JP6518494B2 - 固着ボルト及びその固着方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固着板に予め固着し固着板を通してナットで締め付ける固着ボルト及びその固着方法に関する。
従来、金属材等の固着板を使用した構造の組立てにおいて、固着板に予めボルトを固着し、このボルト(固着ボルト)に固着板を通してナットで締め付ける組立方法が採用されている。
図10に従来の固着ボルト21を示す。固着ボルト21は、頭部22と、ねじ部23と、頭部22とねじ部23との間に形成された円筒部24とを備えている。頭部22は、円錐面形状の座面25と、断面が三角形状であって座面25から突出する複数の凸部26とを有する。
従来の固着ボルト21においては、凸部26の底部27は、固着板29の上面に対して平行に、すなわち固着ボルト21の軸線28に対して直交する平面として形成されている。
図11は、従来の固着ボルト21を固着板29に固着する工程を示す図である。固着板29に円筒部24の径より大きく座面25の最大径より小さい径の固着孔30を形成し、固着孔30に固着ボルト21を挿入する。
そして、図11(a)に示すように、頭部22の上面に当接するプレス上型31と固着孔30の周辺下部に当接するプレス下型32とをセットする。図11(b)に示すように、プレス上型31とプレス下型32とを用いて上下方向にプレスする結果、座面25が固着板29が押し付けられ埋め込まれ、固着孔30の周辺下部が楔状に変形する。図11(c)に示すように、さらに頭部22の上面と固着板29の上面とが面一になるまでプレス上型31とプレス下型32とを用いて上下方向にプレスし、固着ボルト21と固着板29とを固着する。
特開2000−205227号公報 実用新案登録第3171082号公報
図12は、図11(b)または(c)に示す部位を拡大して示す図である。従来の固着ボルト21においては、プレス上型31とプレス下型32とを用いて上下方向にプレスし、固着孔30と円筒部24との間の隙間を固着相手である固着板の材料部材で埋めようとする場合に、塑性変形した固着板の材料部材をこの隙間に十分に移動させることができず空隙部34が残り、固着ボルト21と固着板29とを強く固着することができないという問題があった。
この問題を本願発明者は次のように考えている。すなわち、従来の固着ボルト21においては、前述したように凸部26の底部27は固着板29の上面に対して平行に形成されているために、図12に矢印で示すように、凸部26の水平状の底部27で押し付けられて移動する固着板29の塑性変形する材料部材は底部27に対し左右対称的に分散される傾向を有し、固着孔30と円筒部24との間の隙間に固着板29の塑性変形する材料部材が十分に行き渡らず、この結果、空隙部34が残ると考えられる。
このように、従来の固着ボルト21においては、空隙部34が残るために固着ボルト21と固着板29とを強く固着することができないという問題があった。
そこで、本願発明は従来技術の有する上記課題を解決し、固着ボルトと固着板とが強く固着することが可能な固着ボルト及びその固着方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本願発明に係る固着ボルトは、頭部と、ねじ部と、前記頭部と前記ねじ部との間に形成され前記ねじ部より大径の円筒部とを備える固着ボルトであって、前記頭部は、上面と、円錐面形状の座面と、断面が略三角形状であって前記座面から突出する複数の凸部とを有し、前記凸部の底部には、軸心により近い部位が前記上面により近くなるように傾斜面が形成されていることを特徴とする。
また、前記円筒部の径より大きく前記座面の最大径より小さい径を有する、固着相手である固着板に形成された固着孔に挿入されたときに、前記凸部の外側下端部が前記固着板の板面に接触し前記固着孔の内側上端部が前記座面の接触位置で接触して、前記外側下端部と前記座面の接触位置との二つの部位で前記固着板に接触することを特徴とする。
また、固着相手である固着板に形成された前記円筒部の径より大きく前記座面の最大径より小さい径の固着孔の孔直径をDとし、前記円筒部の直径をD1とし、前記凸部の前記傾斜面と前記座面との交差位置までの直径をD2とするときに、前記Dは前記D1より大きく前記D2より小さいことを特徴とする。
また、前記傾斜面が前記軸線に直交する水平面に対してなす角度αが、5度から25度の範囲にあることを特徴とする。
また、前記傾斜面は平面状に形成されていることを特徴とする。
また、前記傾斜面はかまぼこ状に括られて形成されていることを特徴とする。
また、前記座面の縦の長さをL1とし前記円筒部の縦の長さをL2とするときに、固着相手である固着板の板厚tが小さいほど、L1+L2が小さくなるようにL1+L2の大きさを変えることを特徴とする。
また、前記板厚tが小さいほど、前記上面と前記座面とのなす角度βを小さくすることを特徴とする。
本願発明に係る固着ボルトの固着方法は、固着板に固着ボルトを固着する固着方法であって、前記固着ボルトは、頭部と、ねじ部と、前記頭部と前記ねじ部との間に形成され前記ねじ部より大径の円筒部とを備え、前記頭部は、上面と、円錐面形状の座面と、断面が略三角形状であって前記座面から突出する複数の凸部を有し、前記凸部の底部には、軸心により近い部位が前記上面により近くなる方向に傾斜面が形成されており、前記固着板に前記円筒部の径より大きく前記座面の最大径より小さい径の固着孔を形成し、前記固着ボルトを前記固着孔に挿入した状態で前記頭部の前記上面に当接するプレス上型と前記固着孔の周辺下部に当接するプレス下型とを用いてプレスし、前記周辺下部に楔状の楔状部を形成するとともに前記固着孔と前記円筒部との間の隙間を前記固着板の材料部材で埋めることを特徴とする。
また、前記頭部の前記上面と前記固着板の上面とが面一になるまで前記頭部を前記固着板に圧入することを特徴とする。
本願発明の構成によれば、凸部の底部には、軸心により近い部位が上面により近くなるように傾斜面が形成されているので、凸部が固着板に対してプレスされるときに傾斜面によって塑性変形する固着板の材料部材を軸線の方向へ移動させることができ、固着板の固着孔との間の隙間を固着板の材料部材によって埋め尽くすことが可能になり、固着孔の周辺下部に形成される楔状部と相俟って、固着ボルトと固着板とを強く固着することが可能になる。
また、凸部の外側下端部が固着板の板面に接触し固着孔の内側上端部が座面の接触位置で接触して、外側下端部と座面の接触位置との二つの部位で固着板に接触するので、固着ボルトを固着孔に対して同軸状に容易に位置決めすることが可能になる。
また、孔直径Dは円筒部の直径D1より大きく傾斜面と座面との交差位置までの直径D2より小さいので、固着ボルトを固着板と二つの部位で確実に接触させることができる。
また、座面の縦の長さをL1とし円筒部の縦の長さをL2とするときに、固着相手である固着板の板厚tが小さいほど、L1+L2が小さくなるようにL1+L2の大きさを変えるので、楔状部の縦方向の高さΔを所望の大きさにすることが可能になる。
また、凸部の底部には、軸心により近い部位が前記により近くなる方向に傾斜面が形成されており、固着ボルトを固着孔に挿入した状態で頭部の上面と固着孔の周辺下部とをプレス上型とプレス下型とを用いてプレスし、周辺下部に楔状の楔状部を形成するとともに固着孔と円筒部との間の隙間を固着板の材料部材で埋めるので、固着ボルトと固着板とを強く固着することが可能になる。
本願発明の実施の形態に係る固着ボルトを示す平面図。 固着ボルトの頭部を示す一部断面図(a)と、(a)におけるAの部位を拡大して示す図(b)。 固着ボルトを固着板に固着する工程について説明する図であり、(a)は、プレス上型を頭部の上面に当接し、プレス下型を固着孔の周辺下部に当接してセットした状態を示し、(b)は、(a)で示す状態からプレスし始めた状態を示し、(c)は、(b)で示す状態からさらにプレスした状態を示し、(d)は、(c)で示す状態から頭部2の上面と固着板の上面とが面一になるまでプレスされた状態を示す。 凸部の底部に形成された傾斜面の作用を説明する図。 頭部が固着板の上面と二つの点で接触することを示す図。 固着ボルトの頭部の大きさと固着板の厚さとの関係について説明する図であり、(a)は厚さtが大きい場合を示し、(b)は厚さtが大きい場合を示す。 固着ボルトの具体的な寸法と固着板の厚さの例を示す表。 他の実施の形態に係る固着ボルトを示す斜視図。 凸部の傾斜面が平面状でない例を示す図。 従来の固着ボルトを示す図。 従来の固着ボルトを固着板に固着する工程を示す図。 従来の固着ボルトの場合に、固着孔と円筒部との間の隙間に空隙部が残ることを説明する図。
以下に図面を参照して、本願発明に係る固着ボルトの実施の形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る固着ボルト1を示す。固着ボルト1は、頭部2と、ねじ部3と、頭部2とねじ部3との間に形成されねじ部3より大径の円筒部4とを備えている。頭部2は、上面5と、円錐面形状の座面6と、断面が略三角形状であって座面6から突出する複数の凸部7とを有する。
ここで、固着ボルト1の平面図である図1には5個の凸部7が表示されているが、断面が略三角形状とは、図1の左右端の凸部7に示されるように断面が略三角形状を有することをいい、略三角形状は、凸部7が座面6に接続される辺と、軸線9にほぼ平行な縦方向の辺と、底部の辺とで構成されている。なお、軸線9にほぼ平行な縦方向の辺は厳密に軸線9に平行である必要はない。また、略三角形状とは、ほぼ三角形状であって厳密な三角形の形状に限らないことをいう。
凸部7の底部には、傾斜面8が形成されている。傾斜面8は、図1の左右端の凸部7に示されるように、軸線9により近い部位が頭部2の上面5により近くなる方向に傾斜して形成されている。
図2(a)は固着ボルト1の上部を示す図であり、図2(b)は図2(a)におけるAの部分を拡大して示す図である。図2(a)に示されるように、傾斜面8は軸線9に直交する水平面に対して角度αだけ軸線9に近づく方向に傾斜して平面状に形成されている。角度αは、例えば、5度から25度の範囲にある角度である。ここで、角度αが5度より小さい場合には、後述するようにプレス上型15とプレス下型16とでプレスする場合に、固着板11の塑性変形した材料部材が隙間13がある方向へ移動するように十分には方向ずけることをできない。また、角度αが25度より大きい場合には、凸部7の底部の外側下端部が尖りすぎて強度的に耐えられず変形してしまうおそれがある。
なお、傾斜面8は、平面状に形成されることに限らず、例えば図9に示されるようにかまぼこ状に内方に括られて形成されていてもよい。図9(a)は座面6の周方向に括られて形成された場合を示し、図9(b)は座面6の傾斜方向に括られて形成された場合を示す。傾斜面8をかまぼこ状に内方に括り形成した場合には、後述する説明からも明らかなように、固着ボルト1と固着板11とをプレスすると、固着板11の塑性変形した材料部材が軸線9の方向へ傾斜面8によって押し付け移動させられ、分散移動させることなくより集中的に、固着孔12と円筒部4との間の隙間13に移動することが可能になる。なお、傾斜面8がかまぼこ状に内方に括られて形成されている場合においては、角度αの定義としては傾斜面8の輪郭線を形成される面と水平面とのなす角度とすればよい。
次に、図3を参照して、固着ボルト1を固着板11に固着する工程について説明する。
固着ボルト1の固着相手である固着板11は固着ボルト1を形成する鋼材よりも低い硬度の例えばアルミ材からなり、固着板11には、円筒部4の直径D1より大きく座面6の最大径より小さい直径Dの固着孔12が形成されている。
なお、固着板11はアルミ材に限らず固着ボルト1より低い硬度を有すれば綱板でもよく、例えば、固着ボルト1が熱処理が施されて高い硬度の鋼材からなり固着板11が熱処理が施されず低い硬度の鋼材からなるのでもよい。
凸部7の傾斜面8と座面6との交差位置までの直径をD2とする。図5に示すように、固着孔12の直径Dは、直径D1より大きく直径D2より小さく設定される。
プレス上型15とプレス下型16を用意する。プレス上型15とプレス下型16は固着ボルト1を形成する鋼材よりも高い硬度の材料で構成されている。
図3(a)に示すように、固着孔12に固着ボルト1を挿入し、プレス上型15は頭部2の上面5に当接するようにセットされ、プレス下型16は固着孔12の周辺下部に当接可能にセットされる。固着孔12と円筒部4との間には隙間13が形成されている。
図3(b)は、図3(a)で示す状態からプレス上型15とプレス下型16とでプレスして、頭部2の下部を固着板11の上部に埋め込み、プレス下型16が固着孔12の周辺下部に当接したプレスし始めた状態を示す。
図3(c)は、図3(b)で示す状態からさらにプレス上型15とプレス下型16とでプレスし、頭部2がさらに固着孔12の上部に埋め込まれ隙間13が小さくなるとともに、固着孔12の周辺下部がプレスされて楔状部18が形成されつつある状態を示す。
図3(d)は、図3(c)で示す状態から、頭部2の上面5と固着板11の上面とが面一になるまでプレスされた状態を示し、隙間13が固着板11の材料部材で完全に埋め尽くされ、楔状部18が完成され、凸部7と楔状部18とによって挟まれる固着板11の材料部材によって固着ボルト21と固着板29とが固着されている状態を示す。図3(d)において、最終的に縦方向の高さがΔの楔状部18が形成されている。
以上、図3(a)、(b)、(c)及び(d)に示すように、プレス上型15とプレス下型16とでプレスされることによって、固着孔12の周辺下部に楔状部18が形成されるとともに隙間13が固着板11の塑性変形した材料部材で埋められて、固着ボルト21と固着板29とが固着される。
図4は、図3(c)に対応する図であり、凸部7の底部に形成された傾斜面8の作用を説明する図である。傾斜面8は軸線9により近い部位が頭部2の上面5により近くなる方向に傾斜して形成されているので、矢印で示されるように、凸部7が固着板11に対してプレスされるときに固着板11の材料部材が傾斜面8の作用によって軸線9の方向へ移動するように力を受ける。この結果、図3(d)に示されるように、楔状部18がより完全に形成されるとともに隙間13を固着板11の材料部材によって完全に埋め尽くすことが可能になる。
次に、図5を参照して固着板11の上面と、凸部7及び座面6との接触点について説明する。
前述したように、固着孔12の直径Dは、円筒部4の直径D1より大きく、凸部7の傾斜面8と座面6との交差位置までの直径D2より小さく設定される。固着孔12の直径Dをこのように設定することによって、次のような効果を奏することが可能になる。
すなわち、図5において、固着孔12の内側上端部の座面6との接触位置をP1とし、凸部7の傾斜面8の外側上端部の位置をP2とするときに、固着板11の上面は接触位置P1と位置P2の2箇所において固着ボルト11に接触することになる。この結果、固着ボルト11の軸線9と固着孔12の軸線とを簡易に一致させ、固着ボルト1を固着孔12に対して同軸状に容易に位置決めすることが可能になる。これに対して、図10に示す従来の固着ボルト21においては、凸部27の底部は軸線28の直交する方向に水平に形成されており、凸部27の底部の面と固着板11の上面との面と面とで接触し接触位置を一義的に決めることができず、このために、固着ボルト21を固着孔30に対して同軸状に容易には位置決めすることができなかったのである。この点、本実施の形態によれば、固着ボルト1を固着孔12に対して同軸状に容易に位置決めすることが可能になるのである。
次に、図6を参照して固着ボルト1の頭部2の大きさと固着板11の厚さtとの関係について説明する。
図6において、頭部2の座面6の長さをL1、円筒部4の長さをL2、上面5と座面6とのなす角度をβ、頭部2の上面5の直径をD3、固着板11の厚さをtとする。また、図3(d)に示すように、最終的に形成される楔状部18の縦方向の高さをΔとする。
楔状部18の縦方向の高さΔについては、高さΔ=L1+L2−tとして求められる。高さΔは、固着ボルト1と固着孔12とを固着する場合に要求される固着強度を考慮して概略的に定められる。従って、高さΔを確保するために厚さtが小さい場合には、L1+L2の値を小さくする必要があり、このために、長さL1と長さL2の各々が小さくされる。ここで、厚さtが小さくなることに伴い長さL1を小さくすることを考える。厚さtが小さい場合に、角度βの大きさを変えずに厚さtがより大きい場合と同じにしておくと上面5の直径D3を小さくすることになる。一方、上面5の直径D3の大きさは、好ましくは、厚さtの大きさに依らずほぼ一定の大きさであるほうがよいという観点がある。そこで、本実施の形態では、厚さtが小さくなることに伴い角度βを小さくすることによって、直径D3の大きさが極端に小さくならないようにしている。また、頭部2の座面6の強度を確保するために角度βは、約50度から約40度の範囲で設定される。このために、角度βを小さくすることにも限度があるので、L1+L2の値を小さくするために、角度βを小さくすることに加えて長さL2を小さくすることが行われる。
図7に、ねじサイズが直径6mm(M6)と直径4mm(M4)の二つを例として固着ボルト1の具体例を示す。凸部7の傾斜面8の水平面に対する角度αは10度に設定されている。ここで、図6に示すように、直径D3は頭部2の上面5の直径を示し、直径D4は凸部7の最外側の直径を示す。
楔状部18の縦方向の高さΔは、高さΔ=L1+L2−tにより定まり、M6については0.4mmであり、M4については0.2mmである。また、固着ボルト1を固着孔12に対して同軸状に容易に位置決めすることが可能になるように、固着孔12の直径Dは直径D1より大きく、直径D2より小さいことが認められる。
固着板11の厚さtに対して、t=1.0mmの場合をt=1.2mmとt=2.0mmの場合と比較すると、t=1.0mmの場合に長さL1をより短くするとともに角度βを40度というようにより小さくしてあり、これによって、上面5の直径D3の値は、M6の場合に7.9mmであり、t=1.2mm、t=2.0mmの8.0mmの値を大差がないことが認められ、また、M4の場合にも同様のことが認められる。
また、固着板11の厚さtに対して、t=1.2mmの場合とt=2.0mmの場合とを比較すると、両者で厚さtが異なるにもかかわらず長さL1と角度βを同じ値に設定しているが、厚さtが小さくなるに従ってL1+L2の値を小さくするために、長さL2を異なる値に設定している。
以上、本実施の形態によれば、傾斜面8は軸線9により近い部位が頭部2の上面5により近くなる方向に傾斜して形成されているので、凸部7が固着板11に対してプレスされるときに固着板11の材料部材が傾斜面8によって軸線9の方向へ移動するように力を受け、隙間13を固着板11の材料部材によって十分にあるいは完全に埋め尽くすことが可能になる。隙間13を固着板11の材料部材によって完全に埋め尽くすことが可能になる。この結果、形成された楔状部18と凸部7との間に塑性変形した固着板11の材料部材を挟み保持することになり、固着ボルト1と固着板11とを強く固着することが可能になる。
また、傾斜面8をかまぼこ状に内方に括られて形成することによって、傾斜面8によって固着板11の材料部材が軸線9の方向へより確実に移動するようにすることが可能になる。
また、凸部7の外側下端部P2が固着板11の板面に接触し固着孔12の内側上端部が座面6の接触位置P1で接触して、固着ボルト1は外側下端部)2と座面6の接触位置P1との二つの部位で固着板11に接触するので、固着ボルト1を固着孔12に対して同軸状に容易に位置決めすることが可能になる。
また、固着孔12の直径Dは円筒部4の直径D1より大きく傾斜面8と座面6との交差位置までの直径D2より小さいので、固着ボルト1を固着板11の二つの部位で確実に接触させることができる。
また、固着板11の板厚tの大きさに応じて、座面6の長さL1と円筒部4の長さL2の和であるL1+L2を変えるようにしたので、楔状部18の縦方向の高さΔを所望の大きさにすることが可能になる。
また、固着板11の板厚tの大きさに応じて、座面6の長さL1と円筒部4の長さL2の和であるL1+L2を変えるとともに、上面5と座面6とのなす角度βを変えるようにしたので、ねじサイズを定めたときに、上面5の直径D3の大きさを大きく変えないようにすることができる。
次に、図8を参照して、他の実施の形態について説明する。
図8に示す固着ボルトは、図1に示す固着ボルト1の頭部2の上面5に上面5より大きい径を有する薄円筒状の平頭20が設けられている。プレス上型15は平頭20の上面に当接される。図8に示す平頭付きの固着ボルトは、平頭20の下面20aが固着板11の上面に接触するまで、すなわち頭部2の上面5が固着板11の上面と面一になるまでプレスされて使用される。
本実施の形態によれば、頭部2の上面5に平頭20を設けたので、平頭付きの固着ボルトをナットで締め付けるときに平頭20の裏面が固着板11の板面に当接してナットを引っ張ることができる。平頭付きの固着ボルトは強く締め付ける場合に特に有用である。平頭20が設けられていない場合には、強く締め付ける場合に、座面8が変形してしまう恐れが生じるのである。
1 固着ボルト
2 頭部
3 ねじ部
4 円筒部
5 上面
6 座面
7 凸部
8 傾斜面
9 軸線
11 固着板
12 固着孔
13 隙間
15 プレス上型
16 プレス下型
18 楔状部
20 平頭

Claims (10)

  1. 頭部と、ねじ部と、前記頭部と前記ねじ部との間に形成され前記ねじ部より大径の円筒部とを備える固着ボルトであって、
    前記頭部は、上面と、円錐面形状の座面と、断面が略三角形状であって前記座面から突出する複数の凸部と
    を有し、
    前記凸部の底部には、軸心により近い部位が前記上面により近くなるように傾斜面が形成され、
    前記円筒部の径より大きく前記座面の最大径より小さい径を有する、固着相手である固着板に形成された固着孔に挿入されたときに、前記凸部の外側下端部が前記固着板の板面に接触し前記固着孔の内側上端部が前記座面の接触位置で接触して、前記外側下端部と前記座面の接触位置との二つの部位で前記固着板に接触する
    ことを特徴とする固着ボルト。
  2. 頭部と、ねじ部と、前記頭部と前記ねじ部との間に形成され前記ねじ部より大径の円筒部とを備える固着ボルトであって、
    前記頭部は、上面と、円錐面形状の座面と、断面が略三角形状であって前記座面から突出する複数の凸部と
    を有し、
    前記凸部の底部には、軸心により近い部位が前記上面により近くなるように傾斜面が形成され、
    固着相手である固着板に形成された前記円筒部の径より大きく前記座面の最大径より小さい径の固着孔の孔直径をDとし、前記円筒部の直径をD1とし、前記凸部の前記傾斜面と前記座面との交差位置までの直径をD2とするときに、前記Dは前記D1より大きく前記D2より小さい
    ことを特徴とする固着ボルト。
  3. 頭部と、ねじ部と、前記頭部と前記ねじ部との間に形成され前記ねじ部より大径の円筒部とを備える固着ボルトであって、
    前記頭部は、上面と、円錐面形状の座面と、断面が略三角形状であって前記座面から突出する複数の凸部と
    を有し、
    前記凸部の底部には、軸心により近い部位が前記上面により近くなるように傾斜面が形成され、
    前記座面の縦の長さをL1とし前記円筒部の縦の長さをL2とするときに、固着相手である固着板の板厚tが小さいほど、L1+L2が小さくなるようにL1+L2の大きさを変える
    ことを特徴とする固着ボルト。
  4. 前記板厚tが小さいほど、前記上面と前記座面とのなす角度βを小さくする
    ことを特徴とする請求項3に記載の固着ボルト。
  5. 前記傾斜面が前記軸心に直交する水平面に対してなす角度αが、5度から25度の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固着ボルト。
  6. 前記傾斜面は平面状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固着ボルト。
  7. 前記傾斜面はかまぼこ状に括られて形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の固着ボルト。
  8. 固着板に固着ボルトを固着する固着方法であって、
    前記固着ボルトは、頭部と、ねじ部と、前記頭部と前記ねじ部との間に形成され前記ねじ部より大径の円筒部とを備え、前記頭部は、上面と、円錐面形状の座面と、断面が略三角形状であって前記座面から突出する複数の凸部を有し、前記凸部の底部には、軸心により近い部位が前記上面により近くなる方向に傾斜面が形成されており、
    前記固着ボルトは、前記固着板に形成された前記円筒部の径より大きく前記座面の最大径より小さい径の固着孔に挿入されたときに、前記凸部の外側下端部が前記固着板の板面に接触し前記固着孔の内側上端部が前記座面の接触位置で接触して、前記外側下端部と前記座面の接触位置との二つの部位で前記固着板に接触し、
    前記固着ボルトを前記固着孔に挿入した状態で前記頭部の前記上面に当接するプレス上型と前記固着孔の周辺下部に当接するプレス下型とを用いてプレスし、前記周辺下部に楔状の楔状部を形成するとともに前記固着孔と前記円筒部との間の隙間を前記固着板の材料部材で埋める
    ことを特徴とする固着ボルトの固着方法。
  9. 固着板に固着ボルトを固着する固着方法であって、
    前記固着ボルトは、頭部と、ねじ部と、前記頭部と前記ねじ部との間に形成され前記ねじ部より大径の円筒部とを備え、前記頭部は、上面と、円錐面形状の座面と、断面が略三角形状であって前記座面から突出する複数の凸部を有し、前記凸部の底部には、軸心により近い部位が前記上面により近くなる方向に傾斜面が形成されており、
    前記固着板に形成された前記円筒部の径より大きく前記座面の最大径より小さい径の固着孔の孔直径をDとし、前記円筒部の直径をD1とし、前記凸部の前記傾斜面と前記座面との交差位置までの直径をD2とするときに、前記Dは前記D1より大きく前記D2より小さくなり、
    前記固着ボルトを前記固着孔に挿入した状態で前記頭部の前記上面に当接するプレス上型と前記固着孔の周辺下部に当接するプレス下型とを用いてプレスし、前記周辺下部に楔状の楔状部を形成するとともに前記固着孔と前記円筒部との間の隙間を前記固着板の材料部材で埋める
    ことを特徴とする固着ボルトの固着方法。
  10. 前記頭部の前記上面と前記固着板の上面とが面一になるまで前記頭部を前記固着板に圧入する
    ことを特徴とする請求項8又は9に記載の固着ボルトの固着方法。
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