JP6504560B2 - 無線式鉄道制御システム及び地上装置 - Google Patents
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Description
特に、列車密度の低い即ち単位時間当たりの列車本数の少ない地方交通線などの鉄道に対して適用するのに好都合な無線式鉄道制御システムに関する。
これらの無線式列車制御システムについては、車上装置と地上装置との無線伝送(無線通信)に時分割多元接続(TDMA,Time Division Multiple Access,時分割多重)通信方式が採用されていることが知られており、さらに、一つの地上装置の通信範囲である通信ゾーン内で地上装置と複数の車上装置とが時分割多元接続通信方式で交信する際に用いられるスロット送信のタイミング管理(以下、スロット送信タイミング管理ともいう)の具体例も知られている(例えば特許文献4〜5、非特許文献1〜2参照)。
なお、非特許文献1のものは、16スロットを使用している。
このような3波繰り返しの場合、同一周波数の地上装置の離隔距離は9kmとなり、D/U比は26dB以上を確保することができる(図4(b)二点鎖線グラフ参照)。
これまでの無線式鉄道制御システムでは全線区を網羅するに際して、同一周波数の相互干渉のために、一連の通信ゾーン相互については、一般解とも言える上述の周波数分割方式すなわち多周波数の繰り返ししか検討されていない。都市部等の高密度運転線区については多周波数の無線帯域の使用が管理官庁から認可を得られたためである。
そのため、従来より少ない無線周波数で全線区を網羅しても同一周波数の相互干渉を避けることができる鉄道向け無線通信方式を、列車密度の低い地方交通線に限定してでも、実現することが必要である。
しかしながら、このような直截的手法は、有線の場合、余分で未使用の鉄道用通信回線が全線区に亘って存在していれば良いが、そのような幸運な場合を除けば、新たに鉄道用通信回線を全線区に敷設しなければならず、費用負担が過大となるので、採用し難い。
そこで、地上装置同士の時刻整合手段の具体化を更に工夫することにより、地上装置や車上装置ごとに電文スロットを割り振る時分割多元接続通信方式を個々の地上装置だけでなく一連の地上装置についても適用するとともに新規通信回線の追加が無くても多数の地上装置で管理する時刻を合わせることができる無線式鉄道制御システム及び地上装置を実現することが技術的な課題となる。
GPS受信器は、衛星航法システム(Global Positioning System)用のGPS(Global Positioning Satellite)衛星から送られてくるGPS電波を受信するものであり、GPS電波には位置情報ばかりか時刻情報も含まれているので、新規通信回線の追加が無くても地上装置は所望の時刻情報を取得することができる。西暦2018年に運用を開始する予定の準天頂システム「みちびき」も利用できる。安定した高精度測位には4機以上が見える必要があるが、時刻情報の取得のみに利用するのであれば1〜2機が見えれば良い。
したがって、この発明によれば、地上装置や車上装置ごとに電文スロットを割り振る時分割多元接続通信方式を個々の地上装置だけでなく一連の地上装置についても適用するとともに新規通信回線の追加が無くても多数の地上装置で管理する時刻を合わせることができる無線式鉄道制御システム及び地上装置を実現することができる。
図1〜図2に示した実施例1は、上述した解決手段(出願当初の請求項1〜2)を総て具現化したものであり、図3に示した実施例2は、その変形例である。
なお、それらの図示に際しては、簡明化等のため、機械や回路などの詳細な図示は割愛し、ブロック図や記号図などを多用して、発明の説明に必要なものや関連するものを中心に図示した。
また、車上装置30は、受信間隔が広がっても、具体的には通信ゾーン相互の時分割が3分割になったことに対応して受信間隔が2回受信分より長くなっても、それだけで直ちに受信失敗時・受信欠落時の処理を行うのでなく、更なる時間経過や他の条件も確認してから上記の処理を行うようになっている点でも、既述した車上装置13と異なる。
また(図2参照)、地上情報は、駅の現場機器や踏切その他の地上設備に係る情報であり、具体例としては、運転方向別停止点や、信号防護パターン更新、臨時速度制限、踏切遮断完了、踏切支障、通信終了などが挙げられるが、やはり、その総てが含まれている必要は無く、応用目的に応じてそれらのうち適宜な部分の情報や他の情報が用いられる
こうして、各地上装置40とその通信ゾーン内の車上装置30とが無線伝送にて地上情報と列車情報とを遣り取りし、それらの情報を用いる列車制御部や踏切制御部の処理によって列車12の制御や軌道11の踏切の警報制御などが行われる。
なお、この場合、3台の地上装置40,40,40毎に時分割で伝送(TDMA伝送)するため、車上装置30への情報送信は最大3秒遅れることになり、同様に車上装置30から地上装置40への情報送信も最大3秒遅れることになるが、その程度の遅れなら、地方交通線では、不都合が無い。
図3は、上述した無線式鉄道制御システム30+40の変形例である。
なお、この場合は、2台の地上装置40,40毎に時分割で伝送(TDMA伝送)するため、車上装置30への情報送信は最大2秒遅れることになる。同様に車上装置30から地上装置40への情報送信も最大2秒遅れることになる。
上記実施例では、地上装置40の設置先としてA駅,B駅,C駅,D駅が図示されていたが、地上装置40の設置先は駅に限定される訳でなく、踏切の近くでも良く、そのような設備の無い単なる軌道の脇等でも良い。
上記実施例では、一連の地上装置40,40,…が軌道11に沿って通信範囲の3km毎に設置されていたが、これは、本願発明で着目している同一周波数の相互干渉の発生しやすい最密設置状態を示したものであり、それより離れていても良く、離隔距離や通信範囲が等しく無くても良い。
12…列車、13…車上装置、14…地上装置、
30+40…無線式鉄道制御システム、
30…車上装置、31…無線アンテナ、
40…地上装置、41…無線アンテナ、42…デジタル無線機、
43…電文処理部、44…GPS受信器、45…時刻情報抽出校正部、
46…送信タイミング同期用クロック発生回路、47…送信タイミング設定部、
fb1〜fb3…周波数(地上装置用)、fv1〜fv3…周波数(車上装置用)
Claims (2)
- 軌道を走行する列車に搭載されて列車情報を無線で伝送する車上装置と、前記軌道に沿って点在設置されて無線伝送にて前記車上装置から前記列車情報を取得する複数の地上装置とを備えており、前記地上装置がその通信範囲である通信ゾーン内で複数の車上装置と時分割多元接続通信方式で交信することで前記無線伝送が行われる無線式鉄道制御システムにおいて、前記地上装置が、GPS受信器とその受信信号から時刻情報を取得する手段とその時刻情報に基づいて前記無線伝送の送信タイミングを校正する手段とを具備したものであって、前記無線伝送を行うときに隣りの地上装置を含む近くの地上装置とそれらの通信ゾーン相互に係る時分割も行うようになっていることを特徴とする無線式鉄道制御システム。
- 軌道に沿って点在設置されると、前記軌道を走行する列車に搭載されて列車情報を無線で伝送する車上装置から、自装置の通信範囲である通信ゾーン内で複数の車上装置と時分割多元接続通信方式で交信する無線伝送を行うことによって前記列車情報を取得する地上装置において、GPS受信器と、その受信信号から時刻情報を取得する手段と、その時刻情報に基づいて前記無線伝送の送信タイミングを校正する手段とを備え、前記無線伝送を行うときに隣りの地上装置を含む近くの地上装置とそれらの通信ゾーン相互に係る時分割も行うようになっていることを特徴とする地上装置。
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