JP6515453B2 - 吸着式ヒートポンプシステム及び冷熱生成方法 - Google Patents

吸着式ヒートポンプシステム及び冷熱生成方法 Download PDF

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Description

本発明は、吸着式ヒートポンプシステム及び冷熱生成方法に関する。
吸着式ヒートポンプとして、特許文献1には、蒸発器、吸着器および蓄熱反応器を備え、蓄熱反応器は熱を蓄熱すると共に、熱媒の蒸発潜熱以上の熱を吸着器に対し放熱し、再生温度以上の熱を作用させることで吸着器を再生する構成が記載されている。この構成では、蓄熱反応器及び吸着器を用いて、蒸発器からの熱媒の蒸発を行えるため、冷熱の生成効率が高い。
特開2014−40959号公報
上記のように、異なる種類の吸着器(あるいは蓄熱器)を用いたヒートポンプでは、高温側の吸着器(再生温度が高い吸着器)の再生には、高い温度の熱が求められる。
本発明は上記事実を考慮し、複数種の吸着器を用いた吸着式ヒートポンプにおいて、高温側の吸着器の再生温度を低下させることを課題とする。
請求項1に記載の発明では、吸着質を蒸発させる蒸発器と、前記蒸発器で蒸発した前記吸着質を吸着すると共に第一再生温度以上の熱を受けて再生される第一吸着器と、前記蒸発器で蒸発した前記吸着質を吸着すると共に前記第一吸着器から前記第一再生温度より低い第二再生温度以上の吸着熱を受けて再生される第二吸着器と、前記第二吸着器から脱着した蒸気を凝縮させる凝縮器と、前記第一吸着器の再生時に前記凝縮器をバイパスして前記第一吸着器と前記第二吸着器とを連通させることで、前記第一吸着器から前記第二吸着器へ前記吸着質を移動させ前記第二吸着器で前記吸着質を吸着させる連通部材と、を有する。
この吸着式ヒートポンプシステムでは、蒸発器が吸着質を蒸発させることで冷熱が生成される。蒸発された吸着質は、第一吸着器または第二吸着器が吸着する。
第二吸着器は、第一吸着器から第一再生温度より低い第二再生温度以上の吸着熱を受けて再生される。すなわち、第二吸着器の再生に、第一吸着器の吸着熱を利用できる。
第一吸着器は、第一生成温度以上の熱を受けて再生される。第一吸着器の再生時には、連通部材により、第一吸着器と第二吸着器とが凝縮器をバイパスして連通されることで、第一吸着器から第二吸着器へ吸着質が移動され第二吸着器で吸着される。これにより、たとえば、第一吸着器の再生時に第一吸着器を凝縮器と連通する構成と比較して、第一吸着器(高温側の吸着器)の再生時の圧力が低くなり、再生温度も低くなる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記連通部材が、前記蒸発器を経由して前記第一吸着器と前記第二吸着器とを接続する流路部材と、前記流路部材を開閉する蒸気弁と、を有する。
連通部材を構成する流路部材は蒸発器を経由する。すなわち、連通部材として、蒸発器、蒸発器と第一吸着器の間の配管、および、蒸発器と第二吸着器の間の配管を利用するので、第一吸着器と第二吸着器とを接続するあらたな配管が不要である。
しかも、連通部材は蒸気弁を備えている。したがって、たとえば、第一吸着器の吸着時には蒸気弁が開弁されることにより、第一吸着器の吸着質を第二吸着器に送ることができる。
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記吸着質が貯留されるタンクと、前記タンクから前記蒸発器への前記吸着質の供給及び遮断を切り替える切替部材と、を有する。
したがって、タンクから吸着質を蒸発器に供給することが可能である。また、たとえば、第一吸着器の再生時には、切り替え部材により、蒸発器への吸着質の供給を遮断することで、蒸発器内の吸着材を蒸発させ、蒸発器の内部を吸着質の流路として効果的に利用できる。
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記第二吸着器が複数備えられ、前記蒸発器で蒸発した前記吸着質の吸着と、前記第一吸着器からの受熱による再生と、を複数の前記第二吸着器で切り替える。
複数の第二蒸発器で、再生と、第一吸着器で生じた吸着質の吸着と、を切り替える動作を行うことで、複数の第二蒸発器の全体では、冷熱生成を行えない時間を短くすることが可能である。
請求項5に記載の発明では、蒸発器で蒸発された吸着質を吸着する第一吸着器と、前記蒸発器で蒸発された前記吸着質を吸着する第二吸着器と、前記第二吸着器から脱着した蒸気を凝縮させる凝縮器と、を備えた吸着式ヒートポンプシステムを用い、前記第一吸着器と前記第二吸着器とを前記凝縮器をバイパスして連通させ前記第一吸着器の吸着質を蒸発させるための第一再生温度以上の熱を前記第一吸着器に供給して前記第一吸着器を再生し、前記第一吸着器で生じた蒸気を前記第二吸着器に吸着させる第一吸着器再生工程と、前記第一吸着器で前記吸着質を吸着させることにより前記蒸発器で冷熱を生成しつつ、前記第一再生温度より低い第二再生温度以上の吸着熱を前記第一吸着器から前記第二吸着器に供給して前記第二吸着器を再生する第二吸着器再生工程と、を択一的に行う。
この冷熱生成方法では、第一吸着器再生工程において、第一吸着器と第二吸着器とを凝縮器をバイパスして連通させる。そして、第一吸着器の吸着質を蒸発させるための第一再生温度以上の熱を第一吸着器に供給して第一吸着器を再生する。第一吸着器の再生時に第一吸着器で生じた吸着質を第二吸着器に吸着させる。
第二吸着器再生工程においては、第一吸着器で吸着質を吸着させることにより、蒸発器で冷熱を生成する。さらに、第一再生温度より低い第二再生温度以上の吸着熱を第一吸着器から第二吸着器に供給して前記第二吸着器を再生する。
第一吸着器再生工程では、第一吸着器と第二吸着器とを凝縮器をバイパスして連通させるので、たとえば、第一吸着器の再生時に第一吸着器を凝縮器と連通する構成と比較して、第一吸着器(高温側の吸着器)の再生時の圧力が低くなり、再生温度も低くなる。
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、前記第二吸着器が複数備えられ、前記蒸発器から供給された前記吸着質の吸着と、前記第一吸着器からの受熱による再生と、を複数の前記第二吸着器で切り替える。
複数の第二蒸発器で、再生と、第一吸着器で生じた吸着質の吸着と、を切り替えることで、複数の第二蒸発器の全体では、連続的な冷熱生成が可能である。
本発明は上記構成としたので、高温側の吸着器の再生温度を低下させることができる。
本発明の第一実施形態の吸着式ヒートポンプシステムの構成を示す概略図である。 本発明の第一実施形態の吸着式ヒートポンプシステムの運転状態を示す説明図である。 本発明の第一実施形態の吸着式ヒートポンプシステムの運転状態を示す説明図である。 本発明の第一実施形態の吸着式ヒートポンプシステムの運転状態を示す説明図である。 比較例の吸着式ヒートポンプシステムの構成を示す概略図である。 酸化カルシウムの温度と平衡圧力との関係を示すグラフである。 酸化カルシウムの温度と平衡圧力との関係を示すグラフである。 FAM−Z02、Y型ゼオライト及びシリカゲルの吸着等温線を示すグラフである。 本発明の第二実施形態の吸着式ヒートポンプシステムの構成を示す概略図である。
図1には、本発明の第一実施形態の吸着式ヒートポンプシステム(以下では「ヒートポンプ」と略記する)12が示されている。
ヒートポンプ12は、蒸発器14、第一吸着器20、第二吸着器22、凝縮器24及びタンク26を備えている。特に第一実施形態では、第一吸着器20及び第二吸着器22はそれぞれ1台である。
蒸発器14は、熱交換流体が流れる流体管28に沿って配置されている。蒸発器14内には、熱交換流体が矢印F1方向に流れる。そして、蒸発器14の内部で吸着質が蒸発する際の気化熱により、熱交換流体からエネルギー(熱量)を吸収する動作(冷熱生成)を行うことが可能である。ヒートポンプ12の運転中は、熱交換流体の液温は、蒸発器14を通過することで、T5(たとえば30℃)から、T7(T5よりも低い液温、たとえば15℃)に低下する。
タンク26と蒸発器14及び第一吸着器20とは、分岐部30Dで分岐する供給配管30で接続されている。また、供給配管30において、分岐部30Dから蒸発器14までの間には、開閉弁16Aが設けられ、分岐部30Dから第一吸着器20までの間に開閉弁16Bが設けられる。開閉弁16Aの開弁状態では、タンク26内の熱伝達媒体が、蒸発器14に送られる。開閉弁16Bの開弁状態では、タンク26内の熱伝達媒体が、第一吸着器20に送られる。
本実施形態では、熱伝達媒体として水が用いられている。そして、液体の水が、タンク26から、蒸発器14及び第一吸着器20に送られる。第一吸着器20内では、吸着剤が吸着質を吸着する際の反応熱で、熱伝達媒体が気化される(本実施形態では液体の水が水蒸気になる。
第一吸着器20と第二吸着器22とは、蒸気配管32で接続されている。蒸気配管32は蒸気バルブ34により開閉され、開状態では、第一吸着器20から第二吸着器22に気体状の熱伝達媒体が流れる。
第二吸着器22と凝縮器24とは、還流配管36で接続されている。還流配管36は還流バルブ40で開閉され、開状態では、第二吸着器22から凝縮器24に気体状の熱伝達媒体が流れる。第二吸着器22には、図示しないタンクが設けられており、タンクには熱交換媒体が貯留されている。第二吸着器22の吸着熱により、タンクの熱交換媒体が気化して凝縮器24に移動することで、この吸着熱が排出される。
凝縮器24とタンク26とは、戻し配管42で接続されており、凝縮器24で凝縮(液化)された熱伝達媒体をタンク26に戻すことができる。
蒸発器14と第一吸着器20とは、第一配管44で接続されている。第一配管44は、第一バルブ46により開閉され、開状態では、蒸発器14と第一吸着器20との間で、吸着質(第一実施形態では蒸気)の移動が可能である。たとえば、蒸発器14内で生じた蒸気は、第一吸着器20内の吸着剤で吸着される。
蒸発器14と第二吸着器22とは、第二配管48で接続されている。第二配管48は、第二バルブ50により開閉され、開状態では、蒸発器14から第二吸着器22に吸着質(第一実施形態では蒸気)が流れる。第一配管44及び第二配管48は、流路部材の一例である。
第二吸着器22と凝縮器24とは蒸気配管54で接続されている。蒸気配管54は蒸気バルブ58で開閉されるようになっており、開状態では、第二吸着器22の再生時に生じた気体状の吸着質(具体的には蒸気)を凝縮器24に戻すことができる。
本実施形態では、蒸発器14の内部、第一配管44及び第二配管48により、連通部材18が構成されている。連通部材18により、第一吸着器20と第二吸着器22とは、第一配管44、蒸発器14の内部及び第二配管48を介して連通される。そして、第一バルブ46及び第二バルブ50を開弁することで、第一吸着器20の再生時に発生した蒸気を、第一配管44、蒸発器14の内部及び第二配管48を経由して、第二吸着器22に送ることができる。
第一実施形態では、第一吸着器20の吸着容量は、第二吸着器22の吸着容量よりも大きく(たとえば2倍以上、好ましくは10倍以上に)設定されている。
上記したそれぞれのバルブの開閉は、図示しない制御装置で制御される。
第一実施形態では、第一吸着器20と第二吸着器22とは、異なる吸着剤が収容されている。一例として、第一吸着器20の吸着剤はCaO、第二吸着器22の吸着剤はSAPO34を挙げることができる。第一吸着器20は、吸着剤が所定の温度(第一再生温度)以上の熱を受けることで再生される。第二吸着器22は、吸着剤が第一生成温度より高い第二再生温度以上の熱を受けることで再生される。
第一吸着器20には、再生熱源60が設けられる。第一吸着器20の再生において、再生熱源60の熱が第一吸着器20に作用する。再生熱源60としては、このヒートポンプ12が設けられる装置あるいは設備において、廃熱を生じる装置を適用することが可能である。
次に、第一実施形態の作用及び冷熱生成方法を説明する。
本実施形態のヒートポンプ12では、たとえば、第一吸着器20が再生されている状態で冷熱を生成するには、図2に矢印F2で示すように、第一吸着器20に蒸発器14から蒸気を移動させ、第一吸着器20に吸着させる。これにより、蒸発器14で冷熱が生成される。蒸発器14を通過する熱交換流体の温度は、T5(たとえば30℃)からT7(たとえば15℃)に低下する。
第一吸着器20の吸着剤で蒸気を吸着する際に生じた吸着熱(反応熱)により、第一吸着器20では、熱交換媒体としての水(タンク26から送られた水)が気化する。そして、この蒸気が、矢印F3で示すように、第二吸着器22に送られる。第二吸着器22は、この蒸気の熱(たとえば80℃程度)を受けることにより再生される(第二吸着器再生工程が行われる)。すなわち、第一吸着器20による蒸気の吸着と、第二吸着器22の再生とが並行して行われる。
第二吸着器22が再生されている状態で冷熱を生成するには、図3に矢印F4で示すように、第二吸着器22に蒸発器14から蒸気を吸着させる。これにより、蒸発器14で冷熱が生成される。この場合も、蒸発器14を通過する熱交換流体の温度は、T5(たとえば30℃)からT7(たとえば15℃)に低下する。
第一吸着器20を再生する(第一吸着器再生工程を行う)には、開閉弁16Aを閉弁し、蒸発器14内に熱交換媒体(タンク26から送られる水)がない状態とする。そして、たとえば、再生熱源60から熱を第一吸着器20に作用させる。このとき、第一バルブ46及び第二バルブ50を共に開弁しておく。これにより、第一吸着器20と第二吸着器22とが連通部材18で連通される。図4に矢印F5で示すように、第一吸着器20で生じた蒸気を、第二吸着器22に吸着させる。第二吸着器22の吸着熱は、たとえば、第二吸着器22内のタンクの熱交換媒体が気化して凝縮器24に移動することで排出される。
その後、たとえば、再生熱源60の熱で、第一吸着器20の熱交換媒体を気化させて第二吸着器22に送ることで、第二吸着器22を再生する。そして、第二吸着器22では、第一吸着器20から連通部材18を経由して送られた蒸気の吸着と、第一吸着器20からの熱によ再生とを交互に行う。これにより、第一吸着器20の容量が第二吸着器22の容量より大きい場合でも、第二吸着器22を用いた第一吸着器20の再生工程を繰り返し行うことで、第一吸着器20を再生できる。
そして、上記した第一吸着器再生工程と第二吸着器再生工程とが、以降において択一的に行われる。
ここで、比較例として、図5に示すように、第一吸着器20と凝縮器24との間に配管114及び開閉弁116を設けた構造のヒートポンプ112を想定する。比較例のヒートポンプ112において、第一吸着器20の再生時に、第一吸着器20と凝縮器24とを連通し、矢印F6で示すように、第一吸着器20の脱着蒸気を凝縮器24で凝縮する構成では、第一吸着器20の圧力が、凝縮器24の圧力と等しくなる。
これに対し、本実施形態では、第一吸着器20の再生時に、第一吸着器20と第二吸着器22とを連通させるので、第一吸着器20の再生時の圧力が、第二吸着器22の圧力と等しくなる。比較例との比較では、第一吸着器20の再生時の圧力が、凝縮器24の圧力から、第二吸着器22の圧力に下がる。そして、このように第一吸着器20の再生時の圧力が下がると、再生温度も低下する。
次に、一例として、第一吸着器20の吸着剤として酸化カルシウム、第二吸着器22の吸着剤としてSAPO34、熱伝達媒体として水を用いた場合について、具体的に説明する。
図6及び図7には、酸化カルシウムの平衡圧力の温度依存性(温度と平衡圧力の関係)が示されている。図8には、各種の吸着剤の吸着等温線(相対圧と吸着量との関係)が示されている。図8における「FAM−Z02」(三菱樹脂株式会社の商品名)が、SAPO34に該当する
比較例の場合、凝縮器24で冷却する際に使用できる冷却水の温度を30℃とすると、飽和蒸気圧は約4.2kPaであり、図6及び図7から、このときの酸化カルシウムの温度(再生温度)は約360℃である。
第一実施形態の場合、図8から、SAPO34は、相対圧0.1以下であっても吸着する。そこで、相対圧を0.1に設定すると、平衡圧力は、4.2kPa×0.1=0.42kPaとなる。図6及び図7より、平衡圧力が0.42kPaのときの温度は約300℃である。
すなわち、第一実施形態のヒートポンプ12では、比較例のヒートポンプよりも、第一吸着器20の再生時の平衡圧力が、約60℃低い。
なお、図8から分かるように、第二吸着器22の吸着剤としてY型ゼオライトを用いることも可能である。Y型ゼオライトを用いると、SAPO34よりもさらに低い相対圧であっても、吸着量が多い。
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同一の要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
図9に示すように、第二実施形態のヒートポンプ72では、2台の第二吸着器22を有する。以下において、2台の第二吸着器22を区別する場合は、第二吸着器22A及び第二吸着器22Bとする。なお、第二吸着器22は複数台あればよく、3台以上であってもよい。
2台の第二吸着器22のそれぞれは、熱伝達媒体の流路で考えると、第一吸着器20に対しては直列になる(2台の第二吸着器22相互では並列になる)ように、蒸気配管32により第一吸着器20と接続されている。特に、第二実施形態のヒートポンプ72では、2台の第二吸着器22のいずれか一方に選択的に、第一吸着器20から熱伝達媒体を送ることが可能である。
2台の第二吸着器22のそれぞれからは、還流配管36が延出されている。第二吸着器22側のそれぞれの還流配管36は途中の合流部36Jで合流している。合流部36Jで一本化された還流配管36は凝縮器24に接続されている。第二吸着器22のそれぞれと合流部36Jとの間には還流バルブ40が設けられている。特に、第二実施形態のヒートポンプ72では、2台の第二吸着器22のいずれか一方から選択的に、凝縮器24へ熱伝達媒体を送ることが可能である。
また、第二実施形態のヒートポンプ72では、2台の第二吸着器22のいずれか一方へ選択的に、蒸発器14から吸着質を送ることが可能である。第二吸着器22内の吸着剤で、吸着質の蒸気が吸着されるが、第二吸着器22は、再生温度以上の熱を受けると、吸着剤から吸着質が蒸発し、再生される。
第二実施形態のヒートポンプ72では、2台の第二吸着器22で、異なる処理を行うことが可能である。たとえば、一方の第二吸着器22(たとえば第二吸着器22A)で蒸発器14の蒸気を吸着(蒸発器14での冷熱生成)を行いながら、他方の第二吸着器22(たとえば第二吸着器22B)を第一吸着器20の吸着熱で再生することが可能である。2台の第二吸着器22で、このように処理を切り替えることで、第二吸着器22の全体では、蒸発器14からの蒸気の吸着を行えない時間が短くなり、連続的な冷熱生成に近づけることが可能である。
特に、第一吸着器20の吸着容量は、第二吸着器22の吸着容量よりも大きい(たとえば2倍以上、好ましくは10倍以上)。したがって、以上のように、第一吸着器20は連続的にあるいは断続的に吸着質を吸着させながら、2つの第二吸着器22において吸着質の吸着と再生とを行うことが可能である。
上記第一実施形態及び第二実施形態では、第一吸着器20及び第二吸着器22において吸着熱を蓄熱することが可能であり、特に、大きな熱容量を有する第一吸着器20は、蓄熱器としても機能する。
上記したように、第一実施形態及び第二実施形態における第一吸着器20の再生温度は、たとえば比較例の第一吸着器の再生温度よりも低い。このため、第一吸着器20では、蓄熱器として機能する場合の温度範囲(温度の下限)が広くなる。
特に、第一吸着器20を再生するときに、再生熱源60等から作用する熱(廃熱)の温度の下限が下がるほど、第一吸着器20に作用する熱のエネルギー量は増大する。上記各実施形態では、第一吸着器20の再生温度が低いので、第一吸着器20を蓄熱器として効率的に機能させることが可能である。
上記各実施形態では、第一吸着器20の再生時に第一吸着器20の蒸気を第二吸着器22へ移動させる連通部材18は、蒸発器14の内部、第一配管44及び第二配管48を用いている。したがって、第一吸着器20と第二吸着器22とを連通するためのあらたな配管が不要である。
第一配管44及び第二配管48は連通部材18を構成しており、この連通部材18に、第一バルブ46及び第二バルブ50が設けられる。第一吸着器20の再生時には、第一バルブ46及び第二バルブ50を開弁することで、第一吸着器20の蒸気を第二吸着器22へ移動させることが可能である。
また、タンク26と蒸発器14とは供給配管30で接続され、供給配管30の分岐部30Dと蒸発器14の間には開閉弁16Aが設けられる。開閉弁16Aを閉弁すれば、タンク26から蒸発器14への熱伝達媒体の移動を阻止できる。これにより、蒸発器14内に熱伝達媒体がない状態を容易に実現できで、蒸発器14を連通部材18の一部として用いることが可能である。
本発明において、上記説明から分かるように、第一吸着器20の再生には、たとえば外部から作用する廃熱を用いることが可能である。このため、ヒートポンプとしては、第一吸着器20の再生のための熱源は不要である。もちろん、本発明のヒートポンプが、このような熱源を備えていてもよい。
12 ヒートポンプ
14 蒸発器
16A、16B 開閉弁
18 連通部材
20 第一吸着器
22 第二吸着器
22A 第二吸着器
22B 第二吸着器
24 凝縮器
26 タンク
28 流体管
30 供給配管
32 蒸気配管
34 蒸気バルブ
36 還流配管
38 合流部
40 還流バルブ
42 戻し配管
44 第一配管
46 第一バルブ
48 第二配管
50 第二バルブ
54 蒸気配管
58 蒸気バルブ
60 再生熱源
72 ヒートポンプ

Claims (6)

  1. 吸着質を蒸発させる蒸発器と、
    前記蒸発器で蒸発した前記吸着質を吸着すると共に第一再生温度以上の熱を受けて再生される第一吸着器と、
    前記蒸発器で蒸発した前記吸着質を吸着すると共に前記第一吸着器から前記第一再生温度より低い第二再生温度以上の吸着熱を受けて再生される第二吸着器と、
    前記第二吸着器から脱着した蒸気を凝縮させる凝縮器と、
    前記第一吸着器の再生時に前記凝縮器をバイパスして前記第一吸着器と前記第二吸着器とを連通させることで、前記第一吸着器から前記第二吸着器へ前記吸着質を移動させ前記第二吸着器で前記吸着質を吸着させる連通部材と、
    を有する吸着式ヒートポンプシステム。
  2. 前記連通部材が、
    前記蒸発器を経由して前記第一吸着器と前記第二吸着器とを接続する流路部材と、
    前記流路部材を開閉する蒸気弁と、
    を有する請求項1に記載の吸着式ヒートポンプシステム。
  3. 前記吸着質が貯留されるタンクと、
    前記タンクから前記蒸発器への前記吸着質の供給及び遮断を切り替える切替部材と、
    を有する請求項2に記載の吸着式ヒートポンプシステム。
  4. 前記第二吸着器が複数備えられ、前記蒸発器で蒸発した前記吸着質の吸着と、前記第一吸着器からの受熱による再生と、を複数の前記第二吸着器で切り替える請求項3に記載の吸着式ヒートポンプシステム。
  5. 蒸発器で蒸発された吸着質を吸着する第一吸着器と、前記蒸発器で蒸発された前記吸着質を吸着する第二吸着器と、前記第二吸着器から脱着した蒸気を凝縮させる凝縮器と、を備えた吸着式ヒートポンプシステムを用い、
    前記第一吸着器と前記第二吸着器とを前記凝縮器をバイパスして連通させ前記第一吸着器の吸着質を蒸発させるための第一再生温度以上の熱を前記第一吸着器に供給して前記第一吸着器を再生し、前記第一吸着器で生じた蒸気を前記第二吸着器に吸着させる第一吸着器再生工程と、
    前記第一吸着器で前記吸着質を吸着させることにより前記蒸発器で冷熱を生成しつつ、前記第一再生温度より低い第二再生温度以上の吸着熱を前記第一吸着器から前記第二吸着器に供給して前記第二吸着器を再生する第二吸着器再生工程と、
    を択一的に行う冷熱生成方法。
  6. 前記第二吸着器が複数備えられ、前記蒸発器から供給された前記吸着質の吸着と、前記第一吸着器からの受熱による再生と、を複数の前記第二吸着器で切り替える請求項5に記載の冷熱生成方法。
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