JP6531214B1 - ガスエンジンの運転方法 - Google Patents
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Abstract
Description
一般的に、LNG(Liquefied Natural Gas:液化天然ガス)は超低温の状態で貯蔵設備に備蓄されているが、自然入熱等により、貯蔵設備におけるLNGの液面温度が−160℃に到達すると、LNGの組成成分のうち、最も気化する温度の低いメタンが気化してボイルオフガスが発生する。ところで、LNGは輸出先(産地)により発熱量が異なるため、LNGの気化後、発熱量調整用のプロパンガス等で発熱量を調整したものが都市ガス13Aとなる。
ボイルオフガスを、すぐに燃料として使用しない場合、ボイルオフガスは、ガスエンジンとは別に設置する処理設備等により再液化処理されている。
そこで、このような状態が生じた際に、燃料をボイルオフガスから都市ガス13Aに切り替えたいという要望がある。
特許文献2に記載のガスエンジンで、ガスエンジンを停止させずに、ボイルオフガスから都市ガス13Aに燃料を切り替えると、メタン価が突然変わるためノッキングや失火が発生してしまう。
そのため、特許文献2に記載のガスエンジンで、燃料をボイルオフガスから都市ガス13Aに切り替えようとすると、以下の処理を行う必要がある。すなわち、ガスエンジンが一旦停止され、運転パラメータ(点火時期や、空気過剰率等)が調整された後、ガスエンジンが再起動される必要がある。
その他の解決手段については、実施形態中に適宜記載する。
図1は、本実施形態で用いられるガス運転システム100の構成例を示す図である。
ガス運転システム100は、管理装置1、ガスエンジン2、貯蔵設備10、BOG(Boil Off Gas)用配管21、BOG用流量調整装置22、BOG用バルブ23、都市ガス用配管31、都市ガス用流量調整装置32、都市ガス用バルブ33、気化装置34を有する。
管理装置1は、ガスエンジン2、BOG用流量調整装置22、都市ガス用流量調整装置32へ制御信号を送信する。
ガスエンジン2は、BOG用配管21を経由して送られるボイルオフガス、都市ガス用配管31を経由して送られる都市ガス13A、及び、管理装置1から送信される運転パラメータを基に駆動(運転)する。ガスエンジン2は、ボイルオフガス、都市ガス13A、ボイルオフガス及び都市ガス13Aの混合ガスによって駆動し、発電する。なお、本実施形態では、ガスエンジン2は、例えばレシプロ式のものとしているが、ガスタービンエンジン等、その他の熱機関(原動機)としてもよい。
発生したボイルオフガスはBOG用配管21を介してガスエンジン2へ送られる。また、BOG用流量調整装置22は、管理装置1から送信させる制御信号に基づいてBOG用バルブ23の開度を制御する。これによってガスエンジン2に供給されるボイルオフガスの流量が調整される。
なお、管理装置1、ガスエンジン2で行われる処理については後記する。
図2は、本実施形態で用いられる燃料供給パターンを示す図である。
図2に示すグラフは、縦軸がメタン価を示し、横軸が時間を示している。
まず、符号101の区間は、ガスエンジン2にボイルオフガスのみが供給されている区間である。また、符号103の区間は、ガスエンジン2に都市ガス13Aのみが供給されている区間である。
また、符号102におけるグラフのメタン価は、ボイルオフガスと、都市ガス13Aとの混合割合に対応する。
つまり、符号102の区間において、メタン価がm1に近ければ近いほどボイルオフガスの割合が多く、メタン価がm2に近ければ近いほど都市ガス13Aの割合が多くなる。
符号102の区間に示すように、ボイルオフガスと、都市ガス13Aとの混合割合に対応するメタン価の変化は連続的である。ここで、連続的とは、メタン価の変化線が途中で途切れることがないという意味である。例えば、ボイルオフガス→都市ガス13Aに燃料を切り替える場合、符号102の区間において、メタン価の変化線が、最初リニアに減少した後、所定時間、一定値で推移し、その後、再び変化線がリニアに減少する場合も連続的な変化に含まれる。
なお、符号102の区間の矢印に示すように、ガスの切り替えは、ボイルオフガス→都市ガス13Aでもよいし、都市ガス13A→ボイルオフガスでもよい。
図3は、本実施形態に係るガス運転システム100の運転方法の手順を示すフローチャートである。適宜、図1及び図2を参照する。
まず、各種パラメータが管理装置1に設定される(S101)。ここで、設定されるパラメータは、第1運転パラメータ、第2運転パラメータ、切替時間Tである。
第1運転パラメータとは、第1燃料を用いた場合のガスエンジン2の運転パラメータである。また、第2運転パラメータとは、第2燃料を用いた場合のガスエンジン2の運転パラメータである。ここで、運転パラメータとは、具体的には、イグニッションの点火時期(点火角度)、空気過剰率比等である。第1燃料、第2燃料については後記する。
切替時間Tとは、第1燃料から第2燃料へ完全に切り替わる時間(図2の切替時間T)である。
1.ボイルオフガス→都市ガス13Aの場合、第1燃料がボイルオフガス、第2燃料が都市ガス13Aとなる。そして、BOG用流量調整装置22が第1流量調整装置、都市ガス用流量調整装置32が第2流量調整装置となる。また、BOG用バルブ23が第1バルブ、都市ガス用バルブ33が第2バルブとなる。
2.都市ガス13A→ボイルオフガスの場合、第1燃料が都市ガス13A、第2燃料がボイルオフガスとなる。そして、都市ガス用流量調整装置32が第1流量調整装置、BOG用流量調整装置22が第2流量調整装置となる。また、都市ガス用バルブ33が第1バルブ、BOG用バルブ23が第2バルブとなる。
つまり、第1燃料、第2燃料では少なくともメタン価が異なっている。
ステップS101の後、管理装置1は、第1バルブを開弁し(S102)、第1運転パラメータをガスエンジン2に送信する(S103)。
これにより、ガスエンジン2が、第1燃料、第1運転パラメータにより駆動を開始する(S201)。
その後、ガスエンジン2の回転速度が定格回転速度に到達する(S202)。ガスエンジン2の回転速度が定格回転速度に到達した旨の情報は、ガスエンジン2に備えられている図示しないセンサ等から管理装置1へ送られる。
なお、メタン価は、貯蔵設備10内に備えられている図示しないセンサ等で検知される。
例えば、運転パラメータのうち、点火角度(点火時期)を例にすると、第1燃料の点火角度がA°であり、第2燃料の点火角度がB°であるとする。すると、管理装置1は、ステップS101で設定された切替時間Tで、A°→B°となるよう、点火角度を徐々に変化させる。空気過剰率についても同様である。
ガスエンジン2は、第2燃料及び第2運転パラメータによって駆動する(S221)。
図4は、本実施形態で用いられる管理装置1が行う処理の手順を示すフローチャートである。
まず、各種パラメータが管理装置1に設定される(S301)。設定されるパラメータは、図3のステップS101で説明済みであるので、ここでの説明を省略する。
次に、管理装置1は、第1バルブを開弁し(S302)、第1運転パラメータをガスエンジン2(ガスエンジン2のコントローラ)に送信する(S303)。これにより、ガスエンジン2が、第1燃料、第1運転パラメータにより駆動を開始する(図3のS201に相当)。なお、ここでのステップS301〜S303は、図3のステップS101〜S103に相当する。
ステップS311の結果、切替信号を受信していない場合(S311→No)、管理装置1はステップS311へ処理を戻す。つまり、ガスエンジン2は第1燃料で駆動し続ける。
ステップS312の結果、ガスエンジン2の回転速度が定格回転速度に到達している場合(S312→Yes)、管理装置1は切替処理を行う(S321)。切替処理の内容は、図3のステップS112で説明済みのため、ここでの説明を省略する。
切替処理が終わると、管理装置1は第2バルブを全開にし、第1バルブを閉じる。そして、第2運転パラメータによるガスエンジン2の駆動が行われる(図3のS121,S122に相当)。
また、ボイルオフガスのメタン価が安定した後、ガスエンジン2を停止させずに、都市ガス13Aからボイルオフガスへの燃料切替を行うことができる。
つまり、本実施形態によれば、ガスエンジン2の運転を効率的に行うことができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
2 ガスエンジン
10 貯蔵設備(第1燃料及び第2燃料が貯蓄)
11 LNG(第1燃料または第2燃料)
22 BOG用流量調整装置
23 BOG用バルブ
32 都市ガス用流量調整装置
33 都市ガス用バルブ
34 気化装置
100 ガス運転システム
101 ガスエンジンにボイルオフガスのみが供給されている区間(第1運転パラメータによってガスエンジンが駆動する区間)
102 ボイルオフガスと、都市ガス13Aとの混合燃料がガスエンジンに供給されている区間(第3運転パラメータによってガスエンジンが駆動する区間)
103 ガスエンジンに都市ガス13Aのみが供給されている区間(第2運転パラメータによってガスエンジンが駆動する区間)
Claims (6)
- 第1燃料をガスエンジンに供給し、前記第1燃料に対応する第1運転パラメータに基づき前記ガスエンジンを駆動する第1ステップと、
前記第1燃料の前記ガスエンジンへの供給量を連続的に減少させながら、前記第1燃料の前記ガスエンジンへの供給量の減少割合に応じて定まる量に基づき、前記第1燃料とは異なる第2燃料を前記ガスエンジンに供給し、前記第1燃料の供給量減少開始点から前記第1燃料の供給終了点までの時間において定まる第3運転パラメータのうち、前記第1燃料の点火角度から前記第2燃料の点火角度に徐々に変化させて前記ガスエンジンを運転する第2ステップと、
前記第2燃料を前記ガスエンジンに供給し、前記第2燃料に対応する第2運転パラメータに基づき前記ガスエンジンを運転する第3ステップと、
の3段階で運転し、
前記第2ステップの開始時において、前記第1燃料が100%、及び、前記第2燃料が0%の混合割合であり、
前記第2ステップの終了時において、前記第1燃料が0%、及び、前記第2燃料が100%の混合割合となるよう、前記第1燃料と前記第2燃料を混合した混合割合の合計が100%を保持したまま、所定のレートで前記第1燃料を減少させ、前記第2燃料を増加させる
ことを特徴とするガスエンジンの運転方法。 - 前記第2ステップは、前記ガスエンジンが定格回転速度で運転しているときに行われる
ことを特徴とする請求項1に記載のガスエンジンの運転方法。 - 前記第2ステップは、所定の切替時間内に終了し、
前記第1運転パラメータ、前記第2運転パラメータ、及び、前記切替時間は、前記ガスエンジンを起動する前に設定する
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のガスエンジンの運転方法。 - 前記切替時間は、試運転時において、ノッキング及び失火の少なくとも一方が生じないような時間として決定される
ことを特徴とする請求項3に記載のガスエンジンの運転方法。 - 前記第2ステップにおける前記第1燃料の減少割合、及び、前記第2燃料の増加割合がリニアに変化する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のガスエンジンの運転方法。 - 前記第3運転パラメータは、空気過剰率を含み、前記第1運転パラメータ及び前記第2運転パラメータは、前記点火角度及び前記空気過剰率を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガスエンジンの運転方法。
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