JP6499510B2 - 遺伝子組み換え酵母及びそれを用いた5−アミノレブリン酸の製造法 - Google Patents

遺伝子組み換え酵母及びそれを用いた5−アミノレブリン酸の製造法 Download PDF

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本発明は、5−アミノレブリン酸の生産性が向上した遺伝子組み換え酵母及び当該酵母を用いた5−アミノレブリン酸の製造法に関する。
5−アミノレブリン酸はヘムやクロロフィルといったポルフィリン誘導体の前駆体となるアミノ酸であり、動物、植物にとって生理的に重要な物質である。これまでに食品や肥料、化粧品において多数の製品が出されており、最近では、癌治療薬、脳腫瘍治療薬、さらには二価鉄との併用による糖尿病予防効果、抗マラリア薬への可能性が報告され、医療分野における開発も注目されている。
5−アミノレブリン酸の製造方法は、化学合成法、微生物を用いる方法が知られているが、化学合成法は収率が悪く、実用化は一部のみ成されている程度である。一方、微生物による製造法についての研究開発は多数なされており、近年では光合成細菌(特許文献1)やコリネバクテリウム(特許文献2)、大腸菌(非特許文献1)などによる製造方法が多数報告され、特に光合成細菌によるALA製造方法については実用化が進んでいる。
特開2008−29272号公報 特開2005−333907号公報
J.Microbiol.Biotechnol.18,1136−1140
従来の微生物を用いた製造方法は、宿主となる微生物の生育条件に合わせてpH6〜8といった中性条件で実施されている。しかし、5−アミノレブリン酸は酸性条件で安定である一方、中性付近では非常に分解しやすく、不可逆的に二量体(ピラジン)に変換されることが知られている。そのため、酸性条件下において5−アミノレブリン酸が製造可能な方法が求められている。
従って、本発明の課題は、酸性条件下でも生育が可能で、かつ5−アミノレブリン酸の効率のよい生産が可能な微生物、及び当該微生物を用いた5−アミノレブリン酸の製造法を提供することである。
本発明者は、酸性条件下における増殖が可能な酵母に着目し検討を行なったが、これまで酵母による5−アミノレブリン酸の製造方法の報告例はなかった。また、酵母が5−アミノレブリン酸合成酵素遺伝子を有することは知られているが、本発明者がその酵母を培養しても5−アミノレブリン酸の産生は確認できなかった。そこで、さらに検討した結果、酵母中の5−アミノレブリン酸合成酵素遺伝子の発現を増強させれば、当該遺伝子組み換え酵母は5−アミノレブリン酸を生産する能力を有するようになることを見出した。さらに検討した結果、5−アミノレブリン酸合成酵素遺伝子に加えて、ミトコンドリア膜上のキャリアタンパク質のうち、特定の6遺伝子から選ばれる1種以上の遺伝子の発現も増強させれば、当該遺伝子組み換え酵母の5−アミノレブリン酸を生産する能力がさらに向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔5〕を提供するものである。
〔1〕(a)5−アミノレブリン酸合成酵素をコードする遺伝子HEM1、並びに(b)ミトコンドリア膜上のキャリアタンパク質をコードする遺伝子であるMDL1、JEN1、POR2、DIC1、CTP1及びYPR011Cから選ばれる1種以上の発現が増強された遺伝子組み換え酵母。
〔2〕酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(a)を有するベクターと酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(b)を有するベクターで形質転換されたもの、あるいは酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(a)及び遺伝子(b)を有するベクターで形質転換されたものである〔1〕記載の遺伝子組み換え酵母。
〔3〕酵母中で発現するプロモーターが、PGKプロモーターである〔2〕記載の遺伝子組み換え酵母。
〔4〕酵母が、Saccharomyces cerevisiaeである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の遺伝子組み換え酵母。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の遺伝子組み換え酵母を培養することを特徴とする5−アミノレブリン酸又はその塩の製造法。
本発明の遺伝子組み換え酵母を用いれば、酸性条件下で、5−アミノレブリン酸又はその塩を安定して、かつ効率良く生産することができる。
本発明の遺伝子組み換え酵母の親株としては、サッカロマイセス属、キャンデダ属、ピキア属の酵母などを用いることができるが、サッカロマイセス属の酵母であるSaccharomyces cerevisiaeを用いることが好ましい。また、Saccharomyces cerevisiaeとしては、YPH499株、BY4741株、BY4742株、S288C株等の入手可能な株を用いることができる。
本発明の遺伝子組み換え酵母では、
(a)5−アミノレブリン酸合成酵素をコードする遺伝子HEM1、及び
(b)ミトコンドリア膜上のキャリアタンパク質をコードする遺伝子であるMDL1、JEN1、POR2、DIC1、CTP1及びYPR011Cから選ばれる1種以上の遺伝子の発現を増強することで、5−アミノレブリン酸の生産性を向上させている。
遺伝子(a)(HEM1)は、アミノレブリン酸合成酵素遺伝子として知られており、酵母中にも存在することが知られている。しかし、HEM1を有する酵母を培養しても、5−アミノレブリン酸の産生は確認できなかった。本発明では、後述の(b)の遺伝子群と共に、この(a)HEM1の発現を増強する必要がある。
(b)の「ミトコンドリア膜上のキャリアタンパク質」とは、ミトコンドリア膜上に存在し、ミトコンドリア内外の物質の輸送にかかわるトランスポーターの役割を担うタンパク質である。具体的には、MDL1遺伝子は、ペプチドのトランスポートにかかわるATP-binding cassette super familyに属するキャリアタンパク質Multi Drug resistance-like proteinをコードする遺伝子である。JEN1遺伝子は、Monocarboxylate-proton transporterをコードする遺伝子である。POR2遺伝子は、Putative mitochondrial proteinをコードする遺伝子である。DIC1遺伝子は、Dicarboxylate carrierをコードする遺伝子である。CTP1遺伝子は、Citrate transport proteinをコードする遺伝子である。YPR011C遺伝子は、APS/PAPS transporterをコードする遺伝子である。
(b)の遺伝子群は、ミトコンドリアの内外の物質の輸送にかかわるタンパク質の遺伝子であり、酵母中に存在する。しかし、これらの遺伝子の発現が強化することで、ミトコンドリア膜上でのこれらキャリアタンパク質が増加し、これがミトコンドリア内で合成された5−アミノレブリン酸のミトコンドリア外への輸送を助けているものと考えられる。その結果、本発明にかかる遺伝子組み換え酵母では5−アミノレブリン酸の生産性が向上しているものと考えられる。本発明では、前述の(a)のHEM1の遺伝子と共に、この(b)の遺伝子群の発現を増強する必要がある。
前記の遺伝子(a)及び遺伝子(b)は、公知であり、例えば、Saccharomyces cerevisiaeであれば、Saccharomyces cerevisiae Genome Databaseから得ることができる。また、当該公知のデータベースに基づいてPCR法などにより増幅することができる。
これらの遺伝子(a)及び遺伝子(b)の発現を増強する手段としては、酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(a)及び/又は遺伝子(b)を有するベクターで、酵母を形質転換すればよい。具体的には、酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(a)を有するベクターと、酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(b)を有するベクターで酵母を形質転換する手段、酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(a)及び遺伝子(b)を有するベクターで酵母を形質転換する手段が挙げられる。
このようなプロモーターとしては、例えば、PGK1プロモーター、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、PHO5プロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、TDH3プロモーター、TEF1プロモーター、TPI1プロモーター、PYK1プロモーター、HXT7プロモーターが挙げられる。その中でも、PGK1プロモーターを用いることが好ましい。
前記のベクターとしては、プラスミドベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、ウイルスベクター、人工染色体ベクター等が挙げられるが、酵母中で発現するプロモーターを有するプラスミドベクターが知られていることから、プラスミドベクターが好ましい。
本発明の遺伝子組み換え酵母は、前記の遺伝子(a)及び(b)のDNA断片を、前記のプロモーターとこれに対応するターミネーターの間にマルチクローニングサイトが導入されたプラスミドのマルチクローニングサイトに組み込み、これを用いて酵母を形質転換することで作製することができる。
形質転換手段としては、プロトプラスト法、金属処理(リチウム処理など)法等が用いられる。
本発明の遺伝子組み換え酵母の培養は、当業者に公知の一般的な方法から、それぞれの酵母に最適な培養条件を選択すればよい。例えば、培養温度としては、25〜37℃が好ましく、27〜33℃がより好ましく、30℃にコントロールすることが特に好ましい。培地のpHとしては、pH2.5〜6.0が好ましく、pH2.5〜5.5がより好ましく、pH2.5〜4.0が特に好ましい。培地成分としては、窒素源としてのYeast nitrogen base w/o amino acidsと炭素源としてのグルコースを含有するSD培地等、それぞれ適した培地を選択すればよい。
本発明の遺伝子組み換え酵母は、上記培養条件と同様の条件で培養することで、5−アミノレブリン酸を生産することができるが、その際にグリシンとレブリン酸を含有させることで生産性をより高めることができる。グリシンの含有量は3mM〜100mMであることが好ましく、4mM〜7mMであることがより好ましい。また、レブリン酸の含有量は5mM〜100mMであることが好ましく、30〜50mM含有であることがより好ましい。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
(製造例1)HEM1遺伝子の発現を増強した酵母「YPH499/pGK405−HEM1」の作製
Saccharomyces cerevisiaeの5−アミノレブリン酸合成酵素の遺伝子HEM1のDNA断片を得るために、Saccharomyces cerevisiae Genome Databaseに登録されている遺伝子配列を参考にして、PCRのプライマーとして下記配列を設計した。
5′-GGCCgctagcATGCAACGCTCCATTTTTGC-3′ (配列番号1)
5′-GGCCggatccTTACTGCTTGATACCACTAGAAAC-3′ (配列番号2)
上記プライマーを用いて、Saccharomyces cerevisiae YPH499株(leu2、ura3)のゲノムDNAをテンプレートとし、PCR増幅を行い、その増幅物をNheIおよびBamHIで消化して、HEM1遺伝子のNheI−BamHI断片を得た。
この断片をJ.Biochem.(2009)145:701−708に記載のpGK405のPGK1プロモーター(PGK3’)とPGK1ターミネーター(PGK5’)の間のNheI−BamHI消化部位に連結し、HEM1発現プラスミドpGK405−HEM1を得た。
得られたプラスミドpGK405−HEM1は、マーカー合成酵素遺伝子LEU2中の制限酵素EcoRVで消化した後に、Saccharomyces cerevisiae YPH499株を宿主酵母株とし、Ito H, Fukuda Y, Murata K, Kimura A (1983)Transformation of intact yeast cells treated with alkali cations. J Bacteriol 153:163-168に記載の方法で形質転換を行い、HEM1の発現がPGK1プロモーターで強化された形質転換体「YPH499/pGK405−HEM1」を得た。
(製造例2)HEM1遺伝子の発現を増強し、さらにMDL1遺伝子を増強した酵母「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−MDL1」の作製
Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリアキャリアーのMDL1遺伝子のDNA断片を得るために、Saccharomyces cerevisiae Genome Databaseに登録されている遺伝子配列を参考にして、PCRのプライマーとして下記配列を設計した。
5′-GGCCgctagcATGATTGTAAGAATGATACGTCTTTG-3′(配列番号3)
5′-GGCCgtcgacTTATACTTCCCGGGCAACACTATTGTCC-3′(配列番号4)
上記プライマーを用いて、Saccharomyces cerevisiae YPH499株のゲノムDNAをテンプレートとし、PCR増幅を行い、その増幅物をNheIおよびSalIで消化して、MDL1遺伝子のNheI−SalI断片を得た。
この断片を非特許文献(J.Biochem.(2009)145:701−708)に記載のpGK406のPGK1プロモーター(PGK3’)とPGK1ターミネーター( PGK5’)の間のNheI−SalI消化部位に連結し、MDL1発現プラスミドpGK406−MDL1を得た。
得られたプラスミドpGK406−MDL1をマーカー合成酵素遺伝子URA3中の制限酵素NcoIで消化した後、製造例1で得られたSaccharomyces cerevisiae YPH499/pGK405−HEM1を宿主酵母株とし、製造例1と同様に形質転換を行い、MDL1とHEM1の発現がPGK1プロモーターで強化された形質転換体「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−MDL1」を得た。
(製造例3)HEM1遺伝子の発現を増強し、さらにJEN1遺伝子の発現を増強した酵母「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−JEN1」の作製
Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリアキャリアーのJEN1遺伝子のDNA断片を得るために、Saccharomyces cerevisiae Genome Databaseに登録されている遺伝子配列を参考にして、PCRのプライマーとして下記配列を設計した。
5′-GGCCgctagcATGTCGTCGTCAATTACAGATGAG-3′ (配列番号5)
5′-GGCCggatccTTAAACGGTCTCAATATGCTCCTC-3′ (配列番号6)
上記プライマーを用いて、Saccharomyces cerevisiae YPH499株のゲノムDNAをテンプレートとし、PCR増幅を行い、その増幅物をNheIおよびBamHIで消化して、JEN1遺伝子のNheI−BamHI断片を得た。
この断片を非特許文献(J.Biochem.(2009)145:701−708)に記載のpGK406のPGK1プロモーター(PGK3’)とPGK1ターミネーター(PGK5’)の間のNheI−BamHI消化部位に連結し、JEN1発現プラスミドpGK406−JEN1を得た。
得られたプラスミドpGK406−JEN1をマーカー合成酵素遺伝子URA3中の制限酵素EcoRVで消化した後、製造例1で得られたSaccharomyces cerevisiae YPH499/pGK405−HEM1を宿主酵母株とし、製造例1と同様に形質転換を行い、JEN1とHEM1の発現がPGK1プロモーターで強化された形質転換体「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−JEN1」を得た。
(製造例4)HEM1遺伝子の発現を増強し、さらにPOR2遺伝子の発現を増強した酵母「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−POR2」の作製
Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリアキャリアーのPOR2遺伝子のDNA断片を得るために、Saccharomyces cerevisiae Genome Databaseに登録されている遺伝子配列を参考にして、PCRのプライマーとして下記配列を設計した。
5′-GGCCgctagcATGGCACTACGATTTTTCAACG-3′(配列番号7)
5′-GGCCggatccTCAGGGCGAGAACGATAGAGAG-3′(配列番号8)
上記プライマーを用いて、Saccharomyces cerevisiae YPH499株のゲノムDNAをテンプレートとし、PCR増幅を行い、その増幅物をNheIおよびBamHIで消化して、POR2遺伝子のNheI−BamHI断片を得た。
この断片を非特許文献(J.Biochem.(2009)145:701−708)に記載のpGK406のPGK1プロモーター(PGK3’)とPGK1ターミネーター(PGK5’)の間のNheI−BamHI消化部位に連結し、POR2発現プラスミドpGK406−POR2を得た。
得られたプラスミドpGK406−POR2をマーカー合成酵素遺伝子URA3中の制限酵素EcoRVで消化した後、製造例1で得られたSaccharomyces cerevisiae YPH499/pGK405−HEM1を宿主酵母株とし、製造例1と同様に形質転換を行い、POR2とHEM1の発現がPGK1プロモーターで強化された形質転換体「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−POR2」を得た。
(製造例5)HEM1遺伝子の発現を増強し、さらにDIC1遺伝子の発現を増強した酵母「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−DIC1」の作製
Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリアキャリアーのDIC1遺伝子のDNA断片を得るために、Saccharomyces cerevisiae Genome Databaseに登録されている遺伝子配列を参考にして、PCRのプライマーとして下記配列を設計した。
5′-GGCCgctagcATGTCAACCAACGCAAAAGAGTC-3′(配列番号9)
5′-GGCCggatccCTACTTGTCTTCCTTTGGCATG-3′(配列番号10)
上記プライマーを用いて、Saccharomyces cerevisiae YPH499株のゲノムDNAをテンプレートとし、PCR増幅を行い、その増幅物をNheIおよびBamHIで消化して、DIC1遺伝子のNheI−BamHI断片を得た。
この断片を非特許文献(J.Biochem.(2009)145:701−708)に記載のpGK406のPGK1プロモーター(PGK3’)とPGK1ターミネーター(PGK5’)の間のNheI−BamHI消化部位に連結し、DIC1発現プラスミドpGK406−DIC1を得た。
得られたプラスミドpGK406−DIC1をマーカー合成酵素遺伝子URA3中の制限酵素EcoRVで消化した後、製造例1で得られたSaccharomyces cerevisiae YPH499/pGK405−HEM1を宿主酵母株とし、製造例1と同様に形質転換を行い、DIC1とHEM1の発現がPGK1プロモーターで強化された形質転換体「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−DIC1」を得た。
(製造例6)HEM1遺伝子の発現を増強し、さらにCTP1遺伝子の発現を増強した酵母「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−CTP1」の作製
Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリアキャリアーのCTP1遺伝子のDNA断片を得るために、Saccharomyces cerevisiae Genome Databaseに登録されている遺伝子配列を参考にして、PCRのプライマーとして下記配列を設計した。
5′-GGCCgtcgacAAGCTACCAAAAGTGACGTAGATCC-3′(配列番号11)
5′-GGCCggatccCAGGCTAGCATAACTAAGACCTTTC-3′(配列番号12)
上記プライマーを用いて、Saccharomyces cerevisiae YPH499株のゲノムDNAをテンプレートとし、PCR増幅を行い、その増幅物をNheIおよびBamHIで消化して、CTP1遺伝子のNheI−BamHI断片を得た。
この断片を非特許文献(J.Biochem.(2009)145:701−708)に記載のpGK406のPGK1プロモーター(PGK3’)とPGK1ターミネーター(PGK5’)の間のNheI−BamHI消化部位に連結し、CTP1発現プラスミドpGK406−CTP1を得た。
得られたプラスミドpGK406−CTP1をマーカー合成酵素遺伝子URA3中の制限酵素EcoRVで消化した後、製造例1で得られたSaccharomyces cerevisiae YPH499/pGK405−HEM1を宿主酵母株とし、製造例1と同様に形質転換を行い、CTP1とHEM1の発現がPGK1プロモーターで強化された形質転換体「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−CTP1」を得た。
(製造例7)HEM1遺伝子の発現を増強し、さらにYPR011C遺伝子の発現を増強した酵母「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−YPR011C」の作製
Saccharomyces cerevisiaeのミトコンドリアキャリアーのYPR011C遺伝子のDNA断片を得るために、Saccharomyces cerevisiae Genome Databaseに登録されている遺伝子配列を参考にして、PCRのプライマーとして下記配列を設計した。
5′-GGCCgctagcATGGCAGAAGTACTGACCGTCC-3′(配列番号13)
5′-GGCCggatccTCACCAATTTCTTACAGAATCAC-3′ (配列番号14)
上記プライマーを用いて、Saccharomyces cerevisiae YPH499株のゲノムDNAをテンプレートとし、PCR増幅を行い、その増幅物をSalIおよびBamHIで消化して、YPR011C遺伝子のSalI−BamHI断片を得た。
この断片を非特許文献(J.Biochem.(2009)145:701−708)に記載のpGK406のPGK1プロモーター(PGK3’)とPGK1ターミネーター(PGK5’)の間のSalI−BamHI消化部位に連結し、YPR011C発現プラスミドpGK406−YPR011Cを得た。
得られたプラスミドpGK406−YPR011Cをマーカー合成酵素遺伝子URA3中の制限酵素EcoRVで消化した後、製造例1で得られたSaccharomyces cerevisiae YPH499/HEM1株を宿主酵母株とし、製造例1と同様に形質転換を行い、PGK1プロモーターによりYPR011とHEM1の発現が強化された形質転換体「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406−YPR011C」を得た。
(製造例8)HEM1遺伝子の発現を増強した酵母に、さらにpGK406のみを組み込んだ「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406」の作製
製造例2〜8の比較製造例として、製造例2〜8でミトコンドリアキャリアーの遺伝子を含まないプラスミドpGK406そのものを制限酵素EcoRVで消化した後、製造例1で得られたSaccharomyces cerevisiae YPH499/pGK405−HEM1を宿主酵母株とし、製造例1と同様にpGK406を組み込んだ形質転換体「YPH499/pGK405−HEM1/pGK406」を得た。
(参考例1)HEM1遺伝子の発現を強化した場合の5−アミノレブリン酸への生産
製造例8で取得した、HEM1遺伝子の発現を増強した酵母YPH499/pGK405−HEM1/pGK406をSD培地(6.7g/L Yeast nitrogen base w/o amino acids(Difco laboratories製)、20g/Lグルコース)5mlで30℃、攪拌200rpmの条件で24時間振盪することにより種母培養を行った。このようにして得られた培養液を、SD培地50mlを含む坂口フラスコへ、OD600=0.15となるよう植菌し、30℃、攪拌120rpmの条件で24時間培養を行った。なお、培養終了時点での最終的なpHは参考例1、2、実施例1の全てでpH2.7〜3.0であった。
また、比較のため、上記YPH499/pGK405−HEM1/pGK406に代えて、親株のSaccharomyces cerevisiae YPH499株を使用して、上記と同様の方法で培養を行った。
これらの24時間培養後の培養液について、培養液中の乾燥細胞濃度と、培養上清中の5−アミノレブリン酸濃度を、それぞれ下記方法により測定した。測定結果を(表1)に示す。
<乾燥細胞濃度の測定>
培養液の600nmの吸光度を測定し、換算係数0.3を乗ずることで、培養液当たりの乾燥細胞濃度を算出した。
<5−アミノレブリン酸濃度の測定>
5−アミノレブリン酸は、下記方法で測定用のサンプルを調製し、Okayamaらの方法(CLIN.CHEM.、36/8、1494−1497(1990))に従い、高速液体クロマトグラフィーにより下記条件で分析した。
測定サンプルの調製:
サンプルの調製は、培養液を1mL回収し、4℃、3000×gにて、10分間遠心分離を行い、培養液上清を得、これを水で10倍希釈した。この水で10倍に希釈した培養液上清に対し、70倍量の試薬A(15%(v/v)アセチルアセトン、10%(v/v)エタノール、4g/L塩化ナトリウム水溶液)および10倍量の試薬B(9%(v/v)ホルムアルデヒド水溶液)を添加し、沸騰水中で15分反応させた。その後、氷冷し、測定用サンプルとした。
分析条件:
カラム;HSSC18SB(Waters社製)
溶離液;2.5%(v/v)酢酸水溶液:メタノール=6:4、
検出器;蛍光検出器(Ex363nm、Em473nm)、
カラム温度;40℃
表1からわかるように、親株のYPH499では培養液中で5−アミノレブリン酸が検出されないのに対し、HEM1遺伝子の発現を強化したYPH499/pGK405−HEM1/pGK406では培養液中へ5−アミノレブリン酸の産生が観察されるようになった。
Figure 0006499510
(参考例2)グリシンおよびレブリン酸の添加による5−アミノレブリン酸の生産
製造例8で取得した、HEM1遺伝子の発現の強化したYPH499/pGK405−HEM1/pGK406を参考例1と同様のSD培地、またはSD培地に5mMグリシンと40mMレブリン酸を添加した培地を用いて24時間培養を行った。
その後、参考例1と同様の方法で、培養液中の細胞濃度と、培養液上清中の5−アミノレブリン酸濃度を測定した。測定結果を(表2)に示す。
(表2)からわかるように、5mMグリシンと40mMレブリン酸を添加したSD培地を用いることにより、SD培地を用いた場合と比較して5−アミノレブリン産生量が向上した。
Figure 0006499510
(実施例1〜6)HEM1遺伝子の発現を増強し、さらに特定のミトコンドリアキャリアーの遺伝子の発現を増強した酵母による5−アミノレブリン酸の生産
製造例2〜7で作製した、HEM1遺伝子と特定のミトコンドリアキャリアー遺伝子の発現を増強した各酵母と、これらの比較株として製造例8で作成したHEM1遺伝子のみを強化した酵母を、SD培地に5mMグリシンと40mMレブリン酸を添加した培地を用いて参考例2と同様に培養し、24時間培養後の培養液について、培養液中の乾燥細胞濃度と、培養上清中の5−アミノレブリン酸濃度を測定した。測定結果を(表3)及び(表4)に示す。
(表3)、(表4)の結果からわかるように、HEM1遺伝子の発現に加え、ミトコンドリアキャリアーの遺伝子MDL1、JEN1、POR2、DIC1、CTP1およびYPR011Cの発現を増強することにより、5−アミノレブリン産生量が向上した。
Figure 0006499510
Figure 0006499510

Claims (4)

  1. (a)5−アミノレブリン酸合成酵素をコードする遺伝子HEM1、並びに(b)ミトコンドリア膜上のキャリアタンパク質をコードする遺伝子であるMDL1、JEN1、POR2、DIC1、CTP1及びYPR011Cから選ばれる1種以上の発現が増強された遺伝子組み換え酵母であって、
    酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(a)を有するベクターと酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(b)を有するベクターで形質転換された遺伝子組み換え酵母、あるいは酵母中で発現するプロモーターの下流に遺伝子(a)及び遺伝子(b)を有するベクターで形質転換された遺伝子組み換え酵母。
  2. 酵母中で発現するプロモーターが、PGKプロモーターである請求項記載の遺伝子組み換え酵母。
  3. 酵母が、Saccharomyces cerevisiaeである請求項1又は2記載の遺伝子組み換え酵母。
  4. 請求項1〜のいずれか1項記載の遺伝子組み換え酵母を培養することを特徴とする5−アミノレブリン酸又はその塩の製造法。
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