以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、搬送車1について説明する。図1は本発明の第1実施の形態における搬送車1の側面図である。なお、搬送車1は、運転者がどちらの運転室11F,11Bに乗るかで車両の前後方向および左右方向が入れ替わるが、説明の便宜上、図1の左側、右側、紙面手前側、紙面奥側をそれぞれ車両の前方、後方、左方、右方とする。
本明細書では、車両前方側と車両後方側とで対応する構成の符号には、同一の数字を用い、車両前方側の構成にFを付し、車両後方側の構成にBを付して説明を一部省略する。また、車両左側と車両右側とで対応する構成の符号には、同一の数字を用い、車両左側の構成にLを付し、車両右側の構成にRを付して説明を一部省略する。
搬送車1は、工場等の構内において大型の鋼材や製品等の重量物の荷物を搬送する油圧駆動式の車両である。図1に示すように、搬送車1は、上面に荷物が積載されて車両前後方向(車長方向)に延びる長手形状の荷台2と、荷台2の下面に配置されて荷台2を走行させる走行装置3と、荷台2の前後にそれぞれ設けられる運転室ユニット4F,4Bとを備えている。
走行装置3は、リンク部材5を介して車輪6により荷台2を走行可能に支持するものであり、油圧機器である操舵装置7(図2参照)により鉛直方向へ延びる操舵軸8を中心にリンク部材5を回転させて車輪6の向く方向を変更し、油圧シリンダである昇降装置9により荷台2と車輪6との距離を変更して荷台2を昇降させる。荷台2を下げた状態の搬送車1が、荷物を載置したパレット(図示せず)の下に進入した後、昇降装置9により荷台2を上げてパレットごと荷物を持ち上げることで、荷台2に荷物が積載される。
走行装置3は、車両左右方向に2列、車両前後方向の1列に6つ並んで設けられ、左側の列の前側から順に走行装置3L1〜3L6とし、右側の列の前側から順に走行装置3R1〜3R6とし、走行装置3L1〜3L6,3R1〜3R6の車輪6をそれぞれ車輪6L1〜6L6,6R1〜6R6とする。走行装置3L2,3R2,3L5,3R5は、油圧モータ10FL,10FR,10BL,10BRにより車輪6L2,6R2,6L5,6R5をそれぞれ回転駆動させて搬送車1を走行させる。一方、車輪6L1,6R1,6L3,6R3,6L4,6R4,6L6,6R6は従動輪である。図示はしないが走行装置3には車軸方向に2つの車輪6が設けられている。なお、走行装置3の車輪6の数は2つに限らず適宜変更可能である。
運転室ユニット4F,4Bは、それぞれ運転室11F,11B、サイドミラー12F,12B、エアホーン(図示せず)及びヘッドライト(図示せず)等を備えている。運転室11Fの背面側(走行装置3側)には、図示しないが、ディーゼルエンジンである第1エンジン13F、第1オイルタンク14F、第1油圧ポンプ21F、第1補機油圧ポンプ41F、第1コンプレッサ71F及び第1バッテリ91F等が設けられている。運転室11Bの背面側(走行装置3側)には、図示しないが、ディーゼルエンジンである第2エンジン13B、第2オイルタンク14B、第2油圧ポンプ21B、第2補機油圧ポンプ41B、第2コンプレッサ71B及び第2バッテリ91B等が設けられている。運転室11F,11B内には、図示しないが、運転手が搬送車1を操作するためのハンドルやアクセル、ブレーキ、走行モード選択装置96等が設けられている。
走行モード選択装置96は、搬送車1の走行モードを選択するための入力装置であり、搬送車1の走行モードとしては、前後進モード、前後斜行モード、横行モード、横行斜行モード、スピンモードがある。本実施の形態では、特に指示がなければ、搬送車1が前後進モードで走行する場合について説明する。
前後進モードとは、車両前後方向を進行方向としたモードである。前後斜行モードとは、車両前後方向に対して斜めに搬送車1が移動するモードであり、前後進モードの状態から全ての車輪6の向く方向を、操舵軸8を中心に同じ角度だけ同じ方向に回転させた状態である。前後進モード及び前後斜行モードは、車両左側の車輪6L2,6L5と車両右側の車輪6R2,6R5とで回転方向が同一であるので、前後斜行モードが前後進モードに含まれるものとして扱うことができる。
横行モードとは、車両左右方向を進行方向としたモードであって、車両左右方向に隣接する走行装置3のリンク部材5の屈曲した部分が、それぞれの走行装置3の操舵軸8に対して車両左右方向の内側に位置する状態である。なお、横行モードは、車両左右方向に隣接するリンク部材5の屈曲した部分が、それぞれの走行装置3の操舵軸8に対して車両左右方向の外側に位置してもよい。横行斜行モードとは、車両左右方向に対して斜めに搬送車1が移動するモードであり、横行モードの状態から全ての車輪6の向く方向を、操舵軸8を中心に同じ角度だけ同じ方向に回転させた状態である。横行モード及び横行斜行モードは、車両左側の車輪6L2,6L5と車両右側の車輪6R2,6R5とでそれぞれ回転方向が逆転するので、横行斜行モードが横行モードに含まれるものとして扱うことができる。スピンモードとは、搬送車1の前後左右方向の中心を支点にその場で回転するモードであり、各車輪6L2,6L5,6R2,6R5の回転方向が異なる。
次に図2を参照して、搬送車1の油圧回路20について説明する。図2は搬送車1の油圧回路20を示した概略図である。図2は第1補機回路20F及び第2補機回路20Bにそれぞれ6つずつ配設される操舵装置7及び昇降装置9を1つずつ図示して残りを省略している。図2はパイロット路P及びパイロット戻り路Rを破線で図示している(図3〜5も同様)。
図2に示すように、油圧回路20は、油圧モータ10FL,10FR,10BL,10BRを駆動させるために圧油を供給する走行回路と、操舵装置7及び昇降装置9を駆動させるために圧油を供給する補機回路と、パイロット路Pと、パイロット戻り路Rとを備えている。パイロット路Pは、各種弁にパイロット圧を発生させるための圧油を供給する流路であり、パイロット戻り路Rは、パイロット圧を解除するために各種弁から排出される作動油を第1オイルタンク14F又は第2オイルタンク14Bへ戻す流路である。
まず、補機回路について説明する。補機回路は、車両前方側の走行装置3L1〜3L3,3R1〜3R3の操舵装置7及び昇降装置9が配設される第1補機回路20Fと、車両後方側の走行装置3L4〜3L6,3R4〜3R6の操舵装置7及び昇降装置9が配設される第2補機回路20Bと、第1補機回路20Fと第2補機回路20Bとを連通可能に繋ぐ補機連通ブロック30(補機弁)とを備えている。第1補機回路20Fの構成と第2補機回路20Bの構成とが略同一であるため、以下において、第1補機回路20Fについて説明し、第2補機回路20Bについての説明を一部省略する。
第1補機回路20Fは、第1エンジン13F(第2補機回路20Bでは第2エンジン13B)により駆動される第1補機油圧ポンプ21F(第2補機回路20Bでは第2補機油圧ポンプ21B)と、操舵装置7及び昇降装置9が接続される補機ユニット22Fとを備えている。第1補機油圧ポンプ21Fは、1方向の回転駆動力により1方向への圧油の吐出が可能な斜軸式可変容量ポンプであり、斜軸の角度を調整することにより無段階で圧油の吐出量を調整できる。第1補機油圧ポンプ21Fは、第1エンジン13Fにより駆動力が付与されると第1オイルタンク14F(第2補機回路20Bでは第2オイルタンク14B)から吸込路23Fを介して作動油を吸い込み、その作動油を圧油として吐出路24Fを介して補機ユニット22Fへ供給する。
補機ユニット22Fは、操舵装置7及び昇降装置9への圧油の流量、流通方向を制御する複数の弁が内蔵されたユニットである。第1補機油圧ポンプ21Fから供給される圧油は補機ユニット22Fを介して操舵装置7及び昇降装置9へ供給される。操舵装置7及び昇降装置9から排出される作動油は、補機ユニット22Fを介して戻り路25Fを通り、第1オイルタンク14Fへ流れる。
補機ユニット22Fは、操舵装置7及び昇降装置9へ圧油を供給する流路が、補機連通ブロック30に接続する連通路26Fと、走行連通ブロック50に繋がるパイロット路Pと、第1モータ逆転ブロック60FL及び第2モータ逆転ブロック60FRに繋がるパイロット路Pとに繋がっている。一方、補機ユニット22Bは、操舵装置7及び昇降装置9へ圧油を供給する流路が、補機連通ブロック30に接続する連通路26Bと、第3モータ逆転ブロック60BRに繋がるパイロット路Pとに繋がっている。
次に図3を参照して、補機連通ブロック30について説明する。図3は補機連通ブロック30を示した回路図である。図3に示すように、補機連通ブロック30は、連通路26Fと連通路26Bとを連通可能に繋ぐロジック弁31と、ロジック弁31のパイロットポート34への作動油の給排を切換可能な補機切換弁37とを備えている。連通路26F及び連通路26Bからそれぞれ分岐したパイロット路Pがシャトル弁38に接続され、連通路26F及び連通路26Bのうち高圧側の作動油がシャトル弁38から補機切換弁37へ供給される。なお、連通路26F及び連通路26Bの圧力が略等しい場合には、既に補機切換弁37へ供給している側から作動油を供給する。
ロジック弁31は、パイロット圧により開閉状態を切り換えるポペット型の弁である。ロジック弁31は、連通路26Fと連通路26Bとが接続する連通室32と、連通室32の連通路26F側に押し付けられて連通路26Fと連通路26Bとを遮断(閉弁)するポペット33と、ポペット33を挟んで連通室32の反対側に設けられてパイロットポート34から作動油が供給されるパイロット室35と、ポペット33を閉弁方向へ付勢するバネである付勢部材36とを備えている。
補機切換弁37は、シャトル弁38から供給される作動油をパイロットポート34へ供給する供給位置と、パイロットポート34からの作動油をパイロット戻り路Rへ排出する排出位置とを電磁的に切換可能な電磁切換弁であり、非通電時には供給位置を保ち、通電時には排出位置を保つ。なお、図3には補機切換弁37が非通電時の供給位置が図示されている。
補機切換弁37が供給位置である場合には、連通路26F及び連通路26Bの高圧側の作動油が絞り39を介してパイロット室35に供給されるので、パイロット室35のパイロット圧と連通室32の圧力とが略等しくなる。そのため、付勢部材36の付勢力によりポペット33が閉弁方向へ付勢されてロジック弁31が閉弁状態を保つ。
一方、補機切換弁37が排出位置である場合には、パイロット室35の作動油が絞り39を介してパイロット戻り路Rへ排出されるので、連通室32の圧力よりもパイロット室35の圧力が小さくなる。その圧力差により、付勢部材36の付勢力に抗する力が生じてポペット33が開弁方向へ移動し、ロジック弁31が開弁状態を保つ。
即ち、補機連通ブロック30は、補機切換弁37の非通電時に第1補機回路20Fと第2補機回路20Bとを遮断する閉弁状態を保ち、補機切換弁37の通電時に第1補機回路20Fと第2補機回路20Bとを連通する開弁状態を保つ。ロジック弁31がポペット型の弁であるので、ロジック弁31がスプール型やスライド型の弁である場合と比較して、摩耗し難く、ゴミ等の異物が混入しても作動不良を起こし難い。そのため、補機連通ブロック30の耐久性を向上できる。
さらに、補機切換弁37の切り換えによりロジック弁31の開閉状態を切り換えることができるので、補機連通ブロック30がスプール型やスライド型の弁である場合と比較して、補機連通ブロック30の操作量を低減できると共に、補機連通ブロック30を小型化できる。また、絞り39は、補機切換弁37の切換時に作動油が急速に給排されることを抑制して、ロジック弁31及び補機切換弁37の破損や劣化を抑制するためのものである。
次に図2に戻って走行回路について説明する。走行回路は、車両前方側の油圧モータ10FL,10FRが配設される第1走行回路40Fと、車両後方側の油圧モータ10BL,10BRが配設される第2走行回路40Bと、第1走行回路40Fと第2走行回路40Bとを連通可能に繋ぐ走行連通ブロック50(走行弁)とを備えている。第1走行回路40Fの構成と第2走行回路40Bの構成とが略同一であるため、以下において、第1走行回路40Fについて説明し、第2走行回路40Bについての説明を一部省略する。
第1走行回路40Fは、第1エンジン13F(第2走行回路40Bでは第2エンジン13B)により駆動される第1油圧ポンプ41F(第2走行回路40Bでは第2油圧ポンプ41B)と、油圧モータ10FL,10FRとの間で閉回路を形成して、第1油圧ポンプ41Fから油圧モータ10FL,10FRへ圧油を介して動力を伝達する回路である。第1走行回路40Fは、第1油圧ポンプ41Fの図2上側に接続される流路を第1流路42Fとし、第1油圧ポンプ41Fの図2下側に接続される流路を第2流路43Fとし、油圧モータ10FL,10FRの図2上側に接続される流路をそれぞれ第3流路44FL,44FRとし、油圧モータ10FL,10FRの図2下側に接続される流路をそれぞれ第4流路45FL,45FRとする。
第1流路42F、第2流路43F、第3流路44FL及び第4流路45FLは第1モータ逆転ブロック60FLに接続される。第1流路42F、第2流路43F、第3流路44FR及び第4流路45FRは第2モータ逆転ブロック60FRに接続される。一方、第2走行回路40Bでは、第1流路42Bと第3流路44BLと、及び、第2流路43Bと第4流路45BLとが直結され、第1流路42B、第2流路43B、第3流路44BR及び第4流路45BRが第3モータ逆転ブロック60BRに接続される。
第1油圧ポンプ41Fは、1方向の回転駆動力により2方向(正転方向または逆転方向)への圧油の吐出を選択可能な斜板式可変容量ポンプであり、斜板の角度を調整することにより回転数に応じた圧油の吐出量を無段階で調整できる。なお、本実施の形態では、第1油圧ポンプ41Fが、第1流路42Fから圧油が吐出されて第2流路43Fに圧油が戻される状態(正転方向)である場合について説明する。
油圧モータ10FL,10FRは、車輪6L2,6R2を回転させる出力軸の回転方向が圧油の流通方向(供給方向)に対応して切り換わる斜軸式可変容量ピストンモータであり、角度調整ブロック46FL,46FRにより斜軸の角度を調整することで圧油の供給量に応じたモータの回転数を無段階で調整できる。油圧モータ10FL,10FRは、第3流路44FL,44FRから圧油が供給されて第4流路45FL,45FRへ圧油を排出する場合(正転時)には、車輪6FL,6FRを前進方向に回転させ、第4流路45FL,45FRから圧油が供給されて第3流路44FL,44FRへ圧油を排出する場合(逆転時)には、車輪6FL,6FRを後進方向に回転させる。
角度調整ブロック46FL,46FRは、斜軸に接続される油圧式アクチュエータの伸縮量を、油圧式アクチュエータへの作動油の圧力により制御することで、斜軸の角度を変更させる機構である。角度調整ブロック46FL,46FRは、第1流路42F及び第2流路43Fからそれぞれ分岐した流路のうち吐出側(本実施の形態では第1流路42F側)から油圧式アクチュエータへ作動油が供給されるように構成されている。
第2走行回路40Bでも同様に、角度調整ブロック46BL,46BRは、第1流路42B及び第2流路43Bからそれぞれ分岐した流路のうち吐出側(本実施の形態では第1流路42B側)から油圧式アクチュエータへ作動油が供給されるように構成されている。後述する第1エンジン運転状態では第1走行回路40Fから角度調整ブロック46FL,46FRへ、後述する第2エンジン運転状態では第2走行回路40Bから角度調整ブロック46BL,46BRへそれぞれ作動油を供給できるようにしている。
次に図4を参照して、走行連通ブロック50について説明する。図4は走行連通ブロック50を示した回路図である。図4に示すように、走行連通ブロック50は、第1流路42Fと第1流路42Bとを連通可能に繋ぐロジック弁51と、第2流路43Fと第2流路43Bとを連通可能に繋ぐロジック弁52と、ロジック弁51,52のパイロットポート34への作動油の給排を切換可能な走行切換弁53とを備えている。ロジック弁51,52はロジック弁31と構成が同一であるので説明を省略する。
走行切換弁53は、非通電時には排出位置を保ち、通電時には供給位置を保つこと以外は補機切換弁37と構成が同一の電磁切換弁である。図4には走行切換弁53が非通電時の排出位置が図示されている。走行切換弁53へは、4つのシャトル弁38により、第1流路42F,42B、第2流路43F,43Bからそれぞれ分岐したパイロット路P、補機ユニット22Fに繋がるパイロット路Pのうち最も高圧側から作動油が供給される。
走行連通ブロック50は、走行切換弁53の非通電時に第1流路42Fと第1流路42Bと、及び、第2流路43Fと第2流路43Bとを連通する開弁状態となる。走行切換弁53の通電時には、第1流路42Fと第1流路42Bと、及び、第2流路43Fと第2流路43Bとを遮断する閉弁状態となる。
次に図5を参照して、第1モータ逆転ブロック60FLについて説明する。図5は第1モータ逆転ブロック60FLを示した回路図である。なお、第2モータ逆転ブロックFR及び第3モータ逆転ブロックFRは第1モータ逆転ブロック60FLと構成が同一であるので説明を一部省略する。
第1モータ逆転ブロック60FLは、第1油圧ポンプ41Fの圧油の吐出方向に対して油圧モータ10FLへの圧油の供給方向を選択するための回路であり、横行モードやスピンモードなどにおいて、各車輪6L2,6R2,6L5,6R5の回転方向を異ならせるための機構である。図5に示すように、第1モータ逆転ブロック60FLは、第1流路42Fと第3流路44FLとを連通可能に繋ぐロジック弁61と、第1流路42Fと第4流路45FLとを連通可能に繋ぐロジック弁62と、第2流路43Fと第3流路44FLとを連通可能に繋ぐロジック弁63と、第2流路43Fと第4流路45FLとを連通可能に繋ぐロジック弁64と、第1逆転切換弁65FLとを備えている。ロジック弁61,62,63,64はロジック弁31と構成が同一であるので説明を省略する。また、第2モータ逆転ブロック60FR及び第3モータ逆転ブロック60BRは、第1逆転切換弁65FLに代えて、第1逆転切換弁65FLと構成が同一である第2逆転切換弁65FR及び第3逆転切換弁65BRをそれぞれ備えている。
第1逆転切換弁65FLは、ロジック弁62,63のパイロットポート34へ作動油を供給してロジック弁61,64のパイロットポート34から作動油を排出する第1位置と、ロジック弁61,64のパイロットポート34へ作動油を供給してロジック弁62,63のパイロットポート34から作動油を排出する第2位置とを電磁的に切換可能な電磁切換弁であり、非通電時には第1位置を保ち、通電時には第2位置を保つ。図5には第1逆転切換弁65FLが非通電時の第1位置が図示されている。第1逆転切換弁65FLへは、4つのシャトル弁38により、第1流路42F、第2流路43F、第3流路44FL、第4流路45FLから分岐したパイロット路P、補機ユニット22Fに繋がるパイロット路Pのうち最も高圧側から作動油が供給される。
第1逆転切換弁65FLが第1位置である場合には、ロジック弁61,64が開弁状態を保ってロジック弁62,63が閉弁状態を保ち、第1流路42Fから第3流路44FL(供給路)へ圧油が流れて油圧モータ10FLを正転させ、第4流路45FL(排出路)から第2流路43Fへ圧油が流れる。一方、第1逆転切換弁65FLが第2位置である場合には、ロジック弁62,63が開弁状態を保ってロジック弁61,64が閉弁状態を保ち、第1流路42Fから第4流路45FL(供給路)へ圧油が流れて油圧モータ10FLを逆転させ、第3流路44FL(排出路)から第2流路43Fへ圧油が流れる。
再び図2を参照して、搬送車1の運転状態について説明する。搬送車1は、後述する制御装置80によって、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの両方を通常駆動状態にして運転する通常運転状態と、第1エンジン13Fを通常駆動状態にして第2エンジン13Bを停止状態にして運転する第1エンジン運転(省エネ運転)状態と、第2エンジン13Bを通常駆動状態にして第1エンジン13Fを停止状態にして運転する第2エンジン運転(省エネ運転)状態とが選択される。第1エンジン運転状態と第2エンジン運転状態とは停止する側のエンジンが異なるだけなので、第1エンジン運転状態について説明して第2エンジン運転状態の説明を省略する。
通常運転状態では、補機連通ブロック30を閉弁状態にして、第1補機油圧ポンプ21Fにより車両前方側の補機ユニット22Fに圧油を供給し、第2補機油圧ポンプ21Bにより車両後方側の補機ユニット22Bに圧油を供給する。補機ユニット22F,22Bにより全ての操舵装置7及び昇降装置9へ圧油を供給可能になるので、全ての操舵装置7及び昇降装置9を駆動可能にできる。さらに、走行連通ブロック50のロジック弁51,52を開弁状態にし、第1油圧ポンプ41F及び第2油圧ポンプ41Bにより油圧モータ10FL,10FR,10BL,10BRに圧油を供給して車輪6FL,6FR,6BL,6BRを回転駆動させるので、搬送車1が走行できる。なお、通常運転状態の前後進モードでは、第1逆転切換弁65FL、第2逆転切換弁65FR、第3逆転切換弁65BRが第1位置に保たれる。
第1エンジン運転状態では、補機連通ブロック30を開弁状態にして、通常駆動状態の第1エンジン13Fにより駆動する第1補機油圧ポンプ21Fから、補機ユニット22Fに圧油を供給し、さらに補機ユニット22Fから補機連通ブロック30を介して補機ユニット22Bへ圧油を供給する。これにより、第1補機油圧ポンプ21Fにより全ての操舵装置7及び昇降装置9を駆動可能にできる。
第1エンジン運転状態の走行回路では、走行連通ブロック50を閉弁状態にして、通常駆動状態の第1エンジン13Fにより第1油圧ポンプ41Fを駆動させる。第1油圧ポンプ41Fから油圧モータ10FL,10FRに圧油を供給して車輪6FL,6FRを回転駆動させるので、搬送車1が走行できる。
第1エンジン運転状態では、第1走行回路40Fに配設される油圧モータ10FL,10FRの数と、第2走行回路40Bに配設される油圧モータ10BL,10BRの数とが同一であるので、搬送車1の通常運転状態に比べて第1エンジン運転状態では、駆動する車輪6の数が半分になる。第1油圧ポンプ41F及び第2油圧ポンプ41Bが同一のものであり、油圧モータ10FL,10FR,10BL,10BRも同一のものであるので、第1エンジン13Fの駆動力により油圧モータ10FL,10FRへ供給される圧油の供給量を、通常運転状態と第1エンジン運転状態とで同一にできる。これにより、油圧モータ10FL,10FRの回転速度を通常運転状態と第1エンジン運転状態とで同一にできる。
次に図6(a)及び図6(b)を参照して、第1エンジン13Fが通常駆動状態または停止状態である場合の第1走行回路40Fの作動油の流れについて説明する。図6(a)は第1エンジン13Fが通常駆動状態である場合の第1走行回路40Fの状態を示した概略図であり、図6(b)は第1エンジン13Fが停止状態である場合の第1走行回路40Fの状態を示した概略図である。
図6(a)に示すように、第1エンジン13Fが通常駆動状態(通常運転状態または第1エンジン運転状態)である場合には、第1モータ逆転ブロック60FLの第1逆転切換弁65FL(図5参照)、及び、第2モータ逆転ブロック60FRの第2逆転切換弁65FR(図5参照)が第1位置である。第1油圧ポンプ41Fから吐出された圧油は、第1流路42F、第3流路44FL、油圧モータ10FL、第4流路45FL、第2流路43Fの順に通って第1油圧ポンプ41Fへ、又は、第1流路42F、第3流路44FR、油圧モータ10FR、第4流路45FR、第2流路43Fの順に通って第1油圧ポンプ41Fへ戻るので、車輪6L2,6R2を正転させることができる。
一方、第1エンジン13Fが停止状態(第2エンジン運転状態)である場合には、第2エンジン13Bにより車輪6L5,6R5が回転駆動して搬送車1が走行するので、その搬送車1の走行に伴って車輪6L2,6R2が従動回転し、車輪6L2,6R2の従動回転により油圧モータ10FL,10FRが回転して油圧ポンプのように振る舞う。このとき、第1モータ逆転ブロック60FLの第1逆転切換弁65FLを第2位置にして、第2モータ逆転ブロック60FRの第2逆転切換弁65FRを第1位置にする。
図6(b)に示すように、油圧モータ10FLから吐出された作動油は、第4流路45FL、第1流路42F、第3流路44FRを通って油圧モータ10FRに供給され、油圧モータ10FRから吐出された作動油は、第4流路45FR、第2流路43F、第3流路44FLを通って油圧モータ10FLに供給される。このように、第2エンジン運転状態の第1走行回路40Fは、油圧モータ10FL,10FRから吐出された作動油が、第1油圧ポンプ41Fを介することなく、それぞれ油圧モータ10FL,10FRへ戻る循環回路を形成する(循環回路形成手段)。第1油圧ポンプ41Fによりエネルギーをロスすることなく、車輪6L2,6R2が従動回転できるので、車輪6L2,6R2の従動回転に掛かる負荷を抑制して、第2エンジン運転状態の搬送車1の走行をスムーズにできる。なお、第1逆転切換弁65FLを第1位置にして、第2逆転切換弁65FRを第2位置にした場合も同様に循環回路が形成される。
また、第2エンジン13Bが停止状態(第1エンジン運転状態)である場合には、第3モータ逆転ブロック60BRの第3逆転切換弁65BRを第2位置にすることで、油圧モータ10BL,10BRから吐出された作動油が、第2油圧ポンプ41Bを介することなく、それぞれ油圧モータ10BL,10BRへ戻る循環回路を形成する(循環回路形成手段)。第2油圧ポンプ41Bによりエネルギーをロスすることなく、車輪6L5,6R5が従動回転できるので、車輪6L5,6R5の従動回転に掛かる負荷を抑制して、第1エンジン運転状態の搬送車1の走行をスムーズにできる。
以上のような搬送車1によれば、省エネ運転状態により、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの一方を停止状態にして他方を通常駆動状態にすることで、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの一方による燃料消費をなくすことができる。その結果、エンジンが消費する燃料を抑制できるので、搬送車1の燃費を向上できる。
また、通常運転状態から省エネ運転状態に切り換えるときに操作される補機連通ブロック30、走行連通ブロック50、逆転ブロック60FL,60FR,60BRは、電磁切換弁である各切換弁37,53,65FL,65FR,65BRにより操作される。各ブロック30,50,60FL,60FR,60BRが互いに離れて配設される場合や、荷台2の下に配設される場合でも、各ブロック30,50,60FL,60FR,60BRをそれぞれ電気信号により容易に操作できるので、通常運転状態から省エネ運転状態への切り換えを容易にできる。
次に図7を参照して、搬送車1の空気圧回路70について説明する。図7は搬送車1の空気圧回路70を示した概略図である。空気圧回路70は、車輪6に制動力を付与するためのエアブレーキ(図示せず)等の空気圧機器に圧縮空気を供給するための回路である。
図7に示すように、空気圧回路70は、車両前方側の第1空気圧回路70Fと、車両後方側の第2空気圧回路70Bとを備え、第1空気圧回路70Fのブレーキタンク74Fと第2空気圧回路70Bのブレーキタンク74Bとが連結路75により互いに連通可能に連結されている。ブレーキタンク74Fは車両前方側の車輪6L1〜6L3,6R1〜6R3のエアブレーキに圧縮空気を供給し、ブレーキタンク74Bは車両後方側の車輪6L4〜6L6,6R4〜6R6のエアブレーキに圧縮空気を供給する。図7左側の第1空気圧回路70Fの構成と、図7右側の第2空気圧回路70Bの構成とは左右対称に示されているので、第1空気圧回路70Fについて説明し、第2空気圧回路70Bの説明を一部省略する。
第1空気圧回路70Fは、第1コンプレッサ71F(第2空気圧回路70Bでは第2コンプレッサ71B)と、第1コンプレッサ71Fに接続される第1メインタンク72F(第2空気圧回路70Bでは第2メインタンク72B)と、第1メインタンク72Fに接続される補機エアユニット73Fと、第1メインタンク72Fに接続されるブレーキタンク74Fとを備えている。第1コンプレッサ71Fと第1メインタンク72Fとの間には第1コンプレッサ71Fへの圧縮空気の逆流を防止する逆止弁76が設けられ、第1メインタンク72Fとブレーキタンク74Fとの間にも第1メインタンク72Fへの圧縮空気の逆流を防止する逆止弁76が設けられる。
第1コンプレッサ71Fは、第1エンジン13F(第2空気圧回路70Bでは第2エンジン13B)の駆動力により圧縮空気を生成する装置である。第1コンプレッサ71Fにより生成された空気は、第1メインタンク72Fへ送り込まれ、第1メインタンク72Fを介してブレーキタンク74Fへ送り込まれる。
第1メインタンク72Fは、圧縮空気を貯留し、補機エアユニット73Fへ圧縮空気を供給するためのものである。第1メインタンク72Fには、第1メインタンク72F内の圧力を計測するための第1空気圧センサ77F(第2空気圧回路70Bでは第2空気圧センサ77B)が設けられている。
補機エアユニット73Fは、車両前方側のサイドミラー12Fやエアホーンなどの空気圧補機(エアブレーキを除く空気圧機器)への圧縮空気の流量、流通方向を制御する複数の弁が内蔵されたユニットである。補機エアユニット73Fは、運転手による操作等に基づいて複数の弁を制御して、空気圧補機へ圧縮空気を送り、空気圧補機を作動させる。
ブレーキタンク74Fは、運転手によるブレーキ操作に基づいてブレーキシリンダへ供給する圧縮空気を貯留するためのものである。ブレーキタンク74Fとブレーキタンク74Bとが連結路75により互いに連結されているので、省エネ運転状態により第1コンプレッサ71F及び第2コンプレッサ71Bの一方が停止した場合でも、第1コンプレッサ71F及び第2コンプレッサ71Bの他方から、ブレーキタンク74F,74Bの両方に圧縮空気を供給することができる。
以上のような搬送車1は、昇降装置9の操作や、補機切換弁37や走行切換弁53の切換などの制御をするための制御装置80を備えている。図8を参照して、制御装置80の詳細構成について説明する。図8は制御装置80の電気的構成を示したブロック図である。図8に示すように、制御装置80は、CPU81、EEPROM82及びRAM83を備え、それらがバスライン84を介して入出力ポート85に接続されている。また、入出力ポート85には補機連通ブロック30や走行連通ブロック50等の装置が接続されている。
CPU81は、バスライン84により接続された各部を制御する演算装置である。EEPROM82は、CPU81により実行される制御プログラム(例えば、図9から図13に図示されるフローチャートのプログラム)や固定値データ等を記憶する書き換え可能な不揮発性のメモリである。即ち、EEPROM82は、電源オン時において書き換え可能であると共に、電源オフ後においてもその内容を保持可能な不揮発性のメモリである。
EEPROM82には、第1運転時間メモリ82a(時間保存手段)と、第2運転時間メモリ82b(時間保存手段)とが設けられている。第1運転時間メモリ82aは、第1エンジン運転の開始時から終了時までの経過時間(第1エンジンの駆動時間)を累積した第1エンジン運転の累積時間を記憶するメモリである。第2運転時間メモリ82bは、第2エンジン運転の開始時から終了時までの経過時間(第2エンジンの駆動時間)を累積した第2エンジン運転の累積時間を記憶するメモリである。
RAM83は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリであり、車両状態フラグ83aが設けられている。車両状態フラグ83aは、搬送車1の車両状態が所定の条件を満たすか否かを示すフラグであり、後述する車両状態判断処理(図9参照)の実行時にオン又はオフに切り換えられる。
第1電圧計92Fは、第1エンジン13Fが駆動する充電装置(図示せず)により充電される第1バッテリ91Fの電圧を検出するための機器である。第2電圧計92Bは、第2エンジン13Bが駆動する充電装置(図示せず)により充電される第2バッテリ91Bの電圧を検出するための機器である。第1バッテリ91Fは車両前方側の電気機器に電気を供給するものであり、第2バッテリ91Bは車両後方側の電気機器に電気を供給するものである。
第1空気圧センサ77Fは、第1メインタンク72F内の空気圧を検出するためのセンサであり、第2空気圧センサ77Bは、第2メインタンク72B内の空気圧を検出するためのセンサである。荷重センサ93は、荷台2に積載された荷物の重量を検出するためのセンサである。例えば、荷重センサ93は、各昇降装置9のシリンダ内の圧力を検出する圧力センサを備え、圧力センサにより検出した圧力から各昇降装置9に掛かる重量を算出して、各昇降装置9に掛かる重量を合計することで、荷物の重量を検出する。
タイマ94は、上述したように、第1エンジン運転および第2エンジン運転の開始時から終了時までの経過時間を測定するための機器である。第1電圧計92F、第2電圧計92B、第1空気圧センサ77F、第2空気圧センサ77B、荷重センサ93及びタイマ94は、検出結果を処理してCPU81に出力する出力回路(図示せず)を備えている。
第1エンジン13F及び第2エンジン13Bは、ディーゼルエンジンであり、燃料噴射装置(図示せず)からの燃料の供給を止めることで停止する。第1エンジン13F及び第2エンジン13Bは、グロープラグ(図示せず)により予熱した後、スターターモータ(図示せず)によりクランク軸(図示せず)を回転させ、燃料噴射装置から燃料を供給することで駆動を開始する。
補機連通ブロック30は、上述したように、第1補機回路20Fと第2補機回路20Bとを連通可能に繋ぐための回路であり、開弁状態と閉弁状態とを切り換える補機切換弁37を備えている。走行連通ブロック50は、上述したように、第1流路42Fと第1流路42Bと、及び、第2流路43Fと第2流路43Bとを連通可能に繋ぐための回路であり、開弁状態と閉弁状態とを切り換える走行切換弁53を備えている。
第1モータ逆転ブロック60FLは、上述したように、第1油圧ポンプ41Fの圧油の吐出方向に対して油圧モータ10FLへの圧油の供給方向を選択するための回路であり、油圧モータ10FLへの圧油の供給方向を切り換える第1逆転切換弁65FLを備えている。第2モータ逆転ブロック60FRは、上述したように、第1油圧ポンプ41Fの圧油の吐出方向に対して油圧モータ10FRへの圧油の供給方向を選択するための回路であり、油圧モータ10FRへの圧油の供給方向を切り換える第2逆転切換弁65FRを備えている。第3モータ逆転ブロック60BRは、上述したように、第2油圧ポンプ41Bの圧油の吐出方向に対して油圧モータ10BRへの圧油の供給方向を選択するための回路であり、油圧モータ10BRへの圧油の供給方向を切り換える第3逆転切換弁65BRを備えている。
昇降制御装置95は、荷台2の昇降操作の指示を入力するための装置であり、昇降制御装置95を操作することで、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bをアイドルアップ状態にして(アイドリング時のエンジン回転数を上げて)昇降装置9を作動させる準備をした後に、昇降装置9を作動させて荷台2を昇降させる。走行モード選択装置96(走行モード選択手段)は、上述したように、搬送車1の走行モードを選択するための装置であり、走行モードには、前後進モード、前後斜行モード、横行モード、横行斜行モード、スピンモードがある。
自動省エネ運転スイッチ97は、省エネ運転が可能である場合に自動的に通常運転から省エネ運転に切り換えるか否かを選択するスイッチであり、自動省エネ運転スイッチ97がオンである場合に自動的に通常運転から省エネ運転への切り換えを可能にし、自動省エネ運転スイッチ97がオフである場合には通常運転を行う。なお、制御装置80の電源が投入されたとき、自動省エネ運転スイッチ97はオンとなる。
図8に示す他の入出力装置90としては、例えば、外気温センサが挙げられる。外気温センサは外気温を検出するためのセンサであり、検出結果を処理してCPU81に出力する出力回路を備えている。
次に、図9を参照して、車両状態判断処理について説明する。図9は車両状態判断処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置80の電源が投入されている間、CPU81によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、搬送車1の車両状態が所定の条件を満たすかを判断する処理である。
CPU81は、車両状態判断処理に関し、自動省エネ運転スイッチ97がオンであるか否かを判断する(S1)。その結果、自動省エネ運転スイッチ97がオフであると判断される場合には(S1:No)、車両状態フラグ83aをオフして(S7)、この車両状態判断処理を終了する。
一方、S1の処理の結果、自動省エネ運転スイッチ97がオンであると判断される場合には(S1:Yes)、荷台2に積載された荷物の重量を荷重センサ93により検出し(S2)、その検出した荷物の重量が所定値以上であるか否かを判断する(S3)。なお、S3の処理では、S2の処理で検出した荷物の重量と、EEPROM82に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の荷物の重量が所定値以上であるか否かを判断する。荷物の重量が増加するにつれて、搬送車1を走行させるためには大きな駆動力が必要となる。そのため、EEPROM82に予め記憶されている閾値としては、一般的な道路(例えば、縦断勾配が約10%以下)を、第1エンジン13Fの駆動力または第2エンジン13Bの駆動力のみで搬送車1が走行できるような荷物の重量の値が設定される。
S3の処理の結果、荷物の重量が所定値以上であると判断される場合には(S3:Yes)、車両状態フラグ83aをオフして(S7)、この車両状態判断処理を終了する。一方、S3の処理の結果、荷物の重量が所定値未満であると判断される場合には(S3:No)、昇降制御装置95により荷台2の昇降操作がされているか否かを判断する(S4)。その結果、荷台2の昇降操作がされていると判断される場合には(S4:Yes)、車両状態フラグ83aをオフして(S7)、この車両状態判断処理を終了する。
一方、S4の処理の結果、荷台2の昇降操作がされていないと判断される場合には(S4:No)、走行モード選択装置96により選択された走行モードが横行、横行斜行、スピンのいずれかであるか否かを判断する(S5)。その結果、走行モードが横行、横行斜行、スピンのいずれかであると判断される場合には(S5:Yes)、車両状態フラグ83aをオフして(S7)、この車両状態判断処理を終了する。
一方、S5の処理の結果、走行モードが横行、横行斜行、スピンのいずれかでない(走行モードが前後進、前後斜行である)と判断される場合には(S5:No)、車両状態フラグ83aをオンして(S6)、この車両状態判断処理を終了する。即ち、この車両状態判断処理では、自動省エネ運転スイッチ97がオンであり、昇降制御装置95が操作されておらず、走行モード選択装置96により選択された走行モードが横行、横行斜行、スピンのいずれかではなく、且つ、荷物の重量が所定値未満である場合に搬送車1の車両状態が所定の条件を満たしていると判断する。
次に、図10及び図11を参照して、自動省エネ運転処理について説明する。図10及び図11は自動省エネ運転処理を示すフローチャートである。この処理は、制御装置80の電源が投入されている間、CPU81によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、省エネ運転が可能か否か、省エネ運転が可能であるならば第1エンジン運転または第2エンジン運転のいずれを選択するかを判断する処理である。なお、制御装置80の電源が投入されたとき、搬送車1は通常運転状態である。
CPU81は、自動省エネ運転処理に関し、車両状態フラグ83aがオンであるか否かを判断する(S11)。その結果、車両状態フラグ83aがオフであると判断される場合には(S11:No)、この車両状態判断処理を終了する。即ち、搬送車1は通常運転状態を継続する。
一方、S11の処理の結果、車両状態フラグ83aがオンであると判断される場合には(S11:Yes)、第1バッテリ91Fの電圧および第2バッテリ91Bの電圧をそれぞれ第1電圧計92F及び第2電圧計92Bにより検出し(S12)、その検出した第1バッテリ91Fの電圧が所定値以上であるか否かを判断する(S13)。なお、S13の処理では、S12の処理で検出した第1バッテリ91Fの電圧と、EEPROM82に予め記憶されている閾値(例えば24V)とを比較して、現在の第1バッテリ91Fの電圧が所定値以上であるか否かを判断する。EEPROM82に予め記憶されている閾値として、第1バッテリ91Fの放電終止電圧よりも高い値が設定されることで、第1バッテリ91Fの耐久性を確保できる。
S13の処理の結果、第1バッテリ91Fの電圧が所定値以上であると判断される場合には(S13:Yes)、S12の処理で検出した第2バッテリ91Bの電圧が所定値以上であるか否かを判断する(S14)。なお、S14の処理では、S12の処理で検出した第2バッテリ91Bの電圧と、EEPROM82に予め記憶されている閾値(例えば24V)とを比較して、現在の第2バッテリ91Bの電圧が所定値以上であるか否かを判断する。EEPROM82に予め記憶されている閾値として、第2バッテリ91Bの放電終止電圧よりも高い値が設定されることで、第2バッテリ91Bの耐久性を確保できる。
S14の処理の結果、第2バッテリ91Bの電圧が所定値未満であると判断される場合には(S14:No)、即ち、第1バッテリ91Fの電圧が所定値以上であり、且つ、第2バッテリ91Bの電圧が所定値未満である場合に、後述する第2エンジン運転処理を実行して(S20)、この自動省エネ運転処理を終了する。
一方、S14の処理の結果、第2バッテリ91Bの電圧が所定値以上であると判断される場合には(S14:Yes)、即ち、第1バッテリ91Fの電圧および第2バッテリ91Bの電圧がいずれも所定値以上であると判断される場合には、第1メインタンク72Fの空気圧および第2メインタンク72Bの空気圧をそれぞれ第1空気圧センサ77F及び第2空気圧センサ77Bにより検出し(S15)、第1メインタンク72Fの空気圧が所定値以上であるかを判断する(S16)。なお、S16の処理では、S15の処理で検出した第1メインタンク72Fの空気圧と、EEPROM82に予め記憶されている閾値(例えば0.69MPa)とを比較して、現在の第1メインタンク72Fの空気圧が所定値以上であるか否かを判断する。
その結果、第1メインタンク72Fの空気圧が所定値以上であると判断される場合には(S16:Yes)、S15の処理で検出した第2メインタンク72Bの空気圧が所定値以上であるか否かを判断する(S17)。なお、S17の処理では、S15の処理で検出した第2メインタンク72Bの空気圧と、EEPROM82に予め記憶されている閾値(例えば0.69MPa)とを比較して、現在の第2メインタンク72Bの空気圧が所定値以上であるか否かを判断する。
その結果、第2メインタンク72Bの空気圧が所定値未満であると判断される場合には(S17:No)、即ち、第1メインタンク72Fの空気圧が所定値以上であり、且つ、第2メインタンク72Bの空気圧が所定値未満であると判断される場合には、後述する第2エンジン運転処理を実行して(S20)、この自動省エネ運転処理を終了する。
一方、S17の処理の結果、第2メインタンク72Bの空気圧が所定値以上であると判断される場合には(S17:Yes)、即ち、第1メインタンク72Fの空気圧および第2メインタンク72Bの空気圧がいずれも所定値以上であると判断される場合には、第1運転時間メモリ82a及び第2運転時間メモリ82bからそれぞれ第1エンジン運転の累積時間および第2エンジン運転の累積時間を読み込み(S18)、第1エンジン運転の累積時間が第2エンジン運転の累積時間以上であるか否かを判断する(S19)。
その結果、第1エンジン運転の累積時間が第2エンジン運転の累積時間以上である場合には(S19:Yes)、後述する第2エンジン運転処理を実行して(S20)、この自動省エネ運転処理を終了する。一方、S19の処理の結果、第1エンジン運転の累積時間が第2エンジン運転の累積時間未満である場合には(S19:No)、後述する第1エンジン運転処理を実行して(S21)、この自動省エネ運転処理を終了する。
S13の処理の結果、第1バッテリ91Fの電圧が所定値未満であると判断される場合には(S13:No)、S12の処理で検出した第2バッテリ91Bの電圧が所定値以上であるか否かを判断する(S22)。なお、S22の処理では、S14の処理と同様に、S12の処理で検出した第2バッテリ91Bの電圧と、EEPROM82に予め記憶されている閾値(例えば24V)とを比較して、現在の第2バッテリ91Bの電圧が所定値以上であるか否かを判断する。
その結果、第2バッテリ91Bの電圧が所定値以上であると判断される場合には(S22:Yes)、即ち、第1バッテリ91Fの電圧が所定値未満であり、且つ、第2バッテリ91Bの電圧が所定値以上であると判断される場合には、後述する第1エンジン運転処理を実行して(S21)、この自動省エネ運転処理を終了する。一方、S22の処理の結果、第2バッテリ91Bの電圧が所定値未満であると判断される場合には(S22:No)、この自動省エネ運転処理を終了する。即ち、第1バッテリ91Fの電圧および第2バッテリ91Bの電圧がいずれも所定値未満であると判断される場合には、搬送車1が通常運転状態を継続する。
S16の処理の結果、第1メインタンク72Fの空気圧が所定値未満であると判断される場合には(S16:No)、S15の処理で検出した第2メインタンク72Bの空気圧が所定値以上であるか否かを判断する(S23)。なお、S23の処理では、S17の処理と同様に、S15の処理で検出した第2メインタンク72Bの空気圧と、EEPROM82に予め記憶されている閾値(例えば0.69MPa)とを比較して、現在の第2メインタンク72Bの空気圧が所定値以上であるか否かを判断する。
その結果、第2メインタンク72Bの空気圧が所定値以上であると判断される場合には(S23:Yes)、即ち、第1メインタンク72Fの空気圧が所定値未満であり、且つ、第2メインタンク72Bの空気圧が所定値以上であると判断される場合には、後述する第1エンジン運転処理を実行して(S21)、この自動省エネ運転処理を終了する。一方、S23の処理の結果、第2メインタンク72Bの空気圧が所定値未満であると判断される場合には(S23:No)、この自動省エネ運転処理を終了する。即ち、第1メインタンク72Fの空気圧および第2メインタンク72Bの空気圧がいずれも所定値未満であると判断される場合には、搬送車1が通常運転状態を継続する。
次に、図12を参照して、第1エンジン運転処理(S21)について説明する。図12は第1エンジン運転処理を示すフローチャートである。この処理は、搬送車1の運転状態を通常運転状態から第1エンジン運転状態に切り換えるときに実行される処理である。
CPU81は、第1エンジン運転処理に関し、第2エンジン13Bを停止させ(S31)、タイマ94による測定を開始し(S32)、補機切換弁37、走行切換弁53、第3逆転切換弁65BRへ通電する(S33)。これにより、搬送車1の運転状態が通常運転状態から第1エンジン運転状態に切り換えられる。
次いで、車両状態フラグ83aがオンであるか否かを判断する(S34)。その結果、車両状態フラグ83aがオンであると判断される場合には(S34:Yes)、再びS34の処理を実行する。即ち、車両状態フラグ83aがオフと判断されるまで、搬送車1は第1エンジン運転状態を継続する。
一方、S34の処理の結果、車両状態フラグ83aがオフであると判断される場合には(S34:No)、第2エンジン13Bを駆動させ(S35)、タイマ94による測定を終了して第1エンジン運転の累積時間を第1運転時間メモリ82aに記憶し(S36)、補機切換弁37、走行切換弁53、第3逆転切換弁65BRへの通電を遮断する(S37)。これにより、搬送車1の運転状態が第1エンジン運転状態から通常運転状態に切り換えられる。なお、S36の処理では、第1運転時間メモリ82aに記憶されている前回までの累積時間に、タイマ94の測定結果である第1エンジン運転の経過時間を加えたものを新たな第1エンジン運転の累積時間として第1運転時間メモリ82aに記憶する。
次に、図13を参照して、第2エンジン運転処理(S20)について説明する。図13は第2エンジン運転処理を示すフローチャートである。この処理は、搬送車1の運転状態を通常運転状態から第2エンジン運転状態に切り換えるときに実行される処理である。
CPU81は、第2エンジン運転処理に関し、第1エンジン13Fを停止させ(S41)、タイマ94による測定を開始し(S42)、補機切換弁37、走行切換弁53、第1逆転切換弁65FLへ通電する(S43)。これにより、搬送車1の運転状態が通常運転状態から第2エンジン運転状態に切り換えられる。
次いで、車両状態フラグ83aがオンであるか否かを判断する(S44)。その結果、車両状態フラグ83aがオンであると判断される場合には(S44:Yes)、再びS44の処理を実行する。即ち、車両状態フラグ83aがオフと判断されるまで、搬送車1は第2エンジン運転状態を継続する。
一方、S44の処理の結果、車両状態フラグ83aがオフであると判断される場合には(S44:No)、第1エンジン13Fを駆動させ(S45)、タイマ94による測定を終了して第2エンジン運転の累積時間を第2運転時間メモリ82bに記憶し(S46)、補機切換弁37、走行切換弁53、第1逆転切換弁65FLへの通電を遮断する(S47)。これにより、搬送車1の運転状態が第2エンジン運転状態から通常運転状態に切り換えられる。なお、S46の処理では、第2運転時間メモリ82bに記憶されている前回までの累積時間に、タイマ94の測定結果である第2エンジン運転の経過時間を加えたものを新たな第2エンジン運転の累積時間として第2運転時間メモリ82bに記憶する。
以上のような搬送車1によれば、S20,S21の処理により搬送車1を省エネ運転状態にでき、S31,S41の処理により第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの一方を停止状態にできるので、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの一方による燃料消費をなくすことができる。その結果、エンジンが消費する燃料を抑制できるので、搬送車1の燃費を向上できる効果がある。S33,S43の処理により、エンジン停止によって圧油が供給されない第1走行回路40F又は第2走行回路40Bに循環回路を形成することで、エネルギーのロスをなくして、搬送車1の走行をスムーズにでき、搬送車1の走行速度を確保できる。
S11,S34,S44の処理により、車両状態フラグ83aがオンである場合には省エネ運転状態にでき、オフである場合には通常運転状態になる。車両状態フラグ83aのオンとオフとがS1,S3,S4,S5の処理により切り換えられる。S3の処理により、積載される荷物の重量が所定値以上の場合には、搬送車1を通常運転状態にするので、2つのエンジンが駆動して搬送車1の登坂力や走行速度を確保できる。一方、荷物が軽い程、エンジンの駆動力が小さくても搬送車1は走行するので、S3の処理により、荷物の重量が所定値未満の場合には、搬送車1を省エネ運転状態にできる。その結果、搬送車1の登坂力や走行速度を確保しつつ、搬送車1の燃料消費を低減して燃費を向上できる。
また、S4の処理により、荷台2の昇降操作がされている場合には搬送車1が通常運転状態になる。昇降制御装置95により荷台2の昇降操作をするときには、搬送車1を通常運転状態にすることで、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bをアイドルアップ状態にして、荷台2を昇降するための油圧を確保できる。逆に言えば、S4の処理により、荷台2の昇降操作がされていない場合には、荷台2を昇降するための油圧が不要なので、搬送車1を省エネ運転状態にでき、搬送車1の燃料消費を低減して燃費を向上できる。
走行モードが横行、横行斜行、スピンのいずれかである場合、前後方向に長手形状である荷台2における車両前方側の車輪6L2,6R2、又は、車両後方側の車輪6L5,6R5のみが走行駆動すると、搬送車1の走行が安定しないことがある。S5の処理により、走行モードが横行、横行斜行、スピンのいずれかである場合に搬送車1を通常運転状態にする(省エネ運転を禁止する)ことで、搬送車1の走行を安定にできる。逆に言えば、S5の処理により、走行モードが横行、横行斜行、スピンのいずれかでない場合には搬送車1を省エネ運転状態にできるので、搬送車1の燃費を向上させつつ搬送車1の走行時の安定性を確保できる。
S13,S14,S22の処理により、電圧が所定値未満のバッテリに充電するエンジンを駆動させるので、搬送車1を走行させつつバッテリの充電ができる。これにより、第1バッテリ91F及び第2バッテリ91Bによりそれぞれ電気が供給される電気機器の動作の安定性を確保できる。
S16,S17,S23の処理により、空気圧が所定値未満のメインタンクに圧縮空気を供給するエンジンを駆動させるので、搬送車1を走行させつつメインタンクに圧縮空気を供給できる。これにより、第1メインタンク72F及び第2メインタンク72Bによりそれぞれ圧縮空気が供給される空気圧補機の動作の安定性を確保できる。
S19の処理により、第1エンジン運転の累積時間と第2エンジン運転の累積時間とを比べて累積時間が短い側で省エネ運転をする。即ち、第1エンジン13Fと第2エンジン13Bとで累積の駆動時間が長いエンジンを停止して、第1エンジン13Fと第2エンジン13Bとで累積の駆動時間が短いエンジンを駆動させるので、エンジンの駆動時間を平均化させることができ、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの耐久性を確保できる。
ここで、図9から図13のフローチャートにおいて、請求項2記載の重量判断手段としてはS3の処理が、請求項1記載の省エネ運転制御手段としてはS20,S21の処理がそれぞれ該当する。請求項3記載の運転禁止手段としてはS5の処理を経て(S5:Yes)、車両状態フラグ83aをオフにする処理(S7)が該当する。請求項4記載の比較手段およびエンジン選択手段としてはS19の処理が該当する。
次に、図14を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1モータ逆転ブロック60FL、第2モータ逆転ブロック60FR又は第3モータ逆転ブロック60BRを有する搬送車1について説明した。これに対し第2実施の形態では、モータ逆転ブロック60FL,60FR,60BRを有しない搬送車100について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
図14は第2実施の形態における第1エンジン13Fが停止状態である場合の第1走行回路110Fの状態を示した概略図である。なお、本実施の形態では第1走行回路110Fを図示して第1走行回路110Fについて説明するが、第1走行回路110Fと略左右対称に構成される第2走行回路110Bについても同じことが言える。
搬送車100は、モータ逆転ブロック60FL,60FR,60BRを有しないので、搬送車100の走行モードには、前後進モード、前後斜行モードがあり、横行モード、横行斜行モード、スピンモードがない。図14に示すように、搬送車100の第1走行回路101Fは、第1流路42Fと第3流路44FL,44FRとが直結され、第2流路43Fと第4流路45FL,45FRとが直結されている。
第1走行回路101Fは、第1流路42Fと第2流路43Fとを連通可能に繋ぐ流路連通ブロック102Fを備えている。流路連通ブロック102Fは、非通電時に第1流路42Fと第2流路43Fとを遮断する閉弁状態を保ち、通電時に第1流路42Fと第2流路43Fとを連通する開弁状態を保つ弁であり、補機連通ブロック30と略同一の構成である。
搬送車100は、第1エンジン13Fが停止状態(第2エンジン運転状態)である場合、車輪6L2,6R2が従動回転し、油圧モータ10FL,10FRが油圧ポンプのように振る舞う。このとき、流路連通ブロック102Fを開弁状態にすることで、油圧モータ10FLから吐出された作動油は、第4流路45FL、第1流路42F、流路連通ブロック102F、第2流路43F、第3流路44FLの順に通って再び油圧モータ10FLに供給される。さらに、油圧モータ10FRから吐出された作動油は、第4流路45FR、第1流路42F、流路連通ブロック102F、第2流路43F、第3流路44FRの順に通って再び油圧モータ10FRに供給される。
このように、第2エンジン運転状態の第1走行回路101Fは、油圧モータ10FL,10FRから吐出された作動油が、第1油圧ポンプ41Fを介することなく、それぞれ油圧モータ10FL,10FRへ戻る循環回路を流路連通ブロック102Fにより形成する(循環回路形成手段)。第1油圧ポンプ41Fによりエネルギーをロスすることなく、車輪6L2,6R2が従動回転できるので、第2エンジン運転状態の搬送車100の走行をスムーズにできる。
第1エンジン運転状態の第2走行回路101Bは、第1走行回路101Fと同様に、油圧モータ10BL,10BRから吐出された作動油が、第2油圧ポンプ41Bを介することなく、それぞれ油圧モータ10BL,10BRへ戻る循環回路を流路連通ブロック102Bにより形成する(循環回路形成手段)。第2油圧ポンプ41Bによりエネルギーをロスすることなく、車輪6L5,6R5が従動回転できるので、第1エンジン運転状態の搬送車100の走行をスムーズにできる。
なお、第2実施の形態では、第1エンジン運転処理(図12参照)のS32の処理において、第3逆転切換弁65BRへの通電に代えて流路連通ブロック102Fへ通電し、S35の処理において、第3逆転切換弁65BRへの通電の遮断に代えて流路連通ブロック102Fへの通電を遮断する。また、第2エンジン運転処理(図13参照)のS42の処理において、第1逆転切換弁65FLへの通電に代えて流路連通ブロック102Bへ通電し、S45の処理において、第1逆転切換弁65FLへの通電の遮断に代えて流路連通ブロック102Bへの通電を遮断する。
次に、図15(a)を参照して第3実施の形態について説明する。第1実施の形態では、第1エンジン13Fの駆動力により第1メインタンク72Fへ圧縮空気を送り込み、第2エンジン13Bの駆動力により第2メインタンク72Bへ圧縮空気を送り込む搬送車1について説明した。これに対し第3実施の形態では、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの一方の駆動力により第1メインタンク72F及び第2メインタンク72Bの両方へ圧縮空気を送り込むことが可能である搬送車110について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図15(a)は、第3実施の形態における搬送車110の空気圧回路111を示した概略図である。
図15(a)に示すように、搬送車110の空気圧回路111は、車両前方側の第1空気圧回路111Fと、車両後方側の第2空気圧回路111Bとを備え、第1空気圧回路111Fの第1メインタンク72Fと、第2空気圧回路111Bの第2メインタンク72Bとが電磁弁112により連通可能に繋がれている。電磁弁112は、非通電時に第1メインタンク72Fと第2メインタンク72Bとを遮断する閉弁状態を保ち、通電時に第1メインタンク72Fと第2メインタンク72Bとを連通する開弁状態を保つ弁である。
搬送車110は、第1運転状態において電磁弁112を開弁状態にすることで、第1エンジン13Fの駆動力により第1コンプレッサ71Fが駆動して第1メインタンク72Fへ圧縮空気が送り込まれ、第1メインタンク72Fから電磁弁112を通って第2メインタンク72Bへ圧縮空気が送り込まれる。搬送車110が第2運転状態である場合も同様に、第2エンジン13Bにより駆動する第2コンプレッサ71Bによって第1メインタンク72F及び第2メインタンク72Bへ圧縮空気が送り込まれる。
搬送車110は、省エネ運転状態により第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの一方が停止しても、第1メインタンク72F及び第2メインタンク72Bの両方へ圧縮空気が供給されるので、第1メインタンク72F及び第2メインタンク72B内の空気圧を確保できる。これにより、空気圧補機の動作の安定性を確保できると共に、S15,S16,S17,S23(図11参照)の処理を不要にできる。
また、搬送車110の電気回路は、第1バッテリ91F及び第2バッテリ91Bのそれぞれが、車両前方側の電気機器および車両後方側の電気機器のいずれにも電気を供給可能に構成される。さらに、搬送車110が省エネ運転状態である場合には、通常駆動状態のエンジンの駆動力により充電されるバッテリを用いて、全ての電気機器に電気を供給するように構成される。これにより、電気機器の動作の安定性を確保できると共に、S12,S13,S14,S22(図10参照)の処理を不要にできる。
以上のようにS12からS17,S22,S23の処理を不要にできるので、S11の処理の結果、車両状態フラグがオンであると判断される場合には(S11:Yes)、S18(図11参照)の処理が実行される。搬送車110の車両状態が所定の条件を満たしていると判断された場合には(S11:Yes)、第1エンジン運転の累積時間と第2エンジン運転の累積時間のみで搬送車110を通常運転状態から、第1エンジン運転状態または第2エンジン運転状態のいずれに切り換えるかを決定できる。S12からS17,S22,S23の処理が必要な場合に比べて、エンジンの駆動時間をより平均化させることができるので、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの耐久性を向上できる。
次に、図15(b)を参照して第4実施の形態について説明する。第3実施の形態では、第1メインタンク72Fと第2メインタンク72Bとが電磁弁112により連通可能に繋がれている搬送車110について説明した。これに対し第4実施の形態では、第1メインタンク72Fとブレーキタンク74Fと、及び、第2メインタンク72Bとブレーキタンク74Bとがそれぞれ第1電磁弁122F及び第2電磁弁122Bにより連通可能に繋がれている搬送車120について説明する。なお、第1,3実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図15(b)は、第4実施の形態における搬送車120の空気圧回路121を示した概略図である。
図15(b)に示すように、搬送車120の空気圧回路121は、車両前方側の第1空気圧回路121Fと、車両後方側の第2空気圧回路121Bとを備えている。第1空気圧回路121Fは、第1メインタンク72Fとブレーキタンク74Fとを連通可能に繋ぐ第1電磁弁122Fを備えている。第1電磁弁122Fは、非通電時に第1メインタンク72Fとブレーキタンク74Fとを遮断する閉弁状態となり、通電時に第1メインタンク72Fとブレーキタンク74Fとを連通する開弁状態となる弁である。
第2空気圧回路121Bは、第2メインタンク72Bとブレーキタンク74Bとを連通可能に繋ぐ第2電磁弁122Bを備えている。第2電磁弁122Bは、非通電時に第2メインタンク72Bとブレーキタンク74Bとを遮断する閉弁状態となり、通電時に第2メインタンク72Bとブレーキタンク74Bとを連通する開弁状態となる弁である。
搬送車120は、第1運転状態において第2電磁弁122Bを開弁状態にすることで、第1エンジン13Fにより駆動する第1コンプレッサ71Fが駆動して第1メインタンク72Fへ圧縮空気を送り込み、第1メインタンク72Fからブレーキタンク74F,74B、第2電磁弁122Bを通って第2メインタンク72Bへ圧縮空気が送り込まれる。
搬送車120は、第2運転状態において第1電磁弁122Fを開弁状態にすることで、第2エンジン13Bにより駆動する第2コンプレッサ71Bが駆動して第2メインタンク72Bへ圧縮空気を送り込み、第2メインタンク72Bからブレーキタンク74F,74B、第1電磁弁122Fを通って第1メインタンク72Fへ圧縮空気が送り込まれる。
搬送車120は、省エネ運転状態により第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの一方が停止しても、第1メインタンク72F及び第2メインタンク72Bの両方へ圧縮空気が供給されるので、第1メインタンク72F及び第2メインタンク72B内の空気圧を確保できる。これにより、空気圧補機の動作の安定性を確保できると共に、S15,S16,S17,S23(図11参照)の処理を不要にできる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態では、2つのエンジンを備える搬送車1,100,110,120について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、搬送車に3つ以上のエンジンを設けることは当然可能である。この場合の省エネ運転は、3つ以上のエンジンのうち少なくとも1つのエンジンを通常駆動状態にして、その他のエンジンを停止状態にする。3つ以上のエンジンを備える搬送車は、エンジンの数に応じて、それぞれ走行回路、補機回路、油圧ポンプなどが設けられ、隣り合う走行回路および補機回路をそれぞれ繋ぐ走行連通ブロックおよび補機連通ブロックが設けられる。走行連通ブロックで繋がれる走行回路の一方が第1走行回路、他方が第2走行回路に該当し、第1走行回路に配設される油圧ポンプを駆動するエンジンが第1エンジン、第2走行回路に配設される油圧ポンプを駆動するエンジンが第2エンジンに該当する。
上記第1実施の形態では、車両左右方向に2列、車両前後方向の1列に6つ並んで走行装置3(車輪6)が設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車輪6の数や配置を適宜変更することは当然可能である。また、車輪6L2,6R2,6L5,6R5が油圧モータ10FL,10FR,10BL,10BRによりそれぞれ回転駆動する場合について説明したが、どの車輪6を回転駆動させるか、車輪6をいくつ回転駆動させるかは適宜変更可能である。
上記第1実施の形態では、搬送車1の第1エンジン運転状態では第2エンジン13Bを停止状態にし、第2エンジン運転状態では第1エンジン13Fを停止状態にする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1エンジン運転状態では第2エンジン13Bをアイドリング状態にし、第2エンジン運転状態では第1エンジン13Fをアイドリング状態にすることは当然可能である。ディーゼルエンジンである第1エンジン13F及び第2エンジン13Bは停止後に再起動しないおそれがあるので、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bをアイドリング状態にすることで省エネ運転状態から通常運転状態への切り換えをスムーズに行うことができる。
また、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bがアイドリング状態であるので、アイドリング状態の第1エンジン13F及び第2エンジン13Bによりコンプレッサ及び充電装置を駆動できる。省エネ運転状態でも第1メインタンク72Fの空気圧、第2メインタンクの空気圧、第1バッテリ91Fの電圧、第2バッテリ91Bの電圧をそれぞれ確保できるので、空気圧補機や電気機器の動作の安定性を確保できる。
上記第1実施の形態では、第1エンジン13Fにより駆動する第1補機油圧ポンプ21Fが第1補機回路20Fに設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1油圧ポンプ41Fから吐出される圧油を、シャトル弁や電磁切換弁により第1走行回路40Fから第1補機回路20Fへ供給し、第1補機油圧ポンプ21Fを省略することは当然可能である。また、第2補機回路20Fでも同様に、第2油圧ポンプ41Bから吐出される圧油を第2補機回路20Bへ供給して、第2補機油圧ポンプ21Bを省略することも可能である。
上記第1実施の形態では、補機切換弁37によりロジック弁31の開閉状態を切り換えることで補機連通ブロック30が開弁状態と閉弁状態とを切り換える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、補機連通ブロック30を、補機切換弁37により切り換えられるスプール型やスライド型の弁とすることは当然可能である。また、補機連通ブロック30をスプール型やスライド型の電磁切換弁とすることは当然可能である。なお、補機連通ブロック30に限らず、走行連通ブロック50や第1モータ逆転ブロック60FL等でも同様のことが言える。
上記第1実施の形態では、補機切換弁37、走行切換弁53、第1逆転切換弁65FL、第2逆転切換弁65FR及び第3逆転切換弁65BRが電磁切換弁である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各切換弁37,53,65FL,65FR,65BRを手動操作により切り換わる弁とすることは当然可能である。また、補機連通ブロック30、走行連通ブロック50及び逆転ブロック60FL,60FR,60BRを手動操作により切り換わる弁とすることも当然可能である。弁を手動操作する前または操作後に、第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの一方を停止して他方を駆動させることで、省エネ運転ができる。
上記第1実施の形態では、補機切換弁37が、非通電時には供給位置を保ち、通電時には排出位置を保つ電磁切換弁である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、補機切換弁37を、非通電時には排出位置を保ち、通電時には供給位置を保つ電磁切換弁とすることは当然可能である。また、走行切換弁53を、非通電時には供給位置を保ち、通電時には排出位置を保つ電磁切換弁とすることも可能である。第1逆転切換弁65FL、第2逆転切換弁65FR、第3逆転切換弁65BRを、非通電時に第2位置を保ち、通電時に第1位置を保つ電磁切換弁とすることも可能である。
この場合、S32の処理では補機切換弁37、走行切換弁53、第3逆転切換弁65BRへの通電を遮断して、S35の処理では補機切換弁37、走行切換弁53、第3逆転切換弁65BRへ通電する。S42の処理では補機切換弁37、走行切換弁53、第1逆転切換弁65FLへの通電を遮断して、S45の処理では補機切換弁37、走行切換弁53、第1逆転切換弁65FLへ通電する。これらにより、通常運転状態では常に各弁へ通電する必要がある。一方、上記第1実施の形態の場合、通常運転状態では常に各弁への通電を遮断しているので、省エネ運転状態の時間に比べ通常運転状態の時間が長ければ、各弁の開閉に要する消費電力を低減できる。
上記第1実施の形態では、第1走行回路40Fに配設される油圧モータ10FL,10FRの数と、第2走行回路40Bに配設される油圧モータ10BL,10BRの数とが同一である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1走行回路に2つの油圧モータ、第2走行回路に4つの油圧モータを配設することは当然可能である。この場合、第1走行回路に配設される油圧モータの数が、第2走行回路に配設される油圧モータの数の半分であるので、油圧モータの出力軸が一回転するために要する圧油の供給量が各油圧モータで同一であると、第1走行回路に配設される油圧モータへの圧油の供給量の和が、第2走行回路に配設される油圧モータへの圧油の供給量の和の半分になる。第1油圧ポンプの圧油の吐出量を第2油圧ポンプの圧油の吐出量の半分にすることで、第1油圧ポンプからの圧油の吐出量と、第1走行回路に配設される油圧モータへの圧油の供給量の和とを同一にできると共に、第2油圧ポンプからの圧油の吐出量と、第2走行回路に配設される油圧モータへの圧油の供給量の和とを同一にできる。即ち、第1油圧ポンプからの圧油は第1走行回路内で利用され、第2油圧ポンプからの圧油は第2走行回路内で利用される。通常駆動状態のエンジンの駆動力により油圧モータへ供給される圧油の供給量の和を、通常運転状態と省エネ運転状態とで同一にできるので、油圧モータの回転速度を通常運転状態と省エネ運転状態とで同一にできる。
また、油圧モータの出力軸が一回転するために要する圧油の供給量が各油圧モータで異なる場合も同様に、第1油圧ポンプからの圧油の吐出量と、第1走行回路に配設される油圧モータへの圧油の供給量の和とを同一にすると共に、第2油圧ポンプからの圧油の吐出量と、第2走行回路に配設される油圧モータへの圧油の供給量の和とを同一にすることで、油圧モータの回転速度を通常運転状態と省エネ運転状態とで同一にできる。
上記第1実施の形態では、第2エンジン運転状態において第1逆転切換弁65FLを第2位置にして、第2逆転切換弁65FRを第1位置にする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2エンジン運転状態において第1逆転切換弁65FLを第1位置にして、第2逆転切換弁65FRを第2位置にすることは当然可能である。このとき、S42,S45の処理では、第1逆転切換弁65FLに代えて、第2逆転切換弁65FRへの通電を切り換える。
上記第3実施の形態では、第1メインタンク72Fと第2メインタンク72Bとが電磁弁112により連通可能に繋がれている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、電磁弁112を省略して第1メインタンク72Fと第2メインタンク72Bとを直結することは当然可能である。
上記第1実施の形態では、車両状態判断処理がCPU81によって繰り返し実行される処理である場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両の電源が投入されたときや、昇降制御装置95や走行モード選択装置96、自動省エネ運転スイッチ97の操作後、荷物の積み降ろし後などに車両状態判断処理を行うものとすることは当然可能である。
上記第1実施の形態では、各昇降装置9のシリンダ内の圧力から荷物の重量を検出して(S2)、車両状態フラグ83aのオンとオフとを切り換える場合について説明したが(S3)、必ずしもこれに限られるものではなく、搬送車1とは別の場所で測定した荷物の重量を入力装置(図示せず)により入力して、その入力した値に基づいて車両状態フラグ83aのオンとオフとを切り換えることは当然可能である。
上記第1実施の形態では、第1運転時間メモリ82a及び第2運転時間メモリ82bは、それぞれ第1エンジン13F及び第2エンジン13Bの駆動時間を累積して、それぞれ第1エンジン運転および第2エンジンの累積時間を記憶する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1エンジン13Fの停止時間を累積して第2エンジンの累積時間とし、第2エンジン13Bの停止時間を累積して第1エンジンの累積時間とすることは当然可能である。
上記第1実施の形態では、自動省エネ運転スイッチ97がオンであり、昇降制御装置95が操作されておらず、走行モード選択装置96により選択された走行モードが横行、横行斜行、スピンのいずれかではなく、且つ、荷物の重量が所定値未満である場合に車両状態フラグ83aがオンに切り換えられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両状態フラグ83aがオンに切り換えられる条件に、その他の条件を加えることは当然可能である。その他の条件として、例えば、外気温センサにより検出された外気温が所定値以上である場合が挙げられる。その理由としては、外気温が低い場合、停止後にディーゼルエンジンが再起動しないおそれがあるためである。但し、エンジンを停止状態ではなくアイドリング状態にする場合には、エンジンが暖機運転されるので、省エネ運転ができる。さらに、エンジンをアイドリング状態にすることで、運転室11F,11Bの空調機も稼働できる。