JP6526267B1 - セルスタック装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】端部集電部材が金属部品と接触することによって短絡することを防止する。【解決手段】端部集電部材3は、燃料電池セルから電力を取り出すように構成されている。端部集電部材3は、接合部31と、引出し部32と、絶縁層33と、を備えている。接合部31は、燃料電池セルに接合されるように構成されている。引出し部32は、接合部31から延びる。絶縁層33は、引出し部32を覆う。【選択図】図7

Description

本発明は、セルスタック装置に関するものである。
セルスタック装置は、燃料電池セル、及びマニホールドを備えている(特許文献1)。燃料電池セルは、マニホールドから上方に延びている。マニホールドは、燃料電池セルのガス流路に燃料ガスを供給する。また、燃料電池セルの外側面に酸素を含むガス(空気など)が供給される。燃料電池セルは、燃料ガス及び空気を用いて電力を生成する。この燃料電池セルによって生成された電力は、燃料電池セルに電気的に接続された端部集電部材によって外部回路へと取り出される。
特開2016−171064号公報
端部集電部材は、燃料電池セルから延びている。端部集電部材が金属部品と接触することによって、短絡などの問題が生じるおそれがある。
本発明の課題は、端部集電部材が金属部品と接触して短絡することを防止することにある。
本発明の第1側面に係るセルスタック装置は、マニホールドと、燃料電池セルと、端部集電部材とを備えている。燃料電池セルは、マニホールドから上方に延びている。端部集電部材は、燃料電池セルと電気的に接続されている。端部集電部材は、接合部と、引出し部と、絶縁層と、を有している。接合部は、燃料電池セルに接合されるように構成されている。引出し部は、接合部から延びている。引出し部は、マニホールドの上面に沿って延びる延在部を有している。絶縁層は、引出し部を覆っている。延在部は、接合部から離れるにつれて、マニホールドの上面から離れるように傾斜して延びている。
本発明の第2側面に係るセルスタック装置は、マニホールドと、燃料電池セルと、端部集電部材とを備えている。燃料電池セルは、マニホールドから上方に延びている。端部集電部材は、燃料電池セルと電気的に接続されている。端部集電部材は、接合部と、引出し部と、絶縁層と、を有している。接合部は、燃料電池セルに接合されるように構成されている。引出し部は、接合部から延びている。引出し部は、マニホールドの上面に沿って延びる延在部を有している。絶縁層は、引出し部を覆っている。延在部は、接合部から離れるにつれて、マニホールドの上面に近付くように傾斜して延びている。
これらの構成によれば、引出し部が、外部回路へと接続するために接合部から延びている。そして、この引出し部を覆うように、絶縁層が形成されている。このため、金属部品には絶縁層が接触することになり引出し部は直接接触しない。この結果、端部集電部材が金属部品と接触することによる短絡を防止することができる。また、引出し部が絶縁層によって覆われているため、引出し部の酸化を抑制できる。この結果、酸化によって引出し部における抵抗が増大することを抑制できる。
また、延在部がマニホールドの上面から離れるように傾斜して延びる構成によれば、短絡のリスクを低減することができる。一方、延在部がマニホールドの上面に近付くように傾斜して延びる構成によれば、マニホールドからの放熱を受けて、延在部の温度低下を抑制することができる。
好ましくは、接合部及び引出し部は、表面に酸化皮膜を有する。そして、引出し部の酸化皮膜は、接合部の酸化皮膜よりも薄い。この構成によれば、端部集電部材を酸化皮膜によって保護することができる。また、引出し部の酸化皮膜を薄くすることによって、引出し部における電気抵抗を低くすることができる。
好ましくは、セルスタック装置は、燃料電池セルと接合部とを接合する第1接合材をさらに備える。接合部は、Crを含む合金によって構成される基材と、基材を覆う酸化クロム膜とを有する。燃料電池セルの外表面に垂直な断面において、接合部は、外表面に対して角度を有する第1面と、外表面に対して角度を有する第2面と、第1面と第2面とによって形成される角部とを含む。角部は、第1面及び第2面それぞれよりも外表面に近接している。
好ましくは、端部集電部材は、接合部を覆う導電層をさらに備える。接合部がステンレス鋼などのようなクロムを含む材料によって構成されている場合に、その接合部から揮発したクロムによって燃料電池セルの発電素子部が被毒するおそれがある。これに対して、接合部が導電層によって覆われていることで、クロムの揮発が抑制され、この結果、燃料電池セルの発電素子部の被毒を抑制することができる。
好ましくは、絶縁層は、絶縁性セラミックスによって構成される。
好ましくは、接合部は、鉄とクロムとを含む金属材料で構成される。
好ましくは、接合部と引出し部とは、1つの部材によって構成される。
好ましくは、接合部及び引出し部は、一枚の金属板から構成される。例えば、接合部と引出し部とが別の部材から構成される場合、接合部と引出し部とを接合する箇所が生じる。すると、この接合箇所での抵抗発生による電力損失が問題となる。これに対して、接合部と引出し部とが一枚の金属板から構成された場合、上述したような接合箇所が生じない。このため、接合箇所での抵抗が発生せず、燃料電池セルから電流を外部に取出す際の電力損失をより低減することができる。
本発明によれば、端部集電部材が金属部品と接触することによって短絡することを防止できる。
セルスタック装置の斜視図。 セルスタック装置の断面図。 燃料電池セルの斜視図。 燃料電池セルの断面図。 セルスタック装置の拡大断面図。 端部集電部材の斜視図。 端部集電部材の断面図。 端部集電部材における延在部の傾斜を示す断面図。 変形例に係る端部集電部材における延在部の傾斜を示す断面図。 変形例に係るセルスタック装置の断面図。 変形例に係る端部集電部材の斜視図。 変形例に係る端部集電部材の側面断面図。 変形例に係る端部集電部材の斜視図。 変形例に係る端部集電部材の斜視図。 変形例に係る端部集電部材の斜視図。 変形例に係るセルスタック装置の拡大断面図。 変形例に係る端部集電部材の側面断面図。 変形例に係る端部集電部材の側面断面図。
[セルスタック装置]
以下、本発明に係るセルスタック装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1及び図2に示すように、セルスタック装置100は、複数の燃料電池セル1と、マニホールド2と、一対の端部集電部材3と、を備えている。
[マニホールド]
マニホールド2は、各燃料電池セル1にガスを分配するように構成されている。マニホールド2は、中空状であり、内部空間を有している。マニホールド2の内部空間には、導入管201を介して燃料ガスなどのガスが供給される。マニホールド2は、この内部空間と外部とを連通する複数の貫通孔27を有している。
マニホールド2は、各燃料電池セル1を支持している。マニホールド2は、マニホールド本体21と、上壁22とを備えている。マニホールド本体21と上壁22とは、互いに別部材であって接合されている。なお、マニホールド本体21と上壁22とは、一体的に形成されていてもよい。このマニホールド本体21と上壁22とによって、マニホールド2の内部空間を画定している。
マニホールド本体21は、直方体状であって、上面が開口した内部空間を有する。詳細には、マニホールド本体21は、底壁23と、側壁24と、を有している。側壁24は、底壁23の周縁部から上方に延びている。導入管201は、側壁24に取り付けられており、マニホールド2の内部空間と連通している。導入管201は、例えば、上方に延びている。
例えば、マニホールド本体21は、耐熱性を有するような金属あるいは絶縁性セラミックスによって形成される。より具体的には、マニホールド本体21は、フェライト系ステンレス鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、Ni基合金、MgO(酸化マグネシウム)、Al(酸化アルミニウム)、MgAl(マグネシアアルミナスピネル)、MgO・SiO(ステアタイト)、及び2MgO・SiO(フォルステライト)よりなる群から選ばれる少なくとも1種から形成されている。
上壁22は、マニホールド本体21の上面を塞ぐように、マニホールド本体21に取り付けられている。例えば、上壁22とマニホールド本体21とは、結晶化ガラス等によって接合されている。上壁22は、上述したマニホールド本体21の材料の少なくとも一種から形成することができる。
上壁22は、各燃料電池セル1が取り付けられるように構成されている。詳細には、上壁22は、複数の貫通孔27を有している。各貫通孔27は、マニホールド2の幅方向(y軸方向)に延びている。また、各貫通孔27は、配列方向(z軸方向)において、互いに間隔をあけて配置されている。
[燃料電池セル]
各燃料電池セル1は、マニホールド2から上方に延びている。詳細には、各燃料電池セル1は、マニホールド2の上壁22から上方に延びている。燃料電池セル1の下端部は、貫通孔27内に挿入されている。燃料電池セル1の下端部は、上壁22から下方に突出していてもよい。燃料電池セルの長手方向(x軸方向)の長さは、例えば、100〜300mm程度とすることができる。なお、燃料電池セル1の下端部が貫通孔27内に挿入された状態において、燃料電池セル1の下端部の外周面と貫通孔27の内壁面との間には隙間が形成されている。この隙間に、後述する第3接合材103が充填されていてもよい。
各燃料電池セル1は、配列方向(z軸方向)に沿って、互いに間隔をあけて配置されている。なお、各燃料電池セル1は、配列方向に沿って、等間隔に配置されていることが好ましいが、等間隔に配置されていなくてもよい。
図3に示すように、燃料電池セル1は、複数の発電素子部11と、支持基板12とを備えている。
[支持基板]
支持基板12は、マニホールド2から上方に延びている。すなわち、支持基板12は、上下方向に延びている。支持基板12は、支持基板12の長手方向(x軸方向)に延びる複数のガス流路121を内部に有している。各ガス流路121は、支持基板12の幅方向(y軸方向)において互いに間隔をあけて配置されている。ガス流路121は、マニホールド2の内部空間と連通している。
支持基板12の長手方向(x軸方向)は、燃料電池セル1の長手方向と同じ方向である。各ガス流路121は、互いに実質的に平行に延びている。各ガス流路121は、支持基板12の長手方向の両端面において開口している。
図4に示すように、支持基板12は、複数の第1凹部123を有している。各第1凹部123は、支持基板12の両面に形成されている。各第1凹部123は支持基板12の長手方向において互いに間隔をあけて配置されている。
支持基板12は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板12は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板12は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板12の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
[発電素子部]
各発電素子部11は、支持基板12の両面に支持されている。なお、各発電素子部11は、支持基板12の片面のみに支持されていてもよい。各発電素子部11は、燃料電池セル1の長手方向(x軸方向)において、配列されている。すなわち、各発電素子部11は、上下方向に配列されている。本実施形態に係る燃料電池セル1は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。
各発電素子部11は、発電素子本体部110と、電気的接続部111と、を有している。発電素子本体部110は、燃料極13、電解質14、及び空気極15を有している。また、各発電素子部11は、反応防止膜16をさらに有している。燃料極13は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極13は、燃料極集電部131と燃料極活性部132とを有する。
燃料極集電部131は、第1凹部123内に配置されている。詳細には、燃料極集電部131は、第1凹部123内に充填されており、第1凹部123と同様の外形を有する。各燃料極集電部131は、第2凹部131a及び第3凹部131bを有している。燃料極活性部132は、第2凹部131a内に配置されている。詳細には、燃料極活性部132は、第2凹部131a内に充填されている。
燃料極集電部131は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部131は、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部131の厚さ、並びに第1凹部123の深さは、50〜500μm程度である。
燃料極活性部132は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部132は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部132の厚さは、5〜30μmである。
電解質14は、燃料極13上を覆うように配置されている。詳細には、電解質14は、隣り合うインターコネクタ112間を長手方向に延びている。すなわち、燃料電池セル1の長手方向において、電解質14とインターコネクタ112とが交互に配置されている。この電解質14及びインターコネクタ112のような緻密膜によって、支持基板12の主面及び側面が覆われている。なお、支持基板12の上下端面は、緻密膜に覆われていない。緻密膜は、緻密膜の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密膜の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。このガスシール機能を発揮するため、この緻密膜の気孔率は、例えば、10%以下である。
電解質14は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質14は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、電解質14は、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質14の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
反応防止膜16は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜16は、電解質14と空気極15との間に配置されている。反応防止膜16は、電解質14内のYSZと空気極15内のSrとが反応して電解質14と空気極15との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。
反応防止膜16は、希土類元素を含むセリアを含んだ材料から構成されている。反応防止膜16は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜16の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
空気極15は、空気極活性部151と、空気極集電部152とを有している。空気極活性部151は、反応防止膜16上に配置されている。空気極活性部151は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極活性部151は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極活性部151は、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極活性部151は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極活性部151の厚さは、例えば、10〜100μmである。
空気極集電部152は、空気極活性部151上に配置されている。空気極集電部152は、空気極活性部151上から隣の発電素子部11に向かって延びている。詳細には、空気極集電部152は、隣の発電素子部11の電気的接続部111であるインターコネクタ112まで延びている。空気極集電部152は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。
空気極集電部152は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電部152は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電部152は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電部152の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
各発電素子部11のうち、最も下方に配置される下側発電素子部11aを除いた残りの発電素子部11は、電気的接続部111としてインターコネクタ112を有している。インターコネクタ112は、隣り合う発電素子本体部110同士を互いに電気的に接続するように構成されている。
インターコネクタ112は、第3凹部131b内に配置されている。詳細には、インターコネクタ112は、第3凹部131b内に埋設(充填)されている。インターコネクタ112は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ112は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ112は、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ112の厚さは、例えば、10〜100μmである。
図5に示すように、各発電素子部11のうち、最も下方に配置される下側発電素子部11aは、発電素子本体部110と、電気的接続部111とを有している。なお、支持基板12の両面に発電素子部11が配置されている場合、支持基板12の両面のそれぞれに下側発電素子部11aが配置されている。電気的接続部111は、発電素子本体部110と電気的に接続している。また、電気的接続部111は、発電素子本体部110から下方に延びている。この下側発電素子部11aの電気的接続部111は、第1接続部113と、第2接続部114とを有している。
第1接続部113は、上述したインターコネクタ112と同様の構成を有している。すなわち、第1接続部113は、燃料極集電部131の第3凹部131b内に配置されている。第1接続部113は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される。第1接続部113は、上述したインターコネクタ112の材料のいずれかで形成することができる。
第2接続部114は、上述した空気極集電部152の材料のいずれかで形成することができる。第2接続部114は、第1接続部113と電気的に接続されている。また、第2接続部114は、第1接続部113から下方に延びている。
燃料電池セル1の下端部は、緻密膜18によって覆われている。詳細には、緻密膜18は、支持基板12を覆っている。緻密膜18は、第2接続部114と支持基板12との間から下方に延びている。
緻密膜18は、緻密膜18の内側の空間を流れる燃料ガスと緻密膜18の外側の空間を流れる空気との混合を防止するガスシール機能を発揮する。このガスシール機能を発揮するため、この緻密膜18の気孔率は、例えば、10%以下である。また、緻密膜18は、絶縁性セラミックスで構成されている。
具体的には、緻密膜18は、上述した電解質14と反応防止膜16とによって構成することができる。緻密膜18を構成する電解質14は、支持基板12を覆っており、第1接続部113から支持基板12の下端近傍まで延びている。また、緻密膜18を構成する反応防止膜16は、電解質14と第2接続部114との間に配置されている。なお、緻密膜18は、電解質14のみで構成されていてもよいし、電解質14及び反応防止膜16以外の材料によって構成されていてもよい。
[端部集電部材]
図1及び図2に示すように、一対の端部集電部材3は、複数の燃料電池セル1から構成されるセルスタックから電力を取り出すように構成されている。各端部集電部材3は、各燃料電池セル1のうち、配列方向(z軸方向)の両端部に配置される各燃料電池セル1に取り付けられている。なお、一対の端部集電部材3は、取り付けられる位置が互いに異なるだけであって互いの構成は実質的に同じであるため、以下では、一方の端部集電部材3のみについて説明する。
図5に示すように、端部集電部材3は、配列方向(z軸方向)の端部に配置された燃料電池セル1の下側発電素子部11aと電気的に接続される。詳細には、端部集電部材3は、下側発電素子部11aの電気的接続部111に接続されている。
図6及び図7に示すように、端部集電部材3は、接合部31と、引出し部32とを有している。また、端部集電部材3は、絶縁層33と、導電層34と、をさらに有している。接合部31が導電層34によって覆われ、引出し部32が絶縁層33によって覆われている。
接合部31と引出し部32とは、1つの部材によって構成されている。例えば、接合部31と引出し部32とは、一枚の金属板から構成されている。この接合部31及び引出し部32の板厚は、例えば、0.1〜2.0mm程度とすることができる。
接合部31及び引出し部32は、金属材料から構成されている。接合部31及び引出し部32は、鉄及びクロムを含んでいる。好ましくは、接合部31及び引出し部32は、ステンレス材料から構成される。具体的には、接合部31及び引出し部32は、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、又はNi基合金から構成されている。
[接合部]
接合部31は、燃料電池セル1に接合されるように構成されている。詳細には、接合部31は、導電層34を介して燃料電池セル1に接合されている。接合部31は、板状である。具体的には、接合部31は、配列方向視(z軸方向視)において、矩形状を有している。接合部31の幅W1は、例えば、下側発電素子部11aの幅と同じ程度とすることができる。
図5に示すように、接合部31は、下側発電素子部11aに接合されている。詳細には、接合部31は、電気的接続部111に接合されている。例えば、接合部31は、第1接合材101によって、下側発電素子部11aに接合されている。なお、第1接合材101は、例えば、(Mn,Co)、(La,Sr)MnO、及び(La,Sr)(Co,Fe)Oなどから選ばれる少なくとも1種である。
[引出し部]
図6に示すように、引出し部32は、接合部31から延びている。引出し部32は、全体として、接合部31の面方向と直交する方向(z軸方向)に延びている。好ましくは、引出し部32は、例えば、接合部31の下端中央部から延びている。引出し部32の幅W2は、接合部31の幅W1よりも小さい。なお、端部集電部材3の各部分の幅W1,W2は、第1方向(y軸方向)における寸法を意味している。
引出し部32は、根元部321と、延在部322と、を有している。根元部321は、接合部31の面方向に沿った方向に延びている。すなわち、根元部321の主面と、接合部31の主面とは、実質的に同一面上に配置されている。根元部321は、接合部31から第2方向(x軸方向)に延びている。なお、第2方向は、同一面内において第1方向と直交する方向である。端部集電部材3が燃料電池セル1に取り付けられた状態において、根元部321は、接合部31から下方に延びている。
延在部322は、根元部321から屈曲して延びている。すなわち、延在部322は、根元部321の下端部から延びている。延在部322は、接合部31の面方向と直交する方向(z軸方向)に沿って延びている。すなわち、延在部322は、接合部31の主面と直交する方向に延びている。
端部集電部材3が燃料電池セル1に取り付けられた状態において、延在部322は、根元部321の下端部から水平に延びている。詳細には、延在部322は、燃料電池セル1から離れる方向に延びている。
図8に示すように、延在部322は、上壁22と間隔をあけて延びている。延在部322は、上壁22に沿って延びている。詳細には、延在部322は、根元部321から離れるにつれてマニホールドの上壁22の上面から離れるように傾斜して延びている。マニホールド2の上壁22の上面に対する延在部322の傾斜角度θは、特に制限されないが、例えば、約0.5〜20度とすることができる。延在部322と上壁22との絶縁性を確保するために、延在部322と上壁22との間に電気絶縁性部材を配置していてもよい。
[絶縁層]
図7に示すように、絶縁層33は、引出し部32を覆っている。絶縁層33は、絶縁性の材料によって構成することができる。例えば、絶縁層33は、絶縁性セラミックスによって構成することができる。より具体的には、絶縁層33は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア、又は結晶化ガラスなどによって構成することができる。また、引出し部32は、外部回路のリード線やバスバーと接続される。絶縁層33は、引出し部32のうち、この接続部分を覆っていない。絶縁層33の膜厚は、例えば、1〜200μm程度である。より好ましくは、絶縁層33の膜厚は10μm以上とすることができる。また、絶縁層33の抵抗率は、例えば、750℃において1〜600MΩ・cmとすることができる。
[導電層]
導電層34は、接合部31を覆っている。導電層34は、好ましくは、接合部31の全体を覆っている。導電層34は、導電性の材料によって構成することができる。例えば、導電層34は、(Mn,Co)、(La,Sr)MnO、又は(La,Sr)(Co,Fe)Oなどによって構成することができる。導電層34は、緻密層とすることが好ましい。例えば、導電層34の気孔率は約10%以下である。導電層34の膜厚は、0.1〜20μm程度である。なお、導電層34は、引出し部32の根元部321を絶縁層33の代わりに覆っていてもよい。
[セル間集電部材]
図2に示すように、各燃料電池セル1は、セル間集電部材4を介して互いに電気的に接続されている。セル間集電部材4は、各燃料電池セル1の間に配置されており、隣り合う各燃料電池セル1を電気的に接続している。セル間集電部材4は、導電性を有する材料から形成されている。例えば、セル間集電部材4は、酸化物セラミックスの焼成体又は金属などによって形成されている。なお、セル間集電部材4は、第2接合材102によって各燃料電池セル1に接合されている。第2接合材102は、例えば、第1接合材101の材料として挙げたいずれかの材料で構成することができる。
[表裏接続部材]
各燃料電池セル1において、支持基板12の一方面に形成された発電素子部11と、支持基板12の他方面に形成された発電素子部11とは、表裏接続部材5によって電気的に接続されている。詳細には、表裏接続部材5は、支持基板12の一方面及び他方面のそれぞれにおいて最も上方に配置される各発電素子部11同士を電気的に接続している。
[第3接合材]
各燃料電池セル1は、第3接合材103によって、マニホールド2に固定されている。第3接合材103は、燃料電池セル1とマニホールド2の上壁22とを接合している。第3接合材103は、燃料電池セル1の下端部とマニホールド2の上壁22とを接合している。図5に示すように、第3接合材103は、緻密膜18と接触している。
第3接合材103は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、又はSiO−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、第3接合材103の材料として、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、第3接合材103は、SiO−MgO−B−Al系及びSiO−MgO−Al−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
[発電方法]
以上のように構成されたセルスタック装置100は、次のようにして発電する。マニホールド2を介して各燃料電池セル1のガス流路121内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板12の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝すことにより、電解質14の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。このセルスタック装置100を端部集電部材3を用いて外部の負荷に接続すると、空気極15において下記(1)式に示す電気化学反応が起こり、燃料極13において下記(2)式に示す電気化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O+2e→O2− …(1)
+O2−→HO+2e …(2)
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
変形例1
上記実施形態では、延在部322は、根元部321から離れるにつれてマニホールドの上壁22の上面から離れるように傾斜して延びているが、端部集電部材3の構成はこれに限定されない。
例えば、図9に示すように、延在部322は、根元部321から離れるにつれて、マニホールド2の上壁22の上面に近付くように傾斜して延びていてもよい。また、一方の端部集電部材3の延在部322は、根元部321から離れるにつれて上壁22の上面から離れるように傾斜して延び、他方の端部集電部材3の延在部322は、根元部321から離れるにつれて上壁22の上面に近付くように傾斜して延びていてもよい。これらの場合の傾斜角θは、上記実施形態と同様とすることができる。
変形例2
図10に示すように、セルスタック装置100は、筐体90をさらに備えていてもよい。この筐体90内に、燃料電池セル1及びマニホールド2が収容される。筐体90は、金属材料から構成されている。例えば、筐体90は、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、又はNi基合金などによって構成されている。
引出し部32の先端部は、筐体90を超えて、筐体90の外部まで延びている。具体的には、延在部322の先端部が筐体90の外部まで延びている。筐体90は取出し孔91を有しており、引出し部32はこの取出し孔91を介して筐体90の外部へと延びている。この引出し部32の先端部に、外部回路のリード線などが取り付けられている。例えば、引出し部32の先端部には、リード線を取り付けるための取付孔又は取付凹部などが形成されている。
変形例3
上記実施形態では、燃料極集電部131が第2凹部131a及び第3凹部131bを有しているが、燃料極集電部131の構成はこれに限定されない。例えば、燃料極集電部131は第2凹部131a及び第3凹部131bなどの凹部を有していなくてもよい。この場合、燃料極活性部132は、燃料極集電部131上に形成されており、燃料極集電部131に埋設されていない。また、インターコネクタ112及び第1接続部113は、燃料極集電部131上に形成されており、燃料極集電部131に埋設されていない。
変形例4
上記実施形態では、端部集電部材3の根元部321は、接合部31の面方向に沿った方向に延びているが、根元部321の構成はこれに限定されない。例えば、図11に示すように、根元部321の面方向は、接合部31の面方向に対して傾斜していてもよい。詳細には、根元部321は、下方に行くにつれて燃料電池セル1から離れるように傾斜している。なお、図12に示すように、接合部31の主面と、根元部321の主面とがなす角度αは、100〜170°程度とすることができる。
変形例5
図13に示すように、引出し部32は、引出し本体部323と、中間部324とを有していてもよい。なお、引出し本体部323は、上記実施形態の延在部322に相当し、中間部324は、上記実施形態の根元部321に相当している。
中間部324は、引出し本体部323と接合部31との間に配置されている。中間部324は、接合部31から下方に延びている。中間部324の幅W3は、接合部31の幅W1よりも小さく、引出し本体部323の幅W4よりも大きい。なお、中間部324の幅W3は、接合部31から離れるにつれて小さくなっている。中間部324の幅W3が引出し本体部323の幅W4よりも大きいとは、中間部324の上端部における幅W3が引出し本体部323の幅W3よりも大きいことを意味する。引出し本体部323の幅W4は、接合部31の幅W1よりも小さい。
なお、中間部324の幅W3は、接合部31から離れるにつれて小さくなっていなくてもよい。例えば、図14に示すように、中間部324の幅W3は、一定であってもよい。
変形例6
上記実施形態では、引出し部32は、根元部321と、延在部322とを有していたが、引出し部32の構成はこれに限定されない。例えば、図15に示すように、引出し部32は、根元部321を有していなくてもよい。この場合、延在部322が接合部31から直接延びている。
変形例7
上記実施形態では、端部集電部材3は、下側発電素子部11aの電気的接続部111に接合されているが、特にこれに限定されない。例えば、図16に示すように、端部集電部材3は、下側発電素子部11aの発電素子本体部110に接合されていてもよい。この場合、下側発電素子部11aは、電気的接続部111を有していなくてもよい。
変形例8
上記実施形態では、端部集電部材3は、下側発電素子部11aに接合されているが、下側発電素子部11a以外の発電素子部11に接合されていてもよい。
変形例9
図17に示すように、接合部31及び引出し部32は、表面に酸化皮膜300を有していてもよい。この場合、絶縁層33及び導電層34は、酸化皮膜300の上から引出し部32や接合部31を覆っている。なお、導電層34は、形成されていなくてもよい。
引出し部32の酸化皮膜300は、接合部31の酸化皮膜300よりも薄い。具体的には、接合部31の酸化皮膜300の厚さは、例えば、0.5〜40μm程度であり、引出し部32の酸化皮膜300の厚さは、例えば、0.1〜20μm程度である。なお、接合部31のうち、第1接合材101と接する面には、酸化皮膜300を有していなくてもよいし有していてもよい。
接合部31の酸化皮膜300の厚さは、例えば、接合部31の中央部を接合部31と直交する面で切断し、その切断面にて測定することができる。また、引出し部32の酸化皮膜300の厚さは、例えば、延在部322の任意の位置において延在部322と直交する面で切断し、その切断面にて測定することができる。
本変形例において、接合部31及び引出し部32は、例えば、Cr(クロム)を含有する合金等によって構成される。このような合金としては、Fe−Cr系合金鋼(ステンレス鋼など)、又はNi−Cr系合金鋼などを用いることができる。また、上述した酸化皮膜300としては、酸化クロム膜などを例示することができる。引出し部32を接合部31よりも低温で熱処理することによって、引出し部32の酸化皮膜300を接合部31の酸化皮膜300よりも薄くすることができる。
変形例10
上記実施形態では、端部集電部材3の接合部31は、下側発電素子部11aの外表面Sと略平行に延びているが、これに限定されず、以下のような構成とすることができる。
図18に示すように、端部集電部材3の接合部31は、第1接合材101を介して、下側発電素子部11aの外表面Sに接合される。接合部31は、表面に酸化クロム膜301Yを有している。具体的には、接合部31は、基材301Xと酸化クロム膜301Yとを有する。
基材301Xは、板状に形成される。基材301Xの厚みは特に制限されないが、例えば0.1〜4.0mmとすることができる。
基材301Xは、Cr(クロム)を含有する合金によって構成される。このような合金としては、Fe−Cr系合金鋼(ステンレス鋼など)、又はNi−Cr系合金鋼などを用いることができる。基材301XにおけるCrの含有割合は特に制限されないが、例えば4〜30質量%とすることができる。
基材301Xは、Ti(チタン)やAl(アルミニウム)を含有していてもよい。基材301XにおけるTiの含有割合は特に制限されないが、例えば0.01〜1.0at.%とすることができる。基材301XにおけるAlの含有割合は特に制限されないが、例えば0.01〜0.4at.%とすることができる。基材301Xは、TiをTiO(チタニア)として含有していてもよいし、AlをAl(アルミナ)として含有していてもよい。
酸化クロム膜301Yは、基材301X上に形成される。酸化クロム膜301Yは、基材301Xを覆う。酸化クロム膜301Yは、基材301Xの表面全体を覆っていることが好ましいが、基材301Xの表面を部分的に覆っていなくてもよい。酸化クロム膜301Yの厚みは特に制限されないが、例えば1μm〜20μmとすることができる。
酸化クロム膜301Yは、酸化クロム(Cr)を主成分として含む。具体的には、酸化クロム膜301Yは、酸化クロムを50wt%以上含む。酸化クロム膜301Yは、Mn、Fe、Cr、Mo、Siなどを不純物として含有していてもよい。酸化クロム膜301Yは、RF(radio-frequency)マグネトロンスパッタ装置を用いてCrターゲットをArスパッタリングし、反応ガス(例えば、酸素)との反応により酸化物を成膜することによって形成することができる。
図17に示すように、基材301Xは、下側発電素子部11aの外表面Sに垂直な断面において、第1面Y1、第2面Y2及び角部Y3を含む。
第1面Y1は、下側発電素子部11aの外表面Sに対して角度を有する。すなわち、第1面Y1は、外表面Sと平行ではなく、外表面Sに対して傾斜している。第1面Y1は、角部Y3側に向かうほど外表面Sに近づく。外表面Sに対する第1面Y1の角度θ1は特に制限されないが、例えば0.5度〜45度とすることができる。なお、図17に示す例では、第1面Y1が平坦に形成されているが、実際には微小な凹凸が形成されていてもよい。
第1面Y1において、酸化クロム膜301Yは、基材301Xを覆っていることが好ましい。第1面Y1に形成された酸化クロム膜301Yの厚みは、角部Y3に近づくほど厚く形成されていてもよい。
第2面Y2は、第1面Y1に連なる。第2面Y2は、下側発電素子部11aの外表面Sに対して角度を有する。すなわち、第2面Y2は、外表面Sと平行ではなく、外表面Sに対して傾斜している。第2面Y2は、角部Y3側に向かうほど外表面Sに近づく。外表面Sに対する第2面Y2の角度θ2は特に制限されないが、例えば45度〜135度とすることができる。
また、第2面Y2は、第1面Y1に対して角度を有する。すなわち、第2面Y2は、第1面Y1と平行ではなく、第1面Y1に対して傾斜している。第1面Y1に対する第2面Y2の角度θ3は特に制限されないが、例えば30度〜135度とすることができる。なお、図17に示す例では、第2面Y2が平坦に形成されているが、実際には微小な凹凸が形成されていてもよい。
第2面Y2において、酸化クロム膜301Yは、基材301Xを覆っていることが好ましい。第2面Y2に形成された酸化クロム膜301Yの厚みは、角部Y3に近づくほど厚く形成されていてもよい。
角部Y3は、第1面Y1と第2面Y2とによって形成される。本実施形態において、「第1面Y1と第2面Y2とによって形成される」とは、“第1面Y1と第2面Y2とによって規定される”、“第1面Y1と第2面Y2とによって区画される”、及び“第1面Y1と第2面Y2との間に設けられる”のうち少なくとも1つを意味する。
角部Y3は、第1面Y1と第2面Y2とが屈曲するように連なることで形成されていてもよいし、第1面Y1と第2面Y2とが他の1以上の面(湾曲面又は屈曲面)を介して連なることで形成されていてもよい。
角部Y3において、酸化クロム膜301Yは、基材301Xを覆っていることが好ましい。角部Y3に形成された酸化クロム膜301Yは、角部Y3周辺において他の部分よりも厚く形成されていてもよい。
角部Y3は、第1面Y1及び第2面Y2それぞれよりも下側発電素子部11aの外表面Sに近接している。角部Y3は、端部集電部材3の第1先端部301aに設けられる。本変形例において、角部Y3は、端部集電部材3のうち、下側発電素子部11aの外表面Sに最も近接する部位である。角部Y3から外表面Sまでの距離Dは特に制限されないが、0.5〜2000μmとすることができる。
下側発電素子部11aから端部集電部材3に流れる電流は、端部集電部材3のうち下側発電素子部11aの外表面Sに近接する角部Y3に集中する。角部Y3に電流が集中すると、角部Y3の温度が上昇するため、角部Y3に形成された酸化クロム膜301Yの温度が上昇して、酸化クロム膜301Yの電気抵抗が低下する。その結果、下側発電素子部11aから端部集電部材3へスムーズに電流を流すことができるため、下側発電素子部11aと端部集電部材3との電気的接続性を向上させることができる。
また、角部Y3を形成する第1面Y1及び第2面Y2のそれぞれが外表面Sに対して角度を有しているため、角部Y3を第1導電性接合材102aに挿入した際に、第1導電性接合材102a中の気泡を角部Y3周辺から排除することができる。その結果、下側発電素子部11aと端部集電部材3との電気的接続性を更に向上させることができる。
なお、本変形例に係る端部集電部材3は導電層34を有していないが、導電層34を有していてもよい。この場合、導電層34は、酸化クロム膜301Yの上から接合部31を覆うように構成することができる。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
図6に示すような形状の端部集電部材3を複数作製した。詳細には、金属板をプレス加工し、引出し部32を覆うように絶縁層33を形成した。絶縁層33は、ディップコート法、または溶射法によって、引出し部32に形成した。なお、絶縁層33は、サンプル毎に材質及び厚さを変えている。絶縁層33の材質や、厚さ、抵抗率は、表1に示す通りである。なお、接合部31には、絶縁層33や導電層34は形成されていない。また、サンプル21は、比較例であり、引出し部32に絶縁層33を形成していない。各材料の抵抗率は直流三端子法(JIS C2141)を参考として測定した。端部集電部材3を模擬した金属板上に絶縁層33を形成し、絶縁層側に主電極、ガード電極、金属板側に対向電極を白金で形成した。作製したサンプルについて大気中、750℃で体積抵抗率を測定し、金属板の抵抗を除いたものを各材料の抵抗率とした。
このように作製された端部集電部材3を第1接合材101を介して燃料電池セル1の発電素子部11に接合した。この状態において、端部集電部材3の引出し部32を覆う絶縁層33と、マニホールド2の上壁22との距離は約10mmとした。
(評価方法)
以上のように作製された各サンプルに対して、絶縁層33の金属部品との短絡防止可否の評価を行った。詳細には、燃料電池セル1の両面の発電素子部11に接合された端部集電部材3のそれぞれの引出し部32に、リード線を介して電子負荷装置を接続し発電評価できる状態にした。さらに、引出し部32にコの字型の金属片を接触させて燃料電池セルの通電試験を行った。具体的には、マニホールド2の上壁22の上に高さ10mmのアルミナ製ブロックを置き、その上にコの字型の金属片を載せて引出し部32と接触させた状態にし、通電試験を行った。この通電試験を一つの水準につき5サンプルで行った。表1において、サンプル5個中、全て不具合なく通電試験を実施できたものを、評価「◎」とした。また、サンプル5個のうち1つでも、引出し部32と金属片の間で短絡回路を形成して大電流が生じ評価が不可能となったものを、評価「○」とした。一方、5個全てで評価が不可能となった場合、短絡防止効果なしとして「×」とした。各水準で評価が不可能になった数が、表1に示されている。
Figure 0006526267
表1に示すように、絶縁層33を形成していないものに比べて、絶縁層33を形成するものは、短絡防止効果を有することが分かった。また、絶縁層33の抵抗率を1MΩ以上、膜厚を10μm以上とすることによって、引出し部32と筐体との短絡をより確実に防止できることが分かった。
1 燃料電池セル
2 マニホールド
3 端部集電部材
31 接合部
32 引出し部
33 絶縁層
34 導電層
100 セルスタック装置

Claims (9)

  1. マニホールドと、
    前記マニホールドから上方に延びる複数の燃料電池セルと、
    前記複数の燃料電池セルの配列方向の端部に配置される前記燃料電池セルと電気的に接続される端部集電部材と、
    を備え、
    前記端部集電部材は、
    前記燃料電池セルに接合されるように構成された接合部と、
    前記マニホールドの上面に沿って延びる延在部を有し、前記接合部から延びる引出し部と、
    前記引出し部を覆う絶縁層と、
    を有し、
    前記延在部は、前記接合部から離れるにつれて、前記マニホールドの上面から離れるように傾斜して延びる、
    セルスタック装置。
  2. マニホールドと、
    前記マニホールドから上方に延びる複数の燃料電池セルと、
    前記複数の燃料電池セルの配列方向の端部に配置される前記燃料電池セルと電気的に接続される端部集電部材と、
    を備え、
    前記端部集電部材は、
    前記燃料電池セルに接合されるように構成された接合部と、
    前記マニホールドの上面に沿って延びる延在部を有し、前記接合部から延びる引出し部と、
    前記引出し部を覆う絶縁層と、
    を有し、
    前記延在部は、前記接合部から離れるにつれて、前記マニホールドの上面に近付くように傾斜して延びる、
    セルスタック装置。
  3. 前記接合部及び前記引出し部は、表面に酸化皮膜を有し、
    前記引出し部の酸化皮膜は、前記接合部の酸化皮膜よりも薄い、
    請求項1又は2に記載のセルスタック装置。
  4. 前記燃料電池セルと前記接合部とを接合する第1接合材をさらに備え、
    前記接合部は、Crを含む合金によって構成される基材と、前記基材を覆う酸化クロム膜とを有し、
    前記燃料電池セルの外表面に垂直な断面において、前記接合部は、前記外表面に対して角度を有する第1面と、前記外表面に対して角度を有する第2面と、前記第1面と前記第2面とによって形成される角部とを含み、
    前記角部は、前記第1面及び前記第2面それぞれよりも前記外表面に近接している、
    請求項1から3のいずれかに記載のセルスタック装置。
  5. 前記端部集電部材は、前記接合部を覆う導電層をさらに有する、
    請求項1から4のいずれかに記載のセルスタック装置。
  6. 前記絶縁層は、絶縁性セラミックスによって構成される、
    請求項1から5のいずれかに記載のセルスタック装置。
  7. 前記接合部は、鉄とクロムとを含む金属材料で構成される、
    請求項1から6のいずれかに記載のセルスタック装置。
  8. 前記接合部と前記引出し部とは、1つの部材によって構成される、
    請求項1から7のいずれかに記載のセルスタック装置。
  9. 前記接合部及び前記引出し部は、一枚の金属板から構成される、
    請求項1から8のいずれかに記載のセルスタック装置。
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