JP6504940B2 - 交流高圧電動機の絶縁診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、3kV級交流高圧電動機の絶縁診断方法に係わり、3kV交流高圧電動機の運転履歴や経年変化等による絶縁劣化に伴って変化する絶縁特性を非破壊の絶縁特性試験により求め、得られた絶縁特性値を用いて3kV交流高圧電動機の絶縁破壊電圧性能を推定して絶縁状態の良否を判定する交流高圧電動機の絶縁診断方法に関する。これにより、例えば、3kV交流高圧電動機の予防保全処置や更新時期の決定に必要なデータを提供することができる
ここで、3kV級交流高圧電動機とは、定格電圧が50Hzでは3kV、60Hzでは3.3kVとなる交流高圧電動機をさす。
交流高圧電動機の絶縁診断では、交流高圧電動機に使用する絶縁物の絶縁階級がB種(許容最高温度が130℃)からF種(許容最高温度が155℃)に変更されて絶縁性能が向上したことに伴い、直流試験法(交流高圧電動機に直流電圧を印加した際の充電特性と放電特性を求めて、コイル表面の汚染状態、コイル表面の損傷状態、絶縁体の吸湿状態等を判定すること)の有効性が薄れ、交流試験法(交流高圧電動機に交流電圧を印加した際の絶縁特性を求めて絶縁材の劣化状態を診断すること)の有効性が高まっている。このため、交流高圧電動機のコイル巻替え修理が決定された場合、コイル巻替え修理の前に交流試験法から破壊電圧推定値を求め、交流高圧電動機の破壊試験を行って実際の絶縁破壊電圧を求めることにより、交流高圧電動機の絶縁特性と絶縁破壊電圧との関係を示すデータを蓄積することが可能になっている。
そこで、蓄積されたデータに基づいて、交流高圧電動機の絶縁特性と絶縁破壊電圧との関係を定式化することにより、交流高圧電動機の絶縁劣化に伴って変化する絶縁特性を測定すると、交流高圧電動機の絶縁破壊電圧を推定することが可能となる。そして、交流高圧電動機の絶縁特性を測定し交流高圧電動機の絶縁破壊電圧を推定すると、緊急対策の必要性を含めた種々の提案(例えば、絶縁特性から絶縁劣化の要因を特定して交流高圧電動機に対する具体的な予防保全策の提案、交流高圧電動機の絶縁更新時期の提案等)を行うことが可能となるため、交流試験法により交流高圧電動機の絶縁特性を測定し絶縁破壊電圧を推定するという一連の手法は、交流高圧電動機に対する有効性の高い総合診断方法とされている。なお、交流高圧電動機の絶縁破壊電圧は熱ストレスや機械ストレス及び経年変化等で低下するので、絶縁診断の際に推定される絶縁破壊電圧のことを「残存絶縁破壊電圧」とも呼ぶ。
交流高圧電動機の絶縁特性と絶縁破壊電圧との関係を定式化して、交流高圧電動機のコイル寿命を診断することに関しては種々の報告がある。
例えば、非特許文献1には、測定した交流高圧電動機の絶縁特性と絶縁破壊試験で測定した絶縁破壊電圧を組合わせたデータを蓄積して、交流高圧電動機の絶縁特性をパラメータとして交流高圧電動機の残存絶縁破壊電圧を推定する実験式を求めることが記載されている。
また、非特許文献2、3には、交流試験法により交流高圧電動機の絶縁特性を測定し、絶縁破壊試験により交流高圧電動機の絶縁破壊電圧を測定して、理論的考察に基づき絶縁破壊電圧に関与する絶縁特性を独立変数、絶縁破壊電圧を従属変数とする回帰式を求めることにより、交流高圧電動機の診断を行うことが記載されている。
三原晨哉、渡辺尚利,「高圧回転機固定子コイル(3kV級)の残存破壊電圧推定システムの開発について」,一般産業研究会資料資料番号GID−00−5,社団法人電気学会,2000年5月26日,p.25−29 門谷建蔵,「回転機マイカ・レジン絶縁コイルの絶縁劣化診断方法の一考察」,電気学会論文誌A,社団法人電気学会,昭和55年5月24日,第100巻,第9号,p.46−52 中山昭伸,芳賀弘二,村岡政義「回転機固定子コイルの余寿命診断」,富士時報,富士電機株式会社,1999年,第72巻,第5号,p.32−35
非特許文献1に記載された残存破壊電圧推定システムは、3kV級の交流高圧電動機に加えて6kV級(定格電圧が50Hzでは6kV、60Hzでは6.6kV)及び11kV級(定格電圧が50Hzでは11kV、60Hzでは12.1kV)の交流高圧電動機に対しても適用可能な手法となっている。このため、残存破壊電圧推定システムの重要パラメータである運転電圧近辺でのコロナ放電特性の違い、即ち、3kV級交流高圧電動機ではほとんどの場合に運転電圧近辺でコロナ放電は見られないが、6kV級及び11kV級交流高圧電動機では運転電圧近辺でコロナ放電が見られるという違いが考慮されておらず、3kV級交流高圧電動機の絶縁破壊の特徴を正確に反映した実験式とはなっていないと考えられる。このため、3kV級交流高圧電動機の残存絶縁破壊電圧を推定する際、劣化状況によっては推定精度が低下する可能性がある。更に、絶縁階級がB種の絶縁物を使用した交流高圧電動機に関しても適用可能とするため、実験式に絶縁階級がF種の絶縁物の劣化特性変化に対応していないパラメータ(直流試験法で測定した交流高圧電動機の電気絶縁諸量)が含まれており、F種の絶縁物を使用した交流高圧電動機に対しては、残存絶縁破壊電圧の推定精度を向上させる際の阻害要因となっている。
非特許文献2、3に記載された診断方法は、運転電圧でコロナ放電が安定的に発生する定格電圧が6kV級以上の交流高圧電動機を対象としており、3kV級交流高圧電動機は対象になっていない。一方、産業用電動機の絶縁診断実績では、定格電圧が3kV級交流高圧電動機が55%を占め、3kV級交流高圧電動機が診断対象の主体になっている(例えば、河村達雄外編、電気設備の診断技術[改訂版]、電気学会、2003年10月17日)。加えて、工場で使用されている産業用電動機の約80%を3kV級交流高圧電動機が占める例もあり、3kV級の交流高圧電動機に対して、交流試験法により絶縁特性を測定することにより、絶縁破壊電圧を推定すると共に、予防保全策や更新時期の提案を行う総合的な絶縁診断方法が求められている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、3kV級交流高圧電動機の絶縁破壊電圧を精度よく推定し予防保全策や更新時期の提案を行うことが可能な交流高圧電動機の絶縁診断方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る交流高圧電動機の絶縁診断方法は、複数の3kV級交流高圧電動機Mに対してそれぞれ、運転電圧の変動に基づいて設定した最大運転電圧を印加する絶縁特性試験T、定格電圧を印加する絶縁特性試験T、及び絶縁破壊試験を順次行い、前記絶縁特性試験T、Tでそれぞれ得られた種々の絶縁特性R、Rと前記絶縁破壊試験で得られた絶縁破壊電圧Vの設計絶縁破壊電圧に対する割合を示す絶縁破壊電圧性能Pとの関係から、前記絶縁特性試験Tで得られる各絶縁特性を変数として絶縁破壊電圧性能を算出する演算式F及び前記絶縁特性試験Tで得られる各絶縁特性を変数として絶縁破壊電圧性能を算出する演算式Fをそれぞれ求める工程と、
診断対象の3kV級交流高圧電動機Mに対して前記絶縁特性試験T、Tをそれぞれ行って種々の絶縁特性D、Dを測定し、得られた前記各絶縁特性D、Dと前記演算式F、Fを用いて絶縁破壊電圧性能C、Cをそれぞれ算出する工程と、
前記絶縁破壊電圧性能Cの値に応じて、前記3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能に対して絶縁性能良好、絶縁性能要監視、絶縁性能要注意、又は絶縁性能不良の判定を行い、前記絶縁性能要注意又は前記絶縁性能不良と判定した際は、前記絶縁破壊電圧性能Pと前記演算式Fから算出される絶縁破壊電圧性能のそれぞれの統計量を用いて前記絶縁破壊電圧性能Cを補正し、得られた補正値を該絶縁性能要注意時又は該絶縁性能不良時の絶縁破壊電圧性能とする工程とを有している。
ここで、定格電圧をEとした場合、運転電圧(常規電圧)はE/31/2となる。また、運転電圧の変動を考慮して、運転電圧の許容上限は運転電圧の約1.2倍とされている。このため、最大運転電圧を、例えば、1.25E/31/2と設定する。
本発明に係る交流高圧電動機の絶縁診断方法においては、絶縁破壊電圧性能Cの値から診断対象の3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能が絶縁性能要注意又は絶縁性能不良と判定された場合、絶縁破壊電圧性能Cを補正して絶縁性能要注意時又は絶縁性能不良時の絶縁破壊電圧性能とするので、絶縁劣化が進行している3kV級交流高圧電動機Mの絶縁破壊電圧性能の安定した評価を行うことができる。
3kV級交流高圧電動機に対して絶縁特性試験と絶縁破壊試験を行う時の回路図である。 実施例1において3kV級交流高圧電動機間の絶縁破壊電圧性能A、B、Cの変化挙動を示す説明図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
本発明の一実施の形態に係る交流高圧電動機の絶縁診断方法は、複数の3kV級交流高圧電動機Mに対してそれぞれ、運転電圧の変動に基づいて設定した最大運転電圧を印加する絶縁特性試験T、定格電圧を印加する絶縁特性試験T、及び絶縁破壊試験を順次行い、絶縁特性試験T、Tでそれぞれ得られた種々の絶縁特性R、Rと絶縁破壊試験で得られた絶縁破壊電圧Vの設計絶縁破壊電圧に対する割合(本実施の形態では%表示)を示す絶縁破壊電圧性能Pとの関係から、絶縁特性試験Tで得られる各絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能(本実施の形態では%表示)を算出する演算式F及び絶縁特性試験Tで得られる各絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能(本実施の形態では%表示)を算出する演算式Fをそれぞれ求める工程を有している。
更に、交流高圧電動機の絶縁診断方法は、診断対象の3kV級交流高圧電動機Mに対して絶縁特性試験T、Tをそれぞれ行って種々の絶縁特性D、Dを測定し、得られた各絶縁特性D、Dと演算式F、Fを用いて絶縁破壊電圧性能C、C(本実施の形態では%表示)をそれぞれ算出する工程と、絶縁破壊電圧性能Cの値に応じて、3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能に対して絶縁性能良好、絶縁性能要監視、絶縁性能要注意、又は絶縁性能不良の判定を行い、絶縁性能要注意又は絶縁性能不良と判定した際は、絶縁破壊電圧性能Pと演算式Fから算出される絶縁破壊電圧性能のそれぞれの統計量を用いて前記絶縁破壊電圧性能Cを補正し、得られた補正値を絶縁性能要注意時又は絶縁性能不良時の絶縁破壊電圧性能とする工程とを有している。
3kV級交流高圧電動機Mに対して絶縁特性試験T、絶縁特性試験T、及び絶縁破壊試験を順次行う場合、図1に示すように、3kV級交流高圧電動機Mの各相のコイルU、V、Wの端部を連結部10で接続し、連結部10を試験用変圧器11(試験用電圧源の一例)の二次側の対となる端子12、13の一方、例えば端子12と接続する。そして、端子12、13間には高圧リアクトル14が接続され、端子13は絶縁診断装置15を介して接地する。試験用変圧器11の一次側の対となる端子16、17は、200V商用電源(図示せず)に開閉器18を介して接続する誘導電圧調整器19の出力側とそれぞれ接続している。符号20は、試験用変圧器11の一次側の端子16、17間に接続されて試験用変圧器11の一次側に印加される電圧を測定する電圧計である。なお、絶縁診断装置15には、交流試験法により交流高圧電動機の絶縁特性を求める際に従来から使用しているものを使用することができる。
ここで、種々の絶縁特性Rとは、例えば、最大運転電圧印加時の電流増加率(ΔI)、最大運転電圧印加時の誘電正接(tanδ)と放電が発生しない電圧印加時の誘電正接(tanδ)の差(Δtanδ)、及び最大運転電圧印加時の最大放電電荷(Qmax1)である。また、種々の絶縁特性Rとは、例えば、定格電圧印加時の電流増加率(ΔI)、定格電圧印加時の誘電正接(tanδ)と放電が発生しない電圧印加時の誘電正接(Δtanδ)の差(Δtanδ)、及び最大運転電圧印加時の最大放電電荷(Qmax2)である。
同一規格の3kV級交流高圧電動機であっても、使用環境が異なると絶縁劣化形態(例えば、主たる劣化要因、劣化速度等)が異なる。そこで、複数の3kV級交流高圧電動機Mを予め使用環境に応じて、例えば、業種(産業)別に分類する。なお、製鉄業のように一つの業種でも作業内容が広範囲にわたる場合は、例えば、作業別(工程別や工場別)に分類する。次いで、分類した複数の3kV級交流高圧電動機M毎に、絶縁特性試験T、T及び絶縁破壊試験を順次行ってそれぞれ複数の絶縁特性R、R、及び絶縁破壊電圧Vを測定し、得られた複数の絶縁特性R、Rの分布から平均値μ及び標準偏差σをそれぞれ求める。
そして、3kV級交流高圧電動機Mに対して測定された各絶縁特性Rと絶縁破壊試験で得られた絶縁破壊電圧性能Pとの関係から、絶縁特性試験Tで得られる複数の絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能Pを算出する演算式Fを求める場合、絶縁特性試験Tで得られる絶縁特性Rの代わりに、絶縁特性試験Tで得られる絶縁特性Rを絶縁特性Rの分布に対してそれぞれ設定した基準値を用いて正規化した正規化値を用いる。同様に、種々の絶縁特性Rと絶縁破壊試験で得られた絶縁破壊電圧性能Pとの関係から、絶縁特性試験Tで得られる複数の絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能Pを算出する演算式Fを求める場合、絶縁特性試験Tで得られる絶縁特性Rの代わりに、絶縁特性試験Tで得られる絶縁特性Rを絶縁特性Rの分布に対してそれぞれ設定した基準値を用いて正規化した正規化値を用いる。
絶縁特性R、Rの正規化値を用いることによって、業種別の3kV級交流高圧電動機Mの絶縁特性R、Rを、3kV級交流高圧電動機Mという一つの集団(データベース)が有する絶縁特性として扱うことができる。
ここで、基準値として、例えば、分布の平均値μ、標準偏差σを用いてμ+3σとして算出される値を採用する。基準値をμ+3σとすることで、演算式F、Fを用いて絶縁破壊電圧性能を算出する際、過剰に大きな絶縁特性R、Rの絶縁破壊電圧性能に及ぼす影響(例えば、絶縁破壊電圧性能が負の値になる頻度)、及び過剰に小さな絶縁特性R、Rの絶縁破壊電圧性能に及ぼす影響(例えば、絶縁破壊電圧性能が100%を超える頻度)をそれぞれ小さくすることができる。
3kV級交流高圧電動機Mの試験において、定格電圧(E)を印加する絶縁特性試験Tでは部分放電が発生する電圧条件が成立し、非特許文献2の6kV級交流高圧電動機における6kV級交流高圧電動機の印加電圧3.8kVに近いため、絶縁破壊電圧性能を算出する条件での試験として相応しい印加電圧と考えられる。このため、各絶縁特性Rと絶縁破壊試験から得られた絶縁破壊電圧性能Pとの関係から決定した演算式Fを用いて算出される絶縁破壊電圧性能は、絶縁破壊試験から得られる絶縁破壊電圧性能Pをよく近似する可能性が高いと考えられる。しかし、非特許文献2の演算式は、平均的な劣化サンプルに基づいた演算式であると考えられるため、異常な絶縁劣化を起こした3kV級交流高圧電動機に対しては、演算式Fから算出した絶縁破壊電圧性能は絶縁破壊電圧性能Pからずれることになる。従って、演算式Fから求めた絶縁破壊電圧性能の分布の平均値は絶縁破壊電圧性能Pによく一致するが、ばらつき(例えば、標準偏差)は大きくなるという特徴を有する。
一方、3kV級交流高圧電動機の絶縁特性試験Tにおいて印加する最大運転電圧(例えば、1.25E/31/2)は部分放電が比較的安定に発生する最低レベルの電圧であるため、演算式Fにより求められる絶縁特性は、安定した絶縁特性を得ることができるが、定格電圧試験である絶縁特性試験Tでの絶縁特性Rに比べて全体的に特性値が小さくなる傾向にある。このため、演算式Fを用いて算出される絶縁破壊電圧性能の分布の平均値は、絶縁破壊試験から得られる絶縁破壊電圧性能Pからずれる可能性が高い。しかし、運転電圧領域での絶縁破壊電圧性能を算出することで、運転電圧領域で測定した絶縁特性Rと絶縁破壊電圧Vとの相関が極めて高いことを3kV級交流高圧電動機の絶縁特性試験において発見した。このため、平均的な劣化要因から外れた3kV級交流高圧電動機に対しても絶縁特性Rと絶縁破壊電圧Vの相関は高くなり、演算式Fを用いて算出される絶縁破壊電圧性能の分布のばらつき(例えば、標準偏差)は小さくなるという特徴を有する。
診断対象の3kV級交流高圧電動機Mの絶縁破壊電圧性能C、Cを算出する場合、先ず、3kV級交流高圧電動機Mに対して絶縁特性試験T、Tをそれぞれ行って種々の絶縁特性D、Dを測定する。そして、診断対象の3kV級交流高圧電動機Mと同じ業種に分類された3kV級交流高圧電動機Mを用いて得られている種々の絶縁特性Rの分布に対してそれぞれ設定した基準値を用いて種々の絶縁特性Dを正規化して正規化値を求め、演算式Fに代入して絶縁破壊電圧性能Cを算出する。同様に、種々の絶縁特性Rの分布に対してそれぞれ設定した基準値を用いて種々の絶縁特性Dを正規化して正規化値を求め、演算式Fに代入して絶縁破壊電圧性能Cを算出する。
演算式F、Fの決定に使用した各絶縁特性R、Rは、限られた台数の3kV級交流高圧電動機Mに対して得られたものなので、各絶縁特性R、Rは限られた範囲内に存在している。このため、3kV級交流高圧電動機Mが3kV級交流高圧電動機Mと同一の業種であっても、3kV級交流高圧電動機Mに対して測定した各絶縁特性D、Dが、各絶縁特性R、Rの上限値を超えたり、下限値を下回ることがある。そこで、3kV級交流高圧電動機M毎に測定された各絶縁特性D、Dの正規化値を用いることにより、過剰に大きな絶縁特性D、D、過剰に小さな絶縁特性D、Dが得られた場合でも、絶縁破壊電圧性能C、Cに及ぼす影響を小さくすることができる。その結果、3kV級交流高圧電動機M毎に算出される絶縁破壊電圧性能C、Cのばらつきを小さくすることができ、算出した絶縁破壊電圧性能C、Cから、3kV級交流高圧電動機Mの絶縁破壊電圧性能を、3kV級交流高圧電動機Mが属する業種内で正確に評価とすることができる。
ここで、演算式Fを用いて算出される絶縁破壊電圧性能の分布の平均値は、絶縁破壊試験から得られる絶縁破壊電圧性能Pに一致するが、演算式Fを用いて算出される絶縁破壊電圧性能の分布のばらつきは大きくなるという特徴を有する。このため、診断対象の3kV級交流高圧電動機Mの絶縁破壊電圧性能C、Cが得られると、先ず、演算式Fから算出された絶縁破壊電圧性能Cの値を用いて3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能を判定する。
例えば、絶縁破壊電圧性能Cが予め設定した値K1(但し、K1<100)超の場合は、絶縁性能良好と判定する。絶縁破壊電圧性能Cが予め設定した値K2(但し、K2<K1)を超えK1以下の場合は、絶縁性能要監視と判定し、判定された3kV級交流高圧電動機Mに対しては、所定の期間毎に絶縁特性試験T、Tを実施し、絶縁破壊電圧性能C、Cの変化を監視する。絶縁破壊電圧性能Cが予め設定した値K3(但し、K3<K2)を超えK2以下の場合は、絶縁性能要注意と判定しコイルの巻替え計画を立案すると共に、絶縁性能要注意と判定された3kV級交流高圧電動機Mの正確な絶縁破壊電圧性能を把握する。即ち、絶縁性能要注意と判定された3kV級交流高圧電動機Mの絶縁破壊電圧性能Cを、絶縁破壊電圧性能Pと演算式Fから算出される絶縁破壊電圧性能のそれぞれの統計量を用いて補正して補正値を求め、絶縁性能要注意と判定された絶縁破壊電圧性能Cを得られた補正値に置換えて絶縁性能要注意時の絶縁破壊電圧性能とする。また、絶縁破壊電圧性能CがK3以下の場合は絶縁性能不良と判定し、絶縁性能不良と判定された3kV級交流高圧電動機Mの正確な絶縁破壊電圧性能を把握する。即ち、絶縁性能不良と判定された3kV級交流高圧電動機Mの絶縁破壊電圧性能Cを、絶縁破壊電圧性能Pと演算式Fから算出される絶縁破壊電圧性能のそれぞれの統計量を用いて補正して補正値を求め、絶縁性能不良と判定された絶縁破壊電圧性能Cを得られた補正値に置換えて絶縁性能不良時の絶縁破壊電圧性能とする。補正後も絶縁性能不良となった場合は緊急にコイルの巻替えを計画する
なお、K1、K2、K3は、各絶縁特性Rと演算式Fを用いて推定される絶縁破壊電圧性能に基づいて予め設定されたもので、K1、K2、K3の値は、例えば、製造業で使用される3kV級交流高圧電動機の場合、K1=55、K2=35、K3=23.7と設定される。
演算式Fを用いて算出される絶縁破壊電圧性能の分布の平均値は、絶縁破壊試験から得られる絶縁破壊電圧性能Pと異なる可能性が高いが、演算式Fを用いて算出される絶縁破壊電圧性能の分布のバラツキは小さくなるという特徴を有する。そこで、絶縁破壊電圧性能Pの平均値PFA(絶縁破壊電圧性能Pの統計量の一例)と、各絶縁特性Rの補正値を演算式Fに代入して算出される絶縁破壊電圧性能の平均値C1A(演算式Fから算出される絶縁破壊電圧性能の統計量の一例)を用いて、絶縁破壊電圧性能Cの値に、平均値PFAから平均値C1Aを引いて得られる差分C(=PFA−C1A)を加えるという補正(絶縁破壊電圧性能Cの補正の一例)を行って、得られた補正値を絶縁性能要注意時又は絶縁性能不良時の絶縁破壊電圧性能とする。従って、絶縁性能要注意と判定された3kV級交流高圧電動機Mでは、このときの絶縁破壊電圧性能Cの代わりに、この3kV級交流高圧電動機Mの絶縁破壊電圧性能Cに差分Cを加えて得られる補正値C+Cを絶縁性能要注意時の絶縁破壊電圧性能とする。同様に、絶縁性能不良と判定された3kV級交流高圧電動機Mでは、このときの絶縁破壊電圧性能Cの代わりに、この3kV級交流高圧電動機Mの絶縁破壊電圧性能Cに差分Cを加えて得られる補正値C+Cを絶縁性能不良時の絶縁破壊電圧性能とする。
続いて、本発明の一実施の形態に係る交流高圧電動機の絶縁診断方法の作用について説明する。
例えば、6kV級交流高圧電動機において、6kV級交流高圧電動機の運転電圧の1.25倍に近い4.5kVの電圧を印加する絶縁特性試験で採取した絶縁特性に基づいて推定した絶縁破壊電圧は、絶縁破壊試験で得られた絶縁破壊電圧との相関が高いことが指摘されている。このため、3kV級交流高圧電動機Mに対して、4.5kVに近い電圧である定格電圧を印加する絶縁特性試験Tを行って得られた種々の絶縁特性Rと絶縁破壊試験で得られた絶縁破壊電圧性能Pとの関係から、絶縁特性試験Tで得られる各絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能を算出する演算式Fを求めると、演算式Fから得られる絶縁破壊電圧性能の分布では、平均値PFAが絶縁破壊電圧性能Pとよく一致している(相関係数の絶対値が0.5〜0.7)。このため、診断対象の3kV級交流高圧電動機Mに対して絶縁特性試験Tを行って種々の絶縁特性Dを測定し、得られた各絶縁特性Dと演算式Fを用いて絶縁破壊電圧性能Cを算出し、絶縁破壊電圧性能Cを用いて3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能に対して絶縁性能良好、絶縁性能要監視、絶縁性能要注意、又は絶縁性能不良の判定を行う。
運転電圧(定格電圧をEとしてE/31/2と表される)が変動した場合に基づい設定した最大運転電圧として運転電圧の1.25倍の電圧を印加する絶縁特性試験Tを行って得られた種々の絶縁特性Rと絶縁破壊電圧性能Pとの関係から、絶縁特性試験Tで得られる各絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能を算出する演算式Fを求めると、演算式Fから得られる絶縁破壊電圧性能の分布では、平均値は絶縁破壊電圧性能Pと大きく異なるが、ばらつきは小さい(例えば、相関係数の絶対値が0.7〜1)。このため、絶縁破壊電圧性能Cの値から診断対象の3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能が、絶縁性能要注意又は絶縁性能不良と判定された場合、絶縁破壊電圧性能Pの平均値PFAと、各絶縁特性Rの補正値を演算式Fに代入して算出される絶縁破壊電圧性能の平均値C1Aを用いて、絶縁破壊電圧性能Cの値に、平均値PFAから平均値C1Aを引いて得られる差分を加えるという補正を行って、得られた補正値を絶縁性能要注意時又は絶縁性能不良時の絶縁破壊電圧性能とすることにより、絶縁性能要注意又は絶縁性能不良と判定された3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能を正確に把握することができる。
複数の3kV級交流高圧電動機Mから絶縁特性試験T、Tで得られる各絶縁特性R、Rを変数として絶縁破壊電圧性能を算出する演算式F、Fを求める場合、3kV級交流高圧電動機Mを予め使用環境に応じて、例えば、業種別に分類する。そして、業種別の3kV級交流高圧電動機Mに対して得られた各絶縁特性R、Rと絶縁破壊試験で得られた絶縁破壊電圧性能Pとの関係から、絶縁特性試験T、Tで得られる各絶縁特性R、Rを変数として絶縁破壊電圧性能を算出する演算式F、Fを求める場合、業種別の3kV級交流高圧電動機Mの各絶縁特性R、Rの代わりに、各絶縁特性R、Rの分布に対してそれぞれ設定した基準値、例えば、各分布の平均値μと標準偏差σからμ+3σとして算出される値を用いて正規化した正規化値を用いる。これにより、業種別の3kV級交流高圧電動機Mの絶縁特性R、Rを、3kV級交流高圧電動機Mという一つの集団が有する絶縁特性として扱うことができる。
また、演算式F、Fが決定されて、診断対象の3kV級交流高圧電動機Mに対して絶縁特性試験T、Tをそれぞれ行って各絶縁特性D、Dを測定し、得られた各絶縁特性D、Dと演算式F、Fを用いて絶縁破壊電圧性能C、Cを求める場合も、3kV級交流高圧電動機Mと同じ業種に分類された3kV級交流高圧電動機Mを用いて得られている各絶縁特性Rの分布に対してそれぞれ設定した基準値を用いて、各絶縁特性D、Dを正規化して正規化値を求め、正規化値を演算式F、Fにそれぞれ代入して絶縁破壊電圧性能C、Cを算出する。これにより、例えば、初めて実施する3kV級交流高圧電動機Mに対してもばらつきの少ない絶縁破壊電圧性能C、Cを求めることができると共に、業種内での3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能を同一判定基準で行うことができる。
(実施例1)
同一業種に分類される10台の3kV級交流高圧電動機に対してそれぞれ絶縁特性試験T、T、及び絶縁破壊試験を順次行い、各絶縁特性R、Rと絶縁破壊電圧性能Aを求めた。その結果を表1に示す。
Figure 0006504940
また、各絶縁特性R、Rの分布を求め、各分布の平均値μ、標準偏差σを用いてμ+3σで算出される値を基準値として、基準値を用いて各絶縁特性R、Rの正規化値を求め、各絶縁特性R、Rの正規化値から絶縁破壊電圧性能Aを算出する演算式F、Fを求めた。そして、各絶縁特性Rと演算式Fから絶縁破壊電圧性能Bを、各絶縁特性Rと演算式Fから絶縁破壊電圧性能Cをそれぞれ求めた。その結果を表1に示す。
絶縁特性R、Rはいずれも、電流増加率ΔI、誘電正接増加率Δtanδ、及び最大放電電荷Qmaxである。演算式F(i=1、2)は、電流増加率ΔI、誘電正接増加率Δtanδ、及び最大放電電荷Qmaxを変数として、次式の形式となった。
(%)=100−α1×([ΔI]+[Δtanδ]−Δ初期値)−α2×log([Qmaxi]/Qmax初期値
ここで、[ ]は正規化値を示す。また、α1、α2、Δ初期値(=ΔI+Δtanδ)、Qmax初期値は、それぞれ演算式F、Fを決定する過程で決まる数値係数である。
なお、α1は33、α2は67、Δ初期値及びΔ初期値は0.8、Qmax初期値及びQmax初期値は1000となった。
絶縁破壊電圧性能Aに対する絶縁破壊電圧性能Bの偏差A−Bをそれぞれ求め、偏差A−Bの平均値及び標準偏差と、絶縁破壊電圧性能Aと絶縁破壊電圧性能Bとの相関係数をそれぞれ求めると、平均値は−2、標準偏差は7.49、相関係数は0.52であった。従って、演算式Fから得られる絶縁破壊電圧性能Bの分布は、平均値が絶縁破壊電圧性能Aの平均値とよく一致し、相関係数は0.52を示し絶縁破壊電圧性能Aと絶縁破壊電圧性能Bとはかなり高い相関があることが解る。また、絶縁破壊電圧性能Aに対する絶縁破壊電圧性能Cの偏差A−Cをそれぞれ求め、偏差A−Cの平均値及び標準偏差と、絶縁破壊電圧性能Aと絶縁破壊電圧性能Cとの相関係数をそれぞれ求めると、平均値は−30、標準偏差は5.57、相関係数は0.71であった。従って、演算式Fから得られる絶縁破壊電圧性能Cの分布は、平均値は絶縁破壊電圧性能Aの平均値と大きくずれることになるが、相関係数は0.71を示し絶縁破壊電圧性能Aと絶縁破壊電圧性能Cとは高い相関があることが解る。
図2に、3kV級交流高圧電動機毎の絶縁破壊電圧性能A、B、Cを示す。図2からも、3kV級交流高圧電動機間において、絶縁破壊電圧性能Aの変化挙動と絶縁破壊電圧性能Bの変化挙動はよく一致していることが解る。
(実施例2)
実施例1に使用した3kV級交流高圧電動機と同一業種に分類される3kV級交流高圧電動機(320kW)に対して絶縁診断を8回実施し、絶縁特性試験Tから得られる各絶縁特性Rを実施例1で求めた演算式Fに代入して絶縁破壊電圧性能Gを、絶縁特性試験Tから得られる各絶縁特性Rを実施例1で求めた演算式Fに代入して絶縁破壊電圧性能Hをそれぞれ算出した。その結果を表2に示す。
Figure 0006504940
表2に示すように、絶縁特性試験Tで測定した各絶縁特性Rと演算式Fを用いて求めた絶縁破壊電圧性能Hは、平均的な劣化要因から外れた3kV級交流高圧電動機に対して絶縁破壊電圧性能が絶縁破壊電圧性能Pからずれることになるため、絶縁破壊電圧性能Hが負に評価される場合が存在し、精度が大きく低下していることが解る。そこで、絶縁特性試験Tで測定した各絶縁特性Rと演算式Fを用いて求めた絶縁破壊電圧性能Gに対して、実施例1における絶縁破壊電圧性能Aの平均値Aaと、各絶縁特性Rの補正値を演算式Fに代入して算出される絶縁破壊電圧性能Cの平均値Caを用いて、絶縁破壊電圧性能Gの値に、平均値Aaから平均値Caを引いて得られる差分を加えるという補正を行った。補正値を表2に示す。補正値は正の値を示し、絶縁性能が安定して評価されることを示している。
(実施例3)
実施例1に使用した3kV級交流高圧電動機と同一業種に分類される3台の3kV級交流高圧電動機に対してそれぞれ絶縁特性試験Tを行い各絶縁特性Rを求めた。そして、実施例1の絶縁特性試験Tで測定した各絶縁特性Rと絶縁破壊試験から得られた絶縁破壊電圧性能Aを用いて、各絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能Aを求める演算式を求め、得られた演算式と各絶縁特性Rを用いて絶縁破壊電圧性能Xを算出した。また、実施例1で求めた演算式Fと各絶縁特性Rを用いて絶縁破壊電圧性能Yを算出した。その結果を表3に示す。
Figure 0006504940
表3に示すように、3台の3kV級交流高圧電動機の各絶縁特性Dを変数として絶縁破壊電圧性能Aを求める演算式から算出した絶縁破壊電圧性能Xは、正規化補正を行わない場合は評価結果に大きな差(24.1%〜80.0%と55.9%の差)が存在するが、演算式Fを用いて評価される絶縁破壊電圧性能Y、即ち、3kV級交流高圧電動機Mという一つの集団(データベース)のデータを用いた正規化補正が行われた絶縁破壊電圧性能では、評価結果の差(49.6%〜84.1%と34.5%の差)が縮小していることが解る。従って、例えば、工場全体で使用されている3kV級交流高圧電動機の絶縁破壊電圧性能を算出して、3kV級交流高圧電動機を絶縁劣化が進行している順番に精度よく序列化することができる。
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
更に、本実施の形態とその他の実施の形態や変形例にそれぞれ含まれる構成要素を組合わせたものも、本発明に含まれる。
10:連結部、11:試験用変圧器、12、13:端子、14:高圧リアクトル、15:絶縁診断装置、16、17:端子、18:開閉器、19:誘導電圧調整器、20:電圧計

Claims (5)

  1. 複数の3kV級交流高圧電動機Mに対してそれぞれ、運転電圧の変動に基づいて設定した最大運転電圧を印加する絶縁特性試験T、定格電圧を印加する絶縁特性試験T、及び絶縁破壊試験を順次行い、前記絶縁特性試験T、Tでそれぞれ得られた種々の絶縁特性R、Rと前記絶縁破壊試験で得られた絶縁破壊電圧Vの設計絶縁破壊電圧に対する割合を示す絶縁破壊電圧性能Pとの関係から、前記絶縁特性試験Tで得られる各絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能を算出する演算式F及び前記絶縁特性試験Tで得られる各絶縁特性Rを変数として絶縁破壊電圧性能を算出する演算式Fをそれぞれ求める工程と、
    診断対象の3kV級交流高圧電動機Mに対して前記絶縁特性試験T、Tをそれぞれ行って種々の絶縁特性D、Dを測定し、得られた前記各絶縁特性D、Dと前記演算式F、Fを用いて絶縁破壊電圧性能C、Cをそれぞれ算出する工程と、
    前記絶縁破壊電圧性能Cの値に応じて、前記3kV級交流高圧電動機Mの絶縁性能に対して絶縁性能良好、絶縁性能要監視、絶縁性能要注意、又は絶縁性能不良の判定を行い、前記絶縁性能要注意又は前記絶縁性能不良と判定した際は、前記絶縁破壊電圧性能Pと前記演算式Fから算出される絶縁破壊電圧性能のそれぞれの統計量を用いて前記絶縁破壊電圧性能Cを補正し、得られた補正値を該絶縁性能要注意時又は該絶縁性能不良時の絶縁破壊電圧性能とする工程とを有していることを特徴とする交流高圧電動機の絶縁診断方法。
  2. 請求項1記載の交流高圧電動機の絶縁診断方法において、前記各絶縁特性Rと前記演算式Fを用いて推定される前記絶縁破壊電圧性能に基づいて、絶縁破壊電圧性能として大きさが順に小さくなる3つの数値K1、K2、K3を予め設定し、
    1)前記絶縁破壊電圧性能CがK1超では前記絶縁性能良好と判定し、
    2)前記絶縁破壊電圧性能CがK2を超えK1以下の範囲では前記絶縁性能要監視と判定し、
    3)前記絶縁破壊電圧性能CがK3を超えK2以下の範囲では前記絶縁性能要注意と判定すると共に、該絶縁破壊電圧性能Cを前記補正値に置換えて該絶縁性能要注意時の絶縁破壊電圧性能とし、
    4)前記絶縁破壊電圧性能CがK3以下では前記絶縁性能不良と判定すると共に、該絶縁破壊電圧性能Cを前記補正値に置換えて該絶縁性能不良の絶縁破壊電圧性能とすることを特徴とする交流高圧電動機の絶縁診断方法。
  3. 請求項1又は2記載の交流高圧電動機の絶縁診断方法において、前記統計量は、前記絶縁破壊電圧性能Pの平均値PFAと、前記各絶縁特性R及び前記演算式Fから算出した絶縁破壊電圧性能の平均値C1Aであって、前記補正値は、前記絶縁破壊電圧性能Cの値に、前記平均値PFAから前記平均値C1Aを引いて得られる差分を加えることにより求めることを特徴とする交流高圧電動機の絶縁診断方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の交流高圧電動機の絶縁診断方法において、前記3kV級交流高圧電動機Mの使用環境に応じて前記絶縁特性試験T、Tからそれぞれ得られる前記各絶縁特性R、Rの分布を予め求めておき、前記3kV級交流高圧電動機Mに対して測定された前記各絶縁特性D、Dを用いて前記演算式F、Fから前記絶縁破壊電圧性能C、Cをそれぞれ算出する際は、前記各絶縁特性D、Dの代わりに、該絶縁特性D、Dをそれぞれ前記3kV級交流高圧電動機Mの使用環境に当てはまる前記3kV級交流高圧電動機Mの前記分布に応じて決まる基準値を用いて正規化した正規化値を用いることを特徴とする交流高圧電動機の絶縁診断方法。
  5. 請求項4記載の交流高圧電動機の絶縁診断方法において、前記基準値は、前記分布の平均値μ、標準偏差σを用いてμ+3σとして算出することを特徴とする交流高圧電動機の絶縁診断方法。
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