以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。なお、図1では、後述する演出可動機構50を破線で示している。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、外縁をほぼ円形状とする遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の右下側)には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(発光ダイオード)等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(可変表示)される。例えば、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bはそれぞれ、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。なお、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組合せを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。以下では、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、メイン画像表示装置5MAが設けられている。メイン画像表示装置5MAは、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。メイン画像表示装置5MAの画面上では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示も、可変表示ゲームに含まれる。
一例として、メイン画像表示装置5MAの表示領域に配置された「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、それぞれに対応した飾り図柄が可変表示される。この場合、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。
このように、メイン画像表示装置5MAの画面上では、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示(あるいは単に「導出」ともいう)する。なお、例えば特別図柄や飾り図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示(完全停止表示や最終停止表示ともいう)して可変表示を終了させることである。これに対して、飾り図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中には、飾り図柄の変動速度が「0」となって、飾り図柄が停留して表示され、例えば微少な揺れや伸縮などを生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、可変表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による飾り図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。なお、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮なども生じさせず、所定時間(例えば1秒間)よりも短い時間だけ、飾り図柄を完全停止表示することなどが含まれてもよい。
「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて可変表示される飾り図柄は、例えば8種類の図柄(英数字「1」〜「8」あるいは漢数字や、英文字、所定のモチーフに関連する8個のキャラクタ画像、数字や文字あるいは記号とキャラクタ画像との組合せなどであればよく、キャラクタ画像は、例えば人物や動物、これら以外の物体、もしくは、文字などの記号、あるいは、その他の任意の図形を示す飾り画像であればよい)を含んで構成されていればよい。飾り図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す英数字それぞれに対して、「1」〜「8」の図柄番号が付されている。なお、飾り図柄は8種類に限定されず、大当り組合せやハズレとなる組合せなど適当な数の組合せを構成可能であれば、何種類であってもよい(例えば7種類や9種類など)。
飾り図柄の可変表示が開始された後、可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでには、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて、例えば図柄番号が小さいものから大きいものへと順次に上方から下方へと流れるようなスクロール表示が行われ、図柄番号が最大(例えば「8」)である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最小(例えば「1」)である飾り図柄が表示される。あるいは、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rのうち少なくともいずれか1つ(例えば「左」の飾り図柄表示エリア5Lなど)において、図柄番号が大きいものから小さいものへとスクロール表示を行って、図柄番号が最小である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最大である飾り図柄が表示されるようにしてもよい。
メイン画像表示装置5MAの画面上には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hでは、特図ゲームに対応した可変表示の保留数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球が通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われる。
例えば、第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)する第1始動入賞の発生により、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームの始動条件(第1始動条件)が成立したときに、当該第1始動条件の成立に基づく第1特図を用いた特図ゲームを開始するための第1開始条件が成立しなければ、第1特図保留記憶数が1加算(インクリメント)され、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。また、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)する第2始動入賞の発生により、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームの始動条件(第2始動条件)が成立したときに、当該第2始動条件の成立に基づく第2特図を用いた特図ゲームを開始するための第2開始条件が成立しなければ、第2特図保留記憶数が1加算(インクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留される。これに対して、第1特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第1特図保留記憶数が1減算(デクリメント)され、第2特図を用いた特図ゲームの実行が開始されるときには、第2特図保留記憶数が1減算(デクリメント)される。
第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数とを加算した可変表示の保留記憶数は、特に、合計保留記憶数ともいう。単に「特図保留記憶数」というときには、通常、第1特図保留記憶数、第2特図保留記憶数及び合計保留記憶数のいずれも含む概念を指すが、特に、これらの一部(例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数を含む一方で合計保留記憶数は除く概念)を指すこともあるものとする。
始動入賞記憶表示エリア5Hとともに、あるいは始動入賞記憶表示5Hエリアに代えて、特図保留記憶数を表示する表示器を設けるようにしてもよい。図1に示す例では、始動入賞記憶表示エリア5Hとともに、第1特別図柄表示装置4Aおよび第2特別図柄表示装置4Bの上部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bはそれぞれ、例えば第1特図保留記憶数と第2特図保留記憶数のそれぞれにおける上限値(例えば「4」)に対応した個数(例えば4個)のLEDを含んで構成されている。
メイン画像表示装置5MAの右側には、メイン画像表示装置5MAとは別個に複数種類の演出画像を含む各種画像の表示を行うサブ画像表示装置5SUが設けられている。なお、メイン画像表示装置5MAとサブ画像表示装置5SUの設置箇所は、遊技盤2における遊技領域の中央付近に限定されず、例えばメイン画像表示装置5MAは遊技領域の中央付近に設置される一方、サブ画像表示装置5SUは遊技領域の外部や遊技機用枠3の前面上部、前面下部、前面側方といった、パチンコ遊技機1における任意の位置に設置されてもよい。
メイン画像表示装置5MAの下方には、普通入賞球装置6Aと、普通可変入賞球装置6Bとが設けられている。普通入賞球装置6Aは、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、図4に示す普通電動役物用となるソレノイド27によって、垂直位置となる通常開放状態と傾動位置となる拡大開放状態とに変化する一対の可動翼片を有する電動チューリップ型役物(普通電動役物)を備え、始動領域(第2始動領域)第2始動入賞口を形成する。
一例として、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド27がオフ状態であるときに可動翼片が垂直位置となることにより、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)しない閉鎖状態にする。その一方で、普通可変入賞球装置6Bでは、普通電動役物用のソレノイド27がオン状態であるときに可動翼片が傾動位置となることにより、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)できる開放状態にする。なお、普通可変入賞球装置6Bは、ソレノイド27がオフ状態であるときに通常開放状態となり、第2始動入賞口を遊技球が進入(通過)できる一方、ソレノイド27がオン状態であるときの拡大開放状態よりも遊技球が進入(通過)しにくいように構成してもよい。このように、普通可変入賞球装置6Bは、第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)しやすい開放状態または拡大開放状態といった第1可変状態と、遊技球が通過(進入)不可能な閉鎖状態または通過(進入)困難な通常開放状態といった第2可変状態とに、変化できるように構成されている。
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図4に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出される。普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図4に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球が賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。
なお、第1始動口スイッチ22Aによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数と、第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて払い出される賞球の個数は、互いに同一の個数であってもよいし、異なる個数であってもよい。パチンコ遊技機1は、賞球となる遊技球を直接に払い出すものであってもよいし、賞球となる遊技球の個数に対応した得点を付与するものであってもよい。
普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bの下方には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、図4に示す大入賞口扉用となるソレノイド28によって開閉駆動される大入賞口扉を備え、その大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。
一例として、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド28がオフ状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を閉鎖状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)できなくなる。その一方で、特別可変入賞球装置7では、大入賞口扉用のソレノイド28がオン状態であるときに大入賞口扉が大入賞口を開放状態として、遊技球が大入賞口を通過(進入)しやすくなる。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球が通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球が通過(進入)できず遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。なお、遊技球が大入賞口を通過(進入)できない閉鎖状態に代えて、あるいは閉鎖状態の他に、遊技球が大入賞口を通過(進入)しにくい一部開放状態を設けてもよい。
大入賞口を通過(進入)した遊技球は、例えば図4に示すカウントスイッチ23によって検出される。カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置7において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口や第2始動入賞口といった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球が進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
遊技盤2の所定位置(図1に示す例では、遊技領域の左側方)には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bと同様に7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄(「普図」あるいは「普通図」ともいう)を変動可能に表示(可変表示)する。このような普通図柄の可変表示は、普図ゲーム(「普通図ゲーム」ともいう)と称される。普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
遊技盤2の表面には、上記の構成以外にも、遊技球の流下方向や速度を変化させる風車や多数の障害釘などが設けられている。第1始動入賞口、第2始動入賞口および大入賞口とは異なる入賞口として、例えば所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる単一または複数の一般入賞口が設けられてもよい。この場合には、一般入賞口のいずれかに進入した遊技球が所定の一般入賞球スイッチによって検出されたことに基づき、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されればよい。遊技領域の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球が取り込まれるアウト口が設けられている。
遊技盤2には、整列配置された複数の発光体の点灯態様による表示演出を実行可能な可動部材として、演出可動機構50が設けられている。演出可動機構50は、複数(例えば4つ)の可動部材を有している。演出可動機構50は、複数の可動部材がメイン画像表示装置5MAの画面上下に分かれて位置する退避状態と、複数の可動部材がメイン画像表示装置5MAの画面前方に位置する進出状態とに変化することができる。なお、以下の説明においては、パチンコ遊技機1の正面に対峙した状態を基準として上下左右前後方向を説明する。
図1に示された演出可動機構50は、退避状態となった場合のものである。この実施の形態では、例えば樹脂などで構成される図示しない透明板によって遊技盤2の遊技領域が構成されており、演出可動機構50は、この透明板の後方に配置されて、遊技球は演出可動機構50の前方を流下する。ただし、こうした例に限定されず、演出可動機構50の複数の可動部材の少なくとも1つが、遊技領域を形成する透明板の前方に配置されてもよい。
図2は、演出可動機構50に設けられた複数の可動部材がメイン画像表示装置5MAの前面に位置する進出状態となった場合を示している。図3は、演出可動機構50の構成例を示している。演出可動機構50は、退避状態においてメイン画像表示装置5MAの画面上側に位置する2つの可動部材51、52を備えた上側機構50Tと、退避状態においてメイン画像表示装置5MAの画面下側に位置する2つの可動部材53、54を備えた下側機構50Bとに分離可能である。すなわち、演出可動機構50は、互いに離間または近接して配置可能な上側機構50Tと下側機構50Bとを含んで構成される。上側機構50Tと下側機構50Bとが互いに離間することで、第1状態としての退避状態となる。一方、上側機構50Tと下側機構50Bとが互いに近接することで、第2状態としての進出状態となる。
上側機構50Tや下側機構50Bには、退避状態と進出状態とに変化させる駆動手段が設けられている。上側機構50Tは、2つの可動部材51、52の他に、上側支持ユニット55と、装飾部材57とを備えている。下側機構50Bは、2つの可動部材53、54の他に、下側支持ユニット56を備えている。
上側支持ユニット55は、メイン画像表示装置5MAの画面上側を覆うようにコの字型に構成されたフレームを備え、このフレームが遊技盤2本体に固定されることで、上側機構50Tの各構成部材を支持する。上側支持ユニット55は、可動部材51に係合した第1動力伝達部を備え、図5に示す動作用モータ60Aからの動力を可動部材51に伝達させる。上側支持ユニット55のフレームには、可動部材51を回動可能に軸支する回動支軸、可動部材51の回動動作をガイドするガイド孔が形成されるとともに、装飾部材57の移動を補助する上下方向に沿ったガイドスリットが形成されている。装飾部材57は、2つの可動部材51、52の左端を軸支し、可動部材51、52は、装飾部材57に対して回動する。装飾部材57は、可動部材51に動作用モータ60Aからの動力が出力されることにより、可動部材51の動作に伴って上下に移動する。上側支持ユニット55は、可動部材51の位置を直接的または間接的に把握する第1位置検出センサを備えていればよい。
可動部材51は、前面部と、前面部の後方に配置されたベース体とを備え、前面部とベース体との間に可動部材52を保持する。可動部材51は、上側支持ユニット55に備えられた第1動力伝達部が上方に位置するときに、長手方向が略水平方向に沿った状態で上側に位置する。このとき、動作用モータ60Aから動力が出力されて第1動力伝達部が下方に回動すると、装飾部材57が下方に移動することに伴い、可動部材51が回動支軸を支点として下方に回動する。上側支持ユニット55に備えられた第1動力伝達部が下方に位置するときに、動作用モータ60Aから動力が出力されて第1動力伝達部が上方に回動すると、装飾部材57が上方に移動することに伴い、可動部材51が回動支軸を支点として上方に回動する。こうして、動作用モータ60Aは、装飾部材57とともに可動部材51を動作可能に駆動するための駆動力を提供する。
可動部材51が備えるベース体の前面には、可動部材52を回動させるための動作用モータ60Bと、動作用モータ60Bを覆うモータケースと、動作用モータ60Bの回転軸に取り付けられた外歯歯車のモータギヤと、このモータギヤに噛み合う駆動ギヤと、可動部材52の回動位置を検出するための第2位置検出センサとが取り付けられている。こうして動作用モータ60Bの回転軸と連結された駆動ギヤは、回転中心から離心して前方に突出する第2動力伝達部を有している。第2動力伝達部は、可動部材52に係合して、動作用モータ60Bからの動力を可動部材52に伝達する。第2位置検出センサは、第1位置検出センサと同様のものであればよく、例えば動作用モータ60Bの回転軸と連結された駆動ギヤの回転位置を検出することで、可動部材52の位置を把握できればよい。
可動部材52には、装飾部材57と係合する装飾側ガイド孔や、第2動力伝達部を送通する動力側ガイド孔が形成されている。可動部材52は、第2動力伝達部が上方に位置するときに、可動部材51の裏側に重なって位置する。動作用モータ60Bから動力が出力されて第2動力伝達部が下方に回動すると、可動部材52が可動部材51に対して装飾側ガイド孔を支点として下方に回動し、遊技者が視認可能な状態となる。第2動力伝達部が下方に位置するときに動作用モータ60Bから動力が出力されて第2動力伝達部が上方に回動することで、可動部材52は、装飾側ガイド孔を支点として上方に回動して、装飾部材51の裏側に隠れる。こうして、動作用モータ60Bは、可動部材52を動作可能に駆動するための駆動力を提供する。
下側支持ユニット56は、メイン画像表示装置5MAの画面下側を覆う形状に構成されたフレームを備え、このフレームが遊技盤2本体に固定されることで、下側機構50Bの各構成部材を支持する。下側支持ユニット56は、可動部材53に連結されるとともに可動部材54に係合したリンク機構を備え、図5に示す動作用モータ60Cからの動力がリンク機構に係合した第3動力伝達部などを介して可動部材53、54に伝達されることで、可動部材53、54を可動させる。このように、下側機構50Bにおいて、可動部材53、54は、動作用モータ60Cからの動力がリンク機構や第3動力伝達部などを介して伝達されることにより、動作することができる。すなわち、動作用モータ60Cは、可動部材53、54を動作可能に駆動するための駆動力を提供する。下側支持ユニット56のフレームには、リンク機構を支持するための突起やガイド孔などが形成されている。
上側機構50Tにおいて、可動部材51、52のそれぞれは、マトリクス状に整列配置された複数の発光体を備える。すなわち、可動部材51と可動部材52のそれぞれには、例えば縦横方向(上下左右方向)といった所定方向に沿って、複数の発光体が整列配置されている。可動部材51にて整列配置された複数の発光体は、図5に示す発光体ユニット71を構成する。可動部材52にて整列配置された複数の発光体は、図5に示す発光体ユニット72を構成する。
発光体ユニット71、72を構成するように整列配置された複数の発光体は、それぞれが、互いに異なる発光色を有する複数種類の発光素子を含んでいる。例えば、各発光体として、R(赤)、G(緑)、B(青)に発光可能な発光素子を有するフルカラーLEDが用いられる。これにより、可動部材51と可動部材52は、各種の色を全域で単色にて点灯表示することの他、複数の色を域内で区別表示することによる虹色表示といった、発光体ユニット71と発光体ユニット72にて整列配置された複数の発光体の点灯態様による表示演出が実行可能である。このように、発光体ユニット73および発光体ユニット74は、複数の発光体を用いた表示(発光)の色彩や模様を時間経過に伴い変化させて、表示演出を実行することができる。可動部材51、52が備える発光体ユニット71、72にて整列配置された複数の発光体の前方には、複数の発光体のそれぞれを区画するように格子状に形成された区画体が設けられている。また、可動部材51、52の区画体の前面には、可動部材51、52を装飾する前面板が設けられている。
下側機構50Bにおいて、可動部材53、54のそれぞれは、上側機構50Tの可動部材51、52のそれぞれと同様に、マトリクス状に整列配置された複数の発光体を備える。すなわち、可動部材53と可動部材54のそれぞれには、例えば縦横方向(上下左右方向)といった所定方向に沿って、複数の発光体が整列配置されている。可動部材53にて整列配置された複数の発光体は、図5に示す発光体ユニット73を構成する。可動部材54にて整列配置された複数の発光体は、図5に示す発光体ユニット74を構成する。
発光体ユニット73、74を構成するように整列配置された複数の発光体は、それぞれが、互いに異なる発光色を有する複数種類の発光素子を含んでいる。例えば、各発光体として、R(赤)、G(緑)、B(青)に発光可能な発光素子を有するフルカラーLEDが用いられる。これにより、可動部材53と可動部材54は、各種の色を全域で単色にて点灯表示することの他、複数の色を域内で区別表示することによる虹色表示といった、発光体ユニット73と発光体ユニット74にて整列配置された複数の発光体の点灯態様による表示演出が実行可能である。このように、発光体ユニット73および発光体ユニット74は、複数の発光体を用いた表示(発光)の色彩や模様を時間経過に伴い変化させて、表示演出を実行することができる。可動部材53、54が備える発光体ユニット73、74にて整列配置された複数の発光体の前方には、複数の発光体のそれぞれを区画するように格子状に形成された区画体が設けられている。また、可動部材53、54の区画体の前面には、可動部材53、54を装飾する前面板が設けられている。
図4は、演出可動機構50の動作例を示している。図4では、可動部材51〜54の表面に整列配置された複数の発光体の配列方向を実線で示している。図4(A)に示すように、上側機構50Tと下側機構50Bとが互いに離間した退避状態では、可動部材51〜54がメイン画像表示装置5MAの表示画面(表示領域)に重ならない。メイン画像表示装置5MAの表示画面は、上側機構50Tと下側機構50Bとが退避状態であるときに、可動部材51〜54が重ならないことで視認可能となる。これに対し、図4(B)に示すように、上側機構50Tと下側機構50Bとが互いに近接した進出状態では、可動部材51〜54がメイン画像表示装置5MAの表示画面(表示領域)に重なる。メイン画像表示装置5MAの表示画面は、上側機構50Tと下側機構50Bとが進出状態であるときに、可動部材51〜54が重なることで視認困難または視認不可能となる。
遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L、8Rが設けられている。遊技領域周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。パチンコ遊技機1の遊技領域における各構造物(例えば普通入賞球装置6A、普通可変入賞球装置6B、特別可変入賞球装置7、メイン画像表示装置5MAの周縁部に配置されたフレーム部材など)の周囲には、装飾用LEDが配置されていてもよい。遊技機用枠3の右下部位置には、打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。打球操作ハンドルは、遊技媒体としての遊技球を遊技領域に向けて発射するために、遊技者等によって操作される。例えば、遊技者等による打球操作ハンドルの操作量(回転量)に応じて、遊技球の弾発力を調整することができる。打球操作ハンドルには、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング(タッチセンサ)が設けられていればよい。
遊技領域の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持(貯留)する上皿(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿が設けられている。
下皿を形成する部材には、例えば下皿本体の上面における手前側の所定位置(例えば下皿の中央部分)などに、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ31Aが取り付けられている。スティックコントローラ31Aは、遊技者が把持する操作桿を含み、操作桿の所定位置(例えば遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、トリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者がスティックコントローラ31Aの操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作桿の内部には、遊技者の動作として、トリガボタンに対する押引操作を検知するトリガセンサが内蔵されていればよい。
スティックコントローラ31Aの下部における下皿の本体内部などには、遊技者の動作として、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニットを含むコントローラセンサユニットが設けられていればよい。例えば、傾倒方向センサユニットは、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも左側で遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサ(平行センサ対)と、この遊技者の側からみて操作桿の中心位置よりも右側で遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサ(垂直センサ対)とを組み合わせた4つの透過形フォトセンサを含んで構成されていればよい。
上皿を形成する部材には、例えば上皿本体の上面における手前側の所定位置(例えばスティックコントローラ31Aの上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン31Bが設けられている。プッシュボタン31Bは、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン31Bの設置位置における上皿の本体内部などには、遊技者の動作として、プッシュボタン31Bに対する押下操作を検知するプッシュセンサが設けられていればよい。なお、スティックコントローラ31Aやプッシュボタン31Bは、遊技者による操作が検出された場合、図7に示す演出制御基板12によってメイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUにおける表示演出が変更されたり、演出可動機構50における動作やスピーカ8L、8Rからの音声出力や遊技効果ランプ9などの発光体における点灯動作(点滅動作)などが行われる演出(例えば予告演出やリーチ演出)などにおいて使用されるものであればよい。
パチンコ遊技機1には、例えば図5に示すような主基板11、演出制御基板12、音声制御基板13、ランプ制御基板14、駆動制御基板19といった、各種の制御基板が搭載されている。また、パチンコ遊技機1には、主基板11と演出制御基板12との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板15なども搭載されている。その他にも、パチンコ遊技機1における遊技盤2などの背面には、例えば払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
主基板11は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板11は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板12などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板11は、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯制御と消灯制御とを行って第1特図や第2特図の可変表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯制御と消灯制御あるいは発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示を制御することといった、所定の表示図柄の可変表示を制御する機能も備えている。
主基板11には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100や、遊技球検出用の各種スイッチからの検出信号を取り込んで遊技制御用マイクロコンピュータ100に伝送するスイッチ回路110、遊技制御用マイクロコンピュータ100からのソレノイド駆動信号をソレノイド27、28に伝送するソレノイド回路111などが搭載されている。
演出制御基板12は、主基板11とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板15を介して主基板11から伝送された制御信号を受信して、メイン画像表示装置5MAおよびサブ画像表示装置5SU、スピーカ8L、8R、遊技効果ランプ9、発光体ユニット71〜74、演出可動機構50といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。すなわち、演出制御基板12は、メイン画像表示装置5MAおよびサブ画像表示装置5SUにおける表示動作や、発光体ユニット71〜74における点灯態様の全部または一部、スピーカ8L、8Rからの音声出力動作の全部または一部、遊技効果ランプ9などにおける点灯制御と消灯動作の全部または一部、演出可動機構50の動作の全部または一部といった、演出用の電気部品に所定の演出動作を実行させるための制御内容を決定する機能を備えている。図5に示す演出制御基板12には、演出制御用マイクロコンピュータ120と、画像データメモリ121と、表示制御部122とが搭載されている。
音声制御基板13は、演出制御基板12とは別個に設けられた音声出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、スピーカ8L、8Rから音声を出力させるための音声信号処理を実行する処理回路などが搭載されている。ランプ制御基板14は、演出制御基板12とは別個に設けられたランプ出力制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、遊技効果ランプ9などに駆動電流を供給するランプドライバ回路などが搭載されている。駆動制御基板19は、演出制御基板12とは別個に設けられた演出可動機構制御用の制御基板であり、演出制御基板12からの指令や制御データなどに基づき、可動部材51〜54の回動制御や装飾部材57の移動制御を行うためのモータドライバ回路などが搭載されている。駆動制御基板19からの出力信号は、上側機構駆動部16Aに含まれる動作用モータ60A、60Bと、下側機構駆動部16Bに含まれる動作用モータ60Cとに向けて伝送される。上側機構駆動部16Aは、上側機構50Tに含まれる可動部材51、52や装飾部材57を動作させるための動力を伝達する。下側機構駆動部16Bは、下側機構50Bに含まれる可動部材53、54を動作させるための動力を伝達する。
図5に示すように、主基板11には、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23からの検出信号を伝送する配線が接続されている。なお、ゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23は、例えばセンサと称されるものなどのように、遊技媒体としての遊技球を検出できる任意の構成を有するものであればよい。また、主基板11には、第1特別図柄表示装置4A、第2特別図柄表示装置4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
主基板11から演出制御基板12に向けて伝送される制御信号は、中継基板15によって中継される。中継基板15を介して主基板11から演出制御基板12に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えばメイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUにおける画像表示動作を制御するために用いられる表示制御コマンドや、スピーカ8L、8Rからの音声出力を制御するために用いられる音声制御コマンド、遊技効果ランプ9や装飾用LEDの点灯動作などを制御するために用いられるランプ制御コマンド、演出可動機構50の動作などを制御するために用いられる可動機構制御コマンドなどが含まれている。
主基板11に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータ100は、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(Read Only Memory)101と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(Random Access Memory)102と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(Central Processing Unit)103と、CPU103とは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路104と、I/O(Input/Output port)105とを備えて構成される。ROM101は、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable ROM)あるいはNAND型フラッシュROMといった、電気的に消去や書込あるいは書換などが可能な不揮発性で読出専用の半導体メモリとして構成されたものであればよい。
一例として、遊技制御用マイクロコンピュータ100では、CPU103がROM101から読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。このときには、CPU103がROM101から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU103がRAM102に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU103がRAM102に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU103がI/O105を介して遊技制御用マイクロコンピュータ100の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。乱数回路104は、遊技の進行を制御するために用いられる各種の乱数値の一部または全部を示す数値データをカウントするものであればよい。
遊技制御用マイクロコンピュータ100が備えるROM101には、ゲーム制御用のプログラムの他にも、遊技の進行を制御するために用いられる各種の選択用データ、テーブルデータなどが格納されている。例えば、ROM101には、CPU103が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブル、設定テーブルなどを構成するデータが記憶されている。また、ROM101には、CPU103が主基板11から各種の制御コマンドとなる制御信号を送信するために用いられる複数のコマンドテーブルを構成するテーブルデータや、変動パターンを複数種類格納する変動パターンテーブルを構成するテーブルデータなどが、記憶されている。
図6は、演出制御基板12に搭載された各種回路の構成例を示している。図6に示す演出制御用マイクロコンピュータ120は、例えば1チップマイクロコンピュータなどを用いて構成され、CPU131と、ROM132と、RAM133と、I/O134とを備えている。CPU131は、演出制御用のプログラムに従って制御処理を実行する。ROM132は、CPU131が制御処理を実行するために読み出される演出制御用のプログラムや固定データなどを記憶する。RAM133は、CPU131のワークエリアを提供する。I/O134は、演出制御用マイクロコンピュータ120に伝送された各種信号を取り込むための入力ポートと、演出制御用マイクロコンピュータ120の外部へと各種信号を伝送するための出力ポートとを含んで構成される。なお、CPU131とは独立して演出動作を制御するために用いられる各種の乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路が、演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵(または外付)されてもよい。演出動作を制御するために用いられる乱数は、演出用乱数ともいう。あるいは、演出用乱数となる乱数値を示す数値データは、RAM133の所定領域などに設けられた演出用ランダムカウンタを用いて、ソフトウェアにより更新されてもよい。この場合、ハードウェア回路としての乱数回路は、演出制御基板12に搭載されなくてもよい。
演出制御用マイクロコンピュータ120では、CPU131がROM132から読み出した演出制御用のプログラムに従って、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。このときには、CPU131がROM132から固定データを読み出す固定データ読出動作や、CPU131がRAM133に各種の変動データを書き込んで一時記憶させる変動データ書込動作、CPU131がRAM133に一時記憶されている各種の変動データを読み出す変動データ読出動作、CPU131がI/O134を介して演出制御用マイクロコンピュータ120の外部から各種信号の入力を受け付ける受信動作、CPU131がI/O134を介して演出制御用マイクロコンピュータ120の外部へと各種信号を出力する送信動作なども行われる。また、CPU131は、I/O134から表示制御部122のVDP141と共通のバス12BUを介して、画像データメモリ121にアクセスし、記憶データの読み出しなどを行うことができる。
演出制御用マイクロコンピュータ120のROM132には、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。例えば、ROM132には、CPU131が各種の判定や決定、設定を行うために用意された複数の判定テーブルや決定テーブルを構成するテーブルデータ、各種の演出制御パターンを構成するパターンデータなどが記憶されている。演出制御パターンは、例えば演出制御プロセスタイマ判定値と対応付けられた演出制御実行データ(表示制御データ、音声制御データ、ランプ制御データ、可動部材制御データ、操作検出制御データなど)や終了コードなどを含んだプロセスデータから構成されている。演出制御用マイクロコンピュータ120のRAM133には、演出動作を制御するために用いられるプログラムや各種データが記憶される。CPU131は、ROM132に格納されているプログラムやデータの読出時間よりも短い読出時間で、RAM133に記憶されたプログラムやデータを読み出すことができる。
演出制御基板12に搭載された画像データメモリ121は、メイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUにおける表示画像を示す各種の画像データ(画像要素データ)を予め記憶している。例えば、画像データメモリ121が記憶する画像データには、メイン画像表示装置5MAにおいて可変表示される複数種類の飾り図柄といった、複数種類の演出画像に対応した複数種類の画像要素データが含まれている。その他、画像データメモリ121は、メイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUに表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号など、および背景画像の画像データをあらかじめ記憶している。また、画像データメモリ121に記憶されている画像データを用いて、発光体ユニット71〜74を構成する複数の発光体を点灯制御するためのデータ(点灯データ)が作成される。画像データメモリ121は、例えば書換不能な半導体メモリであってもよいし、EEPROMやNAND型フラッシュROMなどの電気的に消去や書込あるいは書換などが可能な不揮発性で読出専用の半導体メモリであってもよく、あるいは、磁気メモリ、光学メモリといった、不揮発性記録媒体のいずれかを用いて構成されたものであればよい。なお、画像データメモリ121は、表示制御部122のVDP141と共通のバス12BUを介してCPU131からもアクセス可能なものに限定されず、例えば表示制御部122またはVDP141に内蔵(または外付)されて、VDP141からアクセス可能なROMとして構成され、CPU131からはアクセス不能なものであってもよい。
発光体ユニット71〜74の点灯データを作成するためのデータは、サブ画像表示装置5SUの画面上に表示させる演出画像の画像データに付加されて、画像データメモリ121に予め記憶されてもよい。あるいは、発光体ユニット71〜74の点灯データを作成するためのデータは、サブ画像表示装置5SUの画面上に表示させる演出画像の画像データとは別個の画像データとして画像データメモリ121に予め記憶され、表示制御部122のVDP141が描画処理を実行するときに、点灯データの作成に用いられる表示データが、サブ画像表示装置5SUの表示画面における演出画像の表示データに付加されてもよい。
図5に示す演出制御基板12に搭載された表示制御部122は、演出制御用マイクロコンピュータ120からの表示制御指令などに基づき、メイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUにおける表示動作の制御内容を決定する。例えば、表示制御部122は、メイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUの画面上に表示させる演出画像の切換タイミングを決定することなどにより、飾り図柄の可変表示や各種の演出表示を実行させるための制御を行う。この実施の形態において、表示制御部122は、可動部材51〜54のそれぞれに整列配置された複数の発光体が構成する発光体ユニット71〜74の点灯態様による表示演出を実行させるための制御も行う。
図6に示すように、表示制御部122は、VDP(Video Display Processor)141と、VRAM(Video RAM)142Aと、フレームバッファ142Bと、メインLCD駆動回路143Aと、サブLCD駆動回路143Bと、発光体制御回路144とを備えている。なお、VDP141は、GPU(Graphics Processing Unit)、GCL(Graphics Controller LSI)、あるいは、より一般的にDSP(Digital Signal Processor)と称される画像処理用のマイクロプロセッサであってもよい。
VDP141は、例えばメイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUの画面上に各種画像を表示させるための高速描画機能や動画像デコード機能といった画像データ処理機能を有し、演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131から伝送された表示制御指令に従い画像データ処理を実行する画像プロセッサである。VDP141は、演出制御用マイクロコンピュータ120と共通のバス12BUを介して、画像データメモリ121にアクセスし、画像データの読み出しなどを行うことができる。画像データメモリ121に記憶されている画像データは、発光体ユニット71〜74を構成する複数の発光体を点灯制御するためのデータ(点灯データ)を作成するときに用いられることがある。
VRAM142Aは、画像データメモリ121から読み出されて転送された画像データを一時記憶して、VDP141が画像データ処理を実行するためのワークエリアを提供する。VRAM142Aの記憶領域には、例えばパレットデータが配置されるパレット領域、画像データメモリ121から読み出されたキャラクタ画像データが格納されるキャラクタ用バッファ、CG用バッファなどの各領域が割り当てられている。CG用バッファは、VDP141による描画処理が実行されるときにキャラクタの表示色が定義されたパレットデータを一時的に保存したり、描画処理により作成される演出画像の表示データを一時的に保存したりするために用いられる。VDP141は、画像データメモリ121に格納されているデータの読出時間よりも短い読出時間で、VRAM142Aに記憶されたデータを読み出すことができる。
フレームバッファ142Bは、VDP141による描画処理などにより作成される演出画像の表示データなどが展開記憶される仮想表示領域を提供する。フレームバッファ142Bに展開記憶される表示データは、例えばポイント、ライン、ポリゴンなどのベクトルデータ(ベクタデータ)などに基づいてVDP141が作成したピクセルデータ(ラスタデータ)などであればよい。なお、フレームバッファ142Bには、例えばメイン画像表示装置5MAの画面上に表示される各種画像の表示データを記憶する実表示領域と、メイン画像表示装置5MAの画面上には表示されない各種画像の表示データを記憶する仮想表示領域とが含まれていてもよい。あるいは、フレームバッファ142Bの仮想表示領域にてメイン画像表示装置5MAの表示画面と同じ大きさの画面表示を行うための表示データが作成され、VDP141により読み出された仮想表示領域の表示データがメインLCD駆動回路143Aへと供給されることで、メイン画像表示装置5MAの側に出力されるようにしてもよい。VRAM142Aとフレームバッファ142Bは、同一の半導体メモリ(SDRAMなど)における別個の記憶領域として確保されたものであってもよいし、別個の半導体メモリを用いて構成されたものであってもよい。
フレームバッファ142Bの記憶領域には、画像表示領域と、画像描画領域とが割り当てられる。画像表示領域には、メイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUの画面上に演出画像を表示させるための表示データが格納される。画像描画領域には、描画処理により作成された各演出画像の表示データが格納される。画像表示領域と画像描画領域は、Vブランクが発生するごとに互いに切り替わるようにしてもよい。Vブランクは、メイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUの画面上に表示される画像を更新する周期で発生する。Vブランクが開始されるごとに、VDP141から演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131に対してVブランク割込信号が出力されるとともに、その他各種割込信号が、VDP141からCPU131に対して出力される。
Vブランクが発生するごとに画像表示領域と画像描画領域とを切り替えることで、あるVブランク周期(第1描画表示期間)において画像描画領域として割り当てられた記憶領域では各演出画像の表示データを作成する描画処理が行われるとともに、次のVブランク周期(第2描画表示期間)おいては、この記憶領域が画像表示領域に切り替わる。したがって、第1描画表示期間における描画処理で作成された表示データは、第2描画表示期間にてメイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUに向けて出力され、また、第2描画表示期間にて画像描画領域が割り当てられた記憶領域では、描画処理で作成された表示データの格納が行われることになる。
フレームバッファ142Bにおいて画像表示領域や画像描画領域が割り当てられる記憶領域のそれぞれには、メインフレームバッファと、サブフレームバッファとが割り当てられてもよい。メインフレームバッファには、メイン画像表示装置5MAの画面上に演出画像を表示させるための表示データなどが格納される。サブフレームバッファには、サブ画像表示装置5SUの画面上に演出画像を表示させるための表示データと、発光体ユニット71〜74の点灯データを作成するための表示データとが格納される。このように、サブフレームバッファに格納された表示データの一部を用いて、発光体ユニット71〜74を構成する複数の発光体を点灯制御するための点灯データが作成される。
演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131は、例えばVDP141が備えるCPUインタフェースを介して、VDP141に内蔵されたシステムレジスタやアトリビュートレジスタにアクセスする。そして、演出制御パターンに含まれる表示制御データなどのプロセスデータに従ってシステムレジスタおよびアトリビュートレジスタに各種指令やデータを格納する。こうして、演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131は、メイン画像表示装置5MAおよびサブ画像表示装置5SUにおける表示動作や、発光体ユニット71〜74における点灯動作を、間接的に制御する。
プロセスデータには、Vブランクが発生するごとに演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131がVDP141のシステムレジスタやアトリビュートレジスタに対して行う設定内容が示されている。システムレジスタの設定内容としては、描画、データ転送の指令や、データ転送を行うCGデータやパレットデータ、アトリビュートの設定などがある。また、アトリビュートレジスタの設定内容は、演出画像の描画処理に使用されるパラメータとしてのアトリビュートを示していればよい。プロセスデータでは、Vブランクが発生するごとに画像の更新が行われるようにアトリビュートが設定されている。これにより、画像の更新を、Vブランクが発生するごとに行うことができる。
メインLCD駆動回路143Aは、VDP141から出力された表示データに応じた色信号(階調制御信号)を作成するとともに、所定のクロック信号(ドットクロック信号)や走査信号(駆動制御信号)をメイン画像表示装置5MAに出力することなどにより、メイン画像表示装置5MAの画面上に各種画像を表示させる回路である。サブLCD駆動回路143Bは、発光体制御回路144を介してVDP141から伝送された表示データに応じた色信号(階調制御信号)を作成するとともに、所定のクロック信号(ドットクロック信号)や走査信号(駆動制御信号)をサブ画像表示装置5SUに出力することなどにより、サブ画像表示装置5SUの画面上に各種画像を表示させる回路である。
発光体制御回路144は、VDP141がフレームバッファ142Bのサブフレームバッファから読み出した表示データを分離した一部のデータを用いて、発光体ユニット71〜74における複数の発光体による点灯態様を制御する回路である。発光体制御回路144は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)といった、専用ICを用いて構成されたものであればよい。あるいは、発光体制御回路144は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)といったプログラム可能な集積回路を用いて構成されたものであってもよい。発光体制御回路144によって分離した表示データのうち、発光体ユニット71〜74の点灯制御に用いられない残りの表示データは、サブLCD駆動回路143Bへと出力される。
VDP141は、表示データを出力するためのデータ信号出力系統として、メイン表示出力系統と、サブ表示出力系統といった、2系統の信号出力構成(出力回路および出力配線)を有している。この2つのデータ信号出力系統のうち一方の出力系統であるメイン表示出力系統は、メインLCD駆動回路143Aを介してメイン画像表示装置5MAに接続され、メイン画像表示装置5MAの画面表示に使用される表示データのデータ信号を伝送する。2つのデータ信号出力系統のうち他方の出力系統であるサブ表示出力系統は、発光体制御回路144を介して発光体ユニット71〜74とサブLCD駆動回路143Bとに接続され、サブLCD駆動回路143Bからは、さらにサブ画像表示装置5SUへと接続されている。こうしたサブ表示出力系統では、サブ画像表示装置5SUの画面上における画像表示に使用される表示データのデータ信号が伝送されるとともに、発光体ユニット71〜74の点灯制御に使用される表示データのデータ信号が伝送される。発光体ユニット71〜74の点灯制御に使用される表示データは、発光体制御回路144において点灯データへと変換される。なお、メインLCD駆動回路143AやサブLCD駆動回路143B、発光体制御回路144は、演出制御基板12とは異なる別個の基板に搭載されてもよい。
発光体制御回路144は、VDP141から出力された表示データの一部に基づき点灯制御情報に応じた制御信号を生成することなどにより、発光体ユニット71〜74のそれぞれに整列配置された複数の発光体を点灯制御する。一例として、発光体制御回路144は、信号分離回路と、バッファメモリと、点灯データ生成回路と、シリアル出力回路と、発光体駆動部とを備えて構成されていればよい。信号分離回路は、VDP141から出力された表示データのうち、発光体ユニット71〜74の点灯制御に使用される一部の表示データを分離して、バッファメモリに一時記憶させる。点灯データ生成回路は、バッファメモリに一時記憶されている表示データを読み出し、所定の変換処理を実行することで、点灯制御情報を構成する点灯データを生成する。点灯データ生成回路によって生成される点灯データには、発光体の駆動タイミングを指定する駆動制御情報となる駆動制御データと、発光体の各発光色に対応した輝度(階調)を指定する階調制御情報となる階調データとが、含まれていればよい。シリアル出力回路は、点灯データ生成回路が生成した点灯データに対応する点灯制御情報を含む制御信号を、シリアル信号方式で複数系統のシリアル信号配線に出力して、発光体駆動部へと伝送させる。発光体駆動部は、発光体ユニット71〜74に含まれる複数の発光体を点灯制御する複数の発光体ドライバを備えている。各発光体ドライバは、シリアル信号配線を介してシリアル出力回路から伝送された制御信号で示される点灯制御情報に基づいて、複数の発光体の点灯制御を行う。
パチンコ遊技機1においては、遊技媒体としての遊技球を用いた所定の遊技が行われ、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値が付与可能となる。遊技球を用いた遊技の一例として、パチンコ遊技機1における筐体前面の右下方に設置された打球操作ハンドルが遊技者によって所定操作(例えば回転操作)されたことに基づいて、所定の打球発射装置が備える発射モータなどにより、遊技媒体としての遊技球が遊技領域に向けて発射される。この遊技球が普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)すると、その遊技球が図4に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことなどに基づいて第1始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどに基づいて第1開始条件が成立する。こうして、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始される。
遊技領域に向けて発射された遊技球が、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)すると、その遊技球が図4に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出される。第2始動口スイッチ22Bによって遊技球が検出されたことに基づいて、第2始動条件が成立する。その後、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどに基づいて、第2開始条件が成立する。こうして、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが実行される。なお、普通可変入賞球装置6Bが第2可変状態としての通常開放状態であるときには、第2始動入賞口を遊技球が通過困難または通過不可能である。
普通可変入賞球装置6Bでは、普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となったことに基づいて、電動チューリップの可動翼片が傾動位置となる開放制御や拡大開放制御が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る閉鎖制御や通常開放制御が行われる。開放制御や拡大開放制御により、普通可変入賞球装置6Bが第1可変状態としての拡大開放状態であるときに、第2始動入賞口を遊技球が通過容易または通過可能になる。普通図柄表示器20による普通図柄の可変表示を実行するための普図始動条件は、通過ゲート41を通過した遊技球が図4に示すゲートスイッチ21によって検出されたことに基づいて成立する。普図始動条件が成立した後、例えば前回の普図ゲームが終了したことといった、普通図柄の可変表示を開始するための普図開始条件が成立したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。この普図ゲームでは、普通図柄の変動を開始させた後、所定時間が経過すると、普通図柄の可変表示結果となる確定普通図柄を停止表示(導出表示)する。このとき、確定普通図柄として特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図ハズレ」となる。
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されるときや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されるときには、特別図柄の可変表示結果を予め定められた特定表示結果としての「大当り」にするか否かが、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。そして、可変表示結果の決定に基づく所定割合で、変動パターンの決定などが行われ、可変表示結果や変動パターンを指定する演出制御コマンドが、図4に示す主基板11の遊技制御用マイクロコンピュータ100から演出制御基板12に向けて伝送される。
こうした可変表示結果や変動パターンの決定に基づいて特図ゲームが開始された後、例えば変動パターンに対応して予め定められた可変表示時間が経過したときには、可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示される。第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特別図柄の可変表示に対応して、メイン画像表示装置5MAの画面上に配置された「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rでは、特別図柄とは異なる飾り図柄(演出図柄)の可変表示が行われる。「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rで可変表示される飾り図柄は、それぞれ左図柄、中図柄、右図柄ともいう。
第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームや、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームにおいて、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄が導出表示されるときには、メイン画像表示装置5MAにおいて飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示される。特別図柄の可変表示結果として、予め定められた大当り図柄が導出表示されたときには可変表示結果が「大当り」(特定表示結果)となり、予め定められたハズレ図柄が導出表示されたときには可変表示結果が「ハズレ」(非特定表示結果)となる。可変表示結果が「大当り」となったことに基づいて、遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。すなわち、大当り遊技状態に制御されるか否かは、可変表示結果が「大当り」となるか否かに対応しており、その可変表示結果を導出表示する以前に決定(事前決定)される。
特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果が「大当り」となるときには、メイン画像表示装置5MAの画面上において、予め定められた大当り組合せとなる確定飾り図柄が導出表示される。一例として、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける所定の有効ライン上に同一の飾り図柄が揃って停止表示されることにより、大当り組合せとなる確定飾り図柄が導出表示されればよい。
大当り遊技状態では、大入賞口が開放状態となって特別可変入賞球装置7が遊技者にとって有利な第1状態となる。そして、所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば10個)の遊技球が大入賞口に進入して入賞球が発生するまでの期間にて、大入賞口を継続して開放状態とするラウンド遊技(単に「ラウンド」ともいう)が実行される。こうしたラウンド遊技の実行期間以外の期間では、大入賞口が閉鎖状態となり、入賞球が発生困難または発生不可能となる。大入賞口に遊技球が進入したときには、大入賞口スイッチ23により入賞球が検出され、その検出ごとに所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。大当り遊技状態におけるラウンド遊技は、所定の上限回数(例えば「16」)に達するまで繰返し実行される。したがって、大当り遊技状態では、遊技者が多数の賞球をきわめて容易に獲得することができ、遊技者にとって有利な遊技状態となる。なお、パチンコ遊技機1は、賞球となる遊技球を直接に払い出すものであってもよいし、賞球となる遊技球の個数に対応した得点を付与するものであってもよい。
大当り遊技状態が終了した後には、所定の確変制御条件が成立したことに基づいて遊技状態が確変状態となり、可変表示結果が「大当り」となる確率(大当り確率)が通常状態よりも高くなる確変制御が行われることがある。確変状態は、所定回数(例えば100回)の可変表示が実行されること、または可変表示の実行回数が所定回数に達する以前に大当り遊技状態が開始されることなど、所定の確変終了条件が成立するまで継続するように制御される。なお、確変終了条件は、可変表示の実行回数にかかわらず、次回の大当り遊技状態が開始されるときに成立するようにしてもよい。大当り遊技状態が終了した後には遊技状態が時短状態となり、平均的な可変表示時間が通常状態よりも短くなる時短制御が行われることがある。時短状態は、所定回数(例えば100回)の可変表示が実行されたこと、または可変表示の実行回数が所定回数に達する以前に大当り遊技状態が開始されることなど、所定の時短終了条件が成立するまで継続するように制御される。
確変状態や時短状態では、通常状態よりも第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)しやすい有利変化態様で、普通可変入賞球装置6Bを第1可変状態(開放状態または拡大開放状態)と第2可変状態(閉鎖状態または通常開放状態)とに変化させる。例えば、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御により、普通可変入賞球装置6Bを有利変化態様で第1可変状態と第2可変状態とに変化させればよい。なお、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合わせられて行われるようにしてもよい。このように、普通可変入賞球装置6Bを有利変化態様で第1可変状態と第2可変状態とに変化させる制御は、高開放制御(「高ベース制御」ともいう)と称される。こうした確変状態や時短状態に制御されることにより、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの所要時間が短縮され、通常状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態(「有利遊技状態」ともいう)となる。なお、確変状態にて確変制御が行われるときでも、高開放制御が行われない場合があってもよい。
メイン画像表示装置5MAにおいて、最終停止図柄(例えば左図柄、中図柄、右図柄のうちの中図柄)となる図柄以外の図柄が、所定時間継続して大当り組合せと一致している状態で停止、揺動、拡大縮小もしくは変形している状態、または、複数の図柄が同一図柄で同期して変動したり、表示図柄の位置が入れ替わっていたりして、最終結果が表示される前で大当り発生の可能性が継続している状態(以下、これらの状態をリーチ状態という。)において行われる演出を、リーチ演出という。また、リーチ状態やその様子をリーチ態様という。さらに、リーチ演出が含まれる可変表示をリーチ可変表示という。リーチ態様は、飾り図柄の変動パターンなどに対応して予め複数種類が用意されており、リーチ態様に応じて可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り期待度)が異なる。すなわち、複数種類のリーチ演出のいずれが実行されるかに応じて、可変表示結果が「大当り」となる可能性を異ならせることができる。リーチ演出のうちには、ノーマルのリーチ演出と、ノーマルのリーチ演出よりも大当り期待度が高いスーパーリーチのリーチ演出とが含まれていればよい。そして、メイン画像表示装置5MAの画面上で変動表示される図柄の表示結果が大当り組合せでない場合には「ハズレ」となり、変動表示状態は終了する。
メイン画像表示装置5MAの画面上における液晶表示の演出として飾り図柄の可変表示が行われる。加えて、メイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUの画面上では、例えばキャラクタ画像を用いる演出や、大当り判定と変動パターンの判定結果などに基づいて報知画像を表示するような演出も実行される。特別図柄や飾り図柄の可変表示が行われている可変表示中に実行される各種の演出は、「可変表示中演出」ともいう。可変表示中演出の一例として、飾り図柄の可変表示動作とは異なる演出動作により、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となる可能性や、スーパーリーチのリーチ演出が実行される可能性、可変表示結果が「大当り」となる可能性などを、遊技者に予め示唆するための予告演出が実行されることがある。
予告演出となる演出動作は、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの全部にて飾り図柄の可変表示が開始されてから、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となるより前(「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rにて飾り図柄が仮停止表示されるより前)に実行(開始)されるものであればよい。また、可変表示結果が「大当り」となる可能性があることを報知する予告演出には、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となった後に実行されるものが含まれていてもよい。このように、予告演出は、特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定特別図柄や確定飾り図柄が導出されるまでの所定タイミングにて、大当り遊技状態となる可能性を予告できるものであればよい。こうした予告演出を実行する場合における演出動作の内容(演出態様)に対応して、複数の予告演出パターンが予め用意されている。
第1特別図柄表示装置4Aまたは第2特別図柄表示装置4Bにハズレ図柄が停止表示(導出)されて可変表示結果が「ハズレ」となる場合には、可変表示態様が「非リーチ」(「通常ハズレ」ともいう)となる場合と、可変表示態様が「リーチ」(「リーチハズレ」ともいう)となる場合とが含まれている。可変表示態様が「非リーチ」となる場合には、飾り図柄の可変表示が開始されてから、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態とならずに、リーチにならない所定の飾り図柄の組合せ(非リーチ組合せ)が停止表示(導出)される。可変表示態様が「リーチ」となる場合には、飾り図柄の可変表示が開始されてから、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となった後にリーチ演出が実行され、最終的に大当り組合せとはならない所定の飾り図柄の組合せ(リーチハズレ組合せ)が停止表示(導出)される。
パチンコ遊技機1において遊技媒体として用いられる遊技球や、その個数に対応して付与される得点の記録情報は、例えば数量に応じて特殊景品や一般景品に交換可能な有価価値を有するものであればよい。あるいは、これらの遊技球や得点の記録情報は、特殊景品や一般景品には交換できないものの、パチンコ遊技機1で再度の遊技に使用可能な有価価値を有するものであってもよい。
また、パチンコ遊技機1において付与可能となる遊技価値は、賞球となる遊技球の払出しや得点の付与に限定されず、例えば大当り遊技状態に制御することや、確変状態などの特別遊技状態に制御すること、大当り遊技状態にて実行可能なラウンドの上限回数が第2ラウンド数(例えば「7」)よりも多い第1ラウンド数(例えば「15」)となること、時短状態にて実行可能な可変表示の上限回数が第2回数(例えば「50」)よりも多い第1回数(例えば「100」)となること、確変状態における大当り確率が第2確率(例えば1/50)よりも高い第1確率(例えば1/20)となること、通常状態に制御されることなく大当り遊技状態に繰り返し制御される回数である連チャン回数が第2連チャン数(例えば「5」)よりも多い第1連チャン数(例えば「10」)となることの一部または全部といった、遊技者にとってより有利な遊技状況となることが含まれていてもよい。
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。
主基板11では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ100が起動し、CPU103によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理を開始すると、CPU103は、割込み禁止に設定した後、必要な初期設定を行う。この初期設定では、例えばRAM102がクリアされる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵されたCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定を行う。これにより、以後、所定時間(例えば、2ミリ秒)ごとにCTCから割込み要求信号がCPU103へ送出され、CPU103は定期的にタイマ割込み処理を実行することができる。初期設定が終了すると、割込みを許可した後、ループ処理に入る。なお、遊技制御メイン処理では、パチンコ遊技機1の内部状態を前回の電力供給停止時における状態に復帰させるための処理を実行してから、ループ処理に入るようにしてもよい。
このような遊技制御メイン処理を実行したCPU103は、CTCからの割込み要求信号を受信して割込み要求を受け付けると、割込み禁止状態に設定して、所定の遊技制御用タイマ割込み処理を実行する。遊技制御用タイマ割込処理には、例えばスイッチ処理やメイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、遊技制御プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理といった、パチンコ遊技機1における遊技の進行などを制御するための処理が含まれている。
スイッチ処理は、スイッチ回路110を介してゲートスイッチ21、第1始動口スイッチ22A、第2始動口スイッチ22B、カウントスイッチ23といった各種スイッチから入力される検出信号の状態を判定する処理である。メイン側エラー処理は、パチンコ遊技機1の異常診断を行い、その診断結果に応じて必要ならば警告を発生可能とする処理である。情報出力処理は、例えばパチンコ遊技機1の外部に設置されたホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する処理である。遊技用乱数更新処理は、主基板11の側で用いられる複数種類の遊技用乱数のうち、少なくとも一部をソフトウェアにより更新するための処理である。
遊技制御用タイマ割込処理に含まれる遊技制御プロセス処理では、RAM102に設けられた遊技プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために、各種の処理が選択されて実行される。普通図柄プロセス処理は、普通図柄表示器20における表示動作(例えばセグメントLEDの点灯、消灯など)を制御して、普通図柄の可変表示や普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動動作設定などを可能にする処理である。
コマンド制御処理は、主基板11から演出制御基板12などのサブ側の制御基板に対して制御コマンドを伝送させる処理である。一例として、コマンド制御処理では、RAM102に設けられた送信コマンドバッファの値によって指定されたコマンド送信テーブルにおける設定に対応して、I/O105に含まれる出力ポートのうち、演出制御基板12に対して演出制御コマンドを送信するための出力ポートに制御データをセットした後、演出制御INT信号の出力ポートに所定の制御データをセットして演出制御INT信号を所定時間にわたりオン状態としてからオフ状態とすることなどにより、コマンド送信テーブルでの設定に基づく演出制御コマンドの伝送を可能にする。コマンド制御処理を実行した後には、割込み許可状態に設定してから、遊技制御用タイマ割込み処理を終了する。
図7は、遊技制御プロセス処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す遊技制御プロセス処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103は、まず、始動入賞が発生したか否かを判定する(ステップS11)。一例として、ステップS11では、第1始動口スイッチ22Aや第2始動口スイッチ22Bから伝送される検出信号となる始動入賞信号の入力状態(オン/オフ)をチェックして、オン状態であれば始動入賞が発生したと判定すればよい。
ステップS11にて始動入賞が発生した場合には(ステップS11;Yes)、入賞時乱数を格納する(ステップS12)。一例として、ステップS12の処理では、遊技制御用マイクロコンピュータ100に内蔵(または外付)の乱数回路104や、遊技制御用マイクロコンピュータ100におけるRAM102の所定領域に設けられたランダムカウンタ、遊技制御用マイクロコンピュータ100においてRAM102とは別個に設けられた内部レジスタを用いて構成されたランダムカウンタなどのうち、少なくとも一部により更新される遊技用乱数(可変表示結果決定用の乱数値、遊技状態決定用の乱数値、変動パターン決定用の乱数値)を示す数値データの一部または全部を抽出する。このとき抽出された乱数値は、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ100におけるRAM102の所定領域に設けられた保留用乱数値記憶部などに、保留番号と対応付けた保留データとして記憶されればよい。
ステップS12の処理に続いて、始動入賞時に対応した各種の制御コマンドを送信する(ステップS13)。一例として、ステップS13の処理では、始動入賞の発生を通知する始動入賞指定コマンドを、演出制御基板12に対して送信するための設定が行われればよい。ステップS11にて始動入賞が発生していない場合や(ステップS11;No)、ステップS13の処理を実行した後には、遊技プロセスフラグの値を判定する(ステップS21)。そして、遊技制御用のコンピュータプログラムに予め記述された複数の処理から、判定値に応じた処理を選択して実行する。
例えば、遊技プロセスフラグの値が“0”であるときには、図柄の可変表示(可変表示ゲーム)が開始可能であるか否かを判定する(ステップS101)。一例として、ステップS101の処理では、保留用乱数値記憶部の記憶内容をチェックすることなどにより、可変表示ゲームの保留数が「0」であるか否かを判定する。このとき、保留数が「0」以外である場合には、可変表示の始動条件が成立した後、未だ開始条件が成立していない可変表示の保留が行われていることから、可変表示が開始可能であると判定する。これに対して、保留数が「0」である場合には、可変表示が開始不可能であると判定する。可変表示が開始不可能であるときには(ステップS101;No)、遊技制御プロセス処理を終了する。
ステップS101にて可変表示が開始可能であるときには(ステップS101;Yes)、可変表示結果として導出表示される確定図柄を決定する(ステップS102)。特図ゲームにおける特別図柄の可変表示結果は、特図表示結果と称される。ステップS102の処理では、保留用乱数値記憶部において先頭(保留番号が最小の記憶領域)に記憶されている遊技用乱数(可変表示結果決定用の乱数値、遊技状態決定用の乱数値、変動パターン決定用の乱数値など)を読み出す。保留用乱数値記憶部から読み出した遊技用乱数は、遊技制御用マイクロコンピュータ100におけるRAM102の所定領域に設けられた可変表示用乱数バッファなどに一時記憶させておけばよい。そして、可変表示結果決定用の乱数値と可変表示結果決定テーブルとを用いて、可変表示結果を「大当り」とするか否かを所定割合で決定する。ここで、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態であるときには、通常状態や時短状態であるときよりも高い割合で、可変表示結果が「大当り」に決定されるように、可変表示結果決定テーブルにおける判定値が設定されていればよい。
ステップS102の処理にて可変表示結果が「大当り」に決定されたときには、さらに遊技状態決定用の乱数値と遊技状態決定テーブルとを用いて、大当り遊技状態の終了後における遊技状態を確変状態といった特別遊技状態とするか否かの決定を行う。これらの決定結果に対応して、可変表示結果として導出表示される確定図柄を決定すればよい。
ステップS102の処理に続いて、内部フラグなどの設定を行う(ステップS103)。一例として、ステップS103の処理では、ステップS102の処理にて可変表示結果が「大当り」に決定されたときに、遊技制御用マイクロコンピュータ100におけるRAM102の所定領域に設けられた大当りフラグをオン状態にセットする。また、大当り遊技状態の終了後における遊技状態を確変状態とすることが決定されたときには、遊技制御用マイクロコンピュータ100におけるRAM102の所定領域に設けられた確変確定フラグをオン状態にセットするなどして、確変状態となることを特定可能に記憶しておいてもよい。その後、遊技プロセスフラグの値を“1”に更新してから(ステップS104)、遊技制御プロセス処理を終了する。
遊技プロセスフラグの値が“1”であるときには、変動パターンなどを決定する(ステップS111)。図18は、パチンコ遊技機1において用いられる変動パターンの設定例を示している。各変動パターンは、可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定図柄が導出表示されるまでの所要時間(可変表示時間)や演出態様の概略を特定可能に示している。この実施の形態では、可変表示結果が「ハズレ」となる場合のうち、メイン画像表示装置5MAにおいて可変表示される飾り図柄の可変表示態様が「非リーチ」である場合と「リーチ」である場合のそれぞれに対応して、また、可変表示結果が「大当り」となる場合などに対応して、複数の変動パターンが予め用意されている。変動パターンは、特図ゲームや飾り図柄の可変表示における変動時間(可変表示時間)ごとに、予め複数パターンが用意されている。したがって、変動パターンを決定することにより、特別図柄や飾り図柄の可変表示時間を決定することができる。
ステップS111の処理では、可変表示用乱数バッファに一時記憶されている変動パターン決定用の乱数値と変動パターン決定テーブルとを用いて、使用パターンとなる変動パターンを所定割合で決定する。このときには、各変動パターンの決定割合を、可変表示結果が「大当り」に決定されたか否かに応じて異ならせることにより、各変動パターンに対応して可変表示結果が「大当り」となる可能性(大当り信頼度)を異ならせることができる。
また、ステップS111の処理では、可変表示結果が「ハズレ」に決定された場合の変動パターンを決定することにより、飾り図柄の可変表示状態を「リーチ」とするか否かが決定されてもよい。あるいは、変動パターンを決定するより前に、リーチ決定用の乱数値とリーチ決定テーブルとを用いて、飾り図柄の可変表示状態を「リーチ」とするか否かを決定するようにしてもよい。すなわち、ステップS111の処理では、可変表示結果やリーチ有無の決定結果に基づいて、変動パターンを複数種類のいずれかに決定することができればよい。
ステップS111の処理に続いて、可変表示開始時に対応した各種の制御コマンドを送信する(ステップS112)。一例として、ステップS112の処理では、可変表示の開始を指定する可変表示開始コマンドとして、可変表示結果を通知する可変表示結果通知コマンドや、飾り図柄の可変表示時間およびリーチ演出の種類等の可変表示態様を示す変動パターンを通知する変動パターン指定コマンドなどを、送信するための設定が行われればよい。また、可変表示の開始により保留数が減少することに対応して、減少後の保留数を通知する保留数通知コマンドを送信するための設定が行われてもよい。
ステップS112の処理により変動パターンが決定されたことに対応して、可変表示時間が設定される。また、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bのいずれかによる特別図柄の可変表示を開始させるための設定が行われてもよい。一例として、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bのいずれかに対して所定の駆動信号を伝送することにより、図柄の可変表示が開始されればよい。いずれの特別図柄表示装置における特別図柄を用いた特図ゲームを実行するかは、第1始動入賞口と第2始動入賞口のいずれを遊技球が通過したことに基づく特図ゲームであるかに応じて、設定されればよい。より具体的には、第1始動入賞口を遊技球が通過したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる特図ゲームが行われる。一方、第2始動入賞口を遊技球が通過したことに基づいて、第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームが行われる。その後、遊技プロセスフラグの値を“2”に更新してから(ステップS113)、遊技制御プロセス処理を終了する。
遊技プロセスフラグの値が“2”であるときには、可変表示時間が経過したか否かを判定する(ステップS121)。そして、可変表示時間が経過していない場合には(ステップS121;No)、特別図柄の可変表示制御を行ってから(ステップS122)、遊技制御プロセス処理を終了する。これに対して、可変表示時間が経過した場合には(ステップS121;Yes)、特別図柄の可変表示を停止させ、確定図柄を導出表示させる制御を行う(ステップS123)。
ステップS123の処理に続いて、可変表示終了時に対応した各種の制御コマンドを送信する(ステップS124)。一例として、ステップS124の処理では、可変表示の終了(停止)を指示する可変表示終了コマンドや、可変表示結果が「大当り」の場合に大当り遊技状態の開始を指定する大当り開始指定コマンド(ファンファーレコマンド)などを、送信するための設定が行われればよい。
ステップS124の処理を実行した後には、可変表示結果が「大当り」であるか否かを判定する(ステップS125)。そして、可変表示結果が「大当り」である場合には(ステップS125;Yes)、遊技プロセスフラグの値を“3”に更新してから(ステップS126)、遊技制御プロセス処理を終了する。これに対して、可変表示結果が「大当り」ではなく「ハズレ」である場合には(ステップS125;No)、遊技プロセスフラグをクリアして、その値を“0”に初期化してから(ステップS127)、遊技制御プロセス処理を終了する。なお、ステップS127の処理が実行されるときには、確変状態や時短状態を終了させるか否かの判定を行い、所定条件の成立に基づき終了させると判定したときに、これらの遊技状態を終了して通常状態に制御するための設定が行われてもよい。
遊技プロセスフラグの値が“3”であるときには、所定の大当り終了条件が成立したか否かに応じて、大当り遊技状態を終了させるか否かを判定する(ステップS131)。大当り終了条件は、例えば大当り遊技状態において実行されるラウンドがすべて終了したことなどであればよい。大当り遊技状態を終了させない場合には(ステップS131;No)、大当り時における遊技動作制御を行ってから(ステップ132)、遊技制御プロセス処理を終了する。これに対して、大当り遊技状態を終了させる場合には(ステップS131;Yes)、大当り終了後の遊技状態を制御するための設定を行う(ステップS133)。
一例として、ステップS133の処理では、確変確定フラグがオンであるか否かを判定し、オンである場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ100におけるRAM102の所定領域に設けられた確変フラグをオン状態にセットする。これにより、可変表示結果を「大当り」とすることに決定したときに、大当り遊技状態の終了後における遊技状態を確変状態とすることが決定された場合には、この決定結果に対応して遊技状態を確変状態に制御することができる。時短状態に制御する場合にも、これに相当する設定が行われればよい。その後、遊技プロセスフラグをクリアして、その値を“0”に初期化してから(ステップS134)、遊技制御プロセス処理を終了する。
次に、演出制御基板12における動作を説明する。演出制御基板12では、電源基板等から電源電圧の供給を受ける。起動用の電力供給が開始された演出制御用マイクロコンピュータ120では、CPU131が演出制御メイン処理を実行する。
この実施の形態において、演出制御メイン処理では、予め定められたメモリ検査条件が成立することにより、メモリ検査処理が実行される場合がある。メモリ検査処理は、演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵(または外付)されたROM132の記憶内容を検査して、検査結果となるチェックサムを表示可能とする処理である。また、演出制御メイン処理は、演出制御用のタイマ割込みが発生したことに基づいて実行される演出制御プロセス処理といった、各種の演出装置による演出を制御するための処理を含んでいる。
図9は、CPU131が実行する演出制御メイン処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す演出制御メイン処理において、CPU131は、まず、メモリ検査条件が成立したか否かを判定する(ステップS51)。ステップS51における処理の一例として、CPU131は、例えば演出制御用マイクロコンピュータ120の外部にて演出制御基板12上に設けられたケーブルコネクタの状態をチェックして、主基板11と演出制御基板12との間で各種の制御信号を伝送するコマンド線としてのケーブルが接続された状態となっているか否かを判定する。ケーブルが接続されていない状態で電力供給が開始された場合には、ステップS51の処理にてメモリ検査条件が成立したと判定すればよい。これに対し、ケーブルが接続された状態で電力供給が開始された場合には、ステップS51の処理にてメモリ検査条件が成立していないと判定すればよい。このように、コマンド線としてのケーブルを抜いた状態でパチンコ遊技機1の電源投入が行われることにより、ROM132の記憶内容を検査するためのメモリ検査条件が成立すればよい。
なお、メモリ検査条件は、コマンド線を抜いた状態で電源投入が行われることにより成立するものに限定されず、例えばプッシュボタン31Bが押下された状態で電源投入が行われることにより成立するものであってもよい。あるいは、例えば開閉可能な遊技機用枠3が開放された状態で電源投入が行われることによりメモリ検査条件が成立してもよい。その他、予め定められた任意の状態が検知されることにより、メモリ検査条件が成立するようにしてもよい。
ステップS51にてメモリ検査条件が成立したと判定された場合には(ステップS51;Yes)、メモリ検査処理(ステップS52)を実行した後、ループ処理を実行して待機する。メモリ検査処理では、ROM132の記憶データを用いたチェックサム演算などが行われ、演算結果などがメイン画像表示装置5MAの画面上に表示されるようにすればよい。メモリ検査処理が実行された場合には、パチンコ遊技機1の電源スイッチを一旦オフとした後、コマンド線としてのケーブルを接続した状態で再び電源スイッチをオンとすることで、演出の制御を実行可能な状態とすればよい。あるいは、コマンド線としてのケーブルを接続してリセットスイッチを押下することで、演出の制御を実行可能な状態としてもよい。あるいは、パチンコ遊技機1の電源スイッチを一旦オフとした後、プッシュボタン31Bが押下されていない状態で電源投入を行うことで、演出の制御を実行可能な状態としてもよい。その他、予め定められた演出制御条件が成立することで、演出の制御を実行可能な状態としてもよい。
ステップS51にてメモリ検査条件が成立していないと判定された場合には(ステップS51;No)、初期化処理(ステップS53)が実行される。ステップS53の初期化処理では、例えばRAM133における記憶領域のクリアや各種初期値の設定、演出制御用のタイマ割込みを発生させるCTC(カウンタ/タイマ回路)のレジスタ設定などが行われる。初期化処理に続いて、初期演出データ転送処理(ステップS54)を実行する。初期演出データ転送処理は、ROM132や画像データメモリ121に格納されて各種の演出装置による演出の実行に用いられるプログラムおよびデータのうちで、予め定められた初期データ(プログラムモジュールを構成するバイナリーコードなどを含む)をRAM133やVRAM142Aなどへと転送するための処理である。
その後、演出制御メイン処理において演出用乱数更新処理(ステップS55)が実行され、演出用乱数となる乱数値を示す数値データを、ソフトウェアにより更新する。演出用乱数は、演出制御に用いる各種の乱数値としてカウントされる。なお、演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵(または外付)された乱数回路を用いて、ハードウェアにより更新される演出用乱数については、演出用乱数更新処理では更新されなくてもよい。あるいは、ハードウェアにより更新される乱数値を示す数値データを用いて、ソフトウェアにより演出用乱数が更新されてもよい。演出用乱数更新処理に続いて、通常演出データ転送処理(ステップS56)を実行する。通常演出データ転送処理は、ROM132や画像データメモリ121に格納されたプログラムおよびデータのうちで、各種の演出装置による演出の実行に用いられる通常の演出データをRAM133やVRAM142Aなどへと転送するための処理である。
通常演出データ転送処理を実行した後には、タイマ割込みフラグがオンであるか否かを判定する(ステップS57)。タイマ割込みフラグは、演出制御用のタイマ割込みが発生するとオン状態にセットされる。タイマ割込みフラグがオンであると判定された場合には(ステップS57;Yes)、タイマ割込みフラグをクリアしてオフ状態とした後(ステップS58)、コマンド解析処理(ステップS59)と、演出制御プロセス処理(ステップS60)とを順次に実行してから、ステップS55の処理に戻る。ステップS59のコマンド解析処理やステップS60の演出制御プロセス処理は、演出制御用のタイマ割込み処理に含まれる。タイマ割込みフラグがオフであると判定された場合には(ステップS57;No)、ステップS58〜S60の処理を実行せずに、ステップS55の処理に戻る。
演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131は、演出制御用のタイマ割込み処理の他に、コマンド受信用の割込み処理を実行可能であり、主基板11から中継基板15を介して伝送される演出制御コマンドを、I/O134の入力ポートから取得できればよい。このとき取得した演出制御コマンドは、例えばRAM133の所定領域などに設けられた受信コマンドバッファに一時記憶させればよい。ステップS59のコマンド解析処理では、演出制御コマンドの受信があったか否かの判定が行われ、受信があった場合には受信コマンドに対応した設定や制御などが行われる。ステップS60の演出制御プロセス処理では、例えばメイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUの画面上における演出用の画像表示、スピーカ8L、8Rからの音声出力、発光体ユニット71〜74のそれぞれに整列配置された複数の発光体における点灯、発光体ユニット71〜74とは異なる遊技効果ランプ9および装飾用LEDなどの各種発光部材における点灯、可動部材51〜54を移動させる動作用モータ60A〜60Cの駆動動作といった、各種の演出装置を用いた動作制御内容について、主基板11から送信された演出制御コマンド等に応じた判定や決定、設定などが行われる。
図10は、メモリ検査処理として、図9のステップS52にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。メモリ検査処理では、ROM132の記憶データを用いたチェックサム演算として、ROM132における記憶データの全部を用いた第1チェックサム演算と、ROM132に設けられた複数の記憶エリアにおける記憶データを用いた第2チェックサム演算とのうち、少なくともいずれか一方の演算が実行されるようにすればよい。この実施の形態では、第1チェックサム演算に続いて第2チェックサム演算が実行され、それぞれの演算結果などがメイン画像表示装置5MAの画面上に表示される。
図11(A)は、ROM132におけるアドレスや記憶内容などの設定例を示している。ROM132には、先頭アドレスとなるアドレスMA00から最終アドレスとなるアドレスMA21までの連続するアドレスが付与されている。ROM132には、記憶内容に応じた複数の記憶エリアが設けられている。図11(A)に示す設定例において、ROM132には、演出制御用のプログラムや各種の管理データが記憶される第1エリアと、音データが記憶される第2エリアと、第1エリアおよび第2エリア以外のリザーブエリアとが設けられている。例えばROM132の全体で8ギガビットの記憶容量を有する場合に、第1エリアは1ギガビットの記憶容量を有するとともに、第2エリアは6ギガビットの記憶容量を有するものであればよい。なお、第1エリアは、1.5ギガビットあるいは2ギガビットの記憶容量を有する場合があってもよい。CPU131が各種の判定や決定、設定を行うために用意された各種テーブルのテーブルデータや、演出制御パターンを構成するパターンデータなどは、管理データとしてROM132の第1エリアに予め格納されていればよい。ROM132の第2エリアには、スピーカ8L、8Rにおける音出力による演出の実行に用いられる音データが予め格納されていればよい。
図10に示すメモリ検査処理において、CPU131は、まず、メモリ検査設定テーブルをセットする(ステップS201)。メモリ検査設定テーブルは、チェックサム演算によるチェックサムの算出開始アドレスや算出終了アドレスを設定するためのテーブルである。メモリ検査設定テーブルを構成するテーブルデータは、例えばROM132の所定領域(例えば第1エリア)などに予め記憶されていればよい。
図11(B)は、メモリ検査設定テーブルの構成例を示している。図11(B)に示す構成例では、表示回数が「0」〜「2」のそれぞれに対応して、チェックサムの算出開始アドレスと算出終了アドレスとが指定される。表示回数は、メイン画像表示装置5MAの画面上にチェックサムを表示した回数であり、初期値として「0」が設定された後、チェックサム演算による演算結果を表示するごとに1加算されるようにすればよい。
図10に示すステップS201の処理に続いて、表示回数を「0」に設定する(ステップS202)。例えばステップS202の処理において、CPU131が内蔵する複数のレジスタのうちで、表示回数をカウントするために用いられる特定のレジスタをクリア(初期化)することで、表示回数のカウント値を「0」に設定できればよい。
その後、表示回数に対応するパラメータの設定が行われる(ステップS203)。例えばステップS203の処理では、クリアデータをチェックサムデータエリアにセットするとともに、チェックサムの算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの算出終了アドレスを、ポインタが示すアドレスとの比較が可能に設定する。これらのパラメータは、CPU131が内蔵する複数のレジスタに設定されてもよいし、RAM133の所定領域に設定されてもよい。
ステップS203の処理により設定されたパラメータを用いて、チェックサムを演算する(ステップS204)。例えばステップS204の処理では、チェックサムデータエリアの内容とポインタが示すROM132のアドレスにおける記憶データとの排他的論理和を演算する。演算結果はチェックサムデータエリアの新たな記憶データとしてストアされるとともに、ポインタの値によって示されるアドレスが算出終了アドレスに達しているか否かを判定する。算出終了アドレスに達していない場合には、ポインタの値が1加算され、排他的論理和を演算する処理に戻る。算出終了アドレスに達した場合には、チェックサムデータエリアの内容となる各ビットの値を反転することなどにより、算出開始アドレスから算出終了アドレスまでの記憶データを用いたチェックサムを得ることができる。
ステップS204の処理を実行した後には、チェックサムの演算結果などをメイン画像表示装置5MAの画面上に表示させる(ステップS205)。続いて、表示回数を1加算した後(ステップS206)、その表示回数が終了判定値に達したか否かを判定する(ステップS207)。終了判定値として、例えば「3」を予め設定しておくことにより、図11(B)に示すようなメモリ検査設定テーブルの設定に対応して、チェックサムの演算結果を3通り表示させることができる。終了判定値に達していない場合には(ステップS207;No)、ステップS203の処理に戻り、終了判定値に達した場合には、メモリ検査処理を終了する。
図12は、メイン画像表示装置5MAの画面上における演算結果の表示例を示している。この表示例では、図11(B)に示すようなメモリ検査設定テーブルの設定に対応するチェックサムの演算結果として、「Checksum#1」〜「Checksum#3」という3通りの演算結果を表示させている。図12に示す「Checksum#1」は、図11(B)に示すメモリ検査設定テーブルで表示回数が「0」の場合に設定される算出開始アドレスMA00と算出終了アドレスMA21とに対応して、ROM132における記憶データの全部を用いて算出されたチェックサムであることを示している。図12に示す「Checksum#2」は、図11(B)に示すメモリ検査設定テーブルで表示回数が「1」の場合に設定される算出開始アドレスMA00と算出終了アドレスMA10−1とに対応して、ROM132において演出制御用のプログラムや各種の管理データが記憶される第1エリアの記憶データを用いて算出されたチェックサムであることを示している。図12に示す「Checksum#3」は、図11(B)に示すメモリ検査設定テーブルで表示回数が「2」の場合に設定される算出開始アドレスMA20と算出終了アドレスMA21とに対応して、ROM132において音データが記憶される第2エリアの記憶データを用いて算出されたチェックサムであることを示している。
チェックサムの演算結果は、ROM132における記憶データの内容に応じて異なるものとなる。例えばROM132がEEPROMあるいはNAND型フラッシュROMなどの電気的に消去や書込あるいは書換などが可能な不揮発性の半導体メモリである場合には、ROM132に格納されている演出制御用のプログラムや各種データのバージョンに応じて、異なるチェックサムの演算結果が得られる。図10に示すようなメモリ検査処理を実行して、メイン画像表示装置5MAの画面上にチェックサムの演算結果を表示させることで、パチンコ遊技機1の製造者あるいは遊技場の管理者などが、ROM132に格納されている演出制御用のプログラムや各種データのバージョンを容易に確認することができる。これにより、ROM132における記憶データのバージョン管理が容易になり、例えば演出制御用のプログラムと音データのバージョンに不整合が生じることを確実に防止できる。なお、チェックサムの演算結果とともに、演出制御用のプログラムや各種データのバージョンを示すバージョン情報を、メイン画像表示装置5MAの画面上に表示させてもよい。バージョン情報は、ROM132の所定領域に予め記憶されていればよい。チェックサムの演算結果とともにバージョン情報を表示させることにより、演出制御用のプログラムや各種データのバージョンをより確認しやすくするとともに、バージョンに対応するチェックサムを読み取ることで、記憶データに誤りがあるか否かを容易に確認することができる。
なお、チェックサムの演算に用いる記憶データやチェックサムの表示回数などは、ROM132などを対象としたメモリ検査の設定に応じて、任意に変更されたものであってもよい。一例として、図11(B)に示すメモリ検査設定テーブルのうちで、表示回数が「0」の場合に設定される算出開始アドレスMA00と算出終了アドレスMA21とに対応したチェックサムの演算を実行しない設定とすることで、より少ないチェックサムについて、演算結果を表示することができるようにしてもよい。あるいは、表示回数が「4」以上に対応する算出開始アドレスや算出終了アドレスの設定を追加することで、より多くのチェックサムについて、演算結果を表示することができるようにしてもよい。
図13は、初期演出データ転送処理として、図9のステップS54にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。初期演出データ転送処理では、ROM132や画像データメモリ121における記憶データのうちで、初期データとなる演出データを、演出制御用マイクロコンピュータ120のRAM133や表示制御部122のVRAM142Aなどへと転送するための設定が行われる。ROM132や画像データメモリ121には、各種の演出装置による演出の実行に用いられる演出データが予め記憶(格納)されている。この演出データには、パチンコ遊技機1に対する電力供給が開始された初期段階で用いられる初期データと、初期段階が終了した後の通常動作段階で用いられる通常データとが、含まれている。この実施の形態において、初期データは、可動部材51〜54および装飾部材57による初期動作の実行に用いられる動作用初期データと、メイン画像表示装置5MAなどの画面上における初期表示に用いられる表示用初期データとを、含んでいる。通常データは、可動部材51〜54による通常動作の実行に用いられる動作用通常データと、メイン画像表示装置5MAなどの画面上における通常表示に用いられる表示用通常データとを、スピーカ8L、8Rでの音声出力による演出に用いられる音声出力用演出データとを、含んでいる。音声出力用演出データは、例えば図11(A)に示すようなROM132のアドレスMA20からアドレスMA21までに記憶されている音データを含んでいればよい。なお、演出データには、演出を実行するための処理を実現するプログラムモジュールを構成するバイナリーコードなどが含まれてもよい。演出制御用マイクロコンピュータ120において、CPU131は、ROM132に格納されているプログラムやデータの読出時間よりも短い読出時間で、RAM133に記憶されたプログラムやデータを読み出すことができる。表示制御部122において、VDP141は、画像データメモリ121に格納されているプログラムやデータの読出時間よりも短い読出時間で、VRAM142Aに記憶されたプログラムやデータを読み出すことができる。
図13に示す初期演出データ転送処理において、CPU131は、まず、動作用初期データの転送を開始させるための設定を行う(ステップS221)。ステップS221の処理では、演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131に内蔵(または外付)された演出制御用のデータ転送回路を用いて、ROM132に格納されている動作用初期データを読み出すとともに、RAM133へと転送するための設定が行われる。動作用初期データの転送開始設定では、例えばROM132の所定領域に予め記憶して用意された動作用初期データ転送設定テーブルが用いられてもよい。動作用初期データ転送設定テーブルは、動作用初期データについて、転送元先頭アドレスと、転送先先頭アドレスと、転送データ量とを示すテーブルデータなどから構成されていればよい。動作用初期データの転送元先頭アドレスは、ROM132における動作用初期データの読出開始アドレスであればよい。動作用初期データの転送先先頭アドレスは、RAM133における動作用初期データの書込開始アドレスであればよい。動作用初期データの転送データ量は、動作用初期データとなる演出データのデータ長(ワード数)であればよい。
ステップS221の処理による動作用初期データの転送開始設定では、動作用初期データ転送設定テーブルの読出結果に応じて、演出制御用のデータ転送回路に対して転送用のパラメータ設定を行えばよい。なお、CPU131が演出制御用のデータ転送回路に対して、動作用初期データ転送設定テーブルを指定するとともに、データ転送の開始を要求してもよい。動作用初期データ転送設定テーブルは、ROM132の記憶アドレス(テーブルの先頭アドレスなど)をセットすることにより指定されてもよいし、演出制御用のデータ転送回路が備えるレジスタに所定値(テーブル番号など)を設定することにより指定されてもよい。演出制御用のデータ転送回路は、DMA(Direct Memory Access)転送によって演出データを転送するための回路であればよい。DMA転送は、読出アドレスのバス出力、読出信号出力、書込アドレスのバス出力、書込信号出力を含む一連の処理を、読出アドレスおよび書込アドレスをインクリメント(1加算)しながら連続的に実行することで、データ転送を実現する転送方式である。なお、ROM132からRAM133へのデータ転送は、DMA転送により実現されるものに限定されず、例えばCPU131が1ワードずつ演出データを読み出して、内蔵(または外付)されたレジスタに一旦保持させた後に、レジスタからRAM133への書込みが行われることにより実現されるものであってもよい。
ステップS221の処理により動作用初期データの転送開始設定が行われた後には、表示用初期データの転送を開始させるための設定を行う(ステップS222)。ステップS222の処理では、表示制御部122のVDP141に内蔵(または外付)された表示制御用のデータ転送回路を用いて、画像データメモリ121に格納されている表示用初期データを読み出すとともに、VRAM142Aへと転送するための設定が行われる。例えばCPU131は、表示制御部122のVDP141に対して、表示用初期データの転送開始要求を作成して伝送させる。表示用初期データの転送開始要求を受けたVDP141は、例えば表示用初期データ転送設定テーブルを用いて、表示用初期データの転送を開始させる。表示用初期データ転送設定テーブルは、表示用初期データについて、転送元先頭アドレスと、転送先先頭アドレスと、転送データ量とを示すテーブルデータなどから構成されていればよい。表示用初期データの転送元先頭アドレスは、画像データメモリ121における表示用初期データの読出開始アドレスであればよい。表示用初期データの転送先先頭アドレスは、VRAM142Aにおける表示用初期データの書込開始アドレスであればよい。表示用初期データの転送データ量は、表示用初期データとなる演出データのデータ長(ワード数)であればよい。ステップS222の処理による表示用初期データの転送開始設定では、表示用初期データ転送設定テーブルの読出結果に応じて、表示制御用のデータ転送回路に対して転送用のパラメータ設定を行えばよい。なお、VDP141が表示制御用のデータ転送回路に対して、表示用初期データ転送設定テーブルを指定するとともに、データ転送の開始を要求してもよい。演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131が表示制御部122のVDP141に内蔵(または外付)されたレジスタに各種パラメータを設定することにより、表示制御用のデータ転送回路に対する転送用のパラメータ設定が完了するようにしてもよい。表示制御用のデータ転送回路は、DMA転送によって演出データを転送するための回路であればよい。なお、画像データメモリ121からVRAM132Aへのデータ転送は、DMA転送により実現されるものに限定されず、例えばVDP141が1ワードずつ演出データを読み出して、内蔵(または外付)されたレジスタに一旦保持させた後に、レジスタからVRAM132Aへの書込みが行われることにより実現されるものであってもよい。
動作用初期データはROM132からRAM133へと転送されるのに対し、表示用初期データは画像データメモリ121からVRAM142Aへと転送される。また、動作用初期データの転送は演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131に内蔵(または外付)された演出制御用のデータ転送回路を用いて実行可能であるのに対し、表示用初期データの転送は表示制御部122のVDP141に内蔵(または外付)された表示制御用のデータ転送回路を用いて実行可能である。したがって、動作用初期データの転送は、表示用初期データの転送と並行して実行することができる。なお、「並行して」とは、複数の処理や動作の実行期間が重複することであり、少なくとも一部の期間が共通していれば、その共通する重複期間では複数の処理や動作が並行して実行されることになる。表示用初期データは、画像データメモリ121からVRAM142Aへと転送されるものに限定されず、ROM132からRAM133へと転送されるデータを含んでもよい。この場合には、先に転送設定が行われた動作用初期データについて転送が完了した後に、表示用初期データについて、ROM132からRAM133へと転送するための設定が行われるようにすればよい。
その後、初期動作中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS223)。初期動作中フラグは、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられていればよい。可動部材51〜54および装飾部材57による初期動作が実行される場合には初期動作中フラグがオンとなり、初期動作の実行が終了すれば初期動作中フラグがクリアされてオフとなる。ステップS223にて初期動作中フラグがオフであると判定された場合には(ステップS223;No)、動作用初期データの転送が完了したか否かを判定する(ステップS224)。ステップS224の処理では、例えばCPU131がステップS221の処理を実行した後に、演出制御用のデータ転送回路から転送完了通知を受けたか否かに応じて、動作用初期データの転送が完了したか否かを判定できればよい。
ステップS224にて動作用初期データの転送が完了したと判定された場合には(ステップS224;Yes)、初期動作時間として予め定められた時間を設定する(ステップS225)。動作用初期データには、初期動作時間を示す設定情報が含まれていればよい。続いて、可動部材51〜54および装飾部材57による初期動作を開始させる制御を行う(ステップS226)。ステップS226の処理では、動作用初期データに含まれる初期動作制御データに基づいて動作用モータ60A〜60Cの駆動制御が開始される。初期動作が開始されることに対応して、初期動作中フラグをセットすることによりオンとしてから(ステップS227)、ステップS228の処理に進む。
そして、初期表示中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS228)。初期表示中フラグは、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられていればよい。メイン画像表示装置5MAなどによる初期表示が実行される場合には初期表示中フラグがオンとなり、初期表示の実行が終了すれば初期表示中フラグがクリアされてオフとなる。ステップS228にて初期表示中フラグがオンであると判定された場合には(ステップS228;Yes)、ステップS223の処理に戻る。これに対し、初期表示中フラグがオフであると判定された場合には(ステップS228;No)、表示用初期データの転送が完了したか否かを判定する(ステップS229)。ステップS229の処理では、例えばCPU131がステップS222の処理を実行した後に、表示制御部122のVDP141から転送完了通知を受けたか否かに応じて、表示用初期データの転送が完了したか否かを判定できればよい。
ステップS229にて表示用初期データの転送が完了していないと判定された場合には(ステップS229;No)、ステップS223の処理に戻る。これに対し、表示用初期データの転送が完了したと判定された場合には(ステップS229;Yes)、メイン画像表示装置5MAなどによる初期表示を開始させるための設定を行う(ステップS230)。ステップS230の処理では、CPU131からVDP141に対して初期表示の開始を指示する表示制御指令を伝送させ、表示用初期データに含まれる初期表示制御データに基づいてメイン画像表示装置5MAなどの表示制御が開始される。例えばVDP141は、メイン画像表示装置5MAに対して初期信号を送信することで、メイン画像表示装置5MAの画面上にて初期表示を実行させる。初期表示が開始されることに対応して、初期表示中フラグをセットすることによりオンとしてから(ステップS231)、ステップS223の処理に戻る。
ステップS223にて初期動作中フラグがオンであると判定された場合には(ステップS223;Yes)、初期動作時間が経過したか否かを判定する(ステップS232)。初期動作時間が経過していないと判定された場合には(ステップS232;No)、初期動作の実行制御が行われる(ステップS233)。これに対し、初期動作時間が経過したと判定された場合には(ステップS232;Yes)、初期表示中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS234)。初期表示中フラグがオフであると判定された場合には(ステップS234;No)、可動部材51〜54を進出状態で停止させる(ステップS235)。ステップS233、S235の処理のいずれかを実行した後には、ステップS228の処理に進む。また、ステップS224にて動作用初期データの転送が完了していないと判定された場合にも(ステップS224;No)、ステップS228の処理に進む。
ステップS234にて初期表示中フラグがオンであると判定された場合には(ステップS234;Yes)、初期動作を終了させる制御を行う(ステップS236)。初期動作の実行が終了することに対応して、初期動作中フラグをクリアすることによりオフとしてから(ステップS237)、初期演出データ転送処理を終了する。
図13に示す初期演出データ転送処理では、ステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始させた後に、ステップS224の処理にて動作用初期データの転送が完了したと判定された場合に、ステップS226の処理を実行することで、可動部材51〜54および装飾部材57による初期動作の実行が開始される。初期動作の実行が開始されたことに伴い、ステップS227の処理により初期動作中フラグがセットされてオンとなった後には、初期動作時間が経過するまでステップS233の処理が実行可能となることで、初期動作の実行制御が行われる。これに対し、ステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させた後に、ステップS229の処理にて表示用初期データの転送が完了したと判定されるまでの期間では、表示制御部122のVDP141に内蔵(または外付)された表示制御用のデータ転送回路により、表示用初期データの転送が行われる。こうして、可動部材51〜54および装飾部材57による初期動作が実行される期間と、表示用初期データの転送が実行される期間とが、重複することがある。これにより、表示用初期データの転送と並行して、初期動作を実行することができる。
図13に示す初期演出データ転送処理では、ステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始させた後に、ステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させる。したがって、初期動作の実行に用いられる動作用初期データを、初期表示の実行に用いられる表示用初期データよりも優先して転送することができる。ステップS226の処理により開始の制御が行われてからステップS233の処理により実行の制御が行われる初期動作は、例えば可動部材51〜54を退避状態から進出状態となるように変化(移動)させ、進出状態で停止させる動作であればよい。その後、ステップS232の処理で初期動作時間が経過したと判定された場合でも、ステップS234の処理で初期表示中フラグがオンであると判定されるまでは、ステップS235の処理を実行して可動部材51〜54を進出状態で停止させる。これにより、動作用初期データを用いた初期動作として、可動部材51〜54を、メイン画像表示領域5MAの表示領域に重ならない退避状態から、メイン画像表示装置5MAの表示領域に重なる進出状態へと変化させ、初期表示が開始されるまで進出状態で停止させることができる。なお、ステップS232の処理で初期動作時間が経過したと判定されるよりも前に、ステップS229の処理で表示用初期データの転送が完了したと判定され、ステップS230の処理により初期表示の実行が開始される場合がある。この場合でも、ステップS232の処理で初期動作時間が経過したと判定されるまでは、可動部材51〜54を進出状態で停止させればよい。すなわち、可動部材51〜54をメイン画像表示装置5MAの表示領域に重なる進出状態に変化させる初期動作は、少なくとも初期表示が開始されるまでの期間にて実行可能なものであればよく、その後に初期表示が開始されても初期動作時間が経過するまでは初期動作を実行するものであってもよい。
図14は、電源投入直後におけるメイン画像表示装置5MAの状態を例示する図である。パチンコ遊技機1に対する電力供給が開始された直後には、メイン画像表示装置5MAにおいて不安定な表示が行われる場合がある。図13に示す初期演出データ転送処理では、動作用初期データを表示用初期データよりも優先して転送し、動作用初期データの転送が完了すればステップS226の処理により初期動作の実行を開始させることで、可動部材51〜54を退避状態から進出状態へと変化させる。
図15(A)は、初期動作における動作例を示している。初期動作により可動部材51〜54が退避状態から進出状態となり、メイン画像表示装置5MAの画面上における初期表示が開始されるまでは進出状態で停止させる。これにより、たとえメイン画像表示装置5MAにて不安定な表示が行われる場合でも、短時間のうちに可動部材51〜54が表示領域に重なることで視認困難あるいは視認不可能とし、適切に初期動作を実行して表示の違和感を抑制することができる。
図13に示すステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させた後、ステップS229の処理にて表示用初期データの転送が完了したと判定されると、ステップS230の処理により初期表示が開始される。これにより、表示用初期データを用いて、メイン画像表示装置5MAなどの画面上において初期表示の実行を開始させることができる。
図15(B)は、初期表示における表示例を示している。図15(B)に示す表示例では、「初期設定中」のメッセージを報知する画像(文字画像)を、メイン画像表示装置5MAの画面上に表示させている。表示用初期データは、表示用通常データよりも十分に少ないデータ量となるように構成され、パチンコ遊技機1における電力供給が開始されたことに応じて、表示用通常データよりも優先して転送される。これにより、電力供給が開始された直後にメイン画像表示装置5MAの表示が不安定となる期間を短縮し、不安定な表示を抑制することができる。
図13に示す初期演出データ転送処理では、ステップS221の処理に続いてステップS222の処理を実行することで、動作用初期データの転送と並行して、表示用初期データの転送を実行可能としている。これにより、動作用初期データや表示用初期データを効率よく転送して、電力供給が開始されてから短時間のうちに初期動作や初期表示を開始させることができる。なお、動作用初期データの転送が完了してから、表示用初期データの転送を実行するようにしてもよい。これにより、動作用初期データを確実に転送して初期動作を開始させてから、表示用初期データを転送可能とし、表示用初期データの転送と並行して初期動作を実行させることができる。あるいは、ステップS222の処理をステップS221の処理よりも先に実行することで、表示用初期データが動作用初期データよりも優先して転送されるようにしてもよい。これにより、電力供給が開始されてから初期表示が開始されるまでの期間を短縮して、不安定な表示を抑制することができる。
図16および図17は、通常演出データ転送処理として、図9のステップS56にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。通常演出データ転送処理において、CPU131は、まず、動作用転送完了フラグがオンであるか否かを判定する(図16のステップS251)。動作用転送完了フラグは、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられていればよい。動作用通常データの転送が完了していない場合には動作用転送完了フラグがオフであり、動作用通常データの転送が完了すれば動作用転送完了フラグがセットされてオンとなる。ステップS251にて動作用転送完了フラグがオフであると判定された場合には(ステップS251;No)、動作用転送中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS252)。動作用転送中フラグは、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられていればよい。動作用通常データの転送中である場合には動作用転送中フラグがオンとなり、動作用通常データの転送中以外である場合には動作用転送中フラグがオフとなる。
ステップS252にて動作用転送中フラグがオフであると判定された場合には(ステップS252;No)、動作用通常データの転送を開始させるための設定を行う(ステップS253)。ステップS253の処理では、動作用初期データを転送する場合と同様に、演出制御用のデータ転送回路を用いて、ROM132に格納されている動作用通常データを読み出すとともに、RAM133へと転送するための設定が行われる。動作用通常データの転送では、例えばROM132の所定領域に予め記憶して用意された動作用通常データ転送設定テーブルが用いられてもよい。動作用通常データ転送設定テーブルは、動作用通常データについて、転送元先頭アドレスと、転送先先頭アドレスと、転送データ量とを示すテーブルデータなどから構成されていればよい。動作用通常データの転送が開始されることに対応して、動作用転送中フラグをセットすることによりオンとする(ステップS254)。
ステップS252にて動作用転送中フラグがオンであると判定された場合には(ステップS252;Yes)、例えば演出制御用のデータ転送回路から転送完了通知を受けたか否かに応じて、動作用通常データの転送が完了したか否かを判定する(ステップS255)。動作用通常データの転送が完了したと判定された場合には(ステップS255;Yes)、動作用転送中フラグをクリアすることによりオフとして(ステップS256)、動作用転送完了フラグをセットすることによりオンとする(ステップS257)。
ステップS251にて動作用転送完了フラグがオンであると判定された場合や(ステップS251;Yes)、ステップS255にて動作用通常データの転送が完了していないと判定された場合(ステップS255;No)、あるいはステップS254、S257の処理のいずれかを実行した後には、表示用転送完了フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS258)。表示用転送完了フラグは、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられていればよい。表示用通常データの転送が完了していない場合には表示用転送完了フラグがオフであり、表示用通常データの転送が完了すれば表示用転送完了フラグがセットされてオンとなる。ステップS258にて表示用転送完了フラグがオフであると判定された場合には(ステップS258;No)、表示用転送中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS259)。表示用転送中フラグは、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられていればよい。表示用通常データの転送中である場合には表示用転送中フラグがオンとなり、表示用通常データの転送中以外である場合には表示用転送中フラグがオフとなる。
ステップS259にて表示用転送中フラグがオフであると判定された場合には(ステップS259;No)、表示用通常データの転送を開始させるための設定を行う(ステップS260)。ステップS260の処理では、表示用初期データを転送する場合と同様に、表示制御用のデータ転送回路を用いて、画像データメモリ121に格納されている表示用通常データを読み出すとともに、VRAM142Aへと転送するための設定が行われる。表示用通常データの転送では、例えばCPU131あるいはVDP141により表示用通常データ転送設定テーブルが用いられてもよい。表示用通常データ転送設定テーブルは、表示用通常データについて、転送元先頭アドレスと、転送先先頭アドレスと、転送データ量とを示すテーブルデータなどから構成されていればよい。表示用通常データの転送が開始されることに対応して、表示用転送中フラグをセットすることによりオンとする(ステップS261)。
ステップS259にて表示用転送中フラグがオンであると判定された場合には(ステップS259;Yes)、例えば表示制御用のデータ転送回路から転送完了通知を受けたか否かに応じて、表示用通常データの転送が完了したか否かを判定する(ステップS262)。表示用通常データの転送が完了したと判定された場合には(ステップS262;Yes)、表示用転送中フラグをクリアすることによりオフとして(ステップS263)、表示用転送完了フラグをセットすることによりオンとする(ステップS264)。続いて、初期表示中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS265)。初期表示中フラグがオンであると判定された場合には(ステップS265;Yes)、メイン画像表示装置5MAなどによる初期表示を終了させるための設定を行う(ステップS266)。ステップS266の処理では、CPU131からVDP141に対して初期表示の終了を指示する表示制御指令を伝送させ、例えばデモ表示制御データに基づいてメイン画像表示装置5MAなどにデモンストレーション画面(デモ画面)を表示させることができればよい。デモンストレーション画面に限定されず、初期表示とは異なる任意の演出画像を表示可能とすればよい。初期表示が終了することに対応して、初期表示中フラグをクリアすることによりオフとする(ステップS267)。
ステップS258にて表示用転送完了フラグがオンであると判定された場合や(ステップS258;Yes)、ステップS262にて表示用通常データの転送が完了していないと判定された場合(ステップS262;No)、ステップS265にて初期表示中フラグがオフであると判定された場合(ステップS265;No)、あるいはステップS261、S267の処理のいずれかを実行した後には、音声出力用転送完了フラグがオンであるか否かを判定する(図17のS268)。音声出力用転送完了フラグは、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられていればよい。音声出力用演出データの転送が完了していない場合には音声出力用転送完了フラグがオフであり、音声出力用演出データの転送が完了すれば音声出力用転送完了フラグがセットされてオンとなる。ステップS268にて音声出力用転送完了フラグがオンであると判定された場合には(ステップS268;Yes)、通常演出データ転送処理を終了する。これに対し、音声出力用転送完了フラグがオフであると判定された場合には(ステップS268;No)、音声出力用転送中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS269)。音声出力用転送中フラグは、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられていればよい。音声出力用演出データの転送中である場合には音声出力用転送中フラグがオンとなり、音声出力用演出データの転送中以外である場合には音声出力用転送中フラグがオフとなる。
ステップS269にて音声出力用転送中フラグがオフであると判定された場合には(ステップS269;No)、音声出力用演出データの転送を開始させるための設定を行う(ステップS270)。ステップS270の処理では、例えば演出制御用のデータ転送回路を用いて、ROM132に格納されている音声出力用演出データを読み出すとともに、RAM133あるいは音声制御基板13に搭載された音声RAMへと転送するための設定が行われる。音声出力用演出データの転送では、例えばROM132の所定領域あるいは音声制御基板12の音声ROMに予め記憶して用意された音声出力用演出データ転送設定テーブルが用いられてもよい。音声出力用演出データ転送設定テーブルは、音声出力用演出データについて、転送元先頭アドレスと、転送先先頭アドレスと、転送データ量とを示すテーブルデータなどから構成されていればよい。音声出力用演出データの転送が開始されることに対応して、音声出力用転送中フラグをセットすることによりオンとしてから(ステップS271)、通常演出データ転送処理を終了する。
ステップS269にて音声出力用転送中フラグがオンであると判定された場合には(ステップS269;Yes)、例えば演出制御用のデータ転送回路から転送完了通知を受けたか否かに応じて、音声出力用演出データの転送が完了したか否かを判定する(ステップS272)。音声出力用演出データの転送が完了していないと判定された場合には(ステップS272;No)、通常演出データ転送処理を終了する。これに対し、音声出力用演出データの転送が完了したと判定された場合には(ステップS272;Yes)、音声出力用転送中フラグをクリアすることによりオフとし(ステップS273)、音声出力用転送完了フラグをセットすることによりオンとしてから(ステップS274)、通常演出データ転送処理を終了する。
図16および図17に示す通常演出データ転送処理では、ステップS253の処理により動作用通常データの転送を開始させた後に、ステップS255の処理にて動作用通常データの転送が完了したと判定されるまで、動作用転送中フラグがオンとなる。また、ステップS260の処理により表示用通常データの転送を開始させた後に、ステップS262の処理にて表示用通常データの転送が完了したと判定されるまで、表示用転送中フラグがオンとなる。さらに、ステップS270の処理により音声出力用演出データの転送を開始させた後に、ステップS272の処理にて音声出力用演出データの転送が完了したと判定されるまで、音声出力用転送中フラグがオンとなる。こうして、ROM132や画像データメモリ121における記憶データのうちで、動作用通常データ、表示用通常データ、音声出力用演出データといった、通常データとなる演出データを、演出制御用マイクロコンピュータ120のRAM133や表示制御部122のVRAM142A、あるいは音声制御基板13に搭載された音声RAMなどへと、転送する。
図9に示す演出制御メイン処理では、ステップS54にて初期演出データ転送処理を実行して、図13に示すステップS224の処理により動作用初期データの転送が完了したと判定されるとともに、ステップS229の処理により表示用初期データの転送が完了したと判定されてから、図9に示すステップS56にて通常演出データ転送処理が実行可能となる。これにより、ROM132や画像データメモリ121に格納された演出データのうちで、初期データを通常データよりも優先して転送することができる。例えば、メイン画像表示装置5MAなどに初期信号を送信して初期表示を実行するために用いられる表示用初期データは、表示用初期データとは異なる表示用通常データよりも優先して、画像データメモリ121からVRAM142Aへと転送される。可動部材51〜54および装飾部材57による初期動作の実行に用いられる動作用初期データは、動作用初期データとは異なる動作用通常データよりも優先して、ROM132からRAM133へと転送される。表示用初期データを表示用通常データよりも優先して転送させることにより、効率よく演出データを転送して、円滑な演出制御を行うことができる。動作用初期データを動作用通常データよりも優先して転送させることにより、効率よく演出データを転送して、円滑な演出制御を行うことができる。
図13に示す初期演出データ転送処理に基づいて、表示用初期データの転送が行われ、表示用初期データの転送が完了してから、図16および図17に示す通常演出データ転送処理に基づいて、動作用通常データ、表示用通常データ、音声出力用演出データといった、通常データとなる演出データの転送が行われる。すなわち、メイン画像表示装置5MAなどに初期信号を送信して初期表示を実行するために用いられる表示用初期データは、初期表示とは異なる通常演出の実行に用いられる通常データとなる演出データよりも優先して、画像データメモリ121からVRAM142Aへと転送される。図13に示すステップS230の処理により初期表示が開始された後には、ステップS234の処理にて初期表示中フラグがオンであると判定されることで初期演出データ転送処理が終了して、通常演出データ転送処理が実行可能となる。図16に示す通常演出データ転送処理では、ステップS262の処理にて表示用通常データの転送が完了したと判定されたときに、ステップS265の処理で初期表示中フラグがオンであると判定されることにより、ステップS266の処理に基づいて初期表示を終了させる。こうして、メイン画像表示装置5MAの画面上などにて初期表示が実行される期間と、通常データの転送が実行される期間とが、重複することがある。つまり、通常データとなる演出データの転送と並行して、初期表示を実行することができる。
図18は、演出制御プロセス処理の一例を示すフローチャートである。図18に示す演出制御プロセス処理において、演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131は、RAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに記憶された演出プロセスフラグの値を判定し、演出制御用のプログラムに予め記述された複数の処理から、判定値に応じた処理を選択して実行する。演出プロセスフラグの判定値に応じて実行される処理には、ステップS170〜S176の処理が含まれている。
ステップS170の可変表示開始待ち処理は、演出プロセスフラグの値が“0”のときに実行される処理である。可変表示開始待ち処理は、主基板11から伝送される第1変動開始コマンドあるいは第2変動開始コマンドなどを受信したか否かに基づき、メイン画像表示装置5MAの画面上における飾り図柄の可変表示を開始するか否かを判定する処理などを含んでいる。第1変動開始コマンドは、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図を用いた特図ゲームが開始されることを通知する演出制御コマンドである。第2変動開始コマンドは、第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図を用いた特図ゲームが開始されることを通知する演出制御コマンドである。可変表示開始待ち処理において、第1変動開始コマンドまたは第2変動開始コマンドのいずれかを受信したと判定された場合には、演出プロセスフラグの値が“1”に更新される。
ステップS171の可変表示開始設定処理は、演出プロセスフラグの値が“1”のときに実行される処理である。可変表示開始設定処理は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームにおいて特別図柄の可変表示が開始されることに対応して、メイン画像表示装置5MAの画面上における飾り図柄の可変表示や、その他の各種演出動作を行うために、特別図柄の変動パターンや表示結果の種類などに応じた確定飾り図柄や各種の演出制御パターンを決定する処理などを含んでいる。可変表示開始設定処理が実行された場合には、演出プロセスフラグの値が“2”に更新される。
ステップS172の可変表示中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“2”のときに実行される処理である。可変表示中演出処理において、CPU131は、RAM133の所定領域(演出制御タイマ設定部など)に設けられた演出制御プロセスタイマにおけるタイマ値に対応して、演出制御パターンから各種の制御データを読み出し、飾り図柄の可変表示中における各種の演出制御を行うための処理が含まれている。また、可変表示中演出処理には、主基板11から伝送される図柄確定コマンドを受信したことなどに対応して、飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄としての確定飾り図柄を完全停止表示(導出表示)させる処理が含まれている。なお、所定の演出制御パターンから終了コードが読み出されたことに対応して、確定飾り図柄を完全停止表示(導出表示)させるようにしてもよい。演出制御パターンから読み出された終了コードに基づいて表示制御を行うことにより、主基板11からの演出制御コマンドによらなくても、演出制御基板12の側で自律的に確定飾り図柄を導出表示して可変表示結果を確定させることができる。可変表示中演出処理において、飾り図柄の可変表示結果を導出表示する制御などを行った後には、演出プロセスフラグの値が“3”に更新される。
ステップS173の可変表示停止処理は、演出プロセスフラグの値が“3”のときに実行される処理である。可変表示停止処理は、可変表示結果通知コマンドにより通知された可変表示結果や、主基板11から伝送された大当り開始指定コマンドを受信したか否かの判定結果などに基づいて、大当り遊技状態が開始されるか否かを判定する処理を含んでいる。大当り開始指定コマンドを受信したことにより、可変表示結果が「大当り」に対応して大当り遊技状態が開始されると判定した場合には、演出プロセスフラグの値が“4”に更新される。これに対し、大当り開始指定コマンドを受信せずに待機時間が経過したことにより、可変表示結果が「ハズレ」に対応して大当り遊技状態が開始されないと判定した場合には、演出プロセスフラグがクリアされて、その値が“0”に初期化される。
ステップS174の大当り表示処理は、演出プロセスフラグの値が“4”のときに実行される処理である。大当り表示処理は、主基板11から伝送された大当り開始指定コマンドを受信したことなどに基づいて、大当り遊技状態の開始を報知する大当り報知演出(ファンファーレ演出)を実行するための処理を含んでいる。そして、大当り報知演出の実行が終了するときには、演出プロセスフラグの値が“5”に更新される。
ステップS175の大当り中演出処理は、演出プロセスフラグの値が“5”のときに実行される処理である。大当り中演出処理において、CPU131は、例えば大当り遊技状態であるときに実行される大当り中演出における演出内容に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出制御を実行する。大当り中演出処理における演出制御には、演出画像をメイン画像表示装置5MAやサブ画像表示装置5SUの画面上に表示させたり、発光体ユニット71〜74による表示演出を実行させたりするための制御、音声制御基板13に対する指令(効果音信号)の出力によりスピーカ8L、8Rから音声や効果音を出力させるための制御、ランプ制御基板14に対する指令(電飾信号)の出力により遊技効果ランプ9や装飾用LEDを点灯/消灯/点滅させる制御、その他の演出制御のうち、一部または全部が含まれていればよい。大当り中演出処理では、例えば主基板11から伝送される大当り終了指定コマンドを受信したことなどに対応して、演出プロセスフラグの値が“6”に更新される。
ステップS176の大当り終了演出処理は、演出プロセスフラグの値が“6”のときに実行される処理である。大当り終了演出処理において、CPU131は、例えば大当り遊技状態が終了するときに実行される大当り終了演出(エンディング演出)における演出内容に対応した演出制御パターン等を設定し、その設定内容に基づく演出制御を実行する。大当り終了演出処理における演出制御により、演出画像の表示や果音の出力、各種発光部材の点灯や消灯あるいは点滅、その他の演出動作を制御して、大当り遊技状態の終了に対応した大当り終了演出を実行可能にすればよい。その後、演出プロセスフラグをクリアして、その値を“0”に初期化する。
図19(A)は、可変表示開始設定処理として、図18のステップS171にて実行される処理の一例を示すフローチャートである。図19(A)に示す可変表示開始設定処理において、CPU131は、まず、飾り図柄の可変表示結果としての確定飾り図柄となる最終停止図柄などを決定する(ステップS301)。ステップS301の処理として、CPU131は、主基板11から伝送された変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンや可変表示結果通知コマンドで通知された可変表示結果の組合せに対応する可変表示内容に基づいて、最終停止図柄を決定する。一例として、変動パターンや可変表示結果の組合せに応じた可変表示内容には、「非リーチ(ハズレ)」、「リーチ(ハズレ)」、「大当り」があればよい。なお、可変表示内容が「大当り」の場合には、可変表示内容が「非確変(大当り)」の場合と、可変表示内容が「確変(大当り)」の場合とが含まれていてもよい。
可変表示内容が「非リーチ(ハズレ)」の場合には、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態にはならずに、非リーチ組合せの確定飾り図柄が停止表示されて、可変表示結果が「ハズレ」となる。可変表示内容が「リーチ(ハズレ)」の場合には、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となった後に、リーチハズレ組合せの確定飾り図柄が停止表示されて、可変表示結果が「ハズレ」となる。可変表示内容が「大当り」のうちで「非確変(大当り)」の場合には、可変表示結果が「大当り」となり、大当り遊技状態の終了後における遊技状態が時短状態となればよい。可変表示内容が「大当り」のうちで「確変(大当り)」の場合には、可変表示結果が「大当り」となり、大当り遊技状態の終了後における遊技状態が確変状態となればよい。
例えば可変表示結果が「ハズレ」となる場合のうち、図8に示す変動パターンPA1−1〜PA1−3、PB1−1、PB1−2のいずれかである場合には可変表示内容が「非リーチ(ハズレ)」となり、図8に示す変動パターンPA2−1〜PA2−3のいずれかである場合には可変表示内容が「リーチ(ハズレ)」となる。可変表示結果が「大当り」である場合には、可変表示内容は「大当り」となる。
演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵(または外付)された乱数回路あるいはRAM133の所定領域(演出制御カウンタ設定部など)に設けられた演出用ランダムカウンタなどにより更新される演出用乱数を示す数値データには、左確定図柄決定用の乱数値と、右確定図柄決定用の乱数値と、中確定図柄決定用の乱数値と、左右確定図柄決定用の乱数値と、大当り確定図柄決定用の乱数値とを示す数値データが含まれていればよい。左確定図柄決定用の乱数値または右確定図柄決定用の乱数値と、左右確定図柄決定用の乱数値と、大当り確定図柄決定用の乱数値とを示す数値データのうち、一部または全部の乱数値を示す数値データは兼用されてもよいし、別個の数値データとされてもよい。ROM132には、左確定図柄決定テーブルと、右確定図柄決定テーブルと、中確定図柄決定テーブルと、左右確定図柄決定テーブルと、大当り確定図柄決定テーブルとを構成するテーブルデータが予め記憶されていればよい。
図19(B)は、ステップS301の処理における最終停止図柄の決定例を示している。可変表示内容が「非リーチ(ハズレ)」である場合には、「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rにて異なる(不一致の)飾り図柄が最終停止図柄に決定される。最終停止図柄となる確定飾り図柄のうち、「左」の飾り図柄表示エリア5Lに停止表示される左確定飾り図柄は、左確定図柄決定用の乱数値を示す数値データと、左確定図柄決定テーブルとを用いて決定される。最終停止図柄となる確定飾り図柄のうち、「右」の飾り図柄表示エリア5Rに停止表示される右確定飾り図柄は、右確定図柄決定用の乱数値を示す数値データと、右確定図柄決定テーブルとを用いて決定される。右確定図柄決定テーブルでは、右確定飾り図柄の図柄番号が左確定飾り図柄の図柄番号とは異なるものとなるように、決定値などが設定されていればよい。最終停止図柄となる確定飾り図柄のうち、「中」の飾り図柄表示エリア5Cに停止表示される中確定飾り図柄は、中確定図柄決定用の乱数値を示す数値データと、中確定図柄決定テーブルとを用いて決定される。
可変表示内容が「リーチ(ハズレ)」である場合には、「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rにて同一の(一致する)飾り図柄が最終停止図柄に決定される。左確定飾り図柄と右確定飾り図柄は、左右確定図柄決定用の乱数値を示す数値データと、左右確定図柄決定テーブルとを用いて決定される。中確定飾り図柄は、中確定図柄決定用の乱数値を示す数値データと、中確定図柄決定テーブルとを用いて決定される。例えば中確定飾り図柄の図柄番号が左確定飾り図柄や右確定飾り図柄の図柄番号と同一になる場合のように、確定飾り図柄が大当り組合せとなってしまう場合には、任意の値(例えば「1」)を中確定飾り図柄の図柄番号に加算または減算することなどにより、確定飾り図柄が大当り組合せとはならずにリーチ組合せとなるようにすればよい。あるいは、中確定飾り図柄を決定するときには、左確定飾り図柄及び右確定飾り図柄の図柄番号との差分(図柄差)を決定し、その図柄差に対応する中確定飾り図柄を設定してもよい。
可変表示内容が「大当り」である場合には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて同一の(一致する)飾り図柄が最終停止図柄に決定される。大当り組合せとなる最終停止図柄は、大当り確定図柄決定用の乱数値を示す数値データと、大当り確定図柄決定テーブルとを用いて決定される。また、大当り種別が「非確変」と「確変」のいずれであるかや、大当り中昇格演出が実行されるか否かなどに応じて、通常図柄(例えば偶数を示す飾り図柄)と確変図柄(例えば奇数を示す飾り図柄)のいずれを確定飾り図柄とするかが決定されればよい。大当り中昇格演出は、大当りを想起させるが確変状態を想起させないような飾り図柄の組合せ(非確変大当り組合せ)が一旦は停止表示されてから、大当り遊技状態中や大当り遊技状態の終了時に確変状態となるか否かを報知する演出である。
具体的な一例として、大当り種別が「非確変」である場合には、複数種類の通常図柄のうちから、確定飾り図柄となるものを決定する。一方、大当り種別が「確変」で大当り中昇格演出を実行しないと決定された場合には、複数種類の確変図柄のうちから、確定飾り図柄となるものを決定する。他方、大当り種別が「確変」であっても大当り中昇格演出を実行すると決定された場合には、複数種類の通常図柄のうちから、確定飾り図柄となるものを決定する。これにより、確定飾り図柄として確変図柄が揃って導出表示されたにもかかわらず、大当り中昇格演出が実行されてしまうことを防止して、遊技者に不信感を与えないようにすればよい。
ステップS301の処理における最終停止図柄などの決定に続いて、表示用転送完了フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS302)。表示用転送完了フラグがオンである場合には(ステップS302;Yes)、飾り図柄の可変表示中に実行される予告演出の決定を行う予告演出決定処理(ステップS303)が実行される。これに対し、表示用転送完了フラグがオフである場合には(ステップS302;No)、簡易表示による演出を実行するための設定が行われる(ステップS304)。簡易表示による演出では、表示用初期データに含まれる画像データを用いて、メイン画像表示装置5MAの画面上に簡易な画像を表示させることができればよい。ステップS304の処理では、例えばRAM133の所定領域(例えば演出制御フラグ設定部)などに設けられた簡易演出フラグをオン状態にセットすればよい。
ステップS304の処理に続いて、初期表示中フラグがオンであるか否かを判定する(ステップS305)。初期表示中フラグがオンであると判定された場合には(ステップS305;Yes)、初期表示の終了設定を行い(ステップS306)、初期表示中フラグをクリアしてオフ状態にする(ステップS307)。ステップS306の処理では、例えば表示制御部122のVDP141に対し表示制御指令を伝送することで、初期表示の終了を指示すればよい。
その後、演出制御パターンを予め用意された複数パターンのいずれかに決定する(ステップS308)。ステップS308の処理では、例えば変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンなどに対応して、複数用意された演出制御パターン(特図変動時演出制御パターン)のいずれかを選択し、使用パターンにするものと決定してもよい。また、ステップS308の処理では、例えばステップS303の予告演出決定処理により決定された予告演出に対応して、複数用意された演出制御パターン(予告演出制御パターン)のいずれかを選択し、使用パターンにするものと決定してもよい。
ステップS308の処理では、ステップS304の処理により簡易表示の設定が行われた場合に、簡易表示の設定が行われなかった場合とは異なる演出制御パターンに決定してもよい。ステップS302の処理にて表示用転送完了フラグがオフであると判定された場合には、画像データメモリ121からVRAM142Aへの表示用通常データの転送が、未だ完了していない。そのため、例えばキャラクタ画像や背景画像といった、通常表示に用いられる演出画像による表示演出を実行することができない。一方、表示用初期データの転送は完了している。表示用初期データとして、初期表示を実行するための演出データとともに、例えば飾り図柄となる演出画像の画像データといった、最低限の可変表示を実行するために必要な演出データを含めておくことで、表示用通常データの転送が完了するより前であっても、可変表示を実行可能にしてもよい。簡易表示の設定が行われていない場合には第1演出制御パターンに決定するのに対し、簡易表示の設定が行われた場合には第2演出制御パターンに決定すればよい。第1演出制御パターンと第2演出制御パターンは、それぞれが複数の変動パターンに対応して用意されていればよい。第2演出制御パターンでは、飾り図柄の可変表示を制御する表示制御データが含まれるのに対し、キャラクタ画像や背景画像の表示を制御する表示制御データが含まれていない点で、第1演出制御パターンの内容とは異なる。その他、スピーカ8L、8Rによる音声出力や可動部材51〜54および装飾部材57の動作といった、各種の演出装置による演出についても、第2演出制御パターンに決定された場合には、通常データを用いた演出が実行されないように設定されてもよい。
表示用転送完了フラグがセットされていないオフの場合には、第2演出制御パターンが選択されるので、キャラクタ画像や背景画像が含まれない飾り図柄の可変表示が実行される。表示用転送完了フラグがセットされているオンの場合には、第1演出制御パターンが選択されるので、飾り図柄の可変表示が実行されるとともに、キャラクタ画像や背景画像の表示を含めた各種の表示演出が実行される。
ステップS308の処理により演出制御パターンを決定した後には、RAM133の所定領域(例えば演出制御タイマ設定部)などに設けられた演出制御プロセスタイマの初期値を設定する(ステップS309)。ステップS309の処理により、演出制御プロセスタイマには、例えば変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンに対応したタイマ初期値が設定されればよい。演出制御プロセスタイマにおけるタイマ初期値を設定することで、飾り図柄の可変表示時間が設定(初期設定)されればよい。なお、演出制御プロセスタイマのタイマ値は時間経過に伴い「0」からカウントアップするように更新し、飾り図柄の可変表示時間に対応した可変表示終了判定値が設定されるようにしてもよい。続いて、メイン画像表示装置5MAの画面上にて飾り図柄などの変動を開始させるための設定を行う(ステップS310)。例えばステップS308の処理にて決定された演出制御パターン(特図変動時演出制御パターン)に含まれる表示制御データが指定する表示制御指令を表示制御部122のVDP141に対し伝送することなどにより、メイン画像表示装置5MAの画面上に設けられた「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄の変動を開始させればよい。
ステップS310の処理に基づいて飾り図柄の可変表示が開始されるときには、始動入賞記憶表示エリア5Hにおける保留記憶表示を更新するための設定を行う(ステップS311)。例えば、始動入賞記憶表示エリア5Hにおいて保留番号が「1」に対応した表示部位を消去するとともに、全体の表示部位を1つずつ左方向に移動させればよい。その後、演出プロセスフラグの値を可変表示中演出処理に対応した値である“2”に更新してから(ステップS312)、可変表示開始設定処理を終了する。
この実施の形態において、例えば演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131や表示制御部122のVDP141は、例えばメイン画像表示装置5MAといった、第1演出装置による演出と、例えば可動部材51〜54などのように、第1演出装置とは異なる第2演出装置による演出とを制御する。パチンコ遊技機1に対する電力供給が開始された場合には、例えば図9に示すステップS54の初期演出データ転送処理として、図13に示すような処理が実行されることで、各種の演出装置による演出の実行に用いられる演出データのうちで、初期データとなる演出データが、演出制御用マイクロコンピュータ120のROM132からRAM133へと転送されたり、画像データメモリ121から表示制御部122のVRAM142Aへと転送されたりする。図13に示す初期演出データ転送処理では、ステップS222の処理により表示用初期データの転送が開始され、この転送と並行してステップS226、S233の処理が実行されることで、可動部材51〜54などによる初期動作が実行される。表示用初期データの転送と並行して初期動作を実行することで、効率よく演出データの転送を行い、遅延の発生を抑制できる。
あるいは、図13に示すステップS222の処理により表示用初期データの転送が開始され、その転送が完了してから、図16に示すステップS253の処理により動作用通常データの転送を開始させる。また、図13に示すステップS222の処理により表示用初期データの転送が開始され、その転送が完了した後に、図16に示すステップS260の処理により表示用通常データの転送を開始させてから、図17に示すステップS270の処理により音声出力用演出データの転送を開始させる。こうして、例えばメイン画像表示装置5MAといった、表示装置による演出の実行に用いられる第1演出データを、例えば可動部材51〜54の動作やスピーカ8L、8Rによる音声出力などのように、表示装置による演出とは異なる演出の実行に用いられる第2演出データよりも優先して転送する。そして、図13に示すステップS230の処理により初期表示を実行する場合には、第2演出データの転送と並行して、既に転送された第1演出データを用いてメイン画像表示装置5MAなどに初期信号を供給する。これにより、効率よく演出データの転送を行い、例えば図15(B)に示すようなメイン画像表示装置5MAによる初期表示を、電力供給が開始されてから短時間のうちに開始可能とすることで、メイン画像表示装置5MAなどにおける不安定な表示を抑制できる。
図13に示す初期演出データ転送処理では、ステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始させてから、ステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させる。図16に示す通常演出データ転送処理では、ステップS253の処理により動作用通常データの転送を開始させてから、ステップS260の処理により表示用通常データの転送を開始させる。こうして、例えば可動部材51〜54などのように、第2演出装置による演出の実行に用いられる演出データを、例えばメイン画像表示装置5MAといった、第1演出装置による演出の実行に用いられる演出データよりも優先して転送する。これにより、効率よく演出データの転送を行い、例えば可動部材51〜54などによる初期動作を、電力供給が開始されてから短時間のうちに開始可能とすることで、遅延の発生を抑制できる。
図13に示すステップS222の処理により表示用初期データの転送が開始され、その転送が完了してから、図16に示すステップS260の処理により表示用通常データの転送を開始させる。こうして、例えばメイン画像表示装置5MAといった、第1演出装置による演出の実行に用いられる演出データのうちで、初期データとなる演出データを、通常データとなる演出データよりも優先して転送する。これにより、効率よく演出データの転送を行い、例えば図15(B)に示すようなメイン画像表示装置5MAによる初期表示を、電力供給が開始されてから短時間のうちに開始可能とすることで、遅延の発生を抑制できる。また、メイン画像表示装置5MAなどにおける不安定な表示を抑制できる。
図13に示すステップS221の処理により動作用初期データの転送が開始され、その転送が完了してから、図16に示すステップS253の処理により動作用通常データの転送を開始させる。こうして、例えば可動部材51〜54などのように、第2演出装置による演出の実行に用いられる演出データのうちで、初期データとなる演出データを、通常データとなる演出データよりも優先して転送する。これにより、効率よく演出データの転送を行い、例えば可動部材51〜54などによる初期動作を、電力供給が開始されてから短時間のうちに開始可能とすることで、遅延の発生を抑制できる。
図13に示すステップS226、S233の処理が実行されることで、可動部材51〜54などによる初期動作が実行される。このときには、例えば図15(A)に示すように、可動部材51〜54を、メイン画像表示装置5MAの表示領域と重ならない第2状態としての退避状態から、メイン画像表示装置5MAの表示領域と重なる第1状態としての進出状態へと変化させる。これにより、例えば不安定な表示が行われるメイン画像表示装置5MAの表示領域を視認困難または視認不可能にすることで、適切に初期動作を実行しつつ、遅延の発生を抑制できる。
上記実施の形態では、図13に示すステップS226の処理により開始される初期動作として、可動部材51〜54を退避状態から進出状態へと変化させ、少なくとも初期動作時間が経過するまでは、進出状態で停止させる動作が実行される。これに対し、初期動作として、複数の動作パターンを混合してなる初期動作パターンで、可動部材51〜54などの演出装置を動作させてもよい。パチンコ遊技機1では、予告演出やリーチ演出において、複数の動作パターンで可動部材51〜54および装飾部材57を動作させることができる。
図20は、演出可動機構50のうちで、可動部材51、52および装飾部材57を備えた上側機構50Tにおける初期状態としての退避状態と、上側機構50Tによる複数の動作パターンを示している。上側機構50Tが備える可動部材51、52は、装飾部材57に軸支されて回動可能であり、可動部材51と可動部材52とで回動範囲が異なっている。すなわち、可動部材52は、可動部材51に対して退避した位置と進出した位置とに回動できる。可動部材51は、複数の発光体が設けられた前面部の後方にベース体が配置される構成を有し、前面部とベース体との間に可動部材52を保持する。
図20(A)に示すように、上側機構50Tが初期状態としての退避状態であるときには、可動部材51の長手方向が略水平方向に沿った状態で上側に位置する。図20(B)に示す動作パターンT1では、図5に示す動作用モータ60Bの駆動力により、装飾部材57や可動部材51は移動させずに可動部材52を回動させることができる。図20(C)に示す動作パターンT2では、図5に示す動作用モータ60Aの駆動力により、装飾部材57の下方への移動に伴い可動部材51、52を重なった状態で回動させることができる。図20(D)に示す動作パターンT3では、動作用モータ60Aの駆動力により装飾部材57の下方への移動に伴い可動部材51を回動させるとともに、動作用モータ60Bの駆動力により可動部材52を可動部材51に対して回動させ、可動部材51の下方に可動部材52を進出させることができる。
図21は、演出可動機構50のうちで、可動部材53、54を備えた下側機構50Bにおける初期状態としての退避状態と、下側機構50Bによる複数の動作パターンを示している。下側機構50Bが備える可動部材53、54は、所定のリンク機構を介して図3に示す下側支持ユニット56のフレームに連結され、図5に示す動作用モータ60Cの動力により所定範囲で移動することができる。リンク機構には、例えば図21(B)に示すリンク部材642a、642bやリンク部材645a、645bなどが含まれている。リンク部材645a、645bは、一端がフレームに軸支されるとともに、他端が可動部材54の下端付近に軸支され、可動部材54の移動をガイドする。
図21(A)に示すように、下側機構50Bが初期状態としての退避状態であるときには、可動部材53、54のそれぞれが下方に位置するとともに、可動部材53が可動部材54の後方に位置して、遊技者は可動部材53をほとんど視認することができない。図21(B)に示す動作パターンB1では、動作用モータ50Cの駆動力により、可動部材53が可動部材54の裏側から若干の回動を伴って上方に移動する。図21(C)に示す動作パターンB2では、動作用モータ50Cのさらなる駆動力により、可動部材53の移動に伴って可動部材54を上方に移動させることができる。
初期動作パターンは、上側機構50Tを動作パターンT1〜T3で連続して動作させる初期動作と、下側機構50Bを動作パターンB1、B2で連続して動作させる初期動作とを実行可能にする。上側機構50Tを動作させる初期動作と、下側機構50Bを動作させる初期動作は、それぞれの初期動作が順番に実行され、互いの実行期間が重複しないように設定されてもよいし、少なくとも一部の実行期間が重複することで、それぞれの初期動作が並行して実行可能となるように設定されてもよい。それぞれの初期動作が順番に実行される場合でも、初期動作時間が経過するまでに実行される初期動作としては、複数の動作パターンを混合してなる初期動作パターンで可動部材51〜54および装飾部材57を動作させることになる。また、それぞれの初期動作が並行して実行される場合には、初期動作が並行して実行される期間などにおいて、複数の動作パターンを混合してなる初期動作パターンで可動部材51〜54および装飾部材57を動作させる。
このように、複数の動作パターンを混合してなる初期動作パターンで可動部材51〜54および装飾部材57を動作させる。これにより、パチンコ遊技機1の電力供給が開始されたときに、遊技の実行に伴う演出に対応した複数の動作パターンで演出装置を動作させることができ、適切に動作確認を行うことができる。
この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変更および応用が可能である。例えばパチンコ遊技機1は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。
具体的な一例として、上記実施の形態では、表示用初期データの転送と並行して可動部材51〜54などによる初期動作を実行可能にするとともに、メイン画像表示装置5MAなどの表示装置による演出とは異なる演出の実行に用いられる演出データの転送と並行して初期表示を実行可能にするものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、表示用初期データの転送と並行して初期動作を実行可能にすることと、表示装置による演出とは異なる演出の実行に用いられる演出データの転送と並行して初期表示を実行可能にすることのうちで、少なくともいずれかを実現可能に構成されたものであればよい。
上記実施の形態では、図13に示すステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始させたことに続いて、ステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させることで、動作用初期データの転送と並行して表示用初期データの転送を実行することができる。しかしながら、この発明はこれに限定されず、初期データとなる演出データについては、動作用初期データの転送が完了してから、表示用初期データの転送が開始されるように設定してもよい。この場合には、例えば図13に示すステップS224の処理により動作用初期データの転送が完了したと判定されてから、ステップS222の処理を実行して表示用初期データの転送を開始させればよい。
上記実施の形態では、図16に示すステップS253の処理により動作用通常データの転送を開始させた後に、ステップS255の処理により動作用通常データの転送が完了していないと判定された場合でも、ステップS260の処理により表示用通常データの転送を開始させることで、動作用通常データの転送と並行して表示用通常データの転送を実行することができる。しかしながら、この発明はこれに限定されず、通常データとなる演出データについては、動作用通常データの転送が完了してから、表示用通常データの転送が開始されるように設定してもよい。この場合には、例えば図16に示すステップS255の処理により動作用通常データの転送が完了したと判定されてから、ステップS255の処理を実行して表示用通常データの転送を開始させればよい。
可動部材51〜54などによる初期動作やメイン画像表示装置5MAなどによる初期表示は、少なくとも演出データの一部が転送される任意の期間と一部または全部が重複する実行期間にて、実行することができればよい。例えば図13に示す初期演出データ転送処理において、ステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させ、その転送が完了して初期表示の実行が開始されてから、ステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始させることで、動作用初期データの転送と並行して初期表示を実行できるようにしてもよい。その後、動作用初期データの転送が完了したことに応じて、初期動作の実行が開始されてから、図16および図17に示す通常演出データ転送処理を実行することなどにより、通常データとなる演出データの転送を開始させてもよい。こうして、初期表示の実行が開始された後に初期動作の実行が開始されるとともに、初期表示および初期動作の実行と並行して、通常データとなる演出データを転送することができればよい。
あるいは、例えば図13に示す初期演出データ転送処理において、ステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させたことに続いて、ステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始させることで、表示用初期データの転送と並行して動作用初期データの転送を可能とし、それぞれの転送が完了して初期表示および初期動作の実行が開始されてから、図16および図17に示す通常演出データ転送処理を実行することなどにより、通常データとなる演出データの転送を開始させてもよい。こうして、初期表示および初期動作の実行が開始された後に、初期表示および初期動作の実行と並行して、通常データとなる演出データを転送することができればよい。
あるいは、例えば図13に示す初期演出データ転送処理において、ステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始させ、その転送が完了して初期動作の実行が開始されてから、ステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させることで、表示用初期データの転送と並行して初期動作を実行できるようにしてもよい。その後、表示用初期データの転送が完了したことに応じて、初期表示の実行が開始されてから、図16および図17に示す通常演出データ転送処理を実行することなどにより、通常データとなる演出データの転送を開始させてもよい。こうして、初期動作の実行が開始された後に初期表示の実行が開始されるとともに、初期動作および初期表示の実行と並行して、通常データとなる演出データを転送することができればよい。
図13に示す初期演出データ転送処理では、ステップS236の処理により初期動作を終了させる制御を行うものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、初期動作が終了するより前に図16および図17に示す通常演出データ転送処理を実行することなどにより、初期動作の実行と並行して、通常データとなる演出データを転送することができるようにしてもよい。
図9に示す演出制御メイン処理では、ステップS56の通常演出データ転送処理を実行した後に、ステップS57〜S60の処理を実行し、ステップS60にて演出制御プロセス処理を実行した後には、ステップS55の演出用乱数更新処理に戻る。こうして、演出制御用のタイマ割込みが発生するごとにステップS56の通常演出データ転送処理を実行可能とすることで、例えば特別図柄や飾り図柄の可変表示が開始された後でも、通常データとなる演出データの転送を実行することができるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、ステップS56の通常演出データ転送処理による演出データの転送が完了するまでは、ステップS57以降の処理が実行されないようにしてもよい。例えば図16および図17に示す通常演出データ転送処理において、動作用転送完了フラグ、表示用転送完了フラグ、音声出力用転送完了フラグの全部がセットされてオンとなるまで待機することで、通常データとなる演出データの転送を完了させるようにしてもよい。
上記実施の形態では、図13に示すステップS232の処理で初期動作時間が経過したと判定された場合でも、ステップS234の処理で初期表示中フラグがオンであると判定されるまではステップS235の処理を実行することにより、初期表示が開始されるまでの期間にて、可動部材51〜54による初期動作を実行するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、初期表示が開始されたか否かにかかわらず、予め定めた初期動作終了条件が成立したときに、初期動作を終了させるようにしてもよい。例えば、予め用意された動作パターンによる初期動作の実行が完了したことに応じて、初期動作を終了させてもよい。あるいは、図13に示すステップS232の処理で初期動作時間が経過したと判定された場合に、ステップS234の処理を実行せずにステップS236の処理に進むことで、初期動作を終了させるようにしてもよい。すなわち、予め定めた初期動作時間が経過したことに応じて、初期動作を終了させてもよい。
上記実施の形態では、図19(A)に示すステップS304の処理を実行した場合に、表示用初期データに含まれる画像データを用いて、簡易表示による演出を実行可能にするものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、表示用初期データには初期表示を実行するために用いられる画像データのみが含まれ、簡易表示による演出に用いられる画像データが含まれないように構成してもよい。この場合には、表示用通常データに含まれる画像データのうちで、簡易表示に用いられる画像データを、それ以外の画像データよりも優先して転送することができるように、表示用通常データの構成や転送の制御が行われるようにしてもよい。そして、図19(A)に示すステップS302の処理で表示用転送完了フラグがオフであると判定された場合には、表示用通常データに含まれる画像データのうちで、簡易表示に用いられる画像データの転送が完了したか否かを判定し、その転送が完了していれば、簡易表示による演出を実行可能にしてもよい。あるいは、表示用通常データの転送が完了するまでの期間では、例えば初期表示を継続して実行することで、簡易表示による演出など、飾り図柄の可変表示を含めた画像による表示演出が実行されないようにしてもよい。
上記実施の形態では、表示用初期データに含まれる画像データを用いて、メイン画像表示装置5MAの画面上などにて初期表示が実行されるものとして説明した。このような初期表示に加えて、あるいは初期表示に代えて、表示用初期データに含まれる画像データなどを用ることで、複数の発光体が配置された発光体ユニット71〜74による初期点灯が実行されてもよい。この場合、例えば図13に示すステップS229の処理で表示用初期データの転送が完了したと判定された場合に、ステップS230の処理による初期表示の開始設定とともに、発光体ユニット71〜74における初期点灯を開始させるための設定が行われるようにすればよい。動作用初期データを表示用初期データよりも優先して転送させることで、動作用初期データを転送して初期動作を開始させてから、初期点灯に用いられる演出データを転送可能とし、初期点灯に用いられる演出データの転送と並行して初期動作を実行させることができる。なお、表示用初期データを動作用初期データよりも優先して転送させることで、表示用初期データを転送して初期点灯を開始させてから、動作用初期データを転送可能とし、動作用初期データの転送と並行して初期点灯を実行させることができるようにしてもよい。また、表示用初期データを表示用通常データよりも優先して転送させることで、表示用初期データを転送して初期点灯を開始させてから、表示用通常データを転送可能とし、表示用通常データの転送と並行して初期点灯を実行させることができる。
表示用初期データや表示用通常データとは別個に、初期データには、発光体ユニット71〜74による初期点灯に用いられる点灯用初期データが含まれ、また、通常データには、発光体ユニット71〜74による通常点灯に用いられる点灯用通常データが含まれるようにしてもよい。この場合、図13に示す初期演出データ転送処理では、点灯用初期データを転送するための設定が行われるようにすればよい。例えば、図13に示すステップS229の処理で表示用初期データの転送が完了したと判定された場合に、点灯用初期データの転送を開始させるための設定を行うようにすればよい。これにより、表示用初期データが画像データメモリ121からVRAM142Aへと転送されたことに続いて、点灯用初期データを画像データメモリ121からVRAM142Aへと転送することができる。すなわち、表示用初期データは、点灯用初期データよりも優先して転送されてもよい。表示用初期データを転送して初期表示を開始させてから、点灯用初期データを転送可能とし、点灯用初期データの転送と並行して初期表示を実行させることができる。なお、点灯用初期データは、表示用初期データよりも優先して転送されてもよい。すなわち、点灯用初期データを転送して初期点灯を開始させてから、表示用初期データを転送可能とし、表示用初期データの転送と並行して初期点灯を実行させることができるようにしてもよい。点灯用初期データは、動作用初期データよりも優先して転送されてもよい。すなわち、点灯用初期データを転送して初期点灯を開始させてから、動作用初期データを転送可能とし、動作用初期データの転送と並行して初期点灯を実行させることができるようにしてもよい。これに対し、動作用初期データは、点灯用初期データよりも優先して転送されてもよい。すなわち、動作用初期データを転送して初期動作を開始させてから、点灯用初期データを転送可能とし、点灯用初期データの転送と並行して初期動作を実行させることができるようにしてもよい。
図13に示す初期演出データ転送処理の実行により点灯用初期データが転送可能となる場合に、図16および図17に示す通常演出データ転送処理では、点灯用通常データを転送させるための設定が行われるようにすればよい。こうして、発光体ユニット71〜74による初期点灯に用いられる点灯用初期データを、点灯用初期データとは異なる点灯用通常データよりも優先して、画像データメモリ121からVRAM142Aへと転送させることができる。すなわち、点灯用初期データを転送して初期点灯を開始させてから、点灯用通常データを転送可能とし、点灯用通常データの転送を含めた通常データの転送と並行して初期点灯を実行させることができるようにしてもよい。
上記実施の形態では、スピーカ8L、8Rでの音声出力による演出に用いられる音声出力用演出データが通常データに含まれる一方、初期データには音声出力に用いられる演出データが含まれないものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、初期データには、スピーカ8L、8Rによる音声の初期出力に用いられる音声出力用初期データが含まれ、また、通常データには、スピーカ8L、8Rによる音声の通常出力に用いられる音声出力用通常データが含まれるようにしてもよい。この場合、図13に示す初期演出データ転送処理では、音声出力用初期データを転送するための設定が行われるようにすればよい。例えば、図13に示すステップS224の処理で動作用初期データの転送が完了したと判定された場合に、音声出力用初期データの転送を開始させるための設定を行うようにすればよい。これにより、動作用初期データがROM132からRAM133へと転送されたことに続いて、音声出力用初期データをROM132からRAM133へと転送することができる。すなわち、動作用初期データは、音声出力用初期データよりも優先して転送されてもよい。動作用初期データを転送して初期動作を開始させてから、音声出力用初期データを転送可能とし、音声出力用初期データの転送と並行して初期動作を実行させることができる。なお、音声出力用初期データは、動作用初期データよりも優先して転送されてもよい。すなわち、音声出力用初期データを転送して音声の初期出力を開始させてから、動作用初期データを転送可能とし、動作用初期データの転送と並行して音声の初期出力を実行させることができるようにしてもよい。音声出力用初期データは、表示用初期データよりも優先して転送されてもよい。すなわち、音声出力用初期データを転送して音声の初期出力を開始させてから、表示用初期データを転送可能とし、表示用初期データの転送と並行して音声の初期出力を実行させることができるようにしてもよい。これに対し、表示用初期データは、音声出力用初期データよりも優先して転送されてもよい。すなわち、表示用初期データを転送して初期表示を開始させてから、音声出力用初期データを転送可能とし、音声出力用初期データの転送と並行して初期表示を実行させることができるようにしてもよい。
図13に示す初期演出データ転送処理の実行により音声出力用初期データが転送可能となる場合に、図17に示すステップS270の処理では、音声出力用通常データの転送を開始させるための設定が行われるようにすればよい。その後、ステップS272の処理では、音声出力用通常データの転送が完了したか否かを判定し、完了したと判定されるまでは音声出力用転送中フラグがオンとなればよい。こうして、スピーカ8L、8Rによる音声の初期出力に用いられる音声出力用初期データを、音声出力用初期データとは異なる音声出力用通常データよりも優先して、ROM132からRAM133へと転送させることができる。すなわち、音声出力用初期データを転送して音声の初期出力を開始させてから、音声出力用通常データを転送可能とし、音声出力用通常データの転送を含めた通常データの転送と並行して音声の初期出力を実行させることができるようにしてもよい。
上記実施の形態において、初期データは、動作用初期データを含むとともに、表示用初期データを含むものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、初期データは、動作用初期データと表示用初期データのうちで一方のみを含み、他方を含まないように構成されてもよい。例えば、初期データは、可動部材51〜54および装飾部材57による初期動作の実行に用いられる動作用初期データを含み、通常データは、可動部材51〜54などによる通常動作に用いられる動作用通常データと、メイン画像表示装置5MAなどの画面上における各種表示に用いられる表示用演出データとを含んでもよい。あるいは、初期データは、メイン画像表示装置5MAなどの画面上における初期表示に用いられる表示用初期データを含み、通常データは、可動部材51〜54などによる各種動作に用いられる動作用演出データと、メイン画像表示装置5MAなどの画面上における通常表示に用いられる表示用通常データとを含んでもよい。
上記実施の形態では、ROM132に格納されている演出データをRAM133へと転送し、画像データメモリ121に格納されている演出データをVRAM142Aへと転送するものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、演出データを格納している任意の格納装置から演出データを記憶可能な任意の記憶装置へと転送できるものであればよい。例えば図6に示す構成において、画像データメモリ121に格納されている表示制御データなどの演出データを演出制御用マイクロコンピュータ120のRAM133へと転送するものであってもよい。初期データとなる演出データと、通常データとなる演出データとのうち、いずれか一方の演出データに含まれる少なくとも一部のデータが、画像データメモリ121からRAM133へと転送されてもよいし、それぞれの演出データに含まれる少なくとも一部のデータが、画像データメモリ121からRAM133へと転送されてもよい。また、演出制御用マイクロコンピュータ120に内蔵されたRAM133に加えて、あるいはRAM133に代えて、演出制御用マイクロコンピュータ120に外付されたRAM(外部RAM)が設けられてもよい。この場合には、ROM132または画像データメモリ121に格納されている演出データを、演出制御用マイクロコンピュータ120に外付された外部RAMへと転送できればよい。このような任意の格納装置から任意の記憶装置へと演出データの転送が行われる場合に、予め定められた特定の演出データの転送と並行して、初期動作や初期表示、音声の初期出力、初期点灯、あるいは、これらの一部または全部を組み合わせた初期演出を実行するように構成されていればよい。
特別図柄や飾り図柄は、複数種類の識別情報として可変表示されるものに限定されない。例えば第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bは、複数のLEDを用いて構成され、特別図柄の可変表示中には、複数のLEDのうちで特定(単一)のLEDのみが点灯と消灯とを繰り返し、他のLEDは消灯された状態を維持する。そして、可変表示結果が「ハズレ」となる場合には、点灯と消灯とを繰り返したLEDが所定の発光色で発光(点灯)した状態を維持すること、あるいは消灯した状態を維持することで、特別図柄を停止表示する。このとき、他のLEDは消灯された状態を維持する。これに対し、可変表示結果が「大当り」となる場合には、複数のLEDのうちで一部または全部のLEDが点灯する所定の点灯パターンとなることで、特別図柄を停止表示する。このように、特別図柄や飾り図柄の可変表示中には、特定(単一)の図柄が表示と非表示とに切り替えられる一方、他の図柄は非表示の状態が維持されるようにしてもよい。そして、特別図柄や飾り図柄の可変表示結果となる最終停止図柄(確定特別図柄や確定飾り図柄)として、複数種類の図柄のいずれかが導出表示(停止表示)されるものであってもよい。また、例えば第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bは、7セグメントLEDを用いて構成され、特別図柄の可変表示中には、「−」を示す記号の表示(点灯)と非表示(消灯)とを繰り返し、他の数字や記号は表示されないようにしてもよい。そして、特別図柄の可変表示結果としては、「−」を示す記号が停止表示されることはなく、「1」〜「9」を示す数字や、その他の記号などを含む所定の点灯パターンとなることで、特別図柄を停止表示する。このように、特別図柄や飾り図柄の可変表示中には、可変表示結果としては停止表示されない図柄が表示と非表示とに切り替えられる一方、他の図柄は非表示の状態が維持されるようにしてもよい。
上記実施の形態では、可変表示時間や飾り図柄の可変表示態様などを示す変動パターンを演出制御基板12の側に通知するために、可変表示を開始するときに1つの変動パターン指定コマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを演出制御基板12の側に通知してもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、遊技制御用マイクロコンピュータ100のCPU103は、1つ目のコマンドでは擬似連変動の有無、滑り演出の有無等、リーチとなる以前(リーチとならない場合には、いわゆる第2停止の前)の可変表示時間や可変表示態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には、いわゆる第2停止の後)の可変表示時間や可変表示態様を示すコマンドを送信してもよい。この場合、演出制御基板12では、例えば演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131が2つのコマンドの組合せから導かれる可変表示時間に基づいて可変表示における演出制御を行うようにすればよい。なお、遊技制御用マイクロコンピュータ100の方では2つのコマンドのそれぞれにより可変表示時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な可変表示態様については演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信してもよいし、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信してもよい。なお、それぞれのコマンドで示される可変表示態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知することで、変動パターン指定コマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
上記実施の形態では、図7に示すステップS102の処理にて、大当り遊技状態の終了後における遊技状態を確変状態といった特別遊技状態とするか否かの決定を行い、確変状態とする決定に基づいて確変制御条件が成立し、大当り遊技状態の終了後には確変状態に制御されるものとして説明した。しかしながら、この発明はこれに限定されず、遊技領域における所定位置に設けられた確変アタッカーにおいて大入賞口(第2大入賞口)に入賞(進入)した遊技球が確変検出スイッチによって検出されたことに基づいて確変制御条件が成立し、大当り遊技状態の終了後における遊技状態を確変状態に制御してもよい。確変アタッカーの大入賞口(第2大入賞口)は、大当り遊技状態におけるラウンド遊技の実行回数が所定回数(例えば「16」)であるときに、閉鎖状態から開放状態に変化可能であり、ラウンド遊技の実行回数が所定回数以外であるときには、閉鎖状態のまま開放状態には変化不能であるとしてもよい。このように、パチンコ遊技機1は、遊技領域に設けられた特別可変入賞装置の一例となるアタッカー内にて遊技球が特定領域を通過したことに基づいて、確変制御条件を成立させることが可能となるように構成されてもよい。
パチンコ遊技機1としては、特別図柄や飾り図柄の可変表示を行わないものであってもよい。一例として、遊技領域に設けられた始動入賞口を通過(進入)した遊技球が検出されたことに基づいて、遊技領域に設けられた可変入賞装置を閉鎖状態(第2状態)から開放状態(第1状態)へと変化させ、可変入賞装置の内部に進入した遊技球が複数の領域のうちの特定領域(V入賞口)に進入したときに、遊技者にとって有利な大当り遊技状態に制御されるものであってもよい。このようなパチンコ遊技機1において、遊技の進行を制御する場合の制御態様と、演出の実行を制御する場合の制御態様とのうち、少なくともいずれか一方の制御態様について、図12に示すような判定値比較処理を実行することで、制御態様を複数態様のいずれかに決定可能なものであればよい。
この発明は、パチンコ遊技機1に限らずスロットマシンなどにも適用できる。スロットマシンは、例えば複数種類の識別情報となる図柄の可変表示といった所定の遊技を行い、その遊技結果に基づいて所定の遊技価値を付与可能となる任意の遊技機であり、より具体的には、1ゲームに対して所定の賭数(メダル枚数またはクレジット数)を設定することによりゲームが開始可能になるとともに、各々が識別可能な複数種類の識別情報(図柄)を可変表示する可変表示装置(例えば複数のリールなど)の表示結果が導出表示されることにより1ゲームが終了し、その表示結果に応じて入賞(例えばチェリー入賞、スイカ入賞、ベル入賞、リプレイ入賞、BB入賞、RB入賞など)が発生可能とされた遊技機である。このようなスロットマシンにおいて、スロットマシンの画像表示装置を含めたハードウェア資源と、所定の処理を行うソフトウェアとが協働することにより、上記実施の形態で示されたパチンコ遊技機1が有する特徴の全部または一部を備えるように構成されていればよい。具体的には、スロットマシンに対する電力供給の開始に応じて、スロットマシンにおける各種の演出装置による演出の実行に用いられる演出データがROMや画像データメモリからRAMやVRAMへと転送される場合に、予め定められた特定演出の実行に
用いられる演出データの転送と並行して、可動部材による初期動作を実行したり、表示装置による初期表示を実行したりすることができるものであればよい。
その他にも、遊技機の装置構成やデータ構成、フローチャートで示した処理、画像表示装置における画像表示動作やスピーカにおける音声出力動作さらには遊技効果ランプおよび装飾用LEDにおける点灯動作を含めた各種の演出動作などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、任意に変更および修正が可能である。加えて、本発明の遊技機は、入賞の発生に基づいて所定数の遊技媒体を景品として払い出す払出式遊技機に限定されるものではなく、遊技媒体を封入し入賞の発生に基づいて得点を付与する封入式遊技機にも適用することができる。スロットマシンは、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるものに限定されず、遊技用価値として遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、遊技用価値としてクレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであってもよい。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、例えば賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。パチンコ遊技機1やスロットマシンは、メダルおよび遊技球等の複数種類の遊技用価値のうちのいずれか一種類のみを用いるものに限定されるものではなく、例えばメダルおよび遊技球等の複数種類の遊技用価値を併用できるものであってもよい。例えばスロットマシンは、メダルおよび遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダルおよび遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るものであってもよい。
本発明を実現するためのプログラムおよびデータは、例えばパチンコ遊技機1やスロットマシンといった、遊技機に含まれるコンピュータ装置などに対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置などの有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採っても構わない。さらに、本発明を実現するためのプログラムおよびデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採っても構わない。
そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラムおよびデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。
以上に説明したように、上記実施の形態では、例えば演出制御用マイクロコンピュータ120のCPU131や表示制御部122のVDP141により、第1演出装置による演出と、第1装置とは異なる第2演出装置による演出とを制御する。そして、図13に示すステップS222の処理により開始される表示用初期データの転送と並行して、ステップS226、233の処理による初期動作が実行される。こうして、表示用初期データの転送と並行して初期動作を実行することで、効率よく演出データの転送を行い、遅延の発生を抑制できる。
あるいは、図13に示すステップS230の処理による初期表示が実行される場合には、例えば通常データとなる演出データの転送と並行して、既に転送された表示用初期データを用いてメイン画像表示装置5MAなどに初期信号を供給する。こうして、第2演出データの転送と並行して、既に転送された第1演出データを用いて初期表示のための初期信号を供給することで、効率よく演出データの転送を行い、不安定な表示を抑制できる。
図13に示すステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始してから、ステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始させる。また、図16に示すステップS253の処理により動作用通常データの転送を開始してから、ステップS260の処理により表示用通常データの転送を開始させる。こうして、第2演出装置による演出の実行に用いられる演出データを、第1演出装置による演出の実行に用いられる演出データよりも優先して転送することで、効率よく演出データの転送を行い、遅延の発生を抑制できる。
図13に示すステップS222の処理により表示用初期データの転送を開始し、その転送が完了してから、図16に示すステップS260の処理により表示用通常データの転送を開始させる。こうして、第1演出装置による演出の実行に用いられる演出データのうちで、初期データとなる演出データを、通常データとなる演出データよりも優先して転送することにより、効率よく演出データの転送を行い、遅延の発生を抑制できるとともに、不安定な表示を抑制できる。
図13に示すステップS221の処理により動作用初期データの転送を開始し、その転送が完了してから、図16に示すステップS253の処理により動作用通常データの転送を開始させる。こうして、第2演出装置による演出の実行に用いられる演出データのうちで、初期データとなる演出データを、通常データとなる演出データよりも優先して転送することにより、効率よく演出データの転送を行い、遅延の発生を抑制できる。
図13に示すステップS226、S233の処理による初期動作として、例えば図15(A)に示すように、可動部材51〜54を退避状態から進出状態へと変化させる。こうして、第2演出装置としての可動部材を表示領域と重ならない第2状態から表示領域と重なる第1状態へと変化させる初期動作を実行することにより、適切に初期動作を実行して、遅延の発生を抑制できるとともに、不安定な表示を抑制できる。
図13に示すステップS230の処理によりメイン画像表示装置5MAに初期信号を供給して、例えば図15(B)に示すような初期表示を実行する。このように、初期信号を供給して初期表示を実行することにより、不安定な表示を抑制できる。
図13に示すステップS226、S233の処理による初期動作として、例えば図20(B)〜(D)に示す動作パターンT1〜T3や図21(B)および(C)に示す動作パターンB1、B2といった、複数の動作パターンを混合してなる初期動作パターンで、第2演出装置としての可動部材を動作させる。こうして、複数の動作パターンを混合してなる初期動作パターンによる初期動作を実行することにより、適切に動作確認を行うことができる。