JP6514039B2 - 樹脂組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材 - Google Patents

樹脂組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材に関する。
各種車両、産業機械等のブレーキシステムに用いられる摩擦材は、摩擦係数が高く安定していること、耐摩耗性が優れていることが求められている。これらの特性を満足させるために、チタン酸カリウム繊維、無機充填材、有機充填材等と、これらを結合するフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂からなる樹脂組成物が摩擦材として用いられてきた。チタン酸カリウム繊維は、アスベストのような発癌性を有さず、金属繊維のようにローターを傷付けない。
しかし、チタン酸カリウム繊維は平均繊維径が0.1〜0.5μm、平均繊維長が10〜20μmのものが多く、世界保健機関(WHO)で推奨されている範囲(吸入繊維とするWHOファイバー:平均短径が3μm以下、平均繊維長が5μm以上及びアスペクト比が3以上の繊維状化合物以外)には含まれていない。
また、チタン酸カリウム繊維は高温域での耐摩耗性が十分ではない。そこで、特許文献1では鱗片状のチタン酸マグネシウムカリウム、特許文献2では鱗片状のチタン酸リチウムカリウム、特許文献3ではアメーバ状のチタン酸カリウムが提案されている。また、非特許文献1〜3では、チタン酸塩化合物を含有したフェノール樹脂を摩擦材として用いることで、凝着性の高いフェノール樹脂熱分解物の生成が抑制され、摩擦係数が安定化することが示唆されている。
さらに、摩擦材は制動時に発生するブレーキノイズ(鳴き)の低減も求められている。鳴きは、摩擦材とローターとが触れたことによって発生する微小な摩擦振動が、ローター本体により増幅されて音となったものである。特にドラムブレーキの場合、ドラムがスピーカーとなるため音が大きくなり非常に不快なものとなる。そこで、特許文献4では鳴きの発生要因となる振動を減衰させるためにゴムを含有した樹脂組成物を摩擦材として用いることが提案されている。
一方で、ドラムブレーキは、半円弧状のブレーキシューの表面に摩擦材が貼られていることから、ディスクブレーキに用いられる摩擦材よりも柔軟であることが求められている。そのため、ゴムを含有した樹脂組成物が摩擦材として多く用いられている。
国際公開WO2002/010069号 国際公開WO2003/037797号 国際公開WO2008/123046号 特開平8−42615号公報
SAE Technical Paper 2011−01−2366, 2011 SAE Technical Paper 2012−01−1790, 2012 SAE Technical Paper 2013−01−2025, 2013
摩擦材として、より摩擦摩耗特性が優れているもの、柔軟なものが求められている。しかし、チタン酸塩化合物とゴムとを含有した樹脂組成物を摩擦材として用いた場合、チタン酸塩化合物を含有しない樹脂組成物を摩擦材として用いた場合と比較して摩擦特性が低下することがある。
本発明の目的は、優れた摩擦特性と柔軟性とを与えることができる樹脂組成物、該樹脂組成物を用いた摩擦材及び摩擦部材を提供することにある。
本発明者は、上記のように摩擦特性が低下する理由として、摩擦界面の組成に着目し鋭意研究を重ねた。その結果、ローター温度が上昇しない低負荷条件の摩擦における未加硫ゴム由来の被膜形成が大きく寄与していると考えられ、チタン酸塩化合物と未加硫ゴムと、さらに炭素よりも酸化物標準生成自由エネルギーが大きい元素の酸化物とを含有する樹脂組成物が、上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の樹脂組成物、摩擦材及び摩擦部材を提供する。
項1 チタン酸塩化合物と、酸化物と、未加硫ゴムと、熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物であって、前記酸化物が炭素よりも酸化物標準生成自由エネルギーが大きい元素の酸化物であることを特徴とする、樹脂組成物。
項2 前記酸化物が、銀、鉄、銅、鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、亜鉛、マンガン、ニオブ、及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種の金属元素の酸化物である、項1に記載の樹脂組成物。
項3 前記チタン酸塩化合物のアルカリ溶出率が15質量%以下である、項1又は2に記載の樹脂組成物。
項4 前記未加硫ゴムが、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴムから選ばれる少なくとも1種である、項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
項5 前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である、項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
項6 摩擦材用である、項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
項7 項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる、摩擦材。
項8 項7に記載の摩擦材と基材とを用いて形成される、摩擦部材。
本発明の樹脂組成物を摩擦材として用いた場合、優れた摩擦特性と柔軟性とを付与することができる。本発明の樹脂組成物を用いることにより、優れた摩擦特性と柔軟性を有する摩擦材及び摩擦部材を提供することができる。
本発明の摩擦材及び摩擦部材は、優れた摩擦特性と柔軟性を有する。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について説明する。但し、下記の実施形態は単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、チタン酸塩化合物と、酸化物と、未加硫ゴムと、熱硬化性樹脂とを含有する摩擦材用樹脂組成物であって、前記酸化物が炭素よりも酸化物標準生成自由エネルギーが大きい元素の酸化物であることを特徴とする。本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、その他材料をさらに含有することができる。
以下に、本発明の樹脂組成物の各構成成分につて説明する。
(チタン酸塩化合物)
チタン酸塩化合物は、摩擦材の摩擦調整材として用いられる公知のチタン酸塩化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
上記チタン酸塩化合物としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の群から選ばれる少なくとも1種の元素の塩であることが好ましい。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられ、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウムである。アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムが挙げられ、好ましくはマグネシウム、カルシウムである。
チタン酸塩化合物にアルカリ成分が多く、結晶構造が化学的に不安定であると、樹脂組成物の成形時にアルカリ成分が溶出して、マトリックスを構成する熱硬化性樹脂の劣化を起こすことがある。これは溶出したアルカリ成分により熱硬化性樹脂の硬化阻害を起こすためと考えられる。以上から、本発明で使用するチタン酸塩化合物のアルカリ溶出率は、好ましくは15質量%以下であり、より好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%であり、さらに好ましくは0.1〜6質量%である。このようなチタン酸塩化合物を用いることにより、樹脂組成物を摩擦材として用いたとき、摩擦界面で生じる熱硬化性樹脂の熱分解反応において、チタン酸塩化合物の摩滅破壊により生ずるアルカリ成分が、凝着性の高い熱分解物を生成するのを抑制し、凝着性の低い不定形炭素を生成することで摩擦係数が安定化するものと考えられる。
チタン酸塩化合物は、水分散pHが7〜11であることが好ましい。チタン酸塩化合物の水分散pHを、このような範囲内にすることにより、チタン酸塩化合物に含まれる酸性不純物による耐摩耗性の低下を抑制することができる。
本発明においてアルカリ溶出率とは、80℃の水中においてチタン酸塩化合物から水中に溶出したアルカリ金属及びアルカリ土類金属の質量割合のことをいう。アルカリ溶出率におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の質量は、例えばイオンクロマトグラフにて測定することができる。本発明において水分散pHとは、チタン酸塩化合物を20℃の水に分散させて得られる1質量%スラリーのpHのことをいう。
上記チタン酸塩化合物としては、例えば、一般式MO・nTiO(式中、Mはアルカリ金属の1種又は2種以上、nは4〜11の数)で表わされるチタン酸アルカリ金属塩、一般式RO・TiO(式中、Rはアルカリ土類金属の1種又は2種以上)で表わされるチタン酸アルカリ土類金属塩、一般式MTi2−y(式中、Mはリチウムを除くアルカリ金属、Aはリチウム、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、銅、鉄、アルミニウム、ガリウム、マンガンより選ばれる1種又は2種以上、xは0.5〜1.0、yは0.25〜1.0の数)で表わされるチタン酸塩化合物、一般式K0.5〜0.7Li0.27Ti1.733.85〜3.9で表わされるレピドクロサイト型チタン酸リチウムカリウム、一般式K0.2〜0.7Mg0.4Ti1.63.7〜4で表わされるレピドクロサイト型チタン酸カリウムマグネシウム等を挙げることができる。これらの中でも結晶構造がトンネル構造のチタン酸塩化合物が好ましく、具体的には、NaTi13、NaTi17、KTi13、KTi17、LiTi12、CaTiO、MgTiO等を挙げることができる。トンネル構造にすることで、チタン酸塩化合物からのアルカリの溶出を抑えることできる。
チタン酸塩化合物の形状には、例えば繊維状の粒子;球状、層状、板状、柱状、ブロック状、不定形状等の非繊維状の粒子があるが、作業環境や摩擦摩耗特性向上の観点から非繊維状の粒子であることが好ましい。平均粒子径は0.1〜50μmであることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましく、1〜10μmであることがさらに好ましい。平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定することができる。平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法により計測される粒度分布における体積基準累積50%時の粒子径、すなわちD50(メジアン径)をいう。
また、本発明で用いるチタン酸塩化合物は、チタン酸塩化合物の結晶粒が結合してなる多孔質チタン酸塩化合物粒子であってもよい。チタン酸塩化合物粒子の粒子形状は、球状、不定形状等の非繊維状であることが好ましく、特に球状が好ましい。平均粒子径は5〜500μmであることが好ましく、10〜300μmであることがより好ましい。
さらに、チタン酸塩化合物は、分散性、熱硬化性樹脂との密着性向上等を目的として、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等により表面処理を常法に従って施されて用いられてもよい。
樹脂組成物におけるチタン酸塩化合物の含有量は、樹脂組成物の合計量100体積%に対して、1〜30体積%であることが好ましく、1〜20体積%であることがより好ましく、4〜10体積%であることがさらに好ましい。チタン酸塩化合物の含有量を1〜30体積%の範囲とすることで、優れた摩擦特性を得ることができる。
(酸化物)
本発明で用いる酸化物は、炭素よりも酸化物標準生成自由エネルギーが大きい元素の酸化物である。上記酸化物は、樹脂組成物を摩擦材として用いたとき、摩擦界面において、摩擦時に生じる温度でゴムの不飽和構造に対し酸化剤として作用し、摩擦界面での未加硫ゴム由来の潤滑性被膜の形成を抑制するものと考えられる。そのため、炭素と酸化物標準生成自由エネルギーを比較することで、本発明で用いることができる酸化物を選択することができる。また、上記酸化物以外の公知の酸化剤は、摩擦時以外においても酸化剤として作用し、樹脂組成物が劣化するおそれがあるため好ましくない。
上記酸化物としては、例えば、銀、鉄、銅、鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、亜鉛、マンガン、ニオブ、及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種の金属元素の酸化物を挙げることができる。その具体例としては、AgO、FeO、Fe、Fe、CuO、CuO、PbO、CdO、NiO、CoO、ZnO、MnO、NbO、VO等を挙げることができ、この中でもCuO、CuO、FeO、Fe、Fe、ZnO、MnOが好ましい。
本発明で用いる酸化物は、分散性の観点から粒子状であることが好ましく、例えば繊維状の粒子;球状、層状、板状、柱状、ブロック状、不定形状等の非繊維状の粒子がある。粒子の中でも作業環境や摩擦摩耗特性向上の観点から非繊維状の粒子であることが好ましい。平均粒子径が0.1〜100μmのものが好ましく、0.5〜50μmのものがより好ましく、1〜30μmのものがさらに好ましく、1〜10μmのものが特に好ましい。
樹脂組成物における酸化物の含有量は、樹脂組成物の合計量100体積%に対して、0.1〜10体積%であることが好ましく、0.1〜5体積%であることがより好ましく、0.5〜4体積%であることがさらに好ましい。酸化物の含有量を0.1〜10体積%の範囲とすることで、優れた摩擦特性を得ることができる。
(未加硫ゴム)
本発明で用いる未加硫ゴムとしては、室温(20℃)で固体形状を有するものであれば特に制限なく用いることができ、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)等が挙げられ、これらの1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも高不飽和ゴムであるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)が好ましい。
ゴムは、通常、摩擦材の剛性を低下させ振動の減衰性を向上させるために用いられているが、加硫ゴムは弾性が強いため、摩擦材の気孔率が大きくなる傾向がある。このため、加硫ゴムを用いた場合に摩擦材の気孔率を小さく制御しようと成形圧力を高くすると、摩擦材の剛性が大きくなる。しかし、未加硫ゴムは、成形時に一部が塑性変形するものと考えられることから、摩擦材の剛性と気孔率を制御しやすいという利点がある。
本発明で用いる未加硫ゴムは、分散性の観点から粒子状であることが好ましい。平均粒子径が1〜300μmのものが好ましく、20〜200μmのものがより好ましく、100〜150μmのものがさらに好ましい。
樹脂組成物における未加硫ゴムの含有量は、樹脂組成物の合計量100体積%に対して、0.1〜30体積%であることが好ましく、1〜20体積%であることがより好ましく、5〜10体積%であることがさらに好ましい。未加硫ゴムの含有量を0.1〜30体積%の範囲とすることで、優れた柔軟性と摩擦特性を両立することができる。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂は、チタン酸塩化合物、酸化物、未加硫ゴム等を一体化し、強度を与える結合材として用いられるものであり、結合材として用いられる公知の熱硬化性樹脂の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。例えばフェノール樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ユリア樹脂等を挙げることができ、これらの1種を単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。このなかでもフェノール樹脂が好ましい。
樹脂組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、樹脂組成物の合計量100体積%に対して、1〜50体積%であることが好ましく、5〜40体積%であることがより好ましく、10〜30体積%であることがさらに好ましい。熱硬化性樹脂の含有量を1〜50体積%の範囲とすることで配合材料の隙間に適切な量の結合材が充填され、優れた摩擦特性を得ることができる。
(その他材料)
本発明の摩擦材用樹脂組成物は、上記のチタン酸塩化合物、酸化物、未加硫ゴム、熱硬化性樹脂の材料以外に、必要に応じてその他材料を配合することができる。その他材料としては、例えば、以下の繊維基材、摩擦調整材等を挙げることができる。
繊維基材としては、アラミド繊維、アクリル繊維等の有機繊維、スチール繊維、銅繊維等の金属繊維;ガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維、生分解性繊維、生体溶解性繊維、ワラストナイト繊維等の無機繊維;炭素繊維;等が挙げられる。
摩擦調整材としては、カシューダスト、レジンダスト等の有機粉末;合成又は天然黒鉛、カーボンブラック、硫化錫、二硫化モリブデン、三硫化アンチモン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、タルク等の無機粉末;銅、アルミニウム、亜鉛、鉄等の金属粉末;等が挙げられる。
樹脂組成物におけるその他材料の含有量は、樹脂組成物の合計量100体積%に対して、10〜90体積%であることが好ましく、20〜90体積%であることがより好ましく、40〜80体積%であることがさらに好ましい。
(樹脂組成物の製造方法)
本発明の樹脂組成物は、(1)混合機(レーディゲミキサー、加圧ニーダー、アイリッヒミキサー等)で各成分を混合する方法;(2)所望する成分の造粒物を調製し、必要により他の成分を混合機(レーディゲミキサー、加圧ニーダー、アイリッヒミキサー等)で混合する方法等により製造することができる。
本発明の樹脂組成物の各成分の含有量は、所望する摩擦特性、柔軟性により適宜選択することができ、上記の製造方法を用いて製造することができる。
また、本発明の樹脂組成物は、特定の構成成分を高い濃度で含むマスターバッチを作製し、このマスターバッチに熱硬化性樹脂等を添加し混合することにより調製してもよい。
<摩擦材及び摩擦部材>
本発明の摩擦材は、本発明の樹脂組成物を、常温にて仮成形し、得られた仮成形物を加熱加圧成形(成形圧力10〜40MPa、成形温度150〜200℃)し、必要に応じて、得られた成形体に加熱炉内で熱処理(150〜200℃、1〜12時間保持)を施し、しかる後その成形体に機械加工、研磨加工を加えて所定の形状を有する摩擦材を製造することができる。
本発明の摩擦材は、該摩擦材を摩擦面となるように形成した摩擦部材として用いられる。摩擦材を用いて形成することができる摩擦部材としては、例えば、(1)摩擦材のみの構成、(2)裏金等の基材と、該基材の上に設けられ、摩擦面を与える本発明の摩擦材用樹脂組成物からなる摩擦材とを有する構成等が挙げられる。
上記基材は、摩擦部材の機械的強度の向上のために用いるものであり、材質としては、金属又は繊維強化樹脂等を用いるができる。例えば、鉄、ステンレス、ガラス繊維強化樹脂、炭素繊維樹脂等が挙げられる。
摩擦材には、通常、内部に微細な気孔が多数形成されており、高温時の分解生成物(ガスや液状物)の逃げ道となり摩擦特性の低下防止を図るとともに、摩擦材の剛性を下げ減衰性を向上させることで鳴きの発生を防止している。通常の摩擦材においては、気孔率が10%程度になるように、材料の配合、成形条件を管理している。
本発明の摩擦材は、各種車両や産業機械のディスクブレーキ、ドラムブレーキ等の摩擦部材に用いることができる。また、本発明の摩擦材は、優れた摩擦特性と、柔軟性を有していることから、ドラムブレーキの摩擦部材に好適である。摩擦材を、ドラムブレーキの摩擦部材として用いる場合、摩擦材のロックウェル硬度を60〜70HRSになるように、材料の配合、成形条件を管理することが好ましい。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
<構成成分>
実施例及び比較例に用いた構成成分とその物性の測定方法は以下の通りである。
(チタン酸塩化合物)
・チタン酸マグネシウムカリウム(K0.7Mg0.4Ti1.63.95、板状粒子、平均粒子径4μm、アルカリ溶出率5.3質量%、水分散pH11)
(酸化物)
・酸化銅(II)(CuO、非繊維状粒子、平均粒子径4μm)
(未加硫ゴム)
・NBR(非繊維状粒子、平均粒子径120μm)
(熱硬化性樹脂)
・フェノール樹脂
<アルカリ溶出率の測定>
チタン酸塩化合物の質量(X)を測定し、次いで該チタン酸塩化合物を蒸留水に加えて1質量%のスラリーを調製し、80℃で4時間撹拌後、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターで固形分を除去し、抽出液を得た。得られた抽出液のアルカリ金属とアルカリ土類金属の総質量(Y)をイオンクロマトグラフ(ダイオネクス社製、ICS−1100)にて測定した。次いで、前記質量(X)及び(Y)の値を用い、式[(Y)/(X)]×100に基づいて、アルカリ溶出率(%)を算出した。
<水分散pHの測定>
チタン酸塩化合物1gを蒸留水100mLに加えて1質量%のスラリーを調製し、得られたスラリーのpH(温度20℃)をpHメーター(堀場製作所社製、F21)にて測定し、水分散pHとした。
<平均粒子径の測定>
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製、SALD−2100)により測定した。
<実施例及び比較例>
表1に示す配合比率に従って材料を配合し、レーディゲミキサーにて混合後、実施例及び比較例の樹脂組成物を得た。なお、表1の各成分の配合量の単位は、樹脂組成物中の体積%である。得られた樹脂組成物を仮成形し、加熱加圧成形(150℃)し、さらに熱処理(180℃)を行った。得られた成形体を面積5.5cmの扇型に加工して摩擦材を得た。なお、加熱加圧成形の成形圧力は表1に記載の成形圧力で行った。
<摩擦材の評価>
(ロックウェル硬度の測定)
上記の方法で作製した実施例及び比較例の摩擦材のロックウェル硬度をJIS D4421に従い測定し、結果を表1に示した。硬さのスケールはSスケールを使用した。
(気孔率の測定)
上記の方法で作製した実施例及び比較例の摩擦材の気孔率をJIS D4418に従い測定し、結果を表1に示した。
(摩擦特性の評価)
上記の方法で作製した実施例及び比較例の摩擦材について、スケールダイナモメーターを用いて摺り合わせ試験を行った。ローターはφ110mmの鋳鉄(炭素含有量3.3%)を用い、1制動は初速度40km/h、制動前ブレーキ温度90℃以下、及び負荷荷重0.5MPaの条件でブレーキを作動させ、停止するまでとし、同条件で3000回制動を実施し、その間の摩擦係数を計測した。摩擦係数の計測は、制動を開始し負荷荷重が安定してから0.01秒毎に実施した。
本発明において摩擦係数の振れ率とは、制動3000回目における摩擦係数の振れ率とし、下式に基づき算出した。振れ率が2%未満のものを「A」、2%以上4%未満のものを「B」、4%以上のものを「C」とし、表1に結果を示した。
Figure 0006514039
μi :制動3000回目において、計測を開始してからi番目に計測した摩擦係数
μappi :計測した摩擦係数の関数μi を、最小二乗法により時間tに関する2次の多項式に近似し、得られた近似式より算出した時間tの値
μave3000 :制動3000回目の平均摩擦係数
n :制動停止するまでに計測した摩擦係数の計測個数
本発明において平均摩擦係数の変化率とは、制動1000回目の平均摩擦係数と制動3000回目の平均摩擦係数との変化率とし、下式に基づき算出した。変化率が2%未満のものを「A」、2%以上7%未満のものを「B」、7%以上のものを「C」とし、表1に結果を示した。
変化率(%)=|μave1000−μave3000|÷μave1000×100
μave1000:制動1000回目の平均摩擦係数
Figure 0006514039
(評価結果)
摩擦係数の振れ率は、瞬間的に生じる摩擦係数の変化を示しており、摩擦材とローターとが触れたことによって発生する微小な摩擦振動と相関していると考えられる。本発明に従う実施例1〜3は、比較例1〜3と比べ振れ率が優れていることから、摩擦材は制動時に発生するブレーキノイズ(鳴き)の低減が期待できる。
平均摩擦係数の変化率は、従来の摩擦特性の評価方法である。未加硫ゴムを配合した比較例1に更にチタン酸塩化合物を添加した比較例2は、比較例1より変化率が悪くなっており、単にチタン酸塩化合物と未加硫ゴムとを組み合わせただけでは、本発明の効果が得られないことが分かる。これは、チタン酸塩化合物の添加により、熱硬化性樹脂からの凝着性の高い熱分解物の生成は抑制されるが、チタン酸塩化合物は未加硫ゴムに対して作用しないため、ローター温度が上昇しない低負荷条件では、未加硫ゴム由来の潤滑性被膜が摩擦界面に形成されることが原因であると推測される。
本発明の摩擦材は、酸化物の併用により未加硫ゴム由来の潤滑性被膜の形成が抑制されることで、チタン酸塩化合物と未加硫ゴムとの予期せぬ相乗効果が発揮されるものと推測される。
比較例1と比較例4から、加硫ゴムだけでは摩擦材の気孔率が大きくなりすぎことが分かる。また、比較例5及び比較例6のように摩擦材の気孔率を小さく制御しようと成形圧力を強くすると摩擦材の硬度が大きくなることが分かる。
表1に示すように、本発明に従う実施例1〜3は、ロックウェル硬度が低く、柔軟性に優れており、かつ摩擦特性に優れていることが分かる。

Claims (7)

  1. チタン酸塩化合物と、酸化物と、粒子状の未加硫ゴムと、熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物であって、樹脂組成物の合計量100体積%に対して、前記チタン酸塩化合物の含有量が1〜30体積%であり、前記酸化物の含有量が0.1〜10体積%であり、前記未加硫ゴムの含有量が0.1〜30体積%であり、前記酸化物が、銀、銅、鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、マンガン、ニオブ、及びバナジウムから選ばれる少なくとも1種の金属元素の酸化物であることを特徴とする、樹脂組成物。
  2. 前記チタン酸塩化合物のアルカリ溶出率が15質量%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記未加硫ゴムが、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記熱硬化性樹脂がフェノール樹脂である、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 摩擦材用である、請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる、摩擦材。
  7. 請求項に記載の摩擦材と基材とを用いて形成される、摩擦部材。
JP2015111066A 2015-06-01 2015-06-01 樹脂組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材 Expired - Fee Related JP6514039B2 (ja)

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