JP6508033B2 - シフト位置判定装置 - Google Patents

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本発明は、走行中のシフト位置を判定するシフト位置判定装置に関する。
車両を制御する装置には、シフト位置を作動条件とするものがある。そのひとつとして、例えばPCS(Pre Crash Safety System)が知られている。PCSは、自車両と自車両の前方の対象物(以下、物標という)との衝突可能性を判断し、衝突可能性が有ると判定された場合にブレーキ装置に制動力を付与する等の衝突回避支援を実行する。通常、PCSは、前から対向車が突進して来たことにドライバが気づいて衝突回避のために後進走行したときに、ブレーキ装置が作動してしまうのを避けるため、シフト位置が後進レンジの場合は作動しないよう構成されている。
特許文献1には、CANを流れるシフト位置を示す信号(以下、シフト位置信号という)に基づいてシフト位置を判定する運転支援装置が開示されている。
特開2004−353828号公報
シフト位置信号がCANを流れない車両では、通常、エンジンの各種制御を実行するエンジンECUにワイヤーハーネスを接続して信号を受信し、シフト位置を判定する。しかしながら、ワイヤーハーネスを使用すると、その分だけ部品コストが上がる。
シフト位置信号がCANを流れるようにすることも考えられるが、既存の装置に大幅な変更を加えることになり、開発工数が大きくなりうる。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、シフト位置信号がCANを流れない車両において、比較的低コストでシフト位置判定できるシフト判定装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のシフト位置判定装置は、車両の加速度を検出する加速度検出部と、アクセルがオンにされる前の所定期間のうちの車輪速がゼロである期間の加速度の平均値とアクセルがオンにされた後の所定期間の加速度の平均値とを比較することによりシフト位置を判定するシフト位置判定部と、を備える。
この態様によると、アクセルがオンにされた前後の加速度を比較することによりシフト位置を判定できる。
本発明によれば、比較的低コストでシフト位置判定できる。
実施の形態に係るシフト判定装置が用いられる運転支援装置の機能ブロックを示す構成図である。 車輪速、アクセル状態、および加速度の遷移を示す図である。 車輪速、アクセル状態、および加速度の遷移を示す図である。 車輪速、アクセル状態、および加速度の遷移を示す図である。
本実施の形態に係るシフト位置判定装置の概要は以下の通りである。
シフト位置判定装置は、アクセルがオンにされる前後の加速度を比較することにより、走行中のシフト位置を判定する。シフト位置判定装置は特に、アクセルがオンにされる前の加速度がオンにされた後の加速度よりも小さい場合は走行中のシフト位置は前進レンジであると判定し、アクセルがオンにされる前の加速度がオンにされた後の加速度よりも大きい場合は走行中のシフト位置は後進レンジであると判定する。以下、具体的に説明する。
図1は、実施の形態に係るシフト位置判定装置10が用いられる運転支援装置11の機能ブロックを示す構成図である。運転支援装置11は、PCS等であり、自車両と物体との衝突を回避するための衝突回避支援を実行する。「衝突回避支援」には、これらの衝突を事前に回避するための支援の他に、これらが衝突したときの被害を軽減するための支援が含まれる。
運転支援装置11は、環境情報取得装置12と、車両情報取得装置18と、運転支援ECU(Electronic Control Unit)20と、回避支援デバイス22とを備える。車両情報取得装置18と、運転支援ECU20のシフト位置判定部28(後述)は、シフト位置を判定するシフト位置判定装置10を構成する。
環境情報取得装置12は、レーダセンサ14と、カメラ15と、物標検出部16とを備える。レーダセンサ14は、たとえば、レーダ波としてミリ波帯の電磁波を用いるミリ波レーダである。レーダセンサ14は、自車両の前側の中央部分に取り付けられる。レーダセンサ14は、自車両に対する取付位置を中心位置として所定角度に広がる探査領域内の物体に関するレーダ波情報を取得する。レーダセンサ14は取得したレーダ波情報を物標検出部16に供給する。カメラ15は、対象物を撮像し、その撮像画像を物標検出部16に供給する。
物標検出部16は、レーダセンサ14から取得したレーダ波情報およびカメラ15から取得した撮影画像を用いて物標を検出する。レーダセンサ14、カメラ15および物標検出部16は、レーダ波を送受信し、対象物を撮影し、物標を検出する物標検出処理を所定の処理周期(たとえば、0.1秒周期)ごとに実行し、物標情報を運転支援ECU20に供給する。
車両情報取得装置18は、自車両の走行状態を示す車両情報を取得する。車両情報取得装置18は、加速度センサ32と、車輪速センサ34と、アクセル開度センサ36と、を含む。加速度センサ32は、車両の前後方向の加速度を取得する。車輪速センサ34は、車輪速を取得する。アクセル開度センサ36は、アクセルペダルの開度を取得する。加速度センサ32、車輪速センサ34、およびアクセル開度センサ36は、取得した車両情報を所定の周期(たとえば、0.1秒周期)ごとに運転支援ECU20に供給する。車両情報は、運転支援ECU20のメモリに一定期間保持される。
回避支援デバイス22は、衝突回避支援を実行するために作動する装置である。本実施形態に係る回避支援デバイス22は、ブレーキ装置および警報装置を含み、自車両に制動力を付与したり、ドライバに警告したりすることで衝突回避支援を実行する。
運転支援ECU20は、CPU、ROM、RAM等からなる電子制御ユニットであり、運転支援装置11を統括的に制御する機能をもつ。運転支援ECU20は、衝突判定部24と、支援実行部26と、シフト位置判定部28と、を含む。
衝突判定部24は、物標検出部16により検出される物標と自車両との衝突可能性を判定する。詳しくは、衝突判定部24は、車両情報取得装置18から供給された車両情報に基づいて自車両の進路を予測し、その進路に物標が存在するか否かを判定する。また、衝突判定部24は、進路に物標が存在する場合、その物標が自車両の走行の障害となる高さをもつか否かを判定する。これらの判定には、公知の方法が用いられてもよい。
支援実行部26は、衝突判定部24により物標との間で衝突可能性が有ると判定されたとき、回避支援デバイス22を作動させることにより衝突回避支援を実行する。支援実行部26は、自車両が後進中であってシフト位置が後進レンジである場合、具体的にはリバースフラグ(後述)に1が設定されている場合、衝突判定部24により衝突可能性が有ると判定されたか無いと判定されたかに依らず、回避支援デバイス22を作動させない。つまり、支援実行部26は、自車両が後進中のときは、衝突回避支援を実行しない。前から対向車が突進して来たことにドライバが気づいて衝突回避のために後進走行したときに、ブレーキ装置(回避支援デバイス22)が作動してしまうのを避けるためである。
シフト位置判定部28は、アクセル開度センサ36が取得したアクセルペダルの開度に基づいて、アクセルがオンであるかオフであるかを検出する。シフト位置判定部28は、アクセルがオンになり、かつ、車輪速が所定の判定開始速度(例えば5km/h)に達すると、シフト位置を判定するシフト位置判定処理を実行する。シフト位置判定処理には、アクセルがオンにされた前後の加速度を決定する加速度決定処理と、決定された加速度に基づいてシフト位置を判定する判定処理とが含まれる。
加速度決定処理では、アクセルがオンにされるまでの第1期間(例えば3秒間)の加速度の平均値を算出し、算出された平均値をアクセルがオンにされる前の加速度(以下、第1加速度という)とする。なお、第1期間に自車両の車輪速がゼロでない期間を含む場合は、その期間を除外して加速度の平均値を算出する。
また、加速度決定処理では、アクセルがオンにされたときから車輪速が判定開始速度に到達するまでの第2期間の加速度の平均値を算出し、算出された平均値をアクセルがオンにされた後の加速度(以下、第2加速度という)とする。
判定処理では、第1加速度と第2加速度の大小関係を比較することにより、走行中の自車両のシフト位置を判定する。詳しくは、判定処理では、「第1加速度<第2加速度」の場合はシフト位置が前進レンジであると判定する。これは、前進する場合(シフト位置が前進レンジである場合)はアクセルをオンした直後の加速度は原則的にはプラス値になるため、加速度が原則的にゼロであるアクセルをオンする直前よりも加速度をオンした直後の方が加速度が大きくなることを利用したものである。また、判定処理では、「第1加速度>第2加速度」の場合はシフト位置が後進レンジであると判定する。これは、後進する場合(シフト位置が後進レンジである場合)はアクセルをオンした直後の加速度は原則的にはマイナス値になるため、加速度が原則的にゼロであるアクセルをオンする直前よりも加速度をオンした直後の方が加速度が小さくなることを利用したものである。
これにより、シフト位置信号がCANを流れない車両であっても、ワイヤーハーネスで運転支援ECU20とエンジンECU(不図示)とを接続することなく、つまりワイヤーハーネスを使用することなく、また図示しないエンジンECU等の既存のECUに大幅な変更を加えることなく、シフト位置を判定できる。つまり、シフト位置を示す信号がCANを流れない車両において、比較的低コストでシフト位置判定装置10を実現できる。
シフト位置判定部28は、シフト位置判定処理を実行した結果、シフト位置が前進レンジであると判定した場合はリバースフラグに0を設定し、シフト位置が後進レンジであると判定した場合はリバースフラグに1を設定する。
図2〜4は、車輪速、アクセル状態、および加速度の遷移を示す図である。図2〜4では、上段から順に車輪速(km/h)、アクセル状態、加速度が示されている。
図2は、時刻t1にシフト位置が後進レンジにある状態でアクセルがオンになり、時刻t2に車輪速が判定開始速度である5km/hに到達した場合を示す。
図2の例では、時刻t1になると、シフト位置判定部28はアクセルがオンであると判定する。時刻t2になり、車輪速が5km/hに達すると、シフト位置判定部28はシフト位置判定処理を実行する。まずシフト位置判定部28は、時刻t0〜時刻t1の第1期間P1における加速度の平均値(第1加速度)と、時刻t1〜時刻2の第2期間P2における加速度の平均値(第2加速度)と、を算出する。続いてシフト位置判定部28は、第1加速度と第2加速度の大小関係を比較してシフト位置を判定する。図2では、第1期間P1における加速度は実質的にゼロであり、第2期間P2における加速度はマイナス値であるため、「第1加速度>第2加速度」となる。したがって、シフト位置判定部28は、シフト位置は後進レンジであると判定する。
図3は、時刻t1にシフト位置が前進レンジにある状態でアクセルがオンになり、時刻t2に車輪速が判定開始速度である5km/hに到達した場合を示す。なお、図3では、加速度センサ32のゼロ点が温度などの影響によって負にオフセットしている場合を示す。
図3の例では、第1期間P1における加速度の平均値はマイナス値であり、第2期間P2における加速度の平均値は第1期間P1よりも大きいマイナス値(絶対値が小さいマイナス値)であるため、「第1加速度<第2加速度」となる。したがって、シフト位置判定部28は、シフト位置は前進レンジであると判定する。
ここで、シフト位置を加速度の正負で判定することも考えられる。すなわち加速度がプラス値の場合はシフト位置が前進レンジであり、加速度がマイナス値の場合はシフト位置が後進レンジであると判定することも考えられる。しかしながら、加速度センサ32は、温度などの影響によってゼロ点が正または負にオフセットする場合があるところ、その場合に加速度の正負でシフト位置を判定すると誤判定しうる。例えば、図3の場合において加速度の正負でシフト位置を判定すると、第2期間P2ではシフト位置が後進レンジであると誤判定する。これに対し、本実施の形態では、シフト位置判定部28はアクセルがオンにされた前後の加速度を比較することによってシフト位置を判定しているため、加速度センサ32のゼロ点が正または負にオフセットしていても、誤判定することなくシフト位置を判定できる。
図4は、後進走行していた状態から時刻t3に車輪速が0km/hになり、車輪速が0km/hになってから比較的短期間後の時刻t1にシフト位置が前進レンジにある状態でアクセルがオンになり、時刻t2に車輪速が判定開始速度である5km/hに到達した場合を示す。
図4の例では、第1期間P1のうち、車輪速がゼロでない期間P1aを除外して車輪速がゼロである期間P1bの加速度の平均値を算出し、算出された平均値を第1加速度とする。第1期間P1における加速度の平均値はほぼゼロであり、第2期間P2における加速度の平均値はプラス値であるため、「第1加速度<第2加速度」となる。したがって、シフト位置判定部28は、シフト位置は前進レンジであると判定する。
図4のごとく、車輪速がゼロになった時(停車時)やその直後は、加速度センサの値が揺らぐことがある。図4の例では、加速度センサの値が揺らいだ結果、車輪速がゼロになった時刻t3の加速度は、第2期間Pの加速度より大きくなっている。そのため、停車時等のある瞬間の加速度を用いてシフト位置を判定すると誤認定しうる。これに対し、本実施の形態では、シフト位置判定部28は加速度の平均値を用いて判定するため、こうした誤認定を抑止できる。
以上説明した本実施の形態に係るシフト位置判定装置10によると、加速度を用いてシフト位置を判定できる。つまり、シフト位置信号がCANを流れない車両であっても、ワイヤーハーネスで運転支援ECU20とエンジンECU(不図示)とを直結することなく、つまりワイヤーハーネスを使用することなく、また既存のECUに大幅な変更を加えることなく、シフト位置を判定できる。
以上、実施例をもとに本発明を説明した。実施例はあくまでも例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
10…シフト位置判定装置、11…運転支援装置、12…環境情報取得装置、18…車両情報取得装置、20…運転支援ECU、28…シフト位置判定部、32…加速度センサ。

Claims (1)

  1. 走行中のシフト位置を判定するシフト位置判定装置であって、
    車両の加速度を検出する加速度検出部と、
    アクセルがオンにされる前の所定期間のうちの車輪速がゼロである期間の加速度の平均値とアクセルがオンにされた後の所定期間の加速度の平均値とを比較することによりシフト位置を判定するシフト位置判定部と、を備えることを特徴とするシフト位置判定装置。
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