JP6521603B2 - 洗濯機 - Google Patents

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Description

この発明は、洗濯機に関する。
下記の特許文献1の洗濯機では、外槽内に回転自在に設けられた脱水槽の底部に、パルセータが回転自在に設けられる。外槽の底部には、空気の導入口が設けられ、導入口は、エアーホースを介してエアーポンプに連結される。洗濯物の洗い時には、エアーポンプが駆動されて空気がエアーホースを通って外槽内に送られ、気泡が導入口から発生する。発生した気泡は、脱水槽の底壁に設けられた吸込口を通ってパルセータの下方に溜まり、パルセータの裏羽根によって砕かれて微細化されてから浮上して洗濯物に接触する。
気泡が洗濯物に接触して破裂したときに生じる衝撃波によって、洗濯物から汚れ成分を剥離することができる。また、気泡によって洗剤の泡立ちをよくして大量の洗剤泡を生成し、少ない水でも、洗剤泡によって洗剤成分および水分を洗濯物に浸透させて洗濯物をムラなく洗浄できる。さらに、洗剤泡によって洗濯物を包み洗いできるので、洗濯物の傷みを低減できる。このように、気泡を用いて洗濯物を洗うことによって、洗濯物の傷みを低減しつつ、節水および洗浄力の向上を図れる。
特開2000−51562号公報
特許文献1の洗濯機では、空気の導入口が、外槽の底部の中央部に設けられ、導入口から発生した気泡を脱水槽内に送り込むための吸込口が、脱水槽の底壁の中央部に設けられる。このような構成では、外槽の底部の中央部に設置された動力切換機構や軸受などの部品や、脱水槽の底壁の中央部に位置する脱水槽の回転軸やパルセータの回転軸などから制約を受けることによって、導入口および吸込口の寸法を大きくすることができない。これでは、脱水槽内に効率的に気泡を送り込むことが困難である。また、導入口につながったエアーホースの配置にも制約を受ける。
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、洗濯槽に収容された洗濯物を洗うために用いられる気泡を効率的に洗濯槽内に送り込むことができる洗濯機を提供することを目的とする。
本発明は、空気が導入される導入口が形成された第1底壁を有し、水が溜められる外槽と、前記外槽内に収容され、洗濯物を収容して回転可能な洗濯槽であって、前記第1底壁に上方から対向する第2底壁と、前記外槽との間で水を行き来させるための貫通穴とを有する洗濯槽と、前記第2底壁の下面部に形成された溝であって、前記洗濯槽の回転中心から前記導入口におけるいずれかの位置までの距離を前記溝におけるいずれかの位置での半径として前記洗濯槽の回転中心を円中心とする環状に形成され、前記導入口に上方から対向する溝と、前記溝の内側に形成されて前記第2底壁を貫通し、前記溝が前記導入口から受けた気泡を前記洗濯槽内に送り込む通気穴とを含み、前記通気穴は、前記溝の溝底に形成され、前記溝底は、前記溝が前記溝の周方向に沿って前記通気穴に向かうにつれて上方へ深くなるように傾斜した傾斜面であることを特徴とする、洗濯機である。
また、本発明は、前記通気穴は、前記周方向に沿って複数設けられ、前記溝底において各通気穴に対して前記周方向の両側に位置する領域は、前記通気穴に近づくにつれて上方へずれる逆V字状に形成されることを特徴とする。
また、本発明は、前記洗濯槽の底部に位置する入口と、前記入口よりも高い位置にある出口と、前記入口から前記出口まで上方へ延びる流路とを有し、前記洗濯槽に溜まった水を前記入口から取り込んで前記流路によって汲み上げて前記出口から前記洗濯槽内に吐出する揚水路と、前記洗濯槽の回転中心まわりに回転することによって、前記通気穴から出た気泡を前記入口へ送り込む羽根とを含み、前記通気穴は、前記洗濯槽の回転中心と前記入口とを結ぶ線分上に位置することを特徴とする。
また、本発明は、前記洗濯槽の底部に位置する入口と、前記入口よりも高い位置にある出口と、前記入口から前記出口まで上方へ延びる流路とを有し、前記洗濯槽に溜まった水を前記入口から取り込んで前記流路によって汲み上げて前記出口から前記洗濯槽内に吐出する揚水路を含み、前記入口は、前記通気穴の真上に位置することを特徴とする。
また、本発明は、前記揚水路において前記入口と前記出口との間の領域には、前記通気穴から前記入口に受け渡された気泡を前記洗濯槽内に吹き出すための吹出口が設けられることを特徴とする。
また、本発明は、前記導入口から出た気泡が前記第2底壁より上方における前記外槽と前記洗濯槽との隙間に逃げることを防止するための逃げ防止構造が設けられ、前記逃げ防止構造は、前記外槽において前記回転中心側へ張り出した段部と、前記第2底壁において前記回転中心から離れる側へ張り出して前記段部に上方から重なったフランジとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、外槽では、水が第1底壁側から溜まり、外槽内に回転可能に収容された洗濯槽では、貫通穴を介して洗濯槽と外槽との間で行き来する水が第2底壁側から溜まる。第1底壁に形成された導入口に導入された空気は、外槽に溜まった水の中で気泡となって導入口から浮上する。第2底壁において第1底壁に上方から対向する下面部に形成された溝が、導入口から浮上した気泡を受ける。溝の内側に形成された通気穴が、溝によって受けられた気泡を洗濯槽内に送り込む。洗濯槽内に送り込まれた気泡は、洗濯槽内の洗濯物を洗うために用いられる。
溝は、洗濯槽の回転中心を円中心とする環状に形成される。これにより、環状の溝は、第2底壁において洗濯槽の回転中心から離れた外側に配置される。そのため、下方から溝に対向する導入口は、第1底壁において洗濯槽の回転中心に一致する部分から離れた外側に配置される。よって、溝と、その内側に形成された通気穴と、導入口とのそれぞれの寸法を、洗濯槽の回転中心に配置される他の部品からの制約を受けずに大きくすることができる。これにより、大量の気泡を導入口から溝に受け渡して通気穴から洗濯槽内に送り込める。
また、環状の溝の半径は、洗濯槽の回転中心から導入口までの距離である。そのため、溝の少なくとも一部は、洗濯槽の回転中でも常に導入口に上方から対向するので、溝は、導入口から浮上した気泡を途切れずに受けて通気穴から洗濯槽内に送り込める。
以上の結果、洗濯物を洗うために用いられる気泡を効率的に洗濯槽内に送り込むことができる。
また、本発明によれば、通気穴が溝の溝底に形成され、溝底は、溝が通気穴に向かうにつれて深くなるように傾斜した傾斜面である。そのため、溝によって受けられた気泡は、傾斜した溝底によって円滑に通気穴に導かれるので、気泡を一層効果的に洗濯槽内に送り込むことができる。
また、本発明によれば、揚水路が、洗濯槽に溜まった水を入口から取り込んで流路によって汲み上げて出口から洗濯槽内に吐出することにより、洗濯槽と揚水路との間で水を循環させるので、少ない水での洗濯が可能になる。そして、洗濯槽の回転中心まわりに回転する羽根が、通気穴から出た気泡を揚水路の入口へ送り込むので、気泡を、循環する水に効果的に乗せて洗濯槽内に送り込むことができる。通気穴は、洗濯槽の回転中心と入口とを結ぶ線分上に位置するので、羽根は、通気穴から出た気泡を、入口へ円滑に送り込んで、循環する水に乗せることができる。
また、本発明によれば、揚水路が、洗濯槽に溜まった水を入口から取り込んで流路によって汲み上げて出口から洗濯槽内に吐出することにより、洗濯槽と揚水路との間で水を循環させるので、少ない水での洗濯が可能になる。そして、揚水路の入口が通気穴の真上に位置するので、通気穴から浮上した気泡を、循環する水に速やかに乗せることによって一層効果的に洗濯槽内に送り込むことができる。
また、本発明によれば、気泡を洗濯槽内に吹き出すための専用の吹出口が揚水路に設けられるので、気泡を吹出口から一層効果的に洗濯槽内に送り込むことができる。
また、本発明によれば、気泡が第2底壁より上方における外槽と洗濯槽との隙間に逃げることが、逃げ防止構造によって防止される。これにより、気泡が当該隙間に噛み込んで抵抗となることによって洗濯槽の円滑な回転が阻害されることを防止できる。
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機の内部構造の縦断面図である。 図2は、洗濯機に含まれる洗濯槽の底壁の底面図である。 図3は、図2のA−A矢視断面図である。 図4は、要部が断面で示された洗濯槽の底壁の側面図である。 図5は、洗濯機における外槽および洗濯槽の平面図である。 図6は、図1とは違う位置で切断したときの洗濯機の縦断面図である。 図7は、洗濯槽の底壁の平面図である。 図8は、図1において2点鎖線で囲まれた要部の拡大図である。 図9は、図6において2点鎖線で囲まれた要部の拡大図である。 図10は、図8において破線で囲まれた要部の拡大図である。 図11は、この発明の変形例に係る洗濯機の内部構造の縦断面図である。
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1の内部構造の縦断面図である。
まず、図1における上下方向Xを基準として洗濯機1の概要について説明する。縦方向である上下方向Xのうち、上方を上方X1と称し、下方を下方X2と称する。なお、洗濯機1には、洗濯物Sの洗い運転、すすぎ運転および脱水運転を行う洗濯機だけでなく、乾燥運転も行う洗濯乾燥機も含まれる。
洗濯機1は、ボックス状に形成された筐体2と、筐体2内に配置された外槽3、洗濯槽4、モータ5、パルセータ6およびポンプ7とを含む。
外槽3は、たとえば樹脂製であり、有底円筒状に形成される。外槽3は、上端に開口部3Aを有する略円筒状の円周壁3Bと、円周壁3Bの中空部分を下方X2から塞ぐ円板形状に形成された第1底壁としての底壁3Cとを有する。開口部3Aは、円周壁3Bに連結されたカバー10によって開閉される。外槽3内には、水道水、風呂水および洗剤が溶けた液体などの水が底壁3C側から溜められる。
底壁3Cにおいて円周壁3Bに隣接した外周部には、底壁3Cを上下方向Xに貫通した導入口9が形成される。導入口9は、1つだけ設けられてもよいし、外槽3の周方向に並ぶように複数設けられてもよい。また、導入口9は、底壁3Cに直接形成されてもよいが、図1に示すように、樹脂製のパイプ12が底壁3Cに取り付けられ、その中空部分が、導入口9として、底壁3Cの上面に露出されてもよい。
洗濯槽4は、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、洗濯物Sを収容する。洗濯槽4は、上端に出入口4Aを有する略円筒状の円周壁4Bと、円周壁4Bの中空部分を下方X2から塞ぐ円板形状に形成された第2底壁としての底壁4Cとを有する。たとえば、円周壁4Bは金属製であり、底壁4Cでは、円中心部分が金属製であって、外周部分が樹脂製である。底壁4Cの外側周縁部は、上方X1へ折れ曲がった筒状に形成され、円周壁4Bの下端部とみなされてもよい。底壁4Cと、円周壁4Bにおいて底壁4Cに接続された下端部とは、洗濯槽4の底部4Dを構成する。洗濯槽4は、外槽3内に同軸状で収容される。外槽3内に収容された状態の洗濯槽4は、その軸線として上下方向Xに延びる中心軸8を中心に回転可能である。このような洗濯機1は、洗濯槽4が縦に配置された縦型洗濯機である。
洗濯槽4の中心軸8は、外槽3の中心軸でもあり、中心軸8を回転中心とした洗濯槽4の回転方向は、外槽3および洗濯槽4のそれぞれの周方向Yと一致する。以下では、中心軸8を基準とした径方向を径方向Zと称し、径方向Zのうち、中心軸8に向う側を径方向内側Z1と称し、中心軸8から離れる側を径方向外側Z2と称する。周方向Yおよび径方向Zは、いずれも水平方向Hに沿う方向である。
出入口4Aは、開口部3Aに下方X2から連通し、開口部3Aおよび出入口4Aは、カバー10によって一括開閉される。洗濯機1の使用者は、開放された出入口4Aを介して、洗濯槽4内に洗濯物Sを出し入れすることができる。円周壁4Bおよび底壁4Cのそれぞれには、貫通穴4Eが形成され、外槽3内の水は、貫通穴4Eを介して、外槽3と洗濯槽4との間で行き来できる。これにより、洗濯槽4には、外槽3と同じ水位となるように水が底壁4C側から溜められる。溜まった水は、外槽3の底壁3Cと洗濯槽4の底壁4Cとの間にも存在する。
円周壁4Bの内周面4Fの上端部には、周方向Yに沿う環状のバランサ11が取り付けられる。バランサ11は、回転時における洗濯槽4の振動を低減させるものであって、バランサ11の内部の空洞11Aには、振動低減に寄与するための液体が収容される。
洗濯槽4の底壁4Cは、外槽3の底壁3Cに上方X1から対向した状態にある。底壁4Cの下面部4Gにおいて円周壁4Bに隣接した外周部分には、中心軸8を円中心として周方向Yに沿う環状の溝15が形成される。環状の溝15は、中心軸8に最も近い環状の内周縁150と、中心軸8から最も遠い環状の外周縁151とを有するように径方向Zにおいて所定の幅を有する。また、溝15の半径Dは、中心軸8から導入口9までの直線距離であり、溝15は、底壁3Cに形成された導入口9と、径方向Zにおいて同じ位置にある。そのため、洗濯槽4の静止中および回転中のいずれにおいても、周方向Yにおける溝15の少なくとも一部は、常に導入口9に上方X1から対向する。
なお、溝15の半径Dは、図1では、中心軸8から径方向Zにおける溝15の中心までの直線距離であり、この場合の半径Dは、一例として、円形状の導入口9の円中心から中心軸8までの直線距離と等しい。これに代え、半径Dは、中心軸8から径方向Zにおける溝15の内周縁150までの直線距離として定義されてもよく、この場合の半径Dは、一例として、導入口9において中心軸8に最も近い端縁から中心軸8までの直線距離と等しい。さらに、半径Dは、中心軸8から径方向Zにおける溝15の外周縁151までの直線距離として定義されてもよく、この場合の半径Dは、一例として、導入口9において中心軸8から最も遠い端縁から中心軸8までの直線距離と等しい。いずれにせよ、溝15におけるいずれかの位置から中心軸8までの径方向Zの直線距離を半径Dとしたときに、この半径Dは、導入口9におけるいずれかの位置から中心軸8までの径方向Zの直線距離と等しければよい。
図2は、洗濯槽4の底壁4Cの底面図である。図3は、図2のA−A矢視断面図である。図4は、要部が断面で示された底壁4Cの側面図である。
図2を参照して、底壁4Cの下面には、周方向Yや径方向Zに延びるリブ16が複数形成される。これらのリブ16のうち、隣り合って周方向Yに延びて下方X2へ突出した一対の環状のリブ16Aによって径方向Zから挟まれた環状の空間が、溝15である。環状の溝15は、周方向Yにおける全域に亘って連続して形成されてもよいし、図2に示すように、径方向Zに延びるリブ16によって周方向Yにおける途中が途切れた略環状の構成を含んでもよい。図3に示すように、溝15は、底壁4Cの下面部4Gにおいて上方X1へ向けて窪んで形成される。そのため、溝15の深さ方向は、上方X1である。底壁4Cにおいて溝15を上方Xから塞ぐ部分が、溝15の溝底15Aである。
溝15の内側には、底壁4Cを上下方向Xに貫通した通気穴17が形成される。通気穴17の数は任意に決定でき、この実施形態では、4つの通気穴17が、周方向Yに沿って等間隔で配置される(図2参照)。それぞれの通気穴17は、溝底15Aに形成される。
通気穴17は、この実施形態では円形状に形成されるが、たとえば、周方向Yに長い長穴であってもよい。図4に示すように、溝底15Aは、溝15がそれぞれの通気穴17に向かうにつれて深くなるように傾斜した傾斜面である。そのため、溝底15Aにおいて通気穴17に対して周方向Yの両側に位置する領域15Bは、通気穴17に近づくにつれて上方X1へずれるように、径方向Zから見て逆V字状に形成される。
図1を参照して、モータ5は、筐体2内において外槽3の底壁3Cの円中心の下方X2に配置される。モータ5の出力軸は、中心軸8に沿って上方X1へ延びる管状の第1出力軸5Aと、第1出力軸5Aに対して遊びを持って挿通される第2出力軸5Bとに分岐する。モータ5は、変速機構18を介することによって、駆動力を第1出力軸5Aおよび第2出力軸5Bのどちらかから選択的に出力することができる。
第1出力軸5Aは、上方X1へ延びて、底壁3Cの円中心および洗濯槽4の底壁4Cの円中心を順に貫通する。第1出力軸5Aは、底壁3Cと底壁4Cとの間で鍔状に張り出したフランジ部5Cを有し、フランジ部5Cが底壁4Cに固定されることで、洗濯槽4に連結される。モータ5が駆動されて第1出力軸5Aに駆動力が伝達されると、洗濯槽4が回転する。
パルセータ6は、洗濯槽4の底部4Dにおいて水平方向Hに沿って配置される円盤である。パルセータ6の周方向は、洗濯槽4の周方向Yに一致し、パルセータ6の径方向は、洗濯槽4の径方向Zに一致する。パルセータ6では、表面をなす上面6Aに、周方向Yに並ぶ複数の凸部6Bが設けられ、裏面をなす下面6Cに、周方向Yに並ぶ複数の羽根6Dが設けられる。それぞれの凸部6Bは、パルセータ6の径方向Zに沿いつつ上方X1へ盛り上がった筋状に形成され(図5参照)、それぞれの羽根6Dは、周方向Yに薄い板状であって、パルセータ6の円中心部分から放射状に配置される。パルセータ6において隣り合う凸部6Bの間の領域には、パルセータ6を上下方向Xに貫通する複数の貫通穴6Eが形成される(図5参照)。
モータ5の第2出力軸5Bにおいてフランジ部5Cよりも上方X1にはみ出た上端部が、パルセータ6の円中心部分に取り付けられる。モータ5が駆動されて第2出力軸5Bに駆動力が伝達されると、パルセータ6が、洗濯槽4の回転中心である中心軸8まわりに回転する。このとき、洗濯槽4の回転は、停止した状態にある。洗い運転やすすぎ運転の際、洗濯槽4内の洗濯物Sは、回転するパルセータ6の凸部6Bによって撹拌される。
図6は、図1とは違う位置で切断したときの洗濯機の縦断面図である。図6を参照して、洗濯槽4の内周面4Fには、揚水路20が取り付けられる。揚水路20の数は、任意に設定でき、単数でも複数でもよい。
洗濯槽4に取り付けられた状態の姿勢を基準として、揚水路20は、本体部21を含む。本体部21は、径方向Zに薄く上下方向Xに長手のカバー状であり、バランサ11と洗濯槽4の底壁4Cとの間に架設されて上下に沿った姿勢で、洗濯槽4の内周面4Fに径方向内側Z1から取り付けられる。そのため、本体部21は、洗濯槽4の内周面4Fに対向する裏面21Aと、裏面21Aとは反対側にあり中心軸8側を臨む表面21Bとを有する。
本体部21において周方向Yにおける両端部は、上下方向Xにおける全域に亘って径方向外側Z2へ向けて折り曲げられた屈曲部21Cを構成する。それぞれの屈曲部21Cは、上下方向Xにおける全域に亘って径方向内側Z1から洗濯槽4の内周面4Fに接触する。これによって、本体部21の裏面21Aに、流路22が設けられる。
流路22は、本体部21の裏面21Aと洗濯槽4の内周面4Fとによって挟まれた空間である。流路22の下端は、入口23として、洗濯槽4の底部4Dに位置し、パルセータ6の下面6Cの羽根6Dを径方向外側Z2から臨む。洗濯槽4の底壁4Cの平面図である図7を参照して、周方向Yにおいて入口23と同じ位置にある通気穴17は、パルセータ6の回転中心である中心軸8と入口23とを結ぶ線分N上に位置する。なお、図7では、同一直線上に配置された2本の線分Nが図示される。
図6を参照して、本体部21の上端部には、本体部21を表面21Bから切り欠く出口24が形成され、出口24は、入口23より高い位置において、流路22の上端部に連通した状態にある。そのため、流路22は、入口23から出口24まで上方X1へ延びる。本体部21の表面21Bには、出口24を開閉する蓋26が設けられる。蓋26を径方向内側Z1へ開くと出口24から流路22の一部が露出されるので、洗剤を流路22に投入できる。洗剤の投入後に、蓋26は閉じられる。なお、蓋26によって開閉される部分とは別の位置に出口24を設けてもよい。
パルセータ6が回転すると、洗濯槽4の底部4Dに溜まった水が、回転するパルセータ6の羽根6Dによって揚水路20の入口23へ送り込まれ、入口23から流路22内に取り込まれる。流路22内に取り込まれた水は、太線矢印で示すように、流路22によって出口24まで汲み上げられ、その後、出口24における蓋26の周囲の隙間から洗濯槽4内に吐出される。これにより、洗濯槽4と揚水路20との間で水が循環するので、少ない水での洗濯が可能になる。
また、揚水路20の本体部21の表面21Bにおいて上下方向Xにおける入口23と出口24との間の領域には、本体部21を貫通して流路22に連通する吹出口25が設けられる。吹出口25は、たとえば、縦長のスリットであり、本体部21の表面21Bの下部において、周方向Yに並んで複数形成される。洗い運転時には、前述したように流路22に投入された洗剤が、循環する水に溶けて洗剤水となり、出口24や吹出口25から洗濯槽4内の洗濯物Sに浴びせられる。
図1を参照して、ポンプ7は、エアーポンプなどの空気供給装置である。ポンプ7につながったホース30が、外槽3の底壁3Cの導入口9(この実施形態では、前述したパイプ12)に連結される。洗い運転時には、ポンプ7が駆動されることによって外気をホース30に送り込み、導入口9には、ホース30から空気が導入される。
図8は、図1において2点鎖線で囲まれた要部の拡大図である。図9は、図6において2点鎖線で囲まれた要部の拡大図である。
図8に示すように、導入口9に導入された空気は、外槽3に溜まった水の中で気泡Kとなって導入口9から浮上し、洗濯槽4において導入口9の真上に位置する溝15によって受けられる。溝15によって受けられて溝15の内側に入り込んだ気泡Kは、溝15の傾斜した溝底15Aによっていずれかの通気穴17へ導かれ(図4も参照)、図9に示すように、通気穴17を通って浮上する。これにより、気泡Kは、通気穴17によって洗濯槽4内に送り込まれる。
通気穴17から出て洗濯槽4内に送り込まれた気泡Kは、パルセータ6の下方X2に到達する。このとき、パルセータ6は、回転中であり、パルセータ6の下方X2の気泡Kを羽根6Dによって揚水路20の入口23へ送り込む。
このように通気穴17から入口23に受け渡された気泡Kは、パルセータ6の回転に応じて揚水路20の流路22内で汲み上げられる水に乗って上昇し、太い破線矢印で示すように吹出口25から洗濯槽4内(詳しくは、パルセータ6より上方X1の領域)に吹き出されたり、出口24から洗濯槽4内に浴びせられたりする。洗濯槽4内に吹き出された気泡Kは、洗濯槽4内の洗濯物Sを洗うために用いられる。具体的には、気泡Kは、洗剤を泡立たせて大量の洗剤泡となって洗濯物Sをムラなく包み洗いしたり、破裂するときの衝撃によって洗濯物Sから汚れ成分を剥離したりする。
以上のように、洗濯槽4の底壁4Cにおいて導入口9からの気泡Kを受ける溝15は、周方向Yに沿う環状に形成される(図2参照)。これにより、環状の溝15は、底壁4Cの中心軸8から離れた径方向外側Z2に配置される。そのため、下方X2から溝15に対向する導入口9も、外槽3の底壁3Cにおいて中心軸8から離れた径方向外側Z2に配置される(図8参照)。よって、溝15と、その内側に形成された通気穴17と、導入口9とのそれぞれの寸法を、洗濯槽4の中心軸8に配置されるモータ5などの他の部品からの制約を受けずに自由に大きくすることができる。これにより、大量の気泡Kを導入口9から溝15に受け渡して通気穴17から洗濯槽4内に送り込める。
また、溝15の少なくとも一部は、洗濯槽4の回転中でも常に導入口9に上方X1から対向するので、溝15は、導入口9から浮上した気泡Kを途切れずに受けて通気穴17から洗濯槽4内に送り込める(図8参照)。そして、通気穴17が形成された溝15の溝底15Aは、溝15が通気穴17に向かうにつれて深くなるように傾斜した傾斜面である。そのため、溝15によって受けられた気泡Kは、傾斜した溝底15Aによって円滑に通気穴17に導かれるので、気泡を一層効果的に洗濯槽4内に送り込むことができる(図4参照)。
パルセータ6の下方X2に到達した気泡Kの一部は、パルセータ6の貫通穴6Eや、径方向Zにおけるパルセータ6と洗濯槽4の円周壁4Bの下端部(図9では、揚水路20の下端部)との隙間Jを通って浮上することによって、洗濯槽4内の洗濯物Sに供給される。さらに、前述したように、回転するパルセータ6の羽根6Dが、通気穴17から出た気泡Kを揚水路20の入口23へ送り込む。そのため、気泡Kを、パルセータ6の下方X2に留まらせることなく、循環する水に効果的に乗せて洗濯槽4内に送り込むことができる。通気穴17は、パルセータ6の回転中心である中心軸8と入口23とを結ぶ線分N上に位置するので(図7参照)、羽根6Dは、通気穴17から出た気泡Kを、入口23へ円滑に送り込んで、循環する水に乗せることができる。
そして、気泡Kを洗濯槽4内に吹き出すための専用の吹出口25が揚水路20に設けられるので、気泡Kを吹出口25から一層効果的に洗濯槽4内に送り込むことができる。
以上の結果、洗濯物Sを洗うために用いられる気泡Kを効率的に洗濯槽4内に送り込むことができる。
気泡Kを一層効率的に洗濯槽4内に送り込むために、径方向Zにおいて、溝15の内周縁150と外周縁151との間に導入口9が位置すると好ましい(図1参照)。この場合、径方向Zにおける内周縁150と外周縁151との間隔(溝15の幅)よりも導入口9の直径が小さい。よって、溝15は、常に導入口9の全域に上方X1から対向するので(図2参照)、導入口9から浮上した気泡Kを、極力漏らすことなく受けて通気穴17から洗濯槽4内に送り込むことができる。
図10は、図8において破線で囲まれた要部の拡大図である。図10を参照して、外槽3の導入口9から出た気泡Kが洗濯槽4の溝15に到達せずに外槽3の底壁3Cと洗濯槽4の底壁4Cとの間の空間Pに漏れることが想定される。漏れた気泡Kが空間Pに留まる場合には特に問題ない。なお、空間Pに存在する気泡Kは、外槽3に溜まった水を排水する際に、排水される水に乗って機外に排出される。
しかし、気泡Kが底壁4Cより上方X1における外槽3の円周壁3Bと洗濯槽4の円周壁4Bとの隙間Qに逃げると、隙間Qに噛み込んだ気泡Kが抵抗となることによって、脱水運転などにおける洗濯槽4の円滑な回転が阻害される虞がある。そこで、洗濯機1には、気泡Kが隙間Qに逃げることを防止するための逃げ防止構造31が、外槽3と洗濯槽4とに跨って設けられる。
逃げ防止構造31は、洗濯槽4の底壁4Cにおける周方向Yの全域から径方向外側Z2へ張り出したフランジ32と、外槽3の円周壁3Bの下端の周方向Yにおける全域から径方向内側Z1へ張り出した段部33とを含む。フランジ32の下面32Aおよび段部33の上面33Aは、水平方向Hに平坦であり、下面32Aは、上面33Aに対して隙間Rを隔てて上方X1から重なって配置される。
隙間Rは、水平方向Hに沿って径方向外側Z2へ広がる空間であり、上下方向Xに薄い。外槽3の底壁3Cと洗濯槽4の底壁4Cとの間の空間Pは、隙間Rを介して、隙間Qに連通する。そのため、導入口9から出て空間Pに存在する気泡Kは、隙間Rに到達しても、フランジ32に阻まれることによって隙間Qへ浮上できない。
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
図11は、この発明の変形例に係る洗濯機1の内部構造の縦断面図である。図11に示すように、揚水路20の入口23は、洗濯槽4の底壁4Cにおける少なくともいずれかの通気穴17の真上に位置してもよい。この場合、入口23の真下に位置する通気穴17から出た気泡Kは、浮上すると、そのまま入口23に到達する。これにより、通気穴17から浮上した気泡Kを、揚水路20を通って循環する水に速やかに乗せることによって、一層効果的に洗濯槽4内に送り込むことができる。
また、揚水路20の本体部21は、カバー状であって、流路22は、本体部21の裏面21Aと裏面21Aにおける一対の屈曲部21Cと洗濯槽4の内周面4Fとに区画された空間である。つまり、流路22は、厳密には、揚水路20と洗濯槽4の内周面4Fとの協働によって構成される。これに代え、本体部21が中空体であって、その中空部分が流路22となることによって、揚水路20が単独で流路22を構成してもよい。
また、揚水路20として、縦長の出口24にフィルタ40が設けられた別形態の揚水路20Aを用いてもよい(図1も参照)。揚水路20Aでは、流路22を上昇した水が出口24から吐出される際に、この水に含まれる異物がフィルタ40によって捕獲される。
また、洗濯槽4の底壁4Cに形成される通気穴17は、溝15の溝底15Aに限らず、溝15の側壁15C(図9参照)に形成されてもよい。
1 洗濯機
3 外槽
3C 底壁
4 洗濯槽
4C 底壁
4D 底部
4E 貫通穴
4G 下面部
6D 羽根
8 中心軸
9 導入口
15 溝
15A 溝底
17 通気穴
20 揚水路
22 流路
23 入口
24 出口
25 吹出口
31 逃げ防止構造
D 半径
K 気泡
N 線分
Q 隙間
S 洗濯物
X1 上方

Claims (6)

  1. 空気が導入される導入口が形成された第1底壁を有し、水が溜められる外槽と、
    前記外槽内に収容され、洗濯物を収容して回転可能な洗濯槽であって、前記第1底壁に上方から対向する第2底壁と、前記外槽との間で水を行き来させるための貫通穴とを有する洗濯槽と、
    前記第2底壁の下面部に形成された溝であって、前記洗濯槽の回転中心から前記導入口におけるいずれかの位置までの距離を前記溝におけるいずれかの位置での半径として前記洗濯槽の回転中心を円中心とする環状に形成され、前記導入口に上方から対向する溝と、
    前記溝の内側に形成されて前記第2底壁を貫通し、前記溝が前記導入口から受けた気泡を前記洗濯槽内に送り込む通気穴とを含み、
    前記通気穴は、前記溝の溝底に形成され、前記溝底は、前記溝が前記溝の周方向に沿って前記通気穴に向かうにつれて上方へ深くなるように傾斜した傾斜面であることを特徴とする、洗濯機。
  2. 前記通気穴は、前記周方向に沿って複数設けられ、
    前記溝底において各通気穴に対して前記周方向の両側に位置する領域は、前記通気穴に近づくにつれて上方へずれる逆V字状に形成されることを特徴とする、請求項1記載の洗濯機。
  3. 前記洗濯槽の底部に位置する入口と、前記入口よりも高い位置にある出口と、前記入口から前記出口まで上方へ延びる流路とを有し、前記洗濯槽に溜まった水を前記入口から取り込んで前記流路によって汲み上げて前記出口から前記洗濯槽内に吐出する揚水路と、
    前記洗濯槽の回転中心まわりに回転することによって、前記通気穴から出た気泡を前記入口へ送り込む羽根とを含み、
    前記通気穴は、前記洗濯槽の回転中心と前記入口とを結ぶ線分上に位置することを特徴とする、請求項1または2記載の洗濯機。
  4. 前記洗濯槽の底部に位置する入口と、前記入口よりも高い位置にある出口と、前記入口から前記出口まで上方へ延びる流路とを有し、前記洗濯槽に溜まった水を前記入口から取り込んで前記流路によって汲み上げて前記出口から前記洗濯槽内に吐出する揚水路を含み、
    前記入口は、前記通気穴の真上に位置することを特徴とする、請求項1または2記載の洗濯機。
  5. 前記揚水路において前記入口と前記出口との間の領域には、前記通気穴から前記入口に受け渡された気泡を前記洗濯槽内に吹き出すための吹出口が設けられることを特徴とする、請求項3または4記載の洗濯機。
  6. 前記導入口から出た気泡が前記第2底壁より上方における前記外槽と前記洗濯槽との隙間に逃げることを防止するための逃げ防止構造が設けられ
    前記逃げ防止構造は、前記外槽において前記回転中心側へ張り出した段部と、前記第2底壁において前記回転中心から離れる側へ張り出して前記段部に上方から重なったフランジとを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の洗濯機。
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