以下、図面に基づいて、MRI装置の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るMRI装置100の構成例を示す図である。図1に示すように、MRI装置100は、磁石架台10と、寝台20と、システム制御ユニット30と、受信処理ユニット40と、寝台制御ユニット50とを備える。
磁石架台10は、磁気共鳴現象を利用して、被検体Sの画像の元になる磁気共鳴(Magnetic Resonance:MR)信号データを収集する。例えば、磁石架台10は、静磁場磁石11と、傾斜磁場コイル12と、送信コイル13とを有する。また、MRI装置100は、磁石架台10の内側に形成された撮像空間に配置される受信コイル14を有する。
静磁場磁石11は、撮像空間に静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石11は、概略円筒状に形成され、円筒内に形成された撮像空間に静磁場を発生させる。ここで、静磁場磁石11は、真空容器11aと、超伝導コイル11bとを有する。真空容器11aは、概略円筒形状に形成され、超伝導コイル11bを収容する。超伝導コイル11bは、真空容器11aの中で、液体ヘリウムなどの冷媒に浸漬される。
傾斜磁場コイル12は、撮像空間に傾斜磁場を発生させる。例えば、傾斜磁場コイル12は、概略円筒状に形成され、静磁場磁石11の内周側に配置される。そして、傾斜磁場コイル12は、後述する傾斜磁場電源31から供給される電流により、静磁場磁石11によって発生した静磁場に対してX軸,Y軸,Z軸の方向に傾斜磁場を印加する。例えば、傾斜磁場コイル12は、メインコイルとシールドコイルとを有するASGC(Active Shield Gradient Coil)である。ASGCでは、メインコイルが、静磁場に対してX軸,Y軸,Z軸の方向に傾斜磁場を印加し、シールドコイルが、メインコイルからの漏洩磁場をキャンセルする磁場を発生させる。
送信コイル13は、撮像空間に高周波磁場を発生させる。例えば、送信コイル13は、概略円筒状に形成され、傾斜磁場コイル12の内周側に配置される。そして、送信コイル13は、後述する送信部32からRF信号の供給を受けて、内周側の撮像空間に配置された被検体Sに高周波磁場を印加する。
受信コイル14は、高周波磁場の影響によって被検体Sから発生するMR信号を受信する。また、受信コイル14は、受信したMR信号を内部の増幅器によって増幅して、後述する受信処理ユニット40に出力する。例えば、受信コイル14は、被検体Sに装着され、磁石架台10の内側に形成された撮像空間に配置される。例えば、受信コイル14には、撮像の種類や目的などに応じて各種の受信コイルが用いられる。例えば、受信コイル14として、腹部用の受信コイルや頭部用の受信コイル、脊椎用の受信コイルなどが用いられる。
なお、ここでは、送信コイル13と受信コイル14とが別のコイルである場合の例を説明するが、実施形態はこれに限られない。例えば、送信及び受信の両方の機能を備えた送受信兼用のコイルが用いられてもよい。その場合には、送信コイル13が受信の機能をさらに備えていてもよいし、受信コイル14が送信の機能をさらに備えていてもよい。
寝台20は、被検体Sが載置され、当該被検体Sを撮像空間に移動する。例えば、寝台20は、被検体Sが載置される天板21と、天板21を移動させるための移動機構とを有する。なお、天板21は、長手方向が静磁場磁石11の軸と平行になるように配置される。そして、寝台20は、移動機構によって天板21を上下方向、短手方向又は長手方向へ移動させることで、被検体Sを撮像空間に移動する。
なお、寝台20は、磁石架台10に固定された固定式の寝台であってもよいし、磁石架台10に着脱可能な移動式の寝台(ドッカブル寝台ともいう)であってもよい。例えば、移動式の寝台は、車輪などの移動手段を有しており、MRI装置100が置かれた撮影室の外から中へ、又は、撮影室の中から外へ被検体Sを運ぶことができる。
システム制御ユニット30は、操作者からの指示に応じて、MRI装置100全体の動作を制御する。具体的には、システム制御ユニット30は、傾斜磁場電源31と、送信部32と、シーケンス制御部33と、収集部34と、画像再構成部35と、ホストコンピュータ36とを有する。
傾斜磁場電源31は、傾斜磁場コイル12に電流を供給する。例えば、傾斜磁場電源31は、高圧発生回路や傾斜磁場増幅器などを含む。高圧発生回路は、商用交流電源から供給されるAC(Alternate Current)電圧を所定の大きさのDC(Direct Current)電圧に変換して傾斜磁場増幅器に供給する。傾斜磁場増幅器は、高圧発生回路から供給されるDC電圧を増幅して傾斜磁場コイル12に供給する。
送信部32は、ラーモア周波数に対応するRF(Radio Frequency)信号を送信コイル13に送信する。例えば、送信部32は、発振部や位相選択部、周波数変換部、振幅変調部、RF増幅器などを有する。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数のRF信号を発生する。位相選択部は、発振部によって発生したRF信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力されたRF信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変換部から出力されたRF信号の振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RF増幅器は、振幅変調部から出力されたRF信号を増幅して送信コイル13に供給する。
シーケンス制御部33は、ホストコンピュータ36から送信されるシーケンス実行データに従って傾斜磁場電源31、送信部32、及び受信処理ユニット40を駆動することで、被検体SからMR信号データを収集するためのパルスシーケンスを実行する。ここで、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源31が傾斜磁場コイル12に供給する電源の強さや電源を供給するタイミング、送信部32が送信コイル13に送信するRF信号の強さやRF信号を送信するタイミング、受信処理ユニット40がMR信号を検出するタイミングなど、MR信号データを収集するための処理手順を定義した情報である。
収集部34は、シーケンス制御部33によって傾斜磁場電源31、送信部32、及び受信処理ユニット40が駆動された結果、受信処理ユニット40から送信されるMR信号データを収集する。そして、収集部34は、収集したMR信号データに対してアベレージング処理、位相補正処理などの補正処理を行い、補正後のMR信号データを画像再構成部35に送信する。
画像再構成部35は、収集部34から送信されたMR信号データに対して、フィルタ処理や再構成処理等の画像処理を行って画像データを生成する。例えば、画像再構成部35は、k空間変換フィルタ処理や2次元FFT(Fast Fourier Transform)又は3次元FFT、画像フィルタ等の画像処理を行って2次元又は3次元の画像データを再構成する。そして、画像再構成部35は、再構成した画像データをホストコンピュータ36に送信する。
ホストコンピュータ36は、操作部36a、表示部36b、記憶部36c、及び制御部36dを備える。操作部36aは、操作者から各種操作を受け付ける。表示部36bは、画像再構成部35によって生成された各種画像や、操作者から各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)などを表示する。記憶部36cは、画像再構成部35によって生成された画像データや、MRI装置100の動作に必要な各種プログラムや各種データを記憶する。
制御部36dは、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有し、当該CPU及びメモリにより各種プログラムを実行することで、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、制御部36dは、操作部36aを介して操作者から入力された撮像条件に基づいて各種のシーケンス実行データを生成し、生成したシーケンス実行データをシーケンス制御部33に送信する。
受信処理ユニット40は、受信コイル14から出力されるMR信号からMR信号データを生成し、生成したMR信号データを収集部34に送信する。例えば、受信処理ユニット40は、選択器や前段増幅器、位相検波器、アナログデジタル変換器などが搭載された基板を有する。選択器は、受信コイル14から出力されるMR信号を選択的に入力する。前段増幅器は、選択器から出力されるMR信号を増幅する。位相検波器は、前段増幅器から出力されるMR信号の位相を検波する。アナログデジタル変換器は、位相検波器から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することで、MR信号データを生成する。
なお、本実施形態では、受信処理ユニット40は、磁石架台10に設けられる。しかし、受信処理ユニット40が設けられる位置はこれに限られない。例えば、受信処理ユニット40は、システム制御ユニット30に設けられてもよいし、磁石架台10及びシステム制御ユニット30とは独立した別のユニットとして設けられてもよい。また、以下の説明では、受信処理ユニット40が所定の時間間隔でMR信号をデジタル化することをサンプリングと呼び、サンプリングが行われる時間間隔をサンプリング間隔と呼ぶ。また、1秒当たりに繰り返されるサンプリングの回数をサンプリング周期と呼ぶ。
寝台制御ユニット50は、寝台20の動作を制御する。例えば、寝台制御ユニット50は、被検体Sの撮像が行われる際に、操作者から受け付けた指示に応じて寝台20の移動機構を駆動することで、被検体Sが置かれた天板21を撮像空間に移動する。そして、本実施形態では、寝台制御ユニット50は、磁石架台10に設けられる。
一般的に、従来のMRI装置では、寝台制御ユニットは、磁石架台、寝台及びシステム制御ユニットとは別のユニットとして実装される。そのため、従来のMRI装置では、磁石架台、寝台及びシステム制御ユニットを設置するためのスペースの他に、寝台制御ユニットを設置するためのスペースが必要であった。例えば、従来のMRI装置では、寝台制御ユニットは、専用又は他のユニットと兼用の筐体やフィルタパネルに収容され、シールドルームや機械室に設置される。このことから、寝台制御ユニットは、装置全体の設置スペースの削減やフィルタパネルの小型化などの妨げとなる場合があった。
図2は、従来のMRI装置における寝台制御ユニットの設置例を示す図である。例えば、図2に示すように、従来のMRI装置では、磁石架台210、寝台220、フィルタパネル260及び筐体270がシールドルームに設置され、システム制御ユニット230が機械室に設置される。また、寝台制御ユニット250が、筐体270に収容される。そして、寝台制御ユニット250は、制御用のケーブル及び電源用のケーブルを介して、磁石架台210が有する寝台操作部215及び寝台220に接続され、フィルタパネル260を介して、システム制御ユニット230に接続される。このように、従来のMRI装置では、例えば、シールドルーム内に筐体270を置くスペースが必要であった。
これに対し、本実施形態に係るMRI装置100では、寝台制御ユニット50が磁石架台10に設けられるので、寝台制御ユニット50を設置するためのスペースが不要になり、装置全体の設置スペースを削減することができる。
図3は、本実施形態に係るMRI装置100における寝台制御ユニット50の設置例を示す図である。例えば、図3に示すように、本実施形態に係るMRI装置100では、磁石架台10、寝台20及びフィルタパネル60がシールドルームに設置され、システム制御ユニット30が機械室に設置される。なお、システム制御ユニット30は、操作室に設置されてもよい。また、寝台制御ユニット50は、磁石架台10に設けられ、シールドルームに設置される。そして、寝台制御ユニット50は、制御用のケーブル及び電源用のケーブルを介して、磁石架台10が有する寝台操作部15及び寝台20に接続され、フィルタパネル60を介して、システム制御ユニット30に接続される。このように、本実施形態に係るMRI装置100では、寝台制御ユニット50が磁石架台10に設けられるため、シールドルーム内で寝台制御ユニット50を設置するためのスペースが不要になる。
以下では、寝台制御ユニット50が設けられる磁石架台10及び寝台制御ユニット50の構成例について詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係る磁石架台10の一例を示す斜視図である。例えば、図4に示すように、磁石架台10は、静磁場磁石11と、架台カバー16と、寝台操作部15と、寝台制御ユニット50とを有する。なお、以下の説明において、磁石架台10における位置又は方向を示す場合には、静磁場磁石11の中心を基準にして、寝台20が置かれた側を前側と定義し、その反対側を後側と定義する。さらに、静磁場磁石11の中心を基準にして、静磁場磁石11の軸Zより右を右側と定義し、軸Zより左を左側と定義し、軸Zより上を上側と定義し、軸Zより下を下側と定義する。
架台カバー16は、静磁場磁石11を包囲する。また、架台カバー16は、静磁場磁石11の周囲に着脱可能に設けられる。例えば、図4に示すように、架台カバー16は、右側部分が略直方体形状に形成され、左側部分が静磁場磁石11の軸Zと同軸の略円筒形状に形成される。なお、以下の説明において、磁石架台10又は架台カバー16における外表面の位置を示す場合は、前側の外表面を前面、後側の外表面を後面、右側の外表面を右側面、左側の外表面を左側面、上側の外表面を上面とそれぞれ定義する。
寝台操作部15は、寝台20の動作に関する指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に応じた制御信号を寝台制御ユニット50に送信する。例えば、図4に示すように、寝台操作部15は、静磁場磁石11の内側に形成された撮像空間へ通じる開口部10aの両側それぞれに設けられる。そして、例えば、寝台操作部15は、寝台20の天板21を上下、短手方向又は長手方向へ移動させる指示を受け付け、操作者によって指示された方向を示す制御信号を寝台制御ユニット50に送信する。
寝台制御ユニット50は、システム制御ユニット30又は寝台操作部15から送信される制御信号に応じて、寝台20を動作させる。具体的には、寝台制御ユニット50は、発振器によって制御クロックを生成し、生成した制御クロックに基づいて寝台20の移動機構を駆動させることで、操作者によって指示された方向へ天板21を移動させる。
そして、例えば、図4に示すように、寝台制御ユニット50は、磁石架台10の右側部に設けられる。ここで、磁石架台10の右側部とは、磁石架台10における右側の部分であり、静磁場磁石11の右側面と架台カバー16との間の部分、及び、架台カバー16における右側面の部分である。例えば、寝台制御ユニット50は、架台カバー16の略直方体形状に形成された右側部分の内側に配置される。このとき、例えば、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11と架台カバー16との間に配置される。また、例えば、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11の右側面に設けられる。より具体的には、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11が有する真空容器11aの右側面に設けられる。
図5は、本実施形態に係る寝台制御ユニット50の配置例を示す正面図である。例えば、図5に示すように、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11の右側面に取り付けられた板部材17の板面に設けられる。ここで、板部材17は、静磁場磁石11との間に設けられた板支持部材18によって支持される。なお、例えば、板部材17には、寝台制御ユニット50の他に、受信処理ユニット40なども設けられる。
ここで、例えば、寝台制御ユニット50は、伝熱性を有する固定用ねじを介して静磁場磁石11に固定される。より具体的には、例えば、寝台制御ユニット50は、伝熱性を有する固定用ねじを用いて板部材17に固定される。そして、この場合には、板部材17及び板支持部材18も、伝熱性を有する素材で形成される。これにより、寝台制御ユニット50に生じた熱が、固定用ねじ、板部材17及び板支持部材18を介して静磁場磁石11に放熱されることになり、寝台制御ユニット50を効率よく冷却することができる。なお、寝台制御ユニット50をより効率よく冷却するためには、固定用ねじの本数はできるだけ多く用いるのが望ましい。
なお、寝台制御ユニット50は、必ずしも静磁場磁石11の側面に設けられなくてもよい。例えば、寝台制御ユニット50は、架台カバー16の内壁に設けられてもよい。また、例えば、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11と架台カバー16との間で、静磁場磁石11及び架台カバー16それぞれから間を離して設けられてもよい。
図6は、本実施形態に係る寝台制御ユニット50の他の配置例を示す正面図である。例えば、図6に示すように、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11と架台カバー16との間に立設された板部材117の板面に設けられてもよい。このとき、例えば、板部材117は、板面が上下方向に沿うように立てられた状態で、磁石架台10の下部に配置された板支持部材118によって支持される。ここで、例えば、板支持部材118は、一方の端部が静磁場磁石11に固定され、他方の端部が板部材117を下方から支持する。
また、ここでは、寝台制御ユニット50が静磁場磁石11と架台カバー16との間に配置される場合の例について説明したが、寝台制御ユニット50が配置される位置はこれに限られない。例えば、寝台制御ユニット50は、架台カバー16の外側に設けられてもよい。その場合には、例えば、架台カバー16に対して、寝台制御ユニット50を覆うカバーがさらに設けられる。
なお、例えば、磁石架台10には、寝台制御ユニット50や受信処理ユニット40だけでなく、他のユニットが設けられてもよい。例えば、磁石架台10には、静磁場磁石11の超伝導コイル11bが浸漬された冷媒を冷却する冷凍機80や、寝台制御ユニット50及び受信処理ユニット40に電力を供給する電源ユニットなどが設けられる。
図7は、本実施形態に係る寝台制御ユニット50の配置例を示す斜視図である。なお、図7は、磁石架台10から架台カバー16が取り外された状態を示しており、寝台20については図示を省略している。例えば、図7に示すように、寝台制御ユニット50が設けられる板部材17の板面には、寝台制御ユニット50の他に、受信処理ユニット40及び電源ユニット90が設けられる。なお、板部材17の板面には、寝台制御ユニット50、受信処理ユニット40及び電源ユニット90以外のユニットがさらに設けられてもよい。
例えば、電源ユニット90は、磁石架台10の外部から供給されるDC電圧を所定の大きさのDC電圧に変換して、寝台制御ユニット50及び受信処理ユニット40に供給する。なお、電源ユニット90は、磁石架台10の外部から供給されるAC電圧を所定の大きさのDC電圧に変換して、各ユニットに供給するものでもよい。
また、例えば、図7に示すように、磁石架台10の右側部には、冷凍機80が設けられる。ここで、例えば、寝台制御ユニット50は、磁石架台10において、冷凍機80と同じ側に設けられる。図7に示す例では、冷凍機80及び寝台制御ユニット50は、それぞれ磁石架台10の右側部に設けられる。具体的には、冷凍機80は、静磁場磁石11の右側面の上部に設けられ、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11の右側面の下部に設けられる。
なお、ここでは、寝台制御ユニット50が磁石架台10の右側部に設けられる場合の例を説明したが、寝台制御ユニット50が設けられる位置はこれに限られない。例えば、寝台制御ユニット50は、磁石架台10の左側部に設けられてもよい。ここで、磁石架台10の左側部とは、磁石架台10における左側の部分であり、静磁場磁石11の左側面と架台カバー16との間の部分、及び、架台カバー16における左側面の部分である。その場合には、例えば、架台カバー16は、左側部分が略直方体形状に形成され、右側部分が静磁場磁石11と同軸の略円筒形状に形成される。そして、寝台制御ユニット50は、架台カバー16の略直方体形状に形成された左側部分の内側に配置される。例えば、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11の左側面に設けられる。また、例えば、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11の左側面に取り付けられた板部材の板面に設けられる。
なお、架台カバー16の形状は、必ずしも、略直方体形状と略円筒形状とを組み合わせた形状でなくてもよい。例えば、架台カバー16の形状は、内側に寝台制御ユニット50を設置するだけの十分なスペースがあれば、全体が直方体形状に形成されてもよいし、全体が静磁場磁石11の軸Zと同軸の略円筒形状に形成されてもよい。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、磁石架台10の前部又は後部に設けられてもよい。ここで、磁石架台10の前部とは、磁石架台10における前側の部分であり、静磁場磁石11の前面と架台カバー16との間の部分、及び、架台カバー16における前面の部分である。また、磁石架台10の後部とは、磁石架台10における後側の部分であり、静磁場磁石11の後面と架台カバー16との間の部分、及び、架台カバー16における後面の部分である。その場合には、例えば、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11の前面又は後面に設けられる。また、例えば、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11の前面又は後面に取り付けられた板部材の板面に設けられる。例えば、寝台20が着脱可能な移動式の寝台である場合には、磁石架台10の前部に寝台制御ユニット50が設けられた場合でも、寝台20を磁石架台10から取り外して移動させることで、寝台制御ユニット50の状態を容易に確認することができる。
また、ここでは、冷凍機80及び寝台制御ユニット50が、それぞれ磁石架台10の右側部に設けられる場合の例を説明したが、冷凍機80及び寝台制御ユニット50の配置はこれに限られない。冷凍機80及び寝台制御ユニット50は、磁石架台10の左側部に設けられてもよいし、前部又は後部に設けられてもよい。
以上で説明したように、本実施形態では、寝台制御ユニット50は、磁石架台10に設けられる。そのため、寝台制御ユニット50は、高周波磁場や傾斜磁場によって発生するノイズの影響で誤動作することが想定される。また、逆に、寝台制御ユニット50によって発生する電磁的なノイズの影響でRF信号やMR信号にノイズが混入し、生成される画像にアーチファクトが生じることも想定される。このようなことから、以下で説明するように、寝台制御ユニット50には、電磁波による影響を低減させるイミュニティ対策を施すことが望ましい。
例えば、図7に示すように、寝台制御ユニット50は、寝台制御ユニット50に電力を供給する電源ユニット90の近傍に設けられる。より具体的には、例えば、寝台制御ユニット50は、電源ユニット90の出力端の近傍に配置される。なお、図7では、電源ユニット90の下側に出力端がある場合の例を示している。この場合には、寝台制御ユニット50は、電源ユニット90の下に配置される。このように、寝台制御ユニット50が電源ユニット90の近傍に設けられることによって、寝台制御ユニット50と電源ユニット90との間を接続する電源用のケーブルの長さを短くすることができる。これにより、電源用のケーブルから放射されるノイズを抑えることができる。また、寝台制御ユニット50に供給される電力について、ケーブルでの減衰による電力の低下を抑えることができる。
また、例えば、図7に示すように、受信処理ユニット40は、磁石架台10における前側に設けられる。すなわち、受信処理ユニット40は、板部材17の板面において、寝台20に近い側に配置される。一般的に、受信コイル14から受信処理ユニット40へMR信号を伝送する信号線が接続されるコイルポートは、磁石架台10における寝台20に近い側又は寝台20に設けられることが多い。そのため、受信処理ユニット40を磁石架台10における前側に配置することで、受信コイル14から受信処理ユニット40へMR信号を伝送する信号線の長さを短くすることができる。これにより、MR信号へのノイズの混入や、信号線によるMR信号の減衰を抑えることができる。
また、例えば、図7に示すように、電源ユニット90は、板部材17の板面において、磁石架台10の外部から電源ユニット90に電力を供給する電源用のケーブルが取り込まれる位置に近い側に配置される。一般的に、磁石架台10の外部から電源ユニット90に電力を供給する電源用のケーブルは、磁石架台10において、寝台20側が配置される前側を避けて、後側から取り込まれることが多い。そのため、例えば、電源ユニット90は、磁石架台10の後側に配置される。より具体的には、例えば、電源ユニット90は、電源用のケーブルが磁石架台10の後側上部から取り込まれる場合には、磁石架台10における後側上部に近い位置に設置され、電源用のケーブルが磁石架台10の後側下部から取り込まれる場合には、磁石架台10における後側下部に近い位置に設置される。このように、電源ユニット90が、磁石架台10の外部から電源ユニット90に電力を供給する電源用のケーブルが取り込まれる位置に近い側に配置されることによって、電源用のケーブルの長さを短くすることができる。これにより、電源用のケーブルから放射されるノイズを抑えることができる。また、電源ユニット90に供給される電力について、ケーブルでの減衰による電力の低下を抑えることができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、各種の部品が搭載された基板をシールドケースに収容することで構成される。ここでいうシールドケースは、例えば、アルミニウムや銅などの非磁性体の金属によって形成され、寝台制御ユニット50の中へ浸入する電磁波、及び、寝台制御ユニット50の外へ漏洩する電磁波を遮蔽する。
図8は、本実施形態に係る寝台制御ユニット50の構成例を示す図である。例えば、図8に示すように、寝台制御ユニット50は、基板51と、第1のシールドケース52と、第2のシールドケース53とを有する。基板51は、寝台20の動作を制御する機能を実現するための部品が搭載される。例えば、基板51には、制御クロックを生成する発振器や、コイル素子、コンデンサなどを含む電子部品が搭載される。なお、図8に示す例では、基板51に接続される電源用のケーブルや電子部品などは図示を省略している。
第1のシールドケース52は、基板51を収容する。また、第2のシールドケース53は、第1のシールドケース52を収容する。このように、寝台制御ユニット50が有する基板51をシールドケースに収容することで、寝台制御ユニット50の中へ侵入するノイズ、及び、寝台制御ユニット50の外へ漏洩するノイズをより確実に遮蔽することができる。さらに、複数のシールドケースを重ねることで、より確実にノイズを遮蔽することができる。なお、ここでは、シールドケースを2重にした場合の例を説明するが、シールドケースを重ねる数は2つに限られない。例えば、1つのシールドケースのみで基板51を収容してもよいし、3つ以上のシールドケースを重ねて、基板51を収容してもよい。
また、例えば、図8に示すように、第1のシールドケース52には、基板51に接続された複数の信号線54が通る複数の孔52aが形成される。例えば、図8に示すように、基板51に複数のコネクタ55が接続される場合に、各コネクタ55の外側の位置に1つずつ孔52aが形成される。そして、各コネクタ55に接続された複数の信号線54は、それぞれ、各コネクタ55の外側にある孔52aから1本ずつ引き出される。
なお、図8に示す例では、第1のシールドケース52に形成される孔52aの数をコネクタ55の数と同じにしているが、孔52aの数はこれに限られない。例えば、孔52aの数は、コネクタ55の数より少なくてもよい。その場合には、各コネクタ55に接続された複数の信号線54は、孔52aの数に分けて数本ずつ束ねられて、各孔52aから引き出される。
一方、例えば、図8に示すように、第2のシールドケース53には、基板51に接続された複数の信号線54が通る少なくとも1つの孔53aが形成される。ここで、第2のシールドケース53に形成される孔53aの数は、第1のシールドケース52に形成された孔52aの数より少ないこととする。そして、第1のシールドケース52から引き出された複数の信号線54又は複数の信号線54の束は、孔53aの数に分けて数本ずつ束ねられて、各孔53aから引き出される。
このように、第2のシールドケース53に形成される孔53aの数を第1のシールドケース52に形成される孔52aの数より少なくすることで、外側のシールドケースになるほど孔の数を減らすことができる。これにより、第1のシールドケース52及び第2のシールドケース53によるシールド効果を高めることができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50には、複数の信号を多重化して伝送する信号線54のコネクタが接続される。なお、寝台制御ユニット50に複数のコネクタが接続される場合には、少なくとも1つのコネクタに、複数の信号を多重化して伝送する信号線のコネクタが接続される。例えば、図8に示すように、寝台制御ユニット50の基板51に、複数の信号を多重化して伝送する信号線54のコネクタ55が接続される。このとき、例えば、信号線54には、波長が異なる複数の光信号を多重化して伝送する光通信ケーブルが用いられる。
このように、複数の信号を多重化して伝送する信号線54のコネクタ55が用いられることで、信号を多重化しない場合と比べて、基板51に接続されるコネクタの数を減らすことができる。これにより、基板51を収容するシールドケースに形成される孔の数を減らすことができ、シールド効果をさらに高めることができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50に接続される信号線54には、シールドケーブルが用いられる。ここで、シールドケーブルは、アルミニウムや銅などの非磁性体の金属のシールドで導線を覆うことで形成されたケーブルである。なお、寝台制御ユニット50に複数の信号線54が接続される場合には、少なくとも1つの信号線54にシールドケーブルが用いられる。
このように、寝台制御ユニット50に接続される信号線54にシールドケーブルを用いることで、信号線54から放射されるノイズ、及び、信号線54に混入するノイズを減らすことができる。
そして、例えば、図8に示すように、信号線54のシールドは、クランプ部材56によって第1のシールドケース52に固定されることで、接地される。なお、信号線54のシールドは、クランプ部材によって第2のシールドケース53に固定されて接地されてもよい。このような場合に、信号線54におけるクランプ部材56からコネクタ55までの部分は、シールドで覆われない場合もある。
図9は、本実施形態に係る寝台制御ユニット50に接続されるコネクタ55の一例を示す図である。例えば、図9に示すように、寝台制御ユニット50に接続されるコネクタ55には、ライトアングル型のコネクタが用いられる。ここで、例えば、ストレート型のコネクタが用いられた場合には、コネクタから信号線が延出する方向は、基板と略垂直になる。したがって、信号線は、基板から略垂直に延びた後に反対方向に折り曲げられ、基板の近くまで引き戻された状態で、シールドケースに固定されることになる。
これに対し、例えば、図9に示すように、ライトアングル型のコネクタ55が用いられた場合には、コネクタ55から信号線54が延出する方向が基板51と略平行になる。したがって、ライトアングル型のコネクタが用いられた場合には、ストレート型のコネクタが用いられた場合のように信号線54を反対方向に折り曲げる必要がないため、コネクタ55に近い位置で信号線54を第1のシールドケース52に固定することができる。この結果、信号線54におけるシールドで覆われない部分54aの長さを短くすることができ、信号線54から放射されるノイズを抑えることができる。また、信号線54を反対方向に折り曲げる必要がないので、第1のシールドケース52に対して、信号線54をクランプ部材56で固定する作業が容易になる。
また、例えば、寝台制御ユニット50を制御する制御クロックの周波数は、MR信号の受信帯域外に設定される。ここで、MR信号の受信帯域とは、受信処理ユニット40によってMR信号がサンプリングされる際のサンプリング周波数の範囲である。このように、寝台制御ユニット50を制御する制御クロックの周波数をMR信号の受信帯域外とすることによって、制御クロックのクロック信号によるMR信号へのノイズの混入を抑えることができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、他の機器との間で送信される信号及び受信される信号の少なくとも一方を光信号で伝送させる。具体的には、寝台制御ユニット50は、他の機器へ送信する信号を光信号で伝送させる場合には、送信する信号を電気信号から光信号に変換する光送信器を備える。また、寝台制御ユニット50は、他の機器から受信する信号を光信号で伝送させる場合には、受信した信号を光信号から電気信号に変換する光受信器を有する。ここで、光信号が伝送される光ケーブルは、電気ケーブルと比べて電磁的なノイズの影響を受けず、また、電磁的なノイズを発生させない。そのため、光信号で信号を伝送させることで、寝台制御ユニット50の誤動作及びRF信号やMR信号へのノイズの混入を低減させることができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、他の機器との間で送信される信号及び受信される信号の少なくとも一方を差動信号で伝送させる。具体的には、寝台制御ユニット50は、他の機器へ送信する信号を差動信号で伝送させる場合には、送信する信号をシングルエンド信号から差動信号に変換する差動ラインドライバを有する。また、寝台制御ユニット50は、他の機器から受信する信号を差動信号で伝送させる場合には、受信した信号を差動信号からシングルエンド信号に変換する差動ラインレシーバを有する。ここで、差動信号は、2本の信号線を用いて伝送される2つの信号の電位差が信号レベルになる。そのため、差動信号で信号を伝送させることで、グランド(0V)との電位差が信号レベルとなるシングルエンド信号で信号を伝送させる場合と比べて、信号線を流れる電圧を低くすることができる。これにより、信号線から放射されるノイズを減らすことができる。
なお、光信号を伝送するための光ケーブルは、ノイズの低減に効果的であるが、折り曲げに弱いため配線が難しい場合もある。そこで、例えば、寝台制御ユニット50と他の機器との間で伝送される複数の信号のうち、光ケーブルの配線が可能なものは光信号で伝送させ、光ケーブルの配線が不可能なものは差動信号で伝送させるようにしてもよい。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、シールドケースに形成される孔に貫通コンデンサが挿入されてもよい。例えば、寝台制御ユニット50に複数の孔が形成されている場合には、そのうちの少なくとも1つの孔に貫通コンデンサが挿入される。貫通コンデンサは、誘電体の周囲をグランド電極とし、信号端子を貫通させることで構成されたコンデンサであり、フィルタコンデンサとして用いられる。例えば、第1のシールドケース52に形成された孔52a及び第2のシールドケース53に形成された孔53aのそれぞれに貫通コンデンサを挿入することで、各シールドケースを密閉することができる。これにより、シールドケースの中から外へ漏れるノイズを減らすことができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、他の機器との間で送受信される信号のエラー検出及び当該エラー検出に基づく再送制御を行う。例えば、寝台制御ユニット50は、エラー検出として、CRC(Cyclic Redundancy Check)を行う。これにより、他の機器との間で送受信される信号にノイズが混入した場合でも、寝台制御ユニット50又は寝台20の誤動作を減らすことができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、傾斜磁場コイル12及び送信コイル13の少なくとも一方の駆動状態に応じて、寝台20の動作を制御する。例えば、寝台制御ユニット50は、傾斜磁場コイル12を動作状態にする制御用のゲート信号及び送信コイル13を動作状態にする制御用のゲート信号をそれぞれ入力し、少なくともいずれか一方のゲート信号がオンになった場合に、寝台20の動作を停止させる。例えば、寝台制御ユニット50は、ゲート信号がオンになった時点で寝台20が動作中であった場合には、その時点で寝台20の動作を停止し、その後、ゲート信号がオフに変わった時点で、寝台20の動作を再開するように制御する。また、例えば、寝台制御ユニット50は、ゲート信号がオンになった時点で寝台20が動作していない状態であった場合には、その後、ゲート信号がオフになるまでは寝台20が動作しないように制御する。これにより、寝台20が動作することによって生じるノイズがRF信号やMR信号に混入するのを防ぐことができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、フィルタパネル60を介して接地される。例えば、寝台制御ユニット50が有する第1のシールドケース52及び第2のシールドケース53が、図3に示したフィルタパネル60にアース線を介して接続されて、フィルタパネル60を介して接地される。ここで、磁石架台10に設けられる他のユニットも同様にアース線を介してフィルタパネル60に接続されて、フィルタパネル60を介して接地される。このように、磁石架台10に設けられた各ユニットがフィルタパネル60を介して接地されることによって、接地数の増加を防ぐことができ、接地線から混入するノイズを抑えることができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50が固定用ねじを用いて板部材17に固定される場合に、寝台制御ユニット50は、固定用ねじを用いて、板部材17との間に間隔を置いて固定されてもよい。これにより、磁石架台10が振動した際に寝台制御ユニット50と板部材17とが断続的に接触したり離間したりすることで生じるノイズを抑えることができる。
なお、ここでは、寝台制御ユニット50におけるイミュニティ対策に関連する構成について説明したが、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11によって発生する静磁場によって誤動作することも想定される。例えば、基板51に搭載された各素子が静磁場磁石11によって磁気飽和することで、寝台制御ユニット50が誤動作することも想定される。そのため、寝台制御ユニット50には、静磁場に対する対策を施すことも望ましい。例えば、寝台制御ユニット50は、静磁場ができるだけ小さい箇所に配置されるのが望ましい。
図10は、本実施形態に係る寝台制御ユニット50の配置例を示す側面図である。例えば、図10に示すように、寝台制御ユニット50は、静磁場磁石11の軸Z方向における略中心位置に設置される。ここで、一般的に、静磁場磁石11によって発生する静磁場の大きさは、静磁場磁石11を形成する円筒の外周面上で、円筒の軸Z方向における略中心付近が最も小さくなる。そのため、静磁場磁石11の軸Z方向における略中心位置に寝台制御ユニット50を設置することで、寝台制御ユニット50への静磁場の影響を低減させることができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50は、基板51の板面が静磁場磁石11によって発生する静磁場の磁束線Φと略平行になるように設置される。これにより、寝台制御ユニット50を通る磁束線Φの数を減らすことができ、寝台制御ユニット50への静磁場の影響をより低減させることができる。なお、このとき、例えば、寝台制御ユニット50は、基板51の長手方向Lが磁束線Φと略平行になるように設置される。これにより、静磁場磁石の磁束線Φの数をさらに減らすことができ、寝台制御ユニット50への静磁場の影響をさらに低減させることができる。
また、例えば、寝台制御ユニット50に設けられるコイル素子に空芯コイルが用いられてもよい。一般的に、コイル素子は、鉄などの透磁率が高い材質のコア(芯)を有する場合があるが、透磁率が高いコアを有するほど、磁気飽和しやすいため静磁場の影響を受けやすい。したがって、寝台制御ユニット50に設けられるコイル素子として空芯コイルを用いることで、寝台制御ユニット50への静磁場の影響をより確実に低減させることができる。
なお、寝台制御ユニット50に設けられるコイル素子には、透磁率が所定値以下のコアが用いられてもよい。この場合の所定値は、例えば、静磁場磁石11によって発生する静磁場の強さに応じて適切な値が設定される。また、寝台制御ユニット50に複数のコイル素子が設けられる場合には、そのうちの少なくとも1つのコイル素子に空芯コイルが用いられる。例えば、寝台制御ユニット50の中で、静磁場が大きい部分と小さい部分がある場合に、静磁場が大きい部分に配置されたコイル素子に空芯コイルが用いられる。
以上で説明したように、本実施形態では、寝台制御ユニット50に、磁石架台10の側部に設けられることによって生じる誤動作やノイズ混入の対策が施される。しかし、実際に寝台20又は寝台制御ユニット50の動作に不具合が生じた場合には、寝台制御ユニット50の点検が行われることもあり得る。その場合には、磁石架台10から架台カバー16が取り外されて、寝台制御ユニット50の点検作業が行われることになる。
また、例えば、超伝導コイル11bを冷却するための冷媒には液体ヘリウムが用いられるが、液体ヘリウムは、所定の温度を超えるたびに気化して、少しずつ装置外に排出される。そのため、静磁場磁石11の真空容器11aに液体ヘリウムを注入する作業が、定期的に行われることになる。この場合にも、磁石架台10から架台カバー16が取り外されて、冷凍機80の付近から液体ヘリウムを注入する作業が行われる。
これらのことから、例えば、架台カバー16のうち、寝台制御ユニット50を覆う部分や冷凍機80を覆う部分だけを取り外すことができれば、架台カバー16全体を取り外す場合と比べて、取り外しにかかる労力が少なくて済むため便利である。そこで、例えば、架台カバー16は、寝台制御ユニット50及び冷凍機80を覆う位置に着脱可能に設けられた部分カバーを有する。
図11は、本実施形態に係る架台カバー16が有する部分カバーの一例を示す図である。例えば、図11に示すように、架台カバー16は、部分カバー16aと、部分カバー16bとを有する。ここで、部分カバー16aは、架台カバー16における寝台制御ユニット50を覆う位置に着脱可能に設けられる。また、部分カバー16bは、架台カバー16における冷凍機80を覆う位置に着脱可能に設けられる。
例えば、図11に示すように、部分カバー16aと部分カバー16bとは、架台カバー16における右側面の部分を上下に分割するように形成される。具体的には、架台カバー16において、右側面の下側に部分カバー16aが配置され、右側面の上側に部分カバー16bが配置される。ここで、例えば、部分カバー16aは、少なくとも、寝台制御ユニット50が取り付けられた板部材17の上端から下端までを覆う大きさに形成される。また、例えば、部分カバー16bは、少なくとも、冷凍機80の上端から下端までを覆う大きさに形成される。このとき、例えば、図11に示すように、部分カバー16aは、部分カバー16bよりも上下方向の幅が大きくなるように形成される。
ここで、前述したように、本実施形態では、磁石架台10において、寝台制御ユニット50と冷凍機80とが、それぞれ磁石架台10における同じ側の側部に設けられる。そのため、本実施形態では、磁石架台10における寝台制御ユニット50及び冷凍機80が設けられた側の部分カバー16a及び16bの両方又は一方を取り外すだけで、液体ヘリウムの注入や寝台制御ユニット50の点検を行うことができる。また、この結果として、磁石架台10をシールドルームに設置する際に、寝台制御ユニット50及び冷凍機80が設けられていない側を壁際に近付けて設置することができるので、シールドルーム内における磁石架台10の設置スペースを削減することができる。
なお、例えば、部分カバー16aと部分カバー16bとは、一体であってもよい。すなわち、部分カバー16aと部分カバー16bとを一体にした部分カバーは、冷凍機80及び寝台制御ユニット50の両方を覆う位置に着脱可能に設けられる。本実施形態では、寝台制御ユニット50と冷凍機80とが、それぞれ磁石架台10における同じ側の側部に設けられるので、部分カバー16aと部分カバー16bとを一体にした部分カバーを取り外すだけで、液体ヘリウムの注入と寝台制御ユニット50の点検とを同時に行うことができる。
また、ここでは、架台カバー16において、寝台制御ユニット50を覆う位置及び冷凍機80を覆う位置の両方に部分カバーが設けられる場合の例を説明したが、部分カバーの配置はこれに限られない。例えば、寝台制御ユニット50を覆う位置のみに部分カバーが設けられてもよいし、冷凍機80を覆う位置のみに部分カバーが設けられてもよい。また、例えば、板部材17に設置される電源ユニット90、受信処理ユニット40及び寝台制御ユニット50それぞれの位置に、別々に部分カバーが設けられてもよい。
また、ここでは、架台カバー16が部分カバー16a及び16bを有する場合の例を説明したが、例えば、架台カバー16は、部分カバー16a及び16bを含む複数の部分カバーに分解可能に構成されてもよい。
図12は、本実施形態に係る架台カバー16の構成例を示す図である。例えば、図12に示すように、架台カバー16は、部分カバー16a〜16iに分割される。前述したように、部分カバー16aは、磁石架台10の右側面下側に配置され、部分カバー16bは、磁石架台10の右側面上側に配置される。また、部分カバー16cは、磁石架台10の左側面に配置され、部分カバー16dは、磁石架台10の上面に配置される。また、部分カバー16eは、磁石架台10の前面の中央周辺に配置され、部分カバー16fは、磁石架台10の後面に配置される。また、部分カバー16gは、磁石架台10の前面上部に配置され、部分カバー16hは、磁石架台10の前面左側下部に配置され、部分カバー16iは、磁石架台10の前面右側下部に配置される。なお、例えば、各部分カバーは、ねじなどによって、隣接する部分カバーと互いに連結されて固定される。
このように、架台カバー16を複数の部分カバーに分解可能に構成することによって、例えば、磁石架台10が設置又は撤去される際などに、作業員が、架台カバー16を分解して容易に運搬することができるようになる。また、例えば、磁石架台10の局所的な点検が行われる場合に、作業員が、点検したい箇所を覆う部分カバーを取り外すだけで、容易に点検の作業を行うことができるようになる。
なお、架台カバー16における部分カバーの区分けは、図12に例示したものに限られない。例えば、図12では、架台カバー16が9つの部分カバーに分割される場合の例を示したが、架台カバー16は、9つより多い数に分割されてもよいし、9つより少ない数に分割されてもよい。また、各部分カバーの形状や大きさは、静磁場磁石11の側面に配置された各機器の位置や大きさに応じて適宜に決められる。
上述したように、本実施形態に係るMRI装置100では、寝台制御ユニット50が磁石架台10に設けられる。したがって、寝台制御ユニット50を設置するためのスペースが不要になり、装置全体の設置スペースを削減することができる。また、磁石架台10と寝台制御ユニット50とが一体化されるので、MRI装置100が設置又は撤去される際の運搬作業を容易にすることができる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態に係るMRI装置によれば、装置全体の設置スペースを削減することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。