は、空気駆動のチャンバまたは空気流体路を含む。
カセットの一実施例においてポンプでくまれる流体の様々な特性を検知するためにセンサ要素がカセットに組み込まれる。一実施例において、3つのセンサ要素が含まれる。一実施例において、センサ要素は、センサセル1114に設けられる。セル1114は、センサ要素ハウジング1116,1118,1120に3つのセンサ要素を収容する。実施例において、センサハウジング1116,1118の2つは、伝導度センサ要素を収容し、第3センサ要素ハウジング1120は、温度センサ要素を収容する。伝導度センサ要素および温度センサ要素は、当該技術分野におけるいかなる伝導度センサ要素や温度センサ要素であってもよい。一実施例において、伝導度センサ要素は、グラファイトのポストである。別例において、伝導度センサ要素は、ステンレス鋼、チタニウム、プラチナまたは防蝕のためにコーティングされるがなお電気伝導度を備えるその他の金属から形成される。伝導度センサ要素は、コントローラや他の装置にプローブの情報を送信する電線を含むことができる。一実施例において、温度センサは、ステンレス鋼のプローブに埋め込まれたサーミスタである。これに代わる実施例において、カセットにセンサを設けないか、温度センサのみ設けるか、あるいは1つ以上の伝導度センサを設けるか、1つ以上の別のタイプのセンサを設けてもよい。実施例においてセンサ要素は、カセットの外側に設けられるか、別体のカセットに設けられるか、流体ラインによってカセットに連結される。
図36Aおよび図36Bに更に定量ポンプ830の駆動側の他、ポンプを駆動させる空気のための対応する空気入口の穴1106を示す。図36Cおよび図36Dに、底部プレート1100の外側を示す。弁、ポッドポンプ820,828、および定量ポンプ830のエアライン連結ポイント1122が示されている。再び平衡ポッド812,822は、エアライン連結ポイントを備えていないので、空気によって駆動しない。更に第2流体出口824および第2流体入口826のための底部プレート1100の対応する開口も示されている。
図36Eは、底部プレート1100の側面図である。側面図において、縁1124は、内側の底部プレート1100を包囲する。縁1124は、揚げられ、連続しており、隔壁(図示しない)の連結ポイントとなる。隔壁は、この連続し揚げられた縁1124に載置され、これによって底部プレート1100のポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822の半分および図35A乃至35Dに示す頂部プレート(ここには図示しない)のポッドポンプ820,828および平衡ポッド812,822の半分の間をシールする。
上述したように、透析液は、配向回路から任意にヒータを通って且つ/または限外濾過膜を通って平衡回路に流れる。実施例において、必須ではないが配向回路は、カセットに設けられる。図3Aに配向回路の例として配向回路142を示す。配向回路142は、この例においていくつかの異なる機能を実施可能である。たとえば透析液は、透析液供給体から(後述するように混合回路から等)配向回路を通って平衡回路へ流れ、使用済みの透析液は、平衡回路から排液管に流れる。透析液は、配向回路内に含まれる1つ以上のポンプの駆動によって流れる。実施例において、配向回路は、透析液タンクを含み、これは透析液を平衡回路に移動させるに先立って透析液を含む。上記透析液タンクによって実施例において透析液の生産速度がシステム内の透析装置の透析液の使用速度と異なるものとなる。配向回路は、更に給水からの水を混合回路(1つある場合に)に配向する。付加的に上述したように、血流回路は、消毒等の操作のために配向回路と連通する。
従って実施例において透析液は、要求に応じて形成されるため、大量の透析液を貯蔵する必要はない。たとえば透析液は、準備された後に、透析液タンク169に保持される。透析液弁17は、タンク169から透析液回路20への透析液の流れを制御する。透析液は、透析装置14に送られるに先だって濾過され、且つ/または加熱される。汚染物処理弁18が透析液回路20からの使用済みの透析液の流れを制御することに使用される。
図6に配向回路の一例を示すがこれに限定されるものではない。この図において、配向回路142は、上述したように透析液供給体からの透析液を、透析液ポンプ159、ヒータ72、および限外濾過膜73を通して平衡回路に入るに先立って透析液タンク169に連通させる。図示のように透析液流路の透析液は、透析液供給体から透析液タンク、ポンプ、ヒータ、および限外濾過膜に(この順番で)流れるが別例においてその他の順番も可能であるものといえる。ヒータ72は、透析液を体温に、および/または血流回路の血液が透析液によって加熱され、患者に戻る血液が体温と同じになるように、加熱することに使用される。限外濾過膜73は、後述するように透析液中にある病原体、発熱物質等を取除くことに使用される。透析液は、平衡回路に流れ透析装置に配向される。
透析液タンク169は、好適な材料からなり、使用に先だって透析液を貯蔵するためにいかなる好適な寸法であってもよい。たとえば透析液タンク169は、プラスチック、金属等からなる。透析液タンクは、上述したようにポッドポンプを形成することに使用される材料と類似した材料からなってもよい。
配向回路142を通過する透析液の流れは、透析液ポンプ159の操作によって(少なくとも部分的に)制御される。付加的に、透析液ポンプ159は、平衡回路を通過する流れを制御する。たとえば図5において上述したように、配向回路からの未使用の透析液は、平衡回路143の平衡チャンバ341および342に流れる。ポンプ159は、未使用の透析液をこれらの平衡チャンバに流すことに使用される。実施例において、透析液ポンプ159は、上述したものに類似したポッドポンプを備える。ポッドポンプは、各チャンバを流体区画および制御区画に分ける可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバを含む。制御区画は、空気源のような制御流体源に連結される。ポッドポンプや平衡チャンバとして使用されるポンプの例は、2006年4月14日に出願され発明の名称が「体外熱療
法システムおよび方法」である米国特許出願第60/792,073号明細書、或は2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置および方法」である米国特許出願第11/787,212号明細書に開示されるが、これらに限定されるものではない。これらはその全体がここで開示されたものとする。ポッドポンプは、更に詳細を後述する。
ポンプ159を通過後に、透析液は、ヒータ、たとえば図6のヒータ72に流れる。ヒータは、たとえば当業者に周知の電気抵抗ヒータのような透析液の加熱に好適な加熱装置である。ヒータは、図3Aに示すように配向回路から分離して設けられるか、あるいはヒータは、配向回路に、あるいは別の回路(たとえば平衡回路)に組み込まれる。
実施例において、透析液は、透析装置を通る血液が冷めないような温度に加熱される。たとえば透析液の温度は、透析液が透析装置を通る血液の温度に、あるいはこれより大きい温度になるように制御される。上記例において、血液が血流回路の様々な要素を通過することによって引き起こされる熱の損失を相殺するために上述したように血液は、幾分加熱される。付加的に後述するように実施例においてヒータは、制御システムに連結され、これによって不正確に加熱された透析液(すなわち、透析液を加熱しすぎたか、あるいは冷たい場合)は、ライン731を経由して透析装置を通過することに代えて再循環する(たとえば透析液タンクに戻る)。ヒータは、配向回路や平衡回路のような流体回路の一部として一体的に形成されるか、あるいは、図3Aに示すようにヒータは、透析液流路内の別体の要素であってもよい。
実施例においてヒータは、消毒または殺菌のためにも使用される。たとえば水は、血液透析システムを通過し、ヒータを使用して消毒や殺菌が可能な温度に加熱される。温度は、たとえば少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約100℃、少なくとも約110℃等である。実施例において後述するように水は、様々な要素を再循環し、且つ/またはシステム内の熱の損失は、ヒータが上記消毒または殺菌の温度に水を加熱して最小となる(後述する)。
ヒータは、上述したようにヒータを制御できる制御システムを含む(たとえば患者を透析するために透析液を体温まで加熱し、システムを浄化するために水温を消毒の温度まで加熱する)。
ヒータのコントローラの例を後述するがこれに限定されるものではない。コントローラは、様々な入口の流体温度の他に、脈動流の速度や様々な流体速度を取扱うことができるように選択される。付加的にヒータ制御は、流れが異なった流路(透析、消毒、再循環等)のそれぞれに配向される場合に適切に機能する必要がある。一実施例において、ヒータのコントローラは、SIP1基板において使用され、限外濾過膜にIR(赤外線)温度センサ、タンクに赤外線温度センサを備える。別例において、基板は、より熱の損失の少ない箱に設けられ入口の温度センサのための伝導度センサを使用する。別例におけるコントローラとしてタンク(ヒータの入口)および限外濾過膜(ヒータの出口)の両者の温度を使用する単純な比例コントローラが使用される。たとえば:
powerHeater=massFlow*((tankPGain*errorTank)+(UFPGain*errorUF)
PowerHeater=ヒータの使用率命令(0乃至100%);
MassFlow=流体質量流速度;
TankPGain=タンクまたは入口の温度センサのための比例ゲイン;
ErrorTank=タンクまたは入口の温度センサおよび望ましい温度の間の差異;
UFPGain=限外濾過膜または出口の温度センサのための比例ゲイン;
ErrorUF=ufまたは出口の温度センサおよび望ましい温度の間の差異。
ヒータの使用率命令(0乃至100%)からPWM命令が生成される。実施例において、このコントローラは、所定の温度が保持されずヒータが飽和する場合に質量流速度を減少させる。
上述したヒータ制御は、例示に過ぎず、本発明の別例においてその他のヒータの制御システムおよび他のヒータが可能であるものといえる。
透析液は、更にたとえば限外濾過膜を使用して汚染物、感染性の生物、病原体、発熱物質、残骸等を取除くべく濾過される。フィルタは、図3Aに示すように配向回路と平衡回路の間にて、透析液流路の好適な位置に配置され、且つ/または限外濾過膜は、配向回路か平衡回路に組み込まれる。限外濾過膜が使用される場合に、フィルタを通して上記タイプを防止する網寸法を有すべく選択される。たとえば網寸法は、約0.3マイクロメートル以下、約0.2マイクロメートル以下、約0.1マイクロメートル以下、あるいは約0.05マイクロメートル以下等である。当業者は、限外濾過膜のようなフィルタは、多くの場合、市場にて容易に入手可能であることを認識するだろう。
実施例において、限外濾過膜は、フィルタ(たとえば未透過物の流れ)からの汚染物が図6の汚染物ライン39のような汚染物の流れに移動するように操作される。実施例において未透過物の流れに流れる透析液の量は、制御可能である。たとえば未透過物が余りにも冷たい場合(すなわち、ヒータ72が駆動しなかったり、ヒータ72が透析液を十分な温度に加熱しない)に、透析液の流れ全体(あるいは透析液の少なくとも一部)は、汚染物ライン39に転換され、任意によってライン48を使用して透析液タンク169に再循環される。フィルタからの流れは、様々な理由によって温度センサ(たとえばセンサ251および252)、伝導度センサ(透析液の濃度確認用、たとえばセンサ253)等を使用して更に監視される。上記センサの例は、後述する。これら以外の例は、発明の名称が「センサの器具システム、装置および方法」である(事件番号F63)の米国特許出願第12/038,474号明細書に開示されるがこれに限定されるものではない。同文献は、その全体がここで開示されたものとする。
限外濾過膜および透析装置が汚染物、感染性の生物、病原体、発熱物質、残骸の除去のための冗長な選別法であるものといえる(別例において限外濾過膜は、設けられない)。従って、透析液から患者に至る汚染物のために汚染物は、限外濾過膜および透析装置の両者を通過する必要がある。一方が濾過できなくても、他方は、なお殺菌可能であり、汚染物が患者の血液に至ることを防止する。
配向回路142は、更に使用済みの透析液を平衡回路を通じて排液管に、たとえば図6の汚染物ライン39を通じて排液管31に案内可能である。排液管は、たとえば局所的な排液管または好適に位置させるべき汚染物(たとえば使用済みの透析液)を収容する別体の容器である。実施例において、1つ以上の点検弁または、「一方向の」弁(たとえば点検弁215および216)が配向回路とシステムからの汚染物の流れの制御に使用される。更に実施例において血液の漏出センサ(たとえばセンサ258)が、血液が透析装置を通って透析液流路に漏出しているかどうか判断することに使用される。
付加的に、配向回路142は、給水30、たとえば袋のような水の容器から、および/または販売されている逆浸透装置等の水を作り出すことのできる装置から水を受承する。実施例において当業者に周知であるように、システムに進入する水は、所定の純度に設定され、たとえば所定の値以下のイオン濃度を有する。配向回路142に進入する水は、様々な位置に移動し、たとえば未使用の透析液を作り出すための混合回路へ、および/または汚染物ライン39に移動する。実施例において後述するように、排液管31、様々な再循環ラインへの弁が開かれ、水がシステムの全体を連続して流れるように導管67が配向
回路142および血流回路141の間に連結される。ヒータ72も駆動される場合に、システムを通過する水は、システムを消毒するために十分な温度に連続して加熱される。上記消毒方法は、詳細を後述する。
図41乃至図45に平衡カセットの例を示すがこれらに限定されるものではない。図41Aおよび図41Bに、一実施例におけるカセットの頂部プレート900の外側を示す。頂部プレート900は、ポッドポンプ820,828の2分の1を含む。この半分は、流体または液体源の半分であり源流が流れる。入口および出口のポッドポンプ流路が示されている。これらの流路は、各ポッドポンプ820,828に案内する。
ポッドポンプ820,828は、揚げられた流路908,910を含む。揚げられた流路908,910によって隔壁(図示しない)がストロークの終わりに達した後に流体は、ポッドポンプ820,828を貫流し続けることができる。従って、揚げられた流路908,910によってポッドポンプ820,828に空気や流体を捉えさせる隔壁や、流れを防止するポッドポンプ820,828の入口や出口を閉塞する隔壁を最小にする。本実施例において揚げられた流路908,910は、所定の寸法を有する。これに代わる実施例において、揚げられた流路908,910は、より大きいかより狭い。更なる別例において、揚げられた流路908,910は、目的が流体の望ましい流体速度を得るか流体の望ましい駆動を得るために流量を制御することにあるのでいかなる寸法であってもよい。従って、揚げられた流路、ポッドポンプ、弁、または他の態様に対してここに開示された寸法は、例示に過ぎず、これに代わる実施例に過ぎない。他の実施例は、明瞭である。図41Cおよび41Dは、本実施例におけるカセットの頂部プレート900の内側を示す。図41Eは、頂部プレート900の側面図である。
図42Aおよび図42Bにミッドプレート1000の流体または液体側を示す。図41Cおよび図41Dに内側の頂部プレートの流路を補足する領域を示す。これらの領域は、本実施例における製造の一モードのレーザ溶接によって導電性を備える表面の仕上げを示す僅かに揚げられた軌跡である。カセットの製造の他のモードを上述した。
図42Cおよび図42Dに、本実施例におけるミッドプレート1000の空気側または、図43A乃至図43Eに示す底部プレート(ここでは図示しない)に面する側を示す。空気側の弁の穴802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856は、図42Aおよび42Bに示すミッドプレート1000の流体側の穴に対応する。図44Cおよび44Dに示すように、隔壁1220は、ポッドポンプ820,828を完成させ、隔壁1222は、弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856を完成させる。弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856は、空気圧によって駆動され、隔壁が穴から張引されると、液体または流体が流れる。隔壁が穴の方に押圧されると、流体流は、防止される。流体流は、弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856の開閉によって配向される。図43Aおよび43Bは、底部プレート1100の内側の図である。ポッドポンプ820,828の内部、および弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856の駆動または空気チャンバが示されている。ポッドポンプ820,828、および弁802,808,814,816,822,836,838,840,842,844,856は、空気の空気源によって駆動する。図43Cおよび図43Dに、底部プレート1100の外側を示す。空気源は、カセットのこの側面に取り付けられる。一実施例において、管は、弁およびポンプ1102の管に連結される。実施例において、弁は連動し、複数の弁が同じエアラインによって駆動する。
図44Aおよび44Bに、組み立てられたカセット1200を示す。図44Aおよび4
4Bに示す組み立てられたカセット1200の分解図が図12Cおよび12Dに示されている。これらの図において、実施例におけるポッドポンプ隔壁1220が示されている。隔壁のガスケットは、液体チャンバ(頂部プレート900の)および空気または駆動チャンバ(底部プレート1100の)間をシールする。実施例において、隔壁1220のドームのテクスチャは、特にストロークの終わりに空気および液体がチャンバを脱出する付加的なスペースを提供する。これに代わる実施例におけるカセットにおいて、隔壁は、ダブルガスケットを含む。好適な実施例におけるダブルガスケットの特徴は、ポッドポンプの両側が液体を含むことにあり、またはチャンバの両側をシールすることが望まれる。これらの実施例においてガスケットや他の特徴(図示しない)を補足する縁が内部の底部プレート1100に付加され、これによってガスケットは、底部プレート1100のポッドポンプチャンバをシールする。
図45は、カセットのポッドポンプ828の断面図である。隔壁1220の付属品の詳細を示す。再び、本実施例において、隔壁の1220のガスケットは、ミッドプレート1000および底部プレート1100によって挾持される。ミッドプレート1000の縁は、ガスケットが頂部プレート900に取付けられたポッドポンプ828のチャンバをシールすることができるという特徴を有する。
図45は、組み立てられたカセットの弁834,836の断面図である。本実施例において隔壁1220が組み立てられ、ミッドプレート1000と底部プレート1100の間に挾持されることによって配置されることを示す。更に、図45の断面図は、組み立てられたカセットの弁822を示す。隔壁1222がミッドプレート1000と底部プレート1100との間に挾持されて配置されていることを示す。
実施例において、透析液は、別に準備され、配向回路にて使用するためにシステムに搬送される。しかしながら実施例において透析液は、混合回路にて準備される。混合回路は、好適なときに透析液を形成するために駆動する。たとえば透析液は、患者の透析の間に、および/または透析に先だって作り出される(たとえば透析液は、透析液タンクに収容される)。混合回路の中において透析液を形成するために、水(たとえば給水から任意に配向回路によって混合回路に提供される)は、様々な透析液の原料と混合される。たとえば当業者には、上述したように重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および/または酸の好適な透析液の原料が周知である。透析液は、要求に応じて形成されるため、特定の場合透析液タンク内に収容されるが大量に収容する必要はない。
図7Aは、実施例においてカセットに設けられる混合回路の例を示すがこれに限定されるものではない。図7Aにおいて、配向回路からの水は、ポンプ180の駆動によって混合回路25に流れる。実施例において、水の一部は、たとえば混合回路を通して原料の輸送に使用するために、原料49に搬送される。図7Aに示すように、水は、重炭酸塩源28(更に実施例において塩化ナトリウムを含む)に搬送される。実施例において塩化ナトリウムや重炭酸ナトリウムは、水の作用によって移動されるが粉状あるいは粒状の形態にて提供される。重炭酸塩源28からの重炭酸塩は、重炭酸塩ポンプ183によって混合ライン186に搬送されるが、混合ライン186には、配向回路からの水も流れる。酸源29からの酸(流体の形態)も酸ポンプ184によって混合ライン186に汲出される。原料(水、重炭酸塩、酸、塩化ナトリウム等)は、混合チャンバ189にて混合回路25から流れる透析液を形成すべく混合される。各原料が混合ラインに付加されるときに確実に好適な濃度にて付加されるように伝導度センサ178および179が混合ライン186に沿って設けられる。
実施例において、ポンプ180は、上述したものと類似の1つ以上のポッドポンプによって構成される。ポッドポンプは、各チャンバを流体区画および制御区画に分ける可撓性
を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバを含む。制御区画は、空気源のような制御流体源に連結される。ポッドポンプの例は、2006年4月14日に出願され、発明の名称が「体外熱療法システムおよび方法」である米国特許出願第60/792,073号明細書、あるいは2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置および方法」である米国特許出願第11/787,212号明細書に開示されているがこれらに限定されるものではない。これらの文献は、ここでその全体が開示されたものとする。同様に、実施例において、ポンプ183および/または184は、それぞれポッドポンプである。ポッドポンプの更なる詳細は後述する。
実施例において、1つ以上のポンプは、ポンプの圧力を監視する圧力センサを有する。この圧力センサによってポンプ区画が完全に確実に充填され搬送が行われる。たとえばポンプが流体の完全なストロークを行うことを確実にすべく、(i)区画を充填し、(ii)流体弁の両者を閉じ、(iii)正の空気のタンクと区画の間の弁を開くことによって圧力を区画に作用させ、(iv)この正の圧力弁を閉じ、弁と区画の間の通路における加圧された空気を残し、(v)流体弁を開き、流体をポンプ区画から流し、(vi)ポンプ区画から流体が流れたときに区画の圧力降下を監視する。完全なストロークに相当する圧力降下は、一貫しており、最初の圧力、弁および区画の間を占める容量、および/またはストローク容量によって左右される。しかしながらここに開示されるポッドポンプの別例において基準容量区画が使用され、容量が圧力および容量データによって画定される。
水ポンプや他のポンプによって搬送される容量は、伝導度の測定に直接関係するため、容量測定が形成される透析液の構成のクロスチェックとして使用される。これによって治療において導電性測定が不正確な場合においても透析液の構成は、確実に安全に保持される。
図7Bは、実施例においてカセットに設けられる混合回路の別例を示す概略図である。この図の混合回路25は、ライン186に沿って給水から水を汲出すポッドポンプ181を備える。透析液を作るための様々な原料が水に案内される。別のポンプ182は、給水から重炭酸ナトリウムを保持する源28(たとえば容器)に、および/または塩化ナトリウムを保持する源188に汲出す。第3ポンプ183は、分解された重炭酸塩を混合ライン186に(混合チャンバ189にて混合される)案内し、第4ポンプ185は、分解された塩化ナトリウムをライン186に(混合チャンバ191で混合される)案内する。第5ポンプ184は、第1ポンプ181を通るに先だって水に酸を案内する。混合は、伝導度センサ178,179,177を使用して監視される。各伝導度センサは、所定の原料が混合ライン186に付加された後に伝導度を計測し、確実に適切な量や濃度の原料が付加されたことを検知する。上記センサの例は、後述する。更なる例が発明の名称が「センサの器具システム、装置および方法」である事件要領書番号第F63の米国特許出願第12/038,474号明細書に開示されるがこれに限定されるものではない。上記文献はここでその全体が開示されたものとする。
図3Bに本実施例において混合回路25が2つの源、酸の濃縮物の源27、並びに重炭酸ナトリウム(NaHCO3)および塩化ナトリウム(NaCl)の結合された源を使用して透析液を構成することを示す。図3Bに示す実施例において、透析液構成システム25は、各源の倍数を含む。実施例におけるシステムが連続して駆動する方法において、余分な透析液の源によってシステムは、連続して機能可能であるため、1組の源が枯渇すると、システムは、余分な源を使用可能となり、源の最初の組は、取り替えられる。この工程は、たとえばシステムが中断するまで必要に応じて繰り返される。
図34乃至図36に平衡カセットの例を示すがこれらに限定されるものではない。図37に示す流体流路カセットにおいて弁は、それぞれ開いている。この実施例において、弁
は、空気圧によって開く。更に本実施例において、流体弁は、本明細書に詳細に開示するように火山弁である。
図38A,図38Bに、一実施例におけるカセットの頂部プレート1100を示す。本実施例において、頂部プレート1100のポッドポンプ820,828および混合チャンバ818は、同様に形成される。本実施例において、ポッドポンプ820,828および混合チャンバ818は、底部プレートと組み立てられた場合に、総容量が38mlの容量となる。しかしながら別例において、混合チャンバは、要求されるいかなる寸法であってもよい。
図38Bは、頂部プレート1100の下面図である。流路は、この図に示す。これらの流路は、図39A乃至図39Bに示すミッドプレート1200の流路に対応する。頂部プレート1100およびミッドプレート1200の頂部は、ポッドポンプ820,828のための、且つ混合チャンバ818の1つの側面のためのカセットの液体または流体側を形成する。従って、流体の流路のほとんどは、頂部プレート1100およびミッドプレート1200にある。図39Bに第1流体入口810および第1流体出口824を示す。
図38Aおよび図38Bにポッドポンプ820,828は、溝1002を含む(これに代わる実施例において、これは溝である)。図示の溝1002は、所定の寸法および形状を有するが、別例において溝1002の寸法および形状は、いかなる好適な寸法や形状であってもよい。図38Aおよび38Bに一実施例における寸法および形状を示す。全実施例において溝1002は、ポッドポンプ820,828の流体入口側および流体出口側の通路を形成する。これに代わる実施例において、溝1002は、ポッドポンプの内部ポンプチャンバの壁の溝である。
溝1002は、流路を形成するため、隔壁が終りのストロークにある場合においても流体または空気のポケットがポッドポンプに捉えられないように入口と出口間に流路がなお位置される。溝1002は、ポッドポンプ820,828の液体または流体側、および空気または駆動側の両者に含まれる。実施例において溝1002は、混合チャンバ818に更に含まれる(ポッドポンプ820,828の空気または駆動側および混合チャンバ818の反対側に関する図40A,40Bを参照のこと)。これに代わる実施例において、溝1002は、ポッドポンプ820,828の一方の側にのみ含まれるか、全く含まれていない。
これに代わる実施例におけるカセットにおいて、ポッドポンプ820,828の液体または流体側は、入口および出口の流路が連続的であり、ポンプチャンバの周囲にモールド成形される堅固な外リング(図示しない)が更に連続的であるという特徴(図示しない)を含む。この特徴によって、隔壁(図示しない)と形成されるシールが保持される。図38Eは、本実施例における頂部プレート1100の側面図である。
図39A,図39Bに実施例におけるミッドプレート1200を示す。ミッドプレート1200は、図37A乃至図37Fに更に示され、これらは図39A乃至図39Bと対応する。従って、図37A乃至図37Fは、様々な弁および弁路の位置を示す。各ポッドポンプ820,828のための隔壁(図示しない)の位置の他混合チャンバ818の位置も示される。
図39Aに一実施例におけるカセットにおいて、センサ要素がポンプでくまれる流体の様々な特性を検知するためにカセットに組み込まれることを示す。一実施例において、3つのセンサ要素が含まれる。しかしながら、本実施例において、6つのセンサ要素(2組の3つ)が含まれる。センサ要素は、センサセル1314,1316に設けられる。本実
施例において、センサセル1314,1316は、センサ要素のためのカセットの領域として含まれている。一実施例において、2つのセンサセル1314,1316の3つのセンサ要素は、それぞれセンサ要素ハウジング1308,1310,1312、および1318,1320,1322に収容される。一実施例において2つのセンサ要素ハウジング1308,1312および1318,1320は、伝導度センサ要素を収容し、第3センサ要素ハウジング1310,1322は、温度センサ要素を収容する。伝導度センサ要素および温度センサ要素は、当該技術分野におけるいかなる伝導度または温度センサ要素であってもよい。一実施例において、伝導度センサは、グラファイトのポストである。別例において、伝導度センサ要素は、ステンレス鋼、チタニウム、プラチナまたは防蝕のためにコーティングされるがなお電気伝導度を備えるその他の金属から形成される。伝導度センサ要素は、コントローラや他の装置にプローブの情報を送信する電線を含むことができる。一実施例において、温度センサは、ステンレス鋼のプローブに埋め込まれたサーミスタである。しかしながら、これに代わる実施例において、2007年10月12日に出願され、発明の名称が「センサの器具システム、装置および方法」である米国特許出願(DEKA−024XX)に開示されるものと類似の温度センサ要素および伝導度センサ要素の組合せが使用される。
これに代わる実施例において、カセットのセンサは、使用されないか、温度センサ1つのみが使用されるか、1つ以上の伝導度センサのみが使用されるか、1つ以上の別のタイプのセンサが使用される。
図39Cは、本実施例におけるミッドプレート1200の側面図である。図40Aおよび図40Bに底部プレート1300を示す。図40Aに底部プレート1300の内側または内側表面を示す。内側または内側表面は、ミッドプレート(図示しない)の最下表面に接触する面である。底部プレート1300は、空気または駆動ライン(図示しない)に取り付けられる。ミッドプレート1300のポッドポンプ820,828および弁(ここには図示しない、図37A乃至図37Fを参照のこと)を駆動させる空気のための対応する入口の穴が図示される。穴810,824は、図39Bにそれぞれ示す第1流体入口810および第1流体出口824に対応する。ポッドポンプ820,828、および混合チャンバ818の対応する半分の他流路のための溝1002が図示される。ポンプの駆動の穴も図示される。頂部プレートとは異なり、ポッドポンプ820,828および混合チャンバ818の対応する底部プレート1300の半分は、ポッドポンプ820,828および混合チャンバ818間の差異を明瞭にする。ポッドポンプ820,828は、底部プレート1300の空気または駆動路を含み、混合チャンバ818は、頂部プレートで半分と同一の構造体を有する。混合チャンバ818は、液体を混合するため、隔壁(図示しない)および空気または、駆動路の両者を含まない。3つのセンサ要素ハウジング1308,1310,1312および1318,1320,1322を備えるセンサセル1314,1316も図示する。
図40Bに、外側の底部プレート1300の、または、底部プレート1300の外側の駆動ポート1306を示す。駆動源は、これらの駆動ポート1306に連結される。また空気によって駆動しないので、混合チャンバ818には、駆動ポートが設けられない。図40Cは、実施例における底部プレート1300の側面図である。
上述したように、発明の様々な態様において、血流回路、平衡回路、配向回路、および/または混合回路等の1つ以上の流体回路がカセットに設けられる。他のカセット、たとえば検知カセットが、発明の名称が「センサの器具システム、装置および方法」である(事件要領書第F63号、米国特許出願第12/038,474号明細書)に開示され、その全体がここで開示されたものとする。実施例においていくつかまたは全てのこれらの回路は、1つのカセットにて結合する。これに代わる実施例において、これらの回路は、そ
れぞれ各カセットにおいて形成される。更なる別例において、2つ以上の流体回路が1つのカセットに含まれる。実施例において、2つ、3つ、またはそれ以上のカセットが相対移動不能に設けられ、任意によってカセット間は、連通する。たとえば一実施例において、2個のカセットが上述したようなポッドポンプ等のポンプによって連結される。ポッドポンプは、各チャンバを第1側および第2側に分ける可撓性を備えた隔壁を備えた堅固なチャンバを含み、上述したように各側は、様々な目的に使用される。
本発明において使用されるカセットの例は、2007年10月12日に出願され、発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871,680号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871,712号明細書、2007年10月12日に出願され、発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871,787号明細書、2007年10月12日に出願され、発明の名称が「ポンプカセット」である米国特許出願第11/871,793号明細書、2007年10月12日に出願され発明の名称が「カセットシステム統合装置」である米国特許出願第11/871,803号明細書、および発明の名称が「カセットシステム統合装置」である米国特許出願(事件要領書第F62号)に開示されるが、これらに限定されるものではない。これらはそれぞれその全体がここで開示されたものとする。
カセットは、更にポッドポンプ、流体ライン、弁等の様々な特徴を含む。本明細書に開示される実施例におけるカセットは、様々なこれに代わる実施例を含む。しかしながら、類似の機能を含むカセットが考えられる。ここに開示される実施例におけるカセットは、図示のような流体の設計の実施であり、別例においてカセットは、様々な流路および/または弁の配置および/またはポッドポンプの配置および数を含み、これらは本発明の範囲に含まれる。
一実施例において、カセットは、頂部プレート、ミッドプレートおよび底部プレートを含む。各プレートのための様々な実施例がある。通常、頂部プレートは、ポンプチャンバおよび流体ラインを含み、ミッドプレートは、補足する流体ラインを含み、定量ポンプおよび弁および底部プレートは、駆動チャンバを含む(および実施例において、頂部プレートおよび底部プレートは、平衡チャンバまたはポッドポンプの補足する部分を含む)。
通常、隔壁は、ミッドプレートと底部プレートの間に設けられるが、平衡チャンバやポッドポンプに対して、隔壁の一部は、ミッドプレートと頂部プレートの間に設けられる。実施例において隔壁は、カセットに取り付けられ、この取付には、オーバーモールド、捕捉、接着、プレスフィット、溶接、その他のいかなる工程または方法によって行われるが、実施例において、隔壁は、プレートが組み立てられるまで頂部プレート、ミッドプレートおよび底部プレートとは分離される。
カセットは、様々な材料によって組み立てられる。通常、様々な実施例において、使用される材料は、固体であり、且つ非可撓性を備える。一実施例において、プレートは、ポリスルホンから形成されるが、別例においてカセットは、他の固体材料から形成される。実施例において、熱可塑性または熱硬化性の材料から形成される。
一実施例においてカセットは、隔壁を正確な位置に設け(たとえば1つ以上のポッドポンプが設けられるならこれらのポッドポンプのために)、プレートを順番に組み立て、プレートを連結することによって形成される。一実施例において、プレートは、レーザ溶接技術を使用して連結される。しかしながら別例においてプレートは、接着され、機械的に固定され、共に紐で縛られるか、超音波によって溶接されるか、あるいはプレートを連結するその他の方法を使用して連結される。
実施においてカセットは、源から位置に様々なタイプの流体をポンプで汲出すことに使用される。流体のタイプは、流体が栄養を備えたもの、栄養を備えないもの、無機化学薬品、有機性化学薬品、体液または他のいかなるタイプの流体も含む。付加的に実施例において流体は、気体を含む、従って、実施例において気体をポンプでくむことにカセットが使用される。
カセットは、好適な位置から好適な位置へ流体をポンプでくみ配向すべく機能する。しかしながら実施例において、外側ポンプは、カセットに流体をポンプで送り、カセットは、流体をポンプで排出させる。しかしながら実施例において、ポッドポンプは、流体をカセットに引き込み、カセットから流体をポンプで排出させるべく機能する。
上述したように弁の位置によって、流路は、制御される。従って、弁は、異なった位置に設けられ、あるいは別例において付加的な弁がカセットに設けられる。付加的に上述した図示の流体ラインおよび流路は、流体ラインおよび流路の例に過ぎない。別例において、より多くの、またはより少ない、且つ/または異なる流路が設けられる。更なる別例において弁は、カセットに設けられない。
上述したポッドポンプ(ポッドポンプがカセット内に設けられる場合)の数は、実施例によっても変わる。たとえば上述した様々な実施例は、2つのポッドポンプを含むが、別例においてカセットは、1つのポッドポンプを含む。更なる別例において、カセットは、2つ以上のポッドポンプを含み、あるいはポッドポンプは、設けられない。ポッドポンプは、1つのポンプであっても多数のポッドポンプが連続的な流れを形成すべく連動するように設けられてもよい。カセットのいずれか、あるいは両者が様々な実施例において使用可能である。しかしながら上述したように実施例において、カセットにポッドポンプは、設けられないか、2つ以上のカセットの間にポッドポンプが含まれる。上記システムの例は、発明の名称が「カセットシステム統合装置」である米国特許出願(事件要領書第F62号)に開示されるがこれに限定されるものではない。同文献は、その全体がここで開示されたものとする。
ここに開示される様々な流体入口および流体出口は、実施例において流体ポートである。実施において弁の構成および制御によって、流体入口は、流体出口である。従って、流体入口または、流体出口として流体ポートを示すことは、記載の目的のためにのみである。様々な実施例において交換可能な流体ポートが設けられる。流体ポートは、カセットに特定の流路を付与すべく設けられる。これらの流体ポートは、必ずしも全てが全ての時間にわたって使用される必要はない。これに代えて、様々な流体ポートを使用することによって、実施においてカセットを柔軟に使用可能となる。
図46にカセットの別例を示すがこれに限定されるものではない。図46Aに、一体的に形成され、組み立てられたカセットシステムを示す。混合カセット500、中間カセット600、および平衡カセット700は、流体ラインか導管によって接続される。ポッドは、カセットの間に設けられる。図46Bおよび図46Cにおいて、様々な図によって一体的に設けられたカセットシステムの効果を示す。図50A、図50Bおよび図50Cに流体ラインすなわち導管1200,1300,1400をそれぞれ示す。流体は、これらの流体ラインすなわち導管を通じてカセット間を流れる。図50Aおよび図50Bは、これらのより大きい流体ラインすなわち導管1300、およびより小さい流体ラインすなわち導管1200が点検弁の流体ラインを示す。実施例において、点検弁は、アヒル手形弁であるが、別例においていかなる点検弁も使用可能である。図50Cに、流体ラインすなわち導管1400が点検弁を含まない流体ラインすなわち導管であることを示す。記載のために、用語「流体ライン」および「導管」は、1200、1300、および1400、
に関して交換可能に使用される。
図46Bおよび図46C、並びに図51Aに、一実施例において様々なカセットを通過する流体の流れを示す。記載が容易になるように、流体流は、混合カセット500から開始する。図46Bおよび図51Aに、混合カセット500の流体側を示す。流体側面は、複数のポート8000,8002,8004,8006,8008、および流体入口または流体出口でのいずれかある8010乃至8026を含む。様々な実施例において1つ以上の流体入口および流体出口は、逆浸透(「RO」)水8004、重炭酸塩、酸および透析液8006のための1つ以上の流体入口を含む。更に、排液管を含む1つ以上の流体出口は、酸8002および透析液タンクのための出口として少なくとも1つの換気口の出口を含む。一実施例において、管(図示しない)は、出口の後方に設けられ、出口である(汚染を防止するため)。水、重炭酸塩および水混合物、透析液の混合物(酸および水を付加した重炭酸塩)のための付加的な出口が更に含まれる。
次に透析液は、混合カセット500から透析液タンク(ここには図示しない。1502として図51Aに示す)に流れ、導管を通じて透析液カセット700(外側の透析液カセット600、ポッドポンプ602および604によってポンプでくまれる)の内部に流れる(604は、ここでは図示しない。図46Dおよび図46Eに示す)。カセット内の流路は、変化する。従って、様々な入口および出口の位置は、様々なカセット流路によって変化する。
図51Bに一実施例におけるカセットシステムにおいて、コンドセル、伝導度センサおよび温度センサが図46A乃至46Cに示すカセットシステムの外側の別体のカセット1504に含まれることを示す。この外側センサカセット1504は、発明の名称が「センサの器具システム、装置および方法」である事件要領書第F63号、米国特許出願第12/038,474号明細書に開示され、その全体がここで開示されたものとする。
図51Bに本実施例における流体流路を示す。本実施例における透析液のための混合工程において、重炭酸塩の混合物は、混合カセット500から離間し、外側センサカセットに流れ、そして次に混合カセット500に再び戻る。重炭酸塩の混合物が所定の閾値に至ると、酸は、重炭酸塩の混合物に付加される。次に重炭酸塩および酸が混合チャンバ506にて混合されると、透析液は、カセットからセンサカセットに流れ、混合カセット500に戻る。
図46Dに、混合カセット500は、空気圧の駆動側を含むことを示す。参照符号500によって示されている領域において複数の弁および2つのポンプチャンバ8030,8032がカセット500に設けられ、酸や重炭酸塩をポンプで汲出すか、計測する。実施例において、付加的な定量ポンプ、またはより少ない定量ポンプが含まれる。定量ポンプ8030,8032は、要求されるいかなる寸法であってもよい。実施例において、ポンプは、相互に対して異なった寸法であるが、別例においてポンプは、互いに対して同じ寸法である。たとえば一実施例において、酸ポンプは、重炭酸塩ポンプより小さい。これは、高い濃度の酸を使用する場合に有利且つ効果的である。この理由として正確さのためによって小さいポンプを使用することが望ましいこと、および部分的なストロークよりもむしろ完全なストロークを制御に使用できるようによって小さいポンプを使用することが好ましいことが挙げられる。
導管1200、1300は、点検弁を含む。これらの導管1200,1300は、一方向の流れが可能である。実施例においてこれらの導管1200,1300は、全て排液管に案内される。図51Aの流路の概略図によって、これらの点検弁の導管の位置は、明瞭である。図示の実施例において排液管に配向される流体は、混合カセット500を通過す
る。図46Bに流体排液管ポート8006がカセット500の流体側に設けられることを示す。
透析液が混合され、透析液が図51Bに参照符号1504にて示すセンサカセットに流れた後に、透析液が所定のパラメータまたは閾値内にあるか否かが判断され、続いて透析液は、混合カセット500にポンプによって戻され、扁平な導管1400を通過し、外側透析液カセット600に送られ、点検弁導管1200を通じて混合カセット500を通過し、排液管流体出口に移動する。
図46Dおよび46Eに様々なポッド502,504,506,602,604,702,704,706,708を示す。ポッドハウジングのそれぞれは、同様に組み立てられるが、ポッドがポッドポンプ502,506,602,604,702,704であるか、平衡チャンバポッド706,708であるか、混合チャンバのポッド504であるかどうかによって、ポッドハウジングの内部は、異なっている。
図51Aおよび図51Bとともに図46Dおよび図46Eに、流体流路およびカセットシステムの両者に設けられる様々なポッドを示す。ポッド502は、水ポッドポンプであり、504は、混合カセット500の重炭酸塩水ポッドポンプ(重炭酸塩に水を送る)である。ポッド506は、混合チャンバである。透析液が混合チャンバ506において混合されると、混合カセット500からセンサカセット1504に流れ、透析液が受容可能に好適なものか否かが判断され、透析液は、混合カセット透析液タンク出口を通じて透析液タンク1502に流れる。しかしながら透析液が受け入れられないと判断されると、流体は、流体カセット500に戻され、導管1400を通じて外側透析液カセット600へポンプによって送られ、点検弁導管1200を通って、混合カセット500を通過して排液管の出口から排出される。
図46A乃至図46Cに、図51Aおよび図51Bとともに、混合カセット500と内側透析液カセット700との間の外側透析液カセット600を示す。ポッドポンプ602,604は、透析液タンク1502から透析液をポンプでくみ、そして内側透析液カセット700(透析液の原動力)の平衡チャンバ706,708に送る。外側透析液カセット600は、透析液を内側透析液カセットに押圧する(すなわち、内側透析液カセット700のポンプは、透析液を汲出さない)。従って外側透析液カセット600から透析液は、透析液タンク1502からヒータ1506を通して、限外濾過膜1508を通して内側透析液カセット700にポンプによって送られる。
更に図51A,図51Bとともに図46Dおよび図46Eに、内側透析液カセット700が定量ポッド8038(すなわち、限外濾過定量ポッド)を含み、平衡ポッド706,708およびポッドポンプ702,704を含むことを示す。内側透析液カセット700は、更に流体出口および流体入口を含む。これらの入口および出口は、透析装置1510への出口、透析装置1510からの入口、および透析液の入口(限外濾過膜1508は、内側透析液カセットのポートに連結する)を含む。流体入口および流体出口は、更にプライミングおよび消毒におけるDCAおよびDCVの関係のために含まれている。様々な導管(1200,1300,1400)は、カセット500,600,700間を連通させるべく流体が流れるように機能し、混合カセット500を通って排水するために流体を流すように機能する。最も大きい点検弁1300は(図50Bにも示す)、消毒の間に使用される。この管は、好適な実施例において消毒の間に水路を貫流する血液の塊、および他の汚染物を収容するために大型である。
実施例においてカセットシステムの弁およびポンプは、空気圧によって駆動する。別体の管によってカセットへ空気圧源は、付加される。従って、各ポンプ、平衡ポッド、また
は、弁は、空気の駆動マニホールドへ個別に連結される(図示しない)。図52A乃至52Fに実施例において管が少なくとも1つのブロック1600に連結されることを示す。実施例において様々な管を連結することに複数のブロックが使用されている。ブロック1600は、マニホールドに落下され、次に空気圧アクチュエータに好適に連結される。これによって気送管は、マニホールドに容易に連結される。
図46Dに更に一実施例において、カセットシステムは、システムを一体的に保持することを援助するためのバネ8034を含むことを示す。バネ8034は、捕捉具8036によって混合カセット500および内側透析液カセット700に掛けられる。しかしながら別例において他の手段や器具も適切なシステムの好適な配向の保持の補助に使用可能であり、たとえばラッチ手段、弾性手段等が含まれるがこれらに限定されるものではない。
図47A乃至図47Cに実施例におけるポッドを示す。ポッドは、2つの流体ポート902,904(入口および出口)を含み、ポッドは、様々な実施例において別様に組み立てられる。様々な実施例における構造体が2007年4月13日に出願され、発明の名称が「流体ポンプシステム、装置および方法」である事件要領書第E78号、米国特許出願第11/787,212号明細書に開示されるがこれに限定されるものではない。同明細書は、その全体がここで開示されたものとする。
図47A、図47Dおよび図47Eにチャンバの溝906を示す。溝906は、ポッドハウジングの各半分に含まれている。別例において、溝は、含まれておらず、実施例において、溝は、ポッドの一方の半分にのみ含まれている。
図48Aおよび図48Bに実施例においてポッドポンプ502,504,602,604,702,704にて使用される膜を示す。この膜は、図5Aにおいて上述した。別例において図5B乃至図5Dに示す膜が使用される。図49は、実施例におけるポッドポンプの分解図である。
発明の様々な態様において1つ以上の「ポッドポンプ」が様々な目的のために使用される。上述したがポッドポンプの構造体を後述する。この構造体は、ポンプ、平衡チャンバ、混合チャンバ等の様々な使用に応じて変形される。付加的にポッドポンプは、システムのいかなる位置にも配置され、たとえばカセットに、あるいは2つ以上のカセット間等に配置される。
通常、ポッドポンプは、堅固なチャンバ(たとえば球形、楕円状等好適な形状を有する)を含み、ポッドポンプは、各チャンバを第1半分および第2半分に分ける可撓性を備えた隔壁を含む。実施例において、堅固なチャンバは、回転楕円体である。ここで示すように用語「回転楕円体」は、三次元形状を示し、これは、主軸、長軸、短軸のうち1本を中心として楕円形を回転させたものに対応し、通常三次元の卵形状、偏平および扁長の回転楕円体、球およびこれらと略同様の形状を含む。
ポッドポンプの各半分は、少なくとも1つの入口弁を有し、通常(必須ではないが)少なくとも1つの出口弁を有する(実施例において同じポートが入口および出口の両者に使用される)。たとえば弁は、開閉弁や双方向比例弁である。たとえばチャンバの一方の側の弁は、双方向比例弁であり、1つは、高圧源に連結され、他方は、低圧の(または真空)シンクに連結される。他方の半分の側の弁は、流体を配向すべく開閉される。
実施例において隔壁は、様々な断面の厚みを有する。より薄い隔壁、より厚みのある隔壁、あるいは厚みが可変の隔壁が、選択された隔壁材料の堅固さ、屈曲性およびその他の特性を備えるように使用される。薄い隔壁、厚い隔壁、あるいは厚みが可変な隔壁の壁の
厚みは、隔壁の管理に使用され、これによって他の領域と比較して所定の領域における屈曲を促進し、これによって、ポンプ作用およびポンプチャンバの主流体の流れの管理を補助する。本実施例において図示の隔壁は、最も厚い横断面の領域は、中心部に最も近い。しかしながら別例において、様々な断面を有する隔壁が設けられ、最も厚い領域、および最も薄い領域が隔壁のいかなる位置に設けられてもよい。従って、たとえばより薄い断面が中心部の近傍に設けられ、より厚い横断が隔壁の周囲の近傍に設けられてもよい。一実施例における隔壁において、隔壁は、少なくとも一区分に接する(tangential)斜面を有するが、別例において隔壁は、完全に円滑であるか、あるいは略円滑である。
隔壁は、望ましい耐久性を有し、流体と適合する可撓性を備えた材料からなる。隔壁は、駆動チャンバに作用する流体、液体または気体の圧力、真空に応じて屈曲する材料から形成される。隔壁材料は、更に生体適合性、温度の適合性、および隔壁によって汲出されるか、チャンバに案内されて隔壁を容易に移動させる様々な主流体に対する適合性を備えるように選択される。実施例において隔壁は、高延伸シリコーンから形成される。しかしながら別例において隔壁は、シリコーン、ウレタン、ニトリル、EPDMを含むエラストマーやゴム、あるいはその他のゴム、エラストマーや可撓性を備えた材料を含むがこれらに限定されるものではない。
隔壁の形状は、様々な条件に左右される。これらの条件は、チャンバの形状、チャンバの寸法、主流体の特性、ストローク1回あたりにポンプでくまれる主流体の容量、およびハウジングへの隔壁の取付の手段やモードを含むがこれらに限定されるものではない。隔壁の寸法は、様々な条件に左右される。これらの条件は、チャンバの形状、チャンバの寸法、主流体の特性、ストローク1回あたりにポンプでくまれる主流体の容量、およびハウジングへの隔壁の取付の手段やモードを含むがこれらに限定されるものではない。従って、様々な実施例においてこれらの条件や他の条件によって、隔壁の形状および寸法は、変化する。
隔壁は、いかなる厚みも有する。しかしながら実施例において厚みの範囲は、0.002インチ乃至0.125インチ(約0.00508cm乃至約0.3175cm)(1インチ=2.54cm)の間にある。隔壁に使用する材料によって好適な厚みは、変わる。一実施例において高延伸シリコーンは、0.015インチ乃至0.050インチ(約0.0381cm乃至約0.127cm)の厚みにて使用される。しかしながら別例において、厚みは、変わる。
実施例において隔壁の領域の少なくとも一部分に略ドーム形状を含むように、隔壁は、予め形成される。更に、ドームの寸法は、上述した条件のいくつかまたは多くに基づき変わる。しかしながら別例において、隔壁は、予め形成されたドームの形状を含まない。
実施例において、隔壁のドームは、流体の射出成形を使用して形成される。しかしながら別例においてドームは、圧縮モールド成形を使用して形成可能である。これに代わる実施例において、隔壁は、略平坦である。別例において、ドームの寸法、幅または高さは、変わる。
様々な実施例において、隔壁は、様々な手段および方法によって保持される。一実施例において、隔壁は、カセットの部分の間に締め金で止められる。実施例において、カセットの縁は、隔壁を把持する特徴を含む。別例において隔壁は、少なくとも1つのボルトか別の器具を使用してカセットに締め金で止められる。別例において隔壁は、プラスチックの部分とオーバーモールドにて形成され、プラスチックは、カセットに溶接されるか、接着される。別例において、隔壁は、ミッドプレートと底部プレートとの間に挾持される。実施例において隔壁のカセットへの取付を開示したが、カセットに隔壁を取り付けるため
のその他の方法や手段が使用されてもよい。これに代わる実施例において隔壁は、カセットの一部に直接取り付けられる。実施例において、隔壁は、他の領域と比較して端部が厚みを有し、隔壁は、プレートによって挾持される。実施例において、このより厚みを有する領域は、ガスケットであり、実施例においてOリング、リング、あるいはその他の形状を備えたガスケットである。
実施例におけるガスケットにおいて、ガスケットは、隔壁と連続している。しかしながら別例においてガスケットは、隔壁とは別体の部分である。実施例において、ガスケットは、隔壁と同じ材料から形成される。しかしながら別例においてガスケットは、隔壁と別の材料から形成される。実施例においてガスケットは、隔壁の周囲にリングをオーバーモールド(over−molding)して形成する。ガスケットは、実施例におけるポッドポンプハウジングを補足するためにいかなる形状のリングまたは好適なシールであってもよい。実施例において、ガスケットは、圧縮タイプのガスケットである。
堅固なチャンバによって、ポッドポンプは、通常一定の容量を備える。しかしながらポッドポンプ内において、チャンバを分ける撓性を備えた隔壁の位置によって第1区画および第2区画は、異なる容量を有する。1つの区画へ流体を強制的に送ることによってチャンバの他の区画内の流体は、排出される。しかしながら流体は、通常可撓性を備えた隔壁によってポッドポンプ内において相互に直接接触しない。
従って一実施例においてポンプによる汲出しのために使用されるポッドポンプは、第1区画の制御流体および第2区画のポンプでくまれるべき流体を受承するように構成される。制御流体は、流体であり、すなわち液体または、気体である。一実施例において制御流体は、空気である。ポッドポンプからの制御流体を排出させることによって(たとえば真空や、少なくともポッドポンプ内の圧力より低い圧力によって)ポッドポンプは、ポッドポンプの他の区画に流体(たとえば血液、透析液等)を引き込む。同様に、ポッドポンプへの制御流体を強制的に送ることによって(たとえば高圧源から)ポッドポンプは、流体を排出する。更に第2区画の弁を制御することによって、流体は、第1弁を通して搬送され、制御流体の作用によって第2弁を通じて排出される。
別例としてポッドポンプは、上述したようにたとえば透析液等の流体の平衡を保持することに使用される。このような場合に、制御流体に代えて、流体は、ポッドポンプの各区画に配向される。上述したように、ポッドポンプの容量は、通常堅固なチャンバによって一定である。従って流体の第1容量が平衡ポッドの第1区画に汲出される場合に、等しい容量の流体が平衡ポッドの第2区画から排出される(ポッドが駆動する状況下において流体は、通常非圧縮性を備えると仮定する)。従って、上記平衡ポッドを使用して、等しい容量の流体が移動可能である。たとえば図5において平衡ポッドによって未使用の透析液は、第1区画に進入し、使用済みの透析液が第2区画に進入することができる。未使用の透析液および使用済みの透析液の容量の流れは、相互に平衡とされる。
実施例においてチャンバを分ける可撓性を備えた隔壁を含んでいないポッドポンプが使用される。上記例において、ポッドポンプは、混合チャンバとして使用することができる。たとえば図7Aの混合チャンバ189は、上記ポッドポンプである。
図9にポッドポンプの例を示すがこれに限定されるものではない。この図は、実施例におけるカセットにおいて使用される空気圧によって制御される弁の断面図である。ここで使用する用語「空気圧」は、空気やその他の気体を使用して可撓性を備えた隔壁や他の部材を移動させることを示す(空気の使用は、例示に過ぎず、別例において窒素(N2)、二酸化炭素、水、オイル等のその他の制御流体が使用される)。3つの堅固な部分が「頂部」プレート91、ミッドプレート92、および「底部」プレートに使用される(用語「
頂部」、「底部」は、図9に示す配向を示すのみである。弁は、実施においてあらゆる方向に配向されてもよい)。頂部プレート91および底部プレート93は、両側が平坦であるが、ミッドプレート92には、様々な流路、チャンバおよびポートを形成するためにチャネル、刻み目および穴が設けられている。隔壁90は、ミッドプレート92に沿って弁チャンバ97を形成する。空気ポート96を通じて空気圧力が作用され、正の気体圧力によって、弁シート99に対する隔壁90に強制的に弁を閉めさせるか、あるいは、負の気体圧力によって隔壁を弁シートから張引し、弁を開けさせる。制御気体チャンバ98は、隔壁90、頂部プレート91、およびミッドプレート92によって形成される。ミッドプレート92は、隔壁90が載置される刻み目を備え、これによって制御気体チャンバ98を隔壁の一方の側に形成し、弁チャンバ97を反対側に形成する。
空気ポート96は、頂部プレート91と共にミッドプレート92の「頂部」表面によって形成されるチャネルによって形成される。カセットの複数の弁チャンバ間を連通させることによって、弁は、連動し、連動する弁全てが空気圧力の1つの源によって同時に開閉される。ミッドプレート92の「底部」表面に形成されるチャネルは、底部プレートと共に弁の入口94および弁の出口95を形成する。ミッドプレート92を通して形成される穴が入口94および弁チャンバ97(弁シート99を通して)の間と弁チャンバおよび出口95の間を連通させる。
隔壁90には、厚みを備えた縁88が設けられ、ミッドプレート92の溝89に堅固に嵌入する。従って、隔壁90は、頂部プレート91がミッドプレート92に超音波によって溶接されるに先だって溝88に位置され、溝88によって保持される。従って、隔壁は、2つのプレートの超音波による溶接を妨害するものではない。隔壁は、所定の位置に正確に超音波によって接合される2つのプレートに左右されない。従って、この弁は、非常に堅固になされる超音波溶接によることなく容易に製造される。図9に示すように、頂部プレート91は、制御気体チャンバ98に延びる付加的な材料を含み、これによって隔壁が溝89から大きく離間する方向に移動することを防止し、隔壁の厚みを備えた縁88が溝89から退出することを防止する。
圧力センサは、ポッドの圧力を監視することに使用される。たとえばチャンバの空気側へ空気圧を代えては作用させることによって、隔壁は、総チャンバ容量を横断して前後に循環する。各周期において、空気圧によってポッドに真空を作用させると流体は、入口の流体ポートの上流の弁を通じて汲出される。空気圧がポッドに正の圧力を作用させると、流体は、出口ポートおよび下流の弁を通じて排出される。
図10は、実施例における流体制御カセットに組み込まれる一実施例におけるポッドポンプの断面図である。実施例において、カセットは、図9および10に示す構成の技術によって形成される複数のポッドポンプおよび複数の弁を組み込む。上記実施例において、図10のポッドポンプは、図9の弁を形成することに使用される同じ3つの堅固な部分のうち異なった部分から形成される。これらの堅固な部分は、「頂部」プレート91、ミッドプレート92、および「底部」プレートである(上述したように、用語「頂部」、「底部」は、図9に示す配向を示すのみである)。ポッドポンプを形成するために、頂部プレート91および底部プレート93は、一体的に半球状ポッドポンプを形成するように通常半球状部分を含む。
隔壁109は、ポッドポンプの中央キャビティをポンプでくまれる流体を受承するチャンバ(ポンプチャンバ)と、空気圧によってポンプを駆動させる制御気体を受承する別のチャンバ(駆動チャンバ)に分ける。入口94によって流体は、ポンプチャンバに進入可能であり、出口によって流体は、ポンプチャンバを排出可能である。入口94および出口95は、ミッドプレート92と底部プレート93の間に形成される。空気ポート106を
通じて空気圧力が、正の気体圧力によって、ポッドポンプのキャビティの一方の壁に対する隔壁109に付与され、図10に示すようにポンプチャンバ容量を最小にし、あるいは負の気体圧力によって、ポッドポンプのキャビティの他方の壁の方への隔壁を張引し、ポンプチャンバ容量を最大にする。
実施例におけるポッドポンプにおいて、ポッドポンプのキャビティに晒される1つ以上のプレートの溝を含む様々な構造体が使用される。とりわけ溝を作ることによって隔壁が流体または空気(または両者)のための入口または出口(または両者)流路を閉塞することを防止できる。
隔壁109には、ミッドプレート92の溝89に堅固に保持される厚みを備えた縁88が形成される。従って、図9の弁チャンバのように、隔壁109は、頂部プレート91がミッドプレート92に超音波によって溶接されるに先だって溝89に位置され、溝89によって保持される。従って、隔壁は、2つのプレートの超音波による溶接を妨害するものではない。隔壁は、所定の位置に正確に超音波によって接合される2つのプレートに左右されない。従って、この弁は、非常に堅固になされる超音波溶接によることなく容易に製造される。
図11Aは、実施例において図10に示すようなポッドポンプのための圧力駆動システム110を示す概略図である。この例において、空気は、制御流体として使用される(たとえばポンプが空気圧によって駆動される)。上述したように別例において他の流体(たとえば水)が制御流体として使用される。
図11Aにおいて、圧力駆動システム110は、ポッドポンプ101の駆動チャンバ112の気体に正負の圧力を交互に作用させる。空気圧駆動システム110は、駆動チャンバの圧力変換器114、可変の正の供給弁117、可変の負の供給弁118、正の圧力気体タンク121、負の圧力気体タンク122、正の圧力タンクの圧力変換器115、負の圧力タンクの圧力変換器116の他、電子コントローラ119を含む。
正の圧力タンク121は、駆動チャンバ112に制御気体の正の圧力を作用させ、隔壁109をポンプチャンバ111が最低の容量となる位置(すなわち隔壁が堅固なポンプチャンバの壁に対する位置)に押圧して移動させる。負の圧力タンク122は、駆動チャンバ112に制御気体の負の圧力を作用させ、隔壁109を反対方向のポンプチャンバ111が最高容量となる位置(すなわち、隔壁が堅固な駆動チャンバの壁に対する位置)に押圧して移動させる。
この例において弁機構がこれらの各タンク121,122および駆動チャンバ112の間における連通を制御することに使用される。図11Aにおいて別体の弁が各タンクのために使用される。正の供給弁117が正の圧力タンク121および駆動チャンバ112間の連通を制御し、負の供給弁118が負の圧力タンク122と駆動チャンバ112間の連通を制御する。これら二つの弁は、電子コントローラ119によって制御される(これに代えて、1つの三方向弁が2つの別体の弁117,118に代えて使用される)。実施例において、正の供給弁117および負の供給弁118は、二通りのオンオフ弁に対して可変の制限弁である。可変の弁を使用する利点は、後述する。
図11Aにコントローラ119が更に3つの圧力変換器、すなわち駆動チャンバの圧力変換器114、正の圧力タンクの圧力変換器115、および負の圧力タンクの圧力変換器116から圧力情報を受承することを示す。名称が示すように、これらの変換器は、それぞれ駆動チャンバ112、正の圧力タンク121、および負の圧力タンク122の圧力を測定する。コントローラ119は、2つのタンク121,122の圧力を監視し、これら
は、確実に好適に(正または負に)加圧される。圧縮機タイプポンプやポンプがこれらのタンク121,122の好適な圧力を得るべく使用される。
一実施例において正の圧力タンク121によって作用される圧力は、通常の条件下において、隔壁109を堅固なポンプチャンバの壁に対して押圧するために十分に強い。同様に、負の圧力タンク122によって作用される負の圧力(すなわち、真空)は、通常の条件下において、堅固な駆動チャンバの壁に対して隔壁を押圧するために十分に強い。しかしながら実施例においてタンク121,122によって得られるこれらの正負の圧力は、十分に安全な限度内にあり、これは正の供給弁117や負の供給弁118のいずれかが開く圧力と同じであり、隔壁109に対して作用される正負の圧力は、患者に害をなすほど強くない。
一実施例において、コントローラ119は、駆動チャンバ圧力変換器114からの圧力情報を監視し、この情報に基づき、弁機構(弁117,118)を制御し、隔壁109を最小のポンプチャンバ容量の位置に移動させ、この位置に至った後に、隔壁109を張引し、最大のポンプチャンバ容量の位置に移動させる。
圧力駆動システム(駆動チャンバの圧力変換器114、正の圧力タンクの圧力変換器115、負の圧力タンクの圧力変換器116、可変の正の供給弁117、可変の負の供給弁118、コントローラ119、正の圧力気体タンク121、および負の圧力気体タンク122を含む)は、図6の参照符号61にて示す絶縁された容量の完全な外側または略外側に設けられる。実施例において血液や透析液に接触する要素(すなわち、ポッドポンプ101、入口弁105および出口弁107)は、これらがより容易に消毒されるように絶縁された容量に設けられる。
図11Bにポッドポンプのための圧力駆動システム110の別例を示す。この例において、ポッドポンプ101は、ポンプチャンバ111、駆動チャンバ112、および2つの側に分ける隔壁109を含む。流体ポート102および104によって流体弁(図示しない)を使用してポンプチャンバ111に出入りする流体にアクセス可能となる。しかしながらポッドポンプ101内において流体ポート102および104は、通常揚げられた形状を有する「火山」ポート126を含み、隔壁109がポートに接触する場合に、隔壁は、ポートを堅固にシールする。更に図11Bに圧力タンク121,122を連結する三方向弁を示す。三方向弁123は、この例の1つのポートによって駆動チャンバ112と連通する。
図11A,図11Bに2つのタンクの気圧による駆動システムに代えて隔壁を前後に動かすことにその他のタイプの駆動システムが使用されることが示されているものといえる。
上述したように、図11Aの空気の駆動システム110の正の供給弁117、および負の供給弁118は、二通りのオンオフ弁に対して好適に可変的な制限弁である。可変的な弁の使用によって、駆動チャンバ112および隔壁109に作用される圧力は、隔壁に完全なタンク圧力を作用させることに代えてタンク121,122の僅かな圧力によって容易に制御することができる。従ってポッドポンプを駆動させるための圧力がポッドポンプによって異なっても、異なるポッドポンプに対して、同じタンクやタンクの組が使用可能である。タンク圧力は、様々なポッドポンプの隔壁に作用される好適な圧力と比較してより大きい必要があるが、1つのポッドポンプは、半分のタンク圧力によって駆動され、別のポッドポンプは、同じタンクによって駆動されるが、四分の一のタンク圧力によって駆動する。従って、透析システムの別のポッドが異なった圧力にて駆動するように設計されても、これらのポッドポンプは、全て同じタンクか同じ組のタンクを共有するが、様々な
弁を使用して異なった圧力にて駆動される。ポッドポンプにて使用される圧力は、透析の工程において生じるか、あるいは変化する状況に応じて変化する。たとえば管が歪むことによってシステムの管が圧縮された場合に、ポッドポンプにおいて使用される正または負の圧力、あるいはその両者が制限の上昇を補うために高められる。
図12は、ポッドポンプに作用される圧力が可変的な弁を使用していかに制御されるかを示すグラフである。縦軸は、正のタンクおよび負のタンク(図11Aの符号121および122)のそれぞれの圧力をPR+およびPR−を使用して示す。PC+およびPC−は、それぞれポッドポンプの隔壁に作用する正負の制御圧力を示す。図12に示すように時間T0からおおよそ時間T1まで正の圧力が駆動チャンバに作用される(流体をポンプチャンバから強制的に排出させるため)。正の可変的な弁(図11Aの符号117)によって流れの制限を繰り返し増減することによって、駆動チャンバに作用される圧力は、略好適な正の制御圧力PC+に保持される。圧力は、好適な制御圧力の周辺を正弦パターンにて変化する。駆動チャンバと連通する駆動チャンバ圧力変換器(図11Aの符号114)は、駆動チャンバの圧力を測定し、駆動チャンバの圧力が好適な制御圧力PC+の周囲にて変化するように、可変的な弁を制御するコントローラ(図11Aの符号119)に圧力測定情報を送信する。障害状況がなければ、隔壁は、ポンプチャンバの堅固な壁に対して押圧されこれによってストロークを終える。コントローラは、可変的な弁によって形成される制限が減少しても駆動チャンバにて測定される圧力が落ちない場合にストロークの終わりに至ったものと判断する。図12において、排出のストロークの終わりは、時間T1の周囲に生じる。ストロークの終わりが検知されると、駆動チャンバの圧力が好適な制御圧力PC+を越えて増加しないようにコントローラによって可変的な弁は、完全に閉まる。
正の可変的な弁が閉鎖した後に、負の可変的な弁(図11Aの符号118)は、部分的に開き、負の圧力タンクが駆動チャンバから気体を引き、流体をポンプチャンバに引き込む。図12に示すようにT1のすぐ後の時間から時間T2まで負の圧力が駆動チャンバに作用される。排出と同じように(正の圧力)、上述したストロークは、可変的な弁によって生じた流れの制限を繰り返し増減することによって、駆動チャンバに作用される圧力は、略好適な負の制御圧力PC−(負の圧力タンクの圧力より弱い)に保持されることができる。圧力は、好適な制御圧力の周囲を正弦パターンにて変化する。駆動チャンバの圧力変換器は、コントローラに圧力測定情報を送信し、コントローラは、可変的な弁を制御し、駆動チャンバの圧力を好適な制御圧力PC−の周囲にて変化させる。障害状況がなければ、隔壁は、駆動チャンバの堅固な壁に対して張引され、これによって張引(負の圧力)のストロークを終える。上述したように、コントローラは、可変的な弁によって形成される制限が減少しても駆動チャンバで測定される部分的な真空が落ちない場合にストロークの終わりに至ったことを判断する。図12において、張引のストロークの終わりは、時間T2の周囲にて生じる。ストロークの終わりが検知された場合に、駆動チャンバの真空が好適な負の制御圧力PC−を越えて上昇しないようにコントローラは、可変的な弁を完全に閉じる。張引のストロークが完了すると、正の可変的な弁は、部分的に開き、正の圧力によって新しい排出のストロークを開始する。
従って、この例の各ポッドポンプは、2つの可変開口弁を使用し、正の圧力源からの流れを負の圧力へ絞る。駆動チャンバの圧力が監視され、コントローラは、この圧力測定を使用して、駆動チャンバの好適な圧力を得るべく弁の両者に対する好適な命令を判断する。この構成の利点は、圧力の充填および搬送が正確に制御され、圧力の限度を考慮しつつ所望の流速度を得られること、および圧力が小さい正弦パターンの特徴の命令(sinusoidal signature command)によって変化することにある。この特徴は、ポンプがストロークの終わりにいつ至るか判断するために監視される。
二通りの弁の代りに可変的な弁を上述したように使用するもう一つの利点は、可変的な弁を部分的にのみ開閉することによって弁の消耗が少なくて済むことにある。繰り返して「激しく」二通りの弁を開閉することによって弁の寿命は、短縮される。
ストロークの終わりが検出され、相関関数の統合された値が非常に小さい場合に、ストロークが妨害され完了しなかったことを示す。充填ストロークか搬送ストロークかを確認することによって、下流の妨害と上流の妨害を区別することができる(これは隔壁がチャンバの壁の近傍に位置されるストロークの終わり付近に生じた妨害においては、困難である)。図13A,13Bは、妨害の検出を示す(妨害が検出されたときにチャンバの圧力が0に落ちる)。
正常駆動下において、相関関数の統合された値は、ストロークが進むと増加する。この値が小さいままか上昇しない場合に(非常に低いインピーダンス流れか妨害の場合)、ストロークは、非常に短いか、弁の故障または圧力信号の不良によって実際の圧力が要求される正弦パターンの圧力を辿っていない。相関関係の欠如が検出され、これらの場合にエラー処理において使用される。
通常の状況下において流れのコントローラが駆動している場合に、制御ループは、流体速度の変化に応じて圧力を調整する。回路のインピーダンスが劇的に増加し、流れが目的の率に至る機会を有するに先立って圧力限界が飽和した場合に、流れコントローラは、要求される流体速度に至るように圧力を高く調整することができない。これらの状態は、凝血が回路に形成された場合等ラインが部分的に閉塞したときに生じる。流れが目的の流速度に至らなかった場合に圧力の飽和が検出された場合にこれらは、エラー処理において使用される。
流体弁の漏出や圧力信号のノイズ等、弁や空気圧に問題がある場合に、リップルは、ストロークにて不明瞭に続き、ストロークの終わりのアルゴリズムは、ストロークの終わりを検出するための圧力リップルの変化を十分に確認できない。従って安全点検が付加され、ストロークを完了する時期が必要以上であるかどうか検出する。この情報は、エラー処理に使用することができる。
図3Aに示すポンプ13等の二重ポンプにおいて2つのポンプチャンバは、反対方向に循環し、ポンプ周期に影響を付与する。0°(チャンバの両者が同じ方向に機能する)から180°(チャンバは、反対方向にて機能する)への位相関係が選択可能である。同じ方向にチャンバの両者を同時に動かすことは、不可能であるため、位相の動きは、実施例において変更可能である。仮に同時に動かす場合に入口弁および出口弁の両者が開き、ストロークの終わりは、適切に検出されない。
180°の位相関係を選択することによって、ポッドに出入りする連続的な流れが生じる。これは連続的な流れが要求される場合の名目上のポンプモードである。0°の位相関係に設定することは、1本の針の流れにおいて有用である。ポッドは、針で最初に充填され、次に同じ針に搬送される。0°乃至180°の間の位相における駆動は、透析装置を横断する張引関係(血液透析濾過法か連続したバックフラッシュ)を得ることに使用することができる。図8A乃至8Cは、上記位相関係をグラフによって示したものである。
ポッドポンプは、様々なサブシステムを通過する流体の流れを制御する。たとえば正弦パターンの圧力波形がポッドポンプのために命じられた圧力信号を構成するDC圧力命令に付加される。隔壁が移動している場合に、ポッドの圧力は、正弦パターンの命令を追跡する。隔壁がチャンバの壁と接触し、移動しなくなった場合に、ポッドの圧力は、一定に保持され、正弦パターンの入力命令を追跡しない。ポッドの続く圧力信号命令の相違がス
トロークの終わりを検出することに使用される。ストロークの終わりの情報から、各ストロークの時間が計算される。ポッドの容量およびストロークを完了する時期を知ることによって、各ポッドのための流速度は、判断される。流速度は、次のストロークのための必須DC圧力を計算するためにPIループにフィードバックされる。
正弦波入力の大きさは、命令を好適に追跡するために実際の圧力に対して十分大きく、DCポンプ圧力から引き算され、ポッドに適用された場合に隔壁が流体粘性、ヘッド高さおよび回路の抵抗の予期された駆動条件の下で移動するために圧力が十分であるように十分に小さくなるように選択される。正弦波入力の周波は、確実にストロークの終わりを検出することができるように経験的に選択される。ストローク1回あたりの正弦波の周期が多くなれば、ストロークの終わりの検出のアルゴリズムは、より正確なものとなる。
ポッド圧力の続く命令の変化を検出するため、ポッドの圧力信号は、クロス相関フィルタを通して送られる。クロス相関フィルタのためのサンプリングウィンドウの寸法は、入力正弦波の周期と同等である。ウィンドウの全てのサンプルのために命令された圧力信号は、実際の圧力の前のサンプルによって掛け合わされ、前の相関関係の値に加算される。ウィンドウは、1フレーム分移動し、処理が繰り返される。得られた結果は、区別され、入力正弦波の周波と同様のコーナ周波数および1の制動比にて二次フィルタを通過する。このフィルタの効果は、入力正弦波の周波数にて相関関係にある信号を分離するバンドパスフィルタとして機能することにある。このフィルタの出力の絶対値は、正弦波周波数と同じ周波数および3.0の制動比にて二次低域フィルタを通過する。この二次フィルタは、区別された信号と得られた信号を統合し、得られた信号のノイズを減少させるために使用される。2つの信号に相関関係がある場合に、得られるフィルタを通過する値は、大きくなる。2つの信号が相関関係がない場合(たとえばストロークの終わりに)に、得られるフィルタを通過する値は、小さくなる。フィルタを通過したクロス相関関係信号が所定の閾値より小さくなるか、ストロークにわたる最大値の1パーセントに低下する場合にストロークの終わりが検出可能である。所定のポンプシナリオのために性能を調整するために、この閾値やパーセントの低下は、圧力や流速度の関数として変えることができる。
ストロークの終わりを検出するためにストロークの終わりのアルゴリズムは、正弦リップルの約1つの周期をとるため、この周期を最小にする(正弦波の振幅を最大にする)ことによってストロークの終わりにおける遅延は、減少する。低圧流、高圧流は、コントローラによってあまり追跡されるものではない。低圧のストロークは、低い流体速度を有する傾向にあるため、ストロークの終わりの遅延は、総ストロークの時間の少しのパーセントである。従って、周波は、低圧のストロークに対して低い。正弦波の周波は、搬送圧力の線形関数として調節することができる。これによってストロークが最も短いとき遅延を最小とすることが保証される。好適な圧力のための正弦波の周波が変わる場合に、クロス相関関数のためのフィルタは、更に調節される必要がある。フィルタは、この変化する周波に基づきフィルタ係数を連続して計算すべく設定される。
ポッドチャンバの圧力は、更に2つの可変的なソレノイド弁を使用して制御される。ソレノイド弁のうち1つは、プレナムをより高い圧力源に連結させ、第2ソレノイド弁は、プレナムを低圧(あるいは真空)シンクに連結する。ソレノイド弁は、大きな中立帯の領域を有する傾向にあるため、補償するために非線形オフセットタームがコントローラに付加される。
図14は、制御アルゴリズムの例を示す図である。この例のコントローラは、標準的な個別のPIレギュレータである。PIレギュレータの出力は、2本の通路に分割され、1本は、源弁のための通路であり、他方は、流し弁への通路である。オフセットタームが弁の中立帯を補償するためにこれらの各通路に付加される。得られる命令は、ゼロより大き
い弁に制限される(シンク弁の場合には、反転された後に)。
オフセットタームは、源弁の場合には負であり、シンク弁の場合には、正である。従って弁の両者は、エラーがゼロであっても駆動する。これらのオフセットは、コントローラへ続く軌跡、およびコントローラの妨害拒絶性能を向上させるが、命令オフセットが実際の弁の中立帯より僅かに大きい場合に定常状態にある弁の両者の漏出も生じさせる。この場合に弁は、定常状態にて等しい漏出質量流、および反対の漏出質量流を有する。
制御システムの待機中においてこの漏出質量流を取り除くために、エラータームの絶対値が所定の時間小さい状態を保持する場合に「節電」のブロックが弁を締めるために付加される。これは、サーボモータの機械ブレーキの使用に類似している。
図15に示すように、この例のコントローラは、標準的な分離型PIレギュレータを使用している。PIレギュレータの回路が示されている。積分器は、コマンドが飽和するとき、ワインドアップを防止するために、制限されることができる。積分器は、常にアンワインドが可能である。ポッドの空気の量は、充填のストロークおよび搬送のストロークについては異なるため、ポッドの応答は、充填のストロークおよび搬送のストロークでは、非常に異なるものとなる。異なるポッドの応答に対して良好に調整すべく、搬送のストロークおよび充填のストロークのために比例利得が別様に調節される。
PIレギュレータ飽和限度は、結果として加算されオフセット値を考慮に入れて決定されるべきである。たとえば弁が12Vで飽和し、5Vの固定オフセットがPIループの後に加算されるならば、PIループの飽和限度は、7Vに設定されるべきである。この正、負の異なる飽和限度は、源流側や下流側の弁にある異なる不感帯に起因する。
充填のストロークの間は、上流側の流体弁は閉鎖され、下流側の流体弁は開放され、流体がチャンバ内へ流入することを可能にする。搬送ストロークの間は、上流側の流体弁は開放され、下流側の流体弁は閉鎖され、流体がチャンバ流出することを可能にしている。一方のストロークが終了し、他方のストロークの開始するまでの間は、両流体弁は閉鎖されている。
ある特定の態様において述べたように、ポッドポンプを、たとえば空気、窒素、水、オイル、等の制御流体によっての駆動することも可能である。制御流体は、比較的に非圧縮性の高いものが選択され、場合によっては、比較的に安価および/または無毒であるものが選択される。制御流体は、一連の管か、他の好適な管路を使用してシステムのポンプに供給される。コントローラは、管または管路内において制御流体の流れを制御する。実施例において、制御流体は、管または管路内で異なった圧力で保持される。たとえば制御流体の一部は、正圧(すなわち、大気圧より大)で、制御流体の一部は、負圧(大気圧より小)で、更にはゼロ圧力(すなわち、真空)で保持される。図11Aに示すように、ポッドポンプは、コントローラによって操作される制御流体にて制御される。前述したように、コントローラ(119)は、ポンプ周期の間の異なった時点で、弁(たとえば弁117および118)を開閉し、ポッドポンプの空圧側の側面を正圧(121)または真空(122)に対して露出させる。
更に特定の実施例において、コントローラは、(通常は電子式)様々な流体回路に対して遮断され、コントローラと流体回路とは電気的に接触することはないが、制御流体(たとえば空気)がコントローラと様々なポンプとの間で流れるように構成される。この構成において、メンテナンスの容易である(コントローラおよび様々な回路は、別個に修理することができる)等の利点がある。一実施例において、流体回路は、消毒の温度にまで加熱され、あるいは比較高温か、消毒に効果的は、厳しい状況(たとえば放射)に晒されて
も、コントローラが厳しい状況に晒されることなく、絶縁壁(たとえば「防火壁」)等によって隔離されるように保持される。
従って、ある実施例に、システムは、「冷たい」セクション(加熱されない)、と、消毒の為に部分的に加熱される「熱い」セクションとを有する。「冷たい」セクションは、「熱い」セクションに対して絶縁材によって絶縁されている。一実施例において、発泡材料を型によって形成して絶縁材を得ることが可能であるが、噴射によって絶縁材を形成することも可能であり、更には、シート材料を切断することによって絶縁材を形成してもよい。
実施例において、「熱い」セクションは、比較的高温に加熱される。たとえば「熱い」セクションは、同「熱い」セクション内の部品を殺菌することができる十分な温度にまで加熱される。多くの電子部品では、50℃以上に加熱されると他の機能を低下させるため、消毒される他の部品から電子部品を分離しておくことは有益である。従って、時として、消毒される必要がある場合もある部品は、「熱い」セクションに、そのような温度に熱することができない部品は、「冷たい」セクションに保持される。一実施例において、「冷たい」セクションには、空気が冷たい箱を出入りして流れる循環システム、たとえばファンやグリッドを設ける。
「熱い」セクションは、全体的に、あるいは部分的に絶縁材で覆われる。実施例において、絶縁材は、ドア、ポート、ガスケット、等の「熱い」セクションへのアクセスポイントにまで覆うように拡張される。たとえば「熱い」セクションが密封されるとき、絶縁材は、完全に「熱い」セクションを覆う。
「冷たい」セクションの内である部品の例としては、電源、電子工学部品、送電線、空気制御部品、等が挙げられる。実施例において、「熱い」セクションに出入する流体の少なくとも数種は、「冷たい」セクション内を通過する。但し、他の実施例では、流体は「冷たい」セクションを通らないで「熱い」セクションのみを通過する。
「熱い」セクションの内にある部品の例を挙げると、カセット、流体ライン、等がある。実施例において、幾つかの電装品は、「熱い」セクションに設けられる。これらにはヒータが含まれる。ヒータは、流体に加えて、熱い箱自体を加熱する(図3Aのヒータ72参照)。他の実施例において、ヒータは、「熱い」セクション全体を所望の温度にまで加熱する。
一実施例において、「熱い」セクションは、流体ラインのいくつかまたはすべてを含む。更に、「熱い」セクションは、温度センサ、導電性センサ、血液漏出センサ、ヒータ、他のセンサ、スイッチ、非常灯、等を含む。
ある実施例においては、空気や他の制御流体のためのマニホールドは、「冷たい」セクションからの「熱い」セクションに移される。
部品を「熱い」セクションと、「冷たい」セクションとに分けることには、複数の利点がある。電装品の使用寿命、信頼性、または使用効率が挙げられる。たとえば部品を「熱い」セクションと「冷たい」セクションに分けることによって、ホットボックス全体が加熱される。これによって、より優れたエネルギー有効システムを実現するために熱が有効的に使用される。これは、熱のよりエネルギー効率が良いシステムをもたらすより有効な使用を可能にする。これは、また低価格に実現すための標準的な、在庫中の電子部品の使用を可能にする。
ある実施例において、ポンプ、弁、等を制御するために使用される制御流体は、空気で
あり、この空気は、1つ以上の空気圧縮機の稼動によってシステムに導入される。実施例において、空気圧縮機は、システム内の血流路そして透析液流路システムとは別個に保たれ、空気圧縮機からの空気は、複数の管路等を介して複数のポンプに導入される。たとえば一実施例において空気インタフェース使用され、同空気インタフェースによって各種ポンプやチェンバに連通する管路等に空気圧縮機から空気が導入される。
図16は、一実施例における二重ハウジングの構造を略体的に示す。この構成は、多数の空気圧駆動されるポンプや弁を含むカセットに適用することが有効である。カセット中のポンプや弁の数が十分に増加すれば、これらのポンプおよび弁を含むカセットは、大きくなり、これらポンプや弁に関する圧力も大きくなり、全てのポンプや弁を適切に密封して位置決めすることは、困難になる。この難しさは、2つ以上の異なったハウジングの使用によって軽減することができる。弁およびポンプは、(ポッドポンプ42)主ハウジング41に設けられ、同主ハウジングより気ポート44から連結管45が延びる。主ハウジング41は、更に入口管および出口管43を備え、これら入口管および出口管43によって流体が主ハウジングに対して流入および流出する。主ハウジング41および小型の2次的な管保持用ハウジング46内においてポンプと弁とは連結管45によって連通されている。管保持用ハウジング46には、各管に対応する空気インタフェースが設けられている。各空気インタフェースを容器の基礎ユニットに対して適切に位置決めして、封止するのは、大きな主ハウジング42に直接行うよりは、小さな管保持用ハウジング46に行うほうが容易である。
ある実施例群においては、制御流体(たとえば空気)は、1つ以上の供給タンクか他の圧力源を備えるシステムに供給される。たとえば2つのタンクが使用されれば、1つの供給タンクは、正圧タンクであり、設定値が750mmHg(ゲージ圧)(約100kPa、1mmHgは、約133.3のパスカル)である。そして、他の供給タンクは、負圧、すなわち真空タンクであり、設定値は、450mmHg(ゲージ圧)(約60kPa)である。この圧力相違は、供給タンクと必須のポッド圧力の間でポッドポンプに可変的な弁の正確な制御を可能にするために使用される。供給圧力限界は、可変的な弁の制御に十分な差圧と患者の血流ポンプのために設定することができる最高圧力に基づき設定することができる。従って、圧力を供給し、全体のシステムのための流体を制御するのに、2つのタンクが使用される。
一実施例において、2つの独立した圧縮機が供給タンクに流体を供給する。たとえばタンクの圧力は、簡単なバンバンコントローラ(開放状態と、閉鎖状態とを有するコントローラ)か、または洗練された制御機構を使用するか、あらゆる好適な技術を使用して制御される。正圧タンクのためのバンバンコントローラの一例を述べると、実際の圧力が所望の圧力からヒステリシスを減じたものであるなら、正圧タンクを管理する圧縮機は、始動する。実際の圧力が所望の圧力にヒステリシスを加えたものであるならば、正圧タンクを整備する圧縮機は、停止する。真空タンクおよび真空の圧縮機に関しても、ヒステリシスの加減が逆になるが、同一の理屈が適用される。圧力タンクが調整されなければ、圧縮機は停止され、弁は閉鎖される。
ヒステリシス帯の寸法を減少させることによって圧力タンクのより確実な制御が可能になる。しかし、このためには、圧縮機の運動サイクルを高める必要がある。仮に、これらのタンクの非常に確実な制御が要求されたら、バンバンコントローラは、PIDのコントローラに交換され、圧縮機は、PWM信号を使用してもよい。他の制御方法は、また可能である。
但し、他の実施例においては、他の圧力源が使用されている。すなわち、複数の肯正圧源や複数の負圧源が使用さていれる。たとえば漏出を最小にすべく、異なった正圧(たと
えば1000mmHgおよび700mmHg)(約133.3kPaおよび約93.3kPa)を供給する複数の正圧力源が使用される。負圧は、−400mmHg(約−53.3kPa)である。実施例において、負圧減は、真空ポンプであり、正圧源は空気圧縮機である。
本発明のある特定の態様では、様々なセンサを含む。たとえば発明の様々な実施例においては、センサマニホールドよりなるセンサ器具システムを用いた流体処理のためのシステムおよび方法が開示されている。そのような実施例では、様々な医療状態における診断、処理、あるいは改良のシステムや方法に関する。これらの発明では、実施例として様々な種類の透析液のような生化学的流体や治療剤の吐出、計測、制御およびまたは分析や体外処理や治療の諸形態に関するシステムは、方法についての具体例を含む。更なる例として、水処理システム、水蒸留システム、透析液等の流体を使用した診断、処理、改良を含む流体利用システムを開示する。
ここに記述されている発明の実施例には、透析システムおよび方法が含まれる。より詳述すると、ここに記述されている発明の実施例の例は、2007年10月12日付け出願された米国特許出願第11/871,680号明細書(発明の名:称ポンプカセット)、または、米国特許出願公開第2008/0216898号明細書(発明の名称:カセットシステムによって統合された器具)に記載された血液透析システムおよび方法が含まれる。
そのようなシステムおよび方法においては、1つ以上のセンサマニホールドが使用されているため、媒体がセンサの読取を行うため、ある環境から、より導電性の高い別の環境へ移動する。たとえばカセットマニホールドは、様々な環境の条件に応じて、センサプローブのようなセンサ器具のために望ましくない、温度や湿気のような条件に影響されない領域に保持される。また、センサ器具やセンサシステムは、敏感であり、システムの他の部品より誤動作する傾向が強い。センサマニホールドを用いて、システムの他の部品からセンサの器具およびセンサ器具システムを分離させることは、点検、計測、修理、または取り替えに際してセンサ器具およびシステムが他の部品に与える影響を低くする。システムの他の部材に与える影響を最小化して、センサマニホールドの点検、計測、修理、または交換を行うには、米国特許出願公開第2008/0216898号明細書(発明の名称:カセットシステムによって統合された器具)と関連づけて使用されると有利であろう。センサマニホールドは、システムの他の部品より多少頻繁に交換される。
図53乃至図58は、センサマニホールドの様々な実施例を示す。これらの実施例では、流体を使用する1つ以上の媒体は、セットマニホールド4100内に含まれている。たとえば媒体は、コネクタ4101を介してカセットマニホールド4100内に進入し、コネクタ4102を介してカセットマニホールドから排出される。コネクタ4101および4102間には、カセットを貫通する流路が形成されている(図54で流路4225として示されている)。同様に、流路は、(図54で流路4223、4220、4222、4224、および4221でそれぞれ示されている)コネクタ4103および4104;4105および4106、4107、4108および4109;4110および4111;そして4112および4113の間で伸びている。ある特定の実施例において、各々の流路は、異なった特徴を有する媒体を含む。他の実施例において、1つ以上の流路は、同じまたは同じような媒体を含む。ある特定の実施例においてそのような流路によって関連付けられるセンサの器具システムを点検するためにおよび/または目盛りを付けるために、同じ媒体は、複数の流路を同時に貫流される。
図55を参照するに、センサ器具およびセンサ器具システムと共に使用されるセンサマニホールド4100が示される。カセットは、頂部プレート4302および基盤4301
含む。コネクタ4101および4102の間で延びる流路4225は、基盤と頂部プレートの間で伸びる。カセットは、いろいろな材料から組み立てられる。通常、使用される材料は、硬質で非可撓性を備える。好ましい実施例において、カセットは、ポリサルフォンで形成されるが、他の実施例において、カセットは、他の硬質材料や熱可塑性材料にて形成される。センサマニホールド4100の幾つかの実施例は、米国特許出願公開第2008/0216898号明細書(発明の名称:カセットシステムによって統合された器具)に開示されるシステムと方法を使用して製造され得る。
図55を再度参照するに、センサ器具およびセンサ器具システムと共に使用されるセンサマニホールド4100は、プリント基板4304(PCB)およびPCBカバー4305を有する。様々な実施例は、コネクタ4303を(また図53および56Bに示す)有し、このコネクタ4303がカセットマニホールド4100を機械的に血液透析システムのようなシステムに連結する。カセットマニホールド4100は、センサマニホールド4100の層を一体的に保持するために様々な方法を採用する。様々な実施例において、図43に示すように、4306(また図56Bに示す)、ねじ、他の実施例に利用されるねじ、溶接、クリップ、クランプ、他の化学的および機械的な結合方法が採用されている。
図56Aは、センサマニホールド4100の例示的実施例を示す。コネクタ4401が媒体を導入するか、流路4402から媒体を取除くのに利用されている。流路4402に伸びるセンサプローブ4404は、センサマニホールド4100に組み込まれ、同センサマニホールドの特定の流路を貫流する媒体の特性を判定する。一実施例において、媒体の温度や他の特性を感知するためにセンサプローバが使用される。別例において、媒体における温度や伝導度や他の特性を検出するのにセンサプローブが使用される。それ以上の実施例では、3つ以上のセンサプローブが使用される。ある実施例においては、温度および伝導度を感知する1つ以上の組合せプローブが利用される。他の実施例において、伝導度センサおよび温度検出器は、既存の伝導度センサまたは温度検出器である場合もある。一実施例において、伝導度センサ要素(またはセンサリード)は、グラファイトポストである。他の実施例において、伝導度センサの要素は、ポスト伝導度の測定に通常使用可能なステンレス鋼、チタニウム、または、他のどの材料からでも形成される。ある特定の実施例において、伝導度センサは、センサのメカニズム、コントローラまたは他の装置にセンサからの信号を送信する電気的接続を含む。様々な実施例において、温度検出器は、通常、温度検出のために使用される(使用されることができる)の温度検出器である場合もある。
図56Aを参照するに、センサプローブ4404は、PCB4405に対して電気的に接続される。ある特定の実施例において、適切な電気的接続を保障するのに、当該分野において公知であるセンサの要素4404とPCB4405間の適切な電気的接続方法も使用されるが、センサ要素4404とPCB4405の間において電気的伝導度のエポキシが利用されている。PCB4405は、エッジコネクタ4406によって示されている。様々な実施例においてカセットマニホールド4100からの主システムにセンサ情報を送信するのに、エッジコネクタ4406が使用される。エッジコネクタ4406は、媒体のエッジコネクタに連結される(図58に示す媒体のエッジコネクタ4601のような)。様々な実施例において、媒体のエッジコネクタ4601は、血液透析機に(図示しない)取付けられている。そのような実施例において、エッジコネクタ4406および媒体のエッジコネクタ4601の関係を補するのにガイドトラック4310および4311が(図55に示すように)利用される。様々な実施例は、また血液透析システムのようなコネクタ4303を(図53、55および56Bに示すように)機械的にシステムにカセットマニホールド4100を連結する構成も含む。
図56Aは、エアトラップ4410を示す。ある特定の実施例においてシステムの空気
を捕捉し、清浄にするのに、エアトラップ4410が利用される。特に、図54に示すように、媒体は、センサマニホールド4100のコネクタ4107および4109の間で流路4222を貫流する。媒体の流れが流路4222の周回箇所のまわりで(コネクタ4108の近くで)遅れると同時に、空気は、従う媒体からコネクタ4108において取除かれる。
図56Bにおいて、PCBカバー4305が示されている。PCBカバー4305は、コネクタ4306によってセンサマニホールド4100に連結される。エッジコネクタ4406も示されている。
ある特定の実施例に従って、センサマニホールド4100は、流量の制御に関して受動である。そのような実施例において、センサマニホールド4100は、弁や媒体の流れを制御するためにポンプ機構を含んでいない。そのような実施例において、媒体の流れは、センサマニホールド4100への流体制御装置の外面によって制御される。他の実施例において、センサマニホールドは、公知の機械弁、空気弁または他のタイプの1つ以上を含む。そのような実施例において、センサマニホールドは、公知のポンプ機構の空気ポンプ機構、機械ポンプ機構、または他のタイプを含む1つ以上のポンプ機構含む。そのような弁およびポンプ機構の例は、ポンプカセットの名称によって2007年10月12日に出願された米国の特許出願第11/871,680号明細書、または米国特許出願公開第2008/0216898号明細書(発明の名称:カセットシステムによって統合された器具)に記載されている弁およびポンプ機構が含まれる
図57は、コネクタ4401の基盤4301に示す。頂部プレート4302は、コネクタ4303と共に示されている。センサプローブ4501は、流路4503に頂部プレート4302を介して伸びる。センサプローブ4501は、本明細書中でも述べたセンサプローブを含む様々な形状のセンサである。
検知プローブ4501のような検知プローブは、全て同じであり得るか、実施され得る機能のタイプに基づき様々なセンサから個々に選択され得るか、あるいは、同じプローブが実施されるべき機能のタイプに基づき個々に修正され得る。同様に、流路の長さおよび流路の形状のような流路の構成は、実施されるべき機能に基づき選択され得る。一例として、流路内での対象の媒体の温度を検出するために、サーミスタのような温度センサが使用され得る。また、一例として、対象の媒体の伝導度を測定するために、温度および伝導度を測定するように形成された一つの検知プローブおよび伝導度のみを測定するように形成された一つの検知プローブが利用され得る。その他の実施形態において、温度および伝導度の両方を測定するように形成された2つ以上の検知プローブが利用され得る。そのような構成の様々な実施形態において、一例として、通常の運転時には使用されない第2温度センサが存在しているか、または第2温度が重複する温度測定のために利用されるか、または第2温度が重複する温度測定のために利用され得る。
再び図57を参照すると、PCB4502は、電気接続部4503とともに示されている。図58で更に示されているように、PCB4602は、(図45において4501として示されている)検知プローブへの接続のための電気接続部4603とともに示されている。PCB4602は、また頂部プレート(図57において4305として示されている)に取り付けるための開口部4604を含む。ある特定の実施形態において、電気接続部4603は、空隙4606を備えたPCB4602に取付けられるか、または空隙4606を備えたPCB4602とともに製造され得る。そのような実施形態において、空隙4606は、PCB4602に対してより衝撃の少ない状態にてセンサマニホールド4100の様々な部品の収縮および拡張を可能とすることによって、検知プローブ4501およびPCB4602の間の電気接続部に対する保護を提供するために、利用され得る。
再び図58を参照すると、PCB4602はまた、エッジコネクタ4605とともに示されている。本明細書にて記載されているように、エッジコネクタ4605は、センサマニホールド4100とインタフェース接続される血液透析システムのようなシステムに連結され得るエッジコネクタの受信機4601とインタフェース接続され得る。
図53乃至58に示される例示的なセンサマニホールド4100の様々な実施形態は、発明の名称がポンプカセット(Pumping Cassette)である、2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,680号に記載されている血液透析システムおよび方法、あるいは発明の名称がカセットシステム一体型装置(Cassette System Integrated Apparatus)である米国特許出願公開第2008/0216898号明細書に記載されている血液透析システムおよび方法と組み合わせて使用され得る。ある特定の実施形態において、センサマニホールド4100は、図59に示される温度および伝導度センサのすべてを含む。図59は、上記に参照された特許出願に記載されている発明の一実施形態に従う流体設計図を示す。
一例として、様々な実施形態において、図59に示されるように位置4701における対象の媒体の温度および伝導度は、センサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は、流路4220(図54に示されるような)を介して管コネクタ4105(図53に示されるような)に流れ、管コネクタ4106(図53に示されるような)にて出る。対象の媒体の伝導度は、流路4220内に伸びる2つの検知プローブ(図示しない)によって測定され、同検知プローブのうちの少なくとも一つは、サーミスタのような温度検出要素を含むように構成されている。対象の媒体の伝導度の測定および温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、および/または関連させる、のに利用される。たとえば図59の位置4701での様々な実施形態において、対象の媒体は、重炭酸塩ベースの溶液が加えられた水からなる。位置4701での対象の媒体の伝導度は、重炭酸塩ベースの溶液の適切な量が、位置4701の前に加えられたかどうか決定するために利用され得る。ある特定の実施形態において、仮に伝導度の測定値が所定の範囲から逸脱するか、または所定の量より大きいことによって所定の測定値から逸脱する場合、対象の媒体は、適切な濃度の重炭酸塩ベースの溶液を含んでいないかもしれない。そのような例において、ある特定の実施形態では、血液透析システムは警告を受ける。
また、一例として、様々な実施形態において、図59に示されるように、位置4702での対象の媒体の伝導度は、センサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は、流路4221(図54に示されるような)を介して管コネクタ4112(図41に示されるような)に流れ、管コネクタ4113(図53に示されるような)にて出る。対象の媒体の伝導度は、流路4221内に伸びる2つの検知プローブ(図示しない)によって測定され、同検知プローブのうちの少なくとも一つは、サーミスタのような温度検出要素を含むように構成されている。対象の媒体の伝導度の測定および温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、および/または関連させる、のに利用される。たとえば図59の位置4702での様々な実施形態において、対象の媒体は、重炭酸塩ベースの溶液、次いで酸ベースの溶液が加えられた水からなる。位置4702での対象の媒体の伝導度は、酸ベースの溶液(そして、以前の工程における重炭酸塩ベースの溶液)の適切な量が、位置4702の前に加えられたかどうか決定するために利用される。ある特定の実施形態において、仮に伝導度の測定値が所定の範囲から逸脱するか、または所定の量より大きいことによって所定の測定値から逸脱する場合、対象の媒体は、適切な濃度の酸ベースの溶液および重炭酸塩ベースの溶液を含んでいないかもしれない。そのような例において、ある特定の実施形態では、血液透析システムは、警告を受ける。
更なる例として、様々な実施形態において、図59に示されるように、位置4703での対象の媒体の温度および伝導度は、センサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は、流路4222(図54に示されるような)を介して管コネクタ4107(図53に示されるような)に流出入し、そして管コネクタ4109(図53に示されるような)に流出入する。本明細書に記載されているように、空気は、流路4222の曲がり角を越えることによって対象の媒体から除去され得る。そのような例において、対象の媒体の一部は、管コネクタ4108を介して排液管に除去され、その際に同対象の一部とともに空気が空隙から排出される。対象の媒体の伝導度は、流路4222内に伸びる2つの検知プローブ(図示しない)によって測定され、同検知プローブのうちの少なくとも一つは、サーミスタのような温度検出要素を含むように構成されている。対象の媒体の伝導度の測定および温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、および/または関連させる、のに利用される。たとえば様々な実施形態において、図59の位置4703での伝導度の測定は、透析装置の清掃率と関連させるのに利用され得る。そのような例において、ある特定の実施形態では、この情報は次に血液透析システムに送られる。
また、更なる例として、様々な実施形態において、図59に示されるように、位置4704での対象の媒体の温度は、センサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は、流路4223(図54に示されるような)を介して管コネクタ4103(図53に示されるような)に流れ、管コネクタ4104(図53に示されるような)にて出る。対象の媒体の温度は、流路4223内に伸びる一つ以上の検知プローブ(図示しない)によって測定される。対象の媒体の位置4704における温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、および/または関連させる、のに利用される。たとえば図59の位置4704での様々な実施形態において、対象の媒体の温度は、加熱装置4706の下流側にて決定される。仮に温度が所定の範囲から逸脱するか、または所定の量より大きいことによって所定の測定値から逸脱する場合、血液透析システムは、警告を受ける。たとえばある実施形態において、対象の媒体は、同対象の媒体の温度が所定の範囲内となるまで、加熱装置4706を通って再循環され得る。
また、更なる例において、様々な実施形態において、図59に示されるように、位置4705での対象の媒体の温度および伝導度は、センサマニホールド4100を利用して測定され得る。そのような実施形態において、対象の媒体は、流路4224(図54に示されるような)を介して管コネクタ4110(図53に示されるような)に流れ、管コネクタ4111(図53に示されるような)にて出る。対象の媒体の伝導度は、流路4224内に伸びる2つの検知プローブ(図示しない)によって測定され、同検知プローブのうちの少なくとも一つは、サーミスタのような温度検出要素を含むように構成されている。対象の媒体の伝導度の測定または温度の測定は、血液透析システムに対して実用性の種々の情報を定める、および/または関連させる、のに利用される。たとえば位置4705での温度および伝導度の測定は、対象の媒体の温度、伝導度、およびその相関関係、組成が、同対象の媒体が透析装置4707に到達する、よって患者に到達する前に許容される範囲内にあるかどうかを決定するための更なる安全チェックとして使用され得る。ある実施形態において、仮に温度および伝導度の少なくとも一方の測定値が所定の範囲から逸脱するか、または所定の量より大きいことによって所定の測定値から逸脱する場合、血液透析システムは、警告を受ける。
本明細書に記載されている様々な実施形態に対して、カセットは、プラスチックおよび金属を含む任意の材料から形成され得る。プラスチックは、可撓性のプラスチック、剛性のプラスチック、半可撓性のプラスチック、半剛性のプラスチック、またはそれらの任意のものの組合せであり得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、カセットは、1つ以
上の熱ウェルを含む。いくらかの実施形態において、1つ以上の検知プローブおよびそのような対象の媒体の1つ以上の特徴に関する情報を移すための1つ以上の他の装置のうちの少なくとも一方が、対象の媒体と直接接触した状態とされる。いくらかの実施形態において、流速または圧力を有する流体を保持するようにカセットは、設計されている。他の実施形態において、媒体が流れている場合でさえも大部分が停滞している媒体若しくは導管内に留められる媒体を保持するために、カセットの一つ以上の区画が設計されている。
いくらかの実施形態において、センサ装置は、検知プローブから対象の媒体を分ける必要性に基づいていて使用され得る。しかしながら、他の実施形態において、検知プローブは、温度、伝導度、および/または対象の媒体を直接用いるその他の検出に対して使用され得る。
本発明の別の態様は、一般的には本明細書に論議されるように、システムの方法および操作に関するものである。たとえば血液透析システムは、プライミングされる(primed)、フローが平衡にされる、空にされる、空気でパージされる、消毒されるなどである。
一組の実施形態は、流体を備えたシステムをプライミングすることに関する。プライミングされるべき流体は、透析液タンク(たとえば透析液タンク169)に最初に導入される。次に、限外濾過装置73は、限外濾過73するために、透析液タンク169からの流体を押すことによって最初にプライミングされ、そして、図17Aの黒い太線にて示されるように、廃液ライン39を介するライン731を通って排液管から排出される。限外濾過装置73に存在するいかなる空気も、プライミングポートまで自然に上昇し、排液管へ洗い流される。
次に図17Bに示されるように、平衡回路および同平衡回路のポンプ159は、流体を押すことによって、同流体が限外濾過装置73を介して、平衡回路を介して、排液管へと排出され、プライミングされる。ポンプ159は、(限外濾過装置を介して排液管まで)流体を上向きに流すことによってプライミングされる。透析装置14に入る空気は、同透析装置の最上部まで気泡化され、透析装置の出口から排液管に排出される。
次に、血流ポンプおよび管は、流体を、血流回路およびエアトラップを通って導管67を介して配向回路に戻るように循環させることによって、プライミングされる。図17Cに見られるように、流体は、限外濾過装置および透析装置を通過し、流体がエアトラップ内を通過させられ、排液管まで下降される。エアトラップは、血流回路内を循環する空気をトラップし、排液管に送る。空気センサが空気の検出を止める(そして、幾らかの更なる流体が、安全域としてシステムに流された)時にプライミングが停止され得る。
別の組の実施形態は、システムに空気を加えること、たとえばシステムの種々の流体を空にすることに関する。たとえば1つの操作にて、透析液タンクは、空にされる。透析液タンク169の出口226が開放され、空気がポンプ159で検出されるまで、透析液タンクから排液管まで流体をポンプでくむのにポンプ159が使用される(後に論議される)。これは、図19に示される。
空気はまた、ある特定の実施形態において、平衡回路内にポンプでくまれる。これは図20に示される。空気が透析液タンクに入るように透析液16の出口226は開放される。ポンプ159を使用して、空気が限外濾過装置73の外側を通ってくみ上げられる。この空気圧は、限外濾過装置の外の流体を内側へと移動させ、同流体を透析装置を介して貫流させ、排液管へ下降させる。この操作の間に、ポンプ159および限外濾過装置の外側は、空気で満たされるであろう。
加えて、空気は、図21Aに示されるように、抗凝血剤ポンプ80を通して、血流回路に導入される。最初に、空気は、ポッドポンプ23(図21A)に導入され、次いで、同ポッドポンプから動脈ライン203へと指向されて排液管(図21B)に下降されるか、あるいは(透析装置14を介する)静脈ライン204へと配流されて排液管(図21C)に下降される。
一組の実施形態において、完全性試験が実施される。湿潤している場合には、空気が容易には通過しない膜材料を用いて限外濾過装置および透析装置が構成されているので、完全性試験は、水を用いてフィルタをプライミングし、次に圧縮空気をフィルタの一方の側に適用することによって、実施され得る。一実施形態において、空気出口は、血流ポンプの一つに含まれ、従って、ポンプチャンバは、完全性試験にて使用するための空気をくみ上げるために使用され得る。この実施形態は、より大きいポンプの利点を使用する。空気圧は、フィルタを介して全ての水を押し通し、水が置き換えられるとすぐに気流を止める。しかしながら、気流が続くと、膜は破裂し、取り替える必要がある。したがって、システムは、水を用いてプライミングされる。最初に、混合回路は、透析液タンクより前の空気を除去するために最初にプライミングされる。それから限外濾過装置の外側が次にプライミングされるが、それは同外側がプライミングされるまで、限外濾過装置は、平衡回路まで水を通さないと考えられることによる。平衡回路および透析装置が次にプライミングされる。最後に、水は、透析装置を越えて、血流回路をプライミングする。
混合回路は、最初にポンプ183を使用して水を押し出し、ライン281および重炭酸塩源28を通り、ポンプの各々およびライン186を介して透析液タンク169へと流れるようにプライミングされる。透析液タンク169は、上への気泡を通して押され、かつ出口226を介して排出されるそのような空気によって通気される。空気が透析液タンク169からプライミングされると、タンクは、水で満たされ、そしてプライミングの流れは、透析液タンクから限外濾過装置73を通って排液管まで続く。これは図22Aに見られる。次に、既に述べたように水がプライミングされる(図17を参照)。次に、図22Cに示されるように、平衡ポンプ15が空にされる間に、図22Bに示されるように、血流ポッドポンプ23が透析液タンク169からの水で満たされる。
試験は、血流ポンプを使用し、水の各チャンバが透析装置14を超えて平衡ポンプチャンバ15まで押し出さることによって実施される。同平衡ポンプチャンバは、空の状態から始まって(図22C)、大気へと通気され、それによって同チャンバは、透析装置14の透析液側では、大気圧にて存在する。図22Dを参照されたい。血流回路チャンバの各々は、特定の圧力を使用して送達し、ストロークの終わりは、流速を決定するために決定される。
別の完全性試験は、限外濾過装置の流れ試験である。この試験では、透析液タンクは、水で満たされ、水を透析液タンクから限外濾過装置を介してライン731に汲出すことによって限外濾過装置がプライミングされ、且つ水は、限外濾過装置を介してくみ上げられ、流量を制御し、流れを維持するために必要とされる送達圧を監視する。
別の組の実施形態は、システムを消毒および洗浄することに関する。この工程は、治療時に蓄積される任意の物質を取り除き、任意の活性を有する病原菌を死滅させることである。いくらかの例では、殺菌剤が使用されるが、典型的には熱が使用される。透析液タンクを使用して水が維持され、水が排出されると必要に応じて、補充される。
再循環流路が図23に示されている。この経路に沿った流れは、本質的には連続的なものであり、導管67を使用して、血流回路と配向回路とが連結される。主要な流路は、ヒ
ータ72を使用して加熱され、同ヒータ72は、再循環流路内の水温を上昇させる、たとえば存在し得るいかなる活性を有する病原菌をも死滅させることができる温度に上昇させるために使用される。水のいくらかは、排水管へと流れるが、大部分は再循環される。この実施例では、ライン48および731が適切に消毒されることを確実にするために、これらのラインは、開放された状態のまま維持されることを明記したい。加えて、限外濾過装置73を介する流路が、空気が限外濾過装置から除去される、および/または同経路を介した再循環の流れを提供するために、定期的に選択される。温度センサ(たとえばセンサ251および252)は、適切な温度に適合されることを確実にするために使用され得る。そのようなセンサの非限定的な例は、本願と同時に出願された発明の名称が「センサ装置システム、デバイスおよび方法(Sensor Apparatus Systems,Devices and Methods)」である米国特許出願第12/038,474号明細書に記載されており、当該出願は、本明細書においては参照によって援用される。
一組の実施形態において、システムは、以下の示すように透析液を用いてプライミングされる。この操作において、ポッドポンプ280は、水で満たされ(図24A)、次に水がポンプ183によって後方に押され、重炭酸塩の源28の最上部から空気が吐き出される。空気は、ポッドポンプ282に回収される。図24Bを参照されたい。次に、ポッドポンプ282内の空気がポッドポンプ280およびライン186を介して透析液タンク169に排出される。透析液タンク169の出口226は、空気がシステムから排出されるように開放された状態となっている(図24C)。加えて、酸が酸の源29からポンプでくまれる。次に、重炭酸塩の源28からの重炭酸塩濃縮物および水と混合される。図24Dに示されるように、ポンプ183を使用して、重炭酸塩の源28を水で満たすのに十分な水圧を提供する。
酸の溶液および重炭酸塩の溶液(および、別の塩化ナトリウム源が存在する場合は、塩化ナトリウム溶液)が次に、透析液を調製するために、流入する水とともに秤量される。各成分の水との部分的な混合物が正確であることを保障するために、センサ178および179が使用される。規格に適合しない透析液は、排液管へと流される一方で、良好な透析液が透析液タンク14へと注入される。
別の組の実施形態において、抗凝血剤ポンプがプライミングされる。同ポンプをプライミングすることによってヘパリンポンプおよび流路から空気が除去され、抗凝血剤小瓶内の圧力が許容可能であることが保障される。抗凝血剤ポンプは、ポンプチャンバ内の空気が小瓶内に流入するように設計され得る。試験は、抗凝血剤ポンプの流体弁の全てを閉じて、外側の体積を測定し、流体管理システムチャンバを真空にして、弁を開放して小瓶からポンプチャンバに導入し、外側の体積を(再び)測定し、流体管理システムチャンバに圧力を作用させて、弁を開放して流体を小瓶内に戻し、そして、外側の体積を(再び)測定することによって、実施される。流体の流れによって生ずる外側の体積の変化は、ポンプチャンバの既知の体積に対応すべきである。仮にポンプチャンバが小瓶から充填できない場合、小瓶の圧力は、低すぎるので、空気を内部に導入する必要がある。逆に、ポンプチャンバが小瓶に流入することができない場合は、小瓶の圧力が高すぎるので、抗凝血剤のいくらかを小瓶から汲出す必要がある。この試験時に小瓶から汲出される抗凝血剤は、たとえば排液管を介して、廃棄され得る。
更に別の組の実施形態において、患者に連結されていない間に、システムは、透析液にて洗浄される。これは、治療の前または後に実施され得る。治療の前に、透析液内に滅菌剤が蓄積されるのを回避するために、同透析液が移動され、その一部は、排液管に送られる。治療後、この操作は、血流路を透析液で洗浄し、残存するいかなる血液も排液管へと押し出す。この操作にて使用される流路は、既に述べたような水とともに使用される流路
と類似している。
酸濃縮物は、混合チャンバからポンプで汲出され得る。ポンプ184は駆動され、それによって、ポッドポンプ280がポンプ184および酸の源29からの酸を送り出し、ライン186で混合され、排液管に送られる。同様に、図25に示されるように、重炭酸塩は、混合チャンバから汲出され得る。ポンプ183を使用して重炭酸塩の源28から水が導入され、次にポッドポンプ280を使用して水がライン186内を通過して、排出管へと流れる。
更に別の組の実施形態において、透析液プライム(prime)は、血流回路から除去され、患者にプライミング流体が与えられることが回避される。図26Aおよび26Bは、平衡ポンプチャンバの各々から流体が流出し、排液管に排出されることを示す。次に、透析装置14の透析液側が閉じられる一方で、血液が患者から血流路に導入される(図26C)。次に、患者の連結部が閉鎖される一方、血流ポンプチャンバ23は、プライミング用の流体を、透析装置を超えて平衡回路へと押し出す(図26Dおよび26E)。次にこの流体を、既に述べたように排液管へと押し出す。この操作は、プライミング用の流体が十分に除去されるまで必要に応じて繰り返される。その後、平衡ポンプを未使用の透析液で再充填し、図26Fに示されるように、患者の連結部を閉鎖した状態にて維持する。
更に別の組の実施形態において、ボーラス投与用の抗凝血剤が患者に送達され得る。最初に、図27Aに示されるように、ボーラス投与用の抗凝血剤が小瓶(あるいはその他の抗凝血剤供給源)からポンプ13の一つのチャンバにくみ上げられる。抗凝血剤ポンプは、空気を小瓶にくみいれることおよび抗凝血剤を小瓶から汲出すことを交互に行い、それによって圧力が比較的一定に維持される。次に残りの体積が透析液で満たされる(図27B)。次に、図27Bに示されるように、組み合わせられた流体が、動脈ライン203を下って患者に送達される。いくらかの例において、同じポンプチャンバが再び透析液で満たされ(図27Bを参照)、その容量が患者に送達され、そして、全ての抗凝血剤が適切に送達されたことが保障される。
更に他の実施例において、システムは、プッシュプル式血液透析濾過法を行うことも可能である。このような場合、血流ポンプ13および平衡ポンプ15を同期させて、透析装置を横断して流体を往復させるようにすることも可能である。血液透析濾過法において、静水圧は、透析装置の膜を通って水および溶質を血流回路から平衡回路へ運ぶために使用され、そこで排出される。理論によって制約するものではないが、溶質が大きければ、血液透析濾過法における対流力によって、使用される透析液へより容易に運ばれると考えられている。
一連の実施例において、溶液の注入は、患者へ流体を送るために使用される。図28に示すように、配向回路のポンプ159が使用されて、透析装置14から血流回路へ流体を押し出して、これによって患者へ流体(たとえば透析液)が送られる。
他の一連の実施例に従って、繰り返し使用された後に、透析装置の膜壁に付着および蓄積した合成物が原因となって、透析装置は、その効率性や機能する能力を全く失うことがある。透析装置の清掃率を決定する任意の基準測定値を使用してもよい。しかしながら、透析装置にどの程度蓄積されているかを測定する方法、すなわち、透析装置の清掃率がどの程度低下したかを測定する方法では、気体を透析装置の血液側へ押圧する一方で、液体を透析装置の透析液側に留める。透析装置の気体の体積を測定することによって、透析装置の測定された気体の体積に基づき、透析装置の清掃率が測定される。
これに代えて、他の実施例において、本発明のシステムの空気圧によって、清掃率は、
次の通り決定されてもよい。透析装置に沿って圧力差を生じさせて、透析装置の流体速度を測定することによって、透析装置の清掃率は、圧力差および流体速度に基づき、相互に関連付け/測定、または算出される。たとえば相関表、すなわち数学的関係を含む、周知の相関関係または前処理プログラム化された基準に基づき行われる。たとえば参照表が使用されてもよく、あるいは、決定された数学的関係が使用されてもよい。
透析装置の清掃率はまた、血液管プラグバック再循環通路において導電性プローブを使用して測定することができる。処置後に、患者は、消毒ポートへ戻す血液管に連結される。血液管および透析装置内の流体は、これらの消毒ポートの接続部を通って再循環し、この溶液の導電性は、溶液がこの再循環通路の導電性測定セルを通過するときに測定され得る。
透析装置の清掃率を測定するためには、純水を透析液通路内において循環させてもよく、血液再循環通路を流れる流体の導電性を継続的にモニタする。純水は、透析装置の清掃率に比例する割合で、血流回路再循環通路の溶液からイオンを除去する。透析装置の清掃率は、血流回路の再循環通路内の溶液の導電性が変化する速度を測定することによって決定することができる。
透析装置の清掃率は、一方で純水を、他方で透析液を循環させ、更に、導電性を用いて透析装置を通過する流体の量を測定することによって、測定することができる。
一連の実施例において、停電時には、可能な限り多くの血液を患者に戻すことが好ましい。血液透析システムの一実施例では、使用される様々なポンプや弁を駆動させるために圧縮された気体を使用するため、他の実施例では、このような圧縮された気体を利用して、停電時にシステムの血液を患者へ戻すことができる。この方法に従うと共に、図29Aを参照して、透析装置14を横切って透析液を注入して、血流回路19内の血液を浄化して患者に戻す。圧縮空気を使用して透析液を透析装置14内へ注入する。弁77が圧縮空気を解放するとこの機能を始動する。この方法は、停電や他の障害によって、透析装置が処置の終わりに通常行う方法で患者の血液を浄化して戻すことが妨げられた場合に、使用することが可能である。
圧縮空気を用いて透析装置14の透析液側の圧力を増加させて、透析装置内から透析液を血液側へ送ると、このことによって、患者の血液が患者の体内へ押し戻されるため、患者または助手は、処置を監視して、適切に浄化された血液が戻されると、血流回路と患者との間の管を固定する。
一実施例において、タンク70は、血液透析システムに組み込まれて、処置を始める前に圧縮空気で満たされる。このタンク70は、手動で駆動させられる弁77を介して透析液回路20に連結される。処置が終了または中断されると、この弁77は、患者または助手によって開放されて、浄化−戻し処置を開始する。透析装置14の膜は、透析液を通過させるが空気を通過させない。圧縮空気は、患者側の管が固定されるまで、または、透析装置の透析液側が空気で満たされるまで透析液を移動させる。
他の実施例において、圧縮空気を含むタンクは、透析装置に付属品として提供される。透析装置の電源異常やシステム障害によって、処置が早く停止した場合には、このタンクは、装置の透析液回路に取り付けられて、浄化−戻し処置を開始する。前述の実施例におけるように、患者側の管が固定される、または、透析装置の透析液側が空気で満たされると、浄化−戻し処置が終了する。
図29Bに示す他の実施例において、空気タンク70は、システムに組み込まれ、透析液から空気を分離させる可撓性隔壁76を備えた流体タンク75に取り付けられる。この
場合、圧縮空気を透析液回路20へ進入させるよりも、圧縮空気は、隔壁76を押圧して、透析液回路20の圧力を増加させる。移動可能な透析液の量は、流体チャンバ75の容積によって決定される。患者側の管が固定される、または、全ての流体が排出されて、隔壁76が流体チャンバ75の壁に突き当たって底に達すると、浄化−戻し処置が終了する。
これらの実施例の何れかにおいて、システムの操作または方法は、処置の合間に透析液装置のプログラムを実行することによって、周期的に検査される。検査中は、ユーザインタフェースによって、使用者は浄化−戻し処置を実行するように促され、装置は、操作が正常に行われるように、透析液回路の圧力を監視する。
図29Aおよび図29Bに示されるシステムにおいて、血液は、血流ポンプ13によって患者から取り出され、透析装置14内に通されて、そして患者に戻される。これらの部品およびこれらを連結する管は、血流回路10を構成する。血流回路10に含まれる血液は、処置が終了または中断されると、患者へ戻されなければならない。
透析液は、透析液ポンプ159によって透析液タンク169から取り出され、ヒータ72を通過して体温にまで加熱される。透析液は次に、透析液中にあるかもしれない病原体や発熱物質を除去する限外濾過装置73内を流れる。次に、透析液は透析装置を通って治療を行い、そして透析液タンクに戻される。
バイパス弁74を使用して、透析液回路20の他の部分から透析装置14を隔離することも可能である。透析装置14を隔離するために、透析液回路20を透析装置に対して連結する2つの弁を閉鎖して、透析装置の周囲で透析液をシャントする1つの弁を開く。
透析装置14が隔離されていてもいなくても、この浄化−戻し処置を用いることは可能であり、また、処置が終了または中断されると使用される。透析液装置の電源が切られて停止すると、ポンプは動かない。患者に浄化−戻し処置の準備ができると、空気弁77は、患者か助手によって開放される。圧縮空気タンク70の空気は、透析液回路20の方へ流れて、透析装置14の透析液側の圧力を高める。圧力におけるこの増加は、図29Aに示すように、空気が透析液回路へ直接進入可能となることによって、あるいは、図29Bに示す隔壁76を間接的に押すことによって行うことができる。
透析装置の透析液側の空気圧によって、透析液の一部が透析装置14から血流回路へ流れる。この透析液は、血液を移動させて、浄化して患者に戻す。患者または助手は、透析装置14および血液管に注意することによって、浄化処置を観察できる。透析液は、透析装置内で始動して、血液を移動させてより清浄にする。このより清浄な溶液は、透析装置から患者の方へ移動する。それが患者に達すると、血液管固定具71を使用して血液管を挾持し、浄化−戻し処置を終了させる。一方のラインの浄化−戻し処置が、他方のラインよりも早ければ、その早いラインを先に固定して、遅いほうのラインを後で固定してもよい。
浄化−戻し処置が完了すると、血液ラインは固定されて、患者は透析装置から解放される。
システムおよび方法の一実施例の実施は、図29Aに示されており、使用される材料の親水性を利用して透析装置14内に細い管を形成する。この材料が湿潤していると、透析液は通過できるが、空気は通過できない。図29Aに示す実施例を実行する場合には、空気は透析装置14に進入できるが、血流回路10を越えて通過しない。
どちらを実施する場合においても、透析装置14を通過できる透析液の量は、制限され
ている。この制限は、圧縮空気タンク70の寸法、透析装置14に含まれる透析液の量、更に図7Bに示す実施例の場合には、流体タンク75の寸法によって、課される。患者に余分な流体を与えることは、治療中に流体を除去するという治療上の利点を妨害するため、透析装置内に注入される透析液の量を制限することは有利である。
別の実施例において、停電時に、透析液を透析液回路から透析装置に移動させる空気圧は、正常時に膜ポンプを駆動し、流体管理システム測定の圧力源ともなる加圧空気タンクから誘導できる。図80に示すように、例えば、この空気圧源は透析液タンク169を監視するために使用する流体管理システム経路170を介してアクセスできる。実施例において、空気圧または真空を血液透析装置の液体流路の様々なポンプおよび弁に配向するマニホールド弁は電気で作動する。幾つかの実施例において、血液透析装置の液体流路の弁そのものを電気で駆動できる。電力がない場合、デフォルトの開閉位置をもつように選ぶまたは予め設定できる。例えばマニホールド弁のデフォルト位置が閉じている場合、その対象物に空気圧(または真空)が伝わることはない。同様に、マニホールド弁のデフォルト位置が開いている場合、連結される圧力源または真空源が下流のデバイス(膜ベースのポンプ、膜ベースの弁、または別のタイプの弁など)を加圧できる。液体流路の流れを直接制御する弁そのものが電気駆動される場合、弁はそのそれぞれの流路を閉鎖または開放するいずれかのデフォルト位置をもつように選ぶことができる。図80に図示する例では、マニホールド弁170aおよび流体管理システム弁170bを例えばデフォルトの開位置をもつように構成することによって、加圧空気タンクからの圧力を透析液タンク169に伝達できる。他の様々なマニホールド弁を適切なデフォルト位置に構成することによって、マニホールド弁が制御する対応する流路弁は、透析液タンク169から、外側透析液ポンプ回路159、限外濾過装置73、平衡回路143の一部を通って、最終的に透析装置14までの経路を開放させることができる。このように、電力がない場合、および透析装置14の血流側がインピーダンスを呈さない場合、透析液タンク169からの透析液を透析装置14に流すことができ、血液のリンスバックを可能にさせる。正常な透析中、制御ソフトウェアは血液管セットに存在する全血液をリンスバックさせるのに透析液タンク169内の透析液が十分供給されるように保証できる。
代替実施例において、透析液タンクと透析装置の間の透析液流路の流れを直接制御する弁そのものが電気駆動される場合、デフォルトの開位置をもつように選ぶことができる。逆に透析装置からそれる経路の流れを制御する他の弁はデフォルトの閉位置をもつように選ぶことができる。
例えば、図80では、適切なマニホールド弁のデフォルト構成は、外側透析液ポンプ回路159の入口弁および出口弁171と、平衡回路弁172を「開」位置にしたままにさせて、透析装置14への流路を提供する。逆に、透析液タンク169の入口フィード弁173aおよび再循環弁173bと、限外濾過装置73のドレン弁174は電力がない状態では「閉」のデフォルト位置をもつようにして、透析液が排液管に押出されないようにすることができる。加えて、内側透析液ポンプ回路15の入口弁175およびバイパスまたは限外濾過ポンプ回路35の入口弁176は「閉」のデフォルト位置をもつようにして、電力がない状態で透析液が透析装置14からその経路に流入しないようにすることができる。
未制御のリンスバックを避けるために、血液管セットの動脈供給ラインと静脈戻りラインは、電力がないときにデフォルトの「閉塞」位置を維持し、正常な透析中に「非閉塞」位置に移動するオクルーダー機構によって圧縮できる。オクルーダーは血液ポンプカセットに到達する前の動脈ラインと透析装置または気泡トラップから出た後の静脈ラインの両方を同時に閉塞する位置にすることができる。好適な実施例において、リンスバックが可能にされる前に、患者、オペレータまたは助手は、リンスバックが予定されるときまたは
停電関連のリンスバックを開始するときに患者のバスキュラーアクセス部位から動脈ラインを退出させる。適したコネクタ(針または針なしのスパイクまたはルアーロックコネクタなど)を動脈ラインの末端に置いて、さらに静脈戻りラインのエアトラップ(エアトラップ19など)に連結する。このことは血管ポンプカセットの頂部または透析装置の頂部で血流路に捕捉される空気が不注意により患者のバスキュラーアクセスに向かってリンスバックするのを防ぐのに役立つ。動脈ラインをエアトラップに連結してしまえば、患者、オペレータまたは助手はオクルーダーを「非閉塞」位置に手動で動かしてもよく、すると静脈戻りラインが減圧し、透析液回路からの加圧透析液に血液管セットの血液を患者のバスキュラーアクセスに向かって押出させる。患者がエアトラップから下流の静脈ライン内の空気を観察する場合、患者はオクルーダーを再び連結してリンスバックを停止するだけでよい。
上記リンスバック手順は血流路の血液を最終的に患者のバスキュラーアクセスに移動させる溶液として透析液を使って説明しているが、リンスバック手順には生理学的に適合し、且つ安全に血液と混合できればどのような電解質溶液を使用してもよい。さらに、リンスバック技術は透析システムに限定する必要はない。患者の血液を体外で循環するシステムであれば、緊急リンスバックシステムおよび方法から利益を受ける可能性があるだろう。そのため半透性の膜を有するフィルタ(透析装置または限外濾過装置)を体外システムの血流路に導入することが可能となろう。そのため半透性の膜の反対側は、弁を介して連通する圧縮気体源によって加圧できる流路の電解質溶液に曝されよう。
本発明の別の態様は、システムのためのユーザインタフェースに関する。ユーザインタフェースは、患者、家族、助手、専門の医療供給者、または保守技術者等の個人によって操作されて、処置の選択肢等の選択肢を入力し、処置手順、処置の状態、装置の状態/状況、および/または患者の状態に関する情報等の情報を受け取る。ユーザインタフェースは、処置装置に取付けられ、処置装置の1つ以上のプロセッサによって制御される。他の実施例において、ユーザインタフェースは、処置手順、処置の状態、および/または患者の状態等に関するデータや命令を受け取り、送信し、または送受信するリモートデバイスであってもよい。リモートデバイスは、処置装置からまたは処置装置にデータや命令を送信および/または受け取るために、光無線および/または電子無線、ブルートゥース、RF周波数、光周波数、IR周波数、超音波周波数、磁気効果等を利用する無線通信を含む、任意の適した技術によって処置装置に接続されてもよい。実施例によっては、表示装置を使用して、いつデータおよび/または命令が処置装置やリモートデバイスによって受け取られたか示すことも可能である。リモートデバイスは、処置装置にデータおよび/または命令を入力するために、キーボード、タッチ画面、容量性入力装置等の入力装置を含んでもよい。
幾つかの実施例において、処置装置の1つ以上のプロセッサは固有の識別コードを含んでいてもよく、リモートデバイスは、処置装置の固有の識別コードを読取り、学ぶための機能を含んでもいてもよい。これに代えて、使用者は、固有の識別コードでプログラムしてもよい。処置装置およびリモートデバイスは、他の処置装置を含む他の受信機との干渉を実質的に回避するために、固有の識別コードを使用してもよい。
一連の実施例において、処置装置は、ウェブ対応サーバに接続される1つ以上のプロセッサを備えてもよく、また、このウェブ対応サーバで、ユーザインタフェース装置を駆動させてもよい。一実施例において、装置は、インターネットプロトコルを介して、処置装置に内蔵されたまたは処置装置に接続されたWEB内蔵サーバと通信するために、外部CPU(たとえばGUIグラフィカルユーザインタフェース)を使用する。WEBページを装置内に持ち、また、グラフィカルユーザインタフェースは、IEEE802.11bまたは他の同様の有線や無線イーサネット(登録商標)同等物によって直接通信することも
可能である。グラフィカルユーザインタフェースは、患者、家族、助手、専門の医療供給者、または保守技術者等の個人によって操作されて、処置の選択肢等の選択肢を入力し、処置手順、処置の状態、装置の状態/状況、および/または患者の状態に関する情報等の情報を受け取ることも可能である。
他の実施例において、処置装置内に内蔵または処置装置に接続された、内蔵WEBサーバは、インターネットの適切なサイトと通信することも可能である。インターネットサイトは、アクセスするためにパスワードまたは他の使用者証明を必要とする。他の実施例において、使用者やアクセスプロバイダーのタイプによって、使用者は、異なる情報へアクセスすることができる。たとえば患者または専門の医療供給者は、患者の治療選択肢および患者情報に対して十分なアクセスが可能な一方で、家族は、所定の処置や処置の頻度に対する状態および持続期間等の特定の患者情報へのアクセスが認められる。保守技術者、透析センター、または処置装置提供者は、故障修理、予防保守、臨床試験等の他の情報にアクセス可能である。ウェブ対応サーバの使用によって、一人以上の個人が、様々な目的で患者情報に同時にアクセスすることが可能である。
リモートデバイスの使用(たとえば有線または無線通信、インターネットプロトコル、またはウェブ対応サーバを利用するインターネットサイトを通して)によって、透析センターは、より効果的に各患者を監視、および/または、多数の患者を同時に効率的よく監察することが可能である。実施例によっては、リモートデバイスは、夜間の透析処置の間に患者を監視し、患者の状態が特定のパラメータに合致しない場合には通報するように、夜間モニタや夜間警報として機能できる。実施例によっては、リモートデバイスを用いて、患者、家族、助手、専門の医療供給者、または保守技術者に通報することも可能である。これらの警報は、限定されるものではないが、流体漏出、閉塞、正常なパラメータ外の温度等の特定の状態を個人に通報することも可能である。これらの警報は、可聴警報、視覚警報、および/または振動警報であってもよい。
図60は、ユーザインタフェース/処置装置の組み合わせの実施例を示す。具体的には、図60は、透析ユニット6001とユーザインタフェースユニット6002とを備える例示的な血液透析システム6000の斜視図を示す。この実施例において、透析ユニット6001は、血液透析を行うのに適したコンポーネントを含むハウジング6004を備える。たとえば透析ユニット6001は、たとえば図2Aに関連して説明する混合回路25、血流回路10、平衡回路143および外部透析液回路または外側透析液回路142を含んでもよい。透析ユニット6001は、システム6000の操作に必要なすべての患者アクセス連結部および透析液流体連結部も含んでもよい。
ユーザインタフェースユニット6002は、血液透析患者などのユーザが透析ユニット6001の操作を連結部6006を介して制御するために使用してもよいユーザインタフェース6003を備える。連結部6006は、バス、無線接続、ローカルエリアネットワークによる接続(例、イーサネット(登録商標)ローカルエリアネットワーク)、および/または広域ネットワークによる接続(例、インターネット)などの適したデータ接続を備えてもよい。ユーザインタフェースユニット6002は、ユーザインタフェースの操作を可能にするためのコンポーネントを含むハウジング6005をさらに備える。図60の例では、ユーザインタフェース6003は、タッチ制御および画面に表示されるグラフィカルユーザインタフェースとのインタラクションを可能にするタッチ感知オーバーレイを有するディスプレイ画面を備える。しかし、キーボードおよび/またはポインティングデバイスなどの個別の入力機構を有する画面など、他にも多くの種類のユーザインタフェースが可能である。ユーザインタフェース6003は、押しボタン、スピーカー、音声命令を受信するためのマイクロホン等など、他の特徴も含んでもよい。
図60の血液透析システム6000は、透析ユニット6001から離れて物理的に連結されるユーザインタフェースユニット6002を備えるが、多くの代替構成が可能である。たとえばユーザインタフェースユニット6002は、透析ユニット6001に取り付けてもよく、または透析ユニット6001内に取り付けてもよい。便宜上、そのように取り付けられたユーザインタフェースユニット6002は、別の場所や位置で使用するためにその取付台から移動可能であってもよい。
図61は、透析ユニット6001およびユーザインタフェースユニット6002それぞれの例示的なハードウェア構成を示す。これらは、それぞれ別々のCPUで制御し、時間および安全重視ソフトウェアをユーザ体験ソフトウェアとは分離させる。治療が始まったら、たとえユーザインタフェースコンピュータが故障または切断しても治療を完了できる。このことは、ユーザインタフェースユニット6002に実装され、透析ユニット6001の制御プロセッサに接続されるものに重複した幾つかの物理的な制御ボタンおよびインジケータ灯を有することによってサポートできる。透析ユニット6001は、ハードウェアのアクチュエータを制御する自動化コンピュータ(AC)6106と、血液透析関連の治療を伝えて監視するセンサ6107とを備える。自動化コンピュータ6106は、自動化コンピュータ処理装置6109および自動化コンピュータ読取可能媒体6110を含む自動化制御ユニット6108を備える。自動化コンピュータ処理装置6109は、自動化コンピュータ読取可能媒体6110上に記録される命令を実行しデータに従って操作できる1つ以上のプロセッサを備える。データは、たとえば患者に行ったまたは行える血液透析プロセスに関係してもよい。システムのアーキテクチャは、自動化コンピュータ6106にソフトウェアアクセス可能な安全センサ6107およびフェールセーフ状態(治療を安全に一時休止または中断させる)を命じる能力を与える。並列独立半導体デバイスベースのシステムは、冗長安全システムを提供するために、ソフトウェアが制御するものと同様の点検を行うことができる。これは、たとえばフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)に実装でき、1つ以上の安全性の点検に合格しなければ、ソフトウェアシステムとは独立してフェールセーフ状態を命じることもできる。空気圧システム、液圧システムおよび電気システムの完全性は、治療セッション中と治療セッションの間のどちらでも点検できる。命令は、たとえばオペレーティングシステム(例、Linux(登録商標))、アプリケーションプログラム、プログラムモジュール、および/または特定のプロセスを行う符号化された他の命令を備えてもよい。
自動化コンピュータ読取可能媒体6110は、自動化コンピュータ処理装置(透析処理装置)6109によってアクセスできる利用可能などんな媒体を備えてもよい。たとえば自動化コンピュータ読取可能媒体6110は、コンピュータ記憶媒体および/または通信媒体を備えてもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読取可能命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報の記憶のためのいずれかの方法または技術に実装される揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリおよび取外し可能媒体および/または取外し不可媒体の中からいずれか1つ以上を含んでもよい。上記コンピュータ記憶媒体の例には、RAM、ROM、ソリッドステートディスク、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)または他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するのに使用でき且つ自動化コンピュータ処理装置6109でアクセスできる他のあらゆる媒体を含むが、これらだけに限定されない。通信媒体は、典型的にはコンピュータ読取可能命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータを、搬送波または他の移送機構などの変調されたデータ信号に組み込み、あらゆる情報配信媒体を含む。「変調されたデータ信号」という言葉は、その特性の1つ以上が信号内の情報を符号化できるように設定または変更された信号を意味する。例として、通信媒体には有線ネットワークまたは直接有線接続などの有線媒体、および/または音響、RF、赤外線および他の無線媒体などの無線媒体が含まれる。
自動化コンピュータ読取可能媒体6110および自動化コンピュータ処理装置6109などの自動化コンピュータ6106の様々なコンポーネントは、システムバスを介して電気的に連結してもよい。システムバスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、および多様なバスアーキテクチャのいずれかを利用したローカルバスを含む数種類のバス構造のうちいずれを備えてもよい。例として、上記アーキテクチャには、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)、拡張ISA(EISA)、ビデオ電子工学標準連合(VESA)、および周辺コンポーネントインターコネクト(PCI)が含まれる。
自動化コンピュータ6106は、様々な入力および/または出力デバイスを自動化制御ユニット6108に連結できるように透析ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェース6113をさらに含んでもよい。上記入力および/または出力デバイスの例には、モニタ、スピーカー、プリンタ、キーボード、ポインティングデバイス(例、マウス)、スキャナ、パーソナルデジタルアシスタント、マイクロホン、および他の周辺デバイスが含まれる。USBは、周辺デバイスの接続に使用できるインタフェースの種類の1例にすぎない。代わりに他のインタフェースを使用してもよい。
上述したように、透析ユニット6001は、血液透析プロセスを実施し、監視するためのコンポーネントを含む。上記コンポーネントは、センサおよびアクチュエータ6107を含む。自動化制御ユニット6108をセンサおよびアクチュエータ6107に連結するために、自動化コンピュータは、ハードウェアインタフェース6111を含んでもよい。ハードウェアインタフェース6111は、センサおよびアクチュエータ6107に入力を送信し、それから出力を受信してもよい。
自動化コンピュータ6106は、ローカルエリアネットワーク(LAN)および/または広域ネットワーク(WAN)内のものなど、ネットワーク接続デバイスにコンピュータを接続させる自動化ネットワークインタフェース6112を更に備えてもよい。たとえば自動化ネットワークインタフェース6112は、イーサネット(登録商標)LANなどのLAN、および/またはインターネットなどのWANを備えてもよく、また有線でも無線でもよいネットワーク6114上で透析ユニット6001にユーザインタフェースユニット6002とデータ交換させることができる。当然ながら、透析ユニット6001は、代わりにまたは追加で、バスまたは他のデータ接続によってユーザインタフェースユニット6002とデータを交換してもよい。
ユーザインタフェースユニット6002は、グラフィカルユーザインタフェース6115など、ユーザに情報を表示し、ユーザからの入力を受信するユーザインタフェースを制御するユーザインタフェースコンピュータ6119を備える。自動化コンピュータ6106と同様に、ユーザインタフェースコンピュータ6119は、UIC処理装置6117およびUIコンピュータ読取可能媒体6118を有するUI制御ユニット6116と、ユーザUSBインタフェース6121と、UIネットワークインタフェース6120とを備え、それぞれ自動化コンピュータ6106の対応物と同じであるかまたは類似する。加えて、ユーザインタフェースコンピュータ6119は、UI制御ユニット6116をグラフィカルユーザインタフェース6115に連結するグラフィックスインタフェース6122を含んでもよい。好適な実装例において、ユーザインタフェースコンピュータ6119のソフトウェアは、自動化コンピュータ6106から受信するデータを解釈するタスクを担うのではなく、むしろデータをユーザに分かりやすく表示するタスクを担う。
図62は、自動化コンピュータ6106およびユーザインタフェースコンピュータ6119のそれぞれの自動化コンピュータ処理装置6109およびUIC処理装置6117で
実行できる様々な例示的なソフトウェアプロセスを概略的に示す。図示するプロセスは、エグゼクティブプロセスによって起動および監視してもよい。たとえば自動化コンピュータ処理装置6109およびUIC処理装置6117はそれぞれ、所定の処理装置内でプロセスを起動し、子プロセスの実行状態を判断する通信機構を提供するために自動化コンピュータエグゼクティブ6201およびUICエグゼクティブ6207を含んでもよい。エグゼクティブは、各子プロセスを監視して、各々が予期したとおりに始動して実行し続けることを保証する。具体的には、自動化コンピュータエグゼクティブ6201およびUICエグゼクティブ6207は、ハングプロセスを検出し得る。子プロセスが終了するまたは障害を起こす場合、各エグゼクティブプロセスは、システムが安全に動作し続けるために適切な措置を取り得る。これはプロセスを終了してUICエグゼクティブ6207に通知すること、システムを停止させること、または安全重視ではないプロセスを再開させることを包含してもよい。UICプロセッサでは、これはオペレータに通知することおよびハードキーを使って処置を完了させることを伴う。自動化コンピュータエグゼクティブ6201およびUICエグゼクティブ6207は、オペレーティングシステムから子プロセスの終了に関する通知を受信するのにLinuxの親子プロセス関係を使用してもよい。これによって異常なプロセスの終了および電源オフシーケンス中に予期される終了を処理できる。自動化コンピュータ6106と自動化コンピュータエグゼクティブ6201とUICエグゼクティブ6207は、それぞれの実行プロセスに関する情報を共有するためにその間にメッセージインタフェースを有してもよい。状態情報を定期的に共有することで、自動化コンピュータ処理装置(プロセッサユニット)6109およびUIC処理装置6117の両方ですべてのシステムプロセスの状態を一貫して見ることができる。自動化コンピュータエグゼクティブ6201は、電子機器へのウォッチドッグ信号を制御し、いずれかの子プロセスが無応答になる、またはフェールセーフ状態を要求する場合に、マシンをフェールセーフ状態に置くことができる。好ましくは、この制御は入出力サーバを必要とせずに、ハードウェアレジスタを介して直接発生できる。
図62の例に示すように、自動化コンピュータ処理装置6109は、I/Oサーバプロセス6205を含む。I/Oサーバプロセス6205は、透析ユニットのセンサおよびアクチュエータなどのハードウェアに直接アクセスして、他のプロセスが読書操作を要求できるようにするためのインタフェースを提供する。たとえばI/Oサーバプロセス6205は、センサおよびアクチュエータに読書するためのマシンコントローラ6202用のインタフェースを提供することによって、マシンコントローラをハードウェアの細部から分離してもよい。説明する実施例では、マシンコントローラ6202だけがI/Oサーバプロセス6205と通信し得る。インタフェースは、メッセージキューと同期させてもよい。
上述したマシンコントローラ6202は、マシンの動作を制御し、マシンの動作ステータスを報告するためのインタフェースとして機能する。具体的には、マシンコントローラ6202は、I/Oサーバプロセス6205を介してセンサを読取り、アクチュエータを設定するコントローラを実装する。これらのコントローラは、様々な血液透析治療を行えるようサポートするために、様々なパラメータ(例、流量、相、圧力および温度)を使って機能(例、吐出および加熱)をプログラミングできるように設計される。コントローラの構成は、プライミングや消毒などの高次のマシン機能を実装するステートマシンによって確立してもよい。ステートマシンは、マシンの能力と、後述する治療アプリケーション6203から受信する高次のコマンドに基づき、流路およびコントローラの設定点を構成する。マシンコントローラ6202は、安全で効果的な治療を維持するために様々なセンサで安全のクロスチェックも行ってもよい。マシンの状態と健康情報は、マシンコントローラ6202でデータベースに記録してもよい。
治療アプリケーション6203は、マシンコントローラ6202に血液透析プロセスに
関する個々の操作を行うよう命じることによって患者の治療を推進する。具体的には、治療アプリケーション6203は、治療を実施し、システムのモードを制御するステートマシンを実行し得る。ステートマシンは、たとえば透析液によるシステムのプライミング、患者のマシンへの連結、患者の透析、患者の血液の体内へのリンスバック、マシンの清掃、マシンの消毒、マシンの部品に対するテストの実行、古いまたは磨耗した部品の交換、次の処置のための患者の再来待ちを制御する。治療アプリケーション6203は、治療操作を実施するために、マシンコントローラ6202にコマンドを出し、マシンコントローラ6202にステータス情報を要求する。患者、治療およびマシンの情報を得るために、治療アプリケーション6203は、情報にアクセスし、処置ステータス情報を記憶するためのデータベースとインタフェースし得る。治療アプリケーション6203は、後述するユーザインタフェースモデル6206プロセスによるインタフェースとして、ユーザインタフェースにユーザの選択を転送し、治療ステータスを報告として戻すために使用してもよい。治療アプリケーション6203は、処置準備、患者の連結、透析、溶剤注入、患者連結解除、リサイクル準備、消毒、洗浄および使い捨て品の交換を含むステートマシンを実装する。治療アプリケーション6203のプロセスは、日常的な処置の準備および送達をする他のすべての治療アプリケーションの活動の順序付けを担う主制御モジュールも含んでもよい。
治療アプリケーション6203と同様に、ユーザインタフェース(UI)モデル6206は、自動化コンピュータ処理装置6109上で実行する。UIモデル6206は、システムおよび患者の現在の状態を記述する情報を集約して、オペレータ入力を介してシステムの状態の変更をサポートする。UIモデル6206は、ユーザインタフェースのディスプレイを制御する基盤ソフトウェアに影響を及ぼさずにユーザインタフェースのコンテンツを変更させることによって、ユーザインタフェースのディスプレイのコンテンツを非コンテンツ関連の面(例、プレゼンテーション)から分離する。このように、UIモデル6206の変更は、ユーザインタフェースが提供する視覚的体験に影響を及ぼさずに行える。UIモデル6206は、ディスプレイをこれに直接関連付けるのではなく、むしろユーザインタフェースユニット6002のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)6115(図61)に画面を表示し情報を返すように命じる。たとえばユーザが新たな画面に移動する場合、UIモデル6206は、ユーザインタフェースユニット6002に新たな画面の生成時に使用される情報を送信する。UIモデル6206は、ユーザインタフェースユニット6002から受信したユーザデータを確認することもでき、一端確認されたら、ユーザデータまたはそれに基づくコマンドを治療アプリケーション6203に転送する。
ユーザインタフェースユニット6002のグラフィカルユーザインタフェース6115(図61)のためのインタラクティブディスプレイを作成するために、UIビュープロセス6208がユーザインタフェースコンピュータのUIC処理装置(UIプロセッサ)6117上で実行される。UIビュープロセス6208は、画面の流れまたは治療状態を追跡し続ける必要はない。代わりに、UIビュープロセス6208は、自動化コンピュータ処理装置6109上で実行するUIモデル6206から、処置の現在の状態について何をどのようにユーザに表示し、何を入力できるかを指定する情報を受信する。その結果、グラフィカルユーザインタフェース6115は、システムの操作に影響を与えることなく終了し、再開できる。加えて、グラフィカルユーザインタフェース6115は、ユーザ入力の確認を担う必要はない。UIビュー6208が受信するすべての入力およびコマンドは、UIモデル6206に送られて、そこで確認する。このように、ユーザインタフェースの安全重視面のすべてをUIモデル6206で処理できる。安全関連ではないものなどの一定のプロセスは、UIモデル6206の関与を必要としない。たとえばユーザインタフェースコンピュータ上のデータベースに記憶された情報にアクセスするのに、UIモデル6206が何らかの機能を行う必要はない。
UIC処理装置(UIプロセッサ)6117上でも実行しながら、リモートアクセスアプリケーション6210は、外部機器のインタフェースを提供する。たとえばリモートアクセスアプリケーション6210は、ユーザが許可する場合、治療の監視、リモートサービス、オンライン支援、および他の外部サービスのためのインタフェースを提供してもよい。リモートアクセスアプリケーション6210は、リモート接続の開始、アクセスの確認、およびリモートサイトからUIモデル6206への通信サポートを担ってもよい。
データベースアクセスアプリケーション6209は、たとえばユーザインタフェースコンピュータ6119(図61)に所在する1つ以上のデータベースにデータを記憶して、そこからデータを検索する。データベースアクセスアプリケーション6209は、記録の記憶および検索を可能にし、処方箋、スケジュールおよび履歴情報など、システムが要求する情報の共通のアクセスポイントを提供する。データベースアクセスアプリケーション6209は、定期的にバックアップされるようにデータベースファイルを管理してもよい。
図62に関連して述べるように、ユーザインタフェースソフトウェアの機能性は、自動化コンピュータ処理装置6109とUIC処理装置6117とに分割してもよい。UIモデル6206およびUIコントローラ6204が協働して自動化コンピュータ6106のUIデータと状態情報の制御を分離することによって、UIビュー6208のソフトウェアと画面の設計変更がユーザインタフェースコンピュータ6119の非安全重視ソフトウェアにのみ影響するようにしてもよい。このように、UIモデル6206を安全重視レベルで試験して実行しながら、UIビュー6208は、非安全重視プロセスとして実行することができる。
一般に、ユーザインタフェースコンピュータ6119に表示される治療およびマシン状態の情報は、UIモデル6206からしか発信しない。一実施例によると、ユーザインタフェースコンピュータ6119に表示されるすべてのデータは、UIモデル6206から発信し、データベースレイヤから直接取得されるか、またはユーザが入力する一時的な編集データである。UIビュー6208に表示または記憶される唯一のローカル状態情報は、この一時的な編集データおよび情報のローカルレンダリングを可能にする細部であってもよい。このように、UIモデル6206は、確認されたすべてのデータの表示を維持、制御し得る。望むなら、非安全関連のデータは、UIビュー6208だけで扱ってもよい。たとえば表示言語の変更、または安全関連コンテンツに影響しない他の表示の変更は、UIモデル6206に一切影響せずに、UIビュー6208を使って行ってもよい。
図62に図示するソフトウェアプロセスと自動化コンピュータ処理装置6109およびUIC処理装置6117との関連付けは、上述した機能を行うためのソフトウェア構成の単なる一例にすぎないことは認識されたい。プロセスは、自動化コンピュータ処理装置6109およびUIC処理装置6117、および/または他のローカルプロセッサやリモートプロセッサの間に様々な代替方法で分配してもよい。また、血液透析システムにすべてのプロセスが必要なわけでもない。血液透析システムの機能性を維持しながら、一定のプロセスを省略または修正してもよい。
図63は、ユーザインタフェースに関する情報が、ユーザインタフェースコンピュータ6119と自動化コンピュータ6106のハードウェアコンポーネントおよびソフトウェアコンポーネントの間でどのように流れるかを示す例である。情報は、安全重視情報がUIモデルレイヤでまたはその下位でのみ処理されるように流れ、扱われてもよい。安全重視情報は、血液透析システムの操作に関係する。たとえば安全重視情報は、透析プロセスの状態、グラフィカルユーザインタフェースの画面の状態、および/または治療を実施ま
たは監視するためのアルゴリズムを備えてもよい。幾つかの例では、安全重視情報は、グラフィカルユーザインタフェースで表示してもよい。その場合、安全重視情報は、血液透析システムの操作に重要なコンテンツを備えてもよい。ユーザインタフェースで表示する非安全重視情報は、視覚的プレゼンテーションに関係し、血液透析システムの操作に重要ではない表示の面を備えてもよい。
図63に図示するように、図62に関連して述べるUIモデル6206、UIコントローラ6204および治療アプリケーション6203は、自動化コンピュータ6106上で実行する。UIビュー6208は、補助アプリケーション6301とともに、ユーザインタフェースコンピュータ6119上で実行する。データベース6302またはそのインタフェース(例、データベースサーバ)もユーザインタフェースコンピュータ6119に常駐してもよい。UIモデル6206は、システムおよび患者の現在の状態を記述する情報を集約し、グラフィカルユーザインタフェースに画面を表示し情報を戻すように命じる。システムをユーザ制御するために、これはユーザデータおよびコマンドを確認してから、治療アプリケーションに転送する。UIモデル6206は、ユーザインタフェースのコンテンツについてディスプレイからの独立を保つ。グラフィカルユーザインタフェースは、好ましくはマシンの状態情報を維持せず、基盤ソフトウェアに影響を与えずにユーザインタフェースを変更し、または一時的に切断されるようにする。グラフィカルユーザインタフェースは、ユーザ入力の確認を担わないが、確認をUIモデル6206の責任としたままで、様々な入力範囲を制限してもよい。
まずUIビュー6208とUIモデル6206との間の情報の流れを考えると、UIビューは、以下に説明するようにUIモデルのクライアントとして機能する。UIビュー6208は、UIモデル6206に現在の画面の状態を要求し、UIモデルは、その要求に応える。その応答は、UIビュー6208の主な画面の状態を決定する。UIモデル6206は、ユーザが要求する詳細レベルに応じてUIビュー6208がディスプレイ情報の様々なサブセットを提示できるように十分詳細に、データおよび状態情報を発行し得る。たとえばUIビュー6208は、UIモデル6206からの同じ情報を使用して、同じ治療状態を概要またはステップガイドのいずれでも提示できるであろう。情報の提示は、たとえばユーザが選択するモード(例、「熟練者」または「初心者」)に基づいてもよい。UIモデル6206は、UIモデルに、現在の提示モードなど、サブ状態情報を記録する能力をUIビュー6208に提供してもよい。これによって、ユーザインタフェースコンピュータ6119をリセットした場合に、グラフィカルユーザインタフェースは、その前の状態で操作を再開できる。
UIモデル6206は、UIビュー6208から、ユーザ入力データと治療開始の要求などの要求を受け入れる。UIビュー6208を介して提出される情報のデータ完全性は、UIビュー6208を介して提出されたデータを検証のためにUIモデル6206経由で送信するなど、いくつかの方法で向上または確保できる。つまり、データは、UIビュー6208でローカルに編集しながら、受け入れられるデータは、UIモデル6206に移してここで検証してから、データベース6302に記憶するおよび/または治療アプリケーション6203に送信してもよい。検証は、たとえば入力されたデータが予想範囲内であることを検証する工程を含む。入力された情報は、さらにUIモデル6206がデータベース6302から読み戻してから、UIビュー6208に送信してユーザに表示してもよい。このプロセスは、データベース6302に記憶されるデータが正しい、またはユーザの意図どおりであることを確認するために使える。データ完全性は、ユーザまたは別の当事者による入力されたデータの検証を要求することによっても向上できる。
図63に図示するように、ユーザインタフェースから受信した入力に応答して治療アプリケーション6203を制御し、それによってマシン状態に影響を与えるための直接の権
限は、自動化コンピュータ6106上で実行するUIモデル/UIコントローラ6303に制限してもよい。加えて、データベース6302の情報を変更するための直接の権限は、UIモデル/UIコントローラ6303に制限してもよい。この場合、少なくともほとんどの状況においては、UIビュー6208および補助アプリケーション6301は、ログの閲覧などのアクションのためにデータベースへの読取りアクセスを有するが、データベース6302への書込アクセスは有していない。このように、安全重視の含意をもつ可能性のある動作は、自動化コンピュータ6106上で分離され得る。当然ながら、UIビュー6208および補助アプリケーション6301に、データベースのある特定の部分に書込む、またはデータベースに非安全関連のデータを書込むなど、データベース6302への限定的な書込アクセスをもたせるのが望ましい場合もある。加えて、幾つかの実施例において、UIビュー6208に治療アプリケーション6203の諸側面を直接制御させるのが望ましい場合もある。
上述した補助アプリケーション6301は、たとえばログビューアまたはドキュメントビューアを備えてもよい。これらの補助アプリケーション6301は、ユーザインタフェースコンピュータ6119上で実行し、それ自体のプロセス空間で操作してもよい。しかし、UIビュー6208がこれらのアプリケーションを制御できるようにするために、補助アプリケーション6301は、UIビュー6208のクライアントにしてもよい。これによってUIビュー6208は、アプリケーションと標準的な方法で通信でき、UIビューにこれらプロセスを監視させることができる。
UIコントローラ6204は、UIビュー6208に表示される画面の状態を、治療アプリケーション6203からポーリングされたデータ、ローカルタイムアウト、UIビュー6208から受信したコマンド要求またはデータに基づき判断するテーブルベースの階層ステートマシン(HSM)を備えてもよい。図63に示すように、UIコントローラ6204は、要求に応じてデータベース6302にアクセスして、データを書込み得る。UIコントローラ6204の階層ステートマシンの状態は、UIビュー6208が表示する画面のセットの主な状態を判断し得る。
UIコントローラ6204がUIビュー6208によって表示される画面の状態を判断するために使用できる例示的な階層ステートマシンを図64に概略的に示す。図示するように、階層ステートマシン6400は、ユーザインタフェースの現在の機能状態6402および現在のメニュー状態6403を含め、「正常」(つまり、非アラーム)レベルのインタラクション6401の状態を判断する。図64に示す階層ステートマシン6400は、単なる例であり、もっとはるかに詳細に実施できる。たとえば「準備」と呼ばれる状態6404は、「供給源集合」状態、「化学薬品取付」状態、患者情報の入力および確認画面を含め、処置の準備に関する幾つかの状態を包含してもよい。確認画面は、「準備」状態から出る前に不正確な情報を訂正できるように、ユーザに前のデータ入力画面に戻る機会を与える。階層ステートマシン6400は、トリガされるアラーム状態6405も示す。アラーム状態は、図65に関連して説明する。
UIビュー6208は、アラームを表示するためにいつでも画面表示を占拠できる能力を有してもよい。流体の漏出、閉塞、または範囲外の温度など、ユーザまたは他の個人に異常な状態または他の注目すべき状態を知らせるべき一定の状況において、アラーム状態がトリガされる。アラーム状態が発生すると、UIコントローラ6204の状態が変わる。図65に図示するように、UIビュー6208がUIモデル6206に現在の状態をポーリングする場合、UIビュー6208は、正常状態6501から、アラーム情報6503を表示するアラーム状態6502に表示ビューを変更する。アラーム状態のときには、UIビュー6208は、他の情報がアラームの表示を遮ることのないようにし得る。しかし、アラーム状態中でも、ディスプレイは、ユーザが「ヘルプ」ボタンを起動して追加情
報にアクセスできるように構成してもよい。この場合、ヘルプ情報6504は、ヘルプ情報がビューの一部のみを覆うように割り付けてもよい。消音ロジックなど、アラームディスプレイの安全重視ロジックは、自動化コンピュータ6106で制御され得る。たとえばユーザがアラームを消音にしたい場合、消音要求の表示をUIモデル/UIコントローラ6303にリレーバックし、そこで可聴アラームを一時的に消音にさせることができる。アラーム状態および正常状態のそれぞれにおいて、それぞれ代替ビュー6505および6506が可能である。
上記説明したように、アラームが発生すると、正常なUIビューの状態は、アラーム状態情報が表示できるように終了する。画面が切り替わると、ローカル画面の選択および/または編集データが失われることがある。この情報を保存するのが望ましいため、UIビュー6208は、UIモデル/UIコントローラ6303がアラーム状態直前に表示される画面(つまり、正常状態に関する画面)に関する情報を記憶するよう要求してもよい。アラームの結論で、正常状態が変更されなかった場合、UIビュー6208は、記憶した情報を検索し、画面表示を復旧できる。更なる利点として、この特徴は、ユーザインタフェースコンピュータ6119が不注意でリセットされた場合に以前のビューを復旧するのにも使える。
治療機能は、個別の状態として各活動およびユーザインタラクションを定義する階層ステートマシンとしてモデル化され、実装される。図66に示すように、治療レイヤ6601は、ユーザインターフェースモデルレイヤ6602とマシンレイヤ6603との間にある。治療レイヤは、ユーザインターフェースモデルレイヤともデータを共有するデータベース6604に記憶されるデータを生成するとともに、データを使用する。
治療レイヤ6601は、全体として体外処置システムとしてのシステムの状態を制御し、利用できるユーザインターフェースインタラクションを決める。治療レイヤ6601は、ユーザインターフェースモデルレイヤ6602によって状態/ステータス情報に関してポーリングされる。治療レイヤ6601は、ユーザの状態変化要求を受け入れ、ユーザインターフェースモデルレイヤ6602上の治療設定6606から治療設定6605に切り換える。治療レイヤ6601は、治療制御・アプレット6608からコマンド6607を発行することによって、流体流路の制御においてマシンレイヤ6603を指示する。治療レイヤ6601は、マシンレイヤ6603から状態情報6609をポーリングして、プロセスの状態を判断する。
データベース6604に読み書きされる情報は、部品ステータス6610、部品履歴6611、ユーザパラメータ6612、治療限界6613、治療設定6614および治療履歴6615を含んでもよい。例えば、交換可能部品情報をデータベース6604から読取ったり更新したりでき、所要の流体の使用および消毒情報をデータベース6604から読取ることができる。治療レイヤ6601は、ロギングの目的と、一時的な停電が起こった場合に復旧しやすくするために、データベース6604に治療ステータス6616情報を定期的に書き込む。また治療レイヤ6601は、部品ステータス情報6617でデータベース6604を更新する。
プロセッサ間の通信は、すべてリモートプロセス呼出しとして、サーバ定義クライアントのアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して行える。治療レイヤ6601は、マシンレイヤおよびデータベースのインターフェースをそのそれぞれのクライアントAPIを介して呼び出すときにブロックし得る。しかし、患者の治療を行っている間など重大な機能中は、治療レイヤは、一般的にデータベースアクセスのブロックを行わない。一般に、非同期(一方向)の書き込みを使ってデータベースへの重大でない更新のみを行う。
ユーザインターフェースモデルレイヤ6602は、治療クライアントAPIを介して治療レイヤを呼び出すときにブロックし得る。治療レイヤのプロセスは、ユーザインターフェースモデルレイヤ6602など、そのクライアントのものより優先度が高いと考えられよう。
システムは、例外条件またはエラーを一般に少なくとも3通りの方法のうちの1つで取り扱える。ソフトウェアでまたはCPUに関連して検出されるシステムエラー(例えば、メモリ障害など)は、システムの信頼性に疑問を投げかけ、フェールセーフ状態をトリガする。治療の変数が許容可能な限界に近づく、またはそれを超えると、治療エラーまたは状態が発生する。少なくともアラートまたはアラーム(ユーザのアクションを要求するイベント)がトリガされ、その状態がログされる。最後に、問題がオペレータまたは保守技術者から報告される場合、システムの操作状態がトリガされ、後で検索および分析するためにデータベースにログできる。
一般的に、マシンレイヤ6603は、治療レイヤ6601が明示的に要求しない限り状態を変更しない。このため、治療レイヤ6601が現在の操作状態に有効な変更要求をすることを前提とすれば、マシンレイヤ6603は、一般的に治療レイヤ6601が要求する変更に応答してエラーを生成することはない。そのため、マシンレイヤ6603のコマンドエラーは許容できない。例外は、治療レイヤ6601インタラクションに先立って、マシンレイヤ6603が直接「休止−フリーズ−停止」ボタンによって働きかけられる場合である。この場合、マシンレイヤ6603は、治療レイヤが「休止−停止−フリーズ」動作を確認するまで、その後の治療レイヤ6601のコマンドを無視する。
例外事例(例、血液の漏出、またはラインへの空気の混入が起こった場合)および直交状態は、外部のユーザインターフェースモデルレイヤ6602に提示される状態が唯一の現在の状態になるように優先され得る。複数の直交状態がユーザインターフェースの状態を設定しようとする場合、一般に処理される最後の直交状態だけが提示される。予期しない例外は、フェールセーフ状態を命じることによって処理され得る。
上記説明したように、治療レイヤ6601のソフトウェアは、マシンレイヤ6603と、ユーザインターフェースモデルレイヤ6602との間の状態ベースの制御レイヤである。治療レイヤ6601がユーザインターフェースモデルレイヤ6602に提示するインターフェースおよびアクセス方法を以下に述べる。
治療レイヤ6601は、ユーザインターフェースモデルレイヤ6602からコマンド要求を受信する状態ベースのレイヤである。どのような状態からも有効なコマンドがある。状態固有のものもあり、治療レイヤ6601は現在のコマンド要求に応じて行為するか否か決める。現在の状態がコマンド要求に有効ではない場合、ユーザインターフェースモデルレイヤ6602からの要求は拒絶されて、適切な拒絶理由がクライアントに返る。このように、安全重視な操作は、現在の状態に不適切なコマンドから保護される。安全で確認済みのオペレータのコマンド活動のみが処理され得る。ユーザインターフェースモデルレイヤ6602との治療レイヤ6601のインターフェースはサーバでもよく、ユーザインターフェースモデルレイヤ6602は標準的なIPCクライアント/サーバ接続方法を使ったクライアントプロセスとしてそれにアクセスしてもよい。
治療レイヤ6601とユーザインターフェースモデルレイヤ6602との同期は、「マスター状態」と「サブ状態」の2つの状態ベースの列挙型に基づいてもよい。マスター状態は、現在アクティブな治療レイヤ6601のステートマシンを示す。サブ状態は、アラーム、ユーザインタラクションまたは期間をもつ治療サブ状態のすべてを識別できる固有
の状態表示を提供する。これらの状態変数は、治療ステータスメッセージで更新する。これにより、治療レイヤ6601は、どのアクティブなユーザ操作が応答し、「継続」のようなコマンドに文脈を提供しているのか検証できる。
ここで図66に図示するマシンレイヤ6603に移ると、図67にマシンレイヤの実装例が示されている。マシンのソフトウェアは特定の操作セットを実装できる能力を提供する抽象概念のレイヤである。これらの操作には、システムのプライミング、透析の実施、消毒、排液および自己試験が含まれる。マシンのソフトウェアは、特定の弁を操作し、ポンプを稼動し、流路を制御し、測定を行う。マシンレイヤの操作中、操作を邪魔せずにいつでもステータス情報を要求できる。
図67を参照して、マシンレイヤステートマシン6701のうちの1つの状態は、水によるプライミング済み状態6702である。水プライミングコマンド6703を送信し、水によるプライミング6704操作を完了させることによって、この状態になる。水によるプライミング済み状態6702において、流路を逆浸透(RO)水で満たし、空気をパージングする。加えて、この状態は洗浄、消毒、および流れ試験や液圧完全性試験を含む様々な試験を行うために使用する。
空気充填済み状態6705では、透析装置および限外濾過装置の完全性試験を実行し、コンポーネントを交換するために使用する。この状態において、システムは実行可能な限り多くの流体を除去させているであろう。
処置状態6706で透析処置を行う。この状態に入るには、透析装置および限外濾過装置のパラメータを設定するコマンド6707を送信する。例えば、透析パラメータ設定コマンド6707は設置済みの使い捨てフィルタのパラメータおよび針/カテーテルのサイズを通信し得る。処置状態6706の初期状態は、透析パラメータ設定状態6708である。
透析パラメータ設定状態6708が発行するコマンドは、透析液源に依存する。源が袋入りの透析液の場合、透析液プライミングコマンド6711が発行され、プロセスは、そのまま透析液によるプライミング6709に進む。システムが重炭酸塩カートリッジと酸から透析液を作る場合、連結部を検証しなければならない。この場合、薬品点検コマンド6712が発行され、プロセスは、薬品連結部点検状態6710に進む。乾燥試験を用いて、空の化学薬品容器が連結されていることを検証できる。湿潤試験を用いると、容器内に空気が存在しないか、または最小限の空気しか存在しないことを検出することによって、プライミングされた化学薬品容器が連結されていることを検証できる。化学薬品容器に正圧または負圧を印加すると、緩んだ連結部または漏出の存在を検出できる。逆に、「バイパス点検」試験を行うと、バイパスコネクタが所定の位置にあることを検証できる。流路内の正圧または負圧を測定すると、化学薬品濃縮液容器および管またはバイパスコネクタが存在するか否か判断できる。正圧または負圧を印加すると、コネクタに関連した漏出の有無も判断できる。この状態が完了すると、透析液プライミングコマンド6711が発行され、プロセスは、透析液によるプライミング6709に進む。
袋入り透析液を使用する場合、プライミングプロセスがすぐに始まる。逆浸透水から透析液を作る場合、システムは、重炭酸塩カートリッジをプライミングし、透析液の伝導度を所要のレベルに安定化させるべきである。さらにシステムは、透析液タンクを最低限のレベルまで満たすべきである。システムは、透析液回路のポンプを往復運転させてカセットから空気を抜くことによって自己プライミングする。プライミング中に伝導度センサを点検すると、その読取値が一定のままであることを確認できる。透析液を透析装置を通して血液ループに導入することによって、システムはプライミングを終了する。ここでのプ
ライミングは、往復の流れも伴って、血液ループから空気をパージするのを助けることもできる。また、動脈ラインおよび静脈ラインを時々分離すると、空気をより効率的にパージできる。血液ループのプライミングも、処置前に透析装置に必要な最低限の洗浄容量を満たすのにも役立つ。このプロセスが完了すると、患者を連結できる。
処置を開始する前に、流体調製パラメータ設定コマンドをマシンレイヤ6701に送信してもよい。このコマンドは、透析液を作るため、または事前に作成された透析液を使用するために必要な情報を通信する。例えば、次の透析液情報を提供してもよい。重炭酸塩カートリッジのプライミング容量(ml)、重炭酸塩の容積比(mg/ml)、酸および塩添加後の目標の透析液伝導度(mS/cm@25℃)(透析液の最終組成)、酸容量混合(ml酸/ml水)。次の透析液源の情報を提供してもよい。逆浸透(RO)水または事前作成済みの透析液(RO/袋入り)、および事前作成済み透析液容量(ml)。
空気圧完全性試験操作6715は、システムの空気圧装置を検証する。この操作は漏出を点検し、センサを検証し得る。この操作は次の個々の試験を含んでもよく、個々の試験は個々別々に実行しても、全部を連続的に実行してもよい。カセット漏出試験、圧力ポンプ試験、定量ポンプ試験、および透析液タンク漏出試験。カセット漏出試験は弁マニホールド、圧力ポンプチャンバおよび配管設備の空気の漏出を試験する。すべての圧力ポンプにある流体弁を閉じてから、正の可変弁を開放する。次に、コンプレッサを起動して空気圧系統を加圧する。目標の圧力に達したらコンプレッサの電源を切り、システムの圧力を、例えば10秒間、監視する。その時間の経過後、圧力が閾値を超えていれば試験は合格である。さらに負の可変弁を使って試験を繰り返す。定量ポンプ試験では、流体管理システムチャンバに正圧を充填して、流体管理システムチャンバがその圧力に達することを検証する。システムは、正圧弁を閉じて、試験の閾値を超える漏出がないか検証する。負圧でこのプロセスを繰り返す。幾つかの例では、漏出試験の合否判定に圧力減衰率を使用する。
液圧完全性試験操作6716では、システムの流体弁を検証する。この試験では、ポンプチャンバを水で満たしてからチャンバを駆動し、さらにポンプチャンバの圧力低下を測定することによって弁の漏出を検出する。この操作は、弁に流体を押し流す圧力ポンプに基づき幾つかの弁のセットに分割される。
限外濾過装置完全性試験操作6717は、漏出を点検するための限外濾過装置の膜の圧力試験である。限外濾過装置の入口側に空気圧を印加する。一般に空気は無傷の湿式フィルタを通過しないため、空気圧が維持される。この試験は「空気充填済み」状態で行い、外側の透析液側を加圧し、時間の経過による圧力低下を測定することによって限外濾過装置を検証する。
血液管セット(BTS)/透析装置完全性試験操作6718は、透析装置を含む血液ループの圧力試験である。この試験では、血液ループを加圧して、時間の経過による圧力を監視する。測定された圧力低下が入力された減衰閾値未満であれば、試験は合格である。血液管、ポンプおよび透析装置を1ユニットとして交換する場合、この試験では漏出の場所を判断する必要はない。
インピーダンスベースの清掃率試験操作6719は、透析装置を通る血流路が効果的な透析治療となるのに十分低い抵抗をもつことを検証する。インピーダンス試験を始める前に、システムを水でプライミングする。試験中、流れは透析装置を横断させる。水が透析装置を横断して流れるときのポンプ圧を監視し、これが透析装置のインピーダンスの尺度となる。これに代えて、一定圧力を印加することもでき、所定の容量がフィルタ膜を横断するのにかかる時間を測定できる。透析液回路は、膜を押し通る流体の一定の低インピー
ダンスの行先になるように設定する。透析装置のインピーダンスが高すぎる場合、障害が報告され、透析装置を交換する必要がある。限外濾過装置流れ試験操作6724も、限外濾過装置のインピーダンスが治療に必要な流量をサポートするのに十分低いことを確認するために行う。この試験は、完全性試験の結果が有効であることを確認するという利点を有する。
透析液タンク排出状態6720は、流体の作成を停止し、或る量(例、3000ml)を移してしまうまで、または排液管に空気を検出するまで透析液タンクの内容物を排液管に汲出すために、透析液ポンプを合理的に最も速い速度で運転する。デプライミング操作6721では、限外濾過装置の外側の血液管セットおよび透析液回路に空気を充填しながら、システムから流体をパージするために使用する。この状態を使用して、透析装置および限外濾過装置の完全性を検証する圧力減衰試験を行い、また流体の成分を変更し、ユニットの運搬準備をする。内側透析液回路は、無傷の透析装置または限外濾過装置に空気を送る込むことはできず、また内側回路に換気口がないため、一般にデプライミングできない。
水によるプライミング操作6722はシステムを水で満たし、空気をパージする。流体作成セクションから始めて、外側透析液、内側透析液、さらに血液ループへと移動しながら、数段階でシステムを充填してもよい。この操作を行う前に、重炭酸塩カートリッジおよび酸バッグを取り外すべきで、バイパスコネクタは所定の位置につけておくべきである。一実装例によると、バイパスコネクタはそれぞれ、混合回路25の重炭酸塩投入ライン、酸流れライン、および重炭酸塩戻りラインに対応する3つの連結点を備える。バイパスコネクタはそれぞれ、3つの連結点に対応する3つの平行なプロングを有する。バイパスコネクタのプロングのチャネルはバイパスコネクタ内の共通チャンバ内で終端する。このため、消毒手順中、重炭酸塩投入ライン、酸流れライン、および重炭酸塩戻りラインはすべて相互接続されて、消毒手順中にこれら流れラインそれぞれの消毒が可能となる。このようなバイパスコネクタの実施例は、2008年8月27日に出願された米国特許出願第12/199,055号明細書に記述される「消毒コネクタ」であり、参照により本明細書に組み込まれる。
消毒/洗浄状態6723では、逆浸透水を指定温度ですべての流路に流すために使用する。この操作の前に、システムは「水によるプライミング済み」状態6725であるはずである。この操作を高温で行うと消毒となる。操作の開始時点でタンクに逆浸透(「RO」)水を満たす。透析液タンクの水は、透析液回路の消毒経路から、すべての流体作成流路および血液管セットの経路を通って透析液タンクに戻り再循環される。再循環水が失われると(排液管に送られる)、透析液タンクで最低限のレベルに維持するために逆浸透水が追加され得る。これに代えて、好適な実施例では、汚染の可能性を防止するために追加の水は導入しない。この操作中には化学薬品カートリッジを取り付けない。
上述した透析液によるプライミング操作6709では、すべての流路に透析液をフラッシングして、システム内の空気または水を除去するために使用する。この操作が完了しなければ、システムは患者連結状態6713に移れない。この操作では、流体作成サブシステムを起動し、流体作成サブシステムは逆浸透水と化学薬品との混合、および透析液タンクのレベルの維持を担う。タンクが満タンの75%未満になると、そのレベルになるまでプライミングを遅らせてもよい。タンクレベルはできれば1.1リットルより多く維持する。そうでなければ、信号を発して、治療を停止してもよい。この量は混合制御の精度に必要な十分なリンスバック容量と十分大きな平均容量を考慮に入れる。プライミング中、ラインへの空気混入センサ、血液漏出センサおよび安全システムが試験される。
患者連結状態6713において、透析処置を行うことができる。透析液洗浄コマンド6
714を発行する前に、血液管を排液管連結部に戻す。安全のために、患者連結状態6713の間は透析液の温度を抑制し、透析液の伝導度および流量を監視してもよい。
血液によるプライミング操作6726では、血液回路から透析液を除去することによって、患者の血液と置換する。透析液は、透析装置の膜を横断して透析回路に引き込まれ、そして排液管に廃棄される。患者から血液が血液回路に引き込まれることによって、膜を横断して張引される透析液に置換される。このため、血液管セットを占めるプライミング流体のほとんどは透析の開始時点で患者に投与される必要はない。任意で、患者はこの操作を取り消すことによって、プライミング流体が投与されることを選ぶことができる。これは、例えば、患者が透析開始時点で追加流体が必要な場合に望ましいであろう。この操作では、マシンのソフトウェアを患者連結状態6713に移行させ、温度限界などの安全上の制約を起動する。
ヘパリンボーラス操作6727では、患者インタラクションを必要とせずに、処置前にヘパリンのボーラスを送達する。通常の透析操作の前に、また患者に投与する流体の量を最小限にするために、ボーラスを患者のバスキュラーアクセスへの短い方の経路である動脈ラインに投下できる。ラインへの空気混入状態を検出またはそれが存在する場合、ヘパリンボーラスは任意で、エアトラップ機構または装置を内蔵する静脈ラインに投下できる。
透析操作6728は、患者に透析処置を施すために使用する。血液回路および透析液回路の速度を独立して指定してもよい。この操作は時間制限を設ける、または停止コマンドで終了させることができる。例として、次のパラメータを指定してもよい。特に、システムを流れる透析液を加熱し維持する温度、透析液を血液回路に循環させる速度、基礎量または維持用のヘパリンを血液回路に追加する速度、透析液を透析液回路に循環させる速度、および透析液を限外濾過ポンプに通す速度。透析中、限外濾過装置は定期的に「ガス抜き」されて、処置中に内部に蓄積した気体を放出する。これは限外濾過装置の頂部から排液管までの経路を開けながら、限外濾過装置の頂部から透析液回路までの経路を閉じると行える。こうして透析装置の頂部にトラップされた空気は排液管にフラッシングできる。空気および流体を排液管に向かわせるために2ポンプストローク以上してから、弁をリセットすると、透析操作を継続できる。
停電復旧6733コマンドは、患者連結状態6713にあるときに停電があったことをマシンのソフトウェアに伝えるために送信される。これによりマシンのソフトウェアを強制的に患者連結解除状態にするので、透析装置が適切に復旧し、次の処置の準備(例、リサイクル準備)をすることができる。
溶剤注入操作6729では、透析液を患者に送達する。透析液は、外側透析液ポンプによって透析装置を横断して送り込まれ、血液ポンプによって患者に送達される。このコマンドは、透析を停止し、内側ポンプをフリーズし、外側ポンプに透析液を充填することによってシステムに注入準備をさせて、患者に透析液を送達する。このコマンドを受信した後、マシンのソフトウェアは次のコマンドの1つを期待する。溶剤注入確認(溶剤注入を続ける)、透析(溶剤注入を行わず、代わりに透析を再開する)、またはコマンド停止(システムをアイドル状態に戻す)。好ましくは溶剤注入中血液ポンプは、運転し続ける。
膜の凝固を防止するのに役立てるため、透析装置の膜を横断して定期的に透析液を逆方向にフラッシングさせるバックフラッシュ操作を透析中にプログラミングできる。リンスバック操作6730では連結解除の準備で透析液を患者に押し流して、患者の血液を戻す。透析液は外側透析液ポンプによって透析装置を横断して送り込まれて、患者に送達される。これは静脈路および動脈路ともに自動化される。
バイパス点検操作6731は酸容器および重炭酸塩カートリッジまたは容器のバイパスコネクタの存在を点検する。好適な実施例では、この操作はバイパスコネクタを真空引きさせて、漏出を検出する。薬品排液操作6732は、化学薬品容器の内容物を排液管に移して空にする。好適な実施例において、化学薬品容器の内容物は各処置の後廃棄され、患者にとって片付けをやりやすくし、化学薬品を再利用しようとするときの潜在的な問題をなくす。
ドア点検操作では、血液透析装置のドアが閉じていることを検証し、患者が連結解除されていることを確認するのを助ける。さらにDCA点検操作では、患者が血液管セットのバスキュラーアクセスコネクタに栓をして、処置セッション後の洗浄および消毒のためにマシンのDCA・DCVポートに戻していることを検証できる。
加えて、血流路清掃操作は透析液タンクの内容物を血液回路を通して排液管に押し出す。洗浄は、透析処置の後に血液回路および透析装置から残留血液をフラッシングするのに使用する。実施例において、透析装置および管部品から屑を緩める機械的作用を高めるために、流体に空気を導入する。この操作中、流体作成から水が出され、この水がタンク内の透析液を希釈することになる。
再循環操作は、プライミングされた後でまだ患者に連結されていないとき、システムの温度および透析液の新鮮さを維持するために使用する。これは血液ポンプも運転しながら、透析液をヒータ、限外濾過装置を通して内側ポンプに流し、それを透析装置に通過させることによって行う。少量の透析液を常に排液管に送ることができる。
マシンレイヤ6701も停止、フリーズ、再開および遮断コマンドに応答し得る。停止コマンドはマシンが行う操作を終了する。停止コマンドが発行されると、現在のポンプサイクルが完了し、さらに弁がすべて閉じる。ストロークは完了しているため、すべての流体の収支計算は正確である。すべての弁を閉じた後、ステートマシンは次のコマンドを待つ「アイドル」状態に戻る。このコマンドは、ステータス取得コマンド、透析パラメータ設定または流体パラメータ設定コマンドは操作を開始しないため、これらコマンドには影響しない。
フリーズコマンドは、システムにすべての弁をその現在のサイクルで閉鎖させる。これには流体作成弁も含まれる。ヒータの電源を切ることによって、内部の流体の過熱を防ぐ。再開コマンドがフリーズコマンドの後に発行される場合、流体容量の収支計算は、正確である。フリーズコマンドの後にフリーズしたもの以外の操作に入るコマンドが出される場合、元の状態で部分的な流体の搬送があったかもしれないということとは関係なく、流体容量は新たな操作に割り当てられる。現在の操作の状態履歴が保持されるので、「再開」コマンドを使用して操作を継続できる。再開コマンドは、マシンにフリーズされたコマンドを処理し続けさせる。遮断コマンドは、マシンのソフトウェアのプロセスを終了するために使用される。
図62および図63に関連して図示および説明される治療アプリケーション6203は、マシンコントローラおよびI/Oサーバプロセスによって実施される治療を実施するステートマシンを実行する。ステートマシンは、処置準備、患者連結、透析、溶剤注入、患者連結解除、リサイクル準備、消毒、洗浄および使い捨て品の交換のような機能を行い得る。治療アプリケーション6203は、日常的な処置の準備をして与える他のすべての治療アプリケーションの活動を順序付けることを担う主制御モジュールも備える。
図62および図63を参照して、治療アプリケーション6203は、UIモデル620
6に治療の開始、停止および構成をさせ、治療ステータスを報告させるインターフェースを提供する。治療アプリケーション6203は、マシンコントローラともインターフェースする。具体的には治療アプリケーション6203は、治療操作を実施するために、マシンコントローラにコマンドを発行し、マシンコントローラからステータスを要求する。患者、治療およびマシン情報にアクセスするために、治療アプリケーション6203は、データベース6302とインターフェースする。このインターフェースを利用して、処置ステータス情報も記憶する。
以下に説明するのは、治療アプリケーション6203の個々のアプリケーションである。これらのアプリケーションは、(1)リサイクル準備、(2)血流路清掃、(3)消毒、(4)内毒素洗浄、(5)処置準備、(6)患者連結、(7)透析、(8)溶剤注入、(9)リンスバック、(10)標本抽出、(11)部品交換、および(12)化学薬品取付である。
(1)リサイクル準備
図68は、リサイクル準備アプリケーションの実装例を示す。リサイクル準備アプリケーションは、システムをリサイクルさせる準備をする。リサイクルを開始する前に、システムは、ドアが閉じていることを確認する。これによりシステムは、清掃および消毒をうまく行えるが、患者をうっかり連結解除し忘れないことにもなる。
次にシステムは、ユーザに化学薬品濃縮液カートリッジを外して廃棄するよう促す。システムは、まず残りの化学薬品を排出することによって、取り外しの際のこぼれを最小限にする。ユーザはカートリッジをすぐに取り外したければ、この排出工程を省略する選択をしてもよい。カートリッジが取り外されて廃棄されてしまえば、ユーザは化学薬品バイパスコネクタを取り付けてシステムをリサイクルさせる準備をする。
化学薬品カートリッジの排出および取り外し中、システムは、同時に圧力試験を行い、ヘパリンコネクタへの小瓶の取り付けを含め、オペレータが血液管セット(BTS)を正しく連結していることを確認する。このようにシステムは、問題があればオペレータに知らせて、是正する。こうしてシステムは、行われていないリサイクルの残りをうまくやり通すことができる。よじれ、締め具の閉鎖または凝血塊がないことを確認するために、血液管セットの様々な部分を順次加圧して試験を行う。血液管セットの完全性も、透析装置を湿潤状態にした後に血液管セットおよび透析装置の全体を空気で加圧し、血液管、血液管連結部、透析装置または透析装置の連結部の漏出を示す閾値圧力減衰値を監視することによって点検できる。消毒ポートも点検して、静脈ラインおよび動脈ラインがそのポートにしっかり固定されているか確認する。これらの試験のいずれかに不合格になる場合、ユーザにその不具合を知らせて、それを是正する方法を指導する。すべての試験に合格するまで試験を繰り返す。
透析装置および血液管セットが処置または消毒の使用限界に達した場合、またはオペレータがそれを交換することにする場合、リサイクルの前に交換する。限外濾過装置が限外濾過装置の膜内外圧力(TMP)またはインピーダンス試験の限度を超え、その消毒使用限界に達する場合、またはオペレータがそれを交換することにする場合、限外濾過装置はリサイクルの前に交換する。これらの部品を交換するために、ユーザは、図78に関連して説明する部品交換アプリケーションを呼び出すことができる。
図68を参照して、リサイクル準備アプリケーション6801が示される。監視状態6802では、休止要求6803または透析液漏出6804を監視する。この状態6802中に、システムはさらに、ドアが閉じていることを確認する。ドアが閉じているということは、患者が現在マシンに連結されていないことを意味する。この点検をドア点検状態6805で行う。ドアが閉じている場合、プロセスは、処置後データ入力状態6806に進
む。
処置後データ入力状態6806は、患者/オペレータに種々の処置後データの入力を促す。処置前データが入力されたことをシステムが示す場合、システムは、オペレータ/患者に処置後データを入力するよう促す。処置後体重、血圧および脈拍数などの処置後データが要求され得る。これらの入力からの情報は、処置報告情報のシステムログに含めてもよい。加えてシステムは、リサイクルプロセスを続けるためには、この情報の入力を必要とするわけではない。システムが処置前データが入力されなかったことを示すと、システムは、オペレータ/患者に処置後データの入力を促さない。
供給源および排液管点検状態6807では、入口水源および排液管が正しく接続されていることを確認する。これにより、システムは、確実にリサイクルをうまく行うことができる。供給源および排液管復帰点検状態6808は、オペレータに検出された供給源/排液管の障害に関する情報と、必要な是正措置を提供する。例えばユーザに、入口水源または排液管が正しく取り付けられていないことを知らせ、問題を是正する方法を指導する。
化学薬品濃縮液除去・血液管セット点検状態6809は2つの操作を同時に実行する。両方の操作が完了すると、システムは、リサイクル操作を続けられる。この状態中に起こる操作は、化学薬品濃縮液の処分および除去と、血液管セット連結部の点検である。血液管セットおよび透析装置の交換もこの時点で評価する。最初の操作で、化学薬品濃縮液有無点検状態6810が、化学薬品の有無を検出して、次の工程を判断する。具体的には、空気完全性試験を使用すると、システムは、化学薬品濃縮液容器の有無を検出できる。化学薬品排出状態6811で、システムは、残留化学薬品濃縮液を容器から排出するのに必要な操作を行う。この目的は、容器の除去および処分をより清潔にかつ容易にさせ、廃棄物をできるだけ少なくすることである。ユーザには排出を省略する選択ができることを促してもよい。化学薬品濃縮液除去状態6812は、ユーザに化学薬品濃縮液を除去して、化学薬品のバイパスドアを閉じるための指示を与え、さらに指示を与えてもよい。指示には、マシンが効果的に化学薬品濃縮液ポートを消毒できるようにマシンの構成の仕方を含めてもよい。血液管セット点検待ち状態6813は、化学薬品処分および除去操作の終点である。システムは、同時に行われる他の操作が完了するまでこの状態に留まる。
化学薬品濃縮液除去・血液管セット点検状態6809が実行する二番目の操作に移ると、血液管セット点検状態6814中にシステムは、血液管セットおよび透析装置の交換が必要か否か評価する。オペレータが透析装置および血液管セットの交換を選べるオプションも表示してもよい。このオプションには、透析装置の凝固ステータスに関するデータ入力を含んでもよく、化学薬品濃縮液除去・血液管セット点検状態6809が完了するまでユーザに利用できる状態にしておいてもよい。血液管セットおよび透析装置の交換が必要なければ、または要求されなければ、システムは、血液管セットがリサイクルのために正しく接続されていることを確認し、凝固を防止するために血液管セット流体を再循環させる。血液管セット連結試験6815では、血液管セットがリサイクルのために正しく接続されていることを確認する。これには、患者のコネクタがその消毒ポートに正しく取り付けられていること、締め具が開いていて、血液管セットがよじれていないこと、血液管セットが空気検出器およびオクルーダーに正しく取り付けられていることの確認を含んでもよい。連結復帰状態6816では、検出された障害に関する情報と、必要な是正措置をユーザに与える。例えば、ユーザに血液管セットが正しく取り付けられていないことを知らせて、その問題を示してもよい。通知には、血液管セット連結試験6815からの障害コードに基づき行うべき是正措置を含めてもよい。処置セッション後の洗浄および消毒のために、患者が血液管セットのバスキュラーアクセス連結部をマシンのDCA/DCVポートに差し戻していることを検証するために、DC連結試験を行ってもよい。ヘパリン小瓶連結試験も行って、小瓶が血液ポンプカセットのヘパリン/薬剤注入スパイクに取り付け
られていることを検証してもよい。これにより消毒流体は、確実に小瓶に出入りでき、プロセス中の小瓶スパイクおよびヘパリン流体路を清潔にできる。
血液管セット流体再循環状態6817では、血液管セットの流体の再循環を開始して、患者の残留血液が流れなくなったり、凝血塊が形成されるのを防ぐ。システムは、このプロセスをシステムが血液管セット連結部が消毒ポートに正しく差し込まれていることを検出した時にのみ行えるように構成してもよい。化学薬品濃縮液除去待ち状態6818は、同時に起こっている他の操作を完了させる待機状態として機能する。化学薬品濃縮液の除去が完了したとシステムが示せば、システムは続行する。
どの部品を交換するかに関係なく、部品交換点検状態6819は、部品交換の移行点として機能し得る。限外濾過装置の交換が必要か否かも評価する。限外濾過装置がその膜内外圧力試験限界を超えた場合、またはその消毒使用限界に達した場合に、限外濾過装置の交換が必要となるであろう。血液管セットおよび透析装置の交換が必要であるとすでに判断された、またはユーザにより要求された場合には、血液管セットおよび透析装置を交換するべきである。何らかの交換が必要な場合、このデータは休止状態6820に移され、そこで部品交換6821は、活動を実行する。交換プロセスがシステムおよびオペレータにより完了したら、リサイクル準備アプリケーションが再開する。
最終ドア点検状態6822では、ドアがまだ閉まっていることを確認するドアの最終点検を行う。これはマシンのリサイクルを妨げるおそれのある不必要なアラームを防ぐためである。ドア開放復帰状態6823では、患者にドアが開いていることを通知して、ユーザにドアを閉めるよう促す。
休止状態6820では操作を中止して、患者に付加的な活動を行う選択をさせる。一旦停止状態6824では、すべてのマシン操作を中止する。例えば、この状態はすべての流れを停止する。休止メニュー状態6825では、患者に付加的な活動を行う選択をさせ、部品交換6821、遮断6826、電力待機6827およびリサイクル準備再開6828のオプションを表示し得る。
透析液漏出アラーム状態6829では、操作を停止し、ユーザに透析液の漏出を検出したことを通知する。漏出解決状態6830では、ユーザが漏出を解消し、それをユーザから知らされるのを待つ。
(2)血液路清掃
次に、消毒の前に血液および透析液を経路から一掃する方法を行ってもよい。処置で残された残留血液および透析液は消毒を行う前に透析装置から洗い流す。消毒プロセスをするとその後に除去するのが難しくなるため、これらの物質を予め除去しておくのが望ましい。また、残留血液および透析液は細菌源となるため、これらを除去するのが望ましい。複数回再利用している間の性能劣化をできるだけ少なくするように、透析装置を効果的に清掃するよう特に気を付ける。
血液および透析液経路の清掃は、一定量の流体をこれらの経路にフラッシングし、その流体を排液管に流出させることで行える。血液および凝血塊が血液経路に滞留するため、血液経路の清掃の方が透析液経路の清掃より大変で、より徹底して行う必要がある。凝血塊は、典型的には透析装置の静脈ヘッダおよび動脈ヘッダに付着し、そのファイバを塞ぐことによって透析装置の効率を減じ得る。動脈ヘッダおよび静脈ヘッダは、その嵩の大きさが凝血塊が移動できる流れの低い空間となるので、清掃が難しいであろう。透析装置のヘッダからこれらの残留凝血塊を除去するために、まず凝血塊を緩めるか、または移動させるのが望ましい。これは、流量を増大または最高にすることによって、乱流を生むまた乱流を最大にしながら、透析装置に流体を圧送して通しかつ横断させて行える。各血液ポ
ンプチャンバを個々に制御することによって、血液管セット内部に流体を往復させて凝血塊を緩めることもできる。内側透析液ポンプおよび血液管セット排液管を閉じて、血液チャンバ1に流体を送出させながら、血液チャンバ2を満たす。両方がアイドルになったら、血液チャンバ1を満たしながら、血液チャンバ2が送出する。このサイクルを何度も(例、約20サイクル)繰り返す。血液管セットに空気も注入し、水と混ぜて機械的作用を高めて屑を緩める。一実施例では、空気をヘパリンエアフィルタを通して血液ポンプチャンバに導入し、さらに血液管セットに送り込む。押し退けられた血液管セット内の流体は、排液管に排出される。さらに血液ポンプを指定の速度および方向(例、逆方向に500ml/分)で多数サイクル(例、40サイクル)運転できる。
図69Aおよび図69Bは、血液路清掃アプリケーションの実装例を示す。図69Aを参照すると、血液路清掃6901は、プロセス全体の動作を調整する最上位レベルの状態である。この状態は、ステートマシンのデータ処理要素と同時に実行される。この状態中、処置で残された残留血液および透析液は、マシンから洗い流される。アプリケーションに関係するデータの更新は、ステートマシンのデータ処理要素で処理される。休止および透析液漏出監視状態6902では、一定の障害を監視し、要求を休止する。透析液漏出の監視を要求してもよい。アラーム監視状態6903は、一定の障害を監視する。血液側完全閉塞の監視が要求され、入口の水の監視が使用可能にされる。透析液による動脈ラインフラッシング状態6904は処置で残された残留透析液の一部を利用して、それを動脈ラインから排液管にフラッシュアウトする。血液が水に触れると起こる溶血および発泡を最小限にするために、水を血液管セット(BTS)に送る前に、透析液などの生理的流体で血液をフラッシュアウトしてもよい。血液が発泡すると、典型的には清掃は、より困難になる。同様に状態6919では、静脈ラインを透析液でフラッシングしてもよい。タンク排出状態6905では、透析液タンクから残留透析液を排液管に送ることによって除去する。流体作成プライミング状態6906では、洗浄のための準備で流体作成モジュールを水でプライミングする。流路プライミング状態6907では、洗浄のための準備で流路全体を水でプライミングする。流体作成停止状態6908では、洗浄のための準備で流路全体を水でプライミングして、流体作成を停止する。
図69Bに示す経路洗浄状態6909では、残留血液および透析液をシステムからフラッシングするために、流体経路全体を洗浄する。この状態は流体作成も開始する。図69Bを参照すると、再循環状態6910では、血液回路と透析液回路の両方で流体を再循環する。血液回路排液−動脈状態6911では、動脈血液回路から排液管に流体をフラッシュアウトする。血液回路排液−静脈状態6912では、静脈血液回路から排液管に流体をフラッシュアウトする。血液が水に触れると起こる溶血および発泡を最小限にするために、水を血液管セットに送る前に透析液などの生理的流体で血液をフラッシュアウトする。透析液回路排液状態6913では、血液管セットで流体を再循環させながら、透析液回路から流体を排液管にフラッシュアウトする。流体準備回路排液状態6914では、血液管セットに流体を逆再循環させながら、流体準備回路から流体を排液管にフラッシュアウトする。限外濾過装置再循環状態6915では、血液管セットに流体を再循環させながら、限外濾過装置のフラッシュポートに流体を再循環させる。透析液タンク上限状態6916では、透析液タンクを満タンレベルに維持する。タンクで流体レベルを上下にサイクル動作させると、タンクを洗浄するように作用する。透析液タンク下限状態6917では、透析液タンクをほぼ空のレベルに維持する。
この段階または消毒を開始する直前のいずれかで、血液ポンプカセットの定量ポンプ(例、ヘパリンポンプ)は、薬剤(例、ヘパリン)容器を空にするように指図されてもよい。薬剤の代わりに透析液または水のいずれかを使用してもよいが、消毒中に消毒流体を点滴および排出のための準備で容器を空気で満たすのが好ましい。薬剤がヘパリンの場合、処置セッション後に容器または小瓶に残る残留ヘパリンを、この段階で血液管セットに移
して空にすることができる。血液路清掃または消毒中に血液管セットに残留ヘパリンを循環させると、凝血塊の形成を減らすのに役立ち、そのため清掃プロセスの効率を高めることができる。これに代えて、ヘパリンを排液管に廃棄してもよい。
再び図69Aを参照して、洗浄停止状態6918では洗浄プロセスを停止する。完了状態6920では、透析液タンクを空にすることによってアプリケーションを終了する。閉塞復帰状態6921では、システムが検出した閉塞の是正を処理する。閉塞アラーム状態6922は血液路清掃6901を停止し、患者に閉塞が存在することを通知する。閉塞解決状態6923では患者が閉塞を解消にするのを待つ。
入口水復帰状態6924ではシステムが検出した入口水の閉塞の是正を処理する。入口水アラーム状態6925は血液路清掃6901を停止し、患者に流入する水に問題があることを通知する。透析液タンク充填状態6926では、透析液タンクを充填しようとする。休止状態6927では操作を中止する。加えて、患者は付加的な活動を行うことを選択できる。一旦停止状態6928では、すべてのマシン操作を中止する。休止メニュー状態6929では、患者に付加的な活動を行う選択をさせる。標本抽出(RO標本)6930、部品交換6931、電力待機6932、遮断6933、および操作続行6934のオプションが表示され得る。
透析液漏出アラーム状態6935では操作を停止し、患者に透析液の漏出を検出したことを通知する。漏出解決状態6936は患者が漏出を解消するのを待ち、続行ボタンをグラフィカルユーザインタフェースに表示させる。
(3)消毒
リサイクル準備および血液路の清掃に続いて、消毒アプリケーションは、流体経路の消毒を実施する。消毒は、流体を不溶解性の性質にするために行う。この目的を達成するために、消毒プロセスは、増殖性細菌細胞、真菌、およびすべての小ウイルスまたは非脂質性ウイルスを死滅させ得る。マシンは一般に1人の患者専用であるため、消毒プロセスがウイルス性の汚染を排除することは、絶対必要というわけではない。患者間でマシンを取り替えるには、このプロセス以上の工程を要するかもしれない。消毒は、すべての流体経路を一定温度にして、その温度を最低時間量の間保持することで実行され得る。例えば、透析装置、血液処置セット、限外濾過装置および透析液セットを循環させる水を85℃±5℃の温度まで加熱し、約1時間保持する。高レベルの消毒には、温水低温殺菌が適するであろう。温水低温殺菌の例示的な条件は、最低約30分間で約68℃の温度を含んでもよい。消毒状態ではシステムの様々な点で温度を監視することができ、センサが目標の温度より少なくとも約1℃上回るまでは消毒を延長する。消毒状態では様々な点の温度を監視し、センサが目標の温度を、例えば連続10秒以上下回ると流体の加熱を高める措置を取る。
図70Aおよび図70Bは、消毒アプリケーションの実装例を示す。図70Aは、消毒状態7001を示し、透析ユニットに自己消毒させることができる。データハンドラ初期化状態7002では、データベースからデータ値の読み取りを処理する。値は、計器、透析装置使用と再利用、限外濾過装置使用と再利用、血液管セット使用と再利用、消毒、終了、および処置フローシートの表にあり得る。データハンドラ更新完了状態7003では、消毒が完了したらデータベースのデータ値の更新を処理する。アイドル状態7004中に消毒履歴消去7005を実施すると、消毒状態7001の履歴は、消去される。消毒開始7006は、プロセスをアクティブ状態7007に移行させる。アクティブ状態7007は、消毒停止7008を監視する。消毒停止7008では、プロセスをアイドル状態7004に戻す。モニタ状態7009では、透析ユニットのドアの開放、閉塞、および透析ユニットの操作の休止7011の要求を監視する。ユーザが休止7011を要求すると、アプリケーションは休止状態7010に進む。
モニタ状態7009において、タンク充填状態7012では逆浸透(RO)水の作成を開始し、流路をプライミングする前にタンクを充填する。流路プライミング状態7013では、消毒のための準備で流路全体を水でプライミングする。流路消毒状態7014では、マシンの消毒を見張り、完了したときを判断する。流れが始まり、血液回路および透析液回路の両方に流体を再循環させる。すべての温度センサが選択された連続時間数(分)の間目標の温度を少なくとも1℃上回っていれば、消毒が完了したと見なされる。当然、消毒完了と見なすのに代替パラメータを使用してもよい。このような判断が行われたら、消毒完了7015イベントが生成される。ウォームアップ状態7016では、様々な点の温度を監視して、透析ユニットの部分が加熱するのを待つ。すべての温度センサが目標の温度を少なくとも1℃上回れば、流路温度到達7017イベントが生成される。温度保持状態7018では様々な点の温度を監視して、監視した温度が下がりすぎた場合に措置を取る。例えば、いずれかのセンサの温度が目標の温度を連続10秒以上下回ると、流路温度未達7019イベントが生成される。代わりに他のパラメータを使用してもよい。タンク排出状態7020は、透析液タンクを空にする。このように排液ラインは、最終ラウンドの消毒を受ける。さらに空のタンクの終了条件により、今後のアプリケーションは、既知のタンクレベルで開始できる。実行済み状態7021は、消毒の完了状態である。
閉塞停止中状態7022ではすべての流れを停止し、ユーザに閉塞が検出されたことを通知する。閉塞状態7023では、ユーザが閉塞を解消したことを知らせるのを待つ。ユーザが問題を是正したことを知らせたら、ユーザOK7024イベントが受け入れられる。ドア開放停止中状態7034では、すべての流れを停止する。ドア開放状態7025では、ユーザに透析ユニットのドアを閉じるよう促す。ユーザがドアを閉じたことを知らせたら、ユーザOK7026イベントが受け入れられる。
ここで図70Bを参照しながら、休止機能を説明する。停止待ち休止状態7027では、すべての操作が停止するのを待つ。マシンが停止すると、イベント7028が生成される。ユーザ選択待ち休止状態7029では、ユーザに次の工程を選択するように促し、ユーザがしたいことを選択するのを待つ。患者は、逆浸透標本抽出7030、電力待機7031および遮断7032のオプションを有する。ユーザ逆浸透標本抽出状態7030ではユーザが逆浸透標本を抽出する間待ち、電力待機状態7031では電力待機を待ち、遮断状態7032では遮断を待つ。ユーザが再開操作オプションを選択することによって、再開要求済みイベント7033(図70A)を生成してもよい。
(4)内毒素洗浄
流体経路の消毒に続き、内毒素洗浄アプリケーションを介して内毒素および死滅したバイオフィルムを経路から洗い流す。内毒素は、細菌の外側細胞壁の一部であり、細菌が死滅するときに放出される。バイオフィルムは、利用できる表面に付着する微生物の複合的な集合体である。消毒プロセスは、生きているバイオフィルム細菌を死滅させるが、内毒素を含めてすべてのバイオマス成分を除去することはできない。
死滅したバイオフィルムおよび内毒素を除去するために、一定量の流体を一定の流量で流路全体にフラッシングする。他の実施も可能であるが、このアプリケーションは、各管セグメントをそのセグメントの保有量の少なくとも3倍の量で洗浄するように計画する。一実装例において、少なくとも100のレイノルズ数を達成するように死滅したバイオフィルムを除去し得る。別の実装例によると、内毒素洗浄アプリケーションは200以上のレイノルズ数を達成するように計画してもよい。
図71は、内毒素洗浄アプリケーションの実装例を示す。内毒素洗浄アプリケーション7101において、水によるプライミング状態7102は、消毒が完了したばかりのシステムに未使用で冷たい逆浸透水を導入する。流体回路洗浄7103では、システムのすべ
ての流体ラインを洗浄するよう計画される。再循環状態7104では、流体作成、流体準備、再循環、透析装置、血液回路およびアクセスラインを逆浸透水でフラッシングする。これら回路のフラッシングは、消毒が完了した後もシステムに残る内毒素およびバイオフィルムをシステムから洗い流す。
残りの状態のそれぞれは、或るセグメントを排液させることのできる流路の代替経路である。その後の状態は、時間の割合または搬送される流体の割合で行う。透析液回路排液7105状態では、血液管セットに流体を再循環させながら、透析液回路から流体を排液管にフラッシュアウトする。流体準備回路排液状態7106では、血液管セットに流体を逆再循環させながら、流体準備回路から流体を排液管にフラッシュアウトする。限外濾過装置再循環状態7107では、血液管セットに流体を再循環させながら、限外濾過装置のフラッシュポートに流体を再循環させる。血液回路排液状態7108では、血液回路から排液管に流体をフラッシュアウトする。透析液タンク上限状態7109では、透析液タンクを満タンレベルに維持する。タンクの流体レベルを上下にサイクル動作させることによって、タンクを洗浄するように作用する。透析液タンク下限状態7110では、透析液タンクをほぼ空のレベルに維持する。
タンク排出状態7111では、透析液タンクから残留透析液を排液管に送ることによって除去する。閉塞復帰状態7112では、閉塞が検出されたことをユーザに通知するが、流れを一切止めない。休止状態7113では、操作を中止する。加えて患者は、付加的な活動を行う選択ができる。患者は、部品(限外濾過装置または透析装置/血液管セット)の交換、標本抽出(RO標本)、リサイクル再開、電力待機、および遮断のオプションをもつ。
(5)処置準備
処置準備アプリケーションは、システムが透析セッションを行うための準備をする一連の動作を行う。このアプリケーション中、化学薬品濃縮液を取り付けて、溶解し、混合して、規定の透析液の組成を作成する。システムは、限外濾過装置、透析装置および血液管セットの完全性と、重要な弁、ポンプおよび空気圧系統の試験もする。新鮮な透析液を使用してシステムを十分プライミングしてから、血液管セットおよび透析装置をフラッシングする。さらにこのアプリケーション中、透析装置の清掃率と限外濾過装置の膜内外圧力を試験し、保護システムは、電気的オフセットによるトリガ条件をシミュレートして自己試験を行う。
ユーザが透析セッションの開始を要求すると、システムは、ユーザに予定された標本の収集を許す。ユーザは、規定の化学薬品濃縮液カートリッジの取付けも促される。ユーザの間違いを軽減するために、システムは、ユーザにその化学薬品濃縮液カートリッジが自分の処方箋に合っているか検証するよう促す。さらにユーザがそのように知らせたら、システムは、カートリッジが存在し正しく取り付けられているかを点検する。
逆浸透水を粉末化学薬品に加えて、それが均一に溶けるように攪拌する。粉末化学薬品が溶けたら、それを酸濃縮液と混合して、出来上がった透析液の伝導度を予期される伝導度に照らして点検する。許容可能な透析液を透析液タンクに送るが、許容できない透析液は排液管に送る。
透析液を混合している間、一連の完全性試験が行われる。それぞれの場合において、時間の経過による圧力減衰を測定しながら、試験する部品を加圧してから隔離する。圧力の逃げが早すぎる場合、その部品は、試験に不合格となり、交換されるべきである。透析装置、血液管セット、および限外濾過装置は一般にユーザによって交換されるが、他のアイテムは一般にサービススタッフによって交換される。血液ラインの締め具の機能性について、ハザードが検出された場合に、システムが患者をうまくマシンから分離できることを
確認するために検証する。熱消毒と高圧の流れを繰り返すことからフィルタのファイバが損傷することがあるため、日常的に限外濾過装置の完全性試験を行うのが望ましい。限外濾過装置が完全性試験に不合格となる場合、透析装置および血液管セットを含む下流に内毒素が存在することがある。そのため、この場合にはこの3つの部品をすべて交換するべきである。次に、処置と熱消毒を繰り返すことから使い捨て品が損傷することがあるため、日常的に透析装置および血液管セットの完全性試験を行うのが望ましい。透析装置のファイバが破損すると、透析装置の血液側から血液が漏出してシステムに入る、および/または内毒素が透析装置の透析液側から横切って、血液に入るのを防ぐ能力を損なうおそれがある。
重要な弁、ポンプ、空気圧系統および様々な交換可能なカートリッジは、圧力試験および真空試験を使って試験される。時間の経過による圧力減衰を測定しながら、試験する部品に圧力または真空のいずれかを加えてから、分離する。圧力の逃げが早すぎる場合、その部品は、試験に不合格となり、交換されるべきであることを示す。
システムは、新鮮な透析液でプライミングする。透析装置の清掃率を測定して、その溶質除去性能が許容可能か否か判断する。透析装置を再利用する場合、ファイバに凝血塊およびバイオフィルムが詰まる可能性があり、溶質の移送(拡散と対流)に利用できる有効表面積が減少する。こうなると、透析装置が血液から毒素を「清掃」する能力、そのため清掃率と呼ばれる能力は低下する。清掃率の値が許容可能な規定のパーセンテージを超えて低下したら、オペレータに通知され、処置の後に交換され得る。
最大動作限界を超えないことを確認するために、限外濾過装置の膜内外圧力(TMP)を日常的に試験してもよい。膜内外圧力限界は、典型的には限外濾過装置のファイバまたはハウジングへの損傷を防止するために使用される製造者の仕様であり、損傷すると外部に内毒素が漏出したり、または内毒素が限外濾過装置を横断することになりかねない。時間の経過とともに、限外濾過装置にはバイオフィルムおよび他の屑が徐々に詰まってきて、そのファイバを横断する圧力低下は、大きくなる。膜内外圧力試験は、限外濾過装置で使用される最高システム流量を送って、圧力低下を測定する。圧力低下が最大動作限界を超える場合、処置完了後に限外濾過装置を交換するべきである。
透析装置および血液管セット内の逆浸透水は、溶血を防止するために処置前に生理的流体と交換されるべきである。また初回透析症候群−1(FUS−1)を防止するために、処置前に透析装置に存在する残留エチレンオキシド(ETO)をフラッシュアウトするべきである。透析液は微生物の増殖培地であるため、セット中の滞留時間を短くするために血液管プライミングをアプリケーションプロセスの後の方にする。
保護システムの自己試験を行ってもよい。これは安全ではない条件をシミュレートするために安全センサにオフセットを設けて、さらに各保護システムが意図するとおりに反応するか確認して行う。
図72は、処置準備アプリケーションの実装例を示す。図72を参照しながら、処置準備アプリケーション7201の状態を説明する。化学薬品濃縮液交換状態7202では、透析液を準備するプロセスを始めるために、ユーザに化学薬品濃縮液を連結させるのに必要な操作を行う。この状態は、マシンが化学薬品濃縮液を受承する準備ができている時を示す。またこの時間中に、システムは化学薬品濃縮液容器が存在し、正しく連結されているか検証する。化学薬品取付状態7203中に、システムは準備ができたことを示す場合に、ユーザに化学薬品濃縮液を取り付けるよう促す。プロンプトには、取り付けを行う方法に関する指示を含めてもよい。システムは、カートリッジ式かボトル式かによって化学薬品濃縮液を取り付けるための説明プロンプトを表示してもよい。オペレータは、ユーザ
インターフェースを使って処方箋を示すことによって取り付けを確認してもよい。化学薬品有無試験7204では、化学薬品がシステムに正しく取り付けられたかを検出する。システムは、化学薬品が取り付けられたか否か検出する存在検知センサを使って、化学薬品が取り付けられたことを検証してもよい。カートリッジが存在しないことをシステムが示す場合、システムは、連結復帰7205に移行する。加えてシステムは、化学薬品のバイパスドアが開いているかを監視し、開いていれば化学薬品管が連結されていることを意味する。化学薬品容器を真空引きして連結部も検証し、化学薬品添加ポートが大気に開放されていないことを確認する。連結復帰7205は、化学薬品濃縮液が正しく取り付けられていないことをシステムが検出する場合に、ユーザインタラクションを処理する。この復帰は、システムが化学薬品濃縮液の存在を検出できない場合に、または真空完全性試験に不合格になる場合にのみ行う必要がある。化学薬品濃縮液が正しく取り付けられていないとシステムが示す場合、システムは、化学薬品が正しく取り付けられ且つすべての連結部がしっかり締め付けられているかを検証するようユーザに指図する。さらにシステムは、ユーザが連結部を点検したことを通知するのを待って、再び化学薬品有無試験7204を行う。
化学薬品有無試験7204がうまく完了したら、システムは、化学薬品溶解・完全性試験7206に移行する。化学薬品溶解・完全性試験状態7206の間に、システムは、規定の透析液の処方箋を実現するために、化学薬品濃縮液の溶解・合成プロセスを開始する。加えて、この状態は特定の部品の日常的な完全性試験を行う。透析液準備の動作と完全性試験の実施は、時間をより効率的に使うために同時にシステムで行う。
完全性試験状態7207では、限外濾過装置、血液管セットおよび透析装置と、透析液回路の完全性試験を処理する。限外濾過装置(UFTR)完全性試験7208では、限外濾過装置の完全性を検証する。ハウジング内の水を押出してから、空気を加圧し、外側からファイバに対して保持する。許容可能な減衰限界を超えたら、フィルタは交換されるべきである。この状態中、限外濾過装置完全性試験が試験は不合格であったという指示を返す場合、システムは、この情報をユーザに中継する。ユーザには部品交換に移行することによって、限外濾過装置の交換が指示される。新たな限外濾過装置の取り付けが完了したら、システムは、完全性試験を再び行い、通常の操作を再開する。血液管セット(BTS)/透析装置完全性試験サブ状態7209では、血液管セットおよび透析装置の完全性を試験することを意図している。これは圧力を発生させてから、減衰を測定することによって行う。透析装置/血液管セットが完全性試験に不合格となる場合、ユーザに透析装置および血液管セットを交換するよう通知する。この状態中に、システムが血液管セットおよび/または透析装置完全性の不合格ステータスを返す場合、システムは、血液管セットおよび/または透析装置完全性試験に不合格となったことをオペレータに通知する。部品交換オプションによって、ユーザにはこれら部品を交換するための情報および能力が提供される。部品が交換されたら、システムは完全性試験を再び行う。所望であれば、弁/ポンプ/空気圧系統完全性状態7210中に、一般システム完全性試験を行ってもよい。
完全性試験不合格復帰状態7211は完全性試験中に特定された完全性試験の不合格を処理する指示を与える。完全性試験の不合格があったことをシステムが示す場合、ユーザにはシステムから不合格と、どの部品が不合格になったかが通知される。こうしてユーザは交換を行うのに必要な措置を行える。ユーザが新たな部品を取り付けたことを知らせた時点で、システムは通常の操作を再開する。
透析液によるシステムプライミング状態7212は透析液によりシステムをプライミングするのに必要な措置を行う。この状態は透析液によるプライミング7213、透析装置クリアランス状態7214、限外濾過装置膜内外圧力(UFTR TMP)状態7215、およびエチレンオキシドプライムフラッシング状態7216を含む。透析液によるプラ
イミング状態7213は化学薬品作成を開始し、透析液でシステムをプライミングする。透析装置クリアランス状態7214は尿素クリアランスの代用として使用し、所定の流量および温度条件下で透析装置の膜を横断して通過できるナトリウムクリアランスの量を定量化する。限外濾過装置膜内外圧力状態7215は最大システム流量で限外濾過装置を横断する膜内外圧力(TMP)を測定して、規定の最大限外濾過装置膜内外圧力を超えないことを確認する。限外濾過装置膜内外圧力が許容可能な限界を超える場合、システムはその通常の操作を続行してもよい。ユーザには膜内外圧力試験の不合格のために限外濾過装置(UFTR)を交換する必要があることと、リサイクル準備中に交換が行われることを通知される。エチレンオキシドプライムフラッシング状態7216は浸出したかもしれないエチレンオキシド(ETO)を透析装置からフラッシングする。
標本通知状態7217中に、システムは、患者または医療従事者が標本を以前に予定していたか否か識別する。また、この状態では、予定される標本をオペレータに通知する。オペレータに収集するよう通知される標本は次のとおりである。血液標本、塩素標本/試験、クロラミン標本/試験、および逆浸透水標本。標本実施状態7218中に、システムは、抽出の予定される標本があることをユーザに通知する。この状態中に、ユーザは、これら標本の抽出を応諾または拒否する機会をもつ。システムは、予定される標本があるか否か評価する。システムが予定される標本があることを示して、ユーザが標本を行うことを選択したら、システムは、休止7219に責任を移し、そこで標本がそれぞれ処理される。
システムは、患者をマシンに連結する前に、保護システムの自己試験をさせる条件を作成する。保護システムの試験不合格を検出したら、保護システム試験状態7220では、適用できる場合是正措置を開始する。患者を連結する前に次の保護システムを試験してもよい。空気検出(静脈および動脈)、透析液伝導度、透析液温度、血液漏出試験、流体漏出試験、およびドア開放。これは保護システムがトリガーする条件をシミュレートするようにセンサのそれぞれをオフセットすることによって行う。システムは、正しい保護システムが開始されたことを確認する。
保護システム試験不合格復帰7221では、自己試験の1つが不合格ステータスを返す場合にトリガされる。保護システム試験7222のすべてが完了するとこの状態に入る。透析液伝導度保護システム試験、透析液温度保護システム試験、血液漏出保護システム試験、および流体漏出保護システム試験のいずれかが不合格ステータスを返す場合、操作を継続できないことをオペレータに指示してもよい。空気検出保護システム試験またはドア保護システム試験のいずれかが不合格ステータスを返す場合、不合格に関係する是正措置を行うようオペレータに指示してもよい。
(6)患者連結
処置準備に続き、システムに患者を連結し、体外血液管回路を血液でプライミングする。少なくとも2つのプライミング処方のオプションがある。最初の方法は、「プライミング液廃棄」(またはプライミング液戻りなし)で、血液を体外回路に導入するときに透析液のプライミング液をマシンに送り込む。二番目の方法は、「プライミング液戻り」で、血液を体外回路に導入するときに透析液のプライミング液を患者に供給する。これら2つの方法の選択は、プライミングプロセス中に患者が除去したい容量と、その静脈アクセスがそこから導入される流体に耐えられるか否かによる。
プライミング液廃棄の場合、プライミング液を排液管に廃棄しながら、血液は、患者の動脈および静脈アクセス部位からマシンに同時に送り込まれる。典型的には患者の透析処置量が増大し始め、そのため患者は追加流体を取り込まずにプライミングを行いたいため、このプライミング方法が好ましいことが多い。ユーザは、アクセスが静脈ラインを上る逆流に耐えられない場合、プライミング方法をプライミング液戻りに切り換える選択をし
てもよい。動脈および静脈の流量は、血液の先頭が透析装置のファイバの内側でちょうど合流するようにできるだけ一致させてもよい。体外回路は、プライミングプロセス中に血液が限外濾過される場合に起こり得る局所的な血液濃縮を避けるために、意図的にやや「アンダープライミング」してもよい。
プライミング液戻りの場合、血液は動脈ラインに汲み上げられ、プライミング液は静脈ラインに送って患者に入れられる。このプライミング方法は、そのアクセスがプライミング液廃棄中に使用される静脈ラインを上る逆流に耐えられない患者に、または血液量減少に敏感な患者に処方され得る。患者が急激な血液量の損失に耐えられない場合、この方法でプライミング中にその血液量を維持させることができる。
加えて、患者がまだ追加量を必要とする場合、連結されていればいつでも溶剤注入を開始できる。血液量減少に敏感な患者は特に、流体をやや多めにして処置を開始する選択をしてもよい。
いずれのプライミング方法の場合も、オペレータは、いつでもプライミング用血液流量を変更する選択ができる。しかし変更しても、規定のその後の処置の設定には影響しない。アクセス部位の欠損の恐れと圧力/流れの問題は処置の開始時点で共通したものであり、そのためオペレータは、プライミング中の血液の流量を遅くしたいだろう。
透析装置および血液管セットは透析装置の製造者の説明書に合わせてすでにフラッシングされているが、滅菌剤が流体とともに透析装置に滞留している場合、透析装置から滅菌剤が更に浸出することに関して業界の懸念がある。そのため、透析装置に滅菌剤を長期間とどめておく場合、再フラッシングしてもよい。
図73A乃至図73Dは患者連結アプリケーションの実装例を示す。図73Aを参照すると、患者連結アプリケーション7301の連結・プライミング状態7302で、予定されていれば患者にプライミング標本を抽出させ、マシンを連結され、血液管セットを血液でプライミングさせることができる。連結・プライミング状態7302中に、連結状態7303はプライミング標本の抽出およびマシンへの連結を成し遂げる。この状態中に、システムは、プライミング液が終了したか否か判断し得る。新品の透析装置の場合、プライミング液は、透析装置および血液管セットの最後のフラッシングから約15分後に終了する。少なくとも1回熱消毒した透析装置の場合、プライミング液は、透析装置および血液管セットの最後のフラッシングから約30分後に終了する。
滅菌剤が透析装置に流体とともに滞留している場合、滅菌剤が透析装置から浸出することに関して業界の懸念がある。そのため、透析装置の前回のフラッシングが新品の透析装置の場合15分前、1回以上消毒した透析装置の場合30分前にされた場合、透析装置を再フラッシングしてもよい。このフラッシングは、初回透析症候群−1(FUS−1)を防止するために血液管セットに存在し得る残留エチレンオキシド(ETO)を除去する。新品の透析装置と1回以上熱消毒した透析装置とで時間に違いがある根拠は、新品の透析装置の方が浸出する可能性のあるエチレンオキシドが多いと思われるためである。使用済みの透析装置には、残留エチレンオキシドがほとんどまたは全くない。
収集決定状態7304では、一定のデータベース項目に基づき、プライミング標本を予定するか否か判断する。マシンへの連結状態7305では、患者に自身の体重の入力とマシンへの連結を促す。患者が連結されていることを知らされるまで待つ。マシンへの連結状態では、連結手順と患者の体重を入力する手段を示すメッセージを通知する。ヘパリンが処方されている場合、患者にヘパリン小瓶をポンプに装填するよう促す。
プライミング標本収集状態7306では、患者がプライミング標本の収集をするのを可能にする。プライミング液標本を使用することによって、透析装置および血液管セットをプライミングするのに使用される透析液流体の微生物評価を行う。プライミング標本収集状態7306中に、標本プロンプト状態7307が患者にプライミング標本を収集するよう促す。標本送達状態7308では、透析装置を横断して静脈ラインに流体を押出しつつ、患者にプライミング液の標本を提供する。いつでも標本収集を終了することを許す通知を患者に与えてもよい。
プライミング液標本の許容可能な量は、例えば500mlとしてもよい。典型的には、微生物評価には150mlの標本が必要である。滅菌標本の収集には、一般的に標本抽出の前に廃棄物容器にいくらか流体を流す必要がある。最大量を500mlにすることで、最初の標本が汚染した場合に、ユーザに追加標本を抽出させることもできる。標本収集時間の要求は約30秒以下である。150mlの標本を得るために望ましい静脈ラインからの流量は300ml/分である。血液によるプライミングのための準備で、透析液を規定の温度に加熱してもよい。患者が血液管セットで透析液プライミングを受けることにした場合、それが快適な温度である。
収集停止状態7309では、流体の流れを停止し、マシンの停止が完了するのを待つ。標本容量限界に達する場合、または患者の要求によりこの状態に入る。マシンが停止したら、収集停止済みイベント7310がトリガされて、収集停止済み状態7311に移行する。収集停止済み状態7311では、患者が連結に移れる状態になったことを知らされるのを待つ。これに代えて、患者は、追加標本収集を要求してもよい。
再プライミング状態7312では、患者が血液管セットを連結し直して、ドアが閉じられていることを確認する。それから透析液および血液管セットを再フラッシングする。ドア閉鎖状態7313では、ユーザにドアを閉じるよう促す。図73Bを参照すると、ドア停止待ち状態7315では、停止コマンドを発行し、マシンが停止するのを待つ。ドアユーザ待ち状態7316では、ユーザまたは検出器のいずれかがドアが閉じていることを知らせるために、共通の監視アプリケーションがドアが閉じているのを示すのを待つ。血液管セット再プライミング状態7314では、無活動期間中に浸出したかもしれない残留エチレンオキシドを再フラッシングする。
再び図73Aを参照すると、透析液作成復帰状態7317では、マシンを透析液温度が仕様範囲外のシナリオから復帰させる。透析液の温度が、例えば、規定の温度の1℃以内になったら、プロセスは、再プライミング状態7312に移行し得る。
血液によるプライミング状態7318では、プライミング液戻り7319とプライミング液戻りなし7320のうちの一方の方法を使用して、血液管セットおよび透析装置をプライミングする。血液の漏出が検出されたら、アラームイベントが発生する。プライミング液戻りなし状態7319では、動脈ラインと静脈ラインの両方に血液を引き上げて、透析液を透析装置から排液管に移すことによって血液管セットをプライミングする。システムは、この状態中いつでもプライミング液戻り7320を選択できる、またはプライミング血液の流量を修正できることを患者に通知してもよい。動脈のプライミング速度は、処方項目であり、患者が動脈のプライミング速度を修正してもよい。血液管セットおよび透析装置の容量は、透析装置の流束量が時間の経過とともに減少することを反映させるため、また血液濃縮を避けるためにも、公称値よりやや少なくてもよい。戻りなしプライミング監視状態7321では、プライミングプロセスのステータスを点検することによって、血液管セットのプライミングを監視する。
プライミング液廃棄停止7322状態では、流体を停止し、マシンの停止が完了するの
を待つ。マシンが停止したら、廃棄停止済みイベント7323がトリガされて、プライミング液戻り7320に移行する。プライミング液戻り状態7320では、動脈ラインに血液を引き上げ、透析液を静脈ラインから患者に移動することによって血液管セットをプライミングする。動脈の空気を監視してもよい。患者には、この状態中いつでもプライミング血液の流量を修正できることを通知してもよい。戻りありのプライミング開始状態7324では、血液管のプライミングを開始する。血液が動脈ラインにくみ上げられている間に、プライミング液は、静脈ラインを通して患者に供給される。速度は、処方項目であり、患者が速度を修正してもよい。戻りありのプライミング監視状態7325では、くみ入れられた総量を累積して、それを透析装置および血液管セットの総量と比較することにより、血液管セットのプライミングを監視する。汲み入れられた量が透析装置および血液回路の総量よりも多ければ、プライミングは完了である。患者がプライミング液戻りなし7319を開始した場合、その状態中にプライミングされた量は、この状態に繰り越される。処置を開始できるときが患者に通知される。患者が処置開始の準備ができたことを知らせると、患者連結アプリケーションは停止し、透析アプリケーションが開始される。
図73Cに示す空気復帰状態7326では、ユーザが血液管セットへの空気の進入から復帰するのを可能にする。空気停止待ち状態7327では、流れが停止するのを待つ。空気ユーザ待ち状態7328では、共通の監視アプリケーションがアラームが解消されたことを示すのを待つ。
閉塞復帰状態7329では、ユーザに閉塞が検出されたことを通知するが、流れは一切停止しない。閉塞復帰状態7329中に、閉塞停止待ち状態が停止コマンドを発行して、マシンが停止するのを待つ。閉塞ユーザ待ち状態は共通の監視アプリケーションが閉塞が解消されたことを示すのを待つ。
図73Dを参照すると、休止状態7330が詳細に示されている。休止状態7330では、操作を中止する。加えて患者は、付加的な活動を行う選択ができる。具体的には、患者は、逆浸透標本採取、活動再開、リンスバック、連結解除、電力待機、および遮断のオプションをもち得る。休止状態7330では履歴をもたないため、ステートマシンは、停止待ち休止7331に移行して、そこで停止機能を発行する。再び、患者が操作の再開を選択すると、プロセスは、連結・プライミング状態7302に戻り、履歴機構を介して前のサブ状態にすばやく移行する。ユーザが休止ボタンを選択すると、ユーザ休止要求イベント7332が送られ、患者連結ステートマシンが休止に移行し、さらに初期状態の停止待ち休止に移行する。停止待ち休止に入力動作をすると、マシン停止機能が呼び出される。マシンが停止したら、ステートマシンは、ユーザ選択待ち休止7334に移行する。ユーザが再開を選択すると、ユーザ再開要求イベント7333が受入れられる。
患者が部品交換アプリケーション7335などの別のアプリケーションの実行を選択する場合、主制御は、患者連結停止イベント7336をトリガして、患者連結ステートマシンをアイドル状態7337に移行させる。マシンが停止したら、ステートマシンは、ユーザ選択待ち休止7334に移行する。例えばユーザが再開ボタンを押すことによって、ユーザ再開要求イベント7333がトリガされると、ステートマシンは、連結・プライミング7302に戻り、その状態およびそのサブ状態内の履歴に従って再開する。
図73Aを参照すると、回復不能アラーム7340状態では、患者に回復不能なアラームがあることを通知する。現在のアプリケーションは停止し、患者にアラームの確認応答を行った後にシステムから切断するよう指示し得る。
(7)透析
透析ユニットに連結した後は、透析治療を患者に施してもよい。透析治療では、拡散、順方向の限外濾過および逆方向濾過(対流)を使用して、患者の血液から毒素および過剰
な流体を除去する。加えて、ヘパリンを血液に投与することによって、処置中の凝固を予防してもよい。
拡散は、患者の血液を半透性の膜を介して透析液に触れさせて行われる。血液は、患者の動脈アクセスから導入され、静脈アクセスに戻る。同時に、逆浸透水と化学薬品濃縮液から新鮮な透析液を作成し、規定の温度に加熱してから透析装置の透析液側に搬送しながら、使用済みの透析液を排液管に送る。透析装置の膜の濃度勾配を血液から透析液に移動させることによって、様々な分子サイズの毒素が平衡化される。所望の毒素除去量と除去率を達成するには、規定の血液および透析液の流量設定とその精度が重要である。起こる拡散の量を増やしながらすべての地点で濃度勾配を最大限にするために、血液および透析液の流れを反流にする。透析装置に搬送される透析液は再循環させるよりも新鮮である方が拡散が高まる。送達される透析治療の投与量に影響しうる別の要因には、患者のサイズ、規定の処置期間、透析装置の有効表面積、および透析装置の清掃率が含まれる。
順方向の限外濾過は、患者の血液から過剰な流体を除去する。透析装置の透析液側により低い圧力を発生させることによって、血液から流体を抜くことにより、規定の流体容量を除去する。限外濾過速度は規定の除去すべき流体容量を使って計算され、またプライミング、バックフラッシュ、およびリンスバックプロセス中に患者に送達される透析液容量も考慮する。
逆方向濾過またはバックフラッシュは、順方向の限外濾過の逆である。透析装置の血液側から透析液側に流体を張引する代わりに、透析液側から血液側に流体を圧送する。このプロセスは、血液管および透析装置内での凝血塊の形成予防に役立ち、ひいてはヘパリン投与量を少なくでき、透析装置の耐用年数を延ばし、透析装置の清掃および再利用を促進し得る。バックフラッシュは、対流による溶質除去を一層促すという追加の利点もある。拡散と同様に、対流は血液から毒素を除去する。ただし濃度勾配に依拠する拡散と異なり、対流は、溶質を輸送するために透析装置を横断する流体の能動的な移動に依拠する。バックフラッシュは、流路の血液部分と透析液部分の同期により制御される。血液側と透析液側の相を変えることによって、透析装置を横断する流体を少しずつ一定して繰り返しシフトさせる。この流体のシフトが透析液を血液回路に押し流し、さらにそれを引き戻すが、正味の限外濾過にはならない。
透析を行っている間、ヘパリンを投与してもよい。この投与は、一連の1つ以上の流体ボーラスとして、または連続注入のいずれでも処理できる。患者は、予期せず凝固が起こった場合には、1つ以上の追加のヘパリンボーラスを受けることを選択してもよい。
図74Aおよび図74Bは、透析アプリケーションの実装例を示す。図74Aを参照すると、透析状態7401は、透析治療全体につながる動作を調整する最上位レベルの状態である。この状態は、ステートマシンのデータ処理要素と同時に実行する。この状態中、透析液を作成することによって、透析液タンクに適切な緩衝剤を維持する。透析アプリケーションに関係するデータの更新は、ステートマシンのデータ処理要素で処理する。
透析アプリケーションのアクティブ状態7402は、すべての透析関連処理が起こる場所である。残っている透析時間が経過すると、透析は完了する。監視状態7403は、血液および透析液の流量を処置が行えるように開始することを担う。血液漏出の監視および空気の監視が要求され、限外濾過の監視が使用可能にされ得る。血液流開始状態7404では、処置の開始前に患者がアクセスを点検するために、血液ポンプを低速で始動する。血液・透析液流始動状態7405では、血液の流量を規定の流量に上げる。透析液タンクからの流体を加熱して、それを透析装置に回すことによって、透析液の流れも始動する。
透析・限外濾過(UF)制御状態7406は、血液透析の実施を担う。透析は、限外濾過およびヘパリン投与とともに起こる。透析液温度アラームは、温度が許容可能な限界内にない場合に発する。停止するのに、完全な血液側閉塞監視を要求してもよく、また部分的な血液側閉塞監視を要求してもよい。定常状態透析状態7407では、透析装置に血液および透析液を循環させて透析を行う。一定の処置関連情報も収集する。部分閉塞状態7408では、ユーザに閉塞が検出されたことを通知するが、流れは一切停止しない。ヘパリン投与状態7409では、ヘパリンを規定の速度で投与する。送達されるヘパリンの量が規定の量に等しくなるか、または患者がヘパリンの送達を停止するよう要求する場合、ヘパリンは停止される。ヘパリンボーラス状態7410では、ヘパリンのボーラスを送達する。
限外濾過状態7411では、限外濾過を行う。限外濾過速度は、除去が必要な流体量を処置に残った時間で割って求められる。目標の限外濾過量が現行の限外濾過量と500ml以上異なる場合、限外濾過アラームが発せられる。次のいずれかの状態に当てはまれば、限外濾過は、停止し得る。(1)限外濾過量が、除去する必要のある規定の量+リンスバック量+プライミング量以上である場合、または(2)患者が限外濾過の停止を要求し、限外濾過量がリンスバック量+プライミング量以上である場合。
限外濾過(「UF」)ポンプの実際のストロークと限外濾過液の目標の量を達成するために予測されるストローク数を比較するために、計数アルゴリズムを使用してもよい。予想ストローク数は、要求される限外濾過量および限外濾過速度に基づき求められる。ポンプの実際のストロークは、コントローラに限外濾過ポンプの弁の状態を監視させることによって計数できる。一実装例において、実際のストロークが安全限界を上回って予想ストロークを超える場合、マシンを安全状態に置くことができる。実際のストロークが予想ストロークを閾値量より下回る場合、処置セッションが所望の限外濾過量に達しない事態を避けるために、ポンプ速度または継続時間を延長することができる。
血液・透析液再循環状態7412では、透析液の温度を処置限界にするために、透析液を透析装置にバイパスさせながら、血液および透析液を再循環させる。
閉塞停止中状態7413では、血液の流量が下がりすぎた場合に血液の流れを停止して、ユーザに問題があることを通知する。閉塞状態7414で閉塞が検出されない場合、マシンは、血液流開始状態7404に続く。
空気復帰停止中状態7415では、ユーザに血液管セットへの空気の浸入が発生したことを通知し、機能が停止するのを待つ。空気復帰状態7416では、ユーザが血液管セットへの空気の浸入から復帰するのを可能にする。
休止モニタ状態7417では、装置を休止し、休止メニューオプションを表示することを担う。図74Bを参照すると、モニタ停止中状態7418では、装置を停止して、休止ボタンが処理されたことの視覚的フィードバックをユーザに与える。休止モニタオプション状態7419では、休止メニューのすべてのオプションを表示する。モニタ連結解除アプリケーション7420は、主制御で停止されるのをこの状態で待つ。モニタ溶剤注入アプリケーション7421は、主制御で停止されるのをこの状態で待つ。モニタ標本抽出アプリケーション7422は、主制御で停止されるのをこの状態で待つ。モニタ電力待機アプリケーション7423は、主制御で停止されるのをこの状態で待つ。モニタ遮断アプリケーション7424は、主制御で停止されるのをこの状態で待つ。
再び図74Aを参照して、データハンドラ初期化状態7425は、透析アプリケーションのために関係あるすべてのデータを初期化することを担う。この初期化が完了すると、透析開始OKイベント7426が生成されて、主制御にアプリケーションの開始準備がで
きたことを示す。データ更新状態7427では、透析アプリケーションのために値を、または関係あるすべてのデータを最新状態に維持することを担う。
(8)溶剤注入
低血圧イベントを阻止するために、システムは、患者に流体のボーラス量を送達してもよい。システムは処置中に患者から流体容量を取り除くため、患者の全身の血圧が予期せず低下する可能性がある。この低血圧イベントは、患者にめまい、失神、更にはより深刻な合併症を引き起こし得る。このような結果を避けるために、ユーザは、溶剤注入を要求するだけでよい。そうすると、システムは、規定の超高純度透析液のボーラスを送達できる。
ユーザが溶剤注入を要求したら、血液ポンプは、凝固を避けるために運転したままにされ得る。溶剤注入アプリケーションは、注入液を送達するのに透析液容量が十分に利用できるか、更に患者の血液をリンスバックするのに十分な予備容量があるかを評価する。なければ、ユーザに注入ができないことを通知し、リンスバックと処置再開のうちの一方を選択するよう指示される。十分な透析液がある場合、注入を開始する前にユーザに短いカウントダウンが表示される。1個のボタンを押すと溶剤注入できるため、ユーザは、誤ってボタンを押してしまうおそれがある。この遅延は、注入が始まる前に取り消す機会を与えるものである。
遅延後、新鮮で加熱された透析液流体は、透析装置を横断し、静脈ラインを流れて患者に送られる。同時に、血液ポンプがゆっくりと正転運転されて、血液の循環を続け、凝固を防止する。できるだけ早急に置換液を送達するために、ほとんどの患者のアクセスおよび血管系が合理的に耐えられる程度に注入に利用する流量を速くする。流量が高すぎると血液管セットの圧力が高くなり、注入液送達の煩わしい中断を招くおそれがある。また注入液の流量は、看護師が他の装置に低血圧エピソードを阻止するために吊るしているかもしれない生理食塩水バッグからの流れとほぼ同じにされる。
規定の溶剤注入量が送達された後、患者にまだ低血圧の状態が続いている場合、十分な透析液容量が利用できる限り、前より少なくした追加ボーラスを注入する選択をしてもよい。患者がこのアプリケーションから出て、前の活動(例、患者連結または透析)に復帰したら、その後の溶剤注入要求は、完全な規定溶剤注入量になる。
図75A乃至図75Eは、溶剤注入アプリケーションの実装例を示す。図75Aを参照すると、溶剤注入7501は、溶剤注入の送達に至る動作を調整する最上位レベルの状態である。この状態は、ステートマシンのデータ処理要素と同時に実行される。溶剤注入アプリケーションに関係するデータの更新は、ステートマシンのデータ処理要素によって処理される。アイドル状態7502は、他のすべてのシステムの処理中の溶剤注入アプリケーションの状態である。溶剤注入開始イベント7503を受信すると、溶剤注入アプリケーションは、アクティブ状態7504に移行する。溶剤注入アプリケーションは、アクティブ状態に移行したときにそれが開始されたことを示す。溶剤注入履歴消去イベント7505を受信すると、溶剤注入アプリケーションは、履歴を消去し、アイドル状態7502に留まる。溶剤注入アプリケーションのアクティブ状態7504中、送達される溶剤注入量が設定される。
モニタ状態7506では、血液漏出7507、動脈・静脈空気7508および閉塞7509などの共通のハザードを監視する。モニタ状態7506では、監視プロセスにイベントを送ってモニタを開始し、休止または他の中断により停止した場合に透析液作成を開始する。
取消し可能用遅延状態7510では、そうしたい場合に患者に溶剤注入の取消しを許す
。遅延(例、3秒)中、ユーザインターフェースは、注入が開始するまでの時間と注入の取消しができることを表示する更新した視覚的指示をユーザに与えてもよい。取り消されることなく遅延時間が経過したら、遅延完了7511イベントが発生する。
流体送達評価状態7512では、要求される注入液を送達するのに十分な透析液が利用できるか否か評価する。流体注入中状態で与えられる溶剤注入量も計算する。流体利用不可状態7513では、要求される注入を行うのに十分な流体がないことを患者に通知する。患者が応答する間血液ポンプは、循環し続ける。十分な流体がある場合、循環停止状態7514では、溶剤注入が開始できるように血液の循環を停止する。
流体注入中上位状態7515では、溶剤注入マシンレイヤのコマンドが実行している間にアプリケーションの挙動をカプセル化する。溶剤注入操作は、超高純度透析液を透析装置を横断して、静脈ラインから患者に圧送する。透析液は透析装置を横断して圧送される前に加熱する。同時に血液ポンプがゆっくり正転運転することによって、血液凝固を最小限にする。注入されるべき流体容量を、この状態の間に更新してもよい。この容量を表す静的変数は当初流体送達評価状態7512で設定され、それからマシンレイヤのステータス変数である透析液回路容量に容量が蓄積されるとこの状態で更新される。注入する容量は送達された容量の分だけ減少するはずである。透析液温度仕様範囲外7516イベントが発生すると、透析液温度復帰状態7517に移行する。中断および再進入のために注入する容量が25ml未満になると、ポンプ停止済みイベント7518がすぐに発行されて、注入液は与えられない。
注入開始状態7519において、溶剤注入マシンレイヤのコマンドが開始する。注入する容量は、容量が送達されると継続的に更新され、注入がいつ開始または再開しても正しい容量が入力されるようにする。マシンレイヤのステータスがコマンドが開始したことを示したとき、SI開始済みイベント7520が発行され、次の状態に移行させる。
透析液温度復帰状態7517は、透析液温度が仕様範囲外の状況からマシンを復帰させる。温度が許容可能な範囲に戻るのを監視しながら、透析液は直接排液管に送られる。透析液の温度が例えば連続5回の読み取りで目標の範囲内になると、復帰は完了し、透析液温度復帰済みイベント7521が発行される。
完了上位状態7522では、凝固を防ぐために血液循環を開始し、患者が追加の注入をしたいか、または注入を終えるかのいずれかを知らせるのを待つ。この上位状態内のいずれかの状態中に休止が起こると、休止状態7523では循環を停止する。休止から戻ると、循環が再開し、もう一度ユーザに追加ボーラスが必要か否か尋ねる。応答待ち状態7524では、患者が追加注入をしたいか、または注入を終えるかのいずれかを知らせるのを待つ。それ以上注入が望まれない場合、このアプリケーションは終了する。患者にはユーザインターフェースから溶剤注入が完了し、追加ボーラス注入を行うオプションがあることが通知される。ユーザが追加注入を必要とすると知らせると、100mlに等しい量が送達されるようにローカル変数の溶剤注入量が設定され、流体送達評価状態7512に移行する。
図75Bを参照すると、空気復帰状態7525では、ユーザが血液管セットへの空気侵入から復帰するのを可能にする。マシンレイヤの流体送達機能は停止し、ユーザに空気が存在することが通知され、アプリケーションは、ユーザが空気がなくなったことを知らせ且つセンサが空気を検出しなくなるまで、この状態のままになる。ステートマシンの履歴はアプリケーションを中断された状態に戻す。空気停止待ち状態7526に続き、空気ユーザ待ち状態7527では、ユーザに血液管に空気が存在することを通知し、空気を除去するための指示を与え、さらにユーザが空気がもはや存在しないことを知らせるのを待つ
。空気が除去されたことをユーザが知らせると、アプリケーションは、空気再点検状態7528に移行する。
図75Cを参照すると、閉塞復帰状態7529は、ユーザに閉塞が検出されたことを通知し、ユーザが応答するのを待つ。閉塞停止待ち7530に続き、閉塞ユーザ待ち状態7531では、ユーザに血液管に閉塞が存在することを通知し、閉塞を除去するための指示を与え、さらにユーザが閉塞がもう存在しないことを知らせるのを待つ。
図75Dを参照すると、休止状態7523は操作を中止する。加えて、患者は追加活動を行う選択ができる。休止操作が終了し、ユーザがこのアプリケーションの再開を選択すると、履歴機構は、このアプリケーションを中断された状態に戻す。停止待ち休止状態7532に続き、ユーザ選択待ち休止7533では、ユーザにオプションを提示し、ユーザが1つのオプションを選択するのを待つ。具体的には、リンスバック7534、患者連結解除7535、処置再開7536、処置中断7537、電力待機7538、および溶剤注入再開7539のオプションが提示され得る。
図75Eを参照すると、血液漏出状態7540は状態7541で現行の操作を停止し、状態7542で回復不能なアラームがあることを患者に通知する。
(9)リンスバック
リンスバックアプリケーションは、患者の血液を戻し、患者を体外回路から連結解除させるプロセスを実施する。このプロセスは、処置の最後に起こる。規定の透析時間が経過したら、ユーザが要求する場合はいつでも、またはシステムがハザードを検出することによって、処置は終了できる。
患者が自分の血液をリンスバックすることを要求した場合、システムは、新鮮で加熱した超高純度透析液を透析装置を横断して送り始めて、血液を患者に送り戻す。同時に、血液ポンプをゆっくり逆転運転することによって、動脈ラインと静脈ラインの両方を同時にきれいにする。規定のリンスバック容量は、血液管セットおよび透析装置の総容量に、患者のアクセスをフラッシングし、管ラインからほぼすべての血痕を洗い流すための追加の透析液容量を足した量を含む。
この容量が送達されたら、ユーザは、追加でより少ないリンスバックボーラスを注入する選択をしてもよい。これは患者の低血圧感覚を阻止するため、および/または管に残る目に見える血痕を戻すために行う。例えば、送達される追加ボーラス容量の総量が500mlになるまで、ユーザは、50mlの増分で追加のリンスバックボーラスを要求できる。この限界は、オペレータの誤使用から流体の過負荷になるのを防ぐために選択され得る。またリンスバック流体の送達は、新鮮な透析液が利用できるか否かによって制限され得る。
リンスバックをできるだけ速く完了するために、ほとんどの患者のアクセスおよび血管系が合理的に耐えられる限り使用する流量を高くしてもよい。流量が高すぎると、血液管セットの圧力が高くなり、リンスバックプロセスの煩わしい中断を招くおそれがある。また流量を、看護師が他の装置に血液をリンスバックするために吊り下げているかもしれない生理食塩水バッグからの流れとほぼ同じにしてもよい。
リンスバックを通して、血液は、動脈ラインおよび静脈ラインを流下して患者に向かうため、潜在的に空気塞栓症のハザードがある。動脈ラインで空気が検出されたら、オペレータに通知され、リンスバックは、静脈ラインのみで継続する。
図76Aおよび図76Bは、リンスバックアプリケーションの実装例を示す。図76A
を参照して、リンスバックアプリケーション7601のアクティブ状態7602は、リンスバックの処理が起こる状態である。状態7602では、アイドル7604に移行するときにリンスバック停止済み7603イベントを生成する。
図76Bを参照して、モニタ状態7605では、休止要求7606、血液管セットの静脈空気7607、透析液漏出7608、および透析液作成問題7609を監視する。
流体投与状態7610では、注入液を投与することによって、閉塞、透析液温度の限界範囲外、利用不可な流体の状態、および入口水の限界範囲外を監視する。動脈・静脈注入状態7611では、超高純度透析液を透析装置を横断して圧送する。透析液を透析装置を横断して圧送するとき透析液を加熱してもよい。動脈空気および静脈空気を監視してもよい。動脈空気復帰状態7612では、動脈空気のアラームからの復帰を処理する。A&V注入停止状態7613では、注入を停止し、アラームをグラフィカルユーザインタフェースに通知する。動脈空気解決状態7614では、ユーザが静脈のみのリンスバックを継続する準備ができていることを知らせるのを待つ。静脈注入状態7615では、超高純度透析液を透析装置を横断して圧送する。ここでも、透析液を透析装置を横断して圧送する際に透析液を加熱してもよい。
透析液タンク空アラーム状態7616では、リンスバックを停止し、リンスバックを継続するのに十分な透析液がないことを患者に通知する。透析液タンク低アラームをグラフィカルユーザインタフェースに通知してもよい。停止したら、流体作成を再開し得る。流体待ち状態7617では、流体が利用できるようになるのを待つ。透析液タンクの容量が一定のレベル、例えば300mlに達すると、透析液タンク満タンイベント7618が生成される。選択される期間、例えば2分以内にタンクが所定のレベルに達しなければ、エラーイベントが生成される。
透析液タンクの液体容量の判定精度の改善は、少なくとも2つの独立した測定方法を使うことでできるであろう。例えば1つの方法が液体をタンクに送達するポンプチャンバのストローク数を計数し、タンクから流体を排出させるポンプチャンバのストローク数を差し引く。各ポンプストロークが一定量の液体を運ぶと仮定すると、タンクの正味累積液体容量を追跡できる。2番目の例示的な方法は、基準チャンバに所定の圧力を充填し、さらに基準チャンバをタンクに排気することによって、流体管理システム測定値を取得することに関わる。こうして、タンクと基準チャンバとの平衡圧力からタンク内の空気量を計算できる。流体管理システムベースの方法はより正確な結果を出せるが、より多くの時間も必要とする。そのため、ポンプストロークを数えることによってコンピュータにタンク容量を継続的に追跡させ、流体管理システム測定を定期的に行わせて、ポンプストロークの計数の精度を継続的に検証するのが望ましいであろう。これらの方法の一方または両方を適用するコントローラはこのデータを使用することによって、流体をタンクに追加するべきか、またはタンクから除去するべきか、また流体レベルが治療を安全に継続するのに必要だと見なされる最低レベル未満であるか否か判断できる。
ポンプストロークの計数は、流体をタンクに出し入れできるポンプをポーリングし、完了したストロークを継続的に数え、閉塞のために不完全なストロークを差し引くことによって行う。混合ポンプと、重炭酸塩および酸ポンプとで新たな流体を透析液タンクに供給でき、タンクへの流出弁が開いていることを示し、ドレイン弁が閉じていることを示すときのみポンプストロークをカウントできる。弁の状態はI/Oサブシステムを介して弁状態を読み取ることにより監視できる。またはより単純な構成では、弁状態は、マシンレベルである特定の操作が行われていることに応じて推定され得る。タンクのドレイン弁が開き且つタンク再循環弁が閉じているときに、外側透析液ポンプによって透析液タンクから流体を除去できる。外側ポンプは、完了したストロークを数に入れることができ、チャンバ充填閉塞が検出されると、ストロークを数に入れないことができる。ポンプのいずれか
で閉塞が検出される場合、ポンプストロークの計数値は、不明または無効のフラグを立てることができ、独立した方法、例えば流体管理システム法を使ってタンク容量の測定値を取得できる。
透析液タンク内の空気(および液体)容量を測定する流体管理システム法は、ボイルの法則に基づく。基準容量を加圧してから、閉じた透析液タンク内に排出すると、基準容量とタンクの空気容量を合わせて達する最終的な圧力から容量を計算できる。この方法は、タンクと連通する弁の閉鎖の遅延または不完全な閉鎖により、または圧力下のタンクの物理的なゆがみのために幾らか誤差を生じやすい。測定にはかなりの量の時間もかかり、透析のための透析液送達の効率を低下させるおそれがある。そのため、従来の流体管理システム式 P1V1=P2V2を使用する場合、透析液タンクおよび弁の物理的な特性のいくつかは、測定誤差をもたらすかもしれない。
流体管理システム測定方法は、三次方程式を使って改善でき、目標のタンクの流体レベルが50〜75%のときの容量の判断の精度を高め得る。このような方程式は幾つかの形をとることができ、三次方程式で画定される曲線に実験で導出した圧力−容量データを当てはめることに基づく。透析液タンクの容量の測定は、例えばタンクを少しずつ充填し、各増分でタンクに流体管理システム測定を行うことによって較正できる。データポイントを収集し、そうして流体管理システムデータをタンク内の実際の流体容量に相関させる数理モデルを生成できる。例えばコントローラは、タンクを空にする「AutoCal」機能を行うことができ、そうして各増分充填で流体管理システム容量測定を行いながら、7回の300ml容量の液体を少しずつ充填する。さらにこれらの測定値をベクトルとして、例えば観測された容量と予測容量との誤差を最小限にするために最小二乗アルゴリズムを使用する三次方程式の係数を計算する関数に入力できる。この関数はさらに、ハードドライブの較正データファイルまたはシステムメモリに記憶される三次流体管理システム方程式で使用される係数を更新し得る。
閉塞アラーム状態7619では、リンスバックを停止し、例えばグラフィカルユーザインタフェースに閉塞アラームを通知することによって、閉塞があることを患者に通知する。閉塞解決状態7620では、患者が閉塞を解消するのを待つ。
透析液温度アラーム状態7621では、リンスバックを停止し、例えばグラフィカルユーザインタフェースに温度アラームを通知することによって、透析液温度が範囲外であることを患者に通知する。透析液再循環状態7622では、マシンに透析液温度が仕様範囲外のシナリオから復帰させる。同時に、凝固を防ぐために血液は循環させ続けてもよい。この状態では、マシンが限界を範囲内にしようとしているとき、透析液は直接排液管に送ってもよい。
入口水高温アラーム状態7623では、リンスバックを停止し、例えばグラフィカルユーザインタフェースに入口水高温アラームを通知することによって、マシンに入る水が高すぎることを患者に通知する。この状態では、熱水を排液管に回して、水が公称温度になるのを待つ。
待機状態7624では、リンスバックと連結解除との移行を処理することを意図する。この状態では、本質的にシステムをアイドル状態にする。リンスバックと連結解除との移行を処理することに加え、この状態では、追加のボーラス注入を行う能力も制御する。ユーザ待ち状態7625では、ユーザが追加のリンスバックを要求するか、またはこのプロセスを終了することを知らせるのを待つ。患者がリンスバックを終了すると知らせる場合、リンスバックを終了するイベントが生成される。
静脈空気アラーム状態7626では、リンスバックを停止し、静脈空気が検出されたことを患者に通知する。静脈空気解決状態7627では、患者が気泡を解消し、それを患者から知らされるのを待つ。
透析液漏出アラーム状態7628では、操作を停止し、透析液の漏出が検出されたことを患者に通知する。透析液漏出アラームをグラフィカルユーザインタフェースに通知してもよい。漏出解決状態7629では、患者が漏出を解消し、それを患者から知らされるのを待つ。
透析液作成アラーム状態7630では、操作を停止し、透析液漏出が検出されたことを患者に通知する。透析液作成アラームをグラフィカルユーザインタフェースに通知してもよい。リンスバック終了状態7631では、患者がアラームの確認応答を行うのを待つ。アラームが確認応答されると、リンスバックを終了するイベントが生成される。
休止メニュー状態7632では、患者が追加の活動を行う選択をするのを可能にする。患者連結解除、電力待機、および遮断のオプションが表示され、ユーザは選択し得る。
(10)標本抽出
標本抽出アプリケーションは、オペレータに一定の流体標本を抽出できる能力を与える。透析処置を安全且つ効率的に施すためには、実験室分析のために透析液および逆浸透水の標本を定期的に収集する必要があるかもしれない。このアプリケーションが収集に便利な場所に標本抽出用の流体を提示することによって、ユーザは、これら標本をより簡単に収集できるようになる。
透析液標本収集の場合、透析液は、透析装置を循環する。逆浸透(RO)標本収集の場合、逆浸透システムの電源を入れ、所定量の時間の間フラッシングしてから、逆浸透水の作成を開始する。こうしてユーザにこの流れを利用することによって、標本を収集するよう促す。
図77は、標本抽出アプリケーションの実装例を示す。標本抽出アプリケーション7701の透析液標本評価状態7702では、透析液標本が予定されているか否か判断する。透析液標本開始状態7703では、透析液の流れを開始して、患者が標本を抽出するのを可能にする。逆浸透標本評価状態7704では、逆浸透標本が予定されているか否か判断する。逆浸透作成開始状態7705では、逆浸透標本のための準備で逆浸透作成を開始する。タイマで逆浸透膜を十分にフラッシングさせることによって、水質が許容可能になるようにしてもよい。逆浸透標本収集状態7706では、患者が逆浸透標本を収集するのを可能にする。
(11)部品交換
部品交換アプリケーションは、部品の寿命になったときにユーザに一定の部品の交換ができる能力を与える。図78は、部品交換アプリケーションの実装例を示す。
アプリケーション7801の部品交換要求中状態7802では、どの部品を交換するべきかを示し、ユーザが追加の交換の要求するのを可能にする。流路デプライミング状態7803では、もしあれば、マシンのどの部分をデプライミングする必要があるかを決める。血液側排液評価中状態7804では、血液側を排液する必要があるか否か判断する。透析装置および血液管セットが交換を必要とし得る様々な方法を評価する。透析装置および血液管セットを交換する必要があるが、完全に凝固していない場合、状態は流体を排液するよう要求する。透析液側排液評価中状態7805では、透析液側を排液する必要があるか否か判断する。透析液側の部品が交換を必要とし得る様々な方法を評価する。もしそうなら、状態は流体を排液するよう要求する。透析液タンク排出状態7806では、排液管に送ることによって透析液タンクから残留透析液または逆浸透水を除去する。タンク排出
コマンドが完了すると、タンク空7807イベントが発せされる。透析液側排液中状態7808では、限外濾過装置から流体を除去する。
透析装置交換評価中状態7809では、透析装置および血液管セットの交換が必要か否か判断する。透析装置交換中状態7810では、透析装置(および血液管セット)の交換中に患者に段階的な指示を与える。例えば、透析装置を交換するための指示を表示してもよい。ユーザが透析装置を交換したことを知らせると、透析装置交換済みイベントが発せられる。限外濾過装置交換評価中状態7811では、限外濾過装置の交換が必要か否か判断する。限外濾過装置交換中状態7812では、限外濾過装置の交換中に患者に段階的な指示を与える。排液管カセット交換中状態7813では、限外濾過装置の交換中に患者に段階的な指示を与える。例えば、排液管カセットを交換するための指示を表示してもよい。ユーザが排液管カセットを交換したことを知らせると、排液管カセット交換済みイベント7814が発せられる。透析液カートリッジ交換評価中状態7815では、透析液カートリッジの交換が必要か否か判断する。例えば、透析液カートリッジを交換するための指示を表示してもよい。ユーザが交換を完了したことを知らせると、部品交換済みイベント7816が発せられる。
透析装置連結部評価中状態7817では、透析装置および血液管セットの連結部を試験する必要があるか否か判断する。透析装置点検中状態7818では、透析装置が正しく交換されて、連結部に漏出がないことを確認してもよい。透析装置の点検で異常がなければ、透析装置点検OKイベント7819が発せられる。透析装置連結部設定中状態7820では、患者に取付不良な連結部を是正させる。例えば、透析装置の連結部を設定するための指示を表示してもよい。限外濾過装置連結部評価中状態7821では、透析装置および血液管セットの連結部に試験が必要か否か判断する。限外濾過装置連結部設定中状態7822は患者に取付不良な連結部を是正させる。例えば、限外濾過装置の連結部を設定するための指示を表示してもよい。限外濾過装置点検7823に異常がなければ、限外濾過装置点検OKイベント7824が発せられる。排液管カセット連結部評価中状態7825では、排液管カセットの連結部に試験が必要か否か判断する。排液管連結部設定中7826状態では、患者に取付不良な連結部を是正させる。排液管カセットの連結部を設定するための指示を表示してもよい。透析液カートリッジ点検中状態7827では、透析液カートリッジが正しく交換されて、連結部に漏出がないことを確認する。透析液カートリッジの点検で異常がなければ、連結部点検済みイベント7828が発せられる。透析液カートリッジ連結部設定中状態7829では、患者に取付不良な連結部を是正させる。
(12)化学薬品取付
化学薬品取付アプリケーションは、ユーザが透析液作成のための準備で化学薬品濃縮液を取り付けることを可能にする。透析液は、化学薬品濃縮液を逆浸透水で希釈して作られる。化学薬品濃縮液は、リサイクル中ではなく透析液作成の前にマシンに連結される。マシンは、化学薬品濃縮液の取り付けの後にその連結部を点検する。化学薬品濃縮液がマシンに正しく連結されていない場合、ユーザは、その状況を是正する機会をもつ。
図79Aおよび図79Bは、化学薬品取付アプリケーションの実装例を示す。アプリケーション7901のアクティブ状態7902は、化学薬品取付の処理が起こっている状態である。この状態では、アイドル状態7904に移行するときに、化学薬品取付停止済み7903イベントを生成する。
図79Bを参照すると、新濃縮液取付状態7905において、ユーザに化学薬品濃縮液容器の交換を促す。連結部確認試験7906では、化学薬品がシステムに正しく取り付けられているか否か検出する。連結部復帰状態7907では、システムが化学薬品濃縮液が正しく取り付けられていないことを検出する場合のユーザインタラクションを処理する。システムは、ユーザに、化学薬品が正しく取り付けられ且つすべての連結部がしっかりと
締め付けられていることを検証するように通知する。化学薬品希釈状態7908では、化学薬品バッグに水を満たして、化学薬品を希釈する。透析液作成開始状態7909では、透析液作成の開始を担う。
透析液漏出アラーム状態7910では、操作を停止し、ユーザに透析液の漏出が検出されたことを通知する。漏出解決状態7911では、ユーザが漏出を解消し、解消したことをユーザから知らされるのを待つ。
再び図79Aを参照すると、データハンドラ初期化状態7912では、化学薬品取付用のデータ項目の初期化を担う。この初期化が完了すると、化学薬品取付開始OKイベント7913を生成して、化学薬品取付を起動できる状態になったことを示す。データ更新状態7914では、治療処方箋および調合など、化学薬品取付用のデータ項目の値を最新状態に維持することを担う。
ここで説明する血液透析システムの実施例における多数の特徴または属性が、望ましいであろう。これらの特徴または属性は、例えば、自動化、安全性、使いやすさ、ユーザインターフェース、治療プログラミング、処方データ、患者入力データ、サマリーデータ、および/または治療表示データに関係し得る。血液透析システムの実施例の例示的な特徴または属性を以下に説明する。さまざまな特徴または属性またはかかる特徴または属性の組み合わせは、ここに説明する血液透析システムの実施例に組み込んでもよい。しかし、かかる特徴および属性は、システムに必須でなくてもよい。このように、説明する特徴または属性を或る状況においては1以上の血液透析システムの実施例に有利に組み込むことができるが、血液透析システムは説明する特徴または属性のいずれも含む必要はなく、システムはかかる特徴または属性の包含に限定されるものではない。
システムの自動化の例示的な特徴または属性をまず説明する。ここに説明する血液透析システムの実施例は、患者に立位、座位、および/または横臥の姿勢からシステムを操作できる、および/または処置を受けることができるように設計され得る。ここに説明するように、血液透析システムは、処置前の血液セットおよび透析液経路のプライミング、洗浄および消毒、限外濾過装置および透析装置の完全性試験、プライミング液戻りまたはプライミング液廃棄のいずれかの操作による血液の血液セットへのプライミング、および処置の最後の血液のリンスバックを含む多数の機能を自動的に行い得る。血液透析システムは、リンスバックの完了時点で血液セット内に残る残留赤血球を最小限にでき、処置1回あたりの赤血球損失が従来の週に三度の血液透析処置の処置1回あたりの赤血球損失以下になることを保証し得る。血液透析システムは、プライミングが開始された時点からリンスバックが完了するまでのいつでも、要求があれば溶剤注入を自動的に行い得る。処置装置は、処置中に自動的にヘパリンを送達し得る。血液透析システムは、患者の血圧および体重を自動的に記録し得る。これは、外部のスタンドアローン型のセンサモジュールとの無線通信を使って行える。血液透析システムは部品が正しく装填されたこと、および正しく十分な消耗品(つまり、溶剤、濃縮液等)が連結されていることを確認し得る。血液透析システムは、血液処置セットが正しく装填されていることを検証し得る。
血液透析システムは、透析装置の性能を試験および監視するにあたり、透析装置の再利用に関するFDA(アメリカ食品医薬品局)およびAAMI(Association for the Advancement of Medical Instrumentation)のガイドラインに準拠し得る。血液透析システムは、処置時の準備時間を短縮するために患者が次の処置を予定できるようにし得る。血液透析システムは、処置中30分以下の間リンスバックしながらユーザを安全に一時的に連結解除させる特徴を提供し得る。血液透析システムは、医療専門家が一時的連結解除の特徴を使用できないようにする能力を提供し得る。血液透析システムは、中断(つまり、アラーム)を招きうる状態
を防止するまたはかかる状態の自己解決を試みることによって、治療の中断を最小限にし得る。
次に、例示的な安全特徴および属性を説明する。血液透析は、一定の安全基準を満たすように設計され得る。例えば、血液透析システムは血液透析装置に関するAAMIおよびIEC(国際電気標準会議)の関係するすべての安全要求事項を満たし、外部露出面が操作中にIEC60601−1規格に示されるレベル未満に留まるように設計され得る。また、透析システムのユーザインターフェースは、安全制御特徴を確実にし得る。例えば、血液透析システムは、患者が処置中のいつの時点でも治療およびリンスバックを終了する機構を提供し得る。また、回復できないアラームが発生した場合、または電力が失われた場合でも、患者がその血液をリンスバックする方法を提供し得る。ユーザは、1個のボタンを押せば操作中いつでも計器を安全な状態にすることもできる(つまり、すべての計器活動を休止する)。
ここに説明するように、気泡は患者にとって危険である。そのため血液透析システムは、20マイクロリットル以上の大きさの気泡が患者に入らないように構成され得る。血液透析システムは、1マイクロリットル以上の気泡のストリームが累積して30秒以内に合計20マイクロリットルを超えるとき、アラームをトリガし得る。また血液透析システムは、3マイクロリットル以上の気泡のストリームが累積して30秒以内に合計で20マイクロリットルを超えるとき、アラームをトリガし得る。
血液透析システムは、多数の安全検出特徴を含み得る。例えば、血液透析システムは、静脈針の抜けを検出する特徴を含む、またはそれとインターフェースし得る。血液透析システムは、透析装置の膜を横断して血液の通過を検出し得る。血液透析システムは、装置の範囲内に包含される血液回路の部分から滴漏れも検出し、検出結果をユーザに警告し得る。加えて患者が曝される血液回路の流体は、「注入用透析液」の品質であり得る。
血液透析システムは、多様な身体的および精神的能力の患者に利用できるように設計され得る。例えば、血液透析システムのユーザインターフェースは、網膜症および神経障害を患う透析オペレータに適合でき、色盲者にも読み取れる。具体的には、ユーザインターフェースに表示される重大な情報を、視力20/70(0.28)のユーザが3フィート(0.91メートル)の距離から見ることができ、ユーザインターフェースに表示される重大でない情報を、視力20/70(0.28)のユーザが2フィート(0.61メートル)の距離から見ることができる。血液透析システムのユーザインターフェースは小学5年生の読解レベルのオペレータが理解できるように直観的に操作できるように設計され得る。加えて、血液透析システムは、治療中を含め片手で操作されるように設計され得る。これは、アクセス部位に針が存在するために片腕を動かせない患者を助ける。
ユーザインターフェースは、柔軟且つ機能的にも設計され得る。例えば、血液透析システムのユーザインターフェースは、水滴/流出耐性で、操作を劣化させることなく、次の清掃液で清掃できる。5.25%の次亜塩素酸ナトリウム漂白剤を10倍に希釈した液を含ませた布での拭き取り、加速化過酸化水素(バイロックステックインコーポレイティッド社(Virox Tech Inc)製)を含ませた布での拭き取り、PDI Sani−Cloth Plusでの拭き取り。
照明はユーザによって制御され得る、または一定の要因に基づき制御され得る。例えば、血液透析システムは、ユーザインターフェースを減光し、要求によってまたは自動的に、他のすべての発光を最小限にする機構が備えられ得る。加えて、停止ボタンなどの安全重視の制御器を設けるために必要なものを除いて、すべての発光源の電源を切ることが可能である。停電が起こった場合、患者が血液ラインおよびアクセスを扱うのをサポートす
るために血液セットおよび透析装置の照明を設けてもよい。血液透析システムは、制御器とのユーザインタラクションが必要な場合に、適切な制御器に照明を提供し得る。これは薄暗い環境で治療を行うときに必要な制御器を見つけるユーザを助ける。
ここに述べるように、透析システムの使用中アラームは、トリガされ得る。血液透析システムは、アラーム状態の可聴指示および可視表示を提供し得る。また血液透析システムは、アラーム状態の重要性を区別し得る。血液透析システムの音声能力は、例えば、アラームまたはアラートの状況のために幅広い周波数および音量を割り当て、これをユーザが調整できる。血液透析システムは、ユーザがアラーム音を消す能力を提供し得る。血液透析システムは、グラフィカルユーザインタフェースに加えて、アラームおよびアラートを喚起する可視表示を提供し得る。例えば、血液透析システムは、「ライトポール」、またはあらゆる方向でかなりの距離(例、20フィート(6.10メートル))から見ることのできるような他の可視アラームインジケータを発してもよい。
血液透析システムのグラフィカルユーザインタフェースは、アラームの考えられる原因と、アラームが是正できるかできないかを説明し得る。アラームが是正できる場合、血液透析システムのユーザインターフェースは、ユーザをアラームの解決に導くよう案内し得る。血液透析システムは、サービスまたは医療専門家を呼ぶべき時に関して指示を与えることもできる。
ユーザインターフェースおよびラベリングは、多数の異なる言語および代わりの文字セットをサポートし得る。また血液透析システムは、サポートされる言語での音声ガイダンスを提供し得る。可能な場合、連結部は、正しく連結しやすいように楔止され、色分けされてもよい。
血液透析システムのユーザインターフェースは、ユーザに処置終了時に通知を受けるオプションを提供してもよく、ユーザが処置終了時に関係する処置データを見直せるようにしてもよい。
血液透析システムは素人にも操作しやすく、分かりやすいのが望ましいであろう。血液透析システムのユーザインターフェースおよび工業設計は装置に家庭用製品のような見た目や操作感をもたせ、単純なインターフェースをもたせ得る。患者が行う操作は画面上にグラフィックでシミュレートされ得る。適切な訓練を受けた患者は治療を要求してから10分以内に処置を開始できる。血液透析システムのユーザインターフェースは上級ユーザにクイックナビゲーションを提供しつつも、初心者のユーザを支援し案内するのを助ける「初心者」モードと「上級者」モードに構成可能であり得る。
血液透析システムはユーザに誤りや間違いから、例えば、ユーザインターフェースのバックナビゲーションまたはアンドゥ機能を使用して復帰させ得る。また、血液透析システムのユーザインターフェースはヘルプを求めるのに必要なユーザの時間および労力を最小限にし得る。血液透析システムは医療専門家向けの訓練マニュアル、患者向けの訓練マニュアル、および操作マニュアルを提供し得る。
血液透析システムは装置の医療専門家用ローカライゼーションをサポートし、これはテキスト要素の表示言語の設定、時間の設定およびパラメータの単位(つまり、ポンドまたはキログラム)の設定からなる。血液透析システムは患者の処方の医療専門家用構成をサポートし、これには患者の目標体重、許容可能な治療構成(つまり、短時間連日、長時間処置)、および関連する血液の流量の設定、各治療構成(つまり、短時間連日、長時間処置)ごとに透析液の流量および時間または透析液の容量および時間のいずれかを設定する柔軟性、規定のヘパリンのプロトコル、最高限外濾過速度、透析液の組成、透析装置の識
別、溶剤注入ボーラスのサイズおよび限界、動脈および静脈の血圧限界、リンスバック容量、およびプライミング方法(プライミング液戻りまたはプライミング液廃棄)を含む。血液透析システムは患者による各処方パラメータの調整を防止するオプションを提供し、患者による処方パラメータの調整に上限/下限を設け得る。
血液透析システムは患者の処方箋の手動入力および電子的入力をサポートし得る。血液透析システムは各治療のために手動で入力する必要のある情報量を最小限にするように設計され得る。
装置は治療の開始時点に、患者に、治療の種類(例、短時間連日、長時間)および透析前の体重の入力を提供するように要求し得る。治療前および治療中、血液透析システムはユーザに治療終了時間を調整させ得る。血液透析システムは治療前および治療完了後の両方で、座位および/または立位の患者が血圧を入力できる機能を提供し得る。
装置は、確認のために、処置の開始前にサマリー画面に、少なくとも治療の継続時間/終了時間および患者の最終体重の計算パラメータを表示し得る。血液透析システムは、治療前および治療中にユーザに治療の最終体重を調整させ得る。加えて、治療前および治療中に、血液透析システムは、ユーザに治療の終了時間/治療の継続時間を調整させ得る。
アラームまたはユーザ要求により無効にされない限り、血液透析システムは、常に次の情報を表示し得る。現在のシステムの状態(つまり、プライミング、治療等)、現在の血液の流量、現在の患者体重と目標の患者体重、累積治療時間と治療終了時間、および送達されるヘパリンの量。関連する血圧モニタ(カフ)を使用する場合、血液透析システムは、測定した後5分間新たな血圧測定値を表示し得る。血液透析システムは、要求に応じて、実際の血液流に関するリアルタイムフィードバックを表示し得る。これは最適な血液流のために針の調整をしやすくする。要求に応じて、血液透析システムは、ユーザが次の情報を見る手段を提供し得る。透析液の伝導度と流量、最新の血圧測定値、現在の限外濾過除去速度、注入した累積ボーラス量、透析液の温度、現在の動脈および静脈ポンプの圧力、および処理した血液量。
以下の各文献は、全体を参照によって本明細書に組み込まれるものである:2007年2月27日に出願された米国特許出願第60/903,582号、発明の名称「血液透析システムおよび方法(Hemodialysis System and Methods)」;2007年2月27日に出願された米国特許出願第60/904,024号、発明の名称「血液透析システムおよび方法(Hemodialysis System and Methods);2007年4月13日に出願された米国特許出願第11/787,213号、発明の名称「熱交換システム、装置および方法(Heat Exchange Systems,Devices and Methods)」;2007年4月13日に出願された米国特許出願第11/787,212号、発明の名称「流体ポンプシステム、装置および方法(Fluid Pumping Sytems,Devices
and Methods)」;2007年4月13日に出願された米国特許出願第11/787,112号、発明の名称「熱および伝導度感知システム、装置および方法(Thermal and Conductivity Sensing Systems,Devices and Methods)」;2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,680号、発明の名称「ポンプカセット(Pumping Cassette)」;2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,712号、発明の名称「ポンプカセット(Pumping Cassette)」;2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,787号、発明の名称「ポンプカセット(Pumping Cassette)」;2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,793号、発明の名称「ポンプカセット(Pu
mping Cassette)」;および2007年10月12日に出願された米国特許出願第11/871,803号、発明の名称「カセットシステム統合装置(Cassette System Integrated Apparatus)」。更に、以下は、全体を参照によって本明細書に組み込まれるものである:1989年2月28日に特許付与された米国特許第4,808,161号、発明の名称「圧力測定フロー制御システム(Pressure−Measurement Flow Control System)」;1989年5月2日に特許付与された米国特許第4,826,482号、発明の名称「強化された圧力測定フロー制御システム(Enhanced Pressure−Measurement Flow Control System)」;1990年12月11日に特許付与された米国特許第4,976,162号、発明の名称「強化された圧力測定フロー制御システム(Enhanced Pressure−Measurement Flow Control System)」;1992年2月18日に特許付与された米国特許第5,088,515号、発明の名称「取り外し可能な流体インターフェースを備えた弁システム(Valve System with Removable
Fluid Interface)」;1994年9月27日に特許付与された米国特許第5,350,357号、発明の名称「重力流に逆らう流体の配分およびポンプカセットを用いる腹膜透析システム(Peritoneal Dialysis Systems Employing a Liquid Distribution and Pumping Cassette that Emulates Gravity Flow)」。更に、全体を参照によって本明細書に組み込まれるものは、米国特許出願第12/038,474号、発明の名称「センサ装置システム、デバイスおよび方法(Sensor Apparatus Systems, Devices and Methods)」、および米国特許出願公開第2008/0216898号明細書、発明の名称「カセットシステム統合装置(Cassette System Integrated Apparatus)」である。
加えて、以下の各文献は、全体を参照によって本明細書に組み込まれる。米国特許出願第12/198,947号、発明の名称「医療注入システム用オクルーダー(Occluder for a Medical Infusion System)」;米国特許出願第12/199,055号、発明の名称「可搬型血液透析システム用エンクロージャ(Enclosure for a Portable Hemodialysis System)」;米国特許出願第12/199,062号、発明の名称「血液透析システムの透析装置カートリッジ取付構造(Dialyzer Cartridge Mounting Arrangement for a Hemodialysis System)」;米国特許出願第12/199,068号、発明の名称「可搬型血液透析システム用モジュラー型アセンブリ(Modular Assembly for a Portable Hemodialysis System)」;米国特許出願第12/199,077号、発明の名称「血液透析システム用血液回路アセンブリ(Blood Circuit Assembly for a Hemodialysis System)」;米国特許出願第12/199,166号、発明の名称「医療注入装置用エアトラップ(Air Trap for a Medical Infusion Device)」;米国特許出願第12/199,176号、発明の名称「医療注入装置用血液ラインコネクタ(Blood Line Connector for a Medical Infusion Device)」;米国特許出願第12/199,196号、発明の名称「血液透析システム用試薬供給(Reagent Supply for a Hemodialysis System)」;および2008年8月27日に出願された米国特許出願第12/199,452号、発明の名称「血液透析システムおよび方法(Hemodialysis System and Methods)」。
本明細書において、本発明の複数の実施例について記載且つ説明を行ったが、当業者に
は、機能を実施するための、および/または、結果および/または本明細書に記載の1つ以上の利点を得るための、他の様々な手段および/または構成を想定することは容易であり、そのような変更物/修正物の各々は、本発明の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者には、本明細書に記載された全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的なものであり、また、実際のパラメータ、寸法、材料および/または構成が、本発明の教示を使用する特定の用途に応じて決定されることが認識されるであろう。当業者には、所定の実験を利用して、本明細書に記載された発明の特定の実施例の同等物を認識し、または、確認できるであろう。従って、前述の実施例は一例としてのみ示されており、また、本発明が、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内において、具体的に記載且つ特許請求の範囲に記載されたものとは異なる他の方法で実施され得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載された、個別の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。加えて、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の任意の組合せが、たとえそれらが互いに整合されていなくても、本発明の範囲内に包含される。
全ての定義は、本明細書において定義され且つ使用されるように、辞書の定義、参照によって組み込まれる文書における定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するものであることが理解されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、不定冠詞「1つの(a)」、および「1つの(an)」は、内容が明らかにそうではないものを示さない限りは、「少なくとも1つの(at least one)」を意味することに留意すべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、句「および/または(and/or)」は、結合された要素、すなわち、幾つかの場合に結合して存在し、更に他の場合には分離して存在するような要素の「どちらかまたは両方を(either or both)」を意味することに留意すべきである。「および/または(and/or)」で羅列される複数の要素は、同様の方法で、すなわち、結合された要素の「1つ以上(one or more)」と解釈されるべきである。他の要素は、「および/または」の節によって特定される要素以外に任意で存在することが可能であり、これは、そのような要素に関係するか無関係であるかに関わらない。従って、限定されない例として、「Aおよび/またはB」を参照すると、「備える(comprising)」等の開放性を持つ言語に結合されて使用される場合、一実施例においては、Aのみ(任意でB以外の要素を含む);他の実施例においては、Bのみ(任意でA以外の要素を含む);他の実施例において、AおよびB両方(任意で他の要素を含む);等が含まれる。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、「または(or)」は、上記で定義した「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、羅列された要素を分けるときに、「または」あるいは「および/または」は、包含的、すなわち、複数の要素または羅列された要素の、少なくとも1つだけではなく、1つ以上、および任意で、羅列に含まれていない要素を更に含むと理解されるべきである。「〜のうちの1つのみ(only one of)」や、「〜のうちの正に1つ(exactly one of)」に、或は、請求項において使用される「からなる(consisting of)」等のそうではないことを明確に示す語は、複数の要素や羅列された要素のうちの1つの要素のみを包含することを示す。一般に、本明細書において使用されるように、「または(or)」は、「いずれか(either)」、「〜のうちの一方(one of)」、「〜のうちの一方のみ(only one of)」、または、「〜のうちの正に一方(exactly one of)」等の排他的な用語によって始まる場合に、排他的な代替物(すなわち「一方または他方であって、両方ではない(one
or the other but not both)」を示すと解釈されるべきである。請求項において使用される場合、「実質上〜を含む(consisting essentially of)」は、特許法の分野において使用されるような通常の意味を有する。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、1つ以上の要素の羅列に関して、句「少なくとも1つは(at least one)」は、羅列された要素のうちの任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきであるが、必ずしも具体的に羅列された要素の少なくとも1つの各要素を含み、更に羅列された要素の任意の組合せを除いていない訳ではない。この定義はまた、「少なくとも1つの」の句が示す、羅列された要素の中で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関係していてもしていなくても、任意で存在することを可能にする。従って、非制限的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ(at least one of A and B)」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ(at least one of A or B)」や、同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、一実施例において、少なくとも1つとは、1つ以上、Aを含み、Bは存在しない(および任意でB以外の要素を含む)ことを示し;他の実施例において、少なくとも1つとは、任意で1つ以上、Bを含み、Aは存在しない(および任意でA以外の要素を含む)ことを示し;更に他の実施例において、少なくとも1つとは、1つ以上、Aを含み、および少なくとも1つ、任意で1つ以上、Bを含む(および任意で他の要素を含む)こと;等を示す。
そうではないことを明確に示さない限りは、1つ以上の工程や行為を含む、請求項に記載された任意の方法において、該方法の工程や行為の順序は必ずしも記載された順序に限定されるものではないことが理解されるべきである。
請求項において、「備える(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「包含する(involving)」、「保持する(holding)」、「からなる(composed of)」等の移行句は、開放性、すなわち、含むがそれに限定されないことを意味することが理解されるべきである。移行句の「からなる(consisting of)」および「実質上〜を含む(consisting
essentially of)」のみが、特許審査手続きに関する米国特許庁便覧セクション2111.03に規定されるように、それぞれ閉鎖性、半閉鎖性の移行句である。