JP6514039B2 - 樹脂組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材 - Google Patents
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Description
本発明の樹脂組成物は、チタン酸塩化合物と、酸化物と、未加硫ゴムと、熱硬化性樹脂とを含有する摩擦材用樹脂組成物であって、前記酸化物が炭素よりも酸化物標準生成自由エネルギーが大きい元素の酸化物であることを特徴とする。本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、その他材料をさらに含有することができる。
チタン酸塩化合物は、摩擦材の摩擦調整材として用いられる公知のチタン酸塩化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
本発明で用いる酸化物は、炭素よりも酸化物標準生成自由エネルギーが大きい元素の酸化物である。上記酸化物は、樹脂組成物を摩擦材として用いたとき、摩擦界面において、摩擦時に生じる温度でゴムの不飽和構造に対し酸化剤として作用し、摩擦界面での未加硫ゴム由来の潤滑性被膜の形成を抑制するものと考えられる。そのため、炭素と酸化物標準生成自由エネルギーを比較することで、本発明で用いることができる酸化物を選択することができる。また、上記酸化物以外の公知の酸化剤は、摩擦時以外においても酸化剤として作用し、樹脂組成物が劣化するおそれがあるため好ましくない。
本発明で用いる未加硫ゴムとしては、室温(20℃)で固体形状を有するものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)等が挙げられ、これらの1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも高不飽和ゴムであるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)が好ましい。
熱硬化性樹脂は、チタン酸塩化合物、酸化物、未加硫ゴム等を一体化し、強度を与える結合材として用いられるものであり、結合材として用いられる公知の熱硬化性樹脂の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。例えばフェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができ、これらの1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このなかでもフェノール樹脂が好ましい。
本発明の摩擦材用樹脂組成物は、上記のチタン酸塩化合物、酸化物、未加硫ゴム、熱硬化性樹脂の材料以外に、必要に応じてその他材料を配合することができる。その他材料としては、例えば、以下の繊維基材、摩擦調整材等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、(1)混合機(レーディゲミキサー、加圧ニーダー、アイリッヒミキサー等)で各成分を混合する方法;(2)所望する成分の造粒物を調製し、必要により他の成分を混合機(レーディゲミキサー、加圧ニーダー、アイリッヒミキサー等)で混合する方法等により製造することができる。
本発明の摩擦材は、本発明の樹脂組成物を、常温にて仮成形し、得られた仮成形物を加熱加圧成形(成形圧力10〜40MPa、成形温度150〜200℃)し、必要に応じて、得られた成形体に加熱炉内で熱処理(150〜200℃、1〜12時間保持)を施し、しかる後その成形体に機械加工、研磨加工を加えて所定の形状を有する摩擦材を製造することができる。
実施例及び比較例に用いた構成成分とその物性の測定方法は以下の通りである。
・チタン酸マグネシウムカリウム(K0.7Mg0.4Ti1.6O3.95、板状粒子、平均粒子径4μm、アルカリ溶出率5.3質量%、水分散pH11)
・酸化銅(II)(CuO、非繊維状粒子、平均粒子径4μm)
・NBR(非繊維状粒子、平均粒子径120μm)
・フェノール樹脂
チタン酸塩化合物の質量(X)を測定し、次いで該チタン酸塩化合物を蒸留水に加えて1質量%のスラリーを調製し、80℃で4時間撹拌後、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで固形分を除去し、抽出液を得た。得られた抽出液のアルカリ金属とアルカリ土類金属の総質量(Y)をイオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製、ICS−1100)にて測定した。次いで、前記質量(X)及び(Y)の値を用い、式[(Y)/(X)]×100に基づいて、アルカリ溶出率(%)を算出した。
チタン酸塩化合物1gを蒸留水100mLに加えて1質量%のスラリーを調製し、得られたスラリーのpH(温度20℃)をpHメーター(堀場製作所社製、F21)にて測定し、水分散pHとした。
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SALD−2100)により測定した。
表1に示す配合比率に従って材料を配合し、レーディゲミキサーにて混合後、実施例及び比較例の樹脂組成物を得た。なお、表1の各成分の配合量の単位は、樹脂組成物中の体積%である。得られた樹脂組成物を仮成形し、加熱加圧成形(150℃)し、さらに熱処理(180℃)を行った。得られた成形体を面積5.5cm2の扇型に加工して摩擦材を得た。なお、加熱加圧成形の成形圧力は表1に記載の成形圧力で行った。
(ロックウェル硬度の測定)
上記の方法で作製した実施例及び比較例の摩擦材のロックウェル硬度をJIS D4421に従い測定し、結果を表1に示した。硬さのスケールはSスケールを使用した。
上記の方法で作製した実施例及び比較例の摩擦材の気孔率をJIS D4418に従い測定し、結果を表1に示した。
上記の方法で作製した実施例及び比較例の摩擦材について、スケールダイナモメーターを用いて摺り合わせ試験を行った。ローターはφ110mmの鋳鉄(炭素含有量3.3%)を用い、1制動は初速度40km/h、制動前ブレーキ温度90℃以下、及び負荷荷重0.5MPaの条件でブレーキを作動させ、停止するまでとし、同条件で3000回制動を実施し、その間の摩擦係数を計測した。摩擦係数の計測は、制動を開始し負荷荷重が安定してから0.01秒毎に実施した。
μappi :計測した摩擦係数の関数μi を、最小二乗法により時間tに関する2次の多項式に近似し、得られた近似式より算出した時間tの値
μave3000 :制動3000回目の平均摩擦係数
n :制動停止するまでに計測した摩擦係数の計測個数
μave1000:制動1000回目の平均摩擦係数
摩擦係数の振れ率は、瞬間的に生じる摩擦係数の変化を示しており、摩擦材とローターとが触れたことによって発生する微小な摩擦振動と相関していると考えられる。本発明に従う実施例1〜3は、比較例1〜3と比べ振れ率が優れていることから、摩擦材は制動時に発生するブレーキノイズ(鳴き)の低減が期待できる。
Claims (7)
- チタン酸塩化合物と、酸化物と、粒子状の未加硫ゴムと、熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の合計量100体積%に対して、前記チタン酸塩化合物の含有量が1〜30体積%であり、前記酸化物の含有量が0.1〜10体積%であり、前記未加硫ゴムの含有量が0.1〜30体積%であり、前記酸化物が、銀、銅、鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、マンガン、ニオブ、及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種の金属元素の酸化物であることを特徴とする、樹脂組成物。
- 前記チタン酸塩化合物のアルカリ溶出率が15質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記未加硫ゴムが、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 摩擦材用である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる、摩擦材。
- 請求項6に記載の摩擦材と基材とを用いて形成される、摩擦部材。
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