(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るMRI装置の構成例を示す図である。例えば、図1に示すように、MRI装置100は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、送信コイル4、送信回路5、受信コイル6、受信回路7、架台8、寝台9、入力回路10、ディスプレイ11、記憶回路12、処理回路13〜16を備える。
静磁場磁石1は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、内周側に形成される撮像空間に一様な静磁場を発生させる。例えば、静磁場磁石1は、永久磁石や超伝導磁石等によって実現される。
傾斜磁場コイル2は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、静磁場磁石1の内周側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するx軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を発生させる3つのコイルを備える。ここで、x軸、y軸及びz軸は、MRI装置100に固有の装置座標系を構成する。例えば、x軸の方向は、水平方向に設定され、y軸の方向は、鉛直方向に設定される。また、z軸の方向は、静磁場磁石1によって発生する静磁場の磁束の方向と同じに設定される。
傾斜磁場電源3は、傾斜磁場コイル2が備える3つのコイルそれぞれに個別に電流を供給することで、x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を撮像空間に発生させる。x軸、y軸及びz軸それぞれに沿った傾斜磁場を適宜に発生させることによって、互いに直交するリードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った傾斜磁場を発生させることができる。ここで、リードアウト方向、位相エンコード方向、及びスライス方向それぞれに沿った軸は、撮像の対象となるスライス領域又はボリューム領域を規定するための論理座標系を構成する。なお、以下では、リードアウト方向に沿った傾斜磁場をリードアウト傾斜磁場と呼び、位相エンコード方向に沿った傾斜磁場を位相エンコード傾斜磁場と呼び、スライス方向に沿った傾斜磁場をスライス傾斜磁場と呼ぶ。
ここで、各傾斜磁場は、静磁場磁石1によって発生する静磁場に重畳され、磁気共鳴(Magnetic Resonance:MR)信号に空間的な位置情報を付与するために用いられる。具
体的には、リードアウト傾斜磁場は、リードアウト方向の位置に応じてMR信号の周波数を変化させることで、MR信号にリードアウト方向に沿った位置情報を付与する。また、位相エンコード傾斜磁場は、位相エンコード方向に沿ってMR信号の位相を変化させることで、MR信号に位相エンコード方向の位置情報を付与する。また、スライス傾斜磁場は、撮像領域がスライス領域の場合には、スライス領域の方向、厚さ、枚数を決めるために用いられ、撮像領域がボリューム領域である場合には、スライス方向の位置に応じてMR信号の位相を変化させることで、MR信号にスライス方向に沿った位置情報を付与する。
送信コイル4は、撮像空間にRFパルスを印加するRFコイルである。具体的には、送
信コイル4は、中空の略円筒形状(円筒の中心軸に直交する断面が楕円状となるものを含む)に形成され、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。そして、送信コイル4は、送信回路5から出力されるRF(Radio Frequency)パルスを撮像空間に印加する。
送信回路5は、ラーモア周波数に対応するRFパルスを送信コイル4に出力する。例えば、送信回路5は、発振回路、位相選択回路、周波数変換回路、振幅変調回路、及び、RF増幅回路を備える。発振回路は、静磁場中に置かれた対象原子核に固有の共鳴周波数のRFパルスを発生する。位相選択回路は、発振回路から出力されるRFパルスの位相を選択する。周波数変換回路は、位相選択回路から出力されるRFパルスの周波数を変換する。振幅変調回路は、周波数変換回路から出力されるRFパルスの振幅を例えばsinc関数に従って変調する。RF増幅回路は、振幅変調回路から出力されるRFパルスを増幅して送信コイル4に出力する。
受信コイル6は、被検体Sから発せられるMR信号を受信するRFコイルである。例えば、受信コイル6は、撮像空間に置かれた被検体Sに装着され、送信コイル4によって印加されるRF磁場の影響で被検体Sから発せられるMR信号を受信する。そして、受信コイル6は、受信したMR信号を受信回路7へ出力する。例えば、受信コイル6には、撮像対象の部位ごとに専用のコイルが用いられる。ここでいう専用のコイルは、例えば、頭部用の受信コイル、頚部用の受信コイル、肩用の受信コイル、胸部用の受信コイル、腹部用の受信コイル、下肢用の受信コイル、脊椎用の受信コイル等である。
受信回路7は、受信コイル6から出力されるMR信号に基づいてMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路14に出力する。例えば、受信回路7は、選択回路、前段増幅回路、位相検波回路、及び、アナログデジタル変換回路を備える。選択回路は、受信コイル6から出力されるMR信号を選択的に入力する。前段増幅回路は、選択回路から出力されるMR信号を増幅する。位相検波回路は、前段増幅回路から出力されるMR信号の位相を検波する。アナログデジタル変換回路は、位相検波回路から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換することでMR信号データを生成し、生成したMR信号データを処理回路14に出力する。
なお、ここでは、送信コイル4がRFパルスを印加し、受信コイル6がMR信号を受信する場合の例を説明するが、送信コイル及び受信コイルの形態はこれに限られない。例えば、送信コイル4が、MR信号を受信する受信機能をさらに有してもよい。また、受信コイル6が、RF磁場を印加する送信機能をさらに有していてもよい。送信コイル4が受信機能を有している場合は、受信回路7は、送信コイル4によって受信されたMR信号からもMR信号データを生成する。また、受信コイル6が送信機能を有している場合は、送信回路5は、受信コイル6にもRFパルスを出力する。
架台8は、撮像空間を形成するボアBを有する。具体的には、架台8は、円筒形状に形成されたボアBを有し、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、及び送信コイル4それぞれをボアBの周囲に配置した状態で支持する。
寝台9は、被検体Sが載置される天板9aを備え、被検体Sの撮像が行われる際に、静磁場磁石1及び傾斜磁場コイル2の内側に形成される撮像空間へ天板9aを挿入する。例えば、寝台9は、長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように設置される。
入力回路10は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力回路10は、処理回路16に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路16へ出力する。例えば、入力回路10は、トラックボールやスイッチボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等によって実現される。
ディスプレイ11は、各種情報及び各種画像を表示する。具体的には、ディスプレイ11は、処理回路16に接続されており、処理回路16から送られる各種情報及び各種画像のデータを表示用の電気信号に変換して出力する。例えば、ディスプレイ11は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、タッチパネル等によって実現される。
記憶回路12は、各種データを記憶する。具体的には、記憶回路12は、MR信号データや画像データを被検体Sごとに記憶する。例えば、記憶回路12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子やハードディスク、光ディスク等によって実現される。
処理回路13は、寝台制御機能13aを有する。例えば、処理回路13は、プロセッサによって実現される。寝台制御機能13aは、寝台9に接続され、制御用の電気信号を寝台9へ出力することで、寝台9の動作を制御する。例えば、寝台制御機能13aは、入力回路10を介して、天板9aを長手方向、上下方向又は左右方向へ移動させる指示を操作者から受け付け、受け付けた指示に従って天板9aを移動するように、寝台9が有する天板9aの駆動機構を動作させる。
処理回路14は、実行機能14aを有する。例えば、処理回路14は、プロセッサによって実現される。実行機能14aは、操作者によって設定された撮像条件に基づいて、各種パルスシーケンスを実行する。具体的には、処理回路16から出力されるシーケンス実行データに基づいて傾斜磁場電源3、送信回路5及び受信回路7を駆動することで、各種パルスシーケンスを実行する。
ここで、シーケンス実行データは、MR信号データを収集するための手順を示すパルスシーケンスを定義した情報である。具体的には、シーケンス実行データは、傾斜磁場電源3が傾斜磁場コイル2に電流を供給するタイミング及び供給される電流の強さ、送信回路5が送信コイル4に供給するRFパルス電流の強さや供給タイミング、受信回路7がMR信号を検出する検出タイミング等を定義した情報である。
また、実行機能14aは、各種パルスシーケンスを実行した結果として、受信回路7からMR信号データを受信し、受信したMR信号データを記憶回路12に格納する。なお、実行機能14aによって受信されたMR信号データの集合は、前述したリードアウト傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場、及びスライス傾斜磁場によって付与された位置情報に応じて2次元又は3次元に配列されることで、k空間を構成するデータとして記憶回路12に格納される。
処理回路15は、画像生成機能15aを有する。例えば、処理回路15は、プロセッサによって実現される。画像生成機能15aは、記憶回路12に格納されたMR信号データに基づいて画像を生成する。具体的には、画像生成機能15aは、実行機能14aによって記憶回路12に格納されたMR信号データを読み出し、読み出したMR信号データに後処理すなわちフーリエ変換等の再構成処理を施すことで画像を生成する。また、画像生成機能15aは、生成した画像の画像データを記憶回路12に格納する。
処理回路16は、制御機能16aを有する。例えば、処理回路16は、プロセッサによって実現される。制御機能16aは、MRI装置100が有する各構成要素を制御することで、MRI装置100の全体制御を行う。例えば、制御機能16aは、入力回路10を介して操作者からパルスシーケンスに関する各種のパラメータの入力を受け付け、受け付けたパラメータに基づいてシーケンス実行データを生成する。そして、制御機能16aは、生成したシーケンス実行データを処理回路14に送信することで、各種のパルスシーケ
ンスを実行する。また、例えば、制御機能16aは、操作者から要求された画像の画像データを記憶回路12から読み出し、読み出した画像をディスプレイ11に出力する。
ここで、例えば、上述した処理回路13〜16が有する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路12に記憶される。各処理回路は、各プログラムを記憶回路12から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路13〜16は、図1に示した各処理機能を有することとなる。
また、図1に示す例では、寝台制御機能13a、実行機能14a、画像生成機能15a及び制御機能16aの各処理機能が、それぞれ単一の処理回路によって実現されることとしたが、実施形態はこれに限られない。これらの処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
また、上述した実施形態において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特
定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路
にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
以上、本実施形態に係るMRI装置100の構成について説明した。このような構成に加え、本実施形態に係るMRI装置100は、自装置の構成機器を搭載するキャビネットを備える。そして、本実施形態では、キャビネットは、連結機構を介して開閉自在に接続された少なくとも2つの筐体を有し、各筐体が電波シールドを構成する。
図2及び3は、第1の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。例えば、図2及び3に示すように、キャビネット20は、2つの筐体21a及び21bと、連結機構22とを有する。なお、図2は、筐体21a及び21bを開いた状態を示しており、図3は、筐体21a及び21bを閉じた状態を示している。
筐体21a及び21bは、MRI装置100の構成機器を内部に収容する。例えば、図2及び3に示すように、筐体21a及び21bは、中空の平板状の箱形に形成され、内側の空間に所定の構成機器が収納される。ここでいう構成機器は、例えば、図1に示した傾斜磁場電源3、受信回路7、送信回路5、処理回路13〜16等を含む。例えば、傾斜磁場電源3、受信回路7、送信回路5、処理回路13〜16等に含まれる機器が、筐体21a及び21bそれぞれに適宜に分散されて搭載される。
連結機構22は、筐体21a及び21bを開閉自在に接続する。例えば、連結機構22は、ヒンジ機構であり、ヒンジ軸を中心に筐体21a及び21bが旋回自在となるように、筐体21aの側面端部と筐体21bの側面端部とを接続する。
ここで、例えば、図2に示すように、筐体21aと筐体21bとが略同一平面上に並ぶように各筐体を旋回させることで、筐体21a及び21bが開いた状態となる。また、例
えば、図3に示すように、筐体21aと筐体21bとが重なり合うように各筐体を旋回させることで、筐体21a及び21bが閉じた状態となる。
このように、筐体21a及び21bを開閉可能に構成することで、キャビネット20を折り畳んだり、展開したりすることができるようになる。これにより、MRI装置100の据付けが行われる際に、作業者がキャビネット20を折り畳んで運ぶことで、キャビネット20の運搬を容易に行うことができるようになる。例えば、撮影室や機械室の入口が狭いような場合でも、キャビネット20を折り畳んで運ぶことで、入口を容易に通過させることができる。また、作業者がキャビネット20の設置場所で筐体21a及び21bを展開することで、キャビネット20の据付けを容易に行うことができるようになる。
また、例えば、図2及び3に示すように、キャビネット20は、筐体21aと筐体21bとの間に架設され、各筐体に搭載された構成機器の間を電気的に接続する導線23を有する。導線23は、各構成機器の間で送受信される電気信号を伝送する。例えば、導線23は、筐体21aの側面と筐体21bの側面との間を架け渡すように設けられる。
さらに、キャビネット20は、筐体21aと筐体21bとの間に架設され、各筐体に搭載された構成機器を冷却する冷媒を流通させる冷却管を有してもよい。冷却管は、各筐体内で構成機器の近傍を通るように配設され、MRI装置100とともに設置された冷却装置から供給される冷媒を各筐体内で循環させる。例えば、冷却管は、図2に示す導線23と同様に、筐体21aの側面と筐体21bの側面との間を架け渡すように設けられる。
このように、筐体間に予め導線や冷却管を設けることで、キャビネット20を設置した後に導線や冷却管を取り付ける作業が不要になり、据付け工期を短縮することが可能になる。
なお、図2及び3では、キャビネットが2つの筐体を有する場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、キャビネットは、3つ以上の筐体を有していてもよい。
図4は、第1の実施形態に係るキャビネットの他の例を示す図である。例えば、図4に示すように、キャビネット30は、3つの筐体31a〜31cと、連結機構32a及び32bとを有する。連結機構32aは、筐体31a及び31bを開閉自在に接続する。また、連結機構32bは、筐体31b及び31cを開閉自在に接続する。
ここで、各連結機構は、隣り合う筐体ごとに各筐体が交互に逆方向に開閉するように、各筐体の間を接続する。例えば、図4に示すように、連結機構32bは、筐体31aと筐体31bとが開閉する側(図4における奥側)とは反対側(図4における手前側)に開閉するように、筐体31b及び31cを接続する。
このように、3つの筐体31a〜31cを交互に逆方向に開閉するように接続することで、キャビネット30を3層に折り曲げたり、展開したりすることができるようになる。
なお、キャビネットが有する筐体の数は、2つ又は3つに限られず、4つ以上であってもよい。その場合も、図4に示した例と同様に、複数の筐体を、隣り合う筐体ごとに交互に逆方向に開閉するように接続することで、キャビネットを複数層に折り曲げたり、展開したりすることが可能になる。
さらに、本実施形態では、キャビネットが有する各筐体が、電波シールドを構成する。電波シールドは、ノイズとなる電磁波からMRI装置100を遮蔽する。また、電波シー
ルドは、MRI装置100から発生する電磁波が周囲に漏れるのを防ぐ。例えば、キャビネットが有する各筐体は、電磁波を許容量以下に低減させることが可能な程度に導電性の高い部材で形成される。ここでいう導電性の高い部材としては、例えば、亜鉛鉄板や鋼板、アルミ板等が用いられる。
このように、キャビネットが有する各筐体が電波シールドを構成することで、キャビネットをシールドルームの壁の一部として用いることもできるようになる。一般的に、シールドルームは、MRI装置100の架台8や寝台9が設置される撮影室として用いられる。
図5は、第1の実施形態に係るキャビネットを用いたシールドルームの一例を示す図である。例えば、図5に示すように、MRI装置100が設置される空間を複数枚のパネル41及び2つのキャビネット20及び30で囲むことで、撮影室となるシールドルーム40が構成される。すなわち、パネル41及びキャビネット20及び30は、シールドルーム40の壁を構成する部材として用いられる。パネル41は、各キャビネットと同様に、それぞれ電波シールドとなり得る部材で形成される。また、図5では図示を省略しているが、シールドルーム40は、天井及び床にも、電波シールドとなり得る部材が設けられる。
例えば、図5に示すように、シールドルーム40の壁の一部として、図2及び3に示した2つの筐体を有するキャビネット20と、図4に示した3つの筐体を有するキャビネット30が、それぞれ展開された状態で用いられる。
ここで、シールドルーム40で用いられるキャビネットの種類は、図5に例示したものに限られない。例えば、キャビネット20及び30の代わりに、5つの筐体を連結したキャビネットが用いられてもよい。その場合には、例えば、キャビネットは、1か所で折り曲げられ、L字形状にした状態で設置される。
なお、図5では、シールドルーム40の壁の一部にキャビネットを用いる場合の例を示したが、シールドルーム40の壁の全部にキャビネットが用いられてもよい。また、従来は機械室に配置していた構成機器の全てをキャビネットに搭載し、そのキャビネットをシールドルームの一部として用いるようにすれば、機械室を設けずに、MRI装置100を設置することもできるようになる。
また、本実施形態では、キャビネットは、少なくとも2つの筐体を開いた際に、各筐体の間に電波シールドが形成されるように構成される。この場合に、例えば、キャビネットは、少なくとも2つの筐体を開いた際に、各筐体の間に、前述した導線や冷却管を収容する空間が形成されるように構成される。
図6は、第1の実施形態に係るキャビネットにおける筐体間の接続部分の一例を示す図である。なお、図6は、キャビネット20において、筐体21aと筐体21bとを開いた状態で、筐体間の接続部分を上方から見た様子を示している。
例えば、図6に示すように、筐体21aと筐体21bと接続部分には、筐体間にガスケット24が設けられる。ガスケット24は、導電性の部材で構成され、筐体21aと筐体21bとを開いた際に、各筐体の側面に押し当てられることで、筐体間を電気的に接続する。例えば、ガスケットは、スポンジ状の部材を金属材料のメッシュで包んだものや、板バネ等を用いて構成される。
このように、筐体21aと筐体21bとの接続部分にガスケット24を設けることで、
筐体21aと筐体21bとを開いた際に、ガスケット24を介して筐体間が電気的に導通し、各筐体の間に電波シールドが形成されるようになる。
なお、図6に示す例において、ヒンジ機構等の連結機構22を導電性の部材で構成することで、ガスケット24だけでなく、さらに連結機構22が筐体間を電気的に導通させるようにしてもよい。これにより、ガスケット24と連結機構22とで2重に電波シールドが形成されることになり、シールド効果をさらに高めることが可能になる。
また、例えば、図6に示すように、筐体21aには、連結機構22が設けられた側の面とは反対側の面の端部に沿って、溝状の切り欠き21cが形成される。一方、筐体21bにも同様に、連結機構22が設けられた側の面とは反対側の面の端部に沿って、溝状の切り欠き21dが形成される。そして、前述した導線23や冷却管が、切り欠き21cと切り欠き21dとの間を架け渡すように設けられる。これにより、筐体21aと筐体21bとを開いた際に、各筐体に形成された切り欠きが対向して配置されることで、導線23や冷却管を収容する空間が形成されるようになる。
このように、筐体間の接続部分に導線や冷却管を収容する空間を設けることで、各筐体を開いた際に、導線や冷却管がキャビネットの外側にはみ出してしまうのを防ぐことができる。
なお、第1の実施形態に係るキャビネットにおける筐体間の接続部分の構成は、図6に例示したものに限られない。以下では、筐体間の接続部分に関する他の例を説明する。
図7〜10は、第1の実施形態に係るキャビネットにおける筐体間の接続部分の他の例を示す図である。
例えば、筐体間の接続部分に、導線23や冷却管を収容する空間を覆うカバーが設けられてもよい。
例えば、図7に示すように、筐体21aにおいて、連結機構22が設けられた側の面とは反対側の面に沿って、板状のカバー25aが設けられる。また、筐体21bにも同様に、板状のカバー25bが設けられる。ここで、例えば、カバー25a及び25bは、筐体21a及び21bを開いた際に、それぞれの先端が当接し(図7の上側を参照)、筐体21a及び21bを閉じた際に、それぞれの先端が離れ、導線23や冷却管が収容された空間が解放されるように配置される。
このように、筐体間の接続部分に導線23や冷却管を収容する空間を覆うカバー25a及び25bを設けることで、導線23や冷却管を保護することができる。また、カバー25a及び25bによって導線23や冷却管が隠されるので、筐体間の接続部分の外観を良くすることができる。
また、例えば、筐体21aと筐体21bとの接続部分は、各筐体を開いた際に、それぞれの一部が筐体の厚さ方向に重なるように構成されてもよい。
例えば、図8に示すように、筐体21aと筐体21bとの接続部分において、筐体21aの側面に凸部21eが設けられ、筐体21bの側面に凹部21fが設けられる。ここで、筐体21aに設けられる凸部21eは、先端部分が丸みを帯びるように形成されてもよい。これにより、筐体21aと筐体21bとを開いた際に、筐体21a側の凸部21eと筐体21b側の凹部21fとが嵌合し、筐体21aの一部と筐体21bの一部とが筐体の厚さ方向に交互に重なって配置されるようになる。なお、図8に示す例とは逆に、筐体2
1a側に凹部が設けられ、筐体21b側に凸部が設けられてもよい。
または、例えば、図9に示すように、筐体21aの側面に、断面がL字状となるような突起部21gが設けられ、筐体21bの側面に、断面がL字状となるような切り欠き21hが設けられてもよい。例えば、筐体21aにおいて、連結機構22が設けられた側の面とは反対側の面の端部に沿って、板状の突起部21gが設けられる。また、筐体21bにおいて、連結機構22が設けられた側の面の端部に沿って、溝状の切り欠き21hが設けられる。これにより、筐体21aと筐体21bとを開いた際に、筐体21a側の突起部21gと筐体21b側の切り欠き21hとが嵌合し、筐体21aの一部と筐体21bの一部とが筐体の厚さ方向に交互に重なって配置されるようになる。ここで、図9に示す例とは逆に、筐体21a側に切り欠きが設けられ、筐体21b側に突起部が設けられてもよい。
なお、図8及び9に示した例でも、図6及び7に示した例と同様に、筐体間にはガスケット24が設けられ、筐体21aと筐体21bとを開いた際に、ガスケット24を介して筐体間が電気的に導通し、各筐体の間に電波シールドが形成される。
このように、筐体21a及び21bを開いた際に、各筐体の一部が筐体の厚さ方向に重なるように構成することで、筐体間を通過する電磁波をより確実に遮ることができるようになり、電波シールドのシールド性を高めることが可能になる。
また、例えば、各筐体の接続部分に、導波管が設けられてもよい。
例えば、図10に示すように、キャビネット50が有する筐体51aと筐体51bとの接続部分において、筐体51aの側面に複数の溝部51cが形成され、筐体51bの側面に複数の溝部51dが形成される。例えば、溝部51c及び51dは、それぞれ筐体の厚さ方向に沿って形成され、筐体の上下方向に連続して設けられる。例えば、溝部51c及び51dは、それぞれ断面が半円状になるように形成される。なお、溝部51c及び51dの形状はこれに限られるものではなく、例えば、断面が矩形状になるように形成されてもよい。
ここで、筐体51aに設けられる溝部51cと、筐体51bに設けられる溝部51dとは、各筐体において、上下方向の同じ位置に形成される。これにより、筐体51aと筐体51bとを開いた際に、各筐体に形成された溝部が対向して配置されることになり、その結果、筐体51aと筐体51bとの接続部分において、筐体の上下方向に沿って複数の中空の筒状構造が連続して形成される。
こうして形成された複数の筒状構造が、それぞれ導波管55となる。一般的に、導波管は、その長さ及び径を調整することで、所定の周波数以上の電磁波を伝搬させるようにするものである。本実施形態では、この特性を利用して、MRI装置100に影響を及ぼす周波数の電磁波を伝搬させないように、各導波管55の長さ及び径が決められる。
さらに、図10の右側に示す拡大図のように、筐体間で突起部が当接する部分には、それぞれガスケット54が設けられる。これにより、筐体51aと筐体51bとを開いた際に、ガスケット54を介して筐体間が電気的に導通し、各筐体の間に電波シールドが形成されることになる。
上述したように、第1の実施形態によれば、MRI装置100の構成機器を搭載するキャビネットが、連結機構を介して開閉自在に接続された少なくとも2つの筐体を有し、各筐体が電波シールドを構成する。
上記構成によれば、キャビネットを折り畳んで運ぶことが可能になり、撮影室や機械室の入口が狭いような場合でもキャビネットを容易に設置できるようになる。また、キャビネットと電波シールドとが一体化されることで、それぞれを別に設置する場合と比べて、据付け工期を短縮することができるとともに、装置の設置スペースを削減することができる。また、キャビネットと電波シールドとを別体とする場合と比べて、コストの低減化を図ることができる。また、従来は機械室に配置していた構成機器の全てをキャビネットに搭載し、そのキャビネットをシールドルームの一部として用いることで、機械室を不要にすることも可能になり、装置の設置スペースをさらに削減することができる。
このようなことから、本実施形態によれば、MRI装置100の可搬性及び据え付け性を向上させることが可能になる。すなわち、本実施形態によれば、可搬性及び据付け性に優れたキャビネットを有するMRI装置100を提供することができる。
なお、上述した第1の実施形態で説明したMRI装置100は、キャビネットの構成を変えることで、各種の形態で実施することが可能である。そこで、以下では、他の実施形態に係るMRI装置について説明する。
以下で説明するMRI装置は、図1に例示したMRI装置100と同様の構成を有するが、第1の実施形態と比べて、キャビネットの構成が異なる。そのため、以下では、各実施形態に係るキャビネットについて、第1の実施形態で説明した構成と異なる点を中心に説明する。また、以下では、1つの筐体を例示して説明するが、各実施形態に係るキャビネットは、第1の実施形態と同様に、連結機構を介して開閉自在に接続された少なくとも2つの筐体を有している。
(第2の実施形態)
図11は、第2の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。第2の実施形態では、キャビネットが有する筐体が、磁気シールドを構成する。磁気シールドは、ノイズとなる磁力線からMRI装置100を遮蔽する。また、磁気シールドは、MRI装置100から発生する磁場が周囲に漏れるのを防ぐ。
例えば、図11に示すように、キャビネット60が有する筐体61に、磁気シールドとなる板状のシールド部材61aが取り付けられる。例えば、シールド部材61aは、磁力線を許容量以下に低減させることが可能な程度に透磁性の高い部材で形成される。ここでいう透磁性の高い部材としては、例えば、電磁軟鉄、珪素鋼、パーマロイ、アモルファス等が用いられる。
ここで、本実施形態では、筐体61は、磁気シールドとなるシールド部材61aを保持する保持構造を有する。
例えば、筐体61は、シールド部材61aを保持する保持構造として、シールド部材61aが挿入される複数のスリット61bを有する。例えば、スリット61bは、筐体61の一方の側面から他方の側面へ向けて筐体内を伸びるように形成される。また、スリット61bは、筐体61の上下方向に連続して複数配置される。ここで、各スリット61bは、筐体61において、撮影室の内側に向けられる面に近い側(図11における奥側)に設けられる。なお、隣り合うスリット61bの間には、間隙が存在してもよい。
そして、各スリット61bには、1枚又は複数枚のシールド部材61aが挿入される。例えば、各スリット61bには、同じ厚さのシールド部材61aが複数枚挿入される。ここで、各スリット61bに挿入されるシールド部材61aの枚数は、MRI装置100の設置条件に応じて適宜に調整される。例えば、撮影室が狭く、MRI装置100の架台8
とキャビネット60との間の距離が近くなるような場合には、キャビネット60に強い磁場が届くことになるため、シールド部材61aの枚数を多くすることで、磁気シールドの強度を高くする。逆に、撮影室が広く、MRI装置100の架台8とキャビネット60との間の距離が遠くなるような場合には、シールド部材61aの枚数を減らすことで、磁気シールドの強度を低くする。
または、各スリット61bには、厚さが異なる複数のシールド部材61aのうちのいずれか1枚が挿入される。この場合に、各スリット61bに挿入されるシールド部材61aの厚さは、MRI装置100の設置条件に応じて適宜に選択される。例えば、撮影室が狭く、MRI装置100の架台8とキャビネット60との間の距離が近くなるような場合には、キャビネット60に強い磁場が届くことになるため、厚いシールド部材61aを用いることで、磁気シールドの強度を高くする。逆に、撮影室が広く、MRI装置100の架台8とキャビネット60との間の距離が遠くなるような場合には、薄いシールド部材61aを用いることで、磁気シールドの強度を低くする。
なお、シールド部材61aは、必ずしも全てのスリット61bに挿入されなくてもよい。例えば、シールド部材61aを挿入するスリット61bの数は、MRI装置100の設置条件に応じて適宜に決められる。シールド部材61aを挿入するスリット61bの数を増やすことで、キャビネット60全体としてのシールド性を高めることができ、シールド部材61aを挿入するスリット61bの数を減らすことで、キャビネット全体としてのシールド性を弱めることができる。
なお、シールド部材61aを保持する保持構造は、図11に例示したようなスリット61bに限られない。
図12は、第2の実施形態に係るキャビネットの他の例を示す図である。例えば、図12に示すように、キャビネット70が有する筐体71は、シールド部材61aを保持する保持構造として、シールド部材61aが挿入される複数のレール71bを有する。
例えば、レール71bは、筐体71における撮影室の内側に向けられる面(図12における手前側の面)に、筐体71の一方の側面の端部から他方の側面の端部に向かう方向に沿って設けられる。また、レール71bは、筐体71の上下方向に連続して複数配置される。なお、隣り合うレール71bの間には、間隙が存在してもよい。
ここで、例えば、レール71bは、シールド部材61aの幅に合わせて平行に配置された2つの棒状の部材で構成される。また、例えば、レール71bを構成する2つの部材は、断面が鉤状になるように形成され、鉤の先端部分が対向するように配置される。そして、レール71bを構成する2つの部材の間に、1枚又は複数枚のシールド部材61aが挿入される。
なお、磁気シールドとなるシールド部材61aの形状は、図11及び12に例示したような板状のものに限られない。
図13は、第2の実施形態に係るキャビネットの他の例を示す図である。例えば、図13に示すように、シールド部材61aは、複数の棒状又は板状の部材を折り曲げ可能に帯状に連結した連結構造を有するように形成されてもよい。例えば、シールド部材61aは、キャタピラー(登録商標)の構造における履帯状に形成される。例えば、設置場所の空間的な制限等によって、筐体61に形成されたスリット61bの挿入口の付近に、板状のシールド部材を配置するだけの十分なスペースがない場合もあり得る。そのような場合に、折り曲げ可能なシールド部材61aを用いることで、シールド部材61aをスリット6
1bに容易に挿入することができる。
なお、例えば、図12に示したレール71bを有するキャビネット70において、キャタピラ状に形成されたシールド部材61aが用いられてもよい。
また、上述したシールド部材61aは、必ずしも、キャビネットの搬入を行う際に筐体に取り付けておかなくてもよい。例えば、キャビネットを折り畳んだ状態で設置場所まで運び、設置場所でキャビネットを展開した後に、シールド部材61aを筐体に取り付けてもよい。これにより、搬入時のキャビネットの重量を減らすことができ、運搬を行う作業者の負担を減らすことが可能になる。
上述したように、第2の実施形態によれば、キャビネットと磁気シールドとが一体化されるため、それぞれを別に設置する場合と比べて、据付け工期を短縮することができるとともに、装置の設置スペースを削減することができる。また、キャビネットと磁気シールドとを別体とする場合と比べて、コストの低減化を図ることができる。
(第3の実施形態)
図14は、第3の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。第3の実施形態では、キャビネットが有する筐体が、筐体を通して撮影室内が見渡せるような窓と、コンソールとを有する。ここでいうコンソールは、例えば、図1に示した入力回路10、ディスプレイ11、記憶回路12、及び処理回路16を含む。
例えば、図14に示すように、キャビネット80が有する筐体81において、撮影室の内側に向けられる側を奥側とし、撮影室の外側に向けられる側を手前側とする。その場合に、例えば、筐体81において、奥側の面と手前側の面との間を貫通する開口部81aが設けられる。そして、開口部81aの奥側に窓81bが設けられ、開口部81aの手前側にコンソール天板81cが設けられる。
ここで、例えば、窓81bは、透明なガラス板やプラスチック板等によって形成される。また、例えば、コンソール天板81cは、筐体81に形成された開口部81aの穴と同じ大きさの板状の部材で形成され、当該開口部81aを開閉可能に設けられる。例えば、コンソール天板81cは、その下側の端部が、開口部81aの下側の端部に回動可能に取り付けられる。ここで、コンソール天板81cは、閉じられた状態で、筐体81の開口部81aの手前側を塞ぎ、開かれた状態で、筐体81の手前側の面に対して略直角な角度で固定されるように設けられる。
さらに、筐体81には、記憶回路12及び処理回路16が搭載される。例えば、記憶回路12及び処理回路16は、筐体81における開口部81aの上側のスペースに搭載される。そして、筐体81には、コンソール天板81cを開いた状態で、コンソール天板81c上に、マウスやキーボード等の入力回路10が設置され、開口部81a内に、液晶モニタやCRTモニタ等のディスプレイ11が設置される。これにより、筐体81内にコンソールが構成される。
なお、コンソール天板81cの構成は、図14に例示したものに限られない。例えば、コンソール天板81cは、筐体81の手前側の面に対して略直角な状態で、筐体81の内外へスライド可能に設けられてもよい。
上述したように、第3の実施形態によれば、一般的に撮影室に設けられる窓とコンソールとがキャビネットと一体化されるため、装置の設置スペースをさらに削減することができる。
(第4の実施形態)
図15は、第4の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。第4の実施形態では、キャビネットが有する筐体が、筐体内に基板を搭載する。ここでいう基板は、例えば、図1に示した処理回路13〜16のうちの少なくとも1つを含む。
例えば、図15に示すように、キャビネット90が有する筐体91において、構成機器の複数のモジュール91aとともに、複数の基板91bが搭載される。ここで、例えば、各モジュール91aは、筐体91内の下側のスペースに配置され、各基板91bは、筐体91内の上側のスペースに配置される。
上述したように、第4の実施形態によれば、キャビネットの筐体内に処理回路を含む基板が搭載されるため、処理回路を独立した筐体に搭載して設置する場合と比べて、装置の設置スペースを削減することができる。
(第5の実施形態)
図16及び17は、第5の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。第5の実施形態では、キャビネットが有する筐体が、内部に収容する構成機器の大きさ及び形状に応じて形成された凸部又は凹部を有する。
例えば、図16に示すように、キャビネット110が有する筐体111において、上側に搭載される構成機器と比べて下側に搭載される構成機器が大きい場合には、筐体111の下側に、筐体111の外側に突出した中空の凸部111aが設けられる。この場合に、筐体111において、凸部111aは、撮影室の内側に向けられる側に設けられてもよいし、撮影室の外側に向けられる側に設けられてもよい。
なお、例えば、図16に示す例とは逆に、筐体111において、下側に搭載される構成機器と比べて上側に搭載される構成機器が大きい場合には、筐体111の上側の一部に凸部111aが設けられる。この場合も、筐体111において、凸部111aは、撮影室の内側に向けられる側に設けられてもよいし、撮影室の外側に向けられる側に設けられてもよい。
また、例えば、図17に示すように、キャビネット110が有する筐体111において、上側に搭載される構成機器が下側に搭載される構成機器と比べて小さい場合には、筐体111の上側に、筐体111の内側に凹んだ凹部111bが設けられる。この場合に、筐体111において、凹部111bは、撮影室の内側に向けられる側に設けられてもよいし、撮影室の外側に向けられる側に設けられてもよい。
なお、例えば、図17に示す例とは逆に、筐体111において、下側に搭載される構成機器が上側に搭載される構成機器と比べて小さい場合には、筐体111の下側の一部に凹部111bが設けられる。この場合も、筐体111において、凹部111bは、撮影室の内側に向けられる側に設けられてもよいし、撮影室の外側に向けられる側に設けられてもよい。
また、図16及び図17では、筐体に凸部又は凹部が1箇所だけ設けられる場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、筐体における2箇所以上に凸部が設けられてもよいし、2箇所以上に凹部が設けられてもよい。また、1つの筐体に、凸部及び凹部の両方が設けられてもよい。
上述したように、第5の実施形態によれば、キャビネットが有する筐体に、内部に収容
される構成機器の大きさ及び形状に応じて形成された中空の凸部又は凹部を設けることで、キャビネットの設置スペースをより効率よく利用できるようになる。
(第6の実施形態)
図18及び19は、第6の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。第6の実施形態では、キャビネットが有する筐体が、筐体本体から分離可能に構成され、内部に所定の機器を収容する中空の箱体を有する。
例えば、図18の左側に示すように、キャビネット120が有する筐体121は、筐体本体121aと、箱体121bとを有する。箱体121bは、中空に形成され、内部に所定の機器を収容する。ここで、例えば、箱体121bの大きさ及び形状は、内部に収容される構成機器の大きさ及び形状に合わせて形成される。なお、ここでいう所定の機器は、例えば、筐体121内に収容された構成機器を冷却する冷却装置等である。
筐体本体121aは、電波シールドとなり得る部材で形成される。そして、筐体本体121aには、箱体121bの大きさに合わせた穴121cが形成され、キャビネット120が設置される際に、穴121cに箱体121bがはめ込まれる。なお、例えば、箱体121bは、筐体本体121aの厚さより厚く形成される。この場合に、例えば、図19に示すように、箱体121bは、撮影室の内側に向けてせり出すように配置される。また、図19に示す例とは逆に、箱体121bは、撮影室の外側に向けてせり出すように配置されてもよい。
ここで、例えば、箱体121bは、筐体本体121aと同様に、電波シールドとなり得る部材で形成される。また、箱体121bには、撮影室の内側に向けられる面に近い側に、磁気シールドとなるシールド部材が設けられてもよい。これにより、箱体121bが、シールドルーム40の一部として機能するようになる。
上述したように、第6の実施形態によれば、キャビネットが有する筐体に、内部に所定の機器を収容する箱体を設けることで、キャビネットの設置スペースをより効率よく利用できるようになる。また、箱体の大きさを適宜に変えることで、各種の機器をキャビネットに搭載できるようになる。
なお、例えば、図5に例示したようにシールドルームにパネルが用いられる場合に、パネルが、上述した箱体121bと同様の箱体を有してもよい。例えば、図18の右側に示すように、パネル131が、パネル本体131aと、上述した箱体121bと同様の箱体131bとを有する。パネル131には、箱体131bの大きさに合わせた穴131cが形成され、パネル131が設置される際に、穴131cに箱体131bがはめ込まれる。この場合に、箱体131bは、撮影室の内側に向けてせり出すように配置されてもよいし、撮影室の外側に向けてせり出すように配置されてもよい。
(第7の実施形態)
図20は、第7の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。第7の実施形態では、キャビネットが有する筐体が、筐体の上部及び下部の少なくとも一方に、上下方向へ移動可能な電波シールドのパネルを有する。
例えば、図20に示すように、キャビネット140が有する筐体141の上部に、上下方向へスライド又は開閉可能なパネル141aが設けられ、筐体141の下部に、上下方向へスライド又は開閉可能なパネル141bが設けられる。ここで、パネル141a及び141bは、いずれも電波シールドとなり得る部材で形成される。
MRI装置100の設置場所の条件によっては、撮影室や機械室の入口の高さが、電波シールドの設置が要求される高さより低い場合もあり得る。そのような場合に、パネル141aを下側へスライド又は閉じ、かつ、パネル141bを上側へスライド又は閉じることで、撮影室や機械室の設置場所にキャビネットを容易に搬入することができる。そして、キャビネットを設置場所に配置した後に、パネル141aを上側へスライド又は開き、かつ、パネル141bを下側へスライド又は開くことで、筐体141の上下に電波シールドを設けることができる。
なお、図20では、筐体141の上部及び下部それぞれに電波シールドのパネルを設ける場合の例を示したが、実施形態はこれに限られない。例えば、筐体の上部だけにパネルが設けられてもよいし、下部だけにパネルが設けられてもよい。
上述したように、第7の実施形態によれば、筐体の上部及び下部の少なくとも一方に、上下方向へ移動可能な電波シールドのパネルを設けることで、キャビネットの可搬性を高めるとともに、電波シールドのシールド性を高めることが可能になる。
(第8の実施形態)
図21は、第8の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。第8の実施形態では、キャビネットが有する筐体が、筐体の下部に設けられたキャスターを有する。
例えば、図21に示すように、キャビネット150が有する筐体151の下部に、キャスター151a〜151dが設けられる。ここで、例えば、キャスター151a〜151dは、それぞれが筐体151内に収納可能となるように、上下方向へ移動可能に設けられる。図21に示す例では、キャスター151aが筐体151内に収納された状態を示している。
このように、キャスター151a〜151dを筐体151内に収納可能にすることで、キャビネットを設置場所に運んだ後に、筐体151を床面まで下降させることができるようになる。これにより、キャスター151a〜151dによって筐体151と床との間に生じる隙間を塞ぐことができ、より遮蔽性に優れた電波シールドを構成することができるようになる。
なお、キャスター151a〜151dを筐体151内に収納可能とする代わりに、例えば、図20に示したパネル141bのように、筐体151の下部に、上下方向へスライド又は開閉可能な電波シールドのパネルを設けてもよい。これにより、キャスター151a〜151dによって筐体151と床との間に生じる隙間を電波シールドのパネルで塞ぐことができるようになる。
上述したように、第8の実施形態によれば、キャビネットが有する筐体にキャスターを設けることで、キャビネットの可搬性をさらに向上させることができる。
(第9の実施形態)
図22は、第9の実施形態に係るキャビネットの一例を示す図である。第9の実施形態では、キャビネットが有する筐体が、内部の構成機器を取り出し可能に支持する支持機構を有する。
例えば、図22に示すように、キャビネット160が有する筐体161は、筐体の上下方向に連続して配置された複数の支持機構161aを有する。例えば、各支持機構161aは、上部に開口を有する中空の箱型に形成され、水平方向へ移動可能に設けられる。この場合には、キャビネット160が設置された状態で、作業者が支持機構161aを筐体
161から水平方向に引き出すことで、支持機構161aの上部の開口から、内部に搭載された構成機器161bにアクセスすることができるようになる。
なお、構成機器を支持する支持機構の構成は、図22に示したものに限られない。
図23は、第9の実施形態に係るキャビネットの他の例を示す図である。例えば、図23に示すように、キャビネット170が有する筐体171は、筐体の上下方向に連続して配置された複数の支持機構171aを有する。例えば、各支持機構171aは、上部に開口を有する中空の箱型に形成され、筐体171の外側に向けて傾斜可能に設けられる。この場合には、キャビネット170が設置された状態で、作業者が支持機構171aを筐体171の外側に向けて傾けることで、支持機構171aの上部の開口から、内部に搭載された構成機器171bにアクセスすることができるようになる。
上述したように、第9の実施形態によれば、キャビネットの筐体に内部の構成機器を取り出し可能に支持する支持機構を設けることで、キャビネットを設置した後でも、作業者がキャビネットに搭載された機器に容易にアクセスすることができるようになる。
以上、第1〜第9の実施形態について説明した。ここで、例えば、上述した各実施形態において、キャビネットに搭載される構成機器への電源供給は、筐体の上面から行われるのが望ましい。例えば、キャビネット内の構成機器に接続される電源供給用のケーブルが、撮影室や機械室の天井から筐体の上面へ架け渡すように設けられる。これにより、電源供給用のケーブルが床に置かれる場合と比べて、撮影室内や機械室内の足元のスペースを空けることができ、撮影室内や機械室内のスペースをより有効に活用することができるようになる。
また、上述した各実施形態において、キャビネットの筐体は、熱伝導性を有する部材で形成されるのが望ましい。この場合に、筐体と冷却機器との間にヒートパイプ等の伝熱部材を設けることで、筐体と冷却機器との間を熱的に接続してもよい。これにより、キャビネットに搭載された構成機器が熱を発する場合に、発生した熱を筐体に放熱することが可能になり、構成機器を冷却することができるようになる。
また、上述した複数の実施形態は、それぞれを別々に実施する場合に限られない。例えば、MRI装置100が有するキャビネットについて、各実施形態で説明した構成のうちの排他的でない構成を同時に実装することで、各実施形態を適宜に組み合わせて実施することも可能である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、可搬性及び据付け性に優れたキャビネットを有する磁気共鳴イメージング装置を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。