JP6498049B2 - 膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子及び磁気デバイス - Google Patents

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本発明は、膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子及び磁気デバイスに関する。
磁気記録された磁気媒体に関する磁気読み取り用ヘッド素子や磁気センサ素子が知られている。この磁気読み取り用ヘッド素子や磁気センサ素子の高出力化が望まれている。膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子は、次世代の高密度記録ハードディスクドライブの読み取り用ヘッドとして有望視されている。
CPP−GMR素子は、強磁性体層/非磁性金属中間層/強磁性体層からなる構造を有する。強磁性体層/非磁性金属中間層/強磁性体層は金属材料で構成されており、従来のCPP−GMR素子の抵抗値は比較的小さく、磁気抵抗(MR)比や信号出力も小さい(例えば、非特許文献1参照)。
また、CPP−GMR素子の磁気抵抗比を向上させるために、強磁性体層にハーフメタルなどの高スピン分極率材料を採用したものが知られている。
また、ハーフメタルであると期待されている、Co2MnSi、Co2FeAl、Co2FeGaGeなどのホイスラー合金を強磁性体層として用い、Ag、Ag−Sn、Ni−Al、MgOなどの非磁性金属中間層とを組み合わせたCPP−GMR素子の開発が行われている(例えば、非特許文献2、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2013−54814号公報 特開2011−35336号公報 特開2008−34523号公報
H.Yuasa, et al., "Output enhancement of spin-valve giant magnetoresistance in current-perpendicular-to-plane geometry", Journal of Applied Physics, 2002, vol.92, p.2646 Y. Sakuraba, et al., "Mechanism of large magnetoresistance in Co2MnSi/Ag/Co2MnSi devices with current perpendicular to the plane", Physical Review B, 2010, vol.82, p.094444 Takagishi, Masayuki, et al. "Magnetoresistance Ratio and Resistance Area Design of CPP-MR film for 2-5 Tb/in2 Read Sensors.", IEEE Transactions on Magnetics, 2010, vol.46.6, p.2086-2089
本願発明者は、膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子の非磁性中間層に着目し、その非磁性中間層の改良によるCPP−GMR素子の高出力化などを研究した。
詳細には、CPP−GMR素子の磁気抵抗比を向上させるために、強磁性体層に、鉄コバルト系合金薄膜や、ホイスラー合金などのハーフメタルの高スピン分極率材料を用い、その強磁性体層の材料と相性のよい非磁性金属体を、非磁性中間層の形成材料として用いることを要する。
また、CPP−GMR素子を磁気記録読み取り用ヘッドなどの磁気デバイスに採用するには、磁気抵抗(MR比)を単純に大きくすればいいのではなく、回路設計に適した素子抵抗(RA)値、且つ、十分大きな磁気抵抗変化(ΔRA)値であることを要する(非特許文献3)。
また、数Tbit/inch2を超える面記録密度のハードディスクドライブに、磁気読み取り用ヘッド素子としてCPP−GMR素子を用いる場合に、情報に応じて記録された磁化パターンを高出力、且つ、高品質で読み取り可能なものが望まれている。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、非磁性中間層の改良による高出力の膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子を提供すること、大きな抵抗変化値(ΔRA値)を得ることができる膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子を提供すること、その膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子を用いた磁気デバイスを提供すること、などを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明の膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子は、以下の構成を少なくとも具備するものである。
ホイスラー合金薄膜間、または、鉄コバルト系合金薄膜間に、非磁性中間層(スペーサ層)を配置した構造を有する膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子であって、
前記ホイスラー合金薄膜、または、鉄コバルト系合金薄膜が、L21規則構造、体心立方構造、または、B2規則構造を有する強磁性合金からなり、
前記非磁性中間層(スペーサ層)が、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])を有することを特徴とする。
また、本発明の磁気デバイスは、上記本発明の膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子を有することを特徴とする。
本発明によれば、非磁性中間層の改良による高出力の膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子を提供することができる。
また、本発明によれば、大きな抵抗変化値(ΔRA値)を得ることができる膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子を提供することができる。
また、本発明によれば、その膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子を用いた磁気デバイスを提供することができる。
本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子の一例を示す概念図。 膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の動作の一例を示す模式図。 本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子の一例を示す模式断面図。 本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子の非磁性中間層の組成と構造の一例を示す図。 非磁性中間層の結晶構造の一例を示す図、(a)は面心立方格子構造(fcc構造)を示す模式図、(b)はL12規則構造の一例を示す模式図。 非磁性中間層の反射高速電子線回折による回折像の一例を示す図。 膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子のHAADF−STEM像およびその部分拡大像の一例を示す図。 膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子の各組成における非磁性中間層と強磁性体層(CFMS)の断面図、(a)はBright−field−STEM像、(b)はHAADF−STEM像の一例を示す図。 膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の素子抵抗値の測定値の一例を示す図、(a)はL12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の場合、(b)はAg中間層を有するCPP−GMR素子の場合(比較例)を示す図。 膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の素子抵抗(RA)特性の一例を示す図、(a)は本発明の実施形態に係るL12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の場合、(b)はAg中間層を有するCPP−GMR素子の場合(比較例)を示す図。 膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の特性の一例を示す図、(a)は磁気抵抗変化の一例を示す図、(b)は出力電圧特性の一例を示す図。 本発明の実施形態に係る非磁性中間層(Ag100-xMgx金属化合物(x=4、12、17[at.%]))を有する膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の特性の一例を示す図、(a)はRA値を示す図、(b)はΔRA値を示す図、(c)はMR比を示す図。 MR比と素子抵抗値の関係を示す図。
本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子は、強磁性体層としてのホイスラー合金薄膜間、または、鉄コバルト系合金薄膜間に、非磁性金属層である非磁性中間層(スペーサ層)を配置した構造を有する。このホイスラー合金薄膜、または、鉄コバルト系合金薄膜が、L21規則構造、体心立方構造、または、B2規則構造の強磁性合金を有する。また、高出力化のために、非磁性中間層(スペーサ層)は、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])を有する。
以下、本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子を、図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態は図示の内容を含むが、これのみに限定されるものではない。なお、以後の各図の説明で、既に説明した部位と共通する部分は同一符号を付して重複説明を一部省略する。
図1は本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子10の一例を示す概念図である。
本発明の実施形態に係るCPP−GMR素子10は、強磁性体層13と強磁性体層15の間に非磁性中間層14を設けた構造を有する。
詳細には、CPP−GMR素子10は、基板11と、下地層12と、強磁性体層13(金属層)と、非磁性中間層14(非磁性金属層)と、強磁性体層15(金属層)と、保護層16と、を有する。具体的には、CPP−GMR素子10は、基板11に、下地層12、強磁性体層13、非磁性中間層14、強磁性体層15、保護層16を順に積層した構造を有する。
強磁性体層13(固定層)の磁化の固定は、下地層12に反強磁性層を用いて、反強磁性体層と強磁性体層13の交換結合により実現される。強磁性体層13の磁化の方向は、膜面内方向の所定方向に規定される。
強磁性体層15(自由層)は、外部磁場に応じて磁化の向きが変化するように構成されている。
CPP−GMR素子の膜面垂直方向に電流を流した場合、外部磁場に依存して、そのCPP−GMR素子の抵抗値(R)が変化する(図2参照)。
巨大磁気抵抗効果は、非磁性中間層14を介する強磁性体層13と強磁性体層15の磁化の状態により、伝導電子の散乱が異なるスピン散乱を要因としている。強磁性体層13と強磁性体層15の磁化の向きが平行の場合に素子抵抗が低く、強磁性体層13と強磁性体層15の磁化の向きが反平行の場合に素子抵抗が高い。
磁気抵抗変化率(MR比)は(高抵抗値−低抵抗値)/低抵抗値で規定される。このMR比は、CPP−GMR素子の出力に比例する。
CPP−GMR素子をハードディスクドライブ用の磁気記録読み取り用ヘッド素子などの磁気デバイスに応用する場合、高いMR比と、最適な素子抵抗を両立させることが重要となる。即ち、デバイス設計上の制約から規定される素子抵抗値においてCPP−GMR素子が大きな抵抗値変化(ΔRA)を示すことが重要である。
図3は本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子の一例を示す模式断面図である。
本実施形態では、基板11は、(100)配向のMgO基板などであり、所定の材料により形成されている。
下地層12は、基板11上に形成されている。本実施形態では、下地層12は、基板11上に形成された第1下地層12AとしてのCr層(20nm)、第1下地層12A上に形成された第2下地層12BとしてのAg層(40nm)を有するCr/Ag層からなる。
強磁性体層13は、下地層12上に形成されている。この強磁性体層13としては、ホイスラー合金薄膜、または、鉄コバルト系合金薄膜などの強磁性合金を採用することができ、それはL21規則構造、体心立方構造、または、B2規則構造を有する。
強磁性体層13の形成材料の一つとして挙げられるホイスラー合金は、ハーフメタルである。ハーフメタルは、例えば、電子の上向きスピンの状態密度が金属的であり、下向きスピンの状態密度が半導体的である。フェルミ準位近傍で下向きスピンにバンドギャップが生じる。つまり、フェルミ準位では、電子の下向きスピンの状態密度が0であり、上向きスピンの電子のみが存在する。このため、ハーフメタルのスピン分極率は1または1に近い値である。すなわち、ハーフメタルは高いスピン分極率を有する。
ホイスラー合金は、L21規則構造を有する合金であり、強磁性体を構成元素に含む強磁性合金や、単体元素では強磁性を示さないが化合物を構成すると強磁性体となる合金である。L21規則構造を持つホイスラー合金は、一般的にキュリー温度が室温以上であり、スピン分極率が1または1に近い値である。
CPP−GMR素子は、電子のスピン依存散乱により磁気抵抗効果を得る。このため、ハーフメタルなどのスピン分極率の高い強磁性材料を用いて、伝導電子のスピンを1種類に分極することで、高い磁気抵抗効果を得ることができる。
本実施形態では、強磁性体層13は、Co2FexMn1-xSi(x=0.0〜1.0)のホイスラー合金である。
具体的には、強磁性体層13として、Co2Fe0.4Mn0.6Siの結晶構造(CFMS)を採用した。強磁性体層の層厚は20nmである。尚、強磁性体層13の層厚は、上記実施形態に限られるものではなく、例えば、3〜30nm程度の範囲内であればよい。
非磁性中間層14は、強磁性体層13上に形成されている。
また、非磁性中間層14は、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])である。好ましくは、非磁性中間層14は、Ag100-xMgx金属化合物(12≦x≦22[at.%])である。このAg−Mgは、Mgの含有率によって異なる結晶構造となる。結晶構造の詳細については後述する。この非磁性中間層の層厚は、約2〜10nm、好ましくは3〜7nm、最適には5nm程度である。
強磁性体層15は、非磁性中間層14上に形成されている。この強磁性体層15としては、ホイスラー合金薄膜、または、鉄コバルト系合金薄膜などの強磁性合金を採用することができ、それはL21規則構造、体心立方構造、または、B2規則構造を有する。本実施形態では、強磁性体層15と強磁性体層13とで、同じ形成材料のものを採用している。
本実施形態では、強磁性体層15は、強磁性体層13よりも薄く形成されており、強磁性体層15の層厚は3〜10nm程度、好ましくは4nm〜6nm程度、最適には5nm程度である。
本実施形態では、強磁性体層15として、Co2FexMn1-xSi(x=0.0〜1.0)、詳細には、Co2Fe0.4Mn0.6Si(CFMS)の組成を採用した。
保護層16は、強磁性体層15上に形成されている。この保護層16は強磁性体層15の酸化防止機能を有する。本実施形態では、保護層16は、第1保護層16AとしてのAg層(2nm)、第1保護層16A上に形成された第2保護層16BとしてのAu層(5nm)を有するAg/Au層からなる。
CPP−GMR素子の製造方法の一例を説明する。
本実施形態では、CPP−GMR素子は、超高真空スパッタ装置を用いて、室温で各層を順に積層・成膜することにより形成された。尚、強磁性体層13、非磁性中間層14、強磁性体層15などには、成膜後に所定温度(500〜650℃)でアニーリング処理を施す。詳細には、上記強磁性体層13、非磁性中間層14、強磁性体層15などは、成膜後、所定温度(500〜650℃)から室温まで約10℃/minで冷却される。これは急速冷却ではない。この場合、非磁性中間層14のAg100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])は、Mgの量に応じて、L12規則構造やfcc構造となる。
CPP−GMR素子は、電子線リソグラフィーおよびArエッチングにより、磁気抵抗特性を評価可能な形状に微細加工されて形成される。
本願発明者は、非磁性中間層を含むCPP−GMR素子を作製し、非磁性中間層の結晶構造を確認している。
図4は本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子の非磁性中間層の組成と構造の一例を示す図である。図4において、縦軸に温度(℃)を示し、横軸にAg−Mg合金におけるMgの含有比率[at.%]を示す。尚、図4はコンピュータの演算(シミュレーション)による計算値を示す。
図5は非磁性中間層の結晶構造の一例を示す図である。詳細には、図5(a)は面心立方格子構造(fcc構造)を示す模式図、図5(b)はL12規則構造を示す模式図である。
図4に示したように、太線で囲まれた領域において、Ag−Mg合金の非磁性中間層の結晶構造がL12規則構造となっている。詳細には、Mgの組成比率が13〜24[at.%]の場合に、392℃乃至Mg組成によってはそれより低い温度でL12規則構造となっている(図5(b)参照)。L12構造は、Ag−Mg面とAg面を交互に積み重ねた構造となっている。Mgの組成比率が4〜13at.%の場合には面心立方格子構造(fcc構造)となる(図5(a)参照)。図5(a)に示す各頂点や各面の中心には、Mgの組成比率に応じて、Ag原子またはMg原子がランダムに配置される。
また、非磁性中間層において、Mgの組成比率を25[at.%]以上とした場合、非磁性中間層と強磁性体層の界面での格子定数の不整合により、平坦かつ下部の強磁性体層の結晶配向を維持した薄膜が得られず、CPP−GMR素子の非磁性中間層には適さない。
図6は非磁性中間層の反射高速電子線回折(RHEED:Reflection High Energy Electron Diffraction)による回折像の一例を示す図である。
詳細には、室温で、MgO基板上にCr層(20nm)を成膜し、その上に強磁性体層(20nm)としてCFMS層を成膜し、その上にAg100-xMgx層(5nm)を成膜した。そのAg100-xMgx層(x=0、17、22、26[at.%])に対して反射高速電子線回折によりRHEEDパターンを得た。
図6に示したように、x=17、22[at.%]の場合に、L12規則構造Ag−Mg層による回折パターンを得ることができた(図6の矢印参照)。また、Ag−Mg層のMgの組成比率を増加させ、Mgの組成比率が26[at.%]以上の場合では、L12規則構造による回折パターンを得ることができず、きれいな規則構造が形成されていないことがわかる。
また、x=0[at.%]の場合には、当然、L12規則構造Ag−Mgによるピークは得られなかった。
図7は膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の高角散乱環状暗視野走査透過顕微鏡法によるHAADF(High-Angle-Annular-Dark-Field)−STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)像およびその部分拡大像の一例を示す図である。詳細には、図7の右側に、CPP−GMR素子全体のHAADF−STEM像を示し、左側にその部分拡大像の一例を示す。図7に示した例では、非磁性中間層はAg100-xMgx層(x=17[at.%])である。
図7に示したCPP−GMR素子の断面画像により、非常に平滑な界面を有していることが確認された。詳細には、2つの強磁性体層(CFMS)の間に非磁性中間層としてのAg−Mg層を設けた3層が明確な格子像を示し、各界面が比較的平坦に形成されており、きれいにエピタキシャル成長していることが確認できた。
図8は膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子の各組成における非磁性中間層と強磁性体層(CFMS)の断面図である。詳細には、図8(a)はBright−field−STEM像(明視野像)、図8(b)はHAADF−STEM像の一例を示す図である。図8(a)、図8(b)には、Ag100-xMgx層(x=4、12、17、22[at.%])の場合を示している。
図8(a)、図8(b)に示したように、Ag100-xMgx層(x=17、22[at.%])では、L12規則構造のAg−Mg層が得られることがわかった。また、x=4、12[at.%]の場合では、主にfcc構造となっていることがわかった。
図9は、膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の素子抵抗値の測定値の一例を示す図である。図9(a)は本発明の実施形態に係るL12規則構造Ag−Mg中間層(Ag83Mg17層)を有するCPP−GMR素子の場合を示す図、図9(b)はAg中間層を有するCPP−GMR素子の場合(比較例)を示す図である。図9(a)、図9(b)において、縦軸に抵抗値Rp(Ω)を示し、横軸に素子面積の逆数として1/A(μm-2)を示す。
図9(a)に示したグラフから、本発明の実施形態に係るL12規則構造Ag−Mg中間層を有するCPP−GMR素子の素子抵抗値は、RA=51±4mΩμm2であり、CPP−GMR素子以外の電極等による寄生抵抗値は、Rpara=0.30±0.14であった。
図9(b)に示したグラフから、比較例のAg中間層を有するCPP−GMR素子の素子抵抗値はRA=26±1mΩμm2であり、Rpara=0.43±0.04であった。
すなわち、本発明の実施形態に係るL12規則構造Ag−Mg中間層を有するCPP−GMR素子の素子抵抗(RA)値は、上記比較例の2倍程度であることがわかった。
図10は膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の素子抵抗(RA)特性の一例を示す図である。詳細には、図10(a)は本発明の実施形態に係るL12規則構造Ag−Mg非磁性中間層(Ag83Mg17層)を有するCPP−GMR素子の場合、図10(b)はAg中間層を有するCPP−GMR素子の場合(比較例)を示す図である。図10(a)、図10(b)において、縦軸にRA値(mΩμm2)を示し、横軸に磁場H(mT)を示す。
詳細には、CPP−GMR素子の膜面に垂直方向に通電するように定電流源(数十μA程度)を接続して、CPP−GMR素子の抵抗値Rを測定した。縦軸は、図9より算出したRA値を用いてRをRAに換算した。その際、CPP−GMR素子の膜面面内方向に外部磁場を印加した。
先ず、本発明の実施形態に係るL12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の場合について説明する。
図10(a)に示したように、CPP−GMR素子の層面内方向に外部磁場を印加し、磁場の大きさを−50mTから徐々に増加させた場合、磁場−15mT付近でRA値が急激に増大し、その後、磁場が0mTとなるまで、RA値が緩やかに増大する。そして、磁場を0mTから20mTに増加させた場合、RA値が緩やかに減少する。さらに磁場を増大させた場合、磁場20mT付近で、RA値が約51mΩμm2まで急激に減少し、磁場50mTまで、RA値が略一定値を示す。
逆に、磁場の大きさを50mTから徐々に減少させた場合、磁場10mT付近でRA値が急激に増大し、その後、磁場が0mTとなるまで、RA値が緩やかに増大する。そして、磁場を0mTから約−25mTに減少させた場合、RA値が緩やかに減少する。さらに磁場を減少させた場合、磁場−25mT付近で、RA値が約51mΩμm2まで急激に減少し、磁場−50mTまで、RA値が略一定値を示す。つまり、図10(a)に示した例では、RA値の最大値が約74mΩμm2であり、最小値が約51mΩμm2であった。
比較例のAg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の場合、図10(b)に示したように、磁場を変化させると、RA値の最大値が約38.5mΩμm2であり、最小値が約26mΩμm2であった。
上述したように、本発明の実施形態に係るL12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子のRA値は、比較例の約1.9倍(最大値ベース)であった。
図11はL12規則構造の非磁性中間層(Ag83Mg17層)を有する膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の特性の一例を示す図である。詳細には、図11(a)は磁気抵抗変化の一例を示す図、図11(b)は出力電圧(ΔV)特性の一例を示す図である。詳細には、図11(a)において、縦軸に磁気抵抗変化値ΔRA(mΩμm2)を示し、横軸にバイアス電圧(mV)を示す。図11(b)において、縦軸に出力電圧である電圧変化値ΔV(mV)を示し、横軸にバイアス電圧(mV)を示す。尚、L12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の測定値を丸印で示し、比較例のAg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の測定値を四角印で示す。
CPP−GMR素子の膜面に垂直方向に通電するように定電流源を接続し、電流値を変化させることで素子にかかるバイアス電圧を調整し、CPP−GMR素子の抵抗値を測定し、磁気抵抗変化値ΔRAを算出した。出力電圧ΔVは素子の抵抗値変化(磁場を掃引した際の最大抵抗値と最小抵抗値の差)に測定時の電流値を乗算して求めた。
上記本発明の実施形態に係るL12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子では、比較例と比べて、高い磁気抵抗変化値ΔRA(mΩμm2)、高い出力電圧ΔV(mV)が得られた。
詳細には、図11(a)に示したように、バイアス電圧が大きいほど、ΔRA値が小さくなる。L12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子は、いずれのバイアス電圧でも比較例よりも高いΔRA値であった。
また、図11(b)に示したように、バイアス電圧が0から約40mVに増加した場合、L12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子では出力電圧ΔV(mV)が増加し、最大値約4.9mVとなり、バイアス電圧が40mV以上80mVまで増加した場合、出力電圧ΔV(mV)が減少した。
L12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子では、比較例と比べて、約1.3倍の出力電圧ΔV(mV)が得られた。
Figure 0006498049
表1に、L12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子と、Ag中間層を有するCPP−GMR素子(比較例)の素子抵抗値RA、MR比(MRobs、MRint)、磁気抵抗変化値ΔRAをまとめて示す。尚、各値は、複数回測定の平均値であり、カッコ内の値は、複数回測定の最大値を示す。MRobs、MRintは、次の数式で定義される。
MRobs=(RAP−RP)/RP
MRint=(RAP−RP)/(RP−RPARA)。
APは強磁性体層13と強磁性体層15において反平行磁化状態での素子の抵抗値を示し、RPは強磁性体層13と強磁性体層15において平行磁化状態での素子の抵抗値を示し、Rparaは寄生抵抗値を示す。
表1に示したように、L12規則構造Ag−Mg非磁性中間層(Ag83Mg17層)を有するCPP−GMR素子では、比較例と比較してRA値、ΔRA値が約2倍程度大きい値となった。また、MR比は、L12規則構造Ag−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子と、比較例では略同じ値であった。
図12は本発明の実施形態に係る非磁性中間層(Ag100-xMgx金属化合物(x=4、12、17[at.%]))を有する膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子の特性の一例を示す図である。詳細には、図12(a)は素子のRA値を示す図であり、縦軸にRA値を示し、横軸にMg組成比x[at.%]を示す。図12(b)は素子のΔRA値を示す図であり、縦軸にΔRA値を示し、横軸にMg組成比x[at.%]を示す。図12(c)は素子のMR比を示す図であり、縦軸にMR比を示し、横軸にMg組成比x[at.%]を示す。尚、比較例のAg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の特性を、x=0に示している。
図12(a)に示したように、Mg組成比x=4、12、17の場合、比較例(x=0)よりも素子抵抗値(RA値)が大きい値を示している。また、上記Mg組成比xの範囲では、xが大きいほど、RA値が増加している。
図12(b)に示したように、Mg組成比x=4、12、17[at.%]の場合、比較例(x=0)よりも素子抵抗値(ΔRA値)が大きい値を示している。また、上記Mg組成比xの範囲では、xが大きいほど、ΔRA値が増加している。
図12(c)に示したように、Mg組成比x=4、12、17[at.%]の場合、比較例(x=0)と略同じMR比を示している。
すなわち、上述したように、Mg組成比x=4、12、17[at.%]の場合、この非磁性中間層を有するCPP−GMR素子は、比較例よりも高いRA値、ΔRA値を示し、比較例と略同じMR比を示した。
非磁性中間層は、Mg組成比x=17、22の場合、L12規則構造である。このため、Mg組成比x=22の場合であっても、膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子は、比較例よりも高いRA値、ΔRA値を示し、比較例と略同じMR比を示すと推測される。
図13はMR比と素子抵抗値RAの関係を示す図である。詳細には、図13において、縦軸にMR比(%)を示し、横軸に素子抵抗値RA(Ωμm2)を示す。
図13の左上部分に、5Tbit/inch2の面記録密度の次世代ハードディスクドライブに、磁気読み取り用ヘッド素子としてCPP−GMR素子を用いる場合に要求されるMR比とRA値の範囲を示している。この範囲は、スピントルクノイズやインピーダンス整合性を考慮して規定されている。
図13において、星印が本発明の実施形態に係るAg−Mg非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の値を示す。丸印は、従来のホイスラー合金を強磁性層体に採用したCPP−GMR素子(非磁性中間層がAg−Mg層でない)の値を示す。三角印は、従来の3d Ferro CPP−GMR素子の値を示す。
逆三角印は、従来のCCP(Current-Confined-Path)−NOL(Nano-Oxide Layer)を有するGMR素子の値を示す。四角印は、従来のMgO−MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子(磁気トンネル接合素子)の値を示す。
従来の3d Ferro CPP−GMR素子、従来のCCP−NOLを有するGMR素子では、MR比が比較的小さい。
従来のMgO−MTJ素子では、大きなMR比であるが、強磁性体層の間に絶縁体層を設けたトンネル接合素子であるので、RA値が比較的大きい。
また、従来のホイスラー合金を強磁性層体に採用したCPP−GMR素子(非磁性中間層がAg−Mg層でない)では、MR比が約5〜10%程度であったものが約35〜55%程度に改良されてきたが、RA値が比較的低い値であった。
本発明の実施形態に係るCPP−GMR素子では、Ag−Mg非磁性中間層を採用することにより、大きなMR比で、且つ、大きなRA値(回路設計に適したRA値0.01Ωμm2〜0.1Ωμm2程度)であった(図13の星印参照)。尚、RA値が低すぎるとノイズに弱くなり、RA値が高すぎると周辺回路とのインピーダンス整合性が悪化するとともに、素子の発熱が大きくなる。
すなわち、本発明の実施形態に係るCPP−GMR素子は、5Tbit/inch2の面記録密度の次世代ハードディスクドライブに、磁気読み取り用ヘッド素子としてCPP−GMR素子を用いる場合に要求される特性を満たしている。
尚、上記実施形態では、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])の非磁性中間層14(スペーサ層)を有するCPP−GMR素子の強磁性体層は、ホイスラー合金薄膜(CFMSなどの強磁性体層13、CFMSなどの強磁性体層15)であったが、この形態に限られるものではない。例えば、CPP−GMR素子は、L21規則構造、体心立方構造、または、B2規則構造を有する鉄コバルト系合金薄膜(強磁性体層13、強磁性体層15)間に、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])の非磁性中間層14(スペーサ層)を配置した構造を有していてもよい。
以上、説明したように、本発明の実施形態に係る膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子10は、ホイスラー合金薄膜(CFMSなどの強磁性体層13、CFMSなどの強磁性体層15)間に非磁性中間層14(スペーサ層)を配置した構造を有する。このホイスラー合金薄膜が、L21規則構造、体心立方構造、または、B2規則構造を有する強磁性合金からなる。また、非磁性中間層14(スペーサ層)が、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])からなる。好ましくは、非磁性中間層14は、Ag100-xMgx金属化合物(12≦x≦22[at.%])である。磁気デバイスは、この膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子を有する。
Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])は、一般的に用いられる強磁性材料(ホイスラー合金薄膜、または、鉄コバルト系合金薄膜が、L21規則構造、体心立方構造、または、B2規則構造を有する強磁性合金)との格子整合性が良好であり、GMR素子の多層膜形成が容易である。
詳細には、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%]))の非磁性中間層は、高出力なCPP−GMR素子の作製に有用とされる、ハーフメタルホイスラー合金材料(Co2FexMn1-xSi、x=0.0〜1.0)(強磁性体層)や、Co−Fe合金(強磁性体層)との格子不整合性が約3%未満と比較的小さく、金属異種材料同士の積層膜作製に適している。
すなわち、上述したように、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])の非磁性中間層を採用したことにより、高出力の膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子を提供することができる。
尚、Ag100-xMgx金属化合物は、x=13〜24[at.%]の場合にL12規則構造となっている(図4、図6、図7、図8参照)。x=4〜13[at.%]の場合に面心立方格子構造(fcc構造)である(図4、図6、図8参照)。また、非磁性中間層において、x≧25[at.%]の場合、非磁性中間層と強磁性体層の界面での格子定数の不整合により、非磁性中間層としては、きれいな結晶構造が得られない(図6参照)。
次に、B2構造(比較例)に対する、fcc構造やL12規則構造の非磁性中間層を有するCPP−GMR素子の利点を詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るCPP−GMR素子において、fcc構造又はL12規則構造のAg−Mg中間層は、比較例としてのB2構造のAg−Mg合金と比較して、強磁性体層に用いられる、Fe−Co合金またはハーフメタルホイスラー合金薄膜に対する格子不整合度が低いという利点がある。
ここで、格子不整合度とは、例えば、中間層材料Aと強磁性体材料Bの結晶格子定数をそれぞれa,bとした場合、|(a−b)|/b×100(%)で定義される数値である。
Figure 0006498049
表2に、fcc構造Ag、L12規則構造Ag3Mg、B2構造AgMgの非磁性中間層用材料と、Fe、ハーフメタルホイスラー合金Co2MnSi、Co2Fe0.4Mn0.6Siの強磁性体層用材料との格子不整合度を示す。
fcc構造のAg−Mg合金の格子定数はMg組成に依存するが、AgとL12規則構造Ag3Mgの間の値であり、格子不整合度はAgおよびL12−Ag3Mgと同程度で2%から3%程度である。
比較例として、Mg組成比率約34[at.%]以上で形成されるB2構造のAgMgからなる非磁性中間層では、Fe、ハーフメタルホイスラー合金Co2MnSi、Co2Fe0.4Mn0.6Siの強磁性体層用材料との格子不整合度が13.2〜14.7%であり、非常に大きい。この場合、非磁性中間層と強磁性体層の界面で凹凸が非常に大きい。
また、Mg組成比x≧26[at.%]の場合、RHEEDによる観察の結果、点状の回折像は、薄膜表面の凹凸が大きくなることを示している。
Ag−Mg非磁性中間層の凹凸の増大は、非磁性中間層を挟むFe−Co合金またはホイスラー合金から成る磁性層の磁気的結合を誘起し、大きなΔRAを得るために必要な上下磁性層の磁化配置(反平行状態)を得にくくしたり、非磁性中間層自身の膜厚の不均一性を招き、非磁性中間層を挟む上下のFe−Co合金またはホイスラー合金から成る磁性層の短絡(ショート)を招き、ΔRAの減少、すなわち素子の電気的出力の減少につながる。
上述したように、本発明の実施形態に係るCPP−GMR素子において、fcc構造又はL12規則構造のAg−Mg中間層は、比較例としてのB2構造のAg−Mg合金と比較して、強磁性体層に用いられるFe−Co合金またはハーフメタルホイスラー合金薄膜に対する格子不整合度が低い。このため、非磁性中間層と強磁性体層の界面で凹凸が非常に小さい。このため、非磁性中間層を挟むFe−Co合金またはホイスラー合金から成る磁性層の磁気的結合が小さく、大きなΔRAを得るために必要な上下磁性層の磁化配置(反平行状態)を得やすい。
また、本発明の実施形態に係るCPP−GMR素子において、非磁性中間層自身の膜厚が均一であり、非磁性中間層を挟む上下のFe−Co合金またはホイスラー合金から成る磁性層の短絡(ショート)が生じず、ΔRA値が大きく、CCP−GMR素子の電気的出力が非常に大きい。
詳細には、本発明の実施形態によれば、素子抵抗値RAが数十mΩμm2から数百mΩμm2の比較的小さい素子抵抗値領域で、大きな抵抗変化値(ΔRA値)を得ることが可能な膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子を提供することができる(図11(a)参照)。
また、本発明によれば、その膜面垂直通電型巨大磁気抵抗素子を用いた磁気デバイスを提供することができる。磁気デバイスとしては、磁気記録された磁気媒体に関する磁気読み取り用ヘッド素子、磁気センサ素子、ロータリーエンコーダ、リニアエンコーダ、モーションセンサ、位置センサ、生体磁気計測器(心磁計、脳磁計)、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)素子などの各種デバイスを挙げることができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、上述の各図で示した実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。
また、各図の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
10…膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子
11…基板
12…下地層
12A…第1下地層
12B…第2下地層
13…強磁性体層(CFMS)
14…非磁性中間層
15…強磁性体層(CFMS)
16…保護層
16A…第1保護層
16B…第2保護層

Claims (2)

  1. ホイスラー合金薄膜間、または、鉄コバルト系合金薄膜間に、非磁性中間層(スペーサ層)を配置した構造を有する膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子であって、
    前記ホイスラー合金薄膜、または、鉄コバルト系合金薄膜が、L21規則構造、体心立方構造、または、B2規則構造を有する強磁性合金からなり、
    前記非磁性中間層(スペーサ層)が、Ag100-xMgx金属化合物(4≦x<25[at.%])からなることを特徴とする
    膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子。
  2. 請求項1に記載の膜面垂直通電型巨大磁気抵抗(CPP−GMR)素子を有することを特徴とする磁気デバイス。
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