JP6529846B2 - 通水路の施工方法および推進機 - Google Patents
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Description
このような天然ダムにおいて、大雨などにより水位が上昇すると、貯留水(河川水)が堤体を越流、浸食することにより天然ダムが崩壊するおそれがある。天然ダムが崩壊すると、土石流として流れ出し、下流域に災害をもたらすおそれがある。
天然ダムの上流側の水の排水方法としては、水中ポンプを利用した排水方法が一般的であるが、水中ポンプの稼働には、電力が必要であるとともに維持管理に手間がかかる。
また、特許文献2には、地盤改良体により覆われた排水路を天然ダムに形成することで天然ダムの上流側の水を排水する方法が開示されている。なお、排水路の路床には多数の凸部を形成しておき、流下水の速度を減速させることで洗掘を防止する。
さらに、特許文献3には、天然ダムの上流側の貯留水をサイフォン式の排水システムにより排水する方法が開示されている。
特許文献2の排水路は、天然ダムの上部に形成するため、貯留水を排水するためには水中ポンプ等によりポンプアップする必要がある。そのため、ポンプを稼働させるための電力が必要となる。
特許文献3の排水システムも、サイフォンの呼び水を形成するためのポンプを駆動させる必要があり、そのための電力が必要となる。
なお、本発明の通水路の施工方法は、天然ダムへの施工に加え、海、湖、池や河川等に接続する通水路の施工にも適用可能である。
また、浮体を利用して推進機を水に浮かせるため、推進機の回収が容易である。
また、前記管路閉塞工程では膨張性のシール材に気体または液体を注入することにより前記管栓を形成し、前記管路開放工程では前記シール材から前記気体または前記液体を排出するようにすれば、シール材(管栓)に接続する管材(チューブ)の開閉作業のみで簡易かつ安全に管路を開放することができる。
かかる推進機によれば、浮体を膨張させることで水に浮かせることが可能となるため、推進機を水中到達させる場合において、水中からの回収が容易となる。
なお、前記推進機が、前記胴体の後端部を遮蔽する膨張性のシール材を備えていれば、推進機内に水が入り込むことを防止することができる。
水抜き排水路1は、天然ダム2の上流側(貯水池3)の水を排水することを目的とした通水路である。本実施形態の水抜き排水路1は、河床と平行に、上流側が下流側よりも高くなるように勾配を有している。なお、水抜き排水路1の勾配は限定されなく、例えば、水平であってもよいし、下流側が上流側よりも高くてもよい。
本実施形態の通水路の形成方法は、管路形成工程と、管路閉塞工程と、推進機分離工程と、推進機回収工程と、管路開放工程とを備えている。
管路形成工程は、天然ダム2(地中)を貫通して貯水池3(水中)に接続する管路11を形成する工程である。
管路11は、図2に示すように、推進機4を用いて地山(天然ダム2)を掘削するとともに推進管12を地山(天然ダム2内)に押し込むことにより形成する。
胴体42は、カッターヘッド41に動力を付与するカッターモータ等を内装する筒状部材であり、カッターヘッド41の後方に配設されている。胴体42は、推進管12と同等の外形(外径)を有している。
凹部43は、外面に開口するように胴体42に形成されている。凹部43の形状は限定されるものではないが、本実施形態では、箱型(直方体)に形成されている。なお、凹部43の形状、配置および数は限定されるものではなく、適宜設定すればよい。
凹部43の内部には、浮体44が内装されている。凹部43の開口は蓋体46によって遮蔽されている。また、凹部43の底部には、貫通孔が形成されており、胴体42の内部に配管された送気管45が挿通されている。
浮体44は、送気管45が接続されているとともに、折り畳まれた状態で凹部43に内装されていて、送気管45により輸送された気体により膨張する。なお、浮体44は、膨らませた際に、地山や土砂との接触により破損することがないように、ゴム系材料やウレタンコーティング材等により被覆しておく。
蓋体46の構成は限定されるものではないが、本実施形態では、浮体44が膨張した際の圧力によって凹部43を開放するように設けられている。
なお、蓋体46を構成する材料は限定されるものではなく、例えばゴム板等により構成すればよい。
なお、シール材47の構成は限定されるものではなく、例えば、ゴム製のチューブ材やバルーン等であってもよい。
推進機4が天然ダム2を貫通して水中に到達したら、図4(a)に示すように、胴体42の前部に形成された凹部43内の浮体44に気体を注入する。気体が注入された浮体44は、凹部43から放出されるとともに膨張し、推進機4に浮力が与える。こうすることで、推進機4は、貯水池3内にずり落ちることがなく、管路11の勾配を維持した状態で制止する。
なお、推進機4が水中に到達したら、送排泥管等、推進機4による掘削に必要な部材を撤去してもよい。
推進機4が天然ダム2から抜け出したら、図4(b)に示すように、胴体42の後部に形成された凹部43内の浮体44を膨張させる。
管路閉塞工程では、管路11の先端部に設けられた膨張性のシール材に、坑口から延設された注入管51を介して輸送された気体または液体を注入することにより膨張させて、管栓5を形成する。
なお、シール材の構成は限定されるものではなく、例えば、ゴム製のチューブ材やバルーン等であってもよい。
管栓5の形成に伴い、推進機4のシール材47も膨張させて、推進機4の後端を遮蔽する。
推進機4は、ワンタッチジョイント等(図示せず)により管路11(推進管12)の先端に取り付けられており、このワンタッチジョイントを操作することにより管路11から切り離される。なお、推進機4と管路11との接合部は、浮体44の浮力により自動的に切り離されるように構成されていてもよい。
管路11から分離された推進機4は、浮体44の浮力により水面に浮上する。
管路開放工程では、管栓5から気体または液体を排出することで管路11を開放する。
すなわち、管栓5に接続する注入管(例えばチューブ等)51の開閉作業のみで簡易かつ安全に管路11(水抜き排水路1)を開放することができる。
例えば、前記実施形態では、天然ダム2に通水路を形成する場合について説明したが、本発明の通水路の施工方法は、海、湖、池や河川等に接続する通水路の施工にも適用してもよい。
また、天然ダム2に設ける水抜き排水路1の配置、数および内径等は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
11 管路
12 推進管
2 天然ダム
3 貯水池
4 推進機
41 カッターヘッド
42 胴体
43 凹部
44 浮体
45 送気管
46 蓋体
47 シール材
5 管栓
Claims (5)
- 地中から水中に接続する管路を推進工法により形成する管路形成工程と、
前記管路の切羽側端部を閉塞する管栓を形成する管路閉塞工程と、
閉塞された前記管路から推進機を分離する推進機分離工程と、
分離された前記推進機を回収する推進機回収工程と、
前記管栓を撤去する管路開放工程と、を備える通水路の施工方法であって、
前記管路形成工程において前記推進機が水中に到達したら、前記推進機に装着された浮体に気体を注入して前記推進機に浮力を与えながら前記管路を押し進め、
前記推進機分離工程では、前記推進機に装着された前記浮体を利用して前記管路から分離した前記推進機を水に浮かせることを特徴とする、通水路の施工方法。 - 前記推進機が水中に到達した時点で、前記浮体により当該推進機に浮力を与えることを特徴とする、請求項1に記載の通水路の施工方法。
- 前記管路閉塞工程では、膨張性のシール材に気体または液体を注入することにより前記管栓を形成し、
前記管路開放工程では、前記シール材から前記気体または前記液体を排出することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の通水路の施工方法。 - 外面に面した凹部が形成された胴体と、
前記凹部に格納された膨張性の浮体と、
前記浮体に気体を供給する送気管と、
前記凹部の表面側の遮蔽する蓋体と、を備える推進機であって、
前記送気管は、前記胴体に接続された推進管を通じて、坑口から前記浮体まで延設されていることを特徴とする、推進機。 - 前記胴体の後端部を遮蔽する膨張性のシール材を備えていることを特徴とする、請求項4に記載の推進機。
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