JP6536845B2 - エンジンの失火検出装置 - Google Patents
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Description
減筒運転中、稼動気筒の吸気量を増加することによりスロットルバルブの開度が増加され、ポンピングロスが減少されるため、燃費改善効果を期待することができる。
特許文献1のエンジンの制御装置は、減筒運転の実行条件成立により全筒運転から一部気筒の運転を休止する減筒運転に切替える気筒数制御手段と、エンジンの失火を判定可能な失火判定手段とを有し、減筒運転中に設定値以上の回転数低下が生じた場合、その直後に点火時期を迎える休止中の気筒の運転を開始させることにより、失火によるエンジン停止を確実に防止している。
図7(a)に示すように、ロックアップクラッチの締結時に回転方向に撓んで駆動源による振動を低減するダンパ機構は、ロックアップクラッチの外周側において周方向に向かって等間隔に配設された複数のダンパスプリング51によって構成されている。
これらのダンパスプリング51は、クラッチドラムから径方向外側に延びるスプリング受け部材52の受け部52aによって周方向一端部が当接状に支持され、タービンハブに連結され且つダンパスプリング51の外周部を保持するスプリング保持プレート53の受け部53aによって周方向他端部が当接状に支持されている。
これにより、エンジンからトルクが伝達されたとき、ダンパスプリング51が撓み、スプリング受け部材52が回転方向に回動する(図7(b)参照)。
通常、エンジンの失火は、各気筒の燃焼行程に応じたエンジン(クランクシャフト)の角速度変動に基づいて検出されている。具体的には、予め設定された設定値よりも大きなエンジンの角速度変動の発生回数をカウントし、そのカウント値が所定の閾値を超えたとき、エンジンの失火を検出している。
ダンパスプリング51とスプリング受け部材52による周期的移動現象に伴う共振は、実失火時のエンジンの角速度変動に相当(類似)するクランクシャフトによる0.5次振動を発生させる。即ち、失火相当振動であるクランクシャフトによる0.5次振動によって、エンジンの失火時と同様に設定値よりも大きなエンジンの角速度変動が検出されることから、エンジンが実際に失火していないにも拘らず、エンジンの失火が誤検出される。
また、エンジンの運転領域が前記ダンパ手段の振動特性に起因して失火振動に相当する失火相当振動が発生する共振領域のとき、前記付加的負荷制御手段は、付加的負荷を付加するため、走行駆動に影響を与えることなく、エンジンの運転領域を共振領域から逸脱させて周期的移動現象に誘発されたクランクシャフトによる0.5次振動の検出を防止することができ、エンジンの失火誤検出を回避することができる。
この構成によれば、共振領域を正確に設定することができる。
この構成によれば、共振領域を一層正確に設定することができる。
この構成によれば、燃費改善効果を確保しつつ、周期的移動現象に誘発されたクランクシャフトによる0.5次振動の検出を防止することができ、エンジンの失火誤検出を回避することができる。
この構成によれば、失火判定する前段階で失火可能性がある仮失火状態を判定することができる。
この構成によれば、走行駆動に影響を与えることなく、エンジンの出力を増加することができる。
以下の説明は、本発明を車両のパワートレインに適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
このエンジン1は、直列状に配置された第1〜第4気筒が形成され、4つの気筒のうち2つの気筒を休止させ、残りの気筒を稼動させる運転、所謂減筒運転と、4つの気筒全てを稼動させる運転、所謂全筒運転とを適宜切替可能な気筒休止エンジンである。
エンジン1は、各気筒において、燃焼室(図示略)内に吸気を供給するための吸気弁(図示略)と、燃焼室に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁(図示略)と、空気と燃料の混合気に点火する点火プラグ(図示略)と、往復運動を行うピストン(図示略)と、このピストンの往復運動によって回転するクランクシャフト3と、このクランクシャフト3を収納するクランクケース(図示略)と、燃焼室内で混合気の燃焼により発生した排気ガスを排気通路(図示略)へ排出する排気弁(図示略)等が夫々設けられ、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒の順に点火が行われている。
ECU10は、インスツルメントパネル(図示略)に配設された警告灯41と、発電用オルタネータ42と、空調装置43等に電気的に接続されている。
オルタネータ42は、駆動ベルト等を介してエンジン1(クランクシャフト3)に駆動されている。このオルタネータ42は、作動状態と非作動状態とが切替可能に構成されている。同様に、空調装置43(コンプレッサ)は、駆動ベルト等を介してエンジン1に駆動されている。これらオルタネータ42及び空調装置43は、エンジン1によって駆動される補機であり、走行状態に影響を与えることなくエンジン1に対する負荷を制御するための付加的負荷に相当している。
図1に示すように、トルクコンバータ2は、その全体がクランクボルトを介してクランクシャフト3に連結され、エンジン1によって駆動可能に構成されている。
トルクコンバータ2は、ポンプ21と、タービン22と、ステータ23と、ワンウエイクラッチ24と、ロックアップクラッチ25と、ダンパスプリング26,27と、これらの構成要素を収納したケース28と、ダンパ機構D(ダンパ手段)等を有し、ケース28内には動力伝達用流体であるオイルが充填されている。
図2に示すように、ダンパスプリング26,27は、周方向に等間隔に夫々複数配置され、各々が軸方向にオーバーラップして設けられている。
図1に示すように、ダンパスプリング26は、クラッチドラム29に一体形成されてクラッチドラム29から径方向外側に延びるスプリング受け部材30に設けられた受部30aに周方向一端部が当接状に支持され、ダンパスプリング26の外周を覆うスプリング保持プレート31に設けられた受部31aに周方向他端部が当接状に支持されている。
ダンパスプリング27は、スプリング保持プレート31の径方向中段部に設けられ、ダンパスプリング26よりも高い捩りばね剛性を備えている。これにより、捩り作動角度を広角化することができ、エンジン1のトルク変動に起因した駆動系の振動を減衰している。
それ故、ダンパスプリング26,27、スプリング受け部材30及びスプリング保持プレート31等がダンパ機構Dに相当している。
ECU10は、全筒運転の実行条件が成立したとき、第1〜第4気筒による全筒運転を実行し、減筒運転の実行条件が成立したとき、第1,第4気筒による運転を停止して第2,第3気筒による減筒運転を実行している。
また、このECU10は、クランクシャフト3の角速度変動に基づいて各気筒の失火可能性を判定すると共に、エンジン1の失火が判定されたとき、全筒運転を実行している。
ECU10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって構成されている。
全筒運転領域A1は、スロットルバルブ全開に相当する上限トルクラインL1により設定されている。減筒運転領域A2は、低回転から高回転に亙って領域範囲が設定され、その後方上がり傾斜状の上限トルクラインL2が減筒運転時の最大トルク、損域分岐トルクや吸気脈動制限等に基づき設定されている。
具体的には、下り坂の足載せ減速等の運転状態に相当する。
減筒運転の低トルク領域では、ダンパスプリング26の周方向一端部とスプリング受け部材30の受け部30aとが一旦離間した後衝突する周期的移動現象が生じることがあり、この周期的移動現象に伴う共振は、エンジン1の実失火時に生じる角速度変動Δωに伴う失火振動と同様にクランクシャフト3による0.5次振動を発生させるため、エンジン1が失火していないにも拘らず、エンジン1の失火を誤検出することがある。
そこで、運転条件判定部11は、周期的移動現象に基づき失火相当振動であるクランクシャフト3による0.5次振動が発生する共振領域A3を判定している。
この弁停止機構制御部12は、減筒運転中にエンジン1から出力されるトータルトルク(要求トルク)が略一定になるように、スロットルバルブの開度を増加補正すると共に第1,第4気筒の燃料噴射弁の作動を禁止している。
計測された回数Cが第1閾値N1を超えたとき、仮失火状態であると判定し、回数Cが第2閾値N2(N1<N2)を超えたとき、実失火状態(失火確定)を判定している。
仮失火状態が判定されたとき、仮失火判定フラグF1が1に設定され、失火確定が判定されたとき、故障判定フラグF2が1に設定され、正常時、両フラグF1,F2は0に設定されている。失火判定部13は、フラグF2が1のとき、警告灯42を点灯している。
フラグF1,F2の値は、最新の履歴情報として継続的に保存され、これらフラグF1,F2の最新履歴はメンテナンスや修理時用いられる。
即ち、付加的負荷制御部14は、付加的負荷増加機能と空気量増加機能とを備えている。
これにより、走行駆動に影響を与えることなく、エンジン1の運転領域を共振領域A3から外すことができ、結果的に、周期的移動現象に誘発されたクランクシャフト3による0.5次振動の検出を防止し、エンジン1の失火誤検出を回避している。
尚、Si(i=1,2…)は、各処理のためのステップを示している。
S2では、運転状態が減筒運転領域A2か否か判定する。
S2の判定の結果、運転状態が減筒運転領域A2である場合、S3に移行する。
S2の判定の結果、運転状態が減筒運転領域A2ではない場合、全筒運転領域A1であるため、全筒運転を実行し(S7)、リターンする。
S3の判定の結果、故障判定フラグF2が0である場合、稼動気筒が何れも失火していないため、S4に移行する。S3の判定の結果、故障判定フラグF2が0ではない場合、稼動気筒のうち何れか失火しているため、S7に移行する。
これにより、エンジン1の回転数が大幅に低下することによるエンジン1の停止を回避することができる。
S4の判定の結果、共振領域A3である場合、クランクシャフト3による0.5次振動が発生する虞があるため、付加的負荷制御を実行し(S5)、S6に移行する。
S4の判定の結果、共振領域A3ではない場合、クランクシャフト3による0.5次振動が発生する虞がないため、S6に移行する。
S6では、減筒運転を実行し、リターンする。
尚、失火判定処理は、失火判定部13によって所定の周期で繰り返し実行されると共に、図4に示した気筒数制御処理と並行して実行される。つまり、気筒数制御処理が行われている最中に、仮失火判定フラグF1と故障判定フラグF2が随時判定されている。
次に、S12では、失火カウント回数Cを0にリセットし、S13に移行する。
S13では、角速度変動Δωが設定値αよりも大きいか否か判定する。
S13の判定の結果、角速度変動Δωが設定値αよりも大きい場合、回数CをC+1に設定して(S14)、S16に移行し、S13の判定の結果、角速度変動Δωが設定値α以下の場合、回数Cを維持して(S15)、S16に移行する。
S16の判定の結果、計測時間が終了した場合、S17に移行する。S16の判定の結果、計測時間が終了していない場合、計測時間が終了するまで計測を継続する。
S17では、回数Cが第1閾値N1を超えたか否か判定する。
S17の判定の結果、回数Cが第1閾値N1を超えた場合、S18に移行する。
S18では、回数Cが第2閾値N2を超えたか否か判定する。
S18の判定の結果、回数Cが第2閾値N2を超えた場合、故障判定フラグF2を1に設定し(S19)、S22に移行する。S18の判定の結果、回数Cが第2閾値N2以下の場合、仮失火判定フラグF1を1に設定し(S20)、リターンする。
S22では、警告灯42を点灯後、リターンする。
S23では、故障判定フラグF2が1か否か判定する。
S23の判定の結果、故障判定フラグF2が1の場合、前回の失火判定では実失火判定されているものの、今回の失火判定では失火が解消したため、故障判定フラグF2を0に設定し(S24)、警告灯41を消灯後(S25)、S21に移行する。
S23の判定の結果、故障判定フラグF2が1ではない場合、前回の失火判定では実失火判定されていないため、S21に移行する。
S21では、仮失火判定フラグF1を0に設定し、リターンする。
本失火検出装置によれば、エンジン1の角速度変動Δωに基づいて失火可能性を判定可能な失火判定部13を有しているため、クランクシャフト3の回転挙動をパラメータとしてエンジン1の失火を検出することができる。
また、エンジン1の運転領域がダンパ機構Dの振動特性に起因して失火振動に相当する失火相当振動が発生する共振領域のとき、付加的負荷制御部14は、付加的負荷(オルタネータ42、空調装置43)を付加するため、走行駆動に影響を与えることなく、エンジン1の運転領域を共振領域A3から逸脱させて周期的移動現象に誘発されたクランクシャフト3による0.5次振動の検出を防止することができ、エンジン1の失火誤検出を回避することができる。
共振領域A3が、減筒運転領域A2のうち上限回転数と下限回転数により制限された領域に設定されたため、共振領域A3を一層正確に設定することができる。
実施例1では、共振領域A3のとき、失火相当振動の有無に拘らず、付加的負荷制御部14が付加的負荷制御を実行したのに対し、実施例2では、失火相当振動の発生後、付加的負荷制御部14が付加的負荷制御を実行する。
S32では、運転状態が減筒運転領域A2か否か判定する。
S32の判定の結果、運転状態が減筒運転領域A2である場合、S3に移行する。
S32の判定の結果、運転状態が減筒運転領域A2ではない場合、全筒運転領域A1であるため、全筒運転を実行して(S38)、リターンする。
S33の判定の結果、故障判定フラグF2が0である場合、実失火ではないため、S34に移行する。S33の判定の結果、故障判定フラグF2が0ではない場合、実失火確定を判定しているため、S38に移行する。
S34では、仮失火判定フラグF1が0か否か判定する。
S34の判定の結果、仮失火判定フラグF1が0である場合、仮失火状態ではないため、S36に移行する。
S36の判定の結果、仮失火判定フラグF1が1から0に変更して所定時間経過した場合、動弁機構の切替が確実に完了したため、S37に移行して減筒運転を実行した後、リターンする。
S34の判定の結果、仮失火判定フラグF1が0ではない場合、及び、S36の判定の結果、仮失火判定フラグF1が1から0に変更して所定時間経過していない場合、付加的負荷制御を実行して(S35)、S37に移行する。
失火判定部13は、設定値αよりも大きなエンジン1の角速度変動Δωの回数Cが第1閾値N1を超えたとき仮失火状態であると判定し、第1閾値N1よりも大きく設定された第2閾値N2を超えたときエンジン1の失火を判定するように構成されたため、失火判定する前段階で失火可能性がある仮失火状態を判定することができる。
1〕前記実施形態においては、直列4気筒ガソリンエンジンの例を説明したが、例えば、6気筒エンジンやV型エンジン等エンジンの型式に制限されること無く適用することが可能であり、特に直列4気筒ガソリンエンジンに限られるものではない。
また、4気筒のうち半数の2気筒を休止させる減筒運転を行うエンジンの例を説明したが、休止気筒の数を任意に設定しても良い。
また、角速度センサに代えて回転角センサの計測値の微分値を用いることも可能である。
12 弁停止機構制御部
13 失火判定部
14 付加的負荷制御部
26,27 ダンパスプリング
30 スプリング受け部材
31 スプリング保持プレート
42 オルタネータ
43 空調装置
D ダンパ機構
Claims (6)
- 減筒運転の実行条件成立により全筒運転から一部の気筒の運転を休止する減筒運転に切替える気筒数制御手段と、エンジンに起因した振動の発生を抑制可能なダンパ手段とを備えたエンジンの失火検出装置において、
エンジンの角速度変動に基づいて失火判定可能な失火判定手段と、
エンジンに対する付加的負荷を制御する付加的負荷制御手段とを有し、
エンジンの運転領域が前記ダンパ手段の振動特性に起因して失火振動に相当する失火相当振動が発生する共振領域のとき、前記付加的負荷制御手段は、付加的負荷を付加することを特徴とするエンジンの失火検出装置。 - 前記共振領域が、前記減筒運転領域のうち低負荷領域に設定されたことを特徴とする請求項1に記載のエンジンの失火検出装置。
- 前記共振領域が、前記減筒運転領域のうち上限回転数と下限回転数により制限された領域に設定されたことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの失火検出装置。
- 減筒運転の実行条件成立により全筒運転から一部の気筒の運転を休止する減筒運転に切替える気筒数制御手段と、エンジンに起因した振動の発生を抑制可能なダンパ手段とを備えたエンジンの失火検出装置において、
エンジンの角速度変動に基づいて失火判定可能な失火判定手段と、
エンジンに対する付加的負荷を制御する付加的負荷制御手段とを有し、
減筒運転中に前記失火判定手段によって何れかの気筒が失火している可能性がある仮失火状態が判定されたとき、前記付加的負荷制御手段は、付加的負荷を付加することを特徴とするエンジンの失火検出装置。 - 前記失火判定手段は、所定の計測時間において、設定値よりも大きなエンジンの角速度変動の回数が第1閾値を超えたとき仮失火状態であると判定し、前記第1閾値よりも大きく設定された第2閾値を超えたときエンジンの失火を判定するように構成され、
前記付加的負荷制御手段は、前記失火判定手段によって仮失火状態であると判定されたとき、付加的負荷を付加することを特徴とする請求項4に記載のエンジンの失火検出装置。 - 前記付加的負荷制御手段は、エンジンによって駆動される補機の負荷レベルを制御することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のエンジンの失火検出装置。
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