以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る増列装置100の構成について説明する。図1は、増列装置100の概要を示す上面図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成及び物品の図示を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
図1に示される増列装置100は、搬送される物品XAの整列数を上流(図示の左)側から下流(図示の右)側に向かって増加させる装置である。増列装置100は、上流側から第一の搬送部10Aと第二の搬送部10Bと第三の搬送部10Cを有する。第一の搬送部10Aは、物品XAの搬送方向Tに沿って設けられた複数組の搬送面1を有する。複数組の搬送面1はそれぞれ、複数の(ここでは2つ)の搬送板(第1搬送板1A、第2搬送板1B)からなる。1組の搬送面1を構成する第1搬送板1Aと第2搬送板1Bは、搬送方向Tに同期して移動するとともに搬送方向Tに交差する方向(交差方向)に(一体的に)移動可能に構成されるとともに、第1搬送板1Aと第2搬送板1Bとは搬送方向Tの交差方向に互いに離間するように移動可能にも構成される。ここで、交差方向とは、例えば、搬送方向Tに直交する方向(直交方向)である。
このように、本実施形態の増列装置100では、搬送方向Tにおいて前後に位置する搬送面1を、交互に交差方向(直交方向)の左右(図1では上下)に移動させ、これにより物品XAが増列される。
第二の搬送部10Bは、第一の搬送部10Aの搬送面1から物品XAを受け取り、物品XAの搬送方向Tの位置を揃えて(並列させて)第三の搬送部10Cに受け渡す。第三の搬送部10Cでは、増列された物品XAを各列等速で下流工程に搬送する。
以下これらの構成について具体的に説明する。物品XAは例えばPTP(Press Through Packaging)包装体である。PTP包装体は、不図示のPTP包装機で製造されて、同じく不図示の搬出コンベア装置に1列あるいは2列に整列されて搬出される。
その搬出コンベア装置の下流側(搬出端側)に、本実施形態の増列装置100が配置される。増列装置100は一例として、一台でしかも部品等の交換をすることなく、搬出コンベア装置から1列に整列して搬出された物品XAを2列に増列するパターン(以下、これを「第1増列パターン」という。)と、搬出コンベア装置から2列に整列して搬出された物品XAを4列に増列するパターン(以下、これを「第2増列パターン」という。)との両方に対応できるようになっている。
なお、搬出コンベア装置からの整列数(1列/2列のいずれか)も予め設定されている。すなわち、増列装置100においても第1増列パターンおよび第2増列パターンのいずれにするかは、予め設定されており、増列装置100の稼働中は変更されない
<<第1増列パターン>>
図1においては、物品XAを第1増列パターンで増列する例を示している。すなわち、増列装置100の上流端では、1列で(縦列で)搬入された物品XAが下流端(図中右端)では2列に増列されて下流工程に搬出される。
<第一の搬送部10A>
まず、第一の搬送部10Aについて説明する。この例では、一組の搬送面1を構成する第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bは例えばバケットであり、それぞれ、搬送方向Tの上流側から下流側に移動すると共に、搬送方向Tの交差方向(直交方向)に移動可能に構成されている。
すなわち、搬送方向Tに対して横一列に第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bが配置され、これら2つの第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bを1組の搬送面1として、搬送方向Tに所定間隔毎に複数組の搬送面1が配置される。各搬送面1は、上流側の第一の領域R1では搬送方向Tに沿う搬送面1の中心線(第1搬送板1Aと第2搬送板1Bの間)が、搬送経路の中心ラインL0に一致するように縦列に移動するが、第二の領域R2では搬送面1の中心線が次第に搬送経路の中心ラインL0から離れ、且つ、搬送方向Tの前後に位置する搬送面1が搬送方向Tの直交方向に沿って交互に左右(図1では上下)に振り分けられるように移動する。
なお、第1増列パターンでは、1組の搬送面1を構成する第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bの間隔を維持した状態(例えば両者を当接させた状態)を維持し、物品XAが両搬送板の間に跨がり、搬送方向Tの直交方向における物品XAの両端部を突出させて積置される。そして、第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bを一体的にして各搬送面1を2つのラインL1,L2に沿って移動する。
例えば、1番目の搬送面1_1が進行方向の右に移動してラインL1に沿って進むと、後続する2番目の搬送面1_2は進行方向の左に移動してラインL2に沿って進み、3番目の搬送面1_3は右に移動してラインL1に沿って進み、4番目の搬送面1_4は左に移動してラインL2に沿って進む。そして下流側に進むに従い、搬送面1は搬送経路の中心ラインL0から離間する。
第一の搬送部10Aにおける搬送面1(第1搬送板1A、第2搬送板1B)の上流側から下流側への移動は、搬送方向Tの直交方向に平行に設けられてそれぞれの搬送面1に挿通されるスライド軸5を、増列装置100の搬送方向Tに沿う左右両端部に設けたエンドレスチェーン(ここでは不図示)の回転に従って前進移動させることにより実現する。また、第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bの搬送方向Tの直交方向への移動は、第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bの下面側に設けられたガイドローラ(不図示)を、第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bの下方に配置されて上流側から下流側に延在するガイドレール7に係合させることによって、実現する。なお、実際には、ガイドローラはガイドレール7によって形成された「空間」と係合するが、本実施形態では、説明の便宜上、ガイドローラとガイドレール7によって形成された「空間」とが係合することを、単に、ガイドローラとガイドレール7の係合、という。搬送板(第1搬送板1A、第2搬送板1B)の移動機構については、後に詳述する。
<第二の搬送部10B>
次に、第二の搬送部10Bについて説明する。第二の搬送部10Bは、第一の搬送部10Aの搬送面1上の増列された物品XAを受け取り、これらを搬送方向Tに揃えて(並列させて)下流の第三の搬送部10Cに移載する。
第二の搬送部10Bは、物品XAの搬送方向Tにおける幅方向の両端部を下側から支える1対のサイドガイド2とサイドガイド2の上方に設けられた押送手段3を有する。押送手段3は、コンベア32に所定間隔で押送フィンガー31が取り付けられたものである。サイドガイド2と押送手段3は、搬送面1のラインL1,L2の延長線上と、それらの両外側に互いに平行に4列分(サイドガイド2A、2B、2C、2Dと、押送手段3A、3B、3C、3D)設けられる。なお、両外側の2列(サイドガイド2A、2D、押送手段3A、3D)は、2列を4列に増列する第2増列パターン用である。
図2は、第二の搬送部10Bを抽出して示す概要図であり、同図(a)は、第二の搬送部10Bを第一の搬送部10A側から見た正面図であり、同図(b)は、図1の側面図であり、同図(c)は、物品XAを搬送する様子を示す上面図である。
同図(a)に示すように、サイドガイド2(2A〜2D)は、その内側側壁に突出する支持部21が設けられる。同図(b)に示すように、支持部21は上流側端部では搬送面1よりも低く、そこから所定の領域まで、下流側に向かって高くなるように搬送面1に対して傾斜し、その後は搬送面1と略平行(略水平)に延在するように設けられる。一対のサイドガイド2の間隔は、支持部12の内側が、搬送面1の物品載置部20Aと物品載置部20B(第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bのそれぞれの物品が載置される部位)の搬送方向と交差する長さを合わせた長さよりも広く設定されている。搬送面1は、第二の搬送部10Bの上流端で1対のサイドガイド2の間を移動し、押送フィンガー31は、物品XAを後方から前方に押し出してサイドガイド2の支持部21に物品XAの幅方向の両端を載置する。物品XAが傾斜する支持部21を上昇していき、押送フィンガー31に引き渡した物品支持部12は下方に移動する。押送フィンガー31は、引き続き物品XAを押送しながら搬送面1と平行な支持部21の上を移動させる(同図(a)〜(b))。
同図(c)に示すように、第一の搬送部10Aにおいて、ラインL1上を進む搬送面1(例えば、搬送面1_1)とラインL2上を進む搬送面1(例えば、搬送面1_2)により搬送される物品XA1,2は、並列されるべき物品XAであるが、第二の搬送部10Bに移載されるタイミングが異なっている(搬送面1_2上の物品XA2の方が搬送面1_1上の物品XA1より遅い)。このため、中央よりの2列の押送手段3B,3Cのうち、並列されるべき物品XAが先に到達するラインL1の延長線上の押送手段3Bは、その移動速度V1を、ラインL2の延長線上の押送手段3Cの移動速度V2より遅くし、第二の搬送部10Bの下流端において、これらによってそれぞれ搬送される2つの物品XA1、XA2の位置が、搬送方向T上において揃う(並列(横並び)になる)ようにしている。
ここで、押送手段3Aと押送手段3Bのそれぞれの押送フィンガー31の取付ピッチ(間隔)は等しく、押送手段3Cと押送手段3Dのそれぞれの押送フィンガー31の取付ピッチ(間隔)は等しく、かつ押送手段3A、3Bの押送フィンガー31のピッチよりも広く設けられている。また、押送手段3A〜3Dは、1つのサーボモーターで駆動している。
つまり、第二の搬送部10Bの上流端によって異なるタイミングでサイドガイド2に移載された増列される物品XA(XA1,XA2)が、第二の搬送部10Bの下流端においてその搬送方向Tに沿う位置が揃う程度に、各押送手段3B、3Cの移動速度V1,V2に速度差(V1を減速、又はV2を増速、又はその両方)を設けて調整される。
<第三の搬送部10C>
次に、再び図1を参照して、第三の搬送部10Cについて説明する。第三の搬送部10Cでは、第二の搬送部10Bから搬出された物品XAを受け取り、所定間隔に揃えた状態で下流の工程に搬出する領域である。
第三の搬送部10Cには、サイドガイド2(2A,2B、2C,2D)に対応した4列のフィンガーコンベア4(4A、4B、4C、4D)が配置される。なお、第1増列パターンで使用するフィンガーコンベアは、例えば中央よりの2列のフィンガーコンベア4B,4Cである。各フィンガーコンベア4には、等間隔で支持部41が設けられており、物品XAの搬送方向Tの後端が支持部41と当接して下流工程に搬出される。
このような増列装置1を通過することで、物品XAは、1列から2列に増列される。
<<第2増列パターン>>
次に、図3を参照して、物品XAを第2増列パターンで増列する例について説明する。図3に示す増列装置100では、上流端(図中左端)では、2列で搬入された物品XAが下流端(図中右端)では4列に増列されて下流工程に搬出される。なお、第2増列パターンであっても、増列装置100の構成は上述の第1増列パターンで説明したものと同様であり、部品交換等は不要である。第2増列パターンでは、一部構成の動作が第1増列パターンと異なり、以下ではその異なる点を中心に説明する。
<第一の搬送部10A>
第2増列パターンでは、各搬送面1を構成する第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bのそれぞれに、物品XAが載置される。
第一の搬送部10Aにおいて、各搬送面1(第1搬送板1A、第2搬送板1B)は、上流側の第一の領域R1では搬送方向Tに沿う搬送面1の中心(第1搬送板1Aと第2搬送板1Bの間)が、搬送経路の中心ラインL0に一致するように縦列に移動するが、第二の領域R2では次第に搬送経路の中心ラインL0から離れ、且つ、搬送方向Tの前後の搬送面1が搬送方向Tの直交方向に沿って交互に左右に振り分けられるように移動する。
さらに第二の領域R2では、1組の搬送面1を構成する第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bの間隔も、搬送方向Tの直交方向において互いに離間するように、また下流側に向かうにつれて互いの間隔が広くなるように移動する。
例えば、1番目の搬送面1_1(第1搬送板1_1A、第2搬送板1_1B)が進行方向の右(図では下)に移動するとともに第1搬送板1_1Aと第2搬送板1_1Bとの間隔が下流に向かうにつれて離間する。これにより、1番目の搬送面1_1の第1搬送板1_1Aは、ラインL1に沿って進み、1番目の搬送面1_1の第2搬送板1_1Bは、ラインL1の外側(図では下方)に位置するラインL3に沿って進む。
後続する2番目の搬送面1_2(第1搬送板1_2A、第2搬送板1_2B)は進行方向の左に移動するとともに第1搬送板1_2Aと第2搬送板1_2Bとの間隔が下流に向かうにつれて離間する。これにより、2番目の搬送面1_2の第1搬送板1_2Aは、ラインL2に沿って進み、2番目の搬送面1_2の第2搬送板1_2Bは、ラインL2の外側(図では上方)に位置するラインL4に沿って進む。
以降同様に、3番目の搬送面1_3は第1搬送板1_3Aが、ラインL1に沿って進み、第2搬送板1_3Bは、ラインL3に沿って進み、4番目の搬送面1_4の第1搬送板1_4Aは、ラインL2に沿って進み、第2搬送板1_4Bは、ラインL4に沿って進む。
<第二の搬送部10B>
第二の搬送部10Bでは4列全てのサイドガイド2A、2B、2C、2Dと、押送手段3A、3B、3C、3Dを駆動して、物品XAを第三の搬送部10Cに移送する。ここで、4つのサイドガイド2A、2B、2C、2Dはぞれぞれ、一対のサイドガイド2の間隔が、支持部12の内側が各物品載置部20A、及び20Bの搬送方向と交差する長さよりも広く設定される。
なお、第一の搬送部10Aにおいて、1番目の搬送面1_1、すなわちラインL1上を進む搬送面1_1Aと、ラインL3上を進む搬送面1_1Bは、同じタイミングで第二の搬送部10Bに到達し、2番目の搬送面1_2、すなわち、ラインL2上を進む搬送面1_2Aと、ラインL4上を進む搬送面1_2Bは、同じタイミング且つ、搬送面1_1Aおよび搬送面1_1Bよりも遅いタイミングで第二の搬送部10Bに到達する。
つまり、ラインL2、L4上を進む搬送面1_2A、1_2Bにより搬送される物品XA3,4は、ラインL1、L3上を進む搬送面1_1A、1_1Bにより搬送される物品XA1,2と並列されるべき物品XAであるが、第二の搬送部10Bに移載されるタイミングが異なっている(物品XA3,4の方が物品XA1,2より遅い)。このため、4列のサイドガイド2のうち、ラインL1,L3の延長線上の押送手段3A,3Bの移動速度V1を、ラインL2、L4の延長線上の押送手段3C、3Dの移動速度V2より遅くし、第二の搬送部10Bの下流端において、これらによってそれぞれ搬送される2つの物品XA1〜XA4の位置が、搬送方向T上において揃う(並列になる)ようにしている。
つまり、第二の搬送部10Bの上流端によって異なるタイミングでサイドガイド2に移載された増列される物品XA(XA1〜XA4)が、第二の搬送部10Bの下流端においてその搬送方向Tに沿う位置が揃う程度に、各押送手段3A〜3Dの移動速度V1,V2に速度差(V1を減速、又はV2を増速、又はその両方)を設けて調整される。
<第三の搬送部10C>
第三の搬送部10Cでは、4列すべてのフィンガーコンベア4A〜4Dを駆動して、下流工程に物品を搬出する。このようにして、2列の物品XAが4列に増列される。
<搬送面の移動機構>
図4〜図9を参照して、第一の搬送部10Aにおける、搬送面1(搬送板1A,1B)の移動機構について説明する。
まず、図4は搬送面1を示す図であり、図4(a)、(b)は、1組の搬送面1(搬送板1A,1B)を第一の搬送部10Aの上流側から見た正面図であり、同図(c)は、スライド軸5方向から見た(両搬送板を組み合わせた状態の)側面図であり、同図(d)は、上図が搬送板1A,1Bを組み合わせた状態の上面図であり、下図がそれぞれを分離させた状態の上面図である。
同図(a)に示すように、各搬送面1を構成する第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bは、それぞれ、厚み方向の上側に位置する物品載置部20A,20Bと、それより下方に位置する係合支持部11A、11Bを有し、側面視において略L字状(階段状)に構成されている。
物品載置部20A,20Bはそれぞれ、搬送面1の一部であり、第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bにおいて実際に物品が載置される部位である。また、係合支持部11A、11Bも搬送面1の一部であり、物品載置部20A,20B(第1搬送板1Aおよび第2搬送板1B)を移動機構と係合するための部位である。そして、係合支持部11A、11Bの下面に、ガイドレール7(によって形成された空間)と係合するガイドローラ16が設けられている。
第1搬送板1Aの係合支持部11の第2搬送板1Bと隣り合う側面には、幅狭の突起部14が設けられている(図3参照)。一方、第2搬送板1Bの係合支持部11の第2搬送板1Bと隣り合う側面には、溝部15が設けられている。溝部15には、突起部14が挿抜自在に嵌まり合う。
また、同図(c)に示すように、物品載置部20(20A,20B)は、上流側が下流側より低くなるような傾斜面となっている。また、上流側端部には物品支持部12が設けられている。このような構成によって、搬送中の物品XAが物品載置部20から落下することを防止するとともに、サイドガイド2の支持部21の傾斜と同方向に傾斜しているので、物品XA1を安定して乗り移らせることができる。また、第1搬送板1Aと第2搬送板1Bの係合支持部11A、11Bには、搬送方向Tの直交方向に貫通する挿通孔13が2つ設けられている。挿通孔13には、スライド軸5が挿通される。第1搬送板1Aの突起部14と、第2搬送板1Bの溝部15は、2つの挿通孔13の間に設けられる。
これにより、一組の第1搬送板1Aと第2搬送板1Bは、挿通孔13に挿通されたスライド軸5上を互いに近接(当接)および離間自在に移動することができる(同図(b))。
また、同図(d)に示すように、第1搬送板1Aの突起部14を第2搬送板1Bの溝部15に挿入し、第2搬送板1Bの下方に第1搬送板1Aの一部を潜り込ませるようにすることで第1搬送板1Aと第2搬送板1Bを当接させることができ、一体化した(1組の)搬送面1を構成することができる。また、第1搬送板1Aと第2搬送板1Bを離間させることで2つの搬送面1(1A,1B)を構成することができる。
なお、各搬送面1は、係合支持部11A、11Bが中心ラインL0より外側(搬送経路の幅方向の両端側)に向くように、且つ、下流に移動した場合に、第1搬送板1Aが第2搬送板1Bよりも中心ラインL0に近づくように配置される。つまり、搬送方向Tの前後に位置する搬送面1において、第1搬送板1Aと第2搬送板1Bは中心ラインL0を中心として線対称に配置されている。
図5は、移動機構を説明するための増列装置10の概略状面図である。まず、同図を参照して、搬送方向T(進行方向)への移動機構について説明する。
同図に示すように、機枠30の搬送方向Tの前後方向両端に、軸受け31を介して回転軸32,32を設け、この回転軸32の両端に取り付けたスプロケット33にエンドレスチェーン34を掛け渡している。また、下流側の回転軸32の一端には、プーリ36が連結され、このプーリ36を介して不図示の駆動モータからの回転力を受けるようになっている。これにより、搬送方向Tの幅方向両側に、それぞれ同期して回転するエンドレスチェーン34が配置される。
更に、それらエンドレスチェーン34間に2本一組のスライド軸5を所定間隔で複数本連結する。この1組のスライド軸5は、2本の円柱状の棒状体を所定間隔で平行に配置したものであり、エンドレスチェーン34の回転に伴い一体となって前進移動する。そして、これら1組のスライド軸5は、第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bの挿通孔13に挿通される(図4)。これにより、第1搬送板1Aおよび第2搬送板1Bは、エンドレスチェーン34の回転に従って前進移動するスライド軸5に追従して前進移動する。
次に、図6および図7を参照して搬送方向Tの直交方向への移動機構について説明する。図6および図7は、図5の各搬送面1の下面側に配置されるガイドレール7部分を抜き出して示す概要図であり、図6が上面図であり、図7(a)、(b)がその一部(スライド部材30〜31)の側面図である。
図6に示すように、各搬送面1(より詳しくは、第1搬送板1Aの係合支持部11Bおよび第2搬送板1Bの係合支持部11B)の下方には、搬送経路の前後方向に沿って延在する4組のガイドレール7(図示の下側からガイドレール7A、7B、7C、7D)が設けられている。なお、図示の裏面側(増列装置1の下面側)にもガイドレール7が設けられている。
各ガイドレール7(7A〜7D)は、搬入側から順に配置される第1レール部71,第2レール部72、第3レール部73および第4レール部74を備えている。そして、第1レール部71、第3レール部73および第4レール部74は、進行方向(搬送方向T、中心ラインL0)と平行に配置されるが、第2レール部72は、他のレール部71,73、74の位置関係により、中心ラインL0から傾斜する(同図では傾斜している例を示している)こともある。
4つのレール部71〜74は、共に所定間隔を置いて配置された2本の棒状のレール要素71′、72′、73′、74´を備え、対となるレール要素間に形成される空間71″,72″、73″、74″が搬送方向T(進行方向)に沿って連続している。各空間71″〜74″の幅は等間隔であり、当該空間71″〜74″内に、対応する第1搬送板1A、第2搬送板1Bの係合支持部11A、11Bの下面に設けられたガイドローラ16が係合する。
各ガイドレール7は、機枠30の外側に設けられたハンドル38を操作することによって、搬送方向Tの直交方向(図示では上下方向)に移動可能となっており、ガイドレール7間の間隔を任意に調整可能である。また、上述のように第1レール部71と、第3レール部73,第4レール部74の位置により、第2レール部72の搬送方向T(中心ラインL0)からの傾斜角度も調整可能である。
そして、ガイドレール7の位置によって搬送経路となるラインL1〜L4が決定される。つまり、第1搬送板1A、第2搬送板1Bは、エンドレスチェーン34ひいてはスライド軸5からの推進力により前進移動するに従い、ガイドローラ16が係合している各ガイドレール7の空間71″〜74″に沿って進行方向に移動する。そして同図(a)に示すように空間72″が搬送方向T(中心ラインL0)から傾斜することによって、第1搬送板1A、第2搬送板1Bが搬送方向Tの直交方向に左右に移動する。
ガイドレール7の第1レール部71、第2レール部72、第3レール部73および第4レール部74は、それぞれ、搬送方向と直交方向に移動可能なスライダ部材310、320、330によって支持されている。
図7(a)は、第1レール部71(レール要素71´)を支持するスライダ部材310をスライダ軸5の延在方向から見た側面図である。スライダ部材310は、側面視において略矩形状の支持部311の内側にスライダ312が設けられる。スライダ312は、スライダ軸5と平行に機枠30に設けられたレール22と係合する。そして、スライダ部材310の上下面310s1,310s2に、2本(1組)のレール要素71´が固定される。スライダ部材310の側壁には、ネジ軸39が嵌まる雌ネジが形成され、機枠30の外側に突出するようにして設けたハンドル38を回転することにより、スライダ部材310がレール22に沿って移動する。
詳細には、スライダ部材310は、1つのハンドル38を正逆回転させると、4列並列に配置されたガイドレール7A〜7Dのうち、内側(中央より)のガイドレール7B、7Cと外側(両端)のガイドレール7A、7Dとが反対方向に移動する。例えば、ガイドレール7Aとガイドレール7Dを外側に移動して両者の間隔(距離)を広げた場合には、ガイドレール7B及びガイドレール7Cの間隔(両者の距離)は狭まり、4つのガイドレール7A〜7Dの間隔が図示の状態よりも均等に近づくように変化する。このようにハンドル38の回転によって、4つのガイドレール7A〜7Dを移動して上流側の間隔が調整される。
同図(b)は、第2レール部72(レール要素72´)および第3レール部73(レール要素73´)を支持するスライダ部材32をスライダ軸5の延在方向から見た側面図である。スライダ部材32は、側面視においてコの字状の支持部321の内側にガイド軸係合部322が設けられる。レール係合部322がスライダ軸5と平行なレール22と係合する。
さらに、支持部321の側面の上方(表面側)および下方(裏面側)には、それぞれ、搬送方向Tに伸びる2本のレール323が設けられる。そしてレール323には、スライダ324が係合し、スライダ324の上下面(表面側および裏面側)には、それぞれレール要素73´がスライダ324と係合するレール81を介して固定される。レール要素73´は、上流側の端部は、レール要素72´と連結される。そして、レール要素73´は、スライダ部材32に対して、搬送方向Tに沿って前進又は後退移動が可能となっている。
また、第4レール部74(レール要素74´)を支持するスライダ部材330をスライダ軸5の延在方向から見た側面図である。スライダ部材330は、支持部331の内側にレール係合部332が設けられ、スライダ部材330の上下面330s1,330s2に、2本(1組)のレール要素74´が固定される。
そして、スライダ部材310と同様に、機枠30の外側に設けたハンドル38を回転することにより、外周面に雄ネジが形成されたネジ軸39が正逆回転し、そのネジ軸39に連結したスライダ部材320がレール22に沿って移動する。またネジ軸39に連結したスライダ部材330がレール22に沿って移動する。
詳細には、スライダ部材320、330は、2つのハンドル38を正逆回転させて、4列並列に配置されたガイドレール7A〜7Dのうち、内側(中央より)のガイドレール7B、7Cと外側(両端)のガイドレール7A、7Dとを移動して間隔が調整される。
ここで、第1レール部71と、第4レール部74は、搬送方向Tに直交方向にスライドするが、搬送方向Tに沿う方向においてはその位置が固定されている。また、増列する場合には、搬入側(第1レール部71)よりも搬出側(第4レール部74)の方が、中心ラインL0から離間した位置にする。
本実施形態では、これらの間に位置する第3レール部73を構成するレール要素73´をスライダ部材320に設けたレール323とスライダ324によって(搬送方向Tに直交する方向のみならず)搬送方向Tにも移動可能とし、当該スライダ部材320に第2レール部72を構成するレール要素72´の一端を固定することで、当該レール要素72´を搬送方向Tの直交方向に大きく移動させる、つまり、中心ラインL0から離反する距離を大きくすることができる。
なお、図6に示すように、上面側におけるレール要素73´の下流側端部は、外側の側辺が内側の側辺よりも短くなるように傾斜したテーパー形状である。また、これに対応するレール要素74´の上流側端部は、レール要素73´のテーパー形状と相補形状となるように、外側の側辺が内側の側辺よりも長くなるように傾斜したテーパー形状である。これにより、レール要素73´がスライダ部材320に伴って、上流側かつ外側、又は下流側かつ内側に移動する場合であっても、レール要素74´との干渉を回避できる。
一方、図示は省略するが、ガイドレール7の裏面側(増列装置1の下面側)では、上面側と逆向きのパターンとなる。すなわち、レール要素73´の下流側端部は、外側の側辺が内側の側辺よりも長くなるように傾斜したテーパー形状であり、これに対応するレール要素74´の上流側端部は、レール要素73´のテーパー形状と相補形状となるように、外側の側辺が内側の側辺よりも短くなるように傾斜したテーパー形状である。これにより、レール要素73´がスライダ部材に伴って、上流側かつ外側、又は下流側かつ内側に移動する場合であっても、レール要素74´との干渉を回避できる。
図8および図9は、ガイドローラ16とガイドレール7(の空間)の係合状態を示す概略状面図である。なお、ガイドローラ16は、搬送面1の下面側に設けられており、上面視では視認できないが、以下の図では、説明の便宜上、ガイドローラ16の鉛直上方に位置する固定部をガイドローラ16の位置として上面図に記載している。図8が第1増列パターンの場合であり、図9が第2増列パターンの場合である。
図8を参照して、各搬送面1は、物品XAが載置される物品載置部20と、ガイドローラ16が設けられる係合支持部11は、搬送方向Tの直交方向に沿って横並びで配置されており、ガイドローラ16がガイドレール7によって形成された空間7A″、7B″、7C″、7D″と係合して移動する。
より具体的には、1番目の搬送面1の第2搬送板1_1Bのガイドローラ16_1Bが空間7A″と係合し、第1搬送板1_1Aのガイドローラ16_1Aが空間7B″と係合する。また、2番目の搬送面1の第1搬送板1_2Aのガイドローラ16_2Aが空間7C″と係合し、第2搬送板1_2Bのガイドローラ16_2Bが空間7D″と係合する。これにより、ことで、上流側では縦列の状態であった物品載置部20が、下流に向かうにつれて左右方向に移動する。
各搬送面1は、物品載置部20が中心ラインL0よりにあり、係合支持部11がそれより外側に配置されている。更に前後の搬送面1では係合支持部11が互いに中心ラインL0に対して線対称に(左右逆方向に)位置するように配置されている。
1列を2列に増列する第1増列パターンの場合には、空間7A″と7Bの間隔を、第1レール部71から第4レール部74に至るまで、第一の間隔とし、空間7C″、7D″の間隔を、第1レール部71から第4レール部74に至るまで、第一の間隔とする。ここで、第一の間隔とは、第1搬送板1Aと第2搬送板1Bが当接して搬送面1が一体化するような距離である。これにより、第1レール部71から第4レール部74に至るまで第1搬送板1Aと第2搬送板1B上に跨がるようにして物品XAを搬送することができる。また、空間、7B″と7C″の間隔は、下流に向かうにつれて次第に離間するように配置する。これにより、前後に位置する2組の搬送面1(一体化した搬送面1)がそれぞれ左右に振り分けられるので、一体化した搬送面1に1つの物品XAを載置することで、1列を2列に増列することができる。
また、図9に示すように、2列を4列に増列する第2増列パターンの場合には、各ガイドレール16と空間の係合関係は、図8に示す第1増列パターンと同様であるが、空間7A″、7B″の間隔を、第1レール部71では第1増列パターンと同等の第一の間隔とするが、第2レール部72から第4レール部74では下流に向かうに従い、徐々に両者の間隔が大きくなるように(空間7A″の中心ラインL0からの傾斜角度が、空間7B″のそれよりも大きくなるように)配置する。
また、空間7C″と7D″の間隔を、第1レール部71では第1増列パターンと同等の第一の間隔とするが、第2レール部72から第4レール部74では下流に向かうに従い、徐々に両者の間隔が大きくなるように(空間7D″の中心ラインL0からの傾斜角度が、空間7C″のそれよりも大きくなるように)配置する。
これにより、1組の搬送面1において、第1搬送板1Aと第2搬送板1Bは上流レール部71では隣接しているが、下流に向かうにつれて次第に両者の距離が離間する。加えて、前後に位置する2組の搬送面1(第1搬送板1Aと第2搬送板1B)がそれぞれ左右に振り分けられるので、第1搬送板1Aと第2搬送板1Bのそれぞれに物品XAを載置することで、2列を4列に増列することができる。
このように、本実施形態によれば、搬送面1を搬送方向Tの直交方向に分離して移動可能な複数(2つ)の搬送板1A、1Bで構成し、各搬送板に設けたガイドローラ16を4つのガイドレール7(それらの空間7A″、7B″、7C″、7D″)と係合するように構成し、ガイドレール7の搬送方向Tの直交方向への延在パターン(左右への振り分けパターン)を、図8および図9に示す両パターンに変更可能とすることで、第1増列パターンと第2増列パターンを1台の増列装置100で兼用させることができる。
つまり、本実施形態は、並列に配置された4つの搬送経路(ガイドレール7A〜7D(の空間))とこれらによって搬送される4つの搬送板(搬送板1_1A、1_1B、1_2A、1_2B)とによって物品XA1を搬送し、物品の整列数を上流側から下流側に向かって増加させるものである。
ここで4つの搬送板とは、先行する2つの横並びの搬送板(1組の搬送面1_1)と、後続の2つの横並びの搬送板(1組の搬送面1_2)であり、先行する1組の搬送面と、後続の1組の搬送面を交互に所定の搬送経路に振り分けて増列する。
すなわち、第一の搬送部10Aの上流側では、先行する1組の搬送面と、後続の1組の搬送面とは搬送方向の前後に(縦列に)並んだ状態で移動するが、下流側では先行する1組の搬送面と、後続の1組の搬送面とが交互に左右の搬送経路に振り分けられる。そして、第二の搬送部10Bにおいて、第1搬出経路乃至第4搬出経路(押送手段3A〜3D)のうちの2つまたは4つを用いて第三の搬送部10Cに搬出される。
具体的には、1列を2列に増列する第1増列パターンの場合には、一組の搬送面によって1つの物品XA1を搬送し、各組の搬送面上の物品XA1を、中央よりの第2の搬出経路(押送手段3B)と、第3の搬出経路(押送手段3C)に交互に受け渡す。つまり、先行する一組の搬送面(搬送面1_1)上の物品XA1を第2の搬出経路に受け渡し、後続の一組の搬送面(搬送面1_2)上の物品XA1を第3の搬出経路に受け渡す。
一方、2列を4列に増列する場合には、一組の搬送面を構成する2つの(1対の)搬送板のそれぞれによって1つの物品XA1を搬送し、各対の搬送板上の物品XA1をそれぞれ、第1および第2の搬出経路と、第3および第4の搬出経路とに交互に受け渡す。つまり、先行する一対の搬送板(搬送板1_1A、1_1B)上の物品XA1をそれぞれ第1の搬出経路(押送手段3A)と第2の搬出経路(押送手段3B)に受け渡し、後続の一対の搬送板(搬送板1_2A、1_2B)上の物品XA1をそれぞれ第3の搬出経路(押送手段3C)と第第4の搬出経路(押送手段3D)に受け渡す。
そして、第1増列パターンと第2増列パターンとは、各搬送経路(ガイドレール7)のパターン(間隔)の変更のみで切り替えることができる。
なお、第1増列パターンの場合には、一組の搬送面で搬送される物品XA1を第2の搬出経路と、前記第3の搬出経路とに交互に受け渡す構成に限らず、一組の搬送面で搬送される物品XA1を第2の搬出経路に連続して複数回受け渡した後、第3の搬出経路に連続して複数回受け渡すようにしてもよい。
同様に、第2増列パターンの場合には、一組の搬送面のそれぞれで搬送される物品を第1および第2の搬出経路と、第3および第4の搬出経路とに交互に受け渡す構成に限らず、一組の搬送面のそれぞれで搬送される物品を、第1および第2の搬出経路に連続して複数回受け渡した後、第3および第4の搬出経路に連続して複数回受け渡すようにしてもよい。
つまり、第1増列パターンと第2増列パターンの切り替えは、機枠30の外側に設けられたハンドル38を操作することによって、4つのガイドレール7(それらの空間7A″、7B″、7C″、7D″)が延在するラインを変更するのみでよく、部品(例えば、第1搬送板1A、第2搬送板1B)の交換は一切不要である。したがって、1つの増列装置で2つの増列パターンに対応できかつ、容易に、しかも短時間で、増列パターンの変更をすることができる。
なお、上記した実施の形態では、部品交換をすることなく第1増列パターンと第2増列パターンに対応できる増列装置を例に説明したが、本発明はこれに限ることはなく、搬送面1および対応するガイドレールの位置並びに個数等を適宜設定することにより、例えば、部品交換をすることなく、3列を6列に増列する第3パターンにも対応可能な増列装置を実現できる。
また、増列装置1は、PTP包装体を増列するものに限ることはなく、各種の被包装物その他の物品を増列する場合に利用することができるのはもちろんである。