JP6547031B2 - 筒状部材製造装置 - Google Patents

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本発明は、可撓性のある部材、たとえば、衣類を構成する伸縮性を備えた生地(平面状部材)に接着剤を塗布して筒状(以下において筒状を環状と記載する場合があるが同義である)に接着する技術に関し、特に、平面状部材(たとえば平面状生地)に接着剤を塗布した後に連続して筒状に接着して筒状部材(たとえば筒状生地)を製造することを自動的に実現することを可能とする、筒状部材製造装置に関する。なお、本発明に係る製造装置の製造対象は、伸縮性生地に限定されるものではない。
近年、衣類(特に肌着)の分野において、針および縫糸による縫製(縫着)ではなく肌着を構成する各部の生地を接着剤によって互いに接着させる方法および装置が提案されている。生地どうしを接着剤で接着することによって、縫着により生地表面に形成される縫糸の凹凸をなくし、肌着の表裏面を平滑面とすることが可能となる。このように接着部分が薄く仕上がることにより、肌触りが良く、かつ、アウターに響かないアンダーシャツ等の肌着を製造することができる。
このような生地を接着する装置においては、通常、接着剤は加熱されて液状とされ、ノズルから吐出される。生地はノズルの近傍位置に配置されて順次移送される。これによって、生地に接着剤を付着させて、次いで、接着剤が付着した状態の布に別の布が重ね合わせられて、互いの生地が圧着されることにより生地どうしが接着される。
このような生地の接着装置の一例を、特表平11−512129号公報(特許文献1)および特表2003−528227号公報(特許文献2)が開示する。
特許文献1に開示された接着方法は、衣服、内張り用物品、家具などの製造に用いる織布または皮革や合成シートのような薄くて可撓性の他の材料からなる2枚の布片を追加材料によって接着する方法であって、布片の少なくとも一方に設けた接着領域に沿って少なくとも一方の布片の上に接着剤の堆積体を形成し、次いで、2枚の布片の接着領域を互いにプレスすることにより接着部を形成することを特徴とする。この接着方法においては、プレスする際に、1枚の布片側からのみ加熱される。
特許文献2に開示された接着装置は、2つの繊維または類似の製品をホットメルト層で接着する装置であって、ホットメルト層を繊維とともに進行させるような手段で、2つの繊維の中の第1繊維と非常に薄いホットメルト層とをともに冷めた状態で運んでいく手段と、ホットメルト層に作用して、その表面が第1繊維に接触するまでホットメルト層を可塑化させるための加熱手段と、可塑化ホットメルト層が第1繊維と接触するまで第2繊維を運んでいって2つの繊維を押圧するための手段とを備えることを特徴とする。この接着装置では、第1繊維と第2繊維とが接触する前に加熱手段によりホットメルト層を可塑化している。
ところで、上半身衣類(たとえばアンダーシャツ)においては、丸編みされた身頃部と左右の袖部とを有し、身頃部と袖部とは別々に編成された伸縮性編地であって、身頃部のアームホールに袖部の腕回り方向を肩部で環状に縫製されている。特開2003−326602号公報(特許文献3)は、アンダーシャツではないがウエットスーツ等を製作する際に継目部(たとえば胴回り部と袖部との継目部である袖ぐり部)を縫製した後、シールテープを継目部に溶着して漏水防止や補強を行ったりする装置を開示し、継目部を縫製することなく直接に継目部を溶着することも開示する。
この特許文献3に開示された溶着接合装置は、シート状素材を一対のローラ間に送り込み、該ローラで挾圧しながらシート状素材を加熱手段で加熱接合するようにした溶着接合装置であって、前記ローラが、共通ローラとこの共通ローラに圧接する第1のローラおよび第2のローラからなり、第1のローラを素材の進行方向と直交する方向に配設されるシリンダ部の先端に設けるとともに、第2のローラを素材の進行方向に沿って配設される腕部の先端に設け、前記シリンダ部および腕部を駆動源によって回動操作して第1および第2のローラを前記共通ローラに選択的に圧接させるようにするとともに、上記加熱手段が、前記共通ローラに圧接した第1または第2のローラに巻き掛けられた素材に超音波振動を加えるホーンであることを特徴とする。この溶着接合装置によると、袖ぐり部などの素材の環状部分の溶着接合や、袖部または股部などの筒状の素材の長さ方向に沿う部分の溶着接合であっても、シリンダ部と腕部とを交互に動作位置に切り換えることにより、一台の装置で連続的に溶着接合することができる。そのため、従来のように専用機で別工程に分けて作業する必要がなくなり、設備費や製造コストを大幅に削減することができる。
特表平11−512129号公報 特表2003−528227号公報 特開2003−326602号公報
これらの特許文献1および特許文献2に開示された接着技術は、いずれも接着対象である生地やウェブ等の搬送方向に沿って、接着領域のほぼ全幅に亘り接着剤を塗布している。このため、接着領域のほぼ全面積に接着剤が塗布されて、生地等どうしが接着される。また、具体的に先行技術文献を示すものではないが、熱融着性の接着テープを生地に供給して、生地どうしを接着することも公知である。
しかしながら、このような場合、接着領域のほぼ全面積に接着剤がシート状に塗布されて接着される。このため、接着領域が面状となるために、生地の接着面の間において高い接着強度を確保することができるものの、生地の伸縮性が阻害され、生地が本来備える伸縮性が損なわれてしまう。このように接着された生地で構成された肌着等の衣類は、接着部分に十分な強度を備えるとしても、伸縮性を備えない。
すなわち、これらの特許文献1および特許文献2は、いずれも2枚のシート状の布片を平面的かつ全面的に接着する接着技術を開示するに過ぎず、環状に接着する技術を開示しない。生地を環状に接着するにあたっては、接着開始点と接着終了点とを合わせる必要があるが、生地の伸縮性等によりこのように開始点と終了点とを合わせることが重要な課題となる。平面的かつ全面的に接着する接着技術は、このような課題を解決するものではない。一方、特許文献3は、胴回り部と袖部との継目部である袖ぐり部を縫製することなく直接に継目部を溶着することを開示するものの、縫製することなく環状に溶着する技術の詳細については一切開示していない。
また、上述したいずれの特許文献においても、上述した問題点を解決しつつ、接着剤の塗布工程と接着剤が塗布された部位を接着する接着工程とを連続的かつ自動的に実現する技術の詳細については一切開示していない。
本発明は、上述した問題点に鑑みて開発されたもので、その目的とするところは、たとえば可撓性のある部材の一例である伸縮性を備えた生地(たとえば平面状生地)の少なくとも一部を筒状に接着する際に、平面状生地を十分な接着強度で筒状に接着することを可能とする、筒状部材製造装置を提供することである。
さらに、たとえば平面状生地に接着剤を塗布した後に連続して筒状に接着して筒状生地を製造することを自動的に実現することを可能とする、筒状部材製造装置を提供することである。
さらに、接着強度を確保しつつ、部材が備える伸縮性を阻害することなく、たとえば平面状生地を筒状に接着することを可能とする、筒状部材製造装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係る筒状部材製造装置は以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係る筒状部材製造装置は、第1の面とその裏面である第2の面とを備えた可撓性のある部材から、少なくとも一部の形状が筒状である筒状部材を製造する。この筒状部材製造装置は、前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方の面が上方向を向くように前記部材を保持するための部材保持手段と、前記上方向を向いた面の所定領域に接着領域を形成するための接着領域形成手段と、前記上方向を向いた面の接着領域と他方の面の被接着領域とが当接するように、前記部材保持手段に保持された前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方の面を反転するための反転手段とを含む。
好ましくは、前記接着領域形成手段は、前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方の面の所定領域に接着剤を塗布することにより接着領域を形成するように構成することができる。
さらに好ましくは、前記接着領域と前記被接着領域とを圧接するための圧接手段をさらに含むように構成することができる。
さらに好ましくは、前記圧接手段は、前記接着領域を加熱するための加熱手段をさらに含むように構成することができる。
さらに好ましくは、前記接着領域と前記被接着領域とが当接した状態を維持して、前記部材を前記圧接手段まで搬送するための搬送手段をさらに含むように構成することができる。
さらに好ましくは、前記部材保持手段は、長手方向に平行に並べられ、前記筒状部材の断面積よりも断面積が小さい2本の角柱を含み、前記角柱は内部に空洞を備え、前記角柱の上面において、前記接着領域および前記被接着領域に対応する部分には吸引孔が設けられ、前記反転手段は、前記2本の角柱の1本を反転するための反転ユニットを含むように構成することができる。
さらに好ましくは、前記部材保持手段は、長手方向に平行に並べられ、前記筒状部材の断面積よりも断面積が小さい2本の角柱を含み、前記角柱は内部に空洞を備え、前記角柱の上面において、前記接着領域および前記被接着領域に対応する部分には吸引孔が設けられ、前記反転手段は、前記2本の角柱の1本を反転するための反転ユニットを含み、前記圧接手段は、前記長手方向に前記接着領域形成手段から離隔して設けられ、前記搬送手段は、前記部材を前記圧接手段まで前記長手方向に搬送し、前記2本の角柱のうちの反転しない角柱は、前記接着領域形成手段側の端部に設けられた支持部と、前記接着領域形成手段と前記圧接手段との間に設けられた第1の可動支持部と、前記圧接手段側の端部に設けられた第2の可動支持部とで支持され、前記第1の可動支持部および前記第2の可動支持部は、前記角柱に接近して前記角柱を支持する支持状態と前記角柱から離隔する離隔状態とを切り換え可能に構成することができる。
さらに好ましくは、前記第1の可動支持部および前記第2の可動支持部において、前記離隔状態から前記支持状態へ移行する場合に前記角柱の外面が当接する面がテーパ状に構
成することができる。
さらに好ましくは、前記接着領域は、前記部材どうしが連続的に接着される接着部と、前記部材どうしが接着されない非接着部とからなる接着パターンで形成され、前記接着部と前記非接着部とが所定方向に繰り返し設けられているように構成することができる。そして、前記接着パターンはジグザグ状、カーブ状または点状であるように構成することができる。
本発明によれば、たとえば、衣類の一例であるアンダーシャツを構成する編地のような伸縮性のある筒状の袖部を製造するに際して、可撓性のある部材の一例である平面状生地を十分な接着強度で筒状に接着することを可能とする、筒状部材製造装置を提供することができる。さらに、平面状生地に接着剤を塗布した後に連続して筒状に接着して筒状生地を製造することを自動的に実現することを可能とする、筒状部材製造装置を提供することができる。さらに、接着強度を確保しつつ、部材が備える伸縮性を阻害することなく、平面状生地を筒状に接着することを可能とする、筒状部材製造装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る筒状部材製造装置の全体を示す斜視図である。 図1に示す筒状部材製造装置の全体を示す正面図である。 図1の部分拡大図である。 図1に示す筒状部材製造装置の動作を説明するための図(その1)である。 図1に示す筒状部材製造装置の動作を説明するための図(その2)である。 図1に示す筒状部材製造装置の動作を説明するための図(その3)である。 図1に示す筒状部材製造装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。 図1に示す筒状部材製造装置の制御ブロック図である。 図1に示す筒状部材製造装置により接着されたアンダーシャツの正面図である。 図9の部分拡大図である。 図9のアンダーシャツの着用状態を示す斜視図である。 図9のアンダーシャツの袖部の接着手順を示す図である。 図12に対応する図であって変形例に係るアンダーシャツの袖部の接着手順を示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る筒状部材製造装置(以下において単に製造装置と記載する場合がある)1000について図面を参照して説明する。なお、この筒状部材製造装置1000は、可撓性のある部材の一例である平面状部材を筒状に接着する装置であって、より具体的には可撓性を備えた平面状部材の一例である衣類用の平面状生地から袖部の筒状生地を製造する装置であって、たとえば熱溶融性(熱可塑性と同義)の接着剤を所望の接着パターンで塗布して、その生地を筒状に接着する。ここで、本発明に係る筒状部材製造装置の処理対象は平面状部材に限定されるものではなく平面状でなくても構わず、製造対象は袖部の筒状生地に限定されるものではなく袖部でなくても構わない。
また、可撓性を備えた平面状部材はこのような伸縮性を備えた生地に限定されるものではなく、たとえば、平面状(シート状)でさらに好ましくは伸縮性を有する材料(部材、素材)であればよく、伸縮性の生地や、その他、ストレッチ素材、ゴム素材、ポリウレタンフィルム等の伸縮性フィルム類、およびこれらを複合して構成した複合体等が挙げられる。また、平面状部材そのものが2つの素材で形成されている等により、同一の材料どう
しを接着する場合のみならず、異なる材料どうしを接着する場合に用いられるものであっても構わない。すなわち、本発明における製造対象は、生地等に限定されるものではなく、筒状に形成できるように可撓性を備えた平面状部材であれば構わず、さらに伸縮性を備えることが好ましい。
詳しくは動作として後述するが、以下においては、本実施の形態に係る製造装置1000により接着される接着対象は肌着を形成する生地であるとする。このため、平面状部材は平面状生地と、筒状部材は筒状生地となる。すなわち、この製造装置1000は、このような肌着に好適に用いられる平面状生地を筒状に接着することにより筒状生地である肌着の袖部を製造する場合に好ましく使用される。さらに、この肌着は、アウターの衣服(たとえば薄手のニット)の下に着用でき、肌触りが良く、かつ、アウターに響かない、女性用のアンダーシャツであるとする。
ここで、生地の素材、接着強度、接着部位等により適宜好ましい接着剤が選択され、接着剤の熱溶融温度はその選択に従う。常温に近い熱溶融温度の接着剤が選択される場合もあり、この場合には生地どうしを圧接させるのみで加熱することなく接着することができるので、本実施の形態に係る製造装置1000は生地の接着領域を加熱するためのヒータは必須の構成ではない。
さらに、生地どうしを当接させるのみで圧接も加熱もすることなく接着することができる場合も想定できるので、本実施の形態に係る製造装置1000は生地を圧接するためのプレスユニットは必須の構成ではない。
[全体構成]
図1に本実施の形態に係る筒状部材製造装置1000の全体を示す斜視図を、図2にこの筒状部材製造装置1000の全体を示す正面図を、図3に図1の部分拡大図をそれぞれ示す。
これらの図に示すように、この筒状部材製造装置1000は、全体として、製造装置1000の中央付近に設けられた塗布ユニット1100と、向かって右側に設けられた右ユニット1000Rと、向かって左側に設けられた左ユニット1000Lとで構成される。なお、向かってとは、この製造装置1000を作業者が操作する場合(特に、この製造装置1000に平面状生地をセットしたりこの製造装置1000から筒状生地を取り外したりする場合)に、作業者が立つ位置を基準とした方向を意味する。
この製造装置1000において、塗布ユニット1100は、右ユニット1000Rおよび左ユニット1000Lで共通して用いられる。すなわち、この製造装置1000は、右ユニット1000Rと、左ユニット1000Lと、右ユニット1000Rと左ユニット1000Lとで共用される塗布ユニット1100とで大きくは構成され、右ユニット1000Rと左ユニット1000Lとは左右対称に設置されている。このような左右対称の構造を備えるために、右ユニット1000Rおよび左ユニット1000Lを構成する各部品については、右ユニットを示す「R」または左ユニットを示す「L」を符号に付することを基本とするが、これらの「R」および「L」を付されていない符号については右ユニットまたは左ユニットのいずれかを示すものとする。
右ユニット1000Rおよび左ユニット1000Lは、それぞれ、接着領域を含む生地を保持する第1の中空角柱(搬送角柱)1010R、1010Lと、被接着領域を含む生地を保持する第2の中空角柱(反転角柱)1210R、1210Lと、第2の中空角柱を略180°反転させる反転ユニット1200R、1200Lと、接着領域を加熱圧接(加熱セット)するプレスユニット1400R、1400Lと、塗布ユニット1100の位置からプレスユニット1400R、1400Lの位置まで生地を搬送する搬送ユニット13
00R、1300Lとで構成される。
この製造装置1000においては、作業者が生地をセットして処理開始ボタン(スタートボタン)を押下した後は、この製造装置1000が自動的に接着剤を接着領域に塗布して、接着剤の塗布が終わると生地の一方を自動的に反転させて接着領域と被接着領域とを当接させることにより仮止めして、その仮止め状態でプレスユニットまで自動的に搬送して、接着領域を自動的に熱セットする。このようにこの製造装置1000は、平面状生地のセット作業および筒状生地の取り外し作業以外の工程である、平面状生地から筒状生地を製造する工程を連続的かつ自動的に実行する。このため、作業者は右ユニット1000Rにおいて(処理済みの筒状生地が右ユニット1000Rにあればその筒状生地を取り出して)平面状生地をセットして処理開始ボタン(スタートボタン)を押下すると左ユニット1000Lへ移動して左ユニット1000Lに平面状生地をセットして処理開始ボタン(スタートボタン)を押下する。左ユニット1000Lに平面状生地をセットしている間に右ユニット1000Rで平面状生地が連続的かつ自動的に処理される。左ユニット1000Lに平面状生地をセットして処理開始ボタン(スタートボタン)を押下すると作業者は右ユニット1000Rへ移動して処理済みの筒状生地を右ユニット1000Rから取り出す。そして、右ユニット1000Rに次の平面状生地をセットして処理開始ボタン(スタートボタン)を押下する。このように一方のユニットにおける平面状生地のセット作業および筒状生地の取り出し作業と、他方のユニットにおけるこの製造装置1000による連続的かつ自動的な処理とを重ね合わせることにより、効率的に平面状生地から筒状生地を製造することができる。
しかしながら、本発明はこのような左右対称のユニットを備えた筒状部材製造装置に限定されるものではなく、塗布ユニット1100に右ユニット1000Rおよび左ユニット1000Lのいずれかを備えたものであれば構わない。また、右ユニット1000Rおよび左ユニット1000Lにおいて、プレスユニット1400R、1400Lおよび搬送ユニット1300R、1300Lは、任意的構成である。
さらに、図4〜図6に筒状部材製造装置1000の動作を説明するための図を、図7にこの筒状部材製造装置1000の動作を説明するためのタイミングチャートを、図8にこの筒状部材製造装置1000の制御ブロック図を、それぞれ示し、これらの図4〜図8および上述した図1〜図3を参照して、この筒状部材製造装置1000の特徴的な構成について説明する。なお、図4(A)は上面図であって、図4(B)、図4(C)および図5はZ方向を見た側面図であって、図4(D)は図4(C)の部分拡大図(X方向を見た側面図)であって、図6はX方向を見た側面図である。また、図3〜図6は模式的な図であって、たとえば、一部の部品の支持部材が記載されておらず宙に浮いた状態の部品がある。
この筒状部材製造装置1000は、接着領域を含む第1の面とその裏面である被接着領域を含む第2の面とを備えた平面状生地Fから筒状生地を製造する。この製造装置1000は、平面状生地の第1の面および第2の面が略同じ上方向を向くように保持するための生地保持手段である接着領域(第1の面)を含む生地を保持する第1の中空角柱(搬送角柱)1010および被接着領域(第2の面)を含む生地を保持する第2の中空角柱(反転角柱)1210と、第1の面の接着領域に接着剤を塗布するための塗布手段である塗布ユニット1100と、第1の面の接着領域と第2の面の被接着領域とが当接するように生地保持手段に保持された第1の面および第2の面のいずれか(ここでは第2の面)を略180°反転するための反転手段である反転ユニット1200(第2の中空角柱1210を略180°反転)と、を含む。なお、塗布ユニット1100は、第1の面の接着領域および第2の面の被接着領域の少なくともいずれかに接着剤を塗布するように構成すればよく、第1の面の接着領域および第2の面の被接着領域に接着剤を塗布するように構成しても構
わないし、第2の面の被接着領域のみに接着剤を塗布するように構成しても構わない。
この筒状部材製造装置1000は、当接された第1の面の接着領域と第2の面の被接着領域とを圧接するための圧接手段であるプレスユニット1400をさらに含む。このプレスユニット1400は、接着領域を加熱するための加熱手段であるヒータを備える。なお、上述したように、加熱手段がこの製造装置1000における任意的構成であることに加えて、圧接手段自体がこの製造装置1000における任意的構成である。
この筒状部材製造装置1000は、第1の面の接着領域と第2の面の被接着領域とが当接した状態を維持して、生地をプレスユニット1400の位置まで搬送するための搬送手段である搬送ユニット1300をさらに含む。
図示するように、この生地保持手段は、長手方向に平行に並べられ、筒状生地の断面積よりも断面積が小さい2本の中空角柱である第1の中空角柱(搬送角柱)1010と第2の中空角柱(反転角柱)1210とを含む。第1の中空角柱(搬送角柱)1010は接着領域(第1の面)を含む生地を保持し、第2の中空角柱(反転角柱)1210は被接着領域(第2の面)を含む生地を保持する。詳しくは後述するが、この中空角柱(第1の中空角柱(搬送角柱)1010、第2の中空角柱(反転角柱)1210)の上面において、接着領域および被接着領域に対応する部分には吸引孔が設けられ、後述するブロア1510により空気が吸引されて平面状生地を保持している。
上述したように、反転手段は、これら2本の中空角柱の1本である第2の中空角柱(反転角柱)1210を略180°反転させて、第2の中空角柱(反転角柱)1210の上面(第2の面の保持面)を、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の上面(第1の面の保持面)に当接させるための反転ユニット1200を含む。そして、図示するように、圧接手段は、塗布手段に対して中空角柱の長手方向に離隔して設けられているために、搬送手段は、第1の面の接着領域と第2の面の被接着領域とが当接され仮止めされた生地を圧接手段まで中空角柱の長手方向へ搬送する必要がある。
この場合において、2本の中空角柱のうちの反転しない中空角柱である第1の中空角柱(搬送角柱)1010は、塗布手段側の端部に設けられた支持部と、塗布手段と圧接手段との間に設けられた第1の可動支持部である第1エアシリンダ1340と、圧接手段側の端部に設けられた第2の可動支持部である第2エアシリンダ1350とにより水平状態に支持されている。この第1の可動支持部および第2の可動支持部は、中空角柱(第1の中空角柱(搬送角柱)1010)に接近してこれらの中空角柱を支持する支持状態とこれらの中空角柱から離隔する離隔状態とを上下動する第1エアシリンダ1340および第2エアシリンダ1350により切り換え可能に構成されている。
なお、第1の可動支持部である第1エアシリンダ1340および第2の可動支持部である第2エアシリンダ1350において、離隔状態から支持状態へ移行する場合に第1の中空角柱(搬送角柱)1010の外面(角柱断面の外面)が当接する受け面をテーパ状に形成している。このように形成された受け面を備えた第1エアシリンダ1340および第2エアシリンダ1350を図4(D)に示す。このため、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の高さ方向の位置が正確に位置決めできることに加えて、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の製造装置1000の前後方向(図3の矢示Z方向)の位置を正確に位置決めすることができる。
なお、この製造装置1000において、塗布ユニットおよび反転ユニットの位置に(中空角柱の長手方向に離隔させない位置に)プレスユニットを設置することができる場合、および、そもそもプレスユニットを設置する必要がない場合には、搬送ユニットが不要となるため、搬送ユニットはこの製造装置1000における任意的構成である。
このような特徴を備えた本実施の形態に係る製造装置1000の各部についてさらに詳しく説明する。
[各部構成]
・塗布ユニット1100
この塗布ユニット1100は、第1の中空角柱1010に吸引保持された平面状生地の第1の面の接着領域に、接着剤を塗布するノズルを有する塗布ヘッド1110を備える。ここで、塗布するとは、生地に非接触で生地へ向かって吐出することを意味することとするが、非接触に限定されるものではない。また、この塗布ヘッド1110は、生地に繰り返しパターンで接着剤を塗布する。この繰り返しパターンについては、後述する図12(B)に示す接着パターンPまたは図13(B)に示す接着ドットパターンDである。保持された生地にこのような接着パターンを形成するために、この塗布ユニット1100は、この塗布ヘッド1110を図3の矢示X方向に水平移動させる塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140およびこの塗布ヘッド1110を図3の矢示Z方向に往復移動させるクランクモータ1160を備える。さらに、この塗布ユニット1100は、この塗布ヘッド1110を図3の矢示Y方向に垂直移動させる塗布ヘッド移動エアシリンダ1120を備える。
さらに、この塗布ユニット1100は、熱可塑性の接着剤を加熱して塗布に適した粘度を維持するための接着剤用ヒータコントローラ1170を備え、塗布に適した粘度に維持された接着剤を塗布ヘッド1110へ送り込むギヤポンプおよびギヤポンプモータ1150を備える。また、この塗布ユニット1100は、塗布時以外に塗布ヘッド1110の接着剤吐出孔(ノズル孔)を閉鎖して、塗布時にその接着剤吐出孔を開放するための、ノズルキャップおよびノズルキャップアクチュエータ1130を備える。
このように塗布ユニット1100は、たとえば熱可塑性樹脂の接着剤を、塗布ヘッド1110から生地に繰り返しパターンで塗布するために、必要な量の接着剤をストレージするとともに接着剤用ヒータコントローラ1170により接着剤が所定の粘度になるように温度が維持される接着剤用ヒータを備えた接着剤ストレージ部から、ギヤポンプにより、加熱されて所望の粘度となった接着剤が塗布ヘッド1110へ送り込まれて、塗布ヘッド1110から生地に接着剤が塗布される。これらの接着剤ストレージ部、ギヤポンプモータ1150、ギヤポンプおよび塗布ヘッド1110は、基本的に公知のものである。この塗布ユニット1100における塗布ヘッド1110へ接着剤を送り込む量(すなわち塗布ヘッド1110からの接着剤吐出量)は、制御部1500により制御される。たとえば、ギヤポンプモータ1150は、制御部1500によりその回転数が変化されて、ギヤポンプから塗布ヘッド1110へ送り込まれる接着剤の量を制御して、塗布ヘッド1110から生地へ塗布される接着剤の量が制御される。
塗布ヘッド1110のノズル径は、被塗布対象の生地の種類、繰り返しパターン(たとえばクランクモータ1160による塗布ヘッド1110の振幅)、生地の単位面積あたりの塗布量等により決定される。
塗布ヘッド1110は、Y方向(矢示Y(1)−矢示Y(2))については塗布ヘッド移動エアシリンダ1120により、X方向(矢示X(1)−矢示X(2))については塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140によりそれぞれ移動されて、待機位置(1110(0))、塗布開始位置(1110(R1)、1110(L1))、塗布終了位置(1110(R2)、1110(L2))、反転待機位置(1110(R3)、1110(L3))への移動が制御部1500により制御されている。すなわち、X−Y平面内での塗布ヘッド1110の移動が、制御部1500により制御されている。
そして、塗布ヘッド1110は、Z方向(矢示Z)についてはクランクモータ1160により駆動されるクランクユニットにより、X方向(矢示X(1)−矢示X(2))につ
いては塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140により移動されて、生地の長手方向(中空角柱の長手方向)とは異なる方向へ、塗布ヘッド1110を所望の振幅で繰り返し往復移動させつつ、生地の長手方向(中空角柱の長手方向)へ向かって繰り返しパターンを進めて、所望の繰り返しパターンを形成する。すなわちX−Z平面内での塗布ヘッド1110の移動が、制御部1500により制御されている。
このようにクランクユニットによる塗布ヘッド1110のZ方向往復移動と、塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140による塗布ヘッド1110のX(1)方向からX(2)方向への移動とにより、繰り返しパターンで生地に接着剤が塗布される。より具体的には、クランクユニットによる塗布ヘッド1110の往復移動速度と塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140によるX方向移動速度とが、関連付けされて制御部1500により制御されて、後述する図12(B)に示す接着パターンPまたは図13(B)に示す接着ドットパターンDが形成される。
・反転ユニット
反転ユニット1200は、図3に示すように、生地保持手段である、長手方向に平行に並べられ、筒状生地の断面積よりも断面積が小さい2本の中空角柱の中の第2の中空角柱(反転角柱)1210を、略180°矢示R(2)方向へ変転させる。この第2の中空角柱(反転角柱)1210を矢示R(2)方向への略180°反転させた結果、第2の中空角柱(反転角柱)1210の上面(第2の面の保持面)が、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の上面(第1の面の保持面)に当接される。
この反転ユニット1200は、この第2の中空角柱(反転角柱)1210と、この第2の中空角柱(反転角柱)1210を矢示R(1)−R(2)方向に略180°正逆反転させる生地反転ロータリーアクチュエータ1220とで構成され、この生地反転ロータリーアクチュエータ1220は制御部1500により、矢示R(1)方向からR(2)方向への正反転および矢示R(2)方向から矢示R(1)方向への逆反転が制御される。
なお、第2の中空角柱(反転角柱)1210とともに、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の上面において、接着領域(第1の中空角柱(搬送角柱)1010)および被接着領域(第2の中空角柱(反転角柱)1210)に対応する部分には吸引孔が設けられている。
より具体的には、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の上面および第2の中空角柱(反転角柱)1210の上面に多数の吸引孔を設けておいて、処理対象の生地により接着領域の大きさおよび位置、ならびに、被接着領域の大きさおよび位置が異なるので、接着領域および被接着領域の部分のみ開口した薄い金属プレートを、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の上面および第2の中空角柱(反転角柱)1210の上面に(たとえば磁力により取り外し自在に)貼付している。この場合において、この薄い金属プレートと第1の中空角柱(搬送角柱)1010の上面との位置決め、および、この薄い金属プレートと第2の中空角柱(反転角柱)1210の上面との位置決め、がともに重要である。このため、中空角柱の上面に位置決め用の出っ張りを設けて、その出っ張りに薄い金属プレートを当接させることにより、正確な位置に正確な大きさの吸引孔(吸引孔群)が開口するようにしている。
図4に示すように、たとえば、右ユニット1000Rには長い袖部(長袖)に対応した金属プレートが貼付されており、左ユニット1000Lには短い袖部(半袖)に対応した金属プレートが貼付されている。右ユニット1000Rにおいて、第1の中空角柱(搬送角柱)1010Rの上面には接着領域の位置に合わせた1つの吸入孔群1230Rが、第2の中空角柱(反転角柱)1020Rの上面には被接着領域の位置に合わせた1つの吸入孔群1240Rが、それぞれ開口している。また、左ユニット1000Lにおいて、第1
の中空角柱(搬送角柱)1010Lの上面には接着領域の位置に合わせた4つの吸入孔群1230Lが、第2の中空角柱(反転角柱)1020Rの上面には被接着領域の位置に合わせた4つの吸入孔群1240Lが、それぞれ開口している。右ユニット1000Rにおいては1処理で1つの長袖用の筒状生地を製造することができ、左ユニット1000Lにおいては1処理で4つの半袖用の筒状生地を製造することができる。
このように配置された多数の吸引孔には、中空角柱の内部に負圧配管が設けられ、負圧配管に接続された吸引機構(たとえばブロア1510を用いた吸引機構)により、吸引孔から空気を吸引することにより生地を吸引して、平面状生地を保持する。
・搬送ユニット
搬送ユニット1300は、反転ユニット1200により第1の面の接着領域と第2の面の被接着領域とが当接されることによる仮止めされた仮止め状態を維持して、生地をプレスユニット1400の位置まで搬送する。この搬送ユニット1300は、第1の中空角柱(搬送角柱)1010に対して矢示Z(1)方向から矢示Z(2)方向へ進行して第1の中空角柱(搬送角柱)1010との間で生地を挟持するとともに、そのような挟持が不要な場合に矢示Z(2)方向から矢示Z(1)方向へ退行して生地を開放する、生地ハンド1310を備える。この生地ハンド1310のZ方向への移動は、制御部1500によりその動作が制御される生地ハンド押さえエアシリンダ1330により実現される。
そして、この生地ハンド1310および生地ハンド押さえエアシリンダ1330は、塗布ユニット1100または反転ユニット1200の位置からプレスユニット1400の位置まで中空角柱の長手方向(矢示X(3)方向から矢示X(4)方向)へ直線状へ移動されることにより、第1の面の接着領域と第2の面の被接着領域とが当接されることにより仮止めされた仮止め状態を維持した生地がプレスユニット1400の位置まで搬送される。この生地ハンド1310および生地ハンド押さえエアシリンダ1330のX方向への移動は、制御部1500によりその動作が制御される生地ハンド移動エアシリンダ1320により実現される。
このように、搬送ユニット1300が第1の中空角柱(搬送角柱)1010と生地ハンド1310との間に仮止め状態の生地を挟持して直線状に矢示X(4)方向へ搬送する。そして、第1の中空角柱(搬送角柱)1010は、塗布ユニット1100側(この製造装置1000の中央側)の端部に設けられた固定された(上下動しない)支持部と、第1エアシリンダ1340および/または第2エアシリンダ1350とにより支持することが可能である。ここで、支持部と第2エアシリンダ1350とにより第1の中空角柱(搬送角柱)1010を支持する両端部支持方式では、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の長手方向の長さが長くとなると撓んで水平状態を強固に維持することができないという問題がある。
このような問題を解決するために、第1の中空角柱(搬送角柱)1010は、支持部と、第1エアシリンダ1340および第2エアシリンダ1350とにより3点支持することが考えられる。このような3点支持では、この搬送ユニット1300による仮止めされた生地のX(4)方向への移動動作がこの第1エアシリンダ1340による第1の中空角柱(搬送角柱)1010の支持により阻害されるという別の問題、および、この製造装置1000から筒状生地の取り外し作業がこの第2エアシリンダ1350による第1の中空角柱(搬送角柱)1010の支持により阻害されるというさらに別の問題がある。また、3点支持では水平状態を実現しにくく接着剤の塗布時に好ましくないことが想定されるために、支持部と第1エアシリンダ1340との2点支持または支持部と第2エアシリンダ1350との2点支持のいずれかで支持することが好ましい。さらに、このような2点支持の場合において、搬送ユニット1300による仮止めされた生地のX(4)方向への移動動作が阻害されるという問題、および、筒状生地の取り外し作業が阻害されるという問題
に対しては、支持部と第1エアシリンダ1340との2点で支持される態様と、支持部と第2エアシリンダ1350との2点で支持される態様のいずれかの態様に切り換えて、第1の中空角柱(搬送角柱)1010を支持することが好ましい(ただし、熱プレス時は3点支
持)。
この搬送ユニット1300により仮止めされた生地を搬送する場合には、第2エアシリンダ1350が上昇された状態で第1エアシリンダ1340が下降され、第1の中空角柱(搬送角柱)1010と生地ハンド1310との間に仮止め状態の生地が挟持されて矢示X(4)方向へ搬送される。
この製造装置1000での処理が完了して筒状生地をこの製造装置1000から取り出す場合には、第1エアシリンダ1340が上昇された状態で第2エアシリンダ1350が下降され、第1の中空角柱(搬送角柱)1010に巻き掛けられた筒状生地を矢示X(4)方向へ抜き取る。
このように、塗布ユニット1100による生地への接着剤の塗布時においては、第1エアシリンダ1340が上昇された状態であって第2エアシリンダ1350は下降した状態であり、搬送ユニット1300による仮止め状態の生地の矢示X(4)方向への搬送時においては、第1エアシリンダ1340が下降された状態であって第2エアシリンダ1350は上昇した状態である。なお、詳しくは後述するが、熱プレス時においては、第1エアシリンダ1340および第2エアシリンダ1350が上昇した状態であって、熱プレス後に第2エアシリンダ1350のみが下降して、筒状生地の抜き取り作業時においては、第1エアシリンダ1340が上昇された状態であって第2エアシリンダ1350は下降した状態である。この筒状生地の抜き取り作業時の状態が、最初の処理である塗布ユニット1100による生地への接着剤の塗布時の状態と同じになっている。第1エアシリンダ1340が下降しているのは、搬送ユニット1300による仮止め状態の生地の搬送時のみであってそれ以外は上昇しており、第2エアシリンダ1350が上昇しているのは、このように第1エアシリンダ1340が下降している時および熱プレス時のみであってそれ以外は下降している。これらの第1エアシリンダ1340および第2エアシリンダ1350の上昇動作および下降動作は、制御部1500により制御される。
・プレスユニット
プレスユニット1400は、搬送ユニット1300により搬送されてきた、第1の面の接着領域と第2の面の被接着領域とが当接されることにより仮止めされた生地を、熱プレスして接着剤を熱溶融させて本接着させる。このプレスユニット1400は、接着領域を加熱するヒータおよびそのヒータの保持具とからなるヒータユニット1410およびこのヒータユニット1410を矢示Y(3)−矢示Y(4)方向へ移動させるプレスヒータ用エアシリンダ1420を備える。このプレスヒータ用エアシリンダ1420の上昇動作(矢示Y(3)方向)および下降動作(矢示Y(4)方向)は、制御部1500により制御される。また、ヒータユニット1410のヒータは、プレスヒータ用コントローラ1430により所望の温度に維持されて、プレスヒータ用エアシリンダ1420が下降して、第1の中空角柱(搬送角柱)1010とヒータユニット1410とにより仮止めされた生地を挟持して、その接着領域に所望の熱量を与える。ヒータユニット1410の伝熱面は平坦であって、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の上面と面圧接される。なお、ヒータユニット1410に加えて(または代えて)、第1の中空角柱(搬送角柱)の中にヒータを設けても構わない。
[制御ブロック]
このような構成を備えた製造装置1000は、制御部1500により制御される。制御部1500は、たとえば、後述するCPU1600等を含む各種計器を内部に備えた制御
盤1502を主体として構成されている。制御盤1502の盤面には、表示計器1520および操作ボタン1540が設けられたり、制御盤の盤面とは別に表示計器1530、操作ボタン1550およびタッチパネル1570が設けられたりする。
さらに具体的に、図8に示す制御ブロック図を参照して、制御部1500について説明する。なお、図8に示す制御ブロック図においては、たとえばモータ駆動ドライバ、シリンダ駆動ドライバ、出力インターフェイスを備える態様を示しているが、実際にはこのようなドライバおよび/またはインターフェイスを備えなくても、この製造装置1000が所望の動作を実現できるように構成されていれば構わない。このような態様としては、ドライバを備えないようにして、モータはスピードコントローラで速度制御してCPUからのON/OFF制御のみで動作を制御する態様であったり、シリンダにエアシリンダを採用して電磁弁を作動させるのみで動作を制御する態様であったりする。
図8に示すように、制御部1500は、予め記憶されたプログラムおよびパラメータ(各種速度等)に従って各種の入力信号を受けて演算処理を実行し各種の出力機器への各種の出力信号(制御信号)を出力する演算装置(ここではCPU1600とする)、このCPU1600にそれぞれ接続された、操作ボタン1540、1550および各種センサ1560からの入力信号を受信するための入力インターフェイス1610と、タッチパネル1570との間で信号を送受信するための入出力インターフェイス1620と、上述したエアシリンダ等の各種空気機器を制御するためのシリンダ駆動ドライバ1630と、上述した塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140を制御するための単軸ロボット駆動ドライバ1640と、上述した各種モータを制御するためのモータ駆動ドライバ1650と、ブロア1510への出力信号を送信するための出力インターフェイス1660と、表示機器1520、1530を表示させるための表示ドライバ1670と、上述した接着剤用ヒータの温度を制御する接着剤用ヒータコントローラ1170と、上述したヒータユニット1410のヒータの温度を制御するプレスヒータ用コントローラ1430と、図示しないメモリ(プログラムおよびパラメータを記憶)とで構成される。
CPU1600には、バス等で、入力インターフェイス1610、入出力インターフェイス1620、シリンダ駆動ドライバ1630、単軸ロボット駆動ドライバ1640、モータ駆動ドライバ1650、出力インターフェイス1660および表示ドライバ1670が接続されている。また、CPU1600には、接着剤用ヒータコントローラ1170、プレスヒータ用コントローラ1430が接続されている。
接着剤用ヒータコントローラ1170には、接着剤用ヒータが接続され、接着剤ストレージ部内の接着剤を所望の温度(粘度は温度に依存)に維持するように接着剤用ヒータへの通電を制御する。プレスヒータ用コントローラ1430には、ヒータユニット1410のヒータが接続され、生地の接着領域に所望の熱量を与えるようにヒータユニット1410のヒータへの通電を制御する。なお、接着剤用ヒータコントローラ1170およびプレスヒータ用コントローラ1430は、CPU1600に接続されていても接続されていなくてもどちらでも構わない。接続されている場合には、たとえば、両方のヒータの計測温度が設定温度の所定範囲内であるときに(所望温度であるときに)許可信号を接着剤用ヒータコントローラ1170およびプレスヒータ用コントローラ1430からCPU1600に出力させて、許可信号を受信したCPU1600がこの製造装置1000の運転を許可するように制御することができる。このように制御すると、接着剤の温度(粘度)およびヒータユニット1410のヒータの温度が所望の温度でないのにこの製造装置1000の動作が行われることを回避できる。以下の説明においては、図示しないメインスイッチがオンにされると、両方のヒータの温度が、温度コントローラにより設定温度に制御されているものとする。
シリンダ駆動ドライバ1630には、塗布ヘッド移動エアシリンダ1120、ノズルキャップアクチュエータ1130、生地反転ロータリーアクチュエータ1220(1220R、1220L)、生地ハンド横移動エアシリンダ1320(1320R、1320L)、生地ハンド押さえエアシリンダ1330(1330R、1330L)、第1エアシリンダ(内側)1340(1340R、1340L)、第2エアシリンダ(外側)1350(1350R、1350L)、プレスヒータ用エアシリンダ1420(1420R、1420L)が接続されている。このようにシリンダ駆動ドライバ1630には、エアシリンダ等の空気機器が接続されて動作が制御されるとして説明するが、たとえばエアシリンダでなく電動シリンダであっても構わない。すなわち、この製造装置1000に求められる機能が実現できる機構であれば、エア駆動方式であっても電気駆動方式であっても他の駆動方式であっても構わない。
単軸ロボット駆動ドライバ1640には、塗布ヘッド1110をX方向(矢示X(1)−矢示X(2))に移動させる塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140が接続されている。モータ駆動ドライバ1650には、ギヤポンプモータ1150、クランクモータ1160、コンベアモータ1370(1370R、1370L)が接続されている。なお、この製造装置1000に求められる機能が実現できる機構であれば、単軸ロボットおよびモータでなくても他の駆動ユニットであっても構わない。
操作ボタン1540、1550からの開始指令信号を受信したCPU1600は、たとえば、以下のように、この製造装置1000を制御する。この場合の説明においては、主として図7のタイミングチャートを参照する。なお、以下においては左ユニット1000Lでの動作を説明する。ただし、符号に「L」が付さなていない場合もある。また、限定されるものではないが、この図7に示すタイミングチャートに記載されたS(n)(n=0、1、2、・・・)におけるnの昇順に、この製造装置1000による筒状生地の製造処理が進んでいく。
なお、作業者は、操作ボタン1540、1550の開始指令ボタン(スタートボタン等)を押下する前に、図5および図6(A)に示すように、第1の中空角柱(搬送角柱)1010の上面および第2の中空角柱(反転角柱)1210の上面に設けられた吸引孔群の部分に、平面状生地が断面方向でS字状になるように(図6(A)参照)セットし終えている。なお、この製造装置1000により製造された筒状生地は製造装置1000から取り外されているものとする。また、吸引機構を用いた吸引孔からの空気吸引動作は、平面状生地をセットする時には既に吸引動作が開始されており位置決めを含めて生地を容易にセットでき、後述するように搬送ユニット1300の生地ハンド1310を矢示Z(2)方向へ進行させる時には吸引動作が停止している。
開始指令を受信したCPU1600は、塗布ヘッド1110を待機位置1110(0)から塗布開始位置1110(L1)へ移動するように塗布ヘッド移動エアシリンダ1120および塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140をシリンダ駆動ドライバ1630および単軸ロボット駆動ドライバ1640を介して制御する。このとき、塗布ヘッド1110は、矢示X(2)方向かつ矢示Y(2)方向へ移動する。また、開始指令を受信したCPU1600は、生地ハンド1310を待機位置(プレスユニット1400の位置)から塗布時の待機位置(たとえば第2の中空角柱(反転角柱)1210に対向する位置)へ移動するように生地ハンド横移動エアシリンダ1320をシリンダ駆動ドライバ1630を介して制御する。このとき、生地ハンド1310は、Z(1)方向へ退行させた状態で矢示X(3)方向へ移動する。
CPU1600が塗布ヘッド1110が塗布開始位置に到着したということをセンサからの入力信号により検出して、かつ、生地ハンド1310が塗布時の待機位置に到着した
ということをセンサからの入力信号により検出すると、CPU1600は、塗布ヘッド1110による接着剤の生地への塗布を開始するように塗布ユニット1100へ塗布開始指令信号(ノズルキャップ開放、ギヤポンプモータ1150作動、クランクモータ1160作動)を出力するとともに、塗布ヘッド1110を塗布開始位置1110(L1)から塗布終了位置1110(L2)へ移動するように塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140を単軸ロボット駆動ドライバ1640を介して制御する。これにより、塗布ユニット1100のノズルキャップアクチュエータ1130がノズルキャップを開放して、ギヤポンプモータ1150およびクランクモータ1160が作動を開始するとともに、塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140により塗布ヘッド1110が矢示X(2)方向へ移動されてクランクモータ1160により塗布ヘッド1110が矢示Z方向へ往復移動されて、これらのクランクモータ1160および塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140の動作により、所望の接着パターン(ここでは図12(B)に示す接着パターンP)で生地に接着剤が塗布される。
CPU1600が塗布ヘッド1110が塗布終了位置1110(L2)に到着したということをセンサからの入力信号により検出すると、CPU1600は、塗布ヘッド1110による接着剤の生地への塗布を終了するように塗布ユニット1100へ塗布終了指令信号(ノズルキャップ閉鎖、ギヤポンプモータ1150停止、クランクモータ1160停止)を出力するとともに、塗布ヘッド1110を塗布終了位置1110(L2)から反転待機位置1110(L3)へ移動するように塗布ヘッド移動エアシリンダ1120および塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140をシリンダ駆動ドライバ1630および単軸ロボット駆動ドライバ1640を介して制御する。このとき、塗布ヘッド1110は、矢示X(2)方向かつ矢示Y(1)方向へ移動する。
CPU1600が塗布ヘッド1110が反転待機位置1110(L3)に到着したということをセンサからの入力信号により検出すると、CPU1600は、第2の中空角柱(反転角柱)1210を矢示R(2)方向へ略180°反転するように、生地反転ロータリーアクチュエータ1220をシリンダ駆動ドライバ1630を介して制御する。そして、たとえば、所望の時間が経過すると、CPU1600は、第2の中空角柱(反転角柱)1210を矢示R(1)方向へ略180°逆反転するように、生地反転ロータリーアクチュエータ1220をシリンダ駆動ドライバ1630を介して制御する。
CPU1600が第2の中空角柱(反転角柱)1210を矢示R(1)方向へ略180°逆反転(元の位置に戻った)ということをセンサからの入力信号により検出すると、CPU1600は、搬送ユニット1300の生地ハンド1310を矢示Z(2)方向へ進行させるように、生地ハンド押さえエアシリンダ1330をシリンダ駆動ドライバ1630を介して制御する。
また、CPU1600は、搬送ユニット1300のベルトコンベア1360を矢示C方向へ回転させるように、コンベアモータ1370をモータ駆動ドライバ1650を介して制御する。ベルトコンベア1360に仮止め生地が届かない場合にはベルトコンベア1360を作動させる意味がないので、ベルトコンベア1360は停止させたままで構わない。さらに、ベルトコンベア1360に仮止め生地が届かない場合には、生地ハンド1310の下方にこの生地ハンド1310とともに矢示X(3)−矢示X(4)方向へ移動する仮止め生地受け部1312(L字アングル)を設けることも好ましい。
また、CPU1600は、搬送ユニット1300の第2エアシリンダ(外側)1350をシリンダ駆動ドライバ1630を介して矢示U方向へ上昇させる。CPU1600が第2エアシリンダ(外側)1350が矢示U方向へ上昇されたということをセンサからの入力信号により検出すると、CPU1600は、搬送ユニット1300の第1エアシリンダ
(内側)1340をシリンダ駆動ドライバ1630を介して矢示D方向へ下降させる。
なお、このタイミングでCPU1600は、塗布ヘッド1110を反転待機位置1110(L3)から右ユニット1000Rでの塗布処理のために待機位置1110(0)へ移動するように塗布ヘッド移動エアシリンダ1120および塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140をシリンダ駆動ドライバ1630および単軸ロボット駆動ドライバ1640を介して制御するようにしても構わない。このとき、塗布ヘッド1110は、矢示X(1)方向かつ矢示Y(1)方向へ移動する。この場合において反転待機位置1110(L3)のY軸座標と待機位置1110(0)のY軸座標とが同じである場合には塗布ヘッド1110は、矢示X(1)方向にのみ移動して矢示Y方向へ移動しないことになる。
CPU1600が第1エアシリンダ(内側)1340が矢示D方向へ下降されたということをセンサからの入力信号により検出すると、CPU1600は、搬送ユニット1300の生地ハンド1310を矢示X(4)方向へ移動させるように、生地ハンド横移動エアシリンダ1320をシリンダ駆動ドライバ1630を介して制御する。これにより、仮止めされた状態の生地がプレスユニット1400側へ移動される。このとき、第1の中空角柱(搬送角柱)1010と生地ハンド1310との間に仮止めされた状態の生地が挟持されて矢示X(4)方向へ搬送される。この場合において、生地と第1の中空角柱(搬送角柱)1010との摩擦係数は、生地と生地ハンド1310との摩擦係数よりも小さく設定されており(たとえば生地ハンド1310の矢示Z(2)方向の面には生地との摩擦係数が高いゴム等が貼付されている)、生地ハンド1310に摩擦係合された生地が第1の中空角柱(搬送角柱)1010の表面を滑って搬送される。
CPU1600が生地ハンド1310が本接着位置まで到着したということをセンサからの入力信号により検出すると、CPU1600は、搬送ユニット1300のベルトコンベア1360を停止させるように、コンベアモータ1370をモータ駆動ドライバ1650を介して制御する。また、CPU1600は、搬送ユニット1300の第1エアシリンダ(内側)1340をシリンダ駆動ドライバ1630を介して矢示U方向へ上昇させる。
CPU1600が第1エアシリンダ(内側)1340が矢示U方向へ上昇されたということをセンサからの入力信号により検出すると、CPU1600は、プレスユニット1400のヒータユニット1410を矢示Y(4)方向へ下降させるように、プレスヒータ用エアシリンダ1420をシリンダ駆動ドライバ1630を介して制御する。これにより、プレスヒータ用エアシリンダ1420が下降して、第1の中空角柱(搬送角柱)1010とヒータユニット1410とにより、仮止めされた生地が挟持されるとともに、たとえばその挟持時間がタイマーで管理されて、接着領域に所望の熱量が与えられる。これにより、接着剤が溶融して筒状生地が本接着される。この熱プレス時においてのみ、第1エアシリンダ1340および第2エアシリンダ1350が上昇した状態である。
CPU1600が熱プレスのタイマーがタイムアップしたということを検出すると、CPU1600は、プレスユニット1400のヒータユニット1410を矢示Y(3)方向へ上昇させるように、プレスヒータ用エアシリンダ1420をシリンダ駆動ドライバ1630を介して制御する。また、CPU1600は、搬送ユニット1300の生地ハンド1310を矢示Z(1)方向へ退行させるように、生地ハンド押さえエアシリンダ1330をシリンダ駆動ドライバ1630を介して制御する。また、CPU1600は、搬送ユニット1300の第2エアシリンダ(外側)1350をシリンダ駆動ドライバ1630を介して矢示D方向へ下降させる。
この状態で作業者が、この製造装置1000により本接着された筒状生地を第1の中空角柱(搬送角柱)1010から開放端側へ抜き取り、筒状生地を取り出す。このとき、下
降している第2エアシリンダ(外側)1350は、筒状生地の取り出しを阻害しない。
[動作]
以上のような構造を備えた製造装置1000の動作を説明する。動作の説明においては、アンダーシャツの袖部を身頃に接着する前に、平面状生地から筒状の長袖部を製造する場合を一例として説明する。なお、この動作の説明にあたり、まず、アンダーシャツおよび接着剤の塗布パターン(接着パターン)について説明する。
・動作対象のアンダーシャツ
図9にアンダーシャツ10の正面図を示す。この図9に示すように、このアンダーシャツ10は、丸編みされた身頃部11と、左右の袖部12とを有している。身頃部11と袖部12とは別々に編成された伸縮性編地であって、後述するように、接着剤を用いた貼り合わせ構造により身頃部11と袖部12とがアームホール部で接合されて、アンダーシャツ10の全体を形成している。
ここで、このアンダーシャツ10の伸縮方向について説明する。身頃部11は、図9の紙面横方向がコース方向であって(ウェール方向よりも)伸縮しやすい方向であって(胴回りに沿って伸びやすい)、袖部12は、腕の周囲長に沿った方向がコース方向であって(ウェール方向よりも)伸縮しやすい方向である(腕回りに沿って伸びやすい)。なお、コース方向とはヨコ編地における編成方向と同一方向を意味し、ウェール方向とはコース方向と直交する方向を意味する。
上記のようなコース方向使いの場合、袖部12の腕回り方向に対して身頃部11のアームホールは伸縮しにくく(詳しくは後述するがアームホールにおいて伸縮性の差が存在する)、袖部12の腕回り方向は伸縮しやすい。この場合において、一般的な縫着で袖部12を身頃部11に接合する場合には、伸びやすい袖部12に伸びにくい身頃部11に過不足なく縫い合わせる必要があるので、袖部12の腕回り方向長さを身頃部11のアームホールよりも短く設計している。一方、後述する接着剤を用いた貼り合わせ構造の場合には、このように袖部12の腕回り方向長さを身頃部11のアームホールよりも短く設計してしまうと、袖部12の腕回り方向長さが不足してしまうことがある。このため、袖部12の腕回り方向長さは、身頃部11のアームホールと同じであるか、身頃部11のアームホールよりも長く設計している。なお、ヨコ編地をアンダーシャツに用いる場合は上述のとおりであるが、タテ編地を用いる場合は、コース方向とウェール方向がヨコ編地の場合と逆になる。したがって、図9の紙面横方向がウェール方向、ウェール方向と直交する方向がコース方向となる。
ここで、伸縮性を備えた生地(伸縮方向を有する伸縮性編地)とは、上述した方向(コース方向およびウェール方向)のうちの一方向での伸縮率がそれと直交する方向を含む他の方向よりも大きい方向を伸縮方向として有する伸縮性編地をいう。なお、このような伸縮性編地においては、上述した方向(コース方向およびウェール方向)のうちの一方向またはその一方向の近傍の方向が、その編み地において最も大きな伸縮率となる方向(最大伸縮方向)となる。
なお、身頃部11は、前身頃と後身頃とを、接着剤を用いた貼り合わせ構造により接合されたものであっても構わない。また、袖部12は、丸編機により編成された丸編地をそのまま用いたものであってもよく、また、横編機または丸編機により編成された編地を裁断し、その後接着剤を用いた貼り合わせ構造により筒状に接合されたものであっても構わない。このアンダーシャツ10における袖部12は後者であるとする。
いずれにしても、別々に編成された身頃部11と左右の袖部12とが、接着剤により貼り合わせられており、縫着されていない。さらには、このアンダーシャツ10は、縫着部
を一切備えず、別々に編成された各部位は、貼り合わせ構造により接着されている。
身頃部11の上側であって着用者の首部に対応する部分には、開口部として浅いU字形状に剔られた衿部が形成され、身頃部11の下側であって着用者のウエスト部に対応する部分には、開口部として身頃下端部が形成され、袖部12の端部であって着用者の手首部に対応する部分には、開口部として手先を出すための袖口部が形成されている。これらの開口部における生地端は、周縁を切りっぱなし仕様とされた生地(周縁処理が不要な伸縮性編地)で構成されている。
さらに、アンダーシャツ10の特徴的な構成について、図10および図11を参照して説明する。ここで、図10は、このアンダーシャツ10の左半分の部分拡大図であって、図11は、このアンダーシャツ10の着用状態を示す斜視図である。
これらの図に示すように、このアンダーシャツ10において、身頃部11の上側の左右端は衿部を構成するために、接着剤を用いた貼り合わせ構造112を備え、袖部12は横編機または丸編機により編成された編地を裁断して筒状に形成するために、接着剤を用いた貼り合わせ構造120を備え、身頃部11と袖部12とを肩部で接合するために、接着剤を用いた貼り合わせ構造110を備える。
これらの貼り合わせ構造110、112、120は、後述するように、基本的に同じ構造を備える。この貼り合わせ構造の中で、貼り合わせ構造112、120は、直線的であるのに対して、貼り合わせ構造110は、曲線的かつ全周であることが特徴であって、従来は接着剤による接合が不可能であった。この貼り合わせ構造110を含め貼り合わせ構造112、120は、以下に示す貼り合わせ構造により実現されている。なお、以下においては、貼り合わせ構造110、112、120は同じ構造を備えるので、貼り合わせ構造120について説明する。
この貼り合わせ構造120は、袖部12(伸縮性生地2)を接着剤により形成される接着パターンPを介して筒状に貼り合わせる生地の貼り合わせ構造である。平面状生地(図12(A))から筒状の袖部12(図12(C))の接着手順を示す図12を参照して、この貼り合わせ構造について詳しく説明する。なお、図12(B)は図12(A)の円で囲った部分の拡大図であって、図12(D)は図12(C)の円で囲った部分の拡大図である。
接着パターンPは、図12に示すように、接着剤を所定形状(図12では、ジグザグ形状)に形成することで伸縮性生地2が連続的に接着される接着部3と、この接着部3により平面視において開口形成され、伸縮性生地2が接着剤により接着されない非接着部4と、からなり、接着部3と非接着部4とが所定方向(図12では、袖部12の腕方向に沿った方向)に繰り返し設けられる。
接着パターンPは、前述したように、接着部3と、非接着部4とからなり、図12に示すように、接着剤が伸縮性生地2の接着面に熱接着して固着した接着部位の平面視形状のことをいう。
また、接着部3は、所定方向(図12における袖部12の腕方向に沿った方向)に所定形状(図12では、ジグザグ形状)を連続的に繰り返して形成される部分である。
接着部3は、より具体的に説明すると、接着パターンPの形状がジグザグ形状の場合は、図12に示すように、接着部3を構成する最小繰り返し単位Uが、「<」形状もしくは「>」形状であり、この最小繰り返し単位Uである「<」形状もしくは「>」形状が伸縮性生地2の長手方向に複数かつ連続的に繰り返して配置形成される部分のことである。
図12に示すジグザグ形状は、所定のジグザグ振幅(生地の伸縮性を有する方向と直交する振幅)と所定のジグザグピッチをー定周期で繰り返すものである。
一方、非接着部4は、この接着部3により平面視において開口形成され、伸縮性生地2が接着剤により接着されない部分である。
非接着部4は、より具体的に説明すると、接着パターンPの形状がジグザグ形状の場合は、図12に示すように、伸縮性生地2において接着部3の最小繰り返し単位Uである「<」形状もしくは「>」形状の開口端から内側の所定領域に亘って接着剤が塗布されず、伸縮性生地2が接着されない部分のことである。
この非接着部4は、接着剤が塗布されない領域であるため、生地を伸縮性を有する方向に伸縮しても接着剤による伸縮の阻害を受けない伸びしろ部分となる。
具体的には、非接着部4は、生地を伸ばす方向に引っ張ると、非接着部4が伸びしろとして伸縮性を有する方向に伸びるため、接着剤による伸縮の阻害を受けないのである。
接着パターンPの形状をジグザグ状にして伸縮性生地どうしを接着する場合、前述した所定のジグザグ振幅と所定のジグザグピッチを変更することで、伸縮性生地どうしの伸長力と伸長性をコントロールすることができる。
なお、接着パターンPの形状をジグザグ状にする場合、その周期については特に限定するものではなく、図12に示すように、一定周期である必要はない。ジグザグ形状の周期については、生地特性、貼り合わせ位置、製造条件等により適宜決めればよい。
また、接着パターンPの形状はジグザグ状に特に限定するものではなく、種々の接着パターンPが挙げられる。種々の接着パターンPの形状のなかでも、ジグザグ状またはカーブ状が好ましい。これは、生地に接着剤を塗布(付与)する際に塗布し易い形状であるからである。アンダーシャツ10に適用可能な接着パターンPは、帯状でも面状でもなく線状であることが特徴である。
また、接着パターンPを構成する、接着部3と非接着部4との所定方向への繰り返し数は、少なくとも2回以上であればよく、所定の回数に限定されるものではない。なお、アンダーシャツ10の貼り合わせ構造に適用する場合には、その寸法に従った所定の回数となる。
ここで、繰り返し数が2回である場合、接着パターンPは、接着郎3、非接着部4、接着部3と順に配置された構成となるー方、繰り返し数が3回以上である場合、接着パターンPは、接着部3、非接着部4、接着部3、非接着部4、・・・と順に配置された構成となるのである。
さらに、接着パターンPを構成する、接着部3と非接着部4との配置パターンについては、特に限定されるものではなく、不規則に構成されていてもよい。
接着剤としては、特に限定するものではないが、たとえぱ、上述したように熱可塑性樹脂(熱溶融性樹脂と同義)が挙げられる。
このような熱可塑性樹脂としては、たとえばポリウレタン系ホットメルト樹脂、ポリエステル系ホットメルト樹脂、ポリアミド系ホットメルト樹脂、EVA系ホットメルト樹脂、ポリオレフィン系ホットメルト樹脂、スチレン系エラストマー樹脂、湿気硬化型ウレタン系ホットメルト樹脂、反応型ホットメルト樹脂等を用いることが好ましく、中でも反応型ホットメルト樹脂が特に好ましい。反応型ホットメルト樹脂は、接着強度が高く、しかも短時間での接着が可能なことから、身頃部におけるアームホール全周と袖部におけるアーム全周の貼り合わせのような、曲線であって、しかも貼り合わせ形状が合致しない場所にも好適に用いられる。なお、熱可塑性(熱溶融性)を備えない接着剤の詳細については後述する。
このアンダーシャツ10は、身頃部11の衿部が貼り合わせ構造112により形成された後に、接着パターンPで接着剤が塗布されたアームホールに袖部12が接着されること
により貼り合わせ構造120が形成される。このとき、袖部12を製造するために製造装置1000が用いられる。
図12(B)に示すように、袖部12に接着剤が塗布された平面状生地をこの製造装置1000により接着することにより、図12(D)に示すように貼り合わせ構造120が形成される。
・動作対象のアンダーシャツの変形例
以下に、図13を参照して、上述したアンダーシャツ10の変形例について説明する。この変形例に係るアンダーシャツは、貼り合わせ構造における接着パターンが上述した接着パターンPではなく、図13に示すような点状の接着ドットパターンDである点が異なる。その他の構成は同じであるので、この接着パターン以外についてのアンダーシャツについての説明はここでは繰り返さない。平面状生地(図13(A))から筒状の袖部12(図13(C))の接着手順を示す図13を参照して、この貼り合わせ構造について詳しく説明する。なお、図13(B)は図13(A)の円で囲った部分の拡大図であって、図13(D)は図13(C)の円で囲った部分の拡大図である。
前記接着ドットパターンDは、図13に示すように、前記接着剤を点状(図13では、ピッチL(1)および間隔L(2)で繰り返される点集合)に形成することで伸縮性生地2が接着される接着部103と、当該接着部103により伸縮性生地2が前記接着剤により接着されない非接着部104と、からなり、前記接着部103と前記非接着部104とが繰り返し設けられる。なお、図13では、間隔L(2)の3点が、袖部12の腕回りに沿った伸縮性を有する方向にピッチL(1)で繰り返し設けられているが、これに限定されるものではない。
接着部103は接着部3と、非接着部104は非接着部4と、それぞれ同じ作用効果を発現する。すなわち、非接着部104は、接着剤が塗布されない領域であって生地を伸縮性を有する方向に伸縮しても接着剤による伸縮の阻害を受けない伸びしろ部分となり、生地を伸ばす方向に引っ張ると、非接着部104が伸びしろとして伸縮性を有する方向に伸びるため、接着剤による伸縮の阻害を受けないという接着パターンPと同様の作用効果を発現する。
図13に示すように、ピッチL(1)および間隔L(2)については、生地特性、貼り合わせ位置、製造条件等により適宜決めればよい。また、接着ドットパターンDの点集合の形状は所定の点数が繰り返されるものに特に限定するものではなく、3点、2点、1点、2点、3点、2点、1点、2点、3点、・・・のような繰り返しドットパターン(千鳥パターン)からなる点集合であっても構わない。さらに、接着部103の大きさ(点の径=ドット径)も、隣り合う接着部103の間に非接着部104が形成できることを最大径として、どのような大きさであっても構わない。
このようなピッチL(1)および間隔L(2)ならびにドットパターンおよびドット径については、アンダーシャツにおける生地の伸び強度、アンダーシャツにおける好ましい伸張方向、剥離強度等を総合的に考慮して決定されるべきものである。なお、ドット径については、生地単位面積あたりの接着剤塗布量または/および塗布面積比率(接着部103および非接着部104に対する接着部103の面積比率)を考慮して決定することも好ましい。また、接着パターンPと接着ドットパターンDとを適宜組み合わせて接着パターンを形成するようにしても構わない。
・動作対象のアンダーシャツにおける接着剤
接着パターン(接着パターンP、接着ドットパターンD)を構成する接着剤としては、特に限定されるものではなく、上述したように、例えば、熱可塑性樹脂で構成され、加熱
溶融された接着剤またはホットメルトが好適に用いられるが、これ以外の接着剤について以下に説明する。
上述した接着パターン(特に接着ドットパターンD)を構成する接着剤として、樹脂を溶剤または水に溶かして形成した液状の接着剤(溶剤系接着剤または水溶系接着剤)を用いることも可能である。
このような液状の接着剤を用いる場合には、常温環境下で上述の接着パターンを接着対象生地の一方にスクリーン印刷して他方の接着対象生地とを接着することも可能である。また、複数の樹脂を溶剤に溶かして1つの接着剤として形成することも可能であり、例えば、溶剤に溶かした樹脂を生地上にベース層として形成させ、溶剤に溶かした異なる樹脂をその上から印刷または塗布することで、1つの接着剤として形成することも可能である。これらの接着剤形成方法については、特に限定されるものでなお。特に、複数の樹脂を溶剤に溶かして1つの接着剤として用いることによりそれらの反応により固化速度を制御できるメリットがある。また、接着剤にUV照射することで固化速度を制御することも可能である。また、各接着対象生地に異なる接着層を形成し、異なる接着層を接着させることで(各生地に形成された異なる接着剤が貼りあわることにより各接着剤同士が反応して接着される)固化速度を制御することも可能である。
・接着装置の動作
上述したアンダーシャツ10における身頃部11のアームホールに袖部12を接着する前に、本実施の形態に係る製造装置1000により平面状生地から筒状の長袖の袖部12を製造する動作について説明する。以下においては、図7に示す時刻T(0)から時刻T(7)までの製造装置1000の動作を図6を参照して説明する。また、動作対象のアンダーシャツは(図13に示すアンダーシャツではなく)図12に示すアンダーシャツとするが、図13に示すアンダーシャツを対象としても、製造装置1000の動作は、塗布ヘッド1110からの接着剤を、ドットを形成するために断続的に塗布する点を除いて同じである。
時刻T(0)において、作業者は、図6(A)に示すように平面状生地をセットして開始指令ボタン(スタートボタン等)を押下する。時刻T(0)〜時刻T(1)の間において塗布ヘッド1110が待機位置1110(0)から塗布開始位置1110(L1)へ矢示X(2)方向かつ矢示Y(2)方向へ移動するとともに、時刻T(0)〜時刻T(2)の間において生地ハンド1310が待機位置(プレスユニット1400の本接着位置)から塗布時の待機位置へ矢示X(3)方向へ移動して、時刻T(1)において図6(B)に示すように塗布開始可能な状態になる。
時刻T(2)〜時刻T(3)の間において、塗布ヘッド1110が塗布開始位置1110(L1)から塗布終了位置1110(L2)へ矢示X(2)方向へ移動するとともに、ギヤポンプモータ1150およびクランクモータ1160が作動して、クランクモータ1160および塗布ヘッド駆動単軸ロボット1140の動作により、所望の接着パターン(ここでは図12(B)に示す接着パターンP)で生地に接着剤が塗布される。
時刻T(3)〜時刻T(4)の間において、塗布ヘッド1110が塗布終了位置1110(L2)から反転待機位置1110(L3)へ矢示X(2)方向かつ矢示Y(1)方向へ移動する。
塗布ヘッド1110が反転待機位置1110(L3)まで退避すると、時刻T(4)〜時刻T(5)の間において、第2の中空角柱(反転角柱)1210が矢示R(2)方向へ略180°反転されて図6(C)に示す状態から図6(D)に示す状態になり、所望の時間(=時刻T(5)−時刻T(4))が経過すると、第2の中空角柱(反転角柱)1210が矢示R(1)方向へ略180°逆反転されて図6(D)に示す状態から図6(C)に
示す状態へ戻る。
時刻T(5)において、搬送ユニット1300の生地ハンド1310が矢示Z(2)方向へ進行されて、第1の中空角柱(搬送角柱)1010と生地ハンド1310との間に仮止め状態の生地が挟持されて(生地ハンド1310と生地とが摩擦係合されて)図6(E)に示すように仮止め生地が矢示X(4)方向へ移動可能な状態になる。この生地ハンド1310と生地とが摩擦係合された状態は、時刻T(5)〜時刻T(6)の間の搬送時を含めて、時刻T(7)の熱プレス完了まで継続する。
時刻T(5)において、搬送ユニット1300のベルトコンベア1360が矢示C方向へ回転されて、搬送ユニット1300の第1エアシリンダ(内側)1340が矢示D方向へ下降されて、搬送ユニット1300の生地ハンド1310が矢示X(4)方向へ移動される。このとき、第1の中空角柱(搬送角柱)1010と生地ハンド1310との間に仮止めされた状態の生地が挟持されて(生地ハンド1310と生地とが摩擦係合されて)矢示X(4)方向へ図6(E)に示すように搬送される。
時刻T(6)において、生地ハンド1310が本接着位置まで到着すると、搬送ユニット1300のベルトコンベア1360が停止されて、搬送ユニット1300の第1エアシリンダ(内側)1340が矢示U方向へ上昇される。そして、プレスユニット1400のヒータユニット1410が矢示Y(4)方向へ下降されて、第1の中空角柱(搬送角柱)1010とヒータユニット1410とにより、仮止めされた生地がタイマーで管理された時間(=時刻T(7)−時刻T(6))だけ挟持される。これにより、図6(F)に示すように、ヒータユニット1410のヒータから所望の熱量が生地に与えられて接着剤が溶融して筒状生地が本接着される。
時刻T(7)において、プレスのタイマーがタイムアップして、プレスユニット1400のヒータユニット1410が矢示Y(3)方向へ上昇され、搬送ユニット1300の生地ハンド1310を矢示Z(1)方向へ退行され、搬送ユニット1300の第2エアシリンダ(外側)1350が矢示D方向へ下降される。
この状態で作業者が、この製造装置1000により本接着された筒状生地を第1の中空角柱(搬送角柱)1010から開放端側へ抜き取り、筒状生地を取り出す。
以上のようにして、本実施の形態に係る製造装置1000によると、たとえばアンダーシャツを構成する編地のような伸縮性のある、身頃部のアームホールに袖部の腕回りを肩部で筒状に接着する場合に先立って、筒状の袖部を製造するに際して、生地を十分な接着強度で筒状に接着することができる。さらに、平面状の生地に接着剤を塗布した後に連続して生地を筒状に接着することを自動的に実現することができる。さらに、接着強度を確保しつつ、生地が備える伸縮性を阻害することなく、平面状生地を接着して、平面状生地から筒状生地を製造することができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下に変形の一例を示す。
たとえば、上述した実施の形態においては、接着処理対象の部材を可撓性を備えた平面状部材(平面状生地F)として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、可撓性を備えた平面状ではない部材を接着する処理にも本発明を適用することができる。具体的には、袖部を有さない肌着の前身頃の肩部分と後身頃の肩部分とを接着する処理、さらに具体的には図10および図11において袖部12を備えない状態において貼り合わせ構造112を形成する処理、に本発明を適用することができる。なお、この貼り合わせ構
造112を形成した後に貼り合わせ構造110を形成することにより袖部12を接合して袖部12を備えたアンダーシャツを製造したり、この貼り合わせ構造112を形成した後に袖部12を接合しないで袖部12を備えないアンダーシャツ(タンクトップと記載する)を製造したりすることが可能である。このようなタンクトップにおいて貼り合わせ構造112を形成する場合には、前身頃の右の肩部分の接着領域および前身頃の左の肩部分の接着領域を第1の中空角柱(搬送角柱)1010に、後身頃の右の肩部分の被接着領域および後身頃の左の肩部分の被接着領域を第2の中空角柱(反転角柱)1210に、アームホール側から見た断面方向でS字状になるように、それぞれ保持させることになる。これとは逆に、後身頃を第1の中空角柱(搬送角柱)1010に、前身頃を第2の中空角柱(反転角柱)1210に、それぞれ保持させるようにしても構わない。なお、このようなタンクトップは、貼り合わせ構造112を形成することにより、右のアームホールと左のアームホールとにより筒部が構成されることから、少なくとも一部の形状が筒状である筒状部材となる。
また、上述した実施の形態においては、生地保持手段により平面状生地Fの第1の面および第2の面が略同じ上方向を向くように保持されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。接着剤が塗布されない第2の面については上方向ではなく鉛直上方向(180°)を含む約150°〜約270°の範囲であっても構わない。この角度は、生地のセットのしやすさ等を考慮して設定されるものである。そして、このような場合には第2の面の傾斜角度に応じて第2の中空角柱1210を約120°〜約300°(好ましくは約170°〜約250°)反転させることになるので、反転ユニット1200は、第2の中空角柱1210を略180°反転させるものに限定されないものとなる。このように本発明における「反転」とは、生地の方向が真逆(略180°回転)になることのみを意味するだけではなく、さらに広範囲の方向転換を意味するものである。さらに、この第2の中空角柱(反転角柱)1210(および第1の中空角柱(搬送角柱)1010)は、中空角柱に限定されるものではなく、内部に吸引エア用の通路となる空洞を備えた(中空でない中実角柱に空洞を備えるように加工した)角柱であっても構わない。
また、上述した実施の形態においては、塗布ユニット1100により第1の面の接着領域に接着剤を塗布しているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。接着領域形成手段は、塗布ユニット1100の代わりに、スクリーン印刷ユニット(スクリーン版、スキージおよびドクター、スキージ移動機構等を含んだ構成)で実現するようにしても構わない。
本発明は、可撓性のある部材に接着剤を塗布して筒状部材を製造する場合に、たとえば平面状生地に接着剤を自動的に塗布した後に連続して筒状に自動的に接着して筒状部材(たとえば筒状生地)を製造する装置に好適に利用することができる。
10 アンダーシャツ
11 身頃(伸縮性生地1)
12 袖部(伸縮性生地2)
3 接着部
4 非接着部
110、112、120 貼り合わせ構造
P 接着パターン
1000 筒状部材製造装置
1000R 右ユニット
1000L 左ユニット
1010(1010R、1010L) 第1の中空角柱(搬送角柱)
1100 塗布ユニット
1110 塗布ヘッド
1120 塗布ヘッド移動エアシリンダ
1130 ノズルキャップアクチュエータ
1140 塗布ヘッド移動単軸ロボット
1150 ギヤポンプモータ
1160 クランクモータ
1170 接着剤用ヒータコントローラ
1200(1200R、1200L) 反転ユニット
1210(1210R、1210L) 第2の中空角柱(反転角柱)
1220(1220R、1220L) 生地反転ロータリーアクチュエータ
1300(1300R、1300L) 搬送ユニット
1310(1310R、1310L) 生地ハンド
1320(1320R、1320L) 生地ハンド横移動エアシリンダ
1330(1330R、1330L) 生地ハンド押さえエアシリンダ
1340(1340R、1340L) 第1エアシリンダ(内側)
1350(1350R、1350L) 第2エアシリンダ(外側)
1360(1360R、1360L) ベルトコンベア
1370(1370R、1370L) コンベアモータ
1400(1400R、1400L) プレスユニット
1410(1410R、1410L) ヒータユニット
1420(1420R、1420L) プレスヒータ用エアシリンダ
1430(1430R、1430L) プレス用ヒータコントローラ
1500 制御部
1510(1510R、1510L) ブロア
1520(1520R、1520L) 表示計器(制御盤内)
1530(1530R、1530L) 表示計器(制御盤外)
1540(1540R、1540L) 操作ボタン(制御盤内)
1550(1550R、1550L) 操作ボタン(制御盤外)
1560(1560R、1560L) 各種センサ
1570(1570R、1570L) タッチパネル
1600 CPU
1610 入力インターフェイス
1620 入出力インターフェイス
1630 シリンダ駆動ドライバ
1640 単軸ロボット駆動ドライバ
1650 モータ駆動ドライバ
1660 出力インターフェイス
1670 表示ドライバ

Claims (3)

  1. 第1の面とその裏面である第2の面とを備えた可撓性のある部材から、少なくとも一部の形状が筒状である筒状部材を製造する筒状部材製造装置であって、
    前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方の面が上方向を向くように前記部材を保持するための部材保持手段と、
    前記上方向を向いた面の所定領域に接着領域を形成するための接着領域形成手段と、
    前記上方向を向いた面の接着領域と他方の面の被接着領域とが当接するように、前記部材保持手段に保持された前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方の面を反転するための反転手段と、
    前記接着領域と前記被接着領域とを圧接するための圧接手段と、
    前記接着領域と前記被接着領域とが当接した状態を維持して、前記部材を前記圧接手段まで搬送するための搬送手段とを含み、
    前記部材保持手段に前記接着領域を加熱するための加熱手段を備え、
    前記部材保持手段は、長手方向に平行に並べられた2本の角柱を含み、
    前記反転手段は、前記2本の角柱の1本を反転するための反転ユニットを含む、筒状部材製造装置。
  2. 前記加熱手段は、前記2本の角柱のうちの反転しない角柱に備えられる、請求項1に記載の筒状部材製造装置。
  3. 前記搬送手段は、前記反転しない角柱の側面に略水平方向からに接近して前記部材を前記反転しない角柱との間で挟持して、前記挟持した部材を前記圧接手段まで前記長手方向に搬送する生地挟持ハンドを含む、請求項2に記載の筒状部材製造装置。
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