後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することで、前記第1ハウジングに収容する複数の第1フェルールと、前記第2ハウジングに収容する複数の第2フェルールとを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタであって、
前記第1ハウジングは、前記複数の第1フェルールをそれぞれ収容する複数の第1内部ハウジングと、前記複数の第1内部ハウジングに対する係止が解除可能な第1外部ハウジングとを有し、
前記複数の第1内部ハウジングは、前記第1外部ハウジングに対して共通の初期位置で係止されており、
前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合の際に、
前記初期位置での前記第1内部ハウジングと前記第1外部ハウジングとの間の係止が解除され、
前記初期位置とは別の嵌合位置で前記第1内部ハウジングが前記第1外部ハウジングに対して係止され、
それぞれ異なる前記嵌合位置において前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合が段階的に行われ、
前記嵌合位置で嵌合した前記第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止が解除される
ことを特徴とする光コネクタが明らかとなる。このような光コネクタによれば、多心の光コネクタの着脱と清掃が容易になる。
前記第1外部ハウジングは、第1被係止部と、第2被係止部とを有し、
前記第1内部ハウジングは、前記第1被係止部又は前記第2被係止部に係止する係止片を有する弾性係止部を有し、
前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合の際に、
前記第2ハウジングに押された前記弾性係止部が変形して、前記第1被係止部と前記係止片との係止が解除されることによって、前記初期位置での前記第1内部ハウジングと前記第1外部ハウジングとの間の係止が解除され、
前記嵌合位置で前記第2被係止部と前記係止片とが係止することによって、前記第1内部ハウジングが前記第1外部ハウジングに対して係止され、
前記第2ハウジングに押された前記弾性係止部が変形して、前記第2被係止部と前記係止片との係止が解除されることによって、前記嵌合位置で嵌合した前記第1内部ハウジングと前記第1外部ハウジングとの間の係止が解除される
ことが望ましい。これにより、多心の光コネクタの着脱と清掃が容易になる。
前記第1内部ハウジングに収容されている複数の前記第1フェルールの並ぶ方向を上下方向としたとき、前記第1外部ハウジングの上面及び下面の一方に前記第1被係止部が配置されており、前記上面及び下面の他方に前記第2被係止部が配置されていることが望ましい。これにより、第1内部ハウジングの幅を狭めることが可能になる。
複数の前記第1内部ハウジングの並ぶ方向を左右方向としたとき、前記第1被係止部及び前記第2被係止部が前記左右方向に並んで配置されていることが望ましい。これにより、前記第1外部ハウジングの上面及び下面の一方に前記第1被係止部及び前記第2被係止部を配置することが可能になる。
第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することで、前記第1ハウジングに収容する複数の第1フェルールと、前記第2ハウジングに収容する複数の第2フェルールとを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタの接続方法であって、
前記複数の第1フェルールをそれぞれ収容する複数の第1内部ハウジングと、前記複数の第1内部ハウジングに対する係止が解除可能な第1外部ハウジングとを有する前記第1ハウジングを準備すること、
前記複数の第1内部ハウジングを、前記第1外部ハウジングに対して共通の初期位置で係止させておくこと、
前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合の際に、
前記初期位置での前記第1内部ハウジングと前記第1外部ハウジングとの間の係止を解除すること、
前記初期位置とは別の嵌合位置で前記第1内部ハウジングを前記第1外部ハウジングに対して係止すること、
それぞれ異なる前記嵌合位置において前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合を段階的に行うこと、及び
前記嵌合位置で嵌合した前記第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止を解除すること
を行うことを特徴とする光コネクタの接続方法が明らかとなる。これにより、清掃の容易な多心の光コネクタの着脱が容易になる。
===第1実施形態===
<光コネクタ1の全体構成>
図1は、第1実施形態の光コネクタ1の全体斜視図である。図2Aは、第1実施形態の光コネクタ1の正面図である。図2Bは、図2AのA−A断面図である。なお、図1、図2A及び図2Bでは、光コネクタ1を接続する前の状態(光コネクタ1が抜去された状態)を示している。
以下の説明では、図に示すように各方向を定義する。すなわち、光コネクタ1の着脱方向を前後方向とし、光プラグ10及び光レセプタクル60それぞれにおいて接続の相手側を「前」とし、逆側を「後」とする。また、フェルール(プラグ側フェルール31又はレセプタクル側フェルール64)の幅方向を「左右方向」とする。また、フェルール(プラグ側フェルール31又はレセプタクル側フェルール64)の厚さ方向を「上下方向」とする。なお、上下方向は、「前後方向」及び「左右方向」と直交する方向でもある。
光コネクタ1は、多心光ファイバを接続するためのコネクタである。第1実施形態の光コネクタ1は、24心タイプのフェルール(プラグ側フェルール31又はレセプタクル側フェルール64)が上下方向に3個、左右方向に3個配列されている。但し、フェルールが保持する光ファイバの心数や、光コネクタ1が有するフェルールの数は、これに限られない。
光コネクタ1は、光プラグ10(以下、「第1コネクタ」と呼ぶことがある)と、光レセプタクル60(以下、「第2コネクタ」と呼ぶことがある)とを有する。
<光プラグ10の構成>
光プラグ10は、光コネクタ1の接続の際に、可動側となるコネクタである。第1実施形態では、作業者は光プラグ10を手に持ち、受け側となる光レセプタクル60に対して光プラグ10を差し込むことにより光コネクタ1を接続する。また、作業者は、光プラグ10を光レセプタクル60から抜き出すことにより光コネクタ1を抜去する。
光プラグ10は、プラグ側外部ハウジング11(以下、「第1外部ハウジング」と呼ぶことがある)と、複数のプラグ側内部コネクタ12(以下、「第1内部コネクタ」と呼ぶことがある)と、接続保持部13と、カバー部14と、ケーブル筒部15とを有する(図1、図2A及び図2B参照)。
プラグ側外部ハウジング11は、複数のプラグ側内部コネクタ12を収容する部材である。プラグ側外部ハウジング11は、前後方向に延在する筒状の部材であり、内部に複数(ここでは3個)のプラグ側内部コネクタ12を一括して収容する。後述するように、プラグ側外部ハウジング11は、プラグ側内部コネクタ12を前後方向に移動可能に収容する。また、プラグ側外部ハウジング11は、前後方向に移動可能なプラグ側内部コネクタ12を固定(係止)することも可能である。プラグ側外部ハウジング11の左右の側部には、一対の接続保持部13が設けられている。また、プラグ側外部ハウジング11の後側には、カバー部14が設けられている。プラグ側外部ハウジング11には、プラグ側内部コネクタ12の数に対応する複数の窓部22が設けられ、これらの窓部22から、プラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部ハウジング30)の一部が露出している。この他のプラグ側外部ハウジング11の詳細な構成については、後述する。
プラグ側内部コネクタ12は、光プラグ10が有する複数のフェルール(後述するプラグ側フェルール31)のうち、少なくとも1以上のフェルールを含むユニットである。第1実施形態の光プラグ10では、プラグ側外部ハウジング11内において、左右方向に3個のプラグ側内部コネクタ12が配列されている。但し、プラグ側内部コネクタ12の個数や配列の方向はこれに限られない。
以下の説明では、3個のプラグ側内部コネクタ12のそれぞれには、符号に添え字「A」〜「C」を付けている。なお、プラグ側内部コネクタ12A〜12Cのことを指して単に「プラグ側内部コネクタ12」と呼ぶことがある。なお、後述するように、プラグ側内部コネクタ12は、プラグ側内部コネクタ12A〜12Cの順に、レセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合する。
プラグ側内部コネクタ12は、プラグ側内部ハウジング30(以下、「第1内部ハウジング」と呼ぶことがある)と、プラグ側フェルール31(以下、「第1フェルール」と呼ぶことがある)と、プラグ側スプリング32(以下、「第1スプリング」と呼ぶことがある)とを有する(図2B参照)。
プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側フェルール31及びプラグ側スプリング32を収容する部材である。プラグ側内部ハウジング30は、前後方向に延在する筒状の部材であり、内部に複数(ここでは3個)のプラグ側フェルール31を収容する。プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11に収容されている。後述するように、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11内において前後方向に移動可能に収容されている。また、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11に係止されることによって、プラグ側外部ハウジング11に対して固定される。プラグ側内部ハウジング30の詳細な構成については、後述する。なお、複数のプラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とを合わせてプラグ側ハウジング(以下、「第1ハウジング」と呼ぶことがある)と呼ぶことがある。
プラグ側フェルール31は、光プラグ10側の光ファイバの端部を保持する部材である。プラグ側フェルール31は、例えば、MT形光コネクタ(JIS C 5981で規定される光コネクタ、MT:Mechanically Transferable)のフェルールである。第1実施形態の光プラグ10では、プラグ側内部ハウジング30内において、上下方向に3個のプラグ側フェルール31が配列されている。但し、プラグ側フェルール31の個数や配列の方向はこれに限られない。
プラグ側フェルール31の前側端面は、光コネクタ1を接続する際のフェルール接続端面となっている。プラグ側フェルール31の後側にはフェルール鍔部が形成されており、プラグ側内部ハウジング30の内部に形成された前抜防止突起にフェルール鍔部が接することによって、プラグ側スプリング32により前方へ押圧されているプラグ側フェルール31の前抜けが防止されている。
プラグ側スプリング32は、プラグ側フェルール31とプラグ側内部ハウジング30との位置関係を復元させるための弾性部材である。プラグ側スプリング32は、プラグ側フェルール31の後方に設けられたピンクランプ33と、プラグ側内部ハウジング30に固定されたスプリング受け部(不図示)との間で圧縮可能な状態で配置されている(図2B参照)。具体的には、プラグ側スプリング32の前端部はピンクランプ33に保持されており、プラグ側スプリング32の後端部はスプリング受け部(不図示)に保持されている。光コネクタ1の接続時にプラグ側フェルール31の前側端面にレセプタクル側フェルール64の前側端面が突き当たり、プラグ側フェルール31がプラグ側内部ハウジング30に対して後側に移動すると、ピンクランプ33を介してプラグ側スプリング32が圧縮変形する。圧縮変形したプラグ側スプリング32の弾性力によって、ピンクランプ33を介してプラグ側フェルール31が前方に付勢されることになる。また、プラグ側スプリング32の弾性力に抗してプラグ側フェルール31を後退可能(後方に移動可能)になっている。
接続保持部13は、光コネクタ1の接続状態を保持する部材である。接続保持部13は、光プラグ10のハウジング(プラグ側外部ハウジング11及びプラグ側内部ハウジング30)と光レセプタクル60のハウジング(レセプタクル側ハウジング61)との嵌合状態を保持することで、光コネクタ1の接続状態を保持する。接続保持部13は、プラグ側外部ハウジング11の左右に取り付けられている。接続保持部13のプラグ側外部ハウジング11への取付け箇所より前側の部分は、一対のラッチ部18が設けられている。また、接続保持部13のプラグ側外部ハウジング11への取付け箇所より後側の部分は、一対のラッチ部18を操作するための操作レバー16となっている。第1実施形態では、一対のラッチ部18を光レセプタクル60のラッチ用突起67(後述)に引っ掛けた状態(ラッチ状態)にすることによって、光プラグ10のハウジングと光レセプタクル60のハウジングとの嵌合状態を保持することで、光コネクタ1の接続状態を保持することができる。また、光コネクタ1の接続の解除の際、作業者が操作レバー16を下方に押圧することで、操作回転軸17を軸として接続保持部13が回転し、一対のラッチ部18が持ち上がり、一対のラッチ部18がラッチ用突起67に引っ掛かった状態(ラッチ状態)が解除される。
カバー部14及びケーブル筒部15は、光プラグ10の光ファイバを収容する部材である。カバー部14は、光コネクタ1を着脱する際に、作業者が手に持つ部位でもある。カバー部14は、プラグ側外部ハウジング11の後側に取り付けられている。また、ケーブル筒部15は、カバー部14の後側に取り付けられている。ケーブル筒部15は蛇腹形状に形成されているが、ケーブル筒部15の形状はこれに限られない。
<光レセプタクル60の構成>
光レセプタクル60は、光コネクタ1の接続の際に、受け側となるコネクタである。第1実施形態では、作業者が光レセプタクル60に対して光プラグ10を差し込むことにより光コネクタ1を接続する。また、作業者が光レセプタクル60から光プラグ10が抜き出すことにより光コネクタ1を抜去する。
光レセプタクル60は、レセプタクル側外部ハウジング62と、複数のレセプタクル側内部ハウジング63と、複数のレセプタクル側フェルール64(以下、「第2フェルール」と呼ぶことがある)と、複数のレセプタクル側スプリング65(以下、「第2スプリング」と呼ぶことがある)と、ラッチ用突起67とを有する。
レセプタクル側外部ハウジング62は、レセプタクル側内部ハウジング63を収容する部材である。レセプタクル側外部ハウジング62は、前後方向に延在する筒状の部材であり、内部には左右方向に複数(ここでは3個)のレセプタクル側内部ハウジング63を収容する。
レセプタクル側内部ハウジング63は、複数のレセプタクル側フェルール64及び複数のレセプタクル側スプリング65を収容する部材である。レセプタクル側内部ハウジング63は、前後方向に延在する筒状の部材であり、内部には上下方向に複数(ここでは3個)のレセプタクル側フェルール64及び複数(ここでは3個)のレセプタクル側スプリング65を収容する。なお、レセプタクル側内部ハウジング63は、レセプタクル側外部ハウジング62と一体的に形成されても良い。また、複数のレセプタクル側内部ハウジング63とレセプタクル側外部ハウジング62とを合わせてレセプタクル側ハウジング61(以下、「第2ハウジング」と呼ぶことがある)と呼ぶことがある。レセプタクル側外部ハウジング62及びレセプタクル側内部ハウジング63の詳細な構成については、後述する。
レセプタクル側フェルール64は、光レセプタクル60側の光ファイバの端部を保持する部材である。レセプタクル側スプリング65は、レセプタクル側フェルール64とレセプタクル側内部ハウジング63との位置関係を復元させるための弾性部材である。なお、レセプタクル側フェルール64及びレセプタクル側スプリング65は、プラグ側フェルール31及びプラグ側スプリング32と同様の構成なので、説明を省略する。以下の説明では、レセプタクル側内部ハウジング63と、レセプタクル側フェルール64とを合わせてレセプタクル側サブコネクタ(以下、「第2サブコネクタ」と呼ぶことがある)と呼ぶことがある。レセプタクル側サブコネクタは、レセプタクル側スプリング65をさらに備えても良い。第1実施形態の光レセプタクル60は、複数(3個)のレセプタクル側フェルール64をそれぞれ備える複数(3個)のレセプタクル側サブコネクタを有している。
ラッチ用突起67は、光プラグ10の接続保持部13に設けられた一対のラッチ部18が引っ掛かる部位(レセプタクル側ラッチ部)である。ラッチ用突起67は、レセプタクル側外部ハウジング62の左右に設けられている。
<嵌合機構>
・プラグ側の嵌合機構
図3は、光プラグ10の嵌合機構を斜め上から見た斜視図である。図4は、光プラグ10の嵌合機構を斜め下から見た斜視図である。
プラグ側外部ハウジング11は、凸部21と、窓部22と、第1被係止部231と、第2被係止部232とを有する。凸部21は、プラグ側外部ハウジング11の上面及び下面から外側に突出するように形成された凸状の部位である。凸部21は、レセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71を上下方向に弾性変形させる機能を有する。窓部22は、プラグ側外部ハウジング11の上面及び下面に設けられた開口部である。窓部22は、プラグ側内部ハウジング30の嵌合機構(例えば弾性係止部41)を露出させる機能を有する。第1被係止部231は、プラグ側内部ハウジング30の係止片44の引っ掛かる部位である。第1被係止部231は、プラグ側外部ハウジング11に対してプラグ側内部ハウジング30を初期位置に固定する機能を有する。第1被係止部231は、3個のプラグ側内部ハウジング30のそれぞれに対して設けられており、3個の第1被係止部231の前後方向の位置は共通である。これにより、3個のプラグ側内部ハウジング30が共通の初期位置に並んだ状態でプラグ側外部ハウジング11に固定可能となる。第2被係止部232は、プラグ側内部ハウジング30の係止片44の引っ掛かる部位である。第2被係止部232は、プラグ側外部ハウジング11に対してプラグ側内部ハウジング30を嵌合位置に固定する機能を有する。第2被係止部232は、3個のプラグ側内部ハウジング30のそれぞれに対して設けられており、3個の第2被係止部232の前後方向の位置は段階的に異なっている。例えば、中央のプラグ側内部コネクタ12Aに対する第2被係止部232は、初期位置のプラグ側内部ハウジング30の係止片44の位置に配置されているのに対し、右側のプラグ側内部コネクタ12Bに対する第2被係止部232は、初期位置のプラグ側内部ハウジング30の係止片44よりも距離L2だけ後方の位置に配置されており、左側のプラグ側内部コネクタ12Cに対する第2被係止部232は、初期位置のプラグ側内部ハウジング30の係止片44よりも距離L3だけ後側の位置に配置されている。
プラグ側内部ハウジング30は、弾性係止部41と、係合片43とを有する。
弾性係止部41は、プラグ側内部ハウジング30の上面及び下面に設けられた片持ち梁状の部位である。弾性係止部41は、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70に押し付けられることによって変形する部位である。弾性係止部41は、係止片44と、被押付突起45とを有する。
係止片44は、プラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231や第2被係止部232に引っ掛かる部位である。本実施形態では、係止片44は、弾性係止部41の端部の左右両縁に形成されている。図3の点線で囲む領域に示すように、初期位置において3個のプラグ側内部ハウジング30のそれぞれの係止片44がプラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231に引っ掛かっており、これにより、3個のプラグ側内部ハウジング30が共通の初期位置においてプラグ側外部ハウジング11に対して固定されている。図4に示すように、初期位置において、中央のプラグ側内部ハウジング30の係止片44は、プラグ側外部ハウジング11の第2被係止部232に引っ掛かっている。一方、図4に示すように、初期位置において、左右のプラグ側内部ハウジング30の係止片44と、プラグ側外部ハウジング11の第2被係止部232との間には前後方向に隙間があいている。後述するように、左右のプラグ側内部ハウジング30については、初期位置における係止状態が解除され、左右のプラグ側内部ハウジング30がそれぞれプラグ側外部ハウジング11に対して後側に移動した後に、係止片44がプラグ側外部ハウジング11の第2被係止部232に引っ掛かることになる。
被押付突起45は、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70に押し付けられる部位である。被押付突起45は、弾性係止部41の端部において外側に突出する部位である。被押付突起45がレセプタクル側外部ハウジング62の押付部70に押し付けられることによって、弾性係止部41が変形し、これにより、係止片44の係止状態(第1被係止部231や第2被係止部232に引っ掛かっている状態)が解除されることになる。
係合片43は、レセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71(係合孔73)と係合する部位である。プラグ側内部ハウジング30の係合片43がレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71(係合孔73)と係合することによって、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63とが所定の位置関係になる。このとき、プラグ側フェルール31の端面とレセプタクル側フェルール64の端面とが所定の押圧力で突き当たった状態になる。なお、プラグ側内部ハウジング30の係合片43がレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71(係合孔73)と係合することによって、プラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64との押圧力の反力によってプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63との間に反発力が働いても、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63との位置関係が保持されることになる。
・レセプタクル側の嵌合機構
図1、図2A及び図2Bを参照しつつ、レセプタクル側の嵌合機構について説明する。
レセプタクル側外部ハウジング62は、押付部70を有する。押付部70は、レセプタクル側外部ハウジング62の上面及び下面の前端から前側に突出した部位である。押付部70は、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の被押付突起45に接触し、弾性係止部41を変形させる部位である。押付部70がプラグ側内部ハウジング30の被押付突起45を押し付けて弾性係止部41を変形させ、これにより、係止片44が第1被係止部231や第2被係止部232に引っ掛かっている係止状態が解除され、プラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して移動可能になる。
レセプタクル側内部ハウジング63は、被係合部71を有する。被係合部71は、レセプタクル側内部ハウジング63の上面及び下面に設けられた片持ち梁状の部位である。被係合部71は、係合凸部72と、係合孔73とを有する。係合凸部72は、被係合部71の内面から内側に突出するように形成された凸状の部位である。係合凸部72は、プラグ側外部ハウジング11の凸部21に乗り上がることによって、被係合部71を外側に変形させる機能を有する。係合孔73は、被係合部71に形成された穴である。係合孔73の縁にプラグ側内部ハウジング30の係合片43が係合することによって、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63とが所定の位置関係になる。
<光コネクタ1の接続手順(その1)>
プラグ側内部コネクタ12は、レセプタクル側ハウジング61に嵌合することで、光プラグ10のプラグ側フェルール31と、光レセプタクル60のレセプタクル側フェルール64とが突き合わせ接続される。本実施形態では、最初に、プラグ側外部ハウジング11内の中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aがレセプタクル側ハウジング61に嵌合し、その後、左右に並ぶ他のプラグ側内部コネクタ12B、12Cがレセプタクル側ハウジング61に段階的に嵌合する。そして、光プラグ10の全てのプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に嵌合することで、光コネクタ1が接続されることになる。
ここでは、まず、中央のプラグ側内部コネクタ12Aとレセプタクル側ハウジング61との嵌合について説明する。初期位置では、図2Aに示すように、プラグ側内部ハウジング30の係止片44がプラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231に係止された状態(第1係止状態)になっており、プラグ側内部ハウジング30が初期位置でプラグ側外部ハウジング11に対して固定されている。
図5A〜図5C及び図6A〜図6Cは、中央のプラグ側内部コネクタ12Aとレセプタクル側ハウジング61との嵌合手順の説明図である。まず、プラグ側内部ハウジング30の係合片43が、レセプタクル側内部ハウジング63(レセプタクル側ハウジング61)の被係合部71に係合した状態である「ハウジング係合状態」となる(図5C参照)。次に、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41がプラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231に係止された状態が解除され、プラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11に対してフローティングが可能になった状態(プラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11に対して前後方向に移動可能になった状態)である「フローティング状態」となる。なお、本実施形態では、フローティング状態は、プラグ側内部ハウジング30の係合片43が、再びレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態になり、プラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とが所定の位置関係になった状態である(図6C参照)。フローティング状態となったプラグ側内部コネクタ12はプラグ側外部ハウジング11に対して後退することが可能となる。プラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11に対して後退可能となるフローティング状態になることによって、プラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とを所定の位置関係に保持した状態で、ラッチ部18をラッチ用突起67にラッチできるまで光プラグ10を光レセプタクル60に向かって更に接近させることが可能になる。
・ハウジング係合状態
図5A〜図5Cは、ハウジング係合状態に至るまでの様子を示す断面図である。なお、図中の左側には、光レセプタクル60に対する光プラグ10の位置と光プラグ10が受ける力とのグラフが示されている(グラフの横軸は、光レセプタクル60に対する光プラグ10の位置を示している。グラフの縦軸は、光プラグ10が受ける力(操作者の受ける力)を示している。
図5Aは、プラグ側フェルール31の端面とレセプタクル側フェルール64の端面とが突き当たる前の状態を示している。図5Aに示すように、一方のフェルールのガイドピンが、他方のフェルールのガイド穴(不図示)に挿入されている。また、レセプタクル側内部ハウジング63の係合凸部72がプラグ側外部ハウジング11の凸部21に乗り上げるようにして、被係合部71が上部に弾性変形している。これにより、さらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、光レセプタクル60の被係合部71が、光プラグ10の係合片43を乗り越えることができる。
図5Bは、プラグ側フェルール31の端面とレセプタクル側フェルール64の端面とが突き当たった状態を示している。前述したように、プラグ側フェルール31は、プラグ側スプリング32により前方へ押圧されている。また、レセプタクル側フェルール64も、レセプタクル側スプリング65により前方へ押圧されている。このため、作業者は、光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、圧縮変形したプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力を受けることになる。つまり、作業者は、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力に抗して光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させる必要がある。したがって、図5Bの左側図に示すように、この後、光プラグ10の移動に伴い、光プラグ10の受ける力は増加していくことになる。
図5Cは、プラグ側内部ハウジング30の係合片43が、レセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態を示している。すなわち、プラグ側内部コネクタ12とレセプタクル側ハウジング61とのハウジング係合状態を示している。この係合により、プラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64との端面同士の突き当たり面(機械的基準面)が固定される。係合片43が被係合部71の係合孔73に係合した状態では、プラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64の端面同士が突き合わされた状態で、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63とが所定の位置関係になっており、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65が所定量で圧縮変形している。このため、係合片43が被係合部71の係合孔73に係合した状態では、プラグ側フェルール31及びレセプタクル側フェルール64は、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65によって、所定の押圧力で突き合わせられた状態に固定される。つまり、図5Cの段階では、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71との係合箇所において、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力の反力を受けることになる。このため、図5Cの左側図に示すように、光プラグ10の受ける力は大幅に減少する。
図5Cの段階では、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の係止片44は、プラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231によって係止されており、プラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とが係止状態(互いに移動できない状態)となっている。
・フローティング状態
図6A〜図6Cは、ハウジング係合状態からフローティング状態に至るまでの様子を示す断面図である。なお、図6A〜図6Bのそれぞれの左側には、光レセプタクル60に対する光プラグ10の位置と光プラグ10が受ける力とのグラフが示されている(グラフの横軸は、光レセプタクル60に対する光プラグ10の位置を示している。グラフの縦軸は、光プラグ10が受ける力(操作者の受ける力)を示している。
図6Aは、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の被押付突起45にレセプタクル側外部ハウジング62の押付部70が当接した状態を示している。前述の図5Cの段階から、作業者がさらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、ハウジング係合状態が一時的に解除された状態となる。すなわち、プラグ側内部ハウジング30の係合片43が、レセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態から離れて、再び圧縮変形したプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力を受ける状態となる。さらに、図6Aに示す状態では、ハウジング係合状態となる直前と比べて、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65がさらに圧縮変形している。したがって、図6Aの左側図に示すように、光プラグ10の受ける力はハウジング係合状態となる直前よりも増加することになる。なお、この段階では、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70は、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の被押付突起45に当接しているが、押付部70は弾性係止部41をプラグ側フェルール31側に弾性変形させておらず、係止解除状態にはなっていない。このため、この段階では、プラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との位置関係は固定されたままである。
図6Bは、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の係止片44がプラグ側外部ハウジング11の被係止部から係止解除する直前の状態を示している。この段階では、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65が最も圧縮変形している状態となる。したがって、図6Bの左側図に示すように、光プラグ10の受ける力は最も大きくなる。また、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70がプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41をプラグ側フェルール31側(図6Bの下側)に弾性変形させた状態となっている。なお、図6Bの段階から、作業者がさらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70がプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41をプラグ側フェルール31側(図6Bの下側)にさらに弾性変形させ、これにより、プラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231によるプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の係止が外れ、係止解除状態になる。プラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との係止状態が解除されると、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動可能になる。
図6Cは、プラグ側内部ハウジング30の係合片43が、再びレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態を示している。図6Bに示すように係止解除状態になると、プラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動可能になるため、図6Cに示すように、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力によってプラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動し、プラグ側内部ハウジング30の係合片43が、再びレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態になる。この結果、プラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とが再び所定の位置関係になり、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65が再び所定量で圧縮変形した状態になるため、プラグ側フェルール31及びレセプタクル側フェルール64が、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65によって、再び所定の押圧力で突き合わせられた状態になる。フローティング状態では、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63とが所定の位置関係(プラグ側フェルール31及びレセプタクル側フェルール64がプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65によって、所定の押圧力で突き合わせられた状態)を保ったまま、プラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部ハウジング30)がプラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動可能となるので、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力は光プラグ10に対してかからないことになる。このため、図6Cの左側図に示すように、光プラグ10の受ける力は再び大幅に減少する。
<光コネクタ1の接続手順(その2)>
図7Aは、中央のプラグ側内部コネクタ12Aの断面図(図2AのA−A断面図)である。図7Bは、左側のプラグ側内部コネクタ12Cの断面図(図2AのC−C断面図)である。図7A及び図7Bでは、どちらのプラグ側内部ハウジング30も共通の初期位置に配置されている。
図7Aに示すように、中央のプラグ側内部コネクタ12Aのプラグ側内部ハウジング30の上面及び下面には片持ち梁状の弾性係止部41が形成されており、それぞれの弾性係止部41には係止片44が形成されている。既に説明したように、プラグ側内部ハウジング30が初期位置にあるとき、係止片44は、プラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231に係止された状態(第1係止状態)になっている。また、図7Aに示すように、プラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231と第2被係止部232は、前後方向の同じ位置に形成されている。このため、中央のプラグ側内部コネクタ12Aのプラグ側内部ハウジング30が初期位置にあるとき、係止片44は、プラグ側外部ハウジング11の第2被係止部232に係止された状態になっている。つまり、中央のプラグ側内部ハウジング30が初期位置にあるとき、プラグ側内部ハウジング30の上下の係止片44は、第1被係止部231及び第2被係止部232にそれぞれ係止された状態になる。中央のプラグ側内部ハウジング30に対して、第2被係止部232は、第1被係止部231と実質的に同様の機能を果たすことになる。
既に説明したように、中央のプラグ側内部コネクタ12Aのプラグ側内部ハウジング30が初期位置にあるとき、プラグ側内部ハウジング30の係止片44がプラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231(及び第2被係止部232)に係止された状態になっており、プラグ側内部ハウジング30が初期位置でプラグ側外部ハウジング11に対して固定されている。そして、プラグ側内部ハウジング30の係止片44がプラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231(及び第2被係止部232)に係止された状態で、プラグ側内部ハウジング30の係合片43が、レセプタクル側内部ハウジング63(レセプタクル側ハウジング61)の被係合部71に係合した状態である「ハウジング係合状態」となる(図5C参照)。次に、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41がプラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231(及び第2被係止部232)に係止された状態が解除され(図6B参照)、プラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11に対してフローティングが可能になった状態(プラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11に対して前後方向に移動可能になった状態)である「フローティング状態」となる(図6C参照)。
これに対し、図7Bに示す第1被係止部231と第2被係止部232の前後方向の位置を比較して理解できるように、左側のプラグ側内部コネクタ12Cに対する第2被係止部232は、第1被係止部231よりも距離L3だけ後側に配置されている。また、図7Aと図7Bの第2被係止部232の位置を比較して理解できるように、左側のプラグ側内部コネクタ12Cに対する第2被係止部232は、中央のプラグ側内部コネクタ12Aに対する第2被係止部232よりも距離L3だけ後側に配置されている。第1被係止部231は、プラグ側外部ハウジング11に対してプラグ側内部ハウジング30を初期位置に固定する機能を有する。第2被係止部232は、プラグ側外部ハウジング11に対してプラグ側内部ハウジング30を嵌合位置に固定する機能を有する。
図8A〜図8Cは、左側のプラグ側内部コネクタ12Cの移動の説明図である。図8Aは、プラグ側内部ハウジング30が初期位置にあるときの断面図である。図8Bは、プラグ側内部ハウジング30が嵌合位置にあるときの断面図である。図8Cは、プラグ側内部ハウジング30がフローティング状態にあるときの断面図である。
図8Aに示すように、左側のプラグ側内部コネクタ12Cのプラグ側内部ハウジング30が初期位置にあるとき、プラグ側内部ハウジング30の係止片44がプラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231に係止された状態(第1係止状態)になっており、プラグ側内部ハウジング30が初期位置でプラグ側外部ハウジング11に対して固定されている。作業者が光プラグ10を光レセプタクル60(図8A〜図8Cでは不図示)に対して移動させると、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70がプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41を弾性変形させ、これにより、プラグ側外部ハウジング11の第1被係止部231によるプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の係止が外れ、係止解除状態になる。プラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との係止状態が解除されると、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11に対して後側に移動可能になる。作業者が光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、光レセプタクル60によってプラグ側内部ハウジング30が後側に押されて移動する。
左側のプラグ側内部コネクタ12Cのプラグ側内部ハウジング30が基準位置(図8A参照)から距離L3だけ後側に移動すると、図8Bに示すように、プラグ側内部ハウジング30の下面の係止片44がプラグ側外部ハウジング11の第2被係止部232に係止された状態(第2係止状態)になり、その位置(嵌合位置)でプラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して固定される。これにより、さらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、図5A〜図5Cに示す順序と同様に、ハウジング係合状態になる。つまり、左側のプラグ側内部コネクタ12Cは、プラグ側内部ハウジング30が図8Bに示す嵌合位置にあるときに、ハウジング係合状態になる。
左側のプラグ側内部コネクタ12Cが図8Bに示す嵌合位置でハウジング係合状態になった後、さらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70がプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41を弾性変形させ、これにより、プラグ側外部ハウジング11の第2被係止部232によるプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の係止が外れ、係止解除状態になる。これにより、さらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、図6A〜図6Cに示す順序と同様に、ハウジング係合状態からフローティング状態になる。
本実施形態では、中央のプラグ側内部コネクタ12Aは、初期位置が嵌合位置となってハウジング係合状態(及びフローティング状態)になるのに対し、左側のプラグ側内部コネクタ12Cは、初期位置よりも距離L3だけ後側の嵌合位置においてハウジング係合状態(及びフローティング状態)になる。このように、最初に、プラグ側外部ハウジング11内の中央のプラグ側内部コネクタ12Aがレセプタクル側ハウジング61に嵌合し、その後、左右に並ぶ他のプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部コネクタ12B、12C)がレセプタクル側ハウジング61に段階的に嵌合する。そして、光プラグ10の全てのプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に嵌合することで、光コネクタ1が接続されることになる。
図9Aは、第1実施形態の光コネクタ1において、複数のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合する際の、光プラグ10の光レセプタクル60に対する位置と光プラグ10が受ける力との関係を示す図である。
前述したように、光コネクタ1の接続のために、作業者が光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、光プラグ10が受ける力は、ハウジング係合状態の直前までプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力により増加し、ハウジング係合状態になった段階で減少する。また、作業者がハウジング係合状態から光プラグ10を光レセプタクル60に対してさらに移動させると、ハウジング係合状態の直前において光プラグ10が受ける力からさらに増加していき、フローティング状態の直前で最大となる。
仮に、本実施形態の複数(3個)のプラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11内において、全て前後方向に同じ位置に配置されていた場合、複数(3個)のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して同時に嵌合することになる。そうすると、フローティング状態の直前で最大となる光プラグ10が受ける力も、複数(3個)のプラグ側内部コネクタ12の分だけ増大してしまうことになる。このような多心の光コネクタ1を着脱するためには多大な力が必要になってしまい、着脱作業の作業性の低下が問題となっていた。
本実施形態の光コネクタ1では、図4に示すように3個の第2被係止部232の前後方向の位置を段階的に異ならせることによって、光プラグ10の3個のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するように設けられている。そうすると、図5A〜図6Cで示した光プラグ10の受ける力は、図9Aに示すように、複数のプラグ側内部コネクタ12毎に段階的に付与されることになる。これにより、光プラグ10の受ける力が抑制され、多心の光コネクタ1を容易に接続することができる。
また、本実施形態の光コネクタ1では、プラグ側外部ハウジング11内で左右方向に配列された複数のプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部コネクタ12A〜12C)のうち、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aが最初にフローティング状態となる。このように、複数のプラグ側内部コネクタ12のうち中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aが最初にレセプタクル側ハウジング61に嵌合する。言い換えれば、複数のプラグ側内部コネクタ12の内、一部のプラグ側内部コネクタ12(例えばプラグ側内部コネクタ12A)が先行して、対応するレセプタクル側ハウジング61に接続されると共に、一部のプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部コネクタ12A)がプラグ側外部ハウジング11に対してフローティング状態となる。これにより、光プラグ10を光レセプタクル60に接続する際の光プラグ10の傾きを抑制することができる。
また、本実施形態の光コネクタ1では、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aがフローティング状態となった後、プラグ側内部コネクタ12Aの隣のプラグ側内部コネクタ12Bがフローティング状態となる。そして、プラグ側内部コネクタ12Bがフローティング状態となった後は、左右方向において、プラグ側内部コネクタ12Aに対してプラグ側内部コネクタ12Bとは反対側に位置するプラグ側内部コネクタ12Cがフローティング状態となる。このように、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aがレセプタクル側ハウジング61に嵌合した後、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aの右側のプラグ側内部コネクタ12Bがレセプタクル側ハウジング61に嵌合し、その後に、左側(中央のプラグ側内部コネクタ12Aから見て右側のプラグ側内部コネクタ12Bとは反対側)のプラグ側内部コネクタ12Cがレセプタクル側ハウジング61に嵌合する。これにより、光プラグ10を光レセプタクル60に接続する際の光プラグ10の傾きを抑制することができる。
図9Aに示すように、本実施形態では、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてフローティング状態となった段階(A2)の直後に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始めることになる。これにより、光プラグ10の受ける力が抑制され、多心の光コネクタ1を容易に接続することができる。
<別の実施形態>
図9Bに示すように、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてハウジング係合状態となった段階(A1)より後に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始める。図9Aに示した例と比べて、図9Bに示した例では、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてフローティング状態となった段階(A2)より前に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始めることになる。しかし、フェルール同士(プラグ側フェルール31及びレセプタクル側フェルール64)の突き合わせの初期の段階であれば、スプリング(プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65)の弾性力も比較的小さいので、光プラグ10の受ける力が抑制され、多心の光コネクタ1を容易に接続することができる。
図9Cに示すように、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてハウジング係合状態となった段階(A1)より前に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始める。この場合においても、光プラグ10が受ける力が最大となるフローティング状態(A2〜C2)が段階的となっているので、光プラグ10の受ける力が抑制され、多心の光コネクタ1を容易に接続することができる。
<比較例>
図10は、比較例の光プラグ10の嵌合機構を斜め下から見た斜視図である。
比較例においても、3個の第2被係止部232(及び第1被係止部231)の前後方向の位置が段階的に異なるため、光プラグ10の3個のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するように設けられている。これにより、比較例においても、光プラグ10の受ける力は、図9Aに示すように、複数のプラグ側内部コネクタ12毎に段階的に付与されることになる。これにより、光プラグ10の受ける力が抑制され、多心の光コネクタ1を容易に接続することができる。
但し、比較例では、3個のプラグ側内部ハウジング30の初期位置が段階的に異なっている。このため、中央のプラグ側内部コネクタ12Aのプラグ側フェルール31と、左右のプラグ側内部コネクタ12B、12Cのプラグ側フェルール31とでは、前後方向の位置が異なっている。比較例のようにフェルールの端面の位置が前後方向にずれて配置されていると、清掃工具を用いたフェルールの清掃作業が困難になる。また、フェルールの端面の位置に応じた清掃工具を用意する必要がある場合には、比較例では、複数種類の清掃工具を用意する必要が生じてしまう。
これに対し、本実施形態では、図3及び図4に示すように、3個のプラグ側内部ハウジング30の初期位置が共通であるため、全てのフェルールは前後方向の位置が揃うように配置されている。このため、本実施形態では、複数のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するにも関わらず、清掃工具を用いたフェルールの清掃作業が容易になる。
===第2実施形態===
図11は、第2実施形態の光コネクタ1の全体斜視図である。図12は、第2実施形態の光プラグ10の嵌合機構を斜め下から見た斜視図である。
第2実施形態においても、光コネクタ1は、光プラグ10と、光レセプタクル60とを有する。光プラグ10は、プラグ側外部ハウジング11と、複数のプラグ側内部コネクタ12とを有する。光レセプタクル60は、レセプタクル側外部ハウジング62と、複数のレセプタクル側内部ハウジング63と、複数のレセプタクル側フェルール64(図11では不図示)とを有する。また、第2実施形態においても、プラグ側の嵌合機構として、プラグ側外部ハウジング11は、第1被係止部231と第2被係止部232とを有し、プラグ側内部ハウジング30は、弾性係止部41と係合片43とを有する。また、レセプタクル側の嵌合機構として、レセプタクル側外部ハウジング62は押付部70を有し、レセプタクル側内部ハウジング63は被係合部71を有する。
前述の第1実施形態の光プラグ10は3個のプラグ側内部コネクタ12を有していたのに対し、第2実施形態の光プラグ10は5個のプラグ側内部コネクタ12を有する。また、第1実施形態の光レセプタクル60は3個のレセプタクル側内部ハウジング63を有していたのに対し、第2実施形態の光レセプタクル60は5個のレセプタクル側内部ハウジング63を有する。このように、光プラグ10のプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部ハウジング30やプラグ側フェルール31)の数や、光レセプタクル60のレセプタクル側内部ハウジング63の数は、適宜変更可能である。
第2実施形態においても、第1被係止部231は、複数個のプラグ側内部ハウジング30のそれぞれに対して設けられており、複数の第1被係止部231の前後方向の位置は共通である。これにより、複数のプラグ側内部ハウジング30が共通の初期位置に並んだ状態でプラグ側外部ハウジング11に固定可能となる。このため、第2実施形態においても、複数のプラグ側内部ハウジング30の初期位置が共通になるため、全てのフェルールが前後方向の位置が揃うように配置されているので、清掃工具を用いたフェルールの清掃作業が容易になる。また、第2実施形態においても、第2被係止部232は、複数のプラグ側内部ハウジング30のそれぞれに対して設けられており、複数の第2被係止部232の前後方向の位置は段階的に異なっている。これにより、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、光プラグ10の複数のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するため、光プラグ10の受ける力は、複数のプラグ側内部コネクタ12毎に段階的に付与されることになる。この結果、光プラグ10の受ける力が抑制され、多心の光コネクタ1を容易に接続することができる。
また、第2実施形態の光コネクタ1では、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aがレセプタクル側ハウジング61に嵌合した後、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aの右側のプラグ側内部コネクタ12Bがレセプタクル側ハウジング61に嵌合し、その後に、左側(中央のプラグ側内部コネクタ12Aから見て右側のプラグ側内部コネクタ12Bとは反対側)のプラグ側内部コネクタ12Cがレセプタクル側ハウジング61に嵌合する。これにより、光プラグ10を光レセプタクル60に接続する際の光プラグ10の傾きを抑制することができる。また、第2実施形態の光コネクタ1では、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aがレセプタクル側ハウジング61に嵌合した後、中央のプラグ側内部コネクタ12Aから見て左右交互にプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に段階的に嵌合する(プラグ側内部コネクタ12B〜12Eの順に嵌合する)。これにより、光プラグ10を光レセプタクル60に接続する際の光プラグ10の傾きを抑制することができる。
===第3実施形態===
図13は、第3実施形態の光プラグ10の嵌合機構を斜め上から見た斜視図である。図14は、第3実施形態の光プラグ10の嵌合機構を別方向の斜め上から見た斜視図である。
第3実施形態においても、光コネクタ1は、光プラグ10と、光レセプタクル60(不図示)とを有する。光プラグ10は、プラグ側外部ハウジング11と、複数のプラグ側内部コネクタ12とを有する。不図示の光レセプタクル60は、レセプタクル側外部ハウジング62と、複数のレセプタクル側内部ハウジング63と、複数のレセプタクル側フェルール64とを有する。また、第2実施形態においても、プラグ側外部ハウジング11は、第1被係止部231と、第2被係止部232とを有する。また、プラグ側内部ハウジング30は、弾性係止部41と、係合片43とを有する。
前述の第1実施形態及び第2実施形態では、プラグ側外部ハウジング11の上部に第1被係止部231が形成されており、下部に第2被係止部232が形成されていた。これに対し、第3実施形態では、第1被係止部231及び第2被係止部232は、プラグ側外部ハウジング11の上部に形成されている(5個のプラグ側内部ハウジング30のそれぞれに対して、第1被係止部231は右側に形成され、第2被係止部232は左側に形成されている)。また、前述の第1実施形態及び第2実施形態では、プラグ側内部ハウジング30の上面及び下面に弾性係止部41が形成されており、上面の弾性係止部41の係止片44は、プラグ側外側ハウジングの第1被係止部231に引っ掛かり、下面の弾性係止部41の係止片44は、プラグ側外側ハウジングの第2被係止部232に引っ掛かるように構成されていた。これに対し、第3実施形態では、プラグ側内部ハウジング30の上面に2つの弾性係止部41が左右に並んで形成されており、一方の弾性係止部41の係止片44は、プラグ側外側ハウジングの第1被係止部231に引っ掛かり、他方の弾性係止部41の係止片44は、プラグ側外側ハウジングの第2被係止部232に引っ掛かるように構成されている。このように、第1被係止部231及び第2被係止部232の配置(及び、第1被係止部231や第2被係止部232に引っ掛かる係止片44の配置)を適宜変更しても良い。
第3実施形態においても、第1被係止部231は、複数個のプラグ側内部ハウジング30のそれぞれに対して設けられており、複数の第1被係止部231の前後方向の位置は共通である。これにより、複数のプラグ側内部ハウジング30が共通の初期位置に並んだ状態でプラグ側外部ハウジング11に固定可能となる。このため、第3実施形態においても、複数のプラグ側内部ハウジング30の初期位置が共通になるため、全てのフェルールが前後方向の位置が揃うように配置されているので、清掃工具を用いたフェルールの清掃作業が容易になる。また、第3実施形態においても、第2被係止部232は、複数のプラグ側内部ハウジング30のそれぞれに対して設けられており、複数の第2被係止部232の前後方向の位置は段階的に異なっている。これにより、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、光プラグ10の複数のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するため、光プラグ10の受ける力は、複数のプラグ側内部コネクタ12毎に段階的に付与されることになる。この結果、光プラグ10の受ける力が抑制され、多心の光コネクタ1を容易に接続することができる。
===小括===
上記の第1〜第3実施形態の光コネクタ1は、図2に示すように、プラグ側ハウジング(第1ハウジング)とレセプタクル側ハウジング61(第2ハウジング)とを嵌合することで、プラグ側ハウジングに収容する複数のプラグ側フェルール31(第1フェルール)と、レセプタクル側ハウジング61に収容する複数のレセプタクル側フェルール64(第2フェルール)とを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタである。そして、上記実施形態では、プラグ側ハウジングは、複数のプラグ側フェルール31をそれぞれ収容する複数のプラグ側内部ハウジング30(第1内部ハウジング)と、複数のプラグ側内部ハウジング30に対する係止が解除可能なプラグ側外部ハウジング11(第1外部ハウジング)とを有し、複数のプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側ハウジング61との嵌合が段階的に行われ、それぞれの嵌合の際に、嵌合したプラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との間の係止を解除する。これにより、上記実施形態では、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
一方、このようにプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側ハウジング61との嵌合を段階的に行わせるために、図10の比較例に示すように単にプラグ側内部ハウジング30の前後方向の位置を異ならせ、プラグ側フェルール31の端面の位置が前後方向にずれて配置されていると、プラグ側フェルール31の清掃作業が困難になる。そこで、上記の第1〜第3実施形態では、複数のプラグ側内部ハウジングがプラグ側外部ハウジングに対して共通の初期位置で係止されている(図3、図11、図13参照)。これにより、複数のプラグ側内部コネクタがレセプタクル側ハウジングに対して段階的に嵌合するにも関わらず、全てのプラグ側フェルールの前後方向の位置が揃うため、プラグ側フェルールの清掃作業が容易になる。
なお、上記の第1〜第3実施形態の光コネクタ1では、第1ハウジングとなるプラグ側ハウジングが、複数のプラグ側フェルール31をそれぞれ収容する複数のプラグ側内部ハウジング30(第1内部ハウジング)と、複数のプラグ側内部ハウジング30に対する係止が解除可能なプラグ側外部ハウジング11(第1外部ハウジング)とを有し、複数のプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側ハウジング61との嵌合が段階的に行われていた。但し、レセプタクル側ハウジングを第1ハウジングとし、レセプタクル側ハウジングの複数のレセプタクル側内部ハウジング63を第1内部ハウジングとし、レセプタクル側ハウジングのレセプタクル側外部ハウジング62を第1外部ハウジングとしても良い。そして、複数のレセプタクル側内部ハウジング63の嵌合位置を異ならせることによって、複数のレセプタクル側内部ハウジング63とプラグ側ハウジングとの嵌合が段階的に行われても良い。このように構成した場合であっても、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。そして、このように構成する場合には、第1内部ハウジングとなる複数のレセプタクル側内部ハウジング63の初期位置を共通にすることが望ましい。これにより、レセプタクル側フェルール64の前後方向の位置を揃えることができるため、レセプタクル側フェルール64の清掃作業が容易になる。
上記の第1〜第3実施形態では、プラグ側外部ハウジング11は、第1被係止部231と、第2被係止部232とを有し、プラグ側内部ハウジング30は、係止片44を有する弾性係止部41を有している。光コネクタ1の接続前の状態では、図8Aに示すように、複数のプラグ側内部ハウジング30は共通の初期位置にあり、第1被係止部231と係止片44とが第1係止状態になっており、プラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して共通の初期位置で固定されている。そして、複数のプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側ハウジングとの嵌合の際に、レセプタクル側ハウジングに押された弾性係止部41が変形して、第1被係止部231と係止片44との係止が解除されることによって、初期位置でのプラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11との間の係止が解除され、これにより、プラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して後退可能になる。プラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して後退すると、図8Bに示すように、嵌合位置で第2被係止部と係止片44とが係止する状態(第2係止状態)になることによって、プラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して固定される。その後、嵌合位置においてプラグ側内部ハウジング30の係合片43がレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71に係合したハウジング係合状態(図5C参照)となった後、レセプタクル側ハウジングに押された弾性係止部41が変形して、第2被係止部232と係止片44との係止が解除されることによって、嵌合位置で嵌合したプラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11との間の係止が解除され、これにより、プラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して後退可能なフローティング状態となる。但し、初期位置でプラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とを係止するための構成要素は、第1被係止部231や弾性係止部41(係止片44)に限られるものではなく、他の構成・形状であっても良い。また、嵌合位置でプラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とを係止するための構成要素は、第2被係止部232や弾性係止部41(係止片44)に限られるものではなく、他の構成・形状であっても良い。
上記の第1、第2実施形態では、プラグ側外部ハウジング11の上面に第1被係止部231が配置されており、下面に第2被係止部232が配置されていた(図3、図4、図7B、図11、図12参照)。これにより、第3実施形態のように第1被係止部231と第2被係止部232を左右方向に並べた場合と比べて、プラグ側内部ハウジング30の幅(左右方向の寸法)を狭めることが可能な構成になる。なお、第1被係止部231をプラグ側外部ハウジング11の下側に配置し、第2被係止部232をプラグ側外部ハウジング11の上側に配置しても良い(第1被係止部231と第2被係止部232の上下の配置を逆にしても良い)。
上記の第3実施形態では、第1被係止部231及び第2被係止部232が左右方向に並んで配置されている(図13、図14参照)。これにより、プラグ側外部ハウジング11の上面又は下面の一方だけに第1被係止部231及び第2被係止部232を配置することが可能な構成になる。但し、プラグ側外部ハウジング11の上面及び下面の両側に、第1被係止部231及び第2被係止部232が左右方向に並んで配置されても良い。
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。