JP6519406B2 - サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置 - Google Patents

サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6519406B2
JP6519406B2 JP2015164841A JP2015164841A JP6519406B2 JP 6519406 B2 JP6519406 B2 JP 6519406B2 JP 2015164841 A JP2015164841 A JP 2015164841A JP 2015164841 A JP2015164841 A JP 2015164841A JP 6519406 B2 JP6519406 B2 JP 6519406B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
input
output end
output
light
optical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015164841A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017046044A (ja
Inventor
慎 荒平
慎 荒平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oki Electric Industry Co Ltd filed Critical Oki Electric Industry Co Ltd
Priority to JP2015164841A priority Critical patent/JP6519406B2/ja
Publication of JP2017046044A publication Critical patent/JP2017046044A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6519406B2 publication Critical patent/JP6519406B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Description

この発明は、暗号通信システムを実現するための量子鍵配送システムに関し、特に、位相コーディング方式の量子鍵配送システムに利用する量子鍵配送用受信装置、及びこの装置に利用して好適なサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計に関する。
秘匿通信を実現する手段として暗号通信が一般的に利用されている。暗号通信の一種である共通鍵方式においては、情報の暗号化及び復号化に利用する暗号化鍵(共通鍵)を盗聴者などの第三者に知られることなく送信者と受信者のみが共有することが必須である。量子鍵配送システムは、物理法則に則って共通鍵の共有を実現する手段として注目され、将来の高セキュリティ情報通信システムへの応用を目指した研究開発が近年活発化している。
長い距離離れた送受信者間で量子鍵配送システムを実現するには、暗号化鍵の担い手となる量子力学的粒子を長距離にわたって減衰することなく送信することが必要である。このような量子力学的粒子としては光(光子)が最も望ましい。
量子鍵配送システムとして、偏光コーディング方式と位相コーディング方式の量子鍵配送システムが知られている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。偏光コーディング方式では、単一光子のもつ直交する2つの偏光自由度を基底として量子情報を符号化する。位相コーディング方式では、単一光子を時間差のついた2つのパルスに分割して、それらの間の相対位相に量子情報を符号化する。
光ファイバ伝送路では、伝送される光子の偏光状態が保存されない。このため、光ファイバを伝送路に用いる量子鍵配送においては、偏光に鍵情報を載せる偏光コーディング方式ではなく、位相に鍵情報を載せる位相コーディング方式が利用しやすい。そして、位相コーディング方式を実行するための位相変調器としてサニャック干渉計を利用する量子鍵配送システムが複数開示されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
特開2008−160368号公報 特開2014−7521号公報 特開2013−74589号公報 特開2012−49890号公報
Nicolas Gisin, Gregoire Ribordy, Wolfgang Tittel, and Hugo Zbinden "Quantum cryptography" Rev. Mod. Phys. Vol. 74, pp. 145-195 (2002).
位相コーディング方式による量子鍵配送を実現する量子鍵配送システムにおいては、当該システムの受信装置を構成するサニャック干渉計、単一光子検出器等を偏光状態無依存で動作させることが必要不可欠である。
サニャック干渉計の偏光状態依存性は主として、サニャック干渉計の構成部品である半透鏡の分岐動作の偏光状態依存性と、サニャック干渉計を構成する光路の偏光状態依存性によって発現する。
半透鏡の分岐動作の偏光状態依存性は、サニャック干渉計を構成する光路の偏光状態依存性より影響は小さく、偏光状態依存性を実用上問題とされない程度に低減した半透鏡が市販されている。一方、サニャック干渉計を形成する光路中で生じる光位相差の偏光状態依存性は、空間光学系を採用することによって小さくできるが、空間光学系を採用すると干渉計が大型化するという観点と動作の安定性の確保の観点から実用上採用し難い。
空間光学系の代わりに光ファイバやガラス導波路等の導波路光学系を利用すれば、装置をコンパクトに形成できるメリット、あるいは製造コスト上のメリットがある。しかし、導波路伝搬モードの偏光状態依存性が生じない、すなわち複屈折が発現しない導波路を形成するのは、現状の最先端技術を以てしても非常に難しい。このため、サニャック干渉計を右回りに伝搬する光と左回りに伝播する光との間に光位相差が発生する。
また、サニャック干渉計を利用して構成される量子鍵配送用受信装置においては、サニャック干渉計を含む異なる光路を伝搬した2光波間に遅延時間差を発生させる必要がある。必要とされる遅延時間差は、主に、単一光子検出器の動作速度に支配される。InP系半導体アバランシェフォトダイオードを利用した単一光子検出器は、小型堅牢であり、産業化に向けて有望であるが、その動作速度はせいぜい数GHzまでである。すなわち、量子鍵配送用受信装置においては、1 ns程度の長い遅延時間差を設ける必要がある。
長い遅延時間差を発生させるためには、長い光路が必要であり、さらに、量子鍵配送用受信装置を構成する光路の伝搬モードの偏光状態依存性が十分に小さい必要がある。サニャック干渉計を含み、量子鍵配送用受信装置を構成する光路の複屈折が微小であっても、直交する偏光間の光位相差の総量は無視できない大きさとなる。このため、1 ns程度の長い遅延時間差を発生させ、かつ、偏光状態依存性を低減した光路を実現することは現在の最先端の技術を以てしても非常に難しい。
したがってこの発明の目的は、偏光状態無依存のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を提供し、それによって位相コーディング方式の量子鍵配送システムに利用できる量子鍵配送用受信装置を提供することにある。
本願の発明者は、第1及び第2光アームを、それぞれサニャックループを含んで構成し、このサニャックループを偏光状態無依存とすることによって、偏光状態依存性がないサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を形成できることに思い至った。
したがって、この発明の目的は、偏光状態依存性がないサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計と、このサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を組み込んだ量子鍵配送用受信装置を提供することにある。
上述した目的を達成するために、この発明のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、第1光アームと、第2光アームと、第1〜第4入出力端を有する半透鏡と、入力端並びに第1及び第2入出力端を有する光サーキュレータとを備えて構成される。第1光アーム及び第2光アームは偏光回転器を備えるサニャックループを含んでいる。
光サーキュレータの入力端から入力された入力光は、光サーキュレータの第1出力端を経て半透鏡の第1入出力端に入力される。半透鏡の第1入出力端に入力された光は分岐されて、一方が半透鏡の第2入出力端を経て第1光アームに送られ、他方が第3入出力端を経て第2光アームに送られる。第1光アームから半透鏡の第2入出力端を経て入力された光と、第2光アームから半透鏡の第3入出力端を経て入力された光とが合波された第1干渉光は、半透鏡の第4入出力端から出力される。また、第1光アームから半透鏡の第2入出力端を経て入力された光と、第2光アームから半透鏡の第3入出力端を経て入力された光とが合波された第2干渉光は、半透鏡の第1入出力端を経て光サーキュレータの第1入出力端に入力される。光サーキュレータの第1入出力端に入力された第2干渉光は、光サーキュレータの第2入出力端から出力される。
この発明の実施形態に係るサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計では、第1光アームが、第1偏光回転器を備える第1サニャックループを含み、第2光アームが、第2偏光回転器を備える第2サニャックループを含んでいる。以後、このように2つのサニャックループを有するサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を、複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計ということもある。
また、この発明の他の実施形態に係るサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、1つの偏光回転器を備えるサニャックループを共有する第1及び第2光アームと、半透鏡及び光サーキュレータを備えている。以後、1つのサニャックループを有するサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計ということもある。
また、この発明の、アクティブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置は、複ループ又は単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計と、第1単一光子検出器と、第2単一光子検出器と、位相変調器の位相変化をランダムに変調する乱数発生器を備えている。乱数発生器は、位相変調器を制御して位相変調器に0又はπ/2の位相差を発生させる。
そして、第1単一光子検出器は、第1干渉光出力端から出力される光子を検出し、第2単一光子検出器は、第2干渉光出力端から出力される光子を検出する。
また、この発明の、パッシブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置は、複ループ又は単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を2台と、分波器と、第1〜第4単一光子検出器とを備えている。ここで、2台の複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計のうちの、一方を第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計、他方を第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計とする。
分波器の一方の出力端は、第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の入力端に接続され、他方の出力端は、第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の入力端に接続されている。そして、第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の位相変調器は、光位相差が0となるように固定されており、第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の位相変調器は、光位相差がπ/2となるように固定されている。
第1単一光子検出器は、第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第1干渉光出力端から出力される光子を検出する。第2単一光子検出器は、第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第2干渉光出力端から出力される光子を検出する。第3単一光子検出器は、第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第1干渉光出力端から出力される光子を検出する。第4単一光子検出器は、第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第2干渉光出力端から出力される光子を検出する。
複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計によれば、第1光アームを構成している第1サニャックループが第1偏光回転器を備えており、第2光アームを構成している第2サニャックループが第2偏光回転器を備えている。また、単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計によれば、第1及び第2光アームを構成しているサニャックループが偏光回転器を備えている。
以後、単にサニャックループという場合は、複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第1及び第2サニャックループ、及び単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計のサニャックループを区別せずに、何れをも指しているものとする。また、単に偏光回転器という場合は、複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第1及び第2偏光回転器、及び単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の偏光回転器を区別せずに、何れをも指しているものとする。
複ループ及び単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計はいずれも偏光回転器を備えるサニャックループを利用している。偏光回転器によって、サニャックループを構成する光路の複屈折の効果が相殺され、サニャックループを右回りに伝搬する光と左回りに伝播する光との間に生じる位相差に複屈折の効果が表れない。したがって、複ループ及び単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は偏光無依存動作が実現される。
アクティブモジュレーション方式及びパッシブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置は、偏光無依存動作が実現された複ループ又は単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計が利用されて構成されている。そのため、第1光アームと第2光アーム間に1 ns程度の長い遅延時間差を設定することが可能となり、単一光子検出器として、動作速度が数GHz程度であるInP系半導体アバランシェフォトダイオードの利用が可能となる。
従来の位相コーディング方式の量子鍵配送システムにおける受信装置の構成例を示す概略的構成図である。 複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及びこの干渉計を利用したアクティブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置についての説明に供する図である。 サニャックループの説明に供する図である。 単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及びこの干渉計を利用したアクティブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置についての説明に供する図である。 複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を2台利用したパッシブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置の構成についての説明に供する図である。 単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を2台利用したパッシブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置の構成についての説明に供する図である。
以下、図面を参照して、この発明の実施形態につき説明するが、発明を図示例に限定するものではない。各図面間において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。また、以下の説明において、特定の条件等を用いることがあるが、これらの条件等は好適例の一つに過ぎずこの発明はこれらに限定されない。
≪量子鍵配送システム≫
量子暗号技術の一つの手法である量子鍵配送では、量子力学の原理を応用した盗聴を探知可能とする通信チャンネル(量子チャンネルともいわれる)が形成され、このチャンネルを介して量子鍵が送受信される。量子鍵を送受信するための量子鍵配送システムとして、偏光コーディング方式と位相コーディング方式の量子鍵配送システムが知られている。この発明の理解に資するため、まず、この両方式について説明する。
<偏光コーディング方式>
光子の偏光状態を利用した偏光コーディング方式の量子鍵配送システムにおいては、送信者は、光子の偏光状態を変調して、横(H: Horizontal)偏光、縦(V: Vertical)偏光、右斜め45度(D(+))偏光、左斜め45度(D(-))偏光のいずれかをランダムに選んで送信する。D(+)偏光、D(-)偏光の代わりに左右周り円偏光としてもよい。H偏光とV偏光、あるいはD(+)偏光とD(-)偏光のように、互いに共役な組となる直交状態は基底と呼ばれる。送信者が、H偏光あるいはV偏光を選んで送信した場合をH/V送信基底(直線送信基底)、D(+)偏光あるいはD(-)偏光を選んで送信した場合をDiagonal送信基底(対角送信基底)という。
そして、受信者は、送信された光子がH偏光あるいはV偏光のいずれであるかを測定するH/V測定系(直線測定系)か、D(+)偏光あるいはD(-)偏光のいずれであるかを測定するDiagonal測定系(対角測定系)を選択して、到来してきた光子の偏光を測定する。受信者が、H/V測定系を選んで受信した場合をH/V受信基底(直線受信基底)、Diagonal測定系を選んで受信した場合をDiagonal受信基底(対角受信基底)という。
以下、直線送信基底と直線受信基底のいずれも意味する場合は直線基底と記載し、対角送信基底と対角受信基底のいずれも意味する場合は対角基底と記載する。
送信されてきた光子の測定を行う測定系は、偏光ビームスプリッタと波長板で構成される光学系として形成できる。直線基底と対角基底とは非直交である。すなわち、H偏光あるいはV偏光の光子を直線測定系で測定すれば、H偏光であったかV偏光であったかは、100%の確率で知ることができ、確定的な測定結果が得られる。しかし、対角測定系で測定すれば、測定結果はD(+)偏光であるかD(-)偏光であるかのどちらかであるために、到来した光子がH偏光であったかV偏光であったかは、50%の確率でしか知ることができず、確定的な測定結果は得られない。
ここで、受信者が直線受信基底あるいは対角受信基底をランダムに選んで到来してきた光子の偏光測定を行うものとする。仮に送信者が送った光子が直線送信基底であり、受信者が選択した基底が直線受信基底であるとき、あるいは、送信者が送った光子が対角送信基底であり、受信者が選択した基底が対角受信基底であるとき、受信者は送信者が送信した光子の偏光状態を確定的に知ることができる。
一方、送信者が送った光子が直線送信基底であり、受信者が選択した基底が対角受信基底であるとき、あるいは、送信者の送った光子が対角送信基底であり、受信者が選択した基底が直線受信基底であるとき、受信者は送信者が送信した光子の偏光状態を確率的にしか知ることができない。
直線基底あるいは対角基底を利用する仕組みを使って、送受信者間では必要なだけのビット数の測定結果を得た後で互いに選んだ基底を教えあい、基底が一致した場合のビット値のみを使用することで、ランダムな同一ビット列を、送受信者間で互いに通知し合わなくとも共有できる。このビット列を暗号化のための共通鍵として利用するのが量子鍵配送システムである。
盗聴を許さないためには、各ビットに一個以下の光子を用いる必要がある。このため、光子を用いた量子鍵配送システムを実現するためには、単一光子レベルの光子を検出できる単一光子検出器が必要となる。このような単一光子検出器としては、半導体アバランシェフォトダイオードや超伝導体を利用した検出器など、様々な検出器が知られている。
<位相コーディング方式>
上述の偏光コーディング方式の量子鍵配送システムと同様の量子鍵配送システムの仕組みは、位相変調を利用しても実現でき、この方式は位相コーディング方式の量子鍵配送システムと呼ばれている。長距離の光ファイバ伝送路などを伝搬した後の光子の偏光状態は、光ファイバ伝送路の複屈折等のために一般的に不定である。したがって、偏光コーディング方式においては、光ファイバ伝送路において生じる偏光状態の変化を補償するための偏光面コントローラを必要とする。これに対して、位相コーディング方式の量子鍵配送システムは偏光状態を利用しないため、長距離光ファイバ通信網における量子鍵配送のための方式として有望視されている。
位相コーディング方式においては、送信端において非対称マッハ・ツェンダ干渉計に光子を通過させることで、量子鍵配送に用いる光子を発生させる。ここで、非対称マッハ・ツェンダ干渉計では、干渉計を形成する二本の光アームの光路長が異なっている。その結果、非対称マッハ・ツェンダ干渉計から出力される光子の状態は、短い光アームを通過してきた状態と長い光アームを通過してきた状態との重ね合わせ状態となっている。また、長い光アームと短い光アームとの間には{0、π/2、π、3π/2}のいずれかの光位相差がランダムに与えられる。この4種類の光位相差が、偏光コーディング方式における、H偏光、V偏光、D(+)偏光、D(-)偏光に相当する。
位相コーディング方式の量子鍵配送システムの受信者側では、送信者側と同様の構成の非対称マッハ・ツェンダ干渉計に到来した光子を通過させ、その非対称マッハ・ツェンダ干渉計の二つの出力端の両方に単一光子検出器を配置する。そして、長い光アームと短い光アームとの間には、0あるいはπ/2のいずれかの光位相差を与えておいて、それぞれの出力端に配置された単一光子検出器によって光子の検出を行う。これが位相コーディング方式における基底の選択に相当する。
送信者側の非対称マッハ・ツェンダ干渉計で与えた光位相差が{0、π}のいずれかであって、受信者側の非対称マッハ・ツェンダ干渉計で与えた光位相差が0であったなら、送信基底と受信基底が一致したことになり、受信者は確定的な結果を得ることができる。同様に、送信者側の非対称マッハ・ツェンダ干渉計で与えた光位相差が{π/2、3π/2}のいずれかであって、受信者側の非対称マッハ・ツェンダ干渉計で与えた光位相差がπ/2であったならば、送信基底と受信基底とが一致したことになり、受信者は確定的な結果を得ることができる。これらの場合、送受信者双方は暗号化鍵の共有が可能となる。
<量子鍵配送システムにおける従来の受信装置>
図1(A)及び(B)を参照して、従来の位相コーディング方式の量子鍵配送システムにおける受信装置について説明する。図1(A)にアクティブモジュレーション方式の量子鍵配送システムに用いられる量子鍵配送用受信装置を示してある。この量子鍵配送用受信装置は、非対称マッハ・ツェンダ干渉計501、乱数発生器304、第1単一光子検出器305、及び、第2単一光子検出器306を備えている。
図1(A)に示す受信装置では、第1合分波器301及び第2合分波器302を用いて非対称マッハ・ツェンダ干渉計501を構成している。ここでは、第1合分波器301及び第2合分波器302として、半透鏡が用いられている。
第1合分波器301は第1〜第4入出力端301-1〜301-4を有し、第2合分波器302は第1〜第4入出力端302-1〜302-4を有している。第2合分波器302の第1入出力端302-1からの出力は第2単一光子検出器306で受光され、第4入出力端302-4からの出力は第1単一光子検出器305で受光される。
ここで、非対称マッハ・ツェンダ干渉計501の一方の光アームは第1合分波器301の第2入出力端301-2と第2合分波器302の第2入出力端302-2を接続して形成されている。他方の光アームは第1合分波器301の第3入出力端301-3と第2合分波器302の第3入出力端302-3を接続して形成されている。第1合分波器301の第3入出力端301-3と第2合分波器302の第3入出力端302-3とを結ぶ光路である他方の光アームには位相変調器303が挿入されている。
乱数発生器304を用いて位相変調器303での光位相差として0又はπ/2のいずれかをランダムに選択して、光アーム間に0又はπ/2の光位相差を発生させることによって受信基底の選択が行われる。光アーム間の光位相差が0の場合、第1合分波器301の第1入出力端301-1から入力された光は、第2合分波器302の第4入出力端302-4からのみ出力し、第1入出力端302-1からは出力されない。また、光アーム間の光位相差がπの場合、第1合分波器301の第1入出力端301-1から入力された光は、第2合分波器302の第1入出力端302-1からのみ出力し、第4入出力端302-4からは出力されない。また、光アーム間の光位相差がπ/2又は3π/2の場合、第1合分波器301の第1入出力端301-1から入力された光は、第2合分波器302の第1入出力端302-1および第4入出力端302-4から等分に出力される。
上述のアクティブモジュレーション方式に対してパッシブモジュレーション方式も知られている。図1(B)にパッシブモジュレーション方式の量子鍵配送システムに用いられる量子鍵配送用受信装置を示してある。この量子鍵配送用受信装置は、分波器411と、第1及び第2非対称マッハ・ツェンダ干渉計502及び503と、第1〜4単一光子検出器407〜410を備えている。
第1非対称マッハ・ツェンダ干渉計502は、第1合分波器401及び第2合分波器402を用いて構成されている。第1合分波器401は第1〜第4入出力端401-1〜401-4を有し、第2合分波器402は第1〜第4入出力端402-1〜402-4を有している。第2合分波器402の第1入出力端402-1からの出力は単一光子検出器408で受光され、第4入出力端402-4からの出力は単一光子検出器407で受光される。
ここで、第1非対称マッハ・ツェンダ干渉計502の一方の光アームは第1合分波器401の第2入出力端401-2と第2合分波器402の第2入出力端402-2を接続して形成されている。他方の光アームは第1合分波器401の第3入出力端401-3と第2合分波器402の第3入出力端402-3を接続して形成されている。第1合分波器401の第3入出力端401-3と第2合分波器402の第3入出力端402-3を結ぶ光路中には光位相回路403が挿入されている。
また、第2非対称マッハ・ツェンダ干渉計503は、第1非対称マッハ・ツェンダ干渉計502と同様に、第1合分波器404及び第2合分波器405を用いて構成されている。第1合分波器404は第1〜第4入出力端404-1〜404-4を有し、第2合分波器405は第1〜第4入出力端405-1〜405-4を有している。第2合分波器405の第1入出力端405-1からの出力は第4単一光子検出器410で受光され、第4入出力端405-4からの出力は第3単一光子検出器409で受光される。
ここで、第2非対称マッハ・ツェンダ干渉計503の一方の光アームは第1合分波器404の第2入出力端404-2と第2合分波器405の第2入出力端405-2を接続して形成されている。他方の光アームは第1合分波器404の第3入出力端404-3と第2合分波器405の第3入出力端405-3を接続して形成されている。第1合分波器404の第3入出力端404-3と第2合分波器405の第3入出力端405-3とを結ぶ光路中には光位相回路406が挿入されている。
パッシブモジュレーション方式では、分波器411を用いて受信基底がランダムに選択される。
分波器411からの出力光は、それぞれ第1及び第2非対称マッハ・ツェンダ干渉計502、503に入力される。分波器411の入力端411-1に入力された光子は、第1、第2出力端411-2、411-3のいずれか一方からしか出力されないので、光子は第1及び第2非対称マッハ・ツェンダ干渉計502、503のいずれか一方にのみ入力される。このため、どちらの非対称マッハ・ツェンダ干渉計に入力されたか、より正確に言うと第1〜第4単一光子検出器407〜410のうちのどれが光子を検出したかによって、受信基底が選択される。この場合、アクティブモジュレーション方式とは異なり、光アーム間の光位相差は一方の非対称マッハ・ツェンダ干渉計を0で固定、他方の非対称マッハ・ツェンダ干渉計をπ/2で固定すればよい。従って、光位相回路403及び406では、位相を選択する機能は必ずしも必要なく、乱数発生器は不要である。例えば、受信基底の選択は、第1非対称マッハ・ツェンダ干渉計502の光位相回路403で光位相差が0となるように予め設定し、第2非対称マッハ・ツェンダ干渉計503の光位相回路406で光位相差がπ/2となるように予め設定しておくことで実現される。
≪サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計≫
<複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計>
図2を参照して、複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計について説明する。複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、第1光アーム、第2光アーム、半透鏡1及び光サーキュレータ2を備えている。第1光アームは、第1偏光回転器5を備える第1サニャックループ10-1を含んでいる。また、第2光アームは、第2偏光回転器6を備える第2サニャックループ10-2を含んでいる。
半透鏡1は、第1〜第4入出力端1-1〜1-4を有している。第1入出力端1-1に入力された光は、分岐されて、第2入出力端1-2及び第3入出力端1-3から出力される。第2入出力端1-2及び第3入出力端1-3から入力された光は、合波されて、第1入出力端1-1または第4入出力端1-4から出力される。
半透鏡1の物理的な性質により、第1入出力端1-1から入力され、第3入出力端1-3から出力される光の位相は、第2入出力端1-2から出力される光の位相よりもπ/2進んでいる。また、第2入出力端1-2から入力され、第4入出力端1-4から出力される光の位相は、第1入出力端1-1から出力される光の位相よりもπ/2進んでいる。同様に、第3入出力端1-3から入力され、第1入出力端1-1から出力される光の位相は、第4入出力端1-4から出力される光の位相よりもπ/2進んでいる。
光サーキュレータ2は、入力端2-1、第1入出力端2-2及び第2入出力端2-3を有している。入力端2-1から入力された光は、第1入出力端2-2から出力される。また、第1入出力端2-2から入力された光は、第2入出力端2-3から出力される。
第1サニャックループ10-1は、第1偏光ビームスプリッタ3を備えている。第1偏光ビームスプリッタ3は、第1〜第3入出力端3-1〜3-3を有している。第1偏光ビームスプリッタ3の第1入出力端3-1から入力される入力光は、第2入出力端3-2と第3入出力端3-3から出力される。ここで、第2入出力端3-2から出力される出力光と第3入出力端3-3から出力される出力光とは互いの偏光方向が直交している。例えば、第1入出力端3-1にV偏光の光が入力されると、第2入出力端3-2から出力され、第1入出力端3-1にH偏光の光が入力されると、第3入出力端3-3から出力される。逆に、V偏光の光が第2入出力端3-2から入力されると第1入出力端3-1から出力され、H偏光の光が第3入出力端3-3から入力されると第1入出力端3-1から出力される。
第2サニャックループ10-2は、第2偏光ビームスプリッタ4を備えている。第2偏光ビームスプリッタ4は、第1〜第3入出力端4-1〜4-3を有している。第2偏光ビームスプリッタ4の第1入出力端4-1から入力される入力光は、第2入出力端4-2と第3入出力端4-3から出力される。ここで、第2入出力端4-2から出力される出力光と第3入出力端4-3から出力される出力光とは互いの偏光方向が直交している。第2偏光ビームスプリッタ4においても第1偏光ビームスプリッタ3と同様に、第1入出力端4-1にV偏光の光が入力されると、第2入出力端4-2から出力され、第1入出力端4-1にH偏光の光が入力されると、第3入出力端4-3から出力される。逆に、V偏光の光が第2入出力端4-2から入力されると第1入出力端4-1から出力され、H偏光の光が第3入出力端4-3から入力されると第1入出力端4-1から出力される。
第1偏光ビームスプリッタ3及び第2偏光ビームスプリッタ4は、誘電体多層膜フィルタなどを利用して実現でき、市販されている。
第1偏光回転器5、及び第2偏光回転器6は、直線偏光である入力光の偏光方向を90°回転する90°偏光回転器である。すなわち、H偏光の光をV偏光に、V偏光の光をH偏光に変換する。このような動作は、例えば1/2波長板を用いて容易に実現できる。あるいはまた、光学系を偏波保存光ファイバで構成した場合には、対向する偏波保存光ファイバの光学軸を互いに直交させて融着接続することで容易に実現できる。
複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、上述の構成要素を以下のように接続されて構成される。まず、光サーキュレータ2の第1入出力端2-2と半透鏡1の第1入出力端1-1が接続される。
半透鏡1の第2入出力端1-2と第1偏光ビームスプリッタ3の第1入出力端3-1が第1光路L11を介して接続される。また、半透鏡1の第3入出力端1-3と第2偏光ビームスプリッタ4の第1入出力端4-1が第2光路L12を介して接続される。
第1偏光ビームスプリッタ3の第2入出力端3-2と第1偏光回転器5が第3光路L21を介して接続され、第1偏光ビームスプリッタ3の第3入出力端3-3と第1偏光回転器5が第4光路L22を介して接続される。また、第2偏光ビームスプリッタ4の第2入出力端4-2と第2偏光回転器6が第5光路L31を介して接続され、第2偏光ビームスプリッタ4の第3入出力端4-3と第2偏光回転器6が第6光路L32を介して接続される。
そして、第1、第3、第4光路(L11、L21、L22)によって第1光アームが構成され、第2、第5、第6光路(L12、L31、L32)によって第2光アームが構成される。また半透鏡1の第4入出力端1-4が第1干渉光出力端とされ、光サーキュレータ2の第2入出力端2-3が第2干渉光出力端とされている。
以後の説明において、L11、L21、L22、及びL12、L31、L32、並びに後述するX1、X2、X3等は、光路を識別する名称として使用するほか、当該名称が付された光路の光路長を示す意味でも使用する。
複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計をアクティブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置に利用する場合は、第1〜第6光路のいずれか一箇所に、光路で生じる光位相を変化させる位相変調器7を挿入される。位相変調器7は、乱数発生器8により駆動される。
図2では位相変調器7を、第2光アーム(L12+L31+L32+L12)側に挿入しているが、第1光アーム(L11+L21+L22+L11)側に挿入してもよい。また図2では光路L12の中間に配置しているが、これを光路L31や光路L32に配置してもよい。特に光路L31や光路L32では、光は常に一定の偏光状態で位相変調器を通過するので、この場合、一定の偏光(例えばV偏光)に対して動作する位相変調器を利用することが可能である。
半透鏡1の第2入出力端子1-2と第1偏光ビームスプリッタ3の第1入出力端3-1をつなぐ光路、及び半透鏡1の第3入出力端子1-3と第2偏光ビームスプリッタ4をつなぐ光路については、偏波保持系の光路であることがもっとも望ましいが、適宜、偏波コントローラ等を適当な場所に配置した光学系でもよい。
複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、図3に示すサニャックループと呼ばれる閉ループ型光路を含んで構成される。図3を参照して、第1サニャックループ10-1及び第2サニャックループ10-2において、サニャックループを構成する光路の複屈折の効果が相殺され、サニャックループを右回りに伝搬する光と左回りに伝播する光との間に生じる位相差に複屈折の効果が表れない理由を説明する。
偏光ビームスプリッタ101は、上述の第1及び第2偏光ビームスプリッタ3及び4と同様の偏光ビームスプリッタである。また、偏光回転器102は、上述の第1及び第2偏光回転器5及び6と同様の偏光回転器である。
偏光ビームスプリッタ101の第2入出力端101-2と第3入出力端101-3とは偏光回転器102を介して接続される。第2入出力端101-2から偏光回転器102までの光路長をX2、第3入出力端101-3から偏光回転器102までの光路長をX3とする。また、図3に示すサニャックループの入力端から偏光ビームスプリッタ101の第1入出力端101-1までの光路長をX1とする。
偏光ビームスプリッタ101の第1入出力端101-1にV偏光の光が入力される場合、光は、光路X1、第1入出力端101-1、第2入出力端101-2、及び光路X2をこの順にV偏光で通過し、偏光回転器102でH偏光となり、光路X3、第3入出力端101-3、第1入出力端101-1、及び光路X1をこの順にH偏光で通過して出力される。
一方、偏光ビームスプリッタ101の第1入出力端101-1にH偏光が入力される場合、光は光路X1、第1入出力端101-1、第3入出力端101-3及び光路X3をこの順にH偏光で通過し、偏光回転器102でV偏光となり、光路X2、第2入出力端101-2、第1入出力端101-1及び光路X1をこの順にV偏光で通過して出力される。
すなわち、図3に示すサニャックループへの入力光は、入力されたときにH, Vどちらの偏光状態であるかにかかわらず、この閉ループ型光干渉計の同じ光路を同じ偏光状態で通過し元の入力端に戻る(光路X1をH、Vの偏光で一回ずつ互いに逆方向に通過する)。したがってこの閉ループを入出力する光は、入力光の偏光状態にかかわらず常に一定の光位相差が生じる。そして上記の偏光状態無依存動作は、光路X1〜X3のそれぞれの長さに関わらず実現できる。更には光路X1〜X3の複屈折の有無に関わらず常に一定の光位相差が生じる。
図2における光路L11及びL12を、それぞれ図3における光路X1に、光路L21及びL31を光路X2に、光路L22及びL32を光路X3に置き換えて考えれば、半透鏡1の第1入出力端1-1から入力されてそれぞれ第2入出力端1-2、第3入出力端1-3に出力された光は、入力光の偏光状態に無依存な光位相変化を得て、再度それぞれ第2入出力端1-2、第3入出力端1-3に戻ってくることがわかる。そしてこれらの光は半透鏡1において干渉する。すなわち、図2に示す複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、偏光状態無依存で動作することが分かる。
図2に示す複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、光路L11+L21+L22+L11で構成される第1光アームと、光路L12+L31+L32+L12で構成される第2光アームを備える干渉計であり、第1光アームと第2光アームの光路長が異なるように設定すれば、非対称マッハ・ツェンダ干渉計となる。
半透鏡1の第2入出力端1-2及び第3入出力端1-3から入力された光は、合波されて、第4入出力端1-4及び第1入出力端1-1から出力される。ここで、第4入出力端1-4から出力される光を第1干渉光と称する。また、第1入出力端1-1から出力される光を第2干渉光と称する。
第2干渉光は、光サーキュレータ2の第1入出力端2-2に入力されて、第2入出力端2-3から出力される。
この複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計によれば、複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を構成する第1サニャックループ10-1及び第2サニャックループ10-2が偏光状態無依存であるため、第1光アームと第2光アームとの光路長差によって、半透鏡1において、第1光アームを伝搬する光子と第2光アームを伝搬する光子との単一光子間干渉を回避することが可能な遅延時間差を発生させることが保証される。
なお、半透鏡1、第1及び第2偏光ビームスプリッタ3及び4、第1及び第2偏光回転器5及び6、位相変調器7を、空間光学系を使って結合させることもできる。また、光路(L11、L12、L21、L22、L31、L32)として、光ファイバやPLC(Planar Lightwave Circuit)等の光導波路を利用することができる。あるいは、空間光学系と光導波路を併用して、これらの構成要素を結合することもできる。更に、シリコンをサブミクロンオーダのサイズに微細加工して光導波路化した、いわゆるシリコン細線光導波路の技術を用いて、光路を含めて、半透鏡、偏光ビームスプリッタ、偏光回転器、位相変調器のすべてが実現できる。そしてシリコン細線光導波路の技術を用いてシリコン基板上に集積化することで、より小型で低コスト、かつ動作安定な複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を提供することも可能である。
<単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計>
図4を参照して、単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計について説明する。単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、第1光アーム、第2光アーム、半透鏡11及び光サーキュレータ22を備えている。第1及び第2光アームは、1つの、偏光回転器24を備えるサニャックループ20を、共有して含んでいる。
半透鏡21は、第1〜第4入出力端21-1〜21-4を有している。第1入出力端21-1から入力された光は分岐されて、第2入出力端21-2及び第3入出力端21-3から出力される。第4入出力端21-4は、第1及び第2光アームからの出力光が合波された第1干渉光を出力する。半透鏡21の入出力動作は、上述の複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計に用いた半透鏡1と同様であるため、重複する説明を省略する。
光サーキュレータ22は、入力端22-1、第1入出力端22-2及び第2入出力端22-3を有している。入力端22-1から入力された光は、第1入出力端22-2から出力される。また、第1入出力端22-2から入力された光は、第2入出力端22-3から出力される。
サニャックループ20は、偏光回転器24と、偏光ビームスプリッタ23を備えている。偏光ビームスプリッタ23は、第1〜第4入出力端23-1〜23-4を有している。
偏光ビームスプリッタ23の、第1入出力端23-1から入力される入力光は、第2入出力端23-2と第3入出力端23-3から出力される。そして、第2入出力端23-2からの出力光と第3入出力端23-3からの出力光とは、互いに偏光方向が直交している。また、第4入出力端23-4から入力される入力光は、第2入出力端23-2と第3入出力端23-3から出力され、第2入出力端23-2からの出力光と第3入出力端23-3からの出力光とは、互いに偏光方向が直交している。
例えば、偏光ビームスプリッタ23においては、第1入出力端23-1からV偏光の光が入力されると第2入出力端23-2に出力される。また、H偏光の光が第1入出力端23-1から入力されると、第3入出力端23-3に出力される。同様に、V偏光の光が第4入出力端23-4から入力されると第3入出力端23-3に出力され、H偏光の光が第4入出力端23-4から入力されると第2入出力端23-2に出力される。
これらの動作は可逆的であり、例えばV偏光の光が第2入出力端23-2から入力されると第1入出力端23-1に出力され、H偏光の光が第3入出力端23-3から入力されると第1入出力端23-1に出力される。
単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、上述の構成要素を以下のように接続されて構成される。まず、光サーキュレータ22の第1入出力端22-2と半透鏡21の第1入出力端21-1が接続される。
半透鏡21の第2入出力端21-2と偏光ビームスプリッタ23の第1入出力端23-1が第1光路L41を介して接続され、半透鏡21の第3入出力端21-3と偏光ビームスプリッタ23の第4入出力端23-4が第2光路L42を介して接続される。
偏光ビームスプリッタ23の第2入出力端23-2と偏光回転器24が第3光路L43を介して接続され、偏光ビームスプリッタ23の第3入出力端23-3と偏光回転器24が第4光路L44を介して接続される。
そして、第1、第3、第4光路(L41、L43、L44)によって第1光アームが構成され、第2、第3、第4光路(L42、L43、L44)によって第2光アームが構成される。また半透鏡21の第4入出力端21-4が第1干渉光出力端とされ、光サーキュレータ22の第2入出力端22-3が第2干渉光出力端とされている。
図4に示す単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計においては、偏光ビームスプリッタ23、偏光回転器24、光路L43、L44が、サニャックループ20を構成する。したがって、偏光ビームスプリッタ23の第1入出力端23-1から光が入力されると、入力光は再度、第1入出力端23-1に戻ってくる。そしてその間に生じる光位相変化は偏光状態に依存せず一定である。同様に、偏光ビームスプリッタ23の第4入出力端23-4から光が入力されると、入力光は再度、第4入出力端23-4に戻ってくるとともにその間に生じる光位相変化は偏光状態に依存せず一定である。
すなわち、この単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計は、第1、第3、第4光路(L41、L43、L44)で構成される第1光アームと、第2、第3、第4光路(L42、L43、L44)で構成される第2光アームを備えるマッハ・ツェンダ干渉計であり、光路L41、L42の光路長を異なるものとしておけば、非対称マッハ・ツェンダ干渉計とすることができる。そして、その動作は、偏光状態無依存である。
また、単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計のサニャックループ20が偏光状態無依存であるため、第1光アームと第2光アームとの光路長差によって、半透鏡21において、第1光アームを伝搬する光子と第2光アームを伝搬する光子との単一光子間干渉を回避することが可能な遅延時間差を発生させることが可能である。
この単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を量子鍵配送用受信装置に利用する場合第1光アームと第2光アームのいずれかに位相変調器25が挿入される。図4では光路L42の中間に配置しているが、光路L41〜L44のいずれの箇所に位相変調器25に挿入してもよい。そして乱数発生器26の出力に応じて、位相変調器25を用いて両者のアーム間の光位相差が0もしくはπ/2の一方をランダムにとるようにすれば、アクティブモジュレーション方式で動作する位相コーディング方式の量子鍵受信が実現する。
≪量子鍵配送用受信装置≫
<アクティブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置>
図2を参照して、複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を利用したアクティブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置について説明する。この量子鍵配送用受信装置は、複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計と、第1及び第2単一光子検出器11及び12と、位相変調器7と、乱数発生器8とを備えている。
第1単一光子検出器11は、第1干渉光出力端(半透鏡1の第4入出力端1-4)から出力される光子(第1干渉光)を検出する。第2単一光子検出器12は、第2干渉光出力端(光サーキュレータ2の第2入出力端2-3)から出力される光子(第2干渉光)を検出する。
これ以外の構成部分は、上述した複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計と同様であるので、重複する説明を省略する。
位相変調器7と乱数発生器8を用いて、第1光アームと第2光アーム間の光位相差が0あるいはπ/2になるようにランダムに選択して動作させる。この動作は、図1(A)を参照して説明した、従来の位相コーディング方式の量子鍵配送用受信装置と同様である。
図4を参照して、単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を利用したアクティブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置について説明する。この量子鍵配送用受信装置は、単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計と、第1及び第2単一光子検出器31及び32と、位相変調器25と、乱数発生器26とを備えている。
第1単一光子検出器31は、第1干渉光出力端(半透鏡21の第4入出力端21-4)から出力される光子(第1干渉光)を検出する。第2単一光子検出器32は、第2干渉光出力端(光サーキュレータ22の第2入出力端22-3)から出力される光子(第2干渉光)を検出する。
これ以外の構成部分は、上述した単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計と同様であるので、重複する説明を省略する。
位相変調器25と乱数発生器26を用いて、第1光アームと第2光アーム間の光位相差が0あるいはπ/2になるようにランダムに選択して動作させる。この動作は、図1(A)を参照して説明した、従来の位相コーディング方式の量子鍵配送用受信装置と同様である。
<パッシブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置>
図5を参照して、複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計2台と分波器で構成されたパッシブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置について説明する。この量子鍵配送用受信装置については、2台の複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計のうちの、一方が第1複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51であり、他方が第2複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52である。そして、第1及び第2複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計71及び72は、ともに図2に示す複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計である。したがって、両者の構成要素で対応する構成要素間では同一の符号で示してある。
第1複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51には、第1及び第2単一光子検出器41及び42が備えられ、第2複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52には、第3及び第4単一光子検出器43及び44が備えられている。
分波器40の第1出力端40-2は、第1複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51の入力端(光サーキュレータ2の入力端2-1)に接続され、第2出力端40-3は、第2複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52の入力端(光サーキュレータ2の入力端2-1)に接続されている。
第1複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51の位相変調器7は、光位相差が0となるように固定されており、第2複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52の位相変調器7は、光位相差がπ/2となるように固定されている。
第1単一光子検出器41は、第1複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51の第1干渉光出力端1-4から出力される光子を検出する。第2単一光子検出器42は、第1複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51の第2干渉光出力端2-3から出力される光子を検出する。第3単一光子検出器43は、第2複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52の第1干渉光出力端1-4から出力される光子を検出する。第4単一光子検出器44は、第2複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52の第2干渉光出力端2-3から出力される光子を検出する。
図6を参照して、単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計2台と分波器で構成されたパッシブモジュレーション方式の量子鍵配送用受信装置について説明する。この量子鍵配送用受信装置については、2台の単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計のうちの、一方が第1単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計71であり、他方が第2単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計72である。そして、第1及び第2単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計71及び72は、ともに図4に示す単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計である。したがって、両者の構成要素で対応する構成要素間では同一の符号で示してある。
第1単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計71には、第1及び第2単一光子検出器61及び62が備えられ、第2単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計72には、第3及び第4単一光子検出器63及び64が備えられている。
分波器60の第1出力端60-2は、第1単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計71の入力端(光サーキュレータ22の入力端22-1)に接続され、第2出力端60-3は、第2単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計72の入力端(光サーキュレータ22の入力端22-1)に接続されている。
第1単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計71の位相変調器25は、光位相差が0となるように固定されており、第2単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計72の位相変調器25は、光位相差がπ/2となるように固定されている。
第1単一光子検出器61は、第1単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計71の第1干渉光出力端21-4から出力される光子を検出する。第2単一光子検出器62は、第1単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計71の第2干渉光出力端22-3から出力される光子を検出する。第3単一光子検出器63は、第2単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計72の第1干渉光出力端21-4から出力される光子を検出する。第4単一光子検出器64は、第2単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計72の第2干渉光出力端22-3から出力される光子を検出する。
図5に示す量子鍵配送用受信装置では、分波器40を用いて受信基底がランダムに選択され、図6に示す量子鍵配送用受信装置では、分波器60を用いて受信基底がランダムに選択される。
分波器40又は60の第1出力端40-2又は60-2から出力される出力光は、第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51又は71に入力され、分波器40又は60の第2出力端40-3又は60-3から出力される出力光は、第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52又は72に入力される。
分波器40又は60の入力端40-1又は60-1に入力された光子は、第1出力端40-2又は60-2、第2出力端40-3又は60-3のいずれか一方からしか出力されないので、光子は、第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51又は71及び第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52又は72のいずれか一方にのみ入力され、どちらの複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計に入力されたか、より正確に言うと第1〜第4単一光子検出器41〜44又は61〜64のうちのどれが光子を検出したかによって、受信基底が選択される。この場合、アクティブモジュレーション方式とは異なり、第1及び第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計において、第1光アームと第2光アーム間の光位相差は一方の複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計で0に固定、他方の複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計でπ/2に固定すればよく、乱数発生器は不要である。
例えば、受信基底の選択は、第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51又は71の位相変調器7又は25を用いて第1及び第2光アーム間の光位相差が0となるように固定し、第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52又は72の位相変調器7又は25を用いて第1及び第2光アーム間の光位相差がπ/2となるように固定することで実現される。あるいは、これとは逆に第1複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計51又は71の位相変調器7又は25を用いて第1及び第2光アーム間の光位相差がπ/2となるように固定し、第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計52又は72の位相変調器7又は25を用いて第1及び第2光アーム間の光位相差が0となるように固定してもよい。
このように第1及び第2複(単)ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の位相変調器7又は25を用いて第1及び第2光アーム間の光位相差を固定すれば、第1〜第4単一光子検出器のうちのどれが光子を検出したかによって、受信基底が選択される。
すなわち、図5及び図6に示す量子鍵配送用受信装置によって、図1(B)に示す従来の位相コーディング方式の量子鍵配送システムにおける受信装置と同様にパッシブモジュレーション方式による量子鍵配送が実現される。
1、21:半透鏡
2、22:光サーキュレータ
3:第1偏光ビームスプリッタ
4:第2偏光ビームスプリッタ
5:第1偏光回転器
6:第2偏光回転器
7、25:位相変調器
8、26:乱数発生器
10-1:第1サニャックループ
10-2:第2サニャックループ
11、31、41、61:第1単一光子検出器
12、32、42、62:第2単一光子検出器
20:サニャックループ
23、101:偏光ビームスプリッタ
24、102:偏光回転器
40、60:分波器
43、63:第3単一光子検出器
44、64:第4単一光子検出器
51:第1複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計
52:第2複ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計
71:第1単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計
72:第2単ループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計
301、302、401、402、404、405:合分波器
303:位相変調器
304:乱数発生器
305、306、407、408、409、410:単一光子検出器
403、406:光位相回路
411:分波器
411-1:入力端
411-2:第1出力端
411-3:第2出力端
501:非対称マッハ・ツェンダ干渉計
502:第1非対称マッハ・ツェンダ干渉計
503:第2非対称マッハ・ツェンダ干渉計

Claims (11)

  1. 第1光アームと、
    第2光アームと、
    第1〜第4入出力端を有する半透鏡と、
    入力端並びに第1及び第2入出力端を有する光サーキュレータと
    を備え、
    前記第1光アーム及び前記第2光アームは偏光回転器を備えるサニャックループを含み、
    前記光サーキュレータの入力端から入力された入力光は、前記光サーキュレータの第1出力端を経て前記半透鏡の第1入出力端に入力され、
    前記半透鏡の第1入出力端に入力された光は分岐されて、一方が第2入出力端を経て前記第1光アームに送られ、他方が第3入出力端を経て前記第2光アームに送られ、
    前記第1光アームから前記半透鏡の第2入出力端を経て入力された光と、前記第2光アームから前記半透鏡の第3入出力端を経て入力された光とが合波された第1干渉光は、第4入出力端から出力され、
    前記第1光アームから前記半透鏡の第2入出力端を経て入力された光と、前記第2光アームから前記半透鏡の第3入出力端を経て入力された光とが合波された第2干渉光は、前記半透鏡の第1入出力端を経て前記光サーキュレータの第1入出力端に入力され、
    前記光サーキュレータの第1入出力端に入力された第2干渉光は、前記光サーキュレータの第2入出力端から出力される
    ことを特徴とするサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計。
  2. 前記第1光アームは、第1偏光回転器を備える第1サニャックループを含み、
    前記第2光アームは、第2偏光回転器を備える第2サニャックループを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計。
  3. 前記第1サニャックループは、第1〜第3入出力端を備える第1偏光ビームスプリッタを備え、
    当該第1偏光ビームスプリッタの第1入出力端から入力される入力光は、第2入出力端と第3入出力端から出力され、当該第2入出力端から出力される出力光と当該第3入出力端から出力される出力光とは互いの偏光方向が直交しており、
    前記第2サニャックループは、第1〜第3入出力端を備える第2偏光ビームスプリッタを備え、
    当該第2偏光ビームスプリッタの第1入出力端から入力される入力光は、第2入出力端と第3入出力端から出力され、当該第2入出力端から出力される出力光と当該第3入出力端から出力される出力光とは互いの偏光方向が直交しており、
    前記光サーキュレータの第1入出力端と前記半透鏡の第1入出力端が接続され、
    前記半透鏡の第2入出力端と前記第1偏光ビームスプリッタの第1入出力端が第1光路を介して接続され、
    前記半透鏡の第3入出力端と前記第2偏光ビームスプリッタの第1入出力端が第2光路を介して接続され、
    前記第1偏光ビームスプリッタの第2入出力端と前記第1偏光回転器が第3光路を介して接続され、
    前記第1偏光ビームスプリッタの第3入出力端と前記第1偏光回転器が第4光路を介して接続され、
    前記第2偏光ビームスプリッタの第2入出力端と前記第2偏光回転器が第5光路を介して接続され、
    前記第2偏光ビームスプリッタの第3入出力端と前記第2偏光回転器が第6光路を介して接続され、
    前記第1、第3、第4光路によって前記第1光アームを構成し、
    前記第2、第5、第6光路によって前記第2光アームを構成し、
    前記半透鏡の第4入出力端を第1干渉光出力端とし、
    前記光サーキュレータの第2入出力端を第2干渉光出力端とする
    ことを特徴とする請求項2に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計。
  4. 前記第1〜第6光路のいずれか一箇所に、光路で生じる光位相を変化させる位相変調器が挿入されている
    ことを特徴とする請求項3に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計。
  5. 前記第1及び第2光アームが、1つの、偏光回転器を備えるサニャックループを、共有している
    ことを特徴とする請求項1に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計。
  6. 前記サニャックループは、第1〜第4入出力端を備える偏光ビームスプリッタを備え、
    当該偏光ビームスプリッタの第1入出力端から入力される入力光は、第2入出力端と第3入出力端から出力され、当該第2入出力端からの出力光と当該第3入出力端からの出力光とは、互いに偏光方向が直交しており、第4入出力端から入力される入力光は、前記第2入出力端と前記第3入出力端から出力され、当該第2入出力端からの出力光と当該第3入出力端からの出力光とは、互いに偏光方向が直交しており、
    前記光サーキュレータの第入出力端と前記半透鏡の第1入出力端が接続され、
    前記半透鏡の第2入出力端と前記偏光ビームスプリッタの第1入出力端が第1光路を介して接続され、
    前記半透鏡の第3入出力端と前記偏光ビームスプリッタの第4入出力端が第2光路を介して接続され、
    前記偏光ビームスプリッタの第2入出力端と前記偏光回転器が第3光路を介して接続され、
    前記偏光ビームスプリッタの第3入出力端と前記偏光回転器が第4光路を介して接続され、
    前記第1、第3、第4光路によって前記第1光アームを構成し、
    前記第2、第3、第4光路によって前記第2光アームを構成し、
    前記半透鏡の第4入出力端を第1干渉光出力端とし、
    前記光サーキュレータの第2入出力端を第2干渉光出力端とする
    ことを特徴とする請求項5に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計。
  7. 前記第1〜第4光路のいずれかの箇所に、光路で生じる光位相を変化させる位相変調器が挿入されている
    ことを特徴とする請求項6に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計。
  8. 前記半透鏡において、前記第1光アームを伝搬する光子と前記第2光アームを伝搬する光子との単一光子間干渉を回避することが可能な遅延時間差が発生するように、前記第1光アームと前記第2光アームとの光路長差が設定されている
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計。
  9. 請求項4又は7に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計と、
    第1及び第2単一光子検出器と、
    前記位相変調器の位相変化をランダムに変調する乱数発生器を備え、
    前記乱数発生器は、前記位相変調器を制御して当該位相変調器に0又はπ/2の光位相差を発生させ、
    前記第1単一光子検出器は、前記第1干渉光出力端から出力される光子を検出し、
    前記第2単一光子検出器は、前記第2干渉光出力端から出力される光子を検出する
    ことを特徴とする量子鍵配送用受信装置。
  10. 請求項4又は7に記載のサニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計を2台と、
    分波器と、第1〜第4単一光子検出器とを備え、
    2台の前記サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計のうちの、一方を第1サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計、他方を第2サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計とし、
    前記分波器の一方の出力端は、前記第1サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の前記入力端に接続され、他方の出力端は、前記第2サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の前記入力端に接続されており、
    前記第1サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の前記位相変調器は、光位相差が0となるように固定されており、前記第2サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の前記位相変調器は、光位相差がπ/2となるように固定されており、
    前記第1単一光子検出器は、前記第1サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第1干渉光出力端から出力される光子を検出し、
    前記第2単一光子検出器は、前記第1サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第2干渉光出力端から出力される光子を検出し、
    前記第3単一光子検出器は、前記第2サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第1干渉光出力端から出力される光子を検出し、
    前記第4単一光子検出器は、前記第2サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計の第2干渉光出力端から出力される光子を検出する
    ことを特徴とする量子鍵配送用受信装置。
  11. 前記半透鏡において、前記第1光アームを伝搬する光子と前記第2光アームを伝搬する光子との単一光子間干渉を回避することが可能な遅延時間差が発生するように、前記第1光アームと前記第2光アームとの光路長差が設定されている
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載の量子鍵配送用受信装置。
JP2015164841A 2015-08-24 2015-08-24 サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置 Active JP6519406B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015164841A JP6519406B2 (ja) 2015-08-24 2015-08-24 サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015164841A JP6519406B2 (ja) 2015-08-24 2015-08-24 サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017046044A JP2017046044A (ja) 2017-03-02
JP6519406B2 true JP6519406B2 (ja) 2019-05-29

Family

ID=58211822

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015164841A Active JP6519406B2 (ja) 2015-08-24 2015-08-24 サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6519406B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109962771B (zh) * 2017-12-14 2024-03-12 科大国盾量子技术股份有限公司 硅基单片集成量子密钥分发接收方芯片
CN109962770B (zh) * 2017-12-14 2024-03-12 科大国盾量子技术股份有限公司 硅基单片集成量子密钥分发发送方芯片
GB2571521B (en) * 2018-02-22 2021-07-07 Toshiba Kk A transmitter for a quantum communication system, a quantum communication system and a method of generating intensity modulated Photon pulses
CN110224826B (zh) * 2019-07-02 2021-11-09 安徽问天量子科技股份有限公司 片上偏振变化被动补偿干涉仪和量子密钥分配系统
CN111526019A (zh) * 2020-05-26 2020-08-11 中国科学技术大学 两级偏振编码装置、编码方法及量子密钥分发光源
CN114124386B (zh) * 2022-01-26 2022-05-06 杭州慧明量子通信技术有限公司 一种可调延时干涉仪及量子密钥分发系统
CN114499686B (zh) * 2022-01-28 2023-11-28 中国科学技术大学 应用于光芯片的量子密钥分发系统的接收端系统
CN114374441B (zh) * 2022-03-23 2022-06-10 北京中科国光量子科技有限公司 一种免疫信道扰动的量子密钥分发相位解码装置
CN114460692B (zh) * 2022-04-12 2022-07-01 浙江九州量子信息技术股份有限公司 一种偏振无关光路径调节装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7894604B2 (en) * 2004-05-17 2011-02-22 Mitsubishi Electric Corporation Quantum cryptographic communication apparatus
JP5867232B2 (ja) * 2012-03-29 2016-02-24 沖電気工業株式会社 量子もつれ光子対発生装置
JP6402665B2 (ja) * 2015-03-27 2018-10-10 沖電気工業株式会社 複合型マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017046044A (ja) 2017-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6519406B2 (ja) サニャックループ型非対称マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置
US8605288B2 (en) Optical system for creating interference between photons
CN106161011B (zh) 一种基于时间-相位编码的即插即用量子密钥分发系统和方法以及发送端和接收端
US9401766B2 (en) Quantum communication network
JP5041174B2 (ja) 量子暗号装置
JP5146681B2 (ja) 量子暗号伝送システムおよび光回路
US20050100351A1 (en) Quantum communication system and a receiver for a quantum communication system
JP5126479B2 (ja) 量子鍵配布システム及び受信装置
US20050190922A1 (en) Secure use of a single single-photon detector in a QKD system
JP6060737B2 (ja) 量子鍵配送用受信器
US10063323B2 (en) Fiber-based communication
CN101645769A (zh) 一种异地共享真随机数序列的光学系统
Cui et al. Distribution of entangled photon pairs over few-mode fibers
CN114629563B (zh) 偏振复用量子密钥分发装置与全时全通量子密钥分发网络
JP5003142B2 (ja) 偏光コーディング−位相コーディング間変換装置及びこれを用いた量子通信システム
US7254295B2 (en) Optical fiber interferometer with relaxed loop tolerance and QKD system using the same
JP6402665B2 (ja) 複合型マッハ・ツェンダ干渉計及び量子鍵配送用受信装置
JP4935995B2 (ja) 量子暗号装置
Liñares et al. Autocompensating measurement-device-independent quantum cryptography in space division multiplexing optical fibers
Krishnan An overview of quantum wireless communication using quantum cryptography
Weinfurter Principles of quantum cryptography/quantum key distribution (QKD) using attenuated light pulses
Bogdanski et al. Sagnac quantum key distribution over telecom fiber networks
Salih et al. Optical communication with invisible photons
Bogdanski et al. Birefringence compensation in Sagnac and its quantum communication applications
Soh Quantum communication at Sandia.

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180515

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190122

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190311

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190326

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190408

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6519406

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150