JP6512623B2 - 吸収線量測定システムおよび測定装置および方法 - Google Patents

吸収線量測定システムおよび測定装置および方法 Download PDF

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Description

本発明は、体内などにおける電離放射線の測定に関する。
電離放射線(本明細書においては、電離放射線を単に放射線とも記載する)を測定する方法として、放射線治療の分野では一般的に電離箱が用いられている。電離箱は、微小体積に含まれる空気が放射線によって電離された際の電荷を数百ボルトの高電圧によって収集する測定装置であり、収集した電荷量によって吸収線量を評価しているが、一般に電離箱は大きく、感電の危険性もあるため、体内での線量測定には適さない。
また、固体測定器を用いた方法も行われており、例えば、特許文献1には、シンチレータと光ファイバを組み合わせた測定器が示されている。この測定器では、シンチレータが放射線の電離作用によって発光し、かつ、発光量が電離量(吸収線量)と比例関係にあることを利用して、発光量を測定することにより吸収線量を評価している。なお、発光量の測定には光電子増倍管を用い、発光量を電流量に変換しているが、光信号をパルスで捉えることにより、非常に小さなシンチレータでの測定が可能となっている。そのため、尿道や肛門を介して、体内への挿入が可能であり、体内での吸収線量測定を可能としている。
一方、半導体等を用いた電子デバイスは、放射線によって損傷を受けることが知られている。半導体に対する放射線影響には、総線量効果 (TID: Total Ionizing Dose Effect) 、はじき出し損傷効果 (DDD: Displacement Damage Dose Effect)、シングルイベント効果 (SEE: Single Event Effect)などが知られている。非特許文献1には、酸化マグネシウムを用いたコンデンサの容量がγ線の照射によって増加することが示されている。
特許第4766407号公報
K. Arshak, D. Morris, K. Kaneswaran, 0. Korostynska and A. Arshak,"Portable Real-Time Gamma Radiation Dosimetry System Using MgO and Ce02 Thick Film Capacitors," Proceedings of 1st International Conference on Sensing Technology (2005.11.21-23) Palmerston North, NewZealand
特許文献1には、非常に小さなシンチレータを利用し、その取付などが容易なものが示されている。しかし、特許文献1の方法では、シンチレータに光ファイバを接続する必要があり、体内に埋め込んだ測定は不可能である。また、他の放射線測定器においても、有線式の測定方式では、同様に埋め込みは不可能である。
放射線治療分野では、しばしば、放射線照射部位を正確に把握するために、金コイルなどのマーカーを体内に配置することが行われており、腫瘍内の病理組織検査を行う際に金コイルを留置する方法が一般的である。
本発明の吸収線量測定システムは、高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を測定する吸収線量測定システムであって、コイルと、このコイルに接続されたコンデンサと、を含む共振回路を有する測定装置と、前記測定装置の共振周波数を計測することで、前記測定装置のコンデンサ容量を計測する計測装置と、前記測定装置のコンデンサの容量の変化に基づいて、高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を算出する吸収線量算出装置と、を有し、前記コンデンサは、誘電体としてチタン酸バリウムを含み、0を超え100Gy以下の高エネルギーX線またはγ線の照射によって結晶構造が変化して容量が減少し、加熱によって結晶構造が回復して容量が回復する。
また、一実施形態では前記コンデンサの容量変化は、高エネルギーX線またはγ線の吸収線量が増加するのに応じて漸次的に減少する。
また、一実施形態では、前記計測装置は、アンテナを含み、アンテナに所定の周波数範囲の信号を供給することで、前記測定装置の共振回路を共振させ、この共振した周波数を非接触で測定する。また、前記計測装置は、前記測定装置の共振によって前記アンテナに発生する信号を測定する。
また、本発明の測定装置は、高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を測定する吸収線量測定システムに用いられる測定装置であって、コイルと、このコイルに接続され、吸収線量に応じて容量が変化するコンデンサと、を含み、外部からの送信信号に応じて共振する共振回路を有し、前記コイルおよびコンデンサは、中心に円筒状空間を共有して同心状に配置されており、前記円筒状空間に針を挿通し、体内へ挿入可能である。
また、本発明は、高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を測定する吸収線量測定システムに用いられる測定装置であって、
コイルと、このコイルに接続され、吸収線量に応じて容量が変化するコンデンサと、を含み、外部からの送信信号に応じて共振する共振回路を有し、
前記コイルおよびコンデンサは、薄膜状に形成されており、
前記コンデンサは、誘電体としてチタン酸バリウムを含み、0を超え100Gy以下の高エネルギーX線またはγ線の照射によって結晶構造が変化して容量が減少し、加熱によって結晶構造が回復して容量が回復する。
高エネルギーX線またはγ線の吸収線量を測定する方法であって、
コイルと、このコイルに接続され誘電体としてチタン酸バリウムを含むコンデンサと、を含む共振回路を有する測定装置の共振周波数を計測することで、前記測定装置のコンデンサ容量を計測し、
さらに、本発明は、前記コンデンサは、0を超え100Gy以下の高エネルギーX線またはγ線の照射によって結晶構造が変化して容量が減少し、この容量の減少に基づいて、高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を算出することで吸収線量を測定し、その後、コンデンサを加熱して容量を回復させ、容量の回復したコンデンサを用いて吸収線量を測定する。

本発明によれば、コンデンサの容量変化を利用して、電離放射線の測定が効果的に行える。
測定装置の構成を示す図である。 測定システムの構成を示す図である。 ネットワークアナライザの構成を示す図である。 各種コンデンサの容量変化を示す図である。 積層セラミックコンデンサの容量変化を示す図である。 測定装置の別の構成例を示す概略斜視図である。 測定装置の別の構成例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明は、ここに記載される実施形態に限定されるものではない。
<測定装置の構成>
図1には、一実施形態に係る放射線測定システムに用いる測定装置10の構成を示す図である。測定装置10は、全体的に円筒状であり、中空筒状のコンデンサ12と、コンデンサ12の外周状に巻回されたコイル14からなっている。コンデンサ12は、円筒状の誘電体層12aの表面側および裏面側に形成された導電層12b,12cを有し、導電層12b,12cのそれぞれにコイル14の一端および他端がそれぞれ接続されている。すなわち、コンデンサ12とコイル14が並列接続されてLC共振回路が形成されている。
コイル14は、導電率が高く、体内において安全で安定なものがよく、金が好適である。また、コイル14の一端以外の場所がコンデンサ12の導電層12bと導通しないように絶縁被覆されていることが好ましい。コイル14は、例えばフッ素樹脂などで被覆することが好適である。なお、図1においては、コイル14の内周側と導電層12bの外周が離れているように記載してあるが、両者は絶縁材を介し接触していることが好ましい。
コンデンサ12の誘電体層12aには、一般のコンデンサに利用されている各種の誘電体が利用可能であるが、電離放射線の照射によって容量が変化することが必要である。電離放射線の照射によって、コンデンサ12の容量がわずかに増加することは、非特許文献1などに示されている。
また、各種のコンデンサに電離放射線を照射して、その容量変化を調べたところ、積層セラミックコンデンサにおいて、電離放射線の照射に応じた容量の減少が生じた。積層セラミックコンデンサにおいては、チタン酸バリウムに若干の金属化合物を添加したものが利用されており、このような誘電体を誘電体層12aに利用することが好適である。誘電体層12aの両面に金などの導電層12b,12cを形成するが、この形成には、蒸着、CVD(化学気相成長)、スパッタリングなどが利用でき、例えば金蒸着が好適である。また、導電性物質を誘電体の表面に貼り付けるなどして、誘電体を挟み込んでもよい。導電性物質としては、金、銅、アルミニウムなどの金属や、導電性プラスチックが利用される。コンデンサ12として、積層セラミックコンデンサを採用してもよい。
また、コンデンサ12は、一対の電極に誘電体が挟まった構造であればよいため、円筒ではなく、断面C字状に端部が閉じてなくてもよい。シート状の誘電体層12aの両面に導電層12b,12cを形成した後、円筒状とする場合には、C字状の方が製作しやすい場合もある。もちろん、円筒ではなく、多角形でもよい。さらに、コンデンサ12を平板状にして、コイル14と併設してもよく、さらにコンデンサ12内にコイル14を配置してもよい。
また、導電層12b,12cの表面にもフッ素樹脂などで樹脂コーティングしてもよく、さらに全体をフッ素樹脂などの樹脂コーティングすることも好適である。
測定装置10の大きさは、用途などに応じて適宜選択するとよい。例えば、直径が数mm程度とすることができ、長さも数mm〜数10mm程度が好ましい。また、コンデンサ12の容量、コイル14のインダクタンスも、回路設計に合わせ適宜選択すればよい。
このような測定装置10は、ニードルを挿通した状態で、例えば組織内生検の際に体内の所望の位置に配置される。金コイルは、X線撮影などによって検出が可能であり、高精度放射線治療のターゲット位置確認用マーカーとして機能する。すなわち、体内の所定位置に配置した後は、放射線によりこのマーカーを測定することで治療放射線による治療部位の線量を測定できる。
また、コンデンサ12とコイル14はLC共振回路を構成しており、コンデンサ12の容量Cと、コイル14のインダクタンスLで決定される、共振周波数(固有周波数)f=1/2π√(LC)で共振する。
従って、測定装置10の共振周波数を計測することで、コンデンサ12の容量を知ることができ、この変化量から電離放射線の吸収線量を測定することができる。
<システム構成>
図2には、システムの全体構成が示されている。測定装置10は、上述のようにマーカーとしても機能するため、例えば患者の体内の患部内の所定部位に配置される。
一方、患者の近傍(放射線治療装置の近傍)には、アンテナ20が配置される。この例において、アンテナ20はコイルからなっているが、測定装置10のコイル14に送信電波の周波数に応じた交流電流を誘起できれば、どのような形式のアンテナでもよい。
アンテナ20には、コンデンサ22を介しネットワークアナライザ30が接続されている。このネットワークアナライザ30は、アンテナ20に所定範囲の周波数で掃引(スイープ)される電力を供給し、アンテナ20に入力されてくる(受信する)電力を測定する。ネットワークアナライザ30は、通常2つの端子を有し、一方の端子から所定の送信信号を対象に供給し、他方の端子から媒体を通過した信号を受信するが、本実施形態においては送信側の端子のみを利用する。なお、図2の構成において、アンテナ20のコイルの一端をコンデンサ22に接続し、他端をアースに接続し、送信信号をアースに対する高周波信号としてアンテナ20に供給するとよい。
また、アンテナ20、コンデンサ22、ネットワークアナライザ30が計測装置を構成するが、ネットワークアナライザ30において共振周波数から吸収線量を算出してもよく、この場合ネットワークアナライザ30が、吸収線量算出装置の機能も果たす。
<共振周波数の測定>
図3には、ネットワークアナライザ30の内部構成が示されている。可変周波数発振器32は、所定の周波数範囲で発振し、対応する高周波信号を出力する。例えば、数kHz〜数100MHzの周波数帯の送信信号が利用される。
なお、市販のネットワークアナライザを利用可能であるが、すべての機能を使用するわけではなく、必要な機能だけを取り出した測定器を用いることも好適である。
この送信信号は、方向性結合器34を介し出力され、コンデンサ22を通過してアンテナ20に供給される。従って、アンテナ20から、送信信号の周波数の電波が放射される。ここで、アンテナ20と、コンデンサ22とでLC共振回路が形成されるため、可変周波数発振器32の発振周波数に応じてコンデンサ22の容量を変更し、共振周波数を発振周波数に合致させることで、効果的なアンテナ20からの出力が得られる。
なお、アンテナ20は、図1に示すような複数巻きのコイルとできるが、これに限らず、基板パターン上で平面に配置されたアンテナなど、各種のアンテナが利用可能である。アンテナ20を図1に示すようなコイルとした場合には、アンテナ20に流れる電流に応じた磁界をそのまま測定装置10のコイル14に作用させて、誘導電流をコイル14に生じさせることができる。
この場合、アンテナ20のコイル磁界変化によって、測定装置10におけるコイル14に誘導電流が流れ、この誘導電流の周波数がコンデンサ12とコイル14から形成されるLC回路の共振周波数に一致すると、測定装置10のLC回路が共振する。
可変周波数発振器32の発振周波数を順次変更することで、周波数が順次変化する送信波がアンテナ20より送出される。連続的に周波数を変化させてもよいし、段階的に変化させてもよい。これによって、測定装置10の共振周波数の送信波が送出された際に、測定装置10側の共振に応じた電波が返って来る。従って、共振時における測定装置10からの電波がアンテナ20において受信される。共振特性は、測定装置10のQ値(共振回路における共振ピークの鋭さを表す値)にもよるが、共振の中心周波数で、最も大きな受信波がアンテナ20において得られる。このため、受信信号の強度によって、測定装置10の共振周波数を特定することができる。
なお、アンテナ20として指向性アンテナを用いたり、適切な直径や共振周波数を選択することにより、測定装置10での共振周波数を効率的に測定することが可能であり、アンテナ20と測定装置10の距離が離れていても測定が容易になる。
方向性結合器34は、アンテナ20での受信信号を送信信号から分離することで、シグナル・ノイズ比を飛躍的に向上させて出力する機能を果たす。方向性結合器34で得られた受信信号は検波器36において検波され、その電力が測定され、測定結果が処理部38に送られる。そこで、処理部38の共振周波数検出部42において、可変周波数発振器32の発振周波数に対する検波器36において得た受信信号強度のピークから、測定装置10の共振周波数が測定される。さらに、処理部38には、吸収線量算出部44が設けられており、この吸収線量算出部44には、電離放射線の照射量と、容量変化の関係(検量線)が記憶されている。そこで、記憶されている検量線に基づいて吸収線量算出部44が電離放射線の吸収線量を算出する。なお、本実施形態において、アンテナ20と、コンデンサ22と、ネットワークアナライザ30の吸収線量算出部44を除いた部分、すなわち、可変周波数発振器32、方向性結合器34、検波器36、共振周波数検出部42が計測部40に該当する。
上述したように、アンテナ20としては、各種のものが適用可能であり、バーアンテナ等を採用してもよく、測定装置10側においても、コンデンサ12とコイル14のLC回路を同調回路として、これにバーアンテナなどを接続する構成としてもよい。
このようにして、本実施形態では、体内に配置した測定装置10のLC回路について非接触で、その共振周波数を知ることができる。すなわち、処理部38の共振周波数検出部42において、コンデンサ12とコイル14からなる共振回路における共振周波数を測定することができる。なお、実験によれば、少なくとも30cm離れた場所においたアンテナ20で、測定装置10の共振周波数を測定できることが確認されている。
ここで、コンデンサ容量は、LCRメータなどで測定可能であり、上述のようなネットワークアナライザを利用した測定が十分正確であることについて検証されている。
<コンデンサ容量の変化>
一方、コンデンサ12の容量は、電離放射線の照射によって変動する。そして、共振周波数fc=1/2π√(LC)であり、共振周波数fcを測定することにより、測定装置10のコンデンサ12の容量を測定することができる。そして、電離放射線の照射量と、容量変換の関係を予め調べて吸収線量算出部44のメモリなどに記憶しておけば、メモリを参照して測定したコンデンサ12の容量値から電離放射線の吸収線量を算出することができる。
すなわち、C=(1/L)(1/2πfc)により、コンデンサ12の容量を知ることができる。特に、独立した測定装置10における共振周波数を別のアンテナ20からの送信周波数をスイープし、測定装置10が共振したことをアンテナ20に接続されたネットワークアナライザ30によって測定することができる。従って、測定装置10を患者の体内に挿入した状態で、外部から測定装置10におけるコンデンサ12の容量を知ることができ、このコンデンサ12の容量によって、吸収線量を知ることができ、この変化状態から、積算した吸収線量も測定することができる。
図4には、市販のコンデンサについて、医療用高エネルギーX線治療装置(Varian Medical Systems 社製 Clinac 600C(商品名))を利用して高エネルギーXを照射した際のコンデンサの容量変化を示す。コンデンサとしては、市販の各種コンデンサを用いた。この結果から、セラミックコンデンサでは、容量が上昇するがその後上下してしまい、ポリエステルコンデンサ、ポリプロピレンコンデンサでは、ほとんど変化がない。一方、積層セラミックコンデンサでは、X線の照射によって、容量が漸次的に減少することが確認できた。特に、市販の積層セラミックコンデンサにおいては、1nF〜100nFのものについて、照射量に依存する容量の減少が確認できた。なお、この現象は、非特許文献1に記載された挙動とは異なる。
そこで、市販の積層セラミックコンデンサにコイルを手巻きし、これに高エネルギーX線を照射して、照射量(吸収線量)に対するコンデンサの容量変化をネットワークアナライザで調べた。図5に示すように、コンデンサの容量変化[%]=y、高エネルギー(6MV)X線照射量[Gy]=xとして、y=3.274exp[−2(1−0.97957]という関係が得られた。このように、チタン酸バリウムのような誘電体を用いたコンデンサにおいては、電離放射線の照射量の増加に応じて上記指数関数により容量が漸次減少(単調減少)する。すなわち、電離放射線の照射量(吸収線量)と、コンデンサの容量には一対一の関係がある。従って、このようなコンデンサを利用して電離放射線の照射量を測定することができる。上述の例では、コンデンサの容量は電離放射線の吸収線量の増加に応じて指数関数的に減少するので、吸収線量算出部44は、この関数(数式)を記憶すればよい。
従って、測定装置10に用いるコンデンサ12について上記関係(検量線)を求めておけば、測定装置10の共振周波数から電離放射線の照射量がわかる。また、電離放射線の種類に応じて、容量変化が異なる可能性もあるが、X線、γ線、β線等の別にそれぞれ検量線を求めておけば、それぞれ吸収線量を測定することができる。
本実施形態では、処理部38の吸収線量算出部44において、記憶している共振周波数と電離放射線の関係(検量線)を参照して、共振周波数検出部42から供給される共振周波数に基づいて、電離放射線の吸収線量が算出される。なお、共振周波数と電離放射線の関係(検量線)は上述のような数式として記憶しておいてもよいし、マップとして記憶しておいてもよい。
ここで、コンデンサ12に用いることができる誘電体であるチタン酸バリウムでは、エージング効果が知られており、時間の経過と共に最も静電容量が大きい立方晶系から正方晶系へと転移して90°ドメインウォールを形成することにより、静電容量が低下することが知られている。
放射線照射は、立方晶系に対してダメージを与えることにより、ドメインウォールに近い働きをするために、静電容量の低下が発生しているのではないかと考えられる。実際、放射線照射後のコンデンサをその誘電体の転移温度(キュリー温度)以上に加熱すると、静電容量の回復が見られる。このことから、ダメージを受けた立方晶系構造が元に戻ったと考えられる。特に、この容量の回復は、140℃で確認されている。従って、測定装置10を140℃程度(誘電体のキュリー温度)に加熱して、容量を回復して、再度使用することができる。
また、測定装置10について、放射線を照射して、検量線を作成し、その後加温してコンデンサ12の容量を回復してから、使用することができる。これによって、個々の測定装置10毎の検量線を得ることができ、より正確な線量測定が行える。さらに、一度加温して、コンデンサ12の容量を最大にしてから使用することも好適である。なお、コンデンサ12の容量は、コイル14と接続する前に測定しても、接続した後に測定してもよい。
<その他>
コイル14のインダクタンスはコイルの直径、長さ、巻き数、巻き線の径、透磁率、長岡係数などによって計算できる。なお、長岡係数は、コイルの理想型が無限長と考え、有限の長さを持つ場合の補正係数としての意味合いを持つ。一方、コイル14のインダクタンスについても、コンデンサ12と接続する前または後に測定しておくとよい。なお、コイル14のインダクタンスは、基本的に放射線照射によって変化しないと考えられ、検量線が求まっていれば、コイル14のインダクタンスの値は必ずしも必要ではない。
さらに、測定装置10におけるLC共振回路には、並列および/または直列された抵抗成分があるが、共振周波数は、基本的に抵抗値に関係ない。従って、抵抗値について特別求める必要はなく、またコンデンサの容量変化はLC共振回路の周波数を変化させるが、導線が持つ抵抗値は共振周波数の理論式に含まれないため、仮に放射線照射によって抵抗値の変化が起こったとしても、共振周波数には影響しない。
また、共振周波数の異なる測定装置10を複数用意し、これらを体内に複数位置に配置することによって、一度の送信波の周波数掃引により、複数の共振周波数での強度を得て、測定装置10を配置した位置別の吸収線量を測定することが可能とである。
さらに、チタン酸バリウムを用いたコンデンサでは、温度によって静電容量の変化が生じることが知られているが、体内に埋め込んだ測定をする場合、生体が持つ恒常性(ホメオスタシス)によって温度が約37℃で一定に保たれるため、温度による変化による静電容量変化の影響を受けにくい。
このように、本実施形態では、測定装置10を電離放射線の照射によって容量が変化するコンデンサ12とこれに接続されたコイル14からなるLC共振回路で構成した。そこで、外部に設けたアンテナ20からの送信波の周波数をスイープし、測定装置10のLC回路が共振する周波数を測定することで、その時のコンデンサ12の容量を測定できる。そして、コンデンサ12の容量変化に応じて、放射線吸収線量を知ることができる。
さらに、コイル14は、放射線によって測定することができるため、測定装置10を体内に配置した場合にマーカとして利用できる。従って、マーカ位置での吸収線量を測定できる。特に、順次変化するコンデンサ12の容量によって、積算した吸収線量を測定できる。治療の前後の容量変化を調べれば、1回の治療における吸収線量の正確な測定もできる。
また、コンデンサ12を円筒型として、中心に空間を設けることにより、ここにニードルを挿通し、測定装置10を体内の所望の位置に導入し、そこにおいてくることが容易である。
<他の構成例>
また、コンデンサ12を薄膜状とし、コイルを平面上に配置することにより、全体として平面状で薄膜状の測定装置10を任意の場所に配置して測定することも可能である。
図6には、薄膜状のコンデンサ12を用いる測定装置10の一例の斜視模式図、図7にはその断面図が示されている。薄膜状の基板16の中心部には、コンデンサ12が設けられ、その周囲にコイル14が配置される。コンデンサ12は、誘電体層12aの両面を一対の導電層12b,12cで挟んだ構成であり、導電層12b、12cで挟んだ基板16の部分が誘電体層12aとして機能する。もちろん、基板16上に、導電層12c、誘電体層12a、導電層12bを積層形成してコンデンサ12を形成してもよい。
コイル14は、基板16の表面上に螺旋状の配線として形成される。そして、表面側の配線18aによりコンデンサ12の導電層12bと、コイル14の内側端とが接続され、裏面側の配線18bによりコンデンサ12の導電層12cとコイル14の外側端とが接続される。配線18bは、基板16を貫通して表面側のコイル14の外側端に接続されている。なお、表面側、裏面側の両方を保護層で覆うことも好適である。
この例の測定装置10では、コンデンサ12の導電層12b,12c、コイル14、配線18a,18bを基板16上への蒸着などで形成することができる。このような測定装置10は、体内に配置することもできるが、皮膚上の所望の場所に容易に配置することも可能である。そして、上述の実施形態と同様に、コンデンサ12の容量が電離放射線の照射により変化するようにし、コンデンサ12とコイル14からなる共振回路の共振周波数を非接触で計測する。これによって、任意の場所における電離放射線の吸収量を容易に測定することが可能となる。
測定装置10の厚さが1mm以下であることが好適である。放射線治療では、ビームを絞り、フォーカッシングして患部に照射する。測定装置10が1mm以下であれば、1mm程度または1mm以下のレゾリューションで放射線治療の放射線吸収量を測定することができる。また、このように薄膜状にすることよって、各種位置に容易に設置することが可能である。
例えば、チタン酸バリウムの結晶片を導電性プラスチック内に分散させた構成など柔軟な誘電体層12aを利用することで、測定装置10全体を柔軟な構成とすることができる。さらに、コンデンサ12の導電層12b,12c、コイル14、配線18a,18bにも導電性プラスチックを利用することもできる。これによって、体内外の各所に測定装置10を容易に配置することが可能になる。
10 測定装置、12 コンデンサ、12a 誘電体層、12b,12c 導電層、14 コイル、16 基板、18a,18b 配線、20 アンテナ、22 コンデンサ、30 ネットワークアナライザ、32 可変周波数発振器、34 方向性結合器、36 検波器、38 処理部、42 共振周波数検出部、44 吸収線量算出部。

Claims (7)

  1. 高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を測定する吸収線量測定システムであって、
    コイルと、このコイルに接続されたコンデンサと、を含む共振回路を有する測定装置と、
    前記測定装置の共振周波数を計測することで、前記測定装置のコンデンサ容量を計測する計測装置と、
    前記測定装置のコンデンサの容量の変化に基づいて、高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を算出する吸収線量算出装置と、
    を有し、
    前記コンデンサは、誘電体としてチタン酸バリウムを含み、0を超え100Gy以下の高エネルギーX線またはγ線の照射によって結晶構造が変化して容量が減少し、加熱によって結晶構造が回復して容量が回復する、
    吸収線量測定システム。
  2. 請求項1に記載の吸収線量測定システムであって、
    前記コンデンサの容量変化は、高エネルギーX線またはγ線の吸収線量が増加するのに応じて漸次的に減少する、
    吸収線量測定システム。
  3. 請求項1または2に記載の吸収線量測定システムであって、
    前記計測装置は、アンテナを含み、アンテナに所定の周波数範囲の信号を供給することで、前記測定装置の共振回路を共振させ、この共振した周波数を非接触で測定する、
    吸収線量測定システム。
  4. 請求項3に記載の吸収線量測定システムであって、
    前記計測装置は、前記測定装置の共振によって前記アンテナに発生する信号を測定する、
    吸収線量測定システム。
  5. 高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を測定する吸収線量測定システムに用いられる測定装置であって、
    コイルと、このコイルに接続され、吸収線量に応じて容量が変化するコンデンサと、を含み、外部からの送信信号に応じて共振する共振回路を有し、
    前記コイルおよびコンデンサは、中心に円筒状空間を共有して同心状に配置されており、
    前記円筒状空間に針を挿通し、体内へ挿入可能である、
    測定装置。
  6. 高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を測定する吸収線量測定システムに用いられる測定装置であって、
    コイルと、このコイルに接続され、吸収線量に応じて容量が変化するコンデンサと、を含み、外部からの送信信号に応じて共振する共振回路を有し、
    前記コイルおよびコンデンサは、薄膜状に形成されており、
    前記コンデンサは、誘電体としてチタン酸バリウムを含み、0を超え100Gy以下の高エネルギーX線またはγ線の照射によって結晶構造が変化して容量が減少し、加熱によって結晶構造が回復して容量が回復する、
    測定装置。
  7. 高エネルギーX線またはγ線の吸収線量を測定する方法であって、
    コイルと、このコイルに接続され誘電体としてチタン酸バリウムを含むコンデンサと、を含む共振回路を有する測定装置の共振周波数を計測することで、前記測定装置のコンデンサ容量を計測し、
    前記コンデンサは、0を超え100Gy以下の高エネルギーX線またはγ線の照射によって結晶構造が変化して容量が減少し、この容量の減少に基づいて、高エネルギーX線またはγ線による吸収線量を算出することで吸収線量を測定し、
    その後、コンデンサを加熱して容量を回復させ、容量の回復したコンデンサを用いて吸収線量を測定する、
    吸収線量測定方法。
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