JP6495753B2 - 電線付き端子の封止材供給量測定方法、電線付き端子の製造方法、及び封止材供給装置 - Google Patents

電線付き端子の封止材供給量測定方法、電線付き端子の製造方法、及び封止材供給装置 Download PDF

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本発明は、電線及び端子金具における異種金属同士の接続部分に防食部のような封止部を形成してなる電線付き端子の封止材供給量測定方法、電線付き端子の製造方法、及び、この製造の際に用いられる封止材供給装置に関する。
例えば、自動車に搭載される機器間を電気的に接続するために、車両にはワイヤハーネスが配索される。ワイヤハーネスは、電線束と、この電線束の端末に配設される各種のコネクタとを備えて構成される。ワイヤハーネスのコネクタは、絶縁性のコネクタハウジングと、このコネクタハウジングの端子収容室に収容される複数の導電性の端子金具とを備えて構成される。端子金具は、電線束を構成する電線の端末に配設される。電線は、一般的に銅電線(導体が銅製又は銅合金製の撚り線になるもの)が用いられ、そして、この銅電線の端末を皮剥した後に端子金具が圧着により接続される。尚、端子金具は、母材が銅電線の導体と同じ銅製又は銅合金製であり、メッキが施されることもある。
近年、銅資源の不足に加え、車両の軽量化、材料のリサイクルの容易性を考慮して、銅電線に替えてアルミ電線が用いられることもある(アルミ電線とは、本明細書において、導体がアルミニウム製又はアルミニウム合金製のものを称する)。しかしながら、アルミ電線は、銅電線を構成する導体の材料である銅に比べて表面に形成される酸化被膜が厚く、アルミ電線においては、この導体と端子金具(圧着端子)との間の接触抵抗が比較的高くなる傾向にあることが知られる。そこで、アルミ電線の導体と圧着端子との間の接触抵抗を低減するために、圧着端子に形成される一対の導体加締め片にて導体を強く加締めて圧縮率を高くする方法が採用される。この方法によれば、アルミ電線の導体を強く加締めることにより、導体を構成する各素線の酸化被膜を破壊することができる。すなわち、導体と圧着端子との間の接触抵抗を低減することができる。
ところで、アルミニウム材と銅材との接触部分、別な言い方をすれば異種金属同士の接触部分は、この接触部分に水分が介在すると、アルミニウム及び銅の両金属が水中にイオンとして溶け込んで両者の間に電位差などが生じて電食が起こることが知られる。尚、アルミ電線の導体と、銅製又は銅合金製の圧着端子とを電気的、機械的に接続すると、圧着端子の導体加締め片による導体の圧着部分では、高圧縮になる圧着であることから浸水が防止され、結果、電食の発生が回避される。けれども、導体加締め片による導体の圧着部分に対し端子軸方向(電線延在方向)の位置では、導体が一部露出した状態にあることから、ここに水分が付着して上記圧着部分にまで達してしまうと、圧着部分が恰も電解溶液に浸漬された状態になって、イオン化傾向が大きい金属であるアルミニウムが溶解して電食が進んでしまうという虞がある。そこで、導体の露出部分に対する水分の付着や、圧着部分に対する浸水を防止するため、従来においては図13に示すような防食部115(封止部)が形成される(例えば、下記特許文献1参照)。
図13において、引用符号101はアルミ電線、引用符号102は圧着端子を示す。アルミ電線101は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の導体103と、この導体103を覆う絶縁性の樹脂被覆104とを備えて構成される。アルミ電線101は、樹脂被覆104の端部を除去して導体露出部105が形成される。一方、圧着端子102は、雌形の端子金具であって、銅製又は銅合金製の金属板をプレス加工することにより、図示形状に形成される。圧着端子102は、矩形筒状の電気接触部106と、加締め部107と、これら電気接触部106及び加締め部107を連結する連結部108とを有する。加締め部107には、導体露出部105を載置するための載置部109と、この載置部109に載置された導体露出部105を加締めるための導体加締め片110と、導体露出部105の近傍の樹脂被覆104を加締めるための被覆加締め片111とが形成される。
上記構成及び構造において、導体露出部105を導体加締め片110にて加締めてなる導体加締め部分112と、導体露出部105の近傍の樹脂被覆104を被覆加締め片111にて加締めてなる被覆加締め部分113とを含んで電線・端子接続部118が形成される。尚、導体加締め部分112においては、導体露出部105の長さと導体加締め片110の幅との関係から、非加締め部分114が生じてしまう。そこで、この非加締め部分114を覆うような状態で、電線・端子接続部118には防食部115(封止部)が形成される。防食部115は、二つのディスペンサーの各ノズル116から防食材117(封止材)をそれぞれ滴下し、そして、この滴下にて塗布された防食材117を硬化させることにより形成される。尚、防食材117としては、シリコーンゴムが採用される。
特開2011−113708号公報
上記従来技術にあっては、二つのディスペンサーの各ノズル116から防食材117(封止材)をそれぞれ滴下し、そして、この滴下にて塗布された防食材117を硬化させて防食部115(封止部)が形成される。従来例の形成方法では、防食材117の供給量の管理や、防食部115の厚み管理をすることが困難で、仮に防食材117の供給時に液だれが生じれば更に上記管理が困難になってしまうという問題点を有する。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、電線付き端子に係り、封止材の供給量管理や封止部の厚み管理が可能な封止材供給量測定方法を提供することを課題とする。また、封止材の供給量管理や封止部の厚み管理が可能で封止性の高い(防食性や防水性の高い)電線付き端子の製造方法、及び封止材供給装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の電線付き端子の封止材供給量測定方法は、電線の樹脂被覆を除去してなる導体露出部の位置に端子金具を接続して形成される電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影をする初期状態撮影工程と、前記電線・端子接続部を覆う封止部を形成するにあたり封止材を前記電線・端子接続部に供給した後、該供給後の状態を前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給後状態撮影工程と、前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記封止材の全体的な供給量を測定する全供給量測定工程とを含んで前記封止材の供給量を測定することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、封止材を供給する前に撮影された電線・端子接続部の画像と、封止材を供給した後に同じ位置で撮影された画像とを比較することにより、封止材の供給量の測定をすることが可能になる。本発明によれば、封止材の供給量が適量であるか否かを把握することが可能になる。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の電線付き端子の封止材供給量測定方法において、前記封止材の供給途中の状態を撮影するため前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給途中状態撮影工程と、該供給途中状態撮影工程及び前記初期状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記封止材の供給量をモニタリングする封止材モニタリング工程とを更に含んで前記封止材の供給量を測定することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、封止材を供給する前に撮影された電線・端子接続部の画像と、封止材の供給途中において同じ位置で撮影された画像とを比較することにより、封止材の供給量のモニタリングをすることが可能になる。本発明によれば、供給途中で封止材の供給量が適量であるか否かを把握することが可能になる。
また、上記課題を解決するためになされた請求項3に記載の本発明の電線付き端子の製造方法は、電線の樹脂被覆を除去してなる導体露出部の位置に端子金具を接続して形成される電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影をする初期状態撮影工程と、前記電線・端子接続部を覆う封止部を形成するにあたり封止材を前記電線・端子接続部に供給する封止材供給工程と、前記封止材を供給した後の状態を撮影するため前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給後状態撮影工程と、前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記封止材の供給に係る良否を判別する封止材供給判別工程とを含んで製造することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、封止材の供給に係る良否判別をする工程を含んで電線付き端子が製造される。封止材の供給に係る良否判別は、封止材を供給する前に撮影された電線・端子接続部の画像と、封止材を供給した後に同じ位置で撮影された画像とを比較することにより可能になる。本発明によれば、判別結果が良好であれば封止材の供給量が適量であると言え、また、封止部の厚みも適正になると言える。
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の電線付き端子の製造方法において、前記封止材供給工程として、前記端子金具及び金属製ノズルの間に電圧を印可し且つ前記金属製ノズルから電荷を帯びた前記封止材を前記電線・端子接続部に引き寄せるような状態で供給することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、静電気力による引き寄せの力を封止材に作用させることから、封止材を電線・端子接続部に留まらせることが可能になる。
請求項5に記載の本発明は、請求項3又は4に記載の電線付き端子の製造方法において、前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程として、前記端子金具を傾けて配置した状態では、該端子金具の傾きに応じて前記カメラも傾けた状態にして撮影をすることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、端子金具の傾きに応じてカメラを傾けた状態にすることから、例えば封止材の供給前後の状態をそれぞれ撮影する際、端子金具の配置に左右されることなく撮影をすることが可能になる。その結果、画像を比較する際の条件を一定にさせることが可能になる。本発明によれば、封止材の供給に係る良否判別の精度を向上させることが可能になる。
請求項6に記載の本発明は、請求項3、4又は5に記載の電線付き端子の製造方法において、前記封止材供給工程として、前記端子金具を傾けて配置することにより前記電線・端子接続部に前記封止材を溜める部分を生じさせることを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、端子金具を傾けて配置すると、電線・端子接続部も傾いた状態になることから、電線・端子接続部が例えば段差のある形状であれば封止材を溜める部分を電線・端子接続部に生じさせることが可能になる。
請求項7に記載の本発明は、請求項3、4、5又は6に記載の電線付き端子の製造方法において、前記封止材の供給途中の状態を撮影するため前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給途中状態撮影工程と、該供給途中状態撮影工程及び前記初期状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記封止材の供給量をモニタリングする封止材モニタリング工程とを更に含んで製造することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、封止材の供給量をモニタリングする封止材モニタリング工程を更に含んで電線付き端子が製造される。封止材の供給量のモニタリングは、封止材を供給する前に撮影された電線・端子接続部の画像と、封止材の供給途中において同じ位置で撮影された画像とを比較することにより可能になる。本発明によれば、供給途中で封止材の供給量が適量であるか否かを把握することが可能になる。
また、上記課題を解決するためになされた請求項8に記載の本発明の封止材供給装置は、電線の樹脂被覆を除去して形成される導体露出部の位置に端子金具を接続して電線・端子接続部を形成し、さらには、該電線・端子接続部に対し封止材を供給して前記電線・端子接続部を覆う封止部を形成してなる電線付き端子の、前記封止材を供給する際に用いられる装置であり、且つ、前記封止材を供給する封止材供給部と、所定位置から前記電線・端子接続部を少なくとも前記封止材の供給前後でそれぞれ撮影するカメラと、該カメラにて撮影された各画像を比較して前記封止材の供給に係る良否を判別する封止材供給判別手段とを含んで構成することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、封止材を供給する前に撮影された電線・端子接続部の画像と、封止材を供給した後に同じ位置で撮影された画像とを封止材供給判別手段にて比較することから、封止材の供給に係る良否を判別することが可能になる。本発明によれば、判別結果が良好であれば封止材の供給量が適量であると言え、また、封止部の厚みも適正になると言える。
請求項9に記載の本発明は、請求項6に記載の封止材供給装置において、前記封止材供給部として金属製ノズルを有するディスペンサーを用い、前記端子金具と前記金属製ノズルとの間に電圧を印可し且つ前記金属製ノズルから電荷を帯びた前記封止材を前記電線・端子接続部に引き寄せるような状態で供給して前記封止部を形成することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、静電気力により封止材を電線・端子接続部に引き寄せることが可能になる。本発明によれば、静電気力による引き寄せの力を封止材に作用させることから、封止材を電線・端子接続部に留まらせることが可能になる。
請求項10に記載の本発明は、請求項8又は9に記載の封止材供給装置において、前記カメラを前記端子金具の傾きに応じて配置することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、端子金具の傾きに応じてカメラを傾けた状態にすることから、例えば封止材の供給前後の状態をそれぞれ撮影する際、端子金具の配置に左右されることなく撮影をすることが可能になる。その結果、画像を比較する際の条件を一定にさせることが可能になる。本発明によれば、封止材の供給に係る良否判別の精度を向上させることが可能になる。この他、本発明によれば、端子金具を傾けて配置すると電線・端子接続部も傾いた状態になることから、電線・端子接続部が例えば段差のある形状であれば封止材を溜める部分を電線・端子接続部に生じさせることが可能になる。
請求項11に記載の本発明は、請求項8、9又は10に記載の封止材供給装置において、前記カメラにて前記封止材の供給途中の状態を撮影し前記封止材の供給量をモニタリングする封止材モニタリング手段を更に含んで構成することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明によれば、封止材を供給する前に撮影された電線・端子接続部の画像と、封止材の供給途中において同じ位置で撮影された画像とを封止材モニタリング手段にて比較することから、封止材の供給量をモニタリングすることが可能になる。本発明によれば、供給途中で封止材の供給量が適量であるか否かを把握することが可能になる。
尚、上記請求項1に記載の本発明は、電線をアルミ電線、端子金具をアルミ電線に対し異種金属となるもの、封止材を防食材、封止部を防食部、として対象を限定すれば、次のような特徴になる。すなわち、「アルミニウム製又はアルミニウム合金製の導体と、該導体を覆う絶縁性の樹脂被覆とを備える電線の、前記樹脂被覆を除去してなる導体露出部の位置に、母材が銅製又は銅合金製の端子金具を接続して形成される電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影をする初期状態撮影工程と、前記電線・端子接続部を覆う防食部を形成するにあたり防食材を前記電線・端子接続部に供給した後、該供給後の状態を前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給後状態撮影工程と、前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記防食材の全体的な供給量を測定する全供給量測定工程とを含んで前記防食材の供給量を測定することを特徴とする電線付き端子の防食材供給量測定方法。」になる。
また、上記請求項1に記載の本発明は、封止材を防水材、封止部を防水部、として対象を限定すれば、次のような特徴になる。すなわち、「電線の樹脂被覆を除去してなる導体露出部の位置に端子金具を接続して形成される電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影をする初期状態撮影工程と、前記電線・端子接続部を覆う防水部を形成するにあたり防水材を前記電線・端子接続部に供給した後、該供給後の状態を前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給後状態撮影工程と、前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記防水材の全体的な供給量を測定する全供給量測定工程とを含んで前記防水材の供給量を測定することを特徴とする電線付き端子の防水材供給量測定方法。」になる。
また、上記請求項3に記載の本発明は、電線をアルミ電線、端子金具をアルミ電線に対し異種金属となるもの、封止材を防食材、封止部を防食部、として対象を限定すれば、次のような特徴になる。すなわち、「アルミニウム製又はアルミニウム合金製の導体と、該導体を覆う絶縁性の樹脂被覆とを備える電線の、前記樹脂被覆を除去してなる導体露出部の位置に、母材が銅製又は銅合金製の端子金具を接続して形成される電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影をする初期状態撮影工程と、前記電線・端子接続部を覆う防食部を形成するため、防食材を前記電線・端子接続部に供給する防食材供給工程と、前記防食材を供給した後の状態を撮影するため前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給後状態撮影工程と、前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記防食材の供給に係る良否を判別する防食材供給判別工程と、を含んで製造することを特徴とする電線付き端子の製造方法。」になる。
また、上記請求項3に記載の本発明は、封止材を防水材、封止部を防水部、として対象を限定すれば、次のような特徴になる。すなわち、「電線の樹脂被覆を除去してなる導体露出部の位置に端子金具を接続して形成される電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影をする初期状態撮影工程と、前記電線・端子接続部を覆う防水部を形成するため、防水材を前記電線・端子接続部に供給する防水材供給工程と、前記防水材を供給した後の状態を撮影するため前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給後状態撮影工程と、前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記防水材の供給に係る良否を判別する防水材供給判別工程と、を含んで製造することを特徴とする電線付き端子の製造方法。」になる。
また、上記請求項8に記載の本発明は、電線をアルミ電線、端子金具をアルミ電線に対し異種金属となるもの、封止材を防食材、封止部を防食部、として対象を限定すれば、次のような特徴になる。すなわち、「アルミニウム製又はアルミニウム合金製の導体と、該導体を覆う絶縁性の樹脂被覆とを備える電線の、前記樹脂被覆を除去して形成される導体露出部の位置に、母材が銅製又は銅合金製の端子金具を接続して電線・端子接続部を形成し、さらには、該電線・端子接続部に対し防食材を供給して前記電線・端子接続部を覆う防食部を形成してなる電線付き端子の、前記防食材を供給する際に用いられる装置であり、且つ、前記防食材を供給する防食材供給部と、所定位置から前記電線・端子接続部を少なくとも前記防食材の供給前後でそれぞれ撮影するカメラと、該カメラにて撮影された各画像を比較して前記防食材の供給に係る良否を判別する防食材供給判別手段と、を含んで構成することを特徴とする防食材供給装置。」になる。
また、上記請求項8に記載の本発明は、封止材を防水材、封止部を防水部、として対象を限定すれば、次のような特徴になる。すなわち、「電線の樹脂被覆を除去して形成される導体露出部の位置に端子金具を接続して電線・端子接続部を形成し、さらには、該電線・端子接続部に対し防水材を供給して前記電線・端子接続部を覆う防水部を形成してなる電線付き端子の、前記防水材を供給する際に用いられる装置であり、且つ、前記防水材を供給する防水材供給部と、所定位置から前記電線・端子接続部を少なくとも前記防水材の供給前後でそれぞれ撮影するカメラと、該カメラにて撮影された各画像を比較して前記防水材の供給に係る良否を判別する防水材供給判別手段と、を含んで構成することを特徴とする防水材供給装置。」になる。
請求項1に記載された本発明によれば、封止材の供給前後の画像を比較して電線付き端子における封止材の全体的な供給量を測定することから、この測定結果に基づいて封止材の供給量管理や封止部の厚み管理をすることができるという効果を奏する。この他、上記の管理をすることができれば、電線付き端子製造後の例えば目視検査等を削減することができるという効果も奏する。
請求項2に記載された本発明によれば、封止材の供給量をモニタリングしながらの測定であることから、封止材の供給量をより一層確実に測定することができるという効果を奏する。
請求項3、8に記載された本発明によれば、封止材の供給前後の画像を比較して封止材の供給に係る良否を判別することから、この判別結果に基づいて封止材の供給量管理や封止部の厚み管理をすることができるという効果を奏する。この他、上記の管理をすることができれば、製造後の例えば目視検査等を削減することができるという効果も奏する。
請求項4、9に記載された本発明によれば、静電気力を利用することから、封止材を電線・端子接続部に留めることができるという効果を奏する。これにより、封止材の液だれを防止し、結果、封止部を十分な状態で形成することができるという効果を奏する。本発明によれば、封止性を高めることができるという効果を奏する。
請求項5、10に記載された本発明によれば、例えば封止材の供給前後の画像をそれぞれ撮影する際、端子金具の傾きに応じてカメラも傾けた状態にして撮影をすることから、封止材の供給に係る良否判別を端子金具の配置に左右されずに行うことができるという効果を奏する。本発明によれば、封止材の供給に係る良否判別の精度を向上させることができるという効果を奏する。
請求項6に記載された本発明によれば、封止材を溜める部分を電線・端子接続部に生じさせることから、封止材を例えば一定量溜めることができ、以て封止材の供給量管理や封止部の厚み管理に寄与することができるという効果を奏する。
請求項7、11に記載された本発明によれば、封止材の供給量をモニタリングしながら製造することから、封止材の供給量をより一層確実に管理することができるという効果を奏する。
本発明の製造方法及び封止材供給装置により製造される電線付き端子の斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 防食部を形成する前の電線付き端子の斜視図である。 図3のB−B線断面図である。 本発明の製造方法を説明するための電線付き端子の斜視図、及び本発明の封止材供給装置に係る構成図である。 図5のA−A線断面図である。 本発明の製造方法に係る工程説明図である。 図7の初期状態撮影工程から防食材供給判別工程までの模式的な図であり、(a)は防食材を供給する前の電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影した時の説明図、(b)は防食材の供給途中状態をカメラにて撮影した時の説明図、(c)は防食材を供給した後の状態をカメラにて撮影した時の説明図である。 電線付き端子支持装置に係る模式的な図であり、(a)は構成図、(b)は圧着端子の拡大図である。 圧着端子を傾けて配置した時の拡大図であり、さらにはカメラによる撮影範囲が圧着端子の傾きに合わせて傾いた状態を示す図である。 本発明のワイヤハーネスを構成するコネクタの斜視図である。 図11のコネクタハウジングの図であり、(a)は斜視図、(b)はC−C線断面図である。 従来例の電線付き端子の図であり、(a)は斜視図、(b)はD−D線断面図である。
電線付き端子は、アルミ電線と、圧着端子とを備えて構成される。アルミ電線は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の導体と、この導体を覆う絶縁性の樹脂被覆とを備えて構成される。アルミ電線は、樹脂被覆を除去して導体露出部が形成される(電線加工工程)。圧着端子は、圧着部分としての加締め部を有し、この加締め部には、導体加締め片及び被覆加締め片が形成される。電線付き端子は、導体露出部に加締め部を圧着して電線・端子接続部が形成される(電線・端子接続工程)。
電線・端子接続部が形成されると、所定位置からカメラにて撮影がなされる(初期状態撮影工程)。そして、この電線・端子接続部を覆うようにして防食部が形成される。防食部は、紫外線硬化性樹脂からなる防食材を電線・端子接続部に供給するとともに(防食材供給工程)、防食材に紫外線を照射してUV硬化させることにより形成される(防食材硬化工程)。
防食材の供給後、且つUV硬化前においては、カメラにて防食材を供給した後の状態を撮影するとともに(供給後状態撮影工程)、この撮影により得られた画像を供給前のものと比較して、電線付き端子における防食材の全体的な供給量が測定されるとともに、防食材の供給に係る良否が判別される(全供給量測定工程・封止材供給判別工程)。また、防食材の供給途中の状態をカメラにて撮影し(供給途中状態撮影工程)、撮影された画像を供給前のものと比較して、防食材の供給量もモニタリングされる(封止材モニタリング工程)。
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の製造方法及び封止材供給装置により製造される電線付き端子の斜視図である。また、図2は図1のA−A線断面図、図3は防食部を形成する前の電線付き端子の斜視図、図4は図3のB−B線断面図である。さらに、図5は本発明の製造方法を説明するための電線付き端子の斜視図、及び本発明の封止材供給装置に係る構成図、図6は図5のA−A線断面図、図7〜図8は本発明の製造方法に係る工程説明図、図9〜図10は電線付き端子支持装置に係る模式的な図である。この他、図11は本発明のワイヤハーネスを構成するコネクタの斜視図、図12は図11のコネクタハウジングの図である。
<電線付き端子1の構成について>
図1及び図2において、引用符号1は本発明の製造方法により製造される電線付き端子を示す。電線付き端子1は、アルミ電線2(電線)と、このアルミ電線2の端末に配設される圧着端子3(端子金具)とを備えて構成される。また、電線付き端子1は、アルミ電線2及び圧着端子3における異種金属同士の接続部分に防食部4(封止部、防水部)を有するように構成される。尚、本実施例の電線付き端子1は、アルミ電線2の端末に圧着端子3を配設してなるものであるが、例えばアルミ電線2の中間に適宜形状の端子金具を配設してもよいものとする。
<アルミ電線2の構成及び構造について>
図1ないし図4において、アルミ電線2は、断面円形状で且つ曲げの力を加えた時に元の状態に戻ろうとする反力が発生するような柔軟性を有するものが採用される。アルミ電線2は、導体5と、樹脂被覆6とを備えて構成される。
導体5は、断面円形状の複数本の素線(符号省略)を撚り合わせて形成される。この素線は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製である。すなわち、導体5は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製のものである。導体5は、所定の導体断面積を有する。そして、この導体断面積の部分がアルミ電線2の電線長の分だけ存在する。アルミニウム材は、比重が2.70g/cmであり、後述する銅材の比重が8.96g/cmであることから、アルミ電線2は軽量であって長尺な車載用電線として使用されれば燃費効率の向上等に有効である。
尚、アルミニウム材は、電気化学反応における標準電極電位が−1.676Vであり、また、後述する銅材の標準電極電位は+0.340Vである。これらの電位差は大きなものであり、そのためアルミニウム材と銅材との間に水分が浸入して滞留してしまうと、アルミニウム、銅、及び電解質水溶液により電池が形成される。そして、この電池の陽極になる方、すなわち導体5の方に異種金属接触腐食(ガルバニック腐食、電食)が発生してしまうことになる。このようなことから、電食を防ぐための防食部4が必要になるのは勿論である。
樹脂被覆6は、所謂絶縁体であって、絶縁性を有する樹脂材料を導体5の外側に押出成形することにより断面円形状に形成される。上記樹脂材料としては、公知の様々な種類のものが採用可能である。例えば、ポリ塩化ビニル樹脂やポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの高分子材料から適宜選択される。
以上のようなアルミ電線2は、この端末において樹脂被覆6が所定長さ分だけ除去されて導体露出部7が形成される。
<圧着端子3の構造について>
図1ないし図4において、圧着端子3は、雌形の端子金具であって、母材が銅製又は銅合金製の金属板をプレス加工することにより、例えば図示形状に形成される(雄形の端子金具であってもよいものとする)。尚、特に図示しないが、上記母材の表面にメッキが施されるものとする。メッキは、異種金属接触部分になる銅材とアルミニウム材との間に介在することになる。圧着端子3は、電気接触部8と、加締め部9と、これら電気接触部8及び加締め部9を連結する連結部10とを有する。
電気接触部8は、図示しない相手端子金具との電気的な接続部分であって、断面長方形の筒形状に形成される。電気接触部8の内部には、相手端子金具のタブに対する挿入空間が形成される。また、タブが挿入されると弾性的に接触する弾性接触片11が形成される。電気接触部8における引用符号12は、後述するコネクタハウジング52のランス54に引っ掛かり係止される被係止部を示す。
加締め部9は、アルミ電線2との電気的な接続部分であって、本実施例の端子金具は圧着端子3であることから、圧着により接続可能な部分に形成される。具体的には、アルミ電線2の導体露出部7を載置するための載置部13と、この載置部13に載置された導体露出部7を加締めるための一対の導体加締め片14と、導体露出部7の近傍の樹脂被覆6を加締めるための一対の被覆加締め片15とを有する部分に形成される。尚、載置部13は底板と称することもある。また、導体加締め片14はワイヤバレルと称することもある。さらに、被覆加締め片15はインシュレーションバレルと称することもある。
一対の導体加締め片14と一対の被覆加締め片15は、端子軸方向に所定の間隔をあけて配置される。また、一対の導体加締め片14と一対の被覆加締め片15は、加締め前の形状が共に略V字状になる形状に形成される。尚、一対の導体加締め片14が導体露出部7を加締め、一対の被覆加締め片15が樹脂被覆6を加締めることから、これらは加締め対象の形状や外周長の差に合わせて異なる幅や突出長さで形成される。
以上のような加締め部9に対し導体露出部7が圧着されると、引用符号16で示すような電線・端子接続部が形成される。電線・端子接続部16は、導体露出部7を一対の導体加締め片14にて加締めてなる導体加締め部分17と、この導体加締め部分17の周辺の非加締め部分18と、導体露出部7の近傍の樹脂被覆6を一対の被覆加締め片15にて加締めてなる被覆加締め部分19とを含んで形成される。
連結部10は、端子軸方向に所定長さでのびる略樋形状に形成される。連結部10の端子軸方向一端には、電気接触部8が連成される。また、連結部10の端子軸方向他端には、加締め部9が連成される。
<防食部4について>
図1及び図2において、防食部4は、電食を防止するため電線・端子接続部16を水密に覆う部分として形成される。具体的には、図中の矢印を上下・左右・前後と定義すると、加締め部9の上側(導体加締め部分17及び非加締め部分18の上側)、加締め部9の下側(載置部13の下側)、加締め部9の左側・右側、加締め部9の前側(導体加締め部分17の前側)、被覆加締め部分19の後側、を覆う部分として防食部4が形成される。別な言い方をすれば、電線・端子接続部16の前後と、電線・端子接続部16の端子軸回り全周にわたって覆う部分として防食部4が形成される。防食部4は、この形成方法に特徴を有する。以下、防食部4の形成方法について、電線付き端子1の製造方法に係る説明の中で詳細にふれることにする。
<電線付き端子1の製造方法について>
図5ないし図7において、電線付き端子1は、次のような工程を経て製造される。すなわち、電線加工工程S1と、電線・端子接続工程S2と、初期状態撮影工程S11と、防食材供給工程S3(封止材供給工程、防水材供給工程)と、供給途中状態撮影工程S12と、防食材モニタリング工程S13(封止材モニタリング工程、防水材モニタリング工程)と、供給後状態撮影工程S14と、全供給量測定工程・防食材供給判別工程S15(封止材供給判別工程、防水材供給判別工程)と、防食材硬化工程S4(封止材硬化工程、防水材硬化工程)とを経て製造される。
防食材供給工程S3と防食材硬化工程S4は、防食部4を形成するための工程(形成方法)である。また、初期状態撮影工程S11と、供給途中状態撮影工程S12と、防食材モニタリング工程S13と、供給後状態撮影工程S14と、全供給量測定工程・防食材供給判別工程S15は、後述する防食材20の供給量の管理や防食部4の厚み管理に寄与する工程である。尚、供給途中状態撮影工程S12と、防食材モニタリング工程S13は、必要に応じて行われる任意の工程である。もう少し詳しく説明すると、供給途中状態撮影工程S12と、防食材モニタリング工程S13は、防食材供給工程S3の中で採用することが可能な任意の工程である。
この他、全供給量測定工程・防食材供給判別工程S15における全供給量測定工程と、防食材モニタリング工程S13は、本発明の封止材供給量測定方法に該当する工程である。
本発明の製造方法においては、電線付き端子支持装置31(図9及び図10参照)が用いられる。電線付き端子支持装置31は、本実施例において初期状態撮影工程S11から用いられるようになるが、詳しくは後述するものとする。
<電線加工工程S1について>
電線加工工程S1では、アルミ電線2の端末に導体露出部7を形成することが行われる。具体的には、樹脂被覆6を所定長さ分だけ除去して導体5を露出させて導体露出部7を形成することが行われる。
<電線・端子接続工程S2について>
電線・端子接続工程S2では、導体露出部7の位置に圧着端子3の加締め部9を配置して、この後に圧着接続により電線・端子接続部16を形成することが行われる。圧着においては、圧着機のアンビルとクリンパとによるプレス、すなわち加締めが行われる。加締め部9に対し導体露出部7が圧着されると、導体加締め部分17と、非加締め部分18と、被覆加締め部分19とが形成される。
尚、ここまでの工程は、予め別工程で行っておいてもよいものとする。
<初期状態撮影工程S11について>
初期状態撮影工程S11では、電線・端子接続部16を所定位置からカメラ42にて撮影することが行われる。カメラ42は、後述する防食材供給装置41(封止材供給装置、防水材供給装置)の一構成であって、電線・端子接続部16の側面(圧着端子3の側面)を撮影することができるような位置に配置される。また、カメラ42は、水平方向の撮影範囲が圧着端子3の軸に沿うような位置に配置される。カメラ42にて電線・端子接続部16が撮影されると、図8(a)に示すような画像が得られる。具体的には、後述する防食材20が供給される前の電線・端子接続部16の側面形状が分かるような画像が得られる。
<防食材供給工程S3について>
防食材供給工程S3では、防食材20(封止材、防水材)を電線・端子接続部16に供給することが行われる。防食材供給工程S3では、次のような構成の防食材供給装置41が使用される。防食材供給装置41は、金属製ノズル21を有するディスペンサー(防食材供給部、封止材供給部、防水材供給部)と、金属製ノズル21及び圧着端子3の間に電圧を印可する電圧印可部22と、上記ディスペンサーや電圧印可部22を制御する図示しない制御部と、カメラ42と、図示しないカメラ制御部と、防食材モニタリング手段43(封止材モニタリング手段、防水材モニタリング手段)と、防食材供給判別手段44(封止材供給判別手段、防水材供給判別手段)とを含んで構成される。
上記ディスペンサーは、静電併用型ディスペンサーが採用される。防食材20は、液状の紫外線硬化性樹脂が採用される(さらに、紫外線のエネルギーを受けて発光するものであってもよいものとする)。このような防食材20は、本発明において、金属製ノズル21及び圧着端子3の間に電圧が印可されると、液表面にプラスの電荷が誘起される。尚、金属製ノズル21及び圧着端子3の間に印可される電圧は、本実施例において3kV程度である。一方、圧着端子3の側には、マイナスの電荷が誘起される。
金属製ノズル21及び圧着端子3の間に電圧が印可されると、防食材20の液の界面は電気力線の方向に静電的な力で引っ張られる。すなわち、金属製ノズル21から電線・端子接続部16に向かう方向に電荷を帯びた状態で防食材20が引き寄せられる。防食材20が引っ張られると(引き寄せられると)、この防食材20は金属製ノズル21における先端部の濡れ上がりのない状態で電線・端子接続部16に接触する。具体的には、電界が集中する部分まで連続する略糸引き状態になって接触する。
防食材供給工程S3では、防食材20の供給にあたり金属製ノズル21を図5及び図6の矢印X、Y、Z方向に移動させる。防食材20は、電荷を帯びた状態で供給されることから、このような防食材20は静電気力によって電線・端子接続部16に引き寄せられ、この後に供給位置の反対側まで回り込むような状態で供給される。すなわち、上側から供給されても電線・端子接続部16の下側まで回り込むような全周にわたって防食材20が供給される。電線・端子接続部16の全周にわたって供給された防食材20は、静電気力による引き寄せの力が作用して液だれすることなくその場に留まるようになる。この他、防食材20は、非加締め部分18における導体5の素線内に浸透して留まるようにもなる。
<防食材供給工程S3における供給途中状態撮影工程S12について>
供給途中状態撮影工程S12では、防食材20の供給途中の状態を撮影するため、初期状態撮影工程S11と同じ位置から電線・端子接続部16の側面をカメラ42にて撮影することが行われる。カメラ42にて撮影がなされると、図8(b)に示すような画像が得られる。具体的には、防食材20の供給途中状態における電線・端子接続部16の側面形状が分かるような画像が得られる。尚、撮影は、防食材20の供給を一旦止めたりするような適宜方法で行われるものとする。
<防食材供給工程S3における防食材モニタリング工程S13について>
防食材モニタリング工程S13では、供給途中状態撮影工程S12及び初期状態撮影工程S11において撮影された各画像を比較して防食材20の供給量をモニタリングすることが行われる。具体的には、防食材20の供給途中において、この防食材20の供給量が適量であるか否かを画像の比較により把握することが行われる。
防食材モニタリング工程S13では、防食材モニタリング手段43にて図8(a)の画像と、図8(b)の画像とを比較し、そして、電線・端子接続部16の側面形状の差を例えば数値化してグラフ化(図示省略)すれば、防食材20の供給量が適量であるか否かを把握することができる(判別することができる)。供給途中状態撮影工程S12や防食材モニタリング工程S13は任意の工程であるが、採用すれば防食材20の供給量を良好に管理することができるという効果を奏する。
<供給後状態撮影工程S14について>
供給後状態撮影工程S14では、防食材20の供給後の状態を撮影するため、初期状態撮影工程S11と同じ位置から電線・端子接続部16の側面をカメラ42にて撮影することが行われる。カメラ42にて撮影がなされると、図8(c)に示すような画像が得られる。具体的には、防食材20の供給後の状態における電線・端子接続部16の側面形状が分かるような画像が得られる。
<全供給量測定工程・防食材供給判別工程S15について>
全供給量測定工程・防食材供給判別工程S15では、供給後状態撮影工程S14及び初期状態撮影工程S11において撮影された各画像を比較して、電線付き端子1における防食材20の全体的な供給量を測定することが行われる。また、防食材20の供給に係る良否を判別することが行われる。具体的には、防食材20の供給後の時点で供給量が適量であるか否かを画像の比較により測定・判別することが行われる。すなわち、防食材供給判別手段44にて図8(a)の画像と、図8(c)の画像とを比較し、そして、電線・端子接続部16の側面形状の差を例えば数値化してグラフ化(図示省略)すれば、防食材20の供給量が適量であるか否かを判別することができる。判別結果が良好であれば防食材20の供給量が適量であると言える。また、この後の防食材硬化工程S4にて形成される封止部4の厚みも適正になると言える。
<防食材硬化工程S4について>
防食材硬化工程S4では、電線・端子接続部16の全周にわたって供給された防食材20に対し紫外線(UV光)を照射してUV硬化させることが行われる。防食材20は、液状の紫外線硬化性樹脂からなることから、例えばUVライト23の紫外線照射によるエネルギーを受けると、上記留まった状態を保持しながら短時間で硬化する。この時、防食材20は液だれやヒケなく硬化する。防食材20が硬化すると、電線・端子接続部16を水密に覆う防食部4の形成が完了する。すなわち、電線付き端子1の製造が完了する。
防食部4は、上記説明から分かるように、十分な状態で形成することができる。また、防食部4は、最大幅がW1、最大高さがH1になるような形状に形成することができる。これは、防食材20が上述の如く略糸引き状態になって供給されることから、供給量を精度良く管理することが可能になり、結果、防食部4の形状が安定するからである。また、防食材20の供給量が適量であるか否かを判別した上で形成されるからでもある。防食部4の形状が安定することは、後述するコネクタ51(図11参照)の組み付けに有効である。
<電線付き端子支持装置31の構成及び構造について>
図9において、引用符号31は電線付き端子支持装置を示す。この電線付き端子支持装置31は、電線・端子接続部16が形成された後の工程にて用いられる。電線付き端子支持装置31は、アルミ電線2の反力Pを利用して、防食材20を供給する前のワーク(電線付き端子1)を簡易的に保持することができるように構成される。電線付き端子支持装置31は、本実施例において、ベース32と、支柱33と、第一位置調節機構34と、端子簡易保持部35と、第二位置調節機構36と、電線簡易保持部37とを含んで構成される。
ベース32は、いわゆる台であって、このようなベース32に対し上方に立ち上がるような状態で支柱33が設けられる。第一位置調節機構34は、略竿状の部分を有するように形成される。第一位置調節機構34の一端側は、支柱33に対し上下動自在に、また、前後動自在に組み付けられる。第一位置調節機構34の他端側には、端子簡易保持部35が回動自在に組み付けられる。端子簡易保持部35は、圧着端子3の端部(電気接触部8の先端側の端部)をワンタッチで着脱自在に保持することができるように形成される。本実施例においては、電気接触部8の先端側の端部を当接させて保持することができるように形成される(一例であるものとする)。
第二位置調節機構36は、第一位置調節機構34と同様に略竿状に形成される。また、第二位置調節機構36は、この一端側が支柱33に対し上下動自在に組み付けられる。第二位置調節機構36の他端側には、電線簡易保持部37が前後動自在に組み付けられる。電線簡易保持部37は、アルミ電線2の樹脂被覆6をワンタッチで着脱自在に保持することができるように形成される。本実施例においては、樹脂被覆6を当接させて保持することができるように形成される。
以上のような構成の電線付き端子支持装置31は、防食材20(図7参照)を供給する前の電線付き端子1を位置ズレすることなく簡易的に支持することができるような装置である。すなわち、アルミ電線2の例えば端末側を図示の如く弓なりに曲げて曲げ部39を形成し、この形成時に生じる、アルミ電線2の元の状態に戻ろうとする反力Pを利用することで、位置ずれすることなく簡易的に支持することができるような装置である。
図9において、この図から分かるように圧着端子3は前後方向(水平方向)に沿って配置される。このような配置では、電線・端子接続部16の側面をカメラ42(図5参照)にて撮影しようとすると、図9(b)に示す如く水平方向の撮影範囲が圧着端子3の軸に沿うような位置(前後方向に沿うような位置)に配置される。ところで、図10に示す如く端子簡易保持部35を角度θだけ傾けると、これに伴って圧着端子3も(電線・端子接続部16も)角度θだけ傾くようになる。従って、カメラ42による撮影範囲を同様に傾ければ、防食材20(図5及び図7参照)の供給に係る良否判別等を圧着端子3の配置に左右されずに行うことができるのは勿論である。
尚、圧着端子3を傾けると、電線・端子接続部16には、防食材20(図5及び図7参照)を溜める部分45を生じさせることができる。溜める部分45を生じさせると、防食材20を例えば一定量溜めることができ、以て防食材20の供給量管理や防食部4の厚み管理に寄与することができるという効果を奏する。
<電線付き端子1の使用例について>
図11において、電線付き端子1は、ワイヤハーネスの端末に配設されるコネクタ51の一構成部品として使用される。コネクタ51は、一対の電線付き端子1の他に、絶縁性を有するコネクタハウジング52を備えて構成される。
図11及び図12において、コネクタハウジング52は、樹脂成形品であって矩形の箱形状に形成される。コネクタハウジング52の内部には、一対の端子収容室53が形成される。端子収容室53は、コネクタハウジング52の前面から後面までを貫通するように形成される。端子収容室53には、電線付き端子1の圧着端子3(被係止部12)を引っ掛けて係止するためのランス54が形成される。また、端子収容室53には、圧着端子3が当接するストッパ部55と、図示しない相手端子金具のタブが挿入されるタブ挿入口56とが形成される。
端子収容室53は、コネクタハウジング52の後面において、幅がW2、高さがH2で開口するように形成される。幅W2は、防食部4の最大幅W1よりも大きく(W2>W1)、また、高さH2も防食部4の最大高さH1より大きい(H2>H1)。つまり、防食部4を有する電線付き端子1であっても、端子収容室53に対する圧着端子3の収容は問題ない。
コネクタハウジング52の外側には、図示しない相手コネクタに対するガイドリブ57と、ロッキングアーム58とが形成される。
<電線付き端子1及び製造方法等のまとめや効果について>
以上、図1ないし図12を参照しながら説明してきたように、電線付き端子1は、アルミ電線2と、圧着端子3とを備えて構成される。アルミ電線2は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製の導体5と、この導体5を覆う絶縁性の樹脂被覆6とを備えて構成される。アルミ電線2は、樹脂被覆6を除去して導体露出部7が形成される(電線加工工程S1)。一方、圧着端子3は、圧着部分としての加締め部9を有し、この加締め部9には、導体加締め片14及び被覆加締め片15が形成される。電線付き端子1は、導体露出部7に加締め部9を圧着して電線・端子接続部16が形成される(電線・端子接続工程S2)。
電線・端子接続部16が形成されると、所定位置からカメラ42にて撮影がなされる(初期状態撮影工程S11)。そして、この電線・端子接続部16を覆うようにして防食部4が形成される。防食部4は、紫外線硬化性樹脂からなる防食材20を電線・端子接続部16に供給するとともに(防食材供給工程S3)、防食材20に紫外線を照射してUV硬化させることにより形成される(防食材硬化工程S4)。
防食材20の供給後、且つUV硬化前においては、カメラ42にて防食材20を供給した後の状態を撮影するとともに(供給後状態撮影工程S14)、この撮影により得られた画像を供給前のものと比較して、電線付き端子1における防食材20の全体的な供給量が測定されるとともに、防食材20の供給に係る良否が判別される(全供給量測定工程・防食材供給判別工程S15)。また、防食材20の供給途中の状態をカメラ42にて撮影し(供給途中状態撮影工程S12)、撮影された画像を供給前のものと比較して、防食材20の供給量もモニタリングされる(防食材モニタリング工程S13)。
本発明の製造方法や供給量測定方法、防食材供給装置41によれば、防食材20の供給前後の画像を比較して防食材20の全体的な供給量や供給に係る良否を測定・判別することから、この測定・判別結果に基づいて防食材20の供給量管理や防食部4の厚み管理をすることができるという効果を奏する。この他、上記の管理をすることができれば、製造後の例えば目視検査等を削減することができるという効果も奏する。
また、本発明の製造方法や防食材供給装置41によれば、静電気力を利用することから、防食材20を電線・端子接続部16に留めることができるという効果を奏する。これにより、防食材20の液だれを防止し、結果、防食部4を十分な状態で形成することができるという効果を奏する。従って、防食性を高めることができるという効果を奏する。
また、本発明の製造方法や防食材供給装置41によれば、防食材20の供給前後の画像をそれぞれ撮影する際、圧着端子3の傾きに応じてカメラ42も傾けた状態にして撮影をすることから、防食材20の供給に係る良否判別を圧着端子3の配置に左右されずに行うことができるという効果を奏する。従って、防食材20の供給に係る良否判別の精度を向上させることができるという効果を奏する。
また、本発明の製造方法や防食材供給装置41によれば、防食材20を溜める部分45を電線・端子接続部16に生じさせることから、防食材20を例えば一定量溜めることができ、以て防食材20の供給量管理や封止部の厚み管理に寄与することができるという効果を奏する。
また、本発明の製造方法や防食材供給装置41によれば、防食材20の供給量をモニタリングしながら製造することから、防食材20の供給量をより一層確実に管理することができるという効果を奏する。
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
1…線付き端子、 2…アルミ電線(電線)、 3…圧着端子(端子金具)、 4…防食部(封止部、防水部)、 5…導体、 6…樹脂被覆、 7…導体露出部、 8…電気接触部、 9…加締め部、 10…連結部、 11…弾性接触片、 12…被係止部、 13…載置部、 14…導体加締め片、 15…被覆加締め片、 16…電線・端子接続部、 17…導体加締め部分、 18…非加締め部分、 19…被覆加締め部分、 20…防食材(封止材、防水材)、 21…金属製ノズル、 22…電圧印可部、 23…UVライト、 31…電線付き端子支持装置、 32…ベース、 33…支柱、 34…第一位置調節機構(位置調節機構)、 35…端子簡易保持部、 36…第二位置調節機構(位置調節機構)、 37…電線簡易保持部、 39…曲げ部、 41…防食材供給装置、 42…カメラ、 43…防食材モニタリング手段(封止材モニタリング手段、防水材モニタリング手段)、 44…防食材供給判別手段(封止材供給判別手段、防水材供給判別手段)、 45…溜める部分、 51…コネクタ、 52…コネクタハウジング、 53…端子収容室、 54…ランス、 55…ストッパ部、 56…タブ挿入口、 57…ガイドリブ、 58…ロッキングアーム、 S1…電線加工工程、 S2…電線・端子接続工程、 S3…防食材供給工程(封止材供給工程、防水材供給工程)、 S4…防食材硬化工程(封止材硬化工程、防水材硬化工程)、S11…初期状態撮影工程、S12…供給途中状態撮影工程、S13…防食材モニタリング工程(封止材モニタリング工程、防水材モニタリング工程)、S14…供給後状態撮影工程、S15…全供給量測定工程・防食材供給判別工程(封止材供給判別工程、防水材供給判別工程)

Claims (11)

  1. 電線の樹脂被覆を除去してなる導体露出部の位置に端子金具を接続して形成される電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影をする初期状態撮影工程と、
    前記電線・端子接続部を覆う封止部を形成するにあたり封止材を前記電線・端子接続部に供給した後、該供給後の状態を前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給後状態撮影工程と、
    前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記封止材の全体的な供給量を測定する全供給量測定工程と
    を含んで前記封止材の供給量を測定する
    ことを特徴とする電線付き端子の封止材供給量測定方法。
  2. 請求項1に記載の電線付き端子の封止材供給量測定方法において、
    前記封止材の供給途中の状態を撮影するため前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給途中状態撮影工程と、該供給途中状態撮影工程及び前記初期状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記封止材の供給量をモニタリングする封止材モニタリング工程とを更に含んで前記封止材の供給量を測定する
    ことを特徴とする電線付き端子の封止材供給量測定方法。
  3. 電線の樹脂被覆を除去してなる導体露出部の位置に端子金具を接続して形成される電線・端子接続部を所定位置からカメラにて撮影をする初期状態撮影工程と、
    前記電線・端子接続部を覆う封止部を形成するにあたり封止材を前記電線・端子接続部に供給する封止材供給工程と、
    前記封止材を供給した後の状態を撮影するため前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給後状態撮影工程と、
    前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記封止材の供給に係る良否を判別する封止材供給判別工程と
    を含んで製造する
    ことを特徴とする電線付き端子の製造方法。
  4. 請求項3に記載の電線付き端子の製造方法において、
    前記封止材供給工程として、前記端子金具及び金属製ノズルの間に電圧を印可し且つ前記金属製ノズルから電荷を帯びた前記封止材を前記電線・端子接続部に引き寄せるような状態で供給する
    ことを特徴とする電線付き端子の製造方法。
  5. 請求項3又は4に記載の電線付き端子の製造方法において、
    前記初期状態撮影工程及び前記供給後状態撮影工程として、前記端子金具を傾けて配置した状態では、該端子金具の傾きに応じて前記カメラも傾けた状態にして撮影をする
    ことを特徴とする電線付き端子の製造方法。
  6. 請求項3、4又は5に記載の電線付き端子の製造方法において、
    前記封止材供給工程として、前記端子金具を傾けて配置することにより前記電線・端子接続部に前記封止材を溜める部分を生じさせる
    ことを特徴とする電線付き端子の製造方法。
  7. 請求項3、4、5又は6に記載の電線付き端子の製造方法において、
    前記封止材の供給途中の状態を撮影するため前記カメラにて前記初期状態撮影工程と同じ前記所定位置から撮影をする供給途中状態撮影工程と、該供給途中状態撮影工程及び前記初期状態撮影工程において撮影された各画像を比較して前記封止材の供給量をモニタリングする封止材モニタリング工程とを更に含んで製造する
    ことを特徴とする電線付き端子の製造方法。
  8. 電線の樹脂被覆を除去して形成される導体露出部の位置に端子金具を接続して電線・端子接続部を形成し、さらには、該電線・端子接続部に対し封止材を供給して前記電線・端子接続部を覆う封止部を形成してなる電線付き端子の、前記封止材を供給する際に用いられる装置であり、且つ、
    前記封止材を供給する封止材供給部と、
    所定位置から前記電線・端子接続部を少なくとも前記封止材の供給前後でそれぞれ撮影するカメラと、
    該カメラにて撮影された各画像を比較して前記封止材の供給に係る良否を判別する封止材供給判別手段と
    を含んで構成する
    ことを特徴とする封止材供給装置。
  9. 請求項8に記載の封止材供給装置において、
    前記封止材供給部として金属製ノズルを有するディスペンサーを用い、前記端子金具と前記金属製ノズルとの間に電圧を印可し且つ前記金属製ノズルから電荷を帯びた前記封止材を前記電線・端子接続部に引き寄せるような状態で供給して前記封止部を形成する
    ことを特徴とする封止材供給装置。
  10. 請求項8又は9に記載の封止材供給装置において、
    前記カメラを前記端子金具の傾きに応じて配置する
    ことを特徴とする封止材供給装置。
  11. 請求項8、9又は10に記載の封止材供給装置において、
    前記カメラにて前記封止材の供給途中の状態を撮影し前記封止材の供給量をモニタリングする封止材モニタリング手段を更に含んで構成する
    ことを特徴とする封止材供給装置。
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