JP6514491B2 - セラミック基複合材タービンバケットを製造するプロセス、セラミック基複合材タービンバケット用の挿入物、およびセラミック基複合材タービンバケット - Google Patents

Description

本発明は、セラミック基複合材材料、セラミック基複合材物品を製造するためのプロセス、およびセラミック基複合材物品の製造を容易にするための挿入物（ｉｎｓｅｒｔｓ）、より具体的には、セラミック基複合材タービンバケットを製造するプロセス、セラミック基複合材タービンバケット用の挿入物、およびダブテール空洞内に挿入物を受けるために配列されかつ配置されたセラミック基複合材タービンバケットを対象とする。

大きなセラミック基複合材タービンブレード／バケットは、製造することが難しい。焼き締めに起因して、製造されたルートシャンクは、幾何学的形状の複雑さのために必要以上の変化を示すことがある。このような制限は、大きなブレード／バケットを製造するためにある種の技術を使用することを妨げる。加えて、このような制限は、プライ積層作業時間を増加させることがあり、これによって製造コストを増加させる。多数のプライの使用はまた、より大きな重量、複雑なプライスライシングおよび／またはパターンに関する必要性、ならびに他の欠点を結果として生じることがある。

加えて、ブレード／バケットの製造は、ルートシャンクの内側部分の検査および／またはモニタリングの妨げとなる。このような制限は、ルートシャンク内部の深い部分への溶融含浸の妥当性の簡単な確認の妨げとなりおよび／またはこのような溶融含浸の均一性の判断の妨げとなる。

このような問題を改善するために、溶融含浸プロセスは、修正されてきている。

上記の欠点のうちの１つまたは複数から悪影響を受けないセラミック基複合材タービンバケットを製造するプロセス、セラミック基複合材タービンバケット用の挿入物、およびダブテール空洞内に挿入物を受けるために配列されかつ配置されたセラミック基複合材タービンバケットが、本技術において望まれるはずである。

米国特許出願公開第２０１２／０２６６６０３号公報

一実施形態では、セラミック基複合材タービンバケットを製造するプロセスは、ダブテール空洞を有するバケットプリフォームを用意するステップであって、ダブテール空洞がバケットプリフォームのダブテールシャンク内部に囲まれる、用意するステップと、ダブテール空洞内部に挿入物を設置するステップと、次に、炉内でセラミック基複合材タービンバケットを形成するステップとを含む。

別の一実施形態では、セラミック基複合材タービンバケット用の挿入物は、セラミック基複合材タービンバケット、バケットプリフォーム、または両者のダブテール空洞内部にぴったりと合うように構成された幾何学的形状を含む。挿入物は、発泡材料または複数のセラミック基複合材プライである。

別の一実施形態では、セラミック基複合材タービンバケットは、ダブテールシャンクと、ダブテールシャンク内部に囲まれたダブテール空洞とを含む。ダブテール空洞は、挿入物を受けるために配列されかつ配置される。

本発明の他の特徴および長所は、例として本発明の原理を図説する添付した図面とともに考慮すると、好ましい実施形態の下記のより詳細な説明から明白であろう。

本開示による、挿入物の実施形態を有するセラミック基複合材タービンバケットの実施形態を製造するプロセスの実施形態の模式的な流れ図である。 本開示による、セラミック基複合材タービンバケット用の挿入物の実施形態の図である。 本開示による、セラミック基複合材タービンバケット用の挿入物の実施形態の図である。 本開示による、セラミック基複合材タービンバケット用の挿入物の実施形態の図である。 本開示による、セラミック基複合材タービンバケット用のバケットプリフォームの実施形態の破断斜視図である。 本開示による、セラミック基複合材タービンバケット用のバケットプリフォームの実施形態の破断斜視図である。

可能な場合にはどこでも、同じ部品を表すために図面全体を通して、同じ参照番号を使用するであろう。

提供したものは、セラミック基複合材タービンバケットを製造するプロセス、セラミック基複合材タービンバケット用の挿入物、およびダブテール空洞内に挿入物を受けるために配列されかつ配置されたセラミック基複合材タービンバケットである。本開示の実施形態は、本明細書において開示する特徴のうちの１つまたは複数を開示し損なった概念と比較して、セラミック基複合材タービンバケットのダブテールシャンクの均一な厚さまたは実質的に均一な厚さを形成することを可能にし、モニタすべきおよび／または検査すべきダブテール空洞内部の部分（挿入物）を事前製造することを可能にし、大きな構成部品を製造することを可能にし、材料コストおよびプライ積層作業時間を削減し、厚い部分、同様なルートシャンク、またはこれらの組合せを製造することを簡素化する。

図１は、バケットプリフォーム１０３からセラミック基複合材タービンバケット１１５を製造するプロセス１００を描く。「バケット」という用語は、「ブレード」という用語と同義語であると考えるべきである。プロセス１００は、ダブテール空洞１０１を有するバケットプリフォーム１０３を用意するステップを含み、ダブテール空洞１０１は、バケットプリフォーム１０３のダブテールシャンク１０５内部に囲まれる。プロセス１００は、ダブテール空洞１０１内部に挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）と、炉１０９内にバケットプリフォーム１０３を設置するステップ（ステップ１０４）とを含む。

プロセス１００は、バケットプリフォーム１０３内に挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）および／または炉１０９内にバケットプリフォーム１０３を設置するステップ（ステップ１０４）の前または後に任意の適切な追加ステップを含む。プロセス１００は、炉１０９内部でバケットプリフォーム１０３からセラミック基複合材タービンバケット１１５を形成するステップ（ステップ１１０）を含む。形成するステップ（ステップ１１０）は、加熱するステップ、緻密化するステップ、溶融含浸、他の適切な形成技術、またはこれらの組合せを含む。

一実施形態では、形成するステップ（ステップ１１０）は、挿入物１０７が炉１０９内部に設置されている間に、例えば、炉１０９内部でバケットプリフォーム１０３を緻密化するステップを含む。緻密化するステップおよび／または加熱するステップを、単一サイクルで実行する、または複数のサイクルで実行し、異なる部分を各サイクルにおいて硬化させるもしくはある部分を初期のサイクルで部分的に硬化させることを伴う。一実施形態では、バケットプリフォーム１０３を加熱するステップおよび／または緻密化するステップは、バケットプリフォーム１０３内部から蒸発した材料１１１をアウトガスさせる。蒸発した材料１１１を、挿入物１０７によって吸収するおよび／またはダブテール空洞１０１を介して排出する。

一実施形態では、プロセス１００は、セラミック基複合材タービンバケット１１５を形成するステップ（ステップ１１０）の後で挿入物１０７を除去するステップ（ステップ１０６）を含む。さらなる実施形態では、プロセス１００は、挿入物１０７を除去するステップ（ステップ１０６）の後でダブテール空洞１０１内部に挿入物１０７とは異なる材料１１３を設置するステップ（ステップ１０８）を含む。あるいは、一実施形態では、プロセス１００は、挿入物１０７を除去するステップ（ステップ１０６）の後でダブテール空洞１０１内に空気が残ることを可能にするステップを含む。

挿入物１０７は、形成するステップ（ステップ１１０）に対して任意の適切な幾何学的形状である。図２を参照すると、一実施形態では、挿入物１０７は、直方体の領域２０１、および三角柱などの、ダブテール空洞１０１中へと延びることができる先端２０５を形成する角のある領域２０３を含み、例えば、平面である各側面を有する７つの側面の幾何学的形状を形成する。図３を参照すると、別の一実施形態では、挿入物１０７は、例えば、凹領域３０３および凸領域３０５を有する傾斜した領域３０１を含む。図４を参照すると、別の一実施形態では、挿入物１０７は、例えば、先端２０５のまったくない直方柱である。挿入物１０７の他の適した形体は、限定しないが、直方体である、長斜方形である、平面であるまたは平面部分を有する、非平面であるまたは非平面部分を有する、複雑な幾何学的形状（一般的な幾何学的用語によっては規定されない幾何学的形状）を有する、直角の角を有する、直角でない角を有する、またはこれらの組合せを含む。一実施形態では、挿入物１０７の１つまたは複数の表面は、ダブテール空洞１０１の幾何学的形状および／またはダブテールシャンク１０５の幾何学的形状などの、バケットプリフォーム１０３の１つまたは複数の形体に対応する／似ている。

所望の幾何学的形状を実現することができる任意の適切な技術によって、挿入物１０７を製造する。一実施形態では、挿入物１０７を、複数のプライ３０７を積み上げることによって製造する（図３参照）。加えてまたは代わりに、一実施形態では、挿入物１０７を、鋳造法、鋳物、発泡法、機械加工法、レーザ印刷法、光造形法、またはこれらの組合せによって製造する。一実施形態では、挿入物１０７を、洗浄および／または再表面処理などの中間処理を用いてまたは用いずに再使用することが可能な材料で製造する。あるいは、挿入物１０７は、ダブテール空洞１０１と一体物になるおよび／またはプロセス１００中に破壊される。

挿入物１０７は、バケットプリフォーム１０３と適合性のある任意の適切な材料を含む。一実施形態では、挿入物１０７は、発泡材料、セラミック発泡材料、セラミック基複合材発泡材料、アルミナ、シリカ、ホウ素カービン、炭化シリコン、チタニアを含有する発泡材、またはこれらの組合せなどの多孔質物質を含む。気孔率は、体積で、０％よりも大きい、５％よりも大きい、１０％よりも大きい、２０％よりも大きい、４０％よりも大きい、０％と５％との間、５％と１０％との間、２０％と４０％との間、または任意の適切な組合せ、部分組合せ、範囲、もしくはその中の部分範囲などの、任意の適切な気孔率である。

一実施形態では、ダブテール空洞１０１内部に挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）に先立って、挿入物１０７を製造する。代替実施形態では、ダブテール空洞１０１は、挿入物１０７用の材料を受けるための型枠を形成する。挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）は、ダブテール空洞１０１内部に挿入物１０７を形成するためにダブテール空洞１０１に挿入物１０７用の材料を供給するステップを含む。挿入物１０７用の材料を供給するステップは、限定しないが、充填すること、注ぐこと、スプレイすること、またはこれらの組合せを含む。例えば、多孔質物質を含む挿入物１０７用の材料を用いる実施形態では、挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）は、セラミック基複合材発泡材料でダブテール空洞１０１を充填するためにダブテール空洞１０１中へとセラミック基複合材発泡材料をスプレイすることを含む。ダブテール空洞１０１に挿入物１０７用の材料を供給するステップの後で、ダブテール空洞１０１内部に挿入物１０７を形成するために、材料を固定する。

セラミック基複合材１１５を形成するステップ（ステップ１１０）に先立って挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）は、プロセス１００中に利点を提供する。例えば、挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）の後で硬化される挿入物１０７を用いる実施形態では、加熱するステップおよび／または緻密化は、ダブテールシャンク１０５内にセラミック基複合材タービンバケット１１５の均一な厚さまたは実質的に均一な厚さを形成することを可能にする。挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）の前に硬化される挿入物１０７を用いる実施形態では、挿入物１０７が、挿入物１０７の事前製造を近くでモニタすることを可能にする。加熱するステップおよび／または緻密化の後で破壊されるおよび／または除去される挿入物１０７を用いる実施形態では、ダブテール空洞１０１を画定する材料を、検査することができる。一実施形態では、挿入物１０７を設置するステップ（ステップ１０２）は、挿入物１０７を使用しない他の技術を介しては溶融含浸を受けるはずがないダブテールシャンク１０５の領域への溶融含浸を可能にし、これによって、このようなプロセスが大きな構成部品の製造に対して使用されることを可能にする。

図５を参照すると、一実施形態では、バケットプリフォーム１０３のダブテール空洞１０１は、実質的にもしくは完全にダブテールシャンク１０５内部にあるおよび／またはバケットプリフォーム１０３の吸引側５０３と加圧側５０５との間のバケット空洞５０１から分離される。あるいは、一実施形態では、バケットプリフォーム１０３は、吸引側５０３と加圧側５０５との間で堅固である。

図６を参照すると、一実施形態では、バケットプリフォーム１０３のダブテール空洞１０１は、示したように、ダブテール空洞１０１内部に設置した挿入物１０７または任意の他の適切な材料を囲むように調節されたダブテールシャンク１０５の一部６０１によって囲まれることが可能である。

本発明を、好ましい実施形態を参照して説明してきているが、様々な変更を行うことができ、本発明の範囲から逸脱せずに、等価物を本発明の要素の代わりに用いることができることを、当業者なら理解するであろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに本発明の教示に対して、特定の情況または材料に適合するように数多くの修正を行うことができる。これゆえ、本発明は、本発明を実行するために想定される最良の形態として開示した特定の実施形態に限定されないばかりでなく、本発明は、別記の特許請求の範囲の範囲内になるすべての実施形態を含むものとする。

１００ プロセス
１０１ ダブテール空洞
１０２ 挿入物を設置するステップ
１０３ バケットプリフォーム
１０４ バケットプリフォームを設置するステップ
１０５ ダブテールシャンク
１０６ 挿入物を除去するステップ
１０７ 挿入物
１０８ 挿入物とは異なる材料を設置するステップ
１０９ 炉
１１０ セラミック基複合材タービンバケットを形成するステップ
１１１ 蒸発した材料
１１３ 材料
１１５ セラミック基複合材タービンバケット
２０１ 直方体の領域
２０３ 角のある領域
２０５ 先端
３０１ 傾斜した領域
３０３ 凹領域
３０５ 凸領域
３０７ プライ
５０１ バケット空洞
５０３ 吸引側
５０５ 加圧側
６０１ ダブテールシャンクの一部

Claims (13)

1. セラミック基複合材タービンバケットを製造するプロセスであって、
   ダブテール空洞を有するバケットプリフォームを用意するステップであり、前記ダブテール空洞が前記バケットプリフォームのダブテールシャンク内部に囲まれる、用意するステップと、
   前記ダブテール空洞内部に挿入物を設置するステップと、次に、
   炉内で前記セラミック基複合材タービンバケットを形成するステップと
   を含み、
   前記ダブテール空洞内部に前記挿入物を設置するステップが、前記ダブテール空洞に前記挿入物用の材料を供給するステップと、次に、前記ダブテール空洞内部に前記挿入物を形成するために前記材料を固定するステップとをさらに含む、プロセス。
2. セラミック基複合材タービンバケットを製造するプロセスであって、
   ダブテール空洞を有するバケットプリフォームを用意するステップであり、前記ダブテール空洞が前記バケットプリフォームのダブテールシャンク内部に囲まれる、用意するステップと、
   セラミック基複合材プライを積み上げ、挿入物を形成するステップと、
   前記ダブテール空洞内部に前記挿入物を設置するステップと、次に、
   炉内で前記セラミック基複合材タービンバケットを形成するステップと、
   を含む、プロセス。
3. 前記ダブテール空洞内部に前記挿入物を設置するステップに先立って前記挿入物を製造するステップをさらに含む、請求項２に記載のプロセス。
4. 前記形成するステップの後で前記挿入物を除去するステップをさらに含む、請求項１乃至３のいずれかに記載のプロセス。
5. 前記挿入物を前記除去するステップの後で、前記ダブテール空洞内に空気が残ることを可能にするステップ、前記ダブテール空洞を通して空気を移動させるステップ、または両者をさらに含む、請求項４記載のプロセス。
6. 前記挿入物が、再使用した挿入物である、請求項１乃至５のいずれかに記載のプロセス。
7. 前記挿入物を破壊するステップを含む、請求項１乃至５のいずれかに記載のプロセス。
8. 前記挿入物から前記ダブテールシャンクへ溶融含浸を引き出すステップを含み、前記設置するステップが、前記挿入物を使用しない他の技術を介しては前記溶融含浸を受けるはずがない前記ダブテールシャンクの領域への溶融含浸を可能にする、請求項１乃至５のいずれかに記載のプロセス。
9. 前記挿入物が、前記ダブテール空洞内へと延びる先端を有する、請求項１乃至８のいずれかに記載のプロセス。
10. 前記挿入物が、直方体幾何学的形状および前記セラミック基複合材タービンバケットのダブテールシャンクに少なくとも部分的に対応する傾斜した幾何学的形状からなる群から選択される幾何学的形状を含む、請求項１乃至８のいずれかに記載のプロセス。
11. 前記セラミック基複合材タービンバケットが、ブレード空洞をさらに含み、前記ブレード空洞が、前記ダブテール空洞から分離される、請求項１乃至１０のいずれかに記載のプロセス。
12. 前記挿入物が、発泡材料を含む、請求項１乃至１１のいずれかに記載のプロセス。
13. 前記発泡材料が、体積で、０％よりも大きい気孔率を含む、請求項１２に記載のプロセス。