JP6522262B1 - 電磁波吸収シート及びその製造方法 - Google Patents

電磁波吸収シート及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6522262B1
JP6522262B1 JP2018558373A JP2018558373A JP6522262B1 JP 6522262 B1 JP6522262 B1 JP 6522262B1 JP 2018558373 A JP2018558373 A JP 2018558373A JP 2018558373 A JP2018558373 A JP 2018558373A JP 6522262 B1 JP6522262 B1 JP 6522262B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromagnetic wave
layer
sheet
absorbing
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018558373A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2019130627A1 (ja
Inventor
明 湯本
明 湯本
祥貴 手塚
祥貴 手塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Awa Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Awa Paper Manufacturing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Awa Paper Manufacturing Co Ltd filed Critical Awa Paper Manufacturing Co Ltd
Priority claimed from PCT/JP2018/025770 external-priority patent/WO2019130627A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6522262B1 publication Critical patent/JP6522262B1/ja
Publication of JPWO2019130627A1 publication Critical patent/JPWO2019130627A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Shielding Devices Or Components To Electric Or Magnetic Fields (AREA)
  • Paper (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

【課題】薄型化が可能な電磁波吸収シート等を提供する【解決手段】電磁波を吸収可能な電磁波吸収シートの製造方法は、導電性を有するカーボンフィラーと、絶縁性フィラーと繊維とを湿式抄紙して、紙製の吸収層を得る工程を含む。これにより、良好な電磁波の吸収効果を発揮させることができる。比表面積の高い絶縁性フィラーを使用することで、カーボンフィラーの保持量を高めることができ、波長の1/4の厚さに設計された導電型電磁波吸収シートよりも薄い電磁波吸収シートを提供できる。

Description

本発明は、電磁波吸収シート及びその製造方法に関する。
電磁波は、電界と磁界の2成分からなる波であり、電場と磁場の振動方向は互いに垂直であり空間上に伝播する。近年では10GHz以上のミリ波などと呼ばれる分野に限っても、電磁波として例えば車載用の(例えば衝突防止や車線変更等を検知するための)レーダや速度測定等のレーダ、携帯電話等の交換局と基地局との間の中継回線、ミリ波データ伝送用システム等に用いられている。一方でこのような電磁波が人体等に与える影響について懸念の声もあり、このような電磁波対策の要望が上がっている。電磁波対策製品の用途としては、電子機器からの電磁波漏洩防止や、外部環境からの電磁波進入による装置の誤動作防止等が挙げられる。
電磁波対策としては、電磁波を反射させる方法と吸収させる方法がある。例えば電磁波の反射を行う電磁波シールドとしては、金属が一般的に使用されている。一方で、機器自体が発生させる電磁波による機器の誤作動防止の用途としては、反射でなく電磁波吸収体が必要となる。このような製品としては、フェライトを練りこんだゴム或いはプラスチックが主流となっている。
一方で炭素粉や炭素繊維、金属繊維などの導電材料を用いた導電型電磁波吸収シートは、電磁波の波長λの1/4の厚さに制御したものが多かった。このタイプの電磁波吸収シートは、「λ/4型」と呼ばれ、図7の断面図に示すように、吸収層81の裏面側に反射層82を配置しており、反射層でもって電磁波を透過させない。また電磁波は、異なった材料の界面を通過する時に、必ず反射を生じる性質がある。よって吸収層の表面での反射波そのものを無くすことができないので、図7に示すように裏面からの反射波と位相を180°ずらして干渉させることで、反射波が入射波と打ち消し合うようにして低減している。
しかしながら、このようなλ/4型の電波吸収シートでは、使用する吸収層を、吸収対象となる電磁波の波長λの1/4よりも薄くすることができず、薄型化に制約があるという問題があった。
特開平11−323770号公報 特開2014−012921号公報
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的の一は、薄型化が可能な電磁波吸収シート及びその製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の第1の形態に係る電磁波吸収シートの製造方法によれば、電磁波を吸収可能な電磁波吸収シートの製造方法であって、導電性を有するカーボンフィラーと、絶縁性フィラーとを湿式抄紙して、紙製の吸収層を得る工程と、前記湿式抄紙で得られた吸収層を樹脂含浸する工程を含み、前記電磁波吸収シートは、導電性を有するカーボンフィラーと絶縁性フィラーと繊維とを湿式抄紙した、紙製の吸収層を備え、前記吸収層の厚さが波長の1/4未満であり、前記絶縁性フィラーが、微細繊維状セルロース又はセルロースナノファイバーを含むことができる。これにより、良好な電磁波の吸収効果を発揮させることができる。
また本発明の第の形態に係る電磁波吸収シートの製造方法によれば、上記に加えて、前記吸収層の、電磁波吸収面の裏面側に、吸収対象の周波数の電磁波を反射する反射層を形成する工程を含むことができる。これにより、吸収対象の電磁波が吸収層の電磁波吸収面で反射された反射波と、吸収層を透過して前記反射層との界面で反射された反射波とで、打ち消し合うことにより、入射波を吸収層で吸収しつつ、吸収層を透過した成分についても反射層で反射させて打ち消すことができ、結果として電磁波の吸収効果を一層高めることができる。
さら本発明の第の形態に係る電磁波吸収シートによれば、電磁波を吸収可能な電磁波吸収シートであって、導電性を有するカーボンフィラーと絶縁性フィラーと繊維とを湿式抄紙し、樹脂含浸した、紙製の吸収層を備える電磁波吸収シートであって、前記吸収層の厚さ波長の1/4未満であり、前記絶縁性フィラーが、微細繊維状セルロース又はセルロースナノファイバーを含むことができる。上記構成により、良好な電磁波の吸収効果を発揮させることができる。
さらにまた本発明の第の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記構成に加えて、前記吸収層が、難燃性の繊維を含むことができる。
さらにまた本発明の第の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、前記難燃性の繊維が、パラアラミド繊維、パラアラミドパルプ、メタアラミド繊維、メタアラミドパルプ、ポリフェニレンサルファイド繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、難燃PET、難燃レーヨンのいずれかを含むことができる。
さらにまた本発明の第の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、前記吸収層が、定着剤、凝結剤又は凝集剤を含むことができる。
さらにまた本発明の第の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、前記カーボンフィラーの一次粒径を、10nm〜100nmとすることができる。
さらにまた本発明の第の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、前記カーボンフィラーの含有量を、1wt%〜30wt%、好ましくは5wt%〜20wt%、さらに好ましくは10wt%〜15wt%とすることができる。
さらにまた本発明の第の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、前記吸収層の厚さを、30μm〜2000μmとすることができる。
さらにまた本発明の第10の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、前記吸収層を樹脂含浸することができる。
さらにまた本発明の第11の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、含浸する樹脂がポリアクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)樹脂、SBR(スチレンブタジエンゴム)樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂のいずれかとすることができる。
さらにまた本発明の第12の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、さらに前記吸収層の、電磁波吸収面の裏面側に、吸収対象の周波数の電磁波を反射する反射層を備えており、吸収対象の電磁波が前記吸収層の電磁波吸収面で反射された反射波と、前記吸収層を透過して前記反射層との界面で反射された反射波とで、打ち消し合うように作用させることができる。上記構成により、入射波を吸収層で吸収しつつ、吸収層を透過した成分についても反射層で反射させて打ち消すことができ、結果として電磁波の吸収効果を一層高めることができる。
さらにまた本発明の第13の形態に係る電磁波吸収シートによれば、上記何れかの構成に加えて、前記反射層が、炭素粒子又は炭素繊維を含む導電性シート、炭素繊維と天然または化学繊維を抄き込んだシート状の複合材料、金属板、金属箔の少なくともいずれかを含むことができる。
本発明の一実施形態に係る電磁波吸収シートの斜視図である。 本発明の一実施形態に係る電磁波吸収シートの断面図である。 導電性フィラーの量を変化させた実施例1〜7に係る電磁波吸収シートの電磁波吸収周波数と吸収率を示すグラフである。 電磁波の入射電界と反射電界を示す模式図である。 実施例8と比較例1に係る電磁波吸収シートの電磁波吸収周波数と吸収率を示すグラフである。 図6A〜図6Dは、実施例8〜11に係る電磁波吸収シートの電磁波吸収周波数と吸収率をそれぞれ示すグラフである。 従来の電磁波吸収シートを示す模式断面図である。 主体セルロース繊維に対してカーボンナノチューブ等を分散させて定着させる様子を示す模式図である。 主体セルロース繊維に対してコイル状の微小炭素繊維を分散させて定着させる様子を示す模式図である。 微細繊維に対してカーボンブラックを分散させて定着させる様子を示す模式図である。 カーボンブラックとCOO-基同士を結合させて定着させる様子を示す模式図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電磁波吸収シート及びその製造方法を例示するものであって、本発明は電磁波吸収シート及びその製造方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
一般に導電型電磁波吸収シートの吸収層の厚さは、入射波の波長の1/4に設計する。すなわち、従来は吸収したい入射波の周波数(波長)により、吸収層の厚さが制限されていた。ここで、入射波の周波数と波長に対応する吸収層の厚さを、表1に示す。
このように、従来は吸収したい周波数によって厚さが決定されることから、より薄い導電型電磁波吸収シートを得ることができないという問題があった。
(実施形態1)
これに対して本発明の一実施形態に係る電磁波吸収シートでは、λ/4の制約を受けない導電型電磁波吸収シートを得ることができる。ここで、本発明の実施形態1に係る電磁波吸収シートの斜視図を図1に示す。この図に示すように電磁波吸収シート100は、吸収層1と反射層2を備えている。吸収層1は、導電性を有する導電性フィラーを絶縁性フィラーに定着させて、難燃性繊維と混抄することで適度な電気抵抗成分を持たせている。電気抵抗成分により、電磁波吸収シート100で受けた電磁波を熱エネルギーに変換することで吸収する。
(吸収層1)
吸収層1は、湿式抄紙された紙製のシートである。吸収層1は、導電性を有するカーボンフィラーと、絶縁性フィラーを含む。この吸収層1は、導電性フィラーと絶縁性フィラーとを抄き込んだ抄紙シートである。
(導電性フィラー)
導電性フィラーには、カーボンフィラーが利用できる。カーボンフィラーの一次粒径は、10nm〜100nmとすることが好ましい。これによって、カーボンを紙層全体に均一に配置でき安定した吸収効果が得られる。またカーボンフィラーの含有量は、1wt%〜30wt%、好ましくは5wt%〜20wt%、さらに好ましくは10wt%〜15wt%とすることが好ましい。これによって、適度な導電性が得られ高い吸収効果が得られる。
(絶縁性フィラー)
絶縁性フィラーは、微細繊維状セルロース又はセルロースナノファイバー(CNF)を含むことが好ましい。比表面積の高い微細繊維状セルロース又はCNFはカーボンフィラーを多量に保持できるため、適度な導電性を維持しつつカーボンフィラー量を多くできるため厚さを薄くすることができる。
(難燃性繊維)
また吸収層1は、骨材として難燃性の繊維を含むことが好ましい。難燃性の繊維には、パラアラミド繊維、パラアラミドパルプ、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維のいずれかを含むことができる。これにより、微細なフィラーがシート内に均一分散した難燃性を有する電磁波吸収シートが得られる。
(定着材)
さらに吸収層1は、定着剤として凝結剤又は凝集剤を含むことができる。具体的には、硫酸アルミニウム、アラム、ポリジアリルジメチルアンモニウム、ポリエチレンイミン、カチオン化デンプン、コロイド状シリカ、コロイド状アルミ、ベントナイト、ポリフェノール等の定着剤が利用できる。あるいは、乾燥紙力剤として、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールが、また湿潤紙力剤としてポリエチレンイミン、メラミンホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、ポリアミドエピクロルヒドリン、ポリビニルアミン等が使用できる。
吸収層1の厚さは、30μm〜2000μmの範囲で標的周波数に応じて適宜調整することで電磁波吸収効果が得られる。
(反射層2)
反射層2は、電磁波の裏抜け防止のために設けられる。反射層2には、炭素粉または炭素繊維を含む導電性シート、CFRTP、金属板、金属箔等の導電性を有するシートが利用できる。このような反射層2を設けることで、図2に示すように、入射波Xに対する、吸収層1の表面での反射波Aと、反射層2での反射波Bとを互いに逆位相として打ち消し合うことで、電磁波吸収効果が得られる。
(電磁波吸収シートの製造方法)
次に、実施例に係る電磁波吸収シートの製造方法を説明する。まず、導電性フィラーとしてカーボンフィラーと、絶縁性フィラー(例えばCNF)とを湿式抄紙して、紙製の吸収層1を得る。具体的には、カーボンフィラーと絶縁性フィラーとを定着させる。定着には既知の凝結剤、凝集剤を使用する。ここで定着剤の種類や添加方法によって、導電性を制御することもできる。さらに骨材と抄紙してシート化する。また必要に応じて難燃性の繊維を混合する。加えて、必要に応じて後加工で樹脂含浸し、フィラーの粉落ち対策と導電性制御をすることもできる。
次に、吸収層1の、電磁波吸収面の裏面側に、吸収対象の周波数の電磁波を反射する反射層2を形成する。
反射層2は吸収層1と接着剤、粘着テープ等で貼り合わせるか単に吸収層1の電磁波吸収面の裏面側に配することができるが、吸収層1と反射層2の界面に接着層がないほうが好ましい。このようにして、良好な電磁波の吸収効果を発揮させることができる。特に、吸収対象の電磁波が吸収層1の電磁波吸収面で反射された反射波と、吸収層1を透過して反射層2との界面で反射された反射波とで、打ち消し合うことにより、入射波を吸収層1で吸収しつつ、吸収層1を透過した成分についても反射層2で反射させて打ち消すことができ、結果として電磁波の吸収効果を一層高めることができる。
(セルロース繊維とカーボンフィラーの定着)
セルロース繊維とカーボンフィラーを定着させるために、従来は図8において太線で示す主体セルロース繊維(例えば針葉樹晒パルプ:20〜50μm(繊維径、以下同じ)、広葉樹晒パルプ:10〜20μm)に対して、細線で示すカーボンナノチューブ(1〜75nm)やカーボンナノホーン(150nm以下)を分散させて定着させていた。あるいは図9において太線で示す主体セルロース繊維(針葉樹晒パルプ:20〜50μm、広葉樹晒パルプ:10〜20μm)に対して、円環の連鎖で示したコイル状の微小炭素繊維(コイル径0.3〜40μm)を分散させていた。これらの定着方法では、カーボン素材を均一に分散できないという欠点があった。またカーボン素材を多く配合できないこと、さらに微小繊維状カーボン素材はコストが高いといったデメリットも有していた。
これに対して本実施例に係る電磁波吸収シートにおいては、セルロース繊維とカーボンの定着に際して、図10において太線で示す微細繊維(微細繊維状セルロース、セルロースナノファイバー、キチンナノファイバー等)に対して、黒丸で示すカーボンブラック(一次粒子径36〜40nm)を分散させている。この定着メカニズムは、図11において+で示すように、定着材としてカチオン性定着剤(硫酸アルミニウム等)を介在させることで、カーボンブラックと微細繊維表面の陰イオン官能基であるCOO-基同士を結合させて定着させるものである。この方法によれば、カーボン素材を増量することが可能となる。またカーボン素材を高分散に三次元的に定着可能であり、さらに粒子状カーボンでもシールド性能を発揮できるという利点も得られる。このように本実施例に係る電磁波吸収シートの製造方法においては、従来の定着方法と比べ、使用しているカーボン素材の形態並びに絶縁性微細繊維とカーボンの定着後の形態において大きく異なっている。
(電磁波吸収シートの設計)
ここで、導電性フィラーの量を変化させた実施例1〜7に係る電磁波吸収シートを作成し、吸収される電磁波の波長のピーク位置を調べた。この結果を図3のグラフに示す。実施例1では導電性フィラーを1wt%、実施例2では3wt%、実施例3では5wt%、実施例4では7wt%、実施例5では9wt%、実施例6では11wt%、実施例7では13wt%としている。また吸収層の厚さはすべて1.0mmとした。また、図4に示すように電磁波が電磁波吸収シート100に入射する入射電界をE1、反射電界をErとするとき、反射係数ΓはΓ=Er/E1、反射減衰量(吸収率)は、10log(Γ)2で表される。なお吸収率をdBで表記すると、−10dB:90%、−20dB:99%、−30dB:99.9%となる。
図3のグラフに示すように、導電性フィラーであるカーボンフィラー量を増やすと、吸収ピークが低周波数側へシフトする。ただし、同時に導電性が上がり、反射が優先となって、吸収特性は低下する。逆にカーボンフィラー量が少ないと、導電性が低くなって電磁波が透過する。このため、電磁波の吸収性能を維持しつつ低周波数側へシフトさせるためには、導電性の調整が必要となる。また同時に絶縁性フィラーを増加させる必要があるところ、ミクロンサイズのフィラーでは多量に添加する必要があり、この場合はシート化が困難となる。この対策として、本実施形態に係る電磁波吸収シートでは、導電性フィラーとして、ナノレベルの粒子、ウィスカー状、あるいは繊維状のものを使用することが挙げられる。特に、粒子状の導電性フィラーが好ましい。粒径の大きい、ミクロンサイズの導電性フィラーや、繊維状の導電性フィラーでは、導電性の制御が容易でないところ、粒子形態の導電性フィラーでは導電性の制御が行い易い。
(実施例8)
実施例8に係る電磁波吸収シートにおいては、粒子形態の導電性フィラーとして、粒径の小さいカーボンブラックを使用した。カーボンブラックの一例として、以下のものが利用できる。
このカーボンブラックを用いて作製した実施例8に係る電磁波吸収シートと、比較例1として気相法炭素繊維を用いた電磁波吸収シートを作製し、両者の電磁波吸収周波数と吸収率を測定した。この結果を図5のグラフに示す。ここで、実施例8として、導電性フィラーにカーボンブラック(ケッチェンブラックEC600JD)を11wt%、絶縁性フィラーとして微細繊維状セルロース(セリッシュKY100G)を6wt%、難燃性繊維としてアラミドパルプ(トワロン1097)を69wt%、PPS未延伸繊維(GRADIO1.7×5UDY)を14wt%を、定着材で定着させて抄紙し、フェノール樹脂を50%含浸し、厚さ1mm、530g/m2の電磁波吸収シートを得た。一方、比較例1として、気相成長炭素繊維(VGCF)を3wt%、骨材としてN−BKPを97wt%とを抄紙し厚さ4mm、2000g/m2の電磁波吸収シートを作製した。この結果、図5のグラフに示すように、比較例よりも高い周波数の電磁波を、高い吸収率でもって吸収できると共に、厚さは約1/4に抑えることができた。このように、吸収したい電磁波のλ/4の制約を受けることなく、λ/4よりも薄い電磁波吸収シートを実現でき、しかも吸収率も優れている。また紙製の電磁波吸収シートは極めて低密であり、従来の樹脂製のものと比べて軽量化等の点でも有利となる。
さらに、実施例9〜11は実施例8と同様の組成で坪量、厚さを変更し抄紙した後で、フェノール樹脂を実施例9は25%含浸し、厚さ0.77mm、310g/m2、実施例10は30%含浸し、厚さ0.31mm、131g/m2、実施例11は40%含浸し、厚さ0.23mm、110g/m2の電磁波吸収シートを得たものである。実施例8〜11に係る電磁波吸収シートの電磁波吸収周波数と吸収率を図6A〜図6Dにそれぞれ示す。これらの図に示すように、坪量、厚さと樹脂含浸量を調整するだけで吸収ピークの位置を制御することができる。
本発明の電磁波吸収シート及びその製造方法は、ミリ波やマイクロ波の電磁波を吸収するシート、例えば自動車関連のITSやETC、AHS等で用いられる電磁波の無用な反射成分等から電子機器を保護するために、このような電磁波を吸収する電磁波吸収シート、あるいは携帯電話等の交換局と基地局との間の中継回線、ミリ波データ伝送用システム等における電磁波吸収体などに好適に利用できる。
100…電磁波吸収シート
1…吸収層
2…反射層
81…吸収層
82…金属層

Claims (13)

  1. 電磁波を吸収可能な電磁波吸収シートの製造方法であって、
    導電性を有するカーボンフィラーと、絶縁性フィラーと繊維とを湿式抄紙して、紙製の吸収層を得る工程と、
    前記湿式抄紙で得られた吸収層を樹脂含浸する工程を含み、
    前記電磁波吸収シートは、導電性を有するカーボンフィラーと絶縁性フィラーと繊維とを湿式抄紙した、紙製の吸収層を備え、
    前記吸収層の厚さが波長の1/4未満であり、
    前記絶縁性フィラーが、微細繊維状セルロース又はセルロースナノファイバーを含む電磁波吸収シートの製造方法。
  2. 請求項に記載の電磁波吸収シートの製造方法であって、さらに、
    前記吸収層の、電磁波吸収面の裏面側に、吸収対象の周波数の電磁波を反射する反射層を形成する工程を含む電磁波吸収シートの製造方法。
  3. 電磁波を吸収可能な電磁波吸収シートであって、
    導電性を有するカーボンフィラーと絶縁性フィラーと繊維とを湿式抄紙し、樹脂含浸した、紙製の吸収層を備える電磁波吸収シートであって、
    前記吸収層の厚さが波長の1/4未満であり、
    前記絶縁性フィラーが、微細繊維状セルロース又はセルロースナノファイバーを含む電磁波吸収シート。
  4. 請求項に記載の電磁波吸収シートであって、
    前記吸収層が、難燃性の繊維を含む電磁波吸収シート。
  5. 請求項に記載の電磁波吸収シートであって、
    前記難燃性の繊維が、パラアラミド繊維、パラアラミドパルプ、メタアラミド繊維、メタアラミドパルプ、ポリフェニレンサルファイド繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、難燃PET繊維、難燃レーヨン繊維のいずれかを含む電磁波吸収シート。
  6. 請求項のいずれか一項に記載の電磁波吸収シートであって、
    前記吸収層が、定着剤、凝結剤又は凝集剤を含んでなる電磁波吸収シート。
  7. 請求項のいずれか一項に記載の電磁波吸収シートであって、
    前記カーボンフィラーの一次粒径が、10nm〜100nmである電磁波吸収シート。
  8. 請求項のいずれか一項に記載の電磁波吸収シートであって、
    前記カーボンフィラーの含有量が、1wt%〜30wt%である電磁波吸収シート。
  9. 請求項のいずれか一項に記載の電磁波吸収シートであって、
    前記吸収層の厚さが、30μm〜2000μmである電磁波吸収シート。
  10. 請求項のいずれかに記載の電磁波吸収シートであって、
    前記吸収層が樹脂含浸されてなる電磁波吸収シート。
  11. 請求項10に記載の電磁波吸収シートであって、
    含浸する樹脂がポリアクリル酸エステル共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)樹脂、SBR(スチレンブタジエンゴム)樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂のいずれかである電磁波吸収シート。
  12. 請求項11のいずれか一項に記載の電磁波吸収シートであって、さらに
    前記吸収層の、電磁波吸収面の裏面側に、吸収対象の周波数の電磁波を反射する反射層を備えており、
    吸収対象の電磁波が前記吸収層の電磁波吸収面で反射された反射波と、前記吸収層を透過して前記反射層との界面で反射された反射波とで、打ち消し合うように作用する電磁波吸収シート。
  13. 請求項12に記載の電磁波吸収シートであって、
    前記反射層が、炭素粒子又は炭素繊維を含む導電性シート、炭素繊維と天然または化学繊維を抄き込んだシート状の複合材料、金属板、金属箔の少なくともいずれかを含む電磁波吸収シート。
JP2018558373A 2017-12-25 2018-07-06 電磁波吸収シート及びその製造方法 Active JP6522262B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017248060 2017-12-25
JP2017248060 2017-12-25
PCT/JP2018/025770 WO2019130627A1 (ja) 2017-12-25 2018-07-06 電磁波吸収シート及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6522262B1 true JP6522262B1 (ja) 2019-05-29
JPWO2019130627A1 JPWO2019130627A1 (ja) 2019-12-26

Family

ID=66655730

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018558373A Active JP6522262B1 (ja) 2017-12-25 2018-07-06 電磁波吸収シート及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6522262B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114214871A (zh) * 2021-11-30 2022-03-22 航天特种材料及工艺技术研究所 一种涂覆型吸波芳纶纸、吸波蜂窝及制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008277363A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Kuraray Co Ltd 電磁波吸収体
JP2009076620A (ja) * 2007-09-20 2009-04-09 Toray Ind Inc 電磁波吸収体
JP2015192073A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 タツタ電線株式会社 電磁波シールドフィルム、シールドプリント配線板及び電磁波シールドフィルムの製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008277363A (ja) * 2007-04-26 2008-11-13 Kuraray Co Ltd 電磁波吸収体
JP2009076620A (ja) * 2007-09-20 2009-04-09 Toray Ind Inc 電磁波吸収体
JP2015192073A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 タツタ電線株式会社 電磁波シールドフィルム、シールドプリント配線板及び電磁波シールドフィルムの製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114214871A (zh) * 2021-11-30 2022-03-22 航天特种材料及工艺技术研究所 一种涂覆型吸波芳纶纸、吸波蜂窝及制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2019130627A1 (ja) 2019-12-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7030694B2 (ja) 電磁波吸収体
JP5496879B2 (ja) 複合型電波吸収体
WO2017221992A1 (ja) 電波吸収シート
JP6445741B2 (ja) 電磁波吸収シート
WO2019130627A1 (ja) 電磁波吸収シート及びその製造方法
JP2011233834A (ja) 電波吸収体
JP6522262B1 (ja) 電磁波吸収シート及びその製造方法
JP4716348B2 (ja) 電波吸収材
TW201729994A (zh) 電磁波吸收積層體、殼體及電磁波吸收積層體之使用方法
KR20120050391A (ko) 유전성 손실 시트를 활용한 전자파 흡수체 및 이의 형성 방법
WO2019235561A1 (ja) 電磁波シールド材及びこれを備える信号処理ユニット
WO2010113303A1 (ja) 電磁波吸収構造体
JP2007095830A (ja) 電磁波吸収体
KR100675514B1 (ko) 전자파 차폐체
JP2010040730A (ja) シート状物
JP6089625B2 (ja) 電波吸収体用シート材およびこれを用いた電波吸収体
JP2008111218A (ja) 電磁波・音波吸収糸、電磁波・音波吸収織物、電磁波・音波吸収シート、電磁波・音波吸収プレート及び電磁波・音波吸収構造体並びに電磁波シールド糸
WO2022130752A1 (ja) 電磁波吸収体
JP5218727B2 (ja) 電波吸収体
JP2012191183A (ja) 電波吸収体用シート材及び電波吸収体
KR102575427B1 (ko) 전자기파 흡수체 및 그 제조방법
CN109219335B (zh) 宽频带吸波片及其制作方法
JP2024058390A (ja) 電波吸収体、及びその製造方法
US20240186716A1 (en) A radar absorbing structure
Celebi Efe et al. Fabrication and Characterization of UHMWPE–Ni Composites for Enhanced Electromagnetic Interference Shielding

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181106

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20181106

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20181129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190128

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190423

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6522262

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250