JP6547679B2 - 車両側コネクタ - Google Patents
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Description
そして、インレットの前面に水が降り懸かり、端子収容部の前面開口から浸水すると、一部の水は端子金具の筒形嵌合部内に浸入するものの、弾性片の間の隙間を通って下方に抜け、筒形嵌合部の外側に浸入した水ともども、端子収容部の下側の内面上を後方に向かって流下し、排水用空間に導かれたのち排水口から外部等に排水されるようになっている。
本明細書によって開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、端子収容室に浸入した水の排水機能を向上させるところにある。
前記端子金具は、フランジを挟んだ前後に、前記筒形嵌合部を前端部に設けた端子接続部と、電線の端末をかしめ圧着する圧着部を後端部に設けた丸棒状をなす電線接続部とが設けられた形状であり、前記端子収容室は、前記端子金具の前記端子接続部が収容される小径の前側室と、前記端子金具の前記フランジが嵌合可能な大径の後側室とが連設された形状であり、前記排水溝は、前記前側室の下面において、後端を前記後側室に開口し、前端を、前記筒形嵌合部における前記スリットの後端よりも前方に臨ませた形態で形成されている。
筒形嵌合部内に浸入した水は、弾性片の間のスリットの後端部を通って前側室の下面に形成された排水溝に流入し、後側室に向けて流下したのち引き続き同後側室の下面に沿って流下し、排水用空間に導かれて排水に供される。
排水溝は溝幅が広いほど排水性能に優れると言えるが、端子金具の筒形嵌合部を構成する弾性片の幅よりも溝幅が大きい場合には、例えば端子金具の筒形嵌合部内に相手のピン端子が斜め姿勢で嵌合されて、筒形嵌合部の下面側に配された弾性片が斜めに突かれると、同弾性片が排水溝内に撓み変位し、突かれ方が大きいと過度撓みするおそれがある。
その対策として、排水溝の中央幅位置に受け壁を立てたから、仮に弾性片が斜めに突かれたとしても、弾性片が受け壁で受けられて過度撓みすることが回避される。すなわち、排水溝の有効溝幅は相応に広く採れて排水機能を維持しながらも、弾性片が過度撓みしひいては塑性変形することを防止できる。
端子金具の収容時の回動姿勢が周方向にずれて、仮に筒形嵌合部を構成する弾性片が、排水溝における分割溝と対応したとしても、弾性片の幅の方が分割溝の溝幅よりも大きいことから、弾性片が分割溝内に撓み変位することが阻止される。端子金具の回動姿勢によらず、弾性片が過度撓みすることが防止できる。
実施形態を図1ないし図12に基づいて説明する。本実施形態では急速充電システムに適用される車両側コネクタVCを例示しており、同車両側コネクタVCは、電気自動車やハイブリッド車などに搭載されたバッテリ(図示せず)に接続され、このバッテリへの充電時に充電用コネクタ(図示せず)と嵌合接続されるようになっている。
電線接続部20Pは、丸棒状の本体部21Pの後端部に、電線の端末がかしめられる圧着部22Pが形成された構造である。
上記のように排水溝46に受け壁48を形成することにより、受け壁48を挟んだ両側に分割溝47が形成されている。ここで、各分割溝47の溝幅W2が、弾性片15Pの基端部の幅W3よりも小さくなるように設定されている。
それに伴い、周壁60、端子収容部40及びリテーナ70の間において閉空間が構成され、同閉空間により排水用空間100が形成されている。上記した排水用空間100の下部に設けられた排水溜まり95が、排水口96を介して排水管97の基端に連通した形態となる。
車両側コネクタVCは、例えば以下のような手順で組み立てられる。リテーナ70に設けられた第1押さえ筒部81と、第2押さえ筒部90を構成する単位押さえ筒部91に対し、それぞれ所定の電線(図示せず)が後方から先通しされたのち、各電線の端末が、対応するパワー端子10Pまたは信号用端子10Sの電線接続部20P,20Sの圧着部22P,22Sに圧着されて接続される。併せて、シールリング85P,85Sが装着される。そののち例えば、電線が後方に引き戻されて、パワー端子10Pのフランジ11Pと信号用端子10Sのフランジ11Sが、それぞれ対応する第1押さえ筒部81の先端または単位押さえ筒部91の先端に当たったところで留め置かれ、いわゆるサブアッシイされた状態となる。
なお、車両側コネクタVCの後方に引き出された電線は一纏めにされ、リテーナ70の取付筒76に取り付けられたカバーやコルゲートチューブに通されて防水処理が施された上で、車両に搭載されたバッテリと接続される。
ここで、相手の充電用コネクタが嵌合される前後において、ハウジング30の前面に水が懸かり、端子収容部40の前面開口から浸水するおそれがある。
しかしながら本実施形態では、図4に示すように、排水溝46内に受け壁48が立ち上がり形成されて弾性片15Pの直下に位置しているから、弾性片15Pが突かれた場合にも受け壁48で受けられて撓み変位することが規制され、過度撓みすることに起因して塑性変形することが未然に防止される。
パワー端子10Pの端子接続部12Pが収容される前側室43の後端部の下面に、軸方向を向いた排水溝46が、後端を後側室44に開口し、前端を、筒形嵌合部14Pにおけるスリット16Pの後端よりも前方に臨ませた形態で形成されているから、筒形嵌合部14P内に浸入した水は、弾性片15Pの間のスリット16Pの後端部を通って排水溝46に流入し、引き続き後側室44の下面に沿って流下したのち排水用空間100に導かれて排水に供される。
弾性片15Pの間のスリット16Pを通って下方に抜けた排水を排水溝46で受けるようにしたから、仮に大量の泥水が浸入したとしても、詰まることなくスムーズに排水することができる。すなわち、端子収容室42に浸入した水の排水機能の向上を図ることができる。
それに対し、排水溝46の中央幅位置には、パワー端子10Pの筒形嵌合部14Pを構成する弾性片15Pを受ける受け壁48が形成されている。そのため、仮に弾性片15Pが斜めに突かれたとしても、弾性片15Pが受け壁48で受けられて過度撓みすることが回避される。すなわち、排水溝46の有効溝幅は相応に広く採れて排水機能を維持しながらも、弾性片15Pが過度撓みしひいては塑性変形することを防止できる。
本明細書によって開示される技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)排水溝内に形成する受け壁は、必ずしも排水溝の全長に亘って形成されている必要はなく、一部の長さ領域のみであってもよい。
(2)信号用端子を端子収容室に収容した部分における排水構造についても、同様に適用することが可能である。
(3)上記実施形態では、排水用空間に導かれた排水を、排水管によりインバータハウジングの後面側に排水する場合を例示したが、ハウジングの前面側に排水する形式のものにも、同様に適用可能である。
(5)さらに閉鎖部材は、端子金具の抜け止めを図るリテーナとは別部材として備えてもよい。
10P…パワー端子(端子金具)
11P…フランジ
12P…端子接続部
14P…筒形嵌合部
15P…弾性片
16P…スリット
20P…電線接続部
22P…圧着部
30…インレットハウジング(ハウジング)
41…第1端子収容部
42…端子収容室
43…前側室
44…後側室
46…排水溝
47…分割溝
48…受け壁
70…リテーナ(閉鎖部材)
100…排水用空間
Claims (4)
- 車両に装着される車両側コネクタであって、
複数の弾性片をスリットを介して円形に配した筒形嵌合部を備えた端子金具と、
前記端子金具が収容される端子収容室が形成されたハウジングと、
前記ハウジングの背面側において前記端子収容室の後端の回りを覆って装着された閉鎖部材と、
前記閉鎖部材の内側において前記端子収容室と連通した形態で設けられた排水用空間と、が具備され、
かつ、前記端子収容室のうち前記端子金具の前記筒形嵌合部の収容領域の下面には、後端が前記排水用空間に向けて開口した軸方向に沿った排水溝が、その前端を、前記端子金具の前記筒形嵌合部における前記スリットの後端よりも前方に臨ませた形態で形成されている車両側コネクタ。 - 前記端子金具は、フランジを挟んだ前後に、前記筒形嵌合部を前端部に設けた端子接続部と、電線の端末をかしめ圧着する圧着部を後端部に設けた丸棒状をなす電線接続部とが設けられた形状であり、
前記端子収容室は、前記端子金具の前記端子接続部が収容される小径の前側室と、前記端子金具の前記フランジが嵌合可能な大径の後側室とが連設された形状であり、
前記排水溝は、前記前側室の下面において、後端を前記後側室に開口し、前端を、前記筒形嵌合部における前記スリットの後端よりも前方に臨ませた形態で形成されている請求項1に記載の車両側コネクタ。 - 前記排水溝の中央幅位置には、前記端子金具における前記筒形嵌合部の前記弾性片を受ける受け壁が同排水溝の長さ方向に沿って延びた形態で形成されている請求項1または請求項2に記載の車両側コネクタ。
- 前記受け壁の両側に分かれて形成された分割溝の溝幅が、前記端子金具における前記筒形嵌合部の前記弾性片の幅よりも小さい寸法に設定されている請求項3に記載の車両側コネクタ。
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