JP6504370B2 - 電気炉による溶鉄の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、助燃バーナーを備えた電気炉において鉄系スクラップを溶解し、溶鉄を製造する方法に関するものである。
電気炉を使用して鉄系スクラップを溶解する場合、電極周辺の鉄系スクラップは早く溶解するが、電極から離れた場所、すなわちコールドスポットにある鉄系スクラップは溶解が遅く、炉内の鉄系スクラップ溶解速度に不均一が生じる。このため、炉内全体の操業時間は、コールドスポットの鉄系スクラップの溶解速度に律速されていた。
そこで、このような鉄系スクラップの溶解速度の不均一性を解消し、炉内全体の鉄系スクラップをバランス良く溶解させるべく、コールドスポットの位置に助燃バーナーを設置し、この助燃バーナーでコールドスポットに位置する鉄系スクラップの予熱、切断、溶解を行う方法が採られるようになってきた。
このような助燃バーナーとして、例えば、特許文献1には、中心部から不燃物の飛散用及び鉄系スクラップのカッティング用酸素ガスを噴出し、この酸素ガスの外周部から燃料を、さらにこの燃料の外周部から燃焼用酸素ガスを噴出するために三重管構造としたバーナーであって、中心部から噴出する酸素ガスの速度を高速とするために、中心部の酸素ガス噴出管の先端に絞り部を設け、最外周から噴出する燃焼用酸素ガスに旋回力を付与するために、燃料噴出管と燃焼用酸素ガス噴出管とで形成される環状空間に旋回羽根を設置した電気炉用高速純酸素助燃バーナーが提案されている。
また、特許文献2には、助燃バーナーのノズル先端を偏心させ、バーナーを回動させることでバーナー火炎の指向性を広範囲へ拡大させる電気炉用バーナー設備が提案されている。
特開平10−9524号公報 特開2003−4382号公報
特許文献1、2に記載された技術を用いることで、助燃バーナーを用いて鉄系スクラップを効率よく予熱、溶解することができるが、燃料の対象が高価な気体燃料に制限されるという問題がある。安価な燃料として固体燃料、特に石炭が挙げられるが、石炭を気体燃料よりも早く燃焼させることは困難であり、条件によっては失火することもあり、石炭の助燃バーナーへの利用は困難であった。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、助燃バーナーを備えた電気炉で鉄系スクラップを溶解し、溶鉄を得る方法において、助燃バーナーに微粉炭などの固体燃料を用いて鉄系スクラップを効率よく加熱又は溶解することができる溶鉄の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、石炭などの固体燃料を使用できる電気炉用助燃バーナー及びその使用条件などについて検討を重ねた結果、燃料として固体燃料と気体燃料を使用する特定の助燃バーナーを用いるとともに、固体燃料の使用比率と固体燃料の搬送ガス流量を最適化することにより、固体燃料を気体燃料とともに適切且つ効率的に燃焼させることができるとともに、固体燃料の搬送トラブルや搬送ガスによる火炎温度の低下を抑えることができ、それらの結果、助燃バーナーにより鉄系スクラップを効率よく加熱又は溶解できることが判った。また、その際に、使用する固体燃料の全炭素量を予め測定し、その全炭素量に応じて、助燃バーナーでの固体燃料の使用量を調整することにより、固体燃料の吹き込み量を適切に管理できることが判った。
また、本発明法によれば、(i)助燃バーナーで使用する気体燃料と固体燃料の比率を変えることにより、加熱又は溶解しようとする鉄系スクラップとの距離に応じて火炎長さを任意に調整できる、(ii)一般に、助燃バーナーはガス流速が比較的小さいために、飛散してくる溶鉄や溶融スラグのスプラッシュによりガス吐出口が詰まってしまうことがあるが、本発明法では固体燃料の搬送ガスによりスプラッシュがパージされるため、スプラッシュによるガス吐出口の詰まりが生じにくい、ことが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]助燃バーナーを備えた電気炉において鉄系スクラップを溶解し、溶鉄を得る方法において、
燃料として気体燃料と固体燃料を用いる助燃バーナーであって、気体燃料と固体燃料と支燃性ガスをそれぞれ噴射するための同芯状に配された複数の噴射管を有し、最外周部の噴射管から支燃性ガスを噴射する助燃バーナーを用いるとともに、該助燃バーナーで鉄系スクラップを加熱又は溶解する際に、固体燃料の使用量をバーナー出力エネルギー換算で全出力エネルギーの50〜95%とし、固体燃料の搬送ガスの流量を固体燃料1kg当たり0.05〜0.20Nmとすることを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[2]上記[1]の製造方法において、助燃バーナーは、中心側から順に、固体燃料の噴射管、気体燃料の噴射管、支燃性ガスの噴射管が同芯状に配された構造を有することを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[3]上記[1]又は[2]の製造方法において、電気炉が複数の助燃バーナーを備え、全助燃バーナーの合計出力がスクラップ溶解量1トン当たり20Mcal/h以上であることを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法において、固体燃料が、平均粒径d90が50〜500μmの微粉炭であることを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法において、使用する固体燃料の全炭素量を予め測定し、この全炭素量に応じて、助燃バーナーでの固体燃料の使用量を調整することを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
本発明によれば、助燃バーナーを備えた電気炉において鉄系スクラップを溶解し、溶鉄を製造する際に、燃料として固体燃料と気体燃料を使用する特定の助燃バーナーを用いるとともに、固体燃料の使用比率と固体燃料の搬送ガス流量を最適化することにより、固体燃料を気体燃料とともに適切且つ効率的に燃焼させることができるとともに、固体燃料の搬送トラブルや搬送ガスによる火炎温度の低下を抑えることができ、それらの結果、助燃バーナーにより鉄系スクラップを効率よく加熱又は溶解することができる。このため高価な気体燃料の使用量を削減することができ、溶鉄の製造コストを大幅に低減することができる。
また、助燃バーナーにおいて固体燃料を気体燃料とともに適切かつ効率的に燃焼させることができる本発明では、気体燃料と固体燃料の比率を変えることにより、加熱又は溶解しようとする鉄系スクラップとの距離に応じて火炎長さを任意に調整することができ、この点からも鉄系スクラップを効率よく加熱又は溶解することができる。また、一般に、助燃バーナーはガス流速が比較的小さいために、飛散してくる溶鉄や溶融スラグのスプラッシュによりガス吐出口が詰まってしまうことがあるが、本発明において使用する助燃バーナーでは、固体燃料の搬送ガスによりスプラッシュがパージされるため、スプラッシュによるガス吐出口の詰まりが生じにくい利点がある。
また、本発明において、使用する固体燃料の全炭素量を予め測定し、その全炭素量に応じて、助燃バーナーでの固体燃料の使用量を調整することにより、固体燃料の吹き込み量を適切に管理することができる。
本発明法で使用する助燃バーナーの一実施形態を示す縦断面 本発明法の実施状況の一例(電気炉半径方向での縦断面)を模式的に示す説明図 本発明法で使用する助燃バーナーについて、気体燃料と固体燃料の比率を変えた場合の火炎長さの変化を模式的に示すグラフ 実施例で使用した電気炉における助燃バーナーの設置位置の概略を示す説明図 実施例における助燃バーナーの使用状況(電気炉半径方向での縦断面)を示す説明図
本発明は、助燃バーナーを備えた電気炉において鉄系スクラップ(以下、説明の便宜上、単に「スクラップ」という)を溶解し、溶鉄を得る方法であり、助燃バーナーとしては、燃料として気体燃料と固体燃料を用いる助燃バーナーであって、気体燃料と固体燃料と支燃性ガスをそれぞれ噴射するための同芯状に配された複数の噴射管を有し、最外周部の噴射管から支燃性ガスを噴射する助燃バーナーを用いる。
燃焼に必要な要素として、可燃性物質、酸素、温度(火源)の3要素が挙げられる。また、可燃性物質の状態としては、燃焼の容易さは気体、液体、固体の順番である。これは、気体状態であれば、可燃性物質と酸素及び温度との混合が容易であり、燃焼の継続(連鎖反応)が行われるからである。
助燃バーナーを用いて可燃性物質として気体を燃焼させた場合、酸素濃度や流速やバーナーチップ形状に依存するが、一般的に気体はバーナー先端から噴射された直後に即座に燃焼する。これに対して、可燃性物質として石炭に代表される固体燃料を用いる場合、気体のように早く燃焼させるのは困難である。これは、石炭の着火温度が400〜600℃程度であり、この着火温度を維持することと、着火温度までの昇温時間が必要であることに起因する。
着火温度までの昇温時間は粒径(比表面積)に依存し、粒子を細かくすれば、着火時間を短くすることはできる。これは、燃焼反応が、着火温度の維持と可燃性物質と酸素との反応によって進行するためである。燃焼反応を効率よく進行させるためには、石炭の効率的な加熱と、石炭と酸素との反応を、順次発生させることが重要である。
以下、助燃バーナーの気体燃料としてLNG(液化天然ガス)、固体燃料として石炭(微粉炭)、支燃性ガスとして純酸素を使用する場合について説明する。なお、これら燃料の着火温度は、一般的には固体燃料>液体燃料>気体燃料である。
助燃バーナーの燃料としてLNGと石炭を用いた場合、LNGと純酸素の燃焼により石炭の着火温度以上の燃焼場が作られ、この燃焼場に石炭が送り込まれることで着火温度まで温度上昇し、石炭の燃焼(気化→着火)が起こる。石炭の温度上昇に必要な熱量に伴い火炎温度は低下するが、石炭の着火が起きる領域では温度が上昇する。
燃料であるLNGや石炭と酸素の反応により、不燃性気体である二酸化炭素が発生する。不燃性気体は燃焼の継続(連鎖反応)を阻害し、燃焼性を低下させる原因となる。また、石炭の供給は気体搬送によりなされるが、搬送気体の流量が多いと搬送気体の比熱分の温度低下となることから、一般的に、固気比(単位時間当たりの固体の供給速度/単位時間当たりの搬送気体の供給速度)を大きくした方が、燃焼性は向上する。しかしながら、固気比が大きい状態とは、石炭が密な状態であり、外部からの熱の伝播や酸素との反応が内部へ伝わりにくい条件である。石炭を効率よく燃焼させるためには、搬送時の密な状態からバーナーに吐出された後の燃焼場において、石炭の周囲に熱や酸素が十分存在する条件を作り出すことが重要である。
一方、石炭を窒素などで気体搬送して吹き込む場合、搬送ガスの流量によっては、流路内で固体燃料の詰まりが生じるなどの搬送トラブルを生じたり、搬送ガスにより火炎温度が低下するなどの問題を生じる恐れがあり、このような問題を生じないことが重要である。
そこで、本発明では、上述したような特定の助燃バーナーを用いるとともに、石炭(微粉炭)の使用比率と石炭の搬送ガス流量を最適化する。具体的には、助燃バーナーでスクラップを加熱又は溶解する際に、石炭の使用量をバーナー出力エネルギー換算で全出力エネルギーの50〜95%とし、石炭1kg当たりの流量が0.05〜0.2Nmの不活性ガスを搬送ガスとして石炭を噴射するようにする。これにより、石炭をLNGとともに適切且つ効率的に燃焼させることができるとともに、石炭の搬送トラブル(流路内での詰まり)や搬送ガスによる火炎温度の低下を抑えることができ、それらの結果、助燃バーナーによりスクラップを効率よく加熱又は溶解することができる。このような本発明は、スクラップ溶解量が大きい100トンクラス又はそれ以上の大型電気炉において特に効果が大きい。
図1は、本発明で使用する助燃バーナーの一例を示す縦断面図である。
この助燃バーナーにおいて、燃料及び支燃性ガス供給用の本体部分は、3つの管体が同芯状に配された3重管構造となっている。すなわち、この3重管構造は、中央部の固体燃料噴射管1と、その外側に配された気体燃料噴射管2と、さらにその外側に配された支燃性ガス噴射管3で構成されている。固体燃料噴射管1は、その内部が固体燃料流路10を構成し、気体燃料噴射管2は、固体燃料噴射管1との間の空間部が気体燃料流路20を構成し、支燃性ガス噴射管3は、気体燃料噴射管2との間の空間部が支燃性ガス流路30を構成している。固体燃料噴射管1、気体燃料噴射管2及び支燃性ガス噴射管3は、それぞれ先端が開放され、それらの開放端がそれぞれリング状の固体燃料吐出口11(噴射口)、気体燃料吐出口21(噴射口)、支燃性ガス吐出口31(噴射口)を構成している。
また、バーナー後端側において、支燃性ガス噴射管3には、支燃性ガス流路30に支燃性ガスを供給するための支燃性ガス供給口32が設けられている。同じく気体燃料噴射管2には、気体燃料流路20に燃料を供給するための気体燃料供給口22が設けられている。同じく固体燃料噴射管1には、固体燃料流路10に搬送ガスを介して固体燃料を供給するための固体燃料供給口12が設けられている。
また、図示しないが、支燃性ガス噴射管3の外側には、さらに内側管体と外側管体が同芯状に配され、それら外側管体と内側管体との間と、内側管体と支燃性ガス噴射管3との間に、相互に連通した冷却流体用流路(冷却流体の往路及び復路)を形成している。
なお、通常、3重管構造の各噴射管間にはスペーサ(図示せず)が配置され、各噴射管間の間隔が保持される。
また、支燃性ガス流路30内や気体燃料流路20内には、支燃ガスや気体燃料に旋回流を付与するための旋回羽根を設けてもよい。支燃ガスや気体燃料に旋回流を付与することにより、噴射された支燃ガスと燃料との混合を促進できる。
ここで、支燃性ガスの流量は、供給ガス量の中で最も多いことから、他の供給ガスと流速を合せるためには、支燃性ガス吐出口31の吐出面積を気体燃料吐出口21や固体燃料吐出口11よりも大きくする必要があり、この点からして支燃性ガス噴射管3は最外周とするのが最適である。以下、その点について、支燃性ガスとして酸素を、気体燃料としてLNGを、固体燃料として微粉炭をそれぞれ使用する場合を例に説明する。
まず、燃焼に必要な酸素の量は下記(1)式により算出される。
燃焼に必要な酸素量=酸素比(係数)×[LNG流量×LNGの理論酸素量+微粉炭供給量×微粉炭の理論酸素量] …(1)
燃焼に必要な酸素量について、以下の条件にて具体的に算出する。すなわち、計算条件として、LNGの発熱量を9700kcal/Nmとし、固体燃料である微粉炭の発熱量を6250kcal/kgとする。また、助燃バーナーの総エネルギーの90%を固体燃料、10%を気体燃料から供給するものとする。例えば、LNGを10Nm/hで供給する場合は、その発熱量は97Mcal/hとなり、バーナーの目標総発熱量である970Mcal/hとの差分である873Mcal/hを微粉炭から供給する必要があり、その供給量は約140kg/hとなる。また、理論酸素量は燃料中の炭素分や水素分などから算出され、LNGの理論酸素量は2.25Nm/Nm程度、微粉炭の理論酸素量は1.5Nm/kg程度であると言われている。
また、酸素比は1〜1.1の酸素過剰条件が一般的であり、酸素比を1.1とした場合の燃焼に必要な酸素量は、上記(1)式より233Nm/h(=1.1×[10×2.25+140×1.5])と算出される。したがって、純酸素を用いた場合では、LNG燃料の23.3倍の流量が必要である。また、微粉炭の搬送窒素と比較しても、固気比が12の場合の窒素流量は12Nm/h程度であり、約20倍の流量が必要である。したがって、酸素の吐出速度を燃料ガスや微粉炭の吐出速度と同じにするためには、支燃性ガス吐出口31は、気体燃料吐出口21や固体燃料吐出口11の20倍以上の吐出面積(径方向断面積)が必要となり、このため、バーナーのレイアウト上、支燃性ガス吐出口31をバーナーの最外周部に配置するのが合理的である。また、支燃性ガスとして純酸素ではなく、空気を用いる場合はさらに5倍の流量が必要となり、同様の理由から、支燃性ガス吐出口31をバーナーの最外周部に配置するのが合理的である。
本発明において、助燃バーナーに使用できる燃料は、気体燃料としては、例えば、LPG(液化石油ガス)、LNG(液化天然ガス)、水素、製鉄所副生ガス(Cガス、Bガス等)、これらの2種以上の混合ガスなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。また、固体燃料としては、例えば、石炭(微粉炭)、プラスチック(粒状又は粉状のもの。廃プラスチックを含む)などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができるが、石炭(微粉炭)が特に好ましい。また、支燃性ガスとしては、純酸素(工業用酸素)、酸素富化空気、空気のいずれを用いてもよいが、スクラップを溶解させる場合には純酸素を用いることが好ましい。
助燃バーナーでの固体燃料の使用量(噴射量)には、エネルギーコスト及び操業性の観点から最適な範囲が存在する。本発明では、バーナー出力エネルギー換算で固体燃料の使用割合(気体燃料を含む燃料全体での割合)を規定する。一般に気体燃料に較べて固体燃料の方が安価であるから、コスト面からは燃料の全量を固体燃料とすることが望ましいが、固体燃料の使用量(噴射量)がバーナー出力エネルギー換算で全出力エネルギー(固体燃料+気体燃料による全出力エネルギー)の95%を超えると、気体燃料の割合が少なすぎるためバーナーが失火して燃焼しなくなる恐れがあるので、95%以下とすることが重要である。一方、固体燃料の使用量(噴射量)がバーナー出力エネルギー換算で全出力エネルギーの50%未満になると、操業コストの観点から安価な固体燃料を用いる経済的なメリットが消失してしまう。このため本発明では、固体燃料の使用量(噴射量)をバーナー出力エネルギー換算で全出力エネルギーの50〜95%とする。すなわち、固体燃料の燃焼による出力エネルギーが助燃バーナーの全出力エネルギーに占める割合が50〜90%となるような量の固体燃料を使用する。
固体燃料の搬送ガスとしては、例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気などの1種以上を用いることができるが、一般的には燃料の自己発火防止のために窒素、アルゴン等の不活性ガスが用いられ、この搬送ガスで固体燃料が搬送され、噴射管から噴射される。また、搬送ガスとして空気を用いる場合には、逆火防止弁などを設置して固体燃料の発火・爆発などのリスクを抑えることが好ましい。この固体燃料の搬送ガスのガス流量にも最適な範囲が存在し、固体燃料1kg当たり0.05〜0.20Nmとする必要がある。固体燃料1kg当たりのガス流量が0.05Nm未満では、固体燃料を適切に搬送することができず、固体燃料が流路内で詰まるなどの操業トラブルを生じてしまう。一方、ガス流量が0.20Nmを超えると、搬送ガスによってバーナー火炎の中心温度が低下するため、スクラップを効率的に加熱できなくなり、電力原単位が悪化してしまう。
本発明では、固体燃料の使用量(噴射量)をバーナー出力エネルギー換算で全出力エネルギーの50〜95%とするものであるが、固体燃料の使用量(噴射量)を安定的に制御・管理するため、使用する固体燃料の全炭素量を予め測定し、その全炭素量に応じて、助燃バーナーでの固体燃料の使用量を調整(管理)することが好ましい。以下、固体燃料として微粉炭を用いる場合を例に説明する。さきに説明した燃焼に必要な酸素量の計算では、微粉炭のある代表的な発熱量を用いたが、実際に使用する微粉炭は発熱量などの物性値にバラツキがあり、したがって、使用する微粉炭の発熱量を予め測定し、固体燃料の使用量を調整(管理)することが好ましい。
一般には、石炭の発熱量はJIS M8814(2003)に規定する方法で実測できると言われている。石炭の燃焼に際して、石炭中の水分並びに水素が燃焼して生成する水が蒸発するときには、それらの潜熱分の熱量は有効に利用されないが、上記JIS法で測定される発熱量はこの潜熱も含んでおり、高位発熱量(Gross Calorific Value)と呼ばれる。一方、水蒸気の潜熱分を除いた発熱量は低位発熱量(Net Calorific Value)と呼ばれ、この低位発熱量は下式により求められる。
低位発熱量(kcal/kg)=高位発熱量(kcal/kg)−6(9H+W)
ここで、H=水素の量(%)であり、元素分析によって求められる値である。また、W=水分の量(%)であり、工業分析によって求められる値である。
実際に石炭が燃焼する場合、水分はガス中で水蒸気になっており、この水蒸気潜熱は利用されることがないので、石炭の燃焼では上記の低位発熱量が有効発熱量となる。しかし、使用する微粉炭のロット毎に低位発熱量を測定するのは、作業負荷が高いため、効率的ではない。
そこで、以下のように、微粉炭の全炭素量から有効発熱量を簡易に推定する手法を用いることが好ましい。有効発熱量は、下式により微粉炭の全炭素量から簡易に推定することができる。
有効発熱量(kcal/kg)=96×(炭素量)−262
微粉炭の全炭素量は元素分析によって簡単に測定でき、したがって、使用する微粉炭の全炭素量を予め測定し、その全炭素量から推定される有効発熱量に応じて、助燃バーナーでの微粉炭の使用量を調整(管理)することが好ましい。この際、さきに示した燃焼に必要な酸素量の計算での考え方に基づき、得られた有効発熱量から必要な微粉炭の使用量(噴射量)を算出すればよい。なお、もちろん微粉炭の全炭素量ではなく、微粉炭の低位発熱量を測定し、この低位発熱量に基づき微粉炭の使用量(噴射量)を算出してもよい。
燃料として使用する微粉炭は、一般に粒径が小さい方が燃焼には有利であるが、粒径が小さすぎると、微粉炭を供給する配管中で詰まりを生じたり、加熱・溶解すべきスクラップに届かず、空気中に浮遊している間に、ダスト用の集塵装置によりダストとともに捕集されてしまう、などの問題を生じやすい。また、粒径が小さくなるほど、粉砕に時間やコストがかかる問題もある。一方、粒径が大きすぎるとガスとの接触面積が小さくなり、火炎中で燃焼しきれずに燃え残ってしまう問題がある。以上の観点から、微粉炭の平均粒径d90は50〜500μm程度が好ましい。ここで、粒子径(平均粒径)の定義については、レーザー回折散乱式粒度分布測定器で微粉炭の粒度分布を測定し、頻度分布で表示し、その後、その累積分布の軽い方90%の重量にあたる粒子径をd90とした値を、本発明では粒子径(平均粒径d90)と定義する。
図2は、本発明法の実施状況の一例(電気炉の半径方向での縦断面)を模式的に示すものであり、7は炉体、8は電極、9は助燃バーナー、xはスクラップである。助燃バーナー9は、適当な伏角をもって設置される。このような助燃バーナー9は、電気炉内のいわゆるコールドスポットにあるスクラップを加熱又は溶解できるように、通常、複数基設置される。
電気炉の操業では、スクラップの溶解量が多い場合は、当然のこととして、バーナー出力を大きくする必要があるが、安定した火炎を供給するためには、それに応じたガス流量や冷却構造が必要となるため、バーナー出力を大きくするのにも自ずと限界がある。このため必要とされるスクラップ溶解量に応じて、複数の助燃バーナーを設置するのが好ましい。
また、助燃バーナーの出力が小さすぎると、助燃バーナーとしての役割が果たせなくなるため、一定以上の出力が必要であり、具体的には、全助燃バーナーの合計出力がスクラップ溶解量1トン当たり20Mcal/h以上であることが好ましい。
以上の説明から明らかなように、本発明法によれば、燃料として固体燃料と気体燃料を使用する特定の助燃バーナーを用いるとともに、固体燃料の使用比率と固体燃料の搬送ガス流量を最適化することにより、固体燃料を気体燃料とともに適切且つ効率的に燃焼させることができるとともに、固体燃料の搬送トラブルや搬送ガスによる火炎温度の低下を抑えることができ、それらの結果、助燃バーナーによりスクラップを効率よく加熱又は溶解することができる。このため高価な気体燃料の使用量を削減することができ、電気炉における溶鉄の製造コストを大幅に低減できる。
また、一般に、助燃バーナーはガス流速が比較的小さいために、飛散してくる溶鉄や溶融スラグのスプラッシュによりガス吐出口が詰まってしまうことがあるが、本発明では、固体燃料の搬送ガスによりスプラッシュがパージされるため、スプラッシュによるガス吐出口の詰まりが生じにくい。
助燃バーナーに用いる燃料の着火温度によって、火炎長さに違いが生じる。固体燃料と気体燃料は着火温度が異なり、このため、助燃バーナーにおいて固体燃料を気体燃料とともに適切かつ効率的に燃焼させることができる本発明では、固体燃料と気体燃料の比率を変えることにより、助燃バーナーの火炎長さ(バーナーからある距離だけ離れた位置での火炎温度)を任意に調整することができる。
さきに述べたように、本発明で用いる助燃バーナーでは、気体燃料(LNGなど)と支燃性ガス(純酸素など)の燃焼により固体燃料(石炭など)の着火温度以上の燃焼場が作られ、この燃焼場に固体燃料が送り込まれることで着火温度まで温度上昇し、固体燃料の燃焼(気化→着火)が起こる。固体燃料の温度上昇に必要な熱量に伴い火炎温度は低下するが、固体燃料の着火が起きる領域では温度が上昇する。したがって、本発明において助燃バーナーで生じる火炎は、固体燃料よりも気体燃料の比率が高い時はバーナー先端から近い位置が高温となる(すなわち短い火炎となる)が、気体燃料よりも固体燃料の比率を高くすると、固体燃料の吸熱の後の発熱により、バーナー先端から遠い位置でも高温となる(すなわち長い火炎となる)。したがって、気体燃料と固体燃料の比率を変えることで、火炎長さ(バーナーからある距離だけ離れた位置での火炎温度)を制御することができる。
図3は、本発明で用いる助燃バーナーについて、気体燃料と固体燃料の比率を変えた場合の火炎長さの変化を模式的に示したものである。同図において、実線はバーナー軸方向においてバーナー先端から0.2m離れた位置での火炎温度、破線は同じくバーナー先端から0.4m離れた位置での火炎温度であり、横軸は気体燃料+固体燃料中での固体燃料の比率である。図3によれば、気体燃料比率が高い(固体燃料比率が低い)条件では、バーナー近傍である0.2m位置での火炎温度は高温であるが、0.4m位置では急激な温度低下が生じている。すなわち、火炎長さが短い。一方、固体燃料比率が高い条件では、バーナー近傍である0.2m位置での火炎温度は、気体燃料100%と比較して低温であるが、0.4m位置でもほとんど温度低下が生じていない。すなわち、火炎長さが長い。これは、バーナー近傍では気体燃料が優先的に燃焼し、その火炎内で高温化した固体燃料が0.4m位置で燃焼が開始し、温度が維持されるためである。
電気炉の操業では、スクラップの装入、追装や溶解により助燃バーナーとスクラップの距離が変化する。一般に、助燃バーナーとスクラップの距離は、操業開始時や追装初期では小さく、スクラップの溶解の進行とともに大きくなる。これは、最初に助燃バーナーに近いスクラップから順に溶解されるため、スクラップの溶解の進行とともに、未溶解のスクラップと助燃バーナーとの距離が大きくなっていくためである。本発明では、助燃バーナーで加熱又は溶解しようとするスクラップとの距離に応じて固体燃料と気体燃料の比率を変えることで火炎長さを調整(変更)し、スクラップと助燃バーナーとの距離の関わりなく、火炎がスクラップに届くようにすることができる。すなわち、助燃バーナーとスクラップの距離が小さい時は、気体燃料の比率を高めて火炎長さを短くし、助燃バーナーとスクラップの距離が大きい時は、固体燃料の比率を高めて火炎長さを長くする。これにより、スクラップを効率よく加熱又は溶解することができる。
具体的には、電気炉の一般的な操業(1チャージの操業)では、2〜3回程度のスクラップの装入が行われる。電気炉の操業は、初回スクラップを装入した後に、通電開始や助燃バーナー使用開始により始まる。操業開始時の状態は、前操業の溶鉄を一部残留させ(湯残し)、下部に溶湯が存在する場合と、前操業の溶鉄全量を出湯させ、炉内が空の場合があるが、操業方法に大きな違いはない。スクラップ装入初期は、電気炉内の全体にスクラップが充填されている状況である。したがって、スクラップと炉壁の距離は近い状態にある。スクラップ装入初期における助燃バーナー先端部とスクラップの距離は大よそ0.5m前後であることが多い。また、助燃バーナー先端部高さの位置は、炉の特性にもよるが、スクラップ溶け落ち後の湯面高さから1m以上上方であるのが一般的である。
操業が進行すると、溶鉄と接している下部や、電極近傍や、助燃バーナー近傍のスクラップから溶解が進行していく。助燃バーナー近傍のスクラップは、スクラップ装入初期では溶解とともに上部にあるスクラップが落下するので、助燃バーナーとスクラップとの距離は比較的近いが、上部のスクラップがなくなるとスクラップとの距離が遠くなる。スクラップとの距離が遠くなると、助燃バーナーの熱をスクラップに対して効率的に供給することができないことから、従来では、助燃バーナーを停止する操業を行うこともあった。これに対して本発明の操業では、スクラップが近い時は気体燃料(LNGなど)の比率を高くして短い火炎でスクラップを溶解し、溶解が進行してスクラップの距離が遠くなった時に固体燃料(石炭など)の比率を高くすることで、長い火炎でスクラップを溶解する。これによって、より多くのスクラップを効率的に溶解することができ、操業時間の短縮および電力原単位の削減を図ることができる。2〜3回程度のスクラップの装入により助燃バーナーとスクラップとの距離が変化することから、気体燃料と固体燃料の比率をその都度適正に変化させることで、スクラップを効率的に溶解させることができる。
本発明において助燃バーナーを使用する際に、加熱又は溶解しようとするスクラップとの距離に応じて固体燃料と気体燃料の比率を変えることで火炎長さを調整(変更)する場合、助燃バーナーとスクラップの距離を把握する必要があるが、例えば、助燃バーナーにレーザー距離計を設置し、このレーザー距離計によりスクラップまでの距離を測定することができる。また、排滓口などの窓を通じて炉内の状況を監視カメラで観察することができ、電気炉の構造によっては、この監視カメラによる炉内の観察によりスクラップまでの距離を把握することができる。また、操業データから距離の把握に有用な情報が得られる場合もある。
図1に示す構造の助燃バーナーを設置した電気炉で試験を行った。図4に、実験を行った電気炉の水平断面を模式的に示す。この電気炉は、炉径が約6m、容量が約120トンであり、中心に電極が1本ある直流タイプである。炉体は、溶鋼の上にあるスラグを排出する排滓口と溶製した溶鉄を出す出鋼口を備えている。助燃バーナーは、炉体周方向の4箇所に設置され、各助燃バーナーの出力は970Mcal/hである。また、図5は、本実施例における助燃バーナーの使用状況(電気炉半径方向での縦断面)を示すもので、助燃バーナーは溶鉄の表面から910mm程度上方の位置に設置され、水平方向から下向き約25°の方向に火炎を放射する。この助燃バーナー(出力970Mcal/h)の火炎長は1.5〜2.0mであり、炉径方向での火炎の最大到達長さA=1921mmとなっている。
助燃バーナーの燃料にはLNG(気体燃料)と微粉炭(固体燃料)を用い、支燃性ガスには純酸素を用い、中心の固体燃料噴射管から窒素を搬送ガスとして微粉炭を噴射するとともに、その外側の気体燃料噴射管からLNGを、その外側(最外周)の支燃性ガス噴射管から純酸素を、それぞれ噴射した。
微粉炭としては、褐炭、MDT、LVPの3種類を用いた。それらの成分、実測した有効発熱量(低位発熱量)、全炭素量から計算した発熱量を表1に示す。なお、後述する発明例8では、表1に示すものとは成分及び全炭素量などが異なるMDTを使用した。
この試験における各実施例の操業条件と試験結果を表2に示す。
試験結果のなかで、操業性の評価については、トラブルなく操業ができれば“○”(合格)とし、微粉炭が搬送中に配管などで詰まりを生じる、微粉炭が燃焼せずにバーナーが失火する、などの操業トラブルを生じた場合は“×”(不合格)とした。
また、コストの評価については、経済的なメリットが生じたか否かにより“〇”(優)、“△”(良)、“×”(不可)で評価した。本発明の狙いは、助燃バーナーでの高価な気体燃料の使用量を減らし、エネルギーコストを削減することにあり、一般には電気炉操業の電力原単位が下がることが望ましいが、助燃バーナーにおいて十分な量の固体燃料を使用できれば、電気炉の電力原単位が同等でも経済的なコストメリットは十分成立する。その場合も含めてメリットが生じた場合は“〇”(優)、“△”(良)と評価した。また、コストの評価には、石炭を粉砕して微粉炭を得るための粉砕費用も考慮した。
火炎温度の評価では、助燃バーナーが燃焼した時に観察される火炎が高温になっているかどうかを判定した。火炎温度は熱電対を用いて測定するのが一般的であるが、本実施例では簡易に放射温度計を用いて測定した。基本的には、火炎温度は高いほどスクラップの溶解には有利であるといえるが、火炎のなるべく広い領域でスクラップが溶け始める融点である1600℃以上であることが重要であると考えられる。このため、スクラップ装入前に助燃バーナーのみを燃焼させた状態で、電気炉の直上から二次元放射温度計で火炎温度を測定し、火炎面積中で1600℃未満の温度領域が50%以上存在した場合は、火炎温度が不均一であると判断し、“×”と評価した。また、火炎面積中で1600℃未満の温度領域が50%未満〜20%以上の場合を“△”、20%未満の場合を“○”と評価した。
総合評価については、操業性、コスト、火炎温度のいずれかが“×”の評価の場合には“×”(不合格)とし、また、操業性、コスト、火炎温度のいずれかが“△”の評価の場合には“△”とした。
比較例1は、燃料として微粉炭を使用せず、LNGのみを使用したものであり、当然、経済的な効果を享受できない。また、比較例3は微粉炭の燃焼による出力エネルギー比率が40%と低位であり、高価なLNGを60%も使用することから、経済的な効果を享受できない。一方、比較例2は、燃料の全量が微粉炭であるため、微粉炭が適切に燃焼せず、失火してしまう操業トラブルが生じた。
比較例5は、微粉炭1kg当たりの搬送ガスの流量が0.05Nm未満であるため、微粉炭が流路内で詰まりを生じ、操業ができなくなった。比較例4は、微粉炭1kg当たりの搬送ガスの流量が0.20Nmを超えるため、火炎温度が低下してスクラップを効率的に加熱できず、電力原単位が悪化した。
これに対して、発明例はいずれも良好な試験結果が得られている。すなわち、微粉炭の搬送トラブルや搬送ガスによる火炎温度の低下を生じることなく、微粉炭をLNGとともに適切且つ効率的に燃焼させることができ、助燃バーナーにより鉄系スクラップを効率よく加熱又は溶解することができている。この結果、高価なLNGの使用量を削減して溶鉄の製造コストを大幅に低減することができる。
発明例8は、発明例4と同じ炭種であるMDTを使用した例であるが、全炭素量の分析を行わず、発明例4と同じ炭種(MDT)を使用したため、全炭素量も同じ81.7質量%であると仮定し、微粉炭使用量を115kg/hとして操業した。ところが、この発明例8で使用した微粉炭の全炭素量を分析したところ85.8質量%であり、推定式から算出される微粉炭使用量は109kg/hとなり、6kg/hも過剰に微粉炭を使用したことが判明した。このためコストを「△」と評価した。
発明例13は、4本の助燃バーナーのうち2本の助燃バーナーを使用し、バーナー出力が溶解量1トン当たり17Mcal/hとなる条件で操業を行ったものである。この操業例では、バーナー出力が小さいため、助燃バーナーを用いることによる溶解速度の均一化効果が低下し、電力原単位がやや低下する結果となった。このためコストを「△」と評価した。
発明例14は、平均粒径d90が20μmの微粉炭を用いたものである。平均粒径d90:20μmは、粉砕工程において粉砕を2回繰り返すことによってかろうじて達成できるような粒径レベルであり、粉砕コストが高くなるだけでなく、微粉炭の製造時間も長くなるため、コストを「△」と評価した。
発明例15は、平均粒径d90が550μmの微粉炭を用いたものであり、微粉炭の粒度が粗すぎるため燃え残りが生じ、火炎温度が若干低下したため、火炎温度を「△」と評価した。
比較例1の条件で種々のスクラップを対象に操業を行った場合の電力原単位はほぼ250〜400kwh/tの範囲となったが、本発明例はいずれもその範囲の電力原単位とすることができた。
なお、比較例の操業条件で実機にて実験をしたところ、ほぼ同等の結果が得られ、比較例1、3を除いてはいずれも電力原単位は悪化傾向であった。
Figure 0006504370
Figure 0006504370
1 固体燃料噴射管
2 気体燃料噴射管
3 支燃性ガス噴射管
7 炉体
8 電極
9 助燃バーナー
x 鉄系スクラップ
10 固体燃料流路
11 固体燃料吐出口
12 固体燃料供給口
20 気体燃料流路
21 気体燃料吐出口
22 気体燃料供給口
30 支燃性ガス流路
31 支燃性ガス吐出口
32 支燃性ガス供給口

Claims (9)

  1. 助燃バーナーを備えた電気炉において鉄系スクラップを溶解し、溶鉄を得る方法において、
    燃料として気体燃料と固体燃料を用いる助燃バーナーであって、気体燃料と固体燃料と支燃性ガスをそれぞれ噴射するための同芯状に配された複数の噴射管を有し、最外周部の噴射管から支燃性ガスを噴射する助燃バーナーを用いるとともに、該助燃バーナーで鉄系スクラップを加熱又は溶解する際に、固体燃料の使用量をバーナー出力エネルギー換算で全出力エネルギーの50〜95%とし、固体燃料の搬送ガスの流量を固体燃料1kg当たり0.05〜0.20Nmし、
    助燃バーナーで加熱又は溶解しようとする鉄系スクラップと助燃バーナーとの距離に応じて、助燃バーナーで用いる固体燃料と気体燃料の比率を変えることで、助燃バーナーの火炎長さを調整することを特徴とする電気炉による溶鉄の製造方法。
  2. 助燃バーナーは、中心側から順に、固体燃料の噴射管、気体燃料の噴射管、支燃性ガスの噴射管が同芯状に配された構造を有することを特徴とする請求項1に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  3. 電気炉が複数の助燃バーナーを備え、全助燃バーナーの合計出力がスクラップ溶解量1トン当たり20Mcal/h以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  4. 固体燃料が、平均粒径d90が50〜500μmの微粉炭であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  5. 使用する固体燃料の全炭素量を予め測定し、この全炭素量に応じて、助燃バーナーでの固体燃料の使用量を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  6. 助燃バーナーと鉄系スクラップの距離が小さい時は、気体燃料の比率を高めて助燃バーナーの火炎長さを短くし、助燃バーナーと鉄系スクラップの距離が大きい時は、固体燃料の比率を高めて助燃バーナーの火炎長さを長くすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  7. 助燃バーナーで鉄系スクラップを溶解する際に、気体燃料の比率を高くして短い火炎で鉄系スクラップを溶解する状態から、溶解が進行して鉄系スクラップの距離が遠くなった時に固体燃料の比率を高くすることで、長い火炎で鉄系スクラップを溶解することを特徴とする請求項6に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  8. 助燃バーナーに設置されたレーザー距離計により、助燃バーナーから鉄系スクラップまでの距離を測定することを特徴とする請求項6又は7に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
  9. 監視カメラによる炉内の観察により、助燃バーナーから鉄系スクラップまでの距離を把握することを特徴とする請求項6又は7に記載の電気炉による溶鉄の製造方法。
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