JP6521459B2 - 気体溶解促進補助具 - Google Patents
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Description
このような課題を解決するものとして、例えば、特許文献1には「汚水処理用散気装置」という名称で、汚水処理設備や浄化設備等において用いられるものであって、溶存酸素濃度を大幅に高めることが可能な散気装置に関する発明が開示されている。
このような構造の「汚水処理用散気装置」においては、エアパイプから混合パイプ内にエアが供給されると、周囲の汚水がエアに吸引されて混合パイプ内に流入し、板材によってエアと汚水が撹拌混合されるため、汚水中の溶存酸素量を高めることが可能である。
このような構造によれば、液中を上昇して邪魔板との衝突によって破裂した空気の気泡が邪魔板の下面に沿って側板へ分散した後、槽壁との隙間から大気中へ流出する。これにより、槽内の液体に空気の気泡が接触する時間と面積が増大するため、反応槽の液体に対する酸素溶解効率を向上させることができる。
このような構造の気体溶解促進補助具においては、気泡から生成された液泡が突起部の先端に衝突して破裂する際に、液膜を形成していた液体が山型状の突起部の側面に沿って広がりながら上昇して薄い液膜を再び形成するという作用を有する。なお、この液膜に対しても、気相を形成する気体に含まれるガス成分が分圧に応じて吸収され、その液膜中に余分に溶解していたガス成分が外へ放出される。
上記構造によれば、第2の箱状部材に設置された筒状部材の内部を集団となって上昇した気泡が筒状部材の上端から勢い良く溢出し、周囲の多量の液体を連行しつつ第1の箱状部材に形成された突起部の先端に衝突して破裂することで薄い大きな液膜を再び形成する。このとき、第2の箱状部材に設置された筒状部材は、その下端に到達した気泡を集めて第1の箱状部材に形成された突起部の先端の直下に誘導するという作用を有する。
そして、本発明においては、第1の箱状部材の内部だけでなく第2の箱状部材の内部においても、気相に達した気泡によって液泡が生成されるとともに突起部の先端に衝突した液泡の破裂に伴って、その突起部の側面に沿って薄い液膜が形成される。加えて、第1の箱状部材に形成された突起部の先端に対して第2の発明の場合よりも多くの液泡が集中して衝突するため、その液泡の破裂に伴って形成される液膜は第2の発明の場合よりも大きなものになる。したがって、本発明によれば、散気装置から供給される気体の液膜への溶解が促進されるという第1の発明の作用がより一層発揮される。
上記構造の気体溶解促進補助具では、第2の箱状部材に設置された筒状部材の上端が第1の箱状部材に形成された突起部の先端に対して第3の発明の場合よりもさらに近接して配置されることになるため、下端に到達した気泡を集めて第1の箱状部材に形成された突起部の先端の直下に誘導するという第2の箱状部材に設置された筒状部材の機能が一層確実に発揮される。
第2の箱状部材に設置された筒状部材の上端が第1の箱状部材の内部の気相中に配置されている場合、筒状部材の上端から送出された気泡によって連行される液体の量が少ないため、その気泡から生成された液泡が突起部の先端に衝突して破裂しても大きな液膜は形成され難い。これに対し、上述の構造であれば、第2の箱状部材に設置された筒状部材の上端が、第1の箱状部材の内部に貯留され得る気体の量が限界に達したときに筒状部材の下端の位置に形成される「気相と液相との境界面」よりも下方に位置することになるため、第2の箱状部材に設置された筒状部材の上端は第1の箱状部材の液相中に配置される。
すなわち、本発明においては、第2の箱状部材に設置された筒状部材の上端から溢出した気泡が液相中を勢い良く上昇して周囲の多量の液体を連行した後、液泡化して第1の箱状部材に形成された突起部の先端に勢いよく衝突するため、山型状の突起部の側面に沿った薄い大きな液膜が形成されるという作用を有する。
このような構造の気体溶解促進補助具においては、第3の発明乃至第5の発明のいずれかの作用に加えて、上下に配置された第1の箱状部材及び第2の箱状部材が保持部に設置された連結具を介して互いに連結されるという作用を有する。
筒状部材への気泡の流入口が下端のみに限られている場合、散気装置から第2の箱状部材に供給される気泡の量が多いと、この気泡が第2の箱状部材によって捕捉された際に、第2の箱状部材の内部に形成される気相と液相の境界面が上下に激しく揺動する。そのため、筒状部材の内部への気泡の流入が円滑になされず、その結果、筒状部材の上端からの気泡の溢出が断続的になる。この場合、気泡から生成された液泡の突起部の先端への衝突が連続的には行われないため、薄い大きな液膜が生成されないおそれがある。
すなわち、本発明においては、第3の発明乃至第6の発明のいずれかの作用に加え、散気装置から第2の箱状部材に供給される気泡の量が多い場合でも第2の箱状部材の内部に形成される気相と液相の境界面の上下への激しい揺動が抑えられるため、気泡が筒状部材の内部へ円滑に流入し、筒状部材の上端から連続的に溢出した気泡が液泡となって第1の箱状部材に形成された突起部の先端に間断なく衝突するという作用を有する。
図3は散気装置から筒状部材の内部に供給された気泡の挙動を説明するための図である。なお、図3(a)は図2(b)において箱状部材の下方に散気装置が設置された状態を表しており、図3(b)は図3(a)において筒状部材を拡大した図である。また、図3(a)では固定手段の図示を省略している。
例えば、上下に2つの箱状部材3が配置されている場合、対向する位置にある上下の保持部7a,7aに連結具11の上端と下端をそれぞれ挿設することにより、2つの箱状部材3は互いに連結される。このように、気体溶解促進補助具1aの箱状部材3には保持部7aが設けられているため、複数個を上下方向に配置して使用する場合でも、連結具11を用いることで、安定した状態で設置することが可能となっている。
固定手段5は、箱状部材3が上面8aに設置される平板状の取付部材8と、送風管4aを挟持するように設置される一対の半割状のバンド部材9,9と、バンド部材9,9と取付部材8を連結する棒状の連結部材10からなる。
また、箱状部材3は、側板7の縁部7bが外側へ向かって直角に曲折されており、縁部7bに設けられたネジ孔7cを利用して取付部材8にネジ止めされる構造となっている。
このようにして発生した気泡は、散気装置4の上方に設置された箱状部材3によって捕捉される。その結果、箱状部材3の内部にスリット2dの最上部を境として、その上側に気相13が形成される。なお、箱状部材3の内部に形成される気相13と液相との境界面を以下、単に界面12というものとする。
一方、箱状部材3によって捕捉された気泡14は、その内部の最上域で破裂して気相13を形成する。また、集団化して気相13に達した気泡14は液泡15となるが、この液泡15は気相13の中で気体に曝されて破裂する。
なお、図4(b)では散気装置の図示を省略し、図4(a)及び図5では固定手段の図示を省略している。また、図1乃至図3に示した構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
なお、本実施例では3つの箱状部材3a〜3cが設置された構造となっているが、箱状部材の個数はこれに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
そして、気体溶解促進補助具1bでは、上述したように、箱状部材3aの内部だけでなく、箱状部材3b,3cの内部においても、気相13に達した気泡14によって液泡15が生成されるとともに、突起部6aの先端に衝突した液泡15の破裂に伴って突起部6aの側面に沿って液膜が形成される。ただし、箱状部材3a,3bにそれぞれ形成された突起部6aの先端に対し、気体溶解促進補助具1aの場合よりも多くの液泡15が集中して衝突するため、液泡15の破裂に伴って形成される液膜は気体溶解促進補助具1aの場合よりも大きなものになる。すなわち、箱状部材3cの内部では、液泡15が突起部6aの先端に衝突して破裂することによって、破線の矢印で示すように山型状の突起部6aの側面に沿って薄い液膜が形成されるが、箱状部材3a,3bでは、この液膜よりもさらに大きな液膜が実線の矢印で示すように、山型状の突起部6aの側面に沿って形成されることになる。したがって、気体溶解促進補助具1bにおいては、液膜に溶存している他のガスが分圧に応じて酸素と置換されるという気体溶解促進補助具1aにおける作用がより一層発揮される。
したがって、気体溶解促進補助具1bでは、図5に示すように箱状部材3a〜3cへ許容量を超える気体が散気装置4から供給されている状態において、箱状部材3b,3cにそれぞれ設置された筒状部材2の上端2aから溢出した気泡14が液相中を勢い良く上昇して周囲の多量の水を連行し、気相13の中で液泡化した後、箱状部材3a.3bにそれぞれ形成された突起部6aの先端に勢いよく衝突する。その結果、箱状部材3a,3bの内部では山型状の突起部6aの側面に沿った薄い大きな液膜が形成される。
なお、本実施例で示したように筒状部材2の側面にスリット2dを設ける場合には、箱状部材3b,3cの各筒状部材2の上端2aがそれぞれ箱状部材3a,3bに設置された筒状部材2のスリット2dの最上部よりも下方に配置される構造としても良い。
Claims (6)
- 散気装置の上部に設置された状態で使用される気体溶解促進補助具であって、
開口部を下に向けた状態で設置されるとともに天板に貫通孔が設けられた箱状部材と、
鉛直方向と平行をなすように設置された筒状部材と、を備え、
この筒状部材は、前記天板から下方へ突出する長さが前記箱状部材の深さを超えないように前記貫通孔に挿設され、
前記箱状部材は、前記天板の前記貫通孔が設けられていない箇所に縦断面における幅が頂部に向かって漸次減少し凹状に湾曲する側面を有する円錐形状の突起部が下方へ向かって、その高さが前記筒状部材の前記天板から下方へ突出する長さを超えないように形成されたことを特徴とする気体溶解促進補助具。 - 散気装置の上部に設置された状態で使用される気体溶解促進補助具であって、
第1の開口部を下に向けた状態で設置されるとともに第1の天板に第1の貫通孔が設けられた第1の箱状部材と、
鉛直方向と平行をなすように設置された第1の筒状部材と、
第2の開口部を下に向けた状態で設置されるとともに第2の天板に第2の貫通孔が設けられた第2の箱状部材と、
鉛直方向と平行をなすように設置された第2の筒状部材と、を備え、
前記第1の筒状部材は、前記第1の天板から下方へ突出する長さが前記第1の箱状部材の深さを超えないように前記第1の貫通孔に挿設されるとともに、
前記第2の筒状部材は、前記第2の天板から下方へ突出する長さが前記第2の箱状部材の深さを超えないように前記第2の貫通孔に挿設されており、
前記第1の箱状部材は、前記第1の天板の前記第1の貫通孔が設けられていない箇所に縦断面における幅が頂部に向かって漸次減少し凹状に湾曲する側面を有する円錐形状の第1の突起部が下方へ向かって、その高さが前記第1の筒状部材の前記第1の天板から下方へ突出する長さを超えないように形成され、
前記第2の箱状部材は、前記第2の天板の前記第2の貫通孔が設けられていない箇所に縦断面における幅が頂部に向かって漸次減少し凹状に湾曲する側面を有する円錐形状の第2の突起部が下方へ向かって、その高さが前記第2の筒状部材の前記第2の天板から下方へ突出する長さを超えないように形成されるとともに、前記第2の筒状部材の上端開口部が前記第1の箱状部材の前記第1の突起部の先端の直下に配置されるように前記第1の箱状部材の下方に設置されたことを特徴とする気体溶解促進補助具。 - 前記第2の箱状部材の前記第2の筒状部材は、その上端が前記第2の天板の上方へ突出するように前記第2の貫通孔に挿設されたことを特徴とする請求項2に記載の気体溶解促進補助具。
- 前記第2の箱状部材の前記第2の筒状部材は、その上端が前記第1の箱状部材の前記第1の筒状部材の下端よりも下方に配置されるように前記第2の天板の前記第2の貫通孔に挿設されたことを特徴とする請求項3に記載の気体溶解促進補助具。
- 棒状の連結具を備え、
前記第1の箱状部材及び前記第2の箱状部材は、前記連結具の上端及び下端をそれぞれ挿入可能に形成される保持部が対向するように互いの側板にそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の気体溶解促進補助具。 - 前記第2の箱状部材に設置された前記第2の筒状部材は、側面にスリットが設けられるとともに、このスリットの最上部が前記第2の箱状部材に形成された前記第2の突起部の先端よりも下方に配置されるように、前記第2の天板の前記第2の貫通孔に挿設されたことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の気体溶解促進補助具。
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