JP6497548B2 - 含フッ素錯体化合物、及び含フッ素錯体化合物を用いる含フッ素有機化合物の製造方法 - Google Patents

含フッ素錯体化合物、及び含フッ素錯体化合物を用いる含フッ素有機化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、含フッ素錯体化合物、及び含フッ素錯体化合物を用いる含フッ素有機化合物の製造方法等に関する。
含フッ素有機化合物は、C−F結合エネルギーの大きさ、C−F結合の分極の小ささ、及びC−F結合が有する双極性モーメント等に起因して、他の化合物とは異なる、非常にユニークな性質を有する。このユニークな性質により、含フッ素有機化合物は、その構造、及び特性に応じて、樹脂、ゴム、塗料、フィルム、撥水撥油剤、液晶、染料、及び生理活性物質、並びにそれらの原料等の非常に様々な用途に用いられている。
このため、従来、様々な含フッ素有機化合物の合成方法の開発に多大な努力が払われている。
含フッ素有機化合物のなかで、テトラフルオロエチレン構造(−CF−CF−)(以下、本明細書中、TFE構造と称する場合がある。)の両末端に有機基を有する構造の化合物(本明細書中、TFE化合物と称する場合がある。)は、ユニークな特徴を有し、例えば、燃料電池材料等に用いられる含フッ素重合体の単量体、及び液晶材料として有用である。
このようなTFE化合物の合成方法として、非特許文献1〜4には、それぞれ、種々の化合物のフッ素化による合成方法が開示されている。
また、例えば、非特許文献5、及び非特許文献6には、それぞれ、含フッ素銅化合物を用いたTFE化合物の合成方法が開示されている。
一方、特許文献1には、多種多様な、TFE構造の両末端に有機基を有する含フッ素化合物を合成可能にする、含フッ素錯体化合物、及びその製造方法が開示されている。
国際公開第2014/185536号
Julia Gatenyoら, J. Fluorine Chem., 2009, 130, p332. Hasek, W. R.ら, J. Am. Chem. Soc., 1960, 82, p543 W. E. McEwenら, J. Fluorine Chem, 1984, 25, p169 Ana Gregorcicら, J. Org. Chem., 1979, 44, p1255 Zhen-Yu Yangら, J. Am. Chem. SOC., 1992, 114, p4402 Zhen-Yu Yangら, Journal of Fluorine Chemistry, 2000, 102, p89
しかし、非特許文献1〜4に記載の方法は、簡便さ、及び得られるTFE化合物の多様性に欠ける。特に、これらの文献は、TFE構造の両末端に互いに異なる2つ有機基を有する含フッ素化合物の合成を開示していない。
また、非特許文献5、及び6に記載の方法は、テトラフルオロエチレンを出発原料とする方法ではなく、原料の入手の容易性に欠ける。
多種多様なTFE化合物を、含フッ素樹脂の原料単量体として広く用いられ、工業的に大量生産されている化合物であるテトラフルオロエチレンを原料にして製造することができれば、その産業上のメリットは極めて大きい。
これに関して、特許文献1には、多種多様な含フッ素化合物(特に、TFE構造の両末端に有機基を有する含フッ素化合物)を合成可能にする、含フッ素錯体化合物が開示され、及びその製造方法として、有機ホウ素化合物を用いた製造方法が開示されている。当該製造方法は、テトラフルオロエチレンを出発原料として利用できる優れた方法である。
しかし、更に多種多様な含フッ素錯体化合物を製造できる、新たな、含フッ素錯体化合物の製造方法、及び新たな含フッ素錯体化合物が更に求められている。
従って、本発明は、テトラフルオロエチレンを出発原料として利用でき、かつ多種多様な含フッ素化合物を合成できる新たな製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、有機ケイ素化合物を用いることにより、従来の方法よりも更に多種多様な含フッ素錯体化合物を製造できることを見出し、更なる検討の結果、本発明を完成させた。
本発明は、次の態様を含む。
項1.
[1]式(1a):
−CF−CF−M (1a)
[式中、
は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、コバルト、及びスズからなる群より選択される金属を表し;及び
は、有機基を表す。]
で表される含フッ素有機金属化合物、及び
[2]ピリジン環を有する化合物、及びホスフィンからなる群より選択される配位子
を含む含フッ素錯体化合物の製造方法であって、
部分構造式(2a):
−Si (2a)
[式中、
は、前記と同意義を表す。]
で表される部分を有するケイ酸又はそのエステル又はそれらの塩である有機ケイ素化合物を、
前記金属Mの水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、チオアルコキシド、又はチオアリールオキシドである金属化合物、
前記配位子、及び
テトラフルオロエチレン
と反応させる工程A
を含む製造方法。
項2.
[1]式(1a−1):
−CF−CF−M (1a−1)
[当該式中、
は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、コバルト、及びスズからなる群より選択される金属を表し;及び
は、式:RO−
(当該式中、
Rは、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基
を表す。)
で表される基を表す。]
で表される含フッ素有機金属化合物、及び
[2]ピリジン環を有する化合物、及びホスフィンからなる群より選択される配位子
を含む含フッ素錯体化合物。
項3.
式(4−I):
−CF−CF−R (4−I)
[式中、
は、項1における記載と同意義を表し;及び
は、有機基を表す。]
で表される含フッ素化合物の製造方法であって、
項1に記載の製造方法によって得られた含フッ素錯体化合物を、
式(5):
X−R (5−I)
[式中、
は前記と同意義を表し;及び
Xはハロゲン原子を表す。]
で表されるハロゲン化合物
と反応させる工程B−I
を含む製造方法。
項4.
式(4−II):
CF=CF (4−II)
[式中、
は、項1における記載と同意義を表す。]
で表される含フッ素化合物の製造方法であって、
項1に記載の製造方法で得られた含フッ素錯体化合物を、
ルイス酸
と反応させる工程B−II
を含む製造方法。
本発明の製造方法は、テトラフルオロエチレンを出発原料として利用できる。
本発明の製造方法によれば、多種多様な含フッ素錯体化合物を製造できる。
本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物は、多種多様なTFE化合物の合成を可能にする。
本明細書中、特に断りのない限り、「ハロゲン原子」としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素が挙げられる。
本明細書中、「有機基」とは、有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例としては、例えば、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
アルデヒド基、
RO−、
RCO−、
RSO−、
ROCO−、及び
ROSO
(これらの式中、Rは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
が挙げられる。
本明細書中、「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換された有機基を意味する。前記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素、及び−SO−からなる群より選択される部分構造を有していてもよい。当該パーフルオロ有機基の例としては、パーフルオロアルキル基(例、−CF、−C)、パーフルオロ(ポリ)エーテル基(例、−C−O−CF)、及び−CFCFSOFが挙げられる。
パーフルオロ有機基の炭素数は、例えば、1〜10、1〜8、1〜6、又は1〜4であることができる。
本明細書中、「パーフルオロ有機基」を記号Rfで表す場合がある。
本明細書中、特に断りのない限り、「アシル基」は、「アクリロイル基」、「アルカノイル基」、及び「アロイル基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香環基」は、「アリール基」、及び「ヘテロアリール基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「複素環基」は、「非芳香族複素環基」、及び「ヘテロアリール基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキル基」としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びヘキシル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルケニル基」としては、例えば、ビニル、1−プロペン−1−イル、2−プロペン−1−イル、イソプロペニル、2−ブテン−1−イル、4−ペンテン−1−イル、及び5−へキセン−1−イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルキニル基」としては、例えば、エチニル、1−プロピン−1−イル、2−プロピン−1−イル、4−ペンチン−1−イル、5−へキシン−1−イル等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数2〜10のアルキニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシル、シクロヘプチル等の炭素数3〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルケニル基」としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル等の、炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「シクロアルカジエニル基」としては、例えば、シクロブタジエニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタジエニル、シクロノナジエニル、シクロデカジエニル等の、炭素数4〜10のシクロアルカジエニル基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルコキシ基」としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、及びヘキシルオキシ等の、直鎖状又は分枝鎖状の、炭素数1〜10のアルコキシ基が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アルカノイル基」は、式:R−CO−(当該式中、Rはアルキル基を表す。)で表される基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」は、炭素数6〜18のアリール基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−ビフェニル、3−ビフェニル、4−ビフェニル、及び2−アンスリルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル、2,2−ジフェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、2−ビフェニリルメチル、3−ビフェニリルメチル、及び4−ビフェニリルメチルが挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「アロイル基」は、式:R−CO−(当該式中、Rはアリール基を表す。)で表される基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、単環性、2環性、3環性、又は4環性であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する非芳香族複素環基である。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」は、飽和、又は不飽和であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「非芳香族複素環基」としては、例えば、テトラヒドロフリル、オキサゾリジニル、イミダゾリニル(例、1−イミダゾリニル、2−イミダゾリニル、4−イミダゾリニル)、アジリジニル(例、1−アジリジニル、2−アジリジニル)、アゼチジニル(例、1−アゼチジニル、2−アゼチジニル)、ピロリジニル(例、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル)、ピペリジニル(例、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル)、アゼパニル(例、1−アゼパニル、2−アゼパニル、3−アゼパニル、4−アゼパニル)、アゾカニル(例、1−アゾカニル、2−アゾカニル、3−アゾカニル、4−アゾカニル)、ピペラジニル(例、1,4−ピペラジン−1−イル、1,4−ピペラジン−2−イル)、ジアゼピニル(例、1,4−ジアゼピン−1−イル、1,4−ジアゼピン−2−イル、1,4−ジアゼピン−5−イル、1,4−ジアゼピン−6−イル)、ジアゾカニル(例、1,4−ジアゾカン−1−イル、1,4−ジアゾカン−2−イル、1,4−ジアゾカン−5−イル、1,4−ジアゾカン−6−イル、1,5−ジアゾカン−1−イル、1,5−ジアゾカン−2−イル、1,5−ジアゾカン−3−イル)、テトラヒドロピラニル(例、テトラヒドロピラン−4−イル)、モルホリニル(例、4−モルホリニル)、チオモルホリニル(例、4−チオモルホリニル)、2−オキサゾリジニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニル、及びジヒドロキノリル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、例えば、単環性、2環性、又は3環性、又は4環性の、5〜18員のヘテロアリール基であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、例えば、環構成原子として、炭素原子に加えて酸素原子、硫黄原子、及び窒素原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール基である。当該「ヘテロアリール基」の炭素数は、例えば、3〜17であることができる。
本明細書中、特に断りのない限り、「ヘテロアリール基」は、「単環性ヘテロアリール基」、及び「芳香族縮合複素環基」を包含する。
本明細書中、特に断りのない限り、「単環性ヘテロアリール基」としては、例えば、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、トリアゾリル(例、1,2,3−トリアゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル)、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)、チアジアゾリル(例、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル)、テトラゾリル、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、ピラジニル等が挙げられる。
本明細書中、特に断りのない限り、「芳香族縮合複素環基」としては、例えば、イソインドリル(例、1−イソインドリル、2−イソインドリル、3−イソインドリル、4−イソインドリル、5−イソインドリル、6−イソインドリル、7−イソインドリル)、インドリル(例、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル、4−インドリル、5−インドリル、6−インドリル、7−インドリル)、ベンゾ[b]フラニル(例、2−ベンゾ[b]フラニル、3−ベンゾ[b]フラニル、4−ベンゾ[b]フラニル、5−ベンゾ[b]フラニル、6−ベンゾ[b]フラニル、7−ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[c]フラニル(例、1−ベンゾ[c]フラニル、4−ベンゾ[c]フラニル、5−ベンゾ[c]フラニル)、ベンゾ[b]チエニル、(例、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、4−ベンゾ[b]チエニル、5−ベンゾ[b]チエニル、6−ベンゾ[b]チエニル、7−ベンゾ[b]チエニル)、ベンゾ[c]チエニル(例、1−ベンゾ[c]チエニル、4−ベンゾ[c]チエニル、5−ベンゾ[c]チエニル)、インダゾリル(例、1−インダゾリル、2−インダゾリル、3−インダゾリル、4−インダゾリル、5−インダゾリル、6−インダゾリル、7−インダゾリル)、ベンゾイミダゾリル(例、1−ベンゾイミダゾリル、2−ベンゾイミダゾリル、4−ベンゾイミダゾリル、5−ベンゾイミダゾリル)、1,2−ベンゾイソオキサゾリル(例、1,2−ベンゾイソオキサゾール−3−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−4−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル、1,2−ベンゾイソオキサゾール−7−イル)、ベンゾオキサゾリル(例、2−ベンゾオキサゾリル、4−ベンゾオキサゾリル、5−ベンゾオキサゾリル、6−ベンゾオキサゾリル、7−ベンゾオキサゾリル)、1,2−ベンゾイソチアゾリル(例、1,2−ベンゾイソチアゾール−3−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−4−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−5−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−6−イル、1,2−ベンゾイソチアゾール−7−イル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル、4−ベンゾチアゾリル、5−ベンゾチアゾリル、6−ベンゾチアゾリル、7−ベンゾチアゾリル)、イソキノリル(例、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、5−イソキノリル)、キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、5−キノリル、8−キノリル)、シンノリニル(例、3−シンノリニル、4−シンノリニル、5−シンノリニル、6−シンノリニル、7−シンノリニル、8−シンノリニル)、フタラジニル(例、1−フタラジニル、4−フタラジニル、5−フタラジニル、6−フタラジニル、7−フタラジニル、8−フタラジニル)、キナゾリニル(例、2−キナゾリニル、4−キナゾリニル、5−キナゾリニル、6−キナゾリニル、7−キナゾリニル、8−キナゾリニル)、キノキサリニル(例、2−キノキサリニル、3−キノキサリニル、5−キノキサリニル、6−キノキサリニル、7−キノキサリニル、8−キノキサリニル)、ピラゾロ[1,5−a]ピリジル(例、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−4−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−6−イル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−7−イル)、イミダゾ[1,2−a]ピリジル(例、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−5−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−7−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−8−イル)等が挙げられる。
含フッ素錯体化合物の製造方法
本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物(本明細書中、含フッ素錯体化合物(1)と称する場合がある。)は、
[1]式(1a):
−CF−CF−M (1a)
[式中、
は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、コバルト、及びスズからなる群より選択される金属を表し;及び
は、有機基を表す。]
で表される含フッ素有機金属化合物(本明細書中、含フッ素有機金属化合物(1a)と称する場合がある。)、及び
[2]ピリジン環を有する化合物、及びホスフィンからなる群より選択される配位子(本明細書中、単に、配位子(1b)と称する場合がある。)
を含む。
含フッ素錯体化合物(1)は、好ましくは、含フッ素有機金属化合物(1a)、及び配位子(1b)からなる。
で表される金属は、前記配位子(1b)と配位結合を形成している。
は、好ましくは、銅(好ましくは、銅(I))である。
は、好ましくは、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基(より好ましくは、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基)、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基(より好ましくは、1個以上の置換基を有していてもよい5〜18員のヘテロアリール基)
である。
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」、及び
「1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基」
における「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(好ましくはフッ素)、シアノ基、アミノ基、アルコキシ基、パーフルオロ有機基(好ましくは炭素数1〜8のパーフルオロ有機基、より好ましくはトリフルオロメチル基)、ペンタフルオロスルファニル基(FS−)、及び重合性基(又は重合性基に変換し得る基)が好適に例示される。
これらに加えて、当該「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」の置換基としては、例えば、カルボニルオキシカルボニル基(−CO−O−CO−)等の2価の基が好適に例示される。当該2価の基は、アリール基中の1個のベンゼン環と一緒になって、縮合環(例、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン)を形成している。
本明細書中、「重合性基」としては、例えば、
(1)シアノ基、
(2)アルデヒド基、
(3)1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基(例、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいビニル基)、
(4)ハロゲン原子、及びトリメチルシリル基からなる群より選択される1個以上の置換基で置換されていてもよいアルキニル基(例、トリメチルシリル化されていてもよいエチニル基)、
(5)エポキシ基、
(6)1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい(メタ)アクリロイル基(例、メタクリロイル基、アクリロイル基、2−フルオロアクリロイル基、2−クロロアクリロイル基)、
(7)(a)シアノ基、
(b)アルデヒド基、
(c)1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルキニル基、
(d)1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基(例、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいビニル基)、
(e)エポキシ基、及び
(f)1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい(メタ)アクリロイル基(例、メタクリロイル基、アクリロイル基、2−フルオロアクリロイル基、2−クロロアクリロイル基)
からなる群より選択される1個以上の置換基で、それぞれ置換された、アルキル基、及びアルコキシ基、
(8)−NH基、
(9)−COOH基、
(10) カルボニルオキシカルボニル基(−CO−O−CO−)
(11)−OH基、
(12)−COX基(当該式中、Xはハロゲン原子を表す。)、並びに
(13)−CO−OR基(当該式中、Rは有機基を表す。)
が挙げられる。
本明細書中、「重合性基に変換し得る基」は、例えば、保護基で保護された重合性基であることができる。
本明細書中、「重合性基に変換し得る基」は、例えば、メトキシ基であることができる。
は、より好ましくは、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、又は
RO−
である。
配位子(1b)である前記「ピリジン環を有する化合物」としては、例えば、フェナントロリン(例、1,10−フェナントロリン)、2,2’−ビピリジル、ピリジン、メチルピリジン、ルチジン(例、2,6−ルチジン)が挙げられる。
配位子(1b)である前記「ホスフィン」としては、トリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンが好ましい。トリアルキルホスフィンとしては、具体的には、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリテキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、ジt−ブチルメチルホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノルボルニルホスフィン等のトリ(C3−20アルキル)ホスフィンが挙げられる。
トリアリールホスフィンとしては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリ(単環アリール)ホスフィンが挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィンが好ましい。
配位子(1b)は、二座配位子であることが好ましい。
その好ましい例としては、1,10−フェナントロリンが挙げられる。
含フッ素有機金属化合物(1a)に配位する配位子(1b)の配位数は、金属Mの酸化数、及び配位子(1b)の配位原子数等によって異なるが、好ましくは、1〜3個である。
本発明の含フッ素錯体化合物の製造方法は、
部分構造式(2a):
−Si (2a)
[式中、
は、前記と同意義を表す。]
で表される部分を有するケイ酸又はそのエステル又はそれらの塩である有機ケイ素化合物(本明細書中、有機ケイ素化合物(2)と称する場合がある。)を、
前記金属Mの水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、チオアルコキシド、又はチオアリールオキシドである金属化合物(本明細書中、金属化合物(3)と称する場合がある。)、
配位子(1b)、及び
テトラフルオロエチレン
と反応させる工程Aを含む。
有機ケイ素化合物(2)としては、例えば、
式(2−1):
−SiY (2−1)
[式中、
は、前記と同意義を表し;及び
Yは、独立して、ヒドロキシ基、又はアルコキシ基、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子(例、F、Cl、Br、I)を表し;及び
3個のYで示されるアルコキシ基のうちの2個以上は互いに架橋されていてもよい。]
で表されるケイ酸又はそのエステル又はそれらの塩
が挙げられる。
Yで示される「アルコキシ基」としては、例えば、炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
3個のYで示されるアルコキシ基のうちの2個以上が互いに架橋されている有機ケイ素化合物(2)としては、例えば、次式:
[式中、
は、前記と同意義を表す。]で表される化合物
が例示される。
このように、3個のYで示されるアルコキシ基のうちの2個以上が互いに架橋されている有機ケイ素化合物(2)は、反応におけるRの高い選択性の点で、有利である。
有機ケイ素化合物(2)は、公知の方法又はそれに準じる方法により製造でき、及び商業的に入手できる。
金属化合物(3)のハロゲン化物としては、例えば、金属化合物(3)のフッ素化物、塩素化物、臭素化物、及びヨウ素化物が挙げられる。
金属化合物(3)のアルコキシドのアルコキシ部分は、好ましくは、式:RO−(式中、Rは、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される基であり、より好ましくは4級のアルコキシ基であり、更に好ましくは、tert−ブトキシ基である。
金属化合物(3)のフェノキシドのアリールオキシ部分は、好ましくは、式:RO−(式中、Rは、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基)で表される基であり、より好ましくは、フェノキシ基である。
金属化合物(3)のチオアルコキシドのアルキルチオ部分は、好ましくは、式:RS−(式中、Rは、直鎖状又は分枝鎖状の炭素数1〜10のアルキル基である。)で表される基である。
金属化合物(3)のチオフェノキシドのアリールチオ部分は、好ましくは、式:RO−(式中、Rは、置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基)で表される基であり、より好ましくは、フェニルスルファニル基である。
金属化合物(3)は、好ましくは、アルコキシ部分が4級のアルコキシ基であるアルコキシドであり、より好ましくは、tert−ブトキシドである。
金属化合物(3)は、公知の方法又はそれに準じる方法により製造でき、及び商業的に入手できる。
配位子(1b)としては、前記で含フッ素錯体化合物について説明した配位子(1b)が用いられる。なお、本明細書中、含フッ素錯体化合物中の配位子(1b)と、当該配位子(1b)に対応する原料化合物を、いずれも、配位子(1b)と称する。両者は、文脈によって、区別される。
配位子(1b)は、公知の方法又はそれに準じる方法により製造でき、及び商業的に入手できる。
工程Aの反応は、有機ケイ素化合物(2)、金属化合物(3)、配位子(1b)、及びテトラフルオロエチレン(本明細書中、TFEと略称する場合がある。)を混合することにより実施できる。
当該混合は、例えば、有機ケイ素化合物(2)、金属化合物(3)、及び配位子(1b)の溶液又は懸濁液に、TFEの気体を導入することにより、実施できる。
当該溶液又は懸濁液の溶媒としては、例えばジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ギ酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、及びテトラヒドロフラン、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
当該溶媒の量は、有機ケイ素化合物(2)1重量部に対して、通常0.5〜500重量部の範囲内、好ましくは1〜100重量部の範囲内、より好ましくは2.5〜50重量部の範囲内である。
金属化合物(3)の量は、有機ケイ素化合物(2)1モルに対して、通常0.2〜10モルの範囲内、好ましくは0.5〜5モルの範囲内、より好ましくは0.8〜2モルの範囲内である。
配位子(1b)の量は、有機ケイ素化合物(2)1モルに対して、通常0.2〜10モルの範囲内、好ましくは0.5〜5モルの範囲内、より好ましくは0.8〜2モルの範囲内である。
TFEの量は、有機ケイ素化合物(2)1モルに対して、通常0.5〜過剰量の範囲内、好ましくは0.8〜50モルの範囲内、より好ましくは1〜10モルの範囲内である。
工程Aは、通常−20〜200℃の範囲内、好ましくは0〜150℃の範囲内、より好ましくは20〜100℃の範囲内の温度で実施される。
工程Aの反応時間は、通常1分〜10日の範囲内、好ましくは5分〜3日の範囲内、より好ましくは10分〜1日の範囲内である。
得られた含フッ素錯体化合物(1)は、そのまま後記で説明する含フッ素化合物に供されてもよく、所望により、更に、溶媒抽出、乾燥、濾過、蒸留、濃縮、再結晶、昇華、カラムクロマトグラフィー、及びこれらの組み合わせ等の公知の精製方法によって精製されてもよい。
含フッ素錯体化合物
本発明の製造法で得られる含フッ素錯体化合物のうち、以下の含フッ素錯体化合物は新規化合物である。
[1]式(1a−1):
−CF−CF−M (1a−1)
[当該式中、
は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、コバルト、及びスズからなる群より選択される金属を表し;及び
は、式:RO−
(当該式中、
Rは、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基
を表す。)
で表される基を表す。]
で表される含フッ素有機金属化合物、及び
[2]ピリジン環を有する化合物、及びホスフィンからなる群より選択される配位子
を含む含フッ素錯体化合物(本明細書中、当該含フッ素錯体化合物を含フッ素錯体化合物(1−1)と称する場合がある。)。
含フッ素錯体化合物(1−1)は、好ましくは、含フッ素有機金属化合物(1a−1)、及び配位子(1b)からなる。
で表される金属は、前記配位子(1b)と配位結合を形成している。
は、好ましくは、銅(好ましくは、銅(I))である。
Rは、好ましくは、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基(より好ましくは、−CFCFSOF)、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基(より好ましくは、1個以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基)、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基(より好ましくは、1個以上の置換基を有していてもよい5〜18員のヘテロアリール基)
である。
本明細書中、「1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基」、
「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」、及び
「1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基」
における「置換基」としては、例えば、ハロゲン原子(好ましくはフッ素)、シアノ基、アミノ基、アルコキシ基、パーフルオロ有機基(好ましくは炭素数1〜8のパーフルオロ有機基、より好ましくはトリフルオロメチル基)、ペンタフルオロスルファニル基(FS−)、及び重合性基(又は重合性基に変換し得る基)が好適に例示される。
これらに加えて、当該「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」の置換基としては、例えば、カルボニルオキシカルボニル基(−CO−O−CO−)等の2価の基が好適に例示される。当該2価の基は、アリール基中の1個のベンゼン環と一緒になって、縮合環(例、1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン)を形成している。
当該重合性基としては、好ましくは、例えば、
シアノ基、
1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基(例、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいビニル基)、
エポキシ基、
1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい(メタ)アクリロイル基(例、メタクリロイル基、アクリロイル基、2−フルオロアクリロイル基、2−クロロアクリロイル基)、
−COX基(当該式中、Xはハロゲン原子を表す。)、及び
−CO−OR基(当該式中、Rは有機基を表す。)
が挙げられる。
Rは、より好ましくは、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。
である。
配位子(1b)である前記「ピリジン環を有する化合物」としては、例えば、フェナントロリン(例、1,10−フェナントロリン)、2,2’−ビピリジル、ピリジン、メチルピリジン、ルチジン(例、2,6−ルチジン)が挙げられる。
配位子(1b)である前記「ホスフィン」としては、トリアルキルホスフィン又はトリアリールホスフィンが好ましい。トリアルキルホスフィンとしては、具体的には、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリt−ブチルホスフィン、トリテキシルホスフィン、トリアダマンチルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、ジt−ブチルメチルホスフィン、トリビシクロ[2,2,2]オクチルホスフィン、トリノルボルニルホスフィン等のトリ(C3−20アルキル)ホスフィンが挙げられる。
トリアリールホスフィンとしては、具体的には、トリフェニルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のトリ(単環アリール)ホスフィンが挙げられる。これらの中でも、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリt−ブチルホスフィンが好ましい。
配位子(1b)は、二座配位子であることが好ましい。
その好ましい例としては、1,10−フェナントロリンが挙げられる。
含フッ素有機金属化合物(1a−1)に配位する配位子(1b)の配位数は、金属Mの酸化数、及び配位子(1b)の配位原子数等によって異なるが、好ましくは、1〜3個である。
含フッ素化合物の製造方法(I)
本発明の含フッ素化合物の製造方法(I)は、前記で説明した本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物を用いて、
式(4−I):
−CF−CF−R (4−I)
[式中、
は、前記と同意義を表し;及び
は、有機基を表す。]
で表される含フッ素化合物(本明細書中、含フッ素化合物(4−I)と称する場合がある。)を製造する方法である。
当該製造方法は、
本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物(1)を、
式(5−I):
X−R (5−I)
[式中、
は前記と同意義を表し;及び
Xはハロゲン原子を表す。]
で表されるハロゲン化合物(本明細書中、ハロゲン化合物(5−I)と称する場合がある。)
と反応させる工程B−Iを含む。
は、前記で「含フッ素錯体化合物」について説明した通りである。
Xは、好ましくはヨウ素である。
は、好ましくは、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基(より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよい炭素数6〜18のアリール基)、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基(より好ましくは1個以上の置換基を有していてもよい5〜18員のヘテロアリール基)、
RCO−、
RSO−、
ROCO−、又は
ROSO
(これらの式中、Rは、独立して、
水素原子、
ハロゲン原子、
アリール基、
アラルキル基、又は
アルキル基である。)
である。
当該「1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基」、
当該「1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基」、
当該「1個以上の置換基を有していてもよいアリール基」、
当該「1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基」、又は
当該「1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基」
における「置換基」としては、例えば、フルオロ基、パーフルオロ有機基(好ましくは炭素数1〜8のパーフルオロ有機基、より好ましくはトリフルオロメチル基)、ペンタフルオロスルファニル基、及び重合性基(又は重合性基に変換し得る基)が好適に例示される。
は、Rと同じであってもよく、異なっていてもよい。
工程Bの反応は、本発明の含フッ素錯体化合物(1)、及びハロゲン化合物(5−I)を混合することにより実施できる。
当該混合は、例えば、溶媒中の含フッ素錯体化合物(1)の懸濁液に、ハロゲン化合物(5−I)を添加することにより、実施できる。
当該懸濁液の溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ギ酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、及びテトラヒドロフラン、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
当該溶媒の量は、含フッ素錯体化合物(1)1重量部に対して、通常0.5〜500重量部の範囲内、好ましくは1〜100重量部の範囲内、より好ましくは2.5〜50重量部の範囲内である。
ハロゲン化合物(5−I)の量は、含フッ素錯体化合物(1)1モルに対して、通常0.2〜10モルの範囲内、好ましくは0.5〜5モルの範囲内、より好ましくは0.8〜2モルの範囲内である。
工程Bは、通常−20〜200℃の範囲内、好ましくは0〜150℃の範囲内、より好ましくは20〜100℃の範囲内の温度で実施される。
工程Bの反応時間は、通常1分〜10日の範囲内、好ましくは5分〜3日の範囲内、より好ましくは10分〜1日の範囲内である。
工程A及び工程Bは、ワンポットで実施してもよい。
工程A及び工程Bの反応は、例えば、有機ケイ素化合物(2)、金属化合物(3)、配位子(1b)、ハロゲン化合物(5−I)、及びTFEを混合することにより、ワンポットで実施できる。
当該製造方法で得られた含フッ素化合物(4−I)又はその中間体に、アシル化、又はアルキル化等の公知の手段を適用して、置換基の導入又は変換を行い、含フッ素化合物(4−I)を製造することもできる。
本発明の製造方法で得られる含フッ素化合物(4−I)は、例えば、燃料電池材料等に用いられる含フッ素重合体の単量体、及び液晶材料として用いることができる。
当該製造方法で得られた含フッ素化合物(4−I)は、そのまま耐熱性ポリマーや燃料電池材料等に用いられる含フッ素重合体の単量体、及び液晶材料の製造に用いてもよく、所望により、更に、溶媒抽出、乾燥、濾過、蒸留、濃縮、再結晶、昇華、カラムクロマトグラフィー、及びこれらの組み合わせ等の公知の精製方法によって精製されてもよい。
含フッ素化合物の製造方法(II)
本発明の含フッ素化合物の製造方法(II)は、前記で説明した本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物を用いて、
式(4−II):
CF=CF (4−II)
[式中、
は、前記と同意義を表す。]
で表される含フッ素化合物(本明細書中、含フッ素化合物(4−II)と称する場合がある。)を製造する方法である。
当該製造方法は、
本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物(1)を、
ルイス酸
と反応させる工程B−IIを含む。
当該製造方法で製造される含フッ素化合物(4−II)としては、例えば、FSO−CFCF−OCF=CFが好適に例示される。
は、前記で「含フッ素錯体化合物」について説明した通りである。
本明細書中、ルイス酸としては、例えば、ハロゲン化リチウム(例、LiI)、ハロゲン化マグネシウム(例、MgBr、MgCl、MgI)、及びハロゲン化アルミニウム(例、AlCl)が例示される。
工程B−IIで用いられるルイス酸は、好ましくは、ヨウ化リチウムである。
工程Bの反応は、本発明の含フッ素錯体化合物(1)、及びルイス酸を混合することにより実施できる。
当該混合は、例えば、溶媒中の含フッ素錯体化合物(1)の懸濁液に、ルイス酸を添加することにより、実施できる。
当該懸濁液の溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ギ酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、及びテトラヒドロフラン、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
当該溶媒の量は、含フッ素錯体化合物(1)1重量部に対して、通常0.5〜500重量部の範囲内、好ましくは1〜100重量部の範囲内、より好ましくは2.5〜50重量部の範囲内である。
ルイス酸の量は、含フッ素錯体化合物(1)1モルに対して、通常0.2〜10モルの範囲内、好ましくは0.5〜5モルの範囲内、より好ましくは0.8〜2モルの範囲内である。
工程Bは、通常−20〜200℃の範囲内、好ましくは0〜150℃の範囲内、より好ましくは20〜100℃の範囲内の温度で実施される。
工程Bの反応時間は、通常1分〜10日の範囲内、好ましくは5分〜3日の範囲内、より好ましくは10分〜1日の範囲内である。
工程Bは、工程Aとワンポットで実施してもよい。
工程A及び工程Bの反応は、例えば、有機ケイ素化合物(2)、金属化合物(3)、配位子(1b)、ハロゲン化合物(5−II)、及びTFEを混合することにより、ワンポットで実施できる。
当該製造方法で得られた含フッ素化合物(4−II)又はその中間体に、アシル化、又はアルキル化等の公知の手段を適用して、置換基の導入又は変換を行い、含フッ素化合物(4−II)を製造することもできる。
本発明の製造方法で得られる含フッ素化合物(4−II)は、例えば、燃料電池材料等に用いられる含フッ素重合体の単量体、及び液晶材料として用いることができる。
当該製造方法で得られた含フッ素化合物(4−II)は、そのまま耐熱性ポリマーや燃料電池材料等に用いられる含フッ素重合体の単量体、及び液晶材料の製造に用いてもよく、所望により、更に、溶媒抽出、乾燥、濾過、蒸留、濃縮、再結晶、昇華、カラムクロマトグラフィー、及びこれらの組み合わせ等の公知の精製方法によって精製されてもよい。
含フッ素化合物(4−I)
前記含フッ素化合物(4−I)は、後記式(4−I−1)で表される新規化合物を包含する。
式(4−I−1):
RO−CF−CF−R (4−I−1)
[式中、
Rは、有機基を表し;及び
は、
−NH基、
−COOH基、
カルボニルオキシカルボニル基(−CO−O−CO−)
−OH基、
−COX基(当該式中、Xはハロゲン原子を表す。)、及び
−CO−OR基(当該式中、Rは有機基を表す。)からなる群より選択される1個以上の重合性基で置換されていてもよいアリール基を表す。
但し、R、及びRの一方、又はその両方は、重合性基を含有する。]
で表される含フッ素化合物。
Rは、好ましくは、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、又は1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である。
である。
Rが重合性基を含有する場合、当該重合性基は、好ましくは、
シアノ基、
1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいアルケニル基(例、1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよいビニル基)、
エポキシ基、
1個以上のハロゲン原子で置換されていてもよい(メタ)アクリロイル基(例、メタクリロイル基、アクリロイル基、2−フルオロアクリロイル基、2−クロロアクリロイル基)、
−COX基(当該式中、Xはハロゲン原子を表す。)、及び
−CO−OR基(当該式中、Rは有機基を表す。)
からなる群より選択される1個以上である。
前記の製造方法に加え、本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物は、合成原料として、そのまま、又は単離して、例えば、以下の製造方法にも用いることができる。
製造方法(III)
式(4−III):
1−CFCF−P(−R (4−III)
[式中、
は、有機基を表し、及び
は、有機基を表す。]
で表される含フッ素化合物(本明細書中、含フッ素化合物(4−III)と称する場合がある。)を製造する方法であって、
本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物(1)を、
式:(5−III)
P(−RCl (5−III)
[式中の記号は、前記と同意義を表す。]
で表される化合物と反応させる工程B−IIIを含む製造方法。
工程B−IIIの反応は、本発明の含フッ素錯体化合物(1)、及び化合物(5−III)を混合することにより実施できる。
当該混合は、例えば、溶媒中の含フッ素錯体化合物(1)の懸濁液に、化合物(5−III)を添加することにより、実施できる。
当該懸濁液の溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ギ酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、及びテトラヒドロフラン、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
当該溶媒の量は、含フッ素錯体化合物(1)1重量部に対して、通常0.5〜500重量部の範囲内、好ましくは1〜100重量部の範囲内、より好ましくは2.5〜50重量部の範囲内である。
化合物(5−III)の量は、含フッ素錯体化合物(1)1モルに対して、通常0.2〜10モルの範囲内、好ましくは0.5〜5モルの範囲内、より好ましくは0.8〜2モルの範囲内である。
工程B−IIIは、通常−20〜200℃の範囲内、好ましくは0〜150℃の範囲内、より好ましくは20〜100℃の範囲内の温度で実施される。
工程B−IIIの反応時間は、通常1分〜10日の範囲内、好ましくは5分〜3日の範囲内、より好ましくは10分〜1日の範囲内である。
工程A及び工程B−IIIは、ワンポットで実施してもよい。
工程A及び工程B−IIIの反応は、有機ケイ素化合物(2)、金属化合物(3)、配位子(1b)、化合物(5−III)、及びTFEを混合することにより、ワンポットで実施できる。
製造方法(IV)
式(4−IV):
1−CFCF−CO−Z−R (4−IV)
[式中、
は、有機基を表し、
は、有機基を表し、及び
Zは、−O−、−S−、又は−NH−を表す。]
で表される含フッ素化合物(本明細書中、含フッ素化合物(4−IV)と称する場合がある。)を製造する方法であって、
本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物(1)を、
式:(5−IV)
Cl−CO−Z−R2 (5−IV)
[式中の記号は、前記と同意義を表す。]
で表される化合物と反応させる工程B−IVを含む製造方法。
工程B−IVの反応は、本発明の含フッ素錯体化合物(1)、及び化合物(5−IV)を混合することにより実施できる。
当該混合は、例えば、溶媒中の含フッ素錯体化合物(1)の懸濁液に、化合物(5−IV)を添加することにより、実施できる。
当該懸濁液の溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ギ酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、及びテトラヒドロフラン、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
当該溶媒の量は、含フッ素錯体化合物(1)1重量部に対して、通常0.5〜500重量部の範囲内、好ましくは1〜100重量部の範囲内、より好ましくは2.5〜50重量部の範囲内である。
化合物(5−IV)の量は、含フッ素錯体化合物(1)1モルに対して、通常0.2〜10モルの範囲内、好ましくは0.5〜5モルの範囲内、より好ましくは0.8〜2モルの範囲内である。
工程B−IVは、通常−20〜200℃の範囲内、好ましくは0〜150℃の範囲内、より好ましくは20〜100℃の範囲内の温度で実施される。
工程B−IVの反応時間は、通常1分〜10日の範囲内、好ましくは5分〜3日の範囲内、より好ましくは10分〜1日の範囲内である。
工程A及び工程B−IVは、ワンポットで実施してもよい。
工程A及び工程B−IVの反応は、有機ケイ素化合物(2)、金属化合物(3)、配位子(1b)、化合物(5−IV)、及びTFEを混合することにより、ワンポットで実施できる。
製造方法(V)
式(4−V):
1−CFCF−X (4−V)
[式中、
は、有機基を表し、及び
Xは、ハロゲン原子を表す。]
で表される含フッ素化合物(本明細書中、含フッ素化合物(4−V)と称する場合がある。)を製造する方法であって、
本発明の製造方法で得られる含フッ素錯体化合物(1)を、
式:(5−V)
(5−V)
[式中の記号は、前記と同意義を表す。]
で表される化合物と反応させる工程B−Vを含む製造方法。
工程B−Vの反応は、本発明の含フッ素錯体化合物(1)、及び化合物(5−V)を混合することにより実施できる。
当該混合は、例えば、溶媒中の含フッ素錯体化合物(1)の懸濁液に、化合物(5−V)を添加することにより、実施できる。
当該懸濁液の溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチル、ギ酸エチル、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ヘキサン、及びテトラヒドロフラン、並びにこれらの混合物等が挙げられる。
当該溶媒の量は、含フッ素錯体化合物(1)1重量部に対して、通常0.5〜500重量部の範囲内、好ましくは1〜100重量部の範囲内、より好ましくは2.5〜50重量部の範囲内である。
化合物(5−V)の量は、含フッ素錯体化合物(1)1モルに対して、通常0.2〜10モルの範囲内、好ましくは0.5〜5モルの範囲内、より好ましくは0.8〜2モルの範囲内である。
工程B−Vは、通常−20〜200℃の範囲内、好ましくは0〜150℃の範囲内、より好ましくは20〜100℃の範囲内の温度で実施される。
工程B−Vの反応時間は、通常1分〜10日の範囲内、好ましくは5分〜3日の範囲内、より好ましくは10分〜1日の範囲内である。
工程A及び工程B−Vは、ワンポットで実施してもよい。
工程A及び工程B−Vの反応は、有機ケイ素化合物(2)、金属化合物(3)、配位子(1b)、化合物(5−V)、及びTFEを混合することにより、ワンポットで実施できる。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例中の記号は、以下の意味で用いられる。
br:ブロード
s:シングレット
d:ダブレット
t:トリプレット
m:マルチプレット
Calcd:計算値
found:実測値
phen:フェナントロリン
Ph:フェニル
実施例1
テトラフルオロエチレンとテトラメトキシシランとからの(phen)CuCF 2 CF 2 OMeの合成
窒素雰囲気下、テトラメトキシシラン(3.1 mg, 0.02 mmol)、CuOtBu (2.7 mg, 0.02 mmol)、及び1,10-フェナントロリン (以下phenと略記: 3.6 mg, 0.02 mmol) を0.5 mLのTHF/重THF混合溶媒(v/v’ = 4/1)中にて混合し、室温にて30分間攪拌を行うことで(phen)CuOMeを調製した。この反応溶液を耐圧NMRチューブに移してTFEを3.5 atmに加圧し、40℃で4時間加熱を行うことで(phen)CuCF2CF2OMeを得た。
(phen)CuCF2CF2OMe
19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -110.6 (brs, 2F), -97.5 (brs, 2F).
実施例2
4-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-メトキシエチル)アニソールの合成
実施例1で得られた(phen)CuCF2CF2OMe溶液に、4-ヨードアニソール(5.6 mg, 0.024 mmol)を加え、60℃にて10時間加熱を行うことで、対応する4-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-メトキシエチル)アニソールが収率90%(19F NMRから算出)で得られた。
4-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-メトキシエチル)アニソール

19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -115.0 (t, JFF = 5.5 Hz, 2F), -96.2 (t, JFF = 5.5 Hz, 2F), MS (EI) m/z 238 (M+), HRMS Calcd for C16H11F3 238.0617 found 238.0619.
実施例3
トリフルオロメチル-4-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-メトキシエチル)ベンゼンの合成
実施例1で得た(phen)CuCF2CF2OMeに、4-ヨードベンゾトリフルオリド(6.5 mg, 0.024 mmol)を加え60℃にて2時間加熱を行うことで、対応する1-トリフルオロメチル-4-(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-メトキシエチル)ベンゼンが収率92%(19F NMRから算出)で得られた。

19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -116.7 (t, JFF = 5.5 Hz, 2F), -95.8 (t, JFF = 5.5 Hz, 2F), -65.8 (s, 3F), MS (EI) m/z 195 (-CF2C6H4CF3), 81 (-CF2OMe), HRMS Calcd for C16H11F3 276.0385 found 276.0380.
実施例4
トリフルオロスチレンの合成
トリメトキシフェニルシラン(4.0 mg, 0.02 mmol)、CuOtBu (2.7 mg, 0.02mmol)、及び1,10-フェナントロリン (phen: 3.6 mg, 0.02 mmol) を0.5 mLのTHF/重THF混合溶媒(v/v’= 4/1)中にて混合し、室温にて30分間攪拌を行うことで(phen)CuPhを調製した。この溶液を耐圧NMRチューブに移してTFEを3.5 atmに加圧し、40℃で4時間加熱を行うことで(phen)CuCF2CF2Phを得た。ここにヨウ化リチウム(5.4 mg, 0.04 mmol)を加え室温にて1時間撹拌を行うことで、対応するトリフルオロスチレンが収率28%(19F NMRから算出)で得られた。
実施例5
実施例1で得た(phen)CuCF2CF2OMeのTHF溶液にLiIを加え、室温で30分間放置した。
反応液の19F NMRスペクトルにより脱離反応が進行し、MeOCF=CF2が生成したことを確認した。
19F NMR (376 MHz, in THF-d8, 22 ℃, δ/ppm): -126.4 (m, 2F), -134.2 (m, F).

Claims (4)

  1. [1]式(1a):
    −CF−CF−M (1a)
    [式中、
    は、銅を表し;及び
    は、
    式:RO−
    (当該式中、
    Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、又はアリール基を表す。)
    で表される基を表す。]で表される含フッ素有機金属化合物、及び
    [2]ピリジン環を有する化合物、及びホスフィンからなる群より選択される配位子
    を含む含フッ素錯体化合物の製造方法であって、
    部分構造式(2a):
    −Si (2a)
    [式中、
    は、前記と同意義を表す。]
    で表される部分を有するケイ酸又はそのエステル又はそれらの塩である有機ケイ素化合物を、
    前記金属Mの水酸化物、ハロゲン化物、アルコキシド、アリールオキシド、チオアルコキシド、又はチオアリールオキシドである金属化合物、
    前記配位子、及び
    テトラフルオロエチレン
    と反応させる工程A
    を含む製造方法。
  2. 前記配位子がフェナンスロリンを含む含フッ素錯体化合物である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 式(4−I):
    −CF−CF−R (4−I)
    [式中、
    は、請求項1における記載と同意義を表し;及び
    は、有機基を表す。]
    で表される含フッ素化合物の製造方法であって、
    請求項1に記載の工程A、及び
    当該工程Aで得られた含フッ素錯体化合物を、
    式(5):
    X−R (5−I)
    [式中、
    は前記と同意義を表し;及び
    Xはハロゲン原子を表す。]
    で表されるハロゲン化合物
    と反応させる工程B−I
    を含む製造方法。
  4. 式(4−II):
    CF=CF (4−II)
    [式中、
    は、請求項1における記載と同意義を表す。]
    で表される含フッ素化合物の製造方法であって、
    請求項1に記載の工程A、及び
    当該工程Aで得られた含フッ素錯体化合物を、
    ルイス酸
    と反応させる工程B−II
    を含む製造方法。
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