JP7518938B1 - 混合燃料供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】混合燃料利用機器の安定した混焼運転を実現可能な混合燃料供給装置を提供する。【解決手段】混合燃料供給装置1は、主燃料Gmに対して副燃料Gsを混合した混合燃料Gを混合燃料利用機器2に供給するためのものであって、主燃料Gmの流量に対して供給する副燃料Gsの流量を制御して供給可能に構成されている。混合燃料供給装置1では、混合比増加時変化レートの設定値<目標混合比到達後変化レートの設定値の関係を満たす。混合燃料供給装置1は、現在の混合比が目標混合比に達した後において、現在の混合比と目標混合比とを比較して、両者に乖離が生じている場合に、現在の混合比が目標混合比に復帰するように目標混合比到達後変化レートの設定値を用いて副燃料の流量を制御するよう構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、混合燃料供給装置に関する。
従来、都市ガスなどの主燃料に対して水素などの副燃料を混合した混合燃料を、混合燃料供給装置を介して、ガスエンジンやバーナなどの混合燃料利用機器に供給し、混合燃料利用機器を混焼運転することが行われている。
先行する特許文献1には、以下のようにしてガスエンジンを運転する技術が開示されている。先ず、第1燃料をガスエンジンに供給し、第1燃料に対応する第1運転パラメータに基づきガスエンジンを駆動する。次いで、第1燃料のガスエンジンへの供給量を連続的に減少させながら、第1燃料のガスエンジンへの供給量の減少割合に応じて定まる量に基づき、第1燃料とは異なる第2燃料をガスエンジンに供給し、第1燃料の供給量減少開始点から第1燃料の供給終了点までの時間に応じて定まる第3運転パラメータに基づきガスエンジンを運転する。次いで、第2燃料をガスエンジンに供給し、第2燃料に対応する第2運転パラメータに基づきガスエンジンを運転する。
特開2020-101124号公報
主燃料と副燃料との混合燃料による混焼運転が行われる混合燃料利用機器では、安定した状態で混焼運転することができるように、主燃料と副燃料との混合比の管理が重要となる。例えば、主燃料に対して副燃料の混合を開始し、混合比が予め設定された目標混合比に達した後、混合比の制御を行わない場合には、次のような問題が生じる。
すなわち、上記目標混合比に達した後から副燃料の混合終了が指示されるまでの間の混合比静定時においては、混合比をできる限り一定にしておきたいところ、実際には、主燃料流量に微小な変動が生じる。そのため、混合比静定時に混合比の制御を行わない場合には、主燃料流量の変動によって変化した混合比は、狙いの目標混合比に復帰することなく成り行き任せとなる。そのため、目標混合比到達後に混合比の制御を行わない混合燃料供給装置では、混合燃料利用機器を安定した状態で混焼運転させることができない。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、混合燃料利用機器の安定した混焼運転を実現可能な混合燃料供給装置を提供しようとするものである。
本発明に係る混合燃料供給装置は、以下の通りである。
[1]
主燃料に対して副燃料を混合した混合燃料を混合燃料利用機器に供給するための混合燃料供給装置であって、
上記主燃料の流量に対して供給する上記副燃料の流量を制御して供給可能に構成されており、
上記主燃料および上記副燃料の合計流量に対する上記副燃料の流量の体積割合を混合比、
単位時間当たりの上記混合比の変化量の絶対値を混合比変化レート、
目標の上記混合比である目標混合比となるように上記混合比を増加させるときの上記混合比変化レートを混合比増加時変化レート、
上記目標混合比に達した後から上記副燃料の混合終了が指示されるまでの間の上記混合比変化レートを目標混合比到達後変化レートとしたとき、
上記混合比増加時変化レートの設定値<上記目標混合比到達後変化レートの設定値の関係を満たしており、かつ、
現在の上記混合比が上記目標混合比に達した後において、現在の上記混合比と上記目標混合比とを比較して、両者に乖離が生じている場合に、現在の上記混合比が上記目標混合比に復帰するように上記目標混合比到達後変化レートの設定値を用いて上記副燃料の流量を制御するよう構成されている、
混合燃料供給装置。
[2]
上記副燃料の混合を終了するために上記混合比を減少させるときの上記混合比変化レートを混合比減少時変化レートとしたとき、
上記混合比増加時変化レートの設定値<上記混合比減少時変化レートの設定値<上記目標混合比到達後変化レートの設定値の関係を満たしている、
上記[1]に記載の混合燃料供給装置。
[3]
上記主燃料は、都市ガスであり、
上記副燃料は、水素であり、
上記混合燃料利用機器は、ガスエンジンである、
上記[1]または上記[2]に記載の混合燃料供給装置。
上記[1]に記載の混合燃料供給装置においては、現在の混合比が目標混合比に達した後において、現在の混合比と目標混合比とを比較して、両者に乖離が生じている場合に、副燃料を混合して混合比を増加させるときの混合比増加時変化レートよりも高く設定された目標混合比到達後変化レートの設定値を用いて、現在の混合比が目標混合比に復帰するように副燃料の流量が制御される。そのため、上記[1]に記載の混合燃料供給装置によれば、主燃料の流量変動に対して副燃料の流量を迅速に追従させることができ、混合比静定時における現在の混合比をできる限り一定に近づけることが可能となり、混合燃料利用機器の安定した混焼運転を実現することが可能となる。
上記[2]に記載の混合燃料供給装置においては、混合比増加時変化レートおよび混合比減少時変化レートの設定値が、目標混合比到達後変化レートの設定値よりも低い。そのため、上記[2]に記載の混合燃料供給装置によれば、上記[1]に記載の混合燃料供給装置の効果に加えて、さらに、混合比の増減時に急激な熱量変動が発生するのを抑制することができる。なお、迅速に混焼運転に移行させるために、混合燃料利用機器が耐えられる範囲内で、十分に高い混合比増加時変化レートの設定値を採用することが望ましい。
また、上記[2]に記載の混合燃料供給装置においては、副燃料の混合終了指示から副燃料の混合終了までにかかる時間を、副燃料の混合開始から目標混合比到達までの時間よりも早くすることができる。そのため、上記[2]に記載の混合燃料供給装置によれば、上記[1]に記載の混合燃料供給装置の効果に加えて、さらに、混焼運転から主燃料による単一燃焼運転に速やかに移行することが可能となる。
上記[3]に記載の混合燃料供給装置においては、主燃料が都市ガス、副燃料が水素、混合燃料利用機器がガスエンジンとされる。水素は高い燃焼性を有するため、混合比の管理が適切でない場合には、混合燃料の異常燃焼に繋がるおそれがある。これに対し、上記[3]に記載の混合燃料供給装置によれば、上記[1]または上記[2]に記載の混合燃料供給装置の効果に加えて、さらに、混合比静定時における都市ガスの流量変動に対して水素の流量を迅速に追従させることができ、ガスエンジンにおいて安定した都市ガス・水素の混焼運転を実現することが可能となる。
図1は、実施形態1の混合燃料供給装置、および、これを用いた混合燃料供給システムの概略構成を示した説明図である。 図2は、実施形態1の混合燃料供給装置における、混合比および混合比変化レートの遷移の一例を模式的に示した説明図である。 図3は、実施形態1の混合燃料供給装置において、主燃料に対して副燃料の混合を開始し、主燃料と副燃料との混合比が目標混合比に到達するまでの制御フローの一例を示した説明図である。 図4は、実施形態1の混合燃料供給装置において、主燃料と副燃料との混合比が目標混合比に到達した後から主燃料に対する副燃料の混合終了が指示されるまでの間の混合比静定時における制御フローの一例を示した説明図である。 図5は、実施形態1の混合燃料供給装置において、主燃料に対する副燃料の混合終了を指示し、副燃料の混合を終了するまでの制御フローの一例を示した説明図である。 図6は、目標混合比到達後に混合比を制御せずに成り行き任せとする比較形態1の混合燃料供給装置における、混合比および混合比変化レートの遷移の一例を模式的に示した説明図である。 図7は、目標混合比到達後に混合比増加時と同じ混合比変化レート(混合比増加時変化レート)にて制御を行うように構成された比較形態2の混合燃料供給装置における、混合比および混合比変化レートの遷移の一例を模式的に示した説明図である。
(実施形態1)
実施形態1の混合燃料供給装置について、図1~図7を用いて説明する。図1~図5に例示されるように、本実施形態の混合燃料供給装置1は、主燃料Gmに対して副燃料Gsを混合した混合燃料Gを混合燃料利用機器2に供給するための装置である。以下、これを詳説する。
なお、本実施形態では、主燃料(ガス)Gmが都市ガスであり、副燃料(ガス)Gsが水素であり、混合燃料利用機器2がガスエンジンである場合を例に用いて説明するが、これに限定されるものではない。他にも、主燃料Gmとして、例えば、プロパン、副燃料Gsとして、例えば、アンモニア、混合燃料利用機器2として、例えば、ガスバーナなどを例示することができる。
先ず、本実施形態の混合燃料供給装置1の概略装置構成について説明する。
図1に例示されるように、混合燃料利用機器2には、主燃料Gmを供給するための配管21が接続されている。配管21の途中部分には、副燃料Gsを供給するための配管22が接続されている。配管21と配管22との接続部分は、主燃料Gmに対して副燃料Gsを混合する混合点23とされている。したがって、混合点23から主燃料Gmのガス流れ上流側の配管21の部分には、主燃料Gmのみが流れる。混合点23から副燃料Gsのガス流れ上流側の配管22には、副燃料Gsのみが流れる。混合点23から混合燃料利用機器2に至る配管21の部分には、副燃料Gsが混合されないときには主燃料Gmが流れ、主燃料Gmに副燃料Gsが混合されるときには混合燃料Gが流れる。図1では、混合点23の周辺に混合燃料供給装置1が設けられている例が示されている。
混合燃料供給装置1は、主燃料Gmの流量に対して供給する副燃料Gsの流量を制御して供給可能に構成されている。具体的には、混合燃料供給装置1は、図1に例示されるように、流量計11と、流量調節部12と、制御部13とを有している。
流量計11は、配管21に設けられており、配管21内を流れている主燃料Gmの現在の流量を制御部13に出力する(矢印a)。流量調節部12は、配管22に設けられており、配管22内を流れている副燃料Gsの現在の流量を制御部13に出力する(矢印c)。流量調節部12は、制御部13からの指示を受けて(矢印b)、混合点23に供給する副燃料Gsの流量を増減可能に構成されている。流量調節部12には、具体的には、マスフローコントローラを用いることができる。
制御部13は、シーケンス制御を行うことが可能なものであり、具体的には、シーケンサを用いることができる。制御部13には、流量計11から、配管21内を流れている現在の主燃料Gmの流量が入力される(矢印a)。制御部13には、流量調節部12から、配管22内を流れている現在の副燃料Gsの流量が入力される(矢印c)。制御部13には、混合燃料利用機器2から、副燃料Gsの混合開始の指示や副燃料Gsの混合終了の指示(矢印e)が入力される。他にも、制御部13には、副燃料Gsの混合を緊急停止するなどのために、混合燃料利用機器2の故障情報などが入力されてもよい。
また、制御部13は、指定した流量の副燃料Gsが混合点23に供給されるように流量調節部12に指示を出力する(矢印b)。他にも、制御部13は、主燃料Gmおよび副燃料Gsの合計流量に対する副燃料Gsの流量の体積割合(体積%)である混合比の現在の値や、混合燃料供給装置1の故障情報などの制御情報を混合燃料利用機器2に出力してもよい(矢印d)。
次に、本実施形態の混合燃料供給装置1の制御部13による制御について、図2~図5を用いて具体的に説明する。
主燃料Gmに対して副燃料Gsを供給するにあたり、以下のようにパラメータを定義する。すなわち、主燃料Gmおよび副燃料Gsの合計流量に対する副燃料Gsの流量の体積割合(体積%)を混合比とする。単位時間当たりの混合比の変化量の絶対値を混合比変化レートとする。目標の混合比である目標混合比となるように混合比を増加させるときの混合比変化レートを混合比増加時変化レートとする。目標混合比に達した後から副燃料Gsの混合終了が指示されるまでの間の混合比変化レートを目標混合比到達後変化レートとする。副燃料Gsの混合を終了するために混合比を減少させるときの混合比変化レートを混合比減少時変化レートとする。
図2に例示されるように、先ず、配管21内に主燃料Gmのみが流れている状況、つまり、主燃料Gm100体積%の状態で混合燃料利用機器2が動作している状況を考える。この前提の下、ある任意の時間が経過した時点において、制御部13が、混合燃料利用機器2から副燃料Gsの混合開始の指示を受け、配管22および混合点23を通じて、主燃料Gmに対して副燃料Gsの混合を開始するとする。副燃料Gsの混合開始時には混合比は0体積%であり、副燃料Gsの混合開始から任意の時間経過後に任意の目標混合比に到達させるものとする。この際、副燃料Gsの混合開始から目標混合比到達までの間における混合比増加時変化レートは、任意の混合比変化レートに事前に設定される。
目標混合比到達後から副燃料Gsの混合終了が混合燃料利用機器2から指示されるまでの間の混合比静定時においては、混合比をできる限り一定にしておきたいところ、実際には、主燃料Gmの供給量の変化等により主燃料Gmの流量の変動が生じるため、図2に例示するように混合比に変動が生じる。図2中、符号V1は、主燃料Gmの供給量が増加して混合比が低下した場合を例示したものであり、符号V2は、主燃料Gmの供給量が減少して混合比が上昇した場合を例示したものである。この混合比静定時における混合比変化レート、つまり、目標混合比に達した後の混合比変化レートである目標混合比到達後変化レートは、目標混合比到達時に、混合比増加時変化レートの設定値<目標混合比到達後変化レートの設定値の関係を満たすように、任意の混合比変化レートに事前に設定される。
図2に例示されるように、混合比静定時におけるある任意の時間が経過した時点において、制御部13が、混合燃料利用機器2から副燃料Gsの混合終了の指示を受けたとする。この時点から任意の時間経過後に混合比を0体積%とし、主燃料Gへの副燃料Gsの混合を終了する。この際、副燃料Gsの混合終了指示を受けた時点から副燃料Gsの混合を終了するまでの間における混合比減少時変化レートは、混合比減少時変化レートの設定値≦目標混合比到達後変化レートの設定値を満たすように、任意の混合比変化レートに事前に設定される。
ここで、混合燃料供給装置1では、現在の混合比が目標混合比に達した後において、現在の混合比と目標混合比とを比較して、両者に乖離が生じている場合に、現在の混合比が目標混合比に復帰するように目標混合比到達後変化レートの設定値を用いて副燃料の流量が制御される。以下、図3~図5を用いて制御の流れをより具体的に説明する。
図3に、混合燃料供給装置1において、主燃料Gmに対して副燃料Gsの混合を開始し、主燃料Gmと副燃料Gsとの混合比が目標混合比に到達するまでの制御フローの一例を示す。
図3に例示されるように、制御部13は、混合燃料利用機器2から副燃料Gsの混合開始の指示を受け、主燃料Gmに対して副燃料Gsの混合を開始する(S1)。制御部13は、流量計11から入力される主燃料Gmの現在の流量に応じて、事前に設定した混合比増加時変化レートとなるように混合すべき副燃料Gsの流量を計算し、当該流量の副燃料Gsを混合点23に供給するように流量調節部12に指示を出力する。流量調節部12は、制御部13からの指示を受け、必要な流量の副燃料Gsを混合点23に供給(投入)する(S2)。制御部13は、現在の混合比が目標混合比に到達したか否かを判断する(S3)。現在の混合比が目標混合比に到達していない場合(No)には、S2に戻り、主燃料Gmに対して副燃料Gsの混合を続ける。現在の混合比が目標混合比に到達した場合(Yes)には、制御部13は、混合比増加時変化レートの設定値を、より高い混合比変化レートである目標混合比到達後変化レートに設定変更する(S4)。その後は、次の制御に移行する。
なお、主燃料Gmとして都市ガス(13A)、副燃料Gsとして水素を用い、ガスエンジンの混焼運転を行う場合における混合比の計算例を次に示す。すなわち、はじめに、前提として、都市ガス(13A)100体積%の状態でガスエンジンを起動しておく。次に、都市ガス(13A)と水素の混焼運転に移行していく。ここで、目標混合比を、仮に20体積%、混合比増加時変化レートを5体積%/minに設定する。この際、混合比は、H流量/(H流量+13A流量)にて計算される。このように計算される混合比と混合比増加時変化レートとを常に計算し、事前に設定した混合比増加時変化レート(5体積%/min)になるように、制御部13の指示により、流量調節部12にて副燃料Gsの流量を制御し、目標混合比(20体積%)になるまで、H流量を増加させ続ける。
この際、例えば、混合比を0体積%から5体積%に増加させるときと、混合比を15体積%から20体積%に増加させるときでは、5体積%相当のH流量が異なっている。例えば、都市ガス(13A)と水素の熱量比を都市ガス(13A):水素=40.6MJ/Nm(都市ガス(13A)の低位発熱量):10.8MJ/Nm(水素の低位発熱量)とし、都市ガス(13A)が100体積%での混合燃料利用機器2の運転時に必要な都市ガス(13A)の流量を100m/minとする。このとき、ガスエンジンによる発電出力を一定にすべく、燃料の熱量は一定にする必要があるため、投入するH流量の10.8/40.6の13A流量が減少することになる。そのため、H流量をXとすると、混合比を0体積%から5体積%に増加させるときには、X/(X+100-10.8X/40.6)=0.05の式からX=5.19m/minの水素を投入する必要がある。同様に計算すると、混合比が15体積%では、16.86m/minの水素を投入する必要があり、混合比が20体積%では、23.44m/minの水素を投入する必要がある。したがって、混合比を15体積%から20体積%に増加させるときには、23.44m/min-16.86m/min=6.58m/minの水素を投入する必要があり、この水素投入量は、混合比を0体積%から5体積%に増加させるときの水素投入量とは異なっている。このように、本実施形態の混合燃料供給装置1では、単純に直線的に水素投入量を増加させるわけではないことが理解される。
次に、図4に、混合燃料供給装置1において、主燃料Gmと副燃料Gsとの混合比が目標混合比に到達した後から主燃料Gmに対する副燃料Gsの混合終了が指示されるまでの間の混合比静定時における制御フローの一例を示す。
図4に例示されるように、制御部13は、混合比が目標混合比に到達し、混合比増加時変化レートの設定値をこれよりも高い値の目標混合比到達後変化レートに設定変更した後(S4)、引き続き、流量計11から入力される主燃料Gmの現在の流量と、流量調節部12から入力される副燃料Gsの現在の流量とから、現在の混合比を計算する(S5)。そして、現在の混合比と目標混合比とを比較し、両者が一致しているかどうかを判断する(S6)。現在の混合比と目標混合比とが一致している場合(Yes)、つまり、両者に乖離が生じていない場合には、再びS5に戻り、引き続き現在の混合比を計算する。一方、現在の混合比と目標混合比とが一致していない場合(No)、つまり、両者に乖離が生じている場合には、目標混合比到達後変化レートの設定値を用いて、目標混合比に復帰するのに必要な流量の副燃料Gsを供給(投入)する、あるいは、目標混合比に復帰するのに過剰な流量の副燃料Gsを減少させた後(S7)、再びS5に戻り、引き続き現在の混合比を計算する。かかる制御は、制御部13が混合燃料利用機器2から副燃料Gsの混合終了の指示を受けるまで続けられる。
次に、図5に、混合燃料供給装置1において、主燃料Gmに対する副燃料Gsの混合終了を指示し、副燃料Gsの混合を終了するまでの制御フローの一例を示す。
図5に例示されるように、制御部13は、混合燃料利用機器2から副燃料Gsの混合終了の指示を受け、主燃料Gmに対する副燃料Gsの混合終了を開始する(S8)。具体的には、制御部13は、目標混合比到達後変化レートの設定値を、混合比減少時変化レートに設定変更する(S9)。制御部13は、流量計11から入力される主燃料Gmの現在の流量に応じて、上記設定変更された混合比減少時変化レートとなるような副燃料Gsの流量を計算し、供給中の副燃料Gsの流量を減少するように流量調節部12に指示を出力する。流量調節部12は、制御部13からの指示を受け、副燃料Gsの流量を減少させる(S10)。制御部13は、現在の混合比が目標混合比、つまり、混合比が0体積%に到達したかを判断する(S11)。現在の混合比が0体積%に到達していない場合(No)には、S10に戻り、副燃料Gsの流量の減少を続ける。現在の混合比が0に到達した場合(Yes)には、制御部13は、一連の制御を終了して混合燃料Gの供給を終了し(S12)、例えば、次に混合燃料利用機器2から副燃料Gsの混合指示を受けるまで待機状態に入る。
次に、本実施形態の混合燃料供給装置1の作用効果について、以下に示す比較形態1の混合燃料供給装置、および、比較形態2の混合燃料供給装置と対比しつつ説明する。
図6に、比較形態1の混合燃料供給装置について、本実施形態の混合燃料供給装置1で説明した図2に対応する混合比および混合比変化レートの遷移の一例を示す。図6に例示されるように、比較形態1の混合燃料供給装置では、現在の混合比が目標混合比に到達後、副燃料Gsの混合終了が指示されるまでの間は、混合比の制御が行われない(目標混合比到達後変化レートの設定値=0)。この場合、主燃料Gmの流量の変動によって変化した混合比は、狙いの目標混合比に復帰することなく成り行き任せとなる。なお、図6では、主燃料Gmの供給量が増加して混合比が低下した場合を例示しており、一旦混合比が低下した以降は、成り行き任せであるために、混合比が低下したまま目標混合比に復帰することなく副燃料Gsの混合終了に至る。したがって、比較形態1の混合燃料供給装置では、混合燃料利用機器2の安定した混焼運転を実現することができない。
また、図7に、比較形態2の混合燃料供給装置について、本実施形態の混合燃料供給装置1で説明した図2に対応する混合比および混合比変化レートの遷移の一例を示す。図7に例示されるように、比較形態2の混合燃料供給装置では、現在の混合比が目標混合比に到達後、副燃料Gsの混合終了が指示されるまでの間、混合比の制御が一応は行われる。しかしながら、混合比増加時変化レートの設定値<目標混合比到達後変化レートの設定値の関係を満たしておらず、混合比増加時変化レートの設定値=目標混合比到達後変化レートの設定値の条件にて混合比の制御が行われる。この場合、主燃料Gmの流量の変動によって変化した混合比は、狙いの目標混合比に復帰はするものの、復帰までの時間が相対的に長くかかり、その間、混合燃料利用機器2の安定した混焼運転を実現することが困難である。
これらに対し、本実施形態の混合燃料供給装置1においては、図2~図5に例示したように、現在の混合比が目標混合比に達した後において、現在の混合比と目標混合比とを比較して、両者に乖離が生じている場合に、副燃料Gsを混合して混合比を増加させるときの混合比増加時変化レートよりも高く設定された目標混合比到達後変化レートの設定値を用いて、現在の混合比が目標混合比に復帰するように副燃料Gsの流量が制御される。そのため、本実施形態の混合燃料供給装置1によれば、主燃料Gmの流量変動に対して副燃料Gsの流量を迅速に追従させることができ、混合比静定時における現在の混合比をできる限り一定に近づけることが可能となり、混合燃料利用機器2の安定した混焼運転を実現することが可能となる。
また、本実施形態の混合燃料供給装置1においては、混合比増加時変化レートおよび混合比減少時変化レートの設定値が、目標混合比到達後変化レートの設定値よりも低い。そのため、本実施形態の混合燃料供給装置1によれば、混合比の増減時に急激な熱量変動が発生するのを抑制することができる。また、本実施形態の混合燃料供給装置1においては、副燃料Gsの混合終了指示から副燃料Gsの混合終了までにかかる時間を、副燃料Gsの混合開始から目標混合比到達までの時間よりも早くすることができる。そのため、本実施形態の混合燃料供給装置1によれば、混焼運転から主燃料Gmによる単一燃焼運転に速やかに移行することが可能となる。
また、本実施形態の混合燃料供給装置1においては、主燃料Gmが都市ガス、副燃料Gsが水素、混合燃料利用機器2がガスエンジンとされる。水素は高い燃焼性を有するため、混合比の管理が適切でない場合には、混合燃料Gの異常燃焼に繋がるおそれがある。これに対し、本実施形態の混合燃料供給装置1によれば、混合比静定時における都市ガスの流量変動に対して水素の流量を迅速に追従させることができ、ガスエンジンにおいて安定した都市ガス・水素の混焼運転を実現することが可能となる。なお、本実施形態では、都市ガス(13A)を用いて説明を行ったが、都市ガスの成分変更などにより発熱量が増減した場合においても、本開示の内容は成立するものである。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、上記実施形態に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。また、出願当初の特許請求の範囲に記載の各請求項同士は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
1 混合燃料供給装置
2 混合燃料利用機器
Gm 主燃料
Gs 副燃料
G 混合燃料

Claims (3)

  1. 主燃料に対して副燃料を混合した混合燃料を混合燃料利用機器に供給するための混合燃料供給装置であって、
    上記主燃料の流量に対して供給する上記副燃料の流量を制御して供給可能に構成されており、
    上記主燃料および上記副燃料の合計流量に対する上記副燃料の流量の体積割合を混合比、
    単位時間当たりの上記混合比の変化量の絶対値を混合比変化レート、
    目標の上記混合比である目標混合比となるように上記混合比を増加させるときの上記混合比変化レートを混合比増加時変化レート、
    上記目標混合比に達した後から上記副燃料の混合終了が指示されるまでの間の上記混合比変化レートを目標混合比到達後変化レートとしたとき、
    上記混合比増加時変化レートの設定値<上記目標混合比到達後変化レートの設定値の関係を満たしており、かつ、
    現在の上記混合比が上記目標混合比に達した後において、現在の上記混合比と上記目標混合比とを比較して、両者に乖離が生じている場合に、現在の上記混合比が上記目標混合比に復帰するように上記目標混合比到達後変化レートの設定値を用いて上記副燃料の流量を制御するよう構成されている、
    混合燃料供給装置。
  2. 上記副燃料の混合を終了するために上記混合比を減少させるときの上記混合比変化レートを混合比減少時変化レートとしたとき、
    上記混合比増加時変化レートの設定値<上記混合比減少時変化レートの設定値<上記目標混合比到達後変化レートの設定値の関係を満たしている、
    請求項1に記載の混合燃料供給装置。
  3. 上記主燃料は、都市ガスであり、
    上記副燃料は、水素であり、
    上記混合燃料利用機器は、ガスエンジンである、
    請求項1または請求項2に記載の混合燃料供給装置。
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