以下、添付図面を参照して、核医学画像撮影装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下では、核医学画像撮影装置の一例である陽電子放射断層撮影(PET:Positron Emission computed Tomography)装置の実施形態について説明する。以下、陽電子放射断層撮影装置を、PET装置と省略して記載する。PET装置は、被検体に投与された陽電子放出核種(例えば、放射性同位体元素である18F)で標識された薬剤を取り込んだ組織から放出される一対のガンマ線(対消滅ガンマ線)を計数する。そして、PET装置は、対消滅イベントの計数情報に基づいて、薬剤を取り込んだ組織の分布を示すPET画像データを再構成する。対消滅イベントは、放射性同位元素の崩壊イベントの一例である、陽電子崩壊に付随して起こるイベントである。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るPET装置の構成例を説明するための図である。図1に示すように、第1の実施形態に係るPET装置は、架台装置10及びコンソール装置20を有する。
架台装置10は、被検体Pに投与され、被検体Pの生体組織に選択的に取り込まれた陽電子放出核種により放出されるガンマ線を所定のモニタリング期間(撮像期間)において計数する装置である。図1に示すように、架台装置10は、天板11と、寝台12と、駆動部13と、検出器モジュール14と、FE(Front End)回路15と、計数情報収集部16とを有する。なお、架台装置10は、図1に示すように、撮像口となる空洞を有する。
天板11は、被検体Pが横臥するベッドであり、寝台12の上に配置される。駆動部13は、後述する寝台制御部23の制御のもと、寝台12を移動させることにより、被検体Pの撮像部位を架台装置10の撮像口内に移動させる。具体的には、駆動部13は、被検体Pの撮像部位を、撮像口内の撮像領域である「FOV:Field Of View」に移動させる。駆動部13は、崩壊イベントの一例である対消滅イベントに関するデータが収集される撮像部位をFOVに移動させるための移動機構である。なお、本実施形態は、被検体Pの撮像部位を移動するために、駆動部13が天板11を移動する構成であっても、後述する検出器を搭載する架台を移動する構成であっても良い。
検出器モジュール14は、被検体Pから放出されるガンマ線を検出するフォトンカウンティング(Photon Counting)方式の検出器である。例えば、第1の実施形態に係る架台装置10は、図1に示すように、被検体Pの周囲をリング状に取り囲むように配置された複数の検出器モジュール14を有する検出器を備える。
一例として、検出器モジュール14は、シンチレータと、光電子増倍管(PMT:Photomultiplier Tube)と、ライトガイドとを有するアンガー型の検出器モジュールである。シンチレータは、被検体Pから放出されて入射したガンマ線を可視光に変換するNaIやLYSO、BGO等の結晶である。検出器モジュール14では、複数のシンチレータが、2次元に配列されている。また、光電子増倍管は、シンチレータから出力された可視光を増倍して電気信号に変換する装置であり、ライトガイドを介して稠密に複数個配置されている。ライトガイドは、シンチレータから出力された可視光を光電子増倍管に伝達するために用いられ、例えば、メチルメタクリレート(MMA)のように光透過性に優れたプラスチック素材等からなる。
なお、光電子増倍管は、シンチレーション光を受光し光電子を発生させる光電陰極、発生した光電子を加速する電場を与える多段のダイノード、及び、電子の流れ出し口である陽極から成っている。光電効果により光電陰極から放出された電子は、ダイノードに向って加速されてダイノードの表面に衝突し、複数の電子を叩き出す。この現象が多段のダイノードに渡って繰り返されることにより、なだれ的に電子数が増倍され、陽極での電子数は、約100万にまで達する。かかる例では、光電子増倍管の利得率は、100万倍となる。また、なだれ現象を利用した増幅のためにダイノードと陽極との間には、通常600ボルト以上の電圧が印加される。
すなわち、検出器モジュール14は、ガンマ線をシンチレータにより可視光に変換し、変換した可視光を光電子増倍管により電気信号に変換する。
FE回路15は、複数の検出器モジュール14それぞれが有する複数の光電子増倍管それぞれの後段に接続され、計数情報収集部16の前段(Front End)に接続される。FE回路15は、複数の検出器モジュール14を有する検出器の計数情報として、ガンマ線の検出位置とエネルギーと検出時間とを出力する。例えば、FE回路15は、各光電子増倍管が出力した電気信号から、以下の計測処理を行なってガンマ線の検出位置とエネルギーと検出時間との計測データを生成し、かかる計測データを計数情報として計数情報収集部16に出力する。
FE回路15は、各光電子増倍管が出力した電気信号のアナログ波形データに対して波形整形処理を行なうことで、検出(計数)されたガンマ線のエネルギーを計測する。例えば、FE回路15は、各光電子増倍管が出力した電気信号のアナログ波形に対して演算処理(積分処理及び微分処理)を行なうことで、波高がエネルギーとなるデータを生成する。かかるデータを用いて、FE回路15は、可視光に変換されたガンマ線のエネルギー(E)を計測する。
また、FE回路15は、各光電子増倍管が出力した電気信号のアナログ波形データから、ガンマ線が検出された時間(検出時間)を計測する。例えば、FE回路15は、アナログ波形データにおいて、予め設定された電圧値の閾値となった時点をガンマ線の検出時間(T)として計測する。ここで、検出時間(T)は、絶対時間(時刻)である場合であってもよいし、撮像開始時点からの相対時間であっても良い。
また、FE回路15は、例えば、アンガー型位置計算処理により、ガンマ線の入射位置を弁別する。具体的には、FE回路15は、シンチレータから出力された複数の可視光を略同じタイミングで電気信号に変換出力した複数の光電子増倍管の位置と、これら各電気信号の強度に対応するガンマ線のエネルギーとから重心の位置を演算する。そして、FE回路15は、演算結果として得られた重心の位置からガンマ線が入射したシンチレータの位置を示すシンチレータ番号(P)を決定する。なお、光電子増倍管が位置検出型光電子増倍管である場合、検出位置の計測データは、光電子増倍管から出力される。
そして、FE回路15は、上記した計測処理により生成した計測データを検出器の計数情報として、計数情報収集部16に出力する。例えば、FE回路15は、検出器モジュール14を一意に特定するための「モジュールID」に対応付けた『「P:シンチレータ番号」、「E:エネルギー」及び「T:検出時間」』を計数情報として、計数情報収集部16に出力する。
計数情報収集部16は、放射性同位元素の崩壊イベントに関するデータを収集する。図1に示すPET装置が有する計数情報収集部16は、崩壊イベントに関するデータとして、対消滅イベントに関するデータを収集する。具体的には、計数情報収集部16は、対消滅イベントに関するデータとして、FE回路15が出力した計測情報を収集し、収集した計数情報を、コンソール装置20に送信する。計数情報収集部16は、収集部とも呼ばれる。
コンソール装置20は、操作者によるPET装置の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された計数情報からPET画像データを再構成する装置である。コンソール装置20は、図1に示すように、入力部21と、表示部22と、寝台制御部23と、計数情報記憶部24と、同時計数情報生成部25と、画像再構成部26と、データ記憶部27と、制御部28とを有する。コンソール装置20が有する各部は、内部バスを介して接続される。
入力部21は、PET装置の操作者が各種指示や各種設定の入力に用いるマウスやキーボード等を有し、操作者から受け付けた指示や設定の情報を、制御部28に転送する。例えば、入力部21は、操作者から被検体Pの撮像計画に関する情報を受け付ける。
表示部22は、操作者によって参照されるモニタであり、制御部28による制御のもと、画像データを表示したり、入力部21を介して操作者から各種指示や各種設定などを受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。
寝台制御部23は、駆動部13を制御することで、被検体Pの撮像部位を、架台装置10の撮像口内のFOVに移動させる移動制御部である。また、寝台制御部23は、撮像計画により、撮像部位が複数設定されている場合、駆動部13を制御することで、例えば、各撮像部位の体軸方向の中心が、架台装置10の撮像口内のFOVの中心に位置するように、被検体Pを移動させる。すなわち、駆動部13は、被検体Pの複数の撮像部位を撮像領域(FOV)に移動させる。なお、寝台制御部23は、駆動部13が天板11の移動機構である場合、天板11の移動を制御する移動制御部として機能する。また、寝台制御部23は、駆動部13が検出器の移動機構である場合、検出器を搭載する架台の移動を制御する移動制御部として機能する。
計数情報記憶部24は、計数情報収集部16が収集した計数情報を記憶する。図2は、計数情報の一例を説明するための図である。
例えば、計数情報記憶部24は、図2に示すように、「モジュールID:D1」の検出器モジュール14による計数結果から収集された計数情報として、「P:P11、E:E11、T:T11」や「P:P12、E:E12、T:T12」等を記憶する。なお、図中の「P」、「E」及び「T」は、それぞれ「シンチレータ番号」、「エネルギー」及び「検出時間」を示す。
また、計数情報記憶部24は、図2に示すように、「モジュールID:D2」や「モジュールID:D3」の検出器モジュール14による計数結果から収集された計数情報についても同様に記憶する。
図1に戻って、同時計数情報生成部25は、計数情報記憶部24が記憶する計数情報から、対消滅イベントにより放出された複数のガンマ線を略同時に計数した複数の計数情報を探索する。そして、同時計数情報生成部25は、探索した複数の計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。
ここで、改めて、PET装置を用いたPET検査について説明する。PET検査では、陽電子放出核種で標識された薬剤が被検体Pに投与される。例えば、癌検診用のPET検査では、陽電子放出核種である「18F(フッ素)」で標識された18F標識デオキシグルコースが被検体Pに投与される。かかる薬剤は、被検体Pの腫瘍部位等、特定の部位に集積し、陽電子を放出する。陽電子は、周囲の電子と結合して対消滅し、対消滅により、2光子(一対のガンマ線)が放出される。対消滅により発生するエネルギーの総和が「1022keV」であることから、対消滅により放出される2光子のエネルギーの総和は「1022keV」となる。また、運動量保存の法則から、2光子それぞれの運動ベクトルの和は、ゼロベクトルとなる。
PET装置は、対消滅イベントにより、それぞれ511keVのエネルギーを有する2光子(2つのガンマ線)が略反対方向に放出されることを利用して、薬剤を取り込んだ被検体の組織分布を示すPET画像データを再構成する。運動量保存の法則から、2つの光子の運動ベクトル間の角度は、略180度となる。
図3A及び図3Bは、同時計数情報を説明するための図である。PET装置は、図3Aに示すように、2光子を略同時に検出した2つの検出位置(シンチレータ番号)を結ぶ線上に対消滅イベントが生じた箇所が存在すると仮定して、PET画像データを再構成する。なお、2つの検出位置を結ぶ線は、LOR(Line Of Response)と呼ばれる。
例えば、同時計数情報生成部25は、操作者により撮像前に設定された、又は、初期設定された条件(同時計数情報生成条件)により、2光子を略同時に計数した2つの計数情報を探索する。そして、同時計数情報生成部25は、探索した2つの計数情報の組み合わせを同時計数情報として生成する。一例を挙げれば、同時計数情報生成条件として、時間ウィンドウ幅「t」が設定される。また、同時計数情報生成条件として、更に、エネルギーウィンドウ幅「(511−e1)≦E≦(511+e2)」が設定される場合もある。なお、「t」、「e1」及び「e2」は、例えば、FE回路15の時間計測及びエネルギー計測にかかる計測精度に応じて設定される。
そして、例えば、同時計数情報生成部25は、図3Bに示すように、『「|Tn1−Tm2|≦t」、「(511−e1)≦En1≦(511+e2)」、「(511−e1)≦Em2≦(511+e2)」』となる2つの計数情報を探索する。これにより、同時計数情報生成部25は、図3Bに示すように、「モジュールID:n」の検出器モジュール14由来の計数情報「P:Pn1、E:En1、T:Tn1」と、「モジュールID:m」の検出器モジュール14由来の計数情報「P:Pm2、E:Em2、T:Tm2」との組み合わせを、2光子を略同時に検出した同時計数情報として生成する。
そして、同時計数情報生成部25は、同時計数情報を、図1に示すデータ記憶部27の同時計数情報データ27aに格納する。同時計数情報は、ガンマ線の投影データ(サイノグラム)となる。
図1に戻って、画像再構成部26は、崩壊イベントの計数情報に基づいて、画像データを再構成する。図1に示す画像再構成部26は、対消滅イベントの計数情報に基づいて、画像データ(PET画像データ)を再構成する。すなわち、画像再構成部26は、同時計数情報データ27aに格納された同時計数情報を用いて、PET画像データを再構成する。
具体的には、画像再構成部26は、同時計数情報を用いた逐次近似法により、PET画像データを再構成する。画像再構成部26は、撮像部位当たり、複数のアキシャル面それぞれのPET画像データを再構成する。例えば、画像再構成部26は、逐次近似法として、MLEM(Maximum Likelihood Expectation Maximization)法や、OSEM(Ordered Subset MLEM)法を用いてPET画像データを再構成する。なお、画像再構成部26は、TOF(Time Of Flight)−PET装置で行われているような、同時計数情報の検出時間の時間差(飛行時間差)を用いて再構成を行なっても良い。
そして、画像再構成部26は、PET画像データを、図1に示すデータ記憶部27の画像データ27bに格納する。なお、本実施形態は、同時計数情報が架台装置10において生成される場合でも適用可能である。
制御部28は、架台装置10及びコンソール装置20の動作を制御することによって、PET装置の全体制御を行う。具体的には、制御部28は、寝台12の移動の制御や、計数情報収集部16における計数情報の収集処理を制御する。例えば、制御部28は、寝台制御部23を介して、駆動部13を制御することで、撮像部位の移動制御を行なう。また、制御部28は、同時計数情報生成部25の同時計数情報生成処理や画像再構成部26の再構成処理を制御する。また、制御部28は、画像データ27bに格納された画像データを、表示部22に表示するように制御する。
以上、第1の実施形態に係るPET装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、第1の実施形態に係るPET装置は、PET検査において、被検体Pの対消滅イベントに関するデータを、複数の撮像部位それぞれで収集し、各撮像部位のPET画像データを再構成する。具体的には、PET装置は、ステップアンドシュート方式により、被検体Pを、複数の撮像部位それぞれで撮像する。ステップアンドシュート方式では、PET装置は、1つの撮像部位でデータを収集した後に、架台装置10内における被検体Pの位置を移動させて、次の撮像部位でのデータ収集を行なう。
ここで、複数の撮像部位の設定は、例えば、X線CT(Computed Tomography)装置により撮像された被検体Pのスキャノグラムを参照した操作者が、PET画像データの撮像計画を立案することで行なわれる。なお、スキャノグラムは、X線管及びX線検出器を回転可能に支持する回転フレームを固定させた状態で、X線管からX線を照射しながら被検体Pを体軸方向に沿って移動させることで、被検体Pの全身を体軸方向に沿ってスキャンした画像データである。図4は、撮像計画の一例を説明するための図である。
例えば、被検体Pの身長が「180cm」であり、PET装置の検出器幅(検出器の天板11の長手方向に沿った幅)が「20cm」であるとする。かかる場合、操作者は、例えば、図4に示すように、スキャノグラムを参照して、被検体Pを「20cm」ごとに「10cm」重複させながら、17回にわたってPET画像の全身撮像を行なうと設定する。すなわち、操作者は、撮像部位1〜17のPET画像の撮像を、10cmずつ寝台12を移動させながら行なうと設定する。以下では、撮像部位を、「ベッドポジション」、又は、「ベッド」と記載する場合がある。
ここで、複数の撮像部位で撮像(マルチベッドスキャン)を行なう場合、1ベッド当たり、例えば、2〜3分間に渡ってデータ収集を行なう。一方、1ベッドの撮像(スキャン)で収集されたデータから画像再構成を行なう場合、従来、再構成用の計算時間は、4〜5分程度、要しているのが現状である。すなわち、画像再構成に要する時間(再構成時間)がスキャン時間(撮像時間)より長いため、現時点でデータが収集されているベッドポジションの画像データを操作者が参照できるのは、現状、当該ベッドポジションでのスキャンが終了した後になる。操作者は、スキャンが正常に行われたことを、画像を確認することによって確認するため、検査終了までに要する時間が長くなり、検査効率が悪くなってしまう。
しかし、計算機器の進歩により画像再構成部26の処理能力が向上すると、1ベッド当たりのスキャン時間より再構成時間が短くなる場合がある。また、複数の再構成処理ユニットで画像再構成部26を構成し、複数の再構成処理ユニットにより再構成処理を並列で行なうことで、1ベッド当たりのスキャン時間より再構成時間が短くなる場合がある。
かかる場合、操作者は、あるベッドポジションでのスキャン中に、当該ベッドポジションのPET画像データを参照することができる。そして、仮に、スキャン中の再構成処理により表示部22に表示されたPET画像データが十分な画質を担保していた場合、操作者は、PET検査のワークフロー向上のために、データ収集中の撮像部位での撮像を終了させ、次の撮像部位での撮像を開始させることができる。しかし、現状、このような機能を搭載したPET装置は存在しない。
そこで、検査効率を向上させるため、図1に示す第1の実施形態に係るPET装置の制御部28は、以下の制御を行なう。すなわち、制御部28は、被検体Pの撮像を複数の撮像部位それぞれで行なう際に、撮像中の撮像部位において収集済みのデータが、所定の条件を満たすと判断した場合に、当該判断後の撮像における撮像条件を変更する。例えば、所定の条件とは、収集済みのデータから得られる画像データの画質についての条件である。以下、所定の条件を、画質条件と記載する場合がある。第1の実施形態に係る制御部28は、撮像中の撮像部位において計数情報収集部16が収集済みのデータが所定の条件を満たすと判断した場合に、当該撮像中の撮像部位の次の撮像部位の撮像が開始されるように、駆動部13を制御する。
具体的には、第1の実施形態に係る制御部28は、撮像中の撮像部位で収集済みの崩壊イベントの計数情報である「対消滅イベントの計数情報(同時計数情報)」に基づいて画像データ(PET画像データ)を画像再構成部26に再構成させる。そして、制御部28は、再構成された画像データ(PET画像データ)を表示部22に表示させる。そして、制御部28は、表示部22に表示された画像データ(PET画像データ)を参照した操作者から、入力部21を介して当該撮像部位での撮像終了指示を受け付けた場合に、所定の条件を満たすと判断する。なお、第1の実施形態に係る制御部28の制御処理を行なう場合には、画像再構成部26の再構成時間が、1ベッド当たりの撮像時間(スキャン時間)より短いことが前提となる。
図5及び図6は、第1の実施形態に係る制御部を説明するための図である。図5は、第1の実施形態に係るスキャンスキップを実行するために設定される情報の一例を示している。図5では、1ベッド当たりの撮像期間(スキャン期間)を「Tb」で示している。また、図5では、収集期間「T」が、「Tb」の5分の1の時間である場合を例示している。また、図5では、画像再構成部26による再構成時間「Tc」が「Tb>T>Tc」である場合を例示している。第1の実施形態では、1つのベッドポジションで、操作者に画像確認を複数回行なってもらうため、「T>Tc」に設定されることが好適である。なお、「n個」の再構成処理ユニットで画像再構成部26を構成し、個々の再構成処理ユニットの再構成時間が「Tu」である場合、「T>Tc=Tu/n」に設定される。
かかる場合、図5に例示するように、あるベッドポジションでの撮像開始から「T」が経過後、再構成処理が開始され、「T+Tc」の時点で、「収集期間:T」までに同時計数情報データ27aに蓄積された同時計数情報から再構成された画像データが表示される。また、図5に例示するように、撮像開始から「2T」が経過後、再構成処理が開始され、「2T+Tc」の時点で、「収集期間:2T」までに同時計数情報データ27aに蓄積された同時計数情報から再構成された画像データが表示される。同様に、図5に例示するように、「3T+Tc」の時点で、「収集期間:3T」までに同時計数情報データ27aに蓄積された同時計数情報から再構成された画像データが表示され、「4T+Tc」の時点で、「収集期間:4T」までに同時計数情報データ27aに蓄積された同時計数情報から再構成された画像データが表示される。
なお、図5に示す設定例は、あくまでも一例であり、「Tb」は、「T」の整数倍でなくても良い。また、第1の実施形態では、「T<Tc<Tb」に設定される場合であっても良い。この場合でも、画像データは、T間隔で表示されることになる。また、第1の実施形態は、撮像中に1回、スキャンスキップ確認用の画像データの表示が行なわれる場合であっても良い。
図6は、図5に示す設定例により行なわれるスキャンスキップの具体例を示す図である。例えば、図4に示す撮像部位1(ベッド1)での撮像開始から「T+Tc」の時点で、表示部22は、「収集期間:T」の同時計数情報から再構成された画像データを表示する。そして、図6に示すように、この画像データの画質が十分であると確認した操作者が入力部21を介して「スキャンスキップ」の要求を入力した場合、制御部28は、駆動部13を制御して、撮像部位2(ベッド2)を撮像領域(FOV)に移動させる。そして、制御部28は、撮像部位2での撮像を開始させる。
なお、撮像中の撮像部位の撮像中止から次の撮像部位での撮像開始までの間、例えば、制御部28は、検出器モジュール14からの信号出力が継続された状態で、計数情報の出力が一時的に中断されるように、FE回路15又は計数情報収集部16を制御する。また、次の撮像部位での撮像開始に応じて、例えば、制御部28は、計数情報の出力が再開されるように、FE回路15又は計数情報収集部16を制御する。なお、制御部28は、操作者からスキャンスキップ要求を受け付けない場合、ベッド1での撮像を継続する。
このように、第1の実施形態では、あるベッドポジションでのスキャン中に、収集済みのデータから画像再構成を、例えば、一定の収集間隔(T)で行ない、その都度、操作者に画像再構成の結果を参照させ、画質の確認を行なってもらう。そして、操作者が十分な画質であると確認した場合、制御部28は、このベッドポジションでのスキャンをスキップして、被検体Pの次のベッドポジションが撮像領域まで移動されるように、駆動部13を制御する。
次に、図7を用いて、第1の実施形態に係るPET装置の処理の流れについて説明する。図7は、第1の実施形態に係るPET装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図7に示すように、第1の実施形態に係るPET装置の制御部28は、入力部21を介して、操作者から撮像準備要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、撮像準備要求を受け付けない場合(ステップS101否定)、制御部28は、撮像準備要求を受け付けるまで待機する。
一方、撮像準備要求を受け付けた場合(ステップS101肯定)、制御部28の指示を受け付けた寝台制御部23の制御により、駆動部13は、被検体Pの最初のベッドポジションをFOVに移動させる(ステップS102)。そして、寝台制御部23は、移動が完了した旨を制御部28に通知する。そして、制御部28は、各処理部へ、撮像可能な準備を実行する旨を通知し、各処理部から準備完了の通知を受信した後、撮像を開始させる(ステップS103)。
そして、制御部28は、撮像開始とともに時間のカウントアップを開始し、まず、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する(ステップS104)。ここで、撮像期間「Tb」が経過していない場合(ステップS104否定)、制御部28は、収集期間「T」が経過したか否かを判定する(ステップS105)。ここで、収集期間「T」が経過していない場合(ステップS105否定)、制御部28は、ステップS104に戻って、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する。
一方、収集期間「T」が経過した場合(ステップS105肯定)、制御部28の制御により、画像再構成部26は、画像再構成を行ない(ステップS106)、表示部22は、再構成された画像データを表示する(ステップS107)。なお、収集期間「T」が経過した場合、制御部28は、タイムカウントをリセットして、再度、カウントアップを開始する。
そして、制御部28は、入力部21を介して、操作者からスキャンスキップ要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。ここで、スキャンスキップ要求を受け付けない場合(ステップS108否定)、制御部28は、スキャンを継続し、ステップS104に戻って、撮像期間が経過したか否かの判定を行なう。
一方、スキャンスキップ要求を受け付けた場合(ステップS108肯定)、制御部28は、撮像を中止し、最後のベッドポジションであるか否かを判定する(ステップS109)。また、スキャンスキップ要求を受け付けることなく撮像期間「Tb」が経過した場合(ステップS104肯定)、制御部28は、最後のベッドポジションであるか否かを判定する(ステップS109)。なお、ステップS109の判定処理とともに、制御部28は、収集期間計測用のカウントアップを中止し、初期化する。
ここで、最後のベッドポジションでない場合(ステップS109否定)、制御部28の制御により、駆動部13は、被検体Pの次のベッドポジションをFOVに移動させ(ステップS110)、ステップS103に戻って、制御部28は、移動後のベッドポジションでの撮像を開始させる。
一方、最後のベッドポジションである場合(ステップS109肯定)、制御部28は、撮像を終了し(ステップS111)、処理を終了する。例えば、制御部28は、寝台制御部23に対して、被検体Pが寝台12から降りられるように、天板11を降下させる指示を通知する。
なお、スキャンスキップ要求を受け付けることなく撮像期間「Tb」が経過した場合、そのベッドポジションでのPET画像データは、撮像期間「Tb」中に収集された同時計数情報から再構成される。また、画質確認用に、ステップS106で再構成され、ステップS107で表示される画像データは、該当するベッドポジションでの1つのアキシャル断面のPET画像データである場合であっても、複数のアキシャル断面のPET画像データ群である場合であっても良い。また、本実施形態は、スキャンスキップされたベッドポジションでのPET画像データは、全撮像部位の撮像終了後等に、画像診断用に、再度再構成されても良い。
また、本実施形態は、撮像期間「Tb」において何度も画像表示が行なわれないように、操作者が、ステップS107の後、スキャン継続要求を入力する場合であっても良い。
上述したように、第1の実施形態では、あるベッドポジションでの撮像中に、収集済みのデータから再構成された画像データを操作者に参照させる。そして、第1の実施形態では、画像データを参照した操作者が十分な画質であると確認した場合、このベッドポジションでのスキャンをスキップして、次のベッドポジションでのスキャンに移行することで、PET検査に要する時間を短縮することができる。従って、第1の実施形態では、検査効率を向上させることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、操作者が画質確認を行なって検査効率を向上させる場合について説明した。すなわち、第1の実施形態では、操作者が主観的な判断に基づいて行なった入力操作の有無を、画質条件を満たしたか否かの判断基準とする場合について説明した。これに対して、第2の実施形態では、画質条件として客観的に判断可能な条件により、制御部28が自動的にスキャンスキップを行なう場合について説明する。
第2の実施形態に係るPET装置は、図1を用いて説明した第1の実施形態に係るPET装置と同様に構成される。ただし、第2の実施形態に係る制御部28は、画質のパラメータの1つである信号雑音比(S/N)が、崩壊イベントである対消滅イベントの数と相関関係があることに基づく制御を行なう。例えば、S/Nは、同時計数情報数の平方根と略比例する。また、S/Nは、計数情報数と正の相関がある。
このようなことから、第2の実施形態に係る制御部28は、撮像中の撮像部位で収集済みの対消滅イベントの計数(収集済みの崩壊イベントの計数)が所定の閾値を超えた場合に、所定の条件(画質条件)を満たすと判断する。以下では、制御部28が、対消滅イベントの計数として、同時計数情報データ27aに格納された同時計数情報の数を用い、同時計数情報数に対して設定された閾値(Th)を用いて処理を行なう場合について説明する。なお、第2の実施形態は、対消滅イベントの計数として計数情報記憶部24に格納された計数情報の数を用い、計数情報数に対して設定された閾値を用いて処理を行なう場合であっても良い。
なお、第2の実施形態に係る制御部28の制御処理を行なう場合には、画像再構成部26の再構成時間は、1ベッド当たりの撮像時間(スキャン時間)より大きい場合でも適用可能である。
図8は、第2の実施形態に係る制御部を説明するための図である。例えば、制御部28は、図8に示すように、ベッド1での撮像開始から対消滅イベント数を計数する。そして、制御部28は、図8に示すように、対消滅イベント数が「Th」を超えた場合、ベッド1の撮像を終了させ、駆動部13を制御して、ベッド2を撮像領域(FOV)に移動させる。そして、制御部28は、撮像部位2での撮像を開始させる。
なお、第2の実施形態では、各撮像部位での診断用の画像再構成は、全撮像部位での撮像が終了した後に行なわれる場合であっても、次の撮像部位でのデータ収集中に行なわれる場合であっても良い。
また、本実施形態は、同時計数情報生成部25が、撮像中のベッドポジションでの同時計数情報数を制御部28に通知する場合であっても良い。或いは、同時計数情報生成部25が、画質条件を満たしたと判断した場合に、その旨を制御部28に通知する場合であっても良い。また、計数情報数を対消滅イベント数とする場合、計数情報収集部16が計数情報の計数値を制御部28に通知する場合であっても良い。或いは、計数情報収集部16が、画質条件を満たしたと判断した場合に、その旨を制御部28に通知する場合であっても良い。
次に、図9を用いて、第2の実施形態に係るPET装置の処理の流れについて説明する。図9は、第2の実施形態に係るPET装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図9に示すように、第2の実施形態に係るPET装置の制御部28は、入力部21を介して、操作者から撮像準備要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、撮像準備要求を受け付けない場合(ステップS201否定)、制御部28は、撮像影準備要求を受け付けるまで待機する。
一方、撮像準備要求を受け付けた場合(ステップS201肯定)、制御部28の指示を受け付けた寝台制御部23の制御により、駆動部13は、被検体Pの最初のベッドポジションをFOVに移動させる(ステップS202)。そして、寝台制御部23は、移動が完了した旨を制御部28に通知する。そして、制御部28は、各処理部へ、撮像可能な準備を実行する旨を通知し、各処理部から準備完了の通知を受信した後、撮像を開始させる(ステップS203)。
そして、制御部28は、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する(ステップS204)。ここで、撮像期間「Tb」が経過していない場合(ステップS204否定)、制御部28は、対消滅イベント数が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS205)。ここで、対消滅イベント数が閾値を超えていない場合(ステップS205否定)、制御部28は、ステップS204に戻って、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する。
一方、対消滅イベント数が閾値を超えた場合(ステップS205肯定)、制御部28は、最後のベッドポジションであるか否かを判定する(ステップS206)。また、対消滅イベント数が閾値を超えることなく撮像期間「Tb」が経過した場合(ステップS204肯定)、制御部28は、最後のベッドポジションであるか否かを判定する(ステップS206)。
ここで、最後のベッドポジションでない場合(ステップS206否定)、制御部28の制御により、駆動部13は、被検体Pの次のベッドポジションをFOVに移動させ(ステップS207)、ステップS203に戻って、移動後のベッドポジションでの撮像を開始させる。
一方、最後のベッドポジションである場合(ステップS206肯定)、制御部28は、撮像を終了し(ステップS208)、処理を終了する。例えば、制御部28は、寝台制御部23に対して、被検体Pが寝台12から降りられるように、天板11を降下させる指示を通知する。
上述したように、第2の実施形態では、撮像中のベッドポジションでの対消滅イベント数を監視し、十分な画質が担保される対消滅イベントが計数された場合に、このベッドポジションでのスキャンを自動的にスキップして、次のベッドポジションでスキャンに移行する。従って、第2の実施形態では、PET検査に要する時間を短縮することができるとともに、操作者の撮像中の作業を軽減することができ、検査効率を更に向上させることができる。
なお、第2の実施形態に係る制御処理を行なう場合、以下に説明する3つの変形例が行なわれる場合であっても良い。
第2の実施形態の第1変形例では、制御部28は、撮像中の撮像部位で収集済みの対消滅イベントの計数が所定の閾値を超えた場合に、当該撮像部位での撮像を終了するか否かを操作者に問い合せる。そして、制御部28は、入力部21を介して操作者から撮像終了指示を受け付けた場合に、所定の条件(画質条件)を満たすと判断する。
図10は、第2の実施形態の第1変形例を説明するための図である。例えば、制御部28は、対消滅イベント数が「Th」を超えた場合、図10に示すように、「対消滅イベント数が閾値を超えました。スキャンスキップしますか?」といったメッセージを表示部22に表示させる。
そして、制御部28は、例えば、操作者が入力部21を用いてスキャンスキップ要求を入力した場合、スキャンスキップを実行する。また、制御部28は、例えば、操作者が入力部21を用いてスキャン継続要求を入力した場合、スキャンスキップを実行せずに、該当するベッドポジションでの撮像を継続する。
上記の第1変形例では、対消滅イベント数が閾値を超えたことを操作者に通知し、スキャンスキップの最終的な判断を操作者に委ねることで、操作者が意図しない状況で、スキャンスキップが自動的に実行されることを回避することができる。
第2の実施形態の第2変形例では、制御部28は、複数の撮像部位それぞれで設定された閾値を用いて、画質条件を満たしたか否かを判断する。図11A及び図11Bは、第2の実施形態の第2変形例を説明するための図である。
例えば、操作者は、図4を用いて説明した撮像計画の立案時に、各撮像部位に同時計数情報数に対する閾値を設定する。例えば、操作者は、図11Aに示すように、下肢部、上肢部、下腹部等の撮像部位(1〜9)に対しては、被検体Pの画像診断において重要度が低いことから、小さい閾値「Th(L)」を設定する。また、例えば、操作者は、図11Aに示すように、腹部、胸部、頸部等の撮像部位(10〜15)に対しては、被検体Pの画像診断において重要度が高いことから、大きい閾値「Th(H)」を設定する。また、例えば、操作者は、図11Aに示すように、頭部の撮像部位(16〜17)に対しては、被検体Pの画像診断において重要度が中程度であることから、Th(L)とTh(H)の間の閾値「Th(M)」を設定する。
或いは、操作者は、図11Bの左図に示すように、撮像部位(1〜9)に対しては、重要度のクラスを「L」に設定し、撮像部位(10〜15)に対しては、重要度のクラスを「H」に設定し、撮像部位(16〜17)に対しては、重要度のクラスを「M」に設定する。ここで、制御部28には、「クラス:L」に対応付けて「Th(L)」が設定され、「クラス:M」に対応付けて「Th(M)」が設定され、「クラス:H」に対応付けて「Th(H)」が設定されている。
かかる場合、制御部28は、図11Bの左図に示すように、撮像部位(1〜9)に「Th(L)」を自動的に設定し、撮像部位(10〜15)に「Th(H)」を自動的に設定し、撮像部位(16〜17)に「Th(M)」を自動的に設定する。
図11Aや図11Bの設定が行なわれた場合、制御部28は、図9のステップS205の判定処理において、撮像部位(1〜9)については「Th(L)」を用い、撮像部位(10〜15)については「Th(H)」を用い、撮像部位(16〜17)については「Th(M)」を用いる。
上記の第2変形例では、スキャンスキップの自動判定用の閾値を、画像診断に要求される画質に応じて設定することで、例えば、再検査が行なわれることを回避することができる。
第2の実施形態の第3変形例では、制御部28は、被検体Pの身体情報及び病理情報の少なくとも一方に応じて設定された閾値を用いて、所定の条件(画質条件)を満たしたか否かを判定する。ここで、身体情報とは、例えば、被検体Pの身長、体重等である。また、病理情報とは、例えば、被検体Pの既往歴や現病歴である。病理情報は、第2変形例で説明した重要度の具体例でもある。
被検体Pの内部で発生したガンマ線は、生体組織を通過して検出器に入射する。この際に、ガンマ線が生体組織と相互作用することによって、本来入射すべき検出器に入射しない事象が起こり得る。このため、例えば、被検体Pの体厚が大きい程、計数値は、低くなる。そこで、例えば、操作者は、被検体Pの身体情報から、被検体Pが肥満型であると判断した場合、S/Nに基づく基準閾値より大きい閾値を設定する。また、例えば、被検体Pの既往歴又は現病歴としてリンパ節の悪性腫瘍が記録されている場合、操作者は、ガンの全身転移の可能性を考慮して、S/Nに基づく基準閾値より大きい閾値を設定する。また、操作者は、身体情報から被検体Pが肥満型であり、病理情報から被検体Pにガンの全身転移の可能性がある場合は、これら閾値より更に大きい閾値を設定する。
なお、第2の実施形態の第3変形例では、制御部28は、被検体Pの身体情報及び病理情報の少なくとも一方に応じて複数の撮像部位それぞれで設定された閾値を用いて、所定の条件(画質条件)を満たしたか否かを判定しても良い。例えば、操作者は、被検体Pの各撮像部位の大きさに応じて、各撮像部位の閾値を設定しても良い。また、例えば、操作者は、被検体Pの既往歴又は現病歴として胃がんが記録されている場合、腹部の撮像部位の閾値を他の撮像部位の閾値より大きく設定しても良い。
上記の第3変形例では、スキャンスキップの自動判定用の閾値を、被検体Pの画像診断に要求される画質に応じて設定することで、例えば、再検査が行なわれることを回避することができる。なお、第2の実施形態は、変形例として、例えば、第1変形例及び第2変形例の双方、又は、第1変形例及び第3変形例の双方が行なわれる場合でも良い。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態で説明した制御処理を行なう場合に、第2の実施形態で説明した制御処理も実行する場合について、図12等を用いて説明する。図12は、第3の実施形態を説明するための図である。
第3の実施形態では、第1の実施形態で説明したように、画質確認用の画像データを表示する。そして、第3の実施形態に係る制御部28は、入力部21を介して操作者から撮像中の撮像部位での撮像終了指示(スキャンスキップ要求)を受け付けた時点で、収集済みの対消滅イベントの計数(収集済みの崩壊イベントの計数)が閾値を超えているか否かを判定する。そして、第3の実施形態に係る制御部28は、対消滅イベントの計数が閾値を超えていない場合、当該撮像部位での撮像を終了するか否かを操作者に問い合せる。
例えば、制御部28は、図12に示すように、「対消滅イベント数が閾値を超えていません。スキャンスキップしますか?」といったメッセージを表示部22に表示させる。
そして、第3の実施形態に係る制御部28は、入力部21を介して操作者から再度撮像終了指示(スキャンスキップ再要求)を受け付けた場合に、所定の条件(画質条件)を満たすと判断する。なお、第3の実施形態においても、制御部28は、第2の実施形態の第2変形例と同様に、複数の撮像部位それぞれで設定された閾値を用いて、操作者に問い合せを行なっても良い。また、第3の実施形態においても、制御部28は、第2の実施形態の第3変形例と同様に、被検体Pの身体情報及び病理情報の少なくとも一方に応じて全撮像部位で共通設定された閾値、又は、被検体Pの身体情報及び病理情報の少なくとも一方に応じて複数の撮像部位それぞれで設定された閾値を用いて、操作者に問い合せを行なっても良い。
次に、図13を用いて、第3の実施形態に係るPET装置の処理の流れについて説明する。図13は、第3の実施形態に係るPET装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図13に示すように、第3の実施形態に係るPET装置の制御部28は、入力部21を介して、操作者から撮像準備要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS301)。ここで、撮像準備要求を受け付けない場合(ステップS301否定)、制御部28は、撮像準備要求を受け付けるまで待機する。
一方、撮像準備要求を受け付けた場合(ステップS301肯定)、制御部28の指示を受け付けた寝台制御部23の制御により、駆動部13は、被検体Pの最初のベッドポジションをFOVに移動する(ステップS302)。そして、制御部28は、撮像を開始させる(ステップS303)。
そして、制御部28は、撮像開始とともに時間のカウントアップを開始し、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する(ステップS304)。ここで、撮像期間「Tb」が経過していない場合(ステップS304否定)、制御部28は、収集期間「T」が経過したか否かを判定する(ステップS305)。ここで、収集期間「T」が経過していない場合(ステップS305否定)、制御部28は、ステップS304に戻って、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する。
一方、収集期間「T」が経過した場合(ステップS305肯定)、制御部28の制御により、画像再構成部26は、画像再構成を行ない(ステップS306)、表示部22は、再構成された画像データを表示する(ステップS307)。
そして、制御部28は、入力部21を介して、操作者からスキャンスキップ要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS308)。ここで、スキャンスキップ要求を受け付けない場合(ステップS308否定)、制御部28は、スキャンを継続し、ステップS304に戻って、撮像期間が経過したか否かの判定を行なう。
一方、スキャンスキップ要求を受け付けた場合(ステップS308肯定)、制御部28は、対消滅イベント数が閾値を超えているか否かを判定する(ステップS309)。ここで、閾値を超えていない場合(ステップS309否定)、制御部28の制御により、表示部22は、問い合わせメッセージを表示する(ステップS310)。そして、制御部28は、操作者からスキャンスキップの再要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS311)。ここで、スキャンスキップの再要求を受け付けない場合(ステップS311否定)、制御部28は、スキャン継続と判定して、ステップS304に戻って、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する。
一方、対消滅イベント数が閾値を超えている場合(ステップS309肯定)、又は、スキャンスキップの再要求を受け付けた場合(ステップS311肯定)、制御部28は、撮像を中止し、最後のベッドポジションであるか否かを判定する(ステップS312)。又は、スキャンスキップ要求やスキャンスキップ再要求を受け付けることなく撮像期間「Tb」が経過した場合(ステップS304肯定)、制御部28は、最後のベッドポジションであるか否かを判定する(ステップS312)。
ここで、最後のベッドポジションでない場合(ステップS312否定)、制御部28の制御により、駆動部13は、被検体Pの次のベッドポジションをFOVに移動し(ステップS313)、ステップS303に戻って、移動後のベッドポジションでの撮像を開始させる。
一方、最後のベッドポジションである場合(ステップS312肯定)、制御部28は、撮像を終了し(ステップS314)、処理を終了する。
なお、第1の実施形態で説明した内容や、第2の実施形態で説明した内容は、対消滅イベント数に基づいて操作者に問い合わせを行なう点以外、第3の実施形態でも適用可能である。
上述したように、第3の実施形態では、撮像中の収集済みのデータで再構成された画像データを参照した操作者が、主観的な判断で十分な画質が担保されたと確認した場合でも、当該画像データの画質が客観的な基準により診断用に適しているか否かを、自動判定する。そして、第3の実施形態では、この画像データの画質が客観的な基準により診断用に適していない可能性がある場合には、操作者は、問い合わせメッセージを参照して、再度、スキャンスキップを行なうか否かを、判断することができる。その結果、第3の実施形態では、例えば、再撮像を行なう可能性を低減することができ、PET検査のワークフローを改善することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、第2の実施形態で説明した制御処理を行なう場合に、第1の実施形態で説明した制御処理も実行する場合について説明する。
第4の実施形態に係る制御部28は、第2の実施形態で説明したように、崩壊イベント数である対消滅イベント数と閾値との比較を行なう。なお、第4の実施形態で用いられる閾値は、第2の実施形態や、第2の実施形態の第2変形例、第2の実施形態の第3変形例で説明した閾値を適用可能である。そして、第4の実施形態に係る制御部28は、撮像中の撮像部位で収集済みの対消滅イベントの計数(収集済みの崩壊イベントの計数)が閾値を超えた場合に、当該収集済みの対消滅イベントの計数結果に基づいて画像データ(PET画像データ)を画像再構成部26に再構成させる。
そして、制御部28は、画像データ(PET画像データ)を表示部22に表示させる。そして、制御部28は、表示部22に表示された画像データ(PET画像データ)を参照した操作者から、当該撮像部位での撮像終了指示(スキャンスキップ要求)を、入力部21を介して受け付けた場合に、所定の条件(画質条件)を満たすと判断し、次の撮像部位での撮像を開始する。
次に、図14を用いて、第4の実施形態に係るPET装置の処理の流れについて説明する。図14は、第4の実施形態に係るPET装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
図14に示すように、第4の実施形態に係るPET装置の制御部28は、入力部21を介して、操作者から撮像準備要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS401)。ここで、撮像準備要求を受け付けない場合(ステップS401否定)、制御部28は、撮像準備要求を受け付けるまで待機する。
一方、撮像準備要求を受け付けた場合(ステップS401肯定)、制御部28の指示を受け付けた寝台制御部23の制御により、駆動部13は、被検体Pの最初のベッドポジションをFOVに移動させる(ステップS402)。そして、制御部28は、撮像を開始させる(ステップS403)。
そして、制御部28は、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する(ステップS404)。ここで、撮像期間「Tb」が経過していない場合(ステップS404否定)、制御部28は、対消滅イベント数が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS405)。ここで、対消滅イベント数が閾値を超えていない場合(ステップS405否定)、制御部28は、ステップS404に戻って、撮像期間「Tb」が経過したか否かを判定する。
一方、対消滅イベント数が閾値を超えた場合(ステップS405肯定)、制御部28の制御により、画像再構成部26は、画像再構成を行ない(ステップS406)、表示部22は、再構成された画像データを表示する(ステップS407)。
そして、制御部28は、入力部21を介して、操作者からスキャンスキップ要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS408)。ここで、スキャンスキップ要求を受け付けない場合(ステップS408否定)、制御部28は、スキャンを継続し、ステップS404に戻って、撮像期間が経過したか否かの判定を行なう。
一方、スキャンスキップ要求を受け付けた場合(ステップS408肯定)、制御部28は、最後のベッドポジションであるか否かを判定する(ステップS409)。また、スキャンスキップ要求を受け付けることなく撮像期間「Tb」が経過した場合(ステップS404肯定)、制御部28は、最後のベッドポジションであるか否かを判定する(ステップS409)。
ここで、最後のベッドポジションでない場合(ステップS409否定)、制御部28の制御により、駆動部13は、被検体Pの次のベッドポジションをFOVに移動し(ステップS410)、ステップS403に戻って、移動後のベッドポジションでの撮像を開始させる。
一方、最後のベッドポジションである場合(ステップS409肯定)、制御部28は、撮像を終了し(ステップS411)、処理を終了する。
上述したように、第4の実施形態では、撮像中で蓄積された対消滅イベント数に基づく客観的な基準により、診断用に適しているPET画像データが再構成可能な状態であると判定される場合でも、操作者が実際の再構成画像を参照して、十分な画質であるか否かを、改めて確認して、スキャンスキップを実行するか否かを判断することが出来る。その結果、第4の実施形態では、例えば、再撮像を行なう可能性を低減することができ、PET検査のワークフローを改善することができる。
(第5の実施形態)
上述した第1〜第4の実施形態では、ステップアンドシュート方式の撮像中の撮像部位において収集済みのデータが所定の条件を満たすと判断した後の撮像における撮像条件を変更する一例として、制御部28は、駆動部13を制御してスキャンスキップを行なう。第5の実施形態では、制御部28が、スキャンスキップとは異なる制御処理により、判断後の撮像における撮像条件を変更する場合について、図15を用いて説明する。図15は、第5の実施形態を説明するための図である。
第5の実施形態では、駆動部13は、制御部28の制御により、被検体Pの移動速度を任意の速度に変更可能である。第5の実施形態では、操作者は、移動速度を任意の速度に変更可能な駆動部13の機構を利用して、撮像計画を立案する。
例えば、操作者は、図15の上図に示すように、頭頚部撮像用の撮像部位Aでは、出来るだけ多くの計数情報を収集して高分解能な画像データを得るために、被検体Pが低速度で移動する「移動速度:V(L)」を設定する。また、例えば、操作者は、図15の上図に示すように、胸部及び腹部撮像用の撮像部位Bでは、高いS/Nの画像データを得るために、被検体Pが「V(L)」より若干早い遅いで移動する「移動速度:V(M)」を設定する。また、例えば、操作者は、図15の上図に示すように、下肢部撮像用の撮像部位Cでは、ある程度のS/Nの画像データが得られれば良いことから、被検体Pが高速度で移動する「移動速度:V(H)」を設定する。また、例えば、操作者は、撮像部位A、撮像部位B,撮像部位Cの順に撮像を行なうと設定する。
そして、撮像部位Aの撮像開始後から、制御部28は、第1の実施形態〜第4の実施形態で説明した処理により、撮像中の撮像部位において収集済みのデータが所定の条件を満たすか否かを判定する。ここで、例えば、制御部28が、「移動速度:V(M)」の撮像中の撮像部位Bにおいて収集済みのデータが所定の条件を満たすと判断したとする。かかる場合、「移動速度:V(M)」でも画像データの画質が保障されていることから、ワークフローを向上させるために、移動速度を速めることが可能である。そこで、制御部28は、例えば、図15の下図に示すように、駆動部13を制御して、移動速度をV(M)より速いV(M1)に変更する。
なお、制御部28は、V(M1)での撮像条件下で、撮像部位Bにおいて収集済みのデータが所定の条件を満たすと判断した場合、移動速度をV(M1)より速い速度に変更しても良い。また、制御部28は、V(M1)での撮像条件下で、撮像部位Bにおいて収集済みのデータが所定の条件を満たさなくなったと判断した場合、移動速度をV(M)に戻しても良い。
かかる制御が行われることで、第5の実施形態では、所定の条件に基づく判定処理により、操作者が要望する画質の画像データが得られることを保障したうえで、移動速度を変更することで、撮像時間を調整することができる。その結果、第5の実施形態では、例えば、操作者が設定した全身撮像に要する撮像時間を短縮することができ、PET検査のワークフローを改善することができる。
なお、第1〜第5の実施形態で説明した制御方法は、PET装置以外にも、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET−CT装置や、PET装置とMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置とが一体化されたPET−MRI装置においても適用可能である。
また、第1〜第5の実施形態で説明した制御方法は、被検体Pの生体組織に特異的に取り込まれた放射性同位元素の崩壊イベントにより放出されるガンマ線の計数情報を用いてSPCT画像データを再構成するSPET装置にも適用可能である。更に、第1〜第5の実施形態で説明した制御方法は、SPET装置とX線CT装置とが一体化されたSPET−CT装置や、SPET装置とMRI装置とが一体化されたSPET−MRI装置においても適用可能である。
また、第1〜第5の実施形態において図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、第1〜第5の実施形態で説明した制御方法は、予め用意された制御プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この制御プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、検査効率を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。