JP6523918B2 - 超音波撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医療用の超音波撮像装置に関し、3次元空間における任意の一方向の血流ドプラ速度が計測できる超音波撮像装置において、血流の3方向速度ベクトルを推定する技術に関する。
超音波撮像装置において、検査対象内を流れる血流を描出し、また血流速度を計測する手法として、カラードプラ法が広く知られている。カラードプラ法では、超音波ビーム方向の速度成分しか直接計測することはできないため、断層面内で血流がどちらの方向に流れているか、流れ方向を表示することはできない。
そこで、組織の境界の速度と2次元流の質量保存の式から超音波ビーム方向と直交する方向の速度成分を推定し、この直交方向の速度成分から速度ベクトルを求める方法(Vector Flow Mapping:VFM)が提案されている。VFMでは、流れに3次元性があることを前提としておらず、すべて撮像面内から漏れ出すことのない2次元流を想定して構築されている。具体的な2次元質量保存のイメージを図1に示す。図1に四角形で示すような微小流体質量を想定し、微小流体質量の上部を下方向への加速、下部を下方向へ減速するとした場合、微小流体質量は、質量保存の法則により、横方向に押し出され、横方向速度は加速する作用を有する。直感的に微小流体質量を上下方向に圧迫したことにより、左右方向に押し出されるイメージである。
VFMでは、上下方向の速度情報をカラードプラにより計測し、左右方向の速度を推定している。この推定は、血流速度成分が上下方向成分と左右方向成分とからなるとする2次元流の仮定に基づいているが、実際の流れ場は3次元的である。3次元流においては、上下の圧迫を与えた場合、押し出される方向の自由度は、左右方向と前後方向の二つある。このため、左右、前後方向への流体質量の押し出しの割合が判らない限り、質量保存則は解くことができない。2次元VFMでは、前後方向の押し出しは考慮しないという仮定を用いることで、質量保存則を解いている。即ち、3次元的なカラードプラ情報を用いた場合でも、従来の2次元VFMのアルゴリズムでは、流体質量の左右、前後方向への押し出しの割合が判らない以上、これらの方向の速度を推定することはできない。
これに対し、特許文献1、2では、得られたドプラ情報に運動量保存則と質量保存則を用いて、速度ベクトルを推定する手法を開示している。この手法では、運動量保存則も併用することで、推定のため計算処理に膨大な時間が必要となるが3方向の速度の推定が可能となる。
特開2004−121735号公報 特開2011−235009号公報
ドプラ計測において、計測する次元を2次元から3次元へと拡張したとしても、計測される速度成分はビーム方向のみ、即ち、2次元1方向速度、あるいは3次元1方向速度しか計測できない。従って3次元流の速度場を把握するためには、計測された速度成分から他方向の速度成分を推定することが必須である。
特許文献1、2に開示される技術では、運動量保存則を用いることで、3次元流の速度場を推定するが、運動量保存則を用いる手法では、膨大な計算処理がかかってしまい、外部演算装置を用いた処理を行う必要が生じる。しかし、一般的な超音波のルーチン検査では、超音波診断装置上で検査を行うことが必要で、臨床応用を目指す際には装置上で簡便に3次元的なベクトルを求める手法が必須となる。
そこで本発明は、超音波撮像装置上で簡便に3次元的な血流ベクトルを求めることが可能な技術を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の超音波撮像装置は、3次元カラードプラ法で得られる血流の速度情報を用いて、流体の運動保存則を用いることなく、質量保存則の誤差分を3次元カラードプラ法で得られる血流方向に垂直な2軸方向に分配することで、簡便に血流の3次元速度ベクトルを算出する。
すなわち、本発明の超音波撮像装置は、検査対象に超音波を送信するとともに前記検査対象から反射するエコー信号を受信する超音波探触子と、前記超音波探触子によって受信されたエコー信号を処理する信号処理部と、を備え、前記信号処理部は、血流のドプラ速度を算出するドプラ速度演算部と、前記ドプラ速度から血流の3次元速度ベクトルを計算するベクトル算出部と、を備える。前記ベクトル算出部は、超音波走査線で計測された前記ドプラ速度を拘束条件として設定し、質量保存則を用いて前記超音波走査線の垂直面を構成する2軸方向の速度を推定する処理を行い、当該推定処理に前記質量保存則の誤差分をフィードバックして、前記2軸方向の速度の最適解を求める。
本発明によれば、3次元血流速度ベクトルの推定を、膨大な計算処理を経ることなく比較的短時間で行うことができる。これにより、超音波撮像装置のルーチン検査において3次元的な血流動態の検査に役立つ診断情報を提供することができる。
2次元流の質量保存則の概念を示す図。 本発明の超音波撮像装置の実施形態を示す全体ブロック図。 第一実施形態による信号処理部の動作の流れを示す図。 組織画像における座標系の説明図。 血流ベクトル算出の処理を示す図。 血流速度ベクトル算出の概念を説明する図で、(a)は撮像領域を示す図、(b)は所定スライスでの格子設定を示す図、(c)は3次元質量保存則を説明する図。 スライス設定の説明図。 第二実施形態による実施形態を示す全体ブロック図。 第二実施形態による信号処理部の動作の流れを示す図。 走査線と直交する組織血流境界を含む断面を示す図。 第三実施形態による信号処理部の動作の流れを示す図。 表示の実施形態の説明図。 表示の実施形態の説明図。 表示の実施形態の説明図。 シミュレーションによる結果の説明図で、(a)はシミュレーションに用いた噴流ジェットを示す図、(b)は結果を示す図。
本実施形態の超音波診断装置は、検査対象(3)に超音波を送信するとともに前記検査対象から反射するエコー信号を受信する超音波探触子(2)と、前記超音波探触子によって受信されたエコー信号を処理する信号処理部(15)と、を備え、前記信号処理部(15)は、エコー信号から血流速度を算出するドプラ速度演算部(153)と、ドプラ速度演算部が算出したドプラ速度をもとに血流速度ベクトルを推定するベクトル算出部(155)とを備える。ベクトル算出部(155)は、質量保存則に基づき前記超音波走査線の垂直面を構成する2軸方向の速度を推定し血流速度ベクトルを算出する。質量保存則に基く速度推定の際に、超音波走査線方向で計測された前記血流ドプラ速度を拘束条件に設定し、前記質量保存則の誤差分(破綻分)を、前記2軸方向の速度推定にフィードバックを行うことで、前記垂直面2軸方向の速度最適解を求める。またベクトル算出部(155)は前記血流速度ベクトルをもとに、診断情報を生成する診断情報生成部(159)を有する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、本発明が適用される超音波撮像装置の装置構成例を示すブロック図である。図2に示すように、本実施形態の超音波撮像装置は、装置本体1と超音波探触子2を有している。
装置本体1は超音波探触子2を制御しながら、超音波画像を生成するものであり、入力部10、制御部11、超音波信号発生器12、超音波受信回路13、表示部14及び信号処理部15を備えている。
超音波探触子2は、生体(被検者)3に接し、超音波信号発生器12で生成された信号に従い、生体内の照射領域30に対し超音波を照射すると共に、照射領域30の反射波エコー信号を受信する。超音波探触子2は、スキャン方式に応じて連続波或いはパルス波を発生する。また超音波探触子2の走査方法により、2次元的な断面を撮像する平面的撮像法、或いは3次元的な領域を撮像する立体的撮像法を適宜選択することができる。
装置本体1の各構成要素を説明する。入力部10は、超音波撮像装置を操作する医師や技師(以下、まとめて検者という)が制御部11に対し超音波撮像装置の動作条件を設定するキーボードやポインティングデバイスを備える。また検査に心電図等の外部機器からの情報を利用する場合、外部信号入力部としても機能する。
制御部11は、入力部10によって設定された超音波撮像装置の動作条件に基づき超音波信号発生器12、超音波受信回路13、表示部14及び信号処理部15を制御するもので、例えばコンピュータシステムのCPUに構築することができる。
超音波信号発生器12は、所定の周波数の信号を発生する発振器を備え、超音波探触子2に駆動信号を送る。超音波受信回路13は、超音波探触子2によって受信された反射エコー信号に対し増幅や整相など信号処理を行う。超音波受信回路13は、受信回路のほかに、包絡線検波手段、Log圧縮を行う手段を含む。表示部14は信号処理部15で得られた情報を出力する。信号処理部15は、超音波探触子2からの反射エコー信号から超音波画像を生成する機能を有する。その詳細は後述する。
また、図示していないが、装置本体1は、スキャンコンバータやA/Dコンバータを備えている。スキャンコンバータは超音波受信回路13に含んでもよいし、信号処理部15の後段に備えていてもよい。超音波受信回路13がスキャンコンバータを含む場合は、信号処理部15で取り扱うデータ量が減るというメリットがある。また、スキャンコンバータを超音波受信回路13に含めない場合には、信号処理部15で多くのデータを取り扱うことができ、精度のよい計測装置が実現できる。A/Dコンバータは信号処理部15の前段に備えられる。そのサンプリングの周波数は通常20MHzから50MHzの間である。
次に、信号処理部15の詳細な構成要素を説明する。信号処理部15は、主要な要素として、断層画像形成部151、ドプラ速度演算部153、ベクトル算出部155、表示画像形成部156、およびメモリ157を有する。
断層画像形成部151は、超音波受信回路13から出力される反射エコー信号から、例えばBモード像、すなわち超音波照射対象の平面的撮像法を用いた2次元的な組織形状画像、あるいは立体的撮像法を用いた3次元的な組織形状画像を形成する。
ドプラ速度演算部153は、超音波受信回路13から出力される反射エコー信号から、例えば、カラードプラモードの血流速度情報、すなわち超音波照射対象の平面的撮像法を用いた2次元的なドプラ血流速度情報、あるいは立体的撮像法を用いた3次元的なドプラ血流速度情報を抽出する。
ベクトル算出部155は、ドプラ血流速度情報から、物理法則(質量保存則)を用いて血流速度ベクトルを推定する。ベクトル算出部155には、血流速度ベクトルを用いて診断情報を生成する診断情報生成部159が備えられていてもよい。なおベクトル算出部155は、具体的には演算装置で構築され、演算装置に組み込まれたプログラムを実行するにより、診断情報生成部159の機能を含むベクトル算出部155の機能が実現される。なお演算装置の一部又は全部の機能は、ASICやFPGA等のハードウェアで実現することも可能である。
表示画像形成部156は、表示部14に表示される表示画像を形成するものであり、断層画像形成部151で形成された断層画像や、ドプラ計測で得られるドプラ波形、ベクトル算出部155で算出された諸量などを、予め決められた形式や入力部10から入力される指示に従い、表示画像を形成する。
メモリ157は、反射エコー信号、信号処理部15での演算に必要な情報や信号処理部15の処理結果を記憶する。以上説明した装置の構成を踏まえ、超音波診断装置の動作の実施形態を説明する。
<第一実施形態>
本実施形態を、図3に示す処理フローを参照して説明する。以下の説明では、具体的な例として、図2に示す照射領域30が左心室を含む部位である場合を説明するが、照射領域30は検者が所望する血管や他の心腔でもよい。
図3に示すように、本実施形態では、組織形状情報を取得する処理(S1)、血流ドプラ速度を計測する処理(S2)、血流ドプラ速度を用いて血流ベクトルを算出する処理(S3)、血流速度ベクトルを用いて診断情報を生成する処理(S4)および診断情報を表示する処理(S5)を行う。診断情報を生成する処理を省き、S3で推定された血流速度ベクトルを表示する処理を行ってもよい。以下、各処理の内容を詳細に説明する。
<ステップS1>
まず、照射領域の形態情報(Bモード画像)を得るための撮像を行う。Bモード像の超音波周波数は、撮像が可能な範囲、例えば1MHzから20MHzの範囲とする。また、フレームレートは、心拍によって変動する心臓の動きを捉えることができる範囲とする。具体的には心臓の時相が観察できる3Hz以上とする。断層画像形成部151は、超音波受信回路13から出力される反射エコーより、例えばBモード像を形成する。超音波生体画像は、平面的撮像法を用いた2次元的な画像あるいは立体的撮像法を用いた3次元的な画像のいずれでもよく、時系列でデータを取得する。
ステップS1によって得られる形状情報の一例を図4に示す。図4は超音波探触子2にセクタスキャンを行うセクタ探触子を用い、撮像対象を左心室31をとしたものである。図中、rは超音波のビーム方向(深度方向或いは走査線方向ともいう)、θは撮像ボリューム300内の長軸方向のビーム角度で、φは撮像ボリューム内の短軸方向のビーム角度である。また、本発明は3次元的な撮像を基本としているが、3次元撮像の手法は公知であり、ここでは説明を省略し、詳細を開示する公知の文献(非特許文献1、非特許文献2)を例示するにとどめる。
Cikes, et al, "Ultrafast Cardiac Ultrasound Imaging", JACC:CARDIOVASCULAR IMAGING, VOL.7,NO.8,2014 Provost et al.,"3D ultrafast ultrasound imaging in vivo",Phys. Med. Biol. 59 (2014) L1−L13
<ステップS2>
ステップS1の形態情報を得るための撮像とは別に、ステップS1で撮像した照射領域と同じ照射領域についてドプラ法の計測を行い、血流速度分布情報を得る。限定されるものではないが、ここではドプラ法として、汎用的な手法であるカラードプラ法を用いる。この場合、ドプラ速度演算部153は、断層画像形成部151で取得した超音波生体画像のなかの血流部に注目し、自己相関法により血流速度分布情報を取得する。ここで得られる血流速度分布は、血流速度のうち超音波撮像の走査線方向(r方向)の成分である。
<ステップS3>
ベクトル算出部155は、ドプラ速度演算部153で取得した血流ドプラ速度分布情報を用いて、血流速度ベクトルを推定する。血流ベクトルの推定方法の詳細を、図5を参照して説明する。
<<ステップS31>>
まず、検者が、入力部10に備えられたポインティングデバイスなどを用いて指定したROI(Region of Interest)を受け付け、ROIを設定する(S31)。或いは、ベクトル算出部155がBモード画像から、自動的に血流と組織の境界部をスネーク(“Snakes:Active Contour Models”,Kass, M et al)などの境界認識アルゴリズを用いて、ROIの設定を行ってもよい。また、Bモード画像を用いずに、ドプラ速度が存在する場所をROIと定義してもよい。
<<ステップS32>>
次に血流速度ベクトルの各成分v、vθ、vφの初期値を設定する。vは、図4に示す超音波のビーム方向の速度成分、vθは、θ方向の速度成分、vφは、φ方向の速度成分である。本実施形態では初期値として、vにドプラ速度を入力し、vθ、vφにゼロを入力する。
<<ステップS33>>
次に、血流速度ベクトルを算出する。撮像面を流れる血流の速度は、3次元の速度成分を持つが、ドプラ効果を用いた速度計測は、3次元的な速度成分のうち超音波ビーム方向成分のみしか求めることができない。本実施形態では、質量保存則を用いることで、超音波ビーム方向成分に直交する2軸方向成分、すなわち超音波走査線に垂直な面(超音波探触子を起点とする等深部面)における2軸方向の速度成分(最適解)を推定する。速度成分推定は、所定の等深部面を選択的に、あるいは段階的に計算する。
2軸方向の速度成分推定の概念を図6に示す。図6(a)に示すように、ROIの中の、超音波走査線と垂直な球面スライス(等深部面)上での質量保存則を考える。ここでは説明のため、ある位置スライスAを考えることとする。スライスAのデータポイントを格子状に区切り、上面から図示したのが図6(b)である。ここでは格子の側面にそれぞれ計算対象速度位置を指定したスタガード格子を用いている。個々の格子内(例えば図6(b)のデータポイント(i,j)のボリューム)の質量保存を考えると、図6(c)に示すように、上部からデータポイント(i,j)に流入する血流(vr(i,j))とデータポイント(i,j)の下部から流出する血流v’r(i,j)との差は、上下方向に垂直な4つの方向への血流(vθ(i,j)、vθ(i+1,j)、vφ(i,j)、vφ(i,j+1))の合計と等しい。具体的には、球座標系における流体の質量保存則を表す連続の式は、式(1)のように記述される。
Figure 0006523918
ここで、質量保存則は物理的には必ずゼロになり、式(1)におけるQは物理的には常にゼロである。しかし、計測上は、Qはゼロにはならない。そこでQを質量保存則の破たん度合(誤差分)と定義し、この値がゼロになるように、誤差分を隣接する4つの速度成分に分配する。初期値では、ステップS33でvθ、vφはすべてゼロとしており、初期値におけるQは次式(2)のようになり、ドプラ速度を超音波走査線方向で微分した値が入力される。
Figure 0006523918
式(2)の右辺の値(Qの値)を、式(1)の第二項と第三項に分配し、式(1)の値がゼロとなるようにする。分配の仕方はいくつか考えられるが、ここでは等分配となるように以下の制約を用いる。
Figure 0006523918
Figure 0006523918
具体的には、式(3)、式(4)を満たすように、次式(5)、(6)の補正係数Δvθ、Δvφを計算する。
Figure 0006523918
Figure 0006523918
そして、算出した補正係数Δvθを、θ方向の領域両側面の速度(vθ(i,j)、vθ(i+1,j)に等分に割り当て、補正係数Δvφを、φ方向の領域両側面の速度(vφ(i,j)、vφ(i+1,j)に等分に割り当て、vθ、vφに加える。但し、速度(vθ(i,j)、vθ(i+1,j)は符号が逆であり、同様に(vφ(i,j)とvφ(i+1,j)は符号が逆であるので、加えられる補正係数の符号はそれぞれ逆にする。または1回目の計算ではvθ、vφの初期値ゼロであるので、この補正係数Δvθ、Δvφの半分(1/2)がvθ(i,j)、vθ(i+1,j)の値となる。
新たなvθ(i,j)、vθ(i+1,j)を用いて、式(1)の計算を行う。以下、同様に計算を繰り返す(反復計算を行う)。
位置(i,j)のデータポイントについて、反復計算で得られる速度成分は次式(7−1)〜(7−4)(まとめて式(7)という)で表される。式中、上付きの添え字は反復計算の回数を表す。即ち式(7)は、n番目の反復計算で推定された速度を用いて、n+1番目に更新される速度成分を表している。
Figure 0006523918
上記した反復計算を、スライス内のすべてのデータポイント(図6(b)に示す格子状に区切られた部分)について行う。各データポイントの反復計算は、独立して即ち並行して行ってもよいし、一つのデータポイントの計算結果を、隣接するデータポイントの反復計算に反映させて逐次的に行ってもよい。
各データポイントについて独立して反復計算を行う場合、例えば、位置(i,j)のデータポイントについては局所的にQがゼロになるが、隣接するデータポイントでも同様な処理が行われるために、スライス面全体では、即ち個々のデータポイントについては、Qはゼロにならない。このためスライス面を構成する各データポイントでQがゼロに近づくまで反復計算を繰り返す。
理想的には、反復計算の終了時点は断面内の全てのデータポイントでQがゼロとなるときであるが、全てのデータポイントでQをゼロにすることは現実的ではない。そこで、反復計算を終了するために収束条件を設定しておく。収束条件は、例えば、予め閾値を設定し、Qが閾値以下になったときに反復計算が収束したものとする。閾値として、具体的には、初期値Qの定数分の一や、あらかじめ設定した値を用いることができる。また収束判定の対象とするQは、全てのデータポイントの個々のQでもよいが、ある局所(特定のデータポイント)の値でもよいし、スライス内のQ(絶対値)の最大値、最小値、平均値でもよい。
また、反復計算が発散するのを防止するために、Qの時間的な変化を追跡し、Qが増加傾向になった場合、次式(8−1)〜(8−4)に示すように、補正係数に対し1以下の緩和係数Kをかけて、その反復ステップを再実行してもよい。これにより発散を防止し、反復計算を収束させることができる。
Figure 0006523918
反復計算を個々のデータポイント毎に独立して行うのではなく、一つのデータポイントの計算結果を用いて、それに隣接するデータポイントの反復計算を逐次的に行う場合には、一つのデータポイントで算出された隣接するデータポイントのvθ、vφ(図6(c)では、データポイント(i,j)で求めたvθ (i+1,j)、vφ (i,j+1))をそのθ方向に隣接するデータポイント及びφ方向に隣接するデータポイントの反復計算における初期値として用いて、反復計算を行ってもよい。
以上の反復計算で得られた速度成分(r方向、θ方向及びφ方向の成分)を組み合わせることでベクトルとなる。これにより図6(a)、(b)に示すスライスAの各領域における3次元血流ベクトルが得られる。なお、図6では、超音波走査線と垂直な、短軸方向(φ方向)と長軸方向(θ方向)で規定される球面スライスを示したが、例えば超音波走査面の厚みが薄い(短軸方向が極めて短い)場合、長軸方向に沿った線状の領域のみで3次元速度成分を求め3次元血流ベクトルを求めてもよいことは言うまでもない。
なお図6では、超音波探触子を起点とする等深部面(スライス)の一つについて速度推定を行う場合を説明したが、図7に示すように、上述した血流ベクトルの推定(図5:S33)を、超音波走査線と垂直な複数のスライス(図7で、斜線で示す部分は701〜705)で行うことができる。複数のスライスで反復計算を行う順序は特に限定されないが、例えば、浅部から深部へ進める。このように複数スライスについて血流ベクトルを算出することにより、所定の深部帯にあるROI全体のベクトル情報が算出できる。そして、ROI全体のベクトル情報を算出した場合には、全体のベクトル情報から任意の断面710のベクトル情報を切り出すことが可能となる。
なお上述した反復計算は、格子の側面にそれぞれ計算対象速度位置を指定したスタガード格子を用いた例であるが、各位置にすべてのベクトル情報を集約させるコロケート格子に補間してもよい。
また上記説明では、超音波走査線と垂直な球面スライスを想定した球座標での計算例を示したが、直交座標あるいは、極座標でも同等である。
算出した任意のスライス面のベクトル情報は、後述する種々の表示形態で表示してもよいし、種々の診断情報の算出に用いることも可能である。
<ステップS4>
図3に戻り、診断情報生成部159が生成する診断情報について説明する。血流ベクトルを用いて算出可能な諸量としては、2点間の圧較差、圧較差分布、相互作用力、せん断応力、質量、運動量、運動エネルギ、熱量、物質の濃度などが挙げられる。診断情報生成部159は、血流ベクトルを用いた諸量算出のアルゴリズムを有しており、入力部10を介して選択された診断情報に応じてこれら諸量のいずれかを算出する。
以下、診断情報の一例として、圧較差の算出について説明する。
一般に、血流のような非圧縮性の流体の圧分布を計算する手法には、Navier−Stokes式を用いた方法(NSE法)と圧力Poisson式を用いた方法(PPE法)の二つがあり、どちらでもよい。PPE法を適用する場合であれば、次式(9)のテンソルで表現したPPE法の方程式を用いて、圧pを求めることができる。
Figure 0006523918
上記方程式の解を求める際に必要となる境界条件としては、微分型のノイマン型境界条件を与えてもよいし、数値を与えるディレクレ型の境界条件でもよい。これらは公知技術のため詳細は記載しない。また圧分布を算出する際に一点の基準圧を指定する必要がある。本実施形態のように左心室を対象とする場合、心尖部付近、心基部、左房内など検者が所望する箇所の基準圧を指定することができる。基準圧は、超音波撮像とは別な計測方法で測定した値、あるいは検者が所望の任意の値、例えばゼロ、を用いることができ、入力部10を介して設定することができる。
また、流れ場が既知となっているため、流れ場の渦度、運動量、運動エネルギ、循環、流線、流跡線なども算出が可能となり、またその輸送方程式を個々にとることで、診断情報に役立ててもよい。
<ステップS5>
ベクトル算出部155によって推定された、上述の診断情報は、表示画像作成部156において、超音波撮像装置で得られるその他の画像、例えば形態画像やドプラ波形とともに、グラフや数値などを含む表示画像とされ、表示部14に表示される。表示の形態は種々の形態を取ることができる。表示の実施形態は後述する。
本実施形態によれば、任意の断面について、3次元的な血流速度ベクトルを推定することができる。この血流速度ベクトルを用いることで、それを反映した診断情報を提供することができ、心臓の血流動態などをより正確に把握することが可能になる。
<第一実施形態の変形例>
第一実施形態は、質量保存則の破たん度合である誤差分Qを、ドプラ速度と垂直な4つの速度成分に均等に分配した例であるが、Qの分配は不均等であってもよい。この場合、第一実施形態において式(5)、(6)で示した、反復計算に用いる補正係数Δvθ、Δvφを次式(10)、(11)のように変更すればよい。
Figure 0006523918
Figure 0006523918
式中、αは1以下の実数であり、対象となる臓器(心臓か血管かなど)に応じて予め決めておいてもよいし、検者が入力部10を介して設定してもよい。
その他の処理は、第一実施形態と同様である。
<第二実施形態>
本実施形態は、超音波放射面と垂直な面における2方向の血流速度成分を算出する際に、組織速度を境界条件として加えることが特徴である。
即ち、本実施形態の超音波撮像装置は、信号処理部が、血流のドプラ速度を算出するドプラ速度演算部と、前記ドプラ速度から血流の3次元速度ベクトルを計算するベクトル算出部と、を備えること、及び、ベクトル算出部は、超音波走査線で計測された前記ドプラ速度を拘束条件として設定し、質量保存則を用いて前記超音波走査線の垂直面を構成する2軸方向の速度を推定する処理を行い、当該推定処理に前記質量保存則の誤差分をフィードバックして、前記2軸方向の速度の最適解を求めること、は第一実施形態と同様であるが、信号処理部は、検査対象の組織速度を算出する組織速度演算部をさらに備え、ベクトル算出部は、前記2軸方向の速度を推定する処理を行う際に、前記組織速度演算部が算出した組織速度を血流速度の境界条件として用いる。
また、ベクトル算出部は、前記組織速度と、前記血流ドプラ速度とを用いて、前記超音波探触子を起点とする等深部面全体における前記質量保存則の誤差分を算出し、当該誤差分を、前記2軸方向の速度の最適解算出の収束条件としてフィードバックを行う。
以下、第一実施形態の超音波撮像装置と異なる点を中心に本実施形態の超音波撮像装置を説明する。
本実施形態の超音波撮像装置は、図8に示すように、信号処理部15が組織速度演算部152を備えている。その他の要素は、図2に示す超音波撮像装置と同様であり、同じ符号で示し、重複する説明は省略する。
本実施形態における信号処理部15の処理を、図9に示す処理フローを参照して説明する。図9において、図3に示す処理と同じ処理は同じ符号で示す。図示するように本実施形態では、組織速度の算出のステップS20が追加されていること、血流ベクトル算出ステップS3において、ステップS20で算出された組織速度が用いられることが特徴である。以下の説明では、第一実施形態と同様に、具体的な例として、照射領域30(図2)が左心室を含む部位である場合を説明するが、照射領域30は検者が所望する血管や他の心腔でもよい。
まず撮像は、第一実施形態と同様に、組織形態画像(例えばBモード画像)を得るための撮像と、血流情報を得るためのカラードプラモードの撮像とを行う。断層画像形成部151は、組織形態画像の撮像により超音波画像を形成する(S1)。ドプラ速度演算部153は、超音波画像を用いて指定されたROI内の血流部の血流速度分布情報を取得する(S2)。
一方、組織速度演算部152は、断層画像形成部151が形成した超音波生体画像から、組織と血流との境界の速度を算出する(S20)。
このため、組織速度演算部152は、まず、超音波生体画像から組織の位置情報を取得する(S21)。組織の位置情報は、組織内壁を画像処理することによって検出してもよいし、検者が入力部10を介して組織内壁を指定することで取得してもよい。画像処理により検出する場合、具体的には超音波画像では組織は高輝度値として認識されるため、高輝度値部を心臓組織とし、2次元、あるいは3次元的な心臓組織位置を取得する。検者が入力部10を介して指定する場合は、入力部10に備えられたポインティングデバイスを介し、血液と組織との境界面である組織内壁を指定することで、位置を与えてもよい。
図6(a)に示す撮像範囲において、超音波走査線と直交するスライス面で組織内壁を指定した状態を図10に示す。血流のある部分は、組織(心室)31で囲まれており、心室の内壁に沿って、複数の位置が指定される。ここでは、説明を簡単にするために、θ方向に平行な線上の2点(P1、P2)を指定した状態を示している。
次に組織速度演算部152は、指定された組織について、組織血流境界速度(以下、単に境界速度ともいう)を算出する。境界速度とは組織壁と血液の境界の速度であり、流体力学的に、この境界面では血液の速度と、組織の速度が等しくなる。従って、組織壁の速度を算出することで、境界面での血流速度が求められる。境界速度の算出方法は、二枚の時間的に連続した画像のパターンマッチングを用いてもよいし、前述のように決定した組織の位置情報の時間的推移すなわち組織の移動を追跡してもよい。パターンマッチングの演算手法として、例えば、相互相関法やSAD(sum of absolute difference)法、SSD(sum of squared difference)法、KLT(Kanade− Lucas−Tomasi)法を用いてもよい。これら手法により得られる組織の移動量を画像の撮像間隔(時間)で除すことにより境界速度が算出される。
こうして得られる境界速度は、それを算出するのに用いた超音波生体画像データが図4に示すような3次元画像の場合には、超音波走査線方向の速度成分及びそれと直交する2軸方向の成分に分解することができる。即ち、図10下側に示すように、r方向、θ方向及びφ方向の成分(V、Vθ、Vφ)が得られる。
次の血流ベクトル算出ステップS3では、第一実施形態と同様に、式(1)の質量保存則の誤差分Qを算出し、この誤差分Qをθ方向及びφ方向に分配し、Qが所定の閾値以下となるまで反復計算を行う。この際、ステップS20で算出した境界速度を、境界条件(ディリクレ型境界条件)として与える。即ち、図10に示す心壁31を含む境界領域のr方向、θ方向及びφ方向の速度成分として、組織速度演算部152で求めた各速度の値を設定する。
次いで、心壁31(P1)の内側については、P1にθ方向に隣接するデータポイントについては、カラードプラで求めた当該データポイントのr方向の速度vと境界速度Vのθ方向速度成分Vθを拘束条件として反復計算を行う。この際、式(1)の誤差分Qを2軸方向に分配することは第一実施形態と同様であり、分配の方法は均等でも不均等でもよい。θ方向に沿って逐次、データポイントの計算を進める。逐次計算は、点P1から点P2まで計算を進めてもよいし、別途、点P2を開始点として逆方向に逐次計算を行い、P1とP2の中間地点で計算を終了してもよい。なおθ方向に沿って計算を進めるのではなく、φ方向に計算する場合には、φ方向の端部である境界直近のデータポイントから計算を開始し、その際、r方向の速度vと境界速度Vのφ方向の速度成分Vφを拘束条件として反復計算を行う。
いずれの場合も、各データポイントにおいて所定の収束条件に達するまで計算を行う。収束条件としては、第一実施形態と同様に、初期値Qの定数分の一や、あらかじめ設定した値を用いることができる。また後述する組織血流境界速度を用いた収束判定条件を採用してもよい。
また、逐次計算を行うのではなく、心壁31に囲まれ、境界を含まない内部領域については、各データポイントについて独立して反復計算を行ってもよい。即ち、境界に接したデータポイントについては、上記境界速度を拘束条件として用い、それ以外の内部領域については、第一実施形態と同様に、各データポイントについて、vθ、vφの初期値をゼロとして反復計算を開始する。反復計算の手法は第一実施形態と同様であり、誤差分Qを隣接する4つの速度成分に均等に分配する、或いは所定の割合で分配するという手順を式(7)或いは式(8)に従って繰り返す。そして、誤差分Qが所定の閾値以下になった時点で反復計算を終了する。
この場合、反復計算の収束判定の条件として、第一実施形態と同様の閾値を設定してもよいが、上述した組織血流境界速度を用いて、反復計算の収束判定の条件を決めてもよい。
境界速度を反復計算の収束判定に用いる場合の考え方を説明する。図10に示すスライス面で、心壁31に囲まれた領域内部では、ドプラ速度と心壁速度とに囲まれており、質量保存則を評価することが可能であり、原理的に質量保存則を満たしているはずである。即ち、境界速度の各成分をV、Vθ、Vφとし、これを式(1)のv、vθ、vφとすると、式(12)に示すように、誤差分(Qとする)はゼロになるはずである。
Figure 0006523918
しかし、測定の誤差から、完全にゼロ(Q=0)になることは難しい。この残差分Qは計測誤差であるため、これを収束条件として用いる。即ち、質量保存則(式(1))の誤差分Qが、収束条件として設定された誤差分Q以下になったところで計算を終了する。全てのデータポイントで同様の処理を行うことで、心壁31に囲まれた領域全体の3次元血流ベクトルが求められる。
この手法によれば、計測誤差と同程度の推定誤差で3次元血流ベクトルの推定処理を行うことができる。
本実施形態においても、血流ベクトル算出ステップS3に続いて、算出された血流ベクトルを用いて圧較差などの診断情報を形成したり(S4)、血流ベクトルや診断情報を任意の表示形態で表示したりすること(S5)は、第一実施形態と同様である。また本実施形態では、組織血流境界速度、即ち壁の速度が得られているので、例えば、壁のせん断応力などの組織血流相互作用力も算出可能である。せん断応力は、例えば式(13)により算出することができる。
Figure 0006523918
(式中、τはせん断応力、μは粘性係数を表す。)
本実施形態によれば、組織速度演算部152を設け、組織血流境界速度を算出し、その結果を血流ベクトル算出のための反復計算の条件に加えることにより、血流ベクトルの推定精度を高めることができる。
<第三実施形態>
本実施形態の超音波撮像装置は、上述した各実施形態の構成に加え、外部から検査対象(主としてヒト)の心臓の周期動情報(心周期情報)を入力する入力部を備えることが特徴である。信号処理部は、入力部から入力される心周期情報に基づき、複数の心周期の診断情報を生成する。具体的には、入力部10から入力される心周期情報や断層画像形成部から得られる画像情報を利用して、上述した血流ベクトルの推定及び物理量の計算を行い、心周期の各時相について或いは収縮期や拡張期といった特徴的な時相について、診断情報を生成する。心臓の周期動情報は、心電図をもとに行うことができる。また僧帽弁流入速度、肺動脈逆流速度、心壁運動速度、心壁運動などの情報も利用することができる。
本実施形態の処理の一例を図11に示す。図示する例では、心電図900を参照しながら、所定の時相のエコー信号を得る(S1101)。心電図を参照する計測は、検者が心電図を見ながら、所定の時相のときに超音波信号を照射してもよいし、入力部10から受け取った心電図の心周期情報をもとに、制御部11が超音波信号発生器12および超音波受信回路13を制御してエコー信号を得てもよい。
エコー信号を用いて、信号処理部15のドプラ速度演算部153がドプラ速度を算出し、ベクトル算出部155が撮像断面の血流ベクトルを算出し、それに基づく物理量910を推定する(S1102)。ベクトル算出部155が算出する物理量は、第一実施形態と同様であり、流れ場の渦度、運動量、運動エネルギ、壁のせん断応力、循環、流線、流跡線さらには2点間の圧較差、組織血流相互作用力などの診断情報を含む。
この撮像(S1101)と物理量推定(S1102)までの処理を、時相毎に或いは心周期毎に行い、時相毎の物理量901即ち物理量の時系列データ902が得られる(S1103、S1104)。診断情報生成部159は、物理量の時系列データを用いて、物理量の推移を示すグラフを作成したり、測定期間内における物理量の最大値、最小値、平均値などの統計量を算出してもよいし、時間変化(微分値)や積分値などを算出する(S1105)。時系列データを得るのではなく、注目する特定の時相のデータを選択して、診断情報を生成してもよい。心周期に関連する診断情報902として、例えば、圧−容積関係曲線、圧力の時間微分(dP/dt)、左心室の弛緩状態を指数関数で近似した際の時定数などがある。圧−容積関係曲線に用いる容積(例えば左心室の容積)は形態画像から推定することができる(S1105)。
またこれら診断情報902や統計処理の結果は、そのまま心電図とともに表示部14に表示することができ(S1106)、これにより診断情報の心周期に伴う変化を確認することができる。
本実施形態によれば、血流速度ベクトルを反映した診断情報を心時相と関連した情報として提供することができる。
<表示の実施形態>
上述したように、本発明の超音波撮像装置では、血流速度ベクトルを反映した種々の診断情報を提供することができる。診断情報の提供の仕方は特に限定されるものではないが、典型的な提供方法は、装置の表示部14に表示画像として表示する方法である。表示画像は表示画像生成部156によって生成される。以下、表示の実施形態を図12〜図14を参照して説明する。但し、表示方法はこれらに限定されず、種々の組み合わせや、必須ではない要素の省略などが可能である。
図12に、血流ベクトルを表示する一例を示す。図示する例では、白黒の断層像(ここでは心筋31が示されている)と血流の速度ベクトル510を重ねあわせ、さらにステップS4で算出された圧較差が等高線状に表示されている。また表示画面に物理量表示部515が設けられており、撮像面垂直方向の空間変化率(物理量例えば圧力を撮像面垂直方向に微分した値)520に関する数値や、任意の物理量およびその残差量、時間変化、圧較差分布などを数値等で物理量表示部515に表示してもよい。
もちろん、これら物理量は、ある基準点を設けて差分や割合として表示してもよい。また、血流ベクトル3次元効果の履歴を表示し、1心拍内のうちの最大値、最小値、平均値、分散値の一つ以上を表示してもよい。
図13に示す表示例は、図12と同様に、2点間の圧較差を示すものであるが、ここでは圧較差の時間的変化をグラフ541で表示している。このグラフ541は、断層画像形成部で取得した心筋の動きの時間的変化、ドプラ速度演算部で取得した血流速度の時間的変化、あるいは外部心電図情報のいずれかの情報とともに、表示されることが好ましい。図示する例では、心電図542及び僧帽弁流入波形543と2点間の圧較差のグラク541を表示している。その他、予めメモリ157に格納してあった心筋の動きの時間的変化、ドプラ速度演算部で取得した血流速度の時間的変化を心電図R波とR波の間で切り出し(R−R間で同期)、表示させてもよい。心筋の動きは検者が所望する箇所の時間変化を取得するMモードの情報でもよい。
図14は、診断情報生成部159が生成した組織血流相互作用力を表示した例である。図示する例では、組織血流相互作用のx方向成分543と、組織血流相互作用力のy方向成分544を、それぞれ経時的な変化を示すグラフで表示している。この場合にも、心電図542や僧帽弁流入波形543などとともに表示しているが、予めメモリ157に格納してあった心筋の動きの時間的変化、ドプラ速度演算部で取得した血流速度の時間的変化を心電図R波とR波の間で切り出し(R−R間で同期)、表示させてもよい。心筋の動きは検者が所望する箇所の時間変化を取得するMモードの情報でもよい。
本実施形態によれば、多様な表示が可能であり、これにより検者は、診断に有効な情報を、表示部を介して受け取ることができる。なお表示方法は上述した実施形態に限定されず、種々の組み合わせや、必須ではない要素の省略などが可能である。また表示部は、本実施形態の超音波撮像装置に備えられた表示部に限定されず、公知の種々のデータ転送技術を利用することにより、他の表示装置においても表示することができることは言うまでもない。
本発明について、図15(a)に示すような、噴流ジェットシミュレーションをもとに実現性の検討を行ったので、結果を示す。噴流ジェットでは、流れ方向をy軸として、この値を既知のものとし、x方向、z方向の速度の推定を行った。あるx-z断面での一例を図15(b)に示す。上段の結果は、シミュレーションによる正解値で、中段は本発明を用いず、シミュレータに解かせたもの、下段が本発明(第一実施形態の手法)により、反復法を用いたものである。中段の反復法を用いない場合は、情報が足りず、数値シミュレーションの誤差に脆弱な不安定な値となる。一方で数値シミュレーションを用いた場合では、正解値と良好に一致する。
以上、各実施形態及び実施例を用いて本発明を説明したが、本発明の超音波撮像装置は、超音波探触子によって受信されたエコー信号を処理する信号処理部が、血流のドプラ速度を算出するドプラ速度演算部と、前記ドプラ速度から血流の3次元速度ベクトルを計算するベクトル算出部と、を備えること、そして、ベクトル算出部が、超音波走査線で計測された前記ドプラ速度を拘束条件として設定し、質量保存則を用いて前記超音波走査線の垂直面を構成する2軸方向の速度を推定する処理を行い、当該推定処理に前記質量保存則の誤差分をフィードバックして、前記2軸方向の速度の最適解を求めることが特徴である。
本発明の超音波装置は、上記実施形態に限定されず、適宜要素の追加、削除などが可能である。
本発明によれば、カラードプラ法の情報から血流の速度ベクトルが推定できる超音波診断装置において、撮像断面に対し直交する血流速度成分を反映した高次の診断情報が提供される。それにより、より確かな診断に貢献できる。
100・・・超音波撮像装置
1・・・装置本体
2・・・超音波探触子
10・・・入力部
11・・・制御部
12・・・超音波信号発生器
13・・・超音波受信回路
14・・・表示部
15・・・信号処理部
151・・・断層画像形成部
152・・・組織速度演算部
153・・・ドプラ速度演算部
155・・・ベクトル算出部
157・・・メモリ
159・・・診断情報生成部

Claims (15)

  1. 検査対象に超音波を送信するとともに前記検査対象から反射するエコー信号を受信する超音波探触子と、前記超音波探触子によって受信されたエコー信号を処理する信号処理部と、を備え、
    前記信号処理部は、血流のドプラ速度を算出するドプラ速度演算部と、前記ドプラ速度から血流の3次元速度ベクトルを計算するベクトル算出部と、を備え、
    前記ベクトル算出部は、超音波走査線で計測された前記ドプラ速度を拘束条件として設定し、質量保存則の誤差分を用いて前記超音波走査線の垂直面を構成する2軸方向それぞれの速度を推定する処理を行い、当該推定処理に前記質量保存則の誤差分をフィードバックして、前記2軸方向それぞれの速度の最適解を求めることを特徴とする超音波撮像装置。
  2. 請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
    前記ベクトル算出部は、前記推定処理において反復方法を用いることを特徴とする超音波撮像装置。
  3. 請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
    前記ベクトル算出部は、前記質量保存則の誤差分を、等方性を仮定して、前記2軸方向の速度に分配することを特徴とする超音波撮像装置。
  4. 請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
    前記ベクトル算出部は、前記質量保存則の誤差分を、非等方的に前記2軸方向の速度に分配することを特徴とする超音波撮像装置。
  5. 請求項2に記載の超音波撮像装置であって、
    前記ベクトル算出部は、反復計算時の前記質量保存則の誤差分が、所定の閾値以下になった時を前記2軸方向の速度の最適解の収束と判定することを特徴とする超音波撮像装置。
  6. 請求項2に記載の超音波撮像装置であって、
    前記ベクトル算出部は、反復計算時の前記質量保存則の誤差分を記録し、前記質量保存則の誤差分が一つ前に行った反復ステップで得られた質量保存則の誤差分よりも大きくなった場合に、反復計算のアルゴリズムを変更することを特徴とする超音波撮像装置。
  7. 請求項2に記載の超音波撮像装置であって、
    前記ベクトル算出部は、前記超音波探触子を起点とする等深部面の前記2軸方向の速度の最適解を選択的、あるいは段階的に計算することを特徴とする超音波撮像装置。
  8. 請求項7に記載の超音波撮像装置であって、
    前記ベクトル算出部は、任意の断面が含まれる深部帯について、前記深部帯に含まれる等深部面の前記2軸方向の速度の最適解を選択的に計算することを特徴とする超音波撮像装置。
  9. 請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
    前記信号処理部は、検査対象の組織速度を算出する組織速度演算部をさらに備え、
    前記ベクトル算出部は、前記2軸方向の速度を推定する処理を行う際に、前記組織速度演算部が算出した組織速度を血流速度推定の境界条件として用いることを特徴とする超音波撮像装置。
  10. 請求項9に記載の超音波撮像装置であって、前記ベクトル算出部は、前記組織速度と、前記血流ドプラ速度とを用いて、前記超音波探触子を起点とする等深部面全体における前記質量保存則の誤差分を算出し、当該誤差分を、前記2軸方向の速度の最適解算出の収束条件としてフィードバックを行うことを特徴とする超音波撮像装置。
  11. 請求項1に記載の超音波撮像装置であって、
    さらに、前記ベクトル算出部が算出した血流速度ベクトルを用いて、診断情報を生成する診断情報生成部を有することを特徴とする超音波撮像装置。
  12. 請求項11に記載の超音波撮像装置であって、前記診断情報は、2点間の圧較差、圧較差分布、相互作用力、せん断応力、質量、運動量、運動エネルギ、熱量、物質の濃度から選ばれる1種以上であることを特徴とする超音波撮像装置。
  13. 請求項11に記載の超音波撮像装置であって、さらに、前記診断情報を表示する表示部を備えたことを特徴とする超音波撮像装置。
  14. 請求項13に記載の超音波撮像装置であって、
    前記表示部は、断層像画像及び/または血流ベクトルの表示とともに、前記診断情報の瞬時、あるいは時間変化をグラフ又は数値として表示することを特徴とする超音波撮像装置。
  15. 請求項1に記載の超音波撮像装置であって、さらに、外部から前記検査対象に関する心周期情報を入力する入力部を備え、前記信号処理部は、前記入力部から入力される心周期情報に基づき、複数の心周期の診断情報を生成することを特徴とする超音波撮像装置。
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