JP6509973B2 - 符号化方法、符号化装置、プログラム、および記録媒体 - Google Patents
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Description
従来のTCX符号化のための符号化装置500の構成例を図1に例示する。以下、図1の各部について説明する。
周波数領域変換部5001は、所定の時間区間であるフレーム単位で、入力された時間領域の音声音響ディジタル信号(以下、入力音響信号)を周波数領域のN点のMDCT係数列X(1),・・・,X(N)に変換して出力する。ただし、Nは正整数である。
パワースペクトル包絡系列計算部5002は、フレーム単位で入力音響信号に対する線形予測分析を行って線形予測係数を求め、その線形予測係数を用いてN点の入力音響信号のパワースペクトル包絡系列W(1),・・・,W(N)を得て出力する。また、線形予測係数は例えば従来的な符号化技術によって符号化されて予測係数符号が復号側へ伝送される。
重み付け包絡正規化部5003は、パワースペクトル包絡系列計算部5002が得たパワースペクトル包絡系列W(1),・・・,W(N)の各値を用いて、周波数領域変換部5001が得たMDCT係数列の各係数X(1),・・・,X(N)の各値を正規化し、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)を出力する。ここでは聴覚的に歪が小さくなるような量子化の実現のために、重み付け包絡正規化部5003は、パワースペクトル包絡を鈍らせた重み付けパワースペクトル包絡系列を用いて、フレーム単位でMDCT係数列の各係数を正規化する。この結果、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)は、入力されたMDCT係数列X(1),・・・,X(N)ほどの大きな振幅の傾きや振幅の凹凸を持たないが、入力音響信号のパワースペクトル包絡系列と類似の大小関係を有するもの、すなわち、低い周波数に対応する係数側の領域にやや大きな振幅を持ち、ピッチ周期に起因する微細構造をもつもの、となる。
利得調整符号化部5100は、入力された重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)の各係数を利得gで割り算し、その結果を量子化した整数値による系列である量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を符号化して得られる整数信号符号のビット数が、予め配分されたビット数である配分ビット数B以下、かつ、なるべく大きな値、となるような利得gに対応する利得符号と、整数信号符号と、を出力する。
初期化部5104は、利得gの初期値を設定する。利得の初期値は、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)のエネルギーと可変長符号化部5106が出力する符号に予め配分されたビット数などから決めることができる。以下、可変長符号化部5106が出力する符号に予め配分されたビット数を配分ビット数Bと呼ぶ。また、初期化部5104は、利得の更新回数の初期値として0を設定する。
周波数領域系列量子化部5105は、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN (N)の各係数を利得gで割り算して得られる値を量子化して、整数値による系列である量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を得て出力する。
可変長符号化部5106は、入力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を可変長符号化して符号を得て出力する。この符号を整数信号符号と呼ぶ。この可変長符号化には、例えば、量子化正規化済係数系列中の複数の係数を纏めて符号化する方法を用いる。また、可変長符号化部5106は、可変長符号化で得た整数信号符号のビット数を計測する。以下では、このビット数を消費ビット数cと呼ぶ。
判定部5107は、利得の更新回数が予め定めた回数の場合、または可変長符号化部5106が計測した消費ビット数cが配分ビット数Bである場合は、利得、整数信号符号、消費ビット数cを出力する。
利得の更新回数が予め定めた回数未満である場合は、可変長符号化部5106が計測した消費ビット数cが配分ビット数Bより多い場合には利得下限設定部5108が、可変長符号化部5106が計測した消費ビット数cが配分ビット数Bより少ない場合には利得上限設定部5112が、次の処理を行うように制御する。
利得下限設定部5108は、今回の利得gの値を利得の下限値gminとして設定する(gmin←g)。この利得の下限値gminは、少なくとも利得の値はこれ以上であるべきことを意味する。
次に第1分岐部5109は、利得の上限値gmaxが既に設定されている場合には第1利得更新部5110が、そうでない場合には利得拡大部5111が、次の処理を行うように制御する。また、第1分岐部5109は、利得の更新回数に1を加算する。
第1利得更新部5110は、例えば、今回の利得gの値と利得の上限値gmaxの平均値を新たに利得gの値として設定する(g←(g+gmax)/2)。これは、最適な利得の値は、今回の利得gの値と利得の上限値gmaxとの間に存在するからである。今回の利得gの値は利得の下限値gminとして設定されているので、利得の上限値gmaxと利得の下限値gminの平均値を新たに利得gの値として設定するとも言える(g←(gmax+gmin)/2)。新たに設定された利得gは周波数領域系列量子化部5105に入力される。
利得拡大部5111は、今回の利得gの値より大きな値を新たな利得gの値として設定する。例えば、今回の利得gの値に予め定めた正値である利得変更量Δgを加算したものを新たな利得gの値として設定する(g←g+Δg)。また例えば、利得の上限値gmaxが設定されずに、消費ビット数cが配分ビット数Bより多い状態が複数回続いている場合には、予め定めた値より大きな値を利得変更量Δgとして用いる。新たに設定された利得gは周波数領域系列量子化部5105に入力される。
利得上限設定部5112は、今回の利得gの値を利得の上限値gmaxと設定する(gmax←g)。この利得の上限値gmaxは、少なくとも利得の値はこれ以下であるべきことを意味する。
次に第2分岐部5113は、利得の下限値gminが既に設定されている場合には第2利得更新部5114が、そうでない場合には利得縮小部5115が、次の処理を行うように制御する。また、第2分岐部5113は、利得の更新回数に1を加算する。
第2利得更新部5114は、例えば、今回の利得gの値と利得の下限値gminの平均値を新たな利得gの値として設定する(g←(g+gmin)/2)。これは、最適な利得の値は、今回の利得gの値と利得の下限値gminとの間に存在するからである。今回の利得gの値は利得の上限値gmaxとして設定されているので、利得の上限値gmaxと利得の下限値gminの平均値を新たに利得gの値として設定するとも言える(g←(gmax+gmin)/2)。新たに設定された利得gは周波数領域系列量子化部5105に入力される。
利得縮小部5115は、今回の利得gの値より小さな値を新たな利得gの値として設定する。例えば、今回の利得gの値から予め定めた正値である利得変更量Δgを減算したものを新たな利得gの値として設定する(g←g−Δg)。また例えば、利得の下限値gminが設定されずに、消費ビット数cが配分ビット数Bより少ない状態が複数回続いている場合には、予め定めた値より大きな値を利得変更量Δgとして用いる。新たに設定された利得gは周波数領域系列量子化部5105に入力される。
切り捨て部5116は、判定部5107が出力した消費ビット数cが配分ビット数Bより多い場合には、判定部5107が出力した整数信号符号のうち、消費ビット数cが配分ビット数Bを上回る分だけの符号を、高い周波数側の量子化正規化済係数に対応する符号から取り除いたものを、新たな整数信号符号として出力する。例えば切り捨て部5116は、消費ビット数cの配分ビット数Bに対する上回り分c−Bに対応する高い周波数側の量子化正規化済係数に対応する符号を整数信号符号から取り除くことで得られる、残りの符号を、新たな整数信号符号として出力する。一方、判定部5107が出力した消費ビット数cが配分ビット数Bより多くない場合には、切り捨て部5116は、判定部5107が出力した整数信号符号を出力する。
利得符号化部5117は、判定部5107が出力した利得を所定のビット数で符号化して利得符号を得て出力する。
<符号化装置100(図2)>
図2から4を参照して第1実施形態の符号化装置100の構成および処理を説明する。
周波数領域変換部1001は、所定の時間区間であるフレーム単位で、入力された時間領域の音響ディジタル信号(以下、入力音響信号)を周波数領域のN点のMDCT係数列X(1),・・・,X(N)に変換して出力する。ただし、Nは正整数である。
パワースペクトル包絡系列計算部1002は、フレーム単位で入力音響信号に対する線形予測分析を行って線形予測係数を求め、その線形予測係数を用いてN点の入力音響信号のパワースペクトル包絡系列W(1),・・・,W(N)を得て出力する。N点のパワースペクトル包絡系列の各係数W(1),・・・,W(N)は、線形予測係数を周波数領域に変換して得ることができる。例えば、全極型モデルであるp次自己回帰過程により(ただしpは正整数)、時刻tでの入力音響信号x(t)は、p時点まで遡った過去の自分自身の値x(t-1),・・・,x(t-p)と予測残差e(t)と線形予測係数α1,・・・,αpによって式(1)で表される。このとき、パワースペクトル包絡系列の各係数W(n)[1≦n≦N]は式(2)で表される。exp(・)はネイピア数を底とする指数関数、jは虚数単位、σ2は予測残差エネルギーである。
重み付け包絡正規化部1003は、周波数領域変換部1001が得たMDCT係数列X(1),・・・,X(N)の各値を、パワースペクトル包絡系列計算部1002が得たパワースペクトル包絡系列の各値W(1),・・・,W(N)を用いて正規化し、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)(すなわち、所定の時間区間ごとの音響信号に由来する周波数領域のサンプル列)を得て出力する。ここでは聴覚的に歪が小さくなるような量子化の実現のために、重み付け包絡正規化部1003は、パワースペクトル包絡を鈍らせた重み付けパワースペクトル包絡系列の各値を用いて、MDCT係数列の各係数を正規化する。この結果、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)は、周波数領域変換部1001が得たMDCT係数列X(1),・・・,X(N)ほどの大きな振幅の傾きや振幅の凹凸を持たないが、入力音響信号のパワースペクトル包絡系列と類似の大小関係を有するもの、すなわち、低い周波数に対応する係数側の領域にやや大きな振幅を持ち、ピッチ周期に起因する微細構造をもつもの、となる。
ここでは、重み付け包絡正規化処理の具体例として二つの例を示すが、本発明ではこれらの例に限定されるものではない。
<例1>
重み付け包絡正規化部1003は、MDCT係数列の各係数X(1),・・・,X(N)を当該各係数に対応するパワースペクトル包絡系列の各値W(n)の補正値Wγ(n)の平方根sqrt(Wγ(n))で除算することによって、重み付け正規化MDCT係数列の各係数XN(1)=X(1)/sqrt(Wγ(1)),・・・,XN(N)=X(N)/sqrt(Wγ(N))を得る処理を行う。補正値Wγ(n)[1≦n≦N]は式(3)で与えられる。但し、γは1以下の正の定数であり、パワースペクトル係数を鈍らせる定数である。
重み付け包絡正規化部1003は、MDCT係数列の各係数X(n)を当該各係数に対応するパワースペクトル包絡系列の各値W(n)のβ乗(0<β<1)の値W(n)βの平方根sqrt(W(n)β)で除算することによって、重み付け正規化MDCT係数列の各係数XN(1)=X(1)/sqrt(W(1)β),・・・,XN(N)=X(N)/sqrt(W(N)β)を得る処理を行う。
周期性分析部1004は、重み付け包絡正規化部1003が出力した重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)を入力とし、それらの周期性の程度を示す指標S(すなわち、周波数領域のサンプル列の周期性の程度を示す指標)と、当該重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)の周期Tとを得て出力する。
により得る。ここで、G1(Tf)は、「Tfの整数倍のインデックスの集合」、つまり、G1(Tf)={Tf, 2Tf, 3Tf, …, Vmax×Tf}である(区分基準1)。ただし、VmaxはVmax×Tf≦Nを満たす正整数である。Vmax×Tf≦Nを満たす最大の正整数がVmaxであってもよいし、Vmax×Tf≦Nを満たす最大の正整数よりも小さな正整数がVmaxであってもよい。また、|XN(k)|はXN(k)の絶対値を表す。振幅の絶対値の代わりに、振幅の二乗(エネルギー)の総和を指標Sとして用いてもよい。
ここで、card(G1(Tf))は集合G1(Tf)の要素数、つまり、G1(Tf)に含まれるインデックスの総数を表す。その他、G1(Tf)に含まれるインデックスに対応する振幅XN(k)の大きさの単調増加関数値の総和や平均や重み付け和を指標Sとしてもよい。これらの指標Sはいずれも値が大きいほど周期性の程度が高いことに対応する指標である。
T’=N×2/L‐1/2 (7)
T’=INT(N×2/L) (8)
ただし、Lは時間領域のピッチ周期であり、「INT()」は()内の数値の小数点以下を切り捨てた値を表す。ここで、式(7)によって得られる換算間隔T’は整数とは限らない。一方、式(8)は式(7)に1/2を加えて小数点以下を切り捨てることで小数点以下を四捨五入したものである。よって、式(8)によって得られる換算間隔T’は整数である。
周期性利用利得調整符号量推定部1100の処理は、周期性分析部1004等で、指標Sが所定の閾値THよりも大きい(周期性が高い)と判定された場合に実行される。周期性利用利得調整符号量推定部1100の処理は、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)および周期Tを入力とし、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)および第1周期性利用符号量推定値cH1を、利得ループ処理(すなわち、ループ処理)により利得gの値を調整して求めて出力する。なお、ループ処理(loop process)は、反復収束処理(iterative convergence process)やrate-loopと言い換えることができる。
初期化部1101は、利得gの初期値を設定する。利得の初期値は、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)のエネルギーと比較選択符号化部1300が出力する符号に予め配分されたビット数などから決めることができる。利得gの初期値は正値である。以下、比較選択符号化部1300が出力する整数信号符号に予め配分されたビット数を配分ビット数Bと呼ぶ。また、初期化部1101は、利得の更新回数の初期値として0を設定する。
周波数領域系列量子化部1102は、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)の各値を利得gで割り算して得られる値XN(1)/g,・・・,XN(N)/gを量子化して、整数値による系列である量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を得て出力する。出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)は第1周期性利用可変長符号量推定部1103に入力される。
第1周期性利用可変長符号量推定部1103は、周波数領域系列量子化部1102から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用した符号化方法」により可変長符号化すると仮定して、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する整数信号符号の符号量の推定値(推定ビット数)cを求め、当該推定ビット数cと量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)とを出力する。第1周期性利用可変長符号量推定部1103から出力された推定ビット数cと量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)は、判定部1104に入力される。
「周期性を利用した符号化方法」により可変長符号化する方法を例示する。周期性を利用した符号化方法では、例えば、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)のうちの周期Tの整数倍に対応する係数(以下、サンプルとも呼ぶ)を含む一つまたは連続する複数のサンプル、の全部または一部のサンプルによるサンプル群Gr1と、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)のうちのサンプル群Gr1に含まれないサンプルによるサンプル群Gr2と、が異なる符号化基準に従って(区別して)符号化される。
サンプル群Gr1は、例えば、G1(Tf)をTf=Tとした集合G1(T)に含まれるインデックスk∈G1(T)に対応するサンプルXQ(k)からなる集合{XQ(k)|k∈G1(T) and k∈{1,・・・,N}}である。この場合のサンプル群Gr2は、インデックスの集合{1,・・・,N}のうち集合G1(T)に含まれないインデックスi∈{1,・・・,N}\G1(T)に対応するサンプルXQ(i)からなる集合{XQ(i)|i∈{1,・・・,N}\G1(T)}である。
サンプル群Gr1に含まれるサンプルはサンプル群Gr2に含まれるサンプルよりも平均的に振幅が大きい。このとき、例えば、サンプル群Gr1に含まれるサンプルの振幅の大きさまたはその推定値に対応する符号化基準に従ってサンプル群Gr1に含まれるサンプルを可変長符号化し、サンプル群Gr2に含まれるサンプルの振幅の大きさまたはその推定値に対応する符号化基準に従ってサンプル群Gr2に含まれるサンプルを可変長符号化する。このような構成とすることで、サンプル列に含まれる全てのサンプルを同じ符号化基準に従って可変長符号化する場合よりも、サンプルの振幅の推定精度をあげることができるので、可変長符号の平均符号量を少なくすることできる。すなわち、サンプル群Gr1とサンプル群Gr2とを互いに異なる符号化基準に従って符号化すれば、サンプル列の符号量を少なくする効果が得られる。振幅の大きさの例は、振幅の絶対値、振幅のエネルギーなどである。
可変長符号化として1サンプルごとのライス符号化を用いる例を説明する。
この可変長符号化では、サンプル群Gr1に含まれるサンプルの振幅の大きさまたはその推定値に対応するライスパラメータを用いてサンプル群Gr1に含まれるサンプルを1サンプルごとにライス符号化する。また、サンプル群Gr2に含まれるサンプルの振幅の大きさまたはその推定値に対応するライスパラメータを用いてサンプル群Gr2に含まれるサンプルを1サンプルごとにライス符号化し、ライス符号化によって得られた符号列と、ライスパラメータを特定するための補助情報とを出力する。
ライスパラメータs>0の場合、以下のように商q(k)が生成される。ただし、floor(χ)はχ以下の最大の整数である。
q(k)=floor(XQ(k)/2s-1) (for XQ(k)≧0) (B1)
q(k)=floor{(-XQ(k)-1)/2s-1} (for XQ(k)<0) (B2)
ライスパラメータs=0の場合、以下のように商q(k)が生成される。
q(k)=2×XQ(k) (for XQ(k)≧0) (B3)
q(k)=-2×XQ(k)-1 (for XQ(k)<0) (B4)
ライスパラメータs>0の場合、以下のようにsub(k)が生成される。
sub(k)= XQ(k)-2s−1×q(k)+2s-1(for XQ(k)≧0) (B5)
sub(k)=(-XQ(k)-1)-2s-1×q(k) (for XQ(k)<0) (B6)
ライスパラメータs=0の場合、sub(k)はnullである(sub(k)=null)。
q(k)=floor{(2×|XQ(k)|-z)/2s} (z=0 or 1 or 2) (B7)
ライス符号化の場合、prefix(k)は商q(k)をアルファ符号化した符号であり、その符号量は、式(B7)を用いて以下のように表現できる。
floor{(2×|XQ(k)|-z)/2s}+1 (B8)
ここでfloor{(2×|XQ(k)|-z)/2s}=(2×|XQ(k)|-z)/2sと近似すると、式(B9)は以下のように近似できる。ただし、|Gr1|は、1フレームでのサンプル群Gr1に含まれるサンプルXQ(k)の個数を表す。
s’=log2{ln2×(2×D/|Gr1|-z)} (B11)
D/|Gr1|がzよりも十分大きいならば、式(B11)は以下のように近似できる。
s’=log2{ln2×(2×D/|Gr1|)} (B12)
式(B12)で得られるs’は整数化されていないため、s’を整数に量子化した値をライスパラメータsとする。このライスパラメータsは、サンプル群Gr1に含まれるサンプルの振幅の大きさの平均D/|Gr1|に対応し(式(B12)参照)、サンプル群Gr1に含まれるサンプルXQ(k)に対応する符号の総符号量を最小化する。
次に、周期性を利用した符号化方法で可変長符号化すると仮定したときの整数信号符号の推定ビット数cの算出方法を例示する。例えば可変長符号化として1サンプルごとのライス符号化を用いる場合、実際に可変長符号化せずとも、サンプル群Gr1に対して好ましいライスパラメータs1とサンプル群Gr2に対して好ましいライスパラメータs2とを計算し、サンプルの値が或る指数分布に従うと仮定することによって、ライスパラメータとサンプル数から総符号量を推定することができる。具体的には、式(B10)におけるDを、サンプル群Gr1に含まれるサンプルXQ(k)の値が指数分布に従うと仮定したときの推定値〜D1に置き換え、sをs1に置き換えて得られる〜C(s1,XQ(k),Gr1)を、サンプル群Gr1の符号量の推定値とすればよい。例えば、推定値〜D1は、上記の指数分布に従ったサンプルの値の期待値にサンプル群Gr1に含まれるサンプルXQ(k)の個数を乗じた値である。サンプル群Gr2の符号量の推定値も同様の方法で、式(B10)におけるGr1をGr2に置き換え、Dを、サンプル群Gr2に含まれるサンプルXQ(k)の値が指数分布に従うと仮定したときの推定値〜D2に置き換え、sをs2に置き換えて得られる推定値〜C(s2,XQ(i),Gr2)をサンプル群Gr2の符号量の推定値とすればよい。例えば、推定値〜D2は、上記の指数分布に従ったサンプルの値の期待値にサンプル群Gr2に含まれるサンプルXQ(i)の個数を乗じた値である。そのため、入力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用した符号化方法」で符号化すると仮定したときの量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)の符号量の推定値(推定ビット数c)は、例えば、これらの符号量の推定値の和、〜C(s1,XQ(k),Gr1)+〜C(s2,XQ(i),Gr2)である(ただし、XQ(k)∈Gr1 and XQ(i)∈Gr2)。
判定部1104は、利得の更新回数が予め定めた回数の場合、または第1周期性利用可変長符号量推定部1103で出力した推定ビット数cが配分ビット数Bである場合は、第1周期性利用可変長符号量推定部1103から入力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)と推定ビット数cを出力する。判定部1104が出力する推定ビット数cが、「第1周期性利用符号量推定値cH1」である。
利得下限設定部1105は、今回の利得gの値を利得の下限値gminとして設定する(gmin←g)。この利得の下限値gminは、少なくとも利得の値はこれ以上であるべきことを意味する。
利得下限設定部1105での処理の次に、第1分岐部1106は、利得の上限値gmaxが既に設定されている場合には第1利得更新部1107が、そうでない場合には利得拡大部1108が、次の処理を行うように制御する。また、第1分岐部1106は、利得の更新回数に1を加算する。
第1利得更新部1107は、例えば、今回の利得gの値と利得の上限値gmaxの平均値を新たに利得gの値として設定する(g←(g+gmax)/2)。これは、最適な利得の値は、今回の利得gの値と利得の上限値gmaxとの間に存在するからである。今回の利得gの値は利得の下限値gminとして設定されているので、利得の上限値gmaxと利得の下限値gminの平均値を新たに利得gの値として設定するとも言える(g←(gmax+gmin)/2)。新たに設定された利得gは周波数領域系列量子化部1102に入力される。
利得拡大部1108は、今回の利得gの値より大きな値を新たな利得gの値として設定する。例えば、今回の利得gの値に予め定めた正値である利得変更量Δgを加算したものを新たな利得gの値として設定する(g←g+Δg)。また例えば、利得の上限値gmaxが設定されずに、推定ビット数cが配分ビット数Bより多い状態が複数回続いている場合には、予め定めた値より大きな値を利得変更量Δgとして用いる。新たに設定された利得gは周波数領域系列量子化部1102に入力される。
利得上限設定部1109は、今回の利得gの値を利得の上限値gmaxと設定する(gmax←g)。この利得の上限値gmaxは、少なくとも利得の値はこれ以下であるべきことを意味する。
利得上限設定部1109の処理の次に、第2分岐部1110は、利得の下限値gminが既に設定されている場合には第2利得更新部1111が、そうでない場合には利得縮小部1112が、次の処理を行うように制御する。また、第2分岐部1110は、利得の更新回数に1を加算する。
第2利得更新部1111は、例えば、今回の利得gの値と利得の下限値gminの平均値を新たな利得gの値として設定する(g←(g+gmin)/2)。これは、最適な利得の値は、今回の利得gの値と利得の下限値gminとの間に存在するからである。今回の利得gの値は利得の上限値gmaxとして設定されているので、利得の上限値gmaxと利得の下限値gminの平均値を新たに利得gの値として設定するとも言える(g←(gmax+gmin)/2)。新たに設定された利得gは周波数領域系列量子化部1102に入力される。
利得縮小部1112は、今回の利得gの値より小さな値を新たな利得gの値として設定する。例えば、今回の利得gの値から予め定めた正値である利得変更量Δgを減算したものを新たな利得gの値として設定する(g←g−Δg)。また例えば、利得の下限値gminが設定されずに、推定ビット数cが配分ビット数Bより少ない状態が複数回続いている場合には、予め定めた値より大きな値を利得変更量Δgとして用いる。新たに設定された利得gは周波数領域系列量子化部1102に入力される。
第2周期性非利用可変長符号量推定部1120の処理は、周期性分析部1004等で周期性の程度を示す指標Sが所定の閾値THよりも大きい(周期性が高い)と判定された場合に実行される。第2周期性非利用可変長符号量推定部1120は、周期性利用利得調整符号量推定部1100から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)(すなわち、周期性利用利得調整符号量推定部1100で求めた整数値系列)を、周期性を利用しない符号化方法で可変長符号化すると仮定して、当該量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する整数信号符号の符号量の推定値(推定ビット数)を求め、当該推定ビット数を出力する。第2周期性非利用可変長符号量推定部1120が出力する推定ビット数は周期性を利用しない符号化方法の符号量推定値であるので、「第2周期性非利用符号量推定値cL2」と呼ぶ。第2周期性非利用可変長符号量推定部1120から出力される推定ビット数である第2周期性非利用符号量推定値cL2は比較選択符号化部1300に入力される。
周期性を利用しない符号化方法で可変長符号化すると仮定したときの整数信号符号の推定ビット数の算出方法を例示する。ここでは、入力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)をライス符号化により符号化すると仮定したときの符号量の推定値を求める例を示す。例えば、式(B10)におけるサンプル群Gr1を入力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)からなるサンプル列全体Grに置換し、Dを入力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に含まれるサンプルXQ(n)(ただし、n=1,・・・,N)の値が指数分布に従うと仮定したときの推定値〜Dに置き換え、サンプル列全体Grに対して好ましいライスパラメータをsとして得られる〜C(s,XQ(n),Gr)を符号量の推定値(整数値系列を、周期性を利用しない符号化方法で符号化すると仮定したときの整数信号符号の符号量の推定値)とすればよい。例えば、推定値〜Dは、上記の指数分布に従ったサンプルの値の期待値にサンプル列全体Grに含まれるXQ(n)の個数Nを乗じた値である。
周期性非利用利得調整符号量推定部1200の処理は、周期性分析部1004等で、指標Sが所定の閾値TH以下(周期性が低い)と判定された場合に実行される。周期性非利用利得調整符号量推定部1200は、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)を入力とし、利得ループ処理で利得gを調整することにより、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用しない符号化方法」で符号化すると仮定したときの符号量の推定値(推定ビット数)が予め配分されたビット数である配分ビット数B以下、かつ、なるべく大きな値、となるような量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を求めて出力する。この量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)は、「周波数領域のサンプル列の各サンプルを利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である整数値系列」に相当する。また、周期性非利用利得調整符号量推定部1200は、このときの推定ビット数(すなわち、整数値系列を「周期性を利用しない符号化方法」で符号化すると仮定したときの整数信号符号の符号量の推定値)を出力する。周期性非利用利得調整符号量推定部1200が出力する推定ビット数は、周期性を利用しない符号化方法の符号量の推定値であるので、「第1周期性非利用符号量推定値cL1」と呼ぶ。つまり、周期性利用利得調整符号量推定部1100では「周期性を利用した符号化方法を仮定したときの推定ビット数」を得るのに対し、周期性非利用利得調整符号量推定部1200では「周期性を利用しない符号化方法を仮定したときの推定ビット数」を得る点が異なる。
第1周期性非利用可変長符号量推定部1203は、周波数領域系列量子化部1102から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用しない符号化方法」により可変長符号化すると仮定して、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する整数信号符号の符号量の推定値(推定ビット数)cを求め、当該推定ビット数cと量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)とを出力する。第1周期性非利用可変長符号量推定部1203から出力された推定ビット数cと量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)は、判定部1104に入力される。なお、周期性を利用しない可変長符号化方法の具体例は、第2周期性非利用可変長符号量推定部1120で説明したものと同じである。
判定部1204は、利得の更新回数が予め定めた回数の場合、または第1周期性非利用可変長符号量推定部1203が出力した推定ビット数(周期性非利用符号量推定値)cが配分ビット数Bである場合は、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)と推定ビット数cを出力する。ここで出力される推定ビット数cが「第1周期性非利用符号量推定値cL1」である。
第2周期性利用可変長符号量推定部1220の処理は、周期性分析部1004等で、指標Sが所定の閾値TH以下(周期性が低い)と判定された場合に実行される。第2周期性利用可変長符号量推定部1220は、周期性非利用利得調整符号量推定部1200から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)および周期性分析部1004から出力された周期Tを入力とし、当該量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用した符号化方法」で可変長符号化すると仮定して、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する整数信号符号の符号量の推定値(推定ビット数)を求め、当該推定ビット数を出力する。第2周期性利用可変長符号量推定部1220が出力する推定ビット数は周期性を利用した符号化方法の符号量推定値であるので、「第2周期性利用符号量推定値cH2」と呼ぶ。第2周期性利用可変長符号量推定部1220から出力される推定ビット数である第2周期性利用符号量推定値cH2は、比較選択符号化部1300に入力される。周期性を利用した符号化方法の具体例は、第1周期性利用可変長符号量推定部1103で説明したものと同じである。
周期性利用利得調整符号量推定部1100及び周期性非利用利得調整符号量推定部1200の意図は、符号量が小さいと期待される方の符号化方法を仮定して、利得ループ処理により、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)とその符号量の推定値を決定することにある。符号量の推定の際に仮定する符号化方法は、入力音響信号の周期性の高さ(周期性の程度を示す指標S)に基づいて決定する。入力音響信号の周期性が高い場合には、周期性を利用した符号化方法の方が、符号量が小さくなる可能性が高いため、周期性利用利得調整符号量推定部1100は、周期性を利用した符号化方法を仮定して利得ループ処理を行う。入力音響信号の周期性が低い場合には、周期性を利用しない符号化方法の方が、符号量が小さくなる可能性が高いため、周期性非利用利得調整符号量推定部1200は、周期性を利用しない符号化方法を仮定して利得ループ処理を行う。
第2周期性非利用可変長符号量推定部1120と第2周期性利用可変長符号量推定部1220の意図は、符号量が小さいと期待される符号化方法を仮定して得た量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を代用(流用)して、他方の符号化方法を仮定したときの符号量の推定値を求めることにある。利得ループ処理を行わないことで、演算量を削減することができる。
利得ループ処理において仮定した符号化方法(すなわち、符号量が小さいと期待される符号化方法)による符号量推定値、すなわち、周期性利用利得調整符号量推定部1100または周期性非利用利得調整符号量推定部1200から出力される推定ビット数を第1符号量推定値c1と呼ぶ。また、符号量が小さいと期待される符号化方法を仮定して得た量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を代用して推定された推定ビット数、すなわち、第2周期性非利用可変長符号量推定部1120または第2周期性利用可変長符号量推定部1220から出力される推定ビット数を第2符号量推定値c2と呼ぶ。つまり、周期性の程度を示す指標Sが所定の閾値THよりも大きい(周期性が高い)場合は第1符号量推定値c1=cH1であり、第2符号量推定値c2=cL2である。周期性の程度を示す指標Sが所定の閾値TH以下(周期性が低い)の場合は、第1符号量推定値c1=cL1であり、第2符号量推定値c2=cH2である。
前述の利得ループ処理での利得の更新回数の上限を定めた「予め定めた回数」が十分大きければ、周期性利用利得調整符号量推定部1100及び周期性非利用利得調整符号量推定部1200の処理から、第1符号量推定値c1は配分ビット数Bを上回らない。一方、利得ループ処理により得た量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を代用して推定した符号量である第2符号量推定値c2は配分ビット数Bを上回る場合もあり得る。
比較選択符号化部1300は、第2周期性非利用可変長符号量推定部1120から出力された第2周期性非利用符号量推定値cL2が配分ビット数B以下、かつ、第1周期性利用符号量推定値cH1よりも小さい場合には、周期性利用利得調整符号量推定部1100から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を、周期性を利用しない符号化方法で可変長符号化して整数信号符号を求める。それ以外の場合には、周期性利用利得調整符号量推定部1100から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を、周期性を利用した符号化方法で可変長符号化して整数信号符号を求める。
比較選択符号化部1300は、第2周期性利用可変長符号量推定部1220から出力された第2周期性利用符号量推定値cH2が配分ビット数B以下、かつ、第1周期性非利用符号量推定値cL1よりも小さい場合には、周期性非利用利得調整符号量推定部1200から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を、周期性を利用した符号化方法で可変長符号化して整数信号符号を求める。それ以外の場合には、周期性非利用利得調整符号量推定部1200から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を、周期性を利用しない符号化方法で可変長符号化して整数信号符号を求める。
周期性を利用した符号化方法の場合には、符号化のために周期Tが必要となる。これは、復号装置においても復号のために周期Tが必要となることを意味するので、周期Tに対応する符号が復号装置に送られることになる。つまり、周期性を利用した符号化方法では、符号化により得られた整数信号符号に加えて、周期Tに対応する符号も復号装置に送られる分だけ符号量が多くなる。
周期性利用利得調整符号量推定部1100や周期性非利用利得調整符号量推定部1200では、推定ビット数cが配分ビット数B以下、かつ、「できるだけ大きな値」となるようにしているのに対して、比較選択符号化部1300では、推定ビット数である第1符号量推定値c1と第2符号量推定値c2のうち、「推定ビット数が小さい方」を選択する理由を以下に説明する。
伝送利得符号化部1400は、比較選択符号化部1300から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)と、重み付け包絡正規化部1003から出力された重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)と、から、伝送利得^gを算出し、算出された伝送利得^gに対応する利得符号を出力する。例えば、伝送利得符号化部1400は、
により得られる伝送利得^gを所定のビット数で符号化して利得符号を得て、出力する。つまり、伝送利得符号化部1400は、伝送利得^gの量子化値^gQに対応する符号を得て出力する。伝送利得^gは、周期性利用利得調整符号化部または周期性非利用利得調整符号化部の利得ループ処理により決定された利得の近似値(推定値)である。
第1実施形態では、第1周期性利用可変長符号量推定部1103、第2周期性利用可変長符号量推定部1220、第1周期性非利用可変長符号量推定部1203、および第2周期性非利用可変長符号量推定部1120が符号量の推定値を出力し、比較選択符号化部1300が、入力された符号量の推定値を比較して選択した符号化方法で量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を符号化して整数信号符号を得て出力していた。しかしながら、「符号量の推定値」の代わりに「実際に符号化して得られる符号量」で比較を行うことも可能である。以下では、この「実際に符号化して得られる符号量」で比較を行う形態を説明する。
周期性利用利得調整符号化部2100の処理は、周期性分析部1004等で、指標Sが所定の閾値THよりも大きい(周期性が高い)と判定された場合に実行される。周期性利用利得調整符号化部2100は、周期性分析部1004が出力した量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)および周期Tを入力とし、利得ループ処理で利得gを調整することにより、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)が「周期性を利用した符号化方法」で符号化して得られる整数信号符号のビット数(符号量)が、予め配分されたビット数である配分ビット数B以下、かつ、なるべく大きな値、となるような量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)(すなわち、整数値系列)を求めて出力する。また、周期性利用利得調整符号化部2100は、このときの整数信号符号を出力する。周期性利用利得調整符号化部2100が出力する整数信号符号は、周期性を利用した符号化方法によって得られる符号であるため「第1周期性利用整数信号符号」と呼ぶ。
第1周期性利用可変長符号化部2103は、周波数領域系列量子化部1102から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用した符号化方法」により可変長符号化して、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する整数信号符号を求め、当該整数信号符号と量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)とを出力する。第1周期性利用可変長符号化部2103から出力された数信号符号と量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)は、判定部1104’に入力される。周期性を利用した符号化方法の具体例は、第1周期性利用可変長符号量推定部1103で説明した通りである。
判定部1104’は、利得の更新回数が予め定めた回数の場合、または第1周期性利用可変長符号化部2103で出力した整数信号符号のビット数c’が配分ビット数Bである場合は、第1周期性利用可変長符号化部2103から入力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)と整数信号符号を出力する。ここで判定部1104’が出力する整数信号符号が「第1周期性利用整数信号符号」である。
第2周期性非利用可変長符号化部2120の処理は、周期性分析部1004等で周期性の程度を示す指標Sが所定の閾値THよりも大きい(周期性が高い)と判定された場合に実行される。第2周期性非利用可変長符号化部2120は、周期性利用利得調整符号化部2100から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)(すなわち、周期性利用利得調整符号化部2100で求めた整数値系列)を、周期性を利用しない符号化方法で可変長符号化して、当該量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する整数信号符号とその符号量(ビット数)を求め、当該整数信号符号を出力する。周期性を利用しない可変長符号化の具体例は、第2周期性非利用可変長符号量推定部1120で説明した通りである。第2周期性非利用可変長符号化部2120が出力する整数信号符号は、周期性を利用しない符号化方法によって得られる符号であるため「第2周期性非利用整数信号符号」と呼ぶ。第2周期性非利用可変長符号化部2120から出力される整数信号符号である第2周期性非利用整数信号符号は、比較選択部2300に入力される。
周期性非利用利得調整符号化部2200の処理は、周期性分析部1004等で、指標Sが所定の閾値TH以下(周期性が低い)と判定された場合に実行される。周期性非利用利得調整符号化部2200は、重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)を入力とし、利得ループ処理で利得gを調整することにより、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用しない符号化方法」で符号化して得られる整数信号符号の符号量(ビット数)が予め配分されたビット数である配分ビット数B以下、かつ、なるべく大きな値、となるような量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を求めて出力する。周期性非利用利得調整符号化部2200は、このときの整数信号符号を出力する。周期性非利用利得調整符号化部2200が出力する整数信号符号は、周期性を利用しない符号化方法によって得られる符号であるため「第1周期性非利用整数信号符号」と呼ぶ。つまり、周期性利用利得調整符号化部2100では「周期性を利用した符号化方法で符号化して得られる整数信号符号」を得るのに対し、周期性非利用利得調整符号化部2200では「周期性を利用しない符号化方法で符号化して得られる整数信号符号」を得る点が異なる。
第1周期性非利用可変長符号化部2203は、周波数領域系列量子化部1102から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用しない符号化方法」により可変長符号化して、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する整数信号符号を求め、当該整数信号符号と量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)とを出力する。第1周期性非利用可変長符号化部2203から出力された整数信号符号と量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)は、判定部1204’に入力される。なお、周期性を利用しない可変長符号化方法の具体例は、第2周期性非利用可変長符号量推定部1120で説明した通りである。
判定部1204’は、利得の更新回数が予め定めた回数の場合、または第1周期性非利用可変長符号化部2203が出力した整数信号符号のビット数(周期性非利用符号量)c’が配分ビット数Bである場合は、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)と整数信号符号を出力する。ここで、判定部1204’が出力する整数信号符号が「第1周期性非利用整数信号符号」である。
<第2周期性利用可変長符号化部2220(図5)>
第2周期性利用可変長符号化部2220の処理は、周期性分析部1004等で、指標Sが所定の閾値TH以下(周期性が低い)と判定された場合に実行される。第2周期性利用可変長符号化部2220は、周期性非利用利得調整符号化部2200から出力された量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)および周期性分析部1004から出力された周期Tを入力とし、当該量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用した符号化方法」で可変長符号化して、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する整数信号符号を求め、当該整数信号符号を出力する。第2周期性利用可変長符号化部2220が出力する整数信号符号は、周期性を利用した符号化方法によって得られる符号であるため「第2周期性利用整数信号符号」と呼ぶ。第2周期性利用可変長符号化部2220から出力される整数信号符号である第2周期性利用整数信号符号は、比較選択部2300に入力される。周期性を利用した符号化方法の具体例は、第1周期性利用可変長符号量推定部1103で説明したものと同じである。
利得ループ処理において仮定した符号化方法(すなわち、符号量が小さいと期待される符号化方法)によって得られた整数信号符号、すなわち、周期性利用利得調整符号化部2100または周期性非利用利得調整符号化部2200から出力される整数信号符号を第1符号と呼ぶ。また、符号量が小さいと期待される符号化方法を仮定して得た量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を代用して得られた整数信号符号、すなわち、第2周期性非利用可変長符号化部2120または第2周期性利用可変長符号化部2220から出力される整数信号符号を第2符号と呼ぶ。つまり、周期性の程度を示す指標Sが所定の閾値THよりも大きい(周期性が高い)場合は、第1符号は第1周期性利用整数信号符号であり、第2符号は第2周期性非利用整数信号符号である。周期性の程度を示す指標Sが所定の閾値TH以下(周期性が低い)の場合は、第1符号は第1周期性非利用整数信号符号であり、第2符号は第2周期性利用整数信号符号である。
前述の変形例1と同様、前述の利得ループ処理での利得の更新回数の上限を定めた「予め定めた回数」が十分大きければ、周期性利用利得調整符号化部2100及び周期性非利用利得調整符号化部2200では、切り捨て符号が生じない。一方、利得ループ処理により得た量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を代用して整数信号符号を得る第2周期性非利用可変長符号化部2120および第2周期性利用可変長符号化部2220では、切り捨て符号が生じる場合もあり得る。切り捨てられた符号に対応する量子化正規化済係数は、復号装置では復号できないため、その分復号音響信号の品質が低下する。よって、切り捨て符号は生じない方が好ましい。以上のことを考慮して、比較選択部2300は、第2周期性非利用可変長符号化部2120や第2周期性利用可変長符号化部2220で切り捨て符号が生じない場合にのみ、第1符号と第2符号の比較を行うこととしてもよい。この場合、比較選択部2300の処理は以下のようになる。
比較選択部2300は、第2周期性非利用可変長符号化部2120から出力された第2周期性非利用整数信号符号のビット数が配分ビット数B以下(すなわち、切り捨て符号が生じておらず)、かつ、第2周期性非利用整数信号符号の符号量が第1周期性利用整数信号符号の符号量よりも小さい場合には、第2周期性非利用整数信号符号を出力する。それ以外の場合には、第1周期性利用整数信号符号を出力する。
比較選択部2300は、第2周期性利用可変長符号化部2220から出力された第2周期性利用整数信号符号のビット数が配分ビット数B以下(すなわち、切り捨て符号が生じておらず)、かつ、第2周期性利用整数信号符号の符号量が第1周期性非利用整数信号符号の符号量よりも小さい場合には、第2周期性利用整数信号符号を出力する。それ以外の場合には、第1周期性非利用整数信号符号を出力する。
前述の変形例3と同様、比較選択部2300において符号量を比較する際に、周期性を利用した符号化方法で求めた符号量に周期Tに対応する符号の符号量c(T)を加えたものと、周期性を利用しない符号化方法で求めた符号量とを比較してもよい。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、利得ループ処理は上述のものに限定されない。すなわち、利得ループ処理は、入力された重み付け正規化MDCT係数列XN(1),・・・,XN(N)の各係数を利得gで割り算し、その結果XN(1)/g,・・・,XN(N)/gを量子化した整数値による系列である量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)に対応する「符号の推定ビット数」または「符号のビット数」が、予め配分されたビット数である配分ビット数B以下、かつ、なるべく大きな値、となるような利得gを探索するものであればよい。ただし、周期性の程度を示す指標Sが所定の閾値THよりも大きい場合(周期性が高い場合)の「符号の推定ビット数」は、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用した符号化方法」で符号化すると仮定したときの量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)の符号量の推定値であり、「符号のビット数」は量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用した符号化方法」で符号化して得られる符号の符号量である。また、周期性の程度を示す指標Sが所定の閾値TH以下の場合(周期性が低い場合)の「符号の推定ビット数」は、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用しない符号化方法」で符号化すると仮定したときの量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)の符号量の推定値であり、「符号のビット数」は量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)を「周期性を利用しない符号化方法」で符号化して得られる符号の符号量である。このような利得ループ処理であればどのようなものであってもよい。例えば、利得gに対応する量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)のビット数(または推定ビット数)と配分ビット数Bとの差分に応じた更新量で利得gが更新されてもよい。例えば、利得gに対応する量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)のビット数または推定ビット数(以下、消費ビット数)が配分ビット数Bよりも多く、なおかつ、利得の上限値が設定されていない場合に、量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)の一部または全てのサンプル数から、消費ビット数の配分ビット数に対する上回り分に対応する切り捨て符号に対応する量子化正規化済係数を量子化正規化済係数系列XQ(1),・・・,XQ(N)から取り除いた残りのサンプル数、を減算して得られる値が大きいほど、利得gの更新前の値から更新後の値への増分が大きくなるように利得gの値が更新されてもよい。また、消費ビット数が配分ビット数Bよりも少なく、なおかつ、利得gの下限値が設定されていない場合に、配分ビット数Bから消費ビット数を減算して得られる値が大きいほど、利得の更新前の値から更新後の値への減少分が大きくなるように利得の値が更新されてもよい。また「利得ループ処理」とは、所定の条件を満たすまで、所定の処理を1回以上実行する処理を意味する。利得ループ処理では、所定の処理が反復される場合もあれば、反復されない場合もある。
1100 周期性利用利得調整符号量推定部
1120 第2周期性非利用可変長符号量推定部
1200 周期性非利用利得調整符号量推定部
1220 第2周期性利用可変長符号量推定部
2100 周期性利用利得調整符号化部
2120 第2周期性非利用可変長符号化部
2200 周期性非利用利得調整符号化部
2220 第2周期性利用可変長符号化部
Claims (10)
- 所定の時間区間ごとの音響信号に由来する周波数領域のサンプル列を得る周波数領域サンプル列生成ステップと、
上記周波数領域のサンプル列の周期性の程度を示す指標を算出する周期性分析ステップと、
上記指標が周期性が高いことに対応する場合に、上記周波数領域のサンプル列の各サンプルを第1利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である第1整数値系列と、当該第1整数値系列を周期性を利用した符号化方法で符号化すると仮定したときの当該第1整数値系列に対応する符号の符号量の推定値である第1周期性利用符号量推定値と、をループ処理により上記第1利得の値を調整して求める周期性利用利得調整符号量推定ステップと、
上記指標が周期性が高いことに対応する場合に、上記第1整数値系列を周期性を利用しない符号化方法で符号化すると仮定したときの当該第1整数値系列に対応する符号の符号量の推定値である第2周期性非利用符号量推定値を求める第2周期性非利用符号量推定ステップと、
上記指標が周期性が高いことに対応しない場合に、上記周波数領域のサンプル列の各サンプルを第2利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である第2整数値系列と、当該第2整数値系列を上記周期性を利用しない符号化方法で符号化すると仮定したときの当該第2整数値系列に対応する符号の符号量の推定値である第1周期性非利用符号量推定値と、をループ処理により上記第2利得の値を調整して求める周期性非利用利得調整符号量推定ステップと、
上記指標が周期性が高いことに対応しない場合に、上記第2整数値系列を上記周期性を利用した符号化方法で符号化すると仮定したときの当該第2整数値系列に対応する符号の符号量の推定値である第2周期性利用符号量推定値を得る第2周期性利用符号量推定ステップと、
上記第1周期性利用符号量推定値に上記周期性を利用した符号化方法で符号化するための周期に対応する符号の符号量を加えた値が、上記第2周期性非利用符号量推定値より大きい場合に、上記第1整数値系列を上記周期性を利用しない符号化方法で符号化して当該第1整数値系列に対応する符号を得て出力し、
上記第1周期性利用符号量推定値に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値が、上記第2周期性非利用符号量推定値より小さい場合に、上記第1整数値系列を上記周期性を利用した符号化方法で符号化して当該第1整数値系列に対応する符号を得て出力し、
上記第1周期性非利用符号量推定値が、上記第2周期性利用符号量推定値に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値より大きい場合に、上記第2整数値系列を上記周期性を利用した符号化方法で符号化して当該第2整数値系列に対応する符号を得て出力し、
上記第1周期性非利用符号量推定値が、上記第2周期性利用符号量推定値に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値より小さい場合に、上記第2整数値系列を上記周期性を利用しない符号化方法で符号化して当該第2整数値系列に対応する符号を得て出力する
比較選択符号化ステップと、
を含み、
上記周期性を利用した符号化方法は、上記第1整数値系列または上記第2整数値系列のうちの周期の整数倍に対応するサンプルを含む一つまたは連続する複数のサンプル、の全部または一部のサンプルによるサンプル群Gr1と、上記第1整数値系列または上記第2整数値系列のうちの上記サンプル群Gr1に含まれないサンプルによるサンプル群Gr2と、を異なる符号化基準に従って符号化する符号化方法である
符号化方法。 - 所定の時間区間ごとの音響信号に由来する周波数領域のサンプル列を得る周波数領域サンプル列生成ステップと、
上記周波数領域のサンプル列の周期性の程度を示す指標を算出する周期性分析ステップと、
上記指標が周期性が高いことに対応する場合に、上記周波数領域のサンプル列の各サンプルを第1利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である第1整数値系列と、当該第1整数値系列を周期性を利用した符号化方法で符号化して得られる符号である第1周期性利用整数信号符号と、をループ処理により上記第1利得の値を調整して求める周期性利用利得調整符号化ステップと、
上記指標が周期性が高いことに対応する場合に、上記第1整数値系列を周期性を利用しない符号化方法で符号化して得られる符号である第2周期性非利用整数信号符号を求める第2周期性非利用符号化ステップと、
上記指標が周期性が高いことに対応しない場合に、上記周波数領域のサンプル列の各サンプルを第2利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である第2整数値系列と、当該第2整数値系列を上記周期性を利用しない符号化方法で符号化して得られる符号である第1周期性非利用整数信号符号と、をループ処理により上記第2利得の値を調整して求める周期性非利用利得調整符号化ステップと、
上記指標が周期性が高いことに対応しない場合に、上記第2整数値系列を上記周期性を利用した符号化方法で符号化して得られる符号である第2周期性利用整数信号符号を得る第2周期性利用符号化ステップと、
上記第1周期性利用整数信号符号の符号量に上記周期性を利用した符号化方法で符号化するための周期に対応する符号の符号量を加えた値が、上記第2周期性非利用整数信号符号の符号量より大きい場合に、上記第2周期性非利用整数信号符号を選択し、
上記第1周期性利用整数信号符号の符号量に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値が、上記第2周期性非利用整数信号符号の符号量より小さい場合に、上記第1周期性利用整数信号符号を選択し、
上記第1周期性非利用整数信号符号の符号量が、上記第2周期性利用整数信号符号の符号量に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値より大きい場合に、上記第2周期性利用整数信号符号を選択し、
上記第1周期性非利用整数信号符号の符号量が、上記第2周期性利用整数信号符号の符号量に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値より小さい場合に、上記第1周期性非利用整数信号符号を選択する
比較選択ステップと、
を含み、
上記周期性を利用した符号化方法は、上記第1整数値系列または上記第2整数値系列のうちの周期の整数倍に対応するサンプルを含む一つまたは連続する複数のサンプル、の全部または一部のサンプルによるサンプル群Gr1と、上記第1整数値系列または上記第2整数値系列のうちの上記サンプル群Gr1に含まれないサンプルによるサンプル群Gr2と、を異なる符号化基準に従って符号化する符号化方法である
符号化方法。 - 請求項1または2に記載の符号化方法であって、
上記周期性を利用した符号化方法は、
上記サンプル群Gr1については、上記サンプル群Gr1に含まれるサンプルの振幅の大きさまたはその推定値に対応する符号化基準に従って上記サンプル群Gr1に含まれるサンプルを可変長符号化し、
上記サンプル群Gr2については、上記サンプル群Gr2に含まれるサンプルの振幅の大きさまたはその推定値に対応する符号化基準に従って上記サンプル群Gr2に含まれるサンプルを可変長符号化する
符号化方法である
符号化方法。 - 請求項1から3の何れかに記載の符号化方法であって、
上記指標が周期性が高いことに対応するか否かは、上記指標が所定の閾値より大きいか否か、または、上記指標が所定の閾値以上であるか否か、により判断する、符号化方法。 - 所定の時間区間ごとの音響信号に由来する周波数領域のサンプル列を得る周波数領域サンプル列生成部と、
上記周波数領域のサンプル列の周期性の程度を示す指標を算出する周期性分析部と、
上記指標が周期性が高いことに対応する場合に、上記周波数領域のサンプル列の各サンプルを第1利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である第1整数値系列と、当該第1整数値系列を周期性を利用した符号化方法で符号化すると仮定したときの当該第1整数値系列に対応する符号の符号量の推定値である第1周期性利用符号量推定値と、をループ処理により上記第1利得の値を調整して求める周期性利用利得調整符号量推定部と、
上記指標が周期性が高いことに対応する場合に、上記第1整数値系列を周期性を利用しない符号化方法で符号化すると仮定したときの当該第1整数値系列に対応する符号の符号量の推定値である第2周期性非利用符号量推定値を求める第2周期性非利用符号量推定部と、
上記指標が周期性が高いことに対応しない場合に、上記周波数領域のサンプル列の各サンプルを第2利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である第2整数値系列と、当該第2整数値系列を上記周期性を利用しない符号化方法で符号化すると仮定したときの当該第2整数値系列に対応する符号の符号量の推定値である第1周期性非利用符号量推定値と、をループ処理により上記第2利得の値を調整して求める周期性非利用利得調整符号量推定部と、
上記指標が周期性が高いことに対応しない場合に、上記第2整数値系列を上記周期性を利用した符号化方法で符号化すると仮定したときの当該第2整数値系列に対応する符号の符号量の推定値である第2周期性利用符号量推定値を得る第2周期性利用符号量推定部と、
上記第1周期性利用符号量推定値に上記周期性を利用した符号化方法で符号化するための周期に対応する符号の符号量を加えた値が、上記第2周期性非利用符号量推定値より大きい場合に、上記第1整数値系列を上記周期性を利用しない符号化方法で符号化して当該第1整数値系列に対応する符号を得て出力し、
上記第1周期性利用符号量推定値に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値が、上記第2周期性非利用符号量推定値より小さい場合に、上記第1整数値系列を上記周期性を利用した符号化方法で符号化して当該第1整数値系列に対応する符号を得て出力し、
上記第1周期性非利用符号量推定値が、上記第2周期性利用符号量推定値に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値より大きい場合に、上記第2整数値系列を上記周期性を利用した符号化方法で符号化して当該第2整数値系列に対応する符号を得て出力し、
上記第1周期性非利用符号量推定値が、上記第2周期性利用符号量推定値に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値より小さい場合に、上記第2整数値系列を上記周期性を利用しない符号化方法で符号化して当該第2整数値系列に対応する符号を得て出力する
比較選択符号化部と、
を含み、
上記周期性を利用した符号化方法は、上記第1整数値系列または上記第2整数値系列のうちの周期の整数倍に対応するサンプルを含む一つまたは連続する複数のサンプル、の全部または一部のサンプルによるサンプル群Gr1と、上記第1整数値系列または上記第2整数値系列のうちの上記サンプル群Gr1に含まれないサンプルによるサンプル群Gr2と、を異なる符号化基準に従って符号化する符号化方法である
符号化装置。 - 所定の時間区間ごとの音響信号に由来する周波数領域のサンプル列を得る周波数領域サンプル列生成部と、
上記周波数領域のサンプル列の周期性の程度を示す指標を算出する周期性分析部と、
上記指標が周期性が高いことに対応する場合に、上記周波数領域のサンプル列の各サンプルを第1利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である第1整数値系列と、当該第1整数値系列を周期性を利用した符号化方法で符号化して得られる符号である第1周期性利用整数信号符号と、をループ処理により上記第1利得の値を調整して求める周期性利用利得調整符号化部と、
上記指標が周期性が高いことに対応する場合に、上記第1整数値系列を周期性を利用しない符号化方法で符号化して得られる符号である第2周期性非利用整数信号符号を求める第2周期性非利用符号化部と、
上記指標が周期性が高いことに対応しない場合に、上記周波数領域のサンプル列の各サンプルを第2利得で除算して得られる整数値サンプルによる列である第2整数値系列と、当該第2整数値系列を上記周期性を利用しない符号化方法で符号化して得られる符号である第1周期性非利用整数信号符号と、をループ処理により上記第2利得の値を調整して求める周期性非利用利得調整符号化部と、
上記指標が周期性が高いことに対応しない場合に、上記第2整数値系列を上記周期性を利用した符号化方法で符号化して得られる符号である第2周期性利用整数信号符号を得る第2周期性利用符号化部と、
上記第1周期性利用整数信号符号の符号量に上記周期性を利用した符号化方法で符号化するための周期に対応する符号の符号量を加えた値が、上記第2周期性非利用整数信号符号の符号量より大きい場合に、上記第2周期性非利用整数信号符号を選択し、
上記第1周期性利用整数信号符号の符号量に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値が、上記第2周期性非利用整数信号符号の符号量より小さい場合に、上記第1周期性利用整数信号符号を選択し、
上記第1周期性非利用整数信号符号の符号量が、上記第2周期性利用整数信号符号の符号量に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値より大きい場合に、上記第2周期性利用整数信号符号を選択し、
上記第1周期性非利用整数信号符号の符号量が、上記第2周期性利用整数信号符号の符号量に上記周期に対応する符号の符号量を加えた値より小さい場合に、上記第1周期性非利用整数信号符号を選択する
比較選択部と、
を含み、
上記周期性を利用した符号化方法は、上記第1整数値系列または上記第2整数値系列のうちの周期の整数倍に対応するサンプルを含む一つまたは連続する複数のサンプル、の全部または一部のサンプルによるサンプル群Gr1と、上記第1整数値系列または上記第2整数値系列のうちの上記サンプル群Gr1に含まれないサンプルによるサンプル群Gr2と、を異なる符号化基準に従って符号化する符号化方法である
符号化装置。 - 請求項5または6に記載の符号化装置であって、
上記周期性を利用した符号化方法は、
上記サンプル群Gr1については、上記サンプル群Gr1に含まれるサンプルの振幅の大きさまたはその推定値に対応する符号化基準に従って上記サンプル群Gr1に含まれるサンプルを可変長符号化し、
上記サンプル群Gr2については、上記サンプル群Gr2に含まれるサンプルの振幅の大きさまたはその推定値に対応する符号化基準に従って上記サンプル群Gr2に含まれるサンプルを可変長符号化する
符号化方法である
符号化装置。 - 請求項5から7の何れかに記載の符号化装置であって、
上記指標が周期性が高いことに対応するか否かは、上記指標が所定の閾値より大きいか否か、または、上記指標が所定の閾値以上であるか否か、により判断する、符号化装置。 - 請求項1から4の何れかの符号化方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。
- 請求項1から4の何れかの符号化方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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