本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1及び図2を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、記録媒体15が搬送され、記録媒体15に画像が記録される。インクジェット記録装置10では、各種の記録媒体15を対象として画像が記録される。記録媒体15としては、例えば、長尺の布帛が挙げられる。実施形態では、記録媒体15が長尺の布帛である場合を例に説明する。画像の記録には、例えば、水系のインクが用いられる。インク色は、ブラック、マゼンタ、イエロー及びシアンの4色とする。インク色は、これら以外の色であってもよい。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。
インクジェット記録装置10は、情報処理装置と接続され、情報処理装置とデータ通信する。情報処理装置としては、例えば、パーソナルコンピュータが挙げられる。図1では、情報処理装置の図示は、省略されている。情報処理装置からインクジェット記録装置10に送信される指令としては、例えば、記録指令が挙げられる。記録指令は、インクジェット記録装置10で、上述したような画像の記録を開始させる制御信号である。記録指令は、第一画像データと、第二画像データを含む。
第一画像データは、第一画像16に対応する画像データである。第一画像16は、記録媒体15を装飾する柄模様に対応する画像である。第二画像データは、第二画像17に対応する画像データである。第二画像17は、記録媒体15を装飾する柄模様ではない。第二画像17は、ノズル詰まりを解消させるメンテナンス用の画像である。図1に示す第一画像16と第二画像17として付した各模様は、説明のための便宜的なものである。記録指令において、第一画像データには第一パルス値が対応付けられ、第二画像データには第二パルス値が対応付けられる。第二パルス値は、第一パルス値より小さな値に設定される。例えば、第一パルス値は、「30」に設定され、第二パルス値は、「20」に設定される。情報処理装置を操作するユーザは、情報処理装置の操作部を操作し、第一パルス値と第二パルス値を入力する。情報処理装置では、操作部によって受け付けられた第一パルス値が、第一画像データに対応付けられる。操作部によって受け付けられた第二パルス値が、第二画像データに対応付けられる。第一パルス値と第二パルス値に関するこの他の説明は後述する。
実施形態では、図1に示す状態に基づき、搬送方向の下流側に図示された第一画像16が記録された記録媒体15の領域を「第一領域R1」といい、搬送方向の上流側に図示された第一画像16が記録された記録媒体15の領域を「第二領域R2」という。第二画像17が記録された記録媒体15の領域を「第三領域R3」という。第三領域R3は、搬送方向において第一領域R1と第二領域R2の間となる記録媒体15の領域である。記録媒体15が布帛である場合、記録媒体15は、画像の記録後、後処理を経て完成品となるまでの所定のタイミングで裁断される。このとき、記録媒体15は、少なくとも、第一領域R1と第三領域R3の間と、第二領域R2と第三領域R3の間で裁断される。
インクジェット記録装置10は、図1に示すように、搬送部20と、キャリッジ30と、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kと、制御装置70を備える。搬送部20は、記録媒体15を、記録媒体15の長手方向に沿って搬送する。搬送部20によって搬送される記録媒体15は、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kを通過する。実施形態では、搬送部20によって記録媒体15が搬送される方向を「搬送方向」という。搬送方向に沿った方向を「第一方向」という。第一方向は、搬送方向及びこれと反対方向を含む。
搬送部20は、ベルトコンベアである。搬送部20は、一対の搬送ローラ21,22と、無端ベルト23と、モータ25と、エンコーダ26を備える。搬送ローラ21は、インクジェットヘッド40Kより搬送方向の下流側に設けられる。搬送ローラ22は、インクジェットヘッド40Yより搬送方向の上流側に設けられる。無端ベルト23は、環状のベルトである。実施形態では、無端ベルト23の幅方向に一致する方向を「第二方向」という。第二方向は、記録媒体15の幅方向に一致し、第一方向(搬送方向)に直交する。無端ベルト23は、搬送ローラ21,22に、張力が作用した状態で架け渡される。無端ベルト23が搬送ローラ21,22に架け渡された状態において、無端ベルト23の外周面は、搬送ローラ21,22の間で、水平な状態となる。
モータ25は、搬送ローラ21に連結される。モータ25は、搬送ローラ21を搬送方向に対応する方向に回転させる。モータ25の回転は、一定の回転速度とされる。無端ベルト23は、搬送ローラ21の回転に伴い、搬送方向に対応する方向に回転する。搬送ローラ22は、無端ベルト23の回転に従動して、搬送方向に対応する方向に回転する。図1において、搬送ローラ21の内部に示す円弧の矢印は、搬送ローラ21の回転方向を示す。エンコーダ26は、モータ25の回転数を計測する。エンコーダ26は、モータ25の回転数に応じたパルスを出力する。このパルスは、制御装置70に入力される。
キャリッジ30には、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kが、第一方向に隣り合った状態で搭載される。実施形態では、インクジェットヘッド40Yが搬送方向の最上流側に設けられ、インクジェットヘッド40Kが搬送方向の最下流側に設けられている。インクジェットヘッド40Mとインクジェットヘッド40Cは、搬送方向に、インクジェットヘッド40M、インクジェットヘッド40Cの順で設けられている。インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kの搬送方向における配列順序は、前述した順序とは異なる順序としてもよい。これらの配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。
インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kは、キャリッジ30に搭載された状態で、搬送部20の上方に設けられる。インクジェットヘッド40Yは、イエローインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド40Mは、マゼンタインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド40Cは、シアンインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド40Kは、ブラックインクを吐出するインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kによれば、フルカラーの画像を、記録媒体15に記録することができる。
インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kは、同様の構成を有する。各色のインクは、色毎のインクタンクに貯留され、各色用のインク流路を流れて、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kのうち、対応する色のインクジェットヘッドにそれぞれ供給される。図1では、各色用のインクタンクと各色用のインク流路の図示は、省略されている。
インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kには、図2に示すように、複数のノズル41が形成される。複数のノズル41は、鉛直方向の下側となるインクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kの吐出面42に形成される。吐出面42は、搬送部20の搬送面24に対向する。搬送面24は、無端ベルト23の外周面であって、搬送対象の記録媒体15が載せ置かれる面である(図1参照)。
インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kは、ライン型のインクジェットヘッドである。ライン型のインクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kでは、複数のノズル41は、第二方向に配列される。複数のノズル41が配列される第二方向の領域N(図2参照)は、記録媒体15の幅W(図1参照)に対応した範囲とされる。例えば、領域Nは、記録媒体15の幅W以上の範囲とされる。図2に示すインクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kにおける複数のノズル41の配置及び/又は数は例示である。従って、複数のノズル41の配置及び/又は数は、図2とは異なる態様であってもよい。複数のノズル41の配置及び/又は数は、諸条件を考慮して適宜設定される。第二方向に配列されたノズル41によるノズル列を、第一方向に複数列配置するようにしてもよい。
インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kの内部には、内部流路が形成される。内部流路には、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kに供給された各色のインクが流れる。内部流路は、本流部と、複数の支流部によって形成される。本流部は、上述したインク流路と接続されるインクの供給口に繋がる。複数の支流部は、本流部から分岐し、各ノズル41に繋がる。インクは、本流部から各支流部を流れて、ノズル41に到達する。内部流路は、公知のライン型のインクジェットヘッドにも形成される構成である。インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kにおいても、公知のライン型のインクジェットヘッドと同様の内部流路が形成される。そのため、内部流路に関するこの他の説明は省略する。図1及び図2では、内部流路の図示は、省略されている。
インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kは、電極板43と、複数の駆動素子44を備える。電極板43は、鉛直方向の上側となるインクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kの各面に設けられる。複数の駆動素子44は、複数のノズル41のそれぞれに対応して設けられる。駆動素子44は、ノズル41からインクを吐出させる駆動力を発生する。駆動素子44としては、例えば、圧電素子又はヒータが挙げられる。実施形態では、駆動素子44は、圧電素子であるとする。圧電素子は、ピエゾ素子と称されることもある。インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kにおいて、複数の駆動素子44は、電極板43に取り付けられる。複数の駆動素子44が取り付けられる電極板43の面は、鉛直方向の上側の面である。駆動素子44は、電極板43を介して、対応するノズル41に繋がる支流部と対向した状態となる。
制御装置70は、通信部71と、接続インターフェース72と、CPU80と、記憶装置81と、RAM82と、信号回路83と、駆動回路84と、スイッチ部85を備える。実施形態では、接続インターフェース72を「接続I/F72」という。通信部71は、情報処理装置と接続され、情報処理装置と通信する。情報処理装置からの記録指令は、通信部71で受信される。通信部71と情報処理装置の接続形態は、有線接続又は無線接続の何れであってもよい。接続I/F72には、所定の信号ケーブルを介して、エンコーダ26が接続される。エンコーダ26からのパルスは、接続I/F72を介して制御装置70に入力される。制御装置70において、このパルスは、接続I/F72から信号回路83に入力される。
CPU80は、演算処理を実行する。CPU80は、インクジェット記録装置10の全体を制御する。記憶装置81は、例えば、フラッシュROM及び/又はハードディスクである。記憶装置81には、インクジェット記録装置10で実行される各種の処理のプログラムが記憶される。例えば、後述する記録処理のプログラムが記憶される。RAM82は、CPU80が記憶装置81に記憶されたプログラムを実行する際の記憶領域となる。RAM82には、処理の実行途中に、処理で利用される所定のデータと情報が記憶される。例えば、RAM82には、通信部71で受信された記録指令に含まれる第一画像データと第二画像データが記憶される。
信号回路83は、タイミング信号を生成する。例えば、第一画像データが処理対象とされ、第一画像データに従い第一画像16が記録されるとする。第一画像データに対応付けられた第一パルス値が「30」であるとする。この場合、信号回路83は、信号回路83に入力されたエンコーダ26からのパルス数が、30パルスとなったタイミングで、1つのタイミング信号を生成する。第二画像データが処理対象とされ、第二画像データに従い第二画像17が記録されるとする。第二画像データに対応付けられた第二パルス値が「20」であるとする。この場合、信号回路83は、信号回路83に入力されたエンコーダ26からのパルス数が、20パルスとなったタイミングで、1つのタイミング信号を生成する。信号回路83は、生成されたタイミング信号を出力する。タイミング信号は、駆動回路84に入力される。信号回路83では、タイミング信号が生成又は出力される毎に、新たにパルス数がカウントされる。
駆動回路84は、所定の電圧値の駆動電圧を出力する。駆動回路84から出力された駆動電圧は、電極板43に印加される。駆動電圧が出力されるタイミングは、タイミング信号が駆動回路84に入力されたタイミングである。従って、駆動電圧の出力周期は、タイミング信号の入力周期に一致する。実施形態では、駆動回路84へのタイミング信号の入力周期に対応する周波数を「記録基準周波数」という。記録基準周波数は、タイミング信号の入力周期を「T」とした場合、「1/T」である。第一画像16を記録するに際し、処理対象が第一画像データである場合の記録基準周波数を「第一周波数」という。第二画像17を記録するに際し、処理対象が第二画像データである場合の記録基準周波数を「第二周波数」という。
上記同様、第一パルス値が「30」であり、第二パルス値が「20」であるとする。この場合、第二周波数は、第一周波数より、1.5倍高くなる。例えば、第一周波数が10kHzであるとする。前述した例に基づけば、第二周波数は、15kHzに設定される。即ち、インクジェット記録装置10では、第二画像17を、第一画像16より1.5倍高解像度で記録することができる。例えば、第一画像データが800dpiの画像データである場合、第二画像データは1200dpiの画像データとされる。
ここで、発明者は、検討の結果、第二周波数は、第一周波数の1.1倍以上に設定するとよいことを知得している。第二周波数の上限値に関し、例えば、第二周波数は、第一周波数の1.5倍以下に設定するとよい。第一周波数は、例えば、4.6kHz〜13kHzとされる。この場合、第二周波数は、5kHzより高く、且つ20kHz未満に設定される。但し、第一周波数と第二周波数は、事前の実験等によって得られる諸条件を考慮して適宜設定するとよい。
スイッチ部85は、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kが備える複数の駆動素子44のそれぞれに電気的に接続されたスイッチ回路である。スイッチ部85は、各駆動素子44に対応する複数のスイッチを含む。
インクジェット記録装置10では、CPU80が記憶装置81に記憶されたプログラムをRAM82を用いて実行し、制御装置70が備える上記の各部を制御する。これにより、インクジェット記録装置10では、各種の制御部が実現される。
<記録処理>
インクジェット記録装置10で実行される記録処理について、図3を参照して説明する。記録処理の開始に際し、通信部71では、情報処理装置から送信された記録指令が受信される。CPU80は、通信部71を介して記録指令を取得する。記録指令を取得したCPU80は、記録処理を開始する。CPU80は、記録処理の開始に合わせて、モータ25の駆動を開始させる。これに伴い、搬送部20が駆動し、記録媒体15の搬送が開始される。搬送部20による記録媒体15の搬送は、一定の速度で行われる。エンコーダ26は、パルスを出力する。
記録処理を開始させたCPU80は、記録指令に含まれる第一画像データと第二画像データを記憶する(S1)。続けて、CPU80は、カウンタを初期化する(S3)。カウンタは、第一画像データに対応する第一画像16が記録された記録数をカウントする。即ち、カウンタは、後述するS5の実行回数をカウントする。カウンタによってカウントされる記録数は、RAM82に記憶される。
次に、CPU80は、第一画像データに従ったインクの吐出を制御する(S5)。この場合、信号回路83では、第一画像データに対応付けされた第一パルス値が設定される。信号回路83では、接続I/F72を介して入力されるパルスの数が、第一パルス値となったタイミングで、タイミング信号が生成される。生成されたタイミング信号は、駆動回路84に入力される。駆動回路84は、タイミング信号の入力に応じて、駆動電圧を出力する。これに伴い、第一周波数の駆動電圧が、電極板43に繰り返して印加される。
S5でCPU80は、RAM82に記憶された第一画像データを処理対象とする。CPU80は、第一画像データに従い、吐出信号を生成する。生成された吐出信号は、スイッチ部85に入力される。吐出信号は、所定の電圧値の電気パルス信号である。スイッチ部85では、入力された吐出信号に応じて、内蔵されたスイッチのうち、所定のスイッチが閉結される。スイッチ部85に内蔵された所定のスイッチが閉結されたタイミングで、電極板43に第一周波数の駆動電圧が印加されると、複数の駆動素子44のうち、閉結状態のスイッチと接続された駆動素子44に駆動電圧が印加される。これに伴い、閉結状態のスイッチに接続された駆動素子44は、変形する。駆動素子44が変形すると、変形に伴う力が、この駆動素子44に対応するノズル41に繋がる支流部内のインクに作用する。これによって、この支流部内のインクが、ノズル41から吐出される。インクジェット記録装置10では、このようにして、第一画像データに対応するインクの吐出が実行され、第一画像16が、第一領域R1又は第二領域R2を含む記録媒体15の所定の領域に記録される。
S5を実行した後、CPU80は、カウンタでカウントされ、RAM82に記憶されている記録数を1アップする(S7)。続けて、CPU80は、記録数と基準数が一致するか否かを判断する(S9)。基準数は、予め定められ、記録処理のプログラムに登録されている。基準数は、第一画像16を連続して記録する回数である。換言すれば、基準数は、第二画像17を記録するタイミングに関する設定である。基準数は、ノズル41の詰まりに関する事前の実験結果等の諸条件を考慮して適宜設定される。例えば、基準数は、10回〜50回の範囲内の所定の値に設定される。記録数と基準数が一致しない場合(S9:No)、CPU80は、処理をS5に戻す。その後、CPU80は、S5以降の処理を繰り返して実行する。即ち、記録処理では、第一画像16は、記録媒体15に、基準数だけ、繰り返して記録される。
記録数と基準数が一致する場合(S9:Yes)、CPU80は、第二画像データに従ったインクの吐出を制御する(S11)。この場合、信号回路83では、第二画像データに対応付けされた第二パルス値が設定される。信号回路83では、接続I/F72を介して入力されるパルスの数が、第二パルス値となったタイミングで、タイミング信号が生成される。生成されたタイミング信号は、駆動回路84に入力される。駆動回路84は、タイミング信号の入力に応じて、駆動電圧を出力する。これに伴い、第二周波数の駆動電圧が、電極板43に繰り返して印加される。
S11でCPU80は、RAM82に記憶された第二画像データを処理対象とする。CPU80は、第二画像データに従い、吐出信号を生成する。生成された吐出信号は、スイッチ部85に入力される。スイッチ部85では、入力された吐出信号に応じて、内蔵されたスイッチのうち、所定のスイッチが閉結される。スイッチ部85に内蔵された所定のスイッチが閉結されたタイミングで、電極板43に第二周波数の駆動電圧が印加されると、複数の駆動素子44のうち、閉結状態のスイッチと接続された駆動素子44に駆動電圧が印加される。これに伴い、閉結状態のスイッチに接続された駆動素子44は、変形する。駆動素子44が変形すると、変形に伴う力が、この駆動素子44に対応するノズル41に繋がる支流部内のインクに作用する。これによって、この支流部内のインクが、ノズル41から吐出される。インクジェット記録装置10では、このようにして、第二画像データに対応するインクの吐出が実行され、第二画像17が、記録媒体15の第三領域R3に記録される。即ち、インクジェット記録装置10では、第二画像17が、基準数個目の第一画像16が記録された記録媒体15の第一領域R1より搬送方向の上流側となる第三領域R3に記録される。
第二画像17に対応する第二画像データは、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kに形成された複数のノズル41の全てから、所定回数だけ、対応する色のインクを吐出させる、ベタ画像に対応する画像データとされる。S11で、第二画像データに従った吐出が制御されることで、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kのそれぞれにおいて、全部のノズル41から、強制的にインクを所定回数だけ吐出させることができる。
S11を実行した後、CPU80は、終了指令が取得されたか否かを判断する(S13)。終了指令は、インクジェット記録装置10での画像の記録を終了させる指令である。終了指令は、例えば、情報処理装置で受け付けられ、情報処理装置からインクジェット記録装置10に送信される。CPU80は、通信部71を介して、終了指令を取得する。終了指令が取得されていない場合(S13:No)、CPU80は、処理をS3に戻す。その後、CPU80は、S3以降の処理を繰り返して実行する。この場合、S3の直後に実行されるS5では、第一画像16が、第二画像17が記録された記録媒体15の第三領域R3より搬送方向の上流側となる第二領域R2に記録される。終了指令が取得された場合(S13:Yes)、CPU80は、記録処理を終了する。
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)インクジェット記録装置10では、記録指令が取得される。記録指令には、第一画像データと第二画像データが含まれる。記録指令において、第一画像データには、第一パルス値が対応付けられ、第二画像データには、第二パルス値が対応付けられる。第二パルス値は、第一パルス値より小さな値に設定される。これに伴い、第二画像データを処理対象とする場合に駆動回路84から出力される駆動電圧の記録基準周波数は、第一画像データを処理対象とする場合の第一周波数より高い第二周波数となる。換言すれば、第二画像データを、第一画像データの解像度より高い解像度の画像データとすることができる。
そのため、第一画像16の記録に続けて、第一画像16が記録された搬送中の記録媒体15に、第一画像16より高解像度の第二画像17を連続して記録することができる。第二画像17の記録に続けて、第二画像17が記録された搬送中の記録媒体15に、再度、第一画像16を連続して記録することができる。2個の第一画像16の間に連続して第二画像17を記録することで、第一画像16の記録が繰り返される途中に、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kに形成された全てのノズル41から、短時間にインクを吐出させることができる。画像の記録に水系のインクが用いられるとする。水系のインクは、乾燥し易く、ノズル41の詰まりが発生し易い。このような場合であっても、ノズル41の詰まりを解消し、又は抑制することが可能となる。インクを吐出させるノズル41の数を一定とした場合、記録基準周波数を高め、処理対象となる画像データの解像度を高めることで、回復動作の対象となる全てのノズル41からインクを吐出させるのに要する時間を、短縮することができる。第二周波数を第一周波数より高くし、第二画像データを高解像度化することで、第三領域R3(図1参照)の第一方向の寸法を、第一周波数と第二周波数を同一とし、第一画像データと第二画像データの解像度を等しくした場合と比較し、短くすることが可能となる。記録媒体15のロスを抑制することができる。
(2)図3に示す記録処理では、記録指令に含まれる第一画像データと第二画像データが、RAM82に記憶される(図3のS1参照)。その後、RAM82に記憶された第一画像データに従ったインクの吐出が制御され、第一画像16が、搬送中の記録媒体15に記録される(図3のS5参照)。第一画像16の記録数は、カウントされる(図3のS3及びS7参照)。第一画像16の記録は、記録数が基準数となるまで継続される(図3のS9:No及びS5参照)。記録数が基準数となった場合(図3のS9:Yes参照)、RAM82に記憶された第二画像データに従ったインクの吐出が制御され、第二画像17が、搬送中の記録媒体15に記録される(図3のS11参照)。
そのため、第一画像データを処理対象とする吐出制御と、第二画像データを処理対象とする吐出制御を、スムーズに切り替えることができる。第一画像16を基準数だけ記録し、その後、第二画像17を記録することができる。第二画像17の記録を、定期的に実行することができる。記録処理では、図3のS11で第二画像17を記録した後、処理をS3に戻すことができる(図3のS13:No参照)。従って、第一画像16を、再度、基準数だけ記録することができる。
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
(1)上記では、第一画像データと第二画像データを含む記録指令は、インクジェット記録装置10と有線接続又は無線接続された情報処理装置から送信される。インクジェット記録装置10では、CPU80は、情報処理装置から送信された記録指令を、通信部71を介して取得する。第二画像データは、第二パルス値と対応付けた状態で、記憶装置81に記憶するようにしてもよい。この場合、図3に示す記録処理では、記録指令から第一画像データが取得され、第一画像データがRAM82に記憶される(図3のS1参照)。このとき、記憶装置81から第二画像データが取得され、第二画像データがRAM82に記憶される。第一画像データについても、第一パルス値と対応付けた状態で、記憶装置81に記憶するようにしてもよい。この場合、例えば、図3のS5で処理対象とされる第一画像データは、記録指令によって指定される。
制御装置70と情報処理装置を、単一の装置とするようにしてもよい。この場合、例えば、処理対象とされる第一画像データは、制御装置70と情報処理装置の機能を含む前述の装置で受け付けられる。更に、前述の装置では、記録指令と終了指令(図3のS13参照)が受け付けられる。図3に示す記録処理では、終了指令が取得された場合に、記録処理が終了する。記録させる第一画像16の総数(記録総数)を、記録指令に含め、図3のS13のタイミングで、記録総数と、繰り返して実行される図3のS5の実行総数が一致するか否かを判断するようにしてもよい。記録総数と実行総数が一致しない場合、処理が図3のS3に戻される。記録総数と実行総数が一致する場合、記録処理は終了する。この場合、インクジェット記録装置10では、記録総数がカウントされ、RAM82に記憶される。
(2)上記では、第二画像データを、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kに形成された複数のノズル41の全てから、所定回数だけ、対応する色のインクを吐出させる、ベタ画像に対応する画像データとした。第二画像データは、インクジェットヘッド40Y,40M,40C,40Kに形成された複数のノズル41の一部から、所定回数だけ、対応する色のインクを吐出させる画像データとしてもよい。例えば、第二画像データは、第一画像データに従ったインクの吐出において、吐出回数が所定値以下又は所定値未満となるノズル41から、所定回数だけ、対応するインクを吐出させる画像データとしてもよい。この他、第二画像データは、第一画像データに従ったインクの吐出において、吐出回数が所定値未満又は所定値以下となるノズル41と、吐出回数が所定値以上又は所定値より多くなるノズル41で、吐出回数に差を設けた画像データとしてもよい。この場合、第二画像データでは、第二吐出回数は、第一吐出回数より大きな値に設定される。第一吐出回数は、第一画像データにおける吐出回数が所定値以上又は所定値より多くなるノズル41の吐出回数である。第二吐出回数は、第一画像データにおける吐出回数が所定値未満又は所定値以下となるノズル41の吐出回数である。このような第二画像データによれば、インクの使用量の増加を抑制することができる。
(3)上記では、図3に示す記録処理のS9での判断条件となる基準数は、記録処理のプログラムに登録されている。情報処理装置において、基準数を受け付け、受け付けられた基準数を、第一画像データと第二画像データと共に、記録指令に含めるようにしてもよい。この場合、図3のS1では、第一画像データと第二画像データと共に、基準数がRAM82に記憶される。図3のS9では、RAM82に記憶された基準数に従い、記録数と基準数の一致が判断される。
(4)上記に基づけば、次のインクジェット記録装置を特定することもできる。即ち、記録媒体を搬送する搬送部と、インクを吐出する複数のノズルが形成され、前記複数のノズルのそれぞれに対応する複数の駆動素子を備える、ライン型のインクジェットヘッドと、第一画像に対応する第一画像データに従い、前記駆動素子に第一周波数の駆動電圧を印加させ、前記第一周波数の駆動電圧が印加された前記駆動素子に対応する前記ノズルからインクを吐出させ、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体の第一領域と、前記搬送部による前記記録媒体の搬送方向において前記第一領域より上流側となる、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体の第二領域と、に前記第一画像を記録する第一制御部と、前記第一画像とは異なる第二画像に対応する第二画像データに従い、前記駆動素子に前記第一周波数より高い第二周波数の駆動電圧を印加させ、前記第二周波数の駆動電圧が印加された前記駆動素子に対応する前記ノズルからインクを吐出させ、前記搬送方向において前記第一領域と前記第二領域との間となる、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体の第三領域に、前記第二画像を記録する第二制御部と、を備えるインクジェット記録装置である。
これによれば、第一画像の記録に続けて、第一画像が記録された搬送中の記録媒体に、第一画像より高解像度の第二画像を連続して記録することができる。第二画像の記録に続けて、第二画像が記録された搬送中の記録媒体に、再度、第一画像を連続して記録することができる。2個の第一画像の間に連続して第二画像を記録することで、第一画像の記録が繰り返される途中に、多くのノズルから短時間にインクを吐出させることができる。ノズル詰まりを解消し、又は抑制することが可能となる。インクを吐出させるノズル数を一定とした場合、駆動電圧の周波数を高めることで、回復動作の対象となる全てのノズルからインクを吐出させるのに要する時間を、短縮することができる。この場合、前記第二制御部は、前記第二画像データに従い、前記駆動素子に前記第一周波数の1.1倍以上の前記第二周波数の駆動電圧を印加させ、前記第二周波数の駆動電圧が印加された前記駆動素子に対応する前記ノズルからインクを吐出させる、ようにしてもよい。
インクジェット記録装置は、前記第一画像データと前記第二画像データとを取得し、取得された前記第一画像データと前記第二画像データとを記憶領域に記憶する第三制御部を備え、前記第一制御部は、前記記憶領域に記憶された前記第一画像データに従い、前記駆動素子に前記第一周波数の駆動電圧を印加させ、前記第一周波数の駆動電圧が印加された前記駆動素子に対応する前記ノズルからインクを吐出させ、前記第二制御部は、前記記憶領域に記憶された前記第二画像データに従い、前記駆動素子に前記第二周波数の駆動電圧を印加させ、前記第二周波数の駆動電圧が印加された前記駆動素子に対応する前記ノズルからインクを吐出させる、ようにしてもよい。これによれば、第一画像データを処理対象とする吐出制御と、第二画像データを処理対象とする吐出制御を、スムーズに切り替えることができる。
インクジェット記録装置では、前記第二制御部は、前記搬送部によって搬送される前記記録媒体に、前記第一画像が繰り返して記録された記録数をカウントするカウンタによってカウントされた前記記録数と、基準となる基準数と、が一致する場合、前記記憶領域に記憶された前記第二画像データに従い、前記駆動素子に前記第二周波数の駆動電圧を印加させ、前記第二周波数の駆動電圧が印加された前記駆動素子に対応する前記ノズルからインクを吐出させ、前記基準数個目の前記第一画像が記録された前記第一領域より前記搬送方向の上流側となる前記第三領域に、前記第二画像を記録し、前記第一制御部は、前記記憶領域に記憶された前記第一画像データに従い、前記駆動素子に前記第一周波数の駆動電圧を印加させ、前記第一周波数の駆動電圧が印加された前記駆動素子に対応する前記ノズルからインクを吐出させ、前記第二画像が記録された前記第三領域より前記搬送方向の上流側となる前記第二領域に、前記第一画像を記録する、ようにしてもよい。これによれば、第一画像を基準数だけ記録し、その後、第二画像を記録することができる。第二画像の記録を、定期的に実行することができる。