JP6497202B2 - 点火時期制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の点火時期を制御する点火時期制御装置に関する。
従来の点火時期制御装置は、内燃機関の運転状態を表す種々のパラメータ(運転状態パラメータ)に対する適切な点火時期を実験により予め求め、その種々の運転状態パラメータと求められた点火時期とを関連付けたルックアップテーブル(マップ)を記憶装置に格納している。更に、従来の点火時期制御装置は、機関の運転中、実際の運転状態パラメータをそのルックアップテーブルに適用することによって点火時期を決定するようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2006−22716号公報
しかしながら、予め実験により求められた点火時期は、機関の運転状態が定常運転状態である場合に適切な点火時期であるので、従来の装置により求められる点火時期は、機関の運転状態が過渡運転状態である場合には必ずしも適切な点火時期とならない場合がある。
本発明は上述した課題に対処するためになされた。即ち、本発明の目的の一つは、過渡運転状態においても点火時期を適切に制御することができる点火時期制御装置を提供することにある。
本発明の点火時期制御装置は、内燃機関の点火プラグから火花が発生させられる点火時期を制御する制御部を備える。
その制御部は、
(1)前記機関の燃焼室内での燃料の燃焼に伴う熱の発生率が最大となる熱発生率最大時期の目標値である目標最大時期(目標熱発生率最大時期)を前記機関の運転状態を表すパラメータに基づいて決定し、
(2)前記燃焼室内に形成された混合気の燃料が実際に燃焼を開始する着火時期から前記目標最大時期までの期間である前半燃焼期間の長さを機関回転速度及び前記目標最大時期における燃焼室容積に基づいて計算により求め、
(3)前記目標最大時期と前記求められた前半燃焼期間の長さとから前記着火時期の目標値である目標着火時期を計算により求め、
(4)前記機関回転速度及び特定時期における前記燃焼室内の燃料密度に基づいて、前記点火時期から前記着火時期までの期間である着火遅れ期間の長さを計算により求め、
(5)前記求められた目標着火時期と前記求められた着火遅れ期間の長さとから目標点火時期を計算により求め、
(6)前記求められた目標点火時期にて実際の点火を行う。
機関が発生するトルクを所望の値に制御するためには、熱発生率最大時期を適切な時期に制御する必要がある。本発明の点火時期制御装置によれば、実際の熱発生率最大時期を所望の目標最大時期に一致させるための点火時期を計算により求めることができる。より具体的に述べると、図3から理解されるように、点火時期から熱発生率最大時期までの期間の長さは、着火遅れ期間の長さと前半燃焼期間の長さとの和と等しい。そこで、本発明の点火時期制御装置は、着火遅れ期間の長さと前半燃焼期間の長さとをそれぞれ計算により求め、それらの和の長さだけ目標最大時期(目標熱発生率最大時期)から進角したクランク角を目標点火時期として決定する。更に、着火遅れ期間の長さは、目標点火時期を決定する時点の「機関回転速度及び特定時期における燃焼室内の燃料密度」に基づいて計算により求められ、前半燃焼期間の長さは、目標点火時期を決定する時点の「機関回転速度及び目標最大時期における燃焼室容積」に基づいて計算により求められる。従って、本発明の点火時期制御装置は、機関の運転状態が過渡運転状態であっても、実際の点火時期を適切な点火時期に設定・制御することができる。
本発明の一態様において、
前記制御部は、前記目標着火時期が圧縮上死点後のクランク角である場合(即ち、ATDC着火の場合)、前記特定時期における前記燃焼室内の燃料密度として「前記目標着火時期における燃料密度」を採用して前記着火遅れ期間の長さを計算により求める。
後述するように、ATDC着火の場合、着火遅れ期間の長さに強い相関を有する「燃焼室内の燃料密度」として「着火時期における燃料密度」が適切である。従って、上記のようにATDC着火の場合の着火遅れ期間の長さを「前記目標着火時期における燃料密度」に基づいて計算により求めれば、ATDC着火の場合の着火遅れ期間の長さを精度良く求めることができる。その結果、実際の熱発生率最大時期を目標最大時期により精度良く一致させることができる。
更に、前記制御部は、前記目標着火時期が圧縮上死点前のクランク角である場合(即ち、BTDC着火の場合)、仮想の点火時期を設定し、前記特定時期における前記燃焼室内の燃料密度として「前記仮想の点火時期における燃料密度」を採用して仮想の着火遅れ期間の長さを算出する。加えて、前記制御部は、前記仮想の点火時期と前記仮想の着火遅れ期間の長さとから仮想の着火時期を計算により求め、前記仮想の着火時期が前記目標着火時期と一致する場合に前記仮想の着火遅れ期間の長さを前記着火遅れ期間の長さとして決定し、前記仮想の着火時期が前記目標着火時期と一致しない場合には前記仮想の点火時期を変更して前記仮想の着火遅れ期間の長さを再度計算により求め直す。
後述するように、BTDC着火の場合、着火遅れ期間の長さに強い相関を有する「燃焼室内の燃料密度」として「点火時期における燃料密度」が適切である。従って、上記のようにBTDC着火の場合の着火遅れ期間の長さを「前記仮想の点火時期における燃料密度」に基づいて計算により求めれば、BTDC着火の場合の着火遅れ期間の長さを精度良く求めることができる。その結果、実際の熱発生率最大時期を目標最大時期により精度良く一致させることができる。
本発明の一態様において、
前記制御部は、「MBT(Minimum advance for the Best Torque;機関の発生トルクが最大となる点火時期)にて燃料が点火された際に前記機関が発生するトルク」に対する「目標トルク」の比である、目標トルク効率を、前記機関の運転状態を表すパラメータに基づいて決定し、前記決定された目標トルク効率に基づいて前記目標最大時期を決定する。
この構成によれば、機関の効率が目標トルク効率と一致するように点火時期を制御することができる。
本発明の一態様において、
前記制御部は、
NEを前記機関回転速度、
V@θdQpeak_tgtを前記目標最大時期における燃焼室容積、
aを前記前半燃焼期間の長さ、
C3,α及びβのそれぞれを所定の定数とするとき、
a=C3・(V@θdQpeak_tgt)α・NEβ
なる前半燃焼期間長モデル式に基づいて前記前半燃焼期間の長さaを計算するように構成されている。
本発明の一態様において、
前記制御部は、
NEを前記機関回転速度、
ρfuel@FAを前記目標着火時期における燃料密度、
ρfuel@SAzを前記仮想の点火時期における燃料密度、
τを前記着火遅れ期間の長さ、
τzを前記仮想の着火遅れ期間の長さ、
C1、C2、φ、ψ、χ及びδのそれぞれを所定の定数とするとき、
前記目標着火時期が圧縮上死点後のクランク角である場合、
τ=C2・ρfuel@FAφ・NEψ
なる着火遅れ期間長モデル式に基づいて前記着火遅れ期間の長さτを計算し、
前記目標着火時期が圧縮上死点前のクランク角である場合、
τz=C1・ρfuel@SAzχ・NEδ
なる着火遅れ期間長モデル式に基づいて前記仮想の着火遅れ期間の長さτzを計算するように構成されている。
本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、以下の図面を参照しつつ記述される本発明の各実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
図1は、本発明の実施形態に係る点火時期制御装置が適用された内燃機関の概略構成図である。 図2は、図1に示した電気制御装置のCPUが実行する工程を示した概略フローチャートである。 図3は、モデル化された熱発生率波形である。 図4は、BTDC着火の場合における、点火時期での筒内燃料密度と着火遅れ期間の長さとの関係を示したグラフである。 図5は、BTDC着火の場合において、着火遅れ期間長モデル式により予測された着火遅れ期間の長さと実測された着火遅れ期間の長さとの関係を示したグラフである。 図6は、ATDC着火の場合における、着火時期での筒内燃料密度と着火遅れ期間の長さとの関係を示したグラフである。 図7は、ATDC着火の場合において、着火遅れ期間長モデル式により予測された着火遅れ期間の長さと実測された着火遅れ期間の長さとの関係を示したグラフである。 図8は、BTDC着火の場合における熱発生率波形を概念的に示した図である。 図9は、ATDC着火の場合における熱発生率波形を概念的に示した図である。 図10は、種々の負荷率に対する熱発生率波形を示した図である。 図11は、種々のEGR率に対する熱発生率波形を示した図である。 図12は、種々の空燃比に対する熱発生率波形を示した図である。 図13は、種々の冷却水温に対する熱発生率波形を示した図である。 図14は、種々の点火時期に対する熱発生率波形を示した図である。 図15は、種々の機関回転速度に対する熱発生率波形を示した図である。 図16は、第1の型式の内燃機関について、前半燃焼期間長モデル式により予測された前半燃焼期間の長さと、実測された前半燃焼期間の長さと、の関係を示したグラフである。 図17は、第2の型式の内燃機関について、前半燃焼期間長モデル式により予測された前半燃焼期間の長さと、実測された前半燃焼期間の長さと、の関係を示したグラフである。 図18は、図1に示した電気制御装置のCPUが実行するルーチンを示したフローチャートである。
以下、本発明の実施形態に係る「内燃機関の点火時期制御装置(以下、単に「本装置」とも称呼する。)」について図面を参照しながら説明する。
(構成)
図1は、本装置をピストン往復動型・火花点火式・ガソリン燃料・多気筒(4気筒)・4サイクル内燃機関10に適用したシステムの概略構成を示している。なお、図1は、特定の気筒の断面のみを図示しているが、他の気筒も同様な構成を備えている。
この内燃機関10は、シリンダブロック、シリンダブロックロワーケース及びオイルパン等を含むシリンダブロック部20と、シリンダブロック部20の上に固定されるシリンダヘッド部30と、シリンダブロック部20にガソリン混合気を供給するための吸気系統40と、シリンダブロック部20からの排ガスを外部に放出するための排気系統50と、を含んでいる。
シリンダブロック部20は、シリンダ21、ピストン22、コンロッド23及びクランク軸24を含んでいる。シリンダ21とピストン22のヘッドは、シリンダヘッド部30とともに燃焼室25を形成している。
シリンダヘッド部30は、燃焼室25に連通した吸気ポート31、吸気ポート31を開閉する吸気弁32、吸気弁32を開閉駆動する吸気弁制御装置33、燃焼室25に連通した排気ポート34、排気ポート34を開閉する排気弁35、排気弁35を開閉駆動する排気弁制御装置36、点火プラグ37、点火プラグ37に与える高電圧を発生するイグニッションコイルを含むイグナイタ38及び燃料を吸気ポート31内に噴射するインジェクタ(燃料噴射手段)39を備えている。
吸気弁制御装置33は、インテークカムシャフト、複数種類の吸気カム及びアクチュエータを含む周知の構成を備え、「吸気弁位相角INVT及び吸気弁作用角VCAM」を変更することができるようになっている。
なお、吸気弁作用角VCAMは「吸気弁開弁時期IVOから吸気弁閉弁時期IVCまでの期間を示すクランク角幅」である。吸気弁位相角INVTは、吸気弁作用角VCAMの中心を示す(即ち、吸気弁開弁時期IVOと吸気弁閉弁時期IVCとの中心が位置する)クランク角が「基準吸気弁クランク角」に対してどれだけ進角させられているかを示すクランク角幅である。ここで、基準吸気弁クランク角は、「吸気弁が開弁している期間が吸気弁制御装置の作動範囲内で最も遅角側に設定された場合における、吸気弁開弁時期IVOと吸気弁閉弁時期IVCとの中心が位置するクランク角」である。
排気弁制御装置36は、エキゾーストカムシャフト、排気カム及びアクチュエータを含む周知の構成を備え、排気弁位相角EXVTを変更することができるようになっている。なお、排気弁制御装置36は、従来のエキゾーストカムシャフト及び排気カムのみを備える排気弁駆動装置であってもよい。
排気弁位相角EXVTは、「排気弁開弁時期EVOと排気弁閉弁時期EVCとの中心が位置するクランク角」が「基準排気弁クランク角」に対してどれだけ進角させられているかを示すクランク角幅である。ここで、基準排気弁クランク角は、「排気弁が開弁している期間が排気弁制御装置の作動範囲内で最も遅角側に設定された場合における、排気弁開弁時期EVOと排気弁閉弁時期EVCとの中心が位置するクランク角」である。
吸気系統40は、インテークマニホールド41、吸気管(吸気ダクト)42、エアフィルタ43、スロットル弁44及びスロットル弁アクチュエータ44aを備えている。
インテークマニホールド41は、各気筒の吸気ポート31に接続されている。より詳細には、インテークマニホールド41は各吸気ポート31に接続された複数の枝部41aと、それらの枝部が集合したサージタンク部41bと、を備えている。吸気管42はサージタンク部41bに接続されている。インテークマニホールド41及び吸気管42は吸気通路を構成している。エアフィルタ43は吸気管42の端部に設けられている。スロットル弁44は吸気管42に回動可能設けられ、回動することにより吸気管42が形成する吸気通路の開口断面積を変更するようになっている。スロットル弁アクチュエータ(スロットル弁駆動手段)44aは、DCモータからなり、指示信号に応答してスロットル弁44を回転駆動するようになっている。
排気系統50は、各排気ポート34に連通した枝部とそれらの枝部が集合した集合部とを有するエキゾーストマニホールド51、エキゾーストマニホールド51に接続されたエキゾーストパイプ(排気管)52、上流側の三元触媒53及び下流側の三元触媒54を備えている。上流側の三元触媒53は、エキゾーストパイプ52に配設されている。下流側の三元触媒54は、上流側の三元触媒53の下流においてエキゾーストパイプ52に配設されている。排気ポート34、エキゾーストマニホールド51及びエキゾーストパイプ52は、排気通路を構成している。
更に、排気系統50は、排気還流管55と、EGRバルブ56と、を備えている。
排気還流管55の一端は、エキゾーストマニホールド51の集合部に連通している。排気還流管55の他端は、インテークマニホールド41のサージタンク部41bに連通している。
EGRバルブ56は、排気還流管55に配設されている。EGRバルブ56は指示信号に応答して排気還流管55が形成する通路(排気還流路)の断面積を変更するようになっている。
一方、このシステムは、熱線式エアフローメータ61、スロットルポジションセンサ62、カムポジションセンサ63、クランクポジションセンサ64、冷却水温センサ65、第1触媒53の上流の排気通路に配設された上流側空燃比センサ67、アクセル開度センサ68及び電気制御装置(コントローラ)70等を備えている。
熱線式エアフローメータ61は、吸気管42内を流れる吸入空気の単位時間あたりの質量流量を検出し、質量流量Gaを表す信号を出力するようになっている。
スロットルポジションセンサ62は、スロットル弁44の開度を検出し、スロットル弁開度TAを表す信号を出力するようになっている。
カムポジションセンサ63は、インテークカムシャフトが所定角度から90度、次いで90度、更に180度回転する毎に一つのパルスを出力するようになっている。
クランクポジションセンサ64は、クランク軸24が10度回転する毎にパルスを出力するようになっている。クランクポジションセンサ64から出力されるパルスは機関回転速度NEを表す信号に変換されるようになっている。更に、カムポジションセンサ63及びクランクポジションセンサ64からの信号に基いて、各気筒のクランク角θが求められるようになっている。
上流側空燃比センサ67触媒53の上流の排ガスの空燃比を検出し、空燃比を表す信号を出力するようになっている。
アクセル開度センサ68は、運転者によって操作されるアクセルペダル81の操作量を検出し、アクセルペダル81の操作量Accpを表す信号を出力するようになっている。
電気制御装置70は、互いにバスで接続された「CPU71、CPU71が実行するルーチン(プログラム)、テーブル(ルックアップテーブル、マップ)及び定数等を予め記憶したROM72、CPU71が必要に応じてデータを一時的に格納するRAM73、バックアップRAM74、並びに、ADコンバータを含むインターフェース75等」からなるマイクロコンピュータである。インターフェース75は、前記センサ61〜68と接続され、CPU71にセンサ61〜68からの信号を供給するようになっている。インターフェース75は、CPU71の指示に応じて吸気弁制御装置33、排気弁制御装置36、各気筒の燃料噴射弁39、スロットル弁アクチュエータ44a及びEGRバルブ56等に駆動信号(指示信号)を送出するとともに、各気筒のイグナイタ38に設定点火時期を含む点火信号を送出するようになっている。イグナイタ38は、設定点火時期にて点火用火花を発生するようになっている。
(点火時期制御の概要)
電気制御装置70のCPU71(以下、単に「CPU」と称呼する。)は、後に詳述するように、図2に概略を示した工程に従って点火時期(目標点火時期)を決定し、実際の点火時期が「その決定した目標点火時期」に一致するように点火信号をイグナイタ38に送信する。なお、本明細書において、単位[deg]及び単位[CA]は、何れも「クランク軸が1回転する角度を360°としたときのクランク角1°」を示す。一般に、[deg]は特定のクランク角を指し示す場合に使用され、[CA]はクランク角の幅を示す場合に使用される。
ステップ210:CPUは、運転状態パラメータ(例えば、機関回転速度NE及びアクセルペダル操作量Accp)に基づいて目標トルク効率ηTQを決定する。目標トルク効率ηTQは、「MBTにて燃料が点火された際に機関10が発生するトルクTQ@MBT」に対する「目標トルクTQtgt」の比(=TQtgt/TQ@MBT)である。
ステップ220:CPUは、目標トルク効率ηTQ及び機関回転速度NEに基づき目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtを決定する。具体的には、CPUは、目標トルク効率ηTQ及び機関回転速度NEをルックアップテーブルMapθdQpeak_tgt(ηTQ,NE)に適用することによって目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtを求める。
熱発生率最大時期θdQpeakは、図3に示したように、燃料の着火時期以降においてその燃料の燃焼に伴う熱の発生率(熱発生率dQ/dθ)が最大となる時期である。熱発生率最大時期θdQpeakはクランク角θ[deg]により表される。目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtは、熱発生率最大時期θdQpeakの目標値[deg]を意味する。なお、図3は、熱発生率dQ/dθの波形が実質的に三角形であるとの仮定に基づいて「熱発生率dQ/dθとクランク角θとの関係」を描いた模式図である。本装置は、このように、熱発生率波形が三角形を描くと仮定して構築された「後述の種々のモデル式」に基づいて点火時期を決定する。
ステップ230:CPUは、目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgt及び機関回転速度NEに基づいて前半燃焼期間の長さ(前半燃焼期間長)aを後述のモデル式(前半燃焼期間長モデル式)に従って計算により求める。前半燃焼期間は、図3に示したように、燃料の着火時期から熱発生率最大時期θdQpeakまでの期間である。
ステップ240:CPUは、ステップ220にて決定した目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgt及び前半燃焼期間長aに基づいて目標着火時期FAを計算により求める。より具体的に述べると、CPUは、目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtから前半燃焼期間長aだけ進角したクランク角を目標着火時期FAとして算出する。
ステップ250:CPUは、所定の特定時期での筒内燃料密度ρfuel及び機関回転速度NEに基づいて、着火遅れ期間の長さ(着火遅れ期間長)τを後述のモデル式(着火遅れ期間長モデル式)に従って計算により求める。着火遅れ期間は、図3に示したように、燃料の点火時期から着火時期までの期間である。
ステップ260:CPUは、ステップ240にて求めた目標着火時期FA及びステップ250にて求めた着火遅れ期間の長さτに基づいて目標点火時期SAを計算により求める。より具体的に述べると、CPUは、目標着火時期FAから着火遅れ期間の長さτだけ進角したクランク角を目標点火時期SAとして算出する。
ステップ270:CPUは、実際の点火時期がステップ270にて求めた目標点火時期SAと一致するようにイグナイタ38に点火信号を送出する。この結果、クランク角が目標点火時期SAと一致すると、点火プラグ37の火花発生部(放電部)から点火用火花が発生する。よって、実際の熱発生率最大時期θdQpeakが目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtに略一致し、従って、機関10のトルク効率は目標トルク効率ηTQに略一致する。
(本装置が点火時期制御に用いるモデル式について)
上述したように、本装置は、着火遅れ期間長モデル式及び前半燃焼期間長モデル式等を用いた計算を行うことにより、目標点火時期SAを求める。従って、以下において、これらのモデル式及びそのモデル式の正当性について説明する。
1.着火遅れ期間長モデル式
(1)モデル式
着火遅れ期間長τは、図3を参照しながら既に説明したように、点火プラグから火花が発生させられる点火時期から、燃焼室内に形成された混合気の燃料が実際に燃焼を開始する着火時期までの期間の長さである。即ち、着火遅れ期間は、点火プラグの電極間に火花放電が行われる点火時期から、この火花によって生成された火炎核が成長して爆発的な燃焼が開始する着火時期までの期間である。着火遅れ期間長τの単位はクランク角幅[CA]であるが、モデル式の都合上[ms]の単位を有する長さとして計算される場合がある。
なお、着火時期は、点火時期以降に熱発生率dQ/dθが所定閾値dqdθth(例えば、1[J/CA])に達した時期であるとして定義される。但し、着火時期は、点火時期以降に熱発生率dQ/dθが0[J/CA]よりも大きくなった時期であるとして定義されてもよく、点火時期SA以降の熱発生量が総熱発生量の所定割合(例えば、5%)の熱発生量に達した時期であるとして定義されてもよい。その他、着火時期は、当業者が認識する一般的な定義に従って定められた時期であってもよい。
着火遅れ期間長モデル式は、下記の(1)式及び(2)式により表される。(1)式及び(2)式により推定される着火遅れ期間長τ[ms]は以下の総ての条件が満たされる場合の着火遅れ期間長τである。
(条件τ1)燃焼に供される混合気の空燃比A/Fは理論空燃比(例えば、14.6)である。
(条件τ2)EGR率Gegrは「0」である。即ち、外部EGRは実行されていない。
(条件τ3)冷却水温THWは機関完全暖機終了を示す冷却水温閾値Tth(例えば、80℃)以上である。この条件τ3は機関が完全暖機後であることという条件であるので、冷却水温THWに代わり機関の潤滑油の温度が条件τ3の判定に用いられてもよい。
(条件τ4)吸気弁の開弁特性(吸気弁開弁時期IVO、吸気弁閉弁時期IVC、吸気弁作用角VCAM、吸気弁位相角INVT及び吸気弁リフト量IVLiftの最大値等)が吸気弁の基準特性(吸気弁基準特性)に設定されている。即ち、吸気弁開弁時期IVOが基準開弁時期IVOrに、吸気弁閉弁時期IVCが基準閉弁時期IVCrに、吸気弁作用角VCAMが基準作用角VCAMrに、吸気弁位相角INVTが基準位相角INVTrに、吸気弁リフト量IVLiftの最大値が基準最大値に、それぞれ設定されている。
(条件τ5)排気弁の開弁特性(排気弁開弁時期EVO、排気弁閉弁時期EVC、排気弁位相角EXVT及び排気弁リフト量EVLiftの最大値等)が排気弁の基準特性に設定されている。即ち、排気弁開弁時期EVO、排気弁閉弁時期EVC、排気弁位相角EXVT及び排気弁リフト量EVLiftのそれぞれが、それぞれの基準値に設定されている。
CPUは、着火時期が、圧縮上死点よりも前の時期(クランク角が圧縮上死点よりも進角側のクランク角である時期)である場合、下記の(1)式により表される着火遅れ期間長モデル式に基づいて着火遅れ期間長τ[ms]を推定する。この場合を「BTDC着火」とも称呼する。
Figure 0006497202
(1)式において、
C1は、実験等により予め適合された定数であり、
ρfuel@SAは、点火時期SAにおける筒内(燃焼室内)の燃料密度(=筒内燃料量[mol]/点火時期SAでの燃焼室容積[L])であり、
χ及びδは、何れも実験等により予め適合された定数である。
NEは、機関回転速度(本明細書において同じ。)である。
CPUは、着火時期が、圧縮上死点よりも後の時点(クランク角が圧縮上死点よりも遅角側のクランク角である時点)である場合、下記の(2)式により表される着火遅れ期間長モデル式に基づいて着火遅れ期間長τ[ms]を推定する。この場合を「ATDC着火」とも称呼する。
Figure 0006497202
(2)式において、
C2は、実験等により予め適合された定数であり、
ρfuel@FAは、着火時期における筒内の燃料密度(=筒内燃料量[mol]/着火時期での燃焼室容積[L]]であり、
φ及びψは、何れも実験等により予め適合された定数である。
(2)着火遅れ期間長モデル式の正当性
次に、上記(1)式及び(2)式に基づくことにより、着火遅れ期間長τを精度良く推定できる点について説明する。即ち、(1)式及び(2)式が着火遅れ期間モデル式として適切である点について説明する。
・上記(1)式について(BTDC着火の場合)
図4はBTDC着火であり且つ上記条件τ1〜τ5が総て成立している場合における、筒内燃料密度ρfuel@SAと着火遅れ期間長τ[ms]との関係を種々の機関回転速度NEに対して実測した結果を示すグラフである。
図4から理解されるように、BTDC着火の場合、筒内燃料密度ρfuel@SAと着火遅れ期間長τ[ms]との間には機関回転速度NE別に強い相関がある。その相関関係は上記(1)式の関数形式により表される。実際、図4においては、機関回転速度NEが1200[rpm]である場合の筒内燃料密度ρfuel@SAと着火遅れ期間長τ[ms]との関係を(1)式に基づいて算出した曲線と、機関回転速度NEが2400[rpm]である場合の筒内燃料密度ρfuel@SAと着火遅れ期間長τ[ms]との関係を(1)式に基づいて算出した曲線と、が破線により描かれている。
物理的な観点から図4のグラフについて説明を加えると、BTDC着火においては筒内燃料密度ρfuel@SAが高いほど着火遅れ期間長τ[ms]は短くなっている。これは、筒内燃料密度ρfuel@SAが高いほど、点火時期SAにおける点火プラグ周辺の燃料分子の数が多くなるから、点火用火花の発生後における火炎核の成長が急速に行われるようになるためであると推測される。一方、機関回転速度NEが高いほど着火遅れ期間長τ[ms]は短くなっている。これは、機関回転速度NEが高いほど、筒内における気流の乱れの強さがより強くなるから、点火用火花の発生後における火炎核の成長が急速に行われるようになるためであると推測される。
図5は、(1)式により算出(予測)された着火遅れ期間長(予測着火遅れ期間長)と、実測された着火遅れ期間長(実測着火遅れ期間長)と、の関係を検証した結果を示すグラフである。この図5からも明からなように、(1)式により算出される予測着火遅れ期間長は実測着火遅れ期間長に精度良く一致している。即ち、(1)式がBTDC着火における着火遅れ期間長τの推定に適した着火遅れ期間長モデル式であることが理解される。
・上記(2)式について(ATDC着火の場合)
図6はATDC着火であり且つ上記条件τ1〜τ5が総て成立している場合であって機関回転速度NEが1200[rpm]であるときに、筒内燃料密度ρfuel@FAと着火遅れ期間長τ[ms]との関係を種々の負荷率KLに対して実測した結果を示すグラフである。なお、負荷率KLは、空気充填率あり、着目する気筒が一回の吸気行程において吸入する空気量をMc[g]、空気密度をρ[g/L])、機関の排気量をLv[L]、機関の気筒数を「4」であるとしたとき、次式により算出される。

KL={Mc/(ρ・Lv/4)}・100(%)
図6から理解されるように、ATDC着火の場合、筒内燃料密度ρfuel@FAと着火遅れ期間長τ[ms]との間には負荷率KLに依らず(即ち、機関の負荷に関わらず)強い相関がある。その相関関係は上記(2)式の関数形式により表される。
物理的な観点から図6のグラフについて説明を加えると、ATDC着火においては筒内燃料密度ρfuel@FAが高いほど着火遅れ期間長τ[ms]は短くなっている。これは、BTDC着火の場合と同様、筒内燃料密度ρfuel@FAが高いほど、着火時期の直前の期間における点火プラグ周辺の燃料分子の数が多くなるから、火炎核の成長が急速に行われるようになるためであると推測される。更に、図示されていないが、機関回転速度NEが高いほど、着火遅れ期間長τ[ms]は短くなった。これは、機関回転速度NEが高いほど、筒内における気流の乱れの強さがより強くなるから、点火用火花の発生後における火炎核の成長が急速に行われるようになるためであると推測される。従って、機関回転速度NEも着火遅れ期間長τ[ms]を決定するパラメータであると推測される。
図7は、(2)式により算出(予測)された予測着火遅れ期間長と、実測着火遅れ期間長と、の関係を検証した結果を示すグラフである。この図7からも明からなように、(2)式により算出される予測着火遅れ期間長は実測着火遅れ期間長に精度良く一致している。即ち、(2)式がATDC着火における着火遅れ期間長τの推定に適した着火遅れ期間長モデル式であることが理解される。
・BTDC着火とATDC着火とで着火遅れ期間長モデル式((1)式及び(2)式)を使い分ける理由
着火遅れ期間においては点火用火花により生成された火炎核が成長している。一方、着火遅れ期間において燃焼室容積は時々刻々変化しているから、火炎核の成長に相関が強い筒内燃料密度ρfuelも時々刻々変化している。従って、本来的には時々刻々変化する筒内燃料密度ρfuelを変数として有する着火遅れ期間のモデル式により着火遅れ期間の長さを推定することが好適であると考えられる。しかしながら、そのような着火遅れ期間のモデル式は複雑化する。そこで、発明者は、着火遅れ期間における燃料密度ρfuelの平均的な値を代表する値として「特定の時期(所定時期)での燃料密度ρfuel」を着火遅れ期間のモデル式の変数として採用することを検討した。
ところで、BTDC着火の場合、図8に示したように、着火時期のみならず点火時期SAも当然に圧縮上死点前である。よって、BTDC着火においては、着火遅れ期間中に燃焼室容積が小さくなって行き(単調に減少し)、これに伴って筒内燃料密度ρfuelは高くなって行く(単調に増加する。)。
これに対し、ATDC着火の場合、図9の(A)及び(B)に示したように、点火時期SAが圧縮上死点前である場合(図9の(A)を参照。)と、点火時期SAが圧縮上死点後である場合(図9の(B)を参照。)との2つの場合が存在する。
図9の(B)に示した場合においては、点火時期SA以降においてピストンは膨張下死点に向かって移動して行く。つまり、着火遅れ期間において、燃焼室容積は大きくなって行き(単調に増加し)、これに伴って筒内燃料密度ρfuelは低くなって行く(単調に減少する)。また、図9の(A)に示した場合であっても、殆どの場合において点火時期SAと圧縮上死点とのクランク角差の大きさの方が着火時期と圧縮上死点とのクランク角差の大きさよりも小さい。更に、クランク角が上死点近傍にある場合、クランク角の変化に対する燃焼室容積の変化は非常に小さく、その後、クランク角が上死点近傍から離れるとクランク角の変化に対する燃焼室容積は急激に増加する。よって、ATDC着火においては、着火遅れ期間中に筒内燃料密度ρfuelは単調に減少すると考えて良い。
これらのことから、BTDC着火の場合(つまり、筒内燃料密度ρfuelが単調に増加する場合)、着火遅れ期間における燃料密度ρfuelの平均的な値を代表する値としては、「所定の特定時期としての点火時期での燃料密度ρfuel@SA」が適切であると考えられる。更に、ATDC着火の場合(つまり、筒内燃料密度ρfuelが単調に減少する場合)、着火遅れ期間における燃料密度ρfuelの平均的な値を代表する値としては、「所定の特定時期としての着火時期での燃料密度ρfuel@FA」が適切であると考えられる。以上が、(1)式と(2)式とを使い分ける理由である。
2.前半燃焼期間長モデル式
(1)モデル式
前半燃焼期間長aは、図3を参照しながら既に説明したように、着火時期から熱発生率dQ/dθが最大となる時期(即ち、熱発生率最大時期θdQpeak)までの期間の長さである。熱発生率最大時期θdQpeakの単位は圧縮上死点後のクランク角[deg]であり、前半燃焼期間長aの単位はクランク角(クランク角の幅)[CA]である。
前半燃焼期間長モデル式は、下記の(3)式により表される。(3)式により推定される前半燃焼期間長a[CA]は以下の条件(条件a1及びa2)が満たされる場合の前半燃焼期間長aである。換言すると、(3)式は、負荷率KL、EGR率Gegr、空燃比A/F及び冷却水温THW(機関暖機状態)に関わらず成立する。
(条件a1)吸気弁の開弁特性(吸気弁開弁時期IVO、吸気弁閉弁時期IVC、吸気弁作用角VCAM、吸気弁位相角INVT及び吸気弁リフト量IVLiftの最大値等)が吸気弁の基準特性(吸気弁基準特性)に設定されている。即ち、吸気弁開弁時期IVOが基準開弁時期IVOrに、吸気弁閉弁時期IVCが基準閉弁時期IVCrに、吸気弁作用角VCAMが基準作用角VCAMrに、吸気弁位相角INVTが基準位相角INVTrに、吸気弁リフト量IVLiftの最大値が基準最大値に、それぞれ設定されている。
(条件a2)排気弁の開弁特性(排気弁開弁時期EVO、排気弁閉弁時期EVC、排気弁位相角EXVT及び排気弁リフト量EVLiftの最大値等)が排気弁の基準特性に設定されている。即ち、排気弁開弁時期EVO、排気弁閉弁時期EVC、排気弁位相角EXVT及び排気弁リフト量EVLiftの最大値のそれぞれが、それぞれの基準値に設定されている。なお、実際には、この条件a2は必須ではなく、排気弁の開弁特性は任意の特性であってもよい。
Figure 0006497202
(3)式において、
C3は、実験等により予め適合された定数であり、
V@θdQpeakは、熱発生率最大時期θdQpeakにおける燃焼室容積[L]であり、
α及びβは、何れも実験等により予め適合された定数である。
(2)前半燃焼期間長モデル式の正当性
次に、上記(3)式に基づくことにより、前半燃焼期間長aを精度良く推定できる点について説明する。即ち、(3)式が前半燃焼期間長モデル式として適切である点について説明する。
図10は、点火時期SAを除く機関運転状態パラメータのうち負荷率KLのみが互いに異なる複数の機関運転状態のそれぞれにおいて取得された熱発生率波形であって、熱発生率最大時期θdQpeakを互いに一致させるように点火時期SAを調整した熱発生率波形を重ねて表示したグラフである。
図11は、点火時期SAを除く機関運転状態パラメータのうちEGR率Gegrのみが互いに異なる複数の機関運転状態において取得された熱発生率波形であって、熱発生率最大時期θdQpeakを互いに一致させるように点火時期SAを調整した熱発生率波形を重ねて表示したグラフである。
図12は、点火時期SAを除く機関運転状態パラメータのうち空燃比A/Fのみが互いに異なる複数の機関運転状態において取得された熱発生率波形であって、熱発生率最大時期θdQpeakを互いに一致させるように点火時期SAを調整した熱発生率波形を重ねて表示したグラフである。
図13は、点火時期SAを除く機関運転状態パラメータのうち冷却水温THWのみが互いに異なる複数の機関運転状態(即ち、機関暖機状態のみが互いに異なる運転状態)において取得された熱発生率波形であって、熱発生率最大時期θdQpeakを互いに一致させるように点火時期SAを調整した熱発生率波形を重ねて表示したグラフである。
これらの図10乃至図13から理解されるように、前半燃焼期間長aは、負荷率KL、EGR率Gegr、空燃比A/F及び冷却水温THWの何れが変化しても一定に維持されている。換言すると、前半燃焼期間長aは、負荷率KL、EGR率Gegr、空燃比A/F及び冷却水温THW(即ち、機関暖機状態)に依存せず、これらの影響を受けないことが理解される。
これに対し、図14は、機関運転状態パラメータのうち点火時期SAのみが互いに異なる複数の機関運転状態において取得された熱発生率波形を重ねて表示したグラフである。図14から、点火時期SAが遅角されるほど、前半燃焼期間長aは長くなることが理解される。
これは、点火時期が、着火時期から熱発生率最大時期θdQpeakに到るまでの間の筒内の気流の乱れの強さ(以下、「前半燃焼期間中の気流乱れの程度」とも称呼する。)に相関を有するためであると考えられる。即ち、点火時期SAがより遅角側に移行されるほど、着火時期及び熱発生率最大時期θdQpeakも遅角側に移行する。その結果、前半燃焼期間中の気流乱れの程度が弱くなり、且つ、熱発生率最大時期θdQpeakにおける燃焼室容積V@θdQpeakが大きくなる。従って、点火時期SAがより遅角側に移行されるほど、火炎伝搬速度が小さくなるから、前半燃焼期間長aは長くなると推察される。
更に、図15は、点火時期SAを除く機関運転状態パラメータのうち機関回転速度NEのみが互いに異なる複数の機関運転状態において取得された熱発生率波形であって、熱発生率最大時期θdQpeakを互いに一致させるように点火時期SAを調整した熱発生率波形を重ねて表示したグラフである。図15から理解されるように、機関回転速度NEが高いほど前半燃焼期間長a[CA]は長くなっている。このことから、機関回転速度NEが高いほど前半燃焼期間長a[CA]を長くする要因が存在していると推察される。
この要因について検討すると、機関回転速度NEが前半燃焼期間中の気流乱れの程度に相関を有することが考えられる。一般に、機関回転速度NEが高いほど吸気系から気筒内に流入する空気の流速が高くなるので、燃焼室内に形成される気流の乱れの程度は大きくなる。しかしながら、その気流の乱れの程度により前半燃焼期間長a[CA]が短くなる程度(割合)は機関回転速度NEの増大程度(割合)と反比例の関係にない。即ち、例えば、機関回転速度NEが2倍となったとしても、前半燃焼期間長a[CA]は(1/2)倍にはならず、(1/2)倍した値よりも長くなる。従って、機関回転速度NEが高いほど前半燃焼期間長a[CA]は長くなり、機関回転速度NEが低いほど前半燃焼期間長a[CA]は短くなると推察される。
以上の検討の結果、発明者は、前半燃焼期間長aに影響を与えるパラメータ(前半燃焼期間長aを推定するための主要なパラメータ)として、点火時期SAに相関のある物理量としての「熱発生率最大時期θdQpeakにおける燃焼室容積V@θdQpeak」と、「機関回転速度NE」と、を採用し、上記(3)式を得た。
ここで、上記(3)式における各係数について説明を加える。(3)式における「C3及びα」は実験等に基いて同定される。(3)式におけるβはタンブル比が大きいほど多くなる値として決定されるが、実験等に基いて同定されてもよい。
図16及び図17は、互いに異なる内燃機関に対して、(3)式を用いて算出された前半燃焼期間(予測前半燃焼期間)と、実際に測定された前半燃焼期間(実測前半燃焼期間)と、の関係を検証した結果を示すグラフである。これらの図16及び図17からも明からなように、(3)式により算出される予測前半燃焼期間は実測前半燃焼期間に精度良く一致している。即ち、(3)式が前半燃焼期間長aの推定に適した前半燃焼期間長モデル式であることが理解される。
(本装置の具体的作動)
次に、本装置の点火時制御制御のための具体的な作動について説明する。ECU70は、上記(1)乃至(3)式により表されるモデル式であって「吸気弁位相角INVT及び吸気弁作用角VCAM」の組み合わせ毎に適合・作成されたモデル式を、ROM72内に格納している。更に、CPUは、点火時期を制御するために図18にフローチャートにより示したルーチンをクランク角が180[CA]回転する毎に繰り返し実行する。なお、このルーチンは、上述の条件τ1(空燃比A/F=理論空燃比)、条件τ2(EGR率Gegr=0)、条件τ3(冷却水温THW≧Tth)及び条件τ5(排気弁の開弁特性が排気弁の基準特性である:条件a2)が成立している場合に実行される。
従って、適当なタイミングになると、CPUは図18のステップ1800から処理を開始し、以下に述べるステップ1805乃至ステップ1830の処理を順に行い、ステップ1835に進む。
ステップ1805:CPUは、運転状態パラメータとして「機関回転速度NE、アクセルペダル81の操作量Accp、吸気弁位相角INVT及び吸気弁作用角VCAM」を入力する。なお、CPUは、運転状態パラメータとして、機関の負荷率KL、燃料噴射量Finj、排気弁位相角EXVT、冷却水温THW、目標空燃比AFtg及びEGR率γegr等も入力してもよい。
ステップ1810:CPUは、運転状態パラメータ(本例において、機関回転速度NE及びアクセルペダル81の操作量Accp)をルックアップテーブルMapηTQ(NE,Accp)に適用することにより目標トルク効率ηTQを決定する。目標トルク効率ηTQは、MBTにて燃料が点火された際に機関10が発生するトルクに対する目標トルクの比である。なお、CPUは、計算式により目標トルク効率ηTQを決定してもよく、機関回転速度NE及びアクセルペダル81の操作量Accp以外のパラメータに基づいて目標トルク効率ηTQを決定してもよい。
ステップ1815:CPUは、目標トルク効率ηTQと機関回転速度NEをルックアップテーブルMapθdQpeak_tgt(ηTQ,NE)に適用することにより目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtを決定する。ルックアップテーブルMapθdQpeak_tgt(ηTQ,NE)は、予め定め実験により求められた「ηTQ及びNEと、熱発生率最大時期θdQpeakと、の関係」を示すデータに基づいて作成され、ROM72内に格納されている。
ステップ1820:CPUは、目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtに基づいて目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtにおける燃焼室容積(筒内容積)V@θdQpeak_tgtを計算により求める。なお、筒内容積Vはクランク角が定まれば一意に計算されるので、燃焼室容積V@θdQpeak_tgtも直ちに計算される。
ステップ1825:CPUは、ROM72に格納されている「上記(3)式により表される前半燃焼期間長モデル式」の中から、ステップ1805にて入力した「吸気弁位相角INVT及び吸気弁作用角VCAM」の組み合わせに応じたモデル式を選択する。更に、CPUは、その選択した前半燃焼期間長モデル式に、ステップ1805にて入力した機関回転速度NE及びステップ1820にて計算した燃焼室容積V@θdQpeak_tgtを適用することにより、前半燃焼期間長aを計算により求める。
ステップ1830:CPUは、ステップ1815にて決定した目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtからステップ1825にて求めた前半燃焼期間長aを減じる(前半燃焼期間長aだけ進角させる)ことにより、目標着火時期FAを計算により求める(図3を参照。)。
次に、CPUはステップ1835に進み、ステップ1830にて求めた目標着火時期FAが圧縮上死点よりも後の時点であるか否かを判定する。即ち、目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgtを得るための着火時期が、圧縮上死点後(ATDC)であるか否かを判定する。これは、上述したように、着火遅れ期間長モデル式がATDC着火の場合とBTDC着火の場合とで異なるからである。
いま、ステップ1830にて求めた目標着火時期FAが圧縮上死点よりも後の時点であると仮定する。この場合、CPUはステップ1835にて「Yes」と判定し、以下に述べるステップ1840乃至ステップ1857の処理を順に行い、ステップ1895に進んで本ルーチンを一旦終了する。
ステップ1840:CPUは、ステップ1805にて入力した燃料噴射量Finjを「ステップ1830にて求めた目標着火時期FAにおける燃焼室容積V@FA」により除することによって「目標着火時期FAにおける筒内燃料密度ρfuel@FA」を計算により求める。なお、筒内容積Vはクランク角が定まれば一意に計算されるので、燃焼室容積V@FAも直ちに計算される。
ステップ1845:CPUは、ROM72に格納されている「上記(2)式により表される着火遅れ期間長モデル式」の中から、ステップ1805にて入力した「吸気弁位相角INVT及び吸気弁作用角VCAM」の組み合わせに応じたモデル式を選択する。更に、CPUは、その選択した着火遅れ期間長モデル式に、ステップ1805にて入力した機関回転速度NE及びステップ1845にて計算した筒内燃料密度ρfuel@FAを適用することにより、着火遅れ期間の長さτ[ms]を計算により求める。
ステップ1847:CPUは、着火遅れ期間の長さτ[ms]をステップ1805にて入力した機関回転速度NEに基づいて着火遅れ期間の長さτ[CA]に変換する。即ち、着火遅れ期間の長さτの単位をクランク角幅[CA]の単位に変換する。
ステップ1855:CPUは、ステップ1830にて求めた着火時期[ATDC deg]から着火遅れ期間の長さτ[CA]を減じる(即ち、着火遅れ期間の長さτ[CA]だけ進角させる)ことにより、目標点火時期SAを計算により求める。
ステップ1857:実際の点火時期がステップ1855にて求めた目標点火時期SAと一致するようにイグナイタ38に点火信号を送出する。この結果、クランク角が目標点火時期SAと一致すると、点火プラグ37の火花発生部(放電部)から点火用火花が発生する。
一方、CPUがステップ1835の処理を実行する時点において、ステップ1830にて求めた目標着火時期FAが圧縮上死点よりも前の時点である場合(即ち、BTDC着火である場合)、CPUはステップ1835にて「No」と判定してステップ1860に進む。そして、CPUはステップ1860にて、仮想点火時期SAzに初期値SA0を代入する。本例において、初期値SA0は「0[deg]」である。即ち、CPUは仮想点火時期SAzが圧縮上死点であると仮定する。仮想点火時期SAzは着火遅れ期間長τを求めるために仮想的(暫定的)に設定される点火時期である。
その後、CPUは、以下に述べるステップ1865乃至ステップ1875の処理を順に行い、ステップ1880に進む。
ステップ1865:CPUは、ステップ1805にて入力した燃料噴射量Finjを仮想点火時期SAzにおける燃焼室容積V@SAzにより除することによって「仮想点火時期SAzにおける筒内燃料密度ρfuel@SAz」を計算により求める。なお、筒内容積Vはクランク角が定まれば一意に計算されるので、燃焼室容積V@SAzも直ちに計算される。
ステップ1870:CPUは、ROM72に格納されている「上記(1)式により表される着火遅れ期間長モデル式」の中から、ステップ1805にて入力した「吸気弁位相角INVT及び吸気弁作用角VCAM」の組み合わせに応じたモデル式を選択する。更に、CPUは、その選択した着火遅れ期間長モデル式に、ステップ1805にて入力した機関回転速度NE及びステップ1865にて計算した筒内燃料密度ρfuel@SAzを適用することにより、仮想着火遅れ期間長τz[ms]を計算により求める。
ステップ1872:CPUは、仮想着火遅れ期間長τz[ms]をステップ1805にて入力した機関回転速度NEに基づいて仮想着火遅れ期間長τz[CA]に変換する。即ち、仮想着火遅れ期間長τzの単位をクランク角幅[CA]の単位に変換する。
ステップ1875:CPUは、仮想点火時期SAzに仮想着火遅れ期間長τzを加えることにより(即ち、仮想点火時期SAzを仮想着火遅れ期間長τzだけ遅角させることにより)、仮想着火時期FAzを計算により求める。
次に、CPUはステップ1880に進み、仮想着火時期FAzがステップ1830にて求めた目標着火時期FAに一致しているか否かを判定する。具体的には、CPUは、仮想着火時期FAzが、「目標着火時期FAから微小な正の所定クランク角dfaを減じたクランク角」よりも大きく且つ「目標着火時期FAに前記所定クランク角dfaを加えたクランク角」よりも小さいか否かを判定する。
仮想着火時期FAzが目標着火時期FAに一致している場合、CPUはステップ1885にて「Yes」と判定してステップ1885に進み、その時点の仮想着火遅れ期間長τを真の(適正な)着火遅れ期間長τとして格納する。その後、CPUは、前述した「ステップ1855及びステップ1857」の処理を実行する。この結果、目標点火時期SAが計算により求められ、クランク角が目標点火時期SAと一致するときに点火プラグ37の火花発生部(放電部)から点火用火花が発生させられる。
これに対し、CPUがステップ1880の処理を実行する時点において、仮想着火時期FAzが目標着火時期FAに一致していない場合、CPUはステップ1885にて「No」と判定してステップ1890に進む。そして、CPUはステップ1890にて仮想点火時期SAzを微小な所定値dsaだけ減少させる。即ち、仮想点火時期SAzを微小な所定値dsaだけ進角側のクランク角へと変更する。その後、CPUはステップ1865に進む。
このような処理が繰り返され、仮想点火時期SAzが初期値SA0である圧縮上死点から次第に進角側の値へと変更される期間において、仮想着火時期FAzが目標着火時期FAに一致すれば、ステップ1880にて「Yes」と判定されてステップ1885の処理が行われる。よって、その時点の仮想着火遅れ期間長τが真の(適正な)着火遅れ期間長τとして取得され、その着火遅れ期間長τと目標着火時期FAとから目標点火時期SAが決定される。その後、CPUは、前述した「ステップ1855及びステップ1857」の処理を実行する。この結果、目標点火時期SAが計算により求められ、クランク角が目標点火時期SAと一致するときに点火プラグ37の火花発生部(放電部)から点火用火花が発生させられる。
以上、説明したように、制御部としてのECU70は、
熱発生率最大時期の目標値である目標最大時期(目標熱発生率最大時期θdQpeak_tgt)を機関の運転状態を表すパラメータ(運転状態パラメータ)に基づいて決定し(ステップ1810及びステップ1815)、
前半燃焼期間の長さ(前半燃焼期間長a)を機関回転速度(NE)及び目標最大時期における燃焼室容積(V@θdQpeak_tgt)に基づいて計算により求め(ステップ1825)、
目標最大時期と前半燃焼期間の長さとから目標着火時期(FA)を計算により求め(ステップ1830)、
機関回転速度(NE)及び「特定時期における前記燃焼室内の燃料密度(ρfuel@FA又はρfuel@SAz)に基づいて着火遅れ期間の長さ(τ)を計算により求め(ステップ1845、又は、ステップ1860乃至ステップ1890)
求められた目標着火時期と求められた着火遅れ期間の長さとから目標点火時期(SA)を計算により求め(ステップ1855)、
求められた目標点火時期にて実際の点火を行う(ステップ1857)。
更に、制御部は、目標着火時期が圧縮上死点後のクランク角である場合、前記特定時期における前記燃焼室内の燃料密度として「前記目標着火時期における燃料密度(ρfuel@FA)」を採用して前記着火遅れ期間の長さを計算により求める(ステップ1845)。
加えて、制御部は、前記目標着火時期が圧縮上死点前のクランク角である場合、仮想の点火時期を設定し(ステップ1860及びステップ1890)、前記特定時期における前記燃焼室内の燃料密度として「前記仮想の点火時期における燃料密度(ρfuel@SAz)」を採用して仮想の着火遅れ期間の長さを計算により求め(ステップ1870)、前記仮想の点火時期と前記仮想の着火遅れ期間の長さとから仮想の着火時期を求め(ステップ1872及びステップ1875)、前記仮想の着火時期が前記目標着火時期と一致する場合に前記仮想の着火遅れ期間の長さを前記着火遅れ期間の長さとして決定し(ステップ1880及びステップ1885)、前記仮想の着火時期が前記目標着火時期と一致しない場合には前記仮想の点火時期を変更して前記仮想の着火遅れ期間の長さを再度計算により求め直す(ステップ1880及びステップ1890を参照。)。
更に、制御部は、
目標トルク効率(ηTQ)を機関10の運転状態を表すパラメータに基づいて決定し(ステップ1810)、前記決定された目標トルク効率に基づいて前記目標最大時期を決定する(ステップ1815)。
従って、本実施形態に係る点火時期制御装置は、着火遅れ期間長モデル式及び前半燃焼期間長モデル式に、瞬時瞬時の運転状態パラメータを適用した計算によって「目標トルク効率及び目標熱発生率最大時期」を実現する目標点火時期SAを決定することができる。その結果、機関10の運転状態が定常運転状態であるか過渡運転状態にあるかに関わらず、適切な点火時期を設定することができる。
更に、点火時期を求める際に考慮すべき運転状態パラメータは種類が多いので、総ての運転状態パラメータの組み合わせに対する点火時期をルックアップテーブルの形式にてROM等の記憶装置に格納しておくことは、その記憶装置の記憶容量を非常に大きくしなければならず、コストが増加する。これに対し、本実施形態に係る点火時期制御装置は、考慮すべき運転状態パラメータのうちモデル式の変数となっていないパラメータ(例えば、吸気弁位相角INVT、吸気弁作用角VCAM、冷却水温、目標空燃比及びEGR率等)の組み合わせのそれぞれに対して、着火遅れ期間長モデル式及び前半燃焼期間長モデル式を作成し且つ記憶しておけばよいので、記憶装置の記憶容量を小さくすることができる。従って、装置(ECU)のコストを低減することもできる。
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明の点火時期制御装置は、上記着火遅れ期間長モデル式とは相違する着火遅れ期間長モデル式及び/又は上記前半燃焼期間長モデル式とは相違する前半燃焼期間長モデル式を用いて目標点火時期を算出してもよい。
10…内燃機関、25…燃焼室、32…吸気弁、33…吸気弁制御装置、35…排気弁、36…排気弁制御装置、37…点火プラグ、38…イグナイタ、39…燃料噴射弁、70…電気制御装置。

Claims (5)

  1. 内燃機関の点火プラグから火花が発生させられる点火時期を制御する制御部を備えた点火時期制御装置において、
    前記制御部は、
    前記機関の燃焼室内での燃料の燃焼に伴う熱の発生率が最大となる熱発生率最大時期の目標値である目標最大時期を前記機関の運転状態を表すパラメータに基づいて決定し、
    前記燃焼室内に形成された混合気の燃料が実際に燃焼を開始する着火時期から前記目標最大時期までの期間である前半燃焼期間の長さを機関回転速度及び前記目標最大時期における燃焼室容積に基づいて計算により求め、
    前記目標最大時期と前記求められた前半燃焼期間の長さとから前記着火時期の目標値である目標着火時期を計算により求め、
    前記機関回転速度及び特定時期における前記燃焼室内の燃料密度に基づいて、前記点火時期から前記着火時期までの期間である着火遅れ期間の長さを計算により求め、
    前記求められた目標着火時期と前記求められた着火遅れ期間の長さとから目標点火時期を計算により求め、
    前記求められた目標点火時期にて実際の点火を行う、
    ように構成された点火時期制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記制御部は、
    前記目標着火時期が圧縮上死点後のクランク角である場合、前記特定時期における前記燃焼室内の燃料密度として前記目標着火時期における燃料密度を採用して前記着火遅れ期間の長さを計算により求め、
    前記目標着火時期が圧縮上死点前のクランク角である場合、仮想の点火時期を設定し、前記特定時期における前記燃焼室内の燃料密度として前記仮想の点火時期における燃料密度を採用して仮想の着火遅れ期間の長さを計算により求め、前記仮想の点火時期と前記仮想の着火遅れ期間の長さとから仮想の着火時期を計算により求め、前記仮想の着火時期が前記目標着火時期と一致する場合に前記仮想の着火遅れ期間の長さを前記着火遅れ期間の長さとして決定し、前記仮想の着火時期が前記目標着火時期と一致しない場合には前記仮想の点火時期を変更して前記仮想の着火遅れ期間の長さを再度計算により求め直すように構成された、
    点火時期制御装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記制御部は、
    MBTにて燃料が点火された際に前記機関が発生するトルクに対する目標トルクの比である目標トルク効率を前記機関の運転状態を表すパラメータに基づいて決定し、前記決定された目標トルク効率に基づいて前記目標最大時期を決定するように構成された、
    点火時期制御装置。
  4. 請求項1又は2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記制御部は、
    NEを前記機関回転速度、
    V@θdQpeak_tgtを前記目標最大時期における燃焼室容積、
    aを前記前半燃焼期間の長さ、
    C3,α及びβのそれぞれを所定の定数とするとき、
    a=C3・(V@θdQpeak_tgt)α・NEβ
    なる前半燃焼期間長モデル式に基づいて前記前半燃焼期間の長さaを計算するように構成された点火時期制御装置。
  5. 請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
    前記制御部は、
    NEを前記機関回転速度、
    ρfuel@FAを前記目標着火時期における燃料密度、
    ρfuel@SAzを前記仮想の点火時期における燃料密度、
    τを前記着火遅れ期間の長さ、
    τzを前記仮想の着火遅れ期間の長さ、
    C1、C2、φ、ψ、χ及びδのそれぞれを所定の定数とするとき、
    前記目標着火時期が圧縮上死点後のクランク角である場合、
    τ=C2・ρfuel@FAφ・NEψ
    なる着火遅れ期間長モデル式に基づいて前記着火遅れ期間の長さτを計算し、
    前記目標着火時期が圧縮上死点前のクランク角である場合、
    τz=C1・ρfuel@SAzχ・NEδ
    なる着火遅れ期間長モデル式に基づいて前記仮想の着火遅れ期間の長さτzを計算するように構成された点火時期制御装置。
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