JP6528664B2 - ウェアラブルデバイス - Google Patents

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Description

この開示は、ウェアラブルデバイスに関し、より特定的には、音声を発する機能を備えるウェアラブルデバイスに関する。
近年、スマートフォンやタブレットに代表されるスマートデバイスの普及が進んでいる。これらスマートデバイスの中には、スピーカーを搭載し、ユーザーに対して情報を提供する種類が存在する。しかしながら、スマートデバイスの多くは小型であるため、スピーカーに用いられる振動体(コーン)も自ずと小型のものに限定される。そのため、スマートデバイスのような小型デバイスに搭載されるスピーカーから放射される音は、音圧レベルが低くなり、聞き取りにくい傾向にある。
小型デバイスに搭載されるスピーカーの音圧レベルを上げる技術に関し、特開平10−136489号公報(特許文献1)は、携帯端末に搭載した振動板の両側から位相が互いに180度ずれた音を発生させ、振動板の一方の側から出る音を、長さを音の波長の2分の1の奇数倍にした管を通過させることによって位相を反転させ、筐体の開口から外部に放射することにより、音圧レベルを増加させる構成を開示している。
また、特開2014−120853号公報(特許文献2)は、スピーカーが組み込まれる筐体の内部で発生した熱を筐体の外部に放出するための一又は複数の通気孔を備え、少なくとも一つの通気孔が、筐体の内部に送出される音波をヘルムホルツ共鳴器としての音孔として機能させ、低音域の音圧を増幅させる構成を開示している。
特開平10−136489号公報 特開2014−120853号公報
ウェアラブルデバイスは、ユーザーに長時間にわたって身に着けられるため、従来の情報端末(たとえば、スマートフォン)などに比して、小型化および軽量化についての改良をより求められる。
そのため、ウェアラブルデバイスは、筐体のサイズを大きくすることなく、プロセッサや通信チップなどの発熱デバイスからの伝熱によりユーザーが感じる不快感を低減させることが求められる。
また、スピーカーを搭載するウェアラブルデバイスは、スピーカー(振動体)のサイズを大きくすることなく、ウェアラブルデバイスのユーザーが音声をより容易に聞き取れるようにすることが求められる。
この点について、特許文献1に開示される技術は、携帯端末における音圧改善にのみ言及しており、携帯端末における熱設計については何ら言及されていない。
一方、特許文献2に開示される技術は、携帯端末における音圧改善に加えて、排熱改善についても言及している。しかしながら、同技術は、スマートフォンなどの携帯端末に関するものであって、ユーザーの身体に長時間にわたって接することを想定していない。
本開示は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、ある局面における目的は、筐体のサイズを大きくすることなくユーザーの熱的な不快感を低減し、かつ、ユーザーが容易に音声を聞き取ることができるウェアラブルデバイスを提供することである。
ウェアラブルデバイスは、ユーザーがウェアラブルデバイスを装着したときに当該ユーザーと対向する身体がわ面を有するとともに、身体がわ面とは異なる面に第1および第2の孔を有する筐体と、筐体の内部に配置され、身体がわ面の延在方向と同方向に延在する内部隔壁と、内部隔壁により身体がわ面の側に形成される第1の空間内に第2の孔と関連付けて配置される振動体と、内部隔壁により第1の空間とは反対の側に形成される第2の空間内に配置され、動作時に発熱する部位を含む回路基板と、第1の空間において、振動体から第2の孔までの音の伝搬経路より長い、振動体から第1の孔までの音の伝搬経路を形成するとともに、振動体から第1の孔までの音の伝搬経路において、振動体の最低共振周波数よりも低い周波数での共振を生じさせるための導波部材とを有する。
好ましくは、第1および第2の孔は、筐体を構成する面のうち、ユーザーがウェアラブルデバイスを装着したときに当該ユーザーの頭部と対向する面に設けられる。
好ましくは、導波部材は、第1の孔と第1の空間とを連通し、両端が開口された管路を含み、振動体から導波部材に向けて放射される音を振動体の最低共振周波数よりも低い所定の周波数で共振させるように、管路の長さ、管路の軸に対する水平の断面積、および第1の空間のうち管路が占める空間を除いた空間の容積が設定される。
好ましくは、筐体は第1の孔を複数有する。導波部材は、複数の第1の孔どうしを連通する管路を含む。振動体は、管路内に露出するように設けられる。管路の長さは、振動体から管路に向けて放射される音を、振動体の最低共振周波数よりも低い所定の周波数で共振させるように設けられる。
好ましくは、導波部材は、第1の孔と振動体とを連通する管路を含む。振動体は、管路内に露出するように設けられる。管路は、一端が閉鎖、他端が第1の孔へ開口するように設けられる。管路の長さは、振動体から管路に向けて放射される音を、振動体の最低共振周波数よりも低い所定の周波数で共振させるように設けられる。
好ましくは、導波部材は、一端が閉鎖、他端が第1の孔へ開口するように設けられ、一端から他端までを非直線の経路で連通する管路を含む。管路の長さは、当該管路の長さの2倍の波長をもつ音波の周波数が、振動体の最低共振周波数よりも低い所定の周波数域にとなるように設けられる。
好ましくは、所定の周波数域は、第1フォルマント周波数の各周波数および第2フォルマント周波数の各周波数のうち少なくともいずれか1つの周波数を含む。
好ましくは、内部隔壁は断熱材により構成される。
好ましくは、筐体の身体がわ面と対向する側で延在する熱拡散板と、回路基板のうち少なくとも動作時に発熱する部位と熱拡散板とを接続するための伝熱部材とをさらに有する。熱拡散板の熱伝導率は、内部隔壁の熱伝導率より大きい。
好ましくは、回路基板に電力を供給するための電池をさらに有する。電池は、第2の空間に設けられる。
一実施形態に従うウェアラブルデバイスは、筐体のサイズが制限されている場合であっても、ユーザーの熱的な不快感を低減し、かつ、ユーザーが容易に音声を聞き取ることができる。
実施形態1に従うウェアラブルデバイスの使用状態の一例について説明する図である。 実施形態1に従うウェアラブルデバイスの構成例について説明する図である。 実施形態1に従うウェアラブルデバイスの内部構成例を説明する図である。 フォルマント周波数について説明する図である。 関連するウェアラブルデバイスのスピーカーの音圧特定について説明する図である。 関連するウェアラブルデバイスの構成例を説明する図である。 ヘルムホルツ共振器について説明する図である。 ヘルムホルツ共振器を利用するスピーカーの音圧特性を説明する図である。 実施形態1に従うウェアラブルデバイスのスピーカーの音圧特性を説明する図である。 実施形態1に従う表示部の構成例について説明する図である。 実施形態2に従うウェアラブルデバイスの構成例について説明する図である。 両端が開口された開管における音の共振について説明する図である。 実施形態2に従うウェアラブルデバイスのスピーカーの音圧特性について説明する図である。 実施形態2に従うウェアラブルデバイスのスピーカーの音圧特性について説明する図である。 実施形態3に従うウェアラブルデバイスの構成例について説明する図である。 一端が開口され、他端が閉鎖される閉管における音の共振について説明する図である。 実施形態3に従うウェアラブルデバイスのスピーカーの音圧特性について説明する図である。 実施形態3に従うウェアラブルデバイスのスピーカーの音圧特性について説明する図である。 実施形態4に従うウェアラブルデバイスの構成例について説明する図である。 音響迷路について説明する図である。 実施形態4に従うウェアラブルデバイスのスピーカーの音圧特性について説明する図である。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
[実施形態1−ヘルムホルツ共振]
<A.全体構成>
図1は、実施形態1に従うウェアラブルデバイス100の使用状態の一例について説明する図である。図1を参照して、ユーザーはウェアラブルデバイス100をベルトなどに装着している。図1に示されるように、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100を使用する間は常に、自身の身体に接するように保持する。
ウェアラブルデバイスは、後述する発音部材によってユーザーに音声を発する。また、ウェアラブルデバイス100には、無線通信回路(不図示)が内蔵されており、本デバイスのユーザーは、遠隔地などに設置される他の装置(不図示)と情報のやり取りを行うことができる。
ウェアラブルデバイス100には、オプションとしてケーブル220を介して表示部200を接続することができる。ユーザーは、ウェアラブルデバイス100が受信した映像を表示部200を介して視ることができる。
<B.ウェアラブルデバイス100>
(b1.構成)
図2は、実施形態1に従うウェアラブルデバイスの構成例について説明する図である。図2を参照して、ウェアラブルデバイス100は、ユーザーがウェアラブルデバイス100を装着したときに、ユーザーの身体と対向する面(以下、「身体がわ面」とも称する。)と逆側の面(以下、「正面」とも称する。)に操作ボタン11および電源ボタン12が配置され、後述する電池60を保持するための電池保持部14を下部に有する。電池保持部14は、着脱可能な電池蓋16を有する。ウェアラブルデバイス100のユーザーは、電池蓋16を取り外して電池60の交換などを行う。
ウェアラブルデバイス100の上面には、汎用インターフェース18と、HMD(Head Mounted Display)接続部20と、マイク/イヤホン接続部22と、振動体前面開口26と、振動体背面開口28とが、側面には外部電源接続部24が設けられている。
汎用インターフェース18と他のデバイスとの接続方法は、汎用プロトコルを用いて行われる。汎用プロトコルの例としては、USB(Universal Serial Bus)やPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)バス等が挙げられる。汎用インターフェース18には、たとえば、マイクロスコープカメラ(不図示)が接続され、ユーザーは、肉眼で確認できないものをマイクロスコープカメラを用いて撮影し、表示部200を介して視ることができる。また、他の例として、汎用インターフェース18にはGPS(Global Positioning System)レシーバーが接続され、ユーザーまたはウェアラブルデバイス100と通信する装置は、ウェアラブルデバイス100の位置を確認することができる。
HMD接続部20は、後述する表示部200のHMD接続端子210と接続可能に構成される。マイク/イヤホン接続部22は、マイクおよびイヤホン(不図示)を接続可能に構成される。ユーザーは、騒音などで後述するウェアラブルデバイス100の発音部材30の音声が聞き取りにくい環境の場合に、イヤホンを通じて聞き取ることができる。
外部電源接続部24は、携帯型リチウム電池(不図示)などのバッテリーを接続するための端子であって、ウェアラブルデバイス100の駆動時間のより長時間化を実現する。
図3は、実施形態1に従うウェアラブルデバイス100の内部構成例を説明する図である。図3(a)は、実施形態1に従うウェアラブルデバイス100を上面から見た図である。中央に振動体前面開口26が振動体32と関連付けて設けられ、その両端に、振動体背面開口28が設けられる。
(b2.熱設計)
図3(b)は、図3(a)の切断線i−iにおけるウェアラブルデバイス100の断面図である。図3(b)を参照して、ウェアラブルデバイス100は、樹脂材料で形成される筐体50の内部に各種デバイスが配置されている。ウェアラブルデバイス100は、身体がわ面120に、ベルトクリップ70を有する。ユーザーはベルトクリップ70を自身のベルトにひっかけてウェアラブルデバイス100を保持する。
筐体110の内部には、身体がわ面120の延在方向と同方向に設けられる内部隔壁50が配置される。内部隔壁50は、筐体110の内部空間を、身体がわ面120の側に形成される身体側空間と、身体側空間とは逆側に形成される正面側空間とに区分けし、これらの空間の間での空気の流動を禁止する。内部隔壁50は、アクリルなどの樹脂材料で形成される。
身体がわ面120および内部隔壁50は、一様な面であってもよいし、凹凸を含む面であってもよい。また、内部隔壁50は、身体がわ面120と平行である必要はない。具体的には、内部隔壁50は、筐体110の内側の面のうち身体がわ面120に対応する面と、身体側空間が接するように設けられればよい。
正面側空間には、ウェアラブルデバイス100の使用(動作)時に発熱するプロセッサや無線通信回路などの発熱部位42を含むメイン基板40が配置されている。そのため、ウェアラブルデバイス100は、使用時に発熱部位42が発熱したとしても、熱抵抗の大きい身体側空間の空気層によって、ユーザーに熱が伝わりにくい、という構成を有する。この構成により、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100を長時間にわたって身に着けていても、ウェアラブルデバイス100の熱による不快を感じにくくなる。
メイン基板40の上部にはHMD接続部20を接続するコネクタ44が設けられる。正面側空間と接する筐体110の内側の面のうち、内部隔壁50と対向する面と、メイン基板40との間には、熱拡散板48が配置される。熱拡散板48は、内部隔壁50よりも熱伝導率が高い材料で形成される。一例として、熱拡散板48は、アルミニウムで形成される。なお、他の局面において、熱拡散板48は、筐体110の身体がわ面120と対向する側で延在するように配置されてもよい。
熱拡散板48と発熱部位42との間には、シリコーンなどの伝熱部材46が配置され、発熱部位42が発する熱を熱拡散板48へと伝える。これにより、発熱部位42の発する熱は筐体110の正面側へ、そして筐体110の外側の空間(以下、「外部空間」とも称する。)へと拡散される。これにより、ウェアラブルデバイス100は、ユーザーの熱的な不快感を低減することができる。
なお、上記の例では、筐体110の内部空間は、内部隔壁50によって2つに区分けされているが、これに限られない。筐体110の内部に複数の内部隔壁を設けることによって内部空間が3つ以上に区分けされていてもよく、たとえば、正面側空間と身体側空間との間に第3の空間を設けられていてもよい。
また、図3において、1カ所の発熱部位42に対して1カ所の伝熱部材46が配置される構成を開示しているが、複数の発熱部位に対して複数の伝熱部材46を配置する構成であってもよい。
また、メイン基板40の銅箔残存率が高いなど、基板自体の熱伝導率が高い場合には、メイン基板40と熱拡散板48との間に伝熱部材46を配置してもよい。
操作ボタン11には、操作基板49が接している。操作基板49は、内部にスイッチ(不図示)を実装しており、操作ボタン11の押圧によって当該スイッチのオン/オフが切り替えられる。
正面側空間の下部には、電池60が収納できるスペースが設けられる。電池60は、ウェアラブルデバイス100の使用時に、メイン基板40に電力を供給するとともに、発熱する。電池60から発せられる熱は、身体側空間の空気層によって、ユーザーには伝わりにくい。そのため、ウェアラブルデバイス100は、ユーザーの熱的な不快感を低減することができる。
(b3.発音部材30)
筐体110の内部の身体側空間には、発音部材30が配置される。図3(c)は図3(a)の切断線ii−iiにおけるウェアラブルデバイス100の断面図である。発音部材30に設けられる振動体32は、メイン基板42から電力を供給されることによって振動し、振動体前面開口26および振動体背面開口28から外部空間へと音波を放射する。本例において、振動体32は、外径13mmの円形であるとする。
振動体32は、外部空間の側の面(以下、「振動体32の前面」とも称する。)が外部空間に向かって露出しており、内部空間の側の面(以下、「振動体32の背面」とも称する。)が身体側空間に向かって露出するように構成される。
振動体前面開口26は、外部空間と身体側空間とを連通する複数の孔であって、振動体32の前面から放射される音を外部空間へと放射する。なお、別の局面において、振動体前面開口26は、複数の孔ではなく、振動体32と同程度の大きさの1つの孔であってもよい。
振動体背面開口28は、外部空間と身体側空間とを連通する孔であって、振動体32の背面から放射される音を外部空間へと放射する。振動体32の前面から放射される音と、振動体32の背面から放射される音とは、位相が180度異なる。これらの音が身体的空間内で互いに打ち消しあわないように、発音部材30の周囲に外壁140が設けられている。
振動体前面開口26および振動体背面開口28は、筐体110を構成する面のうち、ウェアラブルデバイス100の装着時に、ユーザーの頭部と対向する面であって、かつ、ユーザーの頭部により近い面に設けられる。なお、他の局面において、振動体前面開口26および振動体背面開口28は、身体がわ面120とは異なる面に設けられてもよい。
振動体背面開口28からは、その両端が開口された管路130が身体側空間に向かって設けられている。管路130は、振動体32の背面から放射される音(音波)を外部空間へと導く導波部材としての役割を果たす。振動体32の背面は、管路130内に露出するように構成される。
管路130は、振動体32の前面から振動体前面開口26までの音の伝搬経路よりも長い、振動体32の背面から振動体背面開口28までの音の伝搬経路を形成する。
管路130は、振動体32の背面から放射される音(音波)を共振によって増幅し、ウェアラブルデバイス100のスピーカーの音圧特性を改善する。ここで、「スピーカー」とは、発音部材30、振動体32、振動体前面開口26および振動体背面開口28が設けられた筐体110、管路130、などのウェアラブルデバイス100の音声に関するデバイスによって構成される音響装置のことをいう。
(b4.スピーカーの音圧特性)
人の話し声を聞き取り、内容を理解するためには、概ね300Hz〜3kHzの周波数帯にわたって十分な音圧レベルが必要とされるとともに、当該周波数帯において、できるだけ均一な音圧レベルであることが好ましい。また、この周波数帯の中でも、特にフォルマント周波数の音圧レベルが低いと、人の話声を聞き取りにくくなる。
フォルマント周波数とは、人の音声のスペクトルにおける、時間的に移動している複数のピーク周波数をいう。図4に示されるように、周波数の低い順に第1フォルマント周波数、第2フォルマント周波数、・・・と呼ばれる。その中でも、特に人の音声の聞き取りに重要なのは、第1フォルマント周波数および第2フォルマント周波数であって、これらが母音の音質を決定する。
一方で、ウェアラブルデバイス100は人に長時間身に着けられるという性質上、筐体110のサイズは、小さいことが望ましい。そのため、ウェアラブルデバイス100が採用する振動体32は、小型(本例では外径13mm)になってしまう。
ここで、仮に振動体背面開口28が設けられておらず、振動体32の前面から放射される音のみによってユーザーに音声を伝える構成について説明を行う。
図5は、関連するウェアラブルデバイス100Xのスピーカーの音圧特定について説明する図である。図6(a)〜(c)に示されるように、ウェアラブルデバイス100Xの基本的な構成はウェアラブルデバイス100と同じであるが、振動体背面開口28および、管路130が設けられていない点で異なる。
ウェアラブルデバイス100Xのスピーカーは、概ね振動体32の前面から放射される音によってのみ音圧特性が決まる。そのため、図5を参照して、振動体32の最低共振周波数fsである約900Hzより低い周波数の音圧レベルは、1オクターブ毎に概ね15dBずつ減少する。これにより、1kHz以上の中高音域の音圧レベルと、1kHz未満の低音域の音圧レベルとの均衡が崩れる。その結果、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100Xのスピーカーの音声を聞き取りにくくなってしまう。
上記音圧特性の問題を改善するために、図3に示される実施形態に従うウェアラブルデバイス100は、振動体背面開口28および管路130を有する。より具体的には、ウェアラブルデバイス100は、振動体背面開口28および管路130によって、振動体32の背面から放射される音をヘルムホルツ共振させることによって増幅する。
図7は、ヘルムホルツ共振器について説明する図である。図7(a)を参照して、スピーカー500は、キャビネット510と、キャビネットの内部空間と外部空間とを連通するダクト520と、振動体530が設けられている。キャビネット510およびダクト520は空気で満たされている。
振動体530は、振動することによって外部空間に向けて音を放射するとともに、キャビネットの内部空間である空気ばねを圧縮および伸長させる。このとき、ダクト520の容積に相当する空気は質量Mの物体、キャビネットの内部空間は空気ばねとして作用し、図6(b)に示される振動系を構成する。この振動系は、下記の式(1)に表される共振周波数fhを有し、質量Mの物体(ダクト520の空気)は、当該共振周波数fhで大きく振動する。
式(1)において、cは音速、Sはダクト520の断面積、Vはキャビネット510の容積、Lはダクト520の長さ、rはダクト520の等価半径を表す。
スピーカー500の音圧特性は、振動体530の前面から放射された音の音圧特性と、振動体530の背面から放射され、ヘルムホルツ共振によって増幅された音の音圧特性とを足し合わせた合成特性となる。
スピーカー500は、ダクト520の構造(断面積、長さ)およびキャビネット510の容積を調整されることによって、共振周波数fhを振動体530の最低共振周波数fsよりも低い周波数に設定される。その結果、スピーカー500は、振動体530の背面から放射される音の低周波数域を増幅させることができる。これにより、スピーカー500は、図8に示されるように、低い周波数域であっても高い音圧レベルの音圧特性を有することとなる。
上述のヘルムホルツ共振の特性を用いて、実施形態に従うウェアラブルデバイス100の管路130の構造を調節する。本実施形態において、一例として、管路130は、断面積Sが6.0×10−5(m)、長さLが3.5×10−2(m)、等価半径rが4.4×10−3(m)であって、身体側空間のうち管路130が占める空間を除いた空間の容積Vは2.7×10−5(m)であるとする。
この場合、筐体110および管路130によるヘルムホルツ共振周波数fhは、式(1)に基づいて約410Hzとなる。図9は、実施形態1に従うウェアラブルデバイス100のスピーカーの音圧特性を説明する図である。
図9に示されるように、ウェアラブルデバイス100のスピーカーの音圧特性は、振動体32の背面から放射される音をヘルムホルツ共振させて増幅する。これにより、1kHz以上の中高音域の音圧レベルと、1kHz未満の低音域の音圧レベルとの均衡が保たれる。そのため、ユーザーは、当該スピーカーの音声を容易に聞き取ることができる。
また、ヘルムホルツ共振周波数fhは、母音「u」、「i」の第1フォルマント周波数と「o」、「e」の第1フォルマント周波数の概ね中間である410Hzに設定される。これにより、母音「u」「i」「o」「e」のフォルマント周波数の音圧レベルは、概ね均等に増幅される。その結果、ユーザーは、よりウェアラブルデバイス100のスピーカーの会話音声を聞き取りやすくなる。
なお、実施形態に従うウェアラブルデバイス100は、振動体32の最低共振周波数fs(900Hz)に比して、ヘルムホルツ共振周波数fh(400Hz)を約0.4倍に設定される。これにより、600〜700Hzの音圧レベルが下がる、音圧特性の谷が生じてしまう。しかし、この音圧特性の谷は、母音「e」の第1フォルマント周波数と「a」の第1フォルマント周波数との中間の周波数域に存在する。そのため、ユーザーは、音圧特性の谷によって、ウェアラブルデバイス100のスピーカーから発せられる会話音声の聞き取りを妨げられない。
なお、ヘルムホルツ共振周波数fhは、本実施形態において410Hz程度に設定されているが、筐体110および管路130の構造を変更することによって容易に変更される。人の音声を聞き取るという目的の場合、ヘルムホルツ共振周波数fhは、350〜500Hz程度に設定されることが好ましい。
(b5.小括)
上記によれば、実施形態に従うウェアラブルデバイス100は、CPUなど動作時に発熱するデバイスと、ユーザーとの間に身体側空間を設けられる。この身体側空間が熱抵抗として働くため、ウェアラブルデバイス100は、本デバイスによるユーザーの熱的な不快感を抑制することができる。
さらに、本ウェアラブルデバイス100は、振動体32の前面から放射される音に加えて、振動体32の背面から放射される音を利用することで低周波数域の音圧レベルを改善することができる。その結果、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100のスピーカーから放射される音声を容易に聞き取ることができる。
(b6.オプションとしての表示部200)
図10は、実施形態1に従う表示部200の構成について説明する図である。表示部200は、HMD接続端子210と、ケーブル220と、ディスプレイ230と、マイク240と、カメラ250とを有する。
HMD接続端子210は、ウェアラブルデバイス100のHMD接続部20と接続可能に構成される。
ディスプレイ230は、ウェアラブルデバイス100から出力される映像をケーブル220を介して表示する。マイク240は、ウェアラブルデバイス100のユーザーの音声を収集し、ウェアラブルデバイス100へ出力する。また、カメラ250は、ウェアラブルデバイス100のユーザーの視界とほぼ同等の映像を取得可能に構成され、取得した映像をウェアラブルデバイス100へ出力する。
[実施形態2−開管共鳴管]
上記の例では、振動体32の背面から放射される音を、身体側空間を利用したヘルムホルツ共振によって増幅する構成を説明した。以下の実施形態2−4において、振動体32の背面から放出される音を、他の構成によって増幅させ、スピーカーの音圧特性を改善する構成について説明する。
図11は、実施形態2に従うウェアラブルデバイス100Aについて説明する図である。本実施形態に従うウェアラブルデバイス100Aの基本構成は、上記実施形態に従うウェアラブルデバイス100と略同じであるため、相違する点についてのみ説明する。
図11(a)は、ウェアラブルデバイス100Aの上面を説明する図である。図11(b)、(c)は、図11(a)の切断線iii−iii、iv−ivにおけるウェアラブルデバイス100Aの断面図である。
図11(b)を参照して、ウェアラブルデバイス100Aの内部空間には、身体側空間と正面側空間とを区切る内部隔壁50Aが設けられる。内部隔壁50Aは、両空間との間の空気の流動を制限する。
図11(a)および(c)を参照して、筐体110を構成する面のうちHMD接続部20などが配置される上面には、振動体前面開口26を間に挟んで振動体背面開口28A−1および28A−2(以下、「振動体背面開口28A」と総称する場合もある。)が配置される。
また、筐体110の内部空間のうち身体側空間には、振動体背面開口28A−1および28A−2とを連通する開管130Aが設けられる。開管130Aは、鈍角の折り曲げ部を2カ所と、略直角の折り曲げ部を2カ所有し、これにより管の長さLを調整される。また、振動体32の背面は、開管130Aが占める空間に露出される。
開管130Aの断面積Sは、本実施形態において、一例として、7(mm)×10(mm)の長方形であって、開管130Aの実質的な長さLは、0.56mであるとする。
両端が開口された開管130Aは、振動体32の背面から放射される音をその内部の空間で共振させて増幅する。以下にその説明を行う。
図12は、両端が開口された開管における音の共振について説明する図である。図12(a)および(b)に示されるように、両端が開口された開管では、両端の開口部で自由端反射がおこる。そのため、特定の周波数の音波は、両端を節とする定在波を形成する。図12(a)に示されるように、基本的には、管の長さの2倍(2L)の波長をもつ周波数で共振が生じる。
また、この周波数の整数倍の周波数でも共振が生じるが、実質的にスピーカーの音圧特性に影響を与えるのは2倍の周波数までである。図12(b)では、管の長さLの波長をもつ周波数で共振が生じている。
本実施形態において、開管130Aの長さLは、0.56mであるので、開管130Aは、振動体32の背面から放射される音(振動体32から開管130Aに向けて放射される音)を302Hz、604Hz、・・・の周波数について増幅する。
図13は、実施形態2に従うウェアラブルデバイス100Aのスピーカーの音圧特性について説明する図である。振動体32の背面から放射される音は、開管130Aによって共振され、特に1kHz未満の低音域の音圧レベルを増幅する。これにより、図13に示されるように、ウェアラブルデバイス100Aのスピーカーの音圧特性は、振動体32の前面から放射される音の音圧特性に比べ、1kHz以上の中高音域の音圧レベルと、1kHz未満の低音域の音圧レベルとの均衡が保たれる。したがって、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100Aのスピーカーの音声を聞き取りやすくなる。
また、開管130Aの気柱の固有振動数である302Hzは、母音「u」および「i」の第1フォルマント周波数に近い周波数である。また、同じく固有振動数である604Hzは、母音「o」および「e」の第1フォルマント周波数に近い周波数である。そのため、ウェアラブルデバイス100Aのユーザーは、本デバイスのスピーカーから放射される会話音声を、より容易に聞き取ることができる。
加えて、ウェアラブルデバイス100Aの使用時に発熱する部位を含むメイン基板40は、正面側空間に配置される。そのため、ウェアラブルデバイス100Aは、長時間にわたってユーザーに装着されたとしても、身体側空間が熱抵抗として働くため、ユーザーの熱的な不快感を抑制することができる。
なお、上記の例では、開管130Aの長さLは0.56mであったがこれに限られない。振動体32の最低共振周波数fs(本例では900Hz)より低い周波数の固有振動数を有する管の長さであればよい。たとえば、開管130Aの長さを0.43mにした場合のウェアラブルデバイス100Aのスピーカーの音圧特性を図14に示す。
この場合においても、振動体32の背面から放射される音は、開管130Aの共振によって母音「u」「i」「o」「e」の第1フォルマント周波数について増幅される。そのため、ユーザーは、本デバイスのスピーカーから放射される会話音声を容易に聞き取ることができる。
また、上記の例では、筐体110は、振動体背面開口を2カ所設けられているが、これに限られず、3カ所以上の振動体背面開口が設けられてもよい。この場合、開管130Aは、振動体背面開口どうしを連通する管路であって、振動体が当該管路に露出するように設けられればよい。
また、図11において、振動体32は、開管130Aの長さ方向の中央部に配置されているが、振動体32の配置場所はこれに限られない。振動体32は、開管130Aの長さ方向のどの位置に配置されていてもよい。
[実施形態3.閉管共鳴管]
図15は、実施形態3に従うウェアラブルデバイス100Bについて説明する図である。本実施形態に従うウェアラブルデバイス100Bの基本構成は、上記実施形態に従うウェアラブルデバイス100と略同じであるため、相違する点についてのみ説明する。
図15(a)は、ウェアラブルデバイス100Bを上面から見た図である。図15(b)、(c)は、図15(a)の切断線v−v、vi−viにおけるウェアラブルデバイス100Bの断面図である。
図15(b)を参照して、ウェアラブルデバイス100Bの内部空間には、身体側空間と正面側空間とを区切る内部隔壁50Bが設けられる。内部隔壁50Bは、両空間との間の空気の流動を禁止する。
図15(a)および(c)を参照して、筐体110を構成する面のうちHMD接続部20などが配置される上面には、振動体前面開口26および振動体背面開口28Bが配置される。
また、筐体110の内部空間のうち身体側空間には、振動体背面開口28Bと振動体32の背面とを連通する閉管130Bが設けられる。閉管130Bの一端は振動体背面開口28Bへ開口されており、他端は閉鎖されている。また、閉管130Bは、略直角の折り曲げ部を3カ所有し、管の長さLを調整される。振動体32の背面は、閉管130Bが占める空間に露出している。
閉管130Bの断面積Sは、本実施形態において、一例として、7(mm)×10(mm)の長方形であって、管の実質的な長さLは、0.30mであるとする。
一端が開口され、他端が閉鎖された閉管130Bは、振動体32の背面から放射される音をその内部の空間で共振させて増幅する。以下にその説明を行う。
図16は、一端が開口され、他端が閉鎖される閉管における音の共振について説明する図である。図16(a)および(b)に示されるように、閉鎖部では空気が振動できないため、音波の固定端反射が起こり、開口部では空気が自由に振動できるので自由端反射が起こる。そのため、特定の周波数の音波は、閉鎖部を腹、開口部を節とする定在波を形成する。
そのため、図16(a)に示されるように、管の長さLの4倍の波長をもつ周波数で共振する。また、この周波数の奇数倍の周波数でも共振が生じるが、実質的にスピーカーの音圧特性に影響を与えるのは3倍の周波数までである。図16(b)では、管の長さLの4分の3倍の波長をもつ周波数で共振が生じている。
本実施形態において、閉管130Bの長さLは、0.30mであるので、閉管130Bは、振動体32の背面から放射される音(振動体32から閉管130Bに向けて放射される音)を280Hz、840Hz、・・・の周波数について増幅する。
図17は、実施形態3に従うウェアラブルデバイス100Bのスピーカーの音圧特性について説明する図である。図17を参照して、振動体32の背面から放射される音は、開管130Bによって共振され、特に1kHz未満の低音域の音圧レベルを増幅する。これにより、本デバイスのスピーカーは、振動体32の前面から放射される音の音圧特性に比べ、1kHz以上の中高音域の音圧レベルと、1kHz未満の低音域の音圧レベルとの均衡が保たれる。したがって、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100Bのスピーカーの音声を聞き取りやすくなる。
また、閉管130Bの気柱の固有振動数である280Hzは、母音「u」および「i」の第1フォルマント周波数に近い周波数である。また、同じく固有振動数である840Hzは、母音「a」の第1フォルマント周波数および「o」の第2フォルマント周波数に近い周波数である。そのため、これらのフォルマント周波数について、閉管130Bは、振動体32の背面から放射される音を増幅することができる。その結果、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100Bのスピーカーから放射される会話音声を、より容易に聞き取ることができる。
加えて、ウェアラブルデバイス100Bの使用時に発熱する部位を含むメイン基板40は、正面側空間に配置される。そのため、ウェアラブルデバイス100Bは、長時間にわたってユーザーに装着されたとしても、身体側空間が熱抵抗として働くため、ユーザーの熱的な不快感を抑制することができる。
なお、上記の例では、閉管130Bの長さLは0.30mであったがこれに限られない。振動体32の最低共振周波数fs(本例では900Hz)より低い周波数の固有振動数を有する管の長さであればよい。たとえば、閉管130Bの長さを0.21mにした場合のスピーカー30の音圧特性を図18に示す。
この場合においても、振動体32の背面から放射される音は、閉管130Bの共振によって母音「u」「i」「o」「e」の第1フォルマント周波数について増幅される。そのため、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100Bのスピーカーから放射される会話音声を容易に聞き取ることができる。
[実施形態4−音響迷路]
図19は、実施形態4に従うウェアラブルデバイス100Cについて説明する図である。本実施形態に従うウェアラブルデバイス100Cの基本構成は、上記実施形態に従うウェアラブルデバイス100と略同じであるため、相違する点についてのみ説明する。
図19(a)は、ウェアラブルデバイス100Cを上面から見た図である。図19(b)、(c)は、図19(a)の切断線vii−vii、viii−viiiにおけるウェアラブルデバイス100Cの断面図である。
図19(b)を参照して、ウェアラブルデバイス100Cの内部空間には、身体側空間と正面側空間とを区切る内部隔壁50Cが設けられる。内部隔壁50Cは、両空間との間の空気の流動を禁止する。
図19(a)および(c)を参照して、筐体110を構成する面のうちHMD接続部20などが配置される上面には、振動体前面開口26および振動体背面開口28Cが配置される。
また、筐体110の内部空間のうち身体側空間には、振動体背面開口28Cと振動体32の背面とを連通する閉管130Cが設けられる。閉管130Cは、鈍角の折り曲げ部を3カ所、略直角の折り曲げ部を3カ所有し、管の長さLを調整される。また、振動体32の背面は、閉管130Cが占める空間に露出している。
閉管130Cの断面積Sは、本実施形態において、一例として、7(mm)×10(mm)の長方形であって、管の実質的な長さLは、0.54mであるとする。
折り曲げ部を有する閉管130Cは、音響迷路として機能し、振動体32の背面から放射される音を利用してウェアラブルデバイス100Cのスピーカーの音圧特性を改善する。以下にその説明を行う。
図20は、音響迷路について説明する図である。図20(a)を参照して、振動体32Xの背面から閉管130Xの内部空間に向かって音を放射される。一方、振動体32Xの前面からは、閉管130Xの外部空間に向かって音を放射される。
閉管130Xは、折り曲げ部を有する。そのため、振動体32Xの背面から放射される音の伝搬経路は、非直線である。この構造によって、閉管130Xの気柱は共振しにくくなり、振動体32Xの背面から放射される音の高周波成分は、伝搬経路における非直線の折り曲げ部で減衰される。これにより、振動体32Xの背面から放射される音が振動体32Xの前面から放射される高周波成分の音に悪影響を与えることを防ぐ。なお、「非直線」とは、図19に示されるように、複数の直線部を所定の角度で組み合わせて構成されてもよいし、湾曲部、屈曲部を含むように構成されてもよい。
また、振動体32Xの前面および背面から放射される音は、互いに位相が180度異なる。そのため、振動体32Xの背面から放射される音のうち、閉管130Xの実質的な長さの2倍の波長をもつ音に関しては、閉管130Xの開口部に到達したときに、振動体32Xの前面から放射される音と位相が揃う。したがって、図20(b)に示されるように、閉管130Xの実質的な長さの2倍の波長、および当該波長を奇数で除した波長をもつ周波数の音は、増幅される。
一方、振動体32Xの背面から放射される音のうち、閉管130Xの実質的な長さに等しい波長をもつ音に関しては、閉管130Xの開口部に到達したときに、振動体32の前面から放射される音と位相が180度ずれる。そのため、図20(b)に示されるように、閉管130Xの実質的な長さの波長、および当該波長を整数で除した波長をもつ周波数の音は、減衰する。
また、図20(b)に示されるように、これら増幅または減衰される度合いは、上述した伝搬経路の折り曲げ部による高周波成分減衰の影響を受け、周波数が高くなるほど小さくなる。
図21は、実施形態4に従うウェアラブルデバイス100Cのスピーカーの音圧特性について説明する図である。
本実施形態に従う閉管130Cの長さLは0.54mであるので、振動体32の背面から放射される音(振動体32から開管130Cに向けて放射される音)のうち、316Hz、948Hz、・・・の音について増幅される。これにより、1kHz以上の中高音域の音圧レベルを大きく下回る約500Hz以下の低音域の音圧レベルを増大させることができる。
なお、振動体32の背面から放射される音のうち、632Hz、1263Hz、・・・の音については減衰される。これにより、約500Hz〜900Hzの低音域の音圧レベルは、減衰される。しかしながら、振動体32の背面から放射される音は、1kHz以上の中高音域の音圧レベルに比して、より小さい音圧レベルである約500Hz以下の低音域の音圧レベルを増大させることができる。これにより、ウェアラブルデバイス100Cのスピーカーの音圧特性は、振動体32の前面から放射される音の音圧特性に比べ、1kHz以上の中高音域の音圧レベルと、1kHz未満の低音域の音圧レベルとの均衡が保たれる。したがって、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100Cのスピーカーの音声を聞き取りやすくなる。
また、増幅される周波数である316Hzは、母音「u」および「i」の第1フォルマント周波数に近い周波数である。その結果、ユーザーは、ウェアラブルデバイス100Cのスピーカーから放射される会話音声を、より容易に聞き取ることができる。
加えて、ウェアラブルデバイス100Cの使用時に発熱する部位を含むメイン基板40は、正面側空間に配置される。そのため、ウェアラブルデバイス100Cは、長時間にわたって装着されたとしても、身体側空間が熱抵抗として働くため、ユーザーの熱的な不快感を抑制することができる。
また、他の局面において、閉管130Cの内部に吸音材を配置してもよい。これにより、振動体32の背面から放射される音の高周波成分を、閉管130Cの折り曲げ部による減衰に加え、さらに吸音材による減衰させることができる。この構成は、特に、閉管130Cの長さLの波長もつ周波数の音の減衰量を抑制することができる。
また、図19に示される図では、閉管130Cは複数個所の折り曲げ部を有しているが、これに限られない。具体的には、閉管130Cは、少なくとも1つの折り曲げ部を有し、振動体32の背面から放射される音の伝搬経路が非直線となればよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
26 振動体前面開口、28,28A,28B,28C 振動体背面開口、30,500 スピーカー、32,530 振動体、40 メイン基板、42 発熱部位、46 伝熱部材、48 熱拡散板、50,50A,50B,50C 内部隔壁、60 電池、100,100A,100B,100C ウェアラブルデバイス、110 筐体、130 管路、130A 開管、130B,130C 閉管。

Claims (10)

  1. ウェアラブルデバイスであって、
    ユーザーが前記ウェアラブルデバイスを装着したときに当該ユーザーと対向する身体がわ面を有するとともに、前記身体がわ面とは異なる面に第1および第2の孔を有する筐体と、
    前記筐体の内部に配置され、前記身体がわ面の延在方向と同方向に延在する内部隔壁と、
    前記内部隔壁により前記身体がわ面の側に形成される第1の空間内に前記第2の孔と関連付けて配置される振動体と、
    前記内部隔壁により前記第1の空間とは反対の側に形成される第2の空間内に配置され、動作時に発熱する部位を含む回路基板と、
    前記第1の空間において、前記振動体から前記第2の孔までの音の伝搬経路より長い、前記振動体から前記第1の孔までの音の伝搬経路を形成するとともに、前記振動体から前記第1の孔までの音の伝搬経路において、前記振動体の最低共振周波数よりも低い周波数での共振を生じさせるための導波部材とを備える、ウェアラブルデバイス。
  2. 前記第1および第2の孔は、前記筐体を構成する面のうち、ユーザーが前記ウェアラブルデバイスを装着したときに当該ユーザーの頭部と対向する面に設けられる、請求項1に記載のウェアラブルデバイス。
  3. 前記導波部材は、前記第1の孔と前記第1の空間とを連通し、両端が開口された管路を含み、
    前記振動体から前記導波部材に向けて放射される音を前記振動体の最低共振周波数よりも低い所定の周波数で共振させるように、前記管路の長さ、前記管路の軸に対する水平の断面積、および前記第1の空間のうち前記管路が占める空間を除いた空間の容積が設定される、請求項1または2に記載のウェアラブルデバイス。
  4. 前記筐体は前記第1の孔を複数有し、
    前記導波部材は、前記複数の第1の孔どうしを連通する管路を含み、
    前記振動体は、前記管路内に露出するように設けられ、
    前記管路の長さは、前記振動体から前記管路に向けて放射される音を、前記振動体の最低共振周波数よりも低い所定の周波数で共振させるように設けられる、請求項1または2に記載のウェアラブルデバイス。
  5. 前記導波部材は、前記第1の孔と前記振動体とを連通する管路を含み、
    前記振動体は、前記管路内に露出するように設けられ、
    前記管路は、一端が閉鎖、他端が前記第1の孔へ開口するように設けられ、
    前記管路の長さは、前記振動体から前記管路に向けて放射される音を、前記振動体の最低共振周波数よりも低い所定の周波数で共振させるように設けられる、請求項1または2に記載のウェアラブルデバイス。
  6. 前記導波部材は、一端が閉鎖、他端が前記第1の孔へ開口するように設けられ、前記一端から前記他端までを非直線な経路で連通する管路を含み、
    前記振動体は、前記管路内に露出するように設けられ、
    前記管路の長さは、当該管路の長さの2倍の波長をもつ音波の周波数が、前記振動体の最低共振周波数よりも低い所定の周波数域となるように設けられる、請求項1または2に記載のウェアラブルデバイス。
  7. 前記所定の周波数域は、第1フォルマント周波数の各周波数および第2フォルマント周波数の各周波数のうち少なくともいずれか1つの周波数を含む、請求項3〜6のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイス。
  8. 前記内部隔壁は断熱材により構成される、請求項1〜7のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイス。
  9. 前記筐体の前記身体がわ面と対向する側で延在する熱拡散板と、
    前記回路基板のうち少なくとも動作時に発熱する部位と前記熱拡散板とを接続するための伝熱部材とをさらに備え、
    前記熱拡散板の熱伝導率は、前記内部隔壁の熱伝導率より大きい、請求項1〜8のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイス。
  10. 前記回路基板に電力を供給するための電池をさらに備え、
    前記電池は、前記第2の空間に設けられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のウェアラブルデバイス。
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