以下、本願の第1発明乃至第4発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
第1発明及び第2発明の建築物の空調方法(以下、単に「空調方法」ということがある)は、少なくとも一つの居室を含む居室エリアの複数を、空気調和機によって空調するための方法である。図1には、本実施形態の建築物Bの断面図が概念的に示されている。本実施形態の建築物Bとしては、住宅Bhが示されている。なお、空調効果を高めるために、住宅Bhは、優れた断熱性能、遮光性能及び気密性能を具えた工業化住宅であるのが望ましい。
住宅Bhは、床下空間3と、床上空間4とを具えている。床下空間3は、基礎5と地面6と床7とで囲まれた非居住空間である。床上空間4は、床下空間3の上方に設けられた空間である。本実施形態の床上空間4は、複数の居室4A乃至4Dと、洗面室、トイレ等の非居室(図示省略)とに区分されている。
居室4A乃至4Dは、複数の居室エリアAに区分される。本実施形態の居室エリアAは、1階の居室4A、4Bを含む1階居室エリアA1と、2階の居室4C、4Dを含む2階居室エリアA2とを含んでいる。これらの居室エリアA1、A2は、複数の居室を含む第1居室エリアArとして設定される。
本実施形態の1階の居室4A、4Bは、例えば、リビング等である。また、本実施形態の2階の居室4C、4Dは、例えば、寝室等である。このため、1階の居室4A、4Bと、2階の居室4C、4Dとは、居住者が滞在する時刻がそれぞれ異なる。従って、1階居室エリアA1と、2階居室エリアA2とは、1日を通して室温に差が生じやすい。
本実施形態の空調方法は、第3発明又は第4発明の空調装置2が用いられる。空調装置2は、外気を床下空間3に導入するための基礎給気口8と、床下空間3に配されたチャンバーボックス9と、暖空気又は冷空気を生成する空気調和機16と、チャンバーボックス9内の空気を各居室4A乃至4Dに供給しうる換気手段10とを含んでいる。なお、チャンバーボックス9内の空気は、非居室(図示省略)に直接供給されてもよい。さらに、本実施形態の空調装置2は、集熱装置22を含むものが示されているが、この装置は、任意の要素である。また、本実施形態では、チャンバーボックス9の全体が床下空間3に配されているが、このような態様に限定されない。例えば、チャンバーボックス9の全体が、居室4A乃至4D等の床上の任意の位置に配されてもよく、また、チャンバーボックス9の一部が、床下空間3から居室4A乃至4Dに突出して配置されてもよい。
基礎給気口8は、基礎5の立ち上がり部に設けられた一つの開口である。この基礎給気口8を介して、床下空間3に外気が取り込まれる。本実施形態では、外気を積極的に導入するために、例えば、基礎給気口8の近傍に、基礎給気ファン11が設けられている。基礎5は、発泡樹脂等の断熱材により、外気から断熱されていることが望ましい(図示省略)。
床下空間3に供給された外気は、床下空間3の地面6を介して、地冷熱と熱交換される。これにより、床下空間3に蓄えられた空気(以下、単に「床下空気」ということがある)17は、夏期には外気よりも低く、冬期には外気よりも高い温度を持ち得る。床下空間3の地面6は、例えば、土間コンクリート等で仕上げられている。
図2には、チャンバーボックス9の一例が、拡大して示されている。なお、図1のチャンバーボックス9は、概念的に示されたものである。このため、図1のチャンバーボックス9と、図2に示されているチャンバーボックス9とは必ずしも一致していない。チャンバーボックス9は、各居室4A乃至4D(図1に示す)に供給するための空気を蓄える空間として用いられる。図2に示されるように、チャンバーボックス9は、略箱状であり、少なくとも1台以上の空気調和機(エアコン)16が収納されている。チャンバーボックス9は、第1空間9Aと、第2空間9Bと、これらの間に設けられた仕切り板9Cとを含んでいる。
第1空間9Aは、チャンバーボックス9の下部側に設けられている。第1空間9Aを区画するチャンバーボックス9の壁面は、断熱材12が配されるのが望ましい。また、第1空間9Aには、床下空気17を取り込むための第1導入口13が設けられている。従って、第1空間9Aは、第1導入口13から床下空気(即ち、地冷熱と熱交換された外気)17が導入されうる。本実施形態の第1導入口13は、第1空間9Aの上面側に設けられているが、その位置は任意に定められうる。また、本実施形態の第1導入口13には、電気制御により開閉可能な開閉部30が設けられている。
第1空間9Aには、集熱装置22で温められた外気を取り込むための第2導入口19が設けられている。従って、第1空間9Aは、集熱装置22(図1に示す)で温められた外気が取り込まれうる。また、第2導入口19には、開閉可能な開閉部21が設けられている。
第1空間9Aには、その中の空気を排出するための排気口14が設けられている。排気口14は、例えば、第1空間9Aの側面に設けられている。排気口14には、換気手段10のダクト10Aの一端が接続されている。これらについては、後で詳述する。
第1空間9Aには、空気調和機16の排気部16bが配置されている。これにより、第1空間9Aには、空気調和機16の運転により、空調された空気(暖空気又は冷空気)が導入される。また、第1空間9Aには、地面6と熱交換した床下空気17と、空気調和機16によって空調された空気とが供給されることにより、第1空間9A内で混合空気が作成されうる。なお、第1空間9Aには、集熱装置22で温められた外気が取り込まれても良い。
第2空間9Bは、チャンバーボックス9の上部側に設けられている。第2空間9Bを区画するチャンバーボックス9の壁面にも、断熱材12が配されているのが望ましい。また、第2空間9Bには、空気調和機16の吸気部16aと、床上空気導入口18とが配置されている。床上空気導入口18は、空気調和機16の吸気部16aに、床上空間4の空気を供給するためのものである。
本実施形態の仕切り板9Cは、第1空間9Aと第2空間9Bとの間で、空気が互いに混合しないように気密に配置されている。
本実施形態の空気調和機16は、一般的な家庭用のセパレート型エアコンである。空気調和機16の室外機(図示省略)は、例えば、建築物Bの外部に設置されている。
空気調和機16は、空気を吸い込む吸気部16aと、内部で冷媒と熱交換された空気を排気する排気部16bとを有している。この空気調和機16の運転により、第1空間9Aには、空調された空気(暖空気又は冷空気)が導入される。
空気調和機16は、その設定温度が適宜設定されうる。また、空気調和機16は、その設定風量が、複数段階で設定されうる。本実施形態の設定風量は、例えば、次のとおりである。なお、このような設定風量に限定されるわけではない。
第1空調風量(例えば、1100m3/h)
第2空調風量(例えば、950m3/h)
第3空調風量(例えば、800m3/h)
第4空調風量(例えば、650m3/h)
静音風量(例えば、500m3/h)
図1に示されるように、換気手段10は、ダクト10Aと、ファン10Bと、空気浄化装置10Cとを含んでいる。空気浄化装置10Cとしては、ダクト10A内の空気から花粉、微粒子状物質、塵埃等を除去するものであれば、種々の形式のものが採用されうる。
ダクト10Aは、居室エリアA(本実施形態では、1階居室エリアA1及び2階居室エリアA2)毎にそれぞれ独立して設けられている。本実施形態のダクト10Aは、1階居室エリアA1の居室4A、4Bに接続される1階ダクト10Aaと、2階居室エリアA2の居室4C、4Dに接続される2階ダクト10Abとを含んでいる。
1階ダクト10Aaの一端は、チャンバーボックス9の排気口14に接続されている。1階ダクト10Aaの他端は、1階居室エリアA1の居室4A、4Bの各天井部分に、ダンパー20a、20bを介して接続されている。同様に、2階ダクト10Abの一端は、チャンバーボックス9の排気口14に接続されている。2階ダクト10Abの他端は、2階居室エリアA2の居室4C、4Dの天井部分に、ダンパー20c、20dを介してそれぞれ接続されている。
ダンパー20(20a乃至20d)は、床下空気17又は混合空気の供給量を調節するためのものである。ダンパー20の開度(開口面積)が大きいほど、床下空気17又は混合空気の供給量が大きくなる。ダンパー20の開度は、複数段階で調整されうる。本実施形態のダンパー20の開度は、例えば、第1開度〜第5開度の5段階で調整されうる。なお、本実施形態において、各開度は、第1開度から第5開度に向かって漸増している。このようなダンパー20により、居室4A乃至4D毎に、床下空気17又は混合空気の供給量が柔軟に調節されうる。
ファン10Bは、居室エリアA(本実施形態では、1階居室エリアA1及び2階居室エリアA2)毎にそれぞれ独立して設けられている。ファン10Bは、1階居室エリアA1用の1階ファン10Baと、2階居室エリアA2用の2階ファン10Bbとを含んでいる。
1階ファン10Baは、1階ダクト10Aaの一端から他端に向かう強制的な空気の流れを生成するファンによって構成されている。従って、1階ファン10Baが運転されることにより、チャンバーボックス9の第1空間9A内の空気は、排気口14から、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへと送給される。
2階ファン10Bbは、2階ダクト10Abの一端から他端に向かう強制的な空気の流れを生成するファンによって構成されている。従って、2階ファン10Bbが運転されることにより、チャンバーボックス9の第1空間9A内の空気は、排気口14から、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dへと送給される。
1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbの風量は、複数段階でそれぞれ設定されうる。本実施形態の各ファン10Ba、10Bbの風量は、例えば、次の第1風量〜第4風量が設定されている。なお、第4風量は、建築物Bに必要な換気回数に基づいて設定される。なお、風量は、これらの第1風量〜第4風量に限定されるわけではない。
第1風量:550m3/h
第2風量:250m3/h
第3風量:400m3/h
第4風量:100m3/h
図1及び図2に示されるように、本実施形態の空調装置2は、床下温度検知手段23、外気温度検知手段24、居室温度検知手段25、居室湿度検知手段29、吸気温度検知手段27、排気温度検知手段28、及び、制御手段26がさらに含まれている。図3は、本実施形態の制御手段26の概念図である。
図1に示されるように、床下温度検知手段23は、床下空間3内に配置された温度センサーによって構成されている。外気温度検知手段24は、屋外に配置された温度センサーによって構成されている。居室温度検知手段25(25a〜25d)は、各居室4A乃至4D内にそれぞれ配置された温度センサーによって構成されている。居室湿度検知手段29(29a〜29d)は、各居室4A乃至4D内にそれぞれ配置された湿度センサーによって構成されている。図2に示されるように、吸気温度検知手段27は、空気調和機16の吸気部16a付近に配置された温度センサーによって構成されている。排気温度検知手段28は、空気調和機16の排気部16b付近に配置された温度センサーによって構成されている。
図3に示されるように、床下温度検知手段23、外気温度検知手段24、居室温度検知手段25(25a〜25c)、居室湿度検知手段29(29a〜29d)、吸気温度検知手段27、及び、排気温度検知手段28は、制御手段26に接続されている。これにより、床下空気17の温度、各居室4A乃至4Dの温湿度、外気の温度、空気調和機16の吸気温度、及び、空気調和機16の排気温度が、制御手段26に伝達されうる。
制御手段26は、空調装置2の各構成部材を制御するためのものである。本実施形態では、空気調和機16、換気手段10のファン10B、ダンパー20(20a乃至20d)、第1導入口13の開閉部30、第2導入口19の開閉部21、床下温度検知手段23、外気温度検知手段24、居室温度検知手段25、居室湿度検知手段29、吸気温度検知手段27及び排気温度検知手段28が制御されるが、このような態様に限定されるわけではない。
制御手段26は、図1に示されるように、例えば、間仕切り壁等に設置されている。図3に示されるように、制御手段26は、CPU(中央演算装置)からなる演算部33と、制御手順が予め記憶されている記憶部34と、記憶部34から制御手順を読み込む作業用メモリ35とを含んで構成されている。
演算部33には、第1導入口13の開閉部30、第2導入口19の開閉部21、及び、各居室4A乃至4Dのダンパー20(20a〜20d)が接続されている。これにより、第1導入口13の開閉部30、第2導入口19の開閉部21、及び、各居室4A乃至4Dのダンパー20(20a〜20d)は、演算部33からの信号が伝達されることによって、それぞれ独立して開閉されうる。さらに、演算部33は、換気手段10の1階ファン10Ba、2階ファン10Bb、及び、空気調和機16が接続されている。これにより、1階ファン10Ba、2階ファン10Bb、及び、空気調和機16は、演算部33からの信号が伝達されることによって、それぞれ運転が制御されうる。
図4は、記憶部34の一例を示す概念図である。記憶部34は、例えば、不揮発性の情報記憶装置である。記憶部34には、演算部33(図3に示す)によって実行されるプログラム部41が少なくとも設けられている。
プログラム部41は、作業用メモリ35(図3に示す)に読み込まれて、演算部33(図3に示す)によって実行されるプログラムである。本実施形態のプログラム部41は、目標温度設定部41a、及び、ファン風量調節部41bを含んでいる。目標温度設定部41aは、各居室4A乃至4Dの目標温度を設定するためのものである。ファン風量調節部41bは、居室エリアA1、A2毎に、居室の温度から目標温度を差し引いた値に基づいて、ファン10Ba、10Bbの風量を調節するためのものである。
また、本実施形態のプログラム部41は、居室供給量調節部41c、空調温度調節部41d、空調風量調節部41e及び期間判断部41fを含んでいる。居室供給量調節部41cは、第1居室エリアAr(本実施形態では、1階居室エリアA1及び2階居室エリアA2)に供給された暖空気又は冷空気の各居室への供給量を、居室の温度から目標温度を差し引いた値に基づいて個別に調節するためのものである。空調温度調節部41dは、前記差し引いた値に基づいて、空気調和機16の設定温度を調節するためのものである。空調風量調節部41eは、各居室エリアA1、A2に設けられたファン10B(本実施形態では、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の合計風量に基づいて、空気調和機16の設定風量を調節するためのものである。期間判断部41fは、現在が属する季節(例えば、冬季又は夏季)や期間(例えば、暖房期間又は冷房期間)を判断するためのものである。
さらに、本実施形態のプログラム部41は、後述の効率運転ステップS624、S824の一連の処理手順を実行するための効率運転部41g、後述のパッシブ暖房モードS24の一連の処理手順を実行するためのパッシブ暖房部41h、後述のパッシブ冷房モードS34の一連の処理手順を実行するためのパッシブ冷房部41i、後述の換気モードS22、S32の一連の処理手順を実行するための換気部41j、及び、後述の空調停止ステップS234、S334の一連の処理手順を実行するための停止部41kを含んでいる。なお、プログラム部41は、このような態様に限定されるわけではなく、処理手順に従って適宜設定さえる。
次に、本実施形態の空調装置2を用いた空調方法について説明する。本実施形態の空調方法では、例えば、冬季(10月〜3月)と、夏季(4月〜9月)とで、異なる処理手順が実施される。なお、冬季及び夏季は、例示した期間に限定されるわけではない。図5は、本実施形態の空調方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の空調方法では、先ず、現在が冬季又は夏季のいずれに属するかが判断される(ステップS1)。ステップS1では、演算部33(図3に示す)が期間判断部41f(図4に示す)を実行することによって、現在が冬季又は夏季のいずれに属するかが判断される。現在が冬季であると判断された場合、次の冬季空調ステップS2が実施される。他方、現在が夏季であると判断された場合、次の夏季空調ステップS3が実施される。
冬季空調ステップS2では、空気調和機16(図1に示す)による暖房が不要な中間期間、空気調和機16による暖房が必要な暖房期間、及び、暖房期間と中間期間との間の第1期間(以下、単に「冬季パッシブ期間」ということがある。)において、異なる処理手順が実施される。各期間は、例えば、次のとおりである。なお、中間期間、暖房期間、及び、第1期間(冬季パッシブ期間)は、例示した期間に限定されるわけではなく、例えば、建築物B(図1に示す)が建てられた地域の気候に応じて、適宜設定されうる。図6は、本実施形態の冬季空調ステップS2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
中間期間:4月28日〜6月16日、9月23日〜10月25日
暖房期間:12月9日〜2月20日
第1期間(冬季パッシブ期間):2月21日〜4月27日、10月26日〜12月8日
冬季空調ステップS2では、先ず、現在が、中間期間、暖房期間、又は、第1期間(冬季パッシブ期間)のいずれに属するかが判断される(ステップS21)。これらの判断は、演算部33(図3に示す)が期間判断部41f(図4に示す)を実行することによって行われる。現在が、中間期間に属すると判断された場合、換気モードS22が実施される。また、現在が、暖房期間に属すると判断された場合、暖房モードS23が実施される。さらに、現在が、第1期間(冬季パッシブ期間)に属すると判断された場合、パッシブ暖房モードS24が実施される。
換気モードS22では、図1及び図2に示されるように、換気手段10のファン10B(1階ファン10Ba、2階ファン10Bb)が運転される。これにより、チャンバーボックス9の第1空間9Aには、第1導入口13から床下空気17(外気)が導入される。さらに、第1空間9Aの床下空気17は、排気口14からダクト10A(1階ダクト10Aa及び2階ダクト10Ab)、空気浄化装置10Cを経由して清浄化された後、ダンパー20(20a〜20d)を介して、各居室4A乃至4Dに供給される。また、居室4A乃至4D内の空気は、各居室4A乃至4D又は非居室(図示省略)に設けられた排気用のファン(図示省略)等によって、屋外へと排出される。これにより、各居室4A乃至4Dは、清浄化された外気によって換気される。
これらの換気モードS22の一連の処理は、演算部33(図3に示す)が換気部41j(図4に示す)を実行することによって行われる。また、換気手段10の1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbの風量は、建築物Bに必要な換気回数に基づいて設定された第4風量(例えば、100m3/h)がそれぞれ設定されている。各居室4A乃至4Dのダンパー20は、第1開度〜第5開度から適宜選択される。
暖房モードS23では、空気調和機16(図1に示す)で暖められた暖空気が、各居室4A乃至4D(図1に示す)に供給される。図7は、暖房モードS23の処理手順の一例を示すフローチャートである。
暖房モードS23では、先ず、各居室4A乃至4Dの目標温度が設定される(ステップS230)。ステップS230では、図4に示した目標温度設定部41aが演算部33によって実行される。
目標温度は、空気調和機16による暖房により、各居室4A乃至4Dで維持したい温度である。目標温度は、適宜設定されうる。本実施形態の目標温度は、ヒートショックを未然に防ぐ観点より、例えば、18℃〜22℃(本実施形態では、20℃)に設定されるのが望ましい。目標温度は、居室4A乃至4D毎にそれぞれ設定されてもよいし、同一でもよい。目標温度は、作業用メモリ35に入力される。
次に、暖房モードS23では、各居室4A乃至4Dの温度が検知される(ステップS231)。図1及び図3に示されるように、各居室4A乃至4Dの温度は、居室温度検知手段25(25a〜25d)によってそれぞれ検知される。各居室4A乃至4Dの温度は、制御手段26に伝達され、作業用メモリ35に入力される。
次に、暖房モードS23では、各居室4A乃至4Dの温度から予め定められた目標温度を差し引いた値W1がそれぞれ求められる(ステップS232)。ステップS232では、作業用メモリ35に入力された目標温度、及び、各居室4A乃至4Dの温度に基づいて、演算部33よって実行される。値W1は、居室4A乃至4D毎に求められる。値W1が大きいほど、各居室4A乃至4Dの温度が大きいことを示している。値W1は、作業用メモリ35に入力される。
次に、暖房モードS23では、全ての居室4A乃至4Dの前記値W1が、予め定められた第2暖房閾値以上であるか否かが判断される(ステップS233)。本実施形態のステップS233では、作業用メモリ35に入力された値W1、及び、第2暖房閾値に基づいて、演算部33が判断している。第2暖房閾値は、例えば、記憶部34に予め入力されている。
ステップS233では、空気調和機16による空調(暖房)が、必要か否かが判断される。従って、第2暖房閾値は、0℃以上に設定されるのが望ましい。本実施形態の第2暖房閾値は、例えば、0℃よりも大きい+1.0℃に設定されている。
全ての居室4A乃至4Dの前記値W1が、予め定められた第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)以上であると判断された場合(ステップS233で、「Y」)、全ての居室4A乃至4Dの温度は、目標温度(例えば、20℃)よりも大きい。このため、全ての居室4A乃至4Dは、十分に暖められており、空気調和機16による空調(暖房)が不要であると判断されうる。このような場合、次の空調停止ステップS234が実行される。
他方、全ての居室4A乃至4Dの前記値W1が、予め定められた第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)以上でないと判断された場合(ステップS233で、「N」)、居室4A乃至4Dのうち、少なくとも一つの居室4A乃至4Dが十分に暖められていない可能性がある。このため、空気調和機16による空調(暖房)が必要であると判断されうる。このような場合、各居室エリアA1、A2に設けられたファン10B(1階ファン10Ba、2階ファン10Bb)によって、空気調和機16で暖められた暖空気を、各居室4A乃至4Dに供給する暖房ステップS235が実行される。本実施形態では、第2暖房閾値が、+1.0℃に設定されるため、各居室4A乃至4Dが必要以上に暖房されるのを防ぐことができ、ひいては、空気調和機16の省エネルギー運転を図ることができる。
図8は、空調停止ステップS234の処理手順の一例を示すフローチャートである。空調停止ステップS234の一連の処理は、演算部33(図3に示す)が停止部41k(図4に示す)を実行することによって行われる。
本実施形態の空調停止ステップS234では、先ず、空気調和機16(図1に示す)の運転が停止され(ステップS611)、図1に示した換気手段10の1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbの風量が設定される(ステップS612)。本実施形態の1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbの設定風量は、建築物Bに必要な換気回数に基づいて、第4風量(例えば、100m3/h)にそれぞれ設定される。
これにより、空調停止ステップS234では、換気モードS22と同様に、各居室4A乃至4Dは、清浄化された外気(床下空気17)によって換気される。さらに、第1空間9Aと第2空間9Bとが遮断されることにより、空気調和機16のフィルターの自動清掃等のメンテナンス時に排出される熱等が、換気モードS22で各居室4A乃至4Dに供給される床下空気17に影響するのを防ぐことができる。これらのステップS611乃至ステップS613の実行終了により、空調停止ステップS234の一連の処理が終了する。
暖房ステップS235では、先ず、空気調和機16(図1に示す)による暖房が開始される(ステップS621)。ステップS621では、演算部33が、空気調和機16、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbを制御することによって行われる。
本実施形態のステップS621では、先ず、空気調和機16が暖房運転される。次に、換気手段10の1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbが運転される。これにより、第1空間9Aにおいて、床下空間3の空気と、空気調和機16で暖められた暖空気とが混合される。そして、この混合空気(暖空気+床下空気)が、換気手段10によって各居室4A乃至4Dに供給される。
これにより、換気を行いながら、空気調和機16による暖房(空調)が実現されうる。なお、空気調和機16による暖房が既に開始されている場合、ステップS621は省略される。
次に、暖房ステップS235では、全ての居室4A乃至4Dの前記値W1が、予め定められた第3暖房閾値以上、かつ、予め定められた第1暖房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS622)。ステップS622では、例えば、記憶部34に入力されている値W1、第1暖房閾値及び第3暖房閾値に基づいて、演算部33が判断している。
ステップS622では、空気調和機16(図1に示す)のよる積極的な運転が、必要か否かが判断される。従って、第3暖房閾値は、0℃未満に設定されるのが望ましい。本実施形態の第3暖房閾値は、例えば、−0.5℃に設定されている。
空気調和機16(図1に示す)のよる積極的な運転は、各居室4A乃至4Dの値W1が広範囲に分布している場合に実施されるのが望ましい。このため、第1暖房閾値は、暖房ステップS235の実施を判断するステップS233で用いられた第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)よりも小に設定されるのが望ましい。本実施形態の第1暖房閾値は、例えば、+0.5℃に設定されている。
ステップS622において、全ての居室4A乃至4Dの前記値W1が、第3暖房閾値(例えば、−0.5℃)以上、かつ、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)以下でない場合(ステップS622で、N)、各居室4A乃至4Dの値W1が広範囲に分布している可能性がある。このため、積極運転ステップS623が実施される。これにより、各居室4A乃至4Dが効果的に暖房されうる。他方、全ての居室4A乃至4Dの前記値W1が、第3暖房閾値(例えば、−0.5℃)以上、かつ、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)以下である場合(ステップS622で、Y)、各居室4A乃至4Dが比較的暖まっており、しかも、各居室4A乃至4Dの値W1が広範囲に分布していない。このため、空気調和機16の効率的な運転が行われる効率運転ステップS624が実施される。このように、暖房ステップS235では、各居室4A乃至4Dの値W1が広範囲に分布している場合に、積極運転ステップS623が実施されるため、各居室4A乃至4Dを効果的に暖房しうる。
積極運転ステップS623では、居室エリアA(本実施形態では、1階居室エリアA1及び2階居室エリアA2)毎に、各居室4A乃至4Dへの暖空気の供給量、及び、ファン10B(本実施形態では、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が調節される。図10は、本実施形態の積極運転ステップS623の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の積極運転ステップS623では、先ず、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへの暖空気の供給量、及び、1階ファン10Baの風量が調節される(1階居室エリア調節ステップS631)。図11及び図12は、1階居室エリア調節ステップS631の処理手順を示すフローチャートである。なお、1階居室エリア調節ステップS631において実施される各判断処理(例えば、ステップS641、S643等)は、例えば、作業用メモリ35に入力された値W1等に基づいて、演算部33によって行われている。
1階居室エリア調節ステップS631では、先ず、1階居室エリアA1に含まれる全ての居室(本実施形態では、1階の居室4A、4B)の前記値W1のうち、最も大きい最大値W2mが、予め定められた第4暖房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS641)。このステップS641では、1階居室エリアA1に含まれる各居室4A、4Bへの暖空気(混合空気)の供給量を最大にして、暖房する必要があるか否かが判断される。従って、第4暖房閾値は、積極的な運転が必要か否かの判断に用いられた第3暖房閾値(例えば、−0.5℃)よりも小に設定されるのが望ましい。本実施形態の第4暖房閾値は、−1.5℃に設定されている。
最大値W2mが第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)以下である場合(ステップS641で、「Y」)、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、1階の居室4A、4B)の温度が大幅に低下している。このため、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへの暖空気(混合空気)の供給量が最大に設定される(ステップS642)。この場合、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bのダンパー20a、20b(図1に示す)は、最も大きい第5開度に設定される。これにより、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへの暖空気の供給量が最大にされうる。ステップS642では、演算部33が、ダンパー20a、20bを制御することによって行われる。
他方、最大値W2mが第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)よりも大きい場合(ステップS641で、「N」)、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、1階の居室4A、4B)の温度が、大きく低下しているわけではない。従って、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへの暖空気(混合空気)の供給量を個別に調節して、暖房するのが有効である。この場合、図13〜図17に示す第1居室供給量調節ステップS644〜第4居室供給量調節ステップS650又は第9居室供給量調節ステップS658の何れかが実施される。
第1居室供給量調節ステップS644〜第4居室供給量調節ステップS650及び第9居室供給量調節ステップS658では、第1居室エリアAr(即ち、1階居室エリアA1及び2階居室エリアA2)の各居室の値W1に基づいて、各居室のダンパー20の開度が個別に調節される。本実施形態では、前記値W1が小さい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20a、20bの開度が大に設定されている。これにより、温度が低い居室4A、4Bほど、より多くの暖空気(混合空気)が供給されるため、効率よく暖房されうる。
これらの第1居室供給量調節ステップS644〜第4居室供給量調節ステップS650及び第9居室供給量調節ステップS658は、演算部33(図3に示す)が居室供給量調節部41c(図4に示す)を実行することによって行われる。詳細な処理手順については、後述する。
次に、1階居室エリア調節ステップS631では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W1のうち、最も小さい最小値W2sが第5暖房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS643)。最小値W2sが大幅に小さいと、各居室4A、4Bの前記値W1が広範囲に分布している可能性が高い。従って、このような分布の有無を判断するために、第5暖房閾値については、第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)よりも小に設定されるのが望ましい。本実施形態の第5暖房閾値は、例えば、−3.0℃に設定されている。
最小値W2sが第5暖房閾値(例えば、−3.0℃)以下である場合(ステップS643で、「Y」)、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W1が広範囲に分布している可能性が高い。この場合、第1居室供給量調節ステップS644が実施される。他方、最小値W2sが第5暖房閾値(例えば、−3.0℃)よりも大きい場合、本ステップS643のみでは、各居室4A、4Bの前記値W1が広範囲に分布しているか否かが判断できないため、次のステップS645が実施される。
図13は、第1居室供給量調節ステップS644の処理手順の一例を示すフローチャートである。第1居室供給量調節ステップS644では、第1開度〜第5開度毎に、1階居室エリアA1の居室4A、4B(図1に示す)の前記値W1の閾値の範囲が設定されている。第1居室供給量調節ステップS644での閾値の範囲は、例えば、「+3.0℃よりも大」、「+3.0℃(以下)〜+1.0℃(よりも大)」、「+1.0℃(以下)〜−1.0℃(よりも大)」、「−1.0℃(以下)〜−3.0℃(以上)」、及び、「−3.0℃未満」である。
第1居室供給量調節ステップS644では、前記値W1が小さい1階居室エリアA1の各居室4A又は居室4B(図1に示す)ほど、そのダンパー20(20a又は20b)の開度が大に設定されている(ステップS662〜ステップS666)。例えば、前記値W1が+3.0℃よりも大きい居室4A又は4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS662)。前記値W1が+3.0℃〜+1.0℃である居室4A又は4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第2開度に設定される(ステップS663)。前記値W1が+1.0℃〜−1.0℃である居室4A又は4Bのダンパー20は、第2開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS664)。
さらに、前記値W1が−1.0℃〜−3.0℃である居室4A又は4Bのダンパー20(20a又は20b)は、第3開度よりも大きい第4開度に設定される(ステップS665)。前記値W1が−3.0℃未満である居室4A又は4Bのダンパー20は、第4開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS666)。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A及び4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS667)。1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS667で、「Y」)、第1居室供給量調節ステップS644の一連の処理が終了する。他方、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS667で、「N」)、開度が調節されていない居室4A又は4Bのダンパー20が選択され(ステップS668)、ステップS661〜S667が再度実施される。これにより、前記値W1に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A及び4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A及び4Bへの暖空気(混合空気)の供給量が、個別に調節されうる。
本実施形態では、前記値W1が小さい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20a、20bの開度が大に設定されている。従って、温度が低い居室4A、4Bほど、より多くの暖空気(混合空気)が供給されるため、各居室4A及び4Bが効率よく暖房されうる。なお、各ダンパー20(20a、20b)の開度を区分した各閾値については、上記の値に限定されるわけではなく、例えば、換気手段10のファン10B(1階ファン10Ba)の風量に応じて、適宜変更されうる。
次に、図11に示されるように、1階居室エリア調節ステップS631では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W1のうち、最も大きい最大値W2mが第1暖房閾値未満であるか否かが判断される(ステップS645)。上述したように、本実施形態の第1暖房閾値は、+0.5℃に設定されている。図18は、第1暖房閾値を基準とする各居室4A、4Bの値W1の範囲を示す図である。
最大値W2mが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)未満である場合(ステップS645で、「Y」)、各居室4A、4Bの温度が、第1暖房閾値に対して不利側に偏って分布している(図18において、「C1」)。この場合、第2居室供給量調節ステップS646が実施される。他方、最大値W2mが第1暖房閾値未満でない場合(ステップS645で、「N」)、次のステップS647が実施される。
図14は、第2居室供給量調節ステップS646の処理手順の一例を示すフローチャートである。第2居室供給量調節ステップS646での閾値の範囲は、例えば、「+0.5℃(未満)〜−0.5℃(以上)」、「−0.5℃(未満)〜−1.5℃(以上)」、及び、「−1.5℃未満」である。このように、第2居室供給量調節ステップS646での閾値は、第1居室供給量調節ステップS644(図13に示す)の閾値とは異なり、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)に対して不利側に偏って設定されている。
第2居室供給量調節ステップS646では、前記値W1が小さい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20の開度が大に設定されている(ステップS672〜ステップS674)。これにより、温度が低い居室4A、4Bほど、より多くの暖空気(混合空気)が供給されるため、効率よく暖房されうる。例えば、前記値W1が+0.5℃(未満)〜−0.5℃(以上)の居室4A又は4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS672)。前記値W1が−0.5℃(未満)〜−1.5℃(以上)の居室4A又は4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS673)。前記値W1が−1.5℃未満の居室4A又は4Bのダンパー20は、第3開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS674)。このように、第2居室供給量調節ステップS646では、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)に対して不利側に偏った閾値に基づいて、最も小さな第1開度から、最も大きい第5開度まで万遍なく設定されるため、各居室4A、4Bが効果的に暖房されうる。
そして、第2居室供給量調節ステップS646では、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A及び4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS675)。1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS675で、「Y」)、第2居室供給量調節ステップS646の一連の処理が終了する。他方、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS675で、「N」)、開度が調節されていない他の居室4A又は居室4Bのダンパー20が選択され(ステップS676)、ステップS671〜S675が再度実施される。これにより、前記値W1に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A及び居室4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A及び4Bへの暖空気(混合空気)の供給量が、個別に調節されうる。
次に、図11に示されるように、1階居室エリア調節ステップS631では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W1のうち、最も小さい最小値W2sが第1暖房閾値以上であるか否かが判断される(ステップS647)。上述したように、本実施形態の第1暖房閾値は、+0.5℃に設定されている。
最小値W2sが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)以上である場合(ステップS647で、「Y」)、図18に示されるように、各居室4A、4Bの温度が、第1暖房閾値に対して有利側に偏って分布している(図18において、「C2」)。この場合、次のステップS657が実施される。他方、最小値W2sが第1暖房閾値以上でない場合(ステップS647で、「N」)、次のステップS649(図12に示す)が実施される。
本実施形態のステップS657では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W1のうち、最も小さい最小値W2sが第2暖房閾値未満であるか否かが判断される。上述したように、第2暖房閾値は、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)よりも大きい+1.0に設定される。
ステップS657において、最小値W2sが第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)未満であると判断された場合(ステップS657で、「Y」)、各居室4A、4Bの温度が、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)に対して、それほど有利側に偏って分布しているわけではない。この場合、第3居室供給量調節ステップS648が実施される。他方、最小値W2sが第2暖房閾値未満でないと判断された場合(ステップS657で、「N」)、各居室4A、4Bの温度が、第1暖房閾値に対して、有利側に偏って分布している。この場合、第9居室供給量調節ステップS658が実施される。
図15は、第3居室供給量調節ステップS648の処理手順の一例を示すフローチャートである。第3居室供給量調節ステップS648での閾値の範囲は、例えば、「+1.5℃(以上)」、「+1.5℃(未満)〜+1.0℃(以上)」、及び、「+1.0℃(未満)〜+0.5℃以上」である。このように、第3居室供給量調節ステップS648での閾値は、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)に対して有利側に偏って設定されている。
第3居室供給量調節ステップS648では、前記値W1が小さい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20の開度が大に設定されている(ステップS682〜ステップS684)。これにより、温度が低い居室4A、4Bほど、より多くの暖空気(混合空気)が供給されるため、効率よく暖房されうる。例えば、前記値W1が+1.5℃(以上)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS682)。前記値W1が+1.5℃(未満)〜+1.0℃(以上)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS683)。前記値W1が+1.0℃(未満)〜+0.5℃以上の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第3開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS684)。このように、第3居室供給量調節ステップS648は、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)に対して有利側に偏った閾値に基づいて、最も小さな第1開度から、最も大きい第5開度まで万遍なく設定されるため、各居室4A、4Bが効果的に暖房されうる。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A及び居室4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS685)。1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS685で、「Y」)、第3居室供給量調節ステップS648の一連の処理が終了する。他方、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS685で、「N」)、開度が調節されていない居室4A又は居室4Bのダンパー20が選択され(ステップS686)、ステップS681〜S685が再度実施される。これにより、前記値W1に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A及び4Bへの暖空気(混合空気)の供給量が、効果的に調節されうる。
図16は、第9居室供給量調節ステップS658の処理手順の一例を示すフローチャートである。第9居室供給量調節ステップS658での閾値の範囲は、例えば、「+2.0℃(以上)」、「+2.0℃(未満)〜+1.5℃(以上)」、及び、「+1.5℃(未満)〜+1.0℃以上」である。このように、第9居室供給量調節ステップS658での閾値は、第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)に対して有利側に偏って設定されている。
第9居室供給量調節ステップS658では、前記値W1が小さい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20の開度が大に設定されている(ステップS702〜ステップS704)。これにより、温度が低い居室4A、4Bほど、より多くの暖空気(混合空気)が供給されるため、効率よく暖房されうる。例えば、前記値W1が+2.0℃(以上)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS702)。前記値W1が+2.0℃(未満)〜+1.5℃(以上)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS703)。前記値W1が+1.5℃(未満)〜+1.0℃以上の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第3開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS704)。このように、第9居室供給量調節ステップS658は、第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)に対して有利側に偏った閾値に基づいて、最も小さな第1開度から、最も大きい第5開度まで万遍なく設定されるため、各居室4A、4Bが効果的に暖房されうる。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A及び居室4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS705)。1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS705で、「Y」)、第9居室供給量調節ステップS658の一連の処理が終了する。他方、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS705で、「N」)、開度が調節されていない居室4A又は居室4Bのダンパー20が選択され(ステップS706)、ステップS701〜S705が再度実施される。これにより、前記値W1に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A及び4Bへの暖空気(混合空気)の供給量が、効果的に調節されうる。
次に、図12に示されるように、1階居室エリア調節ステップS631では、最大値W2mが第6暖房閾値以上であるか否かが判断される(ステップS649)。最大値W2mが大幅に大きいと、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bの前記値W1が広範囲に分布している可能性が高い。従って、このような分布の有無を判断するために、第6暖房閾値については、第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)よりも大きい値に設定されるのが望ましい。本実施形態の第6暖房閾値は、例えば、+3.0℃に設定されている。
最大値W2mが第6暖房閾値(例えば、+3.0℃)以上である場合(ステップS649で、「Y」)、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bの前記値W1が広範囲に分布している可能性が高い。この場合、図13に示した第1居室供給量調節ステップS644が実施される。他方、最大値W2mが第6暖房閾値(例えば、+3.0℃)未満である場合(ステップS649で、「N」)、最大値W2mが比較的小さい。しかも、図11に示したステップS643の判断により、最小値W2sが−3.0℃より大である。従って、1階居室エリアA1の各居室4A及び4Bの前記値W1が広範囲に分布している可能性が低い。この場合、第4居室供給量調節ステップS650が実施される。
図17は、第4居室供給量調節ステップS650の処理手順の一例を示すフローチャートである。第4居室供給量調節ステップS650での閾値の範囲は、「+1.5℃よりも大」、「+1.5℃(以下)〜+0.5℃(よりも大)」、「+0.5℃(以下)〜−0.5℃(よりも大)」、「−0.5℃(以下)〜−1.5℃(以上)」、「−1.5℃未満」である。このように、第4居室供給量調節ステップS650は、第1居室供給量調節ステップS644に比べて、閾値の範囲が小に設定されている。従って、各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W1が広範囲に分布していなくても、居室4A、4B毎に、ダンパー20a、20bの開度が、より細やかにバランスよく調節されうる。
第4居室供給量調節ステップS650では、前記値W1が小さい1階居室エリアA1の各居室4A又は4Bほど、そのダンパー20(20a又は20b(図1に示す))の開度が大に設定されている(ステップS692〜ステップS696)。例えば、前記値W1が+1.5℃よりも大きい居室4A又は4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS692)。前記値W1が+1.5℃〜+0.5℃である居室4A又は4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第2開度に設定される(ステップS693)。前記値W1が+0.5℃〜−0.5℃である居室4A又は4Bのダンパー20は、第2開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS694)。
さらに、前記値W1が−0.5℃〜−1.5℃である居室4A又は4Bのダンパー20(20a又は20b)は、第3開度よりも大きい第4開度に設定される(ステップS695)。前記値W1が−1.5℃未満である居室4A又は4Bのダンパー20は、第4開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS696)。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A及び4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS697)。全ての居室4A及び4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS697で、「Y」)、第4居室供給量調節ステップS650の一連の処理が終了する。他方、全ての居室4A及び4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS697で、「N」)、調節されていない居室4A又は4Bのダンパー20が選択され(ステップS698)、ステップS691〜S697が再度実施される。これにより、前記値W1に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A及び4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A及び4Bへの暖空気(混合空気)の供給量が、個別に調節されうる。
本実施形態では、前記値W1が小さい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20a、20bの開度が大に設定されている。これにより、温度が低い居室4A、4Bほど、より多くの暖空気(混合空気)が供給されるため、各居室4A及び4Bが効率よく暖房されうる。なお、各ダンパー20(20a及び20b)の開度を区分した各閾値については、上記の値に限定されるわけではない。
次に、図11及び図12に示されるように、本実施形態の1階居室エリア調節ステップS631では、図1に示した1階居室エリアA1のファン10B(1階ファン10Ba)の風量が調節される(ファン風量調節ステップS651〜S656及びS659)。ファン風量調節ステップS651〜S656及びS659では、前記値W1(1階居室エリアA1の居室4A又は4Bの温度から目標温度を差し引いた値)に基づいて、1階ファン10Baの風量が調節される。これらのファン風量調節ステップS651〜S656及びS659は、演算部33(図3に示す)がファン風量調節部41b(図4に示す)を実行することによって行われる。
ステップS641において、1階居室エリアA1の前記値W1の最大値W2mが第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)以下であると判断された場合(ステップS641で、「Y」)、最小値W2sが第4暖房閾値よりも大幅に小さい可能性がある。このため、1階ファン10Baの風量を大きくして、低温の居室4A又は4Bを含む1階居室エリアA1に暖空気を積極的に供給することが有効である。従って、1階ファン10Baの風量は、最も大きい第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS651)。
また、ステップS643において、1階居室エリアA1の前記値W1の最小値W2sが第5暖房閾値(例えば、−3.0℃)以下であると判断された場合(ステップS643で、「Y」)も同様に、1階ファン10Baの風量が、第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS652)。
ステップS645において、1階居室エリアA1の前記値W1の最大値W2mが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)よりも小(即ち、未満)であると判断された場合(ステップS645で、「Y」)、第1暖房閾値に対して不利側に偏って分布している(図18において、「C1」)。このため、1階ファン10Baの風量を大きくして、低温の居室4A又は4Bを含む1階居室エリアA1に暖空気を積極的に供給することが有効である。従って、1階ファン10Baの風量は、最も大きい第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS653)。これにより、各居室4A又は4Bに暖空気が積極的に供給されるため、各居室4A又は4Bが効率よく暖房されうる。
ステップS647において、1階居室エリアA1の最小値W2sが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)以上であると判断された場合(ステップS647で、「Y」)、各居室4A、4Bの温度が、第1暖房閾値に対して有利側に偏って分布している(図18において、「C2」)。このため、1階ファン10Baの風量は、第1風量よりも小さい風量に設定される(ファン風量調節ステップS654及びS659)。これにより、各居室4A又は4Bに暖空気が必要以上に供給されるのを防ぐことができるため、各居室4A又は4Bが効率よく暖房されうる。
本実施形態では、ステップS657において、1階居室エリアA1の最小値W2sが第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)未満と判断された場合(ステップS657で、「Y」)、第2風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS654)。他方、ステップS657において、最小値W2sが第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)以上と判断された場合(ステップS657で、「N」)、第4風量(例えば、100m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS659)。このように、本実施形態では、各居室に暖空気が必要以上に供給されるのを防ぐことができるため、各居室が効率よく暖房されうる。
図18に示されるように、最大値W2mが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)よりも小である範囲C1と、最小値W2sが第1暖房閾値以上である範囲C2とでは、1階居室エリアA1に属する全ての居室4A及び4Bの温度が、各範囲C1及びC2の何れかに属している。このため、例えば、最大値W2mが第1暖房閾値よりも小である(即ち、全ての居室4A、4Bの温度が範囲C1に分布している)と判断(ステップS645)された後に、再び処理された1階居室エリア調節ステップS631において、最小値W2sが第1暖房閾値以上である(即ち、全ての居室4A、4Bの温度が範囲C2に分布している)と、短時間で判断(ステップS647)されるのを防ぐことができる。従って、本実施形態では、1階ファン10Baの風量として、第1風量(例えば、550m3/h)と、第1風量よりも小さい第2風量(例えば、250m3/h)又は第4風量(例えば、100m3/h)とが、短時間で繰り返し設定されるのを防ぐことができる。
図12に示されるように、ステップS649において、1階居室エリアA1の最大値W2mが第6暖房閾値(例えば、+3.0℃)以上であると判断された場合(ステップS649で、「Y」)、ファン風量調節ステップS651〜S653ほど、1階ファン10Baの風量を大きくする必要はないと判断されうる。このため、1階ファン10Baの風量が、第2風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS655)。
ステップS649において、1階居室エリアA1の最大値W2mが第6暖房閾値(例えば、+3.0℃)未満であると判断された場合(ステップS649で、「N」)、ファン風量調節ステップS651〜S653ほど、1階ファン10Baの風量を大きくする必要はないが、ファン風量調節ステップS655よりも1階ファン10Baの風量を大きくするのが有効である。このため、1階ファン10Baの風量が、第3風量(例えば、400m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS656)。
このように、ファン風量調節ステップS651〜S656及びS659では、1階居室エリアA1の最小値W2sが小さいほど、1階ファン10Baの風量が大きく設定される。さらに、1階居室エリアA1の最大値W2mが大きいほど、1階ファン10Baの風量が小さく設定されうる。従って、1階居室エリアA1の居室4A及び4Bが効率よく暖房されうる。このファン風量調節ステップS651〜S656及びS659の処理終了後、1階居室エリア調節ステップS631の一連の処理が終了する。
次に、図10に示されるように、積極運転ステップS623では、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dへの暖空気の供給量、及び、2階ファン10Bbの風量が調節される(2階居室エリア調節ステップS632)。図19及び図20は、2階居室エリア調節ステップS632の処理手順を示すフローチャートである。2階居室エリア調節ステップS632では、図11、図12に示した1階居室エリア調節ステップS631と同一の処理手順によって実施される。なお、2階居室エリア調節ステップS632において実施される各判断処理(例えば、ステップS741、S743等)は、例えば、作業用メモリ35に入力された値W1等に基づいて、演算部33によって行われている。
2階居室エリア調節ステップS632では、先ず、2階居室エリアA2に含まれる全ての居室(本実施形態では、2階の居室4C、4D)の前記値W1のうち、最も大きい最大値W3mが、予め定められた第4暖房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS741)。第4暖房閾値は、1階居室エリア調節ステップS631と同様に、−1.5℃に設定されている。
最大値W3mが第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)以下である場合(ステップS741で、「Y」)、2階居室エリアA2の全ての居室(本実施形態では、2階の居室4C、4D)の温度が大幅に低下しているため、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dへの暖空気(混合空気)の供給量が最大に設定される(ステップS742)。この場合、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dのダンパー20c、20d(図1に示す)は、最も大きい第5開度に設定される。ステップS742では、演算部33が、ダンパー20a、20bを制御することによって行われる。
他方、最大値W3mが第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)よりも大きい場合(ステップS741で、「N」)、2階居室エリアA2の全ての居室4C、4Dの温度が、大きく低下していないため、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dへの暖空気(混合空気)の供給量を個別に調節して、暖房するのが有効である。本実施形態では、1階居室エリア調節ステップS631と同様に、図13〜図17に示した第1居室供給量調節ステップ〜第4居室供給量調節ステップ又は第9居室供給量調節ステップの何れかが実施される。
次に、2階居室エリア調節ステップS632では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W1のうち、最も小さい最小値W3sが第5暖房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS743)。本実施形態の第5暖房閾値は、1階居室エリア調節ステップS631と同様に、−3.0℃に設定されている。
最小値W3sが第5暖房閾値(例えば、−3.0℃)以下である場合(ステップS743で、「Y」)、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W1が広範囲に分布している可能性が高い。この場合、第1居室供給量調節ステップS744が実施される。他方、最小値W3sが第5暖房閾値(例えば、−3.0℃)よりも大きい場合(ステップS743で、「N」)、本ステップS743のみでは、各居室4C、4Dの前記値W1が広範囲に分布しているか否かが判断できないため、次のステップS745が実施される。
第1居室供給量調節ステップS744は、1階居室エリア調節ステップS631の第1居室供給量調節ステップS644(図13に示す)と同一の処理手順である。従って、前記値W1に基づいて、2階居室エリアA2の各居室4C及び4Dのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4C及び4Dへの暖空気(混合空気)の供給量が、個別に調節されうる。従って、各居室4C及び4Dが効率よく暖房されうる。
図19に示されるように、2階居室エリア調節ステップS632では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W1のうち、最も大きい最大値W3mが第1暖房閾値未満であるか否かが判断される(ステップS745)。本実施形態の第1暖房閾値は、1階居室エリア調節ステップS631と同様に、例えば、+0.5℃に設定されている。
最大値W3mが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)未満である場合(ステップS745で、「Y」)、各居室4C、4Dの温度が、第1暖房閾値に対して不利側に偏って分布している(図18において、「C1」)。この場合、第2居室供給量調節ステップS746が実施される。他方、最大値W3mが第1暖房閾値以上である場合(ステップS745で、「N」)、次のステップS747が実施される。
第2居室供給量調節ステップS746は、1階居室エリア調節ステップS631の第2居室供給量調節ステップS646(図14に示す)と同一の処理手順である。このため、第2居室供給量調節ステップS746での閾値は、第1居室供給量調節ステップS644(図13に示す)の閾値とは異なり、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)に対して不利側に偏って設定されているため、各居室4C及び4Dが効果的に暖房されうる。
図19に示されるように、2階居室エリア調節ステップS632では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W1のうち、最も小さい最小値W3sが第1暖房閾値以上であるか否かが判断される(ステップS747)。上述したように、本実施形態の第1暖房閾値は、+0.5℃に設定されている。
最小値W3sが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)以上である場合(ステップS747で、「Y」)、各居室4C、4Dの温度が、第1暖房閾値に対して有利側に偏って分布している(図18において、「C2」)。この場合、次のステップS757が実施される。他方、最小値W3sが第1暖房閾値未満である場合(ステップS747で、「N」)、次のステップS749(図20に示す)が実施される。
本実施形態のステップS757では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W1のうち、最も小さい最小値W3sが第2暖房閾値未満であるか否かが判断される。本実施形態の第2暖房閾値は、1階居室エリア調節ステップS631と同様に、例えば、+1.0℃に設定されている。
本実施形態のステップS757において、最小値W3sが第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)未満であると判断された場合(ステップS757で、「Y」)、各居室4C、4Dの温度が、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)に対して、それほど有利側に偏って分布しているわけではない。この場合、第3居室供給量調節ステップS748が実施される。他方、最小値W3sが第2暖房閾値未満でないと判断された場合(ステップS757で、「N」)、各居室4C、4Dの温度が、第1暖房閾値に対して、有利側に偏って分布している。この場合、第9居室供給量調節ステップS758が実施される。
第3居室供給量調節ステップS748は、1階居室エリア調節ステップS631の第3居室供給量調節ステップS648(図15に示す)と同一の処理手順である。このため、第3居室供給量調節ステップS748での閾値は、第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)に対して有利側に偏って設定されている。また、第9居室供給量調節ステップS758は、1階居室エリア調節ステップS631の第9居室供給量調節ステップS658(図16に示す)と同一の処理手順である。このため、第9居室供給量調節ステップS758での閾値は、第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)に対して有利側に偏って設定されている。従って、各居室4C及び4Dが効果的に暖房されうる。
図20に示されるように、2階居室エリア調節ステップS632では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W1のうち、最も大きい最大値W3mが第6暖房閾値以上であるか否かが判断される(ステップS749)。本実施形態の第6暖房閾値は、1階居室エリア調節ステップS631と同様に、例えば、+3.0℃に設定されている。
最大値W3mが第6暖房閾値(例えば、+3.0℃)以上である場合(ステップS749で、「Y」)、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bの前記値W1が広範囲に分布している可能性が高い。この場合、図13に示した第1居室供給量調節ステップが実施される(ステップS744)。他方、最大値W3mが第6暖房閾値(例えば、+3.0℃)未満である場合(ステップS749で、「N」)、1階居室エリアA1の各居室4A及び4Bの前記値W1が広範囲に分布している可能性が低い。この場合、第4居室供給量調節ステップS750が実施される。
第4居室供給量調節ステップS750は、1階居室エリア調節ステップS631の第4居室供給量調節ステップS650(図17に示す)と同一の処理手順である。第4居室供給量調節ステップS750は、第1居室供給量調節ステップS744に比べて、閾値の範囲が小に設定されている。このため、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W1が広範囲に分布していなくても、居室4C、4D毎に、ダンパー20c、20dの開度が、より細やかにバランスよく調節されうる。
図19及び図20に示されるように、本実施形態の2階居室エリア調節ステップS632では、図1に示した2階居室エリアA2のファン10B(2階ファン10Bb)の風量が調節される(ファン風量調節ステップS751〜S756及びS759)。ファン風量調節ステップS751〜S756及びS759では、2階居室エリアA2の各居室4C及び4Dの前記値W1に基づいて、2階ファン10Bbの風量が調節される。
なお、ファン風量調節ステップS751〜S756及びS759は、図11及び図12に示した1階居室エリア調節ステップS631のファン風量調節ステップS651〜S656及びS659と同様の処理手順である。従って、これらのファン風量調節ステップS751〜S756及びS759は、演算部33(図3に示す)がファン風量調節部41b(図4に示す)を実行することによって行われる。
ステップS741において、2階居室エリアA2の前記値W1の最大値W3mが第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)以下であると判断された場合(ステップS741で、「Y」)、2階ファン10Bbの風量は、最も大きい第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS751)。また、ステップS743において、2階居室エリアA2の最小値W3sが第5暖房閾値(例えば、−3.0℃)以下であると判断された場合(ステップS743で、「Y」)も同様に、2階ファン10Bbの風量が、第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS752)。これにより、低温の居室4C又は4Dを含む2階居室エリアA2に、暖空気を積極的に供給することができる。
ステップS745において、2階居室エリアA2の最大値W3mが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)未満であると判断された場合(ステップS745で、「Y」)、第1暖房閾値に対して不利側に偏って分布している(図18において、「C1」)。このため、2階ファン10Bbの風量は、最も大きい第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS753)。これにより、各居室4C又は4Dに暖空気が積極的に供給されるため、各居室4C又は4Dが効率よく暖房されうる。
ステップS747において、2階居室エリアA2の最小値W3sが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)以上であると判断された場合(ステップS747で、「Y」)、第1暖房閾値に対して有利側に偏って分布している(図18において、「C2」)。このため、2階ファン10Bbの風量は、第1風量よりも小さい風量に設定される(ファン風量調節ステップS754及びS759)。これにより、各居室4C又は4Dに暖空気が必要以上に供給されるのを防ぐことができるため、各居室4C又は4Dが効率よく暖房されうる。
本実施形態では、ステップS757において、2階居室エリアA2の最小値W3sが第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)未満と判断された場合(ステップS757で、「Y」)、第2風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS754)。他方、ステップS757において、最小値W3sが第2暖房閾値(例えば、+1.0℃)以上と判断された場合(ステップS757で、「N」)、第4風量(例えば、100m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS759)。このように、本実施形態では、各居室に暖空気が必要以上に供給されるのを防ぐことができるため、各居室が効率よく暖房されうる。
図18に示されるように、最大値W3mが第1暖房閾値(例えば、+0.5℃)よりも小である範囲C1と、最小値W3sが第1暖房閾値以上である範囲C2とでは、2階居室エリアA2に属する全ての居室4C及び4Dの温度が、各範囲C1及びC2の何れかに属している。このため、例えば、最大値W3mが第1暖房閾値よりも小である(即ち、全ての居室4C、4Dの温度が範囲C1に分布している)と判断(ステップS745)された後に、再び処理された2階居室エリア調節ステップS632において、最小値W3sが第1暖房閾値以上である(即ち、全ての居室4C、4Dの温度が範囲C2に分布している)と、短時間で判断(ステップS747)されるのを防ぐことができるため、第1風量と、第1風量よりも小さい第2風量又は第4風量とが、短時間で繰り返し設定されるのを防ぐことができる。
図20に示されるように、ステップS749において、2階居室エリアA2の最大値W3mが第6暖房閾値(例えば、+3.0℃)以上であると判断された場合(ステップS749で、「Y」)、ファン風量調節ステップS751〜S753ほど、2階ファン10Bbの風量を大きくする必要はないと判断されうる。このため、2階ファン10Bbの風量が、第2風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS755)。
ステップS749において、2階居室エリアA2の最大値W3mが第6暖房閾値(例えば、+3.0℃)未満であると判断された場合(ステップS749で、「N」)、ファン風量調節ステップS751〜S753ほど、2階ファン10Bbの風量を大きくする必要はないが、ファン風量調節ステップS755よりも2階ファン10Bbの風量を大きくするのが有効である。このため、2階ファン10Bbの風量が、第3風量(例えば、400m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS756)。
このように、ファン風量調節ステップS751〜S756及びS759では、2階居室エリアA2の最小値W3sが小さいほど、2階ファン10Bbの風量が大きく設定され、最大値W3mが大きいほど、2階ファン10Bbの風量が小さく設定されうる。従って、2階居室エリアA2の居室4C及び4Dが効率よく暖房されうる。このファン風量調節ステップS751〜S756及びS759の処理終了後、2階居室エリア調節ステップS632の一連の処理が終了する。
本実施形態では、1階居室エリア調節ステップS631のファン風量調節ステップS651〜S656及びS659(図11及び図12に示す)、及び、2階居室エリア調節ステップS632のファン風量調節ステップS751〜S756及びS759(図19及び図20に示す)により、1日を通して室温に差が生じやすい居室エリアA1、A2毎に、1階ファン10Ba又は2階ファン10Bbの風量がそれぞれ調節される。これにより、前記値W1が相対的に小さい低温の居室を含む居室エリアA1又はA2に、1階ファン10Ba又は2階ファン10Bbによって暖空気が積極的に供給されうるため、各居室4A〜4Dが効率よく暖房されうる。
次に、図10に示されるように、積極運転ステップS623では、次の空気調和機16の設定温度を調節する空調温度調節ステップS634及びS635に先立ち、前記各居室4A乃至4Dの前記値W1のうち、最も小さい最小値W1sが第5暖房閾値(例えば、−3.0℃)以下、又は、最も大きい最大値W1mが第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)以下であるか否かが判断される(ステップS633)。このステップS633では、空気調和機16の設定温度を大幅に高める必要があるか否かが判断される。なお、ステップS633では、作業用メモリ35に入力された最小値W1s、第5暖房閾値及び第4暖房閾値に基づいて、演算部33が判断している。
最小値W1sが第5暖房閾値(例えば、−3.0℃)以下、又は、最大値W1mが第4暖房閾値(例えば、−1.5℃)以下である場合(ステップS633で、「Y」)、少なくとも一つの居室(本実施形態では、居室4A、4B、4C又は4D)の温度が大幅に低下している。この場合、空気調和機16の設定温度が、目標温度(例えば、20℃)と、第1加算温度との和に設定される(空調温度調節ステップS634)。第1加算温度については、適宜設定されうる。本実施形態の第1加算温度は、例えば、+5℃に設定されている。
他方、最小値W1sが第4暖房閾値(例えば、−3.0℃)より大、かつ、最大値W1mが第1暖房閾値(例えば、−1.5℃)よりも大である場合(ステップS633で、「N」)、全ての居室(本実施形態では、居室4A乃至4D)の温度が大幅に低下しているわけではない。従って、ステップS634ほど、空気調和機16の設定温度を高くする必要はないと判断されうる。この場合、空気調和機16の設定温度は、目標温度(例えば、20℃)と、第2加算温度との和に設定される(空調温度調節ステップS635)。第2加算温度については、第1加算温度よりも小であれば、適宜設定されうる。本実施形態の第2加算温度は、例えば、+2℃に設定されている。
このように、空調温度調節ステップS634及びS635は、最小値W1s(及び最大値W1m)が小さいほど、設定温度が高く調節されるため、各居室4A乃至4Dが効果的に暖房されうる。なお、空調温度調節ステップS634及びS635は、演算部33(図3に示す)が空調温度調節部41d(図4に示す)を実行することによって行われる。
次に、本実施形態の積極運転ステップS623では、空気調和機16の設定風量が調節される(ステップS636)。本実施形態のステップS636は、演算部33(図3に示す)が空調風量調節部41e(図4に示す)を実行することによって行われる。
本実施形態のステップS636では、各居室エリアA1、A2に設けられたファン10B(本実施形態では、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の合計風量に基づいて、空気調和機16の設定風量が調節される。本実施形態の空気調和機16の設定風量Fwは、下記式(1)で定義される。
Fw=Tf−Vf…(1)
ここで、各変数は、次のとおりである。
Tf:ファンの合計風量
Vf:建築物Bに必要な換気風量
上記式(1)おいて、本実施形態のファン10Bの合計風量Tfは、ファン風量調節ステップS651〜S656及びS659で設定された1階ファン10Baの風量と、ファン風量調節ステップS751〜S756及びS759で設定された2階ファン10Bbの風量との和である。
空気調和機16の設定風量Fwは、ファン10B(本実施形態では、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の合計風量Tfから建築物Bに必要な換気風量Vfを差し引いた値である。そして、空気調和機16の上記した風量(静音風量〜第4空調風量)のうち、設定風量Fwに最も近似する風量が設定される。
上記式(1)では、ファン10B(本実施形態では、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の合計風量Tfが大きいほど、空気調和機16の設定風量Fwが大に設定される。これにより、空気調和機16で暖められた暖空気が、各居室(本実施形態では、居室4A乃至4D)に効果的に供給されうる。また、設定風量Fwは、合計風量Tfから建築物Bに必要な換気風量Vfを差し引いた値が設定されるため、空気調和機16で暖められた暖空気とともに、換気に必要な床下空気17も、各居室(本実施形態では、居室4A乃至4D)に供給されうる。本実施形態では、ステップS636の処理終了後、積極運転ステップS623及び暖房ステップS235(図9に示す)の一連の処理が終了する。
図21は、本実施形態の効率運転ステップS624の処理手順の一例を示すフローチャートである。上述したように、効率運転ステップS624は、空気調和機16の効率的な運転が行われる。本実施形態の効率運転ステップS624の一連の処理は、演算部33(図3に示す)が効率運転部41g(図4に示す)を実行することによって行われる。
効率運転ステップS624では、先ず、現在の空気調和機16の暖房能力が計算される(ステップS781)。本実施形態の暖房モードS23において、空気調和機16の暖房能力Ewは、下記式(2)で求められる。
Ew=(Tb−Ta)×Af×Hs/1000 …(2)
ここで、各定数及び変数については、次のとおりである。
Tb:空気調和機の排気部の温度(℃)
Ta:空気調和機の吸気部の温度(℃)
Af:空気調和機の風量(m3/h)
Hs:空気比熱(0.35Wh/m3・℃)
排気部16bの温度Tbは、排気温度検知手段28(図2に示す)によって測定される。吸気部16aの温度Taは、吸気温度検知手段27(図2に示す)によって測定される。空気調和機16の風量は、空気調和機16の運転状況が伝達される信号によって取得されうる。
図22(a)は、COP( Coefficient of Performance )、顕熱負荷(kW)及び暖房消費電力(kW)、並びに、暖房能力(kW)の関係を示すグラフである。一般に、暖房能力Ewが、2kW以上である場合、暖房効率が悪い状態である。このような場合、暖房能力Ewが2kWに近づくように、例えば、設定温度を低く調節、及び、設定風量を小さくして、空気調和機16が運転されるのが望ましい。
次に、効率運転ステップS624では、図21に示されるように、現在の空気調和機16の暖房効率が悪いか否かが判断される(ステップS782)。本実施形態では、現在の暖房能力Ewが2kW以上である場合に、暖房効率が悪いと判断される。このように、暖房効率が悪いと判断された場合、空気調和機16の効率的な運転が行われる。
現在の空気調和機16の暖房効率が悪い(暖房能力Ewが2kW以上)と判断された場合(ステップS782で、「Y」)、空気調和機16の効率的な運転を行わせるに先立ち、次のステップS783が実施される。他方、現在の空気調和機16の暖房効率が悪くない(暖房能力Ewが2kW未満)と判断された場合(ステップS782で、「N」)、既に、空気調和機16の効率的な運転が行われている。
このため、現在の空気調和機16の運転状態(設定温度、及び、設定風量)、並びに、ファン10Bの風量が維持されたまま、効率運転ステップS624及び暖房ステップS235(図9に示す)の一連の処理が終了する。
ステップS783では、空気調和機16の設定温度が、目標温度(例えば、20℃)よりも大きいか否かが判断される。空気調和機16の設定温度が、目標温度よりも大きい場合(ステップS783で、「Y」)、その設定温度をやや小さくしても、各居室4A乃至4Dが目標温度に暖房されうる。このような場合、ダンパー20a〜20dの開度が維持されたまま(ステップS784)、ファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が第3風量(例えば、400m3/h)に設定され(ステップS785)、さらに、空気調和機16の設定温度が低く調節される(ステップS786)。なお、空気調和機16の設定温度の低下分は、適宜設定される。本実施形態の減少分は、例えば、−1.0℃に設定される。
さらに、空気調和機16の設定風量は、上記式(1)で定義される設定風量Fwに基づいて、第3空調風量(例えば、625m3/h)に設定される(ステップS787)。これにより、効率運転ステップS624では、空気調和機16の設定温度を低くしても、各居室4A乃至4Dが効率よく暖房されるため、暖房効率を高めることができる。
また、空気調和機16の設定温度が、目標温度以下である場合(ステップS783で、「N」)、設定温度をこれ以上低くすると、各居室4A、4B、4C又は4Dを目標温度に維持できないおそれがある。このような場合、ダンパー20a〜20dの開度が維持されたまま(ステップS788)、ファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が第4風量(例えば100m3/h)に設定され(ステップS789)、さらに、空気調和機16の設定温度が目標温度に維持される(ステップS790)。
さらに、空気調和機16の設定風量は、上記式(1)で定義される設定風量Fwに基づいて、静音風量(例えば、325m3/h)に設定される(ステップS791)。これにより、効率運転ステップS624では、空気調和機16の暖房効率の悪化を防ぎつつ、各居室4A乃至4Dが効率よく暖房されうる。
次に、効率運転ステップS624では、ステップS784〜S791で設定された空気調和機16の設定温度、設定風量、及び、ファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が維持された状態で、空気調和機16及びファン10Bの運転が残置される(ステップS792)。これにより、空気調和機16の暖房効率の悪化を防ぎつつ、各居室4A乃至4Dが効率よく暖房されうる。なお、残置される時間については、適宜設定されうる。本実施形態では、効率運転ステップS624で設定された空気調和機16の設定温度、設定風量、及び、ファン10Bの風量により、各居室4A、4B、4C又は4Dが効率よく暖房させることを考慮して、例えば、5分程度に設定されるのが望ましい。このステップS792の処理終了後、効率運転ステップS624及び暖房ステップS235(図9に示す)の一連の処理が終了する。
次に、図7に示されるように、暖房モードS23では、暖房モードS23が開始されてから予め定められた終了時間が経過したか否かが判断される(ステップS236)。ステップS236では、作業用メモリ35に入力された暖房モードS23の開始時間、及び、終了時間に基づいて、演算部33が判断している。終了時間については、適宜設定されうる。本実施形態では、暖房モードS23で設定された空気調和機16の設定温度、設定風量、及び、ファン10Bの風量により、各居室4A、4B、4C又は4Dが効果的に暖房させることを考慮して、例えば、例えば、30分程度に設定されるのが望ましい。
ステップS236において、終了時間が経過したと判断された場合(ステップS236で、「Y」)、暖房モードS23の一連の処理が終了する。他方、終了時間が経過していないと判断された場合(ステップS236で、「N」)、ステップS230〜S236が再度実施される。これにより、暖房モードS23では、時々刻々と変化する各居室4A乃至4Dの温度に基づいて、ダンパー20の開度、空気調和機16の設定温度、設定風量、及び、ファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が調節されるため、各居室4A乃至4Dが効果的に暖房されうる。
次に、図6に示されるように、パッシブ暖房モードS24では、床下空気17(図1に示す)が各居室4A乃至4Dに供給されることにより、居室4A乃至4Dがそれぞれ換気されながら空調される。図23は、パッシブ暖房モードS24の処理手順の一例を示すフローチャートである。パッシブ暖房モードS24の一連の処理は、演算部33(図3に示す)がパッシブ暖房部41h(図4に示す)を実行することによって行われる。
パッシブ暖房モードS24では、先ず、図1及び図3に示されるように、各居室4A乃至4Dの温度が検知される(ステップS241)。各居室4A乃至4Dの温度は、居室温度検知手段25によってそれぞれ検知される。各居室4A乃至4Dの温度は、制御手段26に伝達される。
次に、パッシブ暖房モードS24では、外気の温度が検知される(ステップS242)。外気の温度は、外気温度検知手段24によって検知される。外気の温度は、制御手段26に伝達される。
次に、パッシブ暖房モードS24では、床下空気17の温度が検知される(ステップS243)。床下空気17の温度は、床下温度検知手段23によって検知される。床下空気17の温度は、制御手段26に伝達される。
次に、パッシブ暖房モードS24では、各居室4A乃至4Dの温度が、空気調和機16による暖房運転が必要とされる温度よりも高いか否かが判断される(ステップS244)。なお、「空気調和機16による暖房運転が必要とされる温度」については、例えば、建築物Bの構造や、床下空気17による暖房能力(温度)等に応じて、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、15℃程度に設定されている。
各居室4A乃至4Dの温度が、空気調和機16による暖房運転が必要とされる温度(例えば、15℃)よりも高い場合(ステップS244で、「Y」)、床下空気17を利用して暖房(空調)可能と判断されうる。このような場合、次のステップS245が実施される。他方、各居室4A乃至4Dの温度が、空気調和機16による暖房運転が必要とされる温度(例えば、15℃)以下である場合(ステップS244で。「N」)、床下空気17を利用しても、各居室4A乃至4Dを十分に暖房できないと判断されうる。このような場合、パッシブ暖房モードS24が中断され、前記暖房モードS23(図6及び図7に示す)が実施される。
次に、パッシブ暖房モードS24では、外気の温度が、予め定められた温度以上であるか否かが判断される(ステップS245)。外気の「予め定められた温度」については、例えば、建築物Bの構造や、床下空気17による暖房能力(温度)等に応じて、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、10℃に設定されている。
外気の温度が、予め定められた温度(例えば、10℃)以上である場合(ステップS245で、「Y」)、外気による居室4A乃至4Dの温度低下の影響が小さいため、床下空気17を利用して、各居室4A乃至4Dを暖房(空調)できると判断されうる。このような場合、次のステップS246が実施される。他方、外気の温度が、予め定められた温度(例えば、10℃)未満である場合(ステップS245で、「N」)、床下空気17を利用しても、各居室4A乃至4Dを十分に暖房できないと判断されうる。このような場合、パッシブ暖房モードS24が中断され、前記暖房モードS23(図6及び図7に示す)が実施される。
次に、パッシブ暖房モードS24では、床下空気17の温度が、予め定められた温度以上であるか否かが判断される(ステップS246)。床下空気17の「予め定められた温度」については、例えば、建築物Bの構造等に応じて、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、18℃に設定されている。
床下空気17の温度が、予め定められた温度(例えば、18℃)以上である場合(ステップS246で、「Y」)、比較的温度が高い床下空気17を利用して、各居室4A乃至4Dを暖房(空調)できると判断されうる。このような場合、次の第1供給ステップS247が実施される。他方、床下空気17の温度が、予め定められた温度(例えば、18℃)未満である場合(ステップS246で、「N」)、床下空気17を利用しても、各居室4A乃至4Dを効果的に暖房できないと判断されうる。このような場合、パッシブ暖房モードS24が中断され、暖房モードS23(図6及び図7に示す)が実施される。
次に、パッシブ暖房モードS24では、床下空気17が、各居室4A乃至4Dに供給される(第1供給ステップS247)。第1供給ステップS247は、ステップS244〜S246の判断により、各居室4A乃至4Dの温度が、空気調和機16による暖房運転が必要とされる温度よりも高く、外気の温度が予め定められた温度以上であり、しかも、床下空気17の温度が、予め定められた温度以上であると判断された場合にのみ実施される。従って、第1供給ステップS247では、各居室4A乃至4Dの温度、外気の温度、及び、床下空気17の温度が比較的高いため、空気調和機16を使用しなくても、床下空気17を利用して、各居室4A乃至4Dが効果的に暖房(空調)されうる。従って、空気調和機16による空調コストの増大を防ぐことができる。図24は、第1供給ステップS247の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図1、図2及び図24に示されるように、本実施形態の第1供給ステップS247では、先ず、換気手段10のファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量(床下空気17の総供給量)が設定される(ステップS711)。本実施形態の1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbの風量は、例えば、冬季の自然換気量を考慮して、比較的小さい第2風量(250m3/h)にそれぞれ設定されている。これにより、チャンバーボックス9の第1空間9Aの空気は、排気口14からダクト10A、空気浄化装置10Cを経由して清浄化された後、ダンパー20(20a〜20d)を介して、各居室4A乃至4Dに供給されうる。
次に、第1供給ステップS247では、各居室4A乃至4Dの温度と予め定められた目標温度との差Vaが求められる(ステップS712)。本実施形態の目標温度は、ヒートショックを未然に防ぐ観点より、例えば、20℃に設定されるのが望ましい。また、目標温度は、居室4A乃至4D毎に設定されてもよい。目標温度は、記憶部34に予め記憶されている。
差Vaは、居室4A乃至4D毎に求められる。本実施形態の差Vaは、暖房モードS23の値W1と同様に、各居室4A乃至4Dの温度から目標温度を差し引いた値として求められる。この値(差Va)が大きいほど、各居室4A乃至4Dの温度が大きいことを示している。
本実施形態では、ステップS246(図23に示す)で判断された床下空気17の温度(18℃)が、目標温度(20℃)よりも小に設定されている。このため、床下空気17を利用しても、各居室4A乃至4Dを目標温度まで暖めることができないとも考えられる。しかしながら、本実施形態の各居室4A乃至4Dは、家電製品や、居住者等による内部発熱を有するため、目標温度よりもやや小さい床下空気17が利用されたとしても、各居室4A乃至4Dを目標温度まで十分に暖めうる。このように、床下空気17の温度が、目標温度よりも小であっても、空気調和機16を使用しないパッシブ暖房モードS24が実施されるため、空調コストが抑制されうる。
次に、第1供給ステップS247では、各居室4A乃至4Dの前記差Vaに基づいて、各居室4A乃至4Dのダンパー20(20a〜20d)の開度が調節される(ステップS713〜ステップS719)。本実施形態では、前記差Vaが小さい居室4A、4B、4C又は4Dほど、ダンパー20の開度(床下空気17の供給量)が大に設定されている。これにより、温度が低い居室4A乃至4Dほど、より多くの暖かい床下空気17が供給されるため、各居室4A乃至4Dが効率よく暖房されうる。
例えば、前記差Vaが+1.5℃よりも大きい居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20(20a〜20d)は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS714)。前記差Vaが+1.5℃(以下)〜+0.5℃(よりも大)である居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20は、第1開度よりも大きい第2開度に設定される(ステップS715)。前記差Vaが+0.5℃(以下)〜−0.5℃(よりも大)である居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20は、第2開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS716)。
さらに、前記差Vaが−0.5℃(以下)〜−1.5℃(以上)である居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20(20a〜20d)は、第3開度よりも大きい第4開度に設定される(ステップS717)。前記差Vaが−1.5℃未満である居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20は、第4開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS718)。
そして、全ての居室4A乃至4Dのダンパー20(20a〜20d)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS719)。全ての居室4A乃至4Dのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS719で、「Y」)、次のステップS248(図23に示す)が実施される。他方、全ての居室4A乃至4Dのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS719で、「N」)、開度が調節されていない居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20が選択され(ステップS720)、ステップS713〜S719が再度実施される。これにより、前記差Vaに基づいて、全ての居室4A乃至4Dのダンパー20の開度がそれぞれ調節されうる。従って、各居室4A乃至4Dへの床下空気17の供給量が、個別に調節されうる。
なお、ダンパー20(20a〜20d)の各開度を区分した前記差Vaの各閾値(本実施形態では、「+1.5℃」、「+0.5℃」、「−0.5℃」、「−1.5℃」)については、例えば、換気手段10のファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量に応じて、適宜変更されうる。また、本実施形態の前記差Vaは、各居室4A乃至4Dの温度から目標温度を差し引いた値として求められる態様が例示されたが、これに限定されない。例えば、前記差Vaは、目標温度から各居室4A乃至4Dの温度を差し引いた値として求められてもよい。この場合、前記差Vaが大きいほど、ダンパー20の開度(床下空気17の供給量)が大に設定されるのが望ましい。
次に、図1及び図23に示されるように、パッシブ暖房モードS24では、第1供給ステップS247の開始から予め定められた時間が経過するまで、各居室4A乃至4Dへの床下空気17の供給が残置される(ステップS248)。このような残置により、第1供給ステップS247で設定された各居室4A乃至4Dのダンパー20(20a〜20d)の開度に基づいて、床下空気17が一定時間供給されるため、各居室4A乃至4Dが効果的に暖房されうる。残置される時間については、適宜設定されうる。本実施形態では、換気手段10のファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量や、各居室4A乃至4Dへの床下空気17の供給量等を考慮して、例えば、20分〜30分程度に設定されている。
次に、パッシブ暖房モードS24では、各居室4A乃至4Dの温度が、予め定められた温度以上か否かが判断される(ステップS249)。各居室4A乃至4Dの「予め定められた温度」については、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、第1供給ステップS247で設定された目標温度(例えば、20℃)と、ステップS246で判断された床下空気17の温度(18℃)との間の温度(19℃)に設定される。これにより、床下空気17を利用して、各居室4A乃至4Dの温度が目標温度に向かって、上昇しているか否かが判断されうる。
ステップS249において、各居室4A乃至4Dの温度が前記温度(19℃)以上である場合(ステップS249で、「Y」)、床下空気17を利用して、各居室4A乃至4Dが効果的に暖房されていると判断されうる。このような場合、次のステップS250が実施される。他方、各居室4A乃至4Dの温度が前記温度未満(即ち、少なくとも一つの居室4A乃至4Dの温度が前記温度未満)である場合(ステップS249で、「N」)、床下空気17を利用しても、各居室4A乃至4Dを効果的に暖房できないと判断されうる。この場合、パッシブ暖房モードS24が中断され、暖房モードS23(図6及び図7に示す)が実施される。このように、本実施形態では、各居室4A乃至4Dに床下空気17が一定時間供給されても、各居室4A乃至4Dが十分に暖房されないと判断された場合に、パッシブ暖房モードS24が中断され、暖房モードS23が迅速に実施される。従って、各居室4A乃至4Dが確実に暖房されうる。
次に、パッシブ暖房モードS24では、ステップS241〜ステップS249を経た現在において、第1期間(冬季パッシブ期間)か否かが判断される(ステップS250)。現在が第1期間であると判断された場合(ステップS250で、「Y」)、ステップS241〜S250が再度実施される。これにより、第1期間(冬季パッシブ期間)では、空気調和機16を使用しなくても、自然エネルギーのみを利用して、各居室4A乃至4Dが継続して暖房(空調)されうるため、空調コストの増大が防がれうる。
他方、現在が第1期間(冬季パッシブ期間)外であると判断された場合(ステップS250で、「N」)、パッシブ暖房モードS24の一連の処理が終了する。
本実施形態のパッシブ暖房モードS24では、換気手段10の1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbに同一風量が設定される態様が示されたが、これに限定されるわけではない。例えば、暖房モードS23と同様に、各居室4A乃至4Dの前記差Vaに基づいて、各居室エリアA1、A2毎に、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbの風量が調節されてもよい。
図5に示されるように、上述した換気モードS22、暖房モードS23、及び、パッシブ暖房モードS24の一連の処理が終了することにより、次のステップS4が実施される。これにより、冬季空調ステップS2では、現在が属する期間に応じて、各居室4A乃至4Dが、効率よく暖房(空調)されうる。
図25は、本実施形態の夏季空調ステップS3の処理手順の一例を示すフローチャートである。図1及び図25に示されるように、夏季空調ステップS3では、空気調和機16による冷房が不要な中間期間、空気調和機16による冷房が必要な冷房期間、及び、中間期間と冷房期間との間の第2期間(以下、単に「夏季パッシブ期間」ということがある。)で、異なる処理手順が実施される。各期間は、例えば、次のとおりである。なお、中間期間、冷房期間、及び、第2期間(夏季パッシブ期間)は、例示した期間に限定されるわけではなく、例えば、建築物Bが竣工された地域の気候に応じて、適宜変更されうる。
中間期間:4月28日〜6月16日、9月23日〜10月25日
冷房期間:8月1日〜8月21日
第2期間(夏季パッシブ期間):6月17日〜7月31日、8月22日〜9月22日
夏季空調ステップS3では、先ず、現在が中間期間、冷房期間、又は、第2期間(夏季季パッシブ期間)の何れに属するかが判断される(ステップS31)。これらの判断は、演算部33(図3に示す)が期間判断部41f(図4に示す)を実行することによって行われる。現在が、中間期間に含まれると判断された場合、換気モードS32が実施される。また、現在が、冷房期間に含まれると判断された場合、冷房モードS33が実施される。さらに、現在が、第2期間(夏季パッシブ期間)に含まれると判断された場合、パッシブ冷房モードS34が実施される。
換気モードS32では、冬季空調ステップS2の換気モードS22(図6に示す)と同様に、第1空間9Aと第2空間9Bとが遮断される。このように、第1空間9Aと第2空間9Bとが遮断されることにより、空気調和機16のフィルターの自動清掃等のメンテナンス時に排出される熱等によって、各居室4A乃至4Dに供給される床下空気17が暖められるのを防ぐことができる。さらに、換気手段10のファン10B(本実施形態では、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)が運転される。これにより、チャンバーボックス9、換気手段10及びダンパー20(20a〜20d)を介して、床下空気17が各居室4A乃至4Dに供給される。また、居室4A乃至4Dの空気は、排気用のファン(図示省略)等によって屋外へ排出される。これにより、各居室4A乃至4Dは、清浄化された外気によって換気される。
また、これらの換気モードS32の一連の処理は、演算部33(図3に示す)が換気部41j(図4に示す)を実行することによって行われる。また、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbの風量は、第4風量(例えば、100m3/h)に設定されている。各居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20は、第1開度〜第5開度から適宜選択される。
次に、冷房モードS33では、空気調和機16で冷却された冷空気が、各居室4A乃至4Dに供給される。図26は、冷房モードS33の処理手順の一例を示すフローチャートである。
冷房モードS33では、先ず、各居室4A〜4Dの目標温度が設定される(ステップS330)。ステップS330では、図4に示した目標温度設定部41aが演算部33によって実行される。
目標温度は、空気調和機16による冷房により、各居室4A乃至4Dで維持したい温度である。目標温度は、適宜設定されうる。本実施形態の目標温度は、屋内熱中症を未然に防ぐ観点より、例えば、26℃〜29℃(本実施形態では、28℃)に設定されるのが望ましい。本実施形態の目標温度は、居室4A乃至4D毎にそれぞれ設定されてもよいし、同一でもよい。目標温度は、作業用メモリ35に入力される。
次に、冷房モードS33では、図1及び図3に示されるように、各居室4A乃至4Dの温度が検知される(ステップS331)。各居室4A乃至4Dの温度は、居室温度検知手段25(25a〜25d)によってそれぞれ検知される。各居室4A乃至4Dの温度は、制御手段26に伝達され、作業用メモリ35に入力される。
次に、冷房モードS33では、各居室4A乃至4Dの温度から予め定められた目標温度を差し引いた値W5がそれぞれ求められる(ステップS332)。ステップS332では、作業用メモリ35に入力された目標温度、及び、各居室4A乃至4Dの温度に基づいて、演算部33よって実行される。値W5は、居室4A乃至4D毎に求められる。この値W5が小さいほど、各居室4A乃至4Dの温度が小さいことを示している。値W5は、作業用メモリ35に入力される。
次に、冷房モードS33では、全ての居室4A乃至4Dの前記値W5が、予め定められた第2冷房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS333)。本実施形態のステップS333では、作業用メモリ35に入力された値W5、及び、第2冷房閾値に基づいて、演算部33が判断している。第2冷房閾値は、例えば、記憶部34に予め入力されている。
ステップS333では、空気調和機16による空調(冷房)が、必要か否かが判断される。従って、第2冷房閾値は、0℃以下に設定されるのが望ましい。本実施形態の第2冷房閾値は、例えば、0℃よりも小さい−1.0℃に設定されている。
全ての居室4A乃至4Dの前記値W5が、予め定められた第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)以下であると判断された場合(ステップS333で、「Y」)、全ての居室4A乃至4Dの温度は、目標温度(例えば、28℃)以下であり、十分に冷却されている。従って、空気調和機16による空調(冷房)が不要であると判断されうる。このような場合、次の空調停止ステップS334が実行される。なお、空調停止ステップS334の処理手順は、図8に示した暖房モードS23の空調停止ステップS234の処理手順と同一であり、演算部33(図3に示す)が停止部41k(図4に示す)を実行することによって行われる。
他方、全ての居室4A乃至4Dの前記値W5が、予め定められた第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)以下でないと判断された場合(ステップS333で、「N」)、居室4A乃至4Dのうち、少なくとも一つの居室が十分に冷却されていない可能性が高いため、空気調和機16による空調(冷房)が必要であると判断されうる。このような場合、空気調和機16で冷却された冷空気を、各居室4A乃至4Dに供給する冷房ステップS335が実行される。本実施形態では、第2冷房閾値が、−1.0℃に設定されるため、各居室4A乃至4Dが必要以上に冷房されるのを防ぐことができ、ひいては、空気調和機16の省エネルギー運転を図ることができる。
図27は、冷房ステップS335の処理手順の一例を示すフローチャートである。冷房ステップS335では、先ず、空気調和機16による冷房が開始される(ステップS821)。ステップS821では、演算部33が、空気調和機16、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbを制御することによって行われる。
本実施形態のステップS821では、先ず、空気調和機16が冷房運転される。さらに、換気手段10の1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbが運転される。これにより、第1空間9Aにおいて、床下空間3の空気と、空気調和機16で冷却された冷空気とが混合される。そして、この混合空気(冷空気+床下空気)が換気手段10によって各居室4A乃至4Dに供給される。これにより、換気を行いながら、空気調和機16による冷房(空調)が実現されうる。なお、空気調和機16による冷房が既に開始されている場合、ステップS821は省略される。
次に、冷房ステップS335では、全ての居室4A乃至4Dの前記値W5が、第1冷房閾値以上、かつ、第3冷房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS822)。ステップS822では、例えば、記憶部34に入力されている値W5、第1冷房閾値及び第3冷房閾値に基づいて、演算部33が判断している。
ステップS822では、空気調和機16のより積極的な運転が、必要か否かが判断される。従って、第3冷房閾値は、0℃より大に設定されるのが望ましい。本実施形態の第3冷房閾値は、例えば、+0.5℃に設定されている。
空気調和機16(図1に示す)のよる積極的な運転は、各居室4A乃至4Dの値W5が広範囲に分布している場合に実施されるのが望ましい。このため、第1冷房閾値は、冷房ステップS335の実施を判断するステップS333で用いられた第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)よりも大に設定されるのが望ましい。本実施形態の第1冷房閾値は、例えば、−0.5℃に設定されている。
ステップS822において、全ての居室4A乃至4Dの前記値W5が、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)以上、かつ、第3冷房閾値(例えば、+0.5℃)以下でない場合(ステップS822で、N)、各居室4A乃至4Dの値W5が広範囲に分布している可能性がある。このため、積極運転ステップS823が実施される。他方、全ての居室4A乃至4Dの前記値W5が、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)以上、かつ、第3冷房閾値(例えば、+0.5℃)以下である場合(ステップS822で、Y)、各居室4A乃至4Dが比較的冷えており、かつ、各居室4A乃至4Dの値W5が広範囲に分布していない。このため、空気調和機16の効率的な運転が行われる効率運転ステップS824が実施される。
このように、冷房ステップS335では、各居室4A乃至4Dの値W5が広範囲に分布している場合に、積極運転ステップS823が実施されるため、各居室4A乃至4Dを効果的に冷房しうる。
本実施形態の積極運転ステップS823では、居室エリアA(本実施形態では、1階居室エリアA1及び2階居室エリアA2)毎に、各居室4A乃至4Dへの冷空気の供給量、及び、ファン10B(本実施形態では、1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が調節される。図28は、本実施形態の積極運転ステップS823の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の積極運転ステップS823では、先ず、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへの冷空気の供給量、及び、1階ファン10Baの風量が調節される(1階居室エリア調節ステップS831)。図29及び図30は、1階居室エリア調節ステップS831の処理手順を示すフローチャートである。なお、1階居室エリア調節ステップS831において実施される各判断処理(例えば、ステップS841、S843等)は、例えば、作業用メモリ35に入力された値W5等に基づいて、演算部33によって行われている。
1階居室エリア調節ステップS831では、先ず、1階居室エリアA1に含まれる全ての居室(本実施形態では、1階の居室4A、4B)の前記値W5のうち、最も小さい最小値W6sが、予め定められた第4冷房閾値以上であるか否かが判断される(ステップS841)。このステップS841では、1階居室エリアA1に含まれる各居室4A、4Bへの冷空気(混合空気)の供給量を最大にして、冷房する必要があるか否かが判断される。従って、第4冷房閾値は、積極的な運転が必要か否かの判断に用いられた第3冷房閾値(例えば、+0.5℃)よりも大きい値に設定されるのが望ましい。本実施形態の第4冷房閾値は、+1.5℃に設定されている。
最小値W6sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)以上の場合(ステップS841で、「Y」)、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、1階の居室4A、4B)の温度が大幅に上昇している。このため、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへの冷空気(混合空気)の供給量が最大に設定される(ステップS842)。ステップS842では、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bのダンパー20a、20b(図1に示す)が、最も大きい第5開度に設定される。これにより、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへの冷空気の供給量が最大にされうる。ステップS842では、演算部33が、ダンパー20a、20bを制御することによって行われる。
他方、最小値W6sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)未満である場合(ステップS841で、「N」)、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、1階の居室4A、4B)の温度が、大幅に上昇しているわけではない。従って、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bへの冷空気(混合空気)の供給量を個別に調節して、冷房するのが有効である。本実施形態では、図31〜図35に示す第5居室供給量調節ステップS844〜第8居室供給量調節ステップS850又は第10居室供給量調節ステップS858の何れかが実施される。
第5居室供給量調節ステップS844〜第8居室供給量調節ステップS850及び第10居室供給量調節ステップS858では、第1居室エリアAr(即ち、1階居室エリアA1及び2階居室エリアA2)の各居室の値W5に基づいて、各居室のダンパー20の開度が個別に調節される。本実施形態では、前記値W5が大きい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20a、20bの開度が大に設定されている。これにより、温度が高い居室4A、4Bほど、より多くの冷空気(混合空気)が供給されるため、効率よく冷房されうる。
第5居室供給量調節ステップS844〜第8居室供給量調節ステップS850及び第10居室供給量調節ステップS858は、演算部33(図3に示す)が居室供給量調節部41c(図4に示す)を実行することによって行われる。詳細な処理手順については、後述する。
次に、1階居室エリア調節ステップS831では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W5のうち、最も大きい最大値W6mが第5冷房閾値以上か否かが判断される(ステップS843)。最大値W6mが大幅に大きいと、各居室4A、4Bの前記値W5が広範囲に分布している可能性が高い。従って、このような分布の有無を判断するために、第5冷房閾値については、第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)よりも大に設定されるのが望ましい。本実施形態の第5冷房閾値は、例えば、+3.0℃に設定されている。
最大値W6mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)以上である場合(ステップS843で、「Y」)、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W5が広範囲に分布している可能性が高い。この場合、第5居室供給量調節ステップS844が実施される。他方、最大値W6mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)未満である場合、本ステップS843のみでは、各居室4A、4Bの前記値W5が広範囲に分布しているか否かが判断できないため、次のステップS845が実施される。
図31は、第5居室供給量調節ステップS844の処理手順の一例を示すフローチャートである。第5居室供給量調節ステップS844では、前記値W5が大きい1階居室エリアA1の各居室4A又は4B(図1に示す)ほど、ダンパー20(20a又は20b)の開度が大に設定されている(ステップS862〜ステップS866)。例えば、前記値W5が−3.0℃未満である居室4A又は4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS862)。前記値W5が−3.0℃(以上)〜−1.0℃(未満)である居室4A又は4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第2開度に設定される(ステップS863)。前記値W5が−1.0℃(以上)〜+1.0℃(未満)である居室4A又は4Bのダンパー20は、第2開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS864)。
さらに、前記値W5が+1.0℃(以上)〜+3.0℃(以下)である居室4A又は4Bのダンパー20(20a又は20b)は、第3開度よりも大きい第4開度に設定される(ステップS865)。前記値W5が+3.0℃よりも大きい居室4A又は4Bのダンパー20は、第4開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS866)。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A及び4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS867)。1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS867で、「Y」)、第5居室供給量調節ステップS844の一連の処理が終了する。他方、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS867で、「N」)、開度が調節されていない居室4A又は4Bのダンパー20が選択され(ステップS868)、ステップS861〜S867が再度実施される。これにより、前記値W5に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A及び4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A乃至4Bへの冷空気(混合空気)の供給量が、個別に調節されうる。
本実施形態では、前記値W5が大きい居室4A、4Bほど、ダンパー20の開度が大に設定されている。これにより、温度が高い居室4A、4Bほど、より多くの冷空気(混合空気)が供給されるため、各居室4A及び4Bが効率よく冷房されうる。なお、各ダンパー20(20a、20b)の開度を区分した各閾値については、上記の値に限定されるわけではない。
次に、図29に示されるように、1階居室エリア調節ステップS831では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W5のうち、最も小さい最小値W6sが第1冷房閾値よりも大であるか否かが判断される(ステップS845)。上述したように、本実施形態の第1冷房閾値は、−0.5℃に設定されている。図36は、第1冷房閾値を基準とする各居室4A、4Bの値W5の範囲を示す図である。
最小値W6sが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)よりも大である場合(ステップS845で、「Y」)、各居室4A、4Bの温度が、第1冷房閾値に対して不利側に偏って分布している(図36において、「C3」)。この場合、本実施形態では、第6居室供給量調節ステップS846が実施される。他方、最小値W6sが第1冷房閾値より大でない場合(ステップS845で、「N」)、次のステップS847が実施される。
図32は、第6居室供給量調節ステップS846の処理手順の一例を示すフローチャートである。第6居室供給量調節ステップS846での閾値の範囲は、例えば、「−0.5℃(より大)〜+0.5℃(未満)」、「+0.5℃(以上)〜+1.5℃(以下)」、及び、「+1.5℃より大」である。このように、第6居室供給量調節ステップS846での閾値は、第5居室供給量調節ステップS844(図31に示す)の閾値とは異なり、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)に対して不利側に偏って設定されている。
第6居室供給量調節ステップS846では、前記値W5が大きい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20の開度が大に設定されている(ステップS872〜ステップS874)。これにより、温度が高い居室4A、4Bほど、より多くの冷空気(混合空気)が供給されるため、効率よく冷房されうる。例えば、前記値W5が−0.5℃(より大)〜+0.5℃(未満)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS872)。前記値W5が+0.5℃(以上)〜+1.5℃(以下)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS873)。前記値W5が+1.5℃より大の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第3開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS874)。このように、第6居室供給量調節ステップS846では、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)に対して不利側に偏った閾値に基づいて、最も小さな第1開度から、最も大きい第5開度まで万遍なく設定されるため、各居室4A、4Bが効果的に冷房されうる。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A、4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS875)。1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS875で、「Y」)、第6居室供給量調節ステップS846の一連の処理が終了する。他方、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS875で、「N」)、開度が調節されていない居室4A又は居室4Bのダンパー20が選択され(ステップS876)、ステップS871〜S875が再度実施される。これにより、前記値W5に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A、4Bへの冷空気(混合空気)の供給量が、効果的に調節されうる。
次に、図29に示されるように、1階居室エリア調節ステップS831では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W5のうち、最も大きい最大値W6mが第1冷房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS847)。
最大値W6mが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)以下である場合(ステップS847で、「Y」)、各居室4A、4Bの温度が、第1冷房閾値に対して有利側に偏って分布している(図36において、「C4」)。この場合、本実施形態では、次のステップS857が実施される。他方、最大値W6mが第1冷房閾値以下でない場合(ステップS847で、「N」)、次のステップS849(図30に示す)が実施される。
本実施形態のステップS857では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W5のうち、最も大きい最大値W6mが第2冷房閾値より大か否かが判断される。上述のように、第2冷房閾値は、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)よりも小さい−1.0に設定される。
ステップS857において、最大値W6mが第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)よりも大であると判断された場合(ステップS857で、「Y」)、各居室4A、4Bの温度が、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)に対して、それほど有利側に偏って分布しているわけではない。この場合、第7居室供給量調節ステップS848が実施される。他方、最大値W6mが第2冷房閾値よりも大でないと判断された場合(ステップS857で、「N」)、各居室4A、4Bの温度が、第1冷房閾値に対して、有利側に偏って分布している。この場合、第10居室供給量調節ステップS858が実施される。
図33は、第7居室供給量調節ステップS848の処理手順の一例を示すフローチャートである。第7居室供給量調節ステップS848での閾値の範囲は、例えば、「−1.5℃(以下)」、「−1.5℃(より大)〜−1.0℃(以下)」、及び、「−1.0℃(より大)〜−0.5℃(以下)」である。このように、第7居室供給量調節ステップS848での閾値は、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)に対して有利側に偏って設定されている。
第7居室供給量調節ステップS848では、前記値W5が大きい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20の開度が大に設定されている(ステップS882〜ステップS884)。これにより、温度が高い居室4A、4Bほど、より多くの冷空気(混合空気)が供給されるため、効率よく冷房されうる。例えば、前記値W5が−1.5℃(以下)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS882)。前記値W5が−1.5℃(より大)〜−1.0℃(以下)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS883)。前記値W5が−1.0℃(より大)〜−0.5℃(以下)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第3開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS884)。このように、第7居室供給量調節ステップS848は、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)に対して有利側に偏った閾値に基づいて、最も小さな第1開度から、最も大きい第5開度まで万遍なく設定されるため、各居室4A、4Bが効果的に冷房されうる。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A、4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS885)。1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS885で、「Y」)、第7居室供給量調節ステップS848の一連の処理が終了する。他方、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS845で、「N」)、開度が調節されていないダンパー20が選択され(ステップS886)、ステップS881〜S885が再度実施される。これにより、前記値W5に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A、4Bへの冷空気(混合空気)の供給量が、効果的に調節されうる。
図34は、第10居室供給量調節ステップS858の処理手順の一例を示すフローチャートである。第10居室供給量調節ステップS858での閾値の範囲は、例えば、「−2.0℃(以下)」、「−2.0℃(より大)〜−1.5℃(以下)」、及び、「−1.5℃(より大)〜−1.0℃(以下)」である。このように、第10居室供給量調節ステップS858での閾値は、第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)に対して有利側に偏って設定されている。
第10居室供給量調節ステップS858では、前記値W5が大きい居室4A又は居室4Bほど、ダンパー20の開度が大に設定されている(ステップS902〜ステップS904)。これにより、温度が高い居室4A、4Bほど、より多くの冷空気(混合空気)が供給されるため、効率よく冷房されうる。例えば、前記値W5が−2.0℃(以下)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS902)。前記値W5が−2.0℃(より大)〜−1.5℃(以下)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第1開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS903)。前記値W5が−1.5℃(より大)〜−1.0℃(以下)の居室4A又は居室4Bのダンパー20は、第3開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS904)。このように、第10居室供給量調節ステップS858は、第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)に対して有利側に偏った閾値に基づいて、最も小さな第1開度から、最も大きい第5開度まで万遍なく設定されるため、各居室4A、4Bが効果的に冷房されうる。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A、4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS905)。1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS905で、「Y」)、第10居室供給量調節ステップS858の一連の処理が終了する。他方、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS905で、「N」)、開度が調節されていないダンパー20が選択され(ステップS906)、ステップS901〜S905が再度実施される。これにより、前記値W5に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A、4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A、4Bへの冷空気(混合空気)の供給量が、効果的に調節されうる。
図30に示されるように、1階居室エリア調節ステップS831では、1階居室エリアA1の各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W5のうち、最も小さい最小値W6sが第6冷房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS849)。最小値W6sが大幅に小さいと、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bの前記値W5が広範囲に分布している可能性が高い。従って、このような分布の有無を判断するために、第6冷房閾値については、第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)よりも小に設定されるのが望ましい。本実施形態の第6冷房閾値は、例えば、−3.0℃に設定されている。
最小値W6sが第6冷房閾値(例えば、−3.0℃)以下である場合(ステップS849で、「Y」)、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bの前記値W5が広範囲に分布している可能性が高い。この場合、図31に示した第5居室供給量調節ステップS844が実施される。他方、最小値W6sが第6冷房閾値(例えば、−3.0℃)よりも大きい場合(ステップS849で、「N」)、最小値W6sが比較的大きい。しかも、図29に示したステップS843の判断より、最大値W6mが+3.0℃未満である。従って、1階居室エリアA1の各居室4A及び4Bの前記値W5が広範囲に分布している可能性が低い。この場合、第8居室供給量調節ステップS850が実施される。
図35は、第8居室供給量調節ステップS850の処理手順の一例を示すフローチャートである。第8居室供給量調節ステップS850での閾値の範囲は、「−1.5℃未満」、「−1.5℃(以上)〜−0.5℃(未満)」、「−0.5℃(以上)〜+0.5℃(未満)」、「+0.5℃(以上)〜+1.5℃(以下)」、「+1.5℃よりも大」である。このように、第8居室供給量調節ステップS850は、第5居室供給量調節ステップS844(図31に示す)に比べて、閾値の範囲が小に設定されている。従って、各居室4A、4B(図1に示す)の前記値W5が広範囲に分布していなくても、居室4A、4B毎に、ダンパー20a、20bの開度が、より細やかにバランスよく調節されうる。
第8居室供給量調節ステップS850では、第5居室供給量調節ステップS844と同様に、前記値W5が大きい1階居室エリアA1の各居室4A又は4Bほど、ダンパー20(20a、20b(図1に示す))の開度が大に設定されている(ステップS892〜ステップS896)。例えば、前記値W5が−1.5℃未満である居室4A又は4Bのダンパー20は、最も小さい第1開度が設定される(ステップS892)。前記値W5が−1.5℃(以上)〜−0.5℃(未満)である居室4A又は4Bのダンパー20のダンパー20は、第1開度よりも大きい第2開度に設定される(ステップS893)。前記値W5が−0.5℃(以上)〜+0.5℃(未満)である居室4A又は4Bのダンパー20は、第2開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS894)。
さらに、前記値W5が+0.5℃(以上)〜+1.5℃(以下)である居室4A又は4Bのダンパー20(20a〜20d)は、第3開度よりも大きい第4開度に設定される(ステップS895)。前記値W5が+1.5℃よりも大きい居室4A又は4Bのダンパー20は、第4開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS896)。
そして、1階居室エリアA1の全ての居室(本実施形態では、居室4A及び4B)のダンパー20(20a又は20b)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS897)。全ての居室4A及び4Bのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合(ステップS897で、「Y」)、第8居室供給量調節ステップS850の一連の処理が終了する。他方、全ての居室4A及び4Bのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合(ステップS897で、「N」)、開度が調節されていない居室4A又は4Bのダンパー20が選択され(ステップS898)、ステップS891〜S897が再度実施される。これにより、前記値W5に基づいて、1階居室エリアA1の全ての居室4A及び4Bのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4A及び4Bへの冷空気(混合空気)の供給量が、個別に調節されうる。
本実施形態では、前記値W5が大きい居室4A乃至4Dほど、ダンパー20の開度が大に設定されている。これにより、温度が高い居室4A、4Bほど、より多くの冷空気(混合空気)が供給されるため、各居室4A及び4Bが効率よく冷房されうる。なお、各ダンパー20(20a及び20b)の開度を区分した各閾値については、上記の値に限定されるわけではない。
次に、本実施形態の1階居室エリア調節ステップS831では、図29及び図30に示されるように、1階居室エリアA1のファン10B(1階ファン10Ba)の風量が調節される(ファン風量調節ステップS851〜S856及びS859)。ファン風量調節ステップS851〜S856及びS859では、前記値W5(1階居室エリアA1の居室4A又は4Bの温度から目標温度を差し引いた値)に基づいて、1階ファン10Baの風量が調節される。これらのファン風量調節ステップS851〜S856及びS859は、演算部33(図3に示す)がファン風量調節部41b(図4に示す)を実行することによって行われる。
ステップS841において、前記値W5の最小値W6sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)以上であると判断された場合(ステップS841で、「Y」)、最大値W6mが、第4冷房閾値よりも大幅に大きい可能性がある。このため、1階ファン10Baの風量を大きくして、高温の居室4A又は4Bを含む1階居室エリアA1に冷空気を積極的に供給することが有効である。従って、1階ファン10Baの風量は、第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS851)。
また、ステップS843において、1階居室エリアA1の最大値W6mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)以上であると判断された場合(ステップS843で、「Y」)も同様に、1階ファン10Baの風量が、第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS852)。
ステップS845において、1階居室エリアA1の最小値W6sが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)より大であると判断された場合(ステップS845で、「Y」)、第1冷房閾値に対して不利側に偏って分布している(図36において、「C3」)。このため、1階ファン10Baの風量を大きくして、高温の居室4A又は4Bを含む1階居室エリアA1に冷空気を積極的に供給することが有効である。従って、1階ファン10Baの風量は、最も大きい第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS853)。これにより、各居室4A又は4Bに冷空気が積極的に供給されるため、各居室4A又は4Bが効率よく冷房されうる。
ステップS847において、1階居室エリアA1の最大値W6mが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)以下であると判断された場合(ステップS847で、「Y」)、第1冷房閾値に対して有利側に偏って分布している(図36において、「C4」)。このため、1階ファン10Baの風量は、第1風量よりも小さい風量に設定される(ファン風量調節ステップS854及びS859)。これにより、各居室4A又は4Bに冷空気が必要以上に供給されるのを防ぐことができるため、各居室4A又は4Bが効率よく冷房されうる。
本実施形態では、ステップS857において、1階居室エリアA1の最大値W6mが第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)より大と判断された場合(ステップS857で、「Y」)、第2風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS854)。他方、ステップS857において、最大値W6mが第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)以下であると判断された場合(ステップS857で、「N」)、第4風量(例えば、100m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS859)。このように、本実施形態では、各居室に冷空気が必要以上に供給されるのを防ぐことができるため、各居室が効率よく冷房されうる。
図36に示されるように、最小値W6sが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)よりも大である範囲C3と、最大値W6mが第1冷房閾値以下である範囲C4とでは、1階居室エリアA1に属する全ての居室4A及び4Bの温度が、各範囲C3及びC4の何れかに属している。これにより、例えば、最小値W6sが第1冷房閾値よりも大である(即ち、全ての居室4A、4Bの温度が範囲C3に分布している)と判断(ステップS845)された後に、再び処理された1階居室エリア調節ステップS831において、最大値W6mが第1冷房閾値以下である(即ち、全ての居室4A、4Bの温度が範囲C4に分布している)と判断(ステップS847)されるのを防ぐことができる。従って、本実施形態では、1階ファン10Baの風量として、第1風量(例えば、550m3/h)と、第1風量よりも小さい第2風量(例えば、250m3/h)及び第4風量(例えば、100m3/h)とが、短時間で繰り返し設定されるのを防ぐことができる。
図30に示されるように、ステップS849において、1階居室エリアA1の最小値W6sが第6冷房閾値(例えば、−3.0℃)以下であると判断された場合(ステップS849で、「Y」)、ファン風量調節ステップS851〜S853ほど、1階ファン10Baの風量を大きくする必要はないと判断されうる。このため、1階ファン10Baの風量が、第2風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS855)。
ステップS849において、1階居室エリアA1の最小値W6sが第6冷房閾値(例えば、−3.0℃)よりも大であると判断された場合(ステップS849で、「N」)、ファン風量調節ステップS851〜S853ほど、1階ファン10Baの風量を大きくする必要はないが、ファン風量調節ステップS855よりも1階ファン10Baの風量を大きくするのが有効である。このため、1階ファン10Baの風量が、第3風量(例えば、400m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS856)。
このように、ファン風量調節ステップS851〜S856及びS859では、1階居室エリアA1の最大値W6mが大きいほど、1階ファン10Baの風量が大きく設定される。さらに、1階居室エリアA1の最小値W6sが小さいほど、1階ファン10Baの風量が小さく設定される。従って、1階居室エリアA1の居室4A及び4Bが効率よく冷房されうる。このファン風量調節ステップS851〜S856及びS859の処理終了後、1階居室エリア調節ステップS831の一連の処理が終了する。
次に、図1及び図28に示されるように、積極運転ステップS823では、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dへの冷空気の供給量、及び、2階ファン10Bbの風量が調節される(2階居室エリア調節ステップS832)。図37及び図38は、2階居室エリア調節ステップS832の処理手順を示すフローチャートである。2階居室エリア調節ステップS832は、図29、図30に示した1階居室エリア調節ステップS831と同一の処理手順によって実施される。なお、2階居室エリア調節ステップS832において実施される各判断処理(例えば、ステップS941、S943等)は、例えば、作業用メモリ35に入力された値W5等に基づいて、演算部33によって行われている。
2階居室エリア調節ステップS832では、先ず、2階居室エリアA2に含まれる全ての居室(本実施形態では、2階の居室4C、4D)の前記値W5のうち、最も小さい最小値W7sが、予め定められた第4冷房閾値以上であるか否かが判断される(ステップS941)。第4冷房閾値は、1階居室エリア調節ステップS831と同様に、+1.5℃に設定されている。
最小値W7sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)以上である場合(ステップS941で、「Y」)、2階居室エリアA2の全ての居室(本実施形態では、2階の居室4C、4D)の温度が大幅に上昇しているため、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dへの冷空気(混合空気)の供給量が最大に設定される(ステップS942)。この場合、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dのダンパー20c、20d(図1に示す)は、最も大きい第5開度に設定される。ステップS942では、演算部33が、ダンパー20a、20bを制御することによって行われる。
他方、最小値W7sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)未満である場合(ステップS941で、「N」)、2階居室エリアA2の全ての居室4C、4Dの温度が、大幅に上昇していないため、2階居室エリアA2の各居室4C、4Dへの冷空気(混合空気)の供給量を個別に調節して、冷房するのが有効である。従って、1階居室エリア調節ステップS831と同様に、図31〜図35に示した第5居室供給量調節ステップ〜第8居室供給量調節ステップ又は第10居室供給量調節ステップの何れかが実施される。
次に、2階居室エリア調節ステップS832では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W5のうち、最も大きい最大値W7mが第5冷房閾値以上であるか否かが判断される(ステップS943)。本実施形態の第5冷房閾値は、1階居室エリア調節ステップS831と同様に、+3.0℃に設定されている。
最大値W7mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)以上である場合(ステップS943で、「Y」)、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W5が広範囲に分布している可能性が高い。この場合、第5居室供給量調節ステップS944が実施される。他方、最大値W7mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)未満である場合(ステップS943で、「N」)、本ステップS943のみでは、各居室4C、4Dの前記値W5が広範囲に分布しているか否かが判断できないため、次のステップS945が実施される。
第5居室供給量調節ステップS944は、1階居室エリア調節ステップS831の第5居室供給量調節ステップS844(図31に示す)と同一の処理手順である。従って、前記値W5に基づいて、2階居室エリアA2の各居室4C及び4Dのダンパー20の開度がそれぞれ調節されるため、各居室4C及び4Dへの冷空気(混合空気)の供給量が、個別に調節されうる。従って、各居室4C及び4Dが効率よく冷房されうる。
図37に示されるように、2階居室エリア調節ステップS832では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W5のうち、最も小さい最小値W7sが第1冷房閾値より大であるか否かが判断される(ステップS945)。本実施形態の第1冷房閾値は、1階居室エリア調節ステップS631と同様に、例えば、−0.5℃に設定されている。
最小値W7sが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)より大である場合(ステップS945で、「Y」)、各居室4C、4Dの温度が、第1冷房閾値に対して不利側に偏って分布している(図36において、「C3」)。この場合、第6居室供給量調節ステップS946が実施される。他方、最小値W7sが第1冷房以下である場合(ステップS945で、「N」)、次のステップS947が実施される。
第6居室供給量調節ステップS946は、1階居室エリア調節ステップS831の第6居室供給量調節ステップS846(図32に示す)と同一の処理手順である。このため、第6居室供給量調節ステップS946での閾値は、第5居室供給量調節ステップS944(図31に示す)の閾値とは異なり、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)に対して不利側に偏って設定されているため、各居室4C及び4Dが効果的に冷房されうる。
図37に示されるように、2階居室エリア調節ステップS832では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W5のうち、最も大きい最大値W7mが第1冷房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS947)。上述したように、本実施形態の第1冷房閾値は、−0.5℃に設定されている。
最大値W7mが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)以下である場合(ステップS947で、「Y」)、各居室4C、4Dの温度が、第1冷房閾値に対して有利側に偏って分布している(図36において、「C4」)。この場合、次のステップS957が実施される。他方、最大値W7mが第1冷房閾より大である場合(ステップS947で、「N」)、次のステップS949(図38に示す)が実施される。
本実施形態のステップS957では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W5のうち、最も大きい最大値W7mが第2冷房閾値よりも大か否かが判断される(ステップS957)。本実施形態の第2冷房閾値は、1階居室エリア調節ステップS831と同様に、例えば、−1.0℃に設定されている。
ステップS957において、最大値W7mが第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)よりも大であると判断された場合(ステップS957で、「Y」)、各居室4C、4Dの温度が、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)に対して、それほど有利側に偏って分布しているわけではない。この場合、第7居室供給量調節ステップS948が実施される。他方、最大値W6mが第2冷房閾値よりも大でないと判断された場合(ステップS957で、「N」)、各居室4C、4Dの温度が、第1冷房閾値に対して、有利側に偏って分布している。この場合、第10居室供給量調節ステップS958が実施される。
第7居室供給量調節ステップS948は、1階居室エリア調節ステップS831の第7居室供給量調節ステップS848(図33に示す)と同一の処理手順である。このため、第7居室供給量調節ステップS948での閾値は、第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)に対して有利側に偏って設定されているため、各居室4C及び4Dが効果的に冷房されうる。また、第10居室供給量調節ステップS958は、1階居室エリア調節ステップS831の第10居室供給量調節ステップS858と同一の処理手順である。このため、第10居室供給量調節ステップS958での閾値は、第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)に対して有利側に偏って設定されている。従って、各居室4C及び4Dが効果的に冷房されうる。
図38に示されるように、2階居室エリア調節ステップS832では、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W5の最小値W7sが、第6冷房閾値以下であるか否かが判断される(ステップS949)。本実施形態の第6冷房閾値は、1階居室エリア調節ステップS831と同様に、例えば、−3.0℃に設定されている。
最小値W7sが第6冷房閾値(例えば、−3.0℃)以下である場合(ステップS949で、「Y」)、1階居室エリアA1の各居室4A、4Bの前記値W5が広範囲に分布している可能性が高い。この場合、図31に示した第5居室供給量調節ステップが実施される(S944)。他方、最小値W7sが第6冷房閾値(例えば、−3.0℃)未満である場合(ステップS949で、「N」)、1階居室エリアA1の各居室4A及び4Bの前記値W5が広範囲に分布している可能性が低い。この場合、第8居室供給量調節ステップS950が実施される。
第8居室供給量調節ステップS950は、1階居室エリア調節ステップS831の第8居室供給量調節ステップS850(図35に示す)と同一の処理手順である。第8居室供給量調節ステップS950は、第5居室供給量調節ステップS944(図31に示す)に比べて、閾値の範囲が小に設定されている。このため、2階居室エリアA2の各居室4C、4D(図1に示す)の前記値W5が広範囲に分布していなくても、居室4C、4D毎に、ダンパー20c、20dの開度が、より細やかにバランスよく調節されうる。
本実施形態の2階居室エリア調節ステップS832では、2階居室エリアA2のファン10B(2階ファン10Bb)の風量が調節される(ファン風量調節ステップS951〜S956及びS959)。ファン風量調節ステップS951〜S956及びS959では、2階居室エリアA2の各居室4C及び4Dの前記値W5に基づいて、2階ファン10Bbの風量が調節される。なお、ファン風量調節ステップS951〜S956及びS959は、図29及び図30に示した1階居室エリア調節ステップS831のファン風量調節ステップS851〜S856及びS859と同様の処理手順である。従って、これらのファン風量調節ステップS851〜S856及びS859は、演算部33(図3に示す)がファン風量調節部41b(図4に示す)を実行することによって行われる。
ステップS941において、2階居室エリアA2の前記値W5の最小値W7sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)以上であると判断された場合(ステップS941で、「Y」)、2階ファン10Bbの風量は、最も大きい第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS951)。また、ステップS943において、2階居室エリアA2の最大値W7mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)以上であると判断された場合(ステップS943で、「Y」)も同様に、2階ファン10Bbの風量が、第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS952)。これにより、高温の居室4C又は4Dを含む2階居室エリアA2に、冷空気を積極的に供給することができる。
ステップS945において、2階居室エリアA2の最小値W7sが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)より大であると判断された場合(ステップS945で、「Y」)、第1冷房閾値に対して不利側に偏って分布している(図36において、「C3」)。このため、2階ファン10Bbの風量は、最も大きい第1風量(例えば、550m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS953)。これにより、各居室4C又は4Dに冷空気が積極的に供給されるため、各居室4C又は4Dが効率よく冷房されうる。
ステップS947において、2階居室エリアA2の最大値W7mが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)以下であると判断された場合(ステップS947で、「Y」)、第1冷房閾値に対して有利側に偏って分布している(図36において、「C4」)。このため、2階ファン10Bbの風量は、第1風量よりも小さい風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS954及びS959)。これにより、各居室4C又は4Dに冷空気が必要以上に供給されるのを防ぐことができるため、各居室4C又は4Dが効率よく冷房されうる。
本実施形態では、ステップS957において、2階居室エリアA2の最大値W7mが第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)より大と判断された場合(ステップS957で、「Y」)、第2風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS954)。他方、ステップS957において、最大値W7mが第2冷房閾値(例えば、−1.0℃)以下であると判断された場合(ステップS957で、「N」)、第4風量(例えば、100m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS959)。このように、本実施形態では、各居室に冷空気が必要以上に供給されるのを防ぐことができるため、各居室が効率よく冷房されうる。
図36に示されるように、最小値W7sが第1冷房閾値(例えば、−0.5℃)よりも大である範囲C3と、最大値W7mが第1冷房閾値以下である範囲C4とでは、2階居室エリアA2に属する全ての居室4C及び4Dの温度が、各範囲C3及びC4の何れかに属している。これにより、例えば、最小値W7sが第1冷房閾値よりも大である(即ち、全ての居室4C、4Dの温度が範囲C3に分布している)と判断(ステップS945)された後に、再び処理された2階居室エリア調節ステップS832において、最大値W7mが第1冷房閾値以下である(即ち、全ての居室4C、4Dの温度が範囲C4に分布している)と判断(ステップS947)されるのを防ぐことができる。従って、本実施形態では、2階ファン10Bbの風量として、第1風量(例えば、550m3/h)と、第1風量よりも小さい第2風量(例えば、250m3/h)及び第4風量(例えば、100m3/h)とが、短時間で繰り返し設定されるのを防ぐことができる。
図38に示されるように、ステップS949において、2階居室エリアA2の最小値W7sが第6冷房閾値(例えば、−3.0℃)以下であると判断された場合(ステップS949で、「Y」)、ファン風量調節ステップS951〜S953ほど、2階ファン10Bbの風量を大きくする必要はないと判断されうる。このため、2階ファン10Bbの風量が、第2風量(例えば、250m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS955)。
ステップS949において、2階居室エリアA2の最小値W7sが第6冷房閾値(例えば、−3.0℃)より大であると判断された場合(ステップS949で、「N」)、ファン風量調節ステップS951〜S953ほど、2階ファン10Bbの風量を大きくする必要はないが、ファン風量調節ステップS955よりも2階ファン10Bbの風量を大きくするのが有効である。このため、2階ファン10Bbの風量が、第3風量(例えば、400m3/h)に設定される(ファン風量調節ステップS956)。
このように、ファン風量調節ステップS951〜S956及びS959では、最大値W7mが大きいほど、2階ファン10Bbの風量が大きく設定され、2階居室エリアA2の最小値W7sが小さいほど、2階ファン10Bbの風量が小さく設定される。従って、2階居室エリアA2の居室4C及び4Dが効率よく冷房されうる。このファン風量調節ステップS951〜S956及びS959の処理終了後、2階居室エリア調節ステップS832の一連の処理が終了する。
本実施形態では、1階居室エリア調節ステップS831のファン風量調節ステップS851〜S856及びS859(図29及び図30に示す)、及び、2階居室エリア調節ステップS832のファン風量調節ステップS951〜S956及びS959(図37及び図38に示す)により、1日を通して室温に差が生じやすい居室エリアA1、A2毎に、1階ファン10Ba又は2階ファン10Bbの風量がそれぞれ調節される。これにより、前記値W5が相対的に大きい高温の居室を含む居室エリアA1又はA2に、1階ファン10Ba又は2階ファン10Bbによって冷空気が積極的に供給されうるため、各居室が効率よく冷房されうる。
次に、図28に示されるように、積極運転ステップS823では、次の空気調和機16の設定温度を調節する空調温度調節ステップS834及びS835に先立ち、前記各居室4A乃至4Dの前記値W5のうち、最大値W5mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)以上、又は、最も小さい最小値W5sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)以上であるか否かが判断される(ステップS833)。ステップS833では、空気調和機16の設定温度を大幅に低くする必要があるか否かが判断される。なお、ステップS833では、作業用メモリ35に入力された最大値W5m、第5冷房閾値及び第4冷房閾値に基づいて、演算部33が判断している。
最大値W5mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)以上、又は、最小値W5sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)以上であると判断された場合(ステップS833で、「Y」)、少なくとも一つの居室(本実施形態では、居室4A、4B、4C又は4D)の温度が大幅に上昇している。このため、空気調和機16の設定温度が、目標温度(例えば、28℃)と、第1減算温度との差に設定される(空調温度調節ステップS834)。第1減算温度については、適宜設定されうる。本実施形態の第1減算温度は、例えば、−5℃に設定されている。
他方、最大値W5mが第5冷房閾値(例えば、+3.0℃)未満、及び、最小値W5sが第4冷房閾値(例えば、+1.5℃)未満である場合(ステップS833で、「N」)、全ての居室(本実施形態では、居室4A乃至4D)の温度が上昇しているわけではない。このため、ステップS834ほど、空気調和機16の設定温度を低くする必要はないと判断されうる。従って、空気調和機16の設定温度は、目標温度(例えば、28℃)と、第2減算温度との差に設定される(空調温度調節ステップS835)。第2減算温度については、第1減算温度よりも大であれば、適宜設定されうる。本実施形態の第2減算温度は、例えば、−2℃に設定されている。
このように、空調温度調節ステップS834及びS835は、最大値W5m(及び最小値W5s)が大きいほど、設定温度が低く調節されるため、各居室4A乃至4Dが効果的に冷房されうる。なお、空調温度調節ステップS834及びS835は、演算部33(図3に示す)が空調温度調節部41d(図4に示す)を実行することによって行われる。
次に、本実施形態の積極運転ステップS823では、空気調和機16の設定風量が調節される(ステップS836)。本実施形態のステップS836は、演算部33(図3に示す)が空調風量調節部41e(図4に示す)を実行することによって行われる。
本実施形態の空気調和機16の設定風量Fwは、暖房ステップS235と同様に、上記式(1)で定義される。従って、ファン10Bの合計風量Tfが大きいほど、空気調和機16の設定風量Fwが大きく設定されるため、空気調和機16で冷却された空気が、各居室(本実施形態では、居室4A乃至4D)に効果的に供給されうる。しかも、設定風量Fwは、合計風量Tfから建築物Bに必要な換気風量Vfを差し引いた値が設定されるため、換気に必要な床下空気17も、各居室に供給されうる。本実施形態では、ステップS836の処理終了後、積極運転ステップS823及び冷房ステップS335の一連の処理が終了する。
図39は、本実施形態の効率運転ステップS824の処理手順の一例を示すフローチャートである。上述したように、効率運転ステップS824は、空気調和機16の効率的な運転が行われる。本実施形態の効率運転ステップS824の一連の処理は、演算部33(図3に示す)が効率運転部41g(図4に示す)を実行することによって行われる。
効率運転ステップS824では、先ず、各居室4A乃至4Dの湿度が検知される(ステップS961)。各居室4A乃至4Dの湿度は、居室湿度検知手段29(29a〜29d)によってそれぞれ検知される。各居室4A乃至4Dの湿度は、制御手段26に伝達される。
次に、効率運転ステップS824では、全ての居室4A乃至4Dが、予め定められた湿度(例えば、70RH)以上であるか否かが判断される(ステップS962)。全ての居室4A乃至4Dが、予め定められた湿度(例えば、70RH)以上であると判断された場合(ステップS962で、「Y」)、次の除湿運転ステップS963が実施される。他方、全ての居室4A乃至4Dが、予め定められた湿度(例えば、70RH)未満であると判断された場合(ステップS962で、「N」)、各居室4A乃至4Dを除湿する必要がないため、次の効率冷房運転ステップS964が実施される。
図40は、除湿運転ステップS963の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の除湿運転ステップS963では、先ず、各居室4A乃至4Dのダンパー20a〜20dの開度が維持され(ステップS970)、換気手段10のファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が第3風量(例えば、400m3/h)に設定される(ステップS971)。そして、空気調和機16が除湿運転され(ステップS972)、空気調和機16の設定温度が維持される(ステップS973)。さらに、空気調和機16の設定風量が、上記式(1)で定義される設定風量Fwに基づいて、第3空調風量(例えば、625m3/h)に設定される(ステップS974)。
このような除湿運転ステップS963により、後述する効率冷房運転ステップS964を実施しなくても、空気調和機16の除湿運転により、冷房効率の悪化を防ぎつつ、各居室4A乃至4Dの除湿を行いながら効率よく冷房されうる。
図41は、効率冷房運転ステップS964の処理手順の一例を示すフローチャートである。効率冷房運転ステップS964では、現在の空気調和機16の冷房能力が計算される(ステップS980)。空気調和機16の冷房能力Ecは、下記式(3)で求められる。
Ec=(Ta−Tb)×Af×Hs/1000 …(3)
ここで、各定数及び変数については、次のとおりである。
Ta:空気調和機の吸気部の温度(℃)
Tb:空気調和機の排気部の温度(℃)
Af:空気調和機の風量(m3/h)
Hs:空気比熱(0.35Wh/m3・℃)
図22(b)は、COP(Coefficient of Performance )、顕熱負荷(kW)、潜熱負荷(kW)及び冷房消費電力(kW)、並びに、冷房能力(kW)の関係を示すグラフである。一般に、冷房能力Ecが、2kW以上である場合、冷房効率が悪い状態である。このような場合、冷房能力Ecが2kWに近づくように、例えば、設定温度を高くする、又は、設定風量を小さくして、空気調和機16が運転されるのが望ましい。
次に、図41に示されるように、効率冷房運転ステップS964では、現在の空気調和機16の冷房効率が悪いか否かが判断される(ステップS981)。本実施形態では、現在の冷房能力Ecが2kW以上である場合に、冷房効率が悪いと判断される。このように、冷房効率が悪い場合には、空気調和機16の効率的な運転が行われる。
現在の空気調和機16の冷房効率が悪い(冷房能力Ecが2kW以上)と判断された場合(ステップS981で、「Y」)、空気調和機16の効率的な運転を行わせるに先立ち、次のステップS982が実施される。他方、現在の空気調和機16の冷房効率が悪くない(冷房能力Ecが2kW未満)と判断された場合(ステップS981で、「N」)、既に、空気調和機16の効率的な運転が行われている。このため、現在の空気調和機16の運転状態(設定温度、及び、設定風量)、及びファン10Bの風量が維持されたまま、効率運転ステップS824及び冷房ステップS335(図27に示す)の一連の処理が終了する。
次に、効率冷房運転ステップS964では、空気調和機16の設定温度が、目標温度(例えば、28℃)未満であるか否かが判断される(ステップS982)。空気調和機16の設定温度が、目標温度未満である場合(ステップS982で、「Y」)、設定温度をやや大きくしても、各居室4A、4B、4C又は4Dを目標温度に冷房することができる。このような場合、ダンパー20a〜20dの開度が維持されたまま(ステップS983)、ファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が第3風量(例えば、400m3/h)に設定され(ステップS984)、さらに、空気調和機16の設定温度が高く調節される(ステップS985)。なお、空気調和機16の設定温度の増加分は、適宜設定される。本実施形態の増加分は、例えば、+1℃に設定される。
さらに、空気調和機16の設定風量は、上記式(1)で定義される設定風量Fwに基づいて、第3空調風量(例えば、625m3/h)に設定される(ステップS986)。これにより、効率運転ステップS824では、空気調和機16の設定温度を高くしても、各居室4A乃至4Dが効率よく冷房されるため、冷房効率を高めることができる。
空気調和機16の設定温度が、目標温度以上である場合(ステップS982で、「N」)である場合、設定温度をこれ以上高くすると、各居室4A、4B、4C又は4Dを目標温度に維持できないおそれがある。このため、ダンパー20a〜20dの開度が維持されるとともに(ステップS987)、ファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量が第4風量(例えば100m3/h)に設定され(ステップS988)、さらに、空気調和機16の設定温度が維持される(ステップS989)。
さらに、空気調和機16の設定風量は、上記式(1)で定義される設定風量Fwに基づいて、静音風量(例えば、325m3/h)に設定される(ステップS990)。これにより、効率運転ステップS824では、空気調和機16の冷房効率の悪化を防ぎつつ、各居室4A乃至4Dが効率よく冷房されうる。
次に、効率冷房運転ステップS964では、ステップS983〜ステップS990で設定された空気調和機16の設定温度、設定風量、及び、ファン10Bの風量が維持された状態で、空気調和機16及びファン10Bの運転が残置される(ステップS991)。これにより、空気調和機16の冷房効率の悪化を防ぎつつ、各居室4A乃至4Dが効率よく冷房されうる。
なお、残置される時間については、適宜設定されうる。本実施形態では、効率冷房運転ステップS964で設定された空気調和機16の設定温度、設定風量、及び、ファン10Bの風量により、各居室4A乃至4Dを効率よく冷房させることを考慮して、例えば、5分程度に設定されるのが望ましい。
図39に示されるように、除湿運転ステップS963及び効率冷房運転ステップS964処理終了後、効率運転ステップS824及び冷房ステップS335(図26に示す)の一連の処理が終了する。
次に、図26に示されるように、冷房モードS33では、冷房モードS33が開始されてから予め定められた終了時間が経過したか否かが判断される(ステップS336)。ステップS336では、作業用メモリ35に入力された冷房モードS33の開始時間、及び、終了時間に基づいて、演算部33が判断している。終了時間については、適宜設定されうる。本実施形態では、冷房モードS33で設定された空気調和機16の設定温度、設定風量、及び、ファン10Bの風量により、各居室4A乃至4Dが効果的に冷房されることを考慮して、例えば、例えば、30分程度に設定されるのが望ましい。
終了時間が経過したと判断された場合(ステップS336で、「Y」)、冷房モードS33の一連の処理が終了する。他方、終了時間が経過していないと判断された場合(ステップS336で、「N」)、ステップS330〜ステップS336が再度実施される。これにより、冷房モードS33では、時々刻々と変化する各居室4A、4B、4C又は4Dの温度に基づいて、ダンパー20の開度、空気調和機16の設定温度、設定風量、及び、ファン10Bの風量が調節されるため、各居室4A乃至4Dが効果的に冷房されうる。
次に、パッシブ冷房モードS34(図25に示す)では、床下空気17が各居室4A乃至4Dに供給されることにより、居室4A乃至4Dが換気されながら空調される。図42は、パッシブ冷房モードS34の処理手順の一例を示すフローチャートである。パッシブ冷房モードS34の一連の処理は、演算部33(図3に示す)がパッシブ冷房部41i(図4に示す)を実行することによって行われる。
パッシブ冷房モードS34では、先ず、図1及び図3に示されるように、各居室4A乃至4Dの温度が検知される(ステップS341)。次に、パッシブ冷房モードS34では、外気の温度が検知される(ステップS342)。次に、パッシブ冷房モードS34では、床下空気17の温度が検知される(ステップS343)。各居室4A乃至4Dの温度、外気の温度、並びに、床下空気17の温度は、制御手段26に伝達される。
次に、パッシブ冷房モードS34では、各居室4A乃至4Dの温度が、空気調和機16による冷房運転が必要とされる温度よりも低いか否かが判断される(ステップS344)。なお、「空気調和機16による冷房運転が必要とされる温度」については、例えば、建築物Bの構造や、床下空気17による冷房能力(温度)等に応じて、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、31℃程度に設定されている。
各居室4A乃至4Dの温度が、空気調和機16による冷房運転が必要とされる温度(例えば、31℃)よりも低い場合(ステップS344で、「Y」)、床下空気17を利用して冷房(空調)可能と判断されうる。このような場合、次のステップS345が実施される。他方、各居室4A乃至4Dの温度が、空気調和機16による冷房運転が必要とされる温度(例えば、31℃)以上である場合(ステップS344で、「N」)、床下空気17を利用しても、各居室4A乃至4Dを効果的に冷房できないと判断されうる。このような場合、パッシブ冷房モードS34が中断され、前記冷房モードS33(図25及び図26に示す)が実施される。
次に、パッシブ冷房モードS34では、外気の温度が、予め定められた温度未満であるか否かが判断される(ステップS345)。外気の「予め定められた温度」については、例えば、建築物Bの構造や、床下空気17による冷房能力(温度)等に応じて、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、30℃に設定されている。
外気の温度が、予め定められた温度(例えば、30℃)未満である場合(ステップS345で、「Y」)、外気による居室4A乃至4Dの温度上昇の影響が小さいため、床下空気17を利用して、各居室4A乃至4Dを冷房(空調)できると判断されうる。このような場合、次のステップS346が実施される。他方、外気の温度が、予め定められた温度(例えば、30℃)以上である場合(ステップS345で、「N」)、床下空気17を利用しても、外気の影響により各居室4A乃至4Dを効果的に冷房できないと判断されうる。このような場合、パッシブ冷房モードS34が中断され、前記冷房モードS33(図25及び図26に示す)が実施される。
次に、パッシブ冷房モードS34では、床下空気17の温度が、予め定められた温度未満であるか否かが判断される(ステップS346)。床下空気17の「予め定められた温度」については、例えば、建築物Bの構造等に応じて、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、22℃に設定されている。
床下空気17の温度が、予め定められた温度(例えば、22℃)未満である場合(ステップS346で、「Y」)、比較的温度が低い床下空気17を利用して、各居室4A乃至4Dを冷房(空調)できると判断されうる。このような場合、次の第2供給ステップS347が実施される。他方、床下空気17の温度が、予め定められた温度(例えば、22℃)以上である場合(ステップS346で、「N」)、床下空気17を利用しても、各居室4A乃至4Dを効果的に冷房できないと判断されうる。このような場合、パッシブ冷房モードS34が中断され、前記冷房モードS33(図25及び図26に示す)が実施される。
次に、パッシブ冷房モードS34では、床下空気17が、各居室4A乃至4Dに供給される(第2供給ステップS347)。第2供給ステップS347は、ステップS344〜ステップS346の判断により、各居室4A乃至4Dの温度が、空気調和機16による冷房運転が必要とされる温度よりも低く、外気の温度が予め定められた温度未満であり、しかも、床下空気17の温度が予め定められた温度未満であると判断された場合にのみ実施される。従って、第2供給ステップS347では、各居室4A乃至4Dの温度、外気の温度、及び、床下空気17の温度が比較的低いため、空気調和機16を使用しなくても、床下空気17を利用して、各居室4A乃至4Dが効果的に冷房(空調)されうる。従って、空調コストの増大を防ぐことができる。図43は、第2供給ステップS347の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図1及び図43に示されるように、本実施形態の第2供給ステップS347では、先ず、換気手段10のファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量(床下空気17の総供給量)が設定される(ステップS911)。本実施形態の1階ファン10Ba及び2階ファン10Bbの風量は、例えば、冬季と比べて自然換気量が少ないため、第1風量(例えば、550m3/h)が設定されている。これにより、チャンバーボックス9の第1空間9Aの空気は、排気口14からダクト10A、空気浄化装置10Cを経由して清浄化された後、ダンパー20(20a〜20d)を介して、各居室4A乃至4D等の床上空間4に供給される。
次に、図43に示されるように、第2供給ステップS347では、各居室4A乃至4Dの温度と予め定められた目標温度との差Vbが求められる(ステップS912)。本実施形態の目標温度は、屋内熱中症を未然に防ぐ観点より、例えば、28℃に設定されるのが望ましい。また、目標温度は、居室4A乃至4D毎に設定されてもよい。目標温度は、記憶部34に予め記憶されている。
差Vbは、居室4A乃至4D毎に求められる。本実施形態の差Vbは、冷房モードS33の値W5と同様に、各居室4A乃至4Dの温度から目標温度を差し引いた値として求められる。この値(差Vb)が小さいほど、各居室4A乃至4Dの温度が小さいことを示している。
次に、第2供給ステップS347では、各居室4A乃至4Dの前記差Vbに基づいて、各居室4A乃至4Dのダンパー20(20a〜20d)の開度が調節される(ステップS913〜ステップS919)。本実施形態では、前記差Vbが大きいほど、ダンパー20の開度(床下空気17の供給量)が大に設定されている。これにより、温度が高い居室4A乃至4Dほど、より多くの冷たい床下空気17が供給されるため、各居室4A乃至4Dが効率よく冷房されうる。
例えば、前記差Vbが−1.5℃未満である居室4A、4B、4C又は4Dのダンパーは、最も小さい第1開度に設定される(ステップS914)。前記差Vbが−1.5℃(以上)〜−0.5℃(未満)である居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20は、第1開度よりも大きい第2開度に設定される(ステップS915)。前記差Vbが−0.5℃(以上)〜+0.5℃(未満)である居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20は、第2開度よりも大きい第3開度に設定される(ステップS916)。
さらに、前記差Vbが+0.5℃(以上)〜+1.5℃(以下)である居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20(20a〜20d)は、第3開度よりも大きい第4開度に設定される(ステップS917)。前記差Vbが+1.5℃よりも大きい居室4A、4B、4C又は4Dのダンパー20は、第4開度よりも大きい第5開度に設定される(ステップS918)。
そして、全ての居室4A乃至4Dのダンパー20(20a〜20d)の開度が調節されたか否かが判断される(ステップS919)。全ての居室4A乃至4Dのダンパー20の開度が調節されたと判断された場合、次のステップS348(図42に示す)が実施される。他方、全ての居室4A乃至4Dのダンパー20の開度が調節されていないと判断された場合、開度が調節されていない居室4A乃至4Dのダンパー20が選択され(ステップS920)、ステップS913〜ステップS919が再度実施される。これにより、前記差Vbに基づいて、全ての居室4A乃至4Dのダンパー20の開度が調節されうる。従って、各居室4A乃至4Dへの床下空気17の供給量が、個別に調節されうる。
なお、前記差Vbの閾値(本実施形態では、「+1.5℃」、「+0.5℃」、「−0.5℃」、「−1.5℃」)については、例えば、換気手段10のファン10B(1階ファン10Ba及び2階ファン10Bb)の風量に応じて、適宜変更することができる。
次に、図42に示されるように、パッシブ冷房モードS34では、第2供給ステップS347の開始から予め定められた時間が経過するまで、各居室4A乃至4Dへの床下空気17の供給が残置される(ステップS348)。このような残置により、第2供給ステップS347で設定された各居室4A乃至4Dのダンパー20(20a〜20d)の開度に基づいて、床下空気17が一定時間供給されるため、各居室4A乃至4Dが効果的に冷房されうる。残置される時間については、適宜設定されうる。本実施形態では、例えば、20分〜30分程度に設定されている。
次に、パッシブ冷房モードS34では、各居室4A乃至4Dの温度が、予め定められた温度未満であるか否かが判断される(ステップS349)。各居室4A乃至4Dの「予め定められた温度」については、適宜設定されうる。本実施形態の温度は、第2供給ステップS347で設定された目標温度に基づいて、例えば28℃に設定されている。
各居室4A乃至4Dの温度(28℃)が前記温度(28℃)未満である場合(ステップS349で、「Y」)、床下空気17を利用して、効果的に冷房されていると判断されうる。このような場合、次のステップS350が実施される。他方、各居室4A乃至4Dの温度が前記温度以上(即ち、少なくとも一つの居室4A乃至4Dの温度が前記温度以上)である場合(ステップS349で、「N」)、床下空気17を利用しても、各居室4A乃至4Dを効果的に冷房できないと判断されうる。この場合、パッシブ冷房モードS34が中断され、前記冷房モードS33(図25及び図26に示す)が実施される。このように、本実施形態では、各居室4A乃至4Dに床下空気17が一定時間供給されても、各居室4A乃至4Dが十分に冷房されないと判断された場合に、パッシブ冷房モードS34が中断され、冷房モードS33が迅速に実施される。従って、各居室4A乃至4Dが確実に冷房されうる。
次に、パッシブ冷房モードS34では、ステップS341〜ステップS349を経た現在において、第2期間(夏季パッシブ期間)か否かが判断される(ステップS350)。現在が第2期間であると判断された場合(ステップS350で、「Y」)、ステップS341〜S350が再度実施される。これにより、第2期間(夏季パッシブ期間)では、空気調和機16を使用しなくても、自然エネルギーのみを利用して、各居室4A乃至4Dが効果的に冷房(空調)されうるため、空調コストの増大が防がれうる。他方、現在が第2期間(夏季パッシブ期間)外であると判断された場合(ステップS350で、「N」)、パッシブ冷房モードS34の一連の処理が終了する。
図25に示した換気モードS32、冷房モードS33、及び、パッシブ冷房モードS34を含む夏季空調ステップS3の一連の処理が終了することにより、次のステップS4(図5に示す)が実施される。これにより、夏季空調ステップS3では、現在が属する期間に応じて、各居室4A乃至4Dが、効率よく冷房(空調)されうる。
次に、本実施形態の空調方法では、図5に示されるように、冬季空調ステップS2又は夏季空調ステップS3が実施された後に、空調方法の終了命令の有無が判断される(ステップS4)。終了命令は、例えば、制御手段26を介して、居住者等によって行われる。ステップS4では、終了命令がある場合、本実施形態の一連の処理が終了する。他方、終了命令がない場合は、ステップS1〜ステップS4が再度実施される。
このように、本実施形態の空調方法では、暖房モードS23(図7に示す)及び冷房モードS33(図26に示す)が含まれるため、空気調和機16を利用して、各居室4A乃至4Dが、一年を通して快適に空調されうる。さらに、暖房モードS23及び冷房モードS33では、各居室4A乃至4Dの温度と目標温度との温度差に基づいて、暖空気又は冷空気の供給量が個別に調節されうるため、各居室4A乃至4Dが効率よく冷暖房されうる。また、本実施形態の空調方法では、パッシブ暖房モードS24(図23に示す)と、パッシブ冷房モードS34(図42に示す)とが含まれるため、床下空気を利用して、各居室4A乃至4Dが効率よく冷暖房されうる。
また、上述したように、パッシブ暖房モードS24での床下空気17の総供給量(本実施形態では、第2風量(250m3/h))は、パッシブ冷房モードS34での床下空気17の総供給量(本実施形態では、第1風量(550m3/h))よりも小さい。これは、夏季の自然換気量に比べて大きくなる冬季の自然換気量を考慮したものである。これにより、冬季において、各居室4A乃至4Dが、過乾燥になるのを抑制しうる。
以上、第1発明乃至第4発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、第1発明乃至第4発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。