JP6522720B1 - 抗菌性の被覆層を有する食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム、およびその応用 - Google Patents
抗菌性の被覆層を有する食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム、およびその応用 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6522720B1 JP6522720B1 JP2017228104A JP2017228104A JP6522720B1 JP 6522720 B1 JP6522720 B1 JP 6522720B1 JP 2017228104 A JP2017228104 A JP 2017228104A JP 2017228104 A JP2017228104 A JP 2017228104A JP 6522720 B1 JP6522720 B1 JP 6522720B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- food
- food container
- sheet
- packaging film
- food packaging
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Packging For Living Organisms, Food Or Medicinal Products That Are Sensitive To Environmental Conditiond (AREA)
- Packages (AREA)
- Wrappers (AREA)
Abstract
Description
[1]食品包装材として許容される材料を基材とする、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムであって、少なくとも一部の表面が、抗菌上有効量の保存料を含む層で被覆されている、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム。
[2]保存料が、プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかである、1の、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム。
[3]抗菌上有効量が、0.40mg/m2以上である、1または2の、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム。
[4]保存料を含む層が、乳化剤を含む、1〜3のいずれか1項の、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム。
[5]乳化剤の量が、0.97mg/m2以上である、4の、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム。
[6]食品包装材として許容される材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンである、1〜5のいずれか1項の、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム。
[7]使い捨て用である、1〜6のいずれか1項の食品容器または食品包装フィルム。
[8]ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンを基材とする、原反シートまたはフィルムの少なくとも一方の表面に、プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかを含む水溶液を塗布する工程;および
水溶液が塗布された原反シートまたはフィルムを、乾燥する工程
を含む、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムの製造方法。
[9]塗布される水溶液が、プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかを0.10%以上含む、8の製造方法。
[10]塗布される水溶液が、乳化剤を0.10%以上含む、8または9の製造方法。
[11]食品包装材として許容される材料を基材とする食品容器または食品包装フィルムの少なくとも一部の表面を、抗菌上有効量の、プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかを含む層で被覆することを特徴とする、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムに抗菌性を付与する方法。
[12]少なくとも一部の表面が抗菌上有効量の、プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかを含む層で被覆された、食品容器または食品包装フィルムにより包装された、食品。
[13]プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかの、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムの、少なくとも一部の表面の被覆のための使用。
本発明は、食品包装材として許容される材料を基材とする、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムであって、少なくとも一部の表面が、抗菌上有効量の保存料を含む層で被覆されている、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムを提供する。
本発明のシート、容器またはフィルムの被覆層は、保存料、例えばプロタミンまたはその塩、ポリリジン、ナイシン等のバクテリオシン、硫酸銅、硫酸亜鉛、安息香酸またはその塩、ソルビン酸またはその塩、プロピオン酸またはその塩、あるいは銀等の金属イオン類を含有する。
本発明により提供される製品の表面の被覆層は、プロタミン等以外の他の成分、例えば、後述するように、プロタミン等の水溶液を塗布することにより被覆層を形成する際に、水溶液の塗布を補助する成分を含んでいてもよい。塗布を補助する成分の例は、界面活性剤のうち、乳化剤、界面活性低下剤、消泡剤、剥離剤、または防曇剤として用いられている成分である。
本発明によって提供される製品等の材料は、食品包装材として許容される材料である。このような材料の例は、プラスチック、紙、金属、無機物であり得る。プラスチックの例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレン2,6ナフタレート(PEN)、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、イソタクトポリプロピレン(iPP)、ポリビニルアルコール(PVA)、変性PVA、ポリブチレンサクシネート・アジペート(PBSA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアセタール(POM)、変性フェニレンエーテル(m-PPE)、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、アクリルニトリル・スチレン共重合体(AS)、フェノールフォルムアルデヒド(PF)、ユリアフォルムアルデヒド(UF)、メラミンフォルムアルデヒド(MF)、エポキシ樹脂(EP)、不飽和ポリエステル(UP)、シリコン樹脂(SI)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリヘキサメチレンカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルイソシアネート、ポリブチルイソシアネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリノルマルプロピルメタクリレート、ポリノルマルブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリロニトリル、セルロースアセテート(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、メチルセルロース、プロピルセルロース、ベンジルセルロース、フィブロイン、天然ゴム、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルノルマルプロピルエーテル、ポリビニルイソプロピルエーテル、ポリビニルノルマルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリビニルターシャリーブチルエーテル、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド、ポリ(N−ビニルピロリドン)、ポリ(N−ビニルカルバゾル)、ポリ(4−ビニルピリジン)、ポリビニルメチルケトン、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシクロペンテンオキシド、ポリスチレンサルホン、セルロース、再生セルロース、プロミックス、ナイロンアラミド,ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパラフェニレンベンズビスチアゾール、ポリイミド、およびこれらの共重合体からなるものを挙げることができる。本発明においては、食品包装材として許容されるものであれば、いずれであっても用いることができる。食品容器として実績があり、加工が容易である等の観点からは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンであることが好ましい。
本発明の食品容器成型用シートは、食品容器を成型するために特に好適に用いることができる。本発明により提供される食品容器、または食品包装フィルムにより食品を包装すれば、表面の抗菌上有効量の保存料を含む層に含まれるプロタミン等の成分が、食品と接触することにより食品に対して抗菌力を発揮し、食品の保存性を高めることができる。したがって、本発明により提供される食品容器または食品包装フィルムは、製造後、一定時間が経過した後に食されるものに適している。このような食品の例としては、弁当、中食用の惣菜、集団給食用の惣菜、土産物の菓子等の加工食品が挙げられる。
本発明はまた、下記の工程を含む、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムの製造方法を提供する:
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンを基材とする、原反シートまたはフィルムの少なくとも一方の表面に、プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかを含む水溶液を塗布する工程;
塗布された原反シート、またはフィルムを乾燥する工程。
第1の工程では、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンを基材とする原反シートの少なくとも一方の表面に、プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかを含む水溶液が塗布される。溶液におけるプロタミン等の濃度は、製造される食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムにおける抗菌力を考慮して決定することができる。具体的には、プロタミンまたはその塩、ポリリジン、およびナイシンからなる群より選択されるいずれかの濃度(複数種類を用いる場合は、合計の濃度)は、例えば0.040%以上とすることができ、0.050%以上としてもよく、0.10%以上とすることが好ましく、0.20%以上とすることがより好ましく、0.50%とすることがさらに好ましい。なお、本発明に関し、成分の濃度を%で表すときは、特に記載した場合を除き、溶液の体積(mL)あたりの溶質の質量(g)×100(重量/体積:w/v%)で計算された値である。
第2の工程では、水溶液が塗布された原反シートまたはフィルムを、乾燥する。乾燥によって溶媒が気化し、抗菌層が形成される。乾燥のための温度および時間は、溶液に含まれるプロタミン等の抗菌力が損なわれない限り、適宜とすることができる。
本発明の製造方法はまた、食品容器成型用シートを製造する場合は、シート成型工程を含んでもよく、食品容器を製造する場合は、熱成型工程を含んでもよい。使い捨てプラスチック容器は、量産性・加工性の観点から、汎用のポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン等の基剤を押出成型してシートを得て、このシートをさらに真空成型することにより製造されることが多い。食品容器成型用シートを製造するための好ましい態様においては、通常の工程によりシートを押出成型した後、シートの一方の、食品と接触する面にプロタミン等を含む溶液を均一に塗布し、乾燥し、そして必要に応じシートを巻き取る工程を含む。溶液を塗布するためには、既存の巻き取り後のシートの離型性を高める離型剤や防曇剤等を塗布するための装置がそのまま利用できる。
本発明で抗菌力を有するというときは、対象となる材料をJIS Z 2801-2012に準じて評価したときに、適切なコントロールと比較して、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ菌(Salmonella enterica)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、枯草菌(Bacillus subtilis)、および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)からなる群より選択される菌の少なくとも一つの増殖を抑制できることをいう。具体的な手順は、本明細書の実施例の項を参考にすることができる。
(材料および方法)
1.使用した成分(薬剤)
抗菌性の物質として、以下の薬剤を使用した。
硫酸銅(II)五水和物(CuSO4・5H2O)略称: Cu
硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4・7H2O)略称: Zn
硝酸銀(AgNO3)略称: Ag
ナイシン(含有率2.5%、ラクチス乳酸菌由来、Sigma-Aldrich N5764)略称: ナイシン
ポリリジン(ポリ-L-リシン 臭化水素酸塩、Sigma-Aldrich P1274、mol wt 70,000-150,000 by viscosity)略称: ポリリジン
硫酸プロタミン(プロタミン硫酸塩、サケ由来、和光純薬工業(株)168-05192)略称: 硫酸プロタミン
ジメチルポリシロキサンのエマルジョン(ダウコーニング製、食品包装容器離型剤用エマルション、SM 7025 EX EMULSION、不揮発分34%。以下の実施例で「エマルジョン」というときは、これを指す。)
大腸菌(Escherichia coli NBRC3972)
サルモネラ(Salmonella enterica NBRC3313)
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa NBRC13275)
枯草菌(Bacillus subtilis IFO3215)
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC12732)
1)微生物懸濁液の調製
微生物は5 mLの普通ブイヨン培地(栄研化学(株))を用い、27℃で18時間振とう培養した。1 mLを採取し、10000 rpmで5分間、遠心分離した後、1 mLの0.85%食塩水に沈殿を懸濁した。10倍に希釈し、実験に用いた。
2)評価法
MICの測定にはマイクロプレート(96穴)を用い、表1に示す濃度の抗菌剤を含む150μLのミューラーヒントン培地(Becton Dickinson)を各ウェルに添加し、上述の微生物懸濁液を2μL接種した。大腸菌、サルモネラ、枯草菌、黄色ブドウ球菌については37℃で24時間培養し、また、緑膿菌については27℃で48時間培養した後、620nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Multiskan Ascent (Labsystems))で測定することによって微生物の発育を確認した。吸光度が0.1以下の場合、微生物の発育が無いものとした。
結果を下表に示した。
ポリエチレンテレフタレートシートの表面を薬剤で被覆し、抗菌力を評価した。その際、薬剤の水溶液をそのまま用いると、撥水効果があらわれ、均一に塗膜することが困難であったため、エマルジョンを使用した。
1.薬剤、微生物
実験1と同じ薬剤、ならびに黄色ブドウ球菌および大腸菌を用いた。
エマルジョン(不揮発分34%)を蒸留水と混合し、エマルジョンを14%含む溶液とした(不揮発分としては4.76%)。これに下表の濃度で他の薬剤を溶解した。
PET板(熱成型用ポリエチレンテレフタレートシート、厚み:0.45mm)を約5cm×約5cmの大きさに切断し、2.に示した溶液20μLを、約4cm×4cmの範囲に塗布し、風乾した。
4.抗菌力の評価法
JIS Z 2801-2012を参考にし、以下の手順で行った。
1)5 mLの普通ブイヨン培地(栄研化学(株))で上述の微生物を27℃で一晩振盪培養した。
2)黄色ブドウ球菌の場合は、終濃度で1/50濃度の普通ブイヨン培地を含む滅菌水(夾雑物低濃度条件)、又は普通ブイヨン培地(夾雑物高濃度条件)で希釈し、菌懸濁液を調製した。大腸菌の場合は、終濃度で1/500濃度の普通ブイヨン培地を含む滅菌水(夾雑物低濃度条件)、又は普通ブイヨン培地(夾雑物高濃度条件)で希釈し、菌懸濁液を調製した。
3)プラスチックシャーレに3.で作製したPET板を入れ、0.4 mLの菌懸濁液をPET板上におき、ポリエチレンシート(4cm×4cmのサイズ)で覆った後、ふたをして30℃に放置した。
4)24時間後に4.5 mLのSCDLP培地「ダイゴ」(日本製薬(株))中に回収し(操作1)、10倍ずつ5段階希釈を行い、菌懸濁液1 mL中の生菌数を測定した。
5)生菌数の測定は、衛生試験法・注解(2005) 1.2.1.1細菌一般試験法 3)菌数測定 (1)混釈平板培養法(p.59)を参考にして行った。ただし、微生物の培養にはSCDLP寒天培地「ダイゴ」(日本製薬(株))を用い、37℃で48時間培養した。
結果を下表に示した。
薬剤をポリエチレンテレフタレート(PET)やポリスチレン(PS)に塗布する場合、水溶液をそのまま用いると、撥水効果があらわれ、均一に塗膜することが困難であった。そこで、PS80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート:ナカライテスク株式会社)を用いることを検討した。
下表に示す条件でプラスチックシャーレ底面を抗菌処理し、抗菌力を測定した。0.2%の硫酸プロタミンを16cm2の面積に20μL塗布することにより、十分な抗菌性を付与できた。しかし、実験した条件では、0.04%硫酸プロタミンでは十分な抗菌性を付与できなかった。また、3時間の抗菌処理時間で、抗菌性を発揮した。なお、実験に用いる材料および方法は、実験1および2に準じた。以下の実験では同様に、特に記載した場合を除き、実験1および2に準じて実施した。
使用できる硫酸プロタミン濃度を、実験4よりさらに詳細に調べた。また、抗菌処理時間を18時間に設定し、長時間の抗菌処理における抗菌性を調べた。その結果、本条件では、0.1%の硫酸プロタミンを16cm2の面積に20μL塗布することにより抗菌性を付与できたが、0.05%の硫酸プロタミンでは十分な抗菌性を付与できなかった。
0.2%硫酸プロタミンを用いて、抗菌力を付与することのできる最低の塗布量について調べた。また、抗菌性を発揮しなければならない現場では、夾雑物が多量に存在することが想定される。そこで、培地添加量を1/10に増量し、実験を行った。0.2%硫酸プロタミン溶液であれば7μL塗布することによって抗菌性が付与された。
0.2%硫酸プロタミンを7μL塗布した後、80℃で2分間熱処理を行い、残存する抗菌性を調べた。同時に、長期の抗菌処理時間(72 h)での抗菌性について調べた。その結果、80℃の熱処理では、抗菌性は概ね残存した。しかし、処理時間が長くなると、抗菌性を維持することが困難な場合があった。また、本条件では、菌懸濁液の液量を200μLとしており、実験5の場合と比較し、処理液中の硫酸プロタミンの濃度が下がることも考慮する必要があった。
実験6と同様の方法で、エマルジョンの代わりに0.7%のPS80を用いて抗菌性の評価を行った。その結果、同様の抗菌力が発揮された。
(製造方法)
下記の手順で、食品容器成型用の、硫酸プロタミンを含む被覆層を有するPETシートを製造し、評価した。
1. (1)水溶液「0.8% 硫酸プロタミン、および2.8% PS80を含む」2 Lと水6 Lを混合し(終濃度:硫酸プロタミン 0.2% 、PS80 0.7%)、装置(既存の、防曇剤を塗布するための装置)に投入。
2. 50 m程度シートを製造。
3. 製造後、一旦水溶液を別容器に移し、6 Lに調整。
4. 本水溶液に(2)水溶液「1.4% 硫酸プロタミン、および0.7% PS80を含む」を2 L加え、8 Lに増量(終濃度:硫酸プロタミン0.5%、PS80 0.7%) 。
5. 本水溶液を装置に戻し、200 m程度シートを製造。
6. 0.2%および0.5%の硫酸プロタミン濃度水溶液で作製したシート片の抗菌力を測定。0.5%の水溶液を用いた場合は、200 mの製造過程での初期と終了時の二か所で、シート片を得ることとした。
結果を下表に示した。
実験9で0.5% 硫酸プロタミンと0.7% PS80で作製した抗菌PETシートを、熱成型して食品容器(菓子設置用トレイ)を製造した。成型品は、菓子設置用トレイと、トレイ間で切り取られた部分である端材に分け、それぞれの抗菌性を評価した。
ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリスチレン(PS)と同様に、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)に対しても同様の手法が適用できること、およびポリソルベート80以外に種々の界面活性剤を用いうることを確認した。
1.検体
・熱成型用ポリプロピレン(PP)シート(厚み:0.45mm)
・熱成型用ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(厚み:0.45mm)
・熱成型用ポリスチレン(PS)シート(厚み:0.47mm)
・ポリエチレン(PE)フィルム(厚み:0.03mm)
・無軸延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み:0.45mm)
(1)上記の材料を約10cm角に裁断し、試験に必要な量を作製する。
(2)界面活性剤(または界面活性剤を含む試薬)を、それぞれ0.1%・0.3%・0.7%・1%・2%(重量/重量)濃度となるように純水で希釈した水溶液を作製する。
検体に、希釈した界面活性剤をサンプラテック社製の2mlスポイトを用いて数滴垂らし、アズワン社製のアズノールディスポコーンラージ棒で数回上下左右に塗沫したときの状況を目視で観察し、ぬれ性の有無を判断した。
○:塗沫可能(ぬれ性有り):だま、隙間が無く、水溶液が塗布できた
×:塗沫不可(ぬれ性無し):だま、隙間があり、検体が水溶液を弾いている状態
結果を下表に示した。なお表中、界面活性剤を含む試薬を用いた場合は、「実際濃度」として、界面活性剤の実際の量での希釈濃度(重量/重量)を記載した。食品添加物として指定されている乳化剤は「(食添)」と記載した。
Claims (8)
- 食品包装材として許容される材料を基材とする、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムであって、少なくとも一部の表面が、抗菌上有効量のプロタミンまたはその塩、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む層で被覆されている、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムであって、
抗菌上有効量が、0.40mg/m2以上であり、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの量が、0.97mg/m2以上であり、
食品包装材として許容される材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンである、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム。 - 使い捨て用である、請求項1の食品容器または食品包装フィルム。
- ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンを基材とする、原反シートまたはフィルムの少なくとも一方の表面に、プロタミンまたはその塩、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む水溶液を塗布する工程;および
水溶液が塗布された原反シートまたはフィルムを、乾燥する工程
を含む、請求項1の食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムの、製造方法。 - 塗布される水溶液が、プロタミンまたはその塩を0.10%以上含む、請求項3の製造方法。
- 塗布される水溶液が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを0.10%以上含む、請求項3または4の製造方法。
- 食品包装材として許容される材料を基材とする食品容器または食品包装フィルムの少なくとも一部の表面を、抗菌上有効量のプロタミンまたはその塩、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む層で被覆することを特徴とする、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムに抗菌性を付与する方法であって、
食品包装材として許容される材料が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンである、方法。 - 請求項1または2の食品容器または食品包装フィルムを用いた、食品包装体。
- プロタミンまたはその塩、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、またはポリスチレンを基材とする、食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルムの、少なくとも一部の表面の被覆のための使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017228104A JP6522720B1 (ja) | 2017-11-28 | 2017-11-28 | 抗菌性の被覆層を有する食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム、およびその応用 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017228104A JP6522720B1 (ja) | 2017-11-28 | 2017-11-28 | 抗菌性の被覆層を有する食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム、およびその応用 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP6522720B1 true JP6522720B1 (ja) | 2019-05-29 |
JP2019099159A JP2019099159A (ja) | 2019-06-24 |
Family
ID=66655792
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017228104A Active JP6522720B1 (ja) | 2017-11-28 | 2017-11-28 | 抗菌性の被覆層を有する食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム、およびその応用 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6522720B1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113512224A (zh) * | 2021-04-26 | 2021-10-19 | 辽宁东盛塑业有限公司 | 一种pva+pbs高阻隔抗菌水性涂布材料及其制备方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7536532B2 (ja) | 2020-07-02 | 2024-08-20 | 上野製薬株式会社 | 抗菌・抗黴性組成物 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6225962A (ja) * | 1985-07-25 | 1987-02-03 | Ueno Seiyaku Oyo Kenkyusho:Kk | 食品の製造法 |
JPH05146282A (ja) * | 1991-07-15 | 1993-06-15 | Mitsubishi Kasei Corp | 抗菌剤 |
JP3352794B2 (ja) * | 1993-11-18 | 2002-12-03 | 太陽化学株式会社 | 食品用保存剤 |
JPH07266507A (ja) * | 1994-04-01 | 1995-10-17 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 包装用プラスチックフィルム |
JPH10279794A (ja) * | 1996-08-21 | 1998-10-20 | Chisso Corp | 抗菌性樹脂組成物及びそれを用いた成形品 |
JP2002096825A (ja) * | 2000-09-20 | 2002-04-02 | Masahiro Shigemitsu | 液体容器 |
JP4972846B2 (ja) * | 2000-09-28 | 2012-07-11 | Jnc株式会社 | 防曇剤、防曇剤液、包装材料、生鮮品の鮮度保持方法、および生鮮品 |
US9386772B2 (en) * | 2012-02-14 | 2016-07-12 | Allegiance Corporation | Antimicrobial elastomeric articles |
JP2016030406A (ja) * | 2014-07-30 | 2016-03-07 | 住友ベークライト株式会社 | 抗菌フィルムおよび包装体 |
-
2017
- 2017-11-28 JP JP2017228104A patent/JP6522720B1/ja active Active
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113512224A (zh) * | 2021-04-26 | 2021-10-19 | 辽宁东盛塑业有限公司 | 一种pva+pbs高阻隔抗菌水性涂布材料及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019099159A (ja) | 2019-06-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Mlalila et al. | Antimicrobial packaging based on starch, poly (3-hydroxybutyrate) and poly (lactic-co-glycolide) materials and application challenges | |
Joerger | Antimicrobial films for food applications: a quantitative analysis of their effectiveness | |
Khaneghah et al. | Antimicrobial agents and packaging systems in antimicrobial active food packaging: An overview of approaches and interactions | |
Jovanović et al. | Chitosan and pectin-based films and coatings with active components for application in antimicrobial food packaging | |
Fu et al. | Antimicrobial‐coated films as food packaging: A review | |
Cerqueira et al. | Functional polysaccharides as edible coatings for cheese | |
Ben Arfa et al. | Antimicrobial paper based on a soy protein isolate or modified starch coating including carvacrol and cinnamaldehyde | |
AU2008243807B2 (en) | Biocidic Packaging for Cosmetics and Foodstuffs | |
Dıblan et al. | Antimicrobials used in active packaging films | |
US20160330952A1 (en) | Encapsulation and controlled release of volatile organic compounds | |
JP6522720B1 (ja) | 抗菌性の被覆層を有する食品容器成型用シート、食品容器または食品包装フィルム、およびその応用 | |
JP5009904B2 (ja) | 抗菌効果被覆を技術的表面の上に作製するための方法 | |
AU2007297725A1 (en) | Lysozyme-chitosan films | |
Muthulakshmi et al. | A sustainable solution for enhanced food packaging via a science‐based composite blend of natural‐sourced chitosan and microbial extracellular polymeric substances | |
Heydari-Majd et al. | Electrospun plant protein-based nanofibers loaded with sakacin as a promising bacteriocin source for active packaging against Listeria monocytogenes in quail breast | |
CN107298785A (zh) | 一种环保抑菌聚乙烯膜及其制备方法 | |
WO2018009210A1 (en) | Antimicrobial packaging films | |
WO2021108432A1 (en) | Slow release composite active films/packaging to reduce foodborne pathogens and improve shelf life of raw and ready to eat foods | |
Melesse et al. | Overall Review the Current Tend and Difficulties of Antimicrobial compounds in Composite Food Packaging Applications | |
WO2019044321A1 (ja) | 抗菌性材料及び鮮度保持用材料 | |
KAUSHANI et al. | AJ Csian OURNALOF HEMISTRY AJ Csian OURNALOF HEMISTRY | |
Rardniyom | Development of multi-layer films containing natural antimicrobial agents | |
JP2004137426A (ja) | 防曇性樹脂シート | |
US20160114957A1 (en) | Charged packaging materials | |
Condell et al. | Human safety and environmental concerns associated with the use of biocides |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180306 |
|
A871 | Explanation of circumstances concerning accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871 Effective date: 20180306 |
|
A975 | Report on accelerated examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005 Effective date: 20180424 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180515 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20180717 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180723 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20181002 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20181129 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190131 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20190326 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20190424 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6522720 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |