JP6529818B2 - 超伝導サイクロトロン及び超伝導電磁石 - Google Patents

超伝導サイクロトロン及び超伝導電磁石 Download PDF

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本発明は、超伝導サイクロトロン及び超伝導電磁石に関する。
特許文献1には、サイクロトロンが記載されている。このサイクロトロンは、超伝導コイルと、超伝導コイルを低温状態で収容する真空容器と、超伝導コイルに電流を供給する電源と、を有する。
特開2014−007150号公報
特許文献1のサイクロトロンでは、真空容器外に配置された電源から真空容器内に配置された超伝導コイルに大電流を供給するための構成を要する。この構成では、複数の部品がボルト及びナットを利用した締結などにより組み合わされている。ここで、電源から超伝導コイルまでの間において、部品間の締結が不十分な箇所が生じると、電気抵抗が大きくなり電力損失が生じる。また、部品間の締結が不十分な箇所がクライオスタット内であると、電気抵抗の増大によってジュール熱が発生し、クライオスタット内の冷却効率を低下させることもあり得る。電力損失の発生や冷却効率の低下は、超伝導サイクロトロン及び超伝導電磁石の動作効率の低下を招く虞がある。
そこで、本発明は、動作効率の低下を抑制できる超伝導サイクロトロン及び超伝導電磁石を提供することを目的とする。
本発明の一形態に係る超伝導サイクロトロンは、超伝導コイルと、超伝導コイルを収容するクライオスタットと、クライオスタットに収容された超伝導コイルを冷却する冷却部と、超伝導コイルへ電力を供給する電源部と、クライオスタットを貫通し、電源部からの電力をクライオスタットに収容された超伝導コイルへ導入する電力導入部と、を備え、電力導入部は、電源部から供給された電流が導通する第1導電部と、第1導電部と電気的に接続されて、第1導電部から送られてきた電流が導通する第2導電部と、第1導電部を第2導電部に対して押圧するように固定する締結部と、締結部と第1導電部の間、又は、締結部と第2導電部との間に配置された座部を有し、座部を形成する材料の線膨張係数は、締結部を形成する材料の線膨張性係数よりも小さい。
本発明の一形態に係る超伝導サイクロトロンは、座部を有する電力導入部を備える。この座部は、締結部よりも小さい線膨張係数を有する材料からなる。そうすると、座部を挟み込んだ構造が冷却されたとき、第1導電部、第2導電部及び座部を含む区間に生じる熱収縮量と、この区間に対応する締結部の熱収縮量との差異が小さくなる。熱収縮量の差異が小さくなると軸力の低下が低減されて、第1導電部と第2導電部の間における接触圧力の低下が抑制される。このため、第1導電部と第2導電部の間における接触抵抗の増加を抑制することが可能になり、結果的に電力損失が低減されると共にジュール熱の発生が抑制される。従って、超伝導サイクロトロンの動作効率の低下を抑制できる。
また、本発明に係る超伝導サイクロトロンにおいて、座部は、締結部の延在方向に沿った負の線膨張係数を有することとしてもよい。このような座部によれば、第1導電部及び第2導電部を含む区間に生じる熱収縮量をこの区間に対応する締結部の熱収縮量よりも小さくすることが可能になる。そうすると、冷却によって軸力を増加させることができるので、第1導電部と第2導電部の間の接触圧力を増加させることが可能になる。従って、接触抵抗を好適に確保することが可能になるので、超伝導サイクロトロン1の動作効率の低下を好適に抑制できる。
また、本発明の別の形態に係る超伝導電磁石は、超伝導コイルと、超伝導コイルを収容するクライオスタットと、クライオスタットに収容された超伝導コイルを冷却する冷却部と、超伝導コイルへ電力を供給する電源部と、クライオスタットを貫通し、電源部からの電力をクライオスタットに収容された超伝導コイルへ導入する電力導入部と、を備え、電力導入部は、電源部から供給された電流が導通する第1導電部と、第1導電部と電気的に接続されて、第1導電部から送られてきた電流が導通する第2導電部と、第1導電部を第2導電部に対して押圧するように固定する締結部と、締結部と第1導電部の間、又は、締結部と第2導電部との間に配置された座部を有し、座部を形成する材料の線膨張係数は、締結部を形成する材料の線膨張性係数よりも小さい。
この超伝導電磁石は、座部を有する電流導入部を備える。従って、低温環境下における軸力の低下が抑制されるので、所定の接触抵抗を確保することが可能になる。そして、低温時における所定の接触抵抗が確保されることにより、電流損失が低減されると共に、ジュール熱の発生が抑制されてクライオスタット内の温度の上昇が抑制される。従って、超伝導サイクロトロンの動作効率の低下を抑制できる。
本発明によれば、超伝導サイクロトロン及び超伝導電磁石における動作効率の低下を抑制できる。
実施形態に係る超伝導サイクロトロンを示す概略断面図である。 電流導入ラインを示す斜視図である。 電流導入ラインの締結構造を示す側面図である。 接触圧力と接触抵抗の関係を示すグラフである。 比較例に係る電流導入ラインの締結構造を示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1に示されるように、超伝導サイクロトロン1は、イオン源(図示せず)から供給される荷電粒子を加速して荷電粒子線(荷電粒子ビーム)を出力する円形加速器である。荷電粒子としては、例えば陽子、重粒子(重イオン)、電子などが挙げられる。超伝導サイクロトロン1は、ヨーク2と、クライオスタット3と、超伝導コイル体4と、一対のポール6と、冷凍機7(冷却部)と、電源装置8(電源部)と、電流導入ライン9(電力導入部)と、を備える。
この超伝導サイクロトロン1では、真空状態のクライオスタット3の内部に超伝導コイル体4を配置して冷凍機7により冷却し、超伝導コイル体4に電流導入ライン9を介して電流を流すことにより強力な磁場を形成する。一対のポール6間の空間Gには、図示しない一対のディー電極(加速電極)が配置される。イオン源から供給された荷電粒子は、一対のポール6及びディー電極(不図示)の働きにより加速され、荷電粒子線として出力される。
なお、以下の説明では、超伝導サイクロトロン1の中心軸Cが上下方向に延在する姿勢(横置きの姿勢)で配置された例について説明する。なお、超伝導サイクロトロン1は、例えば中心軸Cが水平方向に延在する姿勢(縦置きの姿勢)で配置してもよい。すなわち、説明中における「上下左右」は、部材の配置方向などを限定するものではなく、「上下」と「左右」を置き換えることも可能である。
ヨーク2は、中空の円盤型ブロックであり、その内部にクライオスタット3が配置される。ヨーク2内におけるクライオスタット3の位置は、クライオスタット3が配置された穴を塞ぐように差し込まれたブロック体2aにより維持される。
クライオスタット3は、超伝導コイル体4を超伝導状態とするための環境を提供する真空容器である。中空の円環状を有するクライオスタット3は、その内部に円環状の超伝導コイル体4を収容する。また、クライオスタット3の空芯部位(超伝導コイル体4の空芯部位)には、一対のポール6が配置される。
超伝導コイル体4は、二個の超伝導コイル11,12と、コイル支持部材13とを有する。円環状の超伝導コイル11,12は、その中心軸が中心軸Cと一致するように、中心軸Cの方向に並置される。超伝導コイル11,12は、金属製のコイル支持部材13に取り付けられて一体的に支持されている。コイル支持部材13は、上部フランジ13aと、下部フランジ13bと、上部フランジ13a及び下部フランジ13bとの間に配置された中央フランジ13cと、を有する。超伝導コイル12は、上部フランジ13aと、中央フランジ13cとの間に配置され、超伝導コイル11は、中央フランジ13cと、下部フランジ13bとの間に配置される。下部フランジ13bには冷凍機7の一部が接触しており、超伝導コイル体4が直接的に冷却される。冷凍機7としては、例えば小型GM冷凍機を採用することができる。
超伝導コイル体4は、支持部材14,16によって支持される。引張型支持部材14は、クライオスタット3の内面3aと超伝導コイル体4の上部フランジ13aとの間に設けられる。引張型支持部材16は、内面3aと対面する内面3bと超伝導コイル体4の下部フランジ13bとの間に設けられる。すなわち、引張型支持部材14,16は、上下一対として超伝導コイル体4を挟むように配置される。
続いて、図2を参照しながら、電流導入ライン9について説明する。ここでは、図2に示されるように、鉛直方向にZ軸を取ったXYZ直交座標系を設定し、各部位の位置関係の説明に用いる場合がある。電流導入ライン9は、クライオスタット3の一部をなす容器円筒部3cを有している。
電流導入ライン9は、電源装置8から供給される電力を超伝導コイル12に送るための一対の正極側導電部20A及び負極側導電部20Bを備える。正極側導電部20Aと負極側導電部20Bとは、容器円筒部3c内で隣接して並設され、両者の間に絶縁部材(図示せず)を挟むことにより互いに電気的に絶縁される。正極側導電部20Aと負極側導電部20Bとの構成は鉛直面に対して互いに対称である。以下、正極側導電部20Aの構成を例に説明し、負極側導電部20Bについての説明を省略する。
正極側導電部20Aは、入力端子31とコイル電極33との間を繋ぐように容器円筒部3c内部に延在する。正極側導電部20Aは、入力端子31からコイル電極33までの電流経路を構成する複数の導電部材を有する。電流経路を構成する導電部材は、入力端子31側から順に連結されたブスバー21、屈曲部22、上部導電体ブロック23、超伝導電流リード24、下部導電体ブロック26、銅編線27(第1導電部)、電極ブロック32(第2導電部)及びコイル電極33を含む。超伝導電流リード24は超伝導材料からなる。また、他の導電部材は例えば銅からなり、高い導電性と高い熱伝導性を有する。
上部導電体ブロック23と下部導電体ブロック26とは、ステンレス製の鉛直支柱29により機械的に連結される。鉛直支柱29は、電流導入ライン9の上部導電体ブロック23からZ方向に沿った方向に作用する荷重を負担する。
上部導電体ブロック23と下部導電体ブロック26とは、超伝導電流リード24により電気的に接続される。超伝導電流リード24は、電源装置8及び超伝導コイル12の間に設けられて、電源装置8から超伝導コイル12への電流経路の一部を構成する。超伝導電流リード24は、Y方向に厚みを持つ板状をなし、鉛直支柱29と平行に延在する。超伝導電流リード24の端部のうち、電源装置8側の端部24aには上部導電体ブロック23が設けられ、超伝導コイル12側の端部24bには下部導電体ブロック26が設けられる。
超伝導電流リード24は、例えば、ビスマス系等の超伝導材料からなり、複数本の細線状の超伝導材料を、又は複数枚の薄板状の超伝導材料を、半田等の冶金的な方法で一体化して形成される。超伝導電流リード24は、超伝導材料からなるので、通電による発熱が抑えられる。また、超伝導電流リード24は、延在する方向に垂直な方向の断面積が小さいため、電源装置8側から超伝導コイル12への熱の侵入が抑えられる。
銅編線27は、電源装置8から供給された電流が導通する。電極ブロック32は、銅編線27と電気的に接続されて、銅編線27から送られてきた電流が導通する。コイル電極33は、電極ブロック32と電気的に接続されて、電極ブロック32から送られてきた電流を超伝導コイル12に供給する。
上述したように、電流導入ライン9は、複数の構成部品が互いに機械的に固定されて構成される。以下、銅編線27、電極ブロック32及びコイル電極33の機械的な締結構造を例に説明する。
図3に示されるように、銅編線27、電極ブロック32及びコイル電極33は、ボルト34及びナット36による締結部により共締めされている。具体的には、銅編線27は貫通孔27aを有し、電極ブロック32は貫通孔32aを有し、コイル電極33は貫通孔33aを有する。銅編線27、電極ブロック32及びコイル電極33は、貫通孔27a,32a,33aの中心線が同一線上に重複するように配置される。そして、銅編線27側にボルト34の頭部が位置し、ボルト34のネジ部の端部がコイル電極33よりも突出するようにボルト34が配置される。突出したネジ部には、ナット36がねじ込まれる。この締結構造40により、銅編線27及びコイル電極33が電極ブロック32に対して押圧するように固定される。
ここで、図3に示された締結構造40は、円筒状の座部材37(座部)を有する。座部材37は、ボルト34の頭部と、銅編線27との間に配置される。すなわち、締結構造40は、銅編線27、座部材37、電極ブロック32及びコイル電極33がこの順でボルト34及びナット36により共締めされる。なお、座部材37は、コイル電極33とナット36との間に配置されてもよい。
ボルト34には、例えば、鉄系の材料が用いられ、具体的には普通鋼、炭素鋼、合金鋼が用いられる。一般には、ボルト34には、SUS304が用いられる。また、電極ブロック32には、導電性を有する材料が用いられ、例えば、電気良導体である銅やアルミニウムが用いられる。電気良導体である材料は、ボルト34を構成する材料よりも、線膨張係数が大きい。例えば、炭素鋼の線膨張係数は11×10−6/K程度であるのに対し、銅の線膨張係数は16.8×10−6/K程度である。従って、温度が変化したとき、単位長さ当たりの熱膨張量(又は熱収縮量)は、電極ブロック32がボルト34の1.5倍から2.5倍程度になる。
また、座部材37には、ボルト34を構成する材料の線膨張係数よりも、線膨張係数が小さい材料が用いられる。すなわち、座部材37には、電極ブロック32を構成する材料の線膨張係数よりも、線膨張係数が小さい材料が用いられる。例えば、座部材37には、セラミック系材料、インバー合金系材料といった材料が用いられる。例えば、セラミック(アルミナ系)の線膨張係数は7×10−6/K程度であり、インバー合金系材料は2×10−6/K程度である。また、座部材37には、負の線膨張係数を有する材料を用いることが好ましい。このような材料には、例えば、シリコン酸化物といった複合酸化物系材料や、有機繊維系材料が挙げられる。例えば、シリコン酸化物の線膨張係数は−2×10−6/K〜−5×10−6/K程度である。
次に、比較例に係る超伝導サイクロトロンが備える締結構造における作用と比較しつつ、本実施形態の超伝導サイクロトロン1が備える締結構造40の作用について説明する。
図5は、比較例に係る超伝導サイクロトロン100の電流導入ラインが備える締結構造111を示す。この締結構造111は、銅編線27、電極ブロック32及びコイル電極33がボルト34及びナット36により共締めされている点で、本実施形態の締結構造40と共通する。一方、比較例の締結構造111は、座部材37を有しない点で本実施形態の締結構造40と相違する。
比較例に係る締結構造111は、その組立工程において、室温でボルト34が所定トルクで締め付けられる。そうすると、ボルト34とナット36との間には所定の軸力が発生し、銅編線27と電極ブロック32との間、及び電極ブロック32とコイル電極33の間に所定の接触圧力が発生する。この接触圧力は、銅編線27と電極ブロック32との間、及び、電極ブロック32とコイル電極33の間における電気抵抗に対応する。図4に示されるように、接触圧力が大きいほど、電気抵抗は小さくなる。電流導入ラインには大電流が供給されるため、電流導入ラインの各箇所における電気抵抗は低く保たれることが望ましい。そこで、図4に示されたグラフから、所定の接触抵抗Aを確保するために必要な接触圧力Bが得られ、その接触圧力Bを発生可能な軸力が得られ、最終的にボルト34及びナット36の締付トルクが決定される。
ところで、比較例に係る電流導入ライン及び本実施形態に係る電流導入ライン9は、クライオスタット3の外部から内部へ電流を導入するものである。そうすると、電流導入ラインの一端側はクライオスタット3の外部に配置され、他端側はクライオスタット3の内部に配置される。ここで、クライオスタット3の外部は室温に近い温度環境であるのに対し、クライオスタット3の内部は超伝導コイル11,12を冷却しているため極低温の温度環境である。従って、電流導入ラインにおいてクライオスタット3の内部に配置された、例えば、図3及び図4に示されるような締結構造40,111は、極めて低い温度環境に晒される。
ここで、所定の接触圧力が発生された締結構造111を低温環境下に配置したとする。そうすると、締結構造111を構成する各部品は、それぞれの材料が有する線膨張係数と寸法値とに基づいて熱収縮する。具体的には、電極ブロック32は、軸方向(Z方向)の長さと線膨張係数と温度変化とに基づいて所定長さだけ熱収縮する。同様に、ボルト34も、軸方向の長さと線膨張係数と温度変化とに基づいて所定長さだけ熱収縮する。ここで、上述したように、電極ブロック32の線膨張係数は、ボルト34の線膨張係数の1.5倍から2.5倍程度である。そして、電極ブロック32とボルト34との軸方向の長さは略等しく、室温からの温度差も同じであると仮定すると、軸方向への熱収縮量は、電極ブロック32がボルト34よりも大きい。
軸力は、室温でボルト34を締め付けたときに生じるボルト34の延び、及び電極ブロック32の縮みが元の自然長に戻ろうとする力による。ここで、電極ブロック32とボルト34とを単体で考えたとき、電極ブロック32は、冷却されることにより自然長が室温時よりも短くなる。すなわち、自然長からの縮みが、室温環境下よりも低温環境下では小さくなり、軸力が低下する方向に作用する。ボルト34も、冷却されることにより自然長は室温時よりも短くなる。一方、締め付けられたボルト34は自然長よりも引き延ばされた状態であるので、冷却されて自然長が短くなると、自然長からの伸び量が増加する方向に働くので、軸力は増加する方向に作用する。
例えば、温度差に対応する電極ブロック32の熱収縮量と、ボルト34の熱収縮量とが同じであるとする。そうすると、電極ブロック32に起因する軸力減少の要因と、ボルト34に起因する軸力増加の要因とが相殺されて、軸力が増加又は減少することは無い。
しかし、実際には、温度差に対応する電極ブロック32の熱収縮量は、ボルト34の熱収縮量よりも大きい。そうすると、電極ブロック32に起因する軸力減少の要因が、ボルト34に起因する軸力増加の要因を上回るので、結果的に軸力は減少してしまう。従って、室温からの温度差を大きくすればするほど、軸力が低下するので、結果的に、銅編線27と電極ブロック32との間と、電極ブロック32とコイル電極33との間における接触圧力が低下し、所定の接触抵抗を維持できなくなる虞がある。そして、この電流導入ライン9には、超伝導コイル12が超伝導状態であるとき大電流が流れる。このため、電流導入ライン9において電気抵抗が増大した箇所が発生すると、電力損失が生じると共に、ジュール熱が発生してクライオスタット3内の温度の上昇を生じさせる虞がある。また、電源装置8の負荷が増大する虞もある。従って、超伝導サイクロトロン1の動作効率が低下する。
上記理由から、室温環境下において所定の軸力を発生させた締結構造111を低温環境に晒したときに、所定の軸力を維持するためには、温度差に対応する電極ブロック32を含む区間の熱収縮量と、ボルト34の熱収縮量とが互いに近くなるようにすればよい。
そこで、本実施形態の電流導入ライン9は、ボルト34の頭部における座面と、銅編線27との間に座部材37を配置している。この座部材37は、ボルト34よりも小さい線膨張係数を有する材料からなる。そうすると、座部材37を挟み込んだ締結構造40では、ボルト34とナット36との間に生じる熱収縮量が、ボルト34の熱収縮量に近くなる。従って、軸力の低下が抑制されるので、接触圧力の低下を抑制することが可能になる。そして、所定の接触抵抗が維持されるので、電力損失が低減されると共に、ジュール熱の発生が抑制される。従って、超伝導サイクロトロン1の動作効率の低下を抑制することができる。
より詳細には、ボルト34とナット36との間には、座部材37、銅編線27、電極ブロック32及びコイル電極33が挟まれている。従って、ボルト34とナット36との間に生じる熱収縮量とは、座部材37、銅編線27、電極ブロック32及びコイル電極33におけるそれぞれの熱収縮量の総和である。このうち、ボルト34とナット36との間に生じる熱収縮量には、座部材37及び電極ブロック32における熱収縮量が大きな影響を及ぼす。そこで、室温からの温度差に対応する電極ブロック32の熱収縮量を算出すると共に、当該温度差に対応するボルト34の熱収縮量を算出する。次に、電極ブロック32の熱収縮量とボルト34の熱収縮量の差分を算出する。この差分から冷却時における軸力が推定される。一方、所定の接触抵抗を確保するために要する軸力は図4のグラフなどから明らかであるので、冷却時における軸力と要求軸力との差分が算出される。次に、冷却時における軸力と要求軸力との差分から、電極ブロック32の熱収縮量とボルト34の熱収縮量との差分の許容範囲が算出される。そして、座部材37の熱収縮量と電極ブロック32における熱収縮量との和と、ボルト34の熱収縮量との差分が、この許容範囲になる座部材37の熱収縮量が算出される。座部材37の熱収縮量は、座部材37の線膨張係数と軸方向(Z方向)に沿った長さによって設定することができる。
要するに、座部材37の熱収縮量及び電極ブロック32の熱収縮量の総和と、ボルト34の熱収縮量と、の差分が、許容範囲にあればよいと言える。また、座部材37の熱収縮量及び電極ブロック32の熱収縮量の総和が、ボルト34の熱収縮量と等しければよいとも言える。さらに、座部材37の熱収縮量及び電極ブロック32の熱収縮量の総和が、ボルト34の熱収縮量よりも大きければよいとも言える。
なお、座部材37には、ボルト34の軸方向(延在方向)に沿って負の線膨張係数を有する材料を用いることが好ましい。このような座部材37によれば、座部材37の熱収縮量及び電極ブロック32の熱収縮量の総和をボルト34の熱収縮量と等しくすることが可能になる。また、座部材37の熱収縮量及び電極ブロック32の熱収縮量の総和が、ボルト34の熱収縮量よりも大きくすることも可能になる。従って、接触抵抗を好適に確保することが可能になるので、超伝導サイクロトロン1の動作効率の低下を好適に抑制できる。
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
例えば、本発明の別の形態は、電流導入ライン9を備える超伝導電磁石であってもよい。超伝導電磁石は、ヨーク2と、クライオスタット3と、超伝導コイル体4と、冷凍機7(冷却部)と、電源装置8(電源部)と、電流導入ライン9と、を備える。すなわち、超伝導電磁石に、一対のポール6を配置したものが本発明の一形態である超伝導サイクロトロン1である。
また、上記電流導入ライン9は、超伝導サイクロトロン1や超伝導電磁石のほか、密閉された低温環境下に配置された機器に電流を供給する構成を要する種々の装置に適用可能である。例えば、種結晶を利用して半導体融液から半導体単結晶を成長させるチョクラルスキー法(CZ法)による結晶成長装置に適用することも可能である。
また、上述した実施形態では、締結構造40は、銅編線27、電極ブロック32及びコイル電極33の3個の導電部材を締結していた。締結構造は、2個の導電部材を電気的及び機械的に固定するために用いられてもよい。例えば、図2に示された屈曲部22と上部導電体ブロック23との固定に、座部材37を有する締結構造を適用してもよい。
1…超伝導サイクロトロン、2…ヨーク、3…クライオスタット、4…超伝導コイル体、6…ポール、7…冷凍機(冷却部)、8…電源装置(電源部)、9…電流導入ライン(電力導入部)、40,111…締結構造、11,12…超伝導コイル、27…銅編線(第1導電部)、32…電極ブロック(第2導電部)、34…ボルト(締結部)、36…ナット(締結部)、37…座部材(座部)。

Claims (3)

  1. 超伝導コイルと、
    前記超伝導コイルを収容するクライオスタットと、
    前記クライオスタットに収容された前記超伝導コイルを冷却する冷却部と、
    前記超伝導コイルへ電力を供給する電源部と、
    前記クライオスタットを貫通し、前記電源部からの電力を前記クライオスタットに収容された前記超伝導コイルへ導入する電力導入部と、を備え、
    前記電力導入部は、
    前記電源部から供給された電流が導通する第1導電部と、
    前記第1導電部と電気的に接続されて、前記第1導電部から送られてきた電流が導通する第2導電部と、
    前記第1導電部を前記第2導電部に対して押圧するように固定する締結部であって、前記第1導電部側に配置された第1の部分と、前記第1導電部及び前記第2導電部を挟むように前記第2導電部側に配置された第2の部分と、前記第1導電部及び前記第2導電部を貫通して前記第1の部分及び前記第2の部分を連結する第3の部分と、を含む、前記締結部と、
    前記締結部の前記第1の部分と前記第1導電部の間、又は、前記締結部の前記第2の部分と前記第2導電部との間に配置された座部を有し、
    前記座部を形成する材料の線膨張係数は、前記締結部の前記第3の部分を形成する材料の線膨張係数よりも小さく、
    前記座部を形成する材料の線膨張係数は、前記第1導電部及び前記第2導電部を形成する材料の線膨張係数よりも小さい、超伝導サイクロトロン。
  2. 前記座部は、前記締結部の延在方向に沿った負の線膨張係数を有する、請求項1に記載の超伝導サイクロトロン。
  3. 超伝導コイルと、
    前記超伝導コイルを収容するクライオスタットと、
    前記クライオスタットに収容された前記超伝導コイルを冷却する冷却部と、
    前記超伝導コイルへ電力を供給する電源部と、
    前記クライオスタットを貫通し、前記電源部からの電力を前記クライオスタットに収容された前記超伝導コイルへ導入する電力導入部と、を備え、
    前記電力導入部は、
    前記電源部から供給された電流が導通する第1導電部と、
    前記第1導電部と電気的に接続されて、前記第1導電部から送られてきた電流が導通する第2導電部と、
    前記第1導電部を前記第2導電部に対して押圧するように固定する締結部であって、前記第1導電部側に配置された第1の部分と、前記第1導電部及び前記第2導電部を挟むように前記第2導電部側に配置された第2の部分と、前記第1導電部及び前記第2導電部を貫通して前記第1の部分及び前記第2の部分を連結する第3の部分と、を含む、前記締結部と、
    前記締結部の前記第1の部分と前記第1導電部の間、又は、前記締結部の前記第2の部分と前記第2導電部との間に配置された座部を有し、
    前記座部を形成する材料の線膨張係数は、前記締結部の前記第3の部分を形成する材料の線膨張係数よりも小さく、
    前記座部を形成する材料の線膨張係数は、前記第1導電部及び前記第2導電部を形成する材料の線膨張係数よりも小さい、超伝導電磁石。
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